シェルは芸術家シリーズらしい美しいもので、ココボロウッドの美しい木目を活かしたデザインです。
ドライバー構成には、10mm木製複合振動板を採用したダイナミックドライバーと、新開発の2基のスーパーマグネティック・プラナードライバーによる3ドライバー構成を採用しています。
スーパーマグネティック・プラナードライバーというのはマグネットが強化されているようですが、詳細は分かりません。二基搭載している理由についてメーカーから詳しい説明はありませんが、高域の余裕や歪みの低減に寄与している可能性は考えられます。
本体はとても精巧にできていて、木目とラッカー塗りが美しく、特にステムの部分が半透明なグラデーションで、なだらかに木目からメカニカルな内側が見えているところが美しく、芸術家シリーズにふさわしいデザインだと思います。
見た目ほど大きくはなく、装着感もとても良好です。
パッケージ
KANN Ultraで聞きました。イヤーピースは三種類付属していますが、シリコンを使いました。
まず音は全体になめらかな音調でウォームというかスムーズな音です。上と下はとてもスムーズで、シングルダイナミックのようなコヒーレンシー(一貫性)があります。
全体に丸みを帯びた優しい音ですが、楽器音は明瞭で歪み感というか濁りが少ない音です。
低音は豊かで温かみがあるが、膨らんだ感じや人工的な感じはなく、豊かな量感がありながら自然な低音です。
低音の温かみも普通のイヤフォンとも違い、優しく甘い感じです。特にパーカッションのような低音楽器では、打撃音が雷鳴のように重く響くような、本格的な低音の質が堪能できます。
高域は十分に伸びていますが、刺激を強調するような鋭さではなく、滑らかさを重視した鳴り方です。
高音域の音自体はとても整っていて、ハイハットの音はかなり澄んで、歪み感がとても少ないのが特徴です。
中低域は落ち着いていて、全く刺さるところがありません。チッという音やサ行でもほとんど刺さりません。この辺の調整でプラナーが効いているのかもしれません。
Lu Banの良さは、ヴォーカルの魅惑的な点が白眉だと思います。
特にジャズの女性ヴォーカルの艶めかしさは今まで聞いたイヤフォンの中でも最高クラスに魅惑的です。ずっと聴いていたくなるような魅惑的な再現が楽しめます。シャンティ(Shanti)もとても優しく、甘く歌っている感じがします。冷たさとは無縁の音です。
低音がヴォーカルにかぶる感じが少ないのはWizardチューニングらしいところも感じます。
YOASOBIのアイドルを聴くと、打ち込みサウンドではキツさが緩和されているのがわかります。刺激的な音が好みな人は物足りないかもしれませんが、ヴォーカルの声は甘く、歌詞はよく聞き取れます。
全体に解像力はかなり高いですが、BA的な繊細さというのではなく、自然に情報量が増える感じです。
イヤーピースを変えてみると、フォームだともっと音が柔らかくなりますが、元の音が甘い系なので、シリコンの方が良いように思います。
ダブルフランジは音が少し明るくなり、中高音域の鮮明感が増すように思います。これも良いですね。シリコンで甘すぎる時はこちらを使ってみると良いと思います。ただしやや本機らしさは減ると思います。
全体に良質なシングルダイナミックのような自然な一体感がするイヤフォンです。プラナーがそれ自体強く主張するのではなく、さりげなく入っているのは円熟味のあるチューニングという感じですね。
リスニング志向で、良い音楽を美しく聴きたいというユーザーにおすすめのイヤフォンです。

