Music TO GO!

2016年01月30日

Roon補足2: 音楽ライブラリの見せ方について

Roonの魅力の一つは自分の音楽ライブラリをとてもわかりやすく管理してくれることです。普通のソフトウエアでもタグから読んでそれを表示したり、ソートするくらいはやりますが、Roonでは音源の管理がかなり徹底的に突き詰められていることも特徴の一つです。それが端的に表れるのがクラシック音楽だと思います。

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Roonではさまざまなジャンルを単にソートするだけではなく、視覚的に整列し、情報をネットから取り出して加えてわかりやすく見せなおしてくれます。これらはすべて私のライブラリに入っているクラシック音楽の音源ですが、情報はすべてタグに含まれているものだけではありません。Roonの持つクラウドデータベースによって情報が補完されます。

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たとえばチューブラーベルズがクラシックに入っていますが、これは私がタグにClassicalと入れているわけではなく、タグにはRockまたはProg-Rockって入れているのですが、上の画面を見るとわかるようにRoonのデータベースにはチューブラーベルズがClassicalを含めてさまざまな分類がなされています。そこでクラシックにも入っているというわけです。

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また、さらにクラシックをクリックすると下にアバンギャルドやオーケストラものなどさまざまなサブジャンルが構築されています。これらも私がタグで入れたりリッピングの時にCDDBから取ったものではなく、Roonが用意しているものです。

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さらにオーケストラものをクリックすると上のようにそのジャンルがクローズアップされます。アーティストハイライトにロンドンシンフォニーオーケストラ(LSO)がまず来ているところがワタシのライブラリらしいという話もありますが、ここではベルトの3番(上画像の下段の一番右)をクリックします。

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アルバム表示では指揮者、作曲者、演奏者がきちんと分かれて表示されます。この辺もクラシックには他のジャンルにない必要性があるところです。また交響曲では楽章ごとに分かれてグループ化されて表示されます。
ここで交響曲3番を見ると2 Performanceとありますが、これは私のライブラリに二つ、この交響曲3番があることを示しています。

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ここで交響曲3番をクリックすると、上のようにその詳細な解説とともに自分のライブラリにある他のアルバムも表示されます。

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そうして交響曲3番を含むほかのアルバムをこうしてすぐに見つけ出すことができます。
このようにRoonは音楽プレーヤーという枠を超えて音楽の多様な楽しみ方を見つけさせてくれます。自分の持つライブラリが増えるほどそれは多彩になりますし、ストリーミングのように多くの曲を扱えるようになるとさらに世界が広がるように思います。この辺もRoonの大きな特徴です。
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2016年01月26日

Roonのさまざまな名称についての整理

いまRoonではRoonSpeakersの名称変更を検討中と書きましたが、その過程で全体的な名称整理の書き込みが昨日のRoon labs COOの書いた記事にありました。
決定稿ではありませんが、Roonもボトムアップ文化で名称はいろんな使い方をされてるので、暫定案ではありますが整理のため転記しておきます。

まずControl Apps / Core / Outputs(Endpoint)という分け方ですが、必ずしも明確なモジュールに分かれているわけでもないようです。下記で書くCoreあり、Coreなしは実際にバイナリがあるかないかというより有効無効といったほうが良いかもしれません。
ただコンセプトとしてはいままで書いた説明と同じです。

- Roon labsのソフトウェアの名称

Roon (オールインワン)
* 基本的なRoon、通常のPCにインストールするもの、ライブラリ含む(coreあり)

RoonRemote (Control App + Outputs (もしあれば))
* Coreなしの2台目以降のPCやタブレット

RoonServer (Core + Outputs)
* RoonServerとは首なしでリソース消費を軽く作った常駐版です。ラズベリーパイなんかは作るとするとこれになるでしょう。

RoonBridge (Outputs)
* RoonReady機器のための「ファームウエア」相当だと思います。

- メーカー提供の出力機器側の名称
(例えばAuralic Ariesとか、認定USB DACなどでしょう)

RoonReady Audio devices (Networked output devices, RAATを実装したもの)

Roon Certified USB devices (Roon上で動作が確認できたUSB機器)

- メーカー提供のサーバー機器(Roon coreが搭載されているもの、Outputも装備可能)
(SOtMのsMS-1000 SQなどのことだと思います)

Roon Core Certified Devices (Roon 側もこの機材のことを気に留めて将来の更新も行う)

Roon Core Capable Devices (Roonが今は動作するが、将来的にはわからないもの。
例えばARM, Intel Atom, J1900 ベースのデバイス)

この辺の機器アップデートはAndroidっぽい感じがします。ある意味「オーディオ機器のOS」みたいなのがRoonと言うこともできるかもしれません。

これらはまだ確定したわけではないので念のため。
posted by ささき at 07:52 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月24日

RoonとuPnP(DLNA)の違い、Roonの優位性、RAATの必然性

Roonをネットワークに発展させたいときは、DLNAとの違いがわかればシステムをどう組むかが分かりやすいでしょう。
前記事でRoon開発者はuPnP(DLNA)機器に批判的と書きましたが、そこに注目するとDLNAとの違い、それに対してのRoonの良いところも分かってくると思います。

* uPnPとRoonの違い

その理由はまずuPnPではエンドポイント(DLNAレンダラー)で音源の読み込み(ファイルのデコード)が必要であることです。このためレンダラーに開発も含めて負担がかかるわけです。
RoonではHQ Playerのシグナルパスを見てもわかるようにCoreが音源の読み込みを一括で行い、ゾーン(エンドポイント)へはデジタルストリームとして渡されます。つまりはFLACだのMP3だのはすべてRoonが扱ってくれます。
ですからRoonReady/RoonSpeakersのプロトコルであるRAATにおいてはサポートするフォーマットという項目はありません。Roon(Core)がDRMや独自形式なども含めてすべてデコードすることを前提にしているからです。これはオーディオ機器側のファームアップデートも最小にし、特許問題なども負担がかかりにくいことになります。
またuPnPではストリーミングの独自形式の対応に弱いことも、Roonでは上と同様にCoreで統合して扱うことができます(たとえばTidal)。
またこのCoreでRadioや信号処理などを統括して提供することができます。

そしてRoon開発者はuPnPに批判的な大きな理由として、uPnPはユーザーにとって優しくない(ユーザーエクスペリエンスが良くない)と言う点をあげています。ユーザーエクスペリエンスというのはユーザーから見た使い勝手、操作しやすさ・快適性のようなことです。ちなみにこれは専門用語というわけでもなく、かつてのWindows XPのXPはエクスペリエンス(が良い)という意味です。
なぜかというと、uPnP(DLNA)はユーザーエクスペリエンスのクリエイターによるものではなく、エンドポイントメーカー(ネットワークオーディオ機器メーカー)による、メーカーのためのものであるからということで、彼らが言うには今まで良いものは見たことがなく、売る側もそう思っていながらメーカーに押し付けられたものを扱わざるを得ないとまで言ってますね。DLNAに対してはなかなか強い調子で批判しています。表面的に飾ってもブレイン(つまりCore)がなければ根本的に変わらないと言うのが彼らの主張のようです。

* AirPlayの長所短所、ユーザーエクスペリエンス本位とは

OpenHomeも仕組みが同じようなものであるので同じ問題があるが、AirPlayに対しては好意的のようです。これは設計がAppleというユーザーエクスペリエンスクリエイターだからと言いたいのでしょう。
ただしAirPlayはユーザーエクスペリエンスが優れている反面で、DSDが扱えなかったり、クロックが送り手(コンピュータ側)に委ねられる点など、オーディオという観点では弱いと指摘しています。その点についてはクロックが一番優れているオーディオ機器側が主導するべきというわけです。

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AirPlayではシグナルパス品質はLosslessではなくHigh Qualityとなります

* RoonSpeakersとRAAT

ここで出てくるのがRoonSpeakersです。そしてそのベースとなるRAATプロトコルがキーとなります。Roonチームは前に書いたようにすでに経験ある人たちなのでRAATもぽっと出てきたわけではありません。RAATではさきに書いたハイエンドオーディオとしてのクロックの取り扱いやマルチルームでの同期、ユーザーエクスペリエンスを阻害するレイテンシーなどももちろん考慮されています。
そして先に書いたようにCoreが音源を読み込むため、オーディオ機器側が音源に煩わされなくてすむという利点があります。
(ただこれにMQAが加わるかは現時点では明確ではありません)

思うにこのRoonの利点は裏返すとDLNAの利点ともいえるように思います。なぜかというとDLNAのメディアサーバーとレンダラーの間にはクロックの依存関係というのはなく、レンダラーという箱の中でクロックという厄介な問題を閉じ込められます。しかしRoonの場合にはCoreとEndpointの間ではクロックの関係ができてしまいます。ここもCore=DLNAメディアサーバー、Endpoint=DLNAレンダラーと簡単に例えられないところです。
そのためRoonにおいてはネットワークケーブルもUSBケーブルに近いものとなると思います。

実際にRoonではEndpoint(DAC)のクロックをCore(PC)にフィードバックしてできるだけ近くするようにネットワークパケットを使って調整するという手段を使ってるようです。
クロックが送り手と受け手で合わないとサンプル数にズレが生じるので、送り手(PCなど)が勝手に送る限りは受け手のクロックが良くても無駄・音質ロスが生じてしまいます。(送り手が正確に1秒に44000サンプルちょうど送らないから)
そこでRoonSpeakersでは受け手のクロックを送り手にフィードバックすることで、このロスを少なくします。アシンクロナスUSBのフローコントロールをネットワークでやってる感じでしょうか。実際にRoon certified USB DACの場合にはDACからのフィードバックを受けてCoreに反映するようです。
またユーザーにとってはRoonにおいてRAATが前の記事に書いたシグナルパス上で表示されるので、どこで問題が起きてるのか目で見て分かりやすいという利点もあります。これはオーディオ品質でも、トラブルでもそうです。

いわばオーディオ機器メーカー主導のDLNAに対して、ユーザーエクスペリエンス側が提供するのがRoonSpeakersであり、それはAirPlayのようにオーディオ的側面をないがしろにせず、かつ使うユーザー本位のものと言えます。
CESのビデオでもRoonReady(RoonSpeakers)はハイエンドオーディオ向けのAirPlayだと語っていたのはこの辺からなのでしょう。つまりはユーザーエクスペリエンスとオーディオ品質の両立です。

RoonSpeakersを使えばリモートのPrivate zoneでも他から見えるようになるはずですので、Roon自体の制限も緩和できます。
ただしPrivate zoneもただ不便なだけではなく、例えば仕事中に子供に曲を変えられたくない場合はPrivate zoneのあるリモートのPCやタブレットで音楽を聴けばよいわけです。そこはユーザーにとっての使いようですね。

オーディオメーカーから見れば、DLNA対応をするか、Roon対応(Roon Ready)にするか、両方かというのが2016年の選択になると思います。
DLNA対応にするならuPnPを実装することになりますし、Roon対応ならRAAT/RoonSpeakersを実装するということになります。
DAPでもAndroid系ならRoon Readyは可能でしょうし、おそらくはRoon開発者の言うようにラズベリーパイを使ったプラットフォームでも可能になるでしょう。(ラズベリーパイ2をターゲットに考えているようです)


ちなみにRoon ReadyというとDLNAというアライアンスの言葉に近く、RoonSpeakers/RAATというとuPnPに相当する技術的用語に近いと思います。
ソフトウェアを言う時はRoonSpeakers、対応機器(とアライアンス)を言う時はRoonReadyということになると思います。RoonSpeakersはいま名称変更を検討中ということです。
名前というと、"Roon"の名称はいわゆる魔法のルーン文字のルーン(Rune)ではなく開発者がOOと並び文字が好きなので命名したということです。もともとの製品もSooloosでした。

Roonはここに書いたような細かいことを知らなくても、アーティスト情報をクリックで辿ったり、ラジオでながら聞きをしたりと簡単に使えるのですが、こうした細かいところを見ていくと、長所短所も含めてRoonの姿というのがよりよく見えてくるのではないかと思います。それはこれからのネットワークオーディオのあり方を変えていくものかもしれません。
posted by ささき at 22:58 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月23日

Roon補足1 - シグナルパスのオーディオ品質表示について

Roonにおいてシグナルパスのオーディオ品質表示があることは前の記事にも書きましたが、その補足です。

Roonにおいて下の再生バーの曲名表示の右のドットの色はシグナルパスのオーディオ品質を表しています。
表示は以下の3つがあります。
1. 黄色: Low Quality (低品質)
2. 緑: High Quality (高品質)
3. 紫(光る星): Lossless (ロスレス)

それぞれの例を示します。ここではPC上のUSB DAC(Geek Pulse Si)を主な出力先としています。

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上のように音源がCD品質で、出力先がASIOドライバーの時はLossless品質です。

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上のように音源が同じCD品質でもシステム出力の時はHigh Qualityになり、Losslessではありません。これはミキサーを通しているからだと思います。

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もうひとつの品質が落ちる例は、上のようにAudio LevelingやCrossfeedなどの機能を使用した時です。RoonではゾーンごとにAudio Leveling(いわゆるリプレイゲイン、音量の均一化)とCrossfeed(ヘッドフォン用のクロスフィード)が指定できます。この場合はやはり信号処理をしますのでCD品質音源でもHigh Qualityとなります。

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上のようにASIOドライバーに出していても、音源がMP3のときはLow Qualityです。

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上の例はDSDネイティブ再生で、DSFのDSD128音源をDoPでASIO出力しています。品質はLosslessです。

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上の例は同じDSF音源ですが、意図的にPCM変換にしてDACに出力しています。そのため品質はHigh Qualityに落ちています。ここではDSD⇒PCMとPCM705kHzをDACが入力できる352kHzに落とすため二回変換しています。(ちなみに705kとか352kの数値はRoonが自動算出したものです)
ですからLosslessはビットパーフェクトと言い換えてもよいと思います。

Roonは音楽再生プレーヤーとしての音質についてもわりと良いと思います。たとえばJRMCと比べてもRoonのほうが透明感が高いように感じますね。さらに上を目指す時は先の記事のようにHQ Playerと組み合わせればよいわけです。

はじめはデモだけにする予定だったのが、いろいろやっていたら気に入ってきたので私もRoonをメインに据えようかと考えています。多少割高ですが、他のプレーヤーでもメジャーチェンジの時は課金されるのでそれを考えると一年変わらずというのは却ってよいかもしれません。
posted by ささき at 19:43 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月22日

Roon応用編1 - HQ Playerの使用とシグナルパス

今回は前回のRoonの解説記事で説明できなかった応用的な解説です。
まずHQ PlayerのRoonでの使用とRoonでのシグナルパス(データの流れ)について解説します。

先に書いたようにRoonではHQ Playerを併用することができます。音源管理に優れたRoonと再生に優れたHQ Playerの組み合わせは強力なPCオーディオ環境を提供してくれます。たとえばHQ Playerの高精度なアップサンプリング機能を使用することができます。

使用方法は簡単です。今回はWindows PCで説明します。Win PCにRoonをインストールします。
私の場合はさきにMac miniにRoon Coreを使っているので、Mac miniのCore(ライブラリ)の無効化をしました。Win PCをリモート(Coreレス)とする場合は不要ですが単体で使うため行いました。Core(ライブラリ)は一つという原則を思い出してください。

まずPCにHQ Playerをインストールしておきます(3.12.0以上が必要です)。Roonと同じPCでかまいません。

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そしてRoonのAudio Setupを選択し、Add Network DeviceでHQ Playerを追加します。これはHQ Playerのゾーンとなります。アドレスはlocalhostを指定すると同一PC上であることを示しています。

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そしてRoonの出力先でHQ Playerゾーンを指定します。
HQ Playerを立ち上げて、単体でも再生できるようにHQ player側のセットアップをしてください。

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HQ Playerの画面、Songの項にRoonと出ます

あとは再生はRoon側で行います。
Roonで曲を再生するとHQ Playerの方ではSong:Roonと表示され、オーディオデータがRoonからHQ Playerに渡されて再生が始まります。HQ Playerの音質とデジタル処理が有効になります。

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上の画面でオーディオデータの流れを確認してみましょう。
曲名の右にある星のアイコンを押すとシグナルパスが表示され、現在の再生品質(ロスレスなど)が表示されます。たとえば上の図ではソース音源が44/16のALACであり、出力先がHQ Playerストリーミングであることを示しています。その先はSignal leaves Roon(信号がRoonを離れる)と表示されていることでもわかるようにRoonを離れてHQ Playerにデータストリームが渡され、HQ PlayerではTPDFデジタルフィルターを適用して176kHzにアップサンプリングしていることがわかります。全体の品質はロスレスです。

またこの図からもうひとつわかることは、音源ファイルの読み込みはRoon側(Leave Roonの前)で行われるので、ある音源の形式をHQ Playerがサポートしていなくても、Roonでサポートしている音源ならばHQ Playerで再生できることを示しています(Roonフォーラムでもこのことは明記されています)。

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ちなみにこの星アイコンは音源の品質を表しています。
たとえばMP3音源だと上のようにLow Qualityと表示されます。MP3をアップサンプリングしてもロスレスレベルの音質にはならないと示しています。

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上ではDSDネイティブ再生の例を示します。
ここでDSD128音源を再生し、DoPでエンコードし、Geek PulseにASIOドライバーを通してDSDが渡されているのがわかります。(この例ではHQ Playerを通す意味がないのでRoon単体で使用しています)

* 補足:ゾーンとは

Roonでは出力先をゾーンという概念で表します。
このゾーンはいくつかの種類別に分けられ、同じ種類であれば「グループ化・リンク」してシンクロナイズした同時再生が可能です。これも制限があります。
現在のゾーンの種類は次の通りです。

1. システム出力/PCI/USBデバイス - グループ化できません
現在グループ化できるように更新中のようです
2. AirPlayゾーン - グループ化できます
3. Meridianゾーン - これはMeridianのネットワークオーディオ機器のためのものです(Roonの母体はSooloosなので) - グループ化できます
このほかにRoonSpeakers(RoonReady機器)が加わると思います。

また、前記事に書いたように、リモート(coreのないPC、タブレット)のゾーンはPrivate Zoneと呼ばれて制限があります。
posted by ささき at 21:17 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月17日

オーディオファイル向けミュージックプレーヤー (20) - Roon、そしてRoonReadyとは

CES 2016が終了しましたが、そこでのキーワードにMQA Ready、Roon Readyがよく聞かれました。MQA Readyはさきの記事でも書きましたが、DAC・オーディオ機器側でMQAのデコードができるものを差しています。次のRoon Readyは端的にいうとRoon対応機器のことですが、Roon Readyとはどういうものかを説明するためには少々文字数が必要です。

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前に書いたように私も初めはRoonはAudirvanaのようなソフトウエア技術でオーディオ音質を高めるという方向性のソフトウエアではないので、ちょっと興味の対象外でしたが、そろそろ私もRoonを避けてられなくなってきたのでデモ版を使って少し調べてみました。
おくればせながら、と言ってもRoon自体昨年デビューしたばかりの新しいソフトウエアです。なぜここまで業界を席巻できたのでしょうか?

* Roonとはなにか

まずRoonとはなにかというと、Roon Labsが開発したWindows PCまたはMac用の音楽再生ソフトウエアです。もともとSooloosというミュージックサーバーの開発者が、いったんMeridianに買収されて、最近またRoon Labsとして独立したという経緯で出てきたものです。公式デビューは2015年のミュンヘンハイエンドです。
価格はサブスクリプションモデルを採用していて、年間使用ライセンスが$119/年です。一回課金だけの終生ライセンスは$499と高めです。2週間の無料デモができます(デモでもクレジット登録が必要です)。

Roonはユーザーから見るとiTunesの高性能版にみえる音楽再生プレーヤーソフトです。しかし、中に入ってみると、その実態はMPDにより近いものであると言えます。つまりクライアント・サーバーモデルです。
Roonは外からは一つに見えますが、内部的に大きく分けて3つのモジュールから構成されます。CoreとClient(コントロール)とEndpointです。Coreはライブラリ管理を行い、Clientで画面操作した再生をEndpointにデータを送ります。EndpointはUSB DACなど出力デバイスとつながっています。
なんとなくこれらがネットワーク上に分散されればネットワークオーディオシステムになりそうだと気が付かれるかもしれません。それは間違っていないのですが、そこで早飲み込みするのは禁物です。これがRoonReadyにもつながっていきます。

Roonでは単一のライブラリがキーとなっています。そのためRoonでもっとも重要なものはライブラリをつかさどるCoreです。ライセンスもCore単位になっています。あるユーザーのRoonのシステム(ネットワークも含めて)に置かれるCoreは一つというのがRoonの原則です。それゆえに単一のライブラリが保証されます。

この辺からDLNAモデルとは少しずつ離れていくと思います。DLNAを知っている人なら、なんとなくClientをDLNAコントロールポイント、EndpointをDLNAレンダラーそしてCoreをDLNAメディアサーバーに例えたくなりますが、DLNAならライブラリはメディアサーバー単位になっています。
RoonにおいてはNASはライブラリ(Core)のあるPCにNFSやSMBでネットワークマウントしておきます。またRoonではオーディオデータの転送にDLNAの核となるuPnPではなく独自プロトコルを採用しています。

ここからはインストールして使いながら解説していきます。

* Roonのインストールと使用

RoonのPC/Mac版はRoon Labsのホームページからダウンロードします。ホームページはこちらです。
https://roonlabs.com/

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タブレットの場合はApple storeやGoogle Playからダウンロードします。無料で二週間使用できますが、はじめにクレジット情報を登録しておく必要があります。このままだと二週間後に自動的に課金に移るので、デモだけの時はRoonアカウントのMembershipタブからその前にキャンセルをします。

私はHugoが接続されたMac miniを使いました。また同一ネット内にAirPlayデバイスとしてCompanion Oneがあります。

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上のChoose your library画面がまずポイントなのですが、はじめにRoonをインストールするときにこのPC/Macにライブラリを置くか、リモートかと聞かれます。この時にライブラリを選択するとこのマシンにClientとCoreとEndpointがインストールされます。ユーザーは意識する必要はありません。あとで説明しますが、このときにライブラリをおくPCは他からリモートで操作したくなるメインマシンにしてください。

二台目のPC/Macならばリモートしか選択できません。このリモートの場合はClientとEndpointがインストールされます。いまではiPadとAndroidにもリモートが用意されています。
さきほど書いたようにあるRoonシステム内にはライブラリ=Coreはひとつのみですが、リモートはいくつあっても構いません。課金もされません。

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Tidalのインテグレーションもできますが、日本では使えませんので省略します。ただここもRoonの魅力の一つです。

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音源の場所を指定します。追加もできます。NASはここでRoonが認識できるようにNFSかSMBでマウントしておく必要があると思います。

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すぐ立ち上がってライブラリスキャンが始まります。
スタートというかホーム画面はこんな感じです。お勧めアーティストなどが出ていますね。

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またRoonの優れた点の一つは保存している音源からアーティスト情報を手繰りだすことで、たとえばジャンルだけでなく、アーティストリンクからロリーナ・マッキニットの情報が出てきます。ライブ情報とか、説明など、この写真も私のMacではなくネットから取ってきています。もうこんな年齢なのですね。

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アルバム画面をクリックして、曲名を選べばすぐに再生できます。この辺はiTunesとさほど変わりありません。ただし再生先を指定する必要があります。Roonではゾーン(Zone)という概念で再生先を指定します。Audio Settingで選べます。

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上画面のようにデバイスには詳細設定でexclusive(hog),インテジャーモード、DSDネイティヴ再生の指定も行えます。高音質プレーヤーの機能も一通りそろっていると言えます。

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Roonの優れた点はAirPlayとUSB DACのように異なるゾーン(再生先)に別な曲を同時に再生できることです。上ではHugoとCompanion Oneで別々の曲を再生しています。

* Roonリモート、Private Zone

ここまではそれほどむずかしくないのですが、Roonのポイントはここからです。このRoonシステムにリモートを加えてネットワークに拡張します。

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タブレットでもRoon Remoteというアプリを使うことでMac miniをリモートコントロールできます。これはもう一つのMac/PCにChoose Libraryでリモートとしてインストールしても同じです。上はGoogle PlayのAndroid用です。これをNexus9にインストールします。

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タブレットでも表示される画面デザインはPC/Macと同じでユーザーは使いやすいでしょう。

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ここで注意して欲しいのがタブレット(remote)のAudio設定を開けると、上の画面のようにこのタブレットのオーディオ出力もEndpoint(ゾーン)として設定出てきます。これはPrivate Zoneと呼ばれます。大事なので太字で書きました。これがRoonの注意点です。

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上画面のようにMac miniのゾーンがタブレットから見えていますね。
ここでタブレットでHugoのゾーンを出力先として操作すると先のMac miniのHugoから音が出せます。これがおなじみリモコン的使用法です。

Roonの優れた点はこのタブレット上でタブレットの出力先を指定するとタブレットでMac miniの音源を再生できます。そしてMac miniでは別の曲を再生できます。
つまりこれは単なるコントローラではなくRoonのコピーと言えます(ただしCoreはない)。ネットワーク上のRoonのコピーが単一のCoreの持つライブラリを共有して音楽を別々に再生できるわけです。たとえばMac miniではスピーカーでリスニングルームにクラシックを流しながら、別の部屋ではタブレットでヘッドフォンでロックを聴けます。どちらもCoreの統括する同一のライブラリです。

ただし一つ制限があります。それがPrivate zoneです。
リモート(coreのないコピー)のインストールされたデバイス(PC/Mac/タブレット)の出力先ゾーンはPrivate zoneと呼ばれて他のデバイスからアクセスできません。例えばNexus9からはMac miniのHugoは見えますが、Mac miniからNexus9の出力先(ゾーン=private zone)は見えません。もうひとつiPadを加えても、Nexus9の出力先は見えません。

* Roon Readyとは

Nexus9ならまあいいかと思うかもしれませんが、これが立派なDACを持ったネットワークミュージックサーバー(Endpoint)を入れたらどうなるでしょう?Mac miniから操作したいですよね。しかしやはりそれはCoreがないのでremoteになり、private zoneなのでアクセスできなくなってしまいます。
(AirPlayはMac miniに接続されたゾーンなのでPrivateではなくどこからも見えます)

もうひとつの例があります。これはRoonフォーラムでもFAQだと思いますが、たとえば家にPC1(ライブラリCore)-HugoとPC2(リモート)-Hugo TT、iPad(リモート)を設置した場合、やはりiPadとPC1からPC2の接続機器は見えません。これはPC2がPrivate Zoneだからです。ならばPC2をCoreにすればどうかというとiPadからHugo TTは見えますが、今度はPC1がリモートになるのでHugoが見えなくなります。

これはやはり不便です。そこでそれを可能にしたRoonSperkersというソフトウエアが開発されました。このRoonSpeakersをリモートにインストールするとPrivate ZoneのDACなども他からアクセスできるようになります。このRoonSperkersを実現するためのプロトコルがRAAT(Roon Advanced Audio Transport)です。これはRoonの独自プロトコルで、レイテンシー、バッファリング、クロックオーナー、クロックドリフト、サンプルレート・周波数ネゴシエーションなどが盛り込まれています。(384kHz,DSDも可能です)

このRoonSpeakersがインストールされてRoon対応されたネットワーク機器がRoonReadyと呼ばれています。つまりRoonSpeakersが入ったどこからでもアクセスできるEndpointのミュージックサーバーなどがRoonReady機器です。またRoonReadyは単に機材だけではなく、広くパートナーシップも含めた言い方でもあります。
* 2016/1/24:初出と少し表現を変えました。ソフトウェアとしてのRoonSpeakersの名称変更はまだということです。

独自プロトコルを採用した理由は開発者がみずからRoonフォーラムでDLNAやOpenHomeのようなpullモデルはユーザーエクスペリエンスが良くないと書いてますので、ここはあえてDLNAとは異なるものにしていると考えられます。

* Roonのこれから

Roon対応機器というのはRoonReadyだけではなくRoon Certifiedというのもあります。これは主にUSB DACに対してのもので、Roonと組み合わせて問題なく再生ができるという証明をDACをRoon Labsに送って得るものです。対して先に書いたようにRoonReadyはネットワークオーディオデバイスに対してのものです。(ただPCにRoonリモートをインストールしてUSB DACを接続した場合、それにRoonSpeakersをインストールすればRoonReadyになると思いますが、そこまではわかりません)
この辺はDarkoがインタビューしています。
http://www.digitalaudioreview.net/2016/01/what-the-gosh-darn-heck-is-roon-ready/
インタビューの中で開発者がRoonReadyは(簡単さと音質の両立という点で)ハイエンドオーディオ向けのAirPlayみたいなものだと言っていますね。またいままでのネットワークオーディオではIPアドレス設定だのライブラリがあちこちにあるだのmessy(ごちゃごちゃしている)という言葉をよく使っているので、なるべくシンプルにしたい、ユーザーエクスペリエンスをあげたいという気持ちが開発者にあることがこのインタビューからもわかります。
DarkoもRoonのよいところは電源が落ちた時に立ち上げなおしてきちんと元のDAC選択が戻っているとか、聞いてた曲の位置が戻ってるとかそういう細かいユーザー本位のところが良いと語っています。

Roonはこれからのソフトウエアで、CoreをPC/Macではなくミュージックサーバーに載せるという試みも行われています。それがこの記事にもあるSOtMのsMS-1000 SQです。これはミュージックサーバーですが、中身はWindowsです。そこでRoonを搭載することでストリーミングにも対応しています。

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また音質面ではと書きましたが、上画面のようにRoonはHQ Playerをインテグレーションする機能があります。これは試していませんが、HQ PlayerのコントロールAPIを使用するようです。

いずれにせよ2016年にはMQA Ready、Roon Readyというキーワードが海外のPCオーディオというかデジタルオーディオ界隈ではよく聞かれることになるでしょう。
すでにAURALiCのAriesのようにRoonReady、MQA Readyを表明する機器も登場しています。
http://www.digitalaudioreview.net/2016/01/auralic-to-add-mqa-roonready-to-aries-at-ces-2016/
CES2016ではいままで勢いのあったネットワークプレーヤーはアナログプレーヤーの熱さに押されてしまう形となりましたが、その生き残りをかけてMQA、ストリーミング(特にTidal)、Roon、ネットワークオーディオというのは統合されて語られることになるのではないかと思います。
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2014年01月24日

BitperfectのDSD再生とハイブリッドDSD形式

Macの音楽再生ソフトであるBitperfectが次期2.0バージョンからDSD再生に対応します。下記Bitperfectリンクに詳細が書かれています。
http://bitperfectsound.blogspot.de/2014/01/dsd-is-coming.html?m=1

興味深い点はiTunesを拡張するタイプのBitperfectがDSDを認識しないiTunesライブラリをどう使ってDSDを格納するか、です。
BitperfectではハイブリッドDSDファイルという形式を提案してます。これは一つのファイルにPCMデータとDSDデータを両方格納するという方式です。これはAppleロスレスファイルにメタデータとしてDSDデータを埋め込むというものです。つまり一つのファイルがPCMとDSDの二つのデータを持つことになります。ただどうやって埋め込むかは書いてませんので、続報待ちではあります。

ちなみに彼らがこの前に試行錯誤した例ではマルチチャンネル形式ファイルのマルチチャンネルトラックに埋め込むっていう方式も考えたそうですが、これはいくつかの機器との相性でうまくいかなかったということです。
同じくiTunesを使用するPure Musicは煩雑なブックマーク方式を使ってDSDファイルを管理してます。またstefツールなどを使ってWAVにDSDをDoPエンコードして埋め込む方式もあります。いずれにしても厄介なものです。
これはiTunesの功罪というか、iTunesの呪縛のようなものではありますが、願わくはAppleがDSDやらFLACをきちんとサポートして欲しいところです。
posted by ささき at 07:58 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月08日

オーディオファイル向けミュージックプレーヤー (19) - Daniel Hertz Master Class

Mac用の高音質ミュージックプレーヤーソフトも一時期のラッシュ以来は新顔が途絶えていましたが、ひさびさに新しいソフトウエアの登場です。しかも開発したのはあのマークレビンソン氏です。それがDaniel Hertz Master Classです。ここでいうマークレビンソンはハーマンブランドではなく、マークレビンソン氏そのひとです。彼のブランドであるDaniel Hertzの製品となります。
こちらにホームページがあります。
http://www.danielhertz.com/index.php/master-class

master_class.jpg

Master Classの特徴は強力なイコライザーをメインに据えている点です。これはデジタル版のCello Audio Paletteとして紹介されています。Daniel Hertzのスピーカーはアクティブクロスオーバーを採用しているのでその辺も関係しているのかもしれません(パッシブ換装も可能)。
そしてもうひとつの特徴はA+という機能で、A+は音をアナログのように滑らかにすると言う機能です。

これを見て思い出すのは以前書いたBurwen BobcatとTone Balancerです。以下の前記事を参照ください。
マークレビンソンとディックバウエンのいま - Burwen Bobcat

A+がBobcatで、Tone BalancerがMaster Classのイコライザに相当すると思います。おそらくこれもバウエン氏との共同での開発なのでしょう。バウエン氏はあのバウエンモジュールを製作した人です。
もともとDaniel HertzのシステムはCDプレーヤーを持たずにPCにBurwen BobcatとTone BalancerをインストールしてUSB DACと組み合わせると言う、当時はとても先進的なシステムでした。これは2005年のことで、オーディオ業界一般に高音質USB DACが認識されるQB-9が2009年ですから、いまのPCオーディオ時代をずっと先取りしていたと言えます。先進過ぎて理解されなかったと思いますが。Bobcatは始めはDaniel Hertzシステムだけで動くようにロックされていましたが、のちに汎用ソフトとして一般にも公開されました。
そのBobcatとTone Balancerのシステムを今風にアレンジし直したのがDaniel Hertz Master Classだと思います。また、前はPCのみだったので、Mac用(のみ)にしたという点もちょっとした変化です。価格は600CHF(スイスフラン)ということで日本円で約7万円とお高いのはDaniel Hertz価格でしょうか。
しかし、この2014年にマークレビンソン氏がソフトウエアの"バウエンモジュール"を採用すると言うのも興味深いことですね。

追記: 1/11
この件についてディックバウエン氏に直接メールして聞いてみましたが、上のBobcatとTone BalancerはMaster Classとは関係ないようです。別の開発元のようですね。
posted by ささき at 22:34 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月10日

HQ Playerがアップグレードで80bit精度に対応

Windows向けの高音質の音楽再生プレーヤーソフト、HQ Playerが最新の3.1.3から拡張倍精度である80bit演算に移行しました。いままでもAurdirvanaなどとともにHQ Playerは率先して内部的に64bitの倍精度演算を採用していたんですが、これでも精度は足りないということでさらに80bitの拡張倍精度を採用しました。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=666099350081529&id=165263336831802

これはDSD256とか768kHzのような処理をする場合に必要か、と質問したところ、そうした高精度の演算を大量に行った時に生じる丸め誤差の蓄積がわずかだけれどもデジタル出力の解析で検知できるからだそうです。つまり理論上の予測値に実際の結果をマッチさせるためとのこと。

ハイエンドオーディオのアナログ回路ではこれでもか、という感じで細かいところも徹底して音質向上を図ってるんですが、ソフトウエアの世界でも同じことというわけですね。
posted by ささき at 07:57 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月21日

ビットパーフェクトより音質はよくなるか? - JPlayの回答より

Audiostreamに面白い記事が乗っています。
http://www.audiostream.com/content/jplay-responds-open-letter
ネットではプレーヤーソフトで音質の差があるか、なんて論議がよく見られますが、いまJPlayがちょっとバッシングにあっているようです。JPlayをインストールしてるとJRMCではサポートしないなんてことも書かれていて、JRMCとfoobarのhydrogenaudioフォーラムが発端のようです。もともとfoobar作った人はプレーヤーで音はよくならないって言ってましたね。

ひとつの争点は簡単に言うとビットパーフェクトより音質がよくなるか?という点です。つまり音源のすべてのデジタル情報が欠落なくDACに伝わっているならば、音質は変わらないのではないかということですね。これについてJPlay開発者から公開の回答文が載っています。

それによるとJPlayでは"Simple is better"をコンピューターオーディオでも重要だと考えている。これはMacOSもWindowsもリアルタイム処理には向いていないからで、すべての時間というものは"best effort exercise"、つまり最善は尽くすが保証はできないというもので、"Guaranteed excusion"、つまり実行が保証されたものではないからであるということです。
*補足するとOSにおけるリアルタイム処理というのは実行が速いという意味よりは、むしろ期待時間内にかならず処理が行えるのを保証するということを示しています

JPlayの人によると、たとえばCD再生というのは32bitの処理を22マイクロセコンドで正確に行うことを規定しているが、これに少しでも遅れれば規定通りではなくなる、つまりコンピューターオーディオではビットパーフェクトだけではなく、タイミングパーフェクトである必要がある。これが多くのDACでジッター性能を宣伝している理由でもあるというわけです。
またここがJPlayの存在理由でもあり、それはタイミングを向上させることです。JPlayがやっていることは、コンピューターの音楽再生に関係ない処理をスローダウンさせ、究極的にはHibernate modeというので多くの処理を止めます。こうして音楽再生に関係ない処理を止めることでタイミングパーフェクトになる下地を作るというわけです。
こうした処理はオーディオファイルが手動でやっていることもありますが、JPlayはさらにコンピューターのタイマー精度(timer resolution)を最大限に向上させます。またJPlayはRAMに音楽データをためてそれをドライバーからアクセスしやすいようにキューに入れるなどの工夫をします。

また、音質が向上しているならばそれを数値化しろと言う人もいるようで、たしかにJPlayは測定的な数値による音質向上は見せられないが、たくさんのオーディオファイルがJPlayの有効性を耳で証明していると答えています。

この件に関連しては以前Audiostreamが開発者インタビューをしているのでそちらも興味深いと思います。うちで取り上げたのは下記リンクです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/286794030.html
posted by ささき at 21:17 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月24日

イヤフォン・ヘッドフォンの最適化を行うiOSアプリ、accudio pro

最近のスマートフォン音楽再生アプリの流行はDirac HDやaudyssey music player、Onkyoアプリに見られるようにイヤフォンの周波数特性をイコライザーで補正して最適な音質に調整する方式です。これによって周波数特性の凸凹を打ち消してより正しい音の再現性を得るというわけです。これをイヤフォンの機種ごとに用意して、それぞれの機種ごとに最適な補正を行います。
今回紹介するaccudioもそうしたiOSアプリです。またDiracやaudyssey music playerとは異なりaccudioではFLACの再生も可能です。FLAC Playerの高品質音源再生とDiracのイヤフォン最適化を同時に実現したアプリと言えます。

* Reference Mode

accudioでは"Reference Mode"がこの最適化を行うモードです。
accudioではたくさんのイヤフォン、ヘッドフォンのプリセットが用意されています。audesseyと違い、馴染みあるイヤフォン・ヘッドフォンが多いのが特徴です。K3003、K701からHD800まで用意されています。

IMG_9578.PNG   IMG_9579.PNG   IMG_9583.PNG

こちらにaccudioが対応しているイヤフォンとヘッドフォンの一覧があります。
http://accudio.goldenears.net/SupportProdList
この中でEQ Adaptabilityというのはこの最適化モードによってどのくらい音質を上げられるかという尺度です。

このGolden Earsという会社はもともと音響機器測定の会社らしく、こうした測定データをたくさん持っているようです。ちなみに他にも同名のアプリがありますが、Golden earsは良い耳という意味です。目が良いという場合はEagle eyesとか言いますね。(Eagles eyesはカールツァイス・テッサータイプレンズの初代のキャッチコピーでした)
下記ページではイヤフォンの特性をどう測定したかについて書いてあります。さまざまな測定機材を使用しています。
http://accudio.goldenears.net/Accudio/325

IMG_9582.PNG

補正の仕方としては周波数特性がフラット・ニュートラルになるように補正していくようです。上のK3003のチャートをみると緑がオリジナルで青が補正後ですから低域はかなり抑え気味であることが見て取れます。ただしピークやディップは意図的に補正しない場合もあるということ。これは聴覚上の問題からということです。

IMG_9593.PNG

上のオーディオテクニカESW10では実際に試してみると、オリジナルに比べて中音域の明瞭感が感じられすっきりとこもり感がなくなり、低域はふくらみが抑えられています。低域の深みはそのままなので、印象はふくらみが消えて明瞭感が上がったことによって、たしかによりフラット、クリア、ニュートラルを考えたHiFiよりの音となりESW10がひとレベル高価になったような気はしますね。ESW10ではけっこうaccudioは効いているように思えます。

IMG_9592.PNG

同じイヤフォン設定が可能なEarPodsでDirac HD、audyssey music playerとaccudioをそれぞれ最適化して再生して比べてみると個人的にはDirac HDが一番好ましいように思えます。これは人の好みによるかもしれません。おそらくDiracは特性がフラットになるようにというよりも聴覚上好ましいように調整しているのではないかと思います。

* Simulation ModeとCustom Mode

IMG_9589.PNG

もうひとつaccudioで他に無いユニークなのは"Simulation Mode"です。これは上のようにK3003であってもER4S「風」に味付けするとか、ESW10をDT770「風」にするというものです。もちろんこれはちょっと遊びの部類ではありますが、音を広げたいときなど訳だったりもします。

またaccudioではReference ModeとSimulation Modeのほかに"Custom Mode"というモードがあり、細かい設定を手動で行うこともできます。

* FLAC再生

IMG_9596.PNG

高音質再生ではiPhoneで使用するいつものiPodライブラリの楽曲と、FLAC Playerのようにアプリローカルに格納するFLACやOGGなどの音源をいっしょにリストで選曲することができます。FLAC/OGGはiTunesのアプリタブからiPhoneに転送します。
上はLINNサイトからダウンロード購入したヘルゲリエンの192/24の音源をそのまま再生しているところです。もちろんダウンサンプリングしていると思いますが、問題なくそのまま再生可能です。

* 多言語ローカルエンコード対応

IMG_9598.PNG

またaccudioのもうひとつの特徴は多言語に対応していて、UNICODEだけではなくたくさんのローカルエンコードのタグ文字列をサポートしているということも挙げられます。

* 購入リンク

accudio proの購入は下記リンクです。
https://itunes.apple.com/jp/app/accudio-pro/id553759905?mt=8
いくつか制限のある無料版accudio freeもあります。
https://itunes.apple.com/jp/app/accudio-free/id551297705?mt=8


posted by ささき at 09:24 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月26日

JRiver Media CenterのMac版がダウンロード可能に

Mac版のJRiver Media Center(JRMC)の動作可能なアルファ版がダウンロードできるようになってます。アルファ版というのはつまりベータ版の前ですから、機能も実装未了が多く、バグもたっぷり残ってるバージョンです。
3月までの制限付きですが試す分には無料で試せます。公的にダウンロードできるようになったのはむこう時間の22日からですが、今週以後はウイークリービルドで毎週最新に変えるとのこと。なおJRMCは動画再生も含めたメディアプレーヤーですが、Mac版の現在はオーディオのみサポートされてるそうです。
Mac版のJRMCはライセンスはWindows版とは別で今購入すると早期割引で$24.95(一月ごとに5$ずつアップして最終的には$49.98になるそう)で購入ができます。
ダウンロードはこちらのリンクです。
http://yabb.jriver.com/interact/index.php?topic=78427.msg533299#msg533299

jrmac-mac1.gif     jrmac-mac2.gif

ダウンロードしてみましたが、実のところけっこう使えます。ボタンがWindowsっぽいところがありますが、これはそのうち修正するとのこと。
設定でWindows版ではWASAPIとかASIOを設定してたところでCoreAudioと書かれているのが新鮮です。
一番確かめたかった自動サンプルレート切り替えはすでに入ってるようです。サンプルレートの違う曲を再生するとAudiMidi設定を自動で合わせてくれるのでビットパーフェクトが成立します。
まだまだ未完成ですが、ちょっと楽しみにしていきたいソフトウエアです。
posted by ささき at 21:13 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月06日

JPlayの1.5バージョンアップと、JRMC/FoobarとJPlayの組み合わせ

Windowsのオーディオ向け音楽再生ソフトであるJPlayを以前の記事で紹介しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/206512899.html
そのJPlayがバージョン1.5に更新されて大きく機能更新しました。基本的にJPlayはStealth PlayerみたいにGUIを持ってないプレーヤーです(でした)。しかし最近のアップデートでJRMC(JRiver Media Player)やFoobarとの組み合わせが可能になっています。また独自のDSDネイティブ再生のためのDoPサポート機能をJPlayが実現しています。実際にはこれまでもいくつかバージョンアップがあって取り入れられていたようですが、1.5はその集大成と安定度向上というところでしょうか。
今回はこのJPlay1.5とJRMC/Foobarの組み合わせ、それを使ったDSDネイティブ再生の方法を紹介します。使いにくいが音質を追求したJPlayと操作性や機能の優れたJRMCとFoobarの組み合わせでWindowsのPCオーディオ再生がグレードアップできます。またJPlayの開発者にいくつか疑問点を直接聞いてみたのでそれも反映させています。


このJRMC/Foobarとの組み合わせにおいて、JPlay自体はプレーヤーソフトからはASIOドライバーとして見えます。しかしASIOをサポートしたDACしか使えないわけではなく、実際に今回の例はASIOではないChord QuteHDを使用します。つまり平たく言うとJPlayがASIO4ALLと同じように機能するようです。

以下にWindows7の例でJPlayの試用版での使い方を書きます。JRMCとFoobarはすでにインストールされているものとします。JRMCは試用版があります。

* JRMCとJPlayの設定
JRMCはv18で英語メニューで説明します。

1. JPlay試用版インストーラをここからダウンロードする
http://jplay.eu/download/
2. ダウンロードしたインストーラをダブルクリックしてインストールする(場所はデフォルトC:\JPLAY\がお勧めとのこと)。リムーバブルディスクへはインストール不可
3. リブートする。JPlayは深いところを変更するのでウイルスチェッカーにインストール動作を感知されることがあります。その場合は一時的にチェッカーを切ってください

asio1.gif     asio2.gif

4. JRMCを立ち上げて‘Tools’メニューから‘Options…’を開けます
5. ‘Output mode’をASIOにしてください
6. ‘Output mode settings…’を開けて‘JPLAY Driver’を選択してください。他の設定は触らなくても良いと思います
7. この後でタスクバーのインジケーターから音符マークのJPlay Settingを開きます
あるいはスタートメニュー内のJPlayからJPlay Settingsを開きます。* この際に音楽再生は停止させなければなりません
8. ‘Playing Via‘の項に使用しているDACのドライバーを指定します。ここではChord QuteHDを選択しています。ここでKSとかWASAPIはFoobarにあるようにWASAPIとKS(Kernel Streaming)を選択できます。主にKSを使用してみましたが、安定していると思います。XtreamモードはKSのみです。

JPlay Settingオプションの説明は下記別項を参照ください、

* JRMCとJPlayでDSDネイティブ再生するには

DSDネイティブ再生の設定には‘Playback Options‘ を開いて‘Bitstreaming’から‘Custom’を選んで、開いたダイアログで‘DSD’をセットしてください。

dsd.gif

ここがポイントなんですが、QuteHDのようにDoP対応DSD DACを使う時でもこの時に‘DoP’ではなく‘DSD’を選んでください。これはDoPを選んでJRMC側で176/24のDoPでエンコードすると信号経路のどこかでDSDを出してるはずなのにPCMが来ているとみなされてしまうからのようです。(ただしDSDとDoPを同時に選ぶのは大丈夫なようです)
DoPへのエンコード(コード化)はJPlay側で行うようです。そしてDSD DACへは最終的にDoPで出力されます。これでQuteHDで白くDSDネイティブ再生のロックがされます。

そうするとDoP以外のKORGなどのASIO対応のDSD DAC-10などでDSDネイティブ再生が使えるかが気になりますが、JPlayの人に聞いてみたところ現在のところはDSD再生はKernel Streamingを使用してDoP対応DSD DACに出力するときのみサポートしているということです。ASIOも安定度などではいいように思いますが、やはりDoPのような標準方式は広くつかわれるのでソフトウエア側のサポートが手厚くなるということですね。
ただテストするDACがないので試せないけど、必要があるならやるということではありました。

* FoobarとJPlayの設定

Foobarの設定は以前書いたQuteHDとFoobarの設定とほぼ同じなのでそちらも参照してください。簡単に言うとそこの記事のASIO4ALLをJPlayに置き換えるようなものです。
またJPlayのインストールは上記JRMCの1,2,3と同じです。

foobar-ASIO.gif

1. FoobarにASIOコンポーネントをインストールしておきます。
2. ‘File’ -> ‘Preferences’ -> ‘Playback’ -> ‘Output‘を開けます
3. ‘ASIO: JPLAY Driver’を選択します
4. この後でJRMCでの7と8と同様にJPlay SettingsからDACのドライバーを選択してください

* FoobarとJPlayでDSDネイティブ再生するには

1. foo_input_sacd.zipをunzipしてASIOProxyInstall.exeを立ち上げてインストールします
2. ‘File’ -> ‘Preferences’ -> ‘Playback’ -> ‘Output‘を開けます
3 ‘ASIO: foo_dsd_asio‘を選択してください
4. ‘Output‘からASIO設定を開けます
5. ‘foo_dsd_asio’をダブルクリックして設定ダイアログを出して、そこで‘JPLAY Driver’を選択してください
6. 設定ダイアログでDSD Playbackを‘ASIO Native’に設定してください(ただしDoPにセットしていてもFoobarでは問題ないようです)

foobar-DSD1.gif     foobar-DSD2.gif

Foobarではfoo_input_dsdiffは外してください。またDSP設定でリサンプラーなどが入らないようにしてください。

ちなみに現在foo_input_sacdの最新は0.6.1でPCM->DSDリアルタイム変換機能がついています。これもけっこう使えます。
PCM->DSD変換機能を使うときはPCM to DSD Methodをnone以外にしてください。

* JPLAYminiの場合の設定(コマンドUI)

1. JPLAYminiを立ち上げる
2. Windows上で曲ファイルを選択してコピーする(右クリックメニューなどで)
3. JPLAYminiのウインドウに戻って、スペースバーを押下する

JPLAYminiで再生できるファイルの種類は以下の通りです。
WAV, AIFF, FLAC, ALAC, DSD(DFF & DSF)

またQobuzやSpotifyのようなストリーミング音楽サービスでも使えるようですが、基本的に日本では使えないので省略します。

* JPlayとStreamerモードについて

JPlay1.5はStreamerモードという機能があります。Streamerというのはオーディオ英語でLINN DSのような日本で言うところのネットワークプレーヤーみたいな機器のことです。
これはたとえばオーディオ専用PCの役割をもったPCと普段使いのPCの両方にJPlayをインストールして、DACなどにはオーディオ専用PCを割り当ててハイバネーションモードを使用し、普段使いPCはいわばコントローラーにするということのようです。これは役割を下記設定のAudio PCで切り替えます。
この分業システムはHQ PlayerのNetwork Audio Adapterと似ているかもしれません。別な言い方をするとLINN DSのような機器がなくても、PC二台とDACとJPlayがあれば似たようなシステムが作れるということです。(ただしDLNAではありません)

* JPlayの設定について

JPlayの設定はタスクバーから音符マークのJPlay Settingを開くか、あるいはスタートメニュー内のJPlayからJPlay Settingsを開きます。この際に音楽再生は停止させなければなりません。
以下オプションの解説です。(試用版の画面)

setting.gif

Playing via: [Kernel Streaming,WASAPI, ASIO] 
ここでは実際に音を出すDACのドライバーを選択します。またWASAPIやKS(Kernel Streaming)などの経路も選択します。

Engine: [River, Beach, Xtream]
ここはJPlayのサウンドエンジンの切り替えで好みで選んでほしいとのことです。XtreamはKernel Streamingとの組み合わせのみ有効でバッファをものすごく使うので再生・停止の遅延がより大きく起こるとのこと。
ちなみにJPlayではいわゆるDSPによる音の変更は行っていません。あくまでビットパーフェクトです。JPlayの開発者の話によると、エンジンの違いはメモリ管理・キャッシュアルゴリズムの違いだということでした。これは"bit-perfect signal can sound different depending on software techniques used"、つまりビットパーフェクトであっても実際に使用されるソフトウエア技術によって音に違いは出てくる、という彼らのポリシーを表現したものということです。たしかに音が違いますね。

Audio PC:
Streamerモードの切り替えです。通常はThis computerでいわばローカル出力です。他にJPlayを搭載しているAudio専用PCがあればそれをLAN内で検知してそれに出力をリダイレクトすることができるので、それをStreamerモードと呼んでいます。

Buffer:
スムーズな音楽再生をしながらかつ最小のサイズを見つけてほしいとのこと。これはPCや出力機器に依存します。CDリッピング音源の場合は1(サンプル)が最小で、この1サンプルのバッファサイズが選択できるというのもJPlayのポイントということです。またハイレゾでは大きめに取ってほしいとのこと。

Bitperfect Volume :[-6dB,-12dB,-18dB,-24dB,-30dB]
「ビットパーフェクト・ボリューム」とはなかなかユニークな機能です。これは音質を劣化させないように-6dB単位で音量を変化できるという機能です。この辺のこだわりはJPlayらしいところです。ただし16bit音源にしか使えません。
これについてはJPlayの開発者に直接聞いてみたんですが、どうやっているかというとまず16bitのデータを24bitに左詰めして、その24bitデータを右にシフトさせます。コンピューターについて知識のある人はここでわかると思いますが、二進数演算においては1bit右シフトさせるのは2で割ることと同じです。-6dBは聴覚上の1/2ですので、これで音量を半分ずつ変化させることができます。24bitに左詰めした時点で下位8bitはヌル(0)ですから右シフトしても16bitのときのデータは欠損なくそのまま保たれます。つまりボリュームを半分にしてもビットパーフェクトでありえますので、ソフトウエア的にボリュームを変化させても音質は変わりません。このため16bitのみ使用できるというわけです。
普通のソフトウエアボリュームが音質を劣化させる可変抵抗ボリュームみたいなものとしたら、こちらは連続ではないけど音質を劣化しないソフトウエアのステップアッテネーターみたいなものともいえるかもしれません。

Bitstream :[native,24,32]
出力するビットの指定。なかには24bitとか32bit固定での出力を要求されるDACがあります。普通はnativeで良いはず。

Polarity: [normal,inverted]
これは極性の変更です。

Throttle: [OFF,ON]
スロットルモードというのはいわゆるPCの最適化モードです。他のプロセスの優先度を下げるというもの。JPlayでは他にハイバネーションモードという画面真っ暗で完全停止のすごいモードがあるんですが、これはあまりに恐ろしいので、そこまでではないけどシステムの最適化を行うというもののようです。ただマウスなどの効きが悪くなるというまだ恐ろしいところはあります。ただウエブ見るくらいだったらONのままでいいのではないかということ。スロットルはONがデフォルトです。
たしかにこの記事を書きながらPhotoshopでスクリーンキャプチャの編集をしてたら妙に動きは鈍くなりました。

Hibernate mode: [OFF,ON]
これがそのハイバネートモードです。これはオーディオ再生に関係ないプロセスはみな切ってしまうようなので恐ろしいです。と、以前の記事で書いたんですが、いつのまにかスロットルモードと分けたことでさらに恐ろしさもグレードアップしているようで、なんと再生・停止はUSBメモリの抜き差し(の割り込み信号)で行うというさらに恐ろしいもの。ただし上で書いたStreamerモードの場合は有効に使えるので、このモードは一台PCのときは使わずに、Streamerモードでのみ使用をお勧めします。PCが一台の時はスロットルモードで良いと思います。

つまりJPlayの使い方としてのベストは二台PCを用意してLANで接続し、両方にJPlayをインストールします。そして片方にDACを接続してハイバネートモードにし、もう一方ではJRMC+JPLayにしてAudio PC設定をもう一台の専用PCにする、というStreamerシステムのようですね。余裕があれば静音PCなどを買ってやってみるのもよいかもしれません。

さらに下記のレジストリーをいじることで設定を細かく変えられます。この辺はJPlayのManualを読んでください...(Packet sizeについては後述)
Computer\HKEY_CURRENT_USER\Software\JPLAY


なおQuteHDのドライバーでは問題ありませんでしたが、NFB11.32のドライバーではKSが使えませんでした(音が出ずにsettingを立ち上げるとJPlayが落ちる)。WASAPIではOKです。これもJPlayの人に聞いてみたんですが、おそらくドライバー側の問題だろうということですが、こういうときはバッファの値を1024にしてみてということで、実際にやってみると確かにそれでKSでも再生ができました。後は面倒ですが少しずつ減らしていくということのようです。


* 試用版と正式版の購入について

上で書いたように設定して、動作するけど音が途切れるというのはお試し版だからです(一分に一回1-2秒の無音部分が入ります)。試用版で気に入ったら、ホームページからPaypalで購入すると、後でメールで購入者の名前でカスタマイズされた(ライセンスされた)インストーラがメールで届きます(軽いから)。いったん試用版をアンインストールして、それをインストールし直します。すると設定画面に名前が入った版が立ち上がり正式版となります。(このときにいったんアンインストールするのでドライバーを再度選び直してください)
ライセンスはその人が使う限り台数や32/64bit OSの制限なく使うことができます。購入時に32/64を選びますが、bothにしておけば良いです。価格は同じ99ユーロです。メジャーバージョンアップでも追加料金は取らないと言ってます。

* JRMC 18とJPlay

JRMCも17から18になりました。これは正式リリース発表があったら書こうと思ってたんですが、18がベータリリースされて改善を進めていくうちにやがてある時点でホームページからのダウンロードリンクが17ではなく18の最新に移る、というひっそりとした移行でした。Mac版はまだ開発中で数週間以内には動作可能なものをなんとかアップできる、というレベルのようです。Mac版は一からMacのために書いているわけではなく、予告されたように多くは共通コードを使っているようです。Windowsとの共通というよりは機種依存しないように書きなおしたということで、Linux版もそのうち出るのかもしれません。
JRMC17から18にバージョンアップすると設定は引き継がれます。v18から使う人はDSD設定は少しわかりやすくなっていると思います。

JPlayはバッファリングしているようで少し遅れて再生されます。DAC64のバッファありみたいな感じです。また止める時にもタイムラグがあります。
追記-> JPlayの開発者にこの記事を見せたらさっそく教えてくれたんですが、上記レジストリのPacket Sizeを小さくするとラグを減らせるということです(2が規定値で0が最小)。実際に減らせますが音に影響あるかもしれないのでこれも好みで選んでほしいということ。(4を選ぶ人もいる)

音質はエンジンにもよりますが上質かつクリアで、やはりJRMCでJPlayを使うと普通にJRMCで排他モードWASAPI経由で鳴らすよりも透明感が高まります。もともとJRMCはWindowsの音楽再生ソフトの中では操作性・機能性では群を抜いて優れていますが、これで音質的にもベストになったかもしれません。
JPlayは以前の開発者インタビューなんかでもメモリ管理と低レベル処理を売りにしていましたが、低レベルのJPlayと高レベルのJRMCがうまく融合した感じです。

JPlayは上級者向けのソフトではありますが、操作性の良いJRMCと組み合わせることで手軽にJRMCの音質も向上できます。WindowsのPCオーディオの音楽再生ではJRMC+JPlayはお勧めです。感覚的にはMacでいうと使い勝手の良いiTunesの再生エンジンをAmarraにして音を良くするという感じです。
ただし価格はJPlay(99ユーロ)+JRMC($49.98)となります。

一方でFoobarは無料で多機能ではありますが、あまり過信できません。例えばFoobarとDSDネイティブ再生で注意してほしいのはDSP設定をまず空にすることです。このときにうっかりリサンプラーを入れたままだとうまく再生できません。この辺はたとえばJRMCならPCMでリサンプラーを入れていてもDSDを検知すると自動的にオーディオパスをダイレクトにしてリサンプラーをよけます。PCMを再生するとまたリサンプラーを戻します。この辺はやはり有料ソフトならではの気配りというか使いやすさではあります。
posted by ささき at 22:37| Comment(2) | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月16日

オーディオファイル向けWindows 8とオーディオファイル向けLinux

もう二年以上も前ですがオーディオファイル向けのOSとしてVoyage MPDの紹介記事を書きました。また最近オーディオファイル向けのOSバリアントが出ていますので紹介します。

* オーディオファイル向けWindows 8 (Audiophile Windows 8)

Computer Audiophileの下記スレッドでオーディオファイル向けのWindows8が紹介・配布されています。
http://www.computeraudiophile.com/f11-software/iso-usb-key-installer-preconfigured-and-stripped-down-audiophile-version-windows-8-pro-including-jriver-and-foobar-14390/

これはWindows 8 proに不要サービスの停止などのいわゆるチューニングをあらかじめ設定しておいたもので、Fedelizer、JRMC18(トライアル)やFoobarなどが入っています。Foobarではなつかしの高性能リサンプルコンポーネント、Secret Rabbit Code Resamplerも入ってますね。これってFoobar 1.0から使えなくなったんですが、自分で通るようにコンパイルし直したんでしょうか。
もちろんインストールするためには正規のWindows 8 proライセンスが必要です。これはアップデートライセンスではなくフルライセンス(いまはDSP版と同じだったはず)が必要です。
またページングをオフにしているので、RAMは最低4GB必要ということです。他のチューニング内容はスレッドを参照ください。
静音PCなんかに入れるのによさそうです。ほぼ専用機なのでJPlayを使うのもよいでしょうね。

入手方法は作成したJohn DoeにPMしてダウンロードリンクを教えてもらってください。ただリンクはとっても遅いです(かといってこの手のサイトは有料オプション取るのは怖い)。またいまの版は場合によってアクティベーションに問題があるようです。作者は改善した版を作るって言ってますのでそれまで待った方が良いかもしれません。ブータブルUSBへの書き方などはスレッドで書かれています。

ちなみにJohn Doeってジョンっていう人の名ではなく、John Doeは日本語で言う名無しの権兵衛という意味の英語表現です。


* オーディオファイル向けLinux (Audiophile Linux)

こちらはLinuxのディストリビューションとしては一般的なMintをベースにしてオーディオ向けのチューニングを施したものです。
http://www.ap-linux.com/

特徴としてはこちらも不要サービスを留めるというチューニングが基本で、リアルタイムカーネル、低レイテンシー(<10ms)、ビットパーフェクトを標榜しています。標準のオーディオプレーヤーソフトはdeafbeef audio playerで、Audaciousなども推奨されていますが、Rhythmbox、Banshee、ExaileなどはDBでリソースを食いすぎるのでやめておけと書いてます。

素っ気ないVoyageとは異なりこちらはXFCEやFluxboxといったデスクトップ環境が立ち上がる環境になっています。入手方法はこちらのサイトのリンクから無料ダウンロードできます。
http://www.ap-linux.com/download/
全体にVoyageみたいに音質に特化するあまり扱いにくいというよりも、扱いやすさを残しつつ音質向上のチューニングもするという折衷的なもののように思います。
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2012年12月20日

Neutron Music Player - Androidの本格的な高音質再生アプリ

Neutron Music PlayerはAndroidの本格的な音楽プレーヤーアプリで、高音質に特化したものです。スマートフォンの音楽再生アプリはどちらかというとデザインとか機能に行きがちですが、こうしたアプローチはAndroid Rockbox以外ではいままでにはありませんでした。内容的にもPCやMacなどの音楽再生プレーヤーに近いような本格的な再生アプリです。というか、HQ Playerなみのかなりマニアックなソフトウエアです。
Walkman ZやiBasso DX100にも使用できます。Walkman Zが一番素晴らしい組み合わせです。
以下の画像はNEONの項のDX100のHardware表示以外はすべてWalkman Z(Android 2.3)でデバッガー(ddms)を利用してスクリーンキャプチャしたものです。DX100も同様にddmsでスクリーンキャプチャしています。

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* Neutron Music Playerの特徴

1 64bit処理

Neutron Music Playerは32/64-bitの切り替え可能なオーディオレンダリングエンジンを採用しています。Aurdivanaなどでうたっているような64bit処理がスマートフォンでも可能となります。
64bit処理と32bit処理の切り替えは設定メニューから動作中に可能です。64bit処理の利点としてはEQやリサンプリングなど計算を伴う信号処理をしたときの計算精度が高い(音質が高い)ということですね。こうした64bit処理やディザ処理には1GHzを超えるスペックのCPUが推奨とされます。

2. NEON対応

Neutron Music PlayerはNEONに対応した別バージョンが用意されている点も特徴的です。普通にGoogle PlayからインストールするとNEON非対応版がインストールされるようです。NEON対応版のダウンロードはNeutronのホームページのDownloadリンクから行います(これはapkインストールになります)。
NEONは大量のデータ処理を効率よく行うものでAdvanced SIMDと呼ばれます。このSIMDというのは一つの命令(Single Instruction)で複数のデータ(Multi Data)を同時に処理する演算器のことです。これはマルチメディア処理に大きな力を発揮します。これ自体は珍しいわけではなくPentiumの昔からMME/SSEとしてプロセッサに入っています。

NEONが使えるかどうかは設定のAudio Hardware画面で確認できます。下記にWalkman ZとiBasso DX100を例示します。CPUの欄を見て、ARMアーキテクチャの隣に+NEONと表示されてあればそのプロセッサではNEON対応しています。VFPはNEONではなく前の規格です。

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ハードウエア表示(左: Walkman Z、右:iBasso DX100)

iBasso DX100のARMプロセッサはNEONに対応してるのでNEONバージョンをインストールできます。上のDX100の画面はNEONバージョンを導入済です。
AudioHardwareのところのVECがNEONになってればNEONバージョンが動作しています。VECはベクタープロセッサーのことでしょう。ベクター演算とは行列演算のことで、SIMD演算器みたいに並列処理できるプロセッサのことです。対して一般的なCPUはスカラープロセッサと言います。
と、いう情報処理講座はともかく、NEONだと25%ほど処理性能を改善できるそうです。DX100のNEONバージョンだとiBasso音楽アプリに対してもなかなか引けを取りません。Android標準のAudioFlingerのAudioTrack APIでオーディオデータを書きだしているので44/16しか対応できないのが残念です。これはiBasso APIを使わないとだめですね。この辺はオープン化してほしいところです。なぜAndroidは標準のAPIを使うと16bitが限界なのかはこちらのRockboxのときに書いた記事をご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/251275779.html

Walkman Zで使われているTegra2は残念ながらNEONに対応していません(Tegra3はNEON対応)。代わりにVFPを使用します。これははじめのVでわかるようにやはりベクター演算機能です。(NEONはVFPの置き換えになります)
一方でこの開発者の弁によると、Tegra作ってるNVIDIAはGPU使ったデータ処理にたけているので、Tegra2でNEONが使われていなくても、他の同クラスARMチップよりは効率よくNeutronに向いているとのこと。ですのでWalkman Zが必ずしもNeutronに向いていないことはないようです。Nexus 7はTegra 3なのでNEON版が使えます(後述)。

NEONとかVFPってスマートフォンを普通に使ってるぶんにはユーザーが意識する必要はありませんが、たかが携帯って言っても現代スマートフォンの中にはこれだけ先進的な機構が入ってるということです。


3. ネイティブコード実行

Neutron Music Playerのもうひとつの特徴はAndroid SDKを使用していないということです。
これはRockboxでも一部そうですが、AndroidのJAVAフレームワークではなく、既存のマルチメディアライブラリをCかなんかで流用しているのだと思います。つまりそれだけ実行は早いということです。これはNeutronの音の良さの大きな理由の一つでしょう。ただし容量は多少かさみます。またNeutronはUI操作や表示がAndroid標準ではなく使いにくいところがありますが、それもSDKを使用していないからのようです。
ソフトウエアの構成としてはAndroid Rockboxアプリに近いですね。もちろん実験的なAndroid Rockboxよりは完成度はずっと高く普通に使えます。また他のOSに移植性も高いでしょう。実際にBlackberry版もあるようですが、もしかするとBlackberryがオリジナルなのかもしれません。

4. 豊富な機能

Neutron Music Playerは機能設定がとても豊富で、ギャップレスやリプレイゲインなどの機能もありますし、クロスフィード、ディザ処理など信号処理系もそろっています。信号処理系を使う時は64bit処理モードにすると良いでしょう。イコライザーもクロスフィードも細かく設定が可能です。イコライザー設定はアルバムごとに設定することが可能です。これは後のノーマライゼーション設定でも使います。

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設定リストとイコライザー、クロスフィード画面

ちなみにクロスフィードとサラウンドは排他関係です。これはクロスフィードはヘッドフォン用でサラウンドはスピーカー用の設定だからということのようですが、Neutronはヘッドフォンだけではなくスピーカー用の機能もいろいろとあるのが特徴です。おそらくAndroid Rockboxみたいになにかの汎用マルチメディアライブラリを使用するということなのかもしれません。

Neutron Music Playerの機能のなかでも面白いのはノーマライゼーションキューという機能です。音が割れるようなオーバーロードする音源ファイルの適正化(ノーマライズ)をバッチ処理で行うことができます。ノーマライズするためにはいったんファイルのなかを解析して最大音量部分を検出しなければならないので、これはリアルタイムではなくバッチ処理で行います。Neutronでは音源ファイルをリサンプリングするのではなく、ファイルは修正しないでイコライザーなどで補正するパラメーターを作成し、さきに書いたイコライザーのアルバム別設定機能を使用して音を変化させるという手法です。

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左はBind EQ設定、右はBind EQを適用した後のノーマライズ設定

まずノーマライズしたいAlbumをどれか選んで長押し、Bind EQを選んでからNormaliseを選択すると曲別にノーマライゼーションをバッチで実行します。(数値が入ってる曲が解析済み)

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左は処理中、右はノーマライズ適用したアルバム

画面はアルバム"12&1 Song"にノーマライズを設定したところです。Unbind EQをすると設定を簡単に解除できます。64bit処理と併用するとクリアさはさほど遜色なく、割れるような曲をスムーズに再生できます。これはちょっと他にない長所ですね。

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設定リストとリサンプリング設定、ノーマライゼーションキューの説明画面(作業中は進展が表示される)

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設定リスト

またリサンプリングもユーザーが変換品質を設定可能です。ここでいうリサンプリングは44kHz以外のサンプリングレート(48とか96)の楽曲を再生するときに44kHzにリサンプルするための設定です。Androidですので出力は44/16固定になります。これはAudio Hatdware表示でも確認できます。前にも書きましたが、iBasso APIのような特殊な仕組みがない限りはAndroidでは44/16が限界です。
よくDAPで24bitファイルや96kHzが再生できたからハイレゾ音源がDAPで再生できたという人がいますが、実際にはiBasso DX100やiriver AK100のようなハイレゾDAP以外ではこうしたOSのボトルネックやDACの制限などで、仮に再生できたとしても実際は44/16に切られるか丸められています。NeutronのResampling設定はその丸めを明示的に行うことができるというものです。


* Neutron Music Playerの音と使用感

再生フォーマットはかなり豊富で有名どころはほとんどカバーしてます。(もちろんDRM付きはサポートしてません)
MP1, MP2, MP3, OGG (Vorbis), FLAC, WMA, WMA Lossless (16-bitのみ), AC3, AAC, M4A, M4B, M4R, MP4, 3GP, 3G2, MOV, ALAC, APE (Monkey's Audio), WV (WavPack), MPC (MusePack), WAV, AU, AIFF, MPG/MPEG (audioのみ), AVI (audioのみ)
以上はホームページから記載

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アルバムアートをダウンロードする機能は付いていません。埋め込まれていれば表示できる。ただアルバムリスト画面ではPowerAmpなどが取ってきた画像を表示しているようですが、再生画面ではそうした画像は表示されません。

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曲の長押しメニュー

アルバムや曲メニューの上で長押しするとその曲をキューに入れるか、プレイリストに入れるかの選択ができます。

音楽ライブラリのスキャン(データベースの再構築)は初回にスキャンするか聞いてきます。手動でやるときはArtistやAlbumの選択のある階層の下にSourceというメニューがあり、そこでRefreshを選択すると再スキャンします。Playlistメニューの長押しでもRefreshできるようです。また実際は自動でもスキャンしているようです。
タグのデータベースだけではなく、フォルダー階層たどれますので、タグ付けされてなくても大丈夫です。

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Androidらしく、Widgetも用意されています。


実際に音を聴いてみるとWalkman ZではPowerAmpなどと比較すると明らかにわかるくらいの透明感と空間表現の向上があります。PowerAmpとMeridianやWinAmpを比べても微々たる音質差しかありませんが、そうした差とは大きく異なります。Rockboxよりもさらにクリアで上質ですね。
PowerAmpとWalkman Zの組み合わせだと音がドライで薄いところがあったので、イコライザーとかトーンでごまかしてたところがありますが、そうすると音がやや曇りがちです。Neutronではクリアでかつ自然で豊かな音が楽しめます。イコライザーは必要な時だけ本来の目的で使えば良いことですし、同時にイコライザーでの音質低下も最小にできるので積極的に使えます(ノーマライズも同様)。

Walkman Z持っている人はその実力を見直すことでしょう。K3003とかFitear togo 334などの高性能イヤフォンと組み合わせると性能の高さを堪能できます。Walkman Z単体でPCオーディオやっているような雰囲気が味わえるのが面白いところです。Neutronでいろいろと設定を変えて、いかにWalkmanのS-Masterのもともと持ってる性能が引き出されるかということですね。
ただMP3などのビットレートの低い音源を再生すると悪さもそのまま出てしまいますので、そうした低ビットレートの音源についてはWalkman付属のソフトで高域補完などDSP処理をして再生した方が良いと思います。

Walkman Fでも使えると思いますが、Android4.0の場合は設定メニューが2.3のようにハードキーでは出ないので、いったん設定アイコンのあるメニュー画面に戻って設定が必要です。
Android WalkmanはもともとAndroid端末してはそれほどスペックが高い方ではないので、もっとハイスペックのスマートフォンならNeutronの性能を引き出せるかもしれませんが、そうしたハイスペックのスマートフォンではWalkman Zのような高度なオーディオハードウエアを搭載していませんから悩ましいところです。

iBasso DX100でも使うことができて、なかなか良い音を聴かせてくれます。さきに書いたようにDX100ではNEON版をインストールしました。DX100の場合はNeutronがiBasso APIをサポートできればもしかすると最強となるかもしれませんが、なんとかしてほしいところです。DX100の兄弟機であるHDP-R10ではGoogle Playが無効化されるそうなのでインストールについてはコメントできません。
Nexus 7ではTegra 3を使用しているのでNEONバージョンを使えます。NEONバージョンのNeutronはなかなか音質も良く感じられます。

それとAndroidのマスターヴォリュームとの連携がうまくないのかそういう仕様なのか、Neutronの再生画面を出してるときにボリュームを上下させると、AndroidのマスターボリュームではなくNeutron内部のゲインが上下するようです。いったん再生画面を閉じてウィジット状態でボリュームを操作するとAndroidのマスターヴォリュームで操作できます。妙に音が小さいという時の原因はこの辺を確認ください。

Neutron Music Playerではスピーカーを使用するシステムも考慮しています。マルチチャンネルも考慮しているのですが、仕様からするとスマートフォン向けというだけではなく、やはり汎用のミュージックプレーヤーライブラリを流用しているように思えます。

Neutron Music PlayerはWalkman ZでDAPがAndroid化した利点を存分に生かせるアプリという感じです。
Neutron Music Playerの購入はGoogle Playから可能です。こちらはGoogle Playのリンクです。無料版もありますので試してみてください。

Neutronは音は良いし機能豊富ですが、UIが分かりにくく使いにくいのが難点です。UIが使いやすいのはSelect! Music Playerなどが最近の新しいのでは良いのではと思います。画面の広いタブレットでカジュアルに使うにはSelect! Music Playerをチェックしてみると良いかもしれません。
下はNexus 7でのSelect! Music Playerです。Select!では波形が表示されるのも面白いところです。
Screenshot_2012-12-19-22-35-18.png
Select! Music Playerのリンクはこちらです
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2012年12月11日

Audirvana Plus 1.4リリース

人気のMac用再生ソフトであるAudirvana Plusの1.4バージョンがリリースされました。
今回の目玉はダイレクトモードの採用です。
screen.gif

ダイレクトモードってすでに入っているのですけれども、ベータ扱いだったんでしょう。もともとダイレクトモードが入るのは1.4からサポートするという予定で、下記の記事でも4月頃にもう書いてますがのびのびになっていました。ダイレクトモードの安定性を見極めるのに時間がかかったんでしょうか。あるいは途中でマウンテンライオンがリリースされたのでそこでも対応に時間がかかったのかもしれません。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/267858777.html

最近仕入れたFusion Drive搭載の新Mac Mini(マウンテンライオン)でさっそく試してみました。
Computer Audiophileでも話題になっていますが、ダイレクトモードなしで聴き比べてもより透明感も増して音質が上がっているように感じられます。また、1.39のダイレクトモードではマウンテンライオン上で不安定なところがありカーネルパニック(Windowsで言うとブルースクリーン)に陥ることがありましたが、1.4では安定度が上がっているようにも思います。ただこの辺はもう少し見てみないとなんとも言えません。
*ちなみにFusion DriveはSSDとHDDをOS上で統合してひとつのボリュームとして使用できるというものです。つまり見た目は単一のドライブですが、使用頻度が高い部分はSSD、あまり使われないものはHDDに置くということでSSDの速度とHDDの容量を両立させています。

私はテスターライセンスを供与してもらってるのでちょっとわかりませんが、たしか1.39からのアップデートは無料で行えたと思います。ぜひお試しください。
こちらはAudirvanaホームページです。
http://audirvana.com/
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2012年12月05日

Kindleアプリの使い方とLearning CoreAudio

日本でもKindleストアが開始され、Amazonから電子書籍の洋書を買うのが簡単になりました。KindleはAmazonのリーダーでなくてもiPadやAndroidのKindleアプリでも閲覧可能です。
この機会に今年米国Kindleストアから"Learning CoreAudio"を買った経験を書いてみようと思います。というかこの記事を夏ころ書こうとして忘れてました。
日本のKindleストアからの購入は検索するとたくさん出てくると思いますのでそちらを参照ください。以下の例は米国Amazonで購入する際の話です。またKindleストアは日本と米国では異なるアカウントに基づくということにご注意ください。(統合にはまた注意が必要です)

* Learning CoreAudio

まずLearning CoreAudioについて説明します。これはMacのCoreAudio解説本の決定版といえます。日本語でもiOSのCoreAudio解説本はあったのですが、MacのCoreAudioを中心に本格的に解説した本はありませんでした。これは実のところ海外でも同じです。Amazon.comのコメント欄を見るとみな4-5☆の高い評価に加えて、いままでいくつもの文書を見なければならなかったけどこれでまとめられるとあります。
この本は2年前くらいからアナウンスされていたのですが、今年春くらいにようやくリリースされて私もKindle版で入手しました。Kindle版は$14.4でした。
ちなみに日本Amazonで紙の本も購入できます。


この本は割と平易でわかりやすく、段階的にCoreAudio APIを使用したプログラミングを解説していきます。はじめに音源ファイルを読んで属性を表示する簡単なHello World的なイントロから解説し、PCMなど音声処理の基本の解説、そして録音・再生・変換とAudioQueを用いた高レベルAPIでオーディオデータを扱うアプリケーションの流れを解説し、さらにAudio Unitなどの細かいAPI解説をします。そしてiOSとの違いやCore MIDIなどの解説があります。
なぜ再生ハードウエアに書きこむときにバッファリングが必要か、というところもノイマンのボトルネックなどコンピュータ工学的観点から説明しているのがちょっと面白いと思います。

ソフトウエア解説本としては例を引きながら章のテーマ別にプログラムを組んでいくという実践的な解説本です。CoreAudio APIを使用したMacのオーディオソフトウエアの基礎を学ぶという感じですね。プログラムに関してはステップバイステップで細かく丁寧に書いてありますが、プログラミングの知識は前提条件です。iOSではObjective-Cの比率が多くなるけど、それはハイレベルフレームワーク(Androidのメディアプレーヤークラスみたいなやつ)が導入されるからであって、CoreAudioの基本はC言語です。またGUIには触れていないのでそこで悩む必要はなくて音声処理に集中できるのも上手な書き方です。

つまり一般のオーディオファンがCoreAudioってなに、というのを知るための本ではありませんが、そうした記事はまあ当ブログなどをご覧ください笑。
CoreAudioってWASAPIとかASIOなどと「音を良くするもの」ってカテゴリでいっしょくたにされるんですが、それらとは別なものです。そもそも「CoreAudioの設定画面」なんてないですし、ユーザーではなくプログラマのためのものです。さらにやる気になればHALも含めてCoreAudioを使わないことも可能です(AudirvanaのDirectモードがそうです)。

とはいえ基本的な解説も多いのでユーザーサイドのオーディオファンでも勉強になることも多いとは思います。たとえばCore Audio File(CAF)の利点としてはタイムテーブルを持っているのでMP3のようにある時間に飛ぶのに計算コストがかからないということや、CAFはすべてのデータフォーマット(CODEC)を入れることのできるファイルフォーマットである、という点からはなぜMastered For iTunesで中間形式にCAFが使われるかというのが分かると思います。

* iPadなどでのKindleの使い方

ここでKindleのiPadなどでの使用を解説します。(私はKindleデバイス自体は持っていません)
KindleはAmazonの電子書籍リーダーで、Kindleには専用のKindleストアがあります。Kindleで読むための電子書籍はKindle Editionと付いていますので確認が必要です。以下、例は米国アカウントにのっとっています。買った時点では米国のみだったからです。(Learning CoreAudioに関しては現在は日本語Kindleストアでも購入可能です)
基本はKindle電子書籍リーダーで読むためのものですが、iOSとAndroidにはKindleアプリがあり、PC/MacにはKindle Cloud readerというウエブベースのリーダーがあります。

まずiPadのKindleアプリを使う例を書きます。注意点はiPadでKindleアプリを使っても直接アプリからAmazonのストアにはつなぐことができないので、購入自体はいったんPC(またはiPadのブラウザ)でAmazon.comで行います。

1. US Amazonにアカウントを作ります(少なくともKindle Editionについては日本のクレジットカードが使用できるようです)
2. iPadのKindleアプリをインストール
3. iPadアプリを立ち上げてUSアカウントでログイン。Kindle機器として認証がされる(5台まで)
4. PC(またはiPadのブラウザ)でAmazon.com(アメリカの方)を開け、Kindle Storeに行く
5. 書籍(Kindle Editionと書いてあるもの)を選び、buyを選ぶと右側に"send to"でiPadの登録名が表示されていることを確認。購入する。
*テストでsampleを送れるので初めての時はやったほうが良い
6. iPadにおいてはアプリの立ち上げ時に同期するので、Kindleを立ち上げていたら終了させる(ホームボタン押すだけではなく終了させるのが確実)
7. iPadのKindleを立ち上げると同期される (Androidは明示的に同期するというメニュー項目がある)
8. iPadのKindleの「端末→本」に入っているはずです

これをiPhoneでも読みたいときはiPhoneでKindleを立ち上げてクラウドを選んでください。すると端末にダウンロードされます。iPadで読んでいて続きをiPhoneで読むときはしおりがクラウドで同期します(同期しないときもしばしば)。AndroidではNexus 7でも試してみましたが、片手で軽くもてる7インチタブレットは電子書籍を読むのにかなり便利です。

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左はiPadのKindleアプリ、右はNexus 7でのKindleアプリです。

米国Kindle Storeで扱っている本は言うまでもなく英語版のみですが、コンピューターをやってる人ならだれでも知ってるオライリーの解説本も買えます。なかでもWhat is HTML5やWhat is ePub3など無料本もゲットできるのでこれを試しにダウンロードしてKindleの使い方を覚えるのも良いでしょう。(サンプルだとクラウド上には置かれないのでこうした無料本はテストに便利です)

IMG_0117.PNG
What is HTML5 (O'Reilly)

実際にKindleの世界は大中小どの端末でも読めるし、同期も取れるのでとても便利で自由です。音楽もそうですけれども、日本のネット世界からアメリカのネット世界にいったとたんにぱっと可能性と自由度がひろがるというのは残念な事実ではありますね。

ただKindleがすべてではないと思います。上のオライリーの話をさらにつづけると、オライリーの本は電子化が進んでいて翻訳版もDRMフリーでePubで入手できますので、まじめに買うときはそちらをお勧めします。電子書籍もkoboだのkindleだのとデバイスやストアではなく、音楽のMP3のようにフォーマットで語れるようになれば普及が進むと思うのですけれども。電子書籍のあり方というのは音楽配信と同様にどうあるべきか、という点から考えていくべきだと思います。
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2012年09月23日

BitPerfectもダイレクトモードを採用へ

CoreAudioをまるっとバイパスしてしまうダイレクトモードはいまのところAudirvana Plusのみ採用していますが、次はBitPerfectもダイレクトモードに対応するようです。名称はダイレクトモードではなく、BitPerfectionというものになるようで鋭意開発中です。
ただPure Musicの人も指摘しているようにダイレクトモードはOSの一部たるCoreAudio、特にドライバーに直接触るHALをバイパスするという性格上カーネルパニック(Windowsでいうブルースクリーン)を起こす可能性があるというのは、Bitperfectの人も指摘しています。この辺ダイレクトモードがどう熟成していくかというのはちょっと注目ではあります。
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2012年08月16日

ソフトウエア開発者の語るプレーヤーソフトの特徴

AudioStreamで面白い連載企画をやっています。
Audirvanaの開発者であるDamienとかDecibelのBoothにインタビューして、プレーヤーソフトウエアを語るという企画で、一回目はiTunesについてでした。ただこれはだいたいiTunesはライブラリとしては優れているが音質はいまひとつである、などだいたいわかる範囲でした。それを受けるという意味もありますが、二回目は開発者が自らのプレーヤーソフトウエアの特徴を語るというものでなかなか面白いものです。その問は「あなたのソフトウエアのどの機能が音質を改善するのか、それはなぜなのか」です。
http://www.audiostream.com/content/media-player-qa-q2-what-are-your-products-most-important-features
また第三回では他方で理解されていないかあまり使われていない機能は、との質問です。以下、二回目と三回目を少し私見を挟めながらまとめてみます。

Amarraでは25年の経験を生かしたSonic Studio Engine (SSE)でもっともアナログ的な音を提供する、信号処理とSSE/コンピュータ間の最適化を重視しているということ、信号処理においてはEQやデジタルボリュームの品質も自信がある、SSEは競合するメモリの管理を最適化することでハードとソフトのやりとりやオーバーヘッドを減らして結果的にノイズを減少させるとのこと。
また、あまり使われていない機能はFLAC変換とEQとのこと。

Audirvanaでは基本的に元の信号に変更を加えないビットパーフェクト再生を64bit処理で行うということ、DACへの最短で排他的なアクセスを行うということでコンピューター由来のジッターなどの影響を低減するということ、メモリー上にDAC形式(integer)で展開しておくことでCPU使用を最小にできるということ、またSystem Optimizerでの最適化やiZotopeも音質向上に寄与するとのこと。この辺はさきに書いたDamienのホワイトペーパーに沿っていますね。
あまり使われていない機能はないけれどもしいて言えばディザボリュームかな、ということ。

BitPerfectでは、特に機能というよりもディスクからDACまで効率のよいステップで実行すること。
使われていない機能というよりもうちは機能は最小限にする主義ですということです。ちなみにBitPerfectって会社になってたんですね。

Decibelではもっとも重要な機能は自動サンプルレート切り替えと最小限の処理で元データに忠実であるとのこと。つまり必要のない限りビットパーフェクトで処理して元のデータには手を加えないということ、また音飛び(glitch)を最小にするためにメモリーに読みこんで再生するなど、ボリュームが必要な場合は64bit処理をするなどなど。基本を忠実に守るという感じでしょうか。
あまり使われていない機能はマルチチャンネルサポートとのこと。今後拡張したいのはライブラリ機能(特に多数のファイルの管理)だそうです。

HQ Playerでは特徴はかなり技術的なことだと前置きして、、RedBook(CD品質)データにいくつもの手段でアップサンプリングを提供すること、特にリンギングを最小にしてストップバンド・アッテネーションを最大にするという組み合わせによりDACがもとの波形を正確に再現できるようにするとのこと。これはデジタルフィルター、アーティファクト(不要生成物)に関するところですね。
また二番目の特徴としてDSD対応DACへのデルタシグマによる出力も書いているのが注目点です。これはつまり現代DACの"native language"だから、としているのがポイントですね。これは計算処理を必要とするのでコンピューターに向くところだとのこと。
HQ Playerは基本的にDACでやるべきこと(デジタルフィルター処理など)をコンピューター側でやってしまうというコンセプトです。これはまたビットパーフェクトに忠実という既述Macプレーヤーソフトたちに比べると手を加えることが前提という点が面白い対比です。
あまり使われていない機能はデジタル処理によるルームコレクション機能であるとのこと。またデジタルボリュームも現代DACの性能を考えるならロスは許容範囲ではないかとのこと。

JPlayではただメモリ上に置くだけでなくメモリ管理の最適化を行い、CPUのタイマー・スケジューリングを最適化することでタスクスイッチの最小化をして、レイテンシーを向上させるという点がポイントということのようです。また強制ハイバネーションさせることでノイズ・ジッター出しそうなプロセスをすべて止めるということ。ビットパーフェクトなだけでなく、タイム・パーフェクトだと言ってます。
つまりきわどいくらいハードに近い低レベルの処理を最適化しているといのが、JPlayですね。ほとんど近代OSの機能を殺してしまって音楽再生プロセスだけで動かそうというコンセプトです。アセンブラで書いたら、と突っ込みたくなります。
これもMacソフトではここまで低レベルのことをいじっているのはあまりないので(ダイレクトモードはかなり低レベルですが)、WindowsよりもDOSっぽいというかちょっと個性的です。
一方でハイバネーションはあまり使われていないし、バッファ設定ももっと試してほしいということ。

JRiver Media Playerは内部処理を64bitで行っているのでいかなるDSP処理をしても音質は問題ない、またあるゆるダイレクトパス(ASIO、排他WASAPI、カーネルストリーミング)を備えている、マルチチャンネルやハイサンプルレート処理も可能、と柔軟性をアピールしています。
しかしHQ PlayerとJPlayがあまり強烈だったのでJRMCはWindowsプレーヤーソフトではかなり普通に見えます 笑。
JRiverではやはり機能が多いのでユーザーも迷いやすいかもということ。

Pure Music Playerではまず技術的な機能を語る前に信頼性が大事だとのこと。これは標準的なAPIにのっとって、あやしいAPIやコールを使わないなどが重要だろうとのこと。またPure Musicの前身であるPure Vinylの開発を通して(ソフトウエア技術よりも)まず自らがオーディオファイルであることを重視しているとあります。(Channel Dの試聴室の画像があるのはそういうこと)
またオーディオショウに出展する実績をあげることもユーザーとのつながりで大事たとしています。我々はデジタルオーディオもやっているがアナログを理解しているとも書いています。
技術に走りがちな他のソフトを暗に批判しているようにもちょっと読めますね。ちなみにPure Music Playerはサイトの中で(名指ししてませんが)AudirvanaのダイレクトモードはOS標準であるCoreAudioを使用していないので危険性があると批判しています。
他方でPure Musicの見過ごされがちの良さは一ライセンスコードでいくつでもマシンにインストールしてよいということ。またユーザーサポートも強力なのでぜひ使ってくださいということです。


しかし意外と各社とも個性的な見解で面白い内容です。
端的にまとめるとひとつにはコンピューター側でのソフトウエア処理を最適化すれば、ノイズやジッターなどでのハードであるところのオーディオ機器へのアナログ的な影響も結果的に抑えることができる、という感じでしょうか。
なぜソフトウエアを変えると音が変わるか、ビットパーフェクト以上に音が良くなるのか、という問いにはひとつの回答にはなっていると思います。

そういえばFoobar2000はありませんが、作ってる人がソフトで音は変わらないよと言ってるようなのであえて聞かなかったのかも。Foobar2000は本体というよりコンポーネントですね。
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2012年08月13日

JRiver Media Center 18でMacサポートへ

JRiver Media Center 18のリリースがアナウンスされています。
登録ユーザーには案内が来ていると思いますので触れませんが私もディスカウント価格でアップデートしました(8/15まで)。新規ユーザーはいまJRMC17を購入するとフリーでJRMC18にアップデートできます。
JRMC18は1-2か月後にリリースされると言うことです。
http://yabb.jriver.com/interact/index.php?board=27.0

JRMC18の大きなポイントはMac版が出るということです。ただしライセンスは別に買う必要があるということ。また、JRMC18でプログラムの移植性能向上の工夫をしたようで、他のOSも可能だと言うことです。LINUX版もあるかも?

JRMC18はAV方面とピュアオーディオの両方の人が使える総合ソフトなので、機能向上はビジュアル方面も含みますが、オーディオではDSDサポートが改良されるようです。いまのJRMC17のDSDネイティブ再生の設定はややこしいですからね。この辺が改良されるのでしょう。

またMacでDSD対応した高音質プレーヤーソフトの選択肢が増えることは歓迎ですね。
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