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2016年11月07日

Campfire Audioの新ラインナップ発売、VEGA、DORADO、LYRAIIレビュー

すでにヘッドフォン祭でも展示がありましたが、Campfire Audioから新しいラインナップであるVEGA、DORADO、LYRAIIの3機種が加わりました。

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左からVEGA、DRADO、LYRA II

国内ではミックスウェーブが本日からVEGA、LYRAUを販売開始、DRADOは後日販売開始と言うことです。価格はVEGAが税別146,100円、LYRAIIが税別78,900円だそうです。
http://www.mixwave.co.jp/c_audio/c_news/caudio_news161104_01.html

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VEGA(左)とLYRA II

本記事ではDRADOも含めて3機種をまとめて解説と音のレビューを行い、今回のラインナップのポイントやそれぞれの個性と買うポイントを紹介します。

* Campfire Audioとは

Campfire AudioはALOの創立者としてこの業界では広く知られるKen Ballが創設したイヤフォンのメーカーです。ベリリウムダイナミックドライバーのLYRA、チューブレスで最近大人気のANDROMEDA、シンプルで人気の高いORIONなど、もう新興メーカーとは言えないくらい地位を確立したと思います。
ブランドの特徴としては、シングルドライバーに重点をおいているようにシンプル・イズ・ベストの哲学に基づく設計、もちろんALOの高品質ケーブルの標準添付、そしてブランド名の由来でもある米国ポートランドでの製造などがあります。

Campfire AudioはKenさんの情熱とクラフトマンシップのたまものと言っても過言ではありません。なぜALOというすでに確立したブランドがあるのに、Campfire Audioという新しいブランドを作ったのかというと、kenさんはケーブルというのはやはり部品の一つでしかないので、もっと根本的に自分で一からヘッドフォンやIEMを設計・製作するという気持ちがあったからだそうです。
そしていまはたくさんのイヤフォンブランドがあるので、自分ならではの考え(statement)をそれに盛り込まねばなりません。Campfire Audioではこれまでもシングルダイナミックにこだわったベリリウムドライバーの採用や、BAの音質を向上させるためのチューブレス設計(現在のTAEC)など個性的な製品を世に出してきました。

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ヘッドフォン祭でのKen Ball(右端)

ブランドの名の由来は、もともとALOのあるポートランドの西海岸は自然に恵まれた土地でKenさん自身もアウトドア好きだそうです。このアウトドアのキャンプファイアの灯りとはぜる音の瞑想的な雰囲気を音楽に例えたわけです。
そしてこの西海岸の夜空を見上げた時、その美しさの中にあるひとつひとつの小さな星々がCampfire Audioの製品名になっています。

* VEGA、DORADO、LYRAII - ダイナミックの深化と新たな挑戦

Campfire Audioは最近のANDROMEDAの大ヒットによりマルチBAでも知られるようになりましたが、原点はシングルダイナミックのLYRAです。これはKenさん自身のダイナミックドライバーへのこだわりと、マルチBA全盛への疑問がベースにあるということです。
今作では3機種ともにダイナミックドライバーが採用されていて、VEGAとLYRAIIは得意のシングル・ダイナミック、また新たにDORADOではBAとダイナミックのハイブリッド形式を採用しています。このため3機種ともにTuned port(ベント穴)がついています。ベントはイヤフォン内の空気圧を抜くことでダイナミックドライバーをより効率的に動かすための仕組みです。

それぞれの製品のポイントは簡単にまとめると次のようなものです。

1. VEGAでのダイアモンド(ADLC)ドライバーの採用

2. DRADOでハイブリッド構成を初採用

3. 復活した人気モデル、LYRA II

また今回のラインナップの共通特徴は流体金属のハウジング(筐体)を採用していることです。
初代LYRAではさまざまな材質のプロトタイプを作成して聴き比べて材質を決めたというくらいCampfire Audioではドライバーと同じくらいにハウジング(筺体)にこだわっています。
今回の3製品ではシェルに独自の流体金属を採用しています。流体金属を筺体に採用する利点としては、
チタンよりも高い強度、硬くて傷に強く、独特の質感があり、耐腐食性・化学変化に強い。また人体に優しい・アレルギーになりにくい、ダンピング能力に優れているなどの長所があります。
見た目も金属らしい高級感がありスマート・コンパクトで、ANDROMEDAやJUPITERのやや大柄でごつい筺体とはかなり異なっています。初代LYRAに近いですね。ただ表面はつるつるの初代LYRAに比べると艶消しのマット的な質感です。

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SpinFitチップを装着したDRADO、VEGA

また今回のラインナップからSpinFitチップの添付がなされました。標準以外のイヤチップは前まではComplyがついていましたが、今回から人気のSpintFitに変わっています。

これらに加えて、ANDROMEDA/NOVAから採用されたより優れた標準ケーブルも大きなポイントです。
初代LYRAからCampfire AudioはALO母体を生かして高品質ケーブルをつけていましたが、前ラインのANDROMEDA/NOVAからはさらに音質が良くなったと思います(ANDROMEDAの記事参照)。今回もその新しいケーブルが標準でついています。

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AK380, LYRA II

以降は機種別にレビューを書いて、最後にクロスレビュー的に今回のラインナップのとまとめと買いのポイントを書いていきます。

以下の試聴はすべて標準チップと標準ケーブルで行いました。これは条件を標準で聞くというのもあるけれども、Campfire Audioの場合は標準で十分以上に音質が良く、標準がよく音に会うというのがあります。ケーブルは言うに及ばず、標準のフォームチップも良いと思います。ただイヤチップは個人差があるのでこれは新しいSpinFitがあう人もいるでしょう。すべてたっぷりエージングしてから聴いています。

プレーヤーは基本的にはAK380を使用しました。はじめに結論を言うようでなんですが、これらをAK380で聴くとちょっとすごいです。特にVEGA。

-- Campfire Audio 「VEGA」レビュー  ダイアモンド(ADLC)ドライバーの採用

今回のラインナップの目玉ともいえるVEGAは、初のADLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)を振動版に採用した、8.5mmシングルドライバーのダイナミック型イヤフォンです。いわばダイヤモンド振動版を採用したダイナミック型イヤフォンとも言えます。

名前はCampfire Audioらしく、こと座のもっとも明るい星であるベガから取っています。これは同じダイナミックドライバーのLYRA(こと座)と関係するということでしょう。ダイナミックドライバーの中でもひときわ輝くというような意味かもしれません。

* ダイヤモンド振動版を採用

VEGAの特徴はまずこの新開発のダイヤモンド振動版です。
好評だったLYRAでは高い硬度のベリリウムのドライバーを採用したことが高音質のキーでしたが、VEGAではさらに高い硬度を持つダイアモンドを採用したわけです。つまりLYRAのベリリウムのさらに上をいきます。B&Wのダイアモンドツィーターなんかもこの部類に入ります。

LYRAも振動版すべてがベリリウムではないのですが、VEGAも正確に言うと振動版がダイアモンドの単結晶で出来ているわけではなく、ADLC(Amorphous Diamon-like Carbon)、つまりダイアモンドとグラファイトの複合材(アモルファス)であるダイアモンド・ライク・カーボンという非結晶体の硬質の薄膜でコートされています。ADLCはダイアモンドの性質をかなり継承しているということです。

なぜ振動版にADLCを採用すると良いかと言うと、いくつか理由があります。

*ADLCはとても高いヤング率が特徴です。簡単に言うととても硬いということで、つまり伸びにくい・変形しにくいです。ヤング率はチタンが1.1なのにたいし、ベリリウムは2.8、ADLCは3.3と大変硬いのがわかります。このため振動版の端まで正しく信号が伝わり分割振動(場所による振動の差)が少なくなります。不要な偽信号を排除して、結果的に高音域をより上に伸ばし、低音域においてはひずみを減らすことができます。これはB&Wでツイーターに使われる理由と同じでしょうね。
これで高域も歪なしに伸びてワイドレンジと低い歪を確保できるというわけです。

*次にADLCは硬さと低密度の比が良く(つまり軽くて硬い)、これによりレスポンスの速さ、ダイナミクスの再現がとても良いということです。また軽いだけでなく硬いので、しっかりしたピストン運動ができます。これで原音に忠実な音再現が可能になります。

*またADLCの振動版は音の伝搬速度が速く、高域特性の向上がはかれます。さらに熱伝導率も高いので音を出すパワー効率が改善されます。

簡単にまとめるとADLCは硬くて軽く、音の伝搬が速く、熱伝導率が高いなど振動版として優れた特性を持っているというわけです。
音的にはワイドレンジで低ひずみ、クリーンで色付けがなく自然な音再現が可能となるということです。

* 外観

これは今回のラインナップの3点共通していますが、ケースに入ったイヤフォンはたがいにこすれて傷がつかないように小さな袋に左右別々に入っています。なかなか細やかな配慮です。

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VEGAはとてもコンパクトでメタリック、がっしりとした感触を受けます。VEGAはその明るい恒星のイメージのようにシルバーで光り輝いているように思えます。

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ALO製の標準ケーブルと高い強度のMMCX端子もこれまで通りの長所です。

* VEGAの音質

まずVEGAでは鮮烈なほどの透明感と音の明瞭さに驚きます。これってシングルドライバーか、これってダイナミックか、と思うような驚きの鮮烈な音質です。はじめは本当に一度スペックを再確認したくらいです。

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前に記事を書いたようにLYRAをはじめてきいた時もダイナミックというよりBAの先鋭さだと思ったんですが、VEGAはいっそう透明感が高くシャープです。またBAドライバーとも違ったシャープさを感じます。高域は録音が荒くなければそうきつくはなく、にごりがなくすっきりと鮮明感があるという言う印象です。楽器音はピュアで明瞭感を感じます。シングルながらスケール感があり、音の広がりが豊かです(ここはシングルゆえの位相的な音のフォーカスの良さもあるでしょう)。低音域も深みを感じるほど低い音が出る。シングルとは思えないほど、とても帯域的にワイドレンジです。
低域はタイトに引き締まり、中域は美しく、高域は繊細でひたすら上に伸びていきます。総じて言うと音の印象はモニター的、リファレンス的な音でニュートラルです。低域は十分ありますがLYRAIIよりも抑えられています。

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またBAとはやや異なりダイナミックドライバーらしい躍動感を感じますが、暖かみは後に書くLYRAIIよりも控えめで、色付けが少なくニュートラルです。
中域から低域のパンチ、アタックはダイナミックらしいところです。ダイナミックとしてもかなり鋭い方でしょう。全体に音がクリーンで低音はダイナミックのパンチとBAのすっきり感が両立されています。この低音域の感覚に一番近いのはマベリックのように思います。

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解像力がとても高く、音が並はずれてリアルです。たとえばワールドミュージックで土俗的な太鼓をたたく音では、太鼓の革の素材が分かるように音が響いてきます。ちょっと初めて聞くと気持ち悪いくらいです。また生楽器だけではなく、エレクトロ系でもプログラムされた電子的な唸りはリアルっていうと変だけれども、実在感があります。
またスピードが速くテンポの刻みが気持ちよく、音の切れが良いです。音の立ち上がり・下がりの遷移が速いと言う感じです。

シングルドライバーゆえに高音から低音まで均質であり、楽器の音のピントもぴったりフォーカスが合う感じです。音が左右に移動する際には気持ち悪いくらいの立体感があります。

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AK380があったまるにつれて音が良くなるのが分かるような感じで、たぶん手持ちの高性能DAPがより楽しめると思います。
VEGAの素晴らしさはAK380 copperでさらに引き出されます。音はさらにピュアで美しく、(測定的にはともかく)聴覚的にはワイドレンジ感もいっそう感じられます。
ニュートラルで無着色だけれども、音に美しさが感じられるのが魅力で、透明で忍野八海の湧水のように純粋に美しい感じです。

VEGAは従来のダイナミックドライバーに一石を投じたようなインパクトのある製品だと思います。

-- Campfire Audio 「LYRAII」レビュー  復活した人気モデル

LYRAIIはLYRAで好評だった8.5mmのベリリウムPVDダイナミック型ドライバーを採用しています。ドライバーは初代LYRAと同じものだそうです。新たに新素材の流体金属をハウジングに採用している。LYRAの正統な後継機という位置付けだと思います。

名称は前モデル同様に、こと座(リラ・ライラ)から取られています。

* 外観

外観はコンパクトで前モデルとは色は違うがよく似ています。良く見ると旧LYRAのセラミックっぽいつるっとした艶のある外観ではなく、マットの艶消し質感だけれど質感的にはあまり変わらないように思います。サイズもほぼ同じです。違いは標準ケーブルも新しいタイプだということがあげられます。

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オリジナルはセラミック素材という特殊な筺体材質を採用することで音質アップも狙っていました(実際に比較用に製作したアクリル筺体のプロトタイプよりも音が良かったそうです)。この流体金属とセラミック素材ではそれほどの差はないということなので、同様な音質的な向上もはかれるということのようです。

* LYRAIIの音質

音質はダイナミックらしい有機的な音で、たっぷりとしたソリッドな低音域と鮮明で歪のないLYRAらしいピュアな中高域が魅力的です。前にも増して有機的な音がしますね。ヴォーカルが暖かみがあって艶っぽくて良いです。
また前よりすっきりして抜けが良いように思います。上の伸びが鮮烈で美しく伸びる感覚があります。

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VEGAに似た透明感・高い明瞭感を持っていますが、VEGAの方がよりワイドレンジでフラット、ニュートラル基調です。LYRAIIはより重心が低く、ややウォーム感があり音楽的というと音楽的です。モニター的傾向はVEGAよりは薄まっています。VEGAよりも音楽的で、より躍動感と有機的な味を感じられます。
またLYRAIIの解像力はかなり高いのですが、やはりVEGAには譲ります。たとえば上にあげた太鼓の音の音質についてはVEGAの方がはっきりと革の材質がわかる感じがします。

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VEGA同様にシングルゆえの音の均一性はかなり良く、高域と低域はハイブリッドのように違う音ということはありません。

次にLYRA初代と比較しみました。
LYRA IIとLYRA初代を比較してみると外観はほぼ同じですが、外観の質感はセラミックと流体金属の違いがあります。初代はつるつるで艶がありLYRA IIはマット(艶消し)です。

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初代LYRAとLYRA II

旧LYRA2とドライバーは同じで似た感じの音ですが、(ケーブルが初代LYRAから変わったから)同じケーブルで両者を比較してみると、より音の抜け・すっきりさが向上して全体に音の均一性が増して音質がより高くなっているように思います。
念のためにケーブルだけでなく、イヤチップも新しいものに変えて同一条件にしたけれども、それでもやはりLYRA IIの方がより良いように感じます。
ただ機構的にはTuned portは基本的に前作と同じもので、ドライバーも同じなのでまったく違う音と言うわけではありません。

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LYRAIIは LYRAの正統な後継機で、単にハウジングが変わっただけではなく音質もLYRAの特徴を引き継ぎながらより向上しているように思います。実際この音質の高さを考えると価格も手ごろなものになっていると思います。

-- Campfire Audio 「DRADO」 レビュー  ハイブリッド構成を初採用

DORADOはLYRAに採用されたベリリウムPVDのダイナミック型ドライバーと、BA型ドライバー2基のハイブリッド設計が特徴です。

名前ははじめは黄金郷の意味のエルドラドから取ったのかと思ったのですが、実はこれもやはり天文名シリーズで、DRADO(ドーレイドウ)とは南天の星座の名前です。日本語だと「かじき座」ですね。日本からは見られないのであまりなじみないように思いますが、実はこれ、日本人にはおなじみのあの「大マゼラン星雲」を含んだ星座です。つまり距離は天文マニアでなくても分かる14万8千光年のかなたです。

* 初のハイブリッド構成

DRADOはCampfire Audioでははじめてのハイブリッド構成を採用しています。
高域側がBAで、低域側がダイナミックです。BA部分はANDROMEDAと同じドライバーとクロスオーバーを採用しています。ダイナミックドライバーはLYRAと同じだそうですので、いままでのCampfire Audioラインナップのハイブリッドです。

BAドライバーはJUPITERやANDROMEDAと同じチューブレス設計でアコースティックチャンバーをも採用しています。Campfire Audioではこの機構をTAECと呼んでいます。TAECとは"Tuned Acoustic Expansion Chamber"の略で、いままでアコースティックチャンバー(音響室)と書いてたものです。
これはBAドライバーの出力穴のところに置いた音響空間で、大きさと形を工夫することで高音域を伸ばし、不快なピーク部分を減らす働きがあります。つまり音響フィルターが不要なので音質もよりクリアになるというわけです。
DARKOの記事ではKenさんがDarkoにTAECとは"高域ドライバーのスーパーチャージャーだ"と語ってますね。

* 外観

ハイブリッドとしてはかなりコンパクトで取り回しがしやすい感じです。

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LYRAに似ていますが、よりメタリックな外観です。ハイブリッドにしてはコンパクトで、ダイナミックなのでベント(tuned port)があります。

* DRADOの音質

VEGAがモニター的、リファレンス的な音ならこれは個性派といえます。音の一貫性・つながりはシングルのVEGAの方が良いけれども、DRADOではBAらしい細やかさの中高域とダイナミックっぽいパンチの低域の両方でハイブリッドらしい魅力を楽しめます。

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中高域のすっきり加減はチューブレスっぽいように思います。ただANDROMEDAやJUPITERに比較すると、全体に重心が低くてより中低域にポイントが置かれた音になっています。また一方でLYRAIIに比べると暖かみは控えめでBAらしいシャープでニュートラルな感じでもあります。
低音はあえてたっぷりと強調感があるように思いますが、全体的なダイナミックの厚みも加えて今回のラインナップでは一番ロック・ポップ向きだと思います。ただし中低域と全体の厚みが印象的ですが、ヴォーカルはマスクされてる感はなく、むしろ女性ヴォーカルが良い印象です。この辺は初のハイブリッドにしてはうまくまとめていると思います。違和感の少ないわりと自然な音表現で音の広がりも悪くありません。

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DRADOは重みがあって濃い音で、すっきりとした感覚のあるCampfireのこれまでよりもJH Audioをちょっと思わせます。低音はLYRAよりもさらに迫力があります。この辺はVEGAだとすっきりと透明感が高い低音表現です。濃くて厚みのある音が好みの人はDRADOが良いかもしれません。
例えば太鼓の音はVEGAの方が革の質感が分かるほどのリアルさだけどすっきりしていて、パンチとインパクトはDRADOの方ががんがんとある感じです。

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次にANDOROMEDAと比較してみます。
ANDROMEDAと比較してみるとDRADOのコンパクトさがよくわかります。またDRADOの方にはダイナミックドライバー内蔵らしくベント孔がついています。

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音質をANDROMEDAと比べてみると中高域がピュアな点は似ていますが、全体の音はANDROMEDAが上に伸びる中高域よりなのに対して、DRADOは重心が低く中低域よりになっているので、音の個性は異なります。ヘビーなロックにはよりDRADOの方が向いた感じです。
またANDROMEDAはとても感度が高いのですが、DRADOはわりと感度は普通から低めになっているので扱いやすくなっています。

* 今回の新ラインナップのまとめ

全体に今回の流体金属化とVEGAの新ドライバー採用やDRADOのハイブリッドでの厚みのある音など、ラインナップが一新された感があります。ステップアップもされた感じです。
すべてコンパクトで特にDRADOがハイブリッドのマルチドライバーなのにかなりコンパクトです。この辺も流体金属効果でしょうか。前はシングルBAのORIONでもやや大柄だったので進歩を感じさせます。

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LYRA II

各機種を比較すると、それぞれアンプやDAPの相性もあります。AK380にはVEGAやLYRAIIがあっていて、iQubeV5などアンプシステムにはDRADOがあっているように思います。AK380持ってる人にはVEGAはおすすめです。マルチBAカスタム使ってる人でも、AK380ってこんなすごかったとまた見直すと思います。

VEGAとLYRAIIは相性という観点からはほぼ同じですが、音の個性が異なります。
際立った透明感・明瞭さとニュートラル・リファレンス的な音の性格で、端的に言うとVEGAはシングルダイナミック版のKatanaという感じ。新鮮さを覚えるほどすごい音の高みを感じますね。

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VEGA

LYRA IIはやはり高い透明感はあるが、もっと低域よりでやや温かみがあり音楽的に楽しめるタイプの音。VEGAとは音の好みで選択するとよいと思う。たとえば旧LYRAファンの人ならば、LYRAにダイナミックを超えるような音性能の高さに惹かれたならばVEGAに行くのが良いと思うし、LYRAの持つなめらかで音楽的な美しさに惹かれた場合にはLYRA IIが良いと思います。

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DRADO

DRADOはハイブリッドということでこの二者とは立ち位置が違いますが、Campfireの今回のラインナップとしての共通した音の魅力もかねそなえています。
VEGAが聴いたことない音再現だとすると、こちらは馴染みの音。BAとダイナミックを使ってるのだな、と分かります。VEGAは予備知識なしだと、どういうドライバーなんだと思ってしまいそうです。
ラインナップ的にはシングルのVEGAがあって、ハイブリッドのDRADOが映える感じでもあります。やはりVEGAの透明感の高さ・明瞭さには惹かれるけれども、全体にもっと厚みや濃さがほしいという時にはDRADOがぴったりです。

ざくっとしたジャンル的にいうとジャズ・クラシック・良録音系はVEGAで、ロックポップ・エレクトロ系はLYRA2、またはDRADOがよいと思います。

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LYRA II

またマルチドライバーモデルと言っても、ANDROMEDAはDRADOとも音の個性は異なるので、これも今回のラインナップとともに選択に加わると思います。
これでCampfire Audioの製品が洗練されたとともにますますラインナップの幅が増えて充実しました。これで名実ともにCampfire Audioが新興メーカーから中堅メーカーに移行できたと言えるのではないかと思います。
posted by ささき at 22:25 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月31日

国産の完全ワイヤレス、ONKYO W800BT

これまで完全ワイヤレスというと海外メーカーのみだったわけですが、W800BTはONKYOが発売する初の国産の完全ワイヤレスイヤフォンとなります。海外では昨年あたりから展示されていたので、開発はかなり早い段階と言えるのでしょう。ちなみに下記の公式ホームページに形式名を「完全ワイヤレスイヤホン」と明記されています。
http://www.jp.onkyo.com/audiovisual/headphone/w800bt/

なかなか人気で品切れのニュースが出た点でも話題となりました。注目度はやはり大きいようです。

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以下はiPhone6またはiPhone7Plusで聴いています。

* ドライバー

W800BTのドライバーは8.6mmのダイナミック型ドライバーを採用しています。再生帯域は6Hz - 22kHzです。(SBCのみで22kHzまでいるかはともかく)

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* スマホとの接続、左右ユニット接続

スマートフォンとの接続はBluetoothを採用、左右ユニット間の通信方式は明記がありませんが通常のBTだと思います。片側だけの使用はできないと思います。

左右音切れはわりとあります。Earinと同程度だと思います。Apollo 7などに比べると少し多いですね。
また親機の右はiPhoneとの接続では通常はあまり音切れは気になりませんが、iPhone側のBTアンテナを手でふいに覆ってしまうと電波受信が悪くなりやすいです。Apolloはこうした障害にもうちょっと強いように思います。

W800BTは言葉が書いていないマニュアルなので、はじめはペアリングに戸惑うかもしれません。概念が新しいイヤフォンなのできちんと言葉の書かれた各国語向けのマニュアルがあった方がよいかと思います。
とはいえ、なれると簡単で電源両方同時長押しオンで左右ペアリングされて、あっさりiPhoneにもつながります。

またAria OneやApollo7にある接続したときやロストしたときの音声ガイドがないので不便を感じることもあります。(ピッとなるだけ)

* 対応CODEC

SBCのみに対応しています。ただし音質的な問題はあまりないと思います。

* チャージングステーション

完全ワイヤレスにおいてチャージングステーションはとても重要なコンポーネントですが、W800BTは(デザインは良いのですが)チャージャーがでかいのが難です。ケースにケーブル込みは良いように見えますが、実際はチャージャー自体の充電はたいてい家でやるためケーブルは持ち運ばないので、内蔵は不要だと思います。それより小さくして欲しいという感じです。

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また充電の時にピンに刺すのがちょっと急いでいるとやりにくいので、他の完全ワイヤレスのように電極を使う形式にしてほしいと思います。ただしこれはがっちり差すため片側のみの充電がおきにくいのでその点では良いかもしれません。

* ユニット側での操作

W800BTの操作ボタンは電源のオンオフと通話機能のみで再生コントロールはできません。これはちょっと不便ですね。またW800BTは環境音ミックスのAudio Transparency機能もありませんのでアナウンスをちょっと聞きたいときに不便ではあります。
(今Audio Transparencyを実装してるのはBragiだけ。来年春にはKanoaが出ます)

* 通話機能

W800BTはマイク内蔵で側面ボタンで通話が可能です。

* 外観と使用感

箱・パッケージはよくできていてさすがOnkyoという感じです。付属品としてシリコンラバーチップが3サイズ付属されています。W800BTの場合は標準チップでよく合います。

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W800BTの外観デザインもなかなか良いですね。大柄にも見えますが、ユニット本体は軽くて装着感も良好です。
ただLEDがうるさいので、これは装着したときに見えない位置につけて欲しいと思います。Dashみたいにデザインになっていれば未来的でよいのですが。

* レイテンシー

W800BTの問題の一つはレイテンシーがかなり大きいことで、映画ではあまり使えません。たとえば映画マエストロを見ると、練習場の倉庫の音響をみるためにパンパンと手を叩く(オーディオイベントでもやると思いますが)ところでかなり音がずれるのが分かります。Apolloはこんなにずれないですね。ただSBCうんぬんというよりはバッファリングしていることが大きいと思います。

* 音質

W800BTの長所の一つは音質が良いということでしょう。やはり他の完全ワイヤレスと同じく開放的な音空間が良く、ヴォーカルの明瞭感が高いですね。ONKYOらしくかちっとした明瞭感が感じられます。
ダイナミックにしては歯切れ良い点もプラスです。テンポの良い曲ではリズムに乗りたくなります。メーカーらしいこなれた帯域バランスの良さで、標準チップだと低域は十分あるが出過ぎてもいず、ヴォーカルもきれいに聴こえます。高域も良く確保されてますね。
音に明瞭感があり、これはAria Oneよりもかなり優れています。低音域も結構あって、低域の解像感もありますが、低域に関してはApollo7の方がより深みがあってインパクトもあります。W800BTは低域自体はわりと量感あるけれども、サブベースというか超低域が少し足りない感じ。Apolloの方が5.8mmと口径が小さいのですが、たぶんApolloのドライバーは振幅(ピストンモーション)大きいと思います。

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欠点としては標準チップでの中高域が明瞭感はあるのですが、少しブライト過ぎてきつい点があります。音源によってはきつすぎるように感じるかもしれません。ただこれは人に(耳道に)も寄るかもしれません。
チップはコンプライTSかSpin fitが良いですね。コンプライもSpin fitも標準チップでの高域のきつさを抑えられます。Spiral Dotはちょっときつさを強調する方向にいきます。
コンプライだと驚くほど低域の量感があがり、音場の広さと合わせて迫力も上がります。

* まとめ

簡単にまとめると、長所は
- 音質が良い
- デザインが良い

欠点は
- チャージャーが大きい
- レイテンシーが大きい
- 左右音切れが気になる(Earinくらい)

まとめると、音響メーカーらしく音は良いけれども、完全ワイヤレスとしては完成度はまだというところ。映画観賞やゲームはやらないけど音楽だけの人にお勧めです。
本作は手探りで作った感がありますが、品切れになったほど人気が高いと思いますので、いろいろな人がいろいろ使ってみたユースケースを反映してまた次回作も期待したいところです。

こちらはフジヤさんのリンクです。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail115743.html

あるいはAmazonリンクで。

posted by ささき at 20:49 | TrackBack(0) | __→ 完全ワイヤレスイヤフォン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月27日

Apple純正3.5mmヘッドフォンアダプタの実力とは

Apple純正の完全ワイヤレスイヤフォンであるAirPodsはどうやら予定よりも遅れるらしいというニュースが流れてきました。それならばiPhone7のポスト3.5mm端子の選択はライトニングで、という選択でもっとも手軽なものはこれです。Apple純正のDAC内蔵型ポータブルヘッドフォンアンプ、Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ、900円なりです。

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これはiPhone7でヘッドフォン端子がなくなったことにより、iPhone7/plusには付属でついてくるものですが、別売でも購入できます。以前30ピン端子がライトニングに変わったときについてきた30ピンアダプタはやはりDACが入ってました。このときはWolfson WM8533というDACチップが入っていました。これは今回のアダプタとは違ってADCが不要だからDACでよいわけです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/302004727.html

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このLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタについてはあまり音質的な期待はなかったんですが、使ってみると意外と音が良いと思います。前のiPhone5sでも使ってヘッドフォン端子とくらべてみましたが、解像感はそこそこですが、よりパンチがあって音のメリハリがあります。そこでヘッドフォン端子がついているiPad mini2を使う時でもわざわざこのアダプターを使うようになったのでほとんどポタアン状態です。iPadの場合には普通のサイズのDAC内蔵ポタアンは合わせにくいので便利です。

このアダプタについては下記のiPhoneの分解でおなじみiFixitに記事があります。
http://ifixit.org/blog/8448/apple-audio-adapter-teardown/
ここではX線で透視した写真が載っていますが、他の分解した人の写真から見ると使われているICはiPhone本体で使われているAudioCODECチップと同様なシーラスロジックのICであると考えられます。型番は検索できませんが、Appleくらいの出荷数ならカスタムICを使うのでカタログには載ってないでしょう。
AudioCODECはADCとDACをワンチップにしたものです。ライトニング端子はアナログが透過できないので、その手前でイヤフォン出力もマイク入力もデジタル/アナログ変換が必要になりますね。
ただこの記事でも書かれていますが、iPhoneと異なるのはCODEC(圧縮と伸張)がiPhoneの中のAudioCODECチップで行われるために不要なので、単にデジタル信号の入出力でよいということと、アダプタのチップにはアンプが内蔵されているのではないかということです。iPhone本体ではアンプは別チップになっています。

これだけだとこのアダプタの性能は良くわからないのですが、このLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタを測定したドイツの雑誌記事がこのリンクにあります。
https://www.heise.de/ct/artikel/iPhone-7-nachgemessen-Audio-Adapter-liefert-schlechteren-Sound-3325932.html
その結果を見るとダイナミックレンジはiPhone本体に劣りますが、出力インピーダンスが大きく改善されています。iPhone単体で出力インピーダンスが4.5オームだったものが、Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタでは1オームを割って0.5オームくらいになっていますので、これはちょっとしたヘッドフォンアンプ並みと言ってよいでしょう。
Walkmanでも出力インピーダンスは3オーム前後だったと思うのですが、大きなメーカーはやはり安全基準のようなものがあってあまりマニアックメーカーほどは出力インピーダンスを下げないのが普通だと思います。そこでマニアックメーカーくらい低い出力インピーダンスを持っているLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタはちょっと面白い存在です。特にインピーダンスの低いイヤフォン向きと言えそうです。おそらくは本体ではなくアクセサリだから基準が適用されなかったのでしょうね。
またダイナミックレンジに関してはiFixitの記事にもありますが、測定値が99dB→97dBのように低下したとしても16bit音源の場合には理論限界の96dBよりも高いので問題ないと言えると思います。

*ちなみにハイレゾ(24bit)の場合は理論値が144dBで、人間の知覚限界が120dBと言われてますので、ダイナミックレンジはもっとあった方が良いということになりますね。本当の意味での「ハイレゾ対応かどうか」ってこういうことだと思いますが、こういう話が出ないのは不思議、不思議。

また雑誌のカメラマンでもあるHeadFiのネイサンが測定した結果もこちらに乗っています。ここでもダイナミックレンジはiPhone本体よりも低いのですが、イヤフォンをつけた負荷状態のTHDはわりと優れているということがうかがえます。
http://ohm-image.net/data/audio/apple-lightning-35-mm-headphone-jack-adapter-24-bit

これらの結果から考えるとLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタのDACはそこそこでも、アンプ部分はわりとよいのでCD音源であれば十分けっこう使えると思います。聴覚的にもiPhoneやiPadのイヤフォン端子よりもタイトでキレ良くインパクト感が出ていて楽しく聴くことができます。それとちょっと低域を強調させていて妙にチューニングした感があります。一見して安物おまけアクセサリーのように見えますが、実のところけっこう手が込んでるように思います。
いずれにせよ本格的なDAC内蔵ポータブルアンプにはおよばずとも、ちょっとバッグに入れておくには十分なアクセサリーだと思います。特にサイズ的にポータブルアンプと合わせにくいiPadには良いように思います。iPadだと1.5オーム前後とiPhoneよりは一般に出力インピーダンスが低いのですが、それでもこのアダプタ経由の方が良いように思います。

仮にiPhone7でヘッドフォン端子がついていても出力インピーダンスは4-5オームを踏襲して、それまでのiPhoneとさほど代わり映えのしない音質となったと思いますので、かえってこのアクセサリーが出てきて音が楽しめるようになったというのは意外なiPhone7の落し物というか拾い物という感じです。
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2016年10月25日

ヘッドフォン祭 2016秋レポート

この週末に秋のヘッドフォン祭が開催されました。
いつも内外のメーカーがヘッドフォン祭に合わせて新製品を出してきますが、今回はよりたくさんの新製品がありました。参加人数も1万人と多かったようです。
中から目についたものをいくつか紹介いたします。
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デノンでは50周年記念ということもあり、フラッグシップのD7200が発表されました。まだチューニング中だそうですが、音は広大な空間が魅力的で、デノンの音と言うと柔らかめでしたがD7200はより引き締まって明瞭という感じです。ウォールナットのハウジングも特徴でこれも音質に効果があるようです。
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UltrasoneではJubilee25という記念モデルとEdition 8の改良版のEdition 8 EXが発表されてその発表会がありました。両機種ともより立体的な造形のS-Logic EXというドライバー配置の新機能が特徴です。
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Edition 8 EXのドライバー部分。なお発表会ではドライバー自体の話は出ていませんでしたが、COOに聴いたところドライバー自体も新しいものを採用しているということです。
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ちなみにあまり目立ちませんでしたがゼンハイザーの新オルフェウスHE-1も実は展示されていて聴くことができました。

あいかわらずイヤフォンも元気良く、ハイエンド系が豊作でした。
私はAstell&kern/JH AudioのMichelleとDita Dreamの発表会で試用コメントなど述べさせてもらいました。とてもみなさん熱心に聞いてもらっていたという印象です。これらの発表会に出席された方、ありがとうございます。
こちらはMichelleの発表会です。
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こちらはDita Dreamの発表会です。
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DitaのダニーCEOもインタビューで語っていましたが、Ditaもはじまりはやはりヘッドフォン祭でした。青山だった時ですが、シンガポールのメーカーでイヤフォンを作ろうとしているところがあるのでちょっと見てもらえないかと言うことで呼ばれてアンダーテーブルで見てみました。ハイエンドだと言い価格もかなり高めだったのですが、音を聴いてみたらこれはかなり良いのでいけると思い、それからいろいろと助力しました。まず日本市場で認めてほしいということですが、その年の秋のヘッドフォン祭では持ってきたユニットがすべて売れたということでまずはよかったと思います。
Ditaの成功にはダニーの情熱の強さもありますが、またこうしたメーカーが出てきてほしいものです。


もう人気ブランドとなったCampfire Audioの新作も好評のようです。ダイアモンドドライバーのVEGA、ハイブリッドのDRADO、人気作の後継であるLYRA2などが出展されていました。これらについてはすでに発売されている音元さんのプレミアムヘッドフォンガイドVol7に64 Audioの記事と共に執筆しています。
またうちのブログでも近いうちにレビューを書く予定です。
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Westoneでは新フラッグシップで8ドライバーをコンパクトに詰め込んだW80が人気でした。ウエストンらしい魅力が満載で、かつ新世代の音の良さを追求したものですね。ALOのReference 8ケーブルがついていることもポイントです。
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W80は下記に記事を書いてますのでご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442751991.html

FitEarでは須山さんは業界のヨーロッパ出張で不在でしたが、ブースでは輝くチタン製のカスタム、Titanが鎮座していました。ずっしりした重みがただ者でなさを感じます。音の出るポートもAir同様にテーパー成型されてるようですね。
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これはAirベースですがいろいろと手が加えられているようです。またポイントはセット販売されている通称「ドイツケーブル」です。名称は「009」、まさに加速装置がついていて、ケーブルでこんなに音が変わるかと思う逸品の一つですね。これはCrystal Cableにもならぶハイエンドケーブルで、ビンテージ線なので在庫限りだと思いますが、差引7万の価値は十分にあると思います。
音は335DWなんかにもばっちり合うので他のFitearにも試してみると良いと思います。

こちらは"Wizard"モールトンと新IEM K10 "Encore"。アンコールと言う名の通りにK10をKatana同様のNobleドライバーでリファインしてクロスオーバーを調整したそうです。聴いてみるとダイナミックで音楽を楽しめるところは前作譲りで、より透明感・明瞭感がKatanaっぽく高いように思います。
そうしてみるとあのKatanaの異様なほどの透明感というか明瞭さはNobleドライバー効果なんでしょうかね。
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Just earの新作、Mellow Memories。外観は同じですが、音傾向はヴォーカルがくっきりするというよりは、ヴォーカルが滑らかで甘めに聴こえるという感じでしょうか。低域も十分豊かで高域もよく出てるので、中域のみに特化したモデルでもなく、バランスが良いなかでヴォーカルの気持ち良さを求めたというモデルのように思います。
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下は今回話題のiSine。平面型のイヤフォンです。
音場が独特ですが、IEMというのではなく、装着感も、音も、イヤフォンとヘッドフォンの中間と言う感じです。イヤフォン版のK1000?
海外のイヤフォンの考え方は日本みたいに通勤で使うのでクローズのIEMタイプが必須というのではなく、部屋でくつろぐときに軽いイヤフォンをかけるという考え方も多いと思いますが、iSineもその一つだと思います。
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アンプもいろいろと進展がありました。
最近はHeadFiでしか見られなかった製品もたくさん日本で買えるようになってきましたが、その最後の大物ともいえるようなアンプメーカーのCavalli Audioがエミライさんから取り扱いがなされそうで、今回はデモ機が出展されていました。
今回の個人的な目玉だった、CavalliのLiquid Sparkもついに試してみられました。
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透明感高くてパワフル、思ってたより安そうです。ただしこれは最終形ではないということです。もちろん他の製品も注目で、Cavalliについては今後も注目でしょう。販売担当のスタン・アン氏にお話を伺いましたので近いうちにうちでも紹介していくことになると思います。
しかし海外に行かなくてもHeadFi系の新製品が見られるというのは良い時代になったものです。
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また国産ではデノンが隠し玉としてUSB DAC DA300の改良版であるDA310を発表しました。DA300で弱さを指摘されていたアンプ部分をデジタルアンプであるDDFAを使ってグレードアップしたものです。DDFAは「超最新世代」のチップでDA310がはじめて採用したということです。
DDFAはフルデジタルながらフィードバックがあるところが特徴で、ヘッドフォンのように周波数帯域でインピーダンス変化がある場合にはフィードバックがある方が有利だということです。中身はほとんどDNP2500NEのアンプ部分といって良いほどグレードが高いということです。
また「超最新世代」のDDFAチップは消費電力も大きく低減されたようなのでDA10のDDFA版もちょっと期待したいですね。
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前のDA300のレビューはこちらに書いています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/392372936.html

こちらはHiFimanのシャングリラ、超高価格の静電型システムですが、さすがに圧倒的な音空間を構築していました。ゼンハイザーの新オルフェウスと聴き比べてみたいものですね。
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こちらはORBさんのJade Nextのポータブルバイアンプ。分厚いって感じの音でなかなか良いのですが、インとアウトでそれぞれ専用のケーブルが必要になるのがちっょと難ではありますね。
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それと今回はNuTubeを使ったアンプをいろいろと見かけました。
まずコルグのブースではNuTubeの効果のあるなしをスイッチで確かめられるようになっていました。これはハイブリッドアンプでNuTubeは前玉に相当します。
たしかに通すと音はよくなるようで。NuTubeのオーディオ適性も悪くなさそうです。5Vで動くのでポタアンも可能そうです。また電力消費が少ないので、20枚くらい使ってパラビチーニ先生のEAR V12みたいにすると出力管代わりにもできそうです。
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またAnalog2PのところでもNuTube改造の参考出展がありました。
思ってたよりしっかり鳴ってる感じ。真空管ぽいかっていうとそれほどでもないかもしれないけれど、音悪くはないのでアンプの素子として可能性ありそう。
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また歩いてたらこんなNuTube使ったヘッドフォンアンプを見つけてというか紹介されました。
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これはApex Sangaku(山岳)というアンプのようです。
http://www.ttvjaudio.com/mobile/Product.aspx?id=39659


JabenブースではElemental Watsonという真空管アンプが出ていました。これは"Elementary Watson"(初歩的なことだよ、ワトソン君)というホームズの(実はどこにも言ってない)名言からもじったんでしょう。WEのビンテージ管使って、コスパを塗り替えるという安いハイエンド真空管だそうです。音もかなり良いです。
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JabenではPhatlabアンプが意外と人気商品です。やはりポータビリティより音質を求める人も多いと思います。第二のPortaTubeのような人気商品になりそう。
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SONYの新Walkman WM1Zは4.4mmとの合わせ技であちこちで試聴ができました。
こちらは日本ディックスさんで聴けたWM1Zと4.4mm。太い豊かな音が出てました。
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音茶楽さんのところでも4.4mm版とWM1Zの組み合わせ。余裕がある音っていう感じです。
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ラズベリーパイもあります。これはRATOCで電源を強化したもの。通常の5V電源とバスパワーの両方を強化、Roonデバイスとしていました。これくらい手間かけるなら普通のオーディオの方が良いのでは、という意見もあるかもしれませんが、ラズパイの柔軟性の強みというのも侮れません。
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こちらはPAW Pico。Lotto PAWの小型版で32GBのメモリプレーヤーとBTレシーバー機能のミックスという製品です。音もクリアでこの手としては音質は高いと思います。
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トップウイングさんの新製品、iPower。簡単に使える電源アクセサリーです。正規版は銘板にトップウイングさんのマークとPSE取得が明記されています。
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SpinFitの新型イヤチップCP220。SpinFitのスピンする前側をもっと鼓膜に近づけるという考えのようです。装着感はダブルフランジと似てます(実質ダブルフランジですが)。Katanaにつけるとこういう感じ。ステムが太い方が適合しやすいそうです。いまのところワンサイズ(S)のみの展開。
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Complyの社長にどのイヤチップが最適かと選んでもらってるところです。大は小を兼ねるというのではなくなるべく小さいもので適合するのを見つけた方がよく、日本人にはTよりTS(右)モデルがあうということ。
また左右で差があることもあるので左右違いサイズやタイプもありだそうです。やはりイヤチップは深い、というかきちんと考えて使わないといけませんね。
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これはフジヤさんオリジナルのFitearケースの赤。物販ブースで1000円です。
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下記リンクでも販売してるようです。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail119133.html

カセットテープもありました。これは復刻版マクセルUD。ただし中身は当時のものとは異なるということです。タワレコなどでもインディーズで少しカセット配信が増えてきてはいますが、やはりいまの需要の多くは音楽用途ではなくカラオケだそうです。
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カバーできなかったところも多く、盛りだくさんのヘッドフォン祭でした。
もう2016年も残すところ少ないのですが、2017年に向けて豊作だったと言えるでしょう。
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2016年10月19日

スマートフォンに最適のDAC内蔵ポータブルアンプ、OPPO HA2SE

OPPO HA2はスリムタイプのDAC内蔵型のポータブルヘッドフォンアンプですが、利便性、性能、デザインのバランスの良さで高評価を得ています。そのHA2の後継ともいうべき新型のHA2SEが発売されました。

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これによりHA-2ブラックモデルは販売終了しますが、日本限定モデルのCherry RedとSapphire Blueは継続販売されるということです。価格はオープンで実勢価格は4万円弱です。このことからHA2SEはHA2の正式な後継機であるということが言えます。
本稿ではHA2(初代)と比較しながらHA2SEの紹介をしていきます。

* HA2シリーズの特徴

まずHA2SEの解説の前に初代HA2の紹介をします。

Oppoは音質も良いBDプレーヤーで知られるようになり、ピュアオーディオ分野やポータブルオーディオ分野にも範囲を広げています。BDプレーヤーの頃の当初からESSのDAC ICを活用していたことで知られていて、ESSのDAC採用ではエキスパートともいえます。HA2ではやはりESSのポータブル向けのハイグレードDACであるES9018K2Mを採用しています。これで高音質とDSDネイティブ対応を実現しています。

もうひとつのHA2の大きな特徴はスマートフォン、特にiPhoneに向いているということです。iPhone 7では3.5mmヘッドフォン端子がなくなってしまいましたが、HA2はそれをカバーするうえでも有効なアクセサリーとなります。
なぜiPhoneに向いているかと言うと、まずデザイン的にスリムでiPhoneとあわせやすいということがあります。筺体はアルミ削り出しの高級感があり、iPhoneの質感にも劣りません。また手帳型ともいわれるように手帳風の革張りがされてるのでスマートフォンと背中合わせにしても傷の心配が少ない。また滑りにくく持ちやすいですね。
またHA2ではUSB入力としてUSB Micro Bの他にUSB Aタイプ(スイッチA)の端子を持っているので、いわゆる「iPodデジタル」タイプのデジタル接続が可能です。これはUSBアクセサリー接続というもので(詳細はこちらの記事参照)、Micro Bタイプに比較するといわゆるカメラコネクションキットが不要で、直接ライトニング端子に接続できることと、電力消費の心配が少ない点があります。また本体のボリュームとの連動など、スマートフォンとDACの接続としては安定感があります。

ただしハイレゾやDSD接続に対応していないので、それが必要な場合にはMicro B(スイッチB)を使います。
追記→確認したところ、HA2/HA2SEではスイッチA位置でもPCM384/24、DSD128に対応すると言うことです。

またHA2はモバイルバッテリーとしても機能するので、その点でもスマートフォンとはあわせやすいと言えます。接続するためのケーブルははじめから入っています。

* HA2とHA2SEの違い

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赤が初代HA2、黒がHA2SE

HA2とHA2SEの外観の違いはSEのマーキング以外にはほぼありません。

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HA2とHA2SEの違いは主に下記の4点です。

- ESSのES9028Q2Mを採用
HA2SEではESSのDACは最新のタイプであるES9028Q2Mに変更されました。ES9028Q2Mの採用はおそらくポータブル業界初のことで、この辺のESSに対しての機敏さはOPPOならではです。これにより384kHz/32bitまでのPCMデータおよび12.2 MHz (HA2では11.2MHzまでの保証だった)までのDSDデータの再生に対応しています。12.2はDSD256のクロックの系列による差です。
スペック的にも2dBほどですがダイナミックレンジが改善されていますが、内部的な違いは音質に現れるでしょう。

- アンプ回路の改良
ヘッドホンアンプ回路はICとディスクリート部品のトランジスタで構成されたAB級アンプ設計となっていて、ディスクリート部品のトランジスタで構成された出力段にはマッチドペアの選別品を使用するなど,出力品質へのこだわりが感じられます。また昨今のトレンドを踏まえた音質傾向にしたとのことです。

- ゲイン設定の見直し
高感度IEM向けの改良点としてLowゲインで高感度カスタムIEMにも対応したということで、これは主にユーザーの声だそうです。実際に海外ではポータブル機器にも大型ヘッドフォンを使うことも多く、ポータブルでも出力が追求される傾向にあります。そこでこうしたイヤフォン重視という日本としての要求を反映させることは大事であるし、また聴いてくれるというのは良いメーカーだと言えます。

-付属ケーブルの変更
これもユーザーの声からストレートからL字型に変更されました。これもやはり海外ではデスクにおいて使うことが多く考えられるために(iQubeなんかはそうですが)、ストレートでも良いのですが、バッグに入れて使いたいという日本ならではの要求をするのは大事なことです。また日本市場を重要視する姿勢が見られますね。

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* 外観・操作感

旧HA2とは外観もパッケージもほぼ同じです。パッケージは海外マニアックメーカーと言うよりも国産メーカー的なしっかりしたものでこの辺からも製品の安心感を感じることでしょう。

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筺体はなかなか高級感のあるもので、CNCマシンで削り出したアルミニウム合金の筐体を高品質な本革製カバーで覆った構造になっています。
旧HA2とは色違いのモデル以外はSEの刻印が異なるのみのように思います。

筺体の大きさはiPhone 6/7(無印)とほぼ同じです。iPhone5ではやや小さく、iPhone 6/7 plusではやや大きくなります。実際にiPhone 7 plusと組み合わせてみましたが、手に持って見てHA2SEが薄いので特に問題なく持って使えるように思います。

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iPhone6(左)とiPhone 7 Plus(右)

使い方はA/B/Cの底面入力スイッチで使いわけをすることになりますが、アナログ入力(C)、USB Aによるデジタル入力(A)、USB micro B(B)によるデジタル入力があります。やはりHA2ならではの使い方をするならば、AまたはB位置でデジタル入力で使うのがお勧めで、強力なESS DACの恩恵を受けられます。
AとBの使い分けは上でも書きましたが、iPhoneとはAを使うのがお勧めで、AK70/AK300またはWalkmanなどと組み合わせるにはBを使います。またiPhoneでもハイレゾを出したいときにはBを使うことになりますが、この場合にはカメラキットか同等のケーブルが必要です。

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ここでは主にA位置を使ってiPhoneと組みあわせて使いましたが、スムーズに使うことができました。AK70のmicro USBでもiPhoneのAでもとにかく簡単でスイッチを変えるだけです。とても扱いやすいと思います。

* HA2(初代)/HA2SEの音質

リファレンスIEMのKatanaユニバーサルを使用して主にiPhone 7 plusを使ってA位置(USB A)で試聴しました。

まずHA2(初代)の方を聴くと初代でかなり音質は良く、ESSらしくSNが高くとてもクリアで透明感、明瞭感がとても優れた音です。解像力が高く音数が多いと感じ、帯域的な音バランスはかなりフラットで良好、切れが良いのでアタック感があります。音の個性はよく整っていてニュートラル、色つけが少ないのですが、ちょっとドライな感じがする点もESS的な特徴です。総じて音性能はかなり高く、価格を考えるととてもコストパフォーマンスが良いと思います。

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次にHA2SEを同じソースで聴いてみました。音の印象はまずHA2よりもやや厚み・暖かみがあってESS的なドライさが少ないと感じられます。ノイズが少ないというよりも音の個性がやや違っていて、少しだけれども暖かくESSっぽいドライさが(良い方へ)減ってより聴きやすいと感じられます。
帯域的な高低により広がって、ファルセットの伸びもより高く伸びているように思います。またウッドベースのピチカートでSEの方がより切れ味が良く、明瞭感が高いと思います。ここはDACの効果かもしれませんが、たぶん駆動力の向上はここにも効いてると思います。ドライブ感のあるロックでもSEの方がスピード感と強いアタック・インパクトを感じられます。より音の厚みがあるのもそこにプラスにはたらしいています。SEの後でHA2(初代)を聴くとやや薄味に感じられます。
新型DACに目が行きがちですが、アンプの違いが大きいという印象があります。

私はApple MusicとかBandcampでよくストリーミングを使うのですが、iPhoneでストリーミングを高音質で聴くにはうってつけのアンプです。それらが圧縮音源だということは言われないと気がつかないと思いますね。
またもしこのクオリティでTidalストリーミングできれば、とも思います。(AK70/AK300の最新ファームアップと合わせるとできそうですが)

接続用のケーブルはiPhone用のライトニングも、AK70/300などと合わせるOTGも入っていて、すぐに使えると言う点もHA2の長所で、特にSEになってL字型になって利便性が良くなっていると思います。

* まとめ

透明感や解像感などはHA2(初代)でも十分すぎるほど良いけれども、SEの方が一段と音楽的により気持ちよく楽しく聴くことができます。見た目は同じだけど、中身はだいぶ進化していると思います。

iPhone 7からヘッドフォン端子がなくなり、ワイヤレス派とライトニング派に分かれてその後を模索していますが、ライトニング派は高音質を重視すると思いますのでぜひお勧めしたいところですね。
最近はApple MusicやSpotifyの参入などでストリーミングの需要も増えていますが、これならばかなり高音質で聴くことができます。ストリーミングは音質が落ちるので安く提供できるという考えもあるかもしれませんが、Apple Musicとかこの音質で聴かれたら反則じゃないかと思います。

また今回の改良はユーザーの声を聴いたということで、そうして声を吸い上げてくれるメーカーは良いですね。なにしろこのヘッドフォンオーディオの世界はボトムアップで進歩してきましたから。

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OPPOデジタルジャパンはヘッドフォン祭に出展しますのでそちらでHA2SEを試聴することができます。またRMAFで展示されたSonica DAC(ネットワークオーディオプレーヤー機能付DAC)も展示されるということです。
また隣のエミライブースではMrSpeakersとResonessene Labs、exaSound、そしてHeadFiで人気のあのCavalliのヘッドホンアンプも展示予定だそうです。これ私も期待してましたのでかなり楽しみです!
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2016年10月17日

究極のKatanaを求めて。Wagnusの交換ケーブルレビュー

Katanaは標準ケーブルでもこれ以上あるかというような高い明瞭感と透明感を感じさせます。ただKatanaを使うならやはり最高を目指したいということで、セミ純正的なWagnusのハイエンドケーブルを貸し出してもらって相性をみてみました。Frosty Sheepシリーズと「Katana専用」の開発番号#3ケーブルです。
以下はAK380+AMPで試聴しています。

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Noble Katana、標準ケーブル

1 Frosty Sheepシリーズ(MasteringとEmotional)

Frosty Sheepは1950年代の究極線材をつかったフラッグシップケーブル「Sieve Sheep」を根幹にし、現代の技術を追求し、より高精度かつ情報量を確保するための”最深”の設計を施した新たな現代版「Sieve Sheep」というハイエンドケーブルです。
Frosty Sheepシリーズは音質傾向の差で今回レビューした「Mastering edition」と「Emotional edition」の二種類と「Extream edition」があります。

「Mastering edition」は"ハイレベルなマスタリングスタジオでもこれほどの精度と音質を持つケーブルは無いと云えるほど"、というハイグレードなケーブルで、ニュートラルバランス、超高解像度で超広帯域、サウンドステージの広大さと音楽としての音楽ソースの良さを最大限に発揮させるというものです。
「Emotional edition」は、音楽性を重視してさらにsparkleさとスピード感とグルーヴ感をも両立させたというものです。
それぞれイヤーコネクタには京都オパールにより埋め込み装飾を行い、首元にはオプションとなりますが各種ストーン装飾とレジンとマテリアルによるオーロラアートワークを施すことが可能ということです。


1-1 Frosty Sheep Mastering edition (3.5mm single end 溝なし2pin)

Wagnusらしい白くて美しい仕上がりのやや太めのケーブルです。ハイグレードケーブルらしくやや硬めで柔らかくはないけれども、取り回しには問題ないくらいだと思います。

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Frosty Sheep Mastering edition

標準ケーブルに比べると透明感が一段と高くなり、解像力も一段高くなり、アカペラヴォーカルを聴くと声の表情がより細かくなり、音に硬さや粗さが減ってハーモニーもより厚く感じられます。
よりワイドレンジ感があり、低音域もより深く音が出るようになり、高音域もよく伸びてきれいに響くように感じられます。音バランスはよく整っていて低域もよく抑えられフラット基調をよく生かせます。

Frosty Sheepの特徴としては音楽がより整理されたように聴こえます。実際にコンサートホールで聴いている席を数席後ろに引いた感じで音場に余裕が感じられます。標準ケーブルがステージに近い迫力重視で、よくファンクラブ向けに確保されてるような席とたとえるならば、Mastering editionはゲネプロで監督が観客席の中央に陣取ってステージ全体を見渡すような席と言えるかもしれません。
たしかにモニター用の高級ケーブルというイメージで、プロデューサーとかエンジニアが音の全体像を見るのにモニターするのによいという感じです。
感じ。音楽ジャンルとしてはやはりクラシック向けと言えるかもしれません。

1-2 Frosty Sheep Emotional edition (3.5mm single end 溝なし2pin)

外観はMastering editionと同じで取り回しもほぼ同じです。

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Frosty Sheep Emotional edition

全体的にMasteringと似た感じの音の個性で同じくゲネプロの監督席と言えますが、より低音が迫力が出るようになり、Mastering editionのように低域が抑えられた感じではないようです。ロックやエレクトロ系の音でも適性が出てくる感じですね。色付けの少ないMasteringに比べると全体にやや暖かめになり、より音楽がなめらかで中高域の伸びはMasterin同様に良いですが、Masteringよりも少し柔らかく甘めで聴きやすくなます。よりビンテージ線的な感じでもあります。
これはFrosty Sheepの高音質がほしいけれども、よりポップロックを楽しみたい人に向いていると思います。

2 開発番号#3ケーブル(Single endとBalanced)

このまだ名のついてない開発番号#3ケーブルは、Katanaカスタム専用のオプションケーブルのことで、Katanaのために「フラッグシップ級の完全新作ケーブル」として開発したケーブルということです。
詳細は下記Wagnusページを参照してください。
http://wagnus.exblog.jp/24524376/

2-1 開発番号#3ケーブル (3.5mm 3極 single end)

細身でしなやかなケーブルで、コンパクトなKatanaによく合います。

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開発番号#3ケーブル

音としては標準ケーブルに印象の近い、よりステージよりの音で迫力重視ともいえます。
もちろん音質はかなり高く、標準ケーブルよりさらにクリアにベールをはがしたようにはっきりと聞こえます。標準ケーブルをそのままよりワイドレンジにした感じで、中高域はよりシャープになり、低音域はより躍動的に感じられます。
またFrosty Sheepにくらべるとやや中高域に強調感があり、Katanaの明瞭感・鮮明感をよりはっきりと生々しく感じられます。
標準ケーブルを高性能にした感じで、標準から変えた時の違和感は少ないと思います。

2-2 開発番号#3ケーブル (2.5mm balanced)

これはAstell & Kern規格の2.5mmバランスケーブルです。プラグも良い出来です。

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開発番号#3ケーブル Balanced

バランス化によってより音場が広がり、よりダイナミックになり、3.5mm版よりもより余裕が感じられます。2.5mmバランス端子のDAP・アンプを持っているならばお勧めです。

* まとめ

個人的な感想を書くと(いつも個人的な感想ですが)、ケーブルとしてはFrosty Sheepの方が音に高級感があり、実際に高性能だと思います、アカペラヴォーカルはFrosty Sheepの方がより細かい声の表情をとらえられました。ただKatanaの音には#3ケーブルが合うように思います。標準ケーブルでの音が好きという場合にも良いステップアップになると思います。


Wagnusさんは来週末のヘッドフォン祭に出展しますのでそこでもケーブルをいろいろと試すことができます。主な出展内容は以下の通りだそうです。
@Frosty Sheep -Extreme edition-
ASieve Sheep -Extreme edition-
BFrosty Sheep -Extreme edition- for AK BTL-Balanced 2.5mm 4pole→3.5mm
single-end 3pole Conversion cable
CSieve Sheep -Extreme edition- for AK BTL-Balanced 2.5mm 4pole→3.5mm
single-end 3pole Conversion cable
DSieve Sheep -Extreme edition- mini to mini cable
EDiamond Dust type “Noctilucent”(Diamond Dustシリーズ最新作、10/22より正式発売)
Fその他特価品予定

「Extream edition」とは半田の選定(特殊な半田)と半田付方法(企業秘密)を替えた特別仕様のモデルということです。詳しくは下記アドレスをご覧ください。
http://wagnus.exblog.jp/24672930/
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2016年10月13日

待望のWestoneの新フラッグシップ、W80レビュー

"Harmonic content is what defines the sound of an instrument, and that was the goal with W80"
- Karl Cartwright

W60の発売いらい2年ぶりとなる待望のWestoneのユニバーサルIEM新ハイエンドモデルが発表されました、Westone W80です。W60とほぼ同じコンパクトな筺体にさらに強力な8ドライバーを採用したハイエンドイヤホンで、「Signature」シリーズではW60の上のトップモデルとなります。

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店頭発売開始日は10月22日、予約受付開始日は10月15日です。 価格はオープンですが、市場想定価格は217,800円(税込)ということです。
本記事はW80のプリプロダクションモデルを使用していますので、製品版では変更があるかもしれないことを念のため書いておきます。

* W80の特徴

- 8ドライバ構成

高域・中域・低域がそれぞれBA2基のW60に対して、W80では高域が4基となります。 つまり8ドライバ構成で3Wayです。この4つの高域ドライバーにより、20kHzを超えても淀みない特性を実現したということです。BAドライバを複数配置する点は一基に対しての負荷を減らすことでドライバーの性能が向上するということがあげられます。

- Westone 独自の「クライオ処理」を施した「Westone byALO プレミアムケーブル」を同梱

箱を開けると標準ケーブルは従来通りのリモコンの付いた細いものがついていますが、ポーチの中にALOの見た目も豪華な高級ケーブルが入っています。
これはALO製のReference 8というタイプで8芯導体の本格的な交換ケーブルです。使ってみると8芯なのにしなやかで扱いやすいのも特徴です。またWestoneの端子は独特の深いMMCXプラグなので、いままでMMCXの互換リストにWestoneはありませんでした。つまりこれは特注品と言うことになりますね。いわば純正で高音質ケーブルにリケーブルができるということになります。
追記: ALOのKenさんに聞いたところ、MMCX端子側は標準品のReference 8と同じだそうです。
ただし、プレーヤー端子側が異なるということです。

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(ちなみにWestoneのカスタムIEMオーダーで極細ケーブルを指定するとEstron LinumケーブルがきますがこれもWestone向けの特注MMCX端子になっています)

- 今までのWシリーズとは一線を画したパッケージ

今回パッケージを見て驚いたのは従来のWシリーズの小さな箱とは異なって、箱が豪華で大きいということです。外箱を上下にスライドさせるとオレンジの内箱が現れ、その中にこれもまた大きなケースが入っています。

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これはプレーヤーや小物などのアクセサリーも収納可能な仕切り調整可能なバリスティックナイロン製ケースです。この中にさらにイヤホンのみ持ち歩くためのスモールケースとしてコンパクトなポーチがついていて、当初はその中にALOケーブルが入っています。このパッケージングから従来のSignatureシリーズとは別ものを感じさせます。

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なおアクセサリーではフェースプレートでこれまでの 3 色(ガンメタリックシルバー、メタリックレッド、ゴールド)に加え、メタリック ブルーが追加され4色になっています。このメタリックブルーがW80の標準カラーです。
W60同様にたくさんのイヤチップがついていて自分の好みに合わせられるようになっています。ここも装着性を重視するWestoneらしいところです。

- コンパクトなシェルを継承

Westoneの良いところはカスタムにしろユニバーサルにしろ、装着性を重視しているところです。ユニバーサルシリーズではコンパクトな点も特徴で、W60ではそのコンパクトさをそのままに6ドライバーをつめたところに驚きましたが、W80ではほぼ1mm程度の違いのみのコンパクトさに8ドライバーを詰めています。実際に使ってみてもW60とは装着性がほとんど買わりません。試聴のさいに何回もW80とW60を取り換えましたけど、まったく違和感がなかったですね。

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W60とW80

そうすると、もしかするとコンパクトさと音質を妥協したのではないかと勘繰る人もいるかもしれません。しかしながらそれを見透かすように、豪華なW80のパッケージの内箱にWestoneのサウンドマイスターであるカール・カートライトのサインが印刷されています。

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"The Quality of the sound is the most important consideration. Without that first priority met, no other consideration is relevant"
「音質は最重要の設計項目だ。その実現なしに他の設計項目を考えるのは適切なことではない」

* カール・カートライト

カール・カートライトはWestoneのサウンドデザイナーであり、Westoneのイヤフォン設計のキーパーソンです。いままでは裏方のような存在でしたが、W30ではカール自らが日本向けに(日本の曲を聴きながら)チューニングしたことが書かれ、W80ではパッケージにもカールのサインと共にこの言葉が記されています。本来はWestoneのアイコン的な存在でもあるので表に出てきても良いように思えます。
ジェリー・ハービーを「イヤフォンの神様」、ジョン・モールトンを「魔法使い」と呼ぶならば、カール・カートライトは「ウエストンのゴッドファーザー」と呼ぶべきかもしれません。実際に社内でも「ゴッドファーザー」と呼ばれているとのことです。

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Westoneのブログより、右がカールカートライト(左はサックスプレーヤーのMICHAEL LINGTON)

W60のときにカールにこのようなコンパクトサイズに6個ものドライバーを内蔵してさらに位相まで整えるためにはなにか工夫があったのではないかと聴きました。なにか特別な技術があるのではないかと思ったからです。
カールの答えは「根気強さ、実験検証、おおくのプロトタイプ、インスピレーション、そしてどのように進歩したいのかという明確な絵を描くこと。」ということでした。歴史と経験に裏付けれらたWestoneのサウンドマイスターらしい答えです。おそらく今回も聞いたならば同じ答えが返ってくるでしょう。
たしかな経験と、確固とした信念は上のW80のボックスに書かれた言葉からも感じられます。
そうして作られたのがW80です。

* W80の音

そのカール・カートライトの言葉を受けてW80の音を聴いてみました。
はじめはウェストン標準ケーブル(リモコン付き)で聴きました。AK380+AMPを使いました。

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はじめの予想はW60の音の高音域を伸ばした感じだろうと思っていたんですが、W80を聴いてみてはじめに感じたのは音の厚み・スケール感がW60よりも豊かなことです。これはW60を聴きこんでいる人ならば比較はなくても分かるくらいの違いがあります。私もぱっと聴いて、これは違う、と気が付きました。これにより単にW80がW60を小改良したモデルではないということが感じられます。
W60のレビュー記事を前に書いた時にはやはりコンパクトな筐体でスケール感があるのに驚きましたが、W80はさらに上を行きます。W80からW60に同じケーブル、同じイヤチップで変えてみるとW60の音が薄く軽く感じられてしまいます。音空間もW80の方が余裕があり広く感じられます。

聴き進めて中高域で比較すると確かに中高域はW60よりも鮮明さが増していて、より明瞭感がありますが、最近国産でよくある「ハイレゾ対応モデル」のように不自然に高域が強くてきついということはありません。そのためあくまで自然に高域の鮮明さが感じられます。W80の高域4ドライバーは純粋に倍音表現に聴いて厚みを出しているというか、あるべき形なのかもしれません。
今までのウエストンサウンドに中高域をきらびやかにした感じではあると思いますが、W60よりもやや明るめには感じられます。

厚みや空間の広さはエージングしなくてもよくわかりますが、(ケーブル込みで)エージングが進むと立体感もよく描き出し、特に中高域でW60との解像力・明瞭感の差が大きくなっていきます。
この差は楽器音の鮮明さ・音色表現にあらわれ、音色表現もはっきりとわかるようになったと思います。弦楽器は鳴りが際立ち、ハープやピアノ、パーカッションでも音より鮮明に聴こえることで音色表現の差がW60よりもよくわかります。

全体的な印象は標準ケーブルでは暖かみがあって聴きやすいWestoneサウンドです。やはりなめらかで有機的な音で、音性能の高さがきつさではなく音楽の感動に直結するような鮮明さに結びついているのはさすがカール・カートライトというべきなのかもしれません。
スケール感のある、シネマティック・ドラマティックな曲にはひときわ優れています。たとえばいわゆるエピック系のReally Slow Motion のYou wil be this legendです。試聴で流し聴きしてたんですが、これは思わず止めて二回聞き返してしまいました。イヤフォンで音楽を良く聴かせてくれるという見本のようで、なかなか感動的に盛り上げてくれます。ここもW60に変えて聞き返したんですが、W60の音だとそこまで感動的には思えませんでした。やはりW60はよいんですけれども、W80は上の上を行くという言葉が当てはまると思います。それとスケール感・厚みの感覚でもやはりW80の方が豊かというだけでなく、さらによく整った音に聴こえます。
カールはW80について「W80が目指したものはW60の良さを引き継ぐことだけではなく、これまでにない臨場感という新たな美点を楽しめるようにした」と語っていますがそれも分かります。より細かな音表現、より広い音場、それが音楽を聴くと言うことに見事に結実しています。

ただ標準ケーブルだとウェストンらしい音楽性という点では十分文句ないのですが、クリアさやワイドレンジ感でW80の真価を生かすにはやはり物足りなくなってしまいます。そこで、次にALOの付属交換ケーブルを使用して聴いてみました。

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ALOにすると高域も低域もワイドレンジで一段と音質は上がり、さきほどのW80の良いバランスの音からはバランスは大きく崩れない感じです。標準ケーブルからALOケーブルに変えると、ケーブルのおかけでがらっと印象が変わるのではなく、さきほどの個性のままクリアさ・透明感がぐっと向上し、高域がさらに鮮明に、低域がより深くなるという感じで個性的にはウェストンの音楽性を保ったまま性能が全域に高くなるという感じです。雰囲気が明瞭感が上がるので少し明るめになりますが、あいかわらずきつさはないように思います。

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さきほどの標準ケーブルではあまり感じなかったが、ALOでひときわ感じられるようになったのはスピード感が出て楽器の音の切れ味が良くなるという点で、リズム感の良い曲では標準ケーブルの時よりも自然とタップを踏みたくなったり指で机をたたきたくなるようによくのれるようになります。


アクセサリーではW60で作ったカスタムイヤチップのUM56もそのまま使うことができます。これによってさらに音質を上げることもできます。
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W80はWestone純正のBluetoothアダプターも役に立ちます。
たとえば今回実際にあったんですが、AK380+AMPで高音質でW80を楽しんでいるとき、同時にiPhone 7のストリーミングサービスのSNSでお気に入りのアーティストの新曲がアップされたというニュースを見たときに、すぐに聴きたいがW80をちょっとiPhone7につなぐことができないのがやはり不便ではあります。そこで、Bluetoothアダプタをバッグに入れておくとW80をBluetoothアダプタにつなぎ変えてiPhone7のストリーミングから新曲を聴くことができます。
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* まとめ

W80はW60と同じ装着感のよいコンパクトなボディの中にW60よりも一段高いレベルの音を実現しています。音も音楽を気持ちよく再現するウエストン・サウンドを継承したうえで進化させたものとなっています。ALOのケーブルもWestoneの音と端子に合ったもので純正リケーブルのような付属品となっています。

カール・カートライトは「W80ではドライバー数が多くなっているが、数を増やすことが目的ではなく、より良い調和性を追求した結果である。」とも述べています。調和性(harmonic content)とはその楽器の特徴を明確にし、演奏した部屋の広さや反響音まで分かること、という意味のようです。
彼が言うには反響音や余韻の中に音の特徴が聴こえること、それで楽器の音を特徴づけると言うことがW80で目指したゴールであり、これが冒頭に書いたカールの言葉です。そしてそれはみごとに結実しているのではないかと思います。

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「秋のヘッドフォン祭 2016」では Westone ブースを出展し、ブースでは「W80」を含む、Westone の全モデルを試聴できるということです。 また、本イベント内の 23 日(日)14 時〜 中野サンプラザ 7 階研修室 11 にて「Westone 新製品発表会」を開催するそうです。 ぜひこのカール・カートライトの新たな作品を試してみてください。
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2016年10月12日

DJタイプの高音質BTヘッドフォン、Pendulumic TACH T1

Pendulumicは海外でも音質の良いBluetoothヘッドフォンとして最近注目されてきています。前回はS1というモデルを紹介しましたが、今回はT1というDJタイプのモデルを紹介します。日本には宮地商会(M.I.D)が輸入して、各ヘッドフォン販売店で購入することができます。
http://www.miyaji.co.jp/MID/product.php?item=TACH%20T1

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* T1の特徴

基本的な特徴はS1と準じますが、いくつか新機能が付加されています。またT1は日本でも販売されていますので、日本語の解説書がついています。

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T1は端的に言うとアンプ内蔵のBluetoothヘッドフォンです。特徴としては充電式のバッテリーのほかに乾電池(単4)も搭載していることです。このことにより、両方を併用してBTでの使用時間を延ばすことができるとともに、いざ使いたいときに充電していない、というミスを防ぐことができます。また無線の使用時間は最大25時間(メーカー公表値で電池使用含む)を確保しています。

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またT1は無線でも有線でも使うことができます。S1では手動での切り替えですが、T1ではケーブルを接続することで自動的に有線モードになります。有線モードのアンプあり、有線モードのアンプなしはスイッチで切り替えます。有線でもアンプを入れたほうが音質は高まりますが、バッテリーも消費するためにこのような使い分けが可能となっています。またそれぞれのモードでスマホなどでの電話通話に切り替えることができます。
聴き比べてみるとT1はS1よりも有線モードの音質が高いように思えます。

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またこれもS1と同じなのですが、PendulumicのBTヘッドフォンのポイントとしてハウジングには操作つまみがついていて、これを押しこむことでリモコンの働きをして再生・一時停止や曲送りが可能です。またこのつまみを回すことで音量を手元で調整できます。これ以上上がらなくなると音で警告します。

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そのほかの機能としてはBluetoothは4.0に対応していて、Apt-Xコーデックも使用ができます。
ドライバー口径は40mmで周波数特性は20Hz-20kHz(apt-x時)、インピーダンスは32オームです。重さは245gです。

T1では新機能としてSharing modeという機能が追加され、二人がT1を持っていれば一台目のT1が゛二台目のT1に音楽を飛ばして同じ音楽を共有できるようになった。四角いボタンがシェアリングボタンです。
また映画を見てても気にならない程度の低レイテンシーをうたっています。

* 音質について

試聴はiPhone6/5s、AK240と行いましたが、特にひどい音切れはないように思えます。アプリはKaisertoneを使用しました。
S1はわりと整ったいわばジャズクラシック向けのような音だったけれども、T1は見た目通りのDJタイプっぽい低域強めの音です。高域は強くなく柔らかめで、中音域の音も丸く柔らかいがわりと明瞭感もあります。全体的には低音域を中心とした音といえます。
かなりベース偏重の音なので、好みは分かれるかもしれないけれども、個性がはっきりしているのでEDMとか聴くジャンルがはっきりしている人にはかえって選びやすいと思います。

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無線の時はボリュームが下がって音が低く聴こえるときがあるので音が小さめの時はまずつまみを操作するとよいと思います。

音的にはAstell & KernプレーヤーとBluetoothで接続したほうが向上します。そこでAK240と組み合わせてみました。この場合はAPT-Xが有効となります。
音の傾向はiPhoneと同様のベースヘビーなDJタイプだけれども、AK240と合わせると歯切れの良さが向上し、ベースやドラムスでもアタックが気持ちよくなります。ヘビーなロックやポップの再生が楽しめます。ただアコースティックな曲の再生などにはやはり向いていないので、ロックやダンスミュージックをヘビーに楽しむというのが良いと思います。
有線でアンプをオンにすると内蔵アンプの効果もあってか、パワフルで迫力があるサウンドを楽しめます。

T1は音とデザインがDJタイプらしくはっきりしているので、聴きたい音楽がはっきりしている人にお勧めです。
秋のヘッドフォン祭では13F宮地商会(MID)さんのブースでT1を聴くことができます。
良いDJタイプのタイプのワイヤレスヘッドフォンの探している方はぜひどうぞ。


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2016年10月11日

AK70のUSBオーディオ出力機能とDAC内蔵アンプいろいろ

AK70のUSBオーディオ出力機能を使っていろいろなDAC内蔵ポータブルアンプ(?)と組み合わせてみました。

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Chord Mojo (USB Micro)
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一番スタンダードというか、推奨的な組み合わせ。両方ともコンパクトで持ち出しやすいし、音質的にも期待できます。少し熱くなりやすいですが、大きな接続問題は起きないように思います。
前はあやしいUSB OTGケーブルを使ってましたが、フルテック(ADL)のOTGに変えたところ、ハイグレードな音を楽しめるようになりました。特に良音源のときにさすがパルスアレイDACというAK70単体よりも高度な音質再生を楽しめます。


Chord Hugo (USB Micro)
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USBにはSD(44まで)とHD(ハイレゾ)の二つの端子がありますが、HDのときにはクラス違いの「別物」と思わせるようなハイグレード再生を聴かせてくれます。AK70(および300シリーズの)最新ファームを適用することで正常に鳴らすことができます。音の微細なテクスチャがよくわかるという感じです。

ALO Continental Dual Mono (USB micro)
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CDMの音はやはり別物感があると同時に真空管っぽくて個性的です。鮮烈でかつ分厚く、躍動的でかつ滑らかという感じ。ちょっと熱くなるのがなんではありますが。
AK70/300シリーズのUSB out機能を使うにはCDMはミックスウェーブさんのカスタマイズサービスを適用する必要があります。

iQube V5 (USB Mini)
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これは個人的にかなりはまった組み合わせ。V5ではDACもアンプも再設計されて刷新されたおかげで、これも「別物」的な音世界を聴かせてくれます。やや大きいのですが、まあ許容範囲かと。個人的にはお勧め。

iFI Micro iDSD (USB Aソケット)
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これも別もの。IEmatchも効いて音に深みが出る。Xbassとか機能もあって好みの味付けができるのも良いけど、すべてオフの状態でDACが良質と思う。歪みの少なさ純粋さワイドレンジ感などDAC IC外の回路の出来が良いという気がする。ここはさすがトルステンで手は抜いてません。ただ縦に長いのがちょっとバッグに収まりにくいです。

Aurender Flow (USB Micro)
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Flow側でOTGと認識して動作します。Flowは操作ボタンもあるのですが、このFlow側の操作ボタンも生きているというか、連動してAK70の操作ができると言うことが分かりました。つまりAK70ではオーディオ信号だけでなく、HIDクラス(操作コマンド)信号も理解しているということです。さすがに据え置きアンプ品質で、特に音の広がり感がすごいですね。
ちょっと重いですが、AK70側で内蔵ハードディスクも認識してくれれば意外と使える組み合わせとなるかもしれません。

AD1866 (USB Mini)
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当時は珍しかったデジタル入力専用のポータブルアンプで、Bluetoothが使えるのが斬新でした。音もなかなか優れていて、マルチビットDACのAD1866を使った滑らかな音再現を楽しめます。
アンプ部分もなかなか良いのですが、USB入力では少しノイズが乗ります(アンプ側のなにかのシールド問題だと思います)。

Companion one (特殊USB Micro)
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これは世界初のDLNA(uPnP)対応ポータブルアンプですが、USBも対応します。実はこれだてに大きいだけでなく音もなかなか優れたアンプです。
ただこれは普通のUSBマイクロに見えますが、実は特殊で添付の専用OTGケーブルでないと使えません。普通のマイクロが付けられないように彫り込みされています。フルテックなどの高品質ケーブルが使えないのでそこが難ですね。

Govibe mini (USB Mini)
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ちょっとクラシックの領域に入りますが、きちんと使えます。元気のあるパワフルなGoVibeサウンドを楽しませてくれます。
古いけれども、音的な面白さはいまでも通用しそうです。

Astell & Kern AK380 (USB Micro)
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ネタと言われるとネタなのですが、けっこう良い音します。AK380はネイティブ再生できる範囲も広いのでUSB DACとしてもきちんと活用できるということですね。

しかし以前はDAC内蔵アンプとDAPをつなぐには光しかなかったのですが、USBでつなげられるということが意外な組み合わせも可能なように思います。
iBass D100とかHeadroom MiniとかPorta Tubeとかもそのうち試してみたいですね。
posted by ささき at 12:39 | TrackBack(0) | __→ AK100、AK120、AK240 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月07日

JH AudioとAstell & Kernの新コラボIEM、Michelle登場

JH AudioとAstell & Kernの新コラボIEMであるユニバーサルIEMにMichelleが登場しました。

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低域、中域、高域にドライバーが一つずつで3Way構成です。日本での発売日、価格は未定ですが、参考価格としてはUS$499ということですのでかなりお手軽な価格です。この価格で2.5mmバランスケーブルも付属しています。ケーブルはMoon Audio製ですが、他のSirenシリーズモデルのような4ピンの低域調整機構はなくて、2ピン端子です。

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3Dプリンタでのシェルデザインで、優れた装着感を実現し、JH AudioならではのFreq Pahseも採用されています。名称はガンズの"My Michelle"です。

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実はおととい記事に書いたHeadFiのCanJamのビデオにも15:20に登場していますので動画で見たい方は下記のリンクをクリックしてください。(15:20から始まります)
https://youtu.be/6i87LEnC1O8?t=917
なおJH AudioではJH16v2も発表されています。
posted by ささき at 11:02 | TrackBack(0) | __→ JH13, JH16 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする