このたび、評論家の角田先生を監修として共同執筆によりコンピューターオーディオの単行本を書きました。いわゆる新書版サイズで1050円です。10/6に洋泉社さんより発売されます。
Amazonではすでに予約を受けていますので、みなさんよろしくお願いします(^^
内容はコンピューターオーディオの利点、基本的なシステム例と解説、代表的な機器類の写真つきの解説、ミュージックプレーヤーなど再生の基礎知識、応用的なオーディオセットアップ項目などなど、多岐にわたってカバーしています。わたしが参加してますのでヘッドホンなども従来のオーディオ本とは違い、きちんと一章を費やして取り上げています。PCオーディオ+ヘッドホン本と言っても良いくらいです。そういう意味では変わりつつあるオーディオ界の最新のガイドブックといっても良いかもしれません。
内容もEdition10まで含めた最新のものになっています。オーディオ雑誌ではなく普通の棚にも置く単行本ですので、出版社さんから一般の方でも分かるようにとけっこう細かい直しを要求されたりもしましたので、分かりやすいものになっていると思います。カラーページやイラストなども多く、初心者の手引書から、マニアの方が見て楽しむ図鑑的なところまで広く楽しんでもらえるものになっていると思います。
ぜひみなさんお買い求めください!
Music TO GO!
2010年09月15日
2010年07月15日
Wadia 151 "Power DAC mini"
今回は角田さん試聴室でアクシスさん取り扱いのWadia 151の試聴をさせてもらいました。
これを見ているみなさんにはWadiaのiTransportは説明不要だと思いますが、iTransportはiPod/iPhoneからデジタル出力を取り出せるトランスポートです。
Wadia 151は、そのiTransportと組にするコンポーネントのひとつでプリメインアンプです。もうひとつはヘッドホンアンプ付きのDACが出る予定ですが、そちらはまだ分かりません。Wadia 151はすでに販売されていて好評のようです。
Wadia 151はiTransportと同じ底面積でスタックできるプリメインアンプです。小さくともWadiaらしいデザインがなかなか良いですね。
デジタル入力が豊富でもちろんiTransportからもSPDIFで接続できますが、特別なアダプタが必要なわけではないので、基本的には一般的なスモールオーディオ製品と考えてよいと思います。
そこでここではiTransportをとりあえずおいといて、デジタル入力も豊富なのでWadia 151をデスクトップサイズのPCオーディオで使うシステムとして提案しようと思います。
まずWadia 151の特徴ですが、"Power DAC mini"という別名がついているように、入力から出力の最終段まですべてデジタルで処理されるところです。
こちらにメーカーページがあります。
http://www.axiss.co.jp/whatsnew_wadia151PowerDACmini.html
Power DACというのは普通のDACがデジタルデータをアナログ信号に変えるものであるのにたいし、デジタルを入力とするけれどもアナログに変換するのではなくそこでD級増幅をしてスピーカーを直接鳴らせるようにしたものということです。
デジタルオーディオのよくある質問のひとつに「CDがデジタルなんだから、デジタルアンプを使えばそのまま増幅できるのでは?」というものがあります。
たしかになんとなくそう思えますが、これはそう簡単ではありません。なぜなら、デジタルというのは単にデータをいったん符号化(数値化)する方式の総称であって、実際に符号化するやり方はたくさんあるからです。たとえばCDではPCMという方式で符号化されますが、D級アンプではPWMという方式を使います。これは前にこちらの「学研の大人の科学」の記事で少し書いたんですが、PWMという時間区分する方式はデバイスをアナログ的に制御するのに適しているからです。D級アンプの場合はパワーICの開け閉めということになります。
このため、全行程デジタルといっても実際にはPCMのデジタルデータをPWMに変換する必要があります。
Wadia 151の場合は前段にさる半導体メーカーと共同開発した「WD151D」というDSPチップを中心に、すべての入力をアップサンプリングして384kHz/24bitにしてから、PCM→PWM変換をします。それから後段でD級増幅をしてMOSFETでスピーカーを駆動できる電力を生み出します。
このようにアナログが途中に介在することはありません。
そこで実際の音ですが、こうしたコンピューターオーディオシステムを組んでみました。
ソースはMac AirとAmarra mini、そこからUSBケーブル(ゾノトーン)で直接Wadia 151のUSB入力につなぎます。
Wadia 151からはスピーカーケーブルでこの前書いたフォーカルのChorus Vにつなぎます。Macを除けばトータルで30万もしません。
こちら背面の写真です。かなり立派な端子が使われていますね。
音はさすがに全行程デジタルのせいか気持ち良いくらい澄んだ端正な音を鳴らしますが、このアンプの一番のポイントは制動力というかスピーカーのコントロールだと思います。よくベンチマーク的に鳴らすアルヴォ・ペルトのオーケストラ曲でも実に堂々と鳴らします。低域もかなりよく出ます。このサイズの組み合わせですけど、ちょっと驚きます。もちろんフォーカルのスピーカーも価格の割にはかなり良いように思います。
次にUSB接続から変えてHalide Bridge(USB DDC)を使って、MacのUSBからWadia 151のSPDIF入力につなぎます。
Bridgeに変えると面白いことに音に厚みが増し、オーディオ的な艶っぽい美しさも感じられるようになります。USB接続ではちょっとデジタルアンプっぽいところもあったけど、これだと滑らかなまるでデジタルアンプとは思えないアナログアンプの音のようです。これくらいの音なら誰が聴いても納得するでしょう。
Bridgeで採用されているWavelengthのAsync方式のよさもありそうです。
ChordのCDトランスポート・コーダにもつないで見ましたが、ハイエンドCDトラポに変えても一層洗練された音になる伸びしろがあります。
ためしにフォーカルの大きなほう、スカーラにつないで見ても低域のコントロールが感じられるのはたいしたものです。こんなでかいスピーカーでもきちんとベースの制動感が感じられます。
組み合わせでだいぶ表情を変えるというのも面白いところです。ちょっとシステムを工夫すれば手ごろな価格で、これだけ音がよいシステムが組めるということですね。
iTransport用だからiTransportと組ませるということだけでなしに、iTransportから離れてもなかなか良いアンプです。このWadia 151を軸にいろいろなシステムを考えてみるのも面白いと思います。
これを見ているみなさんにはWadiaのiTransportは説明不要だと思いますが、iTransportはiPod/iPhoneからデジタル出力を取り出せるトランスポートです。
Wadia 151は、そのiTransportと組にするコンポーネントのひとつでプリメインアンプです。もうひとつはヘッドホンアンプ付きのDACが出る予定ですが、そちらはまだ分かりません。Wadia 151はすでに販売されていて好評のようです。
Wadia 151はiTransportと同じ底面積でスタックできるプリメインアンプです。小さくともWadiaらしいデザインがなかなか良いですね。
デジタル入力が豊富でもちろんiTransportからもSPDIFで接続できますが、特別なアダプタが必要なわけではないので、基本的には一般的なスモールオーディオ製品と考えてよいと思います。
そこでここではiTransportをとりあえずおいといて、デジタル入力も豊富なのでWadia 151をデスクトップサイズのPCオーディオで使うシステムとして提案しようと思います。
まずWadia 151の特徴ですが、"Power DAC mini"という別名がついているように、入力から出力の最終段まですべてデジタルで処理されるところです。
こちらにメーカーページがあります。
http://www.axiss.co.jp/whatsnew_wadia151PowerDACmini.html
Power DACというのは普通のDACがデジタルデータをアナログ信号に変えるものであるのにたいし、デジタルを入力とするけれどもアナログに変換するのではなくそこでD級増幅をしてスピーカーを直接鳴らせるようにしたものということです。
デジタルオーディオのよくある質問のひとつに「CDがデジタルなんだから、デジタルアンプを使えばそのまま増幅できるのでは?」というものがあります。
たしかになんとなくそう思えますが、これはそう簡単ではありません。なぜなら、デジタルというのは単にデータをいったん符号化(数値化)する方式の総称であって、実際に符号化するやり方はたくさんあるからです。たとえばCDではPCMという方式で符号化されますが、D級アンプではPWMという方式を使います。これは前にこちらの「学研の大人の科学」の記事で少し書いたんですが、PWMという時間区分する方式はデバイスをアナログ的に制御するのに適しているからです。D級アンプの場合はパワーICの開け閉めということになります。
このため、全行程デジタルといっても実際にはPCMのデジタルデータをPWMに変換する必要があります。
Wadia 151の場合は前段にさる半導体メーカーと共同開発した「WD151D」というDSPチップを中心に、すべての入力をアップサンプリングして384kHz/24bitにしてから、PCM→PWM変換をします。それから後段でD級増幅をしてMOSFETでスピーカーを駆動できる電力を生み出します。
このようにアナログが途中に介在することはありません。
そこで実際の音ですが、こうしたコンピューターオーディオシステムを組んでみました。
ソースはMac AirとAmarra mini、そこからUSBケーブル(ゾノトーン)で直接Wadia 151のUSB入力につなぎます。
Wadia 151からはスピーカーケーブルでこの前書いたフォーカルのChorus Vにつなぎます。Macを除けばトータルで30万もしません。
こちら背面の写真です。かなり立派な端子が使われていますね。
音はさすがに全行程デジタルのせいか気持ち良いくらい澄んだ端正な音を鳴らしますが、このアンプの一番のポイントは制動力というかスピーカーのコントロールだと思います。よくベンチマーク的に鳴らすアルヴォ・ペルトのオーケストラ曲でも実に堂々と鳴らします。低域もかなりよく出ます。このサイズの組み合わせですけど、ちょっと驚きます。もちろんフォーカルのスピーカーも価格の割にはかなり良いように思います。
次にUSB接続から変えてHalide Bridge(USB DDC)を使って、MacのUSBからWadia 151のSPDIF入力につなぎます。
Bridgeに変えると面白いことに音に厚みが増し、オーディオ的な艶っぽい美しさも感じられるようになります。USB接続ではちょっとデジタルアンプっぽいところもあったけど、これだと滑らかなまるでデジタルアンプとは思えないアナログアンプの音のようです。これくらいの音なら誰が聴いても納得するでしょう。
Bridgeで採用されているWavelengthのAsync方式のよさもありそうです。
ChordのCDトランスポート・コーダにもつないで見ましたが、ハイエンドCDトラポに変えても一層洗練された音になる伸びしろがあります。
ためしにフォーカルの大きなほう、スカーラにつないで見ても低域のコントロールが感じられるのはたいしたものです。こんなでかいスピーカーでもきちんとベースの制動感が感じられます。
組み合わせでだいぶ表情を変えるというのも面白いところです。ちょっとシステムを工夫すれば手ごろな価格で、これだけ音がよいシステムが組めるということですね。
iTransport用だからiTransportと組ませるということだけでなしに、iTransportから離れてもなかなか良いアンプです。このWadia 151を軸にいろいろなシステムを考えてみるのも面白いと思います。
2010年06月24日
KriptonのUSB DAC付アクティブスピーカー KS-1HQM
KRIPTON(クリプトン)が今月末(6/30)にリリースする新製品のアクティブスピーカーを聞く機会がありました。大きなフォーカルの手前のスタンドに乗った小さなデスクトップタイプです。
KRIPTONはスピーカーやオーディオアクセサリーの製作で知られていますが、同時にハイリゾの高品質配信も最近手がけています。しかし多くの人が高品質配信のよさを楽しむにはまだ環境が整っていない感もあります。
そこで手軽に高品質配信のよさを味わって欲しいという期待もこめられているのが、このアクティブスピーカー KS-1HQMです。
ホームページはこちらです。
http://www.kripton.jp/pc-audio_usb/active-speaker/pc-speaker_ks-1hqm/features/
iPhoneと比べてもこんなにコンパクトです。
KS-1HQMはアクティブスピーカーなのでスピーカーと一体になったアンプを搭載していてアナログ入力を受けられるとともに、96/24対応のUSB DACと光デジタル入力も搭載しています。USB DACは標準ドライバーなのでインストールも必要ありません。つまりパソコンひとつあればすぐにでも使うことができます。
しかし高品質配信を受けて楽しむためには、手軽ということだけではなく再生機器側も音質が高いことが必要です。アクティブスピーカーというと、PCにつけるスピーカーとか、iPod用のデスクトップタイプとか、手軽さだけに重点がいっている機器がほとんどだと思います。このKS-1HQMはそうした手軽さが売りのアクティブスピーカーとは音質という点で一線を画すための工夫がされています。
まず目が行くのは、スピーカーの下に置かれた別筐体の台座です。これはわたしもはじめはよくあるオプションのスタンドか、あるいはアンプが入っているのかと思いましたが、そうではありません。
これはあくまで標準でついているものです。アクセサリーメーカーらしい強みともいえますが、実はこれ自体がひとつのスピーカーシステムの中できちんとした役割を持っていて、これなしでは成立しないパッケージともいえます。
それはこういうことです。スピーカーユニットはバスレフ付きのフルレンジユニットで、ピアレスの6.35cmユニットを使用しています。ポイントはこの口径で低域まで十分に出すために、振幅(ピストンモーション)の幅を十分に確保していることです。Mark&Danielのところでも書きましたが、口径が小さくてもユニットの振幅の幅が十分にあれば動かす空気の量は多くなり、低域も十分に確保できます。ただし、その力を出すためには巻き線を工夫してドライバを強めねばなりません。そうすると能率が低くなってしまいます。そこで25W/chというこのサイズにしては過大なくらいのパワーをデジタルアンプを使ってカバーしています。
また、この小さな筐体で振幅がそんなに大きいとキャビネが不要に動いてしまうので、その動きを相殺するためにこの台座があります。この台座はスピーカーの本体とは3つのインシュレーターを介しています(スピーカーを持ち上げるときには注意してください)。この台座はそれなりの重さがあるとともに、持って振ると分かるのですが、中に鉄球がはいっていて砂箱を振ったように振動します。これは動きを相殺する効果があるそうです。
これで大きな振幅による不要振動を緩衝して、クリーンな音に貢献しているわけです。
このようにKS-1HQMは、高品質配信のための96/24USB DAC、低能率を打ち消すためのデジタルアンプ、不要振動を減らすための台座、とパッケージとしてひとつに有機的に機能しているわけです。
次に実際に音を聴いてみました。
システムはMac AirからUSBでKS-1HQM側のUSB端子に接続するだけのものです。USBケーブルは最近お気に入りのゾノトーンを使用し、プレーヤーはAmarra mini2.0を使用します。音量はKS-1HQM側のリモコンで調整できます。
まず音を出すと、声が気持ちよくセンターに定位するのに気が付きます。
FakieのFantasyがまずとても印象がよかったんですが、フルレンジの強みかヴォーカルがよどみなくスムーズで声の表情もよくわかります。またギターがぴしっとシャープで贅肉感が少なく、切れよく鳴ります。
次に驚いたのはクラシックでの堂々とした鳴りの良さです。小さなみかけよりも低域の量感もあるけれども、ポイントはこのクラスにしてこの量感というよりも、その音がゆるぎなくしっかりしているという印象を受けるところです。単に低音のぶわっとした量感だけ誇るというものもありますが、そうしたものとはちょっと異なります。
これはボリュームを大きくして聴いてもらいたいところです。実際、良録音の多くは意図的に録音レベルを引き上げていないので、低いレベルで入っていることが多く、再生機器側でボリュームを大きく上げる必要があります。KS-1HQMはそうしたときにも、その辺のアクティブスピーカーのようにビビリがなく、しっかりとした音鳴りという印象を受けます。
また96/24の曲も十分にハイサンプリングのよさが伝わります。
コンパクトなボディにも、オーディオ的に考慮されたパッケージがうまく生きているというところでしょうか。
また、手軽さという点では価格的にもかなりがんばっているようです。ペアで約5万円というといわゆるPCスピーカーよりは高いのですが、この内容であれば実際はもっと高くなるようです。それをネット販売限定ということで安く抑えたということです。
なんとなくPCスピーカーを使っていたけれども、一クラス上の音が欲しいという人にはお勧めです。また本格的なPCオーディオはやはり苦手だけれども、手軽に高品質配信を楽しみたいという人のサブ機にもよいのではないでしょうか。
興味あるかたは試聴会を7/3に開催するそうなので、ぜひ聴いてみて下さい。案内はこちらです。
http://www.kripton.co.jp/products/event.html
最後にはじめの高品質配信の話に戻りますが、Kriptonではあのマニアックに録音を追及する赤坂工芸(AKL)さんのアルバムもいくつか扱っています。以前私がマスターCDRの話題で書いたCreamyも扱っているとのことです。
Creamyはアルバムの最後にアルバムと関係ないのに赤坂工芸の人の趣味で録音した録音のための録音、にぎやかなドラムソロが入っていますが、これが96/24で入っているとなるとちょっと興味がわきますね。
配信サイトはこちらです。
http://hqm-store.com/
*現在は形式名KS-1HQMが正式な製品名となっているそうですので、初出時から変更しました
KRIPTONはスピーカーやオーディオアクセサリーの製作で知られていますが、同時にハイリゾの高品質配信も最近手がけています。しかし多くの人が高品質配信のよさを楽しむにはまだ環境が整っていない感もあります。
そこで手軽に高品質配信のよさを味わって欲しいという期待もこめられているのが、このアクティブスピーカー KS-1HQMです。
ホームページはこちらです。
http://www.kripton.jp/pc-audio_usb/active-speaker/pc-speaker_ks-1hqm/features/
iPhoneと比べてもこんなにコンパクトです。
KS-1HQMはアクティブスピーカーなのでスピーカーと一体になったアンプを搭載していてアナログ入力を受けられるとともに、96/24対応のUSB DACと光デジタル入力も搭載しています。USB DACは標準ドライバーなのでインストールも必要ありません。つまりパソコンひとつあればすぐにでも使うことができます。
しかし高品質配信を受けて楽しむためには、手軽ということだけではなく再生機器側も音質が高いことが必要です。アクティブスピーカーというと、PCにつけるスピーカーとか、iPod用のデスクトップタイプとか、手軽さだけに重点がいっている機器がほとんどだと思います。このKS-1HQMはそうした手軽さが売りのアクティブスピーカーとは音質という点で一線を画すための工夫がされています。
まず目が行くのは、スピーカーの下に置かれた別筐体の台座です。これはわたしもはじめはよくあるオプションのスタンドか、あるいはアンプが入っているのかと思いましたが、そうではありません。
これはあくまで標準でついているものです。アクセサリーメーカーらしい強みともいえますが、実はこれ自体がひとつのスピーカーシステムの中できちんとした役割を持っていて、これなしでは成立しないパッケージともいえます。
それはこういうことです。スピーカーユニットはバスレフ付きのフルレンジユニットで、ピアレスの6.35cmユニットを使用しています。ポイントはこの口径で低域まで十分に出すために、振幅(ピストンモーション)の幅を十分に確保していることです。Mark&Danielのところでも書きましたが、口径が小さくてもユニットの振幅の幅が十分にあれば動かす空気の量は多くなり、低域も十分に確保できます。ただし、その力を出すためには巻き線を工夫してドライバを強めねばなりません。そうすると能率が低くなってしまいます。そこで25W/chというこのサイズにしては過大なくらいのパワーをデジタルアンプを使ってカバーしています。
また、この小さな筐体で振幅がそんなに大きいとキャビネが不要に動いてしまうので、その動きを相殺するためにこの台座があります。この台座はスピーカーの本体とは3つのインシュレーターを介しています(スピーカーを持ち上げるときには注意してください)。この台座はそれなりの重さがあるとともに、持って振ると分かるのですが、中に鉄球がはいっていて砂箱を振ったように振動します。これは動きを相殺する効果があるそうです。
これで大きな振幅による不要振動を緩衝して、クリーンな音に貢献しているわけです。
このようにKS-1HQMは、高品質配信のための96/24USB DAC、低能率を打ち消すためのデジタルアンプ、不要振動を減らすための台座、とパッケージとしてひとつに有機的に機能しているわけです。
次に実際に音を聴いてみました。
システムはMac AirからUSBでKS-1HQM側のUSB端子に接続するだけのものです。USBケーブルは最近お気に入りのゾノトーンを使用し、プレーヤーはAmarra mini2.0を使用します。音量はKS-1HQM側のリモコンで調整できます。
まず音を出すと、声が気持ちよくセンターに定位するのに気が付きます。
FakieのFantasyがまずとても印象がよかったんですが、フルレンジの強みかヴォーカルがよどみなくスムーズで声の表情もよくわかります。またギターがぴしっとシャープで贅肉感が少なく、切れよく鳴ります。
次に驚いたのはクラシックでの堂々とした鳴りの良さです。小さなみかけよりも低域の量感もあるけれども、ポイントはこのクラスにしてこの量感というよりも、その音がゆるぎなくしっかりしているという印象を受けるところです。単に低音のぶわっとした量感だけ誇るというものもありますが、そうしたものとはちょっと異なります。
これはボリュームを大きくして聴いてもらいたいところです。実際、良録音の多くは意図的に録音レベルを引き上げていないので、低いレベルで入っていることが多く、再生機器側でボリュームを大きく上げる必要があります。KS-1HQMはそうしたときにも、その辺のアクティブスピーカーのようにビビリがなく、しっかりとした音鳴りという印象を受けます。
また96/24の曲も十分にハイサンプリングのよさが伝わります。
コンパクトなボディにも、オーディオ的に考慮されたパッケージがうまく生きているというところでしょうか。
また、手軽さという点では価格的にもかなりがんばっているようです。ペアで約5万円というといわゆるPCスピーカーよりは高いのですが、この内容であれば実際はもっと高くなるようです。それをネット販売限定ということで安く抑えたということです。
なんとなくPCスピーカーを使っていたけれども、一クラス上の音が欲しいという人にはお勧めです。また本格的なPCオーディオはやはり苦手だけれども、手軽に高品質配信を楽しみたいという人のサブ機にもよいのではないでしょうか。
興味あるかたは試聴会を7/3に開催するそうなので、ぜひ聴いてみて下さい。案内はこちらです。
http://www.kripton.co.jp/products/event.html
最後にはじめの高品質配信の話に戻りますが、Kriptonではあのマニアックに録音を追及する赤坂工芸(AKL)さんのアルバムもいくつか扱っています。以前私がマスターCDRの話題で書いたCreamyも扱っているとのことです。
Creamyはアルバムの最後にアルバムと関係ないのに赤坂工芸の人の趣味で録音した録音のための録音、にぎやかなドラムソロが入っていますが、これが96/24で入っているとなるとちょっと興味がわきますね。
配信サイトはこちらです。
http://hqm-store.com/
*現在は形式名KS-1HQMが正式な製品名となっているそうですので、初出時から変更しました
2010年05月24日
Northstar USB dac32試聴
この週末は角田さん試聴室でナスペックさんがお持ちしたNorthstarの新型DACであるUSB dac32の試聴を行いました。
こちらに紹介ページがあります。
http://naspecaudio.com/north-star-design/model192dac-mk2/
コンパクトなDACでスペースをあまりとりません。そのわりには背面パネルはぎっしりと入出力端子で埋まっていますし、中は電源もアナログとデジタルの二系統にきっちりと分かれています。
入出力は豊富でアナログ出力はバランス、アンバランスの二系統を持っていて、入力にはAESやI2Sもあります。I2Sは端子のタイプがいくつかありますが、dac32ではRJ45(ネットワークの口)です。同ブランドのトランスポートと組み合わせることでI2Sを用いてデータとクロックを分離した高品質な伝送が出来ます。
今回はMac ProとMac AirからUSBで聴いてみました。ソフトは角田さんのAmarraと私のAmarra miniで聴いてみました。
まず音の透明感が高く、ヴォーカルが明瞭にはっきりと聴き取れます。瑞々しさがあります。音の輪郭がきりっとしているようで、楽器のアコースティックな響きが気持ちよいですね。微細な表現力も高く、角田さんは音の消え入る部分がとても上手に再現できていると高評価です。
またスピードも早く、音の歯切れが良く曲のノリも良く聴こえます。そのためアップテンポの曲も気持ちよく再現します。
USBではカスタムドライバーを用いることで192/24も対応します。スペック的には32bitを入力できる能力があり、それがこの名前にもなっています。
再現力も高くてPC Audioファン2の192kのトラックでは96kバージョンに比べて密度感の違いがよくわかります。
細かい再現力も高く切れも良いので、ヘッドホンにも向いている感じですね。ためしにLCD-2を使ってみましたがたしかに凄みを感じるくらいのものでしたね。
USBケーブルをいくつか変えて聴いてみましたが、いずれもケーブルなりの個性が見事に描き分けられていました。かなり高い能力を秘めているようです。
こちらに紹介ページがあります。
http://naspecaudio.com/north-star-design/model192dac-mk2/
コンパクトなDACでスペースをあまりとりません。そのわりには背面パネルはぎっしりと入出力端子で埋まっていますし、中は電源もアナログとデジタルの二系統にきっちりと分かれています。
入出力は豊富でアナログ出力はバランス、アンバランスの二系統を持っていて、入力にはAESやI2Sもあります。I2Sは端子のタイプがいくつかありますが、dac32ではRJ45(ネットワークの口)です。同ブランドのトランスポートと組み合わせることでI2Sを用いてデータとクロックを分離した高品質な伝送が出来ます。
今回はMac ProとMac AirからUSBで聴いてみました。ソフトは角田さんのAmarraと私のAmarra miniで聴いてみました。
まず音の透明感が高く、ヴォーカルが明瞭にはっきりと聴き取れます。瑞々しさがあります。音の輪郭がきりっとしているようで、楽器のアコースティックな響きが気持ちよいですね。微細な表現力も高く、角田さんは音の消え入る部分がとても上手に再現できていると高評価です。
またスピードも早く、音の歯切れが良く曲のノリも良く聴こえます。そのためアップテンポの曲も気持ちよく再現します。
USBではカスタムドライバーを用いることで192/24も対応します。スペック的には32bitを入力できる能力があり、それがこの名前にもなっています。
再現力も高くてPC Audioファン2の192kのトラックでは96kバージョンに比べて密度感の違いがよくわかります。
細かい再現力も高く切れも良いので、ヘッドホンにも向いている感じですね。ためしにLCD-2を使ってみましたがたしかに凄みを感じるくらいのものでしたね。
USBケーブルをいくつか変えて聴いてみましたが、いずれもケーブルなりの個性が見事に描き分けられていました。かなり高い能力を秘めているようです。
2010年05月23日
ハイエンドショウ2010春
本日はハイエンドショウに行ってきました。
とくに目に付いた新製品というのはないのですが、とにかくPCオーディオ人気に驚きました。午後の音元出版さんのPCオーディオ講演ですが、ちょっと他のブースを聴いてから遅れた行ったところ、こんな感じでびっしりと埋まっていました。
やはり関心の高さたるやすごいものがありますね。
イベントではフェーズテックHD7AとLINN DS、そしてAmarraなどを取り上げたはずです。はずです、というのはごらんのように機材自体はまったく見えませんでしたので(笑)。
LINN DS用にSSDのNASなんかもデモをしていました。
やはり先行していたLINN DSシリーズがPCオーディオのひとつの顔になっていると思いましたが、似たようなコンセプトの製品も出てきています。
そこでネットワークオーディオという視点で会場からいくつか取り上げます。
例えばこれは新しい製品ではありませんが、スフォルツァートのDSTというDLNAプレーヤーです。左上がDSTでその下は専用電源です。
DSTは単に静音PCにサウンドカードをつけたものとは異なり、独自設計のデジタル回路にARMベースのLinuxコンポーネントをビルドインしたものということのようです。
DLNA対応なのでiPhoneのPlugPlayからこのように操作が出来ます。また、右のパソコンの液晶にはMediaPlayerが開いていますが、これはMediaPlayerから再生しているのではなく、「リモート再生」機能を使ってWindows7がDLNAコントローラとなっているので再生指示だけです。あくまで楽曲ファイルを再生するレンダラーはDSTです。楽曲ファイルはNASに入っています。
DLNAについてはこちらの前に書いた記事の4をご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/140262501.html
また完実さんではPS Audioの新しいブリッジ機能をデモしていました。こちらではなんとiPadを使っていました。
PerfectWaveブリッジはPerfectWave DACに組み込むオプション基盤のようなものになります。デモではUSBメモリを挿して、そこに楽曲ファイルを入れていたようです。
このPerfectWaveブリッジをPWD(PerfectWave DAC)に組み込めばほぼLINN DS相当になるというわけです。
注意すべき点は上記二例ではiPhoneもiPadもあくまでコントローラーとして使っているということです。つまりどの楽曲ファイルを再生するか、スキップするかなどの指示を行っているだけで、iPhoneやiPadで再生(ファイルを読んでデジタル信号にデコード)しているのではありません。再生するのはレンダラーです。
ただし、、iPhoneもレンダラーになれるという事にも注意すべきです。この場合はiPhoneからストリーミング再生が出来ます。
混乱するかもしれませんが、DLNAの上では何がなんの役割をしているかということを把握する必要があります。
高いオーディオ性能が必要なのはレンダラーですので、通常はUIに優れたiPhoneやiPadをコントローラとして使い、DSTやPWDのような高性能機器をレンダラーとするのが好ましいわけです。
ただ利便性によってはiPhoneやiPad自体をレンダラーとしてストリーミングすることもまた可能です。
またiPadについてはレンダラーとしても可能性が見えますが、それはそのうちまた研究していくことにしましょう。
とくに目に付いた新製品というのはないのですが、とにかくPCオーディオ人気に驚きました。午後の音元出版さんのPCオーディオ講演ですが、ちょっと他のブースを聴いてから遅れた行ったところ、こんな感じでびっしりと埋まっていました。
やはり関心の高さたるやすごいものがありますね。
イベントではフェーズテックHD7AとLINN DS、そしてAmarraなどを取り上げたはずです。はずです、というのはごらんのように機材自体はまったく見えませんでしたので(笑)。
LINN DS用にSSDのNASなんかもデモをしていました。
やはり先行していたLINN DSシリーズがPCオーディオのひとつの顔になっていると思いましたが、似たようなコンセプトの製品も出てきています。
そこでネットワークオーディオという視点で会場からいくつか取り上げます。
例えばこれは新しい製品ではありませんが、スフォルツァートのDSTというDLNAプレーヤーです。左上がDSTでその下は専用電源です。
DSTは単に静音PCにサウンドカードをつけたものとは異なり、独自設計のデジタル回路にARMベースのLinuxコンポーネントをビルドインしたものということのようです。
DLNA対応なのでiPhoneのPlugPlayからこのように操作が出来ます。また、右のパソコンの液晶にはMediaPlayerが開いていますが、これはMediaPlayerから再生しているのではなく、「リモート再生」機能を使ってWindows7がDLNAコントローラとなっているので再生指示だけです。あくまで楽曲ファイルを再生するレンダラーはDSTです。楽曲ファイルはNASに入っています。
DLNAについてはこちらの前に書いた記事の4をご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/140262501.html
また完実さんではPS Audioの新しいブリッジ機能をデモしていました。こちらではなんとiPadを使っていました。
PerfectWaveブリッジはPerfectWave DACに組み込むオプション基盤のようなものになります。デモではUSBメモリを挿して、そこに楽曲ファイルを入れていたようです。
このPerfectWaveブリッジをPWD(PerfectWave DAC)に組み込めばほぼLINN DS相当になるというわけです。
注意すべき点は上記二例ではiPhoneもiPadもあくまでコントローラーとして使っているということです。つまりどの楽曲ファイルを再生するか、スキップするかなどの指示を行っているだけで、iPhoneやiPadで再生(ファイルを読んでデジタル信号にデコード)しているのではありません。再生するのはレンダラーです。
ただし、、iPhoneもレンダラーになれるという事にも注意すべきです。この場合はiPhoneからストリーミング再生が出来ます。
混乱するかもしれませんが、DLNAの上では何がなんの役割をしているかということを把握する必要があります。
高いオーディオ性能が必要なのはレンダラーですので、通常はUIに優れたiPhoneやiPadをコントローラとして使い、DSTやPWDのような高性能機器をレンダラーとするのが好ましいわけです。
ただ利便性によってはiPhoneやiPad自体をレンダラーとしてストリーミングすることもまた可能です。
またiPadについてはレンダラーとしても可能性が見えますが、それはそのうちまた研究していくことにしましょう。
2010年05月06日
GW新製品試聴
ゴールデンウイーク中にまた角田さん試聴室におじゃまして新製品のテストをしてきました。
真ん中がStelloで右はリンデマン、左はINT202
Stello U2 USB-SPDIFコンバーター
こちらはStelloのUSB->SPDIFコンバーターです。音が安定するのに少し時間がかかるようですが、品の良いなかなか高音質でした。SPDIFのほかに独自仕様のI2Sも装備しています。同社製品との組み合わせも聴いて見たいものです。この分野も入門モデルだけではなく、いろいろと広がってきましたね。
これはカスタムドライバー不要で標準ドライバーで使えるので、iPadにも使えそうです。
手前がToucanです。
Chord Toucan
本日リリースされたChordのヘッドホンアンプToucanです。こちらタイムロードさんのブログ記事です。
http://tlcons.exblog.jp/13627648/
名の由来は二つヘッドホンが使える(Two Can - canはヘッドホンのこと)ところから来ているようです。USB入力もありますが、本格的にバランス入力もあります。またクロスフィードも搭載されています。
音は高いほうと中域がちょっと強調された音鳴りで個性的にブランドの音を演出しているように思います。Chordetteの名の通りにGemの兄弟としてコードのミニチュア版ですね。
また今回は録音のマスターデータも少し聞かせてもらいましたが、PCオーディオってこうした世界に個人が少しでも近づけるという点で素晴らしいものだと思いました。
真ん中がStelloで右はリンデマン、左はINT202
Stello U2 USB-SPDIFコンバーター
こちらはStelloのUSB->SPDIFコンバーターです。音が安定するのに少し時間がかかるようですが、品の良いなかなか高音質でした。SPDIFのほかに独自仕様のI2Sも装備しています。同社製品との組み合わせも聴いて見たいものです。この分野も入門モデルだけではなく、いろいろと広がってきましたね。
これはカスタムドライバー不要で標準ドライバーで使えるので、iPadにも使えそうです。
手前がToucanです。
Chord Toucan
本日リリースされたChordのヘッドホンアンプToucanです。こちらタイムロードさんのブログ記事です。
http://tlcons.exblog.jp/13627648/
名の由来は二つヘッドホンが使える(Two Can - canはヘッドホンのこと)ところから来ているようです。USB入力もありますが、本格的にバランス入力もあります。またクロスフィードも搭載されています。
音は高いほうと中域がちょっと強調された音鳴りで個性的にブランドの音を演出しているように思います。Chordetteの名の通りにGemの兄弟としてコードのミニチュア版ですね。
また今回は録音のマスターデータも少し聞かせてもらいましたが、PCオーディオってこうした世界に個人が少しでも近づけるという点で素晴らしいものだと思いました。
2010年04月22日
PCオーディオfan2 本日発売 !
昨年発刊されてPCオーディオの専門誌として話題を呼んだ共同通信の「PCオーディオfan」の第2号が発売されました。
前号のPCオーディオfanは雑誌にしては異例なくらいの売れ方だったようで入手難を起したようですが、今回はお早めにどうぞ。
今回は良録音で知られるM.A.レーベルの凄腕エンジニア、タッドガーフィンケル氏によるハイリゾリューション音源がDVDとして付いています。いまうちのPCで聴いていますが、録音の質の高さとともに音楽的にも素晴らしいものばかりで、これだけでもゆうに価格分があると思います。
記事もまさにみっちりと高密度で詰った感じで、初心者からマニアまで読み応えあると思います。前号からもグレードアップされてますね。
わたしも長い記事を1つと短い記事を6つほど書かせてもらいました。
短いのはオーディオテクニカWS70とBT02、フォステクスHP-A7、B&WのP5、VinnieさんのIsabellina HPA、そしてhiFaceです。
そして長いのは「まずはPCオーディオを始めてみよう」です。
コンセプト的には入門記事ということなのですが、一口にそういっても範囲は広いものです。実際に書いてみるといろいろと反省点もありました。はじめは教科書的なものを書けばいいのかなあと考えてたんですが、検討してるうちにそもそもPCオーディオの入門ってどういうもの?という疑問にぶつかってしまいます。
日本で言う「PCオーディオ」という言葉はアメリカでは"computer audio"と言うようです。これはPCというと特にパソコン先進国のアメリカではWindows系マシン(つまりIBM-PC AT系の末裔)のみを指す意味あいが強いので一般化しているからでしょう。わたしもHeadfiで書くときはPCオーディオと書きたいときはcomputer audioと言い換えていますが、コンピューターを使うオーディオという意味では言葉的に同じことですね。
いまPCオーディオがブームといっても、知識のある自作PC派の人たちが静音シャーシにプレクスターとかLynxとか組み合わせ、OSをチューニングして音楽に特化したパソコンを作るって言うマニアックな行為はずいぶん前から行われてきたと思います。
ただこうしてあまりパソコンに詳しくない層とオーディオの世界とを巻き込んで大きなうねりになるというのは、たしかにここ最近と言えると思います。そこが実際はいまの「PCオーディオ」のポイントではないかと思います。
そうしたなかで、たぶん多くの人が迷うのはたとえて言えば、はじめて海外旅行に出た人が勝手がわからなくて戸惑うという感覚に近いのかもしれません。普通にご飯を食べたり、単に買い物するのにもどかしいという感覚です。
いままでCDという手でつかめる円盤をプレーヤーにセットすれば簡単に音楽が聴けたのに、ただ音楽を聴くだけでも、そこに手を伸ばすのがもどかしいという感覚でしょうか。
オーディオの世界から見ると幕末の黒船襲来的に異文化のなんかすごいのがやってきたという見方もできるかもしれません。
ただ外から見ると畏怖する黒船も、龍馬のように咸臨丸に自分で乗ってみれば、それがまったく異質のものではないというのが分かるでしょう。
そういう意味ではまず触れるという観点で書いてみました。
そして悩み多き幕末の後の日本が和と洋を折衷して世界に伸びて言ったように、PCオーディオって言うものをパソコンという文化とオーディオという文化の融合と位置づけるならば、異なる文化の融合がいままでにないものを作り出す可能性があります。
例えば単に楽曲ファイルを再生するだけではなく、Pure Vinylのように従来イコライザというハードで行っていたことをパソコンのソフトウエアで組み替えるというような発想もありますし、もっと考え付かなかったような可能性もたくさん秘めています。それが二つの異文化が融合するメリットでもあります。
もしかするとパソコン苦手意識の強い人はコンピューターというものに抵抗感をもって冷たいものと考えているかもしれません。
しかしそれはいささか心外ではあります。ひとつは前にこの記事で書いたようにデジタルというのは冷たいものではありません。人間もいわばデジタルデータから作られます。またアナログというのは日本語で言うと「相似」のことで、デジタルは「数値表現」のことですから、よく言われるような「断続と連続」のように相反する概念ではありません。デジタルとかアナログというのは単に表現方式、ものの見方に過ぎません。
もうひとつとして、わたしが最近よくiPhoneとかiPadがらみで昔のアップルとかダイナブックとか60-70年代あたりのコンピューターの理想を書いているのはコンピューター文化というものが熱くて情熱にみちた人間くさいものだからです。
その同じ時代はオーディオにとっても熱くて情熱に満ちた黄金期だったと思います。しかしそのころはこの二つの文化が大きく交わることはありませんでした。
しかし、いまそれが可能になったわけです。
そうしたオーディオやパソコンの青年期は熱く面白かった時代だったのでしょう。しかし、それらが融合できるといういまは、実はもっとエキサイティングな時代なのではないでしょうか?
そうしてPCオーディオを楽しいものと考えてもらえるのが一番の入門かな、とも思います。
前号のPCオーディオfanは雑誌にしては異例なくらいの売れ方だったようで入手難を起したようですが、今回はお早めにどうぞ。
今回は良録音で知られるM.A.レーベルの凄腕エンジニア、タッドガーフィンケル氏によるハイリゾリューション音源がDVDとして付いています。いまうちのPCで聴いていますが、録音の質の高さとともに音楽的にも素晴らしいものばかりで、これだけでもゆうに価格分があると思います。
記事もまさにみっちりと高密度で詰った感じで、初心者からマニアまで読み応えあると思います。前号からもグレードアップされてますね。
わたしも長い記事を1つと短い記事を6つほど書かせてもらいました。
短いのはオーディオテクニカWS70とBT02、フォステクスHP-A7、B&WのP5、VinnieさんのIsabellina HPA、そしてhiFaceです。
そして長いのは「まずはPCオーディオを始めてみよう」です。
コンセプト的には入門記事ということなのですが、一口にそういっても範囲は広いものです。実際に書いてみるといろいろと反省点もありました。はじめは教科書的なものを書けばいいのかなあと考えてたんですが、検討してるうちにそもそもPCオーディオの入門ってどういうもの?という疑問にぶつかってしまいます。
日本で言う「PCオーディオ」という言葉はアメリカでは"computer audio"と言うようです。これはPCというと特にパソコン先進国のアメリカではWindows系マシン(つまりIBM-PC AT系の末裔)のみを指す意味あいが強いので一般化しているからでしょう。わたしもHeadfiで書くときはPCオーディオと書きたいときはcomputer audioと言い換えていますが、コンピューターを使うオーディオという意味では言葉的に同じことですね。
いまPCオーディオがブームといっても、知識のある自作PC派の人たちが静音シャーシにプレクスターとかLynxとか組み合わせ、OSをチューニングして音楽に特化したパソコンを作るって言うマニアックな行為はずいぶん前から行われてきたと思います。
ただこうしてあまりパソコンに詳しくない層とオーディオの世界とを巻き込んで大きなうねりになるというのは、たしかにここ最近と言えると思います。そこが実際はいまの「PCオーディオ」のポイントではないかと思います。
そうしたなかで、たぶん多くの人が迷うのはたとえて言えば、はじめて海外旅行に出た人が勝手がわからなくて戸惑うという感覚に近いのかもしれません。普通にご飯を食べたり、単に買い物するのにもどかしいという感覚です。
いままでCDという手でつかめる円盤をプレーヤーにセットすれば簡単に音楽が聴けたのに、ただ音楽を聴くだけでも、そこに手を伸ばすのがもどかしいという感覚でしょうか。
オーディオの世界から見ると幕末の黒船襲来的に異文化のなんかすごいのがやってきたという見方もできるかもしれません。
ただ外から見ると畏怖する黒船も、龍馬のように咸臨丸に自分で乗ってみれば、それがまったく異質のものではないというのが分かるでしょう。
そういう意味ではまず触れるという観点で書いてみました。
そして悩み多き幕末の後の日本が和と洋を折衷して世界に伸びて言ったように、PCオーディオって言うものをパソコンという文化とオーディオという文化の融合と位置づけるならば、異なる文化の融合がいままでにないものを作り出す可能性があります。
例えば単に楽曲ファイルを再生するだけではなく、Pure Vinylのように従来イコライザというハードで行っていたことをパソコンのソフトウエアで組み替えるというような発想もありますし、もっと考え付かなかったような可能性もたくさん秘めています。それが二つの異文化が融合するメリットでもあります。
もしかするとパソコン苦手意識の強い人はコンピューターというものに抵抗感をもって冷たいものと考えているかもしれません。
しかしそれはいささか心外ではあります。ひとつは前にこの記事で書いたようにデジタルというのは冷たいものではありません。人間もいわばデジタルデータから作られます。またアナログというのは日本語で言うと「相似」のことで、デジタルは「数値表現」のことですから、よく言われるような「断続と連続」のように相反する概念ではありません。デジタルとかアナログというのは単に表現方式、ものの見方に過ぎません。
もうひとつとして、わたしが最近よくiPhoneとかiPadがらみで昔のアップルとかダイナブックとか60-70年代あたりのコンピューターの理想を書いているのはコンピューター文化というものが熱くて情熱にみちた人間くさいものだからです。
その同じ時代はオーディオにとっても熱くて情熱に満ちた黄金期だったと思います。しかしそのころはこの二つの文化が大きく交わることはありませんでした。
しかし、いまそれが可能になったわけです。
そうしたオーディオやパソコンの青年期は熱く面白かった時代だったのでしょう。しかし、それらが融合できるといういまは、実はもっとエキサイティングな時代なのではないでしょうか?
そうしてPCオーディオを楽しいものと考えてもらえるのが一番の入門かな、とも思います。
2010年03月15日
Asusのオーディオ志向ノートPC
CES2010のときにAsusがB&Oのデザインによるアルミ製のかっこいいノートPCを出していました。これはASUSのフラッグシップというかコンセプトモデルと考えられていましたが、CEBITではもう少し具体的な内容が明かされたようです。
iTech News NX90
面白いのはB&Oはデザインだけでなく、デジタルアンプのICEpower技術も提供しているということです。おそらく左右のウイングがICEpowerのパワードスピーカーになっているように思います。
価格も恐ろしい高くなく、聞くところだと$2500内外という話もあります。USB3.0を装備しているのもポイントです。
またこのフラッグシップだけではなく、普及機の方にもICEpowerを応用したものを出していくようです。
iTech news Nシリーズ
実際はどの程度なのかは聴いてみないと分かりませんが、いずれにせよオーディオ分野を意識してくれるのはいいことですね。
iTech News NX90
面白いのはB&Oはデザインだけでなく、デジタルアンプのICEpower技術も提供しているということです。おそらく左右のウイングがICEpowerのパワードスピーカーになっているように思います。
価格も恐ろしい高くなく、聞くところだと$2500内外という話もあります。USB3.0を装備しているのもポイントです。
またこのフラッグシップだけではなく、普及機の方にもICEpowerを応用したものを出していくようです。
iTech news Nシリーズ
実際はどの程度なのかは聴いてみないと分かりませんが、いずれにせよオーディオ分野を意識してくれるのはいいことですね。
2010年03月05日
PCオーディオ展開催 !
さていよいよ明日、PCオーディオに特化したイベントであるPCオーディオ展が開催されます。
わたしもうちのブログで書いているような機器をもって参加します。
ヘッドホン祭だともう慣れたもの、という感じだけど、いざPCオーディオ展ってなにしよう、と考えてしまいます。
PCオーディオ展を行う意味として、最近はカオスのようにいろいろな様相を見せるPCオーディオの世界ですが、その状況を整理して、やがてはヘッドホン祭のようにトレンドを発信できるイベントになればいいなと思います。そのためにはヘッドホン祭でヘッドホンのバランス駆動をやったみたいにテーマ設定が必要かなとも考えています。
そこで今回は「Async転送方式USB DAC」をテーマのひとつとしたいと考えています。その嚆矢たるWavelength社のProtonも持って行きますが、フェーズテックさんのご好意でHD-7Aをお借りして「最新Async転送方式USB DAC事情」という感じで展示してみたいと思っています。もしかするとQB-9も使えるかもしれません。
それと小型のDACportを使って「ポータブルPCオーディオ」なども展示してみようと思います。
持って行くPCはMacbook AirとLet's note W5、そしてNetwalkerを持っていく予定です。
PCオーディオではハードだけではなく、ソフトも必要です。
MacではAmarra miniがメインですが、今回タイミングのよいことにPure Vinylの単体プレーヤー版であるPure Music Playerがリリースされたので、「Amarraだけではない、Macの高品質プレーヤー対決」ということでAmarraとPure Music Playerを使おうと考えています。
ただデモは見栄えがよいのでPure Vinylを使うかもしれません。(これは見ると分かります)
WindowsではFoobar2000とuPnP(DLNA)の組み合わせをモバイルルーターを介してやってみるということで、ネットワーク方面も押さえておこうと思います。それとiZotopeのOzoneも使おうと思います。
今回は会場がアパートの中なのでスピーカーでもあまり鳴らせません。そこで再生機器はヘッドホンかデスクトップスピーカーとなります。
そこで再生機器はHeadroomとHD800、またはAudioEngine2を使おうかと考えています。
さて、どうなるか。まずはやってみないとわかりませんね。
わたしもうちのブログで書いているような機器をもって参加します。
ヘッドホン祭だともう慣れたもの、という感じだけど、いざPCオーディオ展ってなにしよう、と考えてしまいます。
PCオーディオ展を行う意味として、最近はカオスのようにいろいろな様相を見せるPCオーディオの世界ですが、その状況を整理して、やがてはヘッドホン祭のようにトレンドを発信できるイベントになればいいなと思います。そのためにはヘッドホン祭でヘッドホンのバランス駆動をやったみたいにテーマ設定が必要かなとも考えています。
そこで今回は「Async転送方式USB DAC」をテーマのひとつとしたいと考えています。その嚆矢たるWavelength社のProtonも持って行きますが、フェーズテックさんのご好意でHD-7Aをお借りして「最新Async転送方式USB DAC事情」という感じで展示してみたいと思っています。もしかするとQB-9も使えるかもしれません。
それと小型のDACportを使って「ポータブルPCオーディオ」なども展示してみようと思います。
持って行くPCはMacbook AirとLet's note W5、そしてNetwalkerを持っていく予定です。
PCオーディオではハードだけではなく、ソフトも必要です。
MacではAmarra miniがメインですが、今回タイミングのよいことにPure Vinylの単体プレーヤー版であるPure Music Playerがリリースされたので、「Amarraだけではない、Macの高品質プレーヤー対決」ということでAmarraとPure Music Playerを使おうと考えています。
ただデモは見栄えがよいのでPure Vinylを使うかもしれません。(これは見ると分かります)
WindowsではFoobar2000とuPnP(DLNA)の組み合わせをモバイルルーターを介してやってみるということで、ネットワーク方面も押さえておこうと思います。それとiZotopeのOzoneも使おうと思います。
今回は会場がアパートの中なのでスピーカーでもあまり鳴らせません。そこで再生機器はヘッドホンかデスクトップスピーカーとなります。
そこで再生機器はHeadroomとHD800、またはAudioEngine2を使おうかと考えています。
さて、どうなるか。まずはやってみないとわかりませんね。
2010年02月28日
WiMaxモバイルルーター、どこでもネットワーク
今回はパソコンのネットワーク周辺機器についての紹介です。
ふつうノートパソコンやiPhoneを外出中にどこでもインターネットにつなげるには3Gなどの移動体通信を使用します。一方で家や特定のホットスポットで高速につなげたい場合には無線LANを使用します。
両方兼ね備えられると理想的ですが、昨年くらいからはじまったWiMaxというサービスはこの理想に一歩近づいたものです。つまりどこでもホットスポットのようなものです。
他の高速回線よりも月あたり割安で、出張時などひと月だけでも使えます。
よいとこどりのシテスムではありますが、もちろん問題はあります。
Wimaxでは電波の直線性が強いため、ひとつのアンテナで遠くまで届きますが、部屋や遮蔽物など中に回り込むことがむずかしい特性もあります。また、始まったばかりなので、まだ使えるのは都市圏近郊に限られてしまいます。カバーエリア等はこちらをご覧ください。
http://www.uqwimax.jp/
普通の無線LANとの親和性もあるためにパソコンに内蔵タイプも出てきていますが、多くはUSBアダプタなどを使うことになります。
しかしここに面白い選択肢があります。それがこれ、電池で動くポータブル無線ルーターです。
ルーターというのはインターネットの分配器のようなものです。普通の無線ルーター(アクセスポイント)は家に固定してADSLなどにつないでそれから家中のPCで無線ネットを作ります。このポータブルルーターはバッテリー駆動で単体で動作します。(USBでネットアダプタとしても動作します)
つまりWiMaxの信号をうけて、それを範囲内のPCに分配できます。これがカバンに入れて使えるわけです。
PCやiPhoneからみると普通の無線ルーターと同じですので無線LANさえ付いていれば、WiMaxアダプタがなくても、複数台がこれに接続できます。つまり電車の中でも喫茶店の机の上でも自分だけのネットワークを形成できます。
さっそく使ってみましたが、なかなか画期的です。まず電車の中でも歩いていてもiPhoneで無線LAN接続ができます。これは通常は制限されている大容量のアプリやiTunesの使用が可能です。iTunesがどこでも使えると試聴し放題です。ただし大容量のアプリについては最近この制限が10MBから20MBに緩和されたので、有用性は減ったかもしれません。
Netwalkerなども同時につなぐことができます。Linuxだと接続アダプタに不安があったりしますが、これは内蔵無線LANを使うのでまったく問題ありません。
なかなかすばらしいんですが、問題もまたあります。
実際使ってみるとWimaxは意外と屋内まで入ってきます。XPのデスクトップにUSB無線アダプターだと実測で下り3-4Mbps、Macbook Airだと5-7Mbps程度出ていますので満足感ありますが、iPhoneなどで外で使うと体感速度にかなり波があります。また電車のように高速移動中だとかなり効率は落ちるように思います。沿線にも寄ると思いますが、カバー地帯でもブラックホールもまた多いように思います。安定性では3Gの方が安定して使えます。
たとえばiPhoneのSpeedtestアプリを使い計測すると、3Gは下りがだいたい1.5Mbsp - 2.3Mbpsくらいですが、上りは0.2Mbpx - 0.3Mbpsくらいです。たいしてWimaxは下りが1.5Mbps - 1.8Mbps、上りは1.8Mbps - 2.0Mbpsです。上りの方が平均して早いというのもなんですが、相性もあるかもしれません。
Wimaxで感度が3本立つ都内でも試してみましたが、近郊でも都内でもこの傾向は基本的に同じです。
はじめはiPadではこれなら3Gはいらないかと思ってましたが、iPadはiPhoneの延長にあるだろうことと、どこでも安定した接続を得るためには3Gがやはりよいかもしれません。ただしiPadはiPhoneと無線チップを変えてくるかもしれませんので、この辺は定かではありません。
また製品としては2.5時間しか電池が持たないというのが難ではあります。やや熱を持つというのもバッグで触れているものによっては問題かもしれません(ほんのりという程度ではありますが)。
ただ新しいモバイルの形を考えさせてくれるデバイスではあります。自前の無線LANを持ち歩くというのは応用性が広がります。
*最後に簡単に使い方を紹介しておきます。
まずはじめだけ製品を立ち上げるためにWindows PCが必要です。その後はMacでもLinuxでもiPhoneでも使えます。
はじめにUSBケーブルでWinodwsPCに接続します。するとドライバーがインストールされて、そのPCでモバイルルーターが認識されます。そうすると一時的なWimax接続状態になるので、その状態でプロバイダーを選びます。UQ直以外でもSo-netなどを使うこともできます。または15日間のお試し期間ということでも使えます。
ここまでできたら、後はケーブルを外しても単体のバッテリーで動きます。
ふつうノートパソコンやiPhoneを外出中にどこでもインターネットにつなげるには3Gなどの移動体通信を使用します。一方で家や特定のホットスポットで高速につなげたい場合には無線LANを使用します。
両方兼ね備えられると理想的ですが、昨年くらいからはじまったWiMaxというサービスはこの理想に一歩近づいたものです。つまりどこでもホットスポットのようなものです。
他の高速回線よりも月あたり割安で、出張時などひと月だけでも使えます。
よいとこどりのシテスムではありますが、もちろん問題はあります。
Wimaxでは電波の直線性が強いため、ひとつのアンテナで遠くまで届きますが、部屋や遮蔽物など中に回り込むことがむずかしい特性もあります。また、始まったばかりなので、まだ使えるのは都市圏近郊に限られてしまいます。カバーエリア等はこちらをご覧ください。
http://www.uqwimax.jp/
普通の無線LANとの親和性もあるためにパソコンに内蔵タイプも出てきていますが、多くはUSBアダプタなどを使うことになります。
しかしここに面白い選択肢があります。それがこれ、電池で動くポータブル無線ルーターです。
ルーターというのはインターネットの分配器のようなものです。普通の無線ルーター(アクセスポイント)は家に固定してADSLなどにつないでそれから家中のPCで無線ネットを作ります。このポータブルルーターはバッテリー駆動で単体で動作します。(USBでネットアダプタとしても動作します)
つまりWiMaxの信号をうけて、それを範囲内のPCに分配できます。これがカバンに入れて使えるわけです。
PCやiPhoneからみると普通の無線ルーターと同じですので無線LANさえ付いていれば、WiMaxアダプタがなくても、複数台がこれに接続できます。つまり電車の中でも喫茶店の机の上でも自分だけのネットワークを形成できます。
さっそく使ってみましたが、なかなか画期的です。まず電車の中でも歩いていてもiPhoneで無線LAN接続ができます。これは通常は制限されている大容量のアプリやiTunesの使用が可能です。iTunesがどこでも使えると試聴し放題です。ただし大容量のアプリについては最近この制限が10MBから20MBに緩和されたので、有用性は減ったかもしれません。
Netwalkerなども同時につなぐことができます。Linuxだと接続アダプタに不安があったりしますが、これは内蔵無線LANを使うのでまったく問題ありません。
なかなかすばらしいんですが、問題もまたあります。
実際使ってみるとWimaxは意外と屋内まで入ってきます。XPのデスクトップにUSB無線アダプターだと実測で下り3-4Mbps、Macbook Airだと5-7Mbps程度出ていますので満足感ありますが、iPhoneなどで外で使うと体感速度にかなり波があります。また電車のように高速移動中だとかなり効率は落ちるように思います。沿線にも寄ると思いますが、カバー地帯でもブラックホールもまた多いように思います。安定性では3Gの方が安定して使えます。
たとえばiPhoneのSpeedtestアプリを使い計測すると、3Gは下りがだいたい1.5Mbsp - 2.3Mbpsくらいですが、上りは0.2Mbpx - 0.3Mbpsくらいです。たいしてWimaxは下りが1.5Mbps - 1.8Mbps、上りは1.8Mbps - 2.0Mbpsです。上りの方が平均して早いというのもなんですが、相性もあるかもしれません。
Wimaxで感度が3本立つ都内でも試してみましたが、近郊でも都内でもこの傾向は基本的に同じです。
はじめはiPadではこれなら3Gはいらないかと思ってましたが、iPadはiPhoneの延長にあるだろうことと、どこでも安定した接続を得るためには3Gがやはりよいかもしれません。ただしiPadはiPhoneと無線チップを変えてくるかもしれませんので、この辺は定かではありません。
また製品としては2.5時間しか電池が持たないというのが難ではあります。やや熱を持つというのもバッグで触れているものによっては問題かもしれません(ほんのりという程度ではありますが)。
ただ新しいモバイルの形を考えさせてくれるデバイスではあります。自前の無線LANを持ち歩くというのは応用性が広がります。
*最後に簡単に使い方を紹介しておきます。
まずはじめだけ製品を立ち上げるためにWindows PCが必要です。その後はMacでもLinuxでもiPhoneでも使えます。
はじめにUSBケーブルでWinodwsPCに接続します。するとドライバーがインストールされて、そのPCでモバイルルーターが認識されます。そうすると一時的なWimax接続状態になるので、その状態でプロバイダーを選びます。UQ直以外でもSo-netなどを使うこともできます。または15日間のお試し期間ということでも使えます。
ここまでできたら、後はケーブルを外しても単体のバッテリーで動きます。
2010年02月17日
Auditorium - 音楽とゲームの融合
PCオーディオ系の記事はなかなか硬く難しくなってしまうことが多いんですが、ちょっと息抜きでもいかがでしょうか。
PCで楽しめる音学はミュージシャンの演奏だけではありません。PCとオーディオが融合することにより、いままでになかった形で「音」を楽しむことができるようになります。その一例として音楽とゲームの融合であるAuditoriumを紹介します。
ゲームと音楽といっても、ゲームのサントラを楽しむということではありません。
このAuditoriumはパズルを解くことで音楽を形作っていきます。プレーヤー自身がゲームをしながら音楽を作り上げていくという感覚でもあります。
おそらく説明するよりやったほうが早いと思います。
もともとAuditoriumはMacやiPhone用のゲームとして売られていますが、こちらの公式サイトにフラッシュ版があり、無料でさわりを楽しむことができます。
こちらがサイトです。オーディオをオンにしてからアクセスしてください。
http://www.playauditorium.com/
サイトが表示されたら真ん中の画像エリアをクリックしてください。すると全画面にゲームエリアが表示されます。全画面がいやなときはESCを押下するともとのサイズに戻ります。
すると色の付いたボックスと色の付いた「流れ」が見て分かると思います。
パズルの目的はこの流れをボックスに誘導して、「音楽」をためることです。ボックスいっぱいになると一面終了です。
はじめは無音です。流れがボックスに触ることで、ボックス固有の音楽が流れ始めます。
初期状態(写真上左)ではいつまでもなにも起こらないので、矢印のマークをマウスで移動させます。サークルをマウスでつかんで下にドラッグしてください(写真上右)。
矢印マークが「流れ」に触れると流れの方向が変わります。そうして流れを誘導してボックスに導いていきます。すべてのボックスに音がいっぱいたまったら面クリアとなります。
以降の面ではふたつ以上のサークルを組み合わせていきます。たとえば上左の写真のようにまず右に曲げて、次に上に曲げます。またサークルは周囲をつかむことで大きくでき、曲げる範囲を広げられます。上右の写真がそれです。
面が進むと複雑になっていくのでこの辺をうまく使う必要があります。さきには矢印以外のコントロールもどんどん出てきます。
あるボックスではそのボックス固有のフレーズが繰り返されるだけです。ボックスはそれぞれ異なるメロディーを持っていて、複数のボックスが流れに染まることによって、それらが複雑にハーモニーを奏でていきます。つまり本当の面白さは面が複雑になってきたときですし、音楽が美しくなるのもそうしてからです。
(下の写真はiPhoneでの画像です)
映像的にも美しく、複雑な面ほど複雑に構成された音楽を楽しむことができ、映像も華やかになります。良いPCオーディオ機材でやっていると感動的な体験ができます。
iTunes Storeのリンクはこちらです。
http://itunes.apple.com/jp/app/auditorium/id333188474?mt=8
よいPCオーディオ機材で聴いて、この美しい世界を楽しんでください。
PCで楽しめる音学はミュージシャンの演奏だけではありません。PCとオーディオが融合することにより、いままでになかった形で「音」を楽しむことができるようになります。その一例として音楽とゲームの融合であるAuditoriumを紹介します。
ゲームと音楽といっても、ゲームのサントラを楽しむということではありません。
このAuditoriumはパズルを解くことで音楽を形作っていきます。プレーヤー自身がゲームをしながら音楽を作り上げていくという感覚でもあります。
おそらく説明するよりやったほうが早いと思います。
もともとAuditoriumはMacやiPhone用のゲームとして売られていますが、こちらの公式サイトにフラッシュ版があり、無料でさわりを楽しむことができます。
こちらがサイトです。オーディオをオンにしてからアクセスしてください。
http://www.playauditorium.com/
サイトが表示されたら真ん中の画像エリアをクリックしてください。すると全画面にゲームエリアが表示されます。全画面がいやなときはESCを押下するともとのサイズに戻ります。
すると色の付いたボックスと色の付いた「流れ」が見て分かると思います。
パズルの目的はこの流れをボックスに誘導して、「音楽」をためることです。ボックスいっぱいになると一面終了です。
はじめは無音です。流れがボックスに触ることで、ボックス固有の音楽が流れ始めます。
初期状態(写真上左)ではいつまでもなにも起こらないので、矢印のマークをマウスで移動させます。サークルをマウスでつかんで下にドラッグしてください(写真上右)。
矢印マークが「流れ」に触れると流れの方向が変わります。そうして流れを誘導してボックスに導いていきます。すべてのボックスに音がいっぱいたまったら面クリアとなります。
以降の面ではふたつ以上のサークルを組み合わせていきます。たとえば上左の写真のようにまず右に曲げて、次に上に曲げます。またサークルは周囲をつかむことで大きくでき、曲げる範囲を広げられます。上右の写真がそれです。
面が進むと複雑になっていくのでこの辺をうまく使う必要があります。さきには矢印以外のコントロールもどんどん出てきます。
あるボックスではそのボックス固有のフレーズが繰り返されるだけです。ボックスはそれぞれ異なるメロディーを持っていて、複数のボックスが流れに染まることによって、それらが複雑にハーモニーを奏でていきます。つまり本当の面白さは面が複雑になってきたときですし、音楽が美しくなるのもそうしてからです。
(下の写真はiPhoneでの画像です)
映像的にも美しく、複雑な面ほど複雑に構成された音楽を楽しむことができ、映像も華やかになります。良いPCオーディオ機材でやっていると感動的な体験ができます。
iTunes Storeのリンクはこちらです。
http://itunes.apple.com/jp/app/auditorium/id333188474?mt=8
よいPCオーディオ機材で聴いて、この美しい世界を楽しんでください。
2010年02月08日
Macbook Air購入とMacとWindows
*軽い前置き
というわけでMac買いました。
わたしはもともとPlusからMacを使ってたんですが、アメリオ時代のAppleの凋落と使用したい周辺機材がやはりIBM-PC(Windows)系でないと使えないということで、最後に20周年記念Macを買ってさよならしていました。その辺からずっとWindowsを使ってきてます。
この時代のMacの苦悩は経営ということもありますが、Mac自体が新世代OSにいつまでも移行できなかったというのが最大の障害でした。(WindowsはNTで移行しています。この辺は名著「闘うプログラマー」に詳しく書いてあります)
その後ジョブズが戻って、Macの中身をすっかりNeXTと入れ替えて新世代OSをもたらしました。さらにiMacで商業的な成功を収めて、この新世代OSと経営的な課題を一気に解決しました。
この辺をちょっと書いたのはMacを買った言い訳とともにMacのオーディオ機能であるCore Audioの話をする前振りになります。
そして途中を10年ほど飛ばしますが、2009年後半からうわさになっていたiPadへのわたしの妄想というのはMacとiPhoneの両用というものでした。しかし先々週、深夜まで発表を見ていたわたしの前に現れたのはその半分だけのものでした。
既述したように、まあそれはそれでよいかと考えるようになったんですが、そうしたらその落ちてしまった半分のほうがほしくなってしまったというわけです。
*Macbook Air (Core2Duo 2.13GHz、128GB SSDモデル)
というわけで久しぶりに聞くぽーんという起動音、Macbook Airです。
Macbook proという現実的選択よりも、Airの現実歪曲空間のほうが強く作用したと言うわけですが、実際に手にしてみるとたしかに、かっこいいにもほどがある、としか言えません。
Airはそれだけではなくなかなか中身もあります。
もともと最近スモールノートPCの記事を書いてたのはポータブルPCオーディオということもありますが、写真撮るときにPCを持っていって写真のセレクトと現像は現地とか電車の中でやりたいので、なんとかできないかと考えていたこともあります。結果としてAtomベースのマシンではこうした用途にはまったく対応できないというのは分かりました。現像は止まったかと思うほど、プレビューはぎくしゃくというわけです。
Airだと現像はデスクトップほどではなくてもそれなりに実用的な速度で行えます。またプレビューはほとんど瞬時にやってくれるのでセレクトにはまったく申し分ありません。思ってたよりも優秀です。
キーボードも過不足なく、外でなにか書いたりするのは気持ちよくできそうです。ちょっと画面解像度が狭いという点とUSB一基という点が難ではありますが、ここはいたしかたなしでしょう。
モノとしての魅力も含めて、かなり満足感は高いですね。
久しぶりとは言ってもわたしは会社ではMacも多少は使っているので、OS Xはまったく知らないわけではありません。
MacOSも私が前にSystem6とか7で使っていたときはコマンドコンソールは出したくてもその概念が存在しなかったわけですが、いまは物理アドレスを確認するときにはターミナルを出してifconfigとかコマンド打つ方が早いなんていう違和感もあったりしますので、似て非なる人という感覚もないことはありません。しかし全体にはより魅力的になったと思います。この辺は前置きに書いたとおりのことですね。
*PCオーディオとプラットフォーム(OS)による音の差
音楽メインで買ったわけではないんですが、当然オーディオ系も即試してみました。
簡単にこのMac Airと今メインのXPのデスクトップPCで聴き比べて試してみました。どちらも最新のiTunesを使用して、同じ楽曲ファイル(ALAC)、同じUSB DAC(DACport)、同じヘッドホン(Edition8)で比べてみるとMacの方がかなり音が良いのに驚きます。クリアさに大きく差が出ますね。それではとXPでいろいろ設定したFoobar2000とASIO4ALLを使ってみても、やはりなにもしてない買ったばかりのiTunesの方があっさりとより良く聞こえます。
基本的にかなり差になっているのはクリアさ、透明感です。XPではASIO4ALLを使ってもMacに比べると曇りがとれていません。
うちのXPはいろんなことをやるために使っているので、そんなにオーディオ向けにカスタマイズして軽くしているわけではありません。それでもこの差は決定的なものに思えます。デスクトップとSSDノートの違いもあるかもしれませんが、Macの方はスペック的には高くない低電圧CPUのAirですし、かたやXPはCore2Quadのマシンですからね。
もちろんiTunesで実際に音を出しているQuicktime自体の実装もはじめからOSの一部になっているMacとは異なるかもしれないので、正確な比較ではないかもしれませんし、そういう比較をする意図もないのですのですが、この差はちょっと考えさせられます。
新世代OSになる前はWindowsもMacもOSでサポートしているオーディオの仕組みに関してはそれほど優れたわけではなかったといえます。そんな理由でサードパーティーからASIOのような高品質・低レイテンシー(遅延)の仕組みが提案されてきたんだと思いますが、この問題にはじめに取り組んだのはより音楽分野で使われてきたMacの方です。MacではOS XからCore Audioというこうした高品質オーディオを実現する仕組みがOSレベルで取り入れられるようになりました。
Windowsの方は遅れてVistaからこの仕組みに取り組んでいます。なぜか同じCore audioと呼んでいるようですが、WASAPIもこれに含まれます。ゲームなどでよくいうDirectSoundはこのひとつ上のレイヤーのようなので、より深いレベルでの対策がWindowsでは遅れたということになりますね。
そういう意味でMac OS Xとはこの点でVistaやWindows7と比べるのが妥当とはいえます。
もうひとつの考慮点はXPのfoobar&ASIO4ALLとMacのiTunesを比べるとたしかに透明感ではMacのiTunesの方が上ですが、もう少し別な見方(聴き方)をしてみると、オーディオ的な意味での厚みとか実体感と言うような点ではそうとはいえません。
つまりここでの考察として透明感はプラットフォームのOSの差であり、厚みや解像感などはプレーヤーの差ではないかということです。
そこで次にMacで手に入るプレーヤーソフト間で比べてみることにしました。MacはさすがにWindowsほどのプレーヤーソフトのバリエーションはありませんが、探してみるといくつかの選択はあります。
ここではAmarra mini(1.2デモ版)、Cog、Play、Songbird、VLCなどを比べてみました。
結果的に言うとやはりプレーヤーソフト間の音質の差はありますね。
CogとPlayが音質的には良いと思いました。Cogは繊細でPlayはダイナミックな良さがあります。
iTunesを元にすると、CogとかPlayがWindowsでいうとFoobar2000とかWinampのレベル、AmarraはSamplitudeとかXXHiEndなどのオーディオファイル向けプレーヤーで紹介しているレベルと言えます。ただAmarraはもっと良いかもしれません。
ハイサンプリングを使ったCogもかなりいいレベルですが、さすがにAmarraは品格を感じるほど高いオーディオ的な満足と透明感があります。
わたしがいままで聴いたなかではこのMacとAmarraの音が一番いいですね。
こうしてMacとXPで見てみると、OSというかプラットフォームでもPCオーディオの音に違いがあるということが分かります。USBオーディオのよさはクロスプラットフォームという点もありますので、この辺は比較が容易です。USB DACの台頭は周辺機器サポートが少ないMacにプラスとなるでしょうね。
そういう意味ではWindowsとMacのほかにもうひとつ取り組まねばならないプラットフォームもあります。というわけで最近は勉強かたがたこういうオレンジ色のもやってます。
これはNetwalkerで動作しているUbuntu9.04(Linux)とdenDAC、JH13の組み合わせです。なかなか音質は侮れないものがありますが、問題というか課題もまた多し、というところです。
世界はかく広く、やることも多い。。
2010年02月01日
PCオーディオ展開催!
PCオーディオ展の開催が下記のように決まりました。
http://avic.livedoor.biz/archives/51381565.html
今回はまた原点に立ち返ってあのブロードウエイの会議場で行います。それで会場の都合もあり、あまり大きな音出しができないので基本的には小型のデスクトップタイプかヘッドホン用機材をメインにすえることになると思います。それもあり今回は予約制を取るということです。
CESやさまざまなニュースの示すようにPCオーディオも多様なカタチがあり、どうなっていくのかわかりませんが、このショウも一からはじめることで多様に発展していけるといいですね。
http://avic.livedoor.biz/archives/51381565.html
今回はまた原点に立ち返ってあのブロードウエイの会議場で行います。それで会場の都合もあり、あまり大きな音出しができないので基本的には小型のデスクトップタイプかヘッドホン用機材をメインにすえることになると思います。それもあり今回は予約制を取るということです。
CESやさまざまなニュースの示すようにPCオーディオも多様なカタチがあり、どうなっていくのかわかりませんが、このショウも一からはじめることで多様に発展していけるといいですね。
2010年01月18日
「PCオーディオ展」(仮)開催予定 !
中野のヘッドホン祭もすっかり定着してきました。
ヘッドホン祭のよいところのひとつはテーマがはっきりしたオーディオショウであるというところだと思います。ヘッドホンって最近はバランスやらリケーブルやら多種多様なものが出ていますが、こうした統一性のあるオーディオショウがあることでひとつユーザー側としてもまとまりのある流れとして見ることができると思います。
一方で最近注目されているPCオーディオでも、やはり多種多様な製品がたくさん出てきて、ユーザーもわけ分からん状態になってると思いますし、PCの設定など普通のオーディオファンにとって分かりにくいでしょう。
もしPCオーディオでもやはりテーマのはっきりしたオーディオショウがあれば、ユーザーとしてもわかりやすいし、そうした流れをまとめていくことができるのではないかと思います。
そこで今年新しい試みとして「PCオーディオ展(仮)」が開催される予定です !
http://avic.livedoor.biz/archives/51372660.html
詳細はまた追って明らかになると思いますが、ヘッドホン祭がそうだったようにはじめは少しずつという形になるのではないかとは思います。
わたしも最近書いてる怪しいのをもって参加する予定です。
普通のオーディオショウだと高級なCDプレーヤーがずらりと並べられていて別世界という感じですが、PCがソース機材ならばみな家に帰っても同じ音がだせるという期待感が持てるように思います。
ハイサンプリング・ハイエンドオーディオと融合させて音を突き詰めたり、デスクトップで文書を書いたりネットしながら高音質を楽しんだりと、いろんなかたちがあると思います。
またこの試みを通していろいろと発見して行きたいですね。
ヘッドホン祭のよいところのひとつはテーマがはっきりしたオーディオショウであるというところだと思います。ヘッドホンって最近はバランスやらリケーブルやら多種多様なものが出ていますが、こうした統一性のあるオーディオショウがあることでひとつユーザー側としてもまとまりのある流れとして見ることができると思います。
一方で最近注目されているPCオーディオでも、やはり多種多様な製品がたくさん出てきて、ユーザーもわけ分からん状態になってると思いますし、PCの設定など普通のオーディオファンにとって分かりにくいでしょう。
もしPCオーディオでもやはりテーマのはっきりしたオーディオショウがあれば、ユーザーとしてもわかりやすいし、そうした流れをまとめていくことができるのではないかと思います。
そこで今年新しい試みとして「PCオーディオ展(仮)」が開催される予定です !
http://avic.livedoor.biz/archives/51372660.html
詳細はまた追って明らかになると思いますが、ヘッドホン祭がそうだったようにはじめは少しずつという形になるのではないかとは思います。
わたしも最近書いてる怪しいのをもって参加する予定です。
普通のオーディオショウだと高級なCDプレーヤーがずらりと並べられていて別世界という感じですが、PCがソース機材ならばみな家に帰っても同じ音がだせるという期待感が持てるように思います。
ハイサンプリング・ハイエンドオーディオと融合させて音を突き詰めたり、デスクトップで文書を書いたりネットしながら高音質を楽しんだりと、いろんなかたちがあると思います。
またこの試みを通していろいろと発見して行きたいですね。
2009年11月25日
NuforceからUSB DAC "uDAC"登場
NuForceからなんと小型のUSB DACが登場しています。
http://amazon.nuforce-icon.com/NuForce-Icon-uDAC/M/B002VNIRWM.htm
バスパワーで動作するUSB DACにヘッドホンアンプも付いています。
また流行のUSB->SPDIF変換機能もあります。
Head Fiの方にはおなじみHeadphoneaddict氏のレビューがさっそく載っています。
http://www.head-fi.org/forums/f7/first-impressions-nuforce-udac-usb-dac-amp-line-out-s-pdif-out-456945/#post6178849
USBレシーバーのPCM2706からI2SでDACチップにデジタル信号を取り出して、そこでジッター低減をDSPで行うとあります。DSPでジッター低減するというとベンチマークDAC1などのASRCを思わせます。
DACチップはRSAアンプのオペアンプよろしくモデル名が消されているようです。
DACやアンプ部はディスクリートのようですが、DACチップはICでしょうから後段のI/V変換なんかがディスクリート設計なのでしょうか。
レビューではUE11の低域なんかもうまくコントロールしているということで、なかなかヘッドホンアンプ部分も性能が良いようです。iBasso D4やPico DACとの比較でも負けず劣らずというところのようです。
DACもヘッドホンアンプもなかなか良く機能も豊富で価格はなんと$99ということですので、かなりお得ですね。IconとMobileに継ぐ次のヒット商品か?
http://amazon.nuforce-icon.com/NuForce-Icon-uDAC/M/B002VNIRWM.htm
バスパワーで動作するUSB DACにヘッドホンアンプも付いています。
また流行のUSB->SPDIF変換機能もあります。
Head Fiの方にはおなじみHeadphoneaddict氏のレビューがさっそく載っています。
http://www.head-fi.org/forums/f7/first-impressions-nuforce-udac-usb-dac-amp-line-out-s-pdif-out-456945/#post6178849
USBレシーバーのPCM2706からI2SでDACチップにデジタル信号を取り出して、そこでジッター低減をDSPで行うとあります。DSPでジッター低減するというとベンチマークDAC1などのASRCを思わせます。
DACチップはRSAアンプのオペアンプよろしくモデル名が消されているようです。
DACやアンプ部はディスクリートのようですが、DACチップはICでしょうから後段のI/V変換なんかがディスクリート設計なのでしょうか。
レビューではUE11の低域なんかもうまくコントロールしているということで、なかなかヘッドホンアンプ部分も性能が良いようです。iBasso D4やPico DACとの比較でも負けず劣らずというところのようです。
DACもヘッドホンアンプもなかなか良く機能も豊富で価格はなんと$99ということですので、かなりお得ですね。IconとMobileに継ぐ次のヒット商品か?
2009年10月01日
ロッキーマウンテンオーディオフェストとHead-Fi
さて、明日から有楽町でインターナショナル・オーディオショウが開催されますが、時を同じくしてアメリカでも大規模なロッキーマウンテンオーディオフェスト(RMAF)がこの週末に開催されます。
Stereophile誌がその注目トピックとして二点あげているうちの一点でHead-Fiの大きな参画があげられています。
http://www.stereophile.com/news/the_2009_rmaf_starts_friday/
RMAFでCanJamの再現を行うというものです。Jerry HarveyやRay Samuelsなどなどの名前が見えます。伝統のスピーカーオーディオの世界と新興ヘッドホンオーディオの世界の融合がうまく図られることを祈っています。
日本の方も負けてはいられませんね。
秋のヘッドホン祭りは今回は国際色もより豊かに10/31(土)に開催されます。
http://www.fujiya-avic.co.jp/d-style/0910_headphone_fes.html
みなさん、ご参集ください!
Stereophile誌がその注目トピックとして二点あげているうちの一点でHead-Fiの大きな参画があげられています。
http://www.stereophile.com/news/the_2009_rmaf_starts_friday/
RMAFでCanJamの再現を行うというものです。Jerry HarveyやRay Samuelsなどなどの名前が見えます。伝統のスピーカーオーディオの世界と新興ヘッドホンオーディオの世界の融合がうまく図られることを祈っています。
日本の方も負けてはいられませんね。
秋のヘッドホン祭りは今回は国際色もより豊かに10/31(土)に開催されます。
http://www.fujiya-avic.co.jp/d-style/0910_headphone_fes.html
みなさん、ご参集ください!
2009年07月12日
大人の科学 Vol24 4bitマイコン GMC-4
学研の大人の科学はいつも面白そうと思いながらも買ってなかったんですが、今回初めて買いました。付録は4bitマイコンで、GMC-4と言います。
わたしも旧通産省時代のものですが、情報処理技術者の国家資格を持っています。メインフレームからUNIXワークステーション、パソコンまでいろいろいじってきましたが、なんといってもコンピューターの基本はこの形、ワンボード・マイコンです。
GMC-4は組み立てキットですが、簡単なネジ留めのみで作ることができます。単三が3つでこんなにコンパクトです。サイズ的に言うとiPhoneとほぼ同じくらいのモバイル機です(笑)。ただし今と昔では集積率は天文学的な差があります。
世界最初のプロセッサは4bitの4004でトランジスター数は2300個でしたが、いまのCore i7は64bitの処理ができて7億3100万個のトランジスター数です。この何ビットというのはOSの売り文句からアドレス幅とも思われていますが、本来はプロセッサの加算器の大きさで示されます。ただ現在はあまり厳密なものではありません。
4bitとは二進数で4桁あるということです。つまり0000から1111まで表現できるので16通りの表現ができます。16進数で言うと0からFまでです。
GMC-4ではプログラムは今の高級言語で書いている人からは想像できない機械語を16進数で直接書き込みます。B 1 6 4 E B ..という感じですね。アセンブラさえありません。たとえば6(0110)ならばAレジスタ(加算器)にYレジスタ(アドレスポインタ)で示されるアドレスの内容を加算して、桁があふれたらフラグを立てます。次の命令がF(1111)であればそのフラグによって条件分岐します。
まあこんなことが延々と書かれていくのが生の機械が理解するプログラムです。
演算命令には関数計算はおろか引き算さえありません。引き算は補数という考えを導入することで加算で代用できます。加算と論理演算のみのピュアでシンプルな世界です。
GMC-4は実際は現在4bitプロセッサーが入手困難なため、実際は8bitチップです。これは命令を見ると分かりますが、プログラムカウンタとアドレッシングが8bitです。このためより広いアドレス空間を使えますが、厳密に言うと4bitっぽい動作をするプロセッサということになりますね。
8bitはバイトですが、4bitはニブルという単位になります。ただし命令単位は1ワードとも呼びます。このワードというのは狭い意味では16bit(8bitが二個)のことですが、計算処理の一単位を広くワードとも言います。
オーディオでワードシンクというのがありますが、これはCDのPCMデータは16bitの連続なので、16bit(つまりワード)を一単位としてシンクさせるということです。S/PDIFやAES/EBUでも16bit単位でデータは転送されます。仮に24bitであってもワードといってさしつかえありません。
GMC-4の付録プログラムにLEDをアナログ制御するのにPWM(パルス幅変調)で明るさを変えるというものがあります。
これを見るとデジタルの世界ではアナログ的に機器を制御するのにオンとオフの時間比を変えるというPWMという考え方が適合するというのが分かると思います。
この辺はD級のデジタルアンプの理解にも通じるでしょう。
最近オーディオでもゼロイチという言葉がよく使われますが、実際にゼロとイチの世界はどういうものかということをこの学研の科学の付録で学んでみるというのも良いかもしれませんね。
わたしも旧通産省時代のものですが、情報処理技術者の国家資格を持っています。メインフレームからUNIXワークステーション、パソコンまでいろいろいじってきましたが、なんといってもコンピューターの基本はこの形、ワンボード・マイコンです。
GMC-4は組み立てキットですが、簡単なネジ留めのみで作ることができます。単三が3つでこんなにコンパクトです。サイズ的に言うとiPhoneとほぼ同じくらいのモバイル機です(笑)。ただし今と昔では集積率は天文学的な差があります。
世界最初のプロセッサは4bitの4004でトランジスター数は2300個でしたが、いまのCore i7は64bitの処理ができて7億3100万個のトランジスター数です。この何ビットというのはOSの売り文句からアドレス幅とも思われていますが、本来はプロセッサの加算器の大きさで示されます。ただ現在はあまり厳密なものではありません。
4bitとは二進数で4桁あるということです。つまり0000から1111まで表現できるので16通りの表現ができます。16進数で言うと0からFまでです。
GMC-4ではプログラムは今の高級言語で書いている人からは想像できない機械語を16進数で直接書き込みます。B 1 6 4 E B ..という感じですね。アセンブラさえありません。たとえば6(0110)ならばAレジスタ(加算器)にYレジスタ(アドレスポインタ)で示されるアドレスの内容を加算して、桁があふれたらフラグを立てます。次の命令がF(1111)であればそのフラグによって条件分岐します。
まあこんなことが延々と書かれていくのが生の機械が理解するプログラムです。
演算命令には関数計算はおろか引き算さえありません。引き算は補数という考えを導入することで加算で代用できます。加算と論理演算のみのピュアでシンプルな世界です。
GMC-4は実際は現在4bitプロセッサーが入手困難なため、実際は8bitチップです。これは命令を見ると分かりますが、プログラムカウンタとアドレッシングが8bitです。このためより広いアドレス空間を使えますが、厳密に言うと4bitっぽい動作をするプロセッサということになりますね。
8bitはバイトですが、4bitはニブルという単位になります。ただし命令単位は1ワードとも呼びます。このワードというのは狭い意味では16bit(8bitが二個)のことですが、計算処理の一単位を広くワードとも言います。
オーディオでワードシンクというのがありますが、これはCDのPCMデータは16bitの連続なので、16bit(つまりワード)を一単位としてシンクさせるということです。S/PDIFやAES/EBUでも16bit単位でデータは転送されます。仮に24bitであってもワードといってさしつかえありません。
GMC-4の付録プログラムにLEDをアナログ制御するのにPWM(パルス幅変調)で明るさを変えるというものがあります。
これを見るとデジタルの世界ではアナログ的に機器を制御するのにオンとオフの時間比を変えるというPWMという考え方が適合するというのが分かると思います。
この辺はD級のデジタルアンプの理解にも通じるでしょう。
最近オーディオでもゼロイチという言葉がよく使われますが、実際にゼロとイチの世界はどういうものかということをこの学研の科学の付録で学んでみるというのも良いかもしれませんね。
2009年06月19日
PCオーディオfan発刊
オーディオBASIC誌の別冊ムック本として「PCオーディオファン」が発売されました。
オーディオBASICには連載のPCオーディオコラムがありますが、それがムックに拡大したという感じです。
PCオーディオに対するオーディオからのアプローチという感じで、設定など基礎的なことから、FireFaceなどオーディオインターフェースの紹介、LINN DSやAyre QB-9など機器紹介・レビュー、高品質ソースの入手法などいろいろとカバーしています。
またオーディオBASICというとおまけとしてついてくるCDが好評ですが、今回はなんとハイサンプリングの音源がCDの付録として付いています。96/24のWAVファイルが5曲ついていますが、これは古楽のアントネッロのミュージシャンによるものです。アントネッロは日本の古楽グループで下記にちょっと記事を書いています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/29373884.html
わたしはSamplitude->CardDeluxe->Signature30->JB3という組み合わせで再生していますが、なかなか鮮烈で空間の深みを感じられます。
最後の曲の現代的な古楽演奏なんかはアントネッロらしくて良いですね。
また巻末には「iPodを楽しむ」という綴じ付録が付いています。
オーディオBASICには連載のPCオーディオコラムがありますが、それがムックに拡大したという感じです。
PCオーディオに対するオーディオからのアプローチという感じで、設定など基礎的なことから、FireFaceなどオーディオインターフェースの紹介、LINN DSやAyre QB-9など機器紹介・レビュー、高品質ソースの入手法などいろいろとカバーしています。
またオーディオBASICというとおまけとしてついてくるCDが好評ですが、今回はなんとハイサンプリングの音源がCDの付録として付いています。96/24のWAVファイルが5曲ついていますが、これは古楽のアントネッロのミュージシャンによるものです。アントネッロは日本の古楽グループで下記にちょっと記事を書いています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/29373884.html
わたしはSamplitude->CardDeluxe->Signature30->JB3という組み合わせで再生していますが、なかなか鮮烈で空間の深みを感じられます。
最後の曲の現代的な古楽演奏なんかはアントネッロらしくて良いですね。
また巻末には「iPodを楽しむ」という綴じ付録が付いています。
2009年05月19日
USB3.0の夜明け
現在のUSB2.0の次の規格となるUSB3.0は昨年後半に制定されましたが、いよいよその実物が出てきました。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090519/330238/
ただし量産はまだこれからで実際に普及し始めるのはさらに後になります。今年の暮れの商戦で搭載PCが出てくるか、いうところで普及は来年から2011年にかけてとなるでしょう。今年の年末はWindows7とともにちょっとパソコン市場もにぎやかになることでしょうね。
オーディオ関係もまた影響を受けるでしょう。
USB3.0は2.0と互換性を持ちつつ、10倍もの高速化を果たしています。ブルーレイの25GBのデータを転送するのにUSB2.0だと14分かかるところがUSB3.0なら1分ちょっとですむということです。USB2.0がよくIEEE1394(FireWire/iLink)と比較されたように、この5GbpsというスピードはHDMIと比較されることになるでしょう。
しかしUSB2.0とIEEE1394はよく転送速度で比較されることが多いのですが、実はUSBとIEEE1394の根本的な違いは接続形態です。
USBはあくまでホストとデバイス(スレーブ)という主従関係で機器を接続します。ホストから呼びにいかなければデバイスはデータを送信できませんし、ホストは常に問い合わせなければならないのでホスト機器は電力消費が若干かさみます。このため、必ずホスト機器であるPCなどが中心に来て、それに各周辺機器がぶら下がるという星型の接続になります。
一方でFireWireは各機器は対等の関係にあり、特別なホスト機器を必要としません。そのため、ビデオカメラとビデオデッキなどデバイス同士を直でつなげます。各機器はデバイスからデバイスへとデイジーチェーンで接続を増やしていけます。これはFireWireがSCSIを意識していた名残なのでしょう。
USB3.0でもはじめはこのホスト/デバイスという関係がなくなる予定だったようですが、結局は残ったようです。この辺はちょっと不明確ですが、そのためUSB3.0とHDMIという時代になっても棲み分けというのは同じようなものになるのかもしれません。FireWireではロイヤリティという問題もありましたが、これも同じような関係が続くのでしょう。
もうひとつ面白いのはこんな高速な転送がシリアルによって行われているという点です。最近パソコンを始めた人は当たり前に思っているかもしれませんが、ちょっと昔はちまちま転送するシリアルよりも並列でどんと転送するパラレルの方が早いに決まっている、という時代がありました。SCSIもパラレルだし、プリンターインターフェースもパラレルでした。シリアル機器というと安価で遅いというイメージでしたね。
しかし考えてみると最近高速転送というのはUSB、FireWire、HDMI、そしてバスのPCI Express、ハードディスクのSATAとみなシリアルです。
これはずいぶん前の記事ですがここに興味深い考察があります。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0403/18/news017.html
簡潔に言うと動作速度が速くなるほど、並列に送っているとばらついて整列できなくなるということです。とにかく一本道でどんどん送ったほうが早く確実ということですね。
こういうレベルになると直感的に考えてもよくわからないという時代になってしまいましたが、時代が変われば考え方も変えないといけないということでしょう。
しかし、こんな記事書いていると3年たって見直すと自分で笑っちゃったりするんですが(^^
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090519/330238/
ただし量産はまだこれからで実際に普及し始めるのはさらに後になります。今年の暮れの商戦で搭載PCが出てくるか、いうところで普及は来年から2011年にかけてとなるでしょう。今年の年末はWindows7とともにちょっとパソコン市場もにぎやかになることでしょうね。
オーディオ関係もまた影響を受けるでしょう。
USB3.0は2.0と互換性を持ちつつ、10倍もの高速化を果たしています。ブルーレイの25GBのデータを転送するのにUSB2.0だと14分かかるところがUSB3.0なら1分ちょっとですむということです。USB2.0がよくIEEE1394(FireWire/iLink)と比較されたように、この5GbpsというスピードはHDMIと比較されることになるでしょう。
しかしUSB2.0とIEEE1394はよく転送速度で比較されることが多いのですが、実はUSBとIEEE1394の根本的な違いは接続形態です。
USBはあくまでホストとデバイス(スレーブ)という主従関係で機器を接続します。ホストから呼びにいかなければデバイスはデータを送信できませんし、ホストは常に問い合わせなければならないのでホスト機器は電力消費が若干かさみます。このため、必ずホスト機器であるPCなどが中心に来て、それに各周辺機器がぶら下がるという星型の接続になります。
一方でFireWireは各機器は対等の関係にあり、特別なホスト機器を必要としません。そのため、ビデオカメラとビデオデッキなどデバイス同士を直でつなげます。各機器はデバイスからデバイスへとデイジーチェーンで接続を増やしていけます。これはFireWireがSCSIを意識していた名残なのでしょう。
USB3.0でもはじめはこのホスト/デバイスという関係がなくなる予定だったようですが、結局は残ったようです。この辺はちょっと不明確ですが、そのためUSB3.0とHDMIという時代になっても棲み分けというのは同じようなものになるのかもしれません。FireWireではロイヤリティという問題もありましたが、これも同じような関係が続くのでしょう。
もうひとつ面白いのはこんな高速な転送がシリアルによって行われているという点です。最近パソコンを始めた人は当たり前に思っているかもしれませんが、ちょっと昔はちまちま転送するシリアルよりも並列でどんと転送するパラレルの方が早いに決まっている、という時代がありました。SCSIもパラレルだし、プリンターインターフェースもパラレルでした。シリアル機器というと安価で遅いというイメージでしたね。
しかし考えてみると最近高速転送というのはUSB、FireWire、HDMI、そしてバスのPCI Express、ハードディスクのSATAとみなシリアルです。
これはずいぶん前の記事ですがここに興味深い考察があります。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0403/18/news017.html
簡潔に言うと動作速度が速くなるほど、並列に送っているとばらついて整列できなくなるということです。とにかく一本道でどんどん送ったほうが早く確実ということですね。
こういうレベルになると直感的に考えてもよくわからないという時代になってしまいましたが、時代が変われば考え方も変えないといけないということでしょう。
しかし、こんな記事書いていると3年たって見直すと自分で笑っちゃったりするんですが(^^
2009年01月14日
CES 2009 - USBインターフェースの潮流
CESのレポートなどを見ていてもUSBからSPDIFに変換するという機材がひとつの潮流となっています。ハイエンドDACなどはUSBの口などを持っていないので、こうした機材はオーディオ機器とPCとの橋渡しとして有効だと思います。
従来はSPDIFで取りだすためにはPCにサウンドカードを増設するというのが一般的だと思いますが、USBでも可能になるという利点のひとつにはノートPCが多くなってきたということ、Macでも対応できるということ、そしてハードが苦手な人でも中を開けずに簡単に設置できるということがあるとおもいます。
手軽さ・柔軟さというほかにもPCの外部に電子機器を置くことでPC内部のノイズに左右されないという利点もあると思います。これは上級のサウンドカードはシールドをもっているということでこうしたことへの対策の重要性がうかがえます。
またインフラノイズのUSB-101などもそうですが、CESで散見されたこうしたUSB->SPDIFコンバーターの多くは内部でかなり高精度のジッター処理を行ってから、質の高いデジタル信号として送り出しているという特徴があります。
従来のUSB DACと言われていたものはどうかというと、まずエントリータイプで多くみられるものはUSB信号のレシーバーチップがそのままDACとしてアナログ変換を行うというものです。これもTIのPCM2702とかそれなりのものを使えばわりとわるくはない音質が得られますが、やはり限界があります。
次に良いものはUSB信号のレシーバーチップではSPDIFへの変換のみ行い、そのデジタル信号を別なDAC専用チップに送るというものです。これがいままででは一番高性能なUSB入力のついたDACだったと思いますが、これでもUSBレシーバーチップで簡易的にSPDIFへの変換を行うだけでは十分なものではなかったのだと思います。今回のCESで見られたようなUSBインターフェース機材はそのUSBを受けてSPDIFに変換するというところをさらに高品質・高精度で行うと考えて良いでしょう。
AyreのUSB DACはコンバーターではありませんが、やはりこうした高度な処理をしていると思われます。
DACも受けるときにそれなりにジッターを抑え込み信号をきれいにするわけですが、実際に高性能なDACであってもトランスポートが違えば音が違うのだから、受けてだけではなく、送り出し側の品質というのもそれなりに必要とされてくるのだとおもいます。
オーディオ機器がコンピューター文化と融合しようという試みは、ポストCDがSACDよりもむしろネット配信になるだろうという流れからも必然性がうかがえると思います。ネットワークを使ったLINN DS系統の流れや、iPodを使ったiTransport系統の流れ、そうしたオーディオからデジタルへのアプローチとはまた別な第3の選択肢として、手持ちのPCを手軽に高性能オーディオ機器につなぐ手段としてこうしたUSBコンバーターの潮流というのはまた活性化されてくるように思います。
従来はSPDIFで取りだすためにはPCにサウンドカードを増設するというのが一般的だと思いますが、USBでも可能になるという利点のひとつにはノートPCが多くなってきたということ、Macでも対応できるということ、そしてハードが苦手な人でも中を開けずに簡単に設置できるということがあるとおもいます。
手軽さ・柔軟さというほかにもPCの外部に電子機器を置くことでPC内部のノイズに左右されないという利点もあると思います。これは上級のサウンドカードはシールドをもっているということでこうしたことへの対策の重要性がうかがえます。
またインフラノイズのUSB-101などもそうですが、CESで散見されたこうしたUSB->SPDIFコンバーターの多くは内部でかなり高精度のジッター処理を行ってから、質の高いデジタル信号として送り出しているという特徴があります。
従来のUSB DACと言われていたものはどうかというと、まずエントリータイプで多くみられるものはUSB信号のレシーバーチップがそのままDACとしてアナログ変換を行うというものです。これもTIのPCM2702とかそれなりのものを使えばわりとわるくはない音質が得られますが、やはり限界があります。
次に良いものはUSB信号のレシーバーチップではSPDIFへの変換のみ行い、そのデジタル信号を別なDAC専用チップに送るというものです。これがいままででは一番高性能なUSB入力のついたDACだったと思いますが、これでもUSBレシーバーチップで簡易的にSPDIFへの変換を行うだけでは十分なものではなかったのだと思います。今回のCESで見られたようなUSBインターフェース機材はそのUSBを受けてSPDIFに変換するというところをさらに高品質・高精度で行うと考えて良いでしょう。
AyreのUSB DACはコンバーターではありませんが、やはりこうした高度な処理をしていると思われます。
DACも受けるときにそれなりにジッターを抑え込み信号をきれいにするわけですが、実際に高性能なDACであってもトランスポートが違えば音が違うのだから、受けてだけではなく、送り出し側の品質というのもそれなりに必要とされてくるのだとおもいます。
オーディオ機器がコンピューター文化と融合しようという試みは、ポストCDがSACDよりもむしろネット配信になるだろうという流れからも必然性がうかがえると思います。ネットワークを使ったLINN DS系統の流れや、iPodを使ったiTransport系統の流れ、そうしたオーディオからデジタルへのアプローチとはまた別な第3の選択肢として、手持ちのPCを手軽に高性能オーディオ機器につなぐ手段としてこうしたUSBコンバーターの潮流というのはまた活性化されてくるように思います。