Music TO GO!

2017年12月11日

HiFiMan RE2000とRE800レビュー

HiFiMan RE2000とRE800はダイナミックドライバーを採用したイヤフォンで、
特徴はHiFimanの新世代イヤフォンでは新しい技術が採用されています。
そのひとつはトポロジーダイヤフラム(幾何学的振動版)です。

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RE2000

ダイナミックドライバーにはBAにはない良い特徴もありますが、問題点も抱えています。そのひとつは分割振動と言う現象で、ダイヤフラムの素材に伝搬特性があるため、振動が表面の場所によって異なってしまうものです。簡単に言うと(振動の)中心に比べて端が物性の関係でたわんでしまいます。これは周波数特性を劣化させて歪を生みます。これはスピーカーではツィーターでよく言及される問題です。ヘッドフォンでは平面型の利点としても紹介されます。

トポロジーダイヤフラムとは、「異なるナノ素材は構造が違い、特性も違う」という点から着目されたもので、ダイヤ不ラムの表面に特殊なメッキを施したもので、そのコーティングは幾何学模様になっています。この幾何学模様の形状、素材、厚さを変化させることで音の周波数特性の調整が可能となります。

トポロジーダイヤフラムは、「異なるナノ素材は構造が違い、特性も違う」という発想からヒントを得て開発したもので、ダイヤフラムの異なる表面構造の特性を適切に調整することで、ワイドで滑らかなサウンドを実現したということです。

これによって、ダイヤフラムの分割振動による歪を大幅に低減させることができるということです。これはRE800とRE2000の共通特徴となります。

試聴には主にSP1000やAK380を使用した。両方とも能率はやや低めですがデジタルプレーヤーで駆動できないほどではない。

* RE800

RE800は筐体がコンパクトで耳にすぽっと収まる感じです。わりと耳の奥まで入る感じです。ケーブルは交換できないんですが、プラグはかなりがっちりしたもので、見た目にも線材はマニアックでよく思えます。

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音質レベルは端的にこのクラスではかなり良い方だと思います。楽器音は少し細身の音でシャープでゆるみが少なく、トランジェントが良いので歯切れ感と音のスピード感が高いのが特徴です。ヴォーカルの明瞭感も高く、発音ははっきりと聴こえます。すっきりとした音で肉厚感は控えめと感じられます。この辺が後で書くRE2000との大きな違いです。

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高音域はかなり上に伸びる感じで、シャープ傾向なのでやや高域はきつくなりがちではあるのでフォームチップを使うのもよいと思います。コンプライのT400がM/Lと付属しています。
フォームを使うと低域もかなり出るので、高域が上に伸びてもあまり腰高感がなく、ワイドレンジに聴こえます。
かなり音性能は高いが少し高域が強めなので、イヤチップをいろいろと変えてみると音質の高さを引き出せると思います。個人的にはスピンフィットが良いかと思いました。

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音の相性としてはAK380でも使えるくらいに音質は高いけれども、意外とiPhone直でも音は合うので、iPhone直で高音質に聞きたいという人にもお勧めしたいですね。

* RE2000

ボックスにはさまざまなイヤチップが付属してきますが、できればシングルフランジタイプのサイズのバリエーションがあればよかったと思います。またフォームチップもあったほうが良いと思います。ここではトリプルフランジを使用しました。このトリプルフランジはなかなかに使いやすいと思います。

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RE2000は24kゴールドメッキを施した真鍮製ハウジングが徳地陽で、わりと大きめの筐体ですがうまく設計されていて、耳の座りは悪くありません。

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RE2000は全体の音のバランスの良さと、自然な鳴りの良さに感じ入ります。たっぷりした低域を基調にした音の余裕感もなかなかに良いと思います。
中高域のバロックバイオリンはきつすぎないが鮮明で、豊かな倍音も感じられ高級イヤフォンで聴いている感じは十分に味わえます。
低音域は量感は十分にあり、上質な低音で深みを感じられます。ダイナミックらしく音全体を下支えしているような低域の出方です。このおかけでスケール感もありますね。RE2000のポイントの一つは低域の出方かと思います。たっぷりとしていますが、低音が張り出している感じではなく、ヴォーカルがマスクされている感じはありません。

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RE800と比べた場合の差はRE800は透明感とかシャープさ重視で中高域より、RE2000はより音の豊かさ・解像感重視で中低域よりというところです。RE2000と比べるとRE800は細身で薄めの音に感じられます。

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RE2000は自然な音で、音の豊かさ、解像力に優れたイヤフォンだと思います。おそらく自然な感じの中高域はトポロジーダイアフラムが効いているのではないかと思いますね。SP1000SSは先鋭すぎてときとしてシャープさが耳についてしまうこともありますが、RE2000だとそうした点で相性の良さを感じさせます。
ダイナミックドライバーで中高域で音の荒さがこれだけ少なく端正ですっきりとしているのは特筆ものと言ってもよいかもしれません。もしかすると突出しすぎない低域もトポロジーダイアフラムの効果かもしれないですね。

*まとめ

RE800とRE2000は単にフラッグシップと普及機という関係だけではなく、RE800はコンパクトで中高域を重点にシャープでタイトだがやや細み、RE2000はやや大柄な筐体で中低域を重点に豊かで自然な解像感の高さを基調としています。
端的にいえばやはりRE2000のほうがフラッグシップらしく高級感のある音ですが、好みの部分もあると思います。2017年11月24日(金)〜2017年12月28日(木)まではキャンペーンでRE2000とRE800は安くなっているそうなので、お店で聴き比べてみてください。
posted by ささき at 17:42| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月06日

Chord Polyのインプレと使いこなしについて

Chord Mojoをネットワーク対応させるモジュールのPolyがいよいよ日本でも発売されます。
私は先行して少し使っていましたが、音質や使い勝手でMojoが生まれ変わった感じです。

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* Poly + Mojoの音質と使い勝手

まずスマホとの親和性が良いのが感心します。Polyでは機能よりもやることベースで考えたほうがよいと思いますが、たとえばわたしは朝にストリーミングでBandcampの新作の"エアチェック"をします。たいていBTイヤフォンでやっていましたが、PolyならAirPlayでiPhoneのストリーミング音楽をMojoに飛ばして良い音で聴くことができます。
エアチェックが終わると手持ちの曲をデジタルプレーヤーで聴いていましたが、それは手持ち曲をMicroSDに入れてPolyのMPD機能でiPhoneからケーブルレスで操作してMojoで聴くことができます。AKプレーヤーに入れていたMicroSDがそのまま使えました。
さらにはAKプレーヤーの中の曲をDLNAサーバーに指定して、Polyをレンダラーにして聴くことができます。操作はiPhoneでできます。
家に帰ればRoonを立ち上げて、家のPCのRoonライブラリの音楽をMojoで聴くことができます。

このように高い利便性もPolyの魅力ですが、Polyではその音質に驚くことでしょう。
いままでMoJoで聴いた中で一番良い音で、音像が引き締まって、音が整っています。シャープで特に低音域が緩みないのはジッターも少ないあかしだと思いますし、Mojoが本来性能を発揮してイヤフォンを駆動してる感もあります。Polyのポイントはハードの作り込みがラズパイ流用みたいなせこいものでなく、航空宇宙レベルの基板実装とかハードとソフトの作り込みがすごいことです。専用トランスポートって言ってよいレベルだと思います。
そこはChordの矜持だと思うし、これがほんとうのMojoの音かと思いますね。

* Poly + Mojoの使い方

一方でPolyは慣れるとスマホとの組み合わせでとても便利に使えますが、とっかかり分かりにくい点があるので、少し私なりに解説したいと思います。個人的に見つけたことを書いてるので、マニュアルと異なる点があってもこの記事をもとに代理店や販売店さんには問い合わせないでください。
ちなみに書いている時点のPolyの最新ファームは1.0.6(2017/12/6現在)です。スマートフォンはiPhone XにiOS11を使用しています。
設定はGoFigure設定アプリを使わない場合の方法です(まだGoFigureは無いようです)。

1. 動作モードと初期設定

まずPolyには動作モードがあります。
初期設定を行うアクセスモード、外部ネットワークにつなぐネットワークモード、Polyがネットワークをホストするホットスポットモードです。
この遷移はConfigという孔を添付のピンでつつくことで行われます。つつき方は下記の二通りのようです。(マニュアルには何秒押すと書いてますが、下記の方が確実に思えます)

1-1 ピンでconfigを突く、"モードイズ..."とモード案内音声が聞こえたらピン離す → 現在のモードの確認とipアドレスの確認。音声が流れます。

1-2 ピンでconfigを突く、"モードイズ..."とモード案内音声が聞こえても無視してピン押し続ける、"エンタリングxxxモード"と聞こえたらピン離す → モードの遷移が行われます。

Polyを買ったらまずアクセスモードに入ってください。(1-2)の手順でイヤホンつけてると"エンタリング・アクセスモード"と聴こえます。またはP-Statusが青と緑の交互点滅であればアクセスモードです。
iPhoneのWifi設定でPolyのローカルネット(Poly-xxx)に入ると自動で設定ページが出てきますが、出てこないときはブラウザでpoly.audioと入力してください。
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マニュアルを参照してネットワーク情報など入力します。
SSIDは自分のWiFiルーターのSSIDとパスワードを入力します。テザリング時はiPhoneなら「設定」→「一般」→「情報」で「名前」がSSID、インターネット共有のところにパスワードが書いてあります。
ネットワークは複数登録できます。一番電波強度の高いネットに自動的に入るようです。
ここではbitperfect modeを選択して、reboot on saveも選んだ方が良いかもしれません。

またPolyの名前もここで入力しますのでBTのみ使う場合でもアクセスモードには入る必要があります。たとえば"MyPoly"はPolyが他から見える名前です。

2. Polyを使う前に知っておいた方が良いこと

M.StatusはMojoのステータス、P.StatusはPolyのステータス。

Polyではひとつのサービス(DLNAやAirPlay)が出力を抑えているときは他のサービスに自動で切り替わりません。
たとえばMPD使おうとして音がでなければAirPlay/BT接続を確認。不具合があるときはコントロールセンターからネットワーク出力先を見て切る。10秒ほど停止して待つか、使っていたアプリを終了させてください。

ボリュームはサービス機能に依存します。AirPlayならiPhoneボリュームもMojoボリュームも効きます。MPDではMojoボリュームのみです。

基本Polyの電源スイッチはなくMojoにつなぐとオン。オフも連動してるが、PolyはコンピュータなのでMojoと違ってすぐに落ちないから少し長く点灯します。

店頭デモの時はまずBTで試し、AirPlayやSDカード再生したければ、ホットスポットモードではいると自分の設定を残さなくて済むと思います。

なおDLNAやMPDなどは対応するすべてのアプリの動作が保障されているわけではないので、下記の代理店さんの互換性リストを参照してください。
http://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2094.php#3

3. Polyの使い方

Polyでは機能よりもやることベースで考えたほうがよいと思います

iPhoneでストリーミングや内蔵楽曲をPoly + Mojoで聞きたい。
→ Bluetooth - 設定不要で手軽
→ WiFiでAirPlay - iPhoneではAirPlayの方が音が良い

AndroidやAKプレーヤーから使いたい
→ Bluetooth

手持ちのFLACやWAV音源を使いたい。
→ MicroSDに格納してWiFiでMPD
→ WiFiでDLNA(uPnP)

他のAKプレーヤーなどDLNA/uPnP対応機器とつなげたい。
→ WiFiでDLNA

家でDLNAサーバーの音源を聴きたい
→ WiFiでDLNA

家でRoonライブラリの音源を聴きたい
→ WiFiでRoon


3-1. Bluetoothの使い方

PolyではBT優先で常にペアリングモードになっています。
Bluetooth設定はiPhoneのBT設定でMyPolyを見つけてください。

WiFi接続に不具合が出たらBT設定を切ってみてください。
BTの場合は初期設定は不要ですが、MyPolyなど名前は入れたほうがよいです。


3-2. WiFiの使い方

3-2-1. WiFiルータかテザリングがある場合は動作モードでネットワークモードを選んでください

まずはじめに1で書いた初期設定をしてください。ネットワーク設定は初めだけ。次からは電源オンでネットワークモードになるはず。

* AirPlay
ipアドレス自動取得なのですぐ使えます。
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BluetoothとAirPlayの切り替えはiOS11ならコントロールセンターの音楽再生の右上のワイヤレスアイコンをクリックします。(BTとAirPlayの聞き比べとかできます)

* MPD (SDカード再生)
これはPolyに内蔵するMPDというサービスでMicroSDカードの中身の楽曲を再生する機能です。操作にはMPDクライアントというアプリが必要です。MicroSDはAK70で使ってたものがそのまま使えました。AKユーザーはSDカードのフォーマットをあまり気にしないで良いかと思う。
MPDクライアントですが、iPhoneではそれまで定番のMPoDがなくなったので、MPDluxeやSoundirokアプリが使えます。Soundirokは有料ですが、高機能で使いやすいです。Roonっぽいアーティスト情報表示もなかなか良いですね。MPDluxeは無料でシンプルな古風なMPDクライアントです。下記はSoundirok。
ファイル 2017-12-06 21 50 20.png
問題はPolyのipアドレスですが、Polyは自分のipアドレスを喋ります(MPDのため)。ただ聴き取りづらいと思うので、聞き取れなかったらfingアプリで見つけるのが簡単です。
2回目以降もネット内の構成が変わらなければたぶん同じアドレスを使えると思います(ただし保証できない)。
ポートは6600で、パスワードなしです。

再生では5.6M DFFもオーケーです。なお先に書いたようにMPD再生をしてるときにAirPlayに切り替えようとしてもできないので、いったんMPD再生を止めてからAirPlayに切り替えます。

* DLNA

8 PlayerのようなDLNAアプリでDLNAサーバーとレンダラーでそれぞれPolyを指定します。
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ここですごいのはDLNAサーバーには(例えば)AK380を指定し、レンダラーにPolyを指定することでAK380のライブラリをMojoで出力できることです。音質もとても良いです。
これはまるでAK380をMojoにUSBでつなぐかわりにWIFIでつないでアンプに使っているのと同じですね。もちろんAK380だけでなく、第二世代以降のAK connnectが使えるAKプレーヤーなら良いので、今は使ってないプレーヤーをファイルサーバーというかNASがわりに使うことができます。

* Roon

家ではRoonのライブラリをMojoで再生できます。つまりPolyを装着することでMojoがRoonReadyデバイスとなります。Roonで使うためにはアクセスモードにして設定でRoonを選びます。
polymojo.png  roonpoly2.png
その後にPolyをRoonのネットワークゾーンとして設定します。Roonアプリでリモートでも操作ができます。ここですごいのはRoon側で高精度のアップサンプリングをしてMojoに再生できるということです。

3-2-2. WiFiルータかテザリングの両方ないときはホットスポットモードを使います

アクセスモード同様にiPhoneのWiFi設定からPloy-xxxのネットにはいります。keep in hotspot選択します。
設定ページをキャンセルで閉じて「インターネットに接続せずに使用」を選びます。

3-2-1の場合とipアドレスはかわります、192.168.1.1になると思います。

4. アップデートについて

Polyはファームウェアのアップデートが可能です。やり方はちょっと変わっていて20-30分ネットワークモードでいるとダウンロードして一度切って立ち上げて10-20分経ったら、また切って立ち上げるというものです。

ここまででもPolyのできることのあまりの多様さに驚くと思いますが、PolyはアップグレーダブルでTidalも対応予定にはいっていますのでなかなかに楽しみです。
posted by ささき at 22:41| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月04日

Westoneインタビュー、今後の新体制について

先日ヘッドフォン祭でWestoneのBlakeマネージャーが来日して、インタビューしました。そこで最近のWestoneの組織上の変化と、その影響について答えてくれました。

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WestoneのMusic部門担当マネージャー、Blake氏

それによると、Westoneはいまや業界では世界最大であり、オーディオロジストへの供給でもアメリカ最大です。全ての領域に手が回らなくなってきたので音楽産業とヒアリングヘルスケアの二つに分社化(分社化は正確な言い方ではないかもしれませんが)したということです。Music部門とHearing Healthcare部門にわかれました。Military(パイロット用の耳栓など)はHearing Healthcare部門です。

これで我々の知ってるWestone(テックウインドさん扱いイヤフォンとイヤモニ)はMusic部門にとなって独立し、イヤフォンに特化しやすくなったということです。Blake氏はここを統括してみることになります。これによって前はBlakeさんは40%しか音楽分野にさけなかったが、いまは100%工数をさけるようになったそうです。
またMusicが独立したことにより「音のゴッドファーザー」カートライト兄弟はヒアリングケアから離れてイヤフォンに専念できることによって、よりイヤフォン開発に集中でき、権限も従来のシニアからチーフになったことでより強固になったということです。
またこれによって、カートライト兄弟は開発だけでなく製作も統括できるようになったため、かれらがカスタムについては一個づつ検品できるようになりました。これで音決めだけでなくトータルで製品の品質を高められるようになったわけです。
またユニバーサルも同様で、例えばBlakeさんがテックウインドさんのような世界のカスタマーの声を拾い上げ、それをカートライト兄弟がフィードバックしやすくなったということです。すでにこのアプローチはUM Proから始まっていて、品質向上に貢献しているということです。

一方で、ヒアリングケアと分離したといっても、その情報にはアクセスできるので、膨大なノウハウの蓄積というWestoneの長所も保てるということです。Westoneは膨大な耳型の蓄積があるため、ユニバーサルをコンパクトでかつ高音質に作れるわけです。
実際に"Comfortable(快適性)"と"Sound good(音が良いこと)"を両立するのがWestoneの目的でその両立なしでは製品を出さないということです。これはまた以前の記事で書いたように、音のカールと形のクリスの兄弟が密接に協力するからこそできることです

最後に次の製品はW90かW100かって聞くと、W1じゃないかとはぐらかし、ドライバー数ではないよと言っていました。そこで次はチャンバー方式かと水をむけると、また我々はすべての領域で研究してるよとはぐらかされました。Westoneって大きい会社だけになかなかそういうところは明かしてはくれません。
ただし上で書いたように今後はWestoneのリソースが一層オーディオ分野に集中されやすくなったので、製品は楽しみであると言えますね。

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ちなみに上はジェネラルマネージャーのBlakeのカスタムです。これフレックスカナルがなく、なぜかというと撮影用にサウンドチューブを見やすくするためです。フェイスプレートもマグニファイ(拡大)・アクリルという素材で中が見やすくなってます。
posted by ささき at 21:27| __→ Westone ES3X カスタム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月19日

ヘッドフォン祭2017秋レポート

少し経ってしまいましたが、11月3日と4日に恒例のヘッドフォン祭が開催されました。
ここでは私的に興味を持ったものを取り上げてみます。

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ヘッドフォン

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Edition 15発表会

Edition5譲りの広大な音空間表現で、さらに解像力が足されて、自然な音という感じでしょうか。Edition 10+ Edition 5でEdition15かと思いました。

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ゴールドとチタンのハイブリッドドライバーで、GTC(Gold Titanium compaund) Gold(振動板)とチタニウム(ドーム)のハイブリッドです。
ゴールドはスムーズな低域だが高域がいまひとつ、チタンはエージングかかる(300時間は必要)ということで、組み合わせて周波数的によくエージングも適度になったとのこと。

交換可能なイヤパッドはマグネット着脱で、マイクロベロアが標準、周波数特性で低域がタイトだそうです。シープスキンレザーは6dBベースが多くなり、ロックポップに良いということ。
イヤカップの素材は音だけでなく高級なデザインも重要と考え、円形の部分はドライバーの場所を示し、S-Logicの効果を表すデザインです。
ここ2ー3年でオープンバックが流行していて、家でじっくりと聴くのが多いのではないかということ。ホビーとして原点回帰したのだろうとのことです。

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あのAbyssの小型版であるDiana。やは花乃さんがモデルさんだとヘッドフォン祭という感じがしますね。
1266と同じ一枚の磁石のみで平面型(他社は何本も必要)。オープンバックということ。Dianaは小さく見えるが1266とほぼ同じ作り込みで、CNCマシンを持っていて自社で削り出すそうです。精度の高さが高音質の秘密ということ。
振動板は1266と違って、1266はもっと薄いということです。これはDianaは外で使うのでより強さが必要ということもあるそうです。

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MrSpeakers Ether ES

上はMrSpeakersの新型Ether ES。低域出るのもそうだけど、わりとダイナミックっぽい鳴りの音で、ダンもそういう音を目指してるということです。最近はダイナミックっぽい鳴りの静電型が増えてる気もしますね。静電型はたしかに個性さがつけづらくてみなSTAXっぽくなっちゃう気もするので、静電型が増えたことで個性差をつけようとしてるっていうのもあるかもしれません。

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Jabenの平面型ヘッドホン

Jabenのところにあった謎の平面型ヘッドホン。ちょっと面白い音でした。

最近は静電型とかオルソダイナミックとか平面型が増えたっていうか逆に平面ばかりになったような気もしますね。

イヤフォン

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Dita Audio fealtyとfidelity

こちらはDita Audioの隠し玉で、fealtyとfidelityです。Dreamよりは下位です。プラグもちょっと違います。音はDreamを思わせる歯切れの良い音でした。チューニングはまだまだとのこと。
これは外観は区別がつかないのですが、それぞれ音楽性と再現性にふっているとのこと。これはDitaのダニー氏とも立ち話したんですが、かれはTwinsコンセプトということで、同じレベルの製品で個性が違うものを出してユーザーに選んでほしいとのことでした。

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FitEarのAirとAir2

FitEarでのAirとAir2の聴き比べ。右が2です。比べるとずいぶん違うって感じです。Airの方は古いスピーカーのような音が、Air2だと現代スピーカーの音みたいに洗練された感じになります。Titanも同じ傾向ですね。おそらくタンデムの2ドライバー(「インラインなんとか」方式?)の効果なんでしょう。

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CTMのハイエンドユニバーサルのプロトタイプを見せてくれました。シーザーCEOのインタビューやってたら聴かせてくれました。Vintageとは全く異なるオーディオファイル向けで9と10ドライバーのモデルがあり音の個性も違います。CTMらしくすんごくクリアで解像力高い。ケーブルも豪華です。

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KenさんとAndromeda CK

Campfire AudioのKenさんと日本限定のAndromeda CK。

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相変わらず美しい組み立てラボさん。思わず写真撮りたくなります。

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qdc Neptune

qdcのNeptune、1ドライバーだけどqdcっぽくクリアでいい感じ。3万程度でケースもついて筐体もきれい。

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Hifiman RE2000

Hifiman RE2000。これ音鳴りが高精細なのにとても自然。けっこうすごいことだと思う。

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フェンダー FXA11

フェンダーの新フラッグシップ、FXA11。ハイブリッドです。
Aurisonic譲りのパワフルパンチある気持ち良さと音場も独特で気持ち良いですね。

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EDC velvet

Nobleのダイナミック、EDC velvet。5.8mmダイナミック、アルミハウジング。
Nobleのラインはfun(K10とか)とreference(Katanaとか)があるけど、これは価格の手軽さもあってfun寄りに思います。歯切れも良くてパワフル、かなり良い音でした。

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BRAGI Dash

やっとBRAGI Dashを聞けました。元祖完全ワイヤレスにしてNFMIの先駆です。
思ったより操作しやすく、オーディオトランスパレンシー(周りの音をマイクで聞く)も効いてます。音もまずまず良い感じですね。ただ音に関してはApolloの方がいいかなあと思いました。
ファームウエアはOSになっていてアップグレードが可能です。スマートスピーカーのイヤフォン版に進化するかが楽しみです。

ヘッドフォンアンプ

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A&K ACRO L1000

A&Kの参考展示のACRO L1000。海外サイトで見てた時はカジュアルモデルかと思ったけど、4490x2とけっこうハイスペック。でもそれほど高くはなさそうです。

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Polyの展示があり、いよいよ始動しそうです。

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X-DSD(aka. X-15)

今回はiFiのエッセンスを凝縮したようなiFiの隠し球、X-DSDが面白かったですね。又の名をX-15というそうで、SR-71に対抗してんのかと思いました。ちなみにSR-71はマッハ3で有人ジェットエンジンの速度記録をもっていますが、X-15はマッハ6で有人ロケットエンジン機の速度記録を持っています。これらはもう40年も前ですから、飛行機も進歩が速いもののたとえによくつかわれますが、実はそうでもないということですね。

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iFiのトルステン

と、それはともかく、今回からはデザイナー(トルステンと居た若い人)がはいってユニークな外観になりました。コンパクトなのにiFi機能ほぼ全部入りで、こんな小さいのにBluetoothやらCCK直付けもできます。

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Pro iDSD

Pro iDSDはDSDリマスタリング機能 DSD1024 (45/49 Mhz)を採用していて、これはFPGAによるアップサンプリングを使用しています。ネイティブ入力はDSD512です。これもMQA対応です。

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またPAW Goldやっていたシャオさんが独立してxiaudio(イレブンオーディオ)というメーカーを作りました。ボリュームマックスでも10時だからそれを超える11時つまり駆動力あるということだそうです。Abyss1266でも駆動できるというアンプを出していました。シングルエンドの方が音が良いというポリシーだそうです。なおポータブルアンプも作ってるそう。

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TR07のBluetoothバージョン

A2Pさんでは新作、TR07のBluetoothバージョンがありました。TR07はSITトランジスタを採用しているところがポイントですが、SITの効果もあるのか、とっても滑らかでスムーズな音です。デジタルでしかもBluetoothなんてって言う人にオススメですね。

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Brooklyn DACとMQA-CD

今井商事さんでBrooklyn DACの新型。アメリカではTidalがらみでMQA人気あるそうでBrooklynも人気あるとのこと。
上に乗ってるのは2LのMQA-CDとSACDのハイブリッドですがMQA-CDの方が音がいいんじゃないかとか。MQAはDXD(352k)マスターです。

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Jabenさんのところで公表のファンタジーのデスクトップ版、Phantom展示。予価$4000(国内価格未定)というハイエンド。
真空管がサスペンションに乗ってて押すとたわみます。

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DAC01

Value TradeさんのところのDAC01、ラズパイのHAT DAC。これアンプもオンボードで3.5mmとAK規格の2.5mmのイヤフォン端子がついて直接聴けます。DACは5122ですが音もけっこうよいです。1万5ー6千円で11月発売。

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ラズパイケース

こちらはValue tradeさんのところのラズパイのケースです。放熱ボード付き。
中のボードはラズパイでなくASUSのTinker boardだそうですが、Tinker boardってラズパイと違ってUSBとネットの経路が別でDACも入ってるそう(ラズパイはUSBとネットの経路が共通で音は簡易PWM再生です。この辺もちょっとやってみたくなります。
ただしDAC01はTinker board非対応(現状)だそうです。いろいろ微妙ですね


いつもそうではありますが、今回は隠し玉が多かったように思います。もちろんTwitterでもブログでも公開には許可を取っているのですが、いくつかは記事でも書けないのがありました。そのうちデモ機をいただいたものがあるので、近いうちにまた公開する予定です。
posted by ささき at 23:18| ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月31日

イントラ・コンカ型の人気イヤフォン、水月雨(MoonDrop)のLiebesleid

イヤフォンというといまでは耳穴に挿入するカナルタイプが主流だけれども、なかにはこのタイプが苦手という人もいます。
そこでイントラ・コンカ(インナー・イヤー)と呼ばれるいわゆる普通のイヤフォンも一定の人気があるのですが、最近人気なのは水月雨(MoonDrop)というメーカーの日本限定モデル、Liebesleidです。フジヤさんの専売で税込み26,670円です。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail144504.html

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なかなか良いお値段ですが、実物を見ると作りの良さに納得します。
過去にもソニーのe888とかYuin PK1など、こうした普通のイヤフォンで音が良いというものがありましたが、MoonDropは作りの良さでまず異なります。
真鍮削り出しに電気メッキという仕上がりでかなりモノ感は高いですね。ダイナミック型ですが、1T以上という強力な磁束密度で20kHzくらいまでフラットに近く、45kHzで-35dBという性能を得ているということです。

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ボックスは日本市場を意識したのか、影響されたのかアニメチックなイラストです。イヤフォンはずっしりとした重さで、パッケージのなかでぶつからないようにビニールパックに入っています。
ボディは真鍮削り出しで重く、メッキが美しい仕上がりです。

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イヤフォンはこの手にありがちなほど能率が低いわけではないのでiPhoneでも十分音は取れると思います。
音質レベルはかなり高く、こうしたイヤフォンでは私はPK1を思い出しますね。PK1はシャープでその進化型だったOK1ではさらにきつさを感じるほど先鋭だったんですが、このLiebesleidはそれとはまた異なって、刺激的なシャープさは避けながらもとても鮮明でクリア、かつ響きが良く滑らかな音を作り出しています。
ベルの音も整っていて高域の出方も優れていると思うし、倍音再生も優れているのか音に深みと高級感を感じます。楽器が立体的に重なり合い、音の立体感も高いですね。かなり上質な音再現ができていると思います。
ただこのタイプは超低域は漏れるので、あまりカナル型と比べた周波数的にどうこう言う比較をしても仕方ないとは思います。

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高性能ながら刺激成分はわりと少なめなので長時間聴いていられると思います。ただロック・ポップできつい録音のものだとやはり刺激的ではありますが、これらはもっと低性能のオーディオ機器をターゲットにしてきつめ強めに録音しているので仕方ないところではあります。

普通イヤフォンとかポータブルオーディオは電車とか外で使うものですが、このイントラコンカ型のイヤフォンは音漏れもするし、遮音性もありません。ちょっとポータブルには不向きに思えますが、実のところポータブルユーザーはホームオーディオを持たずに良いポータブルオーディオ機材を持っているので、家でもポータブルで聴きたい人も多いそうです。
そうしたときに家でもカナル型で耳穴に差し込むものだと疲労感や不快感があるので、こうした耳において開放的に楽しむタイプは人気があるようです。オープンで家の人の声が聞こえるのもプラスなんでしょう。

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夜にストリーミング音源の新譜のチェックなどをしたくてもデスクトップスピーカーでも音が大きい、というときなど重宝するでしょう。
ヘッドフォンだと長時間かけていると重くて蒸せるという場合にもよいですね。DragonFlyのような手軽なUSB DACやAK70のDACモードを使用してPCに接続して聴いてみるのもまた良いと思います。

週末のヘッドフォン祭でぜひ試聴してみてください。
試聴ブースは14Fロビー(3)のNGS(農義社)さんです。また13Fのフジヤさんブースで特価販売の予定だそうです。
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2017年10月17日

Cavalli Audioが解散、昨年のインタビュー公開します

Headfi関係の情報に精通している方にはおなじみのCavalli Audioが残念ながら今月末で解散するということです。細かい事情はよくわかりませんが、下記のHeadFi記事に正式なアナウンスがあります。
https://head-fi.org/threads/cavalli-audio.862917/
サポートもなくなりますが、Avenson Audioというところが引き継いでくれるということです。

Cavalliは昨年のヘッドフォン祭にも来ていて、そのさいに機会を得たのでCavalliの海外向けの販売担当(当時)であるスタン・アン氏にインタビューができました。
本格的に日本参入する際に公開しようと思っていたのですが、その機会もなくなったのでここで公開いたします。下記は2016年10月の情報となります。
Cavali ポータブルとかをオークションでもどうしてもほしいとか、いまからCavalliに興味を持ったという人もいると思いますので、情報として参考までにそのときの内容を公開しておきます。
私自身はこのインタビュー以外はCavalliになんのコネクションもありませんので念のため。

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Cavalli SPARK ポータブルアンプ

会社名は「カ・バ・リー オーディオ」で、もとはイタリアの馬の名前ですが創立者の名前です。
成り立ちは2000年の初頭にさかのぼり、ヘッドフォンアンプを作成しようと集まったネットでのグループがあった。静電型がはじめであったが、それから普通のアンプを作り、真空管とICのハイブリッドを作り、とラインナップを広げていったということ。Dr Cavalliはリーダー的な存在で、その後に販売を考えるようになったそうです。
Liquid Fireがはじめての製品(真空管ハイブリッド)で、次にLiquid crimson(真空管ハイブリッド)、Liquidライトニング(静電型)を作った。みながチューブローリング(真空管交換)したいというのでLiquid グラスを作ったそうです。これは前段がICで後段が真空管で変えられるものです。CavalliはICはディスクリートでクラスAでフルバランス、フルディファレンシャルをモットーにしているということです。Liquidグラスはチューブローリングで8pinと9pinを間違えないように上手に配置した点が特徴だそうです。
次がいま(当時)のフラッグシップのLiquid GoldでこれはICでフルバランス、フルディファレンシャル、XLRx2を持っているものです。

次に当時の現行製品ですが、製品ラインナップはアナログアンプに特化しています。
カバリーのアンプはLiquidなんとかという名前ですが、これはアンプを音楽的に滑らかにしようとしたのでLiquidとよんでいたそうです。

ポータブルのSPARCはディスクリートでフルディファレンシャル、クラスA。LIquid Goldのミニチュア版として作ったそうです。
LiquidカーボンもLiquid グラスと Goldをベースにして、フルバランス、トランスポータブルでSEアウトもバランスから変換しているということ。
LiquidタングステンはSE(フルバランスではない)だけどフルディファレンシャル、ダイレクトカップル、アウトプットトランスフォームレス、チューブが直接ドライバーにつながっているそう。昔のチューブらしくなく、とても精密で解像力も高い。フルチューブ。EL509(549?)。真空管変更はできません。

カバリーの強みは設計力。DR Cavalliはプラズマ物理博士(PHD)、引退して趣味で作り始めた。他とはとても明確な音の差があるということ。レアなパーツに重きを置く会社もあるが、我々はあくまでdrカバリーの回路設計に重きをおいている。彼の哲学はレア部品ではなく、標準の部品でも良い音を出すこと。フルディファレンシャル、クラスAはすべてに通じる。オペアンプは使わない。
他のアンプは解像力に走るあまり、とてもきつくてブライトになりがちだが、Cavalliは解像力を待ちながら滑らかな音が特徴。真空管だけどICのように感じる音も特徴。真空管の味を売りにしていないが、ただしウォームで滑らかを目指しているとのこと。

またカバリーのアンプはぎりぎりのスペックで出力を公表しないで、そこにマージンがあり、出力に余裕があるので平面型などでもよくデモに使われたそう。測定値が良いアンプではなく、音が良いアンプをモットーとしているということです。

昨年のいまころはCavalliの転換点で、それまでのビジネスモデルはオーダーを取って、作り、売るというもの(DIY的)。大量生産に向かず、長期的な使用や信頼性なども考えた製品に移行が必要となったと言っていました。Liquidカーボンの成功を契機にCavalliは自社販売から代理店販売形式に変更し、これを契機にラインナップを刷新するといっていました。カーボンもこれで最後でLiquid Goldやクリムゾンはもう売らないといってました。
この方針変更がうまくいかなかったのでしょうか。Cavalliは上にあるように設計者がコミュニティで有名になって、他から求められて、というHeadFiというかDIY世界ならでは成り立ちでした。それを継続するビジネスにつなげるのはむずかしいのでしょうね。
posted by ささき at 22:22| ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月27日

Campfire Audioの青い新星Polarisレビュー

POLARIS(ポラリス)は好評のCampfire Audioの新製品で、BAとダイナミックのハイブリッドタイプのユニバーサルイヤフォンです。青い筺体が特徴的ですね。価格は希望小売価格(税別):67,800円ということで、発売は9月29日より開始されます。

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* 特徴

1. チャンバー技術の全面的投入

POLARISは1BA(高域)+1ダイナミック(低域)のハイブリッド構成ですが、特徴的なのはいずれのドライバーもチャンバー(空気室/音響空間)を設けているということです。
まず高音域側のBAドライバーには定評のあるTAEC、つまりチューブレス設計を用いています。これはチューブを排してチューブのあるべき部分にアコースティックチャンバー(音響空間)と呼ばれる空気室を設けるというものです。これが高音域側のチャンバーです。

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また低音域側には8.5mmのダイナミックドライバーが採用されていますが、これも新技術「Polarity Tuned Chamber」と呼ばれる空気室、つまりチャンバーで覆っています。これはダイナミック型ドライバーをスピーカーで例えるところの「キャビネット」のように機能するチャンバー(空気室)に配置することで、これまで以上にドライバーの音響特性を制御し、ドライバー本来のパフォーマンスを引き出す為の新技術ということです。またこのチャンバーによりベント穴へのフロー制御も行われているようです。このチャンバーは3Dプリントによって製作されているということです。
なんとなくベント穴がバスレフポートで、チャンバーがスピーカー内空間というたとえと言えるのでしょうか。
なおダイナミックドライバーはベリリウムではなく新設計の別素材のようです。

2. 3Dプリントを駆使

最新の3Dプリンタ技術もふんだんに投入され、チャンバー技術という点ではその複雑な形状を製作するために3Dプリンタが駆使されています。

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またイヤチップ部分(イヤフォンの先端部)にはプラスチックが使われていて、半透明になっていますが、これは3Dプリンタによって作られたもので、この複雑な内部形状は金属とかモールドでは作ることができないということです。これはつまりイヤチップ部分がTAEC(チャンバー)と一体になっているということのようです。

3. 新しい筺体の採用

筺体はAndromedaのような無骨なデザインですが、POLARISには筐体に新しいセラミックコーティングを採用しているということです。Cerakote(セラコート - セラミック・パウダー・コート)と呼ばれるこのセラミックコーティングを行うことで、耐摩耗性、耐食性、耐薬品性、耐衝撃性、硬度などの物理的性能を向上させているとのこと。

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コートの中はアルミ切削によってボディが作られています。

4. 新しいケーブルの採用

POLARISにはALO品質の新しい特製イヤフォンケーブルが標準でついてきます。「Litz Wire Earphone Cable」というケーブルですが、通常のLitz Wire Earphone Cableは外観がシルバーですが、このPOLARISに付属するLitz Wire Earphone Cableは外観がブラックです。これは本体のカラーリングに合わせてあつらえたものです。

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導体材料も同様にPolarisの音にあわせて変更しており、通常の銀メッキ銅導体のLitz Wire Earphone Cableではなく、銀メッキを施していない「純銅導体」の線材を採用しています。これはPOLARISのチューニング過程において、POLARISに搭載している8.5mmのダイナミック型ドライバーとこの純銅導体ケーブルの相性が非常に良かったため、特別にこのLitz Wire Earphone Cableを採用することにしたからということです。

* インプレッション

パッケージングはいままでのCampfire Audioを踏襲したものです。

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外観は名器Andoromedaを思わせるような武骨なものですが、青いカラーがとても美しく映えて印象的です。またCampfire AudioというとALOの流れをくむケーブルが特徴的ですが、また標準ケーブルが変わって黒になったことがわかります。それとイヤチップ(イヤフォンの先端)部分が半透明でプラスチック素材になったことも特徴的です。

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POLARISというモデルが出るというのを海外のショウの情報で聴いたときは、ドライバー2基でハイブリットということで、Dradoの廉価版かと思っていました。
それで少し前にKenさんにこれを送ってもらったんですが、届いて箱を開けて聞いてみてあまりに音が良いのでちょっとびっくりするくらい音が良く、思っていた音とだいぶ違うので驚きました。
まず音の個性はDRADOとはかなり違います。どう違うかというと、DRADOでは高域のシャープなBAと低域の太いダイナミックの音がかい離していました。これはこれでハイブリッドらしい個性ではあるのですが、POLARISでは継ぎ目がわかりにくいくらいに高い音と低い音のシームレス感があります。これだけでもDRADOの流れとは違うのがわかります。

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また聴き進めてみるといままでのCampfire Audioの音とも異なるように思えます。ただし音が滑らかな点はKenさんのポリシーを残していると思います。

音質的にPOLARISで印象的なのは音の透明感の高さ、圧倒的な音の解像力、再現性の高さです。これはSP1000SSで聴くと圧巻の音質を引き出してくれます。音はシャープで音の歯切れが良く、ドラムスの打撃感やベースのピチカートが気持ち良く感じられます。ロックを聴いてもかっこよさに震えてきますね。
SP1000SSだと立体感が際立って良いのも特徴的で、ジャズヴォーカルなど録音が良いものではリアルさが半端なく感じられます。また客観的な音ではなく、耳に近めでアグレッシブな音再現でライブの熱さも感じられます。
ただSP1000SSだと音源によってはきついこともあり、そういう場合にはプロEQを適用すると良いと思いますね。SP1000CPではCPの音の深みや音のきれいさを堪能できます。

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ただPolarisではSP1000SSの音のすごみを感じることができるという点で、個人的にはSP1000SSを使いたくなります。ナレーション音声を聞くと、たくさんの音が闇から浮き上がってくるようにものすごく情報量が豊富でハスキーな声の再現性が特に優れています。

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透明感が高いから細かい音が浮き出てくるようで、まさにSP1000のハイエンドDACを堪能できるでしょう。
しかしSP1000のような圧倒的な情報量の怪物とタメで渡り合えるというのは実売67,800円という価格を考えると驚きます。この価格でSP1000のメインイヤフォンとして使うことができ、SP1000の性能を十二分に引き出せますよ、と言えるものは少ないと思います。

* まとめ

Polarisは3Dプリントを駆使して、チャンバーで最適な空気の流れを作り出して高音質を生んでいます。
音的には高い透明感、解像力とワイドレンジなど基本性能の高さが特徴的で、それと独特の空気感と滑らかな音楽性が魅力的です。

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この価格としては特筆すべき高い音質を持っていると思います。特にSP1000を持っている人に勧めます、とこの価格帯で言えるのは驚きます。
Campfire AudioのKenさんもPolarisの価格は戦略的な設定で、より多くの人にこの音を聴いてほしいということから設定したそうです。また特にアンプを必要とせずにDAPから直に音を良く鳴らせるように設計したとも言います。

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KenさんはPOLARISについて、自分がこれまで学んできたことに総決算である、というようにも語ってくれました。
POLARISとは北極星の意味ですが、北極星が天に動かぬ道標として人々に道を示しているのと同様に、このCampfire AudioのPOLARISも今後のイヤフォンの道標、マイルストーンになるものかもしれません。

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2017年09月20日

AK70の新型AK70 MKII登場、Michelleにも新型

好評のAK70に新型が登場します。AK70の後継機としてエントリーを超えたプレミアムモデル、"Your Next Premium"のキャッチフレーズで発表された、その名もAK70 MKIIです。

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価格はオープンですが参考の直販価格は79,980円、本日から予約受付開始で発売は10月14日の予定です。

* 改良点

端的にいうとAK70MKIIでは好評だったコンパクトな外観はほぼ変わらず、中身の音質に関する回路部分が大きく向上したと言えます。
AK70からの改良部分は主に下記の2点です。

1. アンプ部の強化
SP1000の回路設計を踏襲してバランス再生時の高出力化と低い歪みを達成しているということです。

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Astell & Kernの音の変化の歴史としてはSP1000の音は躍動感という点においてAK70の音の延長にあると言ってもよいかもしれませんが、さらにSP1000のエッセンスがAK70にまたフィードバックされたという感じでしょうか。

2.デュアルDAC化
DAC IC自体は同じくCS4398ですが、DACがデュアル化しました。これでDAC部分に関してはAK240と同じになったということになります。

外観デザインはほぼ同じですが、わずかに大きくなっています。デュアルDAC化のためにバッテリーも増えて再生時間は変わらないということです。
PCM/DSDの再生フォーマットも同じです。BT機能 、USB DAC 、AK connectも同じです。USB端子もMicroBです。

SP1000のときに今後のAstell & Kernの製品はA&なんとかというネーミングになるという話でしたが、今回はAK70と同じラインということで名称変更はないそうです。

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* インプレッション

実際に発表会で実機(量産前モデルなので写真のMicroSD表記が逆になっています)を使わせてもらいました。そこで現行のAK70を持って行って音の比較もしてみました。使ったイヤフォンはAZLAで純正バランスケーブルも使用しました。

手に持った感触としては少しだけ重く大きくなったという感じです。見た目にはほとんどわかりません。また外観ではシックにブラック(Noir Black)となりましたが、音質重視という渋い改良ポイントからすると納得できます。またよく見るとボリュームノブのデザインも変わっています。デザインもわずか違うだけだが、高級感が感じられます。

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音は標準ケーブル(シングルエンド)で聴いても音に重みが乗っています。しかし、違いがもっともよくわかるのはバランスです。

シングルエンドでも音に重みが乗って聴こえる。よりはっきりした違いがわかるのはバランスだ。音の明瞭感の差がシングルエンドとバランスでは大きく違います。

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AZLA純正バランスケーブル使用

AZLAのバランスケーブルで聴くと音質はかなり大きく違って、MkIIの音は力強く熱気が感じられ、楽器音のひとつひとつがより鮮明に聴こえます。MKIIではよりワイドレンジで中高域も鋭くシャープですね。低域もより豊かで躍動感が違います。
バロックバイオリンではAK70では普通のバイオリンと音色が区別できないが、MKIIだと倍音の豊かさと音色の違い、中高音の鋭さも違いがわかります。
MKIIでは弱音の再現性も高く、アカペラの冒頭に息を吸い込む音が入ってるんですが、前のAK70では息吸ってるのがわかるくらいだが、MKIIではリアルで息遣いが強弱まで聞き取れます。
MKIIではAZLAのベースの重みがより魅力的に感じられる。ロックポップではパンチがある。AK70に戻すと軽く気が抜けた感じになる。

AK120を聴いた時にこれならAK200で良かったんじゃないですか、って言ったんですが、今回もAK80とか別の名前にした方が良かったんじゃないかと思います。そのくらい音質部分はグレードアップしていると思います。
ぜひバランス駆動を楽しみたいと思っていたユーザーはこの機会にこの世界に来ることをお勧めします。

* Michelle Limited

またMichelleもリミテッドバージョンが発売されます。

ファイル 2017-09-19 22 15 31.jpg  Michelle Limited_04[1].jpg

本体デザインを変更してチューニングをし直したモデルです。3Dプリンタから金型(モールド)に変えたことで低価格化をはたしたということで、65980円から49980円に変更になっています。あのMichelleがずいぶんとお得になりました。

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左がLtd

それで音質はというと、オリジナルのMichelleと聴き比べてみましたが、より低域が深く豊かでヴォーカルが明瞭でリアルに感じられます。音質は向上していますね。全体に音が変わった感じがするのはユーザーなら比較しなくてもわかるレベルくらいには大きいと思います。

* AK Ripper MKII

AK CD RipperもMkIIとなりました。

ファイル 2017-09-19 22 09 23.jpg  AK CD-RIPPER MKII_02[1].jpg

本体デザインが一新されたのが大きいように見えますが、中身もTEACのハイファイグレードのCDドライブを採用しているようです。また実際に持ってみると重くてダンパーがしっかりしているので、かなり高級CDプレーヤー感覚があります。見ると結構物欲がわく作りになっています。

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消えつつあるCDプレーヤーもこうした形で残っていくのかなとふと思いました。

*追記
9/25日にAK70MKIIおよびMichelle Limitedの先行試聴会を行うということです。詳しくは下記リンクをご覧ください。
http://www.iriver.jp/information/entry_1001.php
posted by ささき at 11:14| __→ AK100、AK120、AK240 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月05日

WestoneからワイヤレスアダプターとシングルBAイヤフォンのセット、WX登場

先日WestoneからBluetoothのワイヤレスアダプターが発売されました。iPhone7からイヤフォン端子がなくなったことで、Bluietoothの注目度が高まっていますが、このアダプタはMMCXのコネクタに汎用にイヤフォンを接続できるものです。
今回はそのアダプタにシングルBAドライバのIEMがセットになった「WX」が発売となります。9/12発売予定で、予定価格は23,000円です。アダプタ単体で実勢価格が19,800円くらいですから、お得なセットと言えます。

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基本的な使い方は現行のBluetoothアダプタと同じで、Apt-Xにも対応しています。
持続時間は8時間ということでかなり長持ちです。BT4.0対応で10m届くと言うことで距離的には十分でしょう。エージングするときにとなりの部屋にこのワイヤレスアダプタをおいて音がうるさくないようにしたのですが、数メートルは余裕で届きます。身につけるものなのでIPX4防滴対応がなされています。

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ケーブルはしなやかで平たいもので、首の後ろに回して、余りをチョーカーで締める方式です。
完全ワイヤレスほどではないけれど、かなり自由度はあります。左右分離の完全ワイヤレスではないので首の後ろに感触はありますが、私のように始終スマホ持ってると、手が自由ということがうれしいですね。
完全ワイヤレスだとまだ左右接続が音切れする問題がよくあるので、そうしたことが嫌いな人にも向いています。
本機はBT4.0対応なので電池残量はiOS9.0以降では通知センターとステータスバーで分かります。

都内をぐるっと回って実際に使ってみると音の途切れは場合によってごくまれに出ますが、おそらくWiFi干渉とかいう理由によるものだと思います。このアダプタ自体は優秀で、けっこうな距離届きますし、iPhoneを尻ポケットにいれたり、iPhone側もアダプタ本体側もアンテナ部分を手で覆ってみてもなかなか途切れません。
操作性も特に問題ないと思います。
ただ装着に関しては耳に回す方式(Shure方式というとカール兄弟に怒られそうですが)よりもストレートに入れるほうがネックバンド方式だと装着しやすいかなとは思います。
このタイプのBTのみ機はエージングしづらいのですが、電子部品が多いのでエージングした方がいいとは思います。

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このモデルが良いところはなかなか音が良いところです。
低価格モデルという先入観を持っていたんですが、実際に音を聴いてみると、ちょっと驚くくらいには思ってたより音が良いというのが実感です。
シングルBAとは思えないくらい高い音から低い音までよく出てますが、イヤフォン部分はなにか従来モデルがベースになっているのかわかりませんが、BT部分になにかアンプのような電子機器があってそれが音質を高めているようにも思えますね。音の均一感の良さを考えるとこのアダプタに合わせてなんらかのチューニングをしているようにも思えます。
普段使いなら十分かと思えるくらい。立体感もわりといい感じです。イヤチップはStarだと少し腰高になるのでフォームのほうが良いと思います。
パンチもあってロック聴くにも良いし、Westoneらしい温かみも少しあって、Westoneファンも音に納得できるでしょう。

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わたしだとiPhoneから直で聴きたいのはBandcampで新曲のチェックとか、この人がこういうの買ったのかとかSNS的側面でチェックしたいことが多いので、BTイヤフォンはそういう風にスマートフォンをカジュアルに使いこなす時に向いています。
イヤフォンとアダプタは分離することができ、BTアダプタとして他のイヤフォンと使うこともできるそうです(ただしその取り付けたイヤフォンについては保障外)。なのでこのBTアダプタが気になってた人は、付属イヤフォンのついたお得モデルとして買っても良いと思います。ただそういう意図で買ってもおそらくこのWXのまま使い続けてしまうのではないかというくらいには音にアダプタとの一体感があって満足できると思います。
posted by ささき at 13:22| __→ Westone ES3X カスタム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月16日

64 Audioの新機軸ハイエンドIEM、tia Fourteレビュー

64 AUDIOは2010年創業の新世代のアメリカのカスタムイヤフォンのメーカーですが、いまではカスタムイヤフォンの中堅メーカーといえるでしょう。

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当初の会社の理念はカスタムイヤフォンを手ごろな価格で提供するというものだったのですが、最近ではカスタムを取り巻く環境も変わり、ハイクラスなメーカーを目指していると言うことです。後でまた触れますが、本レビューで紹介するtia Fourté(ティア・フォルテ)の開発もその差別化戦略の一環と言えるでしょう。

ちなみに本稿ではTiaやAPEX、CenterDriveなどの基本的な解説は省きます(うちのサイトで検索すると出てきます)。代理店のミックスウエーブの製品ページは下記リンクです。
http://www.mixwave.co.jp/dcms_plusdb/index.php/item?category=Consumer+AUDIO&cell002=64+AUDIO&cell003=tia+Fourt%26%23233%3B&id=143

特徴

tia Fourteはドライバー数4つで、ダイナミックとBAのハイブリッドIEMです。
私もそうだけれども、たぶんtia Fourteに対してのまず抱く疑問は、「A18/U18が高いのは18個ものドライバーが入っているのだからそれは分かる、しかし4つしかドライバーがないFourteがなぜこんなに高価なのか、」ということではないでしょうか。

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その答えというのはメーカーに聞いてみると、簡単に言うと内部の音響設計がいままでのイヤフォンとは大きく異なり、それに多くの開発費が費やされ、工作精度がとても精密なものであり、製造にもコストがかかっているからということのようです。

A18/U18ではtiaは高域ドライバーのみにtia、つまり不要な共鳴を取って透明感を上げるアコースティック・チェンバー(音響室)が適用されています。Tia(Tubeless in-ear Audio)とはチューブレスのことですが、チューブ自体が問題というよりも、むしろチューブに通すためにBAユニットの音の出る穴が小さいのに無理やりつめるというのが問題ということのようです。
一方でtia Fourteの"tia system"ではHighとMid/Highユニットにtiaの名称が冠されています。さらに内部図解を見ると、4つのドライバーすべてにモールド(区画割り)が施されています。Campfire Audioのアコースティック・チェンバーと異なり、64 Audioのモールドはドライバー全体を包み込むようなものだということです。これは64 Audioの採用するBAドライバーがオープンBAということも関係しているとのこと。(またこれで特許回避もできると思います)
Highドライバーのアコースティック・チェンバーはステム自身でもあり、ファイナルチェンバーと呼ばれます。またダイナミックドライバーもすっぽりとアコースティック・チェンバーに入っていますが、これはより空気の容積が必要なためということです(AZLAの大柄のシェルみたいなものでしょうか?)。

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tia Fourteのアコースティック・チェンバー(モールド)の配置

逆に言うと、そのモールドスペースを十分に確保するために4つしかドライバーがないということになりますね。またこの設計のゆえにtia Fourteではユニバーサルのみで、カスタムは作れないそうです。
tia Fourteではこのようにドライバーがそれぞれ専用の気室に入っていて、エアフローを調整しているというわけです。64 Audioではシングルボア(音の出る孔)を特徴としてますが、音は全て最後はファイナルチェンバーであるシングルボアに直結するチェンバーに集められます。

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Tia オープンBAドライバー

またFourteに採用されている技術のうちでパッシブラジエーターとは低域と中音域ドライバーと相互作用する振動版(ダミーコーン?)で、ファイナルチェンバーに送ってHigh(Tia)とHigh/Mid(Tia)と音を合流させるために使われているということです。これで金属シェルの不要なレゾナンスを減らすことができるということ。

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internal APEXの配置

このパッシブラジエーターを効率的に動作させるためにAPEXモジュールが使われています。(適切にベントを促しているようです)
tia ForteではAPEXはフェイスプレートに露出してなく、M20ユニット相当の機構が内蔵されています。これをinternal APEXと呼びます(上図参照)。これはパッシブラジエーターを機能させるためにフェイスプレートに突出物が設けられないからだそうです。これはTia Forteの底面にあるベント穴に通じているようです。
ちなみにTia技術は正圧(Front Pressure)に関係しています。ですのでこのベント穴は通常の背圧を逃がすものとは異なるかもしれません。その辺はよくわかりませんが、オープンBAということも絡んでの関係があるのかもしれません。

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tia Fourteのベント穴

筐体はアルミニウムの無垢材を機械加工し造り上げ、 フェイスプレートには耐久性が高いパティナ仕上げ(緑青仕上げ)の銅を採用しています。

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このようにTia Forteではとても複雑でかつてないような入念で精密なエアフロー設計がなされているのが分かると思います。これらのことからtia Fourteが高価な理由、そしてtia Fourteではカスタムは作れないという理由もわかってもらえるのではないかと思います。

音質

音の全体に感じられるのは豊かさと倍音のような高級感のある厚みのある豊かな音です。痩せて薄い音の対極にあるような上質な音です。
またこれも独特の空間表現があって、ちょっとUMのMAVISIIに似た感じがあるように思いました。オープン型BAドライバーというのも関係しているかもしれません。音の広がるホールのように聴こえます。
中域から高域は透明感の高い気持ちの良い音ですが、低価格機のような薄手のものではなく豊かな倍音のような厚みが聴こえます。低域もバランスよく、ダイナミックらしい重みのある音を生かしています。

十分な高域と低域がありますが、18ドライバー機のようにワイドレンジ方向には欲張らずに中域を中心に、音の質感に焦点を当ててうまくまとめた設計が感じられます。

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tia FourteはAK380よりもSP1000のように音の質感が高いとそれをストレートに再現してくれます。SP1000はAk380よりもさらに一段以上音質が高くなっています。そこはいままでのスピーカーのハイエンドオーディオのような細かな音再現の品質でもあるわけですが、tia Fourteはそうした領域にも踏み込んで品質の向上を味わわせてくれます。むしろtia FourteはAK380よりもSP1000で能力を発揮するようにも思えます。

まとめと考察

U18は少し前に雑誌でレビューを書いた時に試聴したのですが、ワイドレンジで余裕のある音でいかにもドライバー数が多いという感触でしたが、tia Fourteでは一つの音が余裕があり豊かという感じです。
U18とtia Fourteのどちらが好きかと聞かれたら、個人的にはtia Fourteと答えます。どちらが高性能か、と聞かれると答えに窮しますが。
端的にいうと、U18は音の領域全体が進化し、Fourteでは音それ自体が進化したという感じでしょうか。

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つまりA18/U18のような従来の多ドライバー化とは別のベクトルをもって、少ないドライバーのそれぞれの音の効率を最大に引きだしたものがこのtia Fourteということができます。

64 Audioは冒頭にあげたような高級ブランドへの転換にあたって、二つの戦略というか方向性を考えたと思います。ひとつは従来のトレンドのさらなる追求(さらなる多ドライバー化)、そしてもうひとつは従来にない方向性の模索です。前者がA18/U18 Tzarであり、後者がこのtia Fourteに行きついたのでしょう。
64 Audioは地味に良い仕事をしながらも、この業界ではどちらかというと手堅い裏方にいた感じはあります。このtia Fourteで今後ちょっと楽しみなメーカーになりそうだと、ふと思いました。
posted by ささき at 07:36| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする