Music TO GO!

2014年09月23日

東京インターナショナルオーディオショウとBruno PutzeysのMola Mola

今年の東京インターナショナルオーディオショウは9月ということでちょっと実感がありませんが、見に行って来ました。ちなみに写真はカレー以外はSONY RX100M3です。

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開場時には大盛況で並んでたんで、はじめに銀座のカツカレー発祥の店スイスで元祖カツカレー(千葉さんのカレー)を食しましたが、入館してみるとそれほどでもなく午後になってやや混み出した感じです。
全体を見て去年のLINNのExaktのような大物はないのですが、私が個人的に注目してたブランドが出てました。

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それはハイエンドのブースで出展されていたMola Molaです。上の写真です。
なぜ注目かというと、このMola MolaはあのiQubeの設計者であるBruno Putzeysのプロジェクトだからです。HypexやGrimm Audioも彼ですね。Mola MolaはおそらくネルソンパスのFirstWattブランドみたいな個人ブランドのイメージでしょうか。
DクラスのパワーアンプKalugaとプリアンプMokuaが展示されていました。このDクラスアンプはモノブロックで一台85万円くらいとのことですが、これはHypexブランドと同じくNCoreデザインです。Mola Molaはマンボのような魚のようですがデザインも波をうねっています。
emmLabのDACと組み合わされてなかなかの音を出してましたが、実はMola MolaのメインはDACです。これは当初はプリアンプに内蔵されるものと聞いていましたが、今回ブースで聞いてみると内蔵方式だと発熱がすごいので単体DACとして再設計しているそうです。

Mola Molaのホームページはこちらで開発ブログもあります。
http://mola-mola.nl

最近はDSDという変革期を迎えて、DAC設計においてはPS AudioやSignalyst DACのように"従来の市販DACチップ+I/V変換回路"のような枠にはまらないさまざまなアーキテクチャのDACが現れてきていますが、Mola MolaのDACもそうした新しい方向性を持ったDACです。
これは10年先を見越して設計したという、いわゆる市販のDACチップを使わないディスクリートのDACです。1bit PDMからフィルターでアナログ信号を取り出すタイプだと思います。

今年のCESでのStereophileのレポートは下記リンクです。
http://www.stereophile.com/content/mola-mola-new-dac-prototype

DACは3枚のボードから構成されていて、PCMとDSDを入力としますが、一枚目のボードで入力をすべていったん3.125MHz/32bitにアップサンプリング変換し、それをPWM経由で100MHzの高周波の1bitデータストリームに変換します。二枚目と三枚目はそれぞれR chとL chのモノDACで、1bitデータをフィルターでアナログに変換します。これで140dBものSN比を達成しているということ。

写真 2014-09-23 21 16 46.gif
Mola Molaのサイトより

下の記事(part2)に出て来ますが、100MHzがベースクロックで、3.125MHzの32サンプル(100/32=3.125)がPWMのサイクルに相当するようです。よくわかりませんが、こうするとジッターを排除しSNをあげられるそうです。
一回マルチビットに変換するのはボリューム制御のためではないかと思います(PS Audioも同じ)。

また面白いインタビューがこちらのultraaudioというサイトに掲載されています。
http://www.soundstageultra.com/index.php/features-menu/general-interest-interviews-menu/455-searching-for-the-extreme-bruno-putzeys-of-mola-mola-hypex-and-grimm-audio-part-one

写真 2014-09-23 20 46 36.jpg
Bruno Putzeys (上記サイトより)

クラシックのDSD配信で知られるChannel Classicsの柔らかい音のキーは単にDSDを採用しているだけではなく、使用しているGrimm Audio AD1というディスクリートADコンバーターに寄るところも大きいと思います。Channel Classicsの中でもスタジオ機材が違うと音が違いますからね。このAD1にまつわるGrimm Audioの誕生についても語られています。
Bruno Putzeysによれば1bitデルタシグマは魔法のようなものではなく、PCMでも同じような音質のものは作れると考えているが、ディスクリートADコンバーターを作るには1bitデルタシグマはよい選択であると書いています。

またPutzeysはフィリップスに在籍していました。フィリップスではNat.Labという先進技術研究所があったようですが大企業にはありがちなことで、そこにいかに良い技術があってもフィリップス自体は採用しないので、オランダにはフィリップス出身の技術者が溢れてるとのこと。彼もその一人ですね。Hypexで用いられているNCore技術もこの時の産物ということです。

あと上のKalugaとかMokuaという名前は日本に売る時には「電気ウナギ」にしようとしたけど、日本の代理店(ハイエンド?)に日本人は英語が書いてある方が喜ぶからそれはやめろと言われてハワイの魚の名にした、と書いてます。
Putzeysが来日してればiQubeにサインをして欲しかったところですが、そのうち来て欲しいですね。PutzeysについてはGrimm LS1も要チェックです。ちょっとExaktチックのスピーカーシステムです。


以下はMola Mola以外で目についたところです。

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上の今井商事さんとこのMytekのマンハッタンDACは届いたばかりであまり能力は発揮できないということ。75万円になるハイエンド機です。本来は11.2kHzのDSDネイティブ再生とか、内部でのDSD変換ができるようになるということです。

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上はスイスのThe Beastというネットワークプレーヤーです。これの注目点は内蔵されたDAC部分がMSB製だということですね。

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また上の写真のようにAIR TIGHTが小型スピーカーを出しました。聞いてみるとこれはやはり大村ユニット(47研とか)のようです。さすが大村ユニットでサイズに見合わない堂々とした音でした。

ヘッドフォン関係は少なめ。
マランツのヘッドフォンアンプはオールドファンらしき人が興味津々に試してたのが印象的でした。

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上はなにげにエレクトリに置かれていたマッキントッシュのヘッドフォンとヘッドフォンアンプ。試聴はできませんでした。

アークではマークレビンソンのDaniel Hertzのマスタークラスのカタログがありましたが、デモはCD。
ソース機材はアナログプレーヤーが目立ちました。下のトライオードブースのKronosターンテーブルは上下反転で慣性モーメントを打ち消すといういかにもオーディオ趣味らしい仕掛けです。

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ヨシノではオープンリールテープまで使ってました。アナログレコードが最近また注目されたということもありますが、「アナログの復権」とまでは言えるのでしょうか。やはり時代のインフラはあくまでデジタルとネットワークですから。そうした意味では単に時代に逆行しているのではない取り組みが必要でしょうね。
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2014年07月19日

夏のポタ研2014レポート

本日は夏のポタ研に行って来ました。以下写真はSONY RX100M3です。

まずはAK500Nの発表会です。

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AK500はハイエンドオーディオを志向するAstell&Kernのひとつの目指す姿を実際に作ってみたものと言えるでしょう。ネットワークプレーヤーとPCレスのリッピング機能、SSDストレージ、USB DACなどまさにPCオーディオ全部入りの豪華仕様です。デザインのユニークさもポイントですね。

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デモではトラブルもありましたが、大勢のメディアが詰めかけ、質問も熱心で注目度の高さを感じさせました。

またDENONのポータブルヘッドフォンアンプが発表されました。
プレゼンではまず長いオーディオの老舗ブランドとしての歴史からヘッドフォンへの参入、そしてポータブルという道のりで紹介がなされました。

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DA10はポータブル版のDA300ともいうべき多くの特徴を持っています。まずAdvanced AL32ですがこれはまずビット拡張で32bitにしてからアップサンプル(時間軸拡張と言っている)をしています。DENONではAL32がDACに内蔵されているデジタルフィルターの代わりをしているということです。アーキテクチャの踏襲という意味ではSX1をデスクトップにしたのがDA300で、町に持ち出すのがDA10ということ。まずアルファプロセッシングありきで設計がなされ、PCM1795はフィルターをパスするのに好都合という側面があり、つまりAL32に向いているDACチップだということです。この効きと言うのはデータの下位ビットに相当するところで、例えば静寂の部分から音の立ち上がりが滑らかと言うことです。AL32はFPGAで実装されているようです。
DA300のレビューのときも書きましたが、DACマスタークロックデザインも取り入れています。ピュアオーディオ製品ではクロックのマスター・スレーブというのは良くありますが、ポータブルでは初めて聞くように思います。

まさにDA300が手のひらに入ったというイメージですが、今回はゲイン切り替えも付いているように改良されています。ただユーザー意見を聞いてくれるのは良いのですが、DA10ではアナログ入力もあるので入力端子とヘッドフォン端子が逆側にあるとバッグの中で立てた時にケーブルが邪魔になりますのでこの辺も改良して欲しかったところです。
もう一点、デザインはiPhone5に合わせたようですが、iPhoneと組み合わせたときのRF対策もApple基準の範囲で行っているとのことですが、QuickStepみたいにRFフィルターの採用などもう一歩突っ込んで欲しかったところ。
他方でヘッドフォン端子はラインアウト端子を兼ねていて、Fix切り替えスイッチで2V固定出力というのは良いですね。三段システムでDACとして使いたい人もいますからね。
使い勝手としては割と良くてスイッチ類もわかりやすいと思います。
USBはAもBも付いてるのでiOSからのデジタルはホスト(いわゆるiDevice方式)でもデバイス(いわゆるUSB DAC方式)でも受けられます。
あとあまり深く突っ込みませんでしたが、charge スイッチon/offに関係なくiPadからのUSB出力が受けれてるのはちょっと興味深かったですね。つまりCCK経由なのにiOSが電流オーバー警告だしてないで、常にセルフパワーになってるようですがプロトだからかも。
だいたい70%の音の出来だそうですので細かい音のコメントはしませんが素性は良さそうです。

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電池の持ちは7.5時間と短めですがAL32 FPGAがかなり電池食ってるようです。
電源の容量は大きいんですが、DSDのときはAL32を止めるなど工夫しているそうです(DSDではAL32効かないから)。

プレーヤーも出るかもってオフレコ話もありましたが、プレーヤー部分とDAC部分が一体になっているハイレゾDAPが一番マスタークロックデザインの恩恵を得るのではないかと思いますので、ぜひDENONさんにはマスタークロックデザインでAL32使ったハイレゾDAPを出して欲しいですね。


JabenではGlove Audio、Calyx M、Hidisz AP100などを出していました。
Glove AudioはLinumバランスW60で聞いた。音が洗練されていて、パワフルなところもがっつりきてくれるのが良いですね。

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Calyx MはJaben Japanが正式扱い決定です。Calyx Mについてはレビュー記事を近日公開します。

テックウインドさんのWestoneはW60が好評で生産が追いつかないそうです。いいものはちゃんと売れますね。

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カスタムのES60もデモ機を聞いてみましたが、かなりクリアで厚みのある素晴らしい音でした。2穴です。Westoneもさすが老舗でJHAやNobleには負けてません。

Astell&Kernは第二世代A&Kを中心に展示してました。たくさんのイヤフォンやCyper labのpiccoloなどシステムとしての展示も力を入れてるように見えました。

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こちらは隠し玉のドイツのMundorf(ムンドルフ)のAK240用のバランスケーブル。参考出展販売予定をしてます。すごいレアケーブルとのこと。AK240を据え置き化したい人には良さそうです。

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トップウイングブースではHE560とiDSD microがメインで展示をしていました。HE560は出だし好調でよく売れてるようです。iDSD microとHE560の組み合わせはさすがに音質レベルは高いですね。能率の低いHE560でも十分なってるように思います。

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iFIの良いところは基本性能もすんごく高いんですが、XBassや3-Dのような普通ギミック的に言われる機能でも破綻しないで自然で良く効くこともあげられます。この辺は確固たる技術的な裏付けもあり、さすがトルステン博士。

Wagnusさんでは今回から代理店としてNobleを展開していました。NobleのカスタムがWagnusさん担当です。

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Wagnusさんで購入すると通常WizardオプションのSilver Negget(銀箔)が無料オプションでつけられるそうです。またWagnusさんのケーブルをつけるとケーブルが22%オフになるそうです。

Fitearではfitearを展開。人気のようで試聴の列が途切れずに続いていました。

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ちょっと面白かったのが中村製作所のヘッドフォンコンディショナーです。これはアンプではなく、パッシブで音をきれいに整えるというものです。

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ユニークなことにバランス対応されていて、さらに出力を入力と別にできるのでAK240からバランスで出して、ヘッドフォンは3.5mmというのが可能です。
音もパッシブでも変わってスムーズであったみのある音に変わります。DAPの場合にイヤフォン端子取りのつなぎ方ではアンプにつなぐよりこういうパッシブの選択肢が良いかもしれません。


FostexではTH500RPをゆっくり聴きましたが音のつながりがスムーズでDSD再生に特に向いてる気がしました。

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アナログスクエアペーパー(A2P)では
世界初というSITを採用したポータブルアンプを参考出品していました。最近?では元アスキーの西氏のデジタルドメインがSITを採用したアンプを設計して話題になったように思います。

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SITを使うと真空管的な考えで回路設計ができてかつ真空管のようなインピーダンスマッチのためのトランスが不要ということで小型化ができる利点があるそう。ポータブルには向いた素材なのかもしれません。
まだまだ開発中ということで今後が楽しみな製品です。

SITトランジスタ使ったポータブルアンプとか、マスタースレーブクロックを採用したポータブルアンプとか、ますますオーディオ世界のミニチュア感が進むこの分野ではありますね。
posted by ささき at 23:07 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月13日

ヘッドフォン祭2014春のレポート

2014年春のヘッドフォン祭が中野に戻って開催されました。中野に戻ってきたせいか、気持ちよい晴天で行われかなりの人でにぎわいました。以下、今回のヘッドフォン祭でのポイントを書いていきます。

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1. 平面型ヘッドフォンの最新事情
今回の注目のひとつはまず新世代平面型ヘッドフォン対決です。フォステクスのTH500RPが発表され、HiFiManではHE560、HE400iの新製品が展示され、OppoではPM-1の製品版が展示されました。

平面型のヘッドフォンは最近注目されてきましたが、その低価格化と高能率化が課題となっています。実のところ平面型というのは最近発明された技術ではなく、オーディオの黄金期と言われた時代には理想的な形式としてスピーカー・ヘッドフォンを問わずに追求された時期もあったのですが、オーディオビジネスが冷え込んでくるとコストのかかるこの方式からメーカーは離れていき、やがて少数のみが残るという歴史があります。その少ない残った代表例はSTAXとフォステクス RPです。STAXが一部に熱狂的なファンがいるのと同様にフォステクス RPにも特に海外で熱烈なファンがいます。

フォステクスさんの発表を聞くとその歴史を再確認できたと思います。フォステクスの初代RPモデルではネオジウムマグネットがない時代においても広帯域の再生ができたと言います。
TH500RPはいままでの延長とも言えます。デザインはT50のデザインを踏襲したのもその現れの一つでしょう。デザインはA8やHP-P1のデザイナーを起用しています。インピーダンスが少し変わったほかは最大入力も現行RPと同じです。
RPはフォステクスでの全面駆動の平面型ヘッドフォンの呼び名ですが、Regular Phase(均一の位相)という名の通り、全面駆動により全体が動くので共振が分散できて不要音がないという利点があります。今回測定すると共振点がないというより、振幅が少なくても音が出るので共振点が目立ちにくい、というのが分かったそうです。つまりスムースに振動板を動かせるわけです。TH900は振幅自体は速いが、振幅の動き自体はRPが滑らかという感じのようです。これも測定を重ねるという手法がキーとなります。

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もう一方のTH500RPの改良点はチューニングするということで、まずエアフローをチューニングしています。とくに低域のエアフローの改善はTH900のノウハウを使ったということ。以前のRPはこもって抜けが悪かったが、それはエアフローのチューニングで改良されたということです。
つまりドライバーのチューニング、エアフローのチューニング、イヤパッド、ケーブルの改善で音を改良したのがTH500RPです。

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さきにふれたように海外ではフォステクスというとRPというほど平面型が代名詞となっており、いくつものmod(改造品)が作られてきました。最近のAlphaDogもそのひとつです。つまりRPドライバ自体は完成度が高いのですが、ガワに不満があったわけです。AlphaDogは3Dプリントという手法でそれを解決しています。言い換えるとガワを変える=チューニングするという考え方は一般的な認識であった訳です。
そうしたチューニングをオフィシャルで行い、しかも測定を重ねるという手法で完全な「セルフmod」をしたのがTH500RPとも言えるでしょう。
またそういう意味では完全新規の新設計平面型もそのうち期待できるかもしれません。

RPも当初はプロ用を目的としていたため、鳴らし難さはあまり目立つ問題ではありませんでしたが、最近コンシューマーの世界でヘッドフォンが注目されてくると平面型の問題である能率の低さがまた問題となってきました。
能率が高くするポイントとしてはTH500RPでは磁気回路の印刷技術が上がってること、そしてさきの測定器を使った解析があげられるということです。なおRPの特徴的な山形パターンは同じということです。
実際に聞いてみるとたしかに自然で素直な音が感じられました。

HiFimanも平面型に重点を置いており、こちらは海外のマニア層を中心に出てきた新興の勢力といえましょう。いままでにいくつもの平面型を制作していますが、今回は新型であるHE560とHE400iを発表しました。
HE560はドライバーにシングルエンド・片側マグネット(Singled ended planer magnetic)を採用するなど新機軸を採用しているのがポイントです。この方式を取るとダイアフラムがより自由に動くので広大な音空間を生むが、歪みをコントロールするのが難しいということ。今回それを解決するダンピング素材をJade(以前静電型を作ったメーカー)と見つけたそう。またマグネットが一つなので軽量化でき能率もあがるということ。HE400iとも能率の向上をポイントとしてあげています。HE560はそういっても能率はまだまだ低いのでホーム用できちんとしたアンプを必要とします。
HE400iはポータブルでも使えるくらい能率高いもので音質もとても高いですね。音色も美しいです。

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HE560

Oppo PM-1は以前発表会でプレゼンしたのですが、製品版となって登場しました。こちらはこれがはじめての平面型というかヘッドフォン製品です。
PM-1は平面型的なスムースさとダイナミック型のようなロックPOPに向いた迫力を持ってます。能率が高いところもポイントです。PM-1は独特の二重のダイアフラム構造を持っていて、コイルのパターンはスパイラル(螺旋)です。コイルのパターンはコイルの長さを左右するので平面型では重要なポイントで、フォステクスのRPでは山型ですね。
また全体にパーツも高級感があり、Editionシリーズを少し意識しているようにも見えます。

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PM-1

Fostex、HiFiman、Oppoはそれぞれ老舗、新興勢力、新人という違いがあります。また音も個性的という点でちょっと注目していきたいところです。

2.カスタムイヤフォン世界の充実
ヘッドフォンを中心に発展して来たこの世界ですが、時代の趨勢はかなりポータブル方向に動いています。そうした中で、かつてヘッドフォン世界を牽引してきたHD800やEdition9などのハイエンドヘッドフォンに変わって注目されてきたのがカスタムイヤフォンです。高性能ユニバーサルも含めてハイエンドのイヤフォンと言い換えてもよいかもしれません。
かつては一部のものだったカスタムは国内扱いも増え、いまや多くのひとが楽しめるものとなってきました。

カスタムの世界は前に書いたようにジェリーハービーが創始して人気をあつめ、日本およびアジア圏では須山さんが人気を博しています。そうした東西両雄にくわえて人気を集めている個性派が"Wizard"ジョンモールトンで、彼のひきいるのがNobleです。

今回はWagnusさんが自らのケーブルとともに、Nobleのカスタムやユニバーサルを日本に紹介してくれました。
ます注目はフラッグシップの10ドライバー機のKaiser 10(K10)です。試聴機を聞いてみましたが音域は広く各帯域にドライバーが広く配置されているという感じです。4+4+4と2+2+2+2+2というドライバー構成の違いというのもあるかもしれません(K10はクロスオーバー的には4wayだったと思います)。特に低域はでかいCIユニットがはいっているせいかかなり豊かですね。中低域に重点がある感じでロックポップを含めた様々なジャンルでのオーディオリスニングにはよさそうです。ロクサーヌの方は中高域を重点に音が整っている感じです。ロクサーヌの低域は量感というよりパンチがあるという感じです。

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Kaiser 10

ロクサーヌだけ聞いているとそう思いませんが、他のIEMと比べると整った音で正確な再現を目指すというロクサーヌの強みもわかってきます。ライバルあればこそ、という感じでしょうか。
もうひとつNobleの注目はユニバーサルのNoble PR/FRでこれらはスイッチ式でクロスオーバーとユニットの組み合わせが代えられます。スイッチで音が大きく変わり、プレイリストにロックとクラシックが混ざってるなんて人には好適だと思いました。

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Noble PR

須山さんブースは本人不在でしたがとても人気で試聴の列が途切れずにできていました。注目はあたらしい"fitear"です。fitearという名前もひとつの原点回帰を示しているのかもしれません。
私が持ってるfitearのプロトは標準の黒い001ケーブルですが、製品版?ではオヤイデの白ケーブルで展示されていました。聴いてみると001よりこっちの方が空気感がよく出ていてよりfitearの魅力を引き出しているように思えます。実は向かいのアユートさんのところにもfitearがおいてあってこちらは並ばずに聴けました。またAK240バランス版も用意されていました。

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fitear

アユートさんのところではロクサーヌユニバーサルのAKR03がありましたが、これは即日完売の瞬殺でした。香港でも即日完売だったそうです。

もうひとつのカスタムの注目点であるJM Plusはまずは無事到着してほっとしたという思いです。新しいところ呼ぶときはけっこういつも大変です。ここではさまざまな世界のカスタムを聴くことができます。

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rhines Stage5は明るくクリアで歯切れ良い音でした。

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Rooth LSX3はハイブリッドらしく重厚でベースたっぷりです。

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custom art Harmonyはカスタムだけど小さめに作ってるので試聴に使います。バランスの取れた音って感じでした。custom art はシリコンですけど、ACSみたいにゴムみたいにものすごく柔らかいわけではないです。フィットが気持ち良いですね。

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ブースも人気で二日目はおそろいのTシャツでいそがしく動いていました。JM Plusの人たちもすっかりヘッドフォン祭が気に入って次もぜひ出たいって言ってました。

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3.個性派ポータブルヘッドフォンアンプ

ポータブルの中でも趨勢がハイレゾDAPに向かうなかで、ポータブルのヘッドフォンアンプでは大手企業が参加してきたという点と、小規模メーカーの世界では個性派が増えてきたということが変化としてあげられると思います。

今回のヘッドフォン祭での一番のサプライズは(AK100II/120IIを除くと)、GloveAudioのCEOがCEntranceのマイケルだったということでした。15Fのエレベーターでばったりあって、なにしてるの?と言って名刺を渡されてびっくり。これは私も知らされていませんでした。

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実のところGloveAudioの話を聞いても、正体の知れない新会社では肝心の音が不安だ、と思っていたのですが、これで一気に解決しました。あのDACportとHiFi M8のCEntranceです。音質はいわずもがな折り紙付き、です。

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GloveAudioのThe Glove A1はAK100とAK120をケーブルを使わずにクランパーであるアダプタではさんで合体させるDAC内臓のヘッドフォンアンプです。AKからは光端子でデジタルだけ入力します。DACはES9018K2Mです。またアンプはバランス出力が可能で、RSAタイプとAk240の2.5mmバランスの二基が装備されています。バランスケーブルをつかったAKR03でも素晴らしい音が楽しめました。ハイレゾのクラシックも堂々とスケール感豊かに鳴らします。音の純度の高さはCEntrance品質です。シングルエンドでもすんごく良い音です。まさに画期的なアンプですね。

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AK100とAk120はスペーサーのアダプタで調整できます。クランパーはビス止めです。(へクスレンチ)
絶対はずれません。まさに一体型。私も長いことプレーヤー+ポータブルアンプという組み合わせを使っていますが、Glove A1は新感覚です。フルアーマーという異名もすでに頂戴していますがメカっぽさもよいですね。AK100ユーザーは画期的な高音質化ができるとともに増えつつある2.5mmバランス資産も使えます。
価格は7万前後のようで、来月以降に出荷を予定しているということです。

もうひとつのJabenの驚きはこのPortaTubeの後継である真空管アンプです。PortaTubeはかなり人気を博したのでこちらも注目ですね。

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真空管アンプ

こちらはいまでは人気ブランドとなったiFIの新製品Micro DSDです。つれはクラウドデザインで募集した成果ということでしょうか。すごいのはポータブルなのにDSD256(11.2MHz)に対応します!
またプリとしても使用可能です。電池内蔵でポータブル使用も可能ですが、やや大きいのでポータブルというよりはバッテリー駆動によるプリとしてジェフローランドなみのクリーン電源駆動プリとしての使用も想定しているようです。

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こちらはアナログスクエアペーパーさんとのコラボによるミニ05(小さいほう)。トランジスタは交換可能です。これはいわゆるバッファアンプで電圧増幅しないタイプ(ゲインゼロ)ですね。ネタだけじゃなくけっこう音も良いですね。

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CEntranceはHifiM8のミニを参考展示しました。スリムになっただけではなく一台でUSBもiDeviceも光も同軸も入力可能です。

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HiFi M8 mini(上)と現行のM8(下)

4. 大手企業メーカーのポータブルヘッドフォンアンプ

ポータブルのヘッドフォンアンプというと少し前まではニッチの世界であり、ガレージメーカーの独壇場だったのですが、フォステクスHP-P1あたりから流れが変わり始め、いまでは大手企業のソニー、Teacについで今回はビクターとオンキヨーからも新製品が出てきました。

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TEACとソニーのポータブルアンプ

ビクターのポータブルアンプSU-AX7はアナログ回路にも手を抜いてないのが特徴ということで、RWAK120でアナログ入力させて使うと柔かく落ち着いたオーディオらしい音でした。なかなか良いと思います。DACチップはAK4390ということですが、AKMの音っていうのともまた違うかも、とも思いました。DACはアナログ回路しだいということはメーカーのノウハウなんかも生きているんでしょう。またビクターお得意のK2回路を使用しているのもポイントです。

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SU-AX7

オンキヨーのポータブルヘッドフォンアンプDAC-HA200(参考出品)はTeacと兄弟機となり提携関係の結果だそうです。こうした関係も大手企業の世界ならではかもしれません。Teacとはオペアンプ違いで、こちらの方が明瞭感は高いように感じました。またオンキヨーのiPhoneアプリもTeacで使われていますね。

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オンキヨーのポータブルアンプ

5. 最新のハイレゾDAP

今回驚いたのは人気のAstell&KernでAK100IIとAk120IIがドイツのハイエンドショウで発表されるということです。みたところ2.5mmプラグやUIなどでAK240のとの共通性も期待されます。
これについてはチャンネルはそのまま、という感じで続報をまっていてください。

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AK100II,AK120II

今回気合が入っているJabenのテーマは上クラスのCalyx M(販売は不明)、中クラスのAP100、エントリーのCookie/Buiscuitと揃えたDAP、そしてGloveや新真空管、A2P小型など個性派アンプを揃えたことです。

注目DAPのCalyx Mも日本初登場でJabenブースにCEOみずからが持ってきました。聞いてみるとやや大柄ながらかなり引き締まったタイトでシャープな音でジッター低そうです。さすがPCオーディオのDACメーカーが作ったDAPという感じではありますね。またUSB DACとしてオーディオクラス2のきちんとした設計がなされているのもポイントです。

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Calyxのイ・スンモクCEOとCalyx M、右はマグネットボリュームを外したところ

M:useというコントロールソフトはLinuxベースです。これはAndroidのハイレゾ通らない問題を避ける意味もあります。またマグネット式のボリュームノブを採用しているのも面白く、これはスリットレスでごみが入らないようにするためです。USB DACとしても機能します。

Hidizs AP100も安いながら音いいです。正確系で特にハイレゾ曲の再生がとても良い感じでした。ロクサーヌとも良く合いました。

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AP100

Biscuit+(7000円)とCookie(12000円)、CookieはBiscuitに液晶とFLAC対応がついたもの。Biscuit+は前モデルにシャッフル機能がついたもの。残念ながらFLAC対応はなし。

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Biscuit+とCookie

またオヤイデさんのところではX5が出展されていました。思っていたよりはちょっと大きい感じです。

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アユートさんのところではAK240のゴールドも展示されています。(ホワイトバランスとらずにすんません)

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6.ケーブルの充実

2.5mmバランス規格が普及始めたのも今回のヘッドフォン祭のポイントです。
AK240自体も売れてますし、AK100IIやAK120II、またはGloveAudioのように他でも2.5mmバランスが採用されています。

2.5mm AKタイプのケーブルでは以下のものが目に留まりました。

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(左)ALOのSXC24-IEM MMCX。43000円くらい。 (右)Beat AudioのSignal 、価格未定。2ピン。

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Wagnusさんの2.5mm、Voskhod、Meridian、Proton

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2.5mm - RSAタイプのインターコネクト。WagnusのProgress。

6FではEstronのLinum(ライナム)ケーブルのデモをやってました。これは新型のタングルレス(絡みにくい)タイプです。前のケーブルの弱点は絡み安いところだったのでよい改良です。

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なぜJabenと別ブースかというと6Fでは日本のB2B代理店の人が担当してたからです(JabenはB2C代理店になります)。Estronの特徴は音をケーブルで変えるのをうたってることで、それを証明するのにこんなユニークなイヤフォン切り替え器を用意してます。

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二組のケーブルが同時に入ってます。イヤフォンにはこんな感じで二組入ってます。Estronは細いけど強靭ということで思いっきり引っ張るデモもやってくれました。

タイムロードではHugoで便利に使える光ケーブルを展示していました。価格も安くなかなか音もよいと思います。ほかのアンプでも使えそうですね。

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7. エントリークラスからステップアップクラスのイヤフォン事情

カスタムだけではなく、エントリーからミッド、ハイクラスの各クラスの通常のイヤフォンも充実してきています。

まず今回の注目は激戦区の5000円に投入されるShureのSE112です。215との違いはケーブルが固定でチップがラバーのみです。ケーブルは耳巻きではなくストレート装着を想定しています。Shureの黒フォームチップとか耳まき式の装着はIEMなみのものですが、本当に一般人にはなじみにくいと思いますのでよいことでしょう。ドライバー自体は215と似ていますがチューニングを変えてます。音は215の方がwarm感あり、112はややすっきりでしょうか。215譲りで音質もいいので今後が注目されます。

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SE112


音茶楽さんでは新ブランド、茶楽音人(サラウンド)が紹介されていました。ブランドの差異は下記のようにまとめられています。Donguri-楽はドングリベースですがより安く、より元気でベースたっぷりです。これは価格を考えるとかなりオススメのように思います。

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音茶楽さんのもうひとつの展示てはFlat4の外耳道によってチューニングが違うもの、Flat4-緋弐型(赤)とFlat4-玄弐型(黒)が展示されています。これは位相補正チューブの長さによる違いです。もともとFLAT-4があれだけスムーズな音を出せていたのは位相補正チューブの働きがあるのですが、その長さをユーザーの外耳道に応じて変えるというもの。ある意味カスタムですね。

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Flat4-緋弐型(赤)とFlat4-玄弐型(黒)

聴き比べるポイントは高域サ行のきつさです。試してみると確かに違いますね。私は赤の方がより自然に感じられましたが、外耳道が長めということのようです。
これは実際にお店で試聴してどちらかを選んでください。とても面白い試みだと思います。


人気ブランドとなったDita AudioではスペシャルAnswerがありました。どうスペシャルかというとAK240のバランスに対応しています。これはぜひ製品版でもほしいところですね。

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Balanced Answer

またオーディオテクニカの新機軸“DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERS”を取り入れた新製品CKR10なども展示されていました。オーディオテクニカの音つくりのそつなさという点でこの新機軸があっているようにも思います。

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CKR10

8. PCオーディオの最新事情

ヘッドフォン祭では新しいオーディオの波ということでPCオーディオも取り込んでいます。

フックアップさんではLynxのHiloとMacのサンダーボルト接続のデモをやってました。これすごく画期的だと思います。端的にいうとサンダーボルト接続ということはPCI接続と同じということです。いままでPCIボードを使っていたことがサンダーボルトケーブルで可能ということです。ケーブル経由でも実質ボードをさしたのと同じということは転送性能だけではなく、従来資産の両面で有利です。そこがLynxの強みでもありますね。 またサンダーボルト接続ということはPCI接続と同じということですからドライバーが必要です。

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画像では上下同じHiloでわかりやすく展示していました。
Hilo自体の音もスタジオ向けというだけでなくオーディオリスニングにも向いている感じでした。これのオーディオ向けDACのみのバージョンが出るとよいんですけど。

Audivana Plusの次期バージョン(iTunesライブラリとAudirvanaプレイリストの統合版)はヘッドフォン祭のフェーズメーションさんブースで先行公開でした(Damienの許可をとっています)。一般にはまだ公開されてません。

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AudirvanaとEPA007X

フェーズメーションさんの新ヘッドフォンアンプはEPA007の改良型です。電源が改良されてより押しが強く音が先鋭になっています。なかなかよいと思います。

PCオーディオ関係ではPS AudioのDirect Stream DACも注目です。ポール社長のブログにあったDSDがメインでDACチップ使ってないやつです。
自然で高精細な音です。ただ高価なのがネットかと思いますが、まずリファレンスクラスを出したいというメーカーの意向があるようで、今後DLIIIクラスの同様なDACを期待したいところです。

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Direct Stream DAC

角田さんのネットワークオーディオ講座も開催されていました。かなり人が入っていて立ち見が出るほどでした。

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*

しかしこのレポート書いていても大変で、9000字の大作となってしまいましたが、今回も盛りだくだんでした。ヘッドフォン祭の直前のポタ研でAK240とHugoというデカイネタを出してしまったんで心配していた面もありましたが、こうしてたくさん書くことがあるというのはこの世界が成熟しているということでしょうね。
今回はサンプラザに戻ったことで呪いが解け?晴天に恵まれました。出展社数は約110社、入場者数は2日で7000人ということです。青山より増えていますね。あの伝統の東京インターナショナルオーディオショウでさえ3日で9000人くらいですからすごい人です。海外ではCanJamが2000人くらいです。
次は10/25と26で同じ中野サンプラザで行うということ。すでに次回のタネも今回いくつかありましたので次回も楽しみなことです。
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2014年05月08日

春のヘッドフォン祭2014の私的みどころ

さて、全世界が注目するところのヘッドフォン祭が今週末再び開催されます。場所は中野サンプラザですので注意ください。下記はフジヤさんの開催案内です。
http://www.fujiya-avic.jp/user_data/headphone_fes.php

今回の注目はまずカスタムイヤフォンですね、広い意味ではカスタムに近いTogo334のようなユニバーサルも含むと思います。
いくつも出ると思いますが、まずFitEar須山さんとこではこの前書いた謎のユニバーサルを始めネタも含んでいろいろ出ると思います。これは14F須山歯研ブースで。
そしてJH Audio ロクサーヌ、ロクサーヌユニバーサル、そして派生版のAKR03です。これは14Fミックスウエーブさんと14Fアユート(iriver)さんブース。ミックスウエーブさんではユニークメロディとか1964Earsもあるでしょう。(InEarは取り扱いがないということ)
それとHeadFiではロクサーヌのライバルとして言われることが多いNobleのKaiser 10(K10)も登場します。これはWagnusさんが展示してくれるそうです。日本でもこのロクサーヌVS K10の最高峰のライバル対決が聴けるというわけです。Nobleは他にもほぼ全部持ってくるようで、私的にはユニバーサルのNoble FR/PRで、スイッチ切り替え式のクロスオーバーを持つユニークなモデルが興味津々。他にも"Wizard"モールトン氏手製のワンオフユニットであるWizardモデルも来るようです(おそらくLot2の#1のやつ)。これは13FのWagnusさんブースで。机一つで大丈夫かな。
こうしてJH AudioのジェリーとFitEarの須山さんの人気東西両雄に個性派NobleのWizard(ジョン・モールトン)がからんでくる、っていう構図が面白いところだと思います。
それにバリエーションを加えてくれるのが前に書いたJM Plusです。Rhines、Clear Tune、Custom art、Roothとまさに多彩な世界各地のカスタムが百花繚乱です。こちらは14Fです。あと14Fにはヘッドフォン祭は初というくみたてlabさんも居ますね。

人気上昇株のハイレゾDAPでも新しいモデルがいろいろ見られそうです。15FのJabenでは話題のHidizs AP100、Jaben新作のCookie、Buiscuit+、またCalyx Mも来ることになりました。(ただしCalyx Mはおそらく土曜の午後です)
オヤイデさんのところではX5でしょうか。DX90はだれかが持ってくるでしょう。
また直前にはいったAK用DAC/AmpのThe Grove A1も世界初披露で注目ですね。
またiFIではこれも世界初披露というMicro iDSD "Meaty Monster"が展示されるようです。これはクラウドデザインの結論でしょうか、注目ですね。iFI Audioは13Fトップウイングさんブースです。
タイムロードさんではChordのHugoに向いた短い光ケーブルを出展します。6Fフラワーです。

ヘッドフォンではフォステクスの新RPとHiFimanのHE560のわりと入手しやすそうな価格での平面型対決が興味を引くところでしょうか。フロアも同じくフォステクスは6F、HE560は6F HiFimanのブースで。なおHE560は13Fトップウイングブースとは別になるようです。HM901などは13Fです。
また平面型では昨年発表されたOppo PM-1の製品版を14Fのエミライブースで展示するそうです(2テーブルの一つをOppo用とするそうです)。

また6FにはLinum by EstronとしてEstronケーブルが独自ブースを持ちます。
私も日本語カタログつくりに手伝ってたんですが、Estronから偉い人が来て新モデルも持ってくるかも。これはEstronの弱点である絡みを防止するものになります。

またイヤフォンではエントリーでShureからSE112が登場します。イヤフォンの激戦区に投入されるShureの新作に期待ですね。Shureは11Fです。
また音茶楽さんからは位相補正チューブの長さを違えたモデルを用意したというFlat4-玄弐型、Flat4-緋弐型など新作が展示されます。こちらは14Fです。
Dita AudioはAnswer TrueのゴールドバージョンとTrueのケーブルを使ったインターコネクトケーブルを出展します。来場特典もあるかも。Dita Audioは14Fです。

あとは評論家の角田さんが15Fに独自ブースを持ってオーディオイベントをするようなのでこちらもどうぞ。
また今回もHeadFiメンバーも来てくれ、日本メンバーのほかにHeadFiのリーダーであり主席管理者のJudeも来てくれます。


今回はカスタムIEMなどマニアックなところにポイントがあるように思いますが、「原点回帰」というテーマにはあっているかもしれません。
そういう意味ではヘッドフォン祭の当日に発売される音元出版さんの「プレミアムヘッドフォンマガジン Vol2」に私がヘッドフォン祭の歴史について、キーマンのフジヤエービック(Part3)の谷口店長へのインタビューを元に記事を書きました。ヘッドフォン祭の歴史とともに、この隆盛のヘッドフォン業界の成立を知るのにとても興味深い内容になったと思います。ぜひ手にとってお読みください!


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2014年02月08日

ポタ研2014春レポート

本日10年に一度の大雪の中でポタ研が開催されました。

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AK240発表会
部屋に入りきれないほどのご来場をいただきありがとうございます。

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(須山さん提供)

私もプレゼンしAK240の使用感や機能などを解説して、AKアンプとスピーカーのデモをAK240で実施しました。不手際もありましたがご容赦ください。しかし眼目であるAK240の実力がMac込みの据え置きシステムにも勝るとも劣らないという点はアピールできたのではないかと思います。

Hugo発表会

こちらはChordスタッフとしては初来日のロバートワッツのポリシーとHugo開発の技術的な背景について濃ーいお話がありました。なかなかこういう機会もないのではないかと思います。

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ワッツがサイコアコースティック(心理的音響理論)に基づいた自らの理念を柔軟でプログラム可能なFPGAを使用してオーディオ的に実現していくという点が興味深いところでした。-200dBというような測定不能なノイズの差でも音楽リスニングには影響し、そうした小さな違いが大きな差を生む点をつきつめるのが面白いとのこと。またHugoに関してはその完成度の高さで彼自身がおんがくをさらに楽しめるようになったということです。

そのほかの興味深かったものをいくつかピックアップします。

下はもうひとつの話題のTEACのポータブルアンプです。HF Playerからデジタルで入れましたが音は結構良かったですね。
失念してNexus7持ってくるの忘れてしまいました。下右がAndroidと接続するケーブルだそうです。USB AがTeacアンプ側でマイクロBがAndroid側なのでUSBクラスドライバではなく、アクセサリープロトコルを使ってるのがわかりますね。

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下はA2Pのネタアンプで、オペアンプ交換ならぬトランジスタ交換方式です。実際はネタではなく発売も考えているということ。

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下右はHiFimanの新作HM802です。DACがWM8740デュアルになって価格が安くなりました。

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下はiFiの新作iDSD mini。DSD DXD対応DAC内蔵のヘッドフォンアンプです。フロントパネルに浮き上がる表示が面白いですね。音もすばらしくオーケストラのスケール感なんかも良く出てます。

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下はマス工房の新バランスヘッドフォンアンプmodel394。これちょっとすごいと思いました。今までAbyssを鳴らした中でRudiと別な意味で良いですね。イメージングが気持ち悪いくらいほわっと浮き上がります。

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下はJabenブース。今回は所用でWilsonは欠席。エストロンケーブルが人気のよう。これ安いので全種類買って、アンプとイヤフォンの組み合わせでケーブル変えて音を調整するってのがお勧めです。

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下はベンチャークラフトさんの試作Bluetoothワイヤレスアンプです。BT受信後にアップサンプルしてPCM5102に送ってるそう。音もかなり良いですね。まだ試作だそうですがこれは面白いと思います。

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下はDENONのDAC付きヘッドフォンアンプ、DA-300USB。後発だけどさすがオーディオメーカーDENONで音が良いですね。DSDも可能でコストパフォーマンスが良いようです。

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雪で入りも心配されましたが、今回もどこが雪の影響だよってくらい普通に賑わってましたね。
全体にレベルも高く、今年の展開も楽しみです。
posted by ささき at 21:08 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月20日

JabenのMookヘッドフォンフェスティバル第二回レポート

シンガポールで二回目となるヘッドフォンショウ、Jaben主催のMook Headphone Festivalに参加して来ました。
場所は同じくシンガポールの中心街にあるSuntec Cityコンベンションセンターです。Jabenのストアからも近い距離にあります。

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* 旅行編

今回も羽田からたちました。シンガポールへは7時間ほどで、現地との時差は一時間です。時差ボケが少ないのが良い点です。

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機内用には遮音性の高いカスタムのJH13にEstron Linum Musicケーブル(後述)でリケーブルして行きました。それといつも使っているDita AudioのAnswerですね。DAPはJH13+Estronとの相性の良さと電池持ちの長さからAK100mk2を選んでいきました。

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行きはANAの最新787でした。前回の経験を踏まえてイヤフォンのエアクラフトアダプターをちゃんと持って行ったんですが、最新鋭の787ではイヤフォンプラグが普通のステレオミニでエアクラフトアダプタいりませんでした。。そこで暇なんでANAヘッドフォンのレビューなどやってみました。ANAヘッドフォンはイヤパッド無しのタイプです。AK100mk2で再生してみると、能率がかなり低く音のこもりがひどい感じ。分離感はなく音が団子になってます。JH13で787機内オーディオシステムを聞くと明瞭さはまあ悪くないけど、高能率イヤフォンだと背景ノイズがかなり乗り、音楽中でも聞こえます。だからANAヘッドフォンは能率低いんでしょうね。
また787ではUSB端子が装備されて、USBメモリをさすとメディアプレイヤーとして使えるようです。再生フォーマット不明、まあDSD再生は無理でしょうけど。ただUSBがついてるけどiPadは充電できません。iPhoneは充電できます。それと後で知ったのですが座席下にマルチ国際端子のAC電源がついているようです。
上の翼の写真は787の左翼側トイレからiPhoneで撮った写真です。787はトイレにも窓があるのでびっくり。

* シンガポール到着編

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シンガポールにつくとムッとするくらいの熱気で、すぐに着てたセーターを脱いでホテルで半そでに着替えます。今回は冬開催ということで、1℃の日本から常夏の赤道の国であるシンガポールへと気温差が大きかったですね。シンガポールは年中気温はほぼ変わらず、東京の夏くらいです。夏との違いは雨季なのでスコールがあるということと、そのため湿気があることです。乾いた夏より今の方が東京の夏に近い感じです。

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滞在中はほとんど会場に居たので食以外ではあまり観光してませんが、ちょっと近間のマリーナ・ベイ・サンズのSkypark(屋上庭園)にはまた行って来ました。ここに来て眼下に広がる摩天楼のビル群と、海いっぱいの船を見るとシンガポールのエネルギーがよく伝わってきます。

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QX100パノラマ

景色に見とれてたらアジア人の集団がどっと来て、はじめ何語を話してるかわからなかったのでどの国の人だろうと思ってたら、「しかいつりーはこれまねたんだべな」「ぬドルかこれ」とかいう会話に聞こえたけど気のせいかも。

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また夜にシンガポールの友人に浜辺のフードコートに連れて行ってもらった時にはマリーナ・ベイ・サンズでレーザーショウをやっていました。サンズはもうシンガポール最大のランドマークになりましたね。

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今回のカメラはQX100とケンコーのDSC880DWを持って行きました。しかし結局コンベンションセンター会場ではWiFiでiPhoneの電波を取ってたのでQX100は使えず、会場内ではほとんどiPhone5Sで撮りました。上のサンズ屋上では抜群の強さを発揮しましたが。
DSC880は14mm単焦点固定のコンパクトデジカメで防水とGoPro的な使い方ができます。しかも価格が1万以下の安さがポイントで、ちょっとユニークなカメラです。でもこんな超広角にしてはけっこう画質は良いと思います。十分実用範囲です。またネイティブ解像度は800万画素ですが、ソフトウエア補完で1600万画素にできます。ただ高感度に弱いのとDレンジが低くて白飛びが多いのがネックですね。

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今回は食はまずリトルインディアのカレーレストランに連れて行ってもらいました。ここはブリヤーニというドライカレーが有名でほんとにおいしかったですね。私は早く帰国したので行けませんでしたが、日本勢は打ち上げでもう一回ここに食べに行ったようです。

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ここはリトルインディアのまさに中心部。 出発直前にリトルインディアで暴動があったってニュースにありましたが、その片鱗もありません。聞いたらリトルインディアって言っても端っこのようです。店の人も当時は知らなかったそう。だけど日本のニュースでは「観光客もよく行くリトルインディアで40年ぶりの暴動」って見出しになります。そういうもの。

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また会場ではスタッフ用の弁当を食べさせてもらいましたが、マレー弁当(上右)とチキンライス弁当でした。チリソースはご飯に絡めて食べます。この辛いことと言ったら。。

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他ではシンガポールはなんでも美味いのでフードコートに行ってみるのもよいことです。あまり見たことのないようで、かつおいしい食事が楽しめます。とはいえ、ハードルが高いこともあるのも事実。Wilsonにホテルの近くで美味い店を教えてもらって行ったんですが、行ってみるとメニューがないのでなにをどう頼んでいいやらわからず、結局食えなかったって言ったら次の朝にスタッフに同行してもらって注文してもらい、正しい食べ方も教えてもらいました。これはシンガポールでは一般的なカヤトーストですが、カヤという日本でのピーナッツクリームに近いもので、こちらではココナッツを使っているようです。
シンガポールではフードコートでも食べたらトレイは自分で下げずにそのままにしておきます。これは慣れないとどうしても自分で片付けたくなってしまいますが、トレイを片付ける係りの人がかならずいます。

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上右は有名なラッフルズホテルです。クリスマスの飾りつけが随所できれいでした。
シンガポールの中心部はさほど広くないところに見所が詰まっていますし治安もよいので、歩きでできるだけカバーして少し距離があるとMRTという地下鉄を使うと言うのが良いと思います。MRTの切符は日本のSUICA/PASMOより薄い紙のようなものですが、継ぎ足しチャージができてSUICAのように使えます。

宿では今回はUSB端子はありませんでしたが、ホテルのコンセントは特にBF/B3アダプターがなくても日本のプラグがそのまま使えることに気が付きました。国際対応になっているようですね。ただし電圧は220VなのでACアダプターは国際対応が必用です。
ちなみに為替は1SGD=82円くらいです。だいたい8掛けをしてください。ユニクロではシンガポールでも冬は冬服売っているのが不思議なことです。海外旅行用でしょうか。

*ショウ準備編

ついてまずお散歩がてらJabenの店に行って来ました。シンガポールは街中がみな公園のようでほんとにその辺を散歩しているだけで楽しめます。シンガポールでは治安もよいので、まずホテル周辺のお散歩をお勧めします。

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アデルフィビルのJabenストアでは二階を改装してると思いましたが、まだのようです。
Jabenストアではこのように壁面いっぱいにヘッドフォンが陳列されています。Jabenではこういうお得パックのバンドル製品を得意としてます。

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ポータブルアンプはこんな感じでショウケースに入ってます。アンプもイヤフォンもケースで試聴用が詰まってます。

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Jabenの店はアデルフィというオーディオ店が集まるところと前に書きましたが、その隣のビルもいわゆるマニア系・ガジェット系の店が集まってます。
上のようにシンガポールのアキバか中野という感じで日本と同じようなポスターが貼ってあります。一方でゲームショップの風体はもろアメリカ風です。こうしていろんな国の傾向が混じってるのがシンガポールらしいところですね。

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上は日本ではまず見ないサムスンのカメラショップです。 日本ってレンズを外に向けて展示するけど、ここでは液晶側が外に向いてるのが面白いと思いました(他を見てないのでこれが標準かはわかりませんが)。

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こちらはSuntecコンベンションセンターのヘッドフォンショウ会場です。
今回の設営は前回のように部屋の中にブースのスタンドを建造してしまうと言うのではなく、簡易的にテーブルを置いてます。しかし、となりとはカーテンで間仕切りをして、テーブルにもクロスを付けています。

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電源は床からとります。これは我々がもらったプレスパスです。
MookヘッドフォンショウでJabenが販売する機材を格納しておく倉庫もあります。ショウルーム内にプレハブで建ててます。今回は売り上げも好調だったようです。また、スタッフの休憩室もきちんと作られていて、中には冷蔵庫まで準備されています。スタッフが朝買い出しに出て、新鮮なリンゴとバナナ、コーラなどを常備していました。
またお昼にはさきに書いたようにスタッフ弁当が出てきます。私も遠慮と言う言葉は日本においてきたのでさっそくありつきました。

*Shureロンチイベント

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今回はヘッドフォン祭にならってか初日にロンチイベントを行いました。それはShureのSRH1540の東南アジアロンチです。

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しかし。。食事も用意されてます。 まず10:15分からビュッフェ(日本で言うバイキング)形式コーヒー付きの朝食があって、それからイベントが10:30から始まる予定です。実際はもっとゆっくり行われました。しかし食べたあとにイベントってゆとりありますね。

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Shure SRH1540ロンチイベント会場はMookフェスティバルのすぐ隣の会議室で、かなり立派にセットアップされていました。
ショウも私は写真撮るのでいつものプレスイベントのように一番前の席にデーンと座ったけど、他の人は後ろみたいなちょっと遠慮がちの雰囲気もありました。

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プレゼンテーターはShure香港のAndy Chan氏が行いました。私は日本でマイケルジョーンズ(MJ)のプレゼンしたロンチイベントに出席したのですが、発表の内容自体は同じでした。ただやはりMJの方がやたらアルカンターラにこだわってましたが、やはり開発に直接タッチしたからでしょうね。ショウの写真はLinkedInつながりのMJにも即時送ってあげましたが、少ない準備でこれだけのイベントをするとは大したものだと言っておりましたね。

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フォトセッションにもちゃっかり出ましたが、モデルさんへの群がりってあまりこっちは無いようです。しばらくさみしそうにたたずんでいました。

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Shure1540の試聴環境はAK120が使われてました。試聴タイムでは手前の人は聴きながらノリノリになってました。


*ショウレポート

さて、いよいよショウの開始です。すると日本だと会場時にどっと人が集まりますが、こちらでは11時の開会時間になっても人があまりいません。日本人的にはちょっと不安になるんですが、シンガポールでは(これに限らず)昼過ぎを境に人は確実にゆっくりと増えていきます。メーカーでも11時に来ていない人もいました。とはいえ昼ころにはもう盛況になってきます。
アンプの試聴はさきのJH13/EstronとDita AudioのAnswerを使い、イヤフォン・ヘッドフォンの試聴はAK100mk2を使いました。

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今回のハイライトはやはりJH Audioと須山さんFitEarでした。
こちらはジェリーハービーのJH Audioのブースです。ロクサーヌのバナーです。JHAではスペシャルテーブルクロスもあり、これはジェリーが送ってきたものだそうです。
JHAはなんといっても、ロクサーヌ。ロクサーヌはこの月曜から生産版を出荷開始したようです。私も自分のカスタム版が届いたらレビュー予定です。

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こちらはロクサーヌのユニバーサル版です。前にプロトを見た時より仕上げがきれいになった気がしますね。

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こちらはカスタム版のロクサーヌです。こちらもカーボン仕上げがより鮮明にわかるようになったような気がします。ちなみにジェリーに直接聞いたところではカーボンシェルを採用した理由は音質的な問題ではなく見た目と言うことです。他でもカスタムが増えてきたので独自性を出したかったそうです。

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須山さんFitEarのブースで、主役がいないけどすっかり始まっちゃってすでに人気です。今回は須山さんは長いアジアロードの途中ということもあってか体調をくずされていて、出番は少なめではありました。代わって頑張ったのは須山さんが優秀と語るインドネシアJabenのディーマス君です。 しっかりした客対応でしたね。
とはいえ、人気の須山さんで、登場するとブースに行く前にさっそくつかまって記念撮影やサインです。

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今回はFitEarxJabenの特製Tシャツ着用でした。あと気がついたんですが、須山さんを写真で撮ってる人もけっこう多かったと思います。

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今回のFitEarは隠し玉を持っていました。これはパルテールをベースにした新しいユニバーサルイヤフォンでmelomane - メロマンといいます。FitEarメロマンはシンガポールで初披露です。価格はSGD1498です。melomaneとはフランス語で音楽狂という意味だとか。改良点はオヤイデケーブルでリケーブルしたことで低域抑えめで精細感も上がってるようです。ハウジングは白黒の「パンダ」です。

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須山さんはジェリーと二人で談笑中。 東西の二大メーカーが交流を持ってくれてなにが生まれるのか、いちユーザーとして興味津々です。

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それともうひとつのMookショウでの目玉は上のほそーいイヤフォンケーブルです。これはEstronというデンマークのケーブルで、Jabenが日本での販売権を持っています。おそらく日本でも入手できるようになると思います。
これが冒頭で書いた飛行機の中で使っていたケーブルです。評価用にひとつ使っているのですが、けっこう気に入っていて今回はWhiplashではなくこちらをJH13に使いました。
あとで別に記事を書きますが、まず細くて軽いというユニークさと、音もかなり良いです。それに価格もSGD128と安く、最近では注目のケーブルです。タイプは2ピンのカスタム用とMMCXがあります。
他にVはヴォーカリスト、Bはベーシスト、Mは一般音楽用というタイプ分けがあります。

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MMCXはShureイベントでもらったSE215SEで使ってみましたが、明らかに音質は向上しますね。

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上は日本から初参加のWagnusさんです。FitEarケーブルも好評だったようですが、目玉は真空管ポータブルアンプのプロトタイプです。後段がまだないので別のアンプとつないで試聴します。特徴はレイセオン5755という12AX7相当のミニ管(MT管)を使ってます。普通こういうのはサブミニ管なんでクラス上ですね。下は真空管アンプの中身です。レイセオン銘が見えます。

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音もなかなか良く、真空管の特徴もよく出ていて滑らかでかつ明瞭感もありました。完成品はかなり良いんじゃないでしょうか。
Wagnusさんの帰国後の記事を見ると、ショウにはけっこう満足していたようです。

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上は常連になりつつある増田さん、マス工房の新型バランスアンプmodel343はAbyssを十分ならしていました。またソースがiPod touchからでもすごく良い音でした。新型のポータブル機の方もよかったですね。

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上はRudiの新型ヘッドフォンクロマMD2です。MD1より音は同傾向ですがより進化して広がり感や明瞭さが増してます。Rudiでは他のアンプも相変わらず音楽的で良い音を鳴らしていました。各ブース共通ですが、ソースのAK100/120使用率は高かったですね。

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上はAnalog Squared Paperのバナーとブースで05と06を展示してます。日本からメーカースタッフが来ていない場合にはJabenスタッフが代わりに説明をしてくれています。
やはりこういうバナーがあった方がブースがわかりやすいですね。 Tu06に聴き込む人。Tu06を聴いてた人はまだまだじっくりと今度はTu05聴いてました。

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音茶楽さんブースでは最新作のドングリも展示されてます。みな音茶楽ドングリに興味津々。

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上はシンガポールがふるさと、Dita Audioのブースです。彼らは現地ではSTAXのディーラーもやっているので合同ブースです。ただ後でも触れますが彼らはまだ地元ではAnswerを正式ロンチをしていません。
Dita AnswerのソースはMac miniとResonessenceのInvictaです。これだけ音質には自信があるとともに、Ditaの人たちはシンガポールのResonessenceディーラーでもあります。Herusも当然用意していました。

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また彼らはSTAXのディーラーでもあるので、STAXのデモもしています。上はSTAX SR009を007tIIからCary Audio SLI-80+Woo Audio Speaker Amplifierにつなぎかえるデモで、音質がさらに向上します。というか別物になりますね。 このWoo Audio(USD600)のコンバーターはアンプのスピーカー出力を入力にして、STAX用出力とスピーカー出力を切り替えられます。

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Abyssのブースでは改良型の音松アンプを組み合わせていました。これは電源強化されてAbyssでも鳴らせるように改良されています。またHiFi M8 LXとAbyssを組み合わせてみましたが、超低能率のAbyssで音量が取れるのにまず驚きます。

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上はもう日本でもおなじみのAK100/120のブースです。 A&KブースではAK120 Titanも展示していました。しかもAK120 Titanにロクサーヌユニバーサルをつけてデモという、なんて豪華な組み合わせでしょうか。

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また驚きは聞いたことがなかった、上のAKシリーズ用のリファレンスイヤフォンのAKR02です。これはファイナルオーディオのFI-BASSをAK100/120用にチューニングしてケーブルを変えたモデルだそうです。価格もBASSと同じくらいでSGD1399です。 こちらはAKR02の英文解説。BAM機構採用が書いてあります。
音はかなりいいですね。AK100mk2で聞きましたけど、ベースのインパクトも良いし、全体にクリアで明瞭感も高く躍動感もあります。

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TEACからは日本からスタッフが参加しています。TEACではヘッドフォン祭に間に合わなかったUD501のシースルーモデルも展示しています。これは真面目に作ってるのをぜひ見て欲しいからだそうです。

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これも海外ではよく知られているブランドですが、naimではHeadlineというヘッドフォンアンプと本体よりでかいパワーサプライユニットを展示していました。正規の組み合わせと言うよりはショウ用のネタ的です。聞いてみるとさすが電源強力っていう感じでベースががっつり出てました。

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また個人的に面白かったのが、これも海外ではよく聞いていたけど初めて見たMeridianのExplorer(銀の方)です。Dragonflyに続いた小型のヘッドフォンアンプ付USB DACで、音はまずまずってところ。Herusの方がやはり良いですね。Meridian ExplorerはSGD399。もうひとつ初見なのはMeridianのDirector(黒いほう)です。ExplorerのDAC専用版で入力にTOSがついてます。

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マニアック系では上はTriad L3の改造版です。ウッドケースに入って、バッテリーを2x9Vから14.8Vの大容量タイプに変えて6倍の時間持つそう。L3持っていないので比較はできませんが、音的には同じような感じだと思います。上右はLisaのHomeエディションです。アンプセクションは同じようですが、電源が変更されています。

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これはPSB/NADのブースです。これらは日本でももっと知られていいかもしれません。うちのレビューはこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/378169702.html
上右はNAD HP50ヘッドフォンです。音はわりと明瞭感が高くベースのインパクトもきっちりあります。ポータブル向きに良いと思いますね。Focal Spiritの対抗馬でしょうか。

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上はSupertoothってブランドのBluetoothヘッドフォンはSGD239という割には音は良かったですね。国内ではミックスウェーブさんが代理店のようなので、そのうち見られるかもしれません。

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上はいま発表したShureももちろん人気でした。

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また、上はドイツのカスタムイヤフォン、Vision EarsのStage4ユニバーサル版です。これは透明感や楽器の鳴り方、音の広がりが良くけっこう気に入りました。気にいったのでEstronでリケーブルしてみようと思ったけど、プラグが硬くてやめました。Vision Earsは今回のショウでも印象に残ったものの一つです。

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Fostexのブース。日本のスタッフも来てくれるといいなあって言ってました。 彼とRPライバルのMrSpeakerなんかを見に行ったりしました。

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上のWestoneではW40が出ていました。 W40もなかなか良かったですね。こちらの女性はつい数日前に日本に行ってきたばかりだそうで、日本は面白かった!と言ってました。

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xDuooのでかいヘッドフォンアンプも初めて見ました。ただそれ以外の新製品はなさそうです。

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上はT3マガジンっていうシンガポールのガジェット系雑誌のスタッフさん。Mookショウの記事も乗ってます。サンプル誌をもらいましたが、iPhoneから腕時計、オーディオまで載っていて結構おもしろかったですね。

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こちらはJaben特価品販売コーナー。 日替わりの特価品に見入る人々。今回は物販も盛況のようです。平日からみなけっこう買ってました。

Wilsonは日本に来ると「日本はものを置きっぱなしでもなくならないのですごい」とよく言うのですが、シンガポールでも同じに思えます。わりとみな日本のように安心してモノを置きっぱなしにしていますし、来場者も人の良さそうな人ばかりで、なにか盗難がありそうな雰囲気にも思えません。(そもそもシンガポールの方が日本より一人当たりGDPが高い豊かな国です)

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ソースはCDプレーヤーというよりポータブルソースが多く、AK100/120が目立ちました。二段重ねの人もけっこういましたし、女性もポツポツとおりました。

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こちらはアジアのヘッドフォン業界仲間みなさん。一番左はHeadFiでも有名なCliOSです。ZX1をPriceJapanという代行サイトで買ってさっそく持って来てる人もいます。
ヘッドフォン祭と同じ光景もみれますね。 私もさっそく撮られてしまいました。
https://www.facebook.com/MookHeadphoneFestival/posts/756063661089154:0
上右はインドネシアの人が改造したSPDIF出力専用のAK100。 インドネシアもマニア層はけっこうあるようです。もう閉会時間だけどまだまだ熱心に人が居るのもヘッドフォン祭と同じですね。

初日の平日でもう前回の3日間ほどの人がやってきたそうです。全体3日間では4000人の人が来たそうです。
はじめはマニア系が多くて、メジャーメーカーよりはJHAとFitEarなどマニアックなところに集まったようですが、後の方ではけっこういろいろな層がやってきました。
二段もちのマニアックな人もいるけれども、普通のお父さんが来てメジャーメーカーの普及品ヘッドフォンを買って行ったりもします。


Moonヘッドフォン祭の他の方の日本語レポートにはJaben JapanのFacebookポスト、Wagnusさんのブログなどがありますのでこちらもどうぞご覧ください。
https://ja-jp.facebook.com/JabenJapan
http://wagnus.exblog.jp/21460112/

日本企業でぜひ参加してみたいと言うところは、上記Jaben Japanの大島さんに連絡願います。

*まとめ

今回のショウではFitEarメロマンとかWagnus真空管アンプ、EstronケーブルやA&KのAKR02とか知らなかったものや新製品がけっこう出てましたね。Meridian Explorerみたいにアメリカでは前から話題でも、日本では見てないというのもありますし、Vision Earsなど試聴できないものが聞いてみられたりもします。秋のヘッドフォン祭になかったのも多数ありましたし、ショウとしても面白かったと思います。

Mookヘッドフォンフェスティバルはフジヤさんのヘッドフォン祭をお手本にはしてますが、運営や会場設営など独自性も出てきています。
また、前回よりも確実に集客を増やしてる点もよいですね。若い人が中心ではあるけれども、わりと年配の人も来てます。家族連れや女性の一人客も見受けられました。

日本のヘッドフォン祭との大きな違いは国際性です。シンガポールでのMookショウは定期的にいわばホームグランドとして行い、他の国も行なって行くようです。
その第一弾として12/8に開催された中国の南京ショウも成功だったようです。はじめてというのに1400人ほど一日で来たそうです。出展社としては中国というとマニアック小規模メーカーが多いように思えますが、そうしたものはxDuooとiBassoくらいで、ソニーやオーディオテクニカなどメジャーが多かったようです。
次はインドネシアのジャカルタで来年開催されます。インドネシアも多様で複雑な市場で日本企業の進出も著しいところですね。上にも書いたようにハイエンドでマニアックな人も多いしエントリーもミッドも育ってきているようです。またJabenとしては支店数が一番多い国です。インドネシアのスタッフも来てましたが、優秀なようですね。


ポータブルやヘッドフォンオーディオはアメリカが先行して始まり、日本でも成熟し、アジアでまた成長しようとしています。
Dita Audioの人ともまた話してきたんですが、日本は世界をリードするような特別な市場と考えて、地元シンガポールでの正式ロンチはみおくっても当面は日本に集中したいと言ってました。他でもシンガポールの人と話してもSONYだけではなく、ナカミチやアカイなどの賞賛がポンポンと出てきて、そうした時代を経た日本でのオーディオ事情は成熟してると考えられているようでもあります。
ただ日本は皮肉なことに世界から引きこもる面があり、日本から見るとアジアって見えにくいのですが、国際都市シンガポールからは良く見えます。
冒頭のマリーナ・ベイ・サンズのSkyparkから見た景色のようにエネルギーに溢れた発展がポータブル・ヘッドフォン世界にもたらされるとしたら、日本とシンガポール、そして他の国のそれぞれの強みを寄せ合って生まれるものかもしれません。

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2013年12月11日

シンガポールでMook Headphone Festival第二回開催

この夏にシンガポールでJaben主催のヘッドフォン祭であるMook Headphone Festivalが開催されました。レポートは下記です。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/371709927.html

そしてこの12月13-15日にその二回目が開催されます。今回は場所は同じサンテックコンベンションセンターですが、前回よりも広く場所を確保しているようです。また前回同様にジェリー、須山さん両雄参加となります。海外の須山さん人気は行ってみないとわかりません。
と、いうことで私は今回も参加しますので、シンガポールへと向かいます。今回もいろんな発見があることを楽しみにしています。

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2013年11月03日

東京インターナショナルオーディオショウ2013レポート

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週末は有楽町で開催される恒例の東京インターナショナルオーディオショウに行ってきました。以下は私的興味のレポートです。今回もカメラはQX100を使用しました。

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上はスピーカーの中にDACが入ってしまったLINN EXAKTシステム。フロントエンドのLINN DSからデジタルでスピーカーに伝送します。売りは位相の正しさ、ジッター低減など。またアクティブクロスオーバーの系統ですね。
EXAKTで面白いのはEXAKT linkという伝送システムで、初めはスピーカー側はXLRなんでDSからはAES/EBUかと思ったんですが、よく見るとプラグが単にノイトリックのXLRだけで中身はRJ45です(下の写真)。DS側もRJ45なんで、SPDIFやAESでなく1:1でネットワークプロトコルで伝送してます。なんでこういうプラグにしたかというとRJ45だとしっかりはまらないからで、ガワだけXLRになってます。

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それなら初めからスピーカーでネットワークから受ければ良さそうですが、そうすると左右の時間差が出るので、いったんDSでまとめて受けてから位相差問題が出ないように1:1のトラフィックが限定されたネットワークケーブルで伝送するということのようです。左右別にプレーヤーを入れると前に書いたイヤフォンのSplitみたいにクロックを伝送して同期のような手間が入ります。またLINN的にはLP12のADコンバータとしてもDSが役立ちます。
DSとスピーカー間はupnp(DLNA)ではなく、どうもプロトコルまで独自のようです。ネットワークプロトコルはハードの低層からアプリの高層まで階層があって、どのレベルまで独自かはわかりませんが、LINNがEXAKT LINKで専用プロトコルまで作ってしまったというのは驚きです。従来のチップとかファームが使えないですからね。この分野にかける執念を感じます。

普通は一本のケーブルならSPDIFとかUSBみたいにシリアルでデジタル信号を転送すると思いますが、ネットワークプロトコル使った理由はスピーカーケーブルなので長さの問題でしょうか。USBなら数m持つかもたないかですからね。でもバランスのAES/EBUなら良いのでは、という気もするのでよくわかりません。
これで興味を持ったので本国LINNの公式EXAKT関連フォーラムをざっと読んだのですが、あんまりはっきりしたことは書いてないですね。伝送長などの質問にはLINNスタッフは回答を避けてます。ただ、EXAKT LINKってマルチルーム向けかって聞いた質問にEXAKT LINKは部屋の中での配線のためだ、とLINNの人が答えてはいます。

LINN EXAKTの音はピュアでニュートラル、クリーンで精緻、確かに素晴らしいと思います。ただ私はスピーカー機材は90年代LINNを使用してますが、アイケミやケルンのようなLINNの英国的陰影サウンドは(米国ハイエンド市場向けの)Klimaxシリーズ以降は薄まって行き、EXAKTになると、かつてのLINNっぽさはほとんどありません。それがHiFiというものでしょうけれども。


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上は今回のショウの目玉と私が勝手に思ってるAudienceのThe Oneスピーカーです。今井商事さんブースの展示です。The OneはCESなど向こうのショウで高評価だったのでちょっと目をつけてましたが、日本でも試聴できるとはうれしい話です。The OneはコンパクトのハイエンドスピーカーでAudienceはこのユニットを複数組み合わせて上級のスピーカーを設計してます。私は日本の小型スピーカーだと大村ユニットものが好きなんですが、これも期待させられます。


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実際にThe Oneの音質は素晴らしく、小さくても堂々たるスケール感の音と高い解像力。絞っても崩れない小音量再生力の高さなど印象的です。Burson Time KeeperパワーアンプとThe Oneで演奏中ですが、定位がピッタリ、スケール感も素晴らしく、外側の大きいフロアスタンドスピーカーが鳴ってるって言ってもおかしくないですね。デスクトップ向きかと思ってましたが、6畳間ならメインでも行けそうです。
今井商事さんらしくMytekでDSD128でデモしてました。 The Oneの背面はパッシブラジエーターです。メインコーンとドローンコーン(パッシブラジエーター)は前後に同相で一緒に動くタイプのようです。
The Oneはペアで12万5千円とのこと。今井商事さんではコンパクトはALRジョーダンのEntry Siなんかが有名でしたが、The Oneもそうなると良いですね。


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ネットワークでもDSD再生が可能になってきましたが、そこで興味深いのはステラ・ゼファンブースでのスイスのCH PrecisionのC1 DACにネットワークボードをつけてネットワーク対応したものです(上の写真)。これはなんとバッファローのDSD対応NASに対応してます。知る限り海外製では初だと思います。はじめはminim serverも考えたけど、バッファローを知ってこちらにしたよう。IFAでしょうか、バッファロー方式ネットワークDSDもいよいよ海外に広がってきたようです。
ただしC1の中はDSD対応していないPCM1704の4パラで、DSPで入力信号を(PCM1704でのオーバーサンプル上限の)705.6KHzに変換しますのでDSDネイティブ再生ではありません。写真ではDSD128を再生して705.6KHzに変換してます。


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タイムロードのブースではQuteHDの改良版QuteEX(DSD128対応USB DAC)とQuteベースのネットワークプレーヤーCodeX(DSD128対応ネットワークプレーヤー)が展示してありました(上左)。またヘッドフォン祭では長蛇の列だったEdition 5が聴き放題。ヘッドフォンアンプはStelloです。
インターナショナルオーディオショウというと評論家の先生方の講演も人気です。タイムロードでの角田先生のライドー新スピーカーD5とDSX1000の講演です(上右)。


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ナスペックではウイーンアコースティックスのスピーカーをデモしてました(上左)。手前は新フラッグシップのThe Musicです。よく言われますがウイーンアコースティックスのスピーカーって音色がとてもきれいです。
注目は最近増えてきたUSBメモリタイプのヘッドフォンアンプ内蔵DAC、CambridgeのDACmagic XS(上中と上右)。けっこう質感はよく薄くてコンパクトなUSB DACアンプです。192kHz上限でUSBはMicroBです。 28000円くらいで12月ころ発売とのこと。


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ユキムで面白いのはカワイイ真空管アンプのCarotから出た真空管式ポータブルアンプ、NIK58-Tubeです(上)。真空管はPhilipsのサブミニ管(JAN6111WA)ですからNOSで、JANだから軍用でしょうか。
サウンドフィールドという機能で音の広がりを変えられるよう。USB充電式リチウム電池内蔵で、電池持続3.5時間らしい。あのPortaphile627以下? 89800円と強きな値段で11中くらいに出るよう。


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上はBMCのPure DAC。バランス駆動のヘッドフォンアンプ(4pinXLR一個)付きでバランスT1でデモしてました。ESS9016でバランスDAC22万とお得値段かも。音も良かったですね。


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上は以前書いた「マークレビンソンのいま」Daniel Hertzの1MΩプリです。 私はやっぱりブランドって文化・歴史だと思うので、自分で買うわけではないけどこういうものも興味あります。
前に書いた記事はこちらです。
マークレビンソンとディックバウエンのいま - Burwen Bobcat
マークレビンソン氏のインタビュー記事とDaniel Herz


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小型スピーカーも元気で、上はフォステクスのピュアマグネシウムGX100 limitedのデモ。すごい人出でした。Limitedはより自然な音になったような気がします。


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上はロッキーブースのFocal Spiritの赤。これはホワイバランスを手動で変えないとデジカメではきれいに色が出ないシチュエーションです。

今回は半分QX100の練習に来てるみたいなもんですが下記はものはともかくディスプレイがきれいなんで撮ってみました。dCSのプッチーニとAvalonのIsis。F1.8開放で撮ってます。

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こちらはスナップ風の写真、暗部描写も見事です。

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QX100はすばらしい画質です。ヘッドフォン祭の時は自分に余裕がなかったのであんまり真面目にカメラを見られませんでしたが、やっと落ち着いて撮れました(そういう場合か?)。Powershot G15もコンパクトにしてはけっこう良いと思ってましたが、QX100の絵からするとRX100もかなり良いでしょうね。もっと一眼レフに近いレベルです。



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というわけでハイエンドの良い音をタップリ聴いた後で帰りの電車では自前のARM1とDita AudioのAnswer True editionでポータブルオーディオ。それでひどくがっかり、、まではしないかな 笑。マイトナーとかIsisなんかは別として、けっこう良い線は行ってると思います。ヘッドフォン・イヤフォンのすぐれたところは音の細かさだけ、というところからDita Audioなんかは卒業を始めてます。DAPもARM1みたいにハイエンドDACを搭載するところまではいきましたが、ジッター低減や音楽性などまだまだ取り組まねばならないことを考えさせられますね。もっと先はあるし、だからこそ進化する余地もあります。
posted by ささき at 23:29 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月28日

ヘッドフォン祭、2013秋レポート

いまや世界的になったフジヤエービック主催のヘッドフォン祭の2013秋開催が行われました。
場所は前回と同じ青山スタジアムプレイスで2日開催となりました。今回台風の直撃が危惧されましたが、なんとかそれて1日目は雨でしたが、2日目は晴天に恵まれました。参加者は4800人と言うことです。

今回お仕事的には10/26のOppデジタルさんのPM-1とHA-1発表会でコメントを述べさせていただき、10/27にはiFiのトルステン博士とJHAの神様ジェリーのインタビューを行いました。
また直前にSONYのレンズカメラ、QX100を入手しましたのでそのテストランかたがたレポートに使いました。

* ヘッドフォン

今回はまずEdition 5の発表会に参加しました。
発表会は有名エンジニア(兼ミュージシャン)のオノセイゲン氏によって行われました。参加者に「良い音とはなにか」などQA形式で全員に聞くなど趣向を凝らしていました。参加者からは「わくわくする音」「艶めかしい音」など数秒で思いつく印象を語ってもらい、良い音との正確な音の違いなどコメントを述べました。
もちろん本国からマイケルCEOとマイケルCOOが参加しています。

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EDition5では今回はウッドを使いたいと言う目的から選択を行い、埋もれ木と言う珍しい沼とかに何千年も埋もれた化石のようなオーク材を使用したウッドのハウジングが特徴です。価格は世界中で555台限定で49万円ほどの高価なものですが、使用しているウッドがかなり高価だということです。いわばヘッドフォン版のフェラーリと言うことで見た目の美しさと性能の良さを兼ね備えているということです。またドライバーも新素材を使用した新設計で、S-Logicもより進化しているということです。
Edition8に似ていますが、ハウジングの形状もやや異なっています。音もEdition8の硬質でシャープと言う方向性とは異なって、柔らかで広がりも豊かという感じですね。木製らしい音色の良さもあります。
こちら面白いのはCOOがAK120のユーザーで、作ったEdition5バージョンのAK120です。なんかほんとに世界のあちこちでAK120が好まれていますね。

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直前のCanJamではあたかも平面型祭りのようでしたが、日本でも平面型(Planer:プラナーまたはプレイナー)が少しずつ浸透してきています。
まず高音質のBDプレーヤーで知られるOppoが平面型のヘッドフォン、PM-1を発表しました。ここで私もコメントを述べさせてもらいました。Oppoの開発者も来ていたので直接お話しを伺いました。

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一般に平面型と言うのは高性能の反面で能率が低いものですが、PM-1はまず能率が平面型にしてはかなり高いことがあげられます。Abyssなんかはそうですが、平面型の音がいまひとつという場合には十分な駆動力のアンプを使用していないということが多いのですが、PM-1はiPhoneでも十分に音が聴けるくらいに高能率です。開発では独特の二重のダイアフラム構造を持っていて、コイルのパターンはスパイラル(螺旋)です。コイルのパターンは平面型では重要なポイントで、フォステクスのRPではジグザグ形状ですね。音質は聴きやすさを重視したということですが、実際に聞いてみると平面型らしい細かさと共に豊かさや立体感など音楽的な聴きやすさが感じられます。いままで聴いてきた平面型に比べるとたしかに駆動力が少なくても不自然な音質低下はないように思えますね。
わたしのコメントでは日本ではまだ平面型は浸透していないので、平面型の歴史とメリット、従来のものとのPM-1の違いなどを簡単に述べました。
また同時にHA-1というDAC内蔵のヘッドフォンアンプが発表されています。これはOppらしいES9018を使用したもので、DSDにも対応しています。またBluetoothにもAPT-Xで対応しています。もちろんデジタルデータはBTチップではなくES9018でDA変換しますので高音質です。高音質BTはなにげに伸びてきていますね。
これらはまだ発表段階で、製品化に向けてさらに進化するようです。
こちらモデルはもちろん福島花乃さんです。

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下は平面型としては最高のものでしょう、JPSラボのAbyssがJabenブースでは試聴できました。アンプは高性能のCavalliで、合わせると120万円と言う豪華セットです。さすがに聞いた人は音質の高さに驚いていた様子でした。JabenブースではNADやPSBのヘッドフォンもなかなか好評だったようです。

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もちろん平面型と言えばAudezeです。こちらは話題作の新型LCD X(下左)とクローズタイプのLCD XCです。LCDは私は1から使っていますけど、外観も含めて音質もだいぶ進歩しましたね。Audezeでは開発者のAlexも来ておりました。

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またおもしろいのは平面型RP対決です。というのはFostexというと海外ではRPというくらいに有名で、いくつもRP(T50RP)の改造型が作られています。RPはRegular PhaseというFostexの平面型の呼び名です。(もちろん最近ではTHも人気ですが)
そこで出てきたのが、この純正RPの進化型、FostexのNew RPです(下写真)。RPドライバーの改良型を使用しているということですが、ハウジングなどは刷新されています。プロトタイプなのであら削りですが、かなりがっしりしたメタルハウジングです。価格もおそらく手頃なところにくると思います。

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もうひとつはこの下のMrSpeakerのAlpha Dogです。CanJamでもかなりの人気でした。これはFostexのRPドライバーを使用した改造品のMad Dogをベースとして、ハウジングのカップと一部部品をなんと3Dプリンタで製作したというヘッドフォンです。ハウジングは3DプリンタですからABS樹脂製になります。3Dプリンタは新進の技術トレンドの一つですが、ヘッドフォンにもとうとう3Dプリンタの波が来ました。普通のメーカーなら金型から作ると思いますが、こうした改造品などマニアックガレージ系の場合には3Dプリンタはなかなか使えそうです。
Mad DogよりはAlpha Dogの音は洗練されて改良されていると思います。ただやはり純正のNew RPの方が音質的には上かなあと思いました。

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また一般的な製品ではDENONからB&WのP5の新型でP7が出ています。P5から引き継いだデザインも良いですが、音を聞いてみるとやわらか系の代表だったようなP5からはだいぶ異なってくっきり系になった感じです。高性能ポータブルヘッドフォンと言う感じに進化しました。またこの赤いリケーブル用の高品質ケーブルもポイントで、P7の標準ケーブルと比べてみると効果は歴然としてあります。6000円プラスということですので一緒に求めることを勧めます。P7のケーブルコネクタはこんな感じです。

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* イヤフォン

イヤフォンではまずカスタムイヤフォンの神様、ジェリーハーベイのインタビューを行いました。内容は後日雑誌とうちのブログで書くと思いますが、ジェリーの過去からUEの設立、JHAの製品、そして最新のロクサーヌまでカバーしています。FitEarの須山さんも同席していましたが、ジェリーからは「Suyama FitEarがユニバーサルのすごいのを作って、一気にこの分野の水準を上げた」などのコメントもありました。もはや世界の須山FitEarですね。

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ロクサーヌは片側12ドライバーでケーブルも新規で、新しいSirenシリーズのトップモデルとなります。音導孔は3穴でもちろんFreqPhaseの考え方で作られています。Siren(サイレン)は神話にもありますが、魅力的な女声のことで、ロクサーヌはそうした女性の名前の一つです。ロクサーヌってスティングの曲から来たんですよね?って聞いたらそれはポリスだろって突っ込まれてしまいました。

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聴いてみるとロクサーヌは濃密なサウンドで素晴らしい音質、JH13を聴き返すと軽く感じられます。ケーブルが変えられないのでは、との危惧もありましたがケーブルもオープンにして、Whiplashのような他のケーブルメーカーからも出るようで、すでに動き始めているようです。

面白かったのはこの試聴用のロクサーヌ(下右と左)って試聴用の一時的なものかと思ってたらユニバーサル版のロクサーヌのプロトタイプだそうです。Sirenシリーズではユニバーサルもラインナップされるよう。この辺にも上のFItEarへのコメントも関わってきます。ユニバーサルの価格はカスタムより$200安くなるようです(日本では不明)。ただJH3Aのようなアンプラインはもう出なさそうではありますね。

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もうひとつのイヤフォンの注目ポイントはシンガポールの新進メーカーのDita Audioのその名もAnswerというイヤフォンです。形式はシングルのダイナミックですが、ピュアオーディオ畑の開発者がこだわって設計し、ハウジングのみならずプラグまで自製したという、ほぼ全てを音質向上のために自製した超こだわり品です。これは既製品を使うと自分では音を調整できないというポリシーのもとです。マルチBAもクロスオーバーにオーディオ用ではない部品を使うのは好ましくないという考えに基づいて採用しなかったそうです。またその思想に共鳴したというケーブルメーカーVDHの特性ケーブルモデルが用意されているのも特徴です(Truth Edition)。

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Answerはぱっと聴いて良さが分かります。音質のレベルもIE800なみに高いのですが、そうした音の細かさや帯域の広さに加えて、滑らかで上質な品格の高さが感じられるのが特徴です。イヤフォンもiPodのおまけみたいな存在からこうしたオーディオ機器レベルに進化してきました。実はシンガポールのショウにいったときにもDitaの人とは話をしてきたのですが、その辺もいろいろ含めてAnswerはそのうちもっと詳しく書きます。


音楽的なイヤフォンと言うと、好評の音茶楽の新しいドングリタイプの新イヤフォンもなかなか好印象でした(下)。とてもバランスの良い音で聞き疲れのなさも前作並みで、ポイントはケヤキのハウジングで音色がとてもきれいです。音茶楽も一本筋の通ったこだわりのあるブランドですね。

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* ハイエンドDAP、ポータブルアンプなど

DAP・アンプ系ではさきにレビューしたiPhone接続可能なAK10が注目ですが、さらに隠し玉がありました。
これはラトックとの共同開発で、AK100/120とデジタル接続できるDAC内蔵ポータブルアンプ、KEB02AKです。これはなんと最新のES9018 2Mを使ってます。音も極めて良いですね。またバランス駆動対応で、ラトックの二本ケーブルを使う方式です。ポータブルのバランス駆動は4ピンのTRRSとか、RSA方式のミニXLR、またこの二本方式などいろいろありますので注意が必要です。

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またAK100用のアクセサリーでバンパーも展示されていました。チタンのAk100はネタのようですが、バンパーは販売するということ。

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こちらはHiFimanの新作でHM700、単体で2万円台という低価格もさることながら音質もかなり良く、バランス駆動に対応しています。これは4ピン一本のTRRS方式です。
ただイヤフォンも合わせるのはけむずかしいので、RE400バランスモデルとのセット販売になると思います。それで低価格のポータブルバランスシステムが作れます。

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こちらも好評のiFIの新製品、iDSDとiCanです。これはコンパクトさもありますが、バッテリー駆動がポイントです。DSD対応のiDSDはセルフパワーとなるのでiPadなどでも使えそうです。
iFIはインタビューもしましたが、トルステン博士はメールのレスポンスも詳細ですが話もなかなか饒舌でした。下右はiFIの新境地であるレトロシリーズです。iFIはヘッドフォンオーディオ志向ですが、こちらはカジュアルユーザーの小型スピーカーシステムを試行しています。中は真空管アンプでレトロルックですが、BT(APTX)対応など新しいところもあります。

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これはおなじみALOの新作islandです。これはコンパクトなUSB DAC+アンプでポータブルバランス端子と大きいボリュームが特徴です。バランス端子はRSA方式のミニXLRです。
このタイプの小型のヘッドフォンアンプ付きのUSB DACはDragonfly以降けっこう流行ってきて、今回はResonessenceのHerusなどDSD対応機種も出てきています。ALOでは下右のContinentalが良かったですね。駆動力と暖かみを両立させています。

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またゼンハイザーのバランスアンプも発売開始ということで音出しの展示をしていました。
下右はAirplayから光とアナログとHDMIに出せるApcastです。こうした機器の高音質でポータブル版がほしいですね。

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なんと一世を風靡したDrDACがDSD対応でDrDAC3として戻って来ました。小型機器のDSD対応も進んでいます。

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こちらは角田さんのハイレゾVSアナログ試聴会です。このほかにもいろいろなテーマでやっていましたが、けっこう盛況のようでした。

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* SONY QX100

SONY QX100を会場のレポートに使いましたが、レポしたブースの人たちからも驚かれて逆にいろいろ聞かれました。これはスマートフォン用の通称レンズカメラと言うもので、レンズ部分とiPhoneをWiFiで結びつけています。レンズ部分はSONYの高級コンパクトRX100Mk2ベース(というか同等)でかなり高画質です。このほかに低価格版もあります。iPhoneはSONYの専用アプリでシャッターはiPhoneからもレンズ部分からも撮れます。画像はフル解像度(18MP)がレンズ内のmicroSDに格納され、同時に縮小画像(2MP)がWiFi経由でiPhoneに取り込まれます。

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今までブログ用にデジカメで撮り、twitter用にiPhoneって別に二回撮ったりしてたんですが、QX100になって高解像をMicroSDに格納、縮小画像をiPhoneに転送って同時に撮れるんでとても便利になりました。画質もさすがRX100mk2ベースで素晴らしいものです。ただしつけっぱなしにしてるとWiFiのせいか電池がすぐ切れ、無線環境が混んでるとつながりにくくなったりと欠点もあります。


* 海外とのつながり

今回はいつものHeadFiメンバーに加えて、アメリカからはHeadFiのリーダーであるJudeも来てくれました。HeadFiは単なる掲示板と思われがちですが、組織化されたコミュニティでCanJamをはじめさまざまな活動もしています。その中心となるのが設立者でもあるJudeですね。日本のHeadFierで言うとCurrowong(Amos)がリーダー格です。この辺はHeadFiを見てるだけではなく、その中に入ってみないとなかなかわからないかもしれません。
今回はJudeも精力的にカメラのみならずビデオまで使ってレポートしていました。そのうちHeadFiにいろいろとレポートが載ると思います。こうしてレポートしてくれるおかげでヘッドフォン祭も世界的なものとなってきました。

偶然あった海外の人の中で感慨深かったのはHeadroomのJameyが居たことです。Headroomはポータブル歴史の中でトップクラスの重要ブランドで私もいろいろ買って少しメールやりとりしましたが会ったのは初めてです。最近アンプ作らないのは寂しいね、って言ったら、そのうちまたやるかもって言ってました。アロハシャツで有名なTyll氏はInner Fidelityでレビュアーをやっています。

また、今回は海外のヘッドフォンレビューサイトでよく知られるHeadfoniaのマイクも来てくれました。さっそく下記にレポートを上げてくれています。
http://www.headfonia.com/tokyo-headphone-festival-2013-autumn/

ちなみに外国人と飲むときのヒントですが、海外の特に中国アジア系の人たちは日本みたいに冷たいものを飲む習慣がないところもあるので、日本酒が飲みたいって言われても冷酒は避けた方が懸命です。常温かぬる燗が良いと思います。一般に世界から見ると日本は生モノと言うよりもまず冷たい食事(冷えたおにぎりとか)や冷たい飲み物を好むのが変わっている方です。逆に刺身とか塩辛は日本食レストランで慣れていることも多いので意外と平気だったりします。また、食事では肉と言ってもアメリカでは赤身肉しか食べないので内蔵系(ホルモンなど)は避けてください。以上自分の失敗より、ご参考まで。
もちろん宗教食がある場合やベジタリアンであることも多いので、レストランを予約する前に聞いておくことも大事です。


ヘッドフォン祭がますます国際化するのは良いことです。
Dita Audioも望んで日本をデビューの場としたいって言ってましたし、インタビューしたiFiのトルステンもJHAのジェリーも日本のユーザーの質の高さとマニアックさを口にしていました。海外からは日本製品だけではなく日本のユーザーも注目されています。
シンガポールでも国際的なショウが開催されますし、このヘッドフォン・ポータブルの世界も国の垣根を越えて進化するでしょう。これは従来のオーディオ文化にはなかったことだと思います。一つにはこの世界がボトムアップで育ってきたからでしょう。これはネットワークというのがインフラになってることもあります。私も前はHeadFi世界も見るだけだったけど、今では実際に会って親交をより深めてます。
コンピュータやデジタル技術が冷たいなんてだれが言ったのでしょう。実際はこのようにネットワークがコンピュータだけではなく、いままで不可能だったような人と人のネットワークも繋いでいるのです。このヘッドフォン祭がそれを証明しています。

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2013年10月05日

CanJam2013の新製品

HeadFiの大きなヘッドフォンイベントであるCanJam2013がそろそろ10/11-13でデンバーにて開催されますが(RMAFと同時開催)、JudeがHeadFi VideoでCanJamで披露されるだろうプレビューを紹介しています。
http://www.head-fi.org/t/684388/canjam-at-rmaf-2013-preview-and-exclusive-early-reveals-head-fi-tv



そこから日本ではまだあまり知られていない新製品情報を抜粋して紹介します。時間はyoutubeの時間です。

Cavalli
4:01 Cavalli(カバリオ)Audio Liquid lightning ampの紹介。
バランスアンプでAbyssと合わせてますね。Abyssとの組み合わせをJudeは大変気に入っているよう。

Fostex
5:20 日本からFostexの人が来るのを楽しみと言ってます。
8:00 号外の大ニュースとしてFostexからNew RP(ハウジングなども新設計の平面型)ヘッドフォンが出るといっています。

ALOについてはアンプに重点が移っているとして、
11:57 iSlandという小型のUSB DAC/アンプのことを紹介しています。
これはでかいボリュームとバランス出力(RSAタイプ)、3Dプリンタによるシャーシを採用しているところもポイント。

JH Audio
13:39 JH Audioから完全新設計の新カスタムイヤフォンのフラッグシップのRoxsanne(Sirenというシリーズ)が4ドライバーx3ユニットで片側12ドライバー(2クロスオーバーポイントと言っているので3Way?)、FreqPhase採用、4ピンの新ケーブル(独自プラグ)を紹介。プラグはプロユース用に頑丈に作られているということです。
16:45 Roxsanneのクローズアップ
17:12Roxsanneの可変ベースユニット(0-15dB)のクローズアップ
18:24ソリッドカーボンファイバーの新ケースのクローズアップ。製品版では中はネガティブ・インプレッション(耳型の逆の凹型のことらしい)が掘り込まれていてすぽっとカスタムイヤフォンがはまるよう。Roxsanneにはソリッドカーボンのシェルもある(+$200)

Schiit
20:28 Schiit Lokiの紹介。大きさがよく分かると思います。

Audeze
21:29 Audeze(オーデジー)のLCD-XC(平面のクローズタイプ)が紹介されています。$1799。スマートフォンでも再生できるようにもっと効率がよくなっているよう。
24:07 LCD-Xの紹介。平面のオープンの新型。LCD3よりニュートラルとのこと。$1699。音質はoutstandingとのこと。

33:56 KOSS ESP950(古いけど)を紹介しています。KOSSがCanJamに出すようですね。

37:09 MrSpeakers Alpha Dogヘッドフォンを紹介しています。これは3Dプリンタで製作されています。

38:04 トッドさんのTTVJから販売されるApex Tetonヘッドフォンアンプの紹介。もちろんピートミレットの設計。

38:37 Cypher Labsの新ポータブルDACアンプ、Theoremの紹介。(TTVJで展示のよう)

あれ、HiFimanのHM700については言っていませんね??
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2013年08月22日

オトノートのイベント開催!

オーディオ女子、福島花乃さんの主催するオトノートの第一回イベントが本日開催されました。

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こちらはオトノートのサイトです。
http://www.oto-note.com/
場所は神宮前の東京ニューロカフェというバー風のキッチン付きレンタルスペースです。
http://tokyo.neuro-cafe.com/

今までのオーディオ視聴イベントとは思えない、パーティー・クラブ風の雰囲気で、きてる人もそれ風の人も多い感じです。新しい感じのオーディオイベントって雰囲気が伝わって来ます。その場に腕利きのシェフを呼んでワンコイン(500円)料理を楽しめるのも面白い趣向です。
イベントは軽妙な花乃さんの司会で進めて行きます。機材は主にORBが担当してました。

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使用したスピーカーは以下のものです。

Tangent Evo-E5
女性の部屋にお行きたいインテリア志向スピーカー。 小型らしいキビキビとした音です。

something special MF-W10
高解像度で小音量でも音やせしないスピーカーで小型でもやるな、という感じでした。

elipson Planet M
音響理論に基づく60年も前にデザインされたスピーカーで、フランスでは有名ということです。ちょっとオールドっぽいレンジだけど、音は落ち着いて整理された良い音でした。

Sonus Faber Toy Collection トイ・ウッド
みなさんご存知、オーディオファイル向けレーベルのコンシューマー向けモデルです。さすが整ってバランス取れてる感じでした。

なおFostex PX5もありましたが、これはアクティブですので聴き比べには使わずDJタイムで使っていました。クラブ系を意識したスピーカーということです。

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スティービーワンダーやフランスの女性ヴォーカルなどワンコーラス程度流しながら、オーディオ的な解説も加えて進めて行きます。違いは分かり易かったと思いますね。好き嫌いを挙手でとるとバラバラに均等に別れたのも面白いところです。電源ケーブルの切り替えなんてマニアックなのもちょっと披露したりしました。

初のイベントなのでいろいろあったと思いますが、スペースのオーナーはオトノートとタッグを組んで10回はやりたいと言ってましたので、次回はぜひ起こしください。
posted by ささき at 23:36 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月11日

Jaben主催のMookヘッドフォンフェスティバル(シンガポール開催)・レポート

8/2-8/4の期間開催されたJaben主催のMookヘッドフォンフェスティバルに参加してきました。これはフジヤ主催のヘッドフォン祭のシンガポール版と言えるものです。最終日は都合で帰国しましたが、設営から開催まで見てきましたので、以下にレポートします。

まずシンガポールについて見聞録を書いて行きます。
シンガポールは赤道近くの熱帯にある島で全体が街のようなもので人口は東京都の半分くらいです。以下に書いて行きますが、非常に先進的な側面を持ち、小さいながら大きな国だと言えるでしょう。時差は一時間ほどで、日本からは直行便で7時間弱かかります。飛行機でのお伴はコンパクトに済むAK120でしたが、エアプレーンアダプタを忘れました。あんなに捨てるほどあるのに。。

シンガポールのチャンギ国際空港に着くとまずiPhoneの3Gローミングの設定をします。SingTelというところでローミングできます。定額で1500円/一日ですが、二段階式で使いすぎるとさらに課金されます。シンガポールは進んだ国でWiFiスポットもあちこちあるので画像などはWiFiで送りたいところです。私の場合はホテルとコンベンションセンターのフリーWiFiを主に使いました。下右のアプリはシンガポールで便利なSingapore Mapsです(無料)。SingTelにつながっているのがわかると思います。

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熱帯にある国なのでエアコンの効いたホテルから出ると暑さと湿気でもわっとするけど、東京の今とあまり変わりません。東京も熱帯かというくらい。緯度の関係か、朝は夏のいまで6時でまだ暗いんですが、夜は7:30で暮れるので同じくらいですね。外は暑いんですが中はエアコンが効いているので羽織るものがあるといいかもしれません。エアコン設定は低めが多いんですが摂氏温度で設定できるのは良いところ。アメリカだとまず華氏温度でホテルに着いたときあたふたします。

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街はきれいで、日本と変わりない清潔さと外国のエキゾチックな美しさを両立できています。街中が史跡か公園みたいで散歩してるだけで満足できますね。MRTの駅を見つけるためにホテルから少し歩いただけでも散歩を満喫できました。またショッピングセンターも古い中心であるオーチャード通りから今回新しいところのSuntecシティまで、すべてが計画的に作られてるというのを実感できるところです。観光には最適でしょう。カメラはショウと観光写真の両用でPowershot G15を持って行きました、あとはiPhone5です。
TV見てたら失業率は最近2.1%に上昇したって言ってるくらいなんで相当低いです。物価はやや高く日本程度でしょうか。

初日はJabenスタッフに連れられて有名な観光スポットのマーライオンを見てきました。地元の人はマーライオンでなくシーライオンって言いますね。向こうにある船がビル屋上にあるような建物は新しいマリーナベイサンズというホテルとカジノです。屋上にはプールと庭園があります。屋上のプールと多くの施設は宿泊者でないと使えません。

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こちらはマリーナベイサンズの屋上庭園(ゲスト用)からの眺めです。海一面に船が停泊しているところが印象的でした。シンガポールの活気もよくわかります。

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シンガポールではエスカレーターは左に立って右を開けるようです(東京方式と似ている)。街中には日本のものも目立ち、セブンイレブンはたくさんあり、寿司屋もあちこちにありました。24時間営業も多いです。インド街の大きなショッピングモール(ムスタファセンター)も24時間営業です。ここは食料品スーパーとヨドバシのような家電量販店が合体したようなところで近隣諸国からも買いに来るということ。右端はリトルインディア。

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シンガポールの電気事情ですが、シンガポールではコンセントにBFとB3というタイプが使われていて、電圧は230Vです。実際は電源コンセントはBFとB3の共用のようでどっちでもさせました。このホテルは新しいからかもしれないけど、電源供給用のUSBポートがあって、ホテル用のTVや照明制御のためのカスタマイズされたNexus7が常備されてました。iPhoneやiPadはUSB経由でも電源が取れるのでアダプター不要でこれは便利でしたね。

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3Gローミングのレスポンスはソフトバンクよりやや遅い感じです。フリーWiFiがホテルと展示会場で使えるので2日めからWiFiオンリーにしました。街中ではiPhoneを使っている人をよく見かけます。シンガポールではブラックベリーが前は多かったようですが、いまは代わってきているようです。見ているとiPhoneを使っている人が多いように思いましたが、地元の人に聞くとiPhoneとAndroidのシェアは半々くらいということ。観光客の持ち物が多いのかもしれません。

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移動はもっぱらタクシーが安いのでタクシーを使いますが時間によって場所の流しのローテーションがあるようで、どこにいくか(東とか西)で制限があるようです。有名観光地では乗る前にどこに行くかの交渉が必要のようでした。他はMRTという地下鉄が便利です(上の写真)。Orchardみたいな中心部でなければ混んでなく、3-5分に一本はきます。乗るにはNFCみたいなチケットを買います。大型のタッチパネルでどの駅で降りるかを選択できるのではじめてでもわかりやすいでしょう。また中心街に行くとやはり大きい街ではないので多少は歩いても十分カバーできます。

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シンガポールの食と言えば上左のチキンライスです。ライスをチキンスープで炊きこみます。これはSuntecのフードコートで$7SGDでした。上中のカレーはリトルインディアで食。タンドールチキンもスパイスが日本のインド人がやってるインドカレーのレストランとも違います。あとから辛くなるタイプでやはり独特のスパイス感がありますね。写真はブリアーニというもので、インドのカレーライスみたいなものです。北と南で異なる米を使ってます。普通のカレーよりシンプルなソースのカレーをかけて食べるようです。日本でのタイ米とは違い、おいしいですね。上右はFacebookで教えてもらったKaya Toastというトーストでチェーン店がよくあります。中はピーナッツバターなどでカリカリとした触感です。

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街中では注意書きが4ヶ国語で表示されているところもあり、多民族・多言語を感じさせます。また工事の看板の英語ではsorryとかpleaseが多用されてるのは米国では見ない(米国は命令調)ですね。ここはアジア系英語らしい丁寧さなのかもしれません。漢字も簡体字(本土)と繁体字が混ざってる点も面白いところです

街中は日用品も買い物に困ることはありませんが、本屋がなく地図を買うのに難儀しました。あと欲しかったのは温泉だけかな。。
車で連れてってもらったりしましたが、シンガポールのETCみたいなものは速度をゲートで落とす必要がなく、パーキングにも使える高度なものです。なんか日本が遅れてる気がしますね。シンガポールはとても進んでます。マリーナベイ・サンズにいったらSFかというようなビルです(ちなみにシンガポールに地震はありません)。旅の前は安全のためパスポート腹巻きとか持って行ったんですが、犯罪を匂わせるものはなく、かえってこうした進んだところを見せられてあんぐりと口を開けると、逆に私は東京から出てきた田舎者です、という感じでした。
シンガポールも狭いのは東京と同じですが、すべて計画的にビルド&スクラッチで建て替えていきます。小さい故に統制が取れていて、日本は各部門のしがらみとかでこうはいかないです。
アメリカに行くと日本は狭いと思うけど、シンガポールに行くと日本は広いと思えます。シンガポールの人は日本は広いと言います。日本人の誰が日本が大きい国だと思うでしょう。この辺も外に出るとわかる感覚ではあります。

* Jabenショップとシンガポールオーディオ事情

着いてその日には早速Jabenの店に行ってみました。Coleman streetのアデルフィというビルにあります。このビルはオーディオ系の店がぎっしり詰まったビルで、マニアックなオーディオ系ショップが詰まったビルのもっともマニアックなショップがJabenという感じです。店内は広くはないですが、みっちり詰まったマニアックなスペースという感じですね。

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ポータブル系が充実していてAK100とかAK120もありました。日本よりちょっと早く売ってるShue SE846も早速売れてったようです。これはけっこうプリオーダーがあるよう。xDuooもディスプレイ一面使ってます。日本製も多く、ファイナルオーディオのイヤフォンも多数ありました。

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上右のヘッドフォンのグリッド状のディスプレイ枠がWilsonの発明だそうです。The wallと呼んでましたね。すべて下のアンプにつなげて視聴できますし、自分のプレーヤーで試すこともできます。

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左上はWilsonさん、店の正面にはファイナルのヘビーヘッドフォンとかゼンハイザーのオルフェウスとかAKG K1000とか「兜」ErgoとかSTAX SR-ΩとかKOSSの静電型とか、なにげにマニアックな展示が目を引きます。この辺のHeadFi系なのは日本の店にはないところです。フジヤさんというよりもヘッドフォン・イヤフォン・ポータブルに特化してます(なぜか一部時計も売ってる)。またHeadFi的な深いマニアックさは日本のどの店にもない感じですね。店のやり方もいろいろ志向しているとのこと。スタッフは若く、20代前半くらいです。平日だけど、お昼すぎるとけっこう人が入って回転もいいようでした。週末は混むとのこと。

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そこでいろいろ早速試聴。Triad Lisa(上左)を聞く私でしたが、持参したRWAK100-sですごいスケール間のある音。筐体もでかいけど音のスケールも大きい。上中はxDuooのDAPであるX1(130SGD)。UE18で中に入ってるデモ曲を聴きましたが、xDuooらしい明瞭感の高い音。厚みのあるヴォーカルもいいですね。音のレベルは高いと思う。筐体の出来もいい、8Gというのがネックか。上右はFicherの木製ハウジング改造ベイヤー。音の響きの良さがただものではなかったですね。

ショップはショウの後に二階を拡張する予定ということです。ここは今は倉庫に使ってます。hippoはブランドネームで、クマはショップのブランドです。ストアにはいっぱいストックがあって大量に仕入れてバンドルにしてお得感を出すのが戦略の一つです。
それとシンガポールの国民性というのもあって、中国語(シンガポール独自かも)のKiasu(なくなることへの恐れ)って言葉で説明してくれました。日本でもなにかがあるとトイレットペーパー買占めみたいなのがありますが、特にシンガポールは資源もないことから、そうした傾向が強いそうです。ですので、新製品が入荷するとわっと飛びつくことも多いよう。
他の国の事情では、タイとインドネシアはローエンドとハイエンド市場がはっきりしてるが、ミッドがないそうです。マレーシアはまだハイがないようですね。
Jabenでは今後は補聴関連(hearing aid)もやるようで、hansatonの代理店と協力してやっていくということでした。

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アデルフィの別のストアを覗いてみると、オフィスビルには東京インターナショナルショウに出るような海外や日本のハイエンドブランドのオーディオショップがずらり並んでいます。ダイナの各部屋が別ストアになってる感じもあります。
訪ねたのが平日かもしれませんが、たいてい午後くらいから店をあけるようです。なぜか休んでる店も多いですね。アポイントメントのみってところもあり、ショールームだけここにおいてる感じです。後で書くSuntecセンターでも思いましたが、だいたい昼ごろから人の出が活性化するというのがシンガポールの特徴のように思えました。取り扱いブランドを細かくみるとしらないブランドがあるにはあります。また各ストアでは取り扱いブランド商品がダブってる場合もあります。4階にいくと昔のJabenストアがあります。

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しかし、Schiitが店頭に並べられているのに驚きました。全体にマニアックな感じです。Jabenの他のオーディオ店も日本の店より濃い感じですね。ただ聞いてみると、シンガポールでは97年の不況のあとでオーディオも縮小して、スピーカーはやはり縮小しているのは日本と似てるということでした。
あと古銭やアンティーク人形、アナログレコード専門ショップの店などもありブロードウエイを思わせます。上にいくと閉まってる店が増えるのもブロードウエイっぽいですね。ただしサブカルはありません。アニメとかサブカル関係が多いのが日本の特徴かな。。
地階はカメラがいっぱいで、中古カメラ屋はライカとかローライなど日本の中古カメラ屋と同じ感じでした。

* ショウ準備編

次の日はショウの準備とコンベンションセンターを見るためにSuntecシティと言う新しくできた複合施設に移動しました。ここはイベント会場とショッピングセンターを混ぜたような複合施設です。
コンベンションセンターは出来て一ヶ月という素晴らしいところで、幕張のレベルの大きさでホテルのきれいさを兼ね備えたようなイベント会場です。
Mookヘッドフォンフェスティバルではコンベンションセンターは300-302の3部屋を貫通させて使います。下はカーペットですが、ある間隔で電源コンセントがあります。タイプはBF/B3両用です。ただし後で書くように電源は日本のヘッドフォン祭よりもきっちりとブースに工事して設置しています。ブースは今回は52社用意されてます。

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上右が会場全体の広さです。
こちらでは運送時にいったんラップして運ぶのが普通のようです。椅子などはコンベンションセンターの中ではなく外から調達しているようでした。
少し手伝ったんですが彼らが話してる言葉がJabenスタッフ間は中国語で、外部運搬スタッフ同志は不明言語(タミール語?)、Jabenと外部スタッフは英語という状況なんで、ちょっと手を出しにくいところではありました。シンガポールの標準言語は英語なんですが、実際はこんな感じです。こういうのがインターナショナルということで、ここでは普通なんでしょう。この辺が周りが日本語だけで通じる日本とは異なるところです。

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今回のMookヘッドフォンフェスティバルで一番驚いたのは会場設営です。日本のヘッドフォン祭ではテーブルを並べるくらいではありますが、Mookでは幕張のショウのようにブースを完全に作ります。
上左は在庫を入れる倉庫を作ってるところ。脚立に乗ってるにいちゃんが脚立をカニ歩きさせて横移動するのが面白かったですね。上中ではテーブルの組み立て中です。進むとまるで部屋の中で建設現場のようです。

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ブースではデモだけで、購入するのはチケットをもらってこの別の小屋で買います。ただ設営が時間がかかったので、前日にディーラーがセットアップするというのはやや遅い時間になりました。全般に前日搬入するディーラーさんはヘッドフォン祭よりも多いようですね。
各ブースのテーブルの裏は立派なカギがかかるロッカー付きで、ここに展示物をしまえるようになっています。テーブルはがっちりしてびくともしません。パイプにもきっちりキャップをかぶせてます。電源は壁から取ってテーブル下に配線してるよう。

下はMookヘッドフォンフェスティバルのパンフレットとフロア配置図です。きちんと導線が確保されてますね。こちらの人は大好きというLucky Drawの券もこのパンフレットについています。

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須山さんFitearは2テーブル確保。須山さんもシンガポールに向かってるよってスタッフに言ったら、"He is a hero of the show!"だって言ってました。このときは軽いあいさつ言葉と思いましたが、後に現実になることに。。

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すごい会場設定だねってWilsonに言ったら、フジヤさんのヘッドフォン祭が高いハードルになってるんで、それを(後追いで)目指すにはこのくらいやらないと、ということでした。予算もかかりますが、それよりも自社のプレゼンスをアピールするというところを考えているようです。T3というモノマガのような雑誌への3面広告も出していました。次はもっとすごいことになりそうな企みも持ってるよう。

会場の外も広いので廊下でセットアップに使えるので作業が容易です。シンガポールは日本の都区内程度の狭い国です。よく日本は狭いから建物も狭いんだと言いますが、結局はきちんと計画的に効率的にやれば狭い国でもこうしたアメリカ的なスケールの場所を作ることができるということかもしれません。

* ショウインプレッション

Mookヘッドフォンフェスティバルの開催時間は一般には8/2-8/4日でAM11:00からPM9:00までです。一日の開催時間は長めで、夜に寄っているのはシンガポールの人たちの活動の特徴かもしれません。初日だけ9:00-11:00までのプレスタイムが設けてありました。
プレスタイム開始30分前。すでに一部はセットアップされてますが、セットアップはプレスタイム中も続いていました。

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Mookヘッドフォンフェスティバルへの行き方をおさらいすると、まずSuntecシティへの行き方を確認します。MRT駅ではESPLANADE駅が手近です。コンベンションセンターはSuntecシティの中にあります。
Suntecコンベンションセンターの入り口で右手のエスカレーターに乗ります。(こちらはTemasek通り沿いです) 登るとドアを開けるとすぐスタッフがおります。ここを右手ですぐに入口があります。
次回(2013/12/13-15)は異なると思いますので注意ください。(おそらく一階上になると思います)

ブースを(逆方向から)回って行きます。 上の配置図を参照ください。

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以下は各ブースのコメントです。
こちらは主催者のJabenのブースです。このショウの間は店は閉めていて、全員こっちに来てるということです。

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フジヤさんのヘッドフォンショウ特価品のようなショウ用のセットがありました。Jabenではバンドルでお得感を出してます。SGD$200相当でSGD$99くらいのセットもありました。
上右はJabenが開発中という謎のヘッドフォンアンプ。たぶん$500SGD以下ということだけど、小さい割には上から下までよく整った音を聴かせてくれました。少し熱くなります。 そういえばポタ研でもってきてくれたポータブルMarvericはなぜかありませんでした。
WilsonはMookヘッドフォンフェスティバルの間は会場を絶えずまわって販売の指揮をしたり、ディーラーやユーザーと会話したりしていました。

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Rudistorは新作の高性能ヘッドフォンChroma MD2とシングルエンドのヘッドフォンアンプRPX-38、DAC3を出展していました。これは秋の東京のヘッドフォン祭でも見ることができる予定です。
MD2はMD1の改良版で低音とダイナミックさを進化させたということ。DACとアンプの組み合わせはRudistorらしく音楽的で素晴らしい音で滑らかな再現でとても魅力的です。RudiのバランスアンプのRPX-308とMD2バランスもなかなか良い組み合わせです。立体的に広がるバランスらしい音場再現と滑らかさが印象的。やはりRudiのアンプは音楽的にいいですね。
RudistorのDAC3のヘッドフォン端子もなかなかいい感じです。もっと音にダイレクト感があって迫り来る感じです。アンプのRPX38を通すともっと滑らかにスケール感良く鳴る感じです。
ただしRudistorは例外な方で、ヘッドフォンアンプ主体の出展は少ないですね。

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今回の目玉の一つ、オルフェウスに変わる王者?、平面型のAbyss(約50万円以上)です。これは平面型ですがSTAXのように静電型ではなくオルソダイナミックです。そのため、アンプは通常のヘッドフォンアンプを使いますがやはりバランス駆動対応でがっちり鳴らしたいところ。デモではまず音松アンプでバランス駆動です。 ソースは持参したRWAK100-S。ハイゲインでもボリューム高く、かなりの低能率です。
Abyssの音はまず音空間の深さに驚きます。細かさや切れも静電型なみ、でもダイナミックの音ですね。HE6を明るくした感じといいますか。いずれにせよアンプを選ぶと思いましたので、さらに上のとなりにあったRudiのRPX-038(RPX38のバランス駆動版)に組み合わせてみました。すると、、これは驚きの音 ! 聴いた瞬間にゾゾっと衝撃が走るようなすごい音です。今までに聴いたヘッドフォンセットアップでベストかもしれません、これは。この音空間の深み、ベースの厚み、上質な滑らかさ、すべてが圧倒的です。

CEntranceのブースでは残念ながらマイケルは来る予定だったのがキャンセルとなりました。HIFi-M8は大きくてもとにかくホームアンプレベルの音がほしいと言う人にはお勧めです。

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今回のやはり一番の話題は須山さんFitEarかもしれません。とにかくショウの間中ずっと人が絶えずに多数はりついている状態でした。このレベルはあとはジェリーがいるときのJHAくらいでしょうか。CliOSの話ではマレーシアや中国でもFitEarはかなり有名とのこと。このFitEar人気はその場にいないとわからないと思いますが、とにかく脱帽でした。
須山さんは熱心な人たちにサインもたくさん求められていました。上でheroって言ったのも嘘じゃないですよね。

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こちらはもうひとりのヒーローであるジェリーハーベイのJH Audioです。AK120をデモ機に使ってます。ラインナップは大きな新製品はないようでした。
私は贅沢にもジェリー先生直々にJH13 Freqphaseを装着してもらい、Freqphaseのレクチャーをしてもらいました。Freqphaseはドライバーの配置を最適化してフィジカルに位相の適正化を図ったモデルということ。たしかに私の古いJH13よりイメージがピッタリ決まるように思いました。

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アナログスクエアペーパーのTu05はなかなかの人気でした。やはりハイブリッドではないフル真空管と言うところが目を引いていたようです。作りも日本人の職人気質を海外に伝えるようで良いですね。担当していた人に聞いても評判は上々だったということでした。上左は日本通りを担当してくれていたJAben側のスタッフ。

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この辺は日本製品通りとなります。他にはマス工房、エレキット、などで、ファイナルオーディオはJHAの斜め向かいです。
マス工房では増田さん本人が来られてデモをしていました。バランス入力対応ヘッドフォンアンプのmodel 370-iとポータブルアンプのmodel385を展示していました。このアンプはサイズの割にはなかなか本格的な良い音を聴かせると思いました。ビジターでは一時間くらい粘って聴いてた人もいたようです。

エレキットは真空管ハイブリッドのポータブルと据え置きを出展。光城は真鍮削りだしポータブルアンプ、Go-DAPはSounDroid、OrbはJade to go漆塗りを出展していました。 この辺はただ置いてあるだけではなく、Jabenのスタッフが質問やデモなどに対応してくれていました。

ファイナルオーディオのブースではJabenスタッフも協力して説明していました。ファイナルオーディオではF10(ピアノフォルテX)を含むイヤフォンのラインナップほぼすべてとヘッドフォンのパンドラ、そしてJaben流のバンドルセットを用意していました。

今回はいろんな出会いがありましたが、会場でたまたまHeadFiの有名人であるCliOSとも会いました。CliOSとxDuoo話をしてFiio X3を聴かせてもらったりしました。X3は価格にしては良く楽しめる音でした。でも聴かせてもらったのはすでにCliOSが改造してたんでストックとは違うかもしれません。
RWAK100-SとxDuoo UA-05を試してみましたが、アナログアウトで試しても筐体大きいなりにいい音って感じですね。xDuoo X1もなかなか音が良いDAPです。ただ機能が限定されて8GBというところが考えどころです。CliOSともこっちのX3はいつになるのかねえと話していました。

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上左も今回の注目品で、このショウがワールドプレミアとなるPSBのポールバートン(カナダ)がNADブランドで出すViso HP50です。ハイがきつくなく柔らかで聴き疲れのない音と感じました。スピーカーのメーカーなのでRoom fillというスピーカー的音を目指したそうで$399SGDです。 上中はPSBのM4U2。内蔵アンプとアクティブNC付きです。アンプなしでも結構いい音でしたね。アンプオンで音が強めとなります。バッテリーは単4で40時間持つそうで、$400SGD。
PSBとNADは同じ会社ではありますが、PSBはプロ寄りでNADはコンシューマ―寄りのブランドと言うこと。
上右はNADの"ハイブリッドアンプ"です。ハイブリッドとは真空管ハイブリッドではなくスピーカー、ヘッドフォン、DACなど一体という意味で使ってるようでした。DACはSPDIF, optical, USBにBT(Apt-x)もついてます。BluetoothでNADのデジタルアンプを試聴してみると、ちょっと途切れ気味なところはあるけど、AptX使用で光デジタルともことなって柔らかな感じです。

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日本製品では上はDENONブース、D7000,D340, NCW500, D320,C100,W150など。現地の日本人スタッフもおります。エクササイズのW150が売れていて、D7000もJabenあたりでは出てるよう。日本と似てるということ。 私もシンガポールのこの辺のオーディオ事情は日本と似ていると思います。
上右は現地のSTAXコーナーではCaryオーディオのスピーカーアンプにトランス経由でSR009つなげてます。普通にSTAXのドライバー(アンプ)を使わないところなど、マニアック系ですね。これもなかなか音は良かったですね。Caryオーディオは海外では定評があります。

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上左はBeyer(ここではバイヤー)のブースではT1にバランスリケーブルの音松アンプを展示してます。ここはBeyerのブースですけど、積極的にJabenのスタッフが各ブースを回って営業に協力していたのが印象的です。
上中はA&Kの現地ディストリビューター。AK100が右、AK120が左。AK120はIE800、AK100はFADと組み合わせてます。iriverの代理店というよりUltrasoneとかWestoneなども扱う代理店でA&Kブランドで取ってるようです。A&Kは日本が最大マーケットと思うけど、シンガポールでもかなり出てると言っていました。
上右のBoomphoneはヘッドフォンとスピーカー(boombox)の両方使えるヘッドフォンです。スイッチを操作することで切り替えます。ベースブーストあり。
ヘッドフォンで聞いても悪くないですが、スピーカーとしてはちょっとガチャガチャしてます。

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上左のShureではSE846とヘッドフォンで展開していました。上中のWestoneでは新製品はやはりADV。ここでは$299とのこと。パイオニアではコンパニオンさんも動員。

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現地のFostexディストリビューター。TH600、HPA8、など展開。 GRADOディストリビューターさん。ParrotはZikで展示。ここでは$529SGDとのこと。 Parrotでは専用アプリ(Android)も力をいれて説明してくれました。

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こちらはシンガポールのガジェット系のT3マガジン。 T3マガジンにはMookヘッドフォンフェスティバルの広告も載ってます。 T3マガジンは大人向けのガジェットマガジンでスマートフォンからPC、ヘッドフォン、カメラ、メガネなどなどカバーしてます。ただしアニメなどサブカル色は皆無。
途中からは各ブースにJames&BenのJabenクマが現れました。

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会場の様子です。メジャーメーカーよりマニアック系に人が集まってました。朝からどっと人が来るヘッドフォン祭とは異なり、昼すぎると人が増えるのがシンガポールの特徴です。須山さんも言ってましたが、くる人の年齢構成がすごく広いですね。ヘッドフォン祭みたいにやはり若い人が多いですけど、年配と言える人もけっこういます。けっこうお歳の方のポーチからごろっとDX100が出てきたりします。HeadFiミートも見てると年配の人も多いですが、日本ではもっと年配の人が増えても良いように思います。
ヘッドフォン女子もいました。 一人で来てじっくり聴いてる女子もいましたね。あとカップルで来てる人もけっこういますが、女の子も彼氏の後ろで暇そうにしてるっていうよりは積極的に聴いてるようです。2人で会場を行ったり来たりしてましたが、どちらかというと女の子の方が熱心だったよう。

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全体に来ている人の感じはやはり日本のヘッドフォン祭と似ていますね。一般的なTDKとかパイオニアはいま一つで、Shure , Weatone, Grado, FitEar, JHA, A&K, FADなどのヘッドフォン・イヤフォン専門かマニアック系に人気があるようでした。一般の人もきてましたが、どちらかというとよく知っている人たちが来ていたようです。ただ日曜日は私はいませんでしたが、もう少し客層も変わったようです。シンガポール国軍らしき人もちらほら来てました。
プレーヤーに関してはiPhone直やiPod classicも多いけど須山さんあたりにくるような人はAK120とかDX100が多いようですね。わりと高価なAK120がすでに多いのも驚きです。二段の人もいるけどそう多くないように思えました。二段重ね組はやはり、GoVibe Porta Tubeなどでした。
最後までまだ粘ってる人が多いのもヘッドフォン祭と同じです。マニアが溜まってヘッドフォン話をしてるのはどこも同じ光景ですね。

* 感想

今回はいろいろな意味で私も勉強になりました。また、シンガポールのオーディオ系の人とも関係を深めることが出来ましたし、収穫多いシンガポール行でした。
うちのブログを翻訳して見てるひとも多いようで、ありがたいことです。

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何れにせよ、世界は広いよ、と思いました。日本のいいところも悪いところも、日本市場だけで完結できる/してしまうというところで外に出たがらない点ですね。こう言語も人も多様なシンガポールに居ると日本をそう見つめ直せます。向こうでは様々な価値観や文化が共存するというのが普通の日常なわけです。
私もこのMusic to Goの日本語のブログがこんなに世界で翻訳してもらいつつ読まれてるとは思わなかったし、実は須山さんがジェリーを超えるくらいの人気だったというのもすごいことです。これらも外に出て別な方向から見ないと分からなかったことです。

Mookヘッドフォンフェスティバルは今回は手始めにあえて小規模でやったという点もあったようで、すでにグレードアップした次回の構想を練っているようです。マレーシアはまだのようですが、タイやインドネシアはもう無視できない市場になりつつあります。
そのうちヘッドフォン祭とMookヘッドフォンフェスティバルが有機的に協力できるといいなと思います。ヘッドフォン祭も、もうアメリカからも人が来ています。このヘッドフォンやポータブル、PCオーディオという趣味はネットもベースにしていますので普段から国境を飛び越えることができます。また、こうしてたまに顔を合わせることで、関係や相互理解も一層ふかまります。それがこの新しい世界をいままでにない形で発展させて行くことでしょう。

Mookヘッドフォンフェスティバルの次回は今年12/13-15の週末に再びシンガポールで行い、次の週にはジャカルタでも開催するということです。これを見て興味を持った方はぜひ訪ねてみてください。
Wilsonが周囲の人から一目おかれるくらい商才ある存在だというのも向こうに行って関係者と話してよく分かりました。今後のJabenの展開に要注目ですね!
posted by ささき at 21:49 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月17日

ポータブル研究会2013夏レポート

この週末はフジヤさん主催のポータブル研究会イベントに行ってきました。これはヘッドフォン祭に比べて小規模ですが、よりマニアックな性質のイベントです。今日のマニアックなものが明日の一般になったりするので将来を占うという意味でも面白いイベントです。
500名ほどの来場者と言うことでしたが、いつもながらはじまりから終わりまで人の多さがほとんど変わらないという盛況ぶりというか、濃さ加減でした。

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以下イヤフォン・ヘッドフォンの試聴はAK120で、アンプの試聴はFitearパルテール(with BlackDragonケーブル)で聴いています。

まず今回はUltrasoneが普及価格帯のダイナミックイヤフォンを出してきたというのに驚きました。これはUltrasone Pyco(ピコ)という名称で、タイムロードさんにも数日前に届いたばかりのようでこのイベントが世界初のお披露目となると思います。価格は2万円前半を予定しているようです。
筺体的にはTioに似たアルミハウジングが特徴です。Ultrasoneのロゴも含めて外観的にはTioに似ていますね。6.5mmの小口径ダイナミックドライバーを採用しているということで、Shureやゼンハイザーなど小口径の高性能ダイナミックドライバーはちょっと流行りではありますね。
聴いてみましたがUltrasoneらしい音楽性の良さが特徴的で、音にダイナミックらしい暖かみと価格を超えるような深みがあります。楽器の音が明瞭で、音の広がりも良いですね。音的にはやはり今回会場で新製品では価格が似たようなKEFのイヤフォンよりも良くて、Pycoはけっこう欲しくなりました。

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こちらも初披露のゼンハイザーの新製品、モメンタム・オンイヤーです。現行モデルよりかなり小さく見えます。カラバリもきれいで、軽くて可愛い感じですね。これは女子向けとしても良いでしょう。音も現行モデルとは多少異なっているようでした。モデルさんは主催サイトのオトノートもオープンして波に乗ってる福島花乃さんです。

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下は話題のケーブルメーカーのCardasが作ったイヤフォンEM5813です。
価格はやや高く6万前後でフジヤさんでは5万前半くらいということです。ドライバーはダイナミックで音はかなり良かったですね。情報量も豊かですが、音のきつさがないのが良い点で、標準でリケーブルしているようなケーブルのグレードの高さも貢献していると思います。

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下はHifimanのRE600で4極ミニのバランスプラグはTRRSと呼ばれるものでHM901を持っている人にはお勧めです。RE600は音性能も高く、私は開発バージョンを聴いたことがありますが、音も外形もそれよりも進化していました。これも小口径高性能ドライバーですね。

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下はヘッドフォン祭でも開発バージョンの参考展示がありましたフォステクスのTE-05です。これは1万切るくらいと言うエントリー価格の割にはクリアで明瞭感が高い音質とMMCXプラグでリケーブル可能という点がポイント高いです。いつもながらフォステクス(フォスター)はドライバ提供メーカーということもありコストパフォーマンス高いですね。
最終版ということで前に聞いたのよりベースが抑え目でバランスが良くなってると思いました。

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下はJ-phonicのイヤフォンです。J-phonicはゼンザフォニックの社名が変わったそうで、カスタムのゼンザフォニックをあつかって経験を生かしてユニバーサルも作ったということのようです。
デュアBAドライバの構成で価格は39000円くらい、黒がスタンダードの音、赤はそれを柔らかめにしてチューニングを変えているということです。
黒の音は明瞭があって固めで、やはり赤の方が聞きやすい感じでした。黒と赤は価格はおなじということです。

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ONKYOも金曜日に発売されたばかりというHF300を出展していました。これはダイナミックドライバーで、音はバランスよく整った音でした。eonkyoの高品質音源を聞きたくなるような感じです。またケーブルも良いですね。これもMMCXでリケーブル可能です。MMCXが増えてきましたね。

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下はJabenのサプライズ出展のスリムポータブルアンプです。音に広がりがあり制動がすごくきいてる感じで、いかにもバランスっぽい感じです。音はニュートラルでクリア系ですね。聴いた人たちの評判も上々でした。
現在公開可能な情報:
名称はMarverik。光デジタル入力可能でバランス出力可能。バランス端子はRSAタイプの4ピン。デモ用についていたPro Oneイヤフォンはこのデモのために改造したものである。

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下はJaben扱いのPSBというカナダのスピーカーメーカーのヘッドフォンです。だいたい4万くらいになりそうとのことです。音が遠く感じるけど雰囲気感が良い感じで、スピーカーメーカーらしい音の作りかなと思います。

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こちらのクマはJabenの名の由来でJames & Benjyaminです。

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iriver(アユート)ではAK120の新ファームであるDSD再生のデモを行っていました。この新ファームは昨日公開されました。これについては別記事にしています

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Analog squre paperは6万円くらいのTu06というハイブリッドを出していました。ハイブリッドだけと真空管っぽさも残してる温かみがありました。

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完実さんではRATOCさんのバランスポータブルアンプのコンデンサを変えて音を聞いてもらおうというデモをやっていました。なかなかマニアックな試みです。

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**

なお今回からレポ用のカメラがPowershot s95からPowershot G15に変わりました。

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なぜレポ用に一眼レフではなくPoweshotを使うかと言うと、軽いからという他にセンサーサイズが小さいからです。センサーサイズが小さいというのは悪い方に言われることが多いんですが、レンズの焦点距離が小さくて済むのでピントの合う範囲が広く写りますのでこういうレポで便利です。
s95の後継のs110とい手もありますが、フラッシュが使いたいということと(今回は一部で270EXを使用)、あまり小さいとレンズ性能に制約を受けすぎるという理由でG15にしました。Gシリーズは重いというイメージでしたがG15ではわりと軽くなったということもあります。右肩の独立した露出補正ダイヤルもプラスですね。まあ一番の理由は前の日にうっかり中古ページを見てたら安くなってたということですが。
レポのみならず、なかなか一般使用でもよく写ってきれいに撮れるカメラです。

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今回はRWAK100-Sが間に合えば前回のRWAK100みたいにまた持ってくる予定でしたが、残念ながら間に合わず、いま米国からこちらに向かっているところです。

全体の印象としては今回は良いイヤフォンの新製品が目立っていたかなと思います。ヘッドフォンはモメンタム・オンイヤーはありましたが、全体ではいまひとつではあります。ヘッドフォン市場とは言いますが、最近はやはりイヤフォンにフォーカスが来ているように思います。Ultrasoneがイヤフォンに注力してきているのも興味深いですね。
個人的にはフォステクスTE-05とUltrasone Pyco、そしてOnkyoのHF300が価格的にも手頃で音も良いと思いました。また高いですが音的にはCardas EM5813も良かったように思います。全体にダイナミックの復権かと言う気もしますね。

それとシンガポールのJaben主催のヘッドフォンショウの案内も各ブースに行いました。興味のある方はどうぞJaben Japanに連絡してください
私はこれに参加する予定ですので、このヘッドフォンショウと新装なったJabenストアのレポート、シンガポールオーディオ事情などなどそのうちレポートしたいと思います。

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また、今回はあのChrod社の代表ジョン・フランクスが見に来てくれました。アジア巡回の途中でポータブル研究会にも立ち寄ってくれたようです。
私もいろいろとお話ししました。気さくで良い人ですが製品のことに関してはとても熱意と技術への誇りを持って語ってくれたのが印象的でした。会場を回ってポータブル文化にもいたく感心していたようでしたが、これが製品になにか良い影響を与えてくれることを願います!
posted by ささき at 22:50 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月11日

シンガポールのヘッドフォンショウへの出展サービス

フジヤさんのヘッドフォン祭にも毎回やってきておなじみのJabenですが、今度は8月の2-4にわたってJabenが主催してシンガポールでヘッドフォンショウを開催します。
これは"Mook Headphone Festival in Singapore"というものです。場所はシンガポールのコンベンションセンターです。Jaben Networkは現在8カ国・地域に21店舗を持っています。いまでは日本でも日本人の代表者(おおやまさん)がおります。ショウでは展示だけではなく、即売も可能ということです。

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このショウではWilsonさんもぜひ日本のメーカーにも参加いただきたいと言っています。ただ、なかなかシンガポールに出張と言うのもたいへんでしょう。そこでJabenが製品の展示・管理を現地スタッフに頼んでやってもらい保険もかけるというサービスを実施してくれるということです。費用はかかりますが、一日50SGD(4000円くらい)ほどだそうです。3日やってもさほどではないでしょう。
下記Jaben Japanのアナウンスによると手数料は無料で送料だけ負担してほしいということです。
https://www.facebook.com/JabenJapan
もちろん個人規模でも大丈夫です。もしこの出展サービスに興味あれば、ポータブル研究会の当日にJabenブースに立ち寄ってもらい、担当者(おおやまさん)に声をかけてください。Jaben経由でデモ機をむこうに送ってもらえると思います。
私に声をかけてもらってもかまいませんので紹介いたします。またポタ研参加企業でなくてもかまいませんし、イベントに間に合えばいいと思います。この辺はJaban Japanのおおやまさんに相談してください。
Jaben JapanのFacebookページはこちらです。
https://www.facebook.com/JabenJapan

シンガポールはアジアのハブとして機能している国です。私も一度行ったことがあります。(下記ホームページ)
http://www.asahi-net.or.jp/~eg3y-ssk/photo/tstar/singapore2004/index.htm
治安も生活レベルも良いですね、というか日本より上かと感心することもしばしば。この当時でバスにTVがついてタクシーは全車GPS付きでした。国が小さいので政府の統制がとりやすいようです。食事は安くうまいです。

Jabenは世界中にとても広いネットワークをもっていますので、特に日本以外の拡大するアジア市場に打って出たいというメーカーさんにはお勧めです。ぜひ世界雄飛を考えている人にはチャンスだと思いますので参加をお勧めします。次回以降はシンガポール以外での開催ともなるようですので、それもよい機会でしょう。
日本製品はそれだけでアドバンテージがあります。私がシンガポールにいったときに帰りにお菓子の土産を買おうとしたら、なにやら現地製なのにカタカナとか意味不明の日本語が書いてある商品がいくつか目につきました。聞いてみると、日本語らしい言葉がかいてあるとそれだけで高級な印象があるとのこと。世界各国でどの国が革新的、とアンケートをとったら欧州各国での一番は日本だったということもあります。
それだけ日本製品は支持されていますし、期待もされてます。ぜひこのヘッドフォン分野でも日本製品を世界に出したいと言う人は応募してみてください !
posted by ささき at 20:51 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月18日

ドイツ・ハイエンドショウ2013から

ヘッドフォンショウの熱気も覚めやりませんが、先週は地球の裏側のドイツではハイエンドショウが開催されていました。海外のサイトから注目機種などあげてみます。

まず今回一番目を引いたのはGrimm Audioのブースです。
http://www.audiostream.com/content/grimm-audio-ls1s-trendspotting
Grimm Audioはプロのスタジオ機器のメーカーで、Channel Classicsのところで触れましたがDSD対応 ADCが知られています。このスピーカーもスタジオモニター的なものだと思いますが、これは面白いことにスピーカーにあのBruno Putzeys(iQubeとか)のハイペックスのアンプモジュールを搭載してアクティブとして使用してスピーカー同志はイーサネットで接続するというものです。(どちらかがマスターとなる)
Grimm Audioがコンシューマー向けの展示をするというのも面白いのですが、もっと注目はこの参考出展されたDSD対応USB DACです! 待ってましたという感じです。
http://my-hiend.com/leoyeh/2013b/IMG_3515ss.jpg
最近DSDイベントの準備やっててChannel ClassicsのDSD音源を聴き比べてたけど、やっぱりGrimmのADC使った音源はあきらかに他より滑らかでいわゆるアナログ的な良さがあります。このDAC版があればなあ、と思ってましたがいよいよ現実になりそうです。形からプロ機材的ではありますが、DSD関連では一番の注目機種ですね。Grimmの動向に注目したいところです。

DSD対応DACというとこのナグラのDACも面白いところ。ナグラがDSDを扱うDACを出すというのも面白いですが、このデジタル部分はPlaybackのコッチ先生が設計してアナログ部分の担当がナグラということ。
http://www.audiostream.com/content/nagras-new-dac
DSD自体はハイエンドショウを通した話題でもあり、多くのメーカーのところには"DSD is coming soon"と書かれていたそうです。

DSD関連ではフランスのレーベルQuobuzでもDSD配信をするということです。これは普通のダウンロードの話ですが、QuobuzはSpotifyと並んでストリーミングでも有名なところです。
http://www.audiostream.com/content/qobuz-0
ストリーミングと言えばやはり今週行われたGoogleのカンファレンスでGoogleのストリーミングサービスが発表されアップルの先手を打ちました。日本はあいかわらず蚊帳の外ですが、このへんにも注目したいところです。ただ以前紹介したようなOraStreamのように高品質ストリーミング配信という点も進めていただきたいところですが。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/274617721.html

ヘッドフォンショウではBMCをアンプに使ってHM901のデモをしましたが、そのときにBMCの濃密でかっちり芯のある音がいいなあと思っていました。そこで注目なのはこのBMCのPureDACというDAC+ヘッドフォンアンプです。これはなんと4pinのバランス駆動も可能なヘッドフォンアンプを備えています。$1600という価格も良いですね。
http://www.audiostream.com/content/bmc-puredac

こちらはスーパーコンピューターかよというOpera Onlyパワーアンプです。なんとピーク出力16万ワットというもの。RMS 6万ワットですが、これ記事にも注釈がありますがスペックの60.000 wattというのは60ワットではなく、6万ワットです。これは欧州では日米と違ってピリオドがコンマの意味だからです。念のため。
とはいえこれただのシンボル的に作ったそうです。
http://www.audiostream.com/content/opera-only

ヘッドフォン関係ではErzetich Audioのヘッドフォンアンプが紹介されていました。東欧スロベニアの製品だそうです。ちっょとバーソンを思わせる感じ。
http://www.innerfidelity.com/content/2013-munich-high-end-show-erzetich-audio-headphone-amplifiers
BacillusについてはHeadFiにレビューがちらっと出てますね。小さくて安くてがっちりして音も良いという感じでしょうか。
http://www.head-fi.org/products/erzetich-bacillus-headphone-amplifier/reviews/8064

こちらはHIfiMan総帥のFangです。Fangはこちらに出ていてヘッドフォンショウには来られなかったので私が日本の皆さんに当てたメッセージを読みました。
http://www.innerfidelity.com/content/2013-munich-high-end-show-hifiman-re-400-and-re-600
ハイエンドショウではRE600やRE400も積極的に展示していたようです。日本では901で手いっぱいでしたが、こちらももっと展示するべきだったかも。

AK120も注目機種として紹介されています。
http://www.innerfidelity.com/content/2013-munich-high-end-show-astellkern-ak120-high-resolution-portable-audio-player
iBassoが最近発表したDX50ははじめはDX100の下位機種としてES9023など使うのかなあと思ってましたが、情報が出てみるとWM8740を使用してコンパクトでAndroidなしと、DX100の下位機種というよりもAK100の対抗馬のような機種でした。出力インピーダンスを明記しているところもAK100を意識してますね。
http://www.ibasso.com/en/news/show.asp?ID=116
この分野も切磋琢磨しながらますます成長していきそうです。
posted by ささき at 07:58 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月12日

ヘッドフォン祭2013春

今年のヘッドフォン祭は私はいろいろとイベントがあったので、レポートというのはできないんですが「それぞれのヘッドフォン祭」ということでちょっと書いてみます。

朝は8時くらいからシステムの準備と10Fで使うスピーカーのセッティングなどやってました。席のどこでもそれなりに音が聴けるようにしないといけませんからね。これはHM901のラインアウトからBMCのプリアンプとパワーアンプ(プリとパワーはBMC独自の電流増幅接続)を使いELACのフロアスタンドスピーカーを鳴らすという堂々としたデモです。ハイレゾDAPの能力を示すショウケースともいえます。

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その他いろいろが終わると会場を少し見て回ります。
さっそくJHAのJerry Harveyに会いに行き、2ショット写真など撮りました。タトゥーなんか見るとこわおもてに思いますが、実際は気さくなとてもいい感じの人です。

タイムロードさんのEdition 12はEdition 10とは色違いだけではなく振動版もゴールドプレーテッドで異なっているようです。
聴いてみるとEdition 10のきつさが緩和されて良い感じになっているようです。

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こちらはiFIのUSBケーブルGEMINIです。二口というだけではなく途中三カ所にフィルタがついていてなかなか半端ないケーブルになっています。iFiもさすがですね。

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こちらはフォステクスのTE-05です。1万前後でダイナミックのアルミ削り出し、MMCXコネクタでリケーブル可能という面白いもの。音ははじめFADあたりを思わせましたがベースもどっと出ますね。ただしこの辺はまだ調整中とのこと。

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こちらはヘッドフォン祭で一番驚いたかも。あのHeadFiでも人気のフォナックのイヤフォンPFEシリーズがJabenから販売されていました。実はこれずいぶん前にもヘッドフォン祭に誘おうとしたんですがだめだったもの。今回はいろいろと経緯があるようで今後の展開はけっこう面白そうです。安価なPFE012が有名ですが、ハイエンドのPFE232もSE535とかWeston4対抗としてよく挙げられますね。

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そうこうしているうちに午前は11:00からのiriver AK120発表会です。この中ではAK120の新機能としてDSD再生とUSB DAC対応がアナウンスされました。ただどちらも詳細については良くわかりません。

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この中で5分ほどAK120についてコメントを述べさせてもらいました。こちらはしゃべった通りではないかもしれませんが、こんな感じでしゃべりましたという内容を書き起こしたものです。

「一週間ほどAK120のデモ機を借りて使用してみました。AK120という名前からはマイナーチェンジのようにも思えます。実際に外観はこのようにキープコンセプトでコンパクトであり、操作性も良いところは100に対しての120というところですが、中身の音に関してはAK200でもよかったんじゃないかということです。今回の大きなポイントは音質という点にあると思います。
レコーディング現場でのコメントという点ではさきに原田さんなどのコメントがありましたが、私の方からはオーディオ的な立場で少し解説してみます。
普通こういうiPhone(とiPhoneをみせる)のようなプレーヤーのオーディオはカスタムICで統合されてワンチップで入っています。つまり大量生産ですね。
一方で(AK120を見せて)こうしたオーディオに特化したハイレゾデジタルオーディオプレーヤーはDACと呼ばれるデジタル音源を音楽信号に変える部分と、アンプと呼ばれる音楽信号を増幅してイヤフォンを駆動する部分の二つに分かれます。今回のAK120はその二つにそれぞれ改良がなされています。
まずDACがデュアルDACとなりました。つまり左右をそれぞれ独立して担当することで音質を高めるということです。DACに使われるIC自体はAK100と同じですが、この効果は予想以上に大きかったと思います。左右独立という点から想像できる音の立体感も際立っていますが、いままでひとつのチップで2つのことをやっていたのを1つのことで済むわけですから、性能も上がります。解像力など音楽の細部の鮮やかさもAK100から大きく向上しています。AK100と同じ曲を聴いていても感動が違います。
もうひとつのアンプ部分の改良は出力インピーダンスが低くなったということです。前は22オームあったのが3オームとなりました。ここは説明がむずかしいのですが、この値が低いとダンピングという駆動力が高くなります。ユーザーではここを不満に思う人が多く、世界のあちこちで改造品が作られたりしました。今回はこれが改良されて特に低域の再現力に違いがあります。
しかしこれはiriverも知らなかったわけではなく、iriverほどの国際的な企業になると各国の安全対策のためにやっていたというわけです。しかし今回はユーザーの声を聴いてくれました。無視する企業も多いのですがこの姿勢は良いですね。また日本からのリクエストにも特に聴いてくれた気がします。そうした意味では日本のユーザーが育てたといっても良いでしょう。
一方でサイズは前と同じくらいコンパクトで、多少大きくなりましたがしばらく使っているとサイズが大きくなったことは忘れる程度だと思います。このように外から見るとキープコンセプトのAK120で、中がAK200と言えるほど変わったというのは理想的な形と言えると思います。
AK100シリーズの良さっていうのはだれもが使える高性能DAPを目指したところだと思います。その点でハイレゾ時代のiPodのようなスタンダードな存在になりうる可能性を持っていると思います。
AK120は今回のDSDとかUSB DACなどさらに深化しています。アユートさんというPCに強いところでこれらの機能を活かして可能性をさらに広げてもらいたいと思います。」


AK120はいま製品版も試聴していますが、バーンインはそれなりに必要ですね。2-3日もすると磨かれてきます。この辺も小型ながらいかにも本格オーディオ的なところです。


午後はHifiMan HM901のイベントを行いました。今回は世界中のHifiManスタッフが集まりました。アメリカからは欧米マーケティング担当のDoug Leavy、台湾からはアジアパシフィック担当のRichard Yeh、中国からも本社サポートスタッフが来ました。ただだれも日本語が話せないので私が通訳など手助けしました。スクリプトなどは彼らが持ってきたものを使用しました。
二回とも満席ということでありがとうございました、二回目は音が出ないトラブルがありましたが、すみませんでした。
流れとしてはDougがHM901の機能紹介を行い、逐次私が翻訳して(多少自分的に補足しながら)進めます。次にRichardが用意してきたスクリプトを読みながらHM901の特徴に沿ってスピーカーでデモをします。
とても小さなDAPから出ていた音とは思えないような再現力があったと思います。
最後に今回は来られなかったHifiManの総帥Fang Bien氏からのメッセージを読み上げました。こちらは下に再録します。

「日本のHifimanファンのみなさま
この青葉豊かな五月にふたたび皆様とお会いできて光栄に思います。残念ながら私自身は参加することができませんでしたが、我々のスタッフが製品版のHM901とRE600を持参しました。
お待たせしましたが、大きな改良を重ね納得の行く素晴らしいものに仕上がりましたので待つだけの価値はあったと思います。この期間我々は音質追求のためだけに時間を費やしました。
ここに集まっているすべての方にお礼を言いたいと思います。また日本スタッフにはHifiスピーカーでHM901の可能性を引き出す機会を準備していただきありがとうございました。
これからもHifimanをご愛顧お願いします。
代表 Fang Bien」


それとアンプカードの種類を紹介しましたが、アンプカードには標準のアンプカードの次にはバランス駆動アンプカードが出て、それ以後は開発中で予定となりますがHM801と同じようにマルチウエイBAイヤフォン向けのアンプカード、あるいは平面駆動向けのものも出るかもしれません。ここはまだ未定のようです。
今回デモで使用したHM901をメディア用に貸し出しできますので、トップウイングさんに連絡お願いします。
しかしデモで使用したBMCのアンプはとても濃密で芯があり良かったですね。

今回のヘッドフォン祭はこういう感じで忙しかったのでほとんど展示は見られませんでしたが、人気があったのはSE846とパルテールでしょうか。SE846は整理券を発行するほどで、パルテールは長蛇の列ができていました。新時代のイヤフォンに対する期待も大きいということですね、

HeadFi系で見せてもらったのはこのタイのAK100改造モデルで、RWAK100と同様の抵抗カットと結線の高品質化をしています。あとピアノフォルテに特化したとあるのが面白いところ。

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またHeadFi経由で某国ブランドからアンダーテーブルでハイエンドイヤフォンをちょっと見せてもらいました。あまり詳細は言えませんが、プロトタイプを聞かせてもらったところ音がイヤフォンにしては豊かな音が印象的でした。こちらは次のヘッドフォン祭に登場するかもしれません。

HeadFiチームのインプレッションは下記スレッドで始まっています。
http://www.head-fi.org/t/663501/tokyo-fujiya-avic-spring-may-2013-impressions

次はまたHeadFi関係もけっこう来日を予定している人もいるようでまた今回以上にすばらしいショウとなることを期待しています !
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2013年04月12日

春のヘッドフォン祭2013まで一ヶ月

いよいよ今年も恒例の春のヘッドフォン祭まで一ヶ月となりヘッドフォン祭のページがオープンされました。
下記にフジヤさんの案内ページがあります。

http://www.fujiya-avic.jp/user_data/headphone_fes.php

http://www.fujiya-avic.jp/blog/?p=9271&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

イベントのページを開くと分かりますが、今回は私は午後のHM901のデモで参加します。
ちなみにHM901デモの詳細は来日チームと協議で決めて行きますけど、ドックと901を組み合わせてハイエンドスピーカーシステムで鳴らすというデモは取り入れる予定です。
これは特製のラインアウトケーブルを使って、今回とは別なところで試験的に既にやってみたんですが、素晴らしい音でしたね。ハイエンドスピーカー機材に負けないように立派に鳴らしてた点がポイントで、901のDAC部分が優れていることが分かりやすいと思います。興味ある方は必聴だと思います。会場は10Fの予定ですのでどうぞ視聴ください。
他にも私が関係する予定はありますが、まだ公開前ですので伏せておきます。ちなみに今回の私関連で呼ぶ外国勢はJabenのみの予定です。

今回もけっこう見どころあるヘッドフォン祭となると思いますのでぜひ来場ください!
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2013年02月10日

ポータブル研究会 2013レポート

フジヤさんのポータブル研究会イベントに行ってきました。ヘッドフォン祭よりも小さなイベントですが出展は豊作という感じでなかなか盛り上がりました。下記は開場前の様子です。
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以下面白かったのをカテゴリー別に紹介します。

* Androidデジタル対応DAC内蔵ポータブルアンプ

iPod/iPhoneデジタル対応DAC内蔵アンプはFostexやSonyなど幾つか出ていますが、今回はAndroidからデジタルで受けられるタイプのDAC内蔵アンプが出てきました。注目はその方法ですね。

ADL X1
X1は多機能なポータブルアンプで、iPhone、Android(Galaxy S3など)からのデジタル入力に対応して、光出力まで備えています。AndroidはUSB Mini-Bにつなぐということです。

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PCから入力する時もAndroidと同じようにUSB Mini Bにいれます。旬のESS ES9023を採用してるようでハイレゾ対応でクリアかつ精細な音も良かったですね。iOSデジタルはその隣のUSB Aに接続します。またイヤフォンのリモコンもiPhone/Walkman両方対応しているというなんでもありの多機能ですね。

X1の背面をみるとわかりやすいと思いますが、iPhoneデジタル接続はX1側がAなのでiPhoneはデバイスとしてアクセサリープロトコルでデジタル信号を取り出しているが、AndroidはX1側がBなのでアクセサリープロトコルではなく、Galaxy S3で有効化しているUSBクラスドライバーを使用していると思います(つまりAndroid側がホストなので4.0が必要です)。だからPC入力も同じプラグに接続するわけですね。

Xduoo XP1
これはWilsonがエクスデュオーと呼んでいましたが、中国製の新製品ポータブルアンプです。XP-1は特にAndroidと組み合わせることをうたっています。DAC内蔵のポータブルアンプでDACはWM8740ですが、USBレシーバーとしてPCM2706を使用して44/16での接続を考慮しています。アンプ部もOPA627ということで強力ですね。

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これもXP-1側はUSB(micro)Bになってるのがわかると思います。また下の付属品のケーブルを見ると両端がUSB BになっているのでUSB OTGケーブルとして機能していますね。これもADL X1と同じくAndroidと言ってもGalaxy S3など一部機種で有効化されているUSBオーディオドライバーを使用していることがうかがえます。

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Androidからデジタルオーディオ出力を取り出すには二種類の方法があります。AndroidのUSBオーディオドライバーを有効化する方法と4.1で導入されたアクセサリープロトコルを使う方法です。前に書いた下記記事を参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/281978580.html
X1、XP1とも前者を採用してUSB OTGケーブルでUSB B - USB Bの接続を採用してるということでしょうね。アクセサリープロトコルならばiPodデジタルアウト(こちらもアクセサリープロトコル)のようにアンプ側はUSB Aになるはずだと思います。実際にネットのレビューを読むとxDuoo XP-1ではiPadにカメラコネクションキットを使用しても使うことができるようです。これも前者と同じということを示唆していますね。
ただしAndroid対応といっても前者だと使用できる機種が限られます。これもXP-1、X1両方ともGalaxy S3など一部機種の動作確認とされているようです。
Androidアクセサリープロトコルを使用してデジタルオーディオ信号を取り出す方法をサポートしているのは4.1のときに作られたarduinoリファレンスキットだけというのもさびしい話ではありますが、こちらはDAC側に対応が必要となります。

なおxDuooは後述のXD-1も含めてJabenで取り扱うと思います。こちらのJabenリンクをご覧ください。
http://jaben.net/forums/index.php?topic=24517.0

* AK100関連

人気のハイレゾプレーヤーであるAK100も関連のデモがいくつかありました。

RWAK100(改造AK100)
まず手前味噌ですが、Red Wine Audioの改造RWAK100で、フジヤさんのブースで展示してもらいました(告知が行き届きませんで私に直接聞かれた方も多くすみませんでした)。
評判を聞いてみたところ、けっこう人気でショウの後に帰ったらすぐ送るって言ってた人もいたそうです。

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xDuoo XD-01 + AK100
AK100の組み合わせでなかなかよかったのは上でも書いたxDuooのXD-1です。こちらは光入力により192k/24までデジタル入力で再生可能ということで、AK100の光出力と組み合わせると素晴らしい音質で再生ができました。

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DACチップはAK100本体と同じWM8740ですが、シーラスロジックのCS8422でASRCを行ってジッター低減をさせています。これはColorfly C4と同じですね。ASRC(非同期型サンプルレートコンバーター)はBenchmark DAC1やDigital LinkIIIでも行われている微妙にリサンプリングをしながらジッターを低減させる方式です。またこれにより192kへのアップサンプリングも可能としています(ASRCとアップサンプリングはたいていセットです)。これと強力なアンプ部があるのでトータルでは音質を向上させることが出るというわけです。AK100用のポータブルアンプとして好適ですね。

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短めの光ケーブル(角->丸)も付属しているので買ってすぐにAK100とのデジタルセットが楽しめるのも良いところです。また同軸とUSBでのデジタル入力にも対応しています。

iQube V3 + AK100
下記はタイムロードブースのAK100とiQubeの光デジタルシステムです。v3ならば光入力がついていますのでiQube v3をお持ちの方にはまずこれがお勧めです。やはり音がだいぶグレードアップしますね。

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このほかにもマウスコンピューターのブースではAK100のカラバリを展示していました(写真失念)。カラーはレッドが人気があったようでした。

* バランス駆動アンプ

CEntrance HiFi-M8
ようやく実機が聴けたHiFi-M8ですが、今回は開発に専念してヘッドフォン祭にやってこなかった開発者のマイケルさんもミックスウェーブのブースに来ておりました。

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ヘッドフォン出力は三種類のパネル交換でオプションで変えることができるようです。下記写真のように3ピンXLRx2、4pinXLR、標準プラグとRSA方式バランスの3種類が用意されているようです。HM901のようなTRSSバランスもほしかったかも。

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音はLCD2で聴くとホームアンプみたいに厚みがあって密度感のある本格的なものでした。鳴らしにくいLCD2でこれだけの音が出るならホームアンプとして買っても良いかもしれませんね。また逆に高感度のUE18でも試してみまたしが、まったくノイズが聴こえないすごくノイズフロアが低いのが確認できました。さすがこの辺はCEntranceの面目躍如たるところです、
機能としてはハイブースト、ローブーストは効き目も派手ではないオーディファイル向けの味付けで、他にもゲインとインピーダンス、またiOSデジタル入力となんでもありの多機能な面もあります。これも楽しみですね。

Jabenの音松アンプとベイヤーT1/T5p改造ヘッドフォン
これはベイヤーのT1またはT5Pとケーブルを交換してバランス改造したものと、音松アンプというオーロラサウンドの出しているキットをベースに特にこのベイヤー改造ヘッドフォンに合わせてチューニングをしたもののセットです。DACは内蔵していないので、これにDACportをつけて20数万円でネット限定販売予定とか(ヘッドフォンはT1かT5pのどちらかです)。この組み合わせだとお得感もあります。

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手持ちのiPhoneにコネクタつけて試聴したんですが、iPhoneから出た音とは思えないくらい豊かで厚みのある本格的な音が出てきました。このT1/T5pのケーブル改造だけでも別物という感じで、自分のT5pを持っていた人が試聴したら、やはりもう全然別ものって驚いてました。

* 真空管ポータブル

こちらは最近は海外でも話題のアナログ・スクエア・ペーパー(A2P)のブースです。
http://www.analog2p.com/index.html

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手前の黒いのは私も持ってるTu05でこちらはなんと全段真空管のフルチューブ・ポータブルアンプです。前は電圧を昇圧するところでノイズが少し出てヒスってんですが、こちらはいまでは改良されていて以前よりノイズが減りました。現状のものではカスタムIEMでも大丈夫です。これはまさにいかにも真空管という柔らかさ滑らかさが堪能できます。向こうのものは新製品のハイブリッドの06です。こちらはより小型に安価になるということです。ケースにも凝っていて趣味性の高さもアピールしているところが良いですね。

フォステクスの真空管ハイブリッド HP-V1

こちらはフォステクスの隠し玉、真空管ハイブリッドのポータブルアンプです。ピュアアナログ設計にこだわったポータブルアンプということでオリジナルのフィルムコンデンサを使ったところもポイントということです。また前後にアナログ入力を付けているというのも面白いところ。デザインはまた少し変わるかもしれないということでした。

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HP-P1からのアナログアウトを受けてTH-600で聴いてみましたが、ものすごく柔らかいというわけではなく、強く真空管を主張するというより、モニター的なHP-P1に対してアナログ然とした古風なアンプという感じです。HP-P1だと音が少し乾いた感じがするという人には良いのではないかと思います。

* イヤフォン・ヘッドフォン

Aedle VK-1 ヴァルキリー
http://www.aedle.net/
昨年発表されたデザインに優れたフランス製のヘッドフォンです。私も実はプリオーダーしておりますが、トップウイングさんによって国内販売される予定だそうです。

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本体は軽くて思ったよりも華奢な感じです。デザインだけではなく音も悪くないですね。いわばコンシューマー向けサウンドで、暖かみがあって中低域にウォーム感がある感じですね。ヴォーカルは甘くてよかったです。これはFocalのSpirit oneと良い比較になりそう。

Jaben Pro1
シングルBAのイヤフォンで一万円くらいと安価な製品です。三月発売とのこと。

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中高域のクリアな抜けの良さが気持ち良く、ベースは抑えめです。価格的には良いですね。

怪しいE2c改造イヤフォン
開場で見つけた怪しいE2c改造イヤフォンです。E2cのダイナミックドライバをそのままにBAドライバをチップマウントしたというもの。作った人はこの辺から推測できるかも。

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音もネタにしてはけっこう良かったですね。まじめにほしかったりして。

* その他

iFIのUSB機器
http://www.ifi-audio.com/en/iUSB.html
こちらはUSB DACとUSBクリーン電源などのシステムです。最近海外ではちらほら見るようになってきました。iFI自体は新興ブランドですが、ヨーロッパの大手企業がバックについている新展開製品群ということのようです。こちらは後で詳しくかけるかもしれません。

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ヘッドフォンブックの英語版
これは私も書いているところの日本で出いるヘッドフォンブックを英語に完訳したものです。これは2012年版をベースにした準備稿のサンプルです。海外では日本製品だけではなく日本の評論家の意見も尊重されるということで完訳という形になったようです。下のように私の書いたページも翻訳されていますね。

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これはJabenがプロデュースしていて、なんと付録にJabenのアンプがつきます。価格は$45くらいになりそうということですが、まだ未定です。二週間後くらいにHeadphone mook companyと言うところから出るということです。翻訳はアイリッシュ音楽の専門家でオーディオにも造詣が深い翻訳家の大島さんが翻訳したうえでネイティブプルーフもやってますので完璧です。日本のみなさまも日本語版と両方合わせて英語の勉強にどうぞ!


ポタ研は今回は700名くらいは来てたんでしょうか。けっこう入っていましたね。初期の中野時代のヘッドフォン祭を思い出しました。はじめから終わりまでずっといるという熱心な人も多く熱気にあふれ、ユーザー同士のコミュニケーションの場でもあり、まだ学生という若い人たちもたくさん来て、オーディオ業界の希望を体現したものという気もしました。別にオーディオ産業が斜陽になったわけではなく、ユーザーが求めるものを提供するならばユーザーはやってくるということではないかと思います。
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2013年01月28日

ポタ研2013冬開催

きたる2/9にはフジヤエービック主催のイベント、ポータブルオーディオ研究会、2013冬を開催するそうです。
https://www.fujiya-avic.jp/event/potaken2013_winter/
前回フル真空管ポータブルアンプを持ち込んだANALOG SQUARED PAPERさんは新作のハイブリッドタイプを持ってくるそうです。
http://www.analog2p.com/tur06/tur.html
あといろいろと興味深いのが出るようですので、ぜひ行って研究したいところですね。

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2012年11月04日

東京インターナショナルオーディオショウ2012

今回は土曜日は入間航空祭の帰り、日曜はバラ園撮影の帰りとあまり時間が取れませんでしたが、ざくっと見たところの感想など。

デモで面白いと思ったのは、毎回趣向をこらしてDSD再生をデモしてくれる今井商事さんのところでのMytekとネットワーク版のHQ Playerを使用したネットワーク透過でDSDネイティブ再生を行うデモです。
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左写真の下の黒いPCがネットワークアダプターと言ってるLinuxPCで、MytekとはFireWireで接続しています。LinuxPCとHQ Playerの送り出しのWin7 PCとはLAN経由でルーターを介して繋がっています。
はじめDoPということで、ネットワーク接続はUSB over TCPかと思いましたが、USB介しないでネットに直で出してるので通常のRTSPなどのストリーミングプロトコルのようですね(分かりませんけど)。
HQ Playerはネットワークバージョンを使用して、送り先は右の画像のようにMytekを指定します。DSD設定はDoPを使います。DoPは旧dCS方式とか標準1.0の時はUSBベースの規格だったんですけど、1.1になってからUSBが名称からも取れて汎用のプロトコルに対応してるようです。
DoPでのネットワーク透過のDSDネイティブ再生については実際にやってもらいました。Mytek側できちんとDSDでロックしてました。USBでDoPのDSDネイティブ再生での接続とも比較してもらいましたが、音も異なります。こちらのHQ PlayerのページのNetwork Adapterという項に解説があります。
http://www.signalyst.com/consumer.html
ネットワークアダプターと呼んでるサーバーの基本ソフトはUSBメモリにいれ、それをUSBブートで動作させてるようでした。

次に面白いと思ったのはステラヴォックスのブースからワイヤレスでハイレゾ伝送が可能なDEVIALETのD-Premier Airです。これは新製品ではないのですが、ワイヤレス熱の高まりから注目しておくべきかと思います。
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D-Premier AirはAudioEngine D2のような2.4G帯独自技術ではなく、普通に802.11nの無線LAN使ってるようで、システムはMac(またはWindowsPC) 〜 無線ルーター 〜 D-Premier Airとなります。MacとD-Premierを直でつなぎたい時はアドホック設定をすると可能だそうです。
D-Premier Air側の設定はまずMacで設定ソフトを立ち上げてルーターアドレスなどの設定ファイルを書き出してSDカードに保存し、それをD-Premier Airの背面のSDスロットに入れます(上左の画像)。D-Premier Airはそれを読み出してLAN接続します。
Macには送信用の独自ソフトをインストールして、iTunesで再生すると無線LANでストリーミングするということです(上右の画像)。これでハイレゾ音源を無線LANでワイヤレス再生することができます。
DynaudioのXeoなども含めて、ワイヤレスオーディオも単に便利さというところから脱却しようとしているように思えますね。

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こちらはタイムロードさんのブースで、角田さんがAprilの主にEximus S-1について解説してる講演です。S-1については角田さんの一押しだそうで、下記のリンクに私も記事を書いています。端正な音で制動感高くライドーオーディオのスピーカーを鳴らしてました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/290470926.html
講演ではApril Musicの創始者のサイモンリーさんが登場して挨拶をしましたが、「音楽を愛する人たちに求めやすい価格のオーディオ製品を提供したい」ということでした。

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私はスピーカーではDynaudio(25周年モデル)のユーザーなので、Dynaudioのブースにも必ず立ち寄るんですが、DynaudioのトップモデルEvidenceの新型Platinumをデモしてました。世界初の公開だそうですが、巨大なスピーカーなのにスピーカーが消えたように音が宙空に浮き上がる空間表現はさすがです。

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こちらも世界初公開というYGアコースティックのSonjaもちょっと感心しました。航空機グレードアルミ削りだしのドライバーを使用しているということで、音もしっかりした揺るぎない芯の強さを感じる音でした。

今回は午前中はばら苑撮りにSigma DP2 Merrillを持って行ってそのままオーディオショウに行ったので、少しDP2 Merrillでもオーディオ機器を試しに撮ってみました。こうしたショウの撮影にはあまり向いているわけではないんですが、画質的にはなかなかすごいものがありますね、やはり。
以下はSigma DP2 Merrillで撮ったものです。

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posted by ささき at 21:37 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする