AKGのK1000用に注文していたStefan AudioartのEquinoxのTail-Endケーブルが到着しました。Equinoxもバックオーダーの待ちが長いんですが、約3ヶ月近くかかって届きました。
http://stefanaudioart.com/TailEndReplacementCableForAKGK1000Headphones.html
EquinoxのK1000用のケーブルにはHardwiredとTail-Endの二種類があります。HardwiredはK1000の本体のケーブルを変更するもので、Tail-EndはK1000タイプのXLR(4pin)コネクタからアンプ(スピーカー用のアンプ)につなぐための延長ケーブルです。Hardwiredは自分もしくはショップに付け替えを別にお願いすることになります。
K1000のケーブル交換は特に大変ということでいくつかのショップがあらかじめ委託先に選定されていました。
はじめはHardwiredを頼んでVinnieさんのところに頼もうと思っていたんですが、Vinnieさんもさすがに最近は忙しいらしくて受けてくれなくなったようです。いまは他のショップも受けてくれないということでHardwiredはひとまずあきらめて、Tail-Endの強化を先にすることにしました。
ケーブルの端末処理はバナナで注文したんですが、届いたのは普通に半田で端末処理されていて、市販のバナナプラグが付属していました。。手抜きだ。
他は特に大きな問題はありませんでした。ケーブルもしなやかで柔軟性があります。ポータブルのHD25用に頼むのもいいかもとちょっと思いました。
これでK1000も語るべき仕様を満たしたので、いろいろと手持ちのアンプにつけてみました。
K1000は音がきつめなので真空管アンプにつけるのがひとつの定番となっています。
はじめに低価格コンパクトのハイブリッド真空管アンプのMP5につけてみました。聴いていて優しくて悪くはないですが、ゆがみ感をかなり強く感じます。
そこでS6につけてみると、これはさすがにもっとしっかりと鳴らします。音もかなりきれいです。
そしてK1000の組み合わせの新定番ともいえるSignature 30といよいよ組み合わせてみました。
これは6moonsのレビューでブレークした組み合わせです。
背面のスピーカーのバインディングポストに接続します。特にバナナは使わないで直接ポストにつけます。赤(R+)、青(R-)、白(L+)、黒(L-)です。Tail-Endケーブルはこのようにしなやかなものです。
実際に試してみるとたしかに異常なまでに能率の低いK1000をよくコントロールしていると思います。またSig30は適度な温かみがあるのでK1000のきつさはやや緩和されます。
ただ完全にきつさがとれるわけではないので、聞く音楽は選びます。この辺はケーブルのブレークインでも少し改善されるかもしれません。また重心もまだ高めに感じます。
ただし、はまるとかなり強烈な他にはない個性があり、K1000独特のスピーカー的な音の広がりと鋭い楽器の切れ味は他の追随を許しません。器楽曲なんかは驚くほど再現力は高いものを持っていると思います。ジャズのトリオなんかもいいですね。
半面でシステムと音楽の相性が完全でないと、ただうるさいだけのヘッドホンに感じるかもしれません。
ソースとの組み合わせではIKEMIと組み合わせるとやや高域が強い感じになるのでDLIIIの方がよい感じがします。DLIIIの192モードの方が柔らかくて一番あうように感じますね。
そのうちK1000はTail-End部分をバランス端子バージョンで注文してバランス駆動アンプに使えるようにするつもりです。
GS-Xの次の新型Justinモジュールは特にK1000に効果的ということですので、ここに期待です。
Music TO GO!
2007年02月21日
2006年01月14日
K1000がStereophileアクセサリー賞を受賞
AKG K1000が昨年度のStereophileの年間アクセサリー賞を受賞しています。
http://www.stereophile.com/features/1205poty/index6.html
K1000はかつて90年代初めに一度受賞したことがあるそうで、二度目だということです。こういう10年以上前の旧製品が受賞するというのはどこかの国のオーディオアワードとはずいぶん違うとは思います。
受賞理由は下記の記事により色あせない魅力を再評価したということのようですが、でもやはりK1000引退にあたってのたむけという感じでしょうか。
http://www.stereophile.com/thefifthelement/605fifth/index1.html
ところでK701/K601の品不足について、ネット上では次回入荷予定は一月末ころということで言われてますね。わたしのもその後でしょう。
さてK701のカテゴリーでも作って待ってましょうか(^.^
http://www.stereophile.com/features/1205poty/index6.html
K1000はかつて90年代初めに一度受賞したことがあるそうで、二度目だということです。こういう10年以上前の旧製品が受賞するというのはどこかの国のオーディオアワードとはずいぶん違うとは思います。
受賞理由は下記の記事により色あせない魅力を再評価したということのようですが、でもやはりK1000引退にあたってのたむけという感じでしょうか。
http://www.stereophile.com/thefifthelement/605fifth/index1.html
ところでK701/K601の品不足について、ネット上では次回入荷予定は一月末ころということで言われてますね。わたしのもその後でしょう。
さてK701のカテゴリーでも作って待ってましょうか(^.^
2005年11月28日
K1000壁紙アップしました
2005年11月27日
AKG K1000 レビュー
- Introduction
AKGとは"Akustische u. Kino Geraete"の略ですが、これは英語に直すと"Acoustic and Cinema devices"となります。
AKGはその名のとおりに映画館に映写機とスピーカーを提供する会社としてウィーンで創立されました。第二次世界大戦直後のことです。AKGはそれからずっとウィーンを拠点としてきました。
ヘッドホンも1949年から半世紀近く製作しているわけですが、その歴史の中でK1000は1989年にリリースされて以来16年ものあいだAKGのヘッドホンのハイエンドモデルでした。しかし他のヘッドホンと比べてかなり特徴的なためフラッグシップとしてよりは特別なモデルとして考えられていたと思います。
まずはじめの特徴は普通のヘッドホンでは必ず存在するハウジングがなくトランデューサー(発音体)がむき出しになっているということです。AKGのカタログから抜粋すると、この方式の利点は大きくふたつあります。
ひとつはこれによりハウジングの響きの干渉のない音を得ることができます。このことは良く考えるとかなり画期的です。ヘッドホンは音が直接耳に入るダイレクトリスニングとは言いますが、実際はハウジングの影響を大なり小なり受けて(それを逆に生かす場合もありますが)音が変化します。またスピーカーではルームアコースティックの影響を受けますから、K1000はある意味理想的なダイレクトリスニング環境といえます。
もうひとつは立体感とか定位に関するメリットです。完全にオープンにすることによって左の発音体から発した音が右の耳にも入るために自然にクロスフィードのような効果を持ちます。またヒトの外耳には音を集める際にスペクトル定位の手がかりを与えるという役割があるそうです。つまり外耳にきちんと音を当てることが立体感を生む要素ということです。K1000は単にハウジングがないというだけでなく、両方のトランデューサーがウイングのように開く構造になっています。これはこのように外耳に音を正しく当てる角度を調節するという目的もあるように思います。
自然な音を作るというのはK1000の開発テーマであり、それを実現するためにマイクによって音の解析をしながらトランデューサーの設計をしていったとのことです。
次の特徴はK1000が非常に鳴らしにくいヘッドホンであるということです。
インピーダンスは120Ωとやや高め程度ですが、能率(感度)が74dBと異常といえるほど低くて普通のヘッドホンアンプではうまく駆動させることができません。例えば普通のヘッドホンは低くても95dB前後で、普通は100dB前後です。95dBであればかなり鳴らしにくいといわれるでしょう。ちなみにスピーカーでも86-95dBが普通です。(スピーカーの場合は95dBだと鳴らしやすいといわれます)
その代わりに駆動力の問題を克服さえすればここが最大の強みにもなります。
これらの点からK1000は標準的にはCDP/アンプのヘッドホン端子やヘッドホンアンプではなく、普通のスピーカー用のアンプで駆動することが推奨されています。そのためヘッドホン端子ではなくスピーカーターミナルに接続することになります。
ただし以前はK1000の専用にAKGからヘッドホンアンプが発売されていました。これはドイツのSACというメーカーが開発しました。(上記写真のものです)
K1000はケーブルコネクタが普通の1/4ステレオジャックではなく、XLR端子で4ピンであることも特殊な点です。普通のXLR端子はLR別でそれぞれ3ピンですが、K1000はLRとも共通のひとつの端子で4ピンです。これはそのままスピーカーのL+,L-,R+,R-に相当します。スピーカーにはさらにこの4ピンXLR端子に接続するXLRメス端子を介してスピーカーケーブルが延びている付属アダプターを使います。SACのアンプにはXLR端子のまま接続できます。これは4極端子となるためチャンネルセパレーションにも有利に働くと思います。
このようにK1000は普通のヘッドホンのように、買ってきてそのままオーディオのヘッドホン端子につなぐというカジュアルなやり方が通用しないので注意が必要です。
K1000は伸縮するヘッドバンドがあり、それなりに頭にフィットします。ハウジングがないため、頭に対してはこめかみのところのサポートと頭頂部の3点で支えます。頭頂部は一点ではなく、ある程度の幅をもっているので一点が圧迫されるという感触はありません。重量はハウジングがないのでそれほど重くありませんが、こめかみにサポートがあることで違和感を覚えます。ただ私の場合は音楽が鳴り出すとあまり気にならなくなります。
3時間くらいかけているとさすがにやや締め付けを感じますが、ハウジングがないことで蒸れないので、ここは普通の方式と一長一短だと思います。
K1000のパッケージには格納のための立派な木箱が付属してきます。生産はたしか手作りでひとつひとつにシリアルが付きます。
- Sound Impression
わたしはK1000の専用SACアンプを使用していますので、このインプレはその組み合わせにおいてほぼ20から30時間程度の時点でのものです(SACアンプについては別記事で書きます)。K1000は鳴らしこみにくくエージングの先はまだ長いのですが、はじめのひと山は超えた気はします。
CDPはLINN IKEMIです。なおSACアンプの電源ケーブルはハイエンドホース3.5に交換しています。
さきに述べたようにK1000は利便性を犠牲にしても、音の理想を追求したヘッドホンといえるでしょう。実際にK1000で聴いてみると圧倒されるのはその理念がもたらす、いままでに聴いたことがないほどの音のかたちです。
まずひとつひとつの音が非常に純粋であることです。これは一言で言うと単純ですが、実現はむずかしいことです。それぞれの音はすばらしくタイトで余分なたるみがまったくなく、音に色付けや余分な響きが皆無です。これにはたしかにハウジングの干渉のない余分な付帯音を排除した効果もあると思います。
余分な鳴りがないといっても、響きがあるべきところはそれを響きの形として明瞭に描き出します。そのため音の厚みがあり、響きは適切にしてかつリアルです。
ここがひとつのポイントだと思いますがヘッドホンの能率が低いということはノイズも拾いにくいということで、結果的にSN比が高いということです。それが背景が漆黒と評されるゆえんです。K1000では背景は黒い壁ではなく、底知れないどこまでも深みのある漆黒の池にノイズが落ちていくような恐ろしさがあります。ノイズを漆黒の闇に引きずり込んだあとには、真空のような静寂がのこります。IKEMIもSACアンプもSNの高さでは定評があり、もちろんシステムとしてのSNが重要であることは言うまでもありません。
そうしてピアノが音をポーンとひとつ刻むたびに音が漆黒の背景に明瞭で純粋な形をもって浮かび上がります。
その音の形の彫刻のような美しさにはただ感動します。
また音の立ち上げと立ち下げの反応が非常に早く、さきの音の形の明瞭な鋭さ(きつさとは別)とあいまってキレがよくリズムの歯切れがいいハイスピードな音楽の流れを作り上げます。スピード感はさらにSACアンプとのシナジー効果で加速します。
そしてSNが高いということは底のノイズのちりが高くならないので、外来の雑音に埋もれずにソースの微弱な音の信号を取り出す力が強いということにもなります。つまり解像力が高く聴こえるということです。そしてK1000はCDの録音の良否に挑戦します。
ギターソロの曲において、ただの一本のギター演奏にかくもたくさんの音が入っているのかと改めて驚かされます。
ピックがひっかき、弦が響き、胴が共鳴する、奏者は呼吸し、衣擦れの音がする、これらが全て異なる音で異なる場所にきちんと再現されるのは圧巻です。
その広がる音場のすばらしさを享受するためには適切なウイングの位置決めが必要です。音楽によっても異なるかもしれませんが、先に述べたように個々の耳の個性に合わせていくという考え方もあると思います。そこでK1000を頭に装着してまず行うのはこの「K1000の儀式」です。
最も閉じるとややうるさいごちゃごちゃした感じがありますが、開いていくとそれが整理されてあるべきところに徐々に置かれていきます。そして開きすぎると散漫に遠くなるので適当なスイートスポットを探すということになります。
こうして得られる音場はまるでシアターの中にいるようです。ヘッドホンとも2chスピーカーとも違い、5chのシアターのまん中にいて頭の両側の左右に広がる感じがします。
全体的な音のバランスはとてもフラットで低い方も高い方も強調がありません。
ただハウジングがないせいか、やはり他のヘッドホンよりはちょっと腰高には感じます。SACもそうですが寝起きの悪いアンプと組み合わせると、聴き始めはこの感じが助長されます。そのかわり高めに感じる割には意外に子音もきつくありません。
むしろK1000の問題点は低域にあります。
はじめにいうとK1000の「ふつうの」低音の締まりは力強くタイトで、ベースやバスドラなんかは小気味良くて意外とロックにもあいます。しかし10Hzなど低域側に広く伸びる最近のヘッドホンに比べると重低音の伸びがありません。そのため打ち込み系・トランス・クラブ系はいまいちとなるでしよう。
またこうした系統でなくてもアレンジで重低音を入れるのが最近の音楽のはやりですが、音のかなめがそうした重低音にある音楽だとK1000ではそうした部分がすこっと抜けて拍子抜けしてしまうこともあります。
K1000は比較的古い設計ですが当時はこうした音作りの傾向はなかったでしょう。またハウジングもないので低域を作ることが難しいともいえます。
30Hzまで性能ではうたっていますが、ユーザーマニュアルについている周波数曲線を見ると50Hzまでは恐ろしくフラットですが、そこから急に落ち込みます。ピアノの最低音は25Hz、ベースギターやコントラバスは40Hz程度ということですのでこれらの最低音はレスポンスがむずかしいかもしれません。ただしふつうは低音といってもこんな低い音はそうでるわけではなく、オーディオにおいてはだいたい60Hzから120Hzが低音の良否を決めるそうです。そういう点ではクリアしているといえます。
いずれにせよアコースティックな楽器についてはよいのですが、電子的な重低音はうまくありません。こうした点でいまメインのヘッドホンをK1000一本というのはややきびしいかもしれませんし、音楽を選びます。
音楽の相性としては器楽曲ではこれに勝るものはないでしょう。ただしヴォーカルに関してはK1000が捨ててしまった余分な色つけが欲しいという気もします。ギターとピアノについては満点をあげたいくらいですが、ヴァイオリンについてはやはりヴォーカルのようにやや色がほしい気もします。これもDAC-1のようなものであまり色がないと色が欲しくなるという、ちょっと贅沢な悩みではあります。
ジャズもいい感じです。ベースのピチカートが気持ちよく響き、ハイスピードでグルーヴィーです。
オーケストラものについては普通のヘッドホンにはないオケの広がり感がありK1000の良さを堪能できます。
それとアタックやインパクトがあるので意外とロックにあいます。かなりかっこよく鳴らしますが、古めのものがよさそうです。
本来の音のインプレは他のヘッドホンと相対比較をしたほうが分かりやすいと思います。しかしK1000の場合はあまりに個性が強いのであえて今回はそれをしませんでした。他との比較についてはまた別に簡単に記事にしたいと思います。
K1000に関してもレーダーチャートで満点というわけではありませんが、突出した良さがありやはり個性が光ります。
性能を引き出すのに手間がかかる上に、これひとつで全てはまかなえません。しかし、惹かれます。
これはAKGが音の理想を追い求めたことに対する共感といえるかもしれません。
空間に満ち溢れるK1000の透明な音にはただ感激します。
あるいはこれがウィーンの澄んだ空に響き渡る鐘の音なのかもしれません。
2005年11月16日
AKG K1000 !
さて、ここまでK701話題を引っ張りながら言うのもなんですが、K1000を買ってしまいました(爆)
以前ちょっと書きましたIFAショウのときの話が気になりましたので、この辺で新品を買っておこうというわけです。
今年の春くらいにディーラーからは年内で生産終了のアナウンスはあったようですが、最後のAKG在庫が12ユニット引き渡されたというのがIFAショウのあたりということのようです。もう16年も生産していたそうですが、生産終了の理由はパーツ調達の問題と生産性がよくないということのようです。そのためK1000 Mark2のような直接の後継機はないという話です。生産終了をK701とK601の登場にあわせたということはあるかもしれません。
それとK1000の専用アンプ(SAC K1000)も入手しました。さすがに専用というだけあって3倍速いのか、すごいハイスピードな音です。
この辺もまたいろいろ書いていきたいと思います。
以前ちょっと書きましたIFAショウのときの話が気になりましたので、この辺で新品を買っておこうというわけです。
今年の春くらいにディーラーからは年内で生産終了のアナウンスはあったようですが、最後のAKG在庫が12ユニット引き渡されたというのがIFAショウのあたりということのようです。もう16年も生産していたそうですが、生産終了の理由はパーツ調達の問題と生産性がよくないということのようです。そのためK1000 Mark2のような直接の後継機はないという話です。生産終了をK701とK601の登場にあわせたということはあるかもしれません。
それとK1000の専用アンプ(SAC K1000)も入手しました。さすがに専用というだけあって3倍速いのか、すごいハイスピードな音です。
この辺もまたいろいろ書いていきたいと思います。