Music TO GO!

2018年05月31日

Astell&Kernの新DAP、SE100とSR15の発表会

本日はアユートさん主催のAstell&Kern新DAPの発表会に行っていました。

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A&future SE100とA&norma SR15です。どちらもSP1000と同じく第4世代となります。

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SR15

それぞれのラインナップの意味としては、フラッグシップ(SP1000)は究極、プレミアム(SE100)は最新の技術を投入したもの、スタンダード(SR15)は出発点ということです。つまりそれぞれは単なる上下ではなく、それぞれのターゲットに向けて最適な製品開発をするためということです。それぞれのラインナップごとに異なるDACメーカーを使用しているのはそういうためもあるそうです。

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SE100

SE100は"the radically different sound"ということで、その通りにAKではじめてESSを採用しています。
ESSのES9038PROを一基使用していますが、ES9038PROは一個で8chの出力が可能であり、左右をそれぞれ4chずつ担当させることで従来のデュアルのように設計しているようです。
PCMは384kHz/32bitまで、DSDは11.2MHzまで対応しています。第4世代らしくアンプはバランス出力が強力に設計されているようですが、あとの試聴でもそれが実感できました。
オクタコアCPUを採用して、ユーザインターフェイスは新しくなっています。メニューを浅く、再生と管理を分けたということ。AK CONNECTは踏襲されています。

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SE100

デザインコンセプトは平行四辺形で、側面が斜めになっているため従来の再生ハードボタンが浮いて見えるのが面白いところ。
筐体はアルミニウム合金で、背面にはガラスプレートが設置されAマークが浮き出ています。
内蔵メモリは128GBでSDスロットはトレイなしのタイプが1基搭載されています。充電端子はUSB-Cタイプ。
価格は219980円(直販価格 税込)ということ。

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SE100

持ってみると大きいけれど軽いという印象です。操作は早く快適です。音はDITA Fidelityを使用しました。やはり音はAK380と比べるとESSっぽい冷ややかさがあり、SN感の高さと透明感がひときわ高いのもESSらしい点です。音のキレが良く明瞭感が高い音でわりとフラット基調です。
アンバランスでもAK380よりはひとレベル高い性能ですが、バランスにするとSE100はなんかスイッチが入ったようにターボモードになる感がありますね。今までで一番アンバランスとバランスの差があるかもしれません。

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AK70とSR15(右)

SR15は"HiFi standard redefined"ということで、定番AK70の更新であるようにも取れます。
これはシーラスロジック「CS43198」をデュアル搭載しています。CS43198は久しぶりに開発されたシーラスロジックの最新DACチップで、長らくこの座にあった4398の後継でもあります。シーラスの基準のMasterHIFIというハイグレード製品ですが、主眼としてはコンパクトで低消費電力なので、ポータブル製品向けと言えると思います。

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SR15

SR15はクアッドコアCPUを搭載し、PCMは192kHz/24bit、DSDは2.8MHzまで対応します。筐体はSE100と同じくアルミニウム合金で、内蔵メモリは64GB、こちらもトレイなしSDスロットを1基搭載しています。
デザインが特徴的で手に持った時に画面が垂直になるように液晶自体は斜めに設計されています。価格基99980円(税込 直販)ということです。

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SR15

手に取るとややAK70より厚めの印象です。操作が速くスクロールも画面遷移もSP1000なみです。
音はAK70系と似ていて、低域に厚みと重みがある傾向です。ただAK70よりも音は明瞭感が高く、音がより細かい感じはしますね。こちらもバランスにするとスイッチが入ったようにパワフルに感じました。


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音としてはSE100ではESSっぽい音造りになって、SR15ではAK70の音を踏襲した感じです。
興味深かったのはバランスとアンバランスの差が大きいということです。試聴はFidelityのAWESOMEプラグを変えながら行ったのでかなり良くわかりました。SP1000/AK70IIでもそれまでより差があったけど今回はさらに大きく、スイッチ入れたみたいに違うのが面白いですね。バランス対応イヤフォンが欲しくなることでしょう。

発売時期はSE100は6月中旬予定で、かなり確実。SR15は7月下旬予定で、遅れるかもしれないとのことです。
posted by ささき at 20:19| __→ AK100、AK120、AK240 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月25日

ヘッドフォンブック2018に執筆しました

現在発売中のヘッドフォンブック2018に執筆しました。
ヘッドフォンブックではアワードの審査員となり、発表式での司会を行いました。
本誌の記事ではP-12 Campfire Audio CASCADE、P-24 JH Audio Billie Jean、P158 Westoneのインタビューなどを書き、またレビューではBayer Aventoワイヤレス、Beoplay E5、JVC ET900、LCD XC、ME-1なども書いています。
ぜひお買い求めください。




posted by ささき at 15:46| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月24日

iFI-Audio機器とMQA対応の記事を執筆しました

iFI AudioサイトとPhilewebに、MQA対応を果たしたxDSDなどiFI機器をどのように活用するか、そもそもMQAデコーダーとレンダラーの違いはなにか、というところを詳細記事に書きました。内容に関してはMQA ltdに協力をいただきました。

またトルステン博士に聞いたxDSDではなぜパワーモードがなくても良いかなどのヒミツ、またMQA-CDをリッピングした音源はソフトウエアによって挙動が異なる、という細かなところまでカバーしてます。これはAudirvanaもRoonも直に開発者に聞いて確認しています。
ぜひご覧ください!

iFI-Audioサイト

Phileweb


posted by ささき at 18:52| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

PhilewebにCampfireインタビューと新製品レビューを執筆しました

PhilewebでCampfire AudioのKenさんインタビューと新製品ATLAS、COMET、CASCADEのレビューを執筆しました。
インタビューはなぜCOMETはシングルでワイドレンジを達成できるか、VEGAからATLASへの進化など濃い内容になってますのでぜひご覧ください。

posted by ささき at 10:31| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月17日

Tyl Hertsenの引退、ひとつの終わりと始まり

HeadFiにTyl Hertsenがこの業界から引退したという記事がJudeによって投稿されています。
昔からのファンにはおなじみのアロハシャツの名物おじさんのような人ですね。

https://www.head-fi.org/threads/a-headphone-tribute-goodbye-to-tyll-from-innerfidelity.879586/page-4#post-14239641



これに合わせてJudeが当時(2001年頃)の話をしていますが、Headfiの前にあったHeadWiseというフォーラムでのHeadroom主催のコンテストでJudeが射止めたHeadroomの景品からヘッドホン熱があがった、ということなどが書かれています。おそらくオンラインでヘッドフォン関連を売る、アンプを自ら開発するという点では世界初だったのがHeadroomです。
いまでは日本の大手メーカーもバランス駆動を普通に採用していますが、その先駆者もHeadroomでした。もともとはHeadroomのヘッドフォンアンプを二大連結してBTL駆動するというコンセプトのもので、3ピンXLR端子が二股に分かれたバランス端子はそれゆえです。
DAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプも、ポータブルの単体DACなるものも、さきがけはHeadroomです。

Tyl Hertsenはその後にHeadroomを辞めてInnerFidelityというサイトでジャーナリストとして活躍していました。そこでも引退の記事が載っています。
引退後はモバイルホームのような車で気ままに暮らしたいみたいに書いてあります。
また引退の理由として、もう耳が老いてしまったということや、25年もいろいろ書いてきて燃え尽きた、もう自分の使命は果たしたということも書いています。そして自分は根っからの冒険者であり、自然の中を旅したいんだ、ということも。事実そうした冒険者マインドがこのパーソナルオーディオという分野を切り開いてきたんでしょう。
https://www.innerfidelity.com/content/thats-itim-out

InnerFidelity自体は続くようです。私も少し前にTyl Hertsenにヘッドフォン祭に来ませんか、と誘ったのですが(レイ・サミュエルズとか誘ったころ)、残念ながら実現しませんでした。

一方のHeadroomでは最近アンプを作ったりメンバーがヘッドホン祭に来てたりしてましたが、最近またフォーラムを作って活動再開しようとしてます。
https://forum.headphone.com
このパーソナルオーディオ界隈でアンプというとは私とかはアメリカの製造するアンプを思い浮かべますが、いまではめっきり低調になっています(HeadAmpなんかはいまでもやってますが)。
ちょっとさみしい気もしますので、なにかまたはじまれば良いのですが。
posted by ささき at 10:15| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月14日

ヘッドフォンアワード2017-2018表彰式

私が司会しました、ヘッドフォン祭で開催されたヘッドフォンブック2018のヘッドフォンアワード2017-2018の各受賞者の写真が届きましたので掲載いたします。

まず総評として大塚康一先生に挨拶いただきました。

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イヤフォン部門
プレゼンターは野村ケンジ先生です。

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エントリークラス ファイナル E3000
S'NEXT株式会社 代表取締役 細尾 満 様、取締役営業部長 工藤 岳 様
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ミドルクラス     フィーオ F9 Pro
株式会社エミライ 取締役 島 幸太郎 様
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アッパークラス    JVC HA-FD01
株式会社JVCケンウッド メディア事業部 技術本部 技術2部 美和 康弘 様
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ハイエンドクラス   64オーディオ tia Fourte
64 AUDIO CEO ブラッド・ベロノシュコ 様、ミックスウェーブ株式会社 コンシューマーオーディオ部長 宮永 賢一 様
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大賞      フィットイヤー FitEar Universal
株式会社 須山歯研 代表取締役社長 須山 慶太 様
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ヘッドフォン部門
プレゼンターは岩井喬先生です。
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エントリークラス オーディオテクニカ  ATH-AR3BT
株式会社オーディオテクニカ マーケティング本部 広報宣伝課マネージャー 松永 貴之 様
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ミドルクラス    MEZEオーディオ 99 classics
Meze Audio Chief Designer & Founder アントニオ・メゼ 様
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アッパークラス  ソニー WH-1000XM2
ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社 商品設計部門 商品設計1部 2課 鬼頭 和久 様
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ハイエンドクラス オーディオテクニカ ATH-ADX5000
株式会社オーディオテクニカ マーケティング本部 広報宣伝課マネージャー 松永 貴之 様
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大賞      ファイナル D8000
S'NEXT株式会社 代表取締役 細尾 満 様、取締役営業部長 工藤 岳 様
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周辺機器部門とヘッドフォンの殿堂
プレゼンターは山本あつし先生
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周辺機器部門 A&ultima SP1000
アイリバー Global Business Unit ソニア 様
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ヘッドフォンの殿堂 Shure SE535
Shure Inc. カテゴリーディレクター マット・エングストローム 様、ショーン・サリバン 様
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最後は受賞者全員で。来年もよろしくお願いします。
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posted by ささき at 20:42| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月04日

ヘッドフォン祭2018春レポート

恒例のヘッドフォン祭2018春のレポートです。

* ヘッドフォン関係

今回の話題はまずMEZEのEmpyreanでしょう。

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MEZE Empyreanと開発者

まずEmpryeanのキャッチフレーズである"Isodynamic Hybrid Array Headphone"とはなにかというと、簡単に言うとアイソダイナミックとはダイナミック型の平面駆動形式のことです。これはメーカーによっても呼び名が異なり、ヤマハではオルソダイナミックと呼んでいますが基本同じものです。対するのは静電型の平面駆動形式などです。
ハイブリッド・アレイの方は、二つの周波数帯と設置位置の異なるコイルパターンを組み合わせたのでハイブリットアレイと呼ぶようです。コイルパターンはアイソダイナミックでは肝となるところで各社の独自技術が詰まっています。
音はミッドレンジが豊かで厚く、帯域特性も広く、トランジェントが良いのも特徴です。Empyreanは開発者にインタビューもしたので細かく書く機会もあるかもしれません。

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MEZEのEmpyreanは発表会も行いました。EmpyreanはMEZEのほかに平面ドライバー開発を担当した開発者も発表しています。

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HD820

ゼンハイザーのHD800の密閉型版のHD820。たしかにHD800とは微妙に音が違いますね。クローズかっていうとそうでもないし、オープンかっていうとそうでもない、不思議な感じです。

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STAX 007Sと旧タイプ

STAX 007S。旧タイプとの比較試聴ができました。たしかに新型の方が音が締まってる感じはしますね。

* イヤフォン関係

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Campfire Audioが発表したAtlasとCometも話題でした。これはKenさんにインタビューしたので少し後に詳しく書けると思います。
音はAtlasではとても雄大な音で、Cometはシングルながらワイド連場がポイントです。Kenさんの好むシンプル・イズ・ベストを体現したような新製品です。

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JH Audio Billie Jean

JH Audioでは直前に末娘のBillie Jeanが発表されました。こちらは今月発売のヘッドフォンブックに1600字ほどMichelleとの比較も含めた記事を書きましたのでそちらをご覧ください。

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左:Billie Jean 右:Michelle ltd

黒のMichelleと比べるとBillie Jeanがより小さくて、ノズル部分の形状が異なることがわかります。ここがアコースティックチャンバーです。

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Ditaはツインズコンセプトに基づくFealty(シルバー)とFidelityを発表しました。音質は共通特徴はDreamゆずりの切れ味良いもので、Fealtyは強調感高く、Fidelityは自然な感じです。こちらについてもツインズ・コンセプトとはなにかということを含めて近いうちに書く予定です。

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AZLA Horizon(左)とAZLA 2

AZLA Horizonと祭りの日に公開されたAZLA 2。HorizonはAZLAから中高域BAを取ったことで中低域によりフォーカスした感じの音ですね。ポップロック系には向いていると思います。コンパクトなのもよい点です。

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ShureはKSE1500の第二弾としてKSE1200を出しました。アナログ回路だけになって安くコンパクトになったものです。
たしかにホワイトノイズっぽいのはほとんどないように思えます。デジタル回路を取ったからでしょうね。イヤフォン部分はKSE1500と同じものですが、1200のアンプ部のみの別売りは検討するとのこと。

*DAP/アンプ

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xDSD、xCanとトルステン博士

iFiの参考出品xCan。xDSDと違いアナログアンプです。ただしBTレシーバーとESS DAC(BTのみのため)を持ってます(オプションらしい)。

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PAW Gold touch

新製品PAW Gold touch。独自OSのままでアンドロイド風のUIを作ってるようで、動作が速いのが特徴。音の力強さは前モデル譲りですね。

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シャーロックアンプ

Jabenブースではファンタジーの人が作ったK1000を鳴らせるシャーロックアンプが注目です。(http://jaben.jp/)
これはなんと低価格のアンプを2個使ってブリッジにできるモードがあります。スイッチは背面。
わたしK1000の専用SACアンプも持っていて、K1000を鳴らすためにVinnieさんのRed wine Signature30まで買ったほどなんですが、このアンプでK1000で高域がキンキンせず、きちんと低音が出るのには脱帽です。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/867406-1.html
そうするとこの独特の音場にはまってしまい、K1000って長時間聴くと締め付けでコメカミ痛くなるというところまで思い出すほど聞きほれてしまいました。

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こちらはいよいよ来ましたHeadAmpのBlue Hawaii。GSX-2なんてのもありました。
わたしは旧GSXも持っています。下に書いたGSXの記事はおそらく日本にはじめてバランス駆動なるものを詳しく紹介した記事だと思います。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/1838452-1.html
かなり長いブランドですね。基本HeadAmpはギルモア博士のデザインに沿っていて、GSXもBlue Hawaiiもその点では同じはずです。GSXであればDynaloをバランス化したDynamidに電源強化したものです(BTLなので)。
納期はいろいろ言われていましたが、最近は改善したということ。いまは10年前とは違って静電型もダイナミックの平面型も普通の時代なので、見直されてもよいかもしれません。

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HiFimanの参考出品、R2R2000。R2RはマルチビットのことでPCM1704Kを使用しています。
たしかに滑らかで、コンパクトボディとは思えないような滑らかで厚い音が出てました。

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AKGのヘッドフォンアンプ。A級っぽいアナログ的な暖かい音が出てました。AKG K701の流れをくむヘッドフォンによく会うかも。
AKG N5005はレビュー記事をうちで書いています

また、今回も最後にはヘッドフォンアワードの司会を行いました。
印象的だったのはShureのマットがアワードが閉会した時に私の方に来て"Thank you!"って握手してきたことです。そういえば前にも外国メーカーの人が同様に握手してきたことがあったなあ、と思い出しました。日本人的には司会というとただのスタッフというか裏方的ですが、この辺の感覚の違いはちょっと興味深いと思います。
posted by ささき at 14:51| ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月24日

JH Audioの末娘、Billie Jean登場

JH Audioの末娘、Billie Jeanが登場しました。
レビュー記事を今度のヘッドフォンブックに書きましたので発売のさいにご覧ください。

簡単に書くと、まず小さいのが特徴で、Billie Jeanの名はマイケルジャクソンの曲からとってます。音は低域が厚いMichelleと比べると、中高域の鮮明さが特徴的で、これは新規採用のアコースティックチャンバーゆえかもしれません。

このアコースティックチャンバーについてはジェリーに直接聞いてみたんですが、音質的にはTAECのようにアコースティックフィルターを排するものではなく、ロールオフする前の高域のピークをスムーズにして高域を伸ばすためということです。

posted by ささき at 11:25| __→ JH13, JH16 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月20日

AKG N5005レビュー

AKG N5005はN30やN40のようなNシリーズの流れをくむハイエンドIEMの新製品です。それと同時に名称からはAKGの名機であり一時期を築いたK3003を連想します。もちろん私的にもK3003との比較が興味あるところでした。(K3003は併売とのこと)

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AKG N5005とSP1000SS

AKG K3003の2011年のレビューは下記リンクです。記事に出てくるプレーヤーが時代を感じさせます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/227180797.html

* K3003からN5005へ

まずK3003を少しおさらいすると、2011年のK3003のデビュー当時はBAとダイナミックとのハイブリッド自体が珍しい形式で先駆的な製品でした。 またK3003はハイブリッド形式というだけではなく、ダイナミックドライバーと直列にBAドライバー(TWFK)をステム(ノズル)内に配置して、チューブレスで耳穴にダイレクトにBAドライバーの音が届くという点で画期的でした。その鮮烈な音が当時のユーザーを魅了したわけです。下のK3003の内部構造と画像を見てもらうとノズル部分の構造が良くわかると思います。
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左: K3003の内部構造(AKGサイトから転載)

音をチューニングする音響フィルターを替えられるという方式もこうしたダイレクトな音作りならではと言えたかもしれません。このフィルター交換とノズル部分の構造はN5005に継承されています。
また共振を抑えたステンレス製の筐体もポイントですが、これもセラミックという形でN5005に引き継がれます。

K3003では3Way 3ドライバーで2基がBAで中域と高域、一基がダイナミックで低域のハイブリッド形式で、N5005では4Way 5ドライバーとなり、中域にドライバーが足された感じです。ダイナミックドライバーはK3003が9.8mmに対してN5005は9.2mmということです。N5005では口径は小型化していますが、後に音質で書くように性能は向上していると思います。

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AKG N5005

N5005ではNシリーズの流れを汲んで筐体デザインが耳掛けできるシュア方式を採用しています。(この方式はWestoneのカートライト兄弟がShureもアウトソースで手がけていた時のデザインなのでカートライト方式というべきかもしれませんが)

* パッケージ

パッケージではまず交換ケーブルの多さが印象的です。K3003はリケーブルできないのが残念なところでしたが、N5005はこれでもかというくらいの交換ケーブルが初めから標準でたっぷり入ってます。

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ケーブルは3.5mm, 2.5mmバランスのほかにBTアダプタケーブルも同梱され、さらに国内ではAKGの純正の交換ケーブルであるCN120-3.5も入っています。これだけはじめから入っているのは珍しいですね。その他にはBTアダプタ用のUSBケーブルや各種イヤチップとクリーナーが入っています。

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BTアダプタはWestoneやShureと同じタイプのように見えます。MMCXプラグの汎用品としても使えそうですが、他のメーカーイヤフォンは保証外ということのようです。

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3.5mmは耳フックの部分がメモリワイヤのようにヒートシュリンク加工がされていてリモコンのついたケーブルが入っています。3.5mmについてはさらに上級グレードのCN120-3.5が付属しています(国内)。2.5mmバランスケーブルは3.5mmの標準と同じケーブルです。

ただケースについてはK3003のケースが気にいってたのでデザインを踏襲してほしかったとは思いますね。

* 音質

イヤチップはSpin Fitと標準的なラバーの二種類が入っています。
K3003と比べるとK3003が従来的なイヤフォンの形を踏襲していたのに対して、N5005ではもっと新しく耳にはまりやすい形をしています。N5005では耳に回す方式のためにK3003のストレートインよりも外れにくくなっています。筐体にはダイナミックハイブリッドらしくベント穴が空いてますね。

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N5005とAK380

まずAstell & KernのAK380を使いました。N5005の能率はやや低めに感じます。
まずリファレンスフィルター、ラバーイヤチップ、3.5mm標準ケーブルという条件で聴いてみると、中高域のバロックバイオリンの音色が響き豊かに美しく再生され、高域の痛さは少なく、厚みのある音の高級感が感じられます。これだけでもハイエンド機の品質と感じられます。また音に粗さが少なくケーブルが高品質な気もしますね。
リファレンスフィルターでも十分に低音の量感はあって、帯域全体では少し低域多めの音楽を楽しみやすいチューニングになっていると思います。低域もわりと低いところまで出ている感じです。中音域ではジャズヴォーカルや楽器とのバランスが良いと感じられます。
全体的にいうと低域の質が高く、深く重く出ていると言えます。これがひとつの要因として豊かさと厚みが感じられてN5005を高級な音にしていると思います。細かい音もよく抽出されていて解像感も高いと感じます。
AKプレーヤーでは2.5mmケーブルを使うことでさらに立体感が高く上質な音楽を楽しむことができます。音の重なりも一層よくなります。


なお国内版ではAKGの純正交換ケーブルであるCN120-3.5が付属しています。
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CN120-3.5はとてもしなやかなケーブルで見た目も高級感があります。柔らかいのでメモリワイヤや曲げ癖がなくとも耳にかけるのは容易です。音質は透明感が高く、音の純度が高いという印象です。高音域がきつすぎずに透明感を堪能できるのが良い点です。低音域も十分な量感があってタイトで膨らみが少なく、品質の良い低域が楽しめます。音調もニュートラルで着色感も少ないですね。
全体に標準ケーブルよりさらに音の粗さが少なく滑らかで高品位なN5005にふさわしいボーナスと言えるでしょう。


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プレーヤーをAstell & Kern SP1000SSに変えるとN5005の音再現性能の高さがより一層高く感じられます。SP1000のハイエンドオーディオ並みの細やかで色彩感豊かな音がN5005をより高みにもっていく感じですね。SP1000SSモデルの持ち味の至高の透明感もN5005では十分に堪能できます。ベルの音が澄んで綺麗なのは中高域ではなく、本当の高域が綺麗に出ているからでしょう。
低域の深さもSP1000で聴くといっそう引き出され、これゆえに広いスケール感も味わえます。ダイナミックドライバーの躍動感がSP1000のパワー感を生かしてるのも魅力的な音楽再生です。N5005はまぎれもなくハイエンドクラスの音を持ったフラッグシップと感じることができます。

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N5005、付属のBTアダプターとiPhone X

Blutoothアダプターケーブルもおまけというだけではなく、かなり高品質を感じさせます。形からはWestoneやShureのアダプターと同じOEM先のように思えるけれども、操作部は左になっています。もっとも電子部分のOEM先が同じでもオーディオ部分のチューニング次第で音は左右されるらしいので、そこはAKGの音に合わせているのでしょう。SP1000とは高品位コーデックであるAptXで接続ができます。透明感が高く、すっきりと音が伸びていく感じです。
iPhoneとの組み合わせでも音質は十分に良く、iPhone X(iOS11.3)との組み合わせではN5005の性能を十分に堪能できるほど音質が高いと感じられます。高低のレンジ感も十分にあり、iPhoneやスマートフォンを見ながらの通勤や通学の手軽で高音質のぜいたくなお供としてお勧めです。

* 音質調整フィルター

調整用の音響フィルターはねじ込み式でK3003と同じ方式です。ねじ込みはスムーズですが、パーツが小さいので広いテーブルか箱の上でやったほうが良いと思います。

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ヴォーカル域に鮮明さを足したいときはMid-Hghフィルターを使うとよいですね。低域はより締まった感じになるのでジャズはこれが良いように思えました。バイオリンもMid-Highで高域がより伸びるように感じられますが厚みがやや失われるので好みもあると思います。
Highフィルターだとさらに高域はシャープになるのですが、個人的にはやや高い音がきつめに感じられます。このフィルターでも低域はあまり落ちないので低域の強さはダイナミックドライバー由来のものだと思います。

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N5005のノズル部分もK3003と共通する設計ということがわかると思います

Bassフィルターは低域強めというよりも高域を抑えめにするという感じに思えます。たとえばヘビメタのようにきつめの曲にはよく合います。リファレンスでもメタルを聴くと高域が刺さる感じがしますので、そうした調整に向いています。
比べてみるとリファレンスはreferenceというよりもMid-Lowといったほうがよいかもしれません。N5005ではMid-Highの調整フィルター種類が増えたのでリファレンスがやや低域寄りになったかもしれませんね。

フィルターに関しては低域はわりと強めでほぼ変わらず、高域の強さを調整するという感じに思えます。曲のジャンルや録音によって変えるとよいでしょう。個人的にはリファレンスかMid-Highが常用できると思いますが、この二つは個人の好みだと思います。HighとBassは曲や録音によって使いわけるとよいのではないでしょうか。

*N40、K3003との音質比較

N40と比べるとN5005は全体に一段上のレベルで、特に音の豊かさ厚みが違います。N40も価格的にはよいと思うけれども、N5005はやはり高級機のハイレベルな格上の音再現を聞かせてくれます。たしかに似た感じの音調ではあるけれども、ここでも中音域のドライバーが違うのが効いているように思いますね。またケーブルの質も違うのではないかと感じます。全体的な解像感や透明感もN5005の方が上です。

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左:N40 右:N5005

K3003と比べてみると、K3003とN5005は能率がだいぶ違うように思います(K3003が高い)。音の個性はAKGイヤフォンとして似ていますが、同じリファレンスフィルターでもK3003は少し高域寄りに聴こえます。K3003の当時にはK3003独特の透明感の高さとシャープな高域に酔っていたので、高域の鮮明さがK3003の美点と思っていたと思います。

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左:K3003 右:N5005

N5005と比べると、N5005のほうが豊かで厚みがあるので高級に聴こえ、K3003のほうが軽い感じの音に聞こえます。理由としては低域ダイナミックドライバーの性能もあるけれども、ドライバーが増えたことによる中音域の充実が大きいのではないかと思います。これはCampfire AudioのJupiterに中音域ドライバーの加わったAndromedaの音の関係にも少し似ているかなともちょっと思いました。

今聞いてもK3003はかなり優れたイヤフォンだと思います。ステンレス製筐体の質感の高さもいまでも見劣りしません。ただN5005とK3003では好みの部分もあるけれども、やはりN5005の方が一段性能は上だと思います。

* まとめ

たっぷりした低域と、それに負けない豊かな中音域が魅力的なイヤフォンです。高音域はフィルターで好みに変えられます。K3003はもはやクラシックという感じですが、N5005はNシリーズで最新イヤフォンのトレンドを抑えたうえで、K3003を超えるような音質を実現したと言えます。

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10万を切る価格でBTアダプターやケーブルもたっぷりとついてますし、音質からするとだいぶお買い得なパッケージだと思います。K3003やN40と大きくは音調というか音の個性は変わらないのでAKGサウンドが好きな人には特に魅力的な製品と言えるでしょう。
posted by ささき at 22:05| __→ AKG K3003 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月17日

UM MAVERICK IIカスタム レビュー

UM MAVERICK IIカスタムはUMのIEMの中でも代表的なモデルの最新カスタムバージョンです。
まずこのシェルの美しさに惹かれますが、音質もまた改善されています。

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*MAVERICKのおさらい

まず簡単にもともとのオリジナルのMAVERICKのまとめをしておきます。
MAVERICK(マーベリック)はカスタムIEMで知られるユニークメロディ(UM)が開発したユニバーサルIEMとして登場してきました。UMの取ったアプローチは国ごとの代理店と共同開発でその国の事情に「カスタム化」した音決めや開発をするということです。日本からはミックスウェーブの宮永さんがUMに赴いて開発に参加しました。普通代理店はメーカーに意見を言うくらいの影響力のように思いますが、このUMのユニバーサルIEM開発においては代理店とメーカーの共同開発と言ってよいほどかなり深く関与しているのが特徴です。

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初代MAVERICKユニバーサル

MAVERICKはダイナミックとBAのハイブリッドで5ドライバー。ネットワークは4Wayです。高域がBAx2、中音域がBAx1、そして特徴的なのは低音域にBAとダイナミックを両方配置しているということです。
ハイブリッド構成では繊細なBAが中高域、迫力のダイナミックが低域という分担が一般的で、同じUMでも以前のCIEMであるMerlinはそうなっています。MAVERICKもはじめの予定ではMerlinのようにダイナミック一発で低域を担当する予定だったそうですが、開発していくうちに20〜40Hz辺りのバスドラムのアタック感が関係してくる箇所がダイナミック一発では再現出来ず、結果的にBAでその部分を補ったということです。
これが音質的に低音域の質を向上させる大きな特徴となり、「独自路線を歩む人」のような意味である"MAVERICK"という名前の由来ともなっています。

*MAVERICKカスタムへの進化

MAVERICKをユニバーサルからカスタムに再設計するにおいては、ドライバーをそのままにしてチューニングを徹底して行うという方針を立てたということです。
なぜかというと、当初ユニバーサルIEMであったMAVERICKをカスタムIEM化するうえでは、まずユニバーサルモデルをそのままカスタム化するという手法も試してみたということですが、全くといっていいほど意図していない音になったということです。

チューニングでは具体的にいうと、MAVERICKカスタムではカスタムシェルにした状態での位相調整、低域の量感調整、4ウェイのスピード調整等を行ったということです。これは主にフィルター、レジスタ(クロスオーバー)、チューブの長さの3点をMAVERICK・カスタム向けに調整したということです。ドライバーユニットユニバーサルとカスタムでは変更していません。
チューニングの方向としては元々宮永氏がドラムなど楽器をやっていたこともあり、楽器の音(特にドラムなどリズム隊)を中心にチューニングしたということです。

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左が初代MAVERICKカスタム

またチューニングのさいにポイントになったのはカスタムとユニバーサルの根本的な違いであるダイナミックレンジだそうです。カスタムでは遮音性が高いために静音がより聞こえる、つまり大きな音と小さな音の差のダイナミックレンジが大きくなるわけです。
MAVERICK・ユニバーサルの時も楽器メインでチューニングを行っていますが、MAVERICK・カスタムとでは使えるダイナミックレンジが異なるため、その点はカスタムモデルが有利になります。これがカスタム化の大きなメリットであり、それを生かしたということですね。

*MAVERICK IIへの進化

低域における大型ダイナミックとBAのハイブリッド構成は変わりませんが、ポート(ベント穴)がMAVISのように二つになっています。またドライバーも初代からはダイナミックドライバーと中高域用のBAドライバーが変更されています。これによりクロスオーバーの最適化、音導管にプラチナ塗装の金属チューブを採用しています。

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左がMAVERICK IIユニバーサル

MAVERICK IIでは全体の音調とか個性は初代と似ていますが、全体に音がより明瞭になり解像力が上がったように思えます。低域もMAVERICK特有のパンチの強さがよりはっきりと感じられます。
良録音のジャズヴォーカルでは初代よりも鮮明にヴォーカルが聞こえベールを1枚取ったように感じられます。初代カスタムと比べた場合でもMAVERICK IIのほうがより明瞭感が高くクリアでよりパンチが鋭い感じで、メリハリがより濃く感じられます。特に一枚ベールを取ったような鮮明さはやはりMAVERICK IIの特徴です。女性ヴォーカルもMAVERICK IIのほうがより聴き取りやすいと思います。

MAVERICK IIでは兄弟としてのMAVERICK+も存在しています。ただし名前が示すような上下関係ではなく、ドライバー違いの兄弟のようなものということです。

*MAVERICK IIカスタムへの進化

そしてMAVERICK IIのカスタムモデルとしてMAVERICK IIカスタムが登場しました。

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このデザインはマクベス2とも似てUMが最近取り扱いを始めたファイバーシェルというタイプです。MASON IIカスタムもシェルが美しいIEMでしたが、MAVERICK II カスタムも負けません。

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紫のIEMはMASON IIカスタム

MAVERICK IIカスタムも宮永氏のチューニングでMACBETH II Classicと同じころに実施したということです。MAVERICK IIカスタムについても初代MAVERICKユニバーサルとカスタムの関係のようにドライバーは同じでチューニングをし直しているそうです。チューニングでは評判のよかったMAVERICK+の意見も考慮しているということ。

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私の持っている初代MAVERICKカスタムに対して、MAVERICK IIカスタムでは2ピンプラグが引っ込んだものに変わっています。よりがっしりと固定できるというプロ仕様ですね。

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左が初代MAVERICKカスタム

* MAVERICK IIカスタムの音質

音質はまず標準ケーブルで比較しています。

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全体にMAVERICKらしいシャープでパンチの効いた音の個性は変わりません。ピアノの打鍵の気持ちよさはピアノが打楽器であるということを教えてくれるようです。MAVERICK IIカスタムで向上したのは透明感だと思います。全体にクリアさを増してより音の明瞭感が高くなった感じです。また楽器の音がより整って歪み感が減っているようにも思いますね。
初代MAVERICKカスタムと比べると音がやや中高域よりになっているようにも感じますが、どちらかというと初代MAVERICKカスタムの中高域のクリアさと伸びがいまひとつなので、ワイドレンジ化したようにも聴こえます。MAVERICK IIカスタムと比べるとですが、初代MAVERICKカスタムは少し詰まって低域よりの音に聞こえます。初代MAVERICKカスタムからMAVERICK IIカスタムに変えると、音世界がぱっと広がり音がよりクリアに聞こえます。中高域の伸びもより気持ちよく伸びていきます。
中高域の楽器音はそれを反映してより鮮明に聴こえ、特にヴォーカルが聴き取りやすくなって歌詞がはっきりと伝わってくるように思います。

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MAVERICK II カスタムの高性能はA&K SP1000で真価を発揮します。標準ケーブルのままでもその音の透明感や深みは感動的なほどですね。Mojo+Polyで聴いてみると歯切れの良さ、透明感の高さがUM MAVERICK II カスタムによく合う感じです。

*MAVERICK II カスタムとリケーブル

MAVERICKでは以前からBeat Signalが良く似合うと思っていたので、MAVERICK II カスタムのケーブルをSignal標準とSignal8芯で聴いてみました。すると8芯の方が音が自然でより細かな音が聴こえます。SP1000CPのほかのDAPにないような音の深みが気持ちよく引き出せる感じで、MAVERICK II カスタムとSignal 8芯はかなり相性良いと思います。SP1000SSと組み合わせると音の透明感がひときわ高く、細かな音がざわざわっと湧き上がるSN感の高さに感動するほどです。
MAVERICKシリーズらしいドラムスやパーカッションの打撃感もいっそうキレよく気持ち良く楽しめます。

ただSignalがよく似合った初代MAVERICKカスタムとは音がやや変わっていて、もともと中高域がよく伸びるので、Signalよりは中高域を抑えたケーブルのほうが良いかなという気もします。MAVERICKIIカスタムはいままでのMAVERICK系よりも違ったケーブル選びが必要かもしれません。

それとMAVERICK II カスタムは標準ケーブルでも良いと思います。UMはMavis、Masonもそうですが、標準ケーブルで十分と言うものが増えてきたように思いますね。


* MAVERICK II カスタムとUM IEM群

初代MAVERICKカスタムと比べて、MAVERICK II ユニバーサルはよりクリアだがスケールダウンする感じです。これは低域の出方のカスタムとユニバーサルの差になっているかもしれません。
MAVERICK II カスタムだとMAVERICK II ユニバーサルよりかなりクリアで、さらに初代MAVERICKカスタムよりスケールアップしてる感じですね。加えて低域もより明瞭になっています。音の個性的にはMAVERICK II カスタムは初代MAVERICKカスタムよりも、特に中高域の伸びやかさと全体の透明感でMAVERICK II ユニバーサルに似ています。MAVERICK II カスタムはMAVERICK II ユニバーサルよりもカスタムの分だけよりユニバーサルよりもよくなっているように感じます。

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左はMAVERICK IIユニバーサル

MAVERICKとMavisは低域(20-40hz)の質の向上というテーマに関しては、それを異なる手段(MAVERICKなら大口径ダイナミック+BA、Mavisなら小口径ダイナミック2発)で実現した兄弟機ともいえる面もあります。しかしながら、それよりも違いはむしろ全体的に異なった音の個性を目標に作られたと言う方が正しいようです。(BAドライバーもMAVERICKとは異なるようです)
それはMAVERICKでは楽器音を鮮明に聞くと言うことを目指しているのに対して、Mavisでは音楽全体を楽しく聴くというコンセプトのもとに設計されているからだそうです。
このようにUMファミリーはそれぞれにテーマがある個性的な製品群です。

* まとめ

MAVERICK II カスタムはシェルの美しさに目を引かれますが、音質もだいぶ良くなってます。

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音としては透明感の向上と楽器音の正確さにこれまでのMAVERICKファミリーとの差が感じられます。向上の幅もより大きい感じですね。
つまりMAVERICKの初代と2の音質改善の上に、MAVERICKユニバーサルからカスタムへの向上もなされているということです。
UMのIEMの進化というのがよく感じられるのが、このMAVERICKシリーズであり、力の入った代表モデルにふさわしいと思います。


posted by ささき at 20:54| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする