Music TO GO!

2025年09月30日

PhilewebのクアルコムXPanイベントレポート

先日の9月28日、東京・飯田橋の会場にて、クアルコムとファイルウェブのコラボレーションによる特別イベントが開催されました。会場では、クアルコム本社スタッフによるプレゼンテーションに加え、日本初となる「XPan」技術の一般公開体験デモが実施されました。

IMG_2395.jpg
イベント開始時

イベント冒頭では評論家の鴻池氏が登壇し、現代のリスニング環境について以下のように語りました。
「多くの人がBluetoothで音楽を聴いていますが、ストリーミングサービスはすでにハイレゾ・ロスレス配信を始めています。Bluetoothには帯域的な限界がありますが、XPanを使えばハイレゾ・ロスレスを体験できる。良い音楽との出会いを豊かな音質で楽しめるのです」

IMG_2405.jpg
ナイジェル・バージェス氏、図はP2Pモードとホームモードの説明

続いて登壇したのは、クアルコム V&M部門 プロダクトマネージャーのナイジェル・バージェス氏です。
バージェス氏はまず「Snapdragon Sound」を「ゲーム、ハイレゾ音楽、高音質、低遅延、途切れにくさを実現するエンドツーエンドのシステム」と紹介。そのうえで「XPanはSnapdragon Soundエコシステムの一部であり、Bluetoothを基盤に低消費電力Wi-Fiで拡張する技術」と解説しました。
つまりXPanはBluetoothの弱点である距離や帯域(伝送量)を補い、Wi-Fiを使って最大96kHz/24bitのロスレス音質を家全体に届けられるのが特徴です。

さらにイベントでは、Cear社による特別な試聴デモも行われました。同社は2019年からクアルコムと協業しており、技術基準を満たすかどうかを確認する役割を担っています。

今回のデモでは本来イヤフォン向けのXPan技術を特別に改造し、SoCからSPDIFでデジタル出力。LとR別々なので二枚のボードを使います。

IMG_2412.jpg IMG_2424.jpg
イベントのシステム

試聴ではSBC、44/16 aptX lossless、96/24 XPanの三通りの比較試聴をしました。

IMG_2413.jpg
テストトーンでのダイナミックレンジの測定

まずCearからテストトーンでの測定結果を紹介。
SBCだと25dB のダイナミックレンジですが、44/16bitロスレスだと75dB 、
XPanの96/24では135dBに達するとのこと。

ちなみに人が聴こえるダイナミックレンジはだいたい120dBから140dB程度と言われてます。24bitでのダイナミックレンジの計算上の理論値は144dBです。
XPanだとほとんどダイナミックレンジとしては振り切ってますが、これだけの音を試すには高級オーディオシステムが必要ということで、今回はアキュフェーズにB&Wという400万円近いシステムが用意されてます。
人間のダイナミックレンジの感度(細かい音が聴こえるという意味で)は3kHz前後が最大なので、女性ヴォーカルの息遣いなどに注意を払うと良いと思います。(これはヒトの進化の過程によるものです)

IMG_2416.jpg
アキュフェーズの画面でXPan再生の時には96kでロックしていることがわかります。

カントリー曲の男性ヴォーカルとノラジョーンズの女性ヴォーカルでSBC、44/16、96/24(XPan)で切り替え試聴しましたが、差はかなり大きくよく分かります。

SBCは比較すると曇りがあり、音に抑揚がなくこじんまりとしてます。
aptX16ではパッと広がる感じがして鮮明で曇り感が少なくなります。これ自体はXpanと似ていてaptX共通と思われます。
XPanではそれに加えて特に中高音域の音が鮮明になり、高い声が伸びてシャープ、感覚的に16bitより情報量が多く豊かなサウンドと感じます。

IMG_2423.jpg

質問すると96k以上も将来考えているとのこと。
TWSイヤフォンだとわかりにくいような細かな音も豪華なシステムでわかりやすく伝えた良いイベントでした。

そのあとでバージェス氏に個別にインタビューして、XPanの理解を深めましたが、それはまた別の記事に書きます。
posted by ささき at 13:44 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

AV Watchで、初心者向け用語の解説記事を執筆しました

初心者向け解説の第二弾、インピーダンスとかバランス接続など店頭でこれなに?と迷うような用語の解説をしました。
前のドライバー編でも仕組みの解説だけでなく、だからどういう音になるという実用的な記事にしましたが、今回もただ意味を解説するだけでなく、それが必要な指標とか手掛かりになるようになるべく実用性を持たせるような記事にしました。

https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/2043150.html
posted by ささき at 13:42 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月24日

アップルが「自分ダミーヘッド」に似た特許を取得

Patently Appleが紹介したアップルの取得特許で、端的に言うと汎用のHRTFをスマホで撮ったAirPodsの装着位置を元に個人向けに調整した「解剖学的オーディオフィルタ」の特許です。

https://www.patentlyapple.com/2025/09/a-newly-granted-patent-from-apple-advances-spatial-audio-with-anatomically-aware-filtering.html

これはfinalの言っていた「自分ダミーヘッド」の最終形であるスマホ撮影版にとても似ているように思えます。ただし目的がfinalでは音色際限の向上であるのに対し、アップルはあくまで空間オーディオ再現の向上である点は異なるとは思います。

IMG_2307.jpeg
画像はPatently Appleより引用
posted by ささき at 04:32 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Philewebに新しいMEMSスピーカー、xMEMS「Lassen」の記事を執筆

MEMSドライバーは昇電が必要な点がネックですが、それをうまく解決したxMEMSの新しいMEMSスピーカー「Lassen」についての記事をPhilewebに執筆しました。

https://www.phileweb.com/review/column/202509/23/2716.html
posted by ささき at 04:24 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月10日

ついにSpotify Lossless登場

4年間もの間うわさされていたSpotify Losslessがついに登場しました。
以下にSpotifyのリンクがあります。
https://newsroom.spotify.com/2025-09-10/lossless-listening-arrives-on-spotify-premium-with-a-richer-more-detailed-listening-experience/

これはPremium加入者向けで、プレミアム加入者はロスレスが利用可能になると、Spotifyで通知を受け取るとあります。Losslessを使用すると、最大24ビット/44.1 kHz FLACでトラックをストリーミングできます。一部の曲ではなく、Spotifyのライブラリのほぼすべての曲が対応しているようです。
ロスレスの有効化手順は上記のリンクに書かれています。ロスレスは10月まで50以上の市場に徐々に展開するとのことで、日本も含まれています。
posted by ささき at 20:20 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月09日

アップルがAirPodsのステムに回転ノブを増やす特許

Patently Appleの記事から。アップルの取得特許で、AirPodsのステム部分に回転するノブとハプティック機能をつけてカチカチと回せるコントロールを付加する仕組み。こういう機械式コントロールはいいと思う。
ただしこれはタッチ式コントロールからの脱却ではなく、音声とも合わせてコントロールのマルチモーダル化を目指すもの。(タッチ部分も残ってる)

https://www.patentlyapple.com/2025/09/apple-wins-an-interactive-audio-patent-that-supports-rotational-stem-and-gesture-based-controls-for-future-airpods.html

IMG_1904.jpeg
画像はPatently Appleから引用

‪マルチモーダル化というのは、コンテキストを意識した操作系にするという意味です。
‪例えば一人で部屋にいるときは音声コマンドが便利だし、電車の中なら静かにスイッチで操作するというような意味だと思う。‬
posted by ささき at 21:50 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アップルが音漏れを打ち消すAirPodsの特許を取得

Patently Appleの記事に、アップルが音漏れを打ち消すAirPodsの特許を取得したとあります。
https://www.patentlyapple.com/2025/09/apple-wins-patent-for-a-dual-speaker-system-that-introduces-adaptive-audio-privacy-for-future-airpods-airpods-max-smartgl.html

IMG_1901.jpeg
画像はPatently Appleより引用

これは将来のAirPodsに2個のドライバーを搭載して、片側は耳、片側は外に音を放射し、別々に逆位相で鳴らすことで周囲の音漏れを打ち消す仕組みです。
つまりNTTのnwmと同じ効果ですが、アップルは別ドライバーにすることで片方の出力をコントロールして効果を加減できるとしています。これはユーザーが図書館にいるとか、テレビなどが再生されている部屋にいるかどうかを判断する「学習可能なコンテキストエンジン」で周囲環境に適応します。

この特許はnwmみたいにフルオープンタイプで特に効果があるので、アップルがフルオープンタイプのAirPodsを出すようにも推測できますが、もしかするとオープンイヤータイプのAirPods 4のような普通AirPodsのシリーズに適用するのかもしれません。

またこれは特許回避の好例でもあります。逆位相で周囲の音を消すというのは、nwmみたいに一つのドライバーで背圧を使うことでも可能ですが、二つドライバー搭載して一つを意図的に逆位相にしても可能なわけです。つまり同じ効果でも仕組みを変えたので特許的にはセーフになるというわけです。
ただ中で二つのドライバーが共通のバックキャビティーを共有するとあるのがちょっとグレイな気はしますね。
posted by ささき at 20:47 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

AK PD10にフルAndroidモード搭載

AK PD10でも最新のファームウェアでフルAndroidが可能となりました!アドバンスドDARも対応されてます。
試したところ、Neutron Music Playerも実行できました。
おすすめ設定は64bit再生とリサンプリングですが、PD10の場合はアプリ側ではリサンプリング切ってDARでリサンプルした方が良いかもしれません。

IMG_1881.jpeg IMG_1897.jpeg

IMG_1889.jpeg IMG_1890.jpeg

USB Audio Player Pro(UAPP)も動作できました。このアプリはUSB DAC用ドライバーが内蔵されてる点がポイントですが、Androidのオーディオドライバーでも出力できます(つまりPD10単体使用ができます)。
ちなみにUAPPのUSB DAC機能は昔Androidのオーディオクラスドライバーがなかったりダメダメだった時のものです。
ビットパーフェクトモードはオンできました。この時はソフトウエアボリュームがバイパスできます。
しかし、AndroidのハイレゾドライバモードをオンにするとPD10が落ちたので要注意です。

IMG_1896.jpeg IMG_1895.jpeg IMG_1898.jpeg
posted by ささき at 16:56 | TrackBack(0) | __→ AK100、AK120、AK240 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月07日

Campfire Audioがブランド10周年モデル「Andromeda 10」を発表、2ピン端子採用

HeadFiのイベント、CanJam SoCal(南カリフォルニア)が9/13-14で開催されます。CanJam NYと並ぶメジャーなイベントです。
そのプレビュー動画が公開されました。



スクリーンショット 2025-09-07 15.14.52.png
画像は動画から

この中でCampfire AudioがCampfire audio 10周年モデル「Andromeda 10」を発表することがJude氏から語られています。
構成はオールBA、10ドライバーで、4xLow、4xmid、2xHigh。クロスオーバーはビンテージコンデンサーが採用されています。
筐体はステンレススチール、フェイスプレートはダマスカス・ステンレススチール、標準モデルはAndromedaのトレードマークの緑ですが、黒と金の特別カラーが用意され、各色225ユニット限定です。
驚くのは端子がMMCXではなく2ピンを採用していることです。これは顧客要求ということ。
特別版には新ケーブルが採用され、音は「クラシック」なオリジナルに近いチューニングで、この10年の進化で更なる定位感、空気感と解像度があるようです。

スクリーンショット 2025-09-07 15.30.25.jpeg
画像は動画から

個人的にCampfireはMMCXの牙城と思っていましたので、2ピンへの変化はちょっと驚きました。
MMCXは下記の2010年のShure SE535のイベントではじめて公にイヤフォン搭載が始まったと思いますが、そろそろ曲がり角なのかもしれません。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/156170083.html

それとAndromeda 10で注目したのはクロスオーバーにビンテージコンデンサーが採用されてるとこです。
最近フォルテイヤーズを聴いてやはりビンテージパーツがクロスオーバーに採用されてるのでちょっと気に留まりました。

PS.
HeadFiでケンさんがAndromeda 10のスレッドを立ててました。Kenさんは中でAndromeda 10は初めて2ピンを使う製品だと書いています。
https://www.head-fi.org/threads/andromeda-10-campfire-audio.977912/
posted by ささき at 16:26 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アップルがAirPodsケースがAirPodsのリモートUIになる特許を出願

Patently Appleの記事でアップルの出願特許です。
https://www.patentlyapple.com/2025/09/dual-apple-patents-explore-advanced-airpods-case-with-integrated-sensors-and-smart-features.html

IMG_1828.jpeg
画像はPatently Appleから引用

これは簡単にいうと、AirPodsのセンサーをケースでリモート拡張できるという特許のようです。
AirPodsは小さくて操作に不便ですが、ケースにスワイプとか物理センサーを設けて、それをAirPodsに伝えるという仕組みです。つまりAirPodsの「うどん部分」でスワイプ操作する代わりに、ケースをスワイプしても同じことになるというもののようです。
以前出た別の液晶ケース特許もその拡張UIで使えるようです。



posted by ささき at 09:14 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする