Music TO GO!

2017年07月12日

PhilewebにボブスチュワートとのMQAインタビューの記事を書きました

PhilewebでボブスチュアートへのインタビューをもとにMQAの記事を書きました。
我々が検証した記事の結果を作った本人に確かめてもらうという点であまりなかった記事だと思います。下記リンクです。

http://www.phileweb.com/sp/interview/article/201707/12/471.html

ここではこの前書いたMQA-CDの検証記事の内容をボブスチュアートに検証してもらうという形で、この前の記事の我々の結論とMQAの理解が確かめられたと思います。前回記事にも追記しました。こちらもまたご覧ください。下記リンクです。

http://www.phileweb.com/sp/review/article/201704/17/2496.html

それにしても今回の記事の2ページ目のボブスチュワートがわたしに答えてくれてる写真見て、しかめっ面してる自分見て自分で笑ってしまいましたが、英語で理論派のボブスチュアートと「空気分子の運動で発生する熱が」とか、「君はディザリングのことを知ってるかね」、とか話してたらホントに頭が痛くなってきたのを思い出しました 笑

丁寧で紳士的な人で、静かで熱いロブワッツともまた違った感じの英国技術者だなと思いました。
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2017年04月26日

ニールヤングがハイレゾストリーミングサービス、XStreamの開始を示唆

ニールヤングがPono Forumにおいてハイレゾストリーミングサービスの開始を示唆しています。
https://www.ponomusic.com/_ui/core/userprofile/UserProfilePage?u=005A0000005B8Wp&tab=sfdc.ProfilePlatformFeed&fId=0D51500002CulTQ

これはXstreamと呼ばれていて、回線の速度に応じたアダプティブ方式によって最大でハイレゾ品質を実現すると言うものです。
上でニールヤング自身が言ってますが、これはうちのサイトで前に紹介したOraStreamの技術を採用しているようです。
OraStreamの記事はこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/274617721.html
技術で言うとMPEG4-SLSで、SLSはスケーラブル・ロスレスという意味です。私もMQAについてオーディオ折り紙とか知らないはじめ出た時はこのSLSかと思っていました。

一部報道ではPonoプレーヤーのためと書かれていますが、上のニールヤングの記事ではPonoで再生とは書いてないように思います。またPonoはWiFi非対応です。
いずれにせよちょっと興味あるところです。
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2017年04月17日

MQA-CDの検証記事をPhilewebに書きました

PhilewebでMQA-CDの検証記事を書きました。下記リンクを参照ください。
http://www.phileweb.com/sp/review/article/201704/17/2496.html

IMG_2601.JPG

内容はMQAの紹介から、今回特別に使わせてもらったMQAエンコードのあり/なしでの同じ曲の比較、MQA対応DACの使用と音質コメント、そしてMQA-CDをリッピングしてMacのAudirvana +3でソフトウエアデコードでの再生までカバーしました。Audirvanaのところでは製作者のダミアンさんにも直接話を聞いて情報を確認しています。
この広範な内容でMQA-CDのみならずMQAの実態に一歩迫ろうという記事ですのでぜひご覧ください!
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2016年04月27日

RoonReadyとRoonの音の魅力の記事をPhile-webに執筆しました

Roonの基本的な仕組み、ネットワークシステムの解説と実際のRoonネットワークシステムをハイエンドオーディオで試聴するという記事をPhile-webに執筆しました。こちらのリンクです。
http://www.phileweb.com/sp/review/article/201604/27/2055.html

IMG_2791_filtered[1].jpg  IMG_2788_filtered[1].jpg
左:ラックの上に置いてあるのがPLayPointとe28 DAC、右:IQaudio PI-DAC+

内容は最新のRoon 1.2の調査結果を反映し、RoonBridgeやRoonReady機材を使った聴き比べをしています。さらには同じハードを使ってDLNAシステムとの聴き比べた試聴結果まで盛り込んだものです。使用機器も音元出版試聴室のTADスピーカー、アキュフェーズのアンプ、NASはfidataなどハイエンド機材を使用し、RoonReady機材もエミライさんの協力のもと、最新のexaSound PlayPointや高性能e28 DACを使用し、さらに低価格のラズベリーパイのIQaudio DACまで使用しています。
7000字近くに及ぶ大作で盛りだくさんな内容になったと思いますので、この分野に興味ある方はぜひご覧ください!
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2016年04月10日

ボブスチュワートの「MQAの質問なんでも答えます」

Computer AudiophileにボブスチュアートがMQAの質問に答える形でかなり大量のQAが掲載されてます。下記リンクです。
http://www.computeraudiophile.com/content/694-comprehensive-q-mqa-s-bob-stuart/
寄せられた全質問に答えたようで質問自体が玉石混交ですが私の興味あるところだけピックアップしてみました。いままで知りたかったことがほとんど答えられてます。

まずQ36を見るとMQAはロスレスか?という問いには、ロスレスがベストとは限らないと前置き付きで、「close-to-lossless」と言ってますが、端的に言ってMQAは「ビットパーフェクト」ではないということですね。ただそのあとは、ロスレスはデジタルドメインの話だけど、最終的にはアナログから撮った音をアナログで出すよね、そこでの音が重要であり、その運び方が重要なのさ、という感じの言い方のように思えます。

MQAにはロスレスかどうかの他に、そもそも真にハイレゾかどうかという疑問もありますが、そこはQ37-2でやはり突っ込まれてます。このオリガミ処理自体は可逆的なロスレスであるって感じでしょうか。

またMQAの売りとしてよく言われている「時間軸的なうんぬん」というのも、カタログ言葉でなく結局技術的にいうと何のこと?という疑問がありますがそれはQ62やQ63にも時間的な正しさ(というか時間的なブレ・ボケ)とは何かについて解説されてます。それとQ15を見るとインパルス応答の図で別に解説されてます。

あともう一個私が最近気になってるのは、MQAはDACやスマホなど箱物には内蔵するけど、PC上の音楽再生ソフトでは対応しないんじゃないか?ということですが、これもQ43で答えられてます。Q43-1はそもそもそれが可能か、Q43-2はそれやってもMQAの恩恵はあるか、Q43-3はサードパーティー(音楽再生ソフトの製作者)がそれできるか、ということです。
答えは1はもちろんできる、2は差はない、ただしDACに付随しているソフト(上の箱物)のほうがDAC知ってるので音が良いでしょうという感じ。
3は微妙な答えですが、2で示したようなDACの良さを引き出せるようなソフトを待ってるよ、って感じですが、ここについては別途アナウンスするようなのでまだ方針が決まってないのではと思います。おそらくは許可制になるとまずメリディアンつながりでRoonだと思いますがわかりません。
(ちなみにQ76にありますが実際はMQAはメリディアンではなく別会社ということ)

似たような質問はQ44でもありますがこちらはPCというより、SonicOrbiterやPlayPointのようなブリッジ製品経由(ネットなどデジタルで受けてデジタルのUSBやSPDIFで出すというような)という感じなので箱とPCの中間ですね。質問者もひねってます。
これも答えは似たような感じで、DACに最適に出せるやり方が分かってるならということで暗に汎用品は除外したそうです。ただこれも後にアナウンスするということで、ベンダー個別に対応するように思えます。保証問題もありますからね。
またこの辺はQ47のDACプロファイリングにもかかってくると思います。
Q45はデコーダはFPGAでも作れるかということだと思いますがこれは実際に作ってるとのこと。
Q74ではMQAはリアルタイムでも将来的にはエンコード可能(ライブ配信とか)と書かれてます。

あとこれが一番ハードなQAなんですが、HQ Playerの作者がMQAについて実はデコードされないと(デコーダがないと)音質はCD品質より劣化してるのではないか、ということと、実はFLACより効率悪いんではないかという否定的な分析を書いてます。これは海外ではMQA論でよく参照されてますので興味ある方はチェックしておいたほうが良いと思います。
http://www.computeraudiophile.com/blogs/miska/some-analysis-and-comparison-mqa-encoded-flac-vs-normal-optimized-hires-flac-674/
これもQ82に回答されてます。この辺はボブスチュアートとの真っ向勝負ですがまあ私にはお読みくださいとしか。。

最後に用語集があるのでそれを先に見たほうが良いかもしれません。例えば"Kernel"とかです。
結局先送りの回答もありますが、だいたいの今までの疑問には全て答えてるように思います。私はすっ飛ばしてましたが基本的なことからスタジオでのことやライセンスまでかなり広くカバーしてます。これを見ればMQAは皆わかるというか、これを見ずにMQA語るなかれみたいな。(Q82はあと引くと思いますが)
posted by ささき at 22:40 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月30日

MQAの2Lサンプル音源

おなじみの2Lの音質比較サンプル音源のページにMQAのサンプルがアップされていました。下記にボブスチュワートのコメントともにAudioStreamの記事があります。
http://www.audiostream.com/content/supplementary-listeners%E2%80%99-notes-2l-test-bench#wGQHoVEbIKADUdX8.97

2Lのサンプルページは下記で、無料でダウンロードできます。さっそくいくつかダウンロードして聞いてみました。
http://www.2l.no/hires/index.html
ここで気が付く点がいくつかあります。

まずこのサンプルを見てMQAのファイル形式はFLACだということがわかりました。つまりMQAという方式でエンコード(コード化)された音楽データがFLACファイル形式に格納されているということになります。端的に言うと".flac"であって".mqa"ではありません。ここは重要なのにあまり触れられてきませんでした。ファイル形式というのは入れ物のことで、エンコード形式は中身の詰め方のことです。たとえば画像ではよくJPEGファイルって言いますが、実はJPEGファイルというのはなくて、たいていはJFIFファイル形式にJPEG圧縮エンコードされた画像データの入っているファイルの通称です。
たとえてフルーツの詰め合わせ贈答品でいうと、ファイルフォーマットというのは箱の形や仕切り、箱の「なんとかフルーツ」や製造月日という表示(タグ)のことです。エンコードというのは中のしきりにどうやってフルーツを詰めるかという詰め方です。フルーツの形や同じ種類の連続など工夫して上手に詰めればたくさん入ります。
MQAでは専用デコーダがなくてもCD品質の部分は再生できるとありますが、ファイル自体がFLACとして再生されるということがわかりました。ここはコンテナは任意という記述があったようにも思いますが、少なくとも2LではFLACでいくようです。

次にCarl Nielsen: Chaconne op 32を見てもらうとわかりますが、これはマスターが44/16なのに、それをMQA化したものはCD品質の音源よりファイルサイズが大きくなっています。元がDXDマスターでということならわかりますが、元のサイズより大きいというのはいったんアップサンプリングかなんかしているのではないかと考えてしまいます。
また、FLACのタグを見るとわかりますが、MQA音源は44KHz/24bitとして認識されています。44/16ではありません。CD相当とはいっても24bitの拡張部分はそのままにしているようですね。

スクリーンショット 2016-01-30 08.00.37.png
44/24の音源がMQA

実際に再生してみましたが、デコーダなしでもたしかに再生できます。興味深いことにデコーダがないためにCD相当音質のみ再生できるはずなのに、CD品質のサンプルと比べると音質が違うように思います。ボブスチュワートの解説を見ても測定的にもCD音源よりデコーダなしのMQA再生のほうがノイズフロアなどが低くなっています(凹凸ありますが)。
聴覚的にはより自然で滑らかに思えます。やはりこの段階でMPフィルタ系のアーティファクト取るデジタル処理がされているっぽいですし、24bit拡張の効果かもしれません。
RoonよりはJRMCのほうが差は小さいのでこの辺はよくわからないところもありますが、いずれにせよMQAの実物が出回ってきたことでよりMQAについてわかるようになったとは言えます。

それとMQAと関係ないですが、2Lレーベルもやっぱり良いですね。このSPES:Kyrieなんかは伝統音楽と宗教曲がうまく融合して見事です。古いものと古いものを掛け合わせて新しく聴こえるという、音楽のクリエイティブな側面が良く出ています。A/B比較でのMQA聴き比べはどうでもよくなってずっと聞き入ってしまいました。アルバムも買おうかと。でもMQA版を含めてどれを買えばよいのか、、悩みが深くなりました。
https://shop.klicktrack.com/2l/447077
posted by ささき at 08:53 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月12日

ハイサンプリングレートの利点とは、MeridianとBenchmarkの例

ハイサンプリングレートの利点について、MQAを研究してきたRealHDサイトの人とBenchmarkの設計者(John Siau)との興味深いやり取りが書かれています。
http://www.realhd-audio.com/?p=4361
Benchmarkはハイレゾのホワイトペーパーをアップして96kHzより上はあまり要らないという要旨(後述)ですが、それにRealHDの人がMeridianのMQA的見地からタイミング利点を得るには196kHzが必要と言ってるが、と質問をするという感じです。

日本だとハイレゾ音源のハイサンプリングレートの利点は、というと22kHz以上の超高音域の情報が記録されていて云々、それで倍音の効果が云々、という感じが多いと思います。
一方でそれよりも人の知覚を左右する音の「タイミング」が重要なんだ、と説いたのがMQAでのMeridianのボブスチュワートです。つまり少し誇張して言うと、MQA的には高い周波数の音の中身が伝わるよりも、音のタイミングの細かさが重要というわけです。
具体的に言うと、タイミングが正しく伝わるためには5-10マイクロ秒のタイミングが重要だというのがMeridianの主張です。5-10マイクロ秒が必要だとすれば、言い換えると50万分の1秒から10万分の1秒が必要だということで、それをサンプリングレートに換算すると500kHzから100kHzが必要だということになります。
つまり196kHzは19万6千分の1秒ですから、196kHzまたは384kHzのハイサンプルの音はこの辺に届きますが、96kHzではちょっと足りないということになります。

もう一方Benchmarkの言うハイサンプリングレートの利点はプリ・リンギングなどアーチファクトに関するものです。これはデジタル信号での計算誤差などで音が鳴る前にないはずの不自然な音が発生してしまうような問題です。BenchmarkのSiau氏によると、このような問題はナイキスト周波数のあたりに起きるので、CD品質の44kHzのナイキスト周波数である22kHzで起こると人の知覚に影響を与えてしまう。特にそれが20kHz以下のIMD歪みとなって表れてしまうというのが問題となるとのこと。
そこでサンプリングレートをあげて96kHzにしてしまうと、そのナイキスト周波数の48kHzは人の知覚に影響しないのでリンギングが起こっても音質に影響を与えにくくなるということです。またサンプリングレートが高くなると、リンギングの時間幅が短くなるので、このこともリンギングの悪影響を減らすそうです。(たぶん影響を受ける1サンプルの長さが短くなるということだと思います)

つまりハイサンプリングレートの利点と言うのは、高い周波数の音が聞こえるというよりも、Meridianに言わせるとタイミングがより正しくなることが良い、Benchmarkに言わせるとアーチファクトの悪影響を減らすことができるということが良い、というわけです。

Benchmarkの人は96kHzがそうした利点がある反面で、今日のスピーカー性能を考えると176kHzや192kHzの音源は意味がない、仮にそれが進歩したとしても人の耳が進歩しないのであまり意味がないと言っています。こちらはBanchmarkのホワイトペーパーに書かれています。
http://benchmarkmedia.com/blogs/news/14949325-high-resolution-audio-sample-rate
ちなみにBanchmarkのホワイトペーパーの前半ではナイキストの定理について、私がこの前の記事でナイキスト周波数の説明には車輪スポークの説明がある、と言ったその車輪の回転の例が書かれています。
一方でRealHDの人との問答では「タイミングはサンプリングレートの役割ではない」と書いてます。

MeridianのBob Stuwartも、BenchmarkのJohn Siauもとても高い知見と研究結果から書いているので、私がどうこういうものではありませんが、ぱっと見て結局196kHzって意味あるの?というところではなんとなく噛み合ってないようにも思います。

ハイレゾの利点というのは最近よく本に書かれますが、たいていはCDの数倍の情報量と書かれています。それ自体は前の記事で画像の大きさの例をあげたように間違いではありません。では実際に意味あるの、というとプロでも見解が分かれ、しかもタイミングにしろアーチファクトにしろ情報量はどこいった、という展開です。

一方で24bitの方は情報量は確実に16bitより増えます。しかし増える8bitは下位ビットですから微小音であり、それ(広いダイナミックレンジ)を活かすにはSNの高さが必要です。
イヤフォンならアイソレーション、電気回路ならノイズの減少、とそういう基本的なところが重要になるはずが、サンプルレートの方ばかり目がいって、それらがなおざりになると本末転倒になりかねないのではないでしょうか。
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2015年01月06日

Naxosがワールドワイドでハイレゾストリーミング

Naxosが月曜からハイレゾストリーミング配信を開始しました。US$14.99のサブスクリプションです。
ポイントはワールドワイドであること、192Kまでのアダプティブ方式であること、モバイル対応であること、作曲家や指揮者などクラシック対応の検索エンジンを持ってること、などです。
アダプティブ方式はOraStreamの技術提供のようです。

OraStreamとアダプティブ方式・スケーラブルロスレスについては前に記事を書きましたので下記リンクをどうぞ。




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2014年12月23日

Meridianの新音楽フォーマット、MQAを考える(4) - オーディオ折り紙

ステレオファイルの12/21記事にジョンアトキンソンのMQA解説が乗っていました。
http://www.stereophile.com/content/ive-heard-future-streaming-meridians-mqa

Fig1はシャノン線図で、ダイナミックレンジと周波数の関係を示しています。この前のRealHDの四角を三角にの図と同じですが、これでは192kHz(のナイキスト限界の96kHz)まで図に入っています。ちなみに下では192kHzを4Fs(CDの4倍レート)とも書いています。
これはラベルのストリングカルテットを例にとっていますが、どの音楽もこの傾向になるそうです。赤い折れ線はピークレベルの遷移で音楽情報みたいなもの、青い折れ線は平均ノイズレベル(ノイズフロア)です。24kHz以下に青いノイズの線の下に緑の線がありますが、ここは16bitでの量子化限界で、ここから下が後で出てくる隠し金庫になります。

このFig1を見るといくつかのことに気が付きます。音楽情報を記録するには少なくとも96kHzでサンプリングしたほうが良いこと(図ではナイキスト周波数なので48kHz)、とはいえ図ていうと55kHz以上はほぼノイズと同じであること、24kHz以下ではノイズフロアは16bitの量子化限界より上であること、またRealHDの人もいっていたように「音楽」情報は全体の音の情報量(四角)のほんの一部(三角)であることです。Fig2のオレンジがそうですが、つまり音楽情報の赤い線の上と、ノイズフロアの青い線の下は「空いている」わけです。

この図はラベルのストリングカルテットの録音を例にしていますが、この三角形の傾向はどの音楽でも変わらないということです。そうすると、ハイレゾはよくCDの3-5倍の情報量と言われますが、実際にデータ容量はCDの3-5倍でも情報量としてはそれほど大きな差ではなく、情報量という点からいえばCD品質ですでに十分はいっているということも言えると思います。ただ一応書いておくと、人とサルのDNA(情報量)の差はわずか2%程度ですがこれだけ大きな違いになっています。情報量のわずかな違いも実際に表れてみると大きい、ということもまた言えますので念のため。
オーディオにおいてはその情報をいかに利用するかということになるでしょう。MQAでは後で出てきます。

元に戻ると、RealHDの人も書いていたように、MQAではその高周波帯域の音を可聴帯域に畳み込みます。これをボブスチュワートは「オーディオ折り紙」と言っているということ。これが前回書いた四角を三角に、です。
まずFig2で書かれているように48kHzから96kHz(音源ならば192kHzのハイレゾ音源)のわずかな(C)の部分を(B)の下に「カプセル化」します。つまり使われている部分を使われていないノイズフロアの下に畳み込むわけです。
これでFig3の灰色部分のようにデータが減りました。同様にFig3では今度は24kHzから48kHz部分(音源でいうと96kHzハイレゾ)でも同様に(B)の部分とさきの(C)も(A)の下の16bit量子化限界の下の隠し金庫に畳み込みます。
ちなみに(C)を(B)の下に畳み込んだときは「カプセル化」という手法ですが、(B)を(A)の下に畳み込むときはロスレス圧縮が使われているようです。ちょっとよくわかりませんが、(B)と(C)ではエンコードが異なるようです。(B)の方はより大事だからでしょう。
これで半分の半分になったのがFig4で、これが48kHz/24bitのMQA音源となります。
互換性のことを考えると、48/24のMQAを16bitで再生すると、16bitのノイズフロアの下に隠れてる96kHz以上の「ハイレゾ成分」は再生されない、ということのようです。

そこで例の時間的な正確さ、とかいうMQAの音質に関してですが、20kHz以上は聞こえるのかという根本的な問いに対して、ボブスチュアートは20kHz以上では周波数的な意味より、時間的情報をより鋭敏に捉えるという結論をくだし、20kHz以上ではADC/DACするさいに時間的な汚れが生じるために自然な音に聞こえないという結論を出したようです。
その理論にもとづいて、MQAエンコードするさいになんらかの補正(compensate)処理を上のBやCではくわえているようです。つまり20kHz以上に関してはやはり信号処理がなされているということです。これにはMeridianのアポダイジング・フィルターを使ってますが、それよりも実際のADコンバータの特性に合わせてチューンしたというところが大きいようです。実際にはそう多くのADコンバータがあるわけではないので可能なことだそう。アポダイジング自体の意味はなだらかに落ちていくことですが、デジタルフィルターではプリエコーが出ないものをさしてます。

音質が向上するということについては、下記のMeridianユーザーフォーラムにボブスチュアート自身が書き込んでいます。ここの写真の右上のインパルス応答の図がMQAと従来の192kHz ADC/DACの比較です。
http://www.meridianunplugged.com/ubbthreads/ubbthreads.php?ubb=showflat&Number=226336#Post226336
利点は下記のようなものがあげられています。
エッジの明瞭さ MQA = 4μs 従来は250μs
インパルス持続時間: MQA = 50μs 従来は500μs
MQA はポストリンギングがない


いずれにせよ結論的にはMQAはオリジナルマスターに対してはバイナリ一致しないでしょう。ただしオリジナルマスターとは異なるように手を加えてますが、音質はマスターより良いということになります。

Stereophileの記事では実際の試聴をしたレポートが載ってます。ヒラリーハーンの88/24のハイレゾを聞いた後にMQA版を聞いたらその違いに笑っちゃたといいます。MQA版ではベールが取れて色彩感が出るとともに楽器が濃く感じられるとあります。デジタル的な不自然さも取れて、ハーンのコンサートには何回もいったけどこれが一番生っぽいと言ってます。
レイチャールズとナタリーコールのMQAではより音場も広がり、ヴォーカルの鮮明さがひときわ高いとともに、鋭い音の輪郭だけでなくレゾナンスも正しく聞こえるドラムのインパクトが良いと言ってます。
なかでもメタリカは聴き終わった後に深く一息つくくらい、音のセパレーションも良くヘビメタの迫力がボリュームを下げても十分に堪能できたって言ってます。
反面で欠点はマイクに近く歌うヴォーカルの息遣いが必要以上にリアルに聴こえることだって言ってます。

まとめると、MQA音源の利点はサイズが従来のハイレゾに比してかなり小さくなること、オリジナルマスター音源より音質が高くなることの二点ですね。
MQAはハイレゾ音源というより、ハイレゾデータをもとにしてマスター音源の音質を高めるようデジタルフィルターをかけた音源というべきでしょうか。

MQAはAtlantic Recordsにくわえて英国のストリーミングプロバイダーである7digitalでの採用が決定しています。来年はどう展開するのでしょうか、ちょっと面白いところです。
posted by ささき at 20:48 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月16日

Meridianの新音楽フォーマット、MQAを考える(3) - MQAの音質

Meridianの新音源フォーマットのMQAですが、ネットマガジンTwiceの12/15付けのオーディオコラムに面白い情報が載っていました。
http://www.twice.com/meridian-mqa-audio-tracks-coming-2015/55280

MQAを実際に使う際に再生側はMeridianがExplorer2を用意しましたが、音源ですから配信されないと意味がありません。もちろんMeridianのボブスチュワートはこの点でもずいぶん前から根回しをしていたようで、ニールヤングの件もそのときのものなのでしょう。
その点ではまずAtlantic recordsが配信を表明しているそうです。あるいはCES2015でもう少し発表があるのかもしれません。

それと買う側のメリットはなにか、ということです。ひとつ明らかなメリットはサイズが小さくなるということです。デコーダーが必要だけれどもポータブルオーディオではもちろん有利ですし、ストリーミングプロバイダーが使うことでユーザーの通信速度が低くても「ハイレゾ相当」の品質が楽しめることになります。
これは192/24のハイレゾFLACで150MBのサイズがMQAだと30MBになるといいます。FLACはすでに2:1で圧縮されていますので圧縮率は10:1ということになります。これは「ロスレス」としてはあきらかにあり得ない値のように思えます。その仕組みの一つは前回記事MQAを考える(2)のときに書いた「四角を三角に」で説明できますが、これだけでは不十分に思えます。これは次の件にもつながっています。

もうひとつMQAのメリットで宣伝されているわりによくわからないのは「音質」です。
MQAの宣伝として書かれた言葉でよくわからないのは「タイムドメイン重視」とか「神経科学的な側面」という言葉です。それらによって、MQAでは音質が良いということも書かれますが、単純な疑問として、単に圧縮しただけならオリジナルマスターより音がよくなるわけがありません。戻して元と同じですからね。
これにはまずマスター音源をMQAエンコードしてデコードしたら元のマスター音源とバイナリ一致するのか、というをまず明らかにしなければならないとは思います。しかしながらいまのところそこが不明確なので推測するしかないのですが、推測するならば10:1という高圧縮レートや音質が良くなるという言葉から推測できるのは非可逆(lossy)で、かつなんらかのデジタル信号処理を加えているということです。

ここでポイントになるのがこのTwiceの記事のEfficiencyのところです。それはボブスチュワートが言っている「聞こえない24kHz〜48kHzの部分は聞こえる音(つまりそれ以下の可聴帯域)の到着時間(arrival time)の情報をもっていて、これがリアルな音楽再現に重要である」という点です。
そこでMQAはそのタイミング情報を失わず(losslessly)に可聴帯域に畳み込む(fold)ことでサイズを小さくしていると言っています。それによって、192/24音源の10倍よい精度でタイミングの解像度(resolution)を再現することができるということです。(ここもちょっとよくわかりませんが)
これによってMQAでは演奏の自然さを失わせることになる"時間的ボケ(temporal blur)"を取り去り、音に深みと質感を加えるということです。人は時間情報に対しては周波数情報に対するよりも5から13倍も敏感ということで、つまりここがいわゆる神経科学(neuroscience)的なところです。
これを考えるとやはり、MQAは単に圧縮をするというだけではなく、なんらかの信号処理を用いているように思えます。

いずれにせよ、まだあいまいなところはありますが、MQAの特徴であるサイズの小ささ、音質についてはある程度のイメージは出来てきたようには思います。あとは実際に聴いてみる、というところでしょうか。
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2014年12月08日

Meridianの新音楽フォーマット、MQAを考える(2) - 四角を三角に置きかえる

Meridianの新音楽フォーマットであるMQAについてですが、Realhd-audioサイトによくまとまった記事がありました。
http://www.realhd-audio.com/?cat=45

これによると、MeridianのRobert Stuart(音展に来ていたボブ・スチュワート)、Peter CravenによるAESの研究発表である"A Hierarchical Approach to Archiving and Distribution"がベースで、これを商業的にブランド化したのがMQAということです。A Hierarchical..については下記リンクです。
http://www.aes.org/e-lib/browse.cfm?elib=17501

いまでもたくさん音源形式があるのに、MQAの利点は何かというと、これはすでにMeridianサイトで上がっていますが「音質と利便性の両方をトレードオフなしに向上する」ということです。簡単に言うとロスレスなのにサイズを小さくできるということです。具体的には96kHz/24bitの4.8Mbps相当のデータをCD品質(1.4Mbps)より小さい1Mbps低度にできるというところです。
同時にいまのところ一番のMQAの疑問は4.8Mbpsある96kHz/24bitのデータ量を、品質を落とさずに1MbpsというCD(44/16)の1.4Mbpsよりさらに小さい1Mbpsというデータ量にするという点です。単にロスレス圧縮してもいいところ50%なのでそこまでは小さくならないでしょう。ですからMQAはなんらかのLossyではないかと言われてますし、私はアダプティブのような形式じゃないかと推測しました。

ここで下記Realhd-audioリンクページの図(Fig1)を見てもらいたいと思います。
http://www.realhd-audio.com/?p=3861

Fig1は96kHz/24bitのある音源の強度分布を示すグラフです。音の強度はdBで縦軸に示しています。横軸はサンプリング周波数で96khzのナイキスト周波数の48kHzまでプロットされています。

これをみるとわかるように、サンプリング周波数が高くなるにつれて、音の情報(強度)が少なくなっています。しかしながらデータは常に96kHz、24bitの"容量"が使われているわけです。つまりCD品質の周波数帯域では音はみっちりはいっているけど、それより上はスカスカなわけです。それでも容量は食っています。

ハイレゾ音源ってスカスカなのか、という話はとりあえず置いといて、
つまり4.8Mbpsが1Mbpsになるマジックは「ある情報(Signal Area)は捨てない」けれど、「ない情報(No Signal present)は捨ててる」わけです。これを非可逆(lossy)というか可逆(lossless)というかはたしかに微妙ではあります。捨てている、というのは語弊がありますが、おそらくは22kHz以上の部分については必要なdBの分だけ割り当てる、つまり録音したマスターが24bitデータであっても22kHz以上については24bit使ってないからいらないじゃん、必要なビット数のみ割り当てればよいでしょう、ということではないかと思います。たとえば、Fig1で44kHzあたりでは実質30dB程度しかダイナミックレンジが必要ないとすれば、ここはビット数は5bitあればすみます。つまり19bit分は節約できるという理屈ではないかと思います。
後で出てくる互換性のため必要なのは16bitですから、おそらく22kHz以下でも17-24bitはなんらかの圧縮をしているのかもしれません。

これによって見たところ4.8Mbpsの半分は軽くできるので、約2Mbps強になって、1:2低度は可逆圧縮できるので、1MbpsのCD品質くらいのデータ量に収まるということなんでしょう。このことを上記記事リンクのタイトルでは「四角を三角に置きかえる」と書いてます。(図のデータ部分"Signal Area"が三角形だから)

MQAのエンコード(カプセル化)では、音源ファイル(ここでいうコンテナ)ではまずCD相当のデータが普通にはいっていて、あるメタデータを読まなければそのまま普通の音源ファイルとして再生するんでしょう。つまり前方互換性があります(従来システムでもMQAが読めるということ)。
MQAではメタデータのどこかの部分に拡張差分データ(オリジナルデータ 引くところの CD相当データ)をMQAエンコード(四角を三角)にしたものがはいっていて、メタデータにある情報をたよりにそれをデコードして、CD相当データと合わせてオリジナルデータに戻すんだと思います。
この辺はオリジナルデータ→MQAエンコード→MQAデコードでバイナリ比較するとどうなんでしょうかね。

CD品質とハイレゾ部分のデータが差分・階層的という点ではアダプティブっぽいですが、それよりはむしろハイレゾ版のHDCDに近い感じの基本部分と拡張部分に分かれたものに見えますね。つまりHDCDを普通のCDプレーヤーで再生できるように、MQAは普通のDACで再生するとそのままPCM部分が読めて、さらにそのメタデータを認識できるデコーダならば、ハイレゾの拡張部分を元に戻せるということなんでしょう。
MQA対応したMeridianの新型ExplorerではDSPを使っていると言いますが、おそらくPCやスマートフォンのソフトウエアならもっと効率的にデコードできると思います。

なおMQAについては関連特許を探した人がいて、特許内容があります。これを見てもよくわかりませんが、うちのブログは玄人の人がたくさん見ているのでリンクをあげておきます。
http://patentscope.wipo.int/search/docservice_fpimage/WOGB2013051548@@@false@@@en;jsessionid=556F95ADF4C56D988B3FED8836465D01.wapp1nC
http://patentscope.wipo.int/search/en/detail.jsf?docId=WO2013186561&recNum=132&docAn=GB2013051548&queryString=nano%20OR%20filter%20OR%20ceramic&maxRec=599628


ところで、MQAエンコードとはちょっと離れますが、さきの記事にちょっと面白い話題が書いてありました。
よく20kHz以上は聞こえないからハイレゾは必要ない、という反駁がありますが、上の"A Hierarchical Approach..."の論文ではなぜハイレゾか、という問いについては20kHz以上の聞こえるかどうかわからない情報の問題と言うよりも、サンプリングレートが高くなることで(ナイキスト周波数が上がって)、よりデジタルフィルターを工夫する余地が増える、という感じのことが書いてあります。
たとえばDAC内でのオーバーサンプリングはハイレゾ関係なく昔からありますが、これは情報量を増やすというよりは、ナイキスト周波数を上げることによるLPFの効きの効率化(設計の簡素化)をするためだったと思います。ですからアップサンプリングも同じですが、補完とか中の情報云々というよりは、ナイキスト周波数をあげる事自体が意味があるという感じでしょうか。
つまりは96kHzをターゲットにフィルタを設計している回路ならば、96kHzで再生するのが効率的、つまり音が良いのではないか、ということです。この辺の視点もハイレゾ論争からは抜け落ちていたように思います。アップサンプリングしたのをオーバーサンプリングするとどうなるか、というと頭痛くなりますが 笑

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2014年12月06日

Meridianの新音楽フォーマット、MQAを考える

イギリスのオーディオメーカーMeridianが新音楽フォーマットMQAについてのサイトを立ち上げています。
http://musicischanging.com/

MQAとはMaster Quality Authenticatedのことで、いままで相反していた使い勝手と音質を統合できるとしています。具体的にはなにか、ということですがこれは詳細がまだ明かされていません。
以下は私のただの推測です。

まずMeridianはMQAを以下のステップで表しています。
マスターレコーディング⇒カプセル化(MQA encapsulation)⇒種々のロスレスフォーマットでのダウンロード/ストリーミング⇒HW/SWでの再生

Absolute Soundの記事によると、MQAはエンコーディングであり、録音やマスタリング時にMQAでエンコーディングできるとあります。またPC&TechによるとMQAはCDと同じ帯域幅(ほぼ1Mbps)であるとしています。エンコーディングは従来の周波数とタイミングを同じ優先度で考えるのではなく、神経科学要素からタイミングを重視したといいます。
http://www.theabsolutesound.com/articles/robert-harley-listens-to-meridian-mqa/
http://www.pcauthority.com.au/News/398532,meridian8217s-mqa-promises-studio-quality-music-for-streaming.aspx

これらのことから考えると私はMQAの正体はアダプティブ・ロスレス(adaptive lossless)ではないかと思います。アダプティブ・ロスレスについては前にOraStreamの記事を書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/274617721.html

アダプティブ・ロスレスはミルフィーユのようなもので、十分な帯域幅が伝送で確保できるならすべてのデータが送られますが、伝送が細くなるとミルフィーユの皮がむけるように音質を落としていきます。つまり完全な形がCD品質またはハイレゾデータで、そこから上で書いたカプセル化によっていくつかのミルフィーユの積層に分割していくのではないでしょうか。これはMPEG4-SLSと同じです。
おそらくここのステップにおいて、神経科学要素からそのロスをさせていくのではないでしょうか。たとえばMP3はどうせ15Khz以上の音は聞こえないからと周波数的に切り捨てたわけですが、MQAではそれを特定周波数ではなく、神経科学要素から捨てていく(積層にしていく)と思います。よくわかりませんが。
MQAデコーダがなくてもCD品質は保てるというのはハイレゾデータをMQAエンコードした場合、ミルフィーユの積層をはがした核がCD品質なのかもしれません。
具体的な製品としては新しいExplorerにMQAデコーダーが搭載されたようですhttp://www.whathifi.com/news/meridian-reveals-explorer-2-dac-mqa-support

これが意図しているところはロスレスストリーミングですね。たとえばいま海外では話題のTidalとかQobuzです。もっというならば、ハイレゾ・ロスレスストリーミングです。もしそうならば日本はまた蚊帳の外です。

PONOの記事でニールヤングがMeridianとやっていたのはMLPと書きましたが、おそらくこのMQAのことだったのでしょう。たしかにニールヤングがアダプティブストリーミングをやっているという情報もあったので、つじつまが合います。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/262455301.html
なんとなくいろんな手がかりが符合しはじめてきましたが、まだまだよくわかりませんね。

FLACやALACなど既存のコンテナに含められるとありますが、事実エンコーディングとファイル形式はわけなければなりません。Jpegはファイルフォーマットではなくエンコーディング形式です(ファイル形式はJFIFかExif)。WAVは通称でファイルフォーマットはRIFFです。
ファイルは容器の形式でエンコーディングは中身の詰め方です。

PCオーディオにおいてはDSDの次のトピックが見えにくいのですが、もしMQAがロスレスストリーミングを志向しているならば、海外は「次」をロスレスストリーミングに狙いを定めているようにも思えます。そうした場合、CDから先に進まない日本のオーディオの明日はどうなるのでしょうか?
posted by ささき at 00:13 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月28日

ESS 9018に新しい2M世代が登場

高性能DACチップとして評判の高いESSのES9018ですが、ES9018-2Mという新しいモデルが登場したようです。
http://www.esstech.com/Pr_2013/ES9018-2M%20%20PR%20130621.pdf

ESSと関係深いResonessenceによるとこの新製品はすでにConcero HDに搭載しているということ。
http://resonessencelabs.com/product/concero-hd/
フラッグシップのinvictaではなく、バスパワー動作のコンパクトUSB DACであるConceroにまず採用したっていうのは、この2Mバージョンでは以前より回路の刷新で性能向上もさることながらコンパクトさと低消費電力を目指してるからのように思えます。
infoTechサイト
http://it.tmcnet.com/news/2013/06/27/7236507.htm

今までES9023がカバーしてたところまで領域を広げるのかはわかりませんが、コンパクトさと低消費電力と最近のプロセッサ動向とも合致する点は興味深いところです。
また下位機種のES9016にも2Mバージョンが出てますのでよりモバイル指向したESSの2M世代ということでしょうか。

追記:
いろいろと調べてみると、ES9018の次の世代と言うよりも、(もともと8チャンネル内蔵だったものを)2チャンネル化してコストダウンをし、電源消費とコンパクト化を志向した別のバージョンと言うべきかもしれません。2Mというのは2channelのMobile対応という意味のようですね。
posted by ささき at 08:05 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月22日

ワイヤレスAV再生は戦国時代へ

iPhoneがドックコネクタの変更をして、フィルシラーが純正ドック作らない発言をするなど、有線からワイヤレスへ一気に向かう機運が高まったのに刺激されたのか、Android陣営でもAirPlay風のワイヤレス規格が最近いくつか相次いで発表されました。

まずWi-Fi AllianceがLGとサムスンのサポートでMiracastを発表しました。
http://japan.cnet.com/news/service/35022005/?ref=rss
 これはLG Optimus G smartphone,とSamsung Galaxy S IIIでサポートされると思います。
https://www.wi-fi.org/sites/default/files/uploads/Miracast_FAQ_20120919.pdf
上にFAQがあるんですが、Miracast自体はDLNAのように技術自体というよりも、Wi-Fi Allianceが認めるワイヤレスオーディオ・ビデオ製品につけられるブランド名ということのようです。またMiracastはワイヤレスだけではなくHDMIやUSB使用でも適用されるということ。Miracast自体は技術総称みたいなものなので、Wi-Fi DirectTのようにWiFiネットワーク不要のデバイス間のダイレクト接続もカバーできるようです。
ただしオーディオ的に重要なのは上のFAQ10ですが、Miracastは本来的にはオーディオだけというデバイスには適用を考えてないという点です。


またDTSがDTS Play-Fiというワイヤレス技術を発表しました。
http://www.whathifi.com/news/dts-play-fi-brings-airplay-style-wireless-audio-to-android
こちらはMiracastとはことなってオーディオのみにも対応しているようです。DTSの子会社のPhorusという会社が製品化をしようとしているようです。
DTS Play-FiはiOSでもAndroidでも使えるということですが、まずはAndroidからサポートを始めるということです。
MiracastはオーディオCODECはAACだけですが、Play-FiはFLACなどもサポートします。また基本的に1:1のAirPlayとはことなって、同じネットワーク内で1対多の接続をサポートします。同一ネットに複数のクライアントがあっても構いません。クライアントはPlay-Fiアプリです。


これらがAirPlayと現状で基本的に異なるのはAirPlayがOSレベルでサポートされているのに対して、アプリレベルになってしまうということです。
もしかするとLGとサムスンではMiracastが標準でサポートされるかもしれませんが、これは断片化を助長してしまうことになります。やはりどこかの段階でAndroidが標準でサポートするのが良いでしょうね。

AppleもAirPlay Directという無線ネットなしでデバイスダイレクト接続できる拡張がうわさされたんですが、まだ姿は見えていません。
AirPlayに刺激されてこれらが出てきたように、AirPlayもその弱点を克服したこれらのライバルの出現に刺激されて行くのではないかと思います。
posted by ささき at 22:37 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月12日

DAC側デジタルボリュームについて

ボリュームコントロールはデジタル機器でもアナログ機器でもキーポイントです。NFB11.32の記事でデジタルボリュームとアナログボリュームの得失について触れたのですが、実際はどうなのかということをSaberDACチップのESS Technologyが昨年の10月にRMAFで行ったプレゼンテーションの資料から見てみます。
http://www.esstech.com/PDF/digital-vs-analog-volume-control.pdf

こちらはESSのキーパーソンのひとりMartin Mallinsonが行っている上記セミナーの動画です。


プレゼンテーションの図を見るとわかりやすいのですが、デジタルボリュームが16bitの場合にはボリュームを下げると信号が下がるのに対してノイズレベルは下がりません。しかしアナログボリュームの場合にはボリュームを下げると信号が下がるとともにノイズも減少します。つまりアナログボリュームの優位点がみて取れます。
しかしデジタルボリュームが32bitの場合(ESSのDAC内蔵ボリュームを指していると思います)にはアナログボリュームのように信号が下がるとともにノイズも減少します。
これをビットレベルでみると以下のようになります。

16bitのデータ(30,003)を16bit幅のデジタルボリュームで-35dB変えたとすると、次のように誤差がある結果となります。16bitのデータを16bit幅で計算しても冗長部がないので余りが吸収できないというわけです。

0010010100010000 = 30,003

0000001000010110 = 534 (本来は533.5372)

ただし下記のように16bitのデータを32bit幅のデジタルボリュームに(左詰めで)入れたとすると同じ-35dB減少させたとしても下記のように誤差がなくなります。
(表現形式は32bit整数ではなく固定小数点を使用していますね)

0111010100110011.0000000000000000 = 30,003

0000001000010110.1000100110000100 = 533.5372
つまり余剰ビット幅(冗長分)の16bitを余りの余裕として吸収できます。

ESSは「アナログボリュームがDAC自体よりも低いノイズフロアを持っていれば、DAC内部のデジタルボリュームを使用するよりも優れている」と結論付けています。ただしESS Sabre DACのノイズフロアの-135dBより低ければだが、と付け加えて。
たとえばNFB11.32の例で言うとDACにアナログボリュームがついていますが、やはり低価格製品ですのでそれほどボリューム自体の品質には期待できないかもしれません(測定したわけではないですが)。そこでデジタルボリュームとのトレードオフとなるでしょう。ただNFB11.32の場合にはデジタルボリュームを生かしてもアナログボリュームはカットできないでしょうからもっぱら利便性の問題にはなります。


ちなみにこれらでESSが念頭に置いているのはPC側ボリュームではなく、DAC側ボリュームです。
DAC側ボリュームについては下記のDragonflyの項を参照ください。NFB11.32ではAudio-gd DeckというソフトウエアでPCからコントロールします。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/278372379.html
posted by ささき at 01:11 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月12日

OraStream、adapt(適応)型ストリーミングとスケーラブル・ロスレス圧縮


AudioStreamに面白いストリーミングサービスの記事が載っていました。
A Lossless Music Locker and a Q&A with OraStream

IMG_7927.PNG
OraStreamのクライアントアプリ、Digital LP

このOraStreamというミュージックストリーミングサービスです。これはユーザーからの音源をクラウドにアップロードしてそこからストリーミングできるという、いわゆるAmazonみたいなロッカー型のストリーミングサービスです。
OraStreamの売りは現在ではいいとこ300kbpsのストリーミングサービスをロスレスCD品質を超える1000-2000kbpsで運用するというもので、そのキー技術はadapt(適応)型ストリーミングとスケーラブル・ロスレス圧縮です。(将来的には192kHz/24まで考えているよう)
adaptive(適応)ストリーミング型はつまりストリーミングを受けるクライアント側の再生環境に合わせてビットレートを変えるというもので、受け手の再生環境(iPhoneか、PCでハイレゾ可能か)とかネットワークの帯域幅などに応じて、送り手(サーバー)が最適なビットレートで送るというものです。
これは前にAppleが作っているのではないかとかニールヤングが独自にやっているのではないかなどのうわさがあったのと同じものですね。

運用のワークフローとしては、ユーザーはWAVかFLACでアップロードしますが、それをサーバーではMPEG4-SLSというフォーマットに変換します。このMPEG4-SLSというのはSLS(スケーラブル・ロスレス)というもので、非可逆圧縮方式であるAACとそのロスレスとの差分を0.4kbps単位でレイヤー(層化)しているとのこと。下記にMPEG4-SLSの解説があります。少しでもロスがあったらロスレスっていうか、という話もありますがここではニアロスレスという言葉が使われていますね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/MPEG-4_SLS
OraStreamではリアルタイムでネットワーク負荷をモニターしてこの段階化差分をストリーミングします。つまりユーザーの環境に適用するのでAdaptive(適用)ストリーミングというわけです。OraStreamingではこの調整があまり極端にならないようにスムージングしているとのこと(つまり80kbpsの次のフレームが急に800kbpsになったりしない)。現在のOraStreamではこれを64kbpsから1200kbpsまで動的に調整するそうです。またスマートフォンなどにおいてはユーザーのデータプランに影響しないようにビットレートの上限値設定ができます(下記参照)。
前に書いたようにWavPackフォーマットもロッシーとロスレスの差分がとれますが、このように積層化(段階化)しているのではなく、差分は一つ(ロッシーとロスレスとの差分)だと思います。MPEG4-SLSでは段階的に積層した差分を持つことでオーディオのミルフィーユみたいになっているんでしょう。

7月には運用開始するようです。料金プランはストレージと速度に応じて無料から年$240までいくつか用意されています。
当然法的なところが気になる点ですが、OraStream自体は中身にたいして責任を負わないが、ロッカーを貸すだけというスタンスのようです。これはこの記事のコメント欄まで読むとより明確に書かれているのですが、このサービスはもともと個人用ではなくミュージシャンか音楽プロデューサー向けと位置付けているということです。それで価格もやや高めだそう。(もちろん個人が違法アップロードしたらサービス停止するとのこと)

* OraStream Digital LPアプリ

受け手側はPCならばJAVAを使用したウエブか、iPhonesなどのアプリを想定しているようです。こちらの記事でクライアントであるOraStream DLP app(iOSアプリ)が紹介されています。
OraStream Digital Long-Play (DLP) App

これはいま試用版がAppストアからダウンロードできます。実際に試してみました。
IMG_7917.PNG
OraStream Digital Long-PlayのAppストアページ

iTunesリンクはこちらです。
http://itunes.apple.com/jp/app/orastream-dlp/id447633767?mt=8

IMG_7918.PNG     IMG_7921.PNG
OraStream Digital LPのアルバム選択画面。Concordレーベルからサンプルが提供されています。

IMG_7923.PNG
OraStreamの設定画面、キャッシュサイズやビットレート上限が設定できます。

IMG_7924.PNG  
再生コントロール画面、アップロードされているのは44/16のデータであることがわかります。

IMG_7925.PNG  IMG_7926.PNG
ライナーノートとアルバムアート画面もオプションで表示できます

ビットレートが変わるのは確認できませんでしたが、実際に試してみると音質もなかなか悪くないです。
*6/13追記 バージョンアップされてかなり動的に変化するのが分かるようになりました。

いまでも自分の作った曲をYoutubeにアップして有名になる人がたくさんいますが、OraStreamを使用すると高品質にそれを配信できます。さきのニールヤングとかAppleが作ろうとしているというのも、MPEG4-SLSみたいなものなんでしょうか。なんとなくこのタイプも仕組みが見えてきましたね。
いままではAACやMP3みたいに非可逆(ロッシー)圧縮か、FLACやALACみたいに可逆(ロスレス)圧縮かのふたつしかなかったんですが、このスケーラブル・ロスレス(段階化ロスレス圧縮)は第3の選択肢となるでしょうか。もう一つのアダプティブ・ストリーミングという言葉ももしかするとこの先いろいろと聞く機会が多くなるかもしれません。
posted by ささき at 00:16 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月12日

USB DAC 192kHz対応技術のまとめ (2011/6月版)

以前USB DACと192k対応、クラス2などについてまとめた記事を書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/163361655.html
しかしその後いろいろと知見を深めていくうちに、この理解に修正が必要なことが分かってきました。そこで最近洗いなおして現時点で判明していることをまとめてみます。
推測もありますが、多くは直接開発元などに確かめています。このためMSBとかdCSみたいに私があまり詳しくないところのものは入っていません。ですから実際はもっとパターンがあるかもしれません。

1. USB DAC/USB DDCの192k対応方式の違いのまとめ

hiFace、Musilandなど
ドライバ: カスタムドライバ
174k/192k達成のためのドライバのインストール: WinもMacも必要
転送方式: USB Audio device classではないBulk転送
USBコントローラ: EZ-USBなどによるHigh Speed
備考: Macプレーヤーソフトのインテジャーモードは使えないものが多い

Zodiac +
ドライバ: 標準(クラス)ドライバ USB Audio Class1 (UH1モード)
174k/192k達成のためのドライバのインストール: WinもMacも不要
転送方式: USB Audio device classのSynchronous
USBコントローラ: 独自設計によるClass1でのHigh Speed

Audiophilleo1&2
ドライバ: 標準ドライバ USB Audio Class1
174k/192k達成のためのドライバのインストール: Mac(10.5以降?)不要、Win Vista/7必要、XP不要
転送方式: USB Audio device classのASynchronous
USBコントローラ: RISCプロセッサによる独自実装、RISCは信号処理も担当する

Wavelink、QB9 192、m903、HD7A 192など
ドライバ: 標準ドライバ USB Audio Class2
174k/192k達成のためのドライバのインストール: Mac(10.6.4以降)不要、Win必要
転送方式: USB Audio device classのASynchronous
USBコントローラ: XMOS、HighSpeed
備考: XMOSについては厳密に言うとさらにベンダーごとに実装の違いがあります。
たとえばゴードン系(Wavelink, QB-9 192, m903)とHD-7A 192も違います。


Zodiac Gold
ドライバ: 標準ドライバ USB Audio Class2 (UH2モード)
174k/192k達成のためのドライバのインストール: WinもMacも不要
358k/384k達成のためのドライバのインストール: Mac(10.6.4以降)不要、他は不可
転送方式: USB Audio device classのSynchronous
USBコントローラ: 独自設計、High Speed(384k対応可)

2. 考察 - OSのHigh Speed転送の対応状況

上の表を理解するポイントの一つは標準規格であるUSB Audio Device Class2.0に対応していなくても、OSの方ではメーカー(Apple/MS)の独自実装でClass1のままでHigh Speed転送が出来るようになっているということです。たとえばWinodws7のUSBクラスドライバーはClass2の対応はしていませんが、Class1でHighSpeed対応しているというのが現状のようです。いわば暫定対応です。
Macは10.6.4以降USB Audio Device Class2.0の対応を正式にしています。その反面でWin同様にMacでもClass1でのHigh Speed転送ができるようです。つまりMacは正式対応も暫定対応も両方されています。
このようにHighSpeed転送はOSの標準ドライバーでは正式でも暫定でも対応ができるので、標準ドライバーで192kHzが達成できてもそれがイコールClass2というわけではないということです。これは規格というより実装の問題で、XPで出来てVista/7では逆に出来ないというものもあるし、WindowsとMacでも細部の動作に食い違いがあるようです。このことから私もいままで標準ドライバーで192k達成できるものはClass2といっていましたが、一概にそうとはいえないと言うことです。
またこの前提はUSB Audio Class1.0 (つまりUSB 1.1のFull Speed)では96/24が上限であって、それ以上のサンプリングレートを送るときには計算上USB 2.0のHighSpeed転送が必要であると言う前提に基づいています。しかし、ここも実は裏道があるらしいということも分かってきました。とどのつまりはこの辺はOSの実装にかなり左右されるようだと言うことです。
逆に言うとこうしてメーカーごとにばらついたHighSpeed対応状況を標準化してデスクリプタにまとめたのがUSB Audio Class2.0といえるかもしれません。

3. 考察 - USBの転送制御とコントローラの問題

ここでいったん前に書いた記事に戻るのですが、192k対応を引き出すためにはUSB コントローラの制限があります。これは仮にClass1でHighSpeedを実現していても同じです。
たとえば96/24時代でよく使われたTAS1020だと対応はFull Speedまでなので、Class1だろうがClass2だろうがHigh Speedを使用するにはこれらでは対応できずに独自設計のコントローラが必要です。また、さきに書いたようにこの設計にはOSの実装が関係してきます。
つまりポイントは先のようにOSの標準ドライバーといっても、その実装はかなりまちまちであり、それを独自設計のコントローラで引き出すことで規格外の転送が可能であるというのも分かってきたところです。
そして、そのためにはコントローラ設計にも柔軟さが必要です。

ここで上の表のUSBコントローラの項を見てもらうと分かるのですが、この「独自設計のカスタムUSBコントローラー」も様々です。
本来はUSBの制御などはハードウエアの高速な論理ゲート動作などで行いそうですが、96/24ハイレゾを実現するためにTAS1020でゴードンさんなどベンダーがソフトウエアを書いて対応するようになって以来、プロセッサ+ソフトウエアという形式で転送制御をするのが一般的になってきました。
さらに192/24時代のいまではトランスピューター(トランジスタ+コンピュータ)と称されるXMOSが一般的になり、AudiophilleoではRISCでUSB制御のみならずさまざまな信号処理も担当しています。これで柔軟性と多機能化などをもたらしています。つまりはDACといえどもソフトウエア(ファームウエア)の比重が大きくなってきたということです。

XMOSという点で言うと、USBの192k技術はXMOSでそろってきたようにも思えますが独自の実装があります。これはさきのHD-7A 192のカスタムファームウエアの記事で書いた通りです。
プレーヤーソフト的に見てもインテジャーモードのようにかなりDACよりのバッファなども見据えたきわどい実装をするものも出てきたので、ファームの違いも関係してきます。Audirvanaのインテジャーモードは0.9.1からクラス2に対応していますが、当初同じXMOS採用機でもばらつきがあったのはこのあたりに関係しているようです。

たとえばインテジャーモードの対応の場合、DAC側のコントローラーがPCM270xのようにハードの固定動作チップの場合はDACベンダーで変更ができないので、PCM270xが入っていればインテジャーモードの対応はどのDACでも大丈夫だろうと推測ができます。しかしコントローラーがXMOSのようにDACベンダーが書き換え可能なソフトウエア比重の高いチップの場合は一概にXMOS搭載のA-DACがOKだったからB-DACもOKとは保障できません。ただしベンダーによってはグループ化が可能なので(たとえばゴードン系)、WavelinkがOKならQB9 192も大丈夫だろうと言う予測は可能です。そういう意味ではこうしたカテゴリー分けは必要であるといえるでしょう。
ちなみにインテジャーモード対応DACのリストはこの辺のCAリンクが便利です

USBの転送制御をソフトで行うと言う点では昨年のキーワードとなったAsync云々というところも関係してきます。これはDAC側の高精度固定クロックが有効に使えるということでAsyncがもてはやされたんですが、クロックで知られたアンテロープ社製で高精度クロックを売りにするZodiacがクロックを生かすために必要と思われていたAsyncではなくSyncであったというのも興味深い点です。SyncはAdaptiveの元になった規格で、いまはあまり使われていないという理解でした。これも意図的にやっているようで、あえて第三の方式などと言っていました。

4. コンピューターとオーディオの世界

こうしてみただけで、コンピューターオーディオの世界は深く多様で全て理解しようとするとめまいがしてきますが、トランスポートであるパソコン(OSやプレーヤーソフト)も、DAC/DDC側のコントローラも、ソフトウエアの比重が大きくなるとそのベンダーごとの実装で挙動がおおきく左右されてしまうと言うことはいえると思います。これは実際は規格化されて同じことをやっていそうですが、見えない挙動は異なってきて、それがときに見える違いとなると言うことです。
このソフトウエアによる柔軟性の高さと、柔軟ゆえの不統一さというトレードオフが従来ハード一辺倒だったオーディオ機器にないコンピューターオーディオの特徴を端的に表しているようにも思えます。
posted by ささき at 19:55 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月18日

コンピューターオーディオの開発面での進化と効率化、nSDKとXMOS

最近特にコンピューターオーディオ機材の開発ペースが早いように思えますが、それは気のせいではないというお話です。

*ネットワークオーディオ
本日のニュースによるとTIがネットワークオーディオ開発キット、nSDKというのを発表したとのこと。
こちら日本語プレスリースです。
こちら英語リリースです。

英語リリースで見ると日本語リリースに書いてあるOSとはLinuxと明確に書いています。このnSDKが対応しているTIのオーディオ用プロセッサ・DA8xファミリーというのがARMプロセッサとDSPのパッケージのようですから、つまりはDA8xを使用する(ARMベースの)組み込みLinuxをOSとしたミュージックサーバーを作るためのキットということでしょう。ここで書いているプレーヤーとはミュージックサーバーのコントロールソフトのことで、ストリーミングやストレージ上の楽曲ファイルを再生できるような機能と、管理機能、操作UI画面などの提供をさしているようです。
これにより、つまり最近CESでポンポンと出たようなDLNA対応のネットワークオーディオ対応のミュージックサーバーの開発が効率化できるということですね。さらにもっとたくさん出てくることでしょう。

ちょっと日本語リリースは訳がおかしいところがありますが、USBに関してはDA8xでサポートしているのがUSBマスストレージクラスとポータブルプレーヤー(DAP)というところから推測してもUSBに関してはホスト機能(A端子側)を持ってUSBメモリーとかポータブルプレーヤーからの再生を可能にするということのようです。(それとRobust solutionは高い堅牢性というより、高い安定性と書いた方がより分かりやすいでしょう)

これはさきに書いた"DA8x Aureus"というオーディオプロセッサ・モジュールのための拡販政策ともとれますが、似たようなのが実はUSB DACの192対応で見られます。

*192/24対応USB DAC
昨年末に少し書いたんですが、昨年予想外だったことはUSBオーディオクラス2.0の対応機種が意外と早く出て、多かったということです。これはXMOS社がUSBオーディオクラス2.0用に特化したパッケージ化されたモジュールであるXS1-L1を提供しているということが要因のひとつのようです。
http://www.xmos.com/products/development-kits/usbaudio2
XS1はUSBコントローラとして従来のFPGAのようなカスタムLSIに変わるものですが、XMOS自体は"Software Defined Silicon"(ソフトウエア定義シリコン)と別名がついているようにハードウエアではなく、小さなコンピューターのようなもののようです。http://www.atmarkit.co.jp/fsys/zunouhoudan/091zunou/xmos_cpu.html
つまり従来のハードウエアロジックでやることをソフトウエアで記述し、超高速のマルチコア並列プロセッサで処理します。言い換えるとハードでやることをソフトでやってるけど、その速度がハードなみに追いついてきたということですね。トランスピュータ(トランジスタ+コンピュータ)とも呼ばれていた一昔前の先進的な考えが、昨今のマルチコア技術の進展などで現実化したという側面もありそうです。
このソフトウエアを記述するさいにはアプリケーションを組むように高級言語(より分かりやすいということ)で記述できるというのがXMOSのポイントです。つまりASICはもとよりFPGAよりもさらに柔軟性が高く、(語弊はあるかもしれませんが)簡単に開発できるというものです。

そしてXMOS社がこのチップの応用領域を広げるためにさまざまな領域にキットを作り、そのひとつがこのUSB オーディオクラス2.0ということのようです。オーディオは比較的小ボリュームマーケットなのでASICよりFPGAが向いているように、FPGAよりもXMOSのほうがよいということなんでしょう。
最近ではXMOS WOWなんかも発表してます。

応用例は例えばこちらのOEM向けの192/24対応のUSB DDCボードのようなものです。
http://www.abc-pcb.com/?page_id=187
こちらも市場にも出てくることでしょう。

いまあるUSBオーディオクラス2.0対応の多くのUSB DAC製品の制限と機能がなぜか揃っている、つまり「Macは10.6.4以上が必要で、Win7は対応がなくThesyconかCEntranceのドライバを使う、かつAsync対応できる」という「特性」は実はこのXMOSのモジュールがもつ機能・制限を引き継いでいるというわけです。

昨年9月ころにUSBクラス2.0のまとめを書いたときはWavelinkやQB9 192をゴードングループと書きましたが、もしかするとここはXMOSグループと書くべきかもしれません。しかしすべてのメーカーが独自で一からやっているわけではなく、やはり最近出たグレースデザインのm903などはゴードンさんのXMOS用のコードを使っているようなのでグループというのは依然残るとは思います。ゴードンさんはStreamlength HSといっていますが、つまりはTAS1020のUSBオーディオクラス2版がこのXMOS XS1のコードといっても良さそうです。もちろん各々開発しているところもあるでしょう。


オーディオの改革というのはこうしたユーザーに見えないところでも着々と進んでいて、その進化のスピードが上がっているようです。
私も技術畑の人なので最近特に開発の効率化って言うのはうるさく言われるわけですが、オーディオも例外ではないということろでしょうか。こういう点でもオーディオが広い世の中の流れに組み込まれているというのが分かるのではないでしょうか。
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2010年12月31日

2010年度のオーディオまとめと2011年展望

この2010年は自分としてもオーディオ業界としてもコンピューターオーディオの年でした。秋にはコンピューターオーディオのムックが3冊同時発刊されるという盛り上がりをみせ、新製品に活気付きました。
私も各オーディオ雑誌やPCオーディオムック、また単行本まで書かせてもらい、雑誌やムックと単行本のそれぞれの良さ、難しさ、など勉強になりました。

もともとコンピューターオーディオの世界はネットワークオーディオ機材であるLINN DSシリーズが火をつけたかもしれませんが、 2010年は QB9が嚆矢となった高性能USB DACが、フェーズテックHD7Aなどを中心にしてUSBのAsyncモードというキーワードとともに充実して行った年でした。
またブレークしたhiFaceをはじめUSB DDCも新たな選択肢となり、USBオーディオ系が市場を牽引して行きました。USBオーディオ用のケーブルも注目されたのも顕著な点でした。

今年のUSBオーディオの話題はもう一つはUSBオーディオクラス2.0です。うちで最新の話題として取り上げたのが7月頃ですが、今年後半は思っていた以上にUSBオーディオクラス2.0移行が加速して多数の機材が登場してきましたのに驚かされました。
これは新しいソフトウエア制御によるコントローラを使うことで開発が効率化されたということがあるようです。つまり普通のユーザーには見えない開発のところでも変革があったということですね。
そういう意味でもオーディオというのが表面的なところだけではなく、深いところからも着実に変わって行ってると思います。

それと今年は音楽再生プレーヤーソフトも豊作でした。もともと充実していたWindowsに比べると特にMacの進歩が良かったですね。昨年くらいから人気が出てきたAmarraだけではなくフリーウエアもAyreWaveやAudirvanaなど従来と一線を画するものが登場してきました。
Mac自体のシェアもiPhone人気で上がってますが、もともとオーディオに向いていると言われてたけど、再生プレーヤーの種類が少ないのがネックでしたから、ハードとソフトが揃って動くというのは良い傾向です。

iPadのUSBオーディオ対応もちょっと注目点でした。
iOS4.2で見せた音の良さ、オーディオへの適性というのは侮れません。ただ一部の機種では据え置きでもバスパワーを要求しているものがあって、4.2で供給リミットが100mAから20mAにカットされたこととあいまって、まだ大きく広がるには制約があります。
他にもiOSのオーディオへの適用というのは多様なものがあって、下記のように音楽をデータファイルではなく、アプリとして配信するという形もあります。
http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/1012/29/news015.html


さて来年2011年はということですが、トレンドとして見えてるのは先に書いたような今年黎明期だったUSBクラス2対応の加速化による192kHz対応の充実と、さらに384kHz対応の黎明期となるかもしれません。
どこまでDACのハイサンプリング化が続くか分かりませんが、かつてのパソコンのクロック競争とかデジカメの画素競争にも似てきたかもしれません。
ちなみにこれらを振り返って見ると下記のような結果となりました。

*CPUのクロック競争->製造プロセス細分化による発熱の壁->マルチコアなど別方面に進化の方向を変える
*デジカメの画素競争->センサーの細分化によるDレンジ不足で画質低下->手振れ補正など機能面に進化の方向を変える

オーディオに関してはまず対応ソースという問題もあるし、細分化によるジッターへの影響というのもあるかもしれません。上の両者は明らかな壁にぶつかって方向を変えてますので、どこかに何かが潜んでるんでしょう。
似たようなところでは32bit対応も出てくることでしょう。ただこれもMacのcore audioのところで書いたようにソフトウエアドメインでの壁があります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/167849910.html
この他だとESS Sabre32チップの台頭とかDSDなんかも話題に登ってくるかもしれません。

ネットワークはどうかというと、2010年はUSBオーディオがブレークしたけれども、2011年はネットワークオーディオがブレークするだろう、と書けばもっともらしいように見えます。でもちょっと違和感も残ります。
そもそもUSBオーディオか、ネットワークオーディオか、というジャンルわけはどうなのでしょう。
例えば私のWindows7 PCではUSBオーディオクラス2のUSB DDCであるAudiophilleoを繋げて「USBオーディオ」になってるように見えますが、同時にfoobarにuPnPコンポーネントをいれて無線LANにつないでるので、iPhoneやiPadからPlugPlayerアプリでDLNA(uPnP)等価の「ネットワークオーディオ」として使えます。
またCantataのところで書いたようにUSB over IPなどを応用すると、USBで接続してもネットワーク透過でありえます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/159069115.html
こうしてネットワークの一員としてのオーディオ機材のあり方も考えることになるでしょう。

さらに来年になるとMacでは10.7 ライオン、Win7はSP1が出ることでオーディオも左右されるかもしれません。例えばUSBオーディオクラス2の制限がOSの実装によるものならばそれが変わるかもしれないし、スノーレパードで移行期のようだったMacの64bit環境もライオンでデフォルトになれば再生ソフトも変わるかもしれません。

結局コンピューターオーディオというのは、単にトランスポートの代わりにパソコンを使うものであるというよりも、むしろコンピューターの世界とオーディオの世界の関係を見つめ直すものであるようにも思います。
それをまた考える年になることでしょう。

また、トレンドから推測はできますが、新しいものはどんなものが出てくるか分かりません。あとはCES2011が来年の幕開けです!
posted by ささき at 15:53 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月22日

USB Audio Class 2.0についての最新情報 (2)


*この記事はこの時点での最新情報でしたが、2011/6月にさらに更新した記事をアップしました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/209382239.html



USB Audio Class 2.0についての振り返りとまとめ

USBのハードディスクはたいていがドライバーのインストールがなくともPCにつなげば自動的に認識します。同様に多くのUSBオーディオ機器はパソコンにつなぐだけで音が出るようになります。これはOSがもともと持っているドライバーが自動的に標準規格に沿った機器を認識するからです。標準的なこの規格をUSB接続ではClassといい、オーディオの場合はUSB Audio Classといいます。このようにOSがはじめから持っている標準規格に沿ったドライバーのことを標準ドライバーまたはクラスドライバーと言います。英語記事でOSのnative driverと言った場合は標準ドライバーのことです。
*このドライバーを作るのはマイクロソフトなどOSサプライヤーです

しかし、USBオーディオではこの標準ドライバーを使う限りにおいては、対応するサンプリングレートは96/24までが限界というのが定説でした。192/24まで達成するにはhiFaceのようにカスタムドライバーをインストールする必要があるということです。hiFaceなどはオーディオクラスの等時的なアイソクロナスではなく、ストレージクラスなどで使われているバルク転送を使うことでこの制限から逃げています。(つまりバルク転送では同期ができないので必然的に非同期となります)

しかし最近のUSB DACなどで標準ドライバーのままでも192/24や176/24を可能とするものが出てきました(zodiacの記事参照)。
先に書いたUSB Audio Classが1.0から2.0に拡張されたようです。Class 2.0ではClass 1.0に比べてUSBのオーディオクラスに関する属性が増えているようです。

つまりUSB Audio Class 2.0とは、カスタムドライバーをインストールすることなしに、標準ドライバーだけで176/24と192/24が再生できるものです。もうちょっと別な言い方をすると、バルク転送ではなく、アイソクロナス転送で176/24と192/24が再生できるもの、ともいえるかもしれません。つまりhiFaceとかMusilandは今回の記事の対象外です。
(アイソクロナス転送は同期できるのでさらに同期、非同期とAdaptiveのモードがあります)

Audiophilleo1を買ったことでさらにいろいろ分かるようになり、ここの開発者のフィリップさんとも少しいろいろ聞いてみて分かりましたのでClass 2.0に関する中間報告として書いておきます。

Class 2.0対応状況の分類

いまのところUSB Class 2.0をサポートしているUSBオーディオ機材は私の知っている限りは下記4機種です。

Wavelength Wavelink (USB DDC)
http://www.usbdacs.com/Products/Products.html

Antelope Zodiac+ (USB DAC)
http://www.antelopeaudio.com/jp/products_zodiacplus.html

Audiophilleo 1と2 (USB DDC)
http://www.audiophilleo.com/

Ayre QB-9改 (USB DAC)
*未リリース

実質的にAyre QB-9改はゴードンのコードを使っているのでWavelinkとおんなじと考えることができますので、さらに各開発元により標準ドライバーでの192/24対応の状況をまとめると下記のようになります。このように対応は開発元によりばらつきがあることが分かります。

*Wavelengthグループ(aka. ゴードングループ) (Async)
Mac 10.6.4要
Window 7 対応なし - 付属のカスタムドライバーのインストールが必要

*Zodiac+ (Adaptive - 情報に基づく推測)
Mac 10.6対応 (10.5も?詳細不明)
Windows 7 対応あり

*Audiophilleo (Async)
Mac 10.5でもOK
Windows 7 対応なし - 付属のカスタムドライバーのインストールが必要


なかにはLinuxもサポートされていますが省きます。書くとするとLinuxの場合はUbuntuみたいにディストリビューションではなく、カーネルバージョンが必要でしょう。そのカーネルバージョンがどのディストリビューションに入っているかというところまで調べて書かねばなりません。

*MSBの新しいのもClass 2.0かもしれませんが、まだちょっとよく分かりません。
http://www.msbtech.com/products/usb2.php

Class 2.0対応の要件とは

一般的なUSBオーディオ機器については96/24までの対応ではわりときれいにそろっていたのですが、Class 2.0の対応はかなりばらつきがあるのが分かります。

これについて分解するといくつかの問題(ボトルネック)があることがわかります。

1. OS側のクラスドライバーの実装

2. デバイス側のUSBコントローラの制限

3. デバイス側のファームウエア設計

これらは複雑に絡んでいます。
たとえば前にWavelengthの情報からClass2.0はMacOSX10.6.4から対応と書きましたが、実際は10.5からClass2.0自体は対応されていたようです。ただし10.5ではOSのクラスドライバーの実装に問題があったようです。ただしこれはファームウエアの書き方によっては回避できる問題のようで、ゴードンさんは10.6.4までだめだったといってますが、Audiophilleoのフィリップさんは回避できると言ってます。もしかすると2.0の規格を厳密に守った場合10.5ではだめなのかもしれません。ここでは書きませんが(というか私は理解していませんが)、これにはちょっとワザがあるようです。ゴードンさんはこの点でまじめに守っているんでしょう。

またいかにファームウエアをClass2.0のオーディオクラスDescriptorにあわせて書いて、OSのクラスドライバーが2.0をサポートしていても、USBコントローラがTAS1020などの1.1対応機種ではそこがボトルネックになるので192/24転送はできません。(この場合の帯域幅はけっこう惜しいので192/16とか170/24とか半端なのはできるようです)

つまりClass2.0というのが実は前から可能であったにもかかわらず、最近になって見えてきたのは、実はOSが最近対応したからではなく、コントローラが最近対応したから、ということのように思います。
Audiophilleoではコントローラーをカスタムで設計しているようです。Zodiac+もそうです。つまりTAS1020みたいな1.1時代の古い既製品を使っている限りはClass2.0サポートは達成できないということです。

もうひとつ問題はなぜWavelinkとAudiophilleoはMacOSXでは標準ドライバーで192/24まで達成できるのに、Windows7だとだめなのか、という点です。
これは少しフィリップさんともお話ししたんですが、確実なことはわかりません。ただ上の表を見ていただくとなんとなく気づくかもしれませんが、WavelinkとAudiophilleoはAsyncですが、Zodiac+はAdaptive(推測)です。おそらくこの辺にポイントがありそうです。これはファームウエアとOSが、どちらが問題かはともかく複雑な関係で動いているということです。
そしてOSの実装もまた完全ではないということです。はじめに標準ドライバーを作成するのはOSを作るメーカーであると書きましたが、御存じのようにOSは完全から程遠く穴だらけです。もっともOSは数千万ステップものプログラムの集合体であり、それが一行たりとも間違えてはいけないというのは酷なことではあります。

つまり結局はClass 2.0という枠はできているのに、クラスドライバー、コントローラ、ファームウエアの3者がそれぞれ問題を抱えながら複雑に絡み合って、ここに書いたような状況になっている、ということでしょう。そのため、こういう足並みがそろわない状況となっているようです。
これもiPadのUSBオーディオサポートと同様に「できるけれども完全ではない」ということだと思います。

今度WAONさんが176k/24のマスターデータを採用したハイレゾ音源の販売をするそうです。そうした96/24を超える動きも出てきていますので、まだこのClass2.0の件については見ていく必要があると思います。
posted by ささき at 00:27 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする