海外のオーディオメディア「SoundStage!Simplifi」がMQAの最新事情について興味深いレポートを掲載しています。
https://www.soundstagesimplifi.com/index.php/feature-articles/294-mqa-update-october-2025
これはHigh End 2025のLMGブースのデモのレポートで、噂されていたHD Tracks(Chesky)と組んだMQAハイレゾストリーミングについては発表はなかったとのことですが、MQA技術のQrono、Foqus、Airiaについて面白いレポートが載っています。またMQAはさきの3分野で再編されましたが、さらにDAWプラグインのEnduraというのが出来たようです。(補足するともう一つInspiraがあります)
中でも興味深いのは謎に包まれていたAIRIAの詳細が推測できることです。すでにQronoについてはBluesoundのNude Nanoにすでに搭載、FoqusについてはES9823MPROに実装されています。もともとSCL6(MQAir)と呼ばれていたAIRIAについてはわかっていませんでした。
AIRIAは先述したHD TracksでのMQAハイレゾストリーミングにも採用されるコーデックです。特徴はスケーラブル(自動調整可能)であること。
AIRIAのポイントは従来よりもストリーミングの混雑の予測・調整を高精度にできることです。つまり従来のSpotifyなどよりも、ストリーミングの負荷予測が高精度なので、途切れが起きないのでバッファリングによる停止がない、しかも下げる時にレートを落とすだけでなく、レートを上げるときにも迅速に上げられるという点です。従来サービスはレートを下げるときには自動ですが、逆に状況が良くなってレートを上げられるときに上げられない、または上げにくいんだそうです。さらに従来サービスでは精度が甘いので、状況が悪くなったときに急にバッファリングして再生が止まってしまったりするわけです。
つまり従来のストリーミングサービスではそもそもFLACやAACなど従来型コーデックのデータレートを下げるだけなので混雑時に音質低下しやすいのですが、AIRIAはもともと聴覚ベースで動的変化を考慮したコーデックであり、折り畳み技術で効率よく圧縮できるので、レートが下がっても音質低下が少ないと言う点がポイントです。動的に下げるだけではなく上げることができるということと併せて音質の変動が少ないというわけです。
まとめるとAIRIAを搭載したハイレゾストリーミングサービスの他と比べた長所は、バッファリングで停止しないことでスムーズにストリーミングでき、かつ音質の変化が少ないということです。
デモではロスレス48/24の音源を3Mbpsから500kbps、さらに3Mbpsへ戻すという変化では音質変化も停止もなかったとのこと。この条件は家の据え置きオーディオだと妥当ですが、スマホでワイヤレスで使う際にさらにビットレートが下がった時がAIRIAの真価が発揮されるでしょう。
またAIRIAの登場は、従来のハイレゾストリーミングの問題というのが従来コーデックを単にレート低下させてるだけで、ネットワークの動的変化が考慮されていたものではないという問題点を浮き彫りにしています。(AmazonやQobuzはFLAC、Apple MusicはALAC)
レポートによるとLenbrookはRoonやAudirvana、さらにStreamUnlimitedなどにMQA技術を採用した再生エンジンを提供予定だとのこと。(StreamUnlimitedについてはこちらの記事を参照のこと)
これらのことからRoonやAudirvanaにもこのHDTracksのハイレゾストリーミングが実装されて、Qobuzなどのように使用できると考えられます。
HDTracksのハイレゾストリーミングの準備は進んでいるようですが、展開はおそらく2026年以降となると思われます。
またAIRIAの真価は家での据え置きオーディオよりもむしろスマホでハイレゾストリーミングする方が恩恵があると推測できますが、そうした時代になればストリーミングサービスからスマホ間だけではなく、スマホとイヤホン間はどうなんだという話になって、Bluetooth HDTとかXPanが普及してくるのかもしれません。
Music TO GO!
2025年10月23日
この記事へのトラックバック

