発表会はShureのヘッドフォン担当であるマイケルジョーンズ(MJ)によるプレゼンで進行しました。
SRH1540はカーボンファイバーのキャップ、APTIVEのダイアフラム、Alcantaraのイヤパッドなど新素材の採用とSRH1840からの改良がポイントとなります。
またデザインは従来のクローズタイプのSRH940やSRH840から大きく変わりオープンのSRH1840に近いものとなりました。それをクローズタイプにするためのハウジングのキャップにはカーボンファイバーが採用されて、1840同様の航空機グレードのアルミニウムフレームとともに大幅な軽量化がはかられています。
見た目も含めて密閉型の新しいフラッグシップと言えますね。
* SRH1540の特徴
特徴としてはまずAPTIVという新素材フィルムを使った40mm後継の新型ドライバーがポイントです。
APTIVはヘッドフォンやスピーカーに従来使われているマイラーとは違うPEEK(ポリ・エーテル・エーテル・ケトン)という樹脂で作られています。
APTIVダイアフラムの長所は優れた強度と弾性です。一般にヘッドフォンのダイアフラムは薄くしたいものですが、薄くすると歪みやすくなります。その点でPEEKは強度と弾性に優れ、リニアな周波数特性とTHDが良いということです。また温度や環境変化に強いのももう一つのポイントです。
またドライバーではセンターポールピースの採用で空気の流れと筐体の鳴りを防いでいます。下の写真は穴の空いているセンターポールピースのエアフローによるアコースティックレジスタンス(こもる空気による抵抗)を説明するMJです。
外観上の特徴はカーボンファイバーのハウジング(キャップ)です。これは本物のカーボンファイバーでUVコーティングにより変色を防ぐ工夫も施しているということです。
カーボンファイバーを採用した理由はデザイン的な良さもさることながら、筐体の剛性を高めて不要な鳴りを減らすという音質的なメリットもありますし、クローズタイプを軽量化させるにも貢献しています。また耐久性も優れています。
SRH1540はサーカムオーラル(いわゆるオーバーイヤー)のタイプですが、イヤパッドにも新素材が採用されています。これはAlcantara(アルカンタラ)という素材で、スペイン製と日本の東レの合弁開発ということです。
Alcantaraは形状復元性が高く、耐久性と快適性が高いので採用したそうですが、実際に試すと音響的にも良かったということです。これはMJもいたく気に入ってるようでした。
フレームの部分には地道な改良が見られます。ヘッドバンドはプロテインレザーで本物っぽく仕上げ、1840より少し厚くして快適性をあげたとのこと。
SRH1540のフレームはSRH1840とおなじ航空機グレードのフレーム(ヨーク)を採用しています。ここも細かな改良があってSRH1840よりも角を取ってスムーズにしたということです。またヨークの部分にもスチルバネを入れて動作をスムーズしているのも1840からの改良点です。
これらの改良点はいずれ1840にもフィードバックすることになるということです(1840Aとか)。
ケーブルはMMCXコネクタのケーブル(1840で評判が良かった)で、これは後述のようにオーディオファイル向けのリケーブルを考慮したからだそうです。
細かいところではケースもデザイン変更していて、ケーブルやスペアパッドなども一緒に入れられるようになっています。
* ターゲットユーザー
SRH1540のターゲットユーザーは第一にオーディオファイルです。
これは単に音楽を聴くよりクリティカルリスニング(録音や音の鳴り方を聞き見極める)を求めるユーザーのことと定義したということ。
また、電車で音楽をカジュアルに聴くようにも考えられています。
もちろんプロフェッショナルでもサウンドエンジニアにモニターとして使えるように考慮はしています。
しかしケーブルをプロに好まれる方だしではなく両出しにしたように、どちらかというとオーディオファイル向けでケーブル交換も視野に入れているからだそうです。
音作りについてはSRH1840ではバランスを良くしているが、SRH1540ではオーディオファイル向けに少し低域を強調しているということでした。
能率とインピーダンスは99dBと46Ωということで、やや能率低めだけど直さしでもオーケーに作ってるということです。
* 使用感と音質
まずSRH1540を手に持った瞬間に軽いと感じます。クローズとしては軽いですね。装着感はSRH1840と変わらないように思えます。
他のShure機と比べてみると、SRH1840は260g、SRH1540は286g、SRH940は320gですからクローズとしては軽くなっています。
似た構造の1840と比べるとクローズなんでキャップの分ちょっと重いようですが、それはカーボンファイバーで軽く出来たということのようです。
ケーブルは弾力性がありからみにくいように作られています。長さの1.8mはポータブルとプロの折衷を取ったっということです。ポータブル用にはMMCXのリケーブルが良さそうです。
聴いてみるとクローズとは思えないくらい広がりがあり、空間の深みもあります。楽器の分離も良く、高レベルの音再現です。スピード感も高くリズムのノリも良いですし、解像感も高く低域の深みも低さもある。全体的な音はSRH1840をクローズにしたように思わせます。ただしクローズにあるこもり感は少なくクリーンですね。
本当にスタジオモニターみたいなSRH940よりは味付けがあると思いますが、低域は強調されていると言うほどではない思います。
* まとめ
1540にしたのは単にクローズの三桁が940で尽きたのと、価格が1440と1840のあいだだからだそうです。(予価は5万円前後のよう)
位置づけはあくまでオープンの1840と同格のクローズのフラッグシップです。
SRH1540はフラッグシップとしてのデザインの良さと質感を備え、素材と見た目に凝っているプレミアム性があります。またクローズとしては軽く出来ています。
音質も良く、SRH1840同等以上だと思います。ここはもう少し細かく聴かないと細かなニュアンスまではわかりませんが。
新素材の積極的な採用と1840からの地道な改良が結実したのがこのSRH1540です。この華やかさと地道さの両立がさすがShureで、新製品がうまく仕上がっています。価格も抑えめでコストパフォーマンスも高いと思います。
もちろんヘッドフォン祭ではShureのブースで展示しますのでぜひお越しください。

