Music TO GO!

2016年11月17日

チタンカスタム、FitEar TITANレビュー

FitEar TITANはチタン製のシェルを使ったユニークなカスタムIEMです。

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TITANはAIRをベースにしていますので、まずAIRの解説をします。

* FitEar Air

Fitear Airはハイブリッドカスタムで、BAとダイナミックを採用しています。ダイナミックドライバーはFOSTEX提供です。ダイナミックをフルレンジとして使用し、BAを補助的に高音域に使う構成です。
またポイントは閉鎖空間でのダイナミックの動作効率の問題を改善するために普通は遮音性を犠牲にしてベント穴を使用しますが、遮音性を同時に満たすためにショートレッグシェルと言う工夫をしました。ショートレッグシェルによりステムの断面積が上がったため、逆に装着性や音導穴の形状などの工夫の余地もできています。

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外観的には空気ばねを減らすために工夫されたショートレッグが目を引きます。私みたいにカスタムをずっと使いこんでる人ほど違和感を抱くかもしれませんが、見た目の印象よりはきちんと耳にはまります。また実際に電車でもつかいましたが、普通のカスタムと同じくらいの遮音性があると思います。ダイナミックドライバーでかつカスタムの遮音性があると言うのがAirの特徴ですが、これは生きていると思います。

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音質はまずぱっと聴きはダイナミックの音が支配的と感じます。文字通りダイナミックで迫力のある音はダイナミックドライバーならではのもので、BAだと低音域のインパクトがか細くなりがちですが、骨太で厚みのある音再現はダイナミックドライバーらしいところだと思います。全体の音のつながりもよいですね。AK70みたいな元気でパンチがあるプレーヤーと合わせてロックポップが楽しく聴けます。
また聴きこんでいくとダイナミックの音ではあっても、独特の音再現も持っているのがAirのポイントだと思います。普通のダイナミックだと丸く鈍く聞こえるようなところが、鮮明に明瞭感があって、楽器の音再現もクリアに聞こえます。ここはBAの隠し味が効いているように思います。
今までのFitearというかカスタムIEMにはなかった音で、そうした点でも楽しめます。反面でいままでの須山カスタムの整ってバランスのよい音に慣れていると、ダイナミックの太い音にやや荒削りさを感じるかもしれませんが、ここはTITANで変わります。

* FitEar TITAN

TITAN(チタン)は名の通りに金属製のチタンで出来たシェルを持つユニークなカスタムIEMです。須山歯研はチタンの加工でもノウハウが豊富で強みがあります。

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Air(黒)とTitan

TITANはベースモデルがFitEar AIRです。なぜAIRがベースモデルかと言うと、他のBAカスタムではもともと密閉されたシェルであり金属化してもメリットが大きくないのではないかと言うこと、またチタンAIRを試作したさいに金属シェルが音質的にも低域の芯を締める効果があり、中高域にも良い影響がありそうなので決定されたということです。

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ただし、、現在のTITANはAIRをベースにしてはいますが、実はちょっとした秘密があり、ベースのAIRとはかなり異なるものとなっているようです。ここは書けないのですが、これは音質的にかなりTITANをAIRと差別化しています。そのため、AIRがベースと言うのはいったん忘れても良いのではないかと思います。

* ドイツケーブル

TITANはケーブルなしでの販売が基本です。おそらくTITANを買う人は一個目のFitEarカスタムと言うことはないと思いますのであまり問題はないと思いますが、ケーブルのついたキットモデルも用意されています。
そしてこのキットモデルがもうひとつのTITANの特徴です。それは「ドイツケーブル」です。これは正式には009というタイプのもので、名前からしてすごそうですがまさに加速装置がついているような速さも効かせてくれます。

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「ドイツケーブル」は正式発売がなされないまま、あちこちでささやかれてたんでひとつ幻のケーブルのようになっていますが、ここで公に出てきたわけです。これはドイツ製のビンテージ線を採用したハイエンドケーブルです。某所で発見されたものですが、数量はビンテージ線なので限定されています。そのため単体販売は行わず、TITANへの付属での提供となります。

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上は001、下はドイツケーブル。

私もしばらく前から使っているのですが、これは音質に与える影響ではこんなに大きなケーブルがあるかと驚愕したものです。現在でもCrystal Cable Nextと一二を争うレベルのハイエンドケーブルだと思います。音質についてはあとでまたカバーしますが、TITAN専用と言うわけではなく、私は335DWに使用していましたが、好評の335DWをさらに別の次元に引き上げてくれる性能を持っています。

* TITANの外観

傷つかないように別々の袋に梱包されてきます。
チタン製のシェルは質感が高く、はじめてJH Audioのカーポンシェルを見たときのように新鮮で豪華な感じがします。ちょっと重くて金属のアクセサリーのようにかっこよいですね。Ayaからの音導穴のホーンのようなテーパー加工もなされているのは芸の細かいところです。

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装着感も冷やっとした感じ。Airのショートレッグもあって、すっと耳にはまります。ショートレッグなのであまり耳の中が冷っとすることはありません。
実際に使ってみて気がついたことは、アクリルの普通のシェルとは遮音性が違うということです。音楽を止めた時だけでなく、カスタムに慣れてる人なら再生中でも「あれっ」と気がつくと思います。感覚的には周辺音がよりマイルドになる感じで、特に高音域のきつい音が抑えられて周囲の音やアナウンスがマイルドに聴こえます。
より静粛で、イヤフォンの細かい音を聞き取るのに良いといえるでしょうね。もしかすると金属シェルは意外とカスタムに向いているかもしれません(加工面を除けば)。

* TITANの音質

しかしながら本当の真価はチタンシェルの中身です。都合で書けないけど、ショートレッグ以外の秘密が隠されています。ヘッドフォン祭で聴いた時も、Airとは音の傾向が違うと感じたんですが、その時はドイツケーブル効果かと思っていました。しかし、実際に使ってみて、慣れたAirと慣れたケーブル(001)を使って同じ条件で聴き比べてみるとたしかに音が違ってより洗練された音質に進化しています。

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Airとは違うのだよ、Airとは。とついつい書きたくなってしまいますが、特に中低域の改善が劇的ですが、高域も良くなってます。前のAirはある意味ダイナミックらしい骨太で元気がありますが、ある意味で古いJBLスピーカーのようなぼんぼんと鳴る音でしたが、このTITANではより引き締まって現代スピーカーのような洗練された音質に変わっています。低域のぼわっとしたぶよつきがなくなり、まるでBAのようなすっきりした感じになっています。
このため、AirはFitEarの中では異色だったけど、TITANはよりいつものFitEarに近く334とか335のバランスの良さに近くなっています。Airのようにダイナミックドライバーの音が支配的というわけではなくなり、全体のつながりもよく、おそらくマルチBAと比較してもそれほど違和感はないでしょう。同じ001ケーブルで比べると、手持ちの335DW(SRなし)よりもむしろ明瞭感は高い感じがします。

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女性ヴォーカルがAirのように太めにならずに細身でしっかり芯があり、発声も明瞭でなめらか。アコースティック楽器の音も同様でアコギも音が太くあいまいにならずに、きりっと鮮明でシャープな音が楽しめます。
低域はレスポンスが速くパンチが気持ち良い感じ。
能率がAirよりはやや低いのでアンプはつけた方が良いかもしれません。お勧めはAK380+AMPです。

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Airのときは銅線のMoon Audio BlackDragonを使ってたんですが、ケーブルとしてはむしろ銀ベースのWhiplash TWagなどの方が合うようになった感じはあります。
TITANは001ケーブルでも高音質はよくわかりますが、やはりもっと良いケーブルを使いたくなります。

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やはりTITANの真価はドイツケーブルを使った時です。ドイツケーブル(009)は硬くて太いケーブルではありますが、音質の改善効果は並外れていると思います。001でも優れているTITANにマジックをかけてくれ、ちょっとありえない世界を作ってくれます。
レビュー的に書くと高域と低域の伸びがさらに高くなり、ワイドレンジ感が際立ちます。また音のクリアさが高くなり、エレクトロでもヴォーカルでも生楽器でもひときわ鮮明に再現してくれます。またビンテージ線らしく音にドライさが少なく、音楽的にも美しく聴かせてくれます。
また良録音だと水の流れる音、ベルの音、さまざまな楽器音がまさにマジックと言いたくなるようなリアルさを聴かせてくれます。試聴を終えても音楽を聴き続けたくなるような魅力を加えてくれます。

私が価格度外視でイヤフォン向けのいままで聴いたベストケーブルを上げるとすると、このドイツケーブルかCrystal Cable Nextだと思います。この二者はそれぞれビンテージと現代ケーブルの良さがあり甲乙が付けられないですね。あとはこの前聴いたWagnusのFrosty Sheepもハイエンドケーブルの雄と言えるでしょう。
こうしたハイエンドケーブルはみな、単にワイドレンジや透明感だけで語れない優れた個性を持っているのもまた興味深いことで、それが高性能イヤフォンにさらなる魅力を与えてくれます。

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もし価格的にドイツケーブルはちっょと、という場合には006ケーブルをお勧めします。これも立体感が際立つなかなかよい組み合わせです。

* まとめ

はじめはネタかとも思えましたが、実際に聴いてみると音的にもきちんとした意義と納得感があります。また重みや質感など官能的な良さもありアクセサリー的な魅力も兼ね備えているのもユニークです。かなり個性的でかつ音もよいカスタムIEMだと思います。

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また金属シェルカスタムの可能性を感じることもできるユニークな製品だと思います。
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2014年10月25日

FitEar彩(あや) - 3DプリンタによるカスタムIEM

FitEar彩(あや)はFitEar初の3Dプリンター出力シェルのカスタム製品です。

3DプリンターをカスタムIEMに使用した際の利点ですが、以下のようなものです。
従来の手法で樹脂を化学工程で硬化させるシェルの制作においては、複雑な整形をする際にシェルの部分によって硬化のタイミングが異なってしまい、それで不均一が生じるという問題がありました。この問題によりシェルの成型に悪影響をする場合があるわけです。
しかしながら積層する3Dプリンタを使用する場合には原理的にこの問題を生じません。そのためより正確で複雑な設計が可能となります。
その一例は彩に採用されたホーン形状の高域音導孔です。BA型ではどうしても高音域の伸びに制約が出てしまいますが、この形状によって最高域の拡大とともに、肩特性の緩やかな減衰を得られる特性を得ています。
また3Dプリンターの採用により、最悪ひとつしか音導孔をあけられない場合でも、それをホーン形状に形成し、ホーン開口部あたりにもう一本の音導孔を合流させるといった複雑な設計も可能になったということです。

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彩のもうひとつのポイントは改良された新設計のネットワークです。これは過度の帯域重複を避けて特にヴォーカル域での特性に注目したもののようです。

また、彩は事前にうわさされていたようにパルテールのカスタム版ではありません。彩ではウーファーにはアコースティックローパスフィルタはなく、基本広い帯域を担当させているということです。

実際に使ってみたところブラックペイントがカッコ良く、思わず写真をいっぱい撮ってしました。軽くて装着感良く、かなりぴったりフィットします。ちなみにこの感想メモは、彩が3Dプリントと聞く前のメモでバイアスはありません。

音質はきれいな音鳴りで、一つ一つの音は細身で贅肉が取れたすっきりとした音です。他のカスタムIEMと比べたときの特徴は抜けの良い清涼感とも言える透明感です。プレーヤーなどの組み合わせもあるかもしれないけど、この二点は個性として感じられます。
録音の良いジャズトリオのドラムやウッドベースの音の鮮明さ、生っぽさとリアルさは特筆モノかと思います。特にAK120IIと組み合わせたときですね。濁りのないピアノの純な響きも気持ちよく感じられます。
ヴォーカルもとても明瞭で聞き取り安く、特に声の透明感や高域方向の伸びが良い感じです。女性ヴォーカルにはかなり向いたイヤフォンと言えます。特にAK120IIと組み合わせたときの女性ヴォーカルは逸品だと思いますね。


3Dプリンターの採用はよく製作が簡単にできるという誤解を生みますが、実はむしろ手間がかかるという面が大きいようです。つまり3Dプリント化は我々が普通考える簡素化よりも、今までできなかったことをするというプラスの要素が高いということになります。ユニバーサルタイプはすでに3Dプリンター化しているということですが、カスタムにおける3Dプリンターの効果も可能性が感じられます。
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2014年04月08日

須山FitEarの春のヘッドフォン祭での新作

先日ヘッドフォンブック2014というかカスタムイヤフォンブック付録の打ち上げがありまして、モツ鍋飲み会をして来ました。こちらレバカツ。

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そこで今後のヘッドフォン・カスタムIEM世界についての陰謀戦略をいろいろ討議したんですが、それは置いといて、そこで須山さんから3つほど新しいイヤフォンを見せてもらいました。

一つはこれ、FitEarのエイプリルフールネタを飾ったFitEarガトリング(海外ではFitEarガンダムと呼ばれてる)ですが、これ実はちゃんと聴けます。というかけっこう良い音でした。メタル3穴って、これネタのように見えて...

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もう一つはこれ、こちらはカスタムですがポイントはシェルを3Dプリンタで作成したものです。

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ここまではtwitterですでにポストしたんですが、実はもう一つあります。これは一番製品に近いリアルなんで黙っていましたが、部分開示許可をもらいました。
これは春のヘッドフォン祭に出品されるFitEar新作です。

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これ飲み会の席でポンと手渡されて、なんの説明もなく先入観なしで聴いてくださいと言われたものです。
そこで予備知識ゼロでちょっと聴いてみた感想をきのう須山さんにメールで送ったのですが、本記事では解説に替えてそれを一言一句変えずにここに書きます。

「飲み会の時にもらったユニバーサルですけど、かなり音のレベルは高いと思います。
際立って感じるのは音空間の広がりの良さ、立体感の高さですね。AK240で聴いてますが、バランスでなくともかなり秀でています。またiPod classicなんかでも同じように感じるのでこのIEMの良さだと思います。パルテールと比べるとこの点はかなり向上してます。
またパルテールなみの透明感もあるし楽器の音のリアルな再現力も高いと思います。」


この後に設計内容・構成について須山さんから教えてもらいました。しかしながらはじめのインプレが面白いというか興味深いので、あえてそのまま掲載しました。
また構成・設計内容についてもここに書きません。ユニバーサルですがパルテールとToGo334のどちらとも違う新設計です。
ヘッドフォン祭でみなさんもぜひ聴いてみてください。

名称と価格はだいたい決まっているようですがまだ公開できません。
付属品で決まっているのは
* 黒シェル/001ケーブル/ペリカン黒
の標準セットですが、隠し球もあるかもしれません。
それと3Dプリンタカスタムももしかすると春のヘッドフォン祭に出展できるかもしれません(未定)。

ヘッドフォン祭ではFitEarブースへGo!
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2013年05月06日

FitEar Parterre(パルテール) レビュー

国産カスタムの雄というか、いまや海外でも評価の高い須山さんのFitEarブランドからまた新しいイヤフォンが登場しました。ユニバーサルタイプのイヤフォンで、名はFitEar Parterre(パルテール)です。
ユニバーサルタイプは耳型に合わせるカスタムではなく普通のイヤチップを使うイヤフォンのことです。カスタムの高音質技術を応用して普通のイヤフォンを設計するというのはFitEar togo 334が嚆矢でその音質は海外cnetでも認められて世界最高のイヤフォンと評されたこともあります

今回のパルテールもそのユニバーサルタイプのイヤフォンです。ただし今回は今までのFitEarブランドでは通常付記されている334とか111というドライバー数や帯域分割(way)数を表す型番がないのに気がつかれると思います。これはドライバーの数やタイプにとらわれずに先入観なしで試して欲しいからだそうです。本記事でもドライバー構成には触れません。

パルテールとは劇場の中でも最上の席でステージから程よい距離で音響的にも優れた最高のシートだそうです。そのような席で聴いているような音を届けたいということですね。
こちらに製品ページがあります。
http://fitear.jp/music/product/parterre.html

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製品のポイントはマルチドライバー(バランスドアーマチュア型)でありながら、担当する周波数レンジを完全に独立させるアコースティックフィルタ&ネットワークにより、澱みの無いピュアで伸びやかな音質を実現したということです。

普通スピーカーのクロスオーバーはコンデンサ(ツイーターのローカット)とコイル(ウーファのハイカット)でそれぞれツイーターとウーファの最適周波数で鳴らすわけですが、イヤフォンの場合はサイズの問題でコイルによる効果的なローカットが出来ないという問題があります。そのためローからミッドに帯域重複が出てしまいます。
これはスピーカーでも往年の名器JBL4312みたいに意図的にハイカットしない例もあり、いわゆるああいう厚みの演出には良いのですが、現代スピーカーのような整理された音再現が苦手だったとのことです。
そこにメスをいれて新機軸のネットワークで挑戦したのがこのパルテールです。パルテールではツイーターのローカットはコンデンサですが、ウーファのハイカットをアコースティックフィルタで行っているということです。ドライバー構成に触れないという理由の一つはこの新システムがとても効いているからだと思います。

もう一つのパルテールの特徴はF111で採用された純チタン削り出しのテーパードポートステムを音導口に採用しているということです。これで高域が伸びやかに改善されますが、このチタン削り出しの技術を持っているというのもプロ用イヤモニの実績と共にFitEarが差別化できる点ですね。
これらの特徴によって従来とは一味違う音になっているのがパルテールというわけです。

* 実機試聴

最近よく使ってるAK100の改造モデルであるRWAK100で試聴しました。これなら上で書いているパルテールの長所を引き出しやすいでしょう。
パッケージにはいつものようにペリカンケースと、ユニバーサルですのでチップがいくつか付属します。

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はじめに音の広がりの豊かさにはっとすると、FitEar Togo 334の系統かなとも思わせますが、聴いているといままで感じたことのないようなピュアな透明感のある音再現に気がつきます。

音が綺麗で瑞々しく淀みないという感覚で、山のきれいな清流を思い起こします。特に楽器音の再現力は秀逸で、ピアノの響きは素晴らしく美しく感じられます。ピアノ曲専用にこれ買ってもいいんじゃないかと思ったくらいですね。ハープの音もとても澄んで音空間に響きます。いわゆる美音系のように演出しているのではなく、逆に混じり気なく純粋だから美しいという感じでしょうか。音色自体はニュートラルで着色は感じられません。弦もとても良く、ぜひハイレゾで聴いて欲しいと思いますね。

このピュアで透明感のある純粋な再現力はあまり聞いたことのないレベルで、togo 334と比べてもはっきり違いがわかります。ここにパルテールならではの独特の音世界があります。
この透明感を反映してか、解像力も良くライブ録音の細やかな環境音も明瞭にわかります。演奏のニュアンスも伝わりますね。このリアルな音はたしかにコンサートの一番良い席というネーミングもうなづけます。

高域はチタンチューブらしくクリアでシャープ、とてもキレが良くそれでいてキツさを感じないうまいバランスになっていると思います。低域は適度な量感がありタイトでキレ良く、ロックの畳み掛けるようなドラムスのインパクトは気持ち良く感じます。ローエンドはかなり深く沈む印象で、キレの良いシャープな高域と合わせてワイドレンジであると感じます。
パルテールの低域の良さはソリッドでシャープなアタック感、インパクトの鋭さでしょう。ピュアな音再現の他にパルテールのもう一つの長所はこのキレの良いテンポの良さです。音の歯切れが良くスピード感がありますね。低域の量感は比べてみるとtogo 334同等以上にあるので普通は十分満足できると思います。

FitEar Togo 334とパルテールの音の比較をもう少し続けますと、全体的にtogo 334の方がやや濃く厚めで音場もやや広め、Parreteはすっきりとピュアで細身、アタック感はより鋭く軽快感があります。
togo 334はカスタムのベースモデルが存在することもありますが、カスタムの性能をユニバーサルに持ち込んだということで画期的でした。パルテールはさらに独自の世界に挑戦したと思います。
価格はオープンですがtogo 334の下になると思います。このことからtogo 334の弟と思えるかもしれないけど、実際はtogo 334とは上位・下位というより好みで切り分けるべきものかと思います。
ぜひヘッドフォン祭で試聴してみてください。須山さんのブースは7F No2(いつものところ)です。
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2012年08月06日

CNETがFit Ear To Go 334を世界一のインイヤー・イヤフォンとして紹介

CNETのオーディオコラムのAudioholicにて須山さんのFit Ear To Go 334が世界一のインイヤー・イヤフォンとして紹介されています。
http://news.cnet.com/8301-13645_3-57486297-47/the-best-in-ear-headphone-in-the-world-the-fitear-togo-334/
書いた人は自分のJH13とも比較してto go 334の方がより透明感があり、音の広がりもあるとしています。他方でJH13の方が音的に豊かであるなど差はあるけれども総合的にto go 334の方がより良いとしています。
いまは須山FitEarはケンさんのALOを通してアメリカで販売されていますので、ALOからのデモ品の提供となったようです。

ヘッドフォン祭って単に外国から人が来るだけではなく、そこで日本の良いものを見つけて持ち帰り、世界的に広めてほしいという期待があったんですが、それがうまく機能し始めたようにも思いますね。
オリンピックではありませんが、どんどん日本のものが世界の舞台で認められていってほしいものですね。
posted by ささき at 22:43 | TrackBack(0) | __→ 須山カスタム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月21日

須山ユニバーサル、FitEar TO GO!334登場

English version here.
http://www.head-fi.org/t/597534/suyama-universal-fitear-to-go-334

須山カスタム、というと国産のカスタムイヤフォン(イヤモニ)の代名詞でもありますが、その須山さんがユニバーサルタイプの高性能イヤフォンを開発しました。K3003の向こうをはる堂々たるハイエンドイヤフォンです。ユニバーサルイヤフォンというのはいわゆる普通のイヤフォンのことで、自分の耳型で作るカスタムに対して誰でも使える汎用(universal)という意味で使用しています。

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この新型イヤフォンはMH334と同じBAユニットを使用した、3ウエイ3ユニットの高性能イヤフォンで、ユニット構成もケーブルも同じです。いわばMH334のユニバーサル版です。しかしカスタムの試聴用にラバーチップをつけたものとは根本に異なります。
名称は仮称(決定?)"FitEar TO GO!334"ということです(どこかで聞いたような)。このFitear TO GOというのはユニバーサルのブランド名となり、To Goというのは(マクドナルドなんかでの)持ち帰りという意味もあるので、カスタムとは違ってそのまま持ち帰れるという意味も含むそうです。
こちらにホームページがあります。
http://fitear.jp/music/sp/togo334sp.html

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FitEar TO GO!334は他のカスタム同様にハードケースとしてペリカンケースがついています。ユニバーサルなのでイヤチップが付属しています。チップは大・中・小の黒ラバーチップと白のダブルフランジが付属しています。わたしはダブルフランジが良いと思いました。
イヤフォン本体はやや大柄ですが、同じユニットを詰めているカスタムに比するとコンパクトに仕上がっています。そもそも3Wayで3ユニット別というユニバーサルはほかにないですね。しかもローユニットにはかなり大きなサイズのBAドライバが入っています。表面はとてもきれいに仕上げられています。ブラックも艶っぽくていい感じです。
耳にかける部分にはチューブとメモリーワイヤーがあるので、カスタムと同じで耳にかけて使用します。ケーブルは着脱式です。ハウジング自体は大柄でも耳にかけてしまうと、装着感は他のBAイヤフォンとあまり変わりません。重さもさほどは感じません。

試聴機がくる前に自分のカスタムMH334で少し聴き込んで置いたのですが、たしかにぱっと聴いた大まかな音の印象はカスタムMH334と似たところがあるように思いました。
しかし驚いたのはカスタムMH334よりもかなりクリアで透明感が大きく増していると言う点です。これはわずかの差ではないですね。思わずFitEar TO GO!334を外して再度カスタムMH334で聞き直してしまいましたがやはりそうです。
正直言ってカスタムよりは音質は落ちるんではないかと思っていたのが逆だったので思わず須山さんに連絡してどこが改良点なのか聞いてしまいました。
聞いてみるとやはりカスタムMH334とケーブルとかBAユニットは同じだそうで、改良のポイントは内部構造のようです。

マルチのBA(バランスド・アーマチュア)カスタム、ユニバーサルイヤフォンは高域に弱いと言うのは前に書いたんですが、どうやらこの問題のポイントはユニットではないようです。
K3003もはじめはすごい新型BAユニットかと思ったけど、意外と一般的なTWFKらしいようでWestone3なんかと同じやつですね。それでもあれだけの音を出すのはユニットと言うよりは、ユニットのポート(音導孔)やステム構造の差で周波数特性はだいぶ左右されるようです。ユニットからの音を合流させてさらに耳に導くという点でどうしても高域特性が悪くなってしまうよう。特にマルチユニットタイプはそうらしく、効率的な音導孔設計が各社のキーポイントと言うことです。
K3003は小型のBAユニット(TWFK)をステンレスのステムに突っ込むという工夫であれだけクリアさと高域レスポンスを得ているようです。ただこれは1ユニット2way(+ウーファ)の比較的小サイズだから可能なことで、FitEar TO GO!334ではさらに意欲的に3ユニット3wayを目指して、大サイズのローユニットなどを組みこんでいるのでかなり苦労があったとか。
このFitEar TO GO!334では3ポート別で高域専用の音導孔として出口方向にテーパーを付けた純チタンのチューブを使用していると言うのが一つのポイントです。須山さんのところはチタン加工もノウハウを持っているようです。

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また、ユニットの最適配置を見直して効率的かつダイレクトに音が導かれるような設計をしたとのこと。細かいところでは、カスタムではないので遮音性が減った分を補うための低域の調整を行っているそうです。
これらのことから、単にカスタムの試聴用にユニバーサルチップをつけたものとはまったく異るということがわかると思います。

FitEar TO GO!334の音に戻りますが、もともとバランスの良かったMH334の音がさらにクリアになったということでかなりレベルは高いです。
特に気に入ったのがFostex HP-P1との組み合わせで、これは驚異的ですね。iPod classicとDirigent USBを組み合わせるのが自分の定番システムひとつで、これでFitEar TO GO!334を組みあわせて聞きます。
まずはっきりと際立つのは明るく軽やかですっきりとした中高域のクリアさと空間表現の立体感です。優れたポート設計の効果でしょうか、とくに立体感と空間の広がりはいままであまり聴いたことがないくらいですね。あとでJH13なんかとも比較しましたが、多分この二点に関してはいままで聴いたイヤフォン(カスタム・ユニバーサル問わず)の中でもトップクラスでしょう。
また線が細く緻密で微細な音の印象は紛れもなくハイエンドBA機の特徴を受け継いでいます。帯域バランスはとてもフラットで低域は張り出し感はなく、素晴らしく良くコントロールされていてタイトです。
低域はK3003などとは違い量感は抑えられていますが、別に書いたようにカスタムMH334とは調整しているので、それ自体はきちんとレスポンス・インパクト感あり、とくに低域表現に物足りなさを覚えることはないと思います。
実際にこの音のタイトさ、インパクト感のある切れのよさっていうのはもう一つのFitEar TO GO!334の特徴の一つです。音がタイトで輪郭が明瞭、もやっとした曖昧さがありません。他のイヤフォンだとなんだかなまったようなパーカッションのインパクトでもFitEar TO GO!334だとぴしっと決まる気持ちよさがありますね。普通にロックとかポップも聴けますし、むしろボワっとだるくなくビシッと気持ち良いくらいですね。ただ膨らみとか脚色感がないというだけですが、もちろんここは好みもあるでしょう。もしさらに低域がほしい人はコンプライがつくので(T400)それを使う手もあるでしょう。これでかなり量感は増えますね。自分でチップで音を調整できるというのもユニバーサルの良いところです。
そしてマルチBAということで期待する微細さ・解像力はJH13やUE18などのハイエンドカスタムと同等以上です。おそらく全体の音における印象もそうしたハイエンドカスタムを持っている人はK3003よりもそれらに近いと感じるでしょう。生楽器の音の鮮明さと正確さ・リアルもトップレベルですね。高い音のレスポンスは強く、芯が強固なように鳴りますが痛さ・きつさはあまりないのも良い点です。

HifiMan HM801と組み合わせると、正確な再現性の高さの中にも低域のインパクトはしっかりあるのがわかり、同時にHP-P1の時にはニュートラルと思ってた音調にほのかな暖かみが乗っているのがわかります。これはHM-801の良さでもあるけれども、こうしたアンプの違いを明確に描き出す能力もむろんあります。

たぶんK3003と比べろと言われると思うので書いておきますが、K3003と比べると音の立体的な広がりと微細な情報量の多さ、音のタイトさにおいてFitEar TO GO!334が上のように感じます。比べるとK3003はこじんまりとしていますね。
低域の量感という点ではK3003の方が量感の豊かさを感じます。この辺はぶおっとしたベースの迫力がよいか、ばしっとしたタイトで切れよいベースラインがよいかで好みが分かれるところかもしれませんが、逆に言うと二つ持っていても使い分けられるという恐ろしい結論にも導かれます(笑)。ボリュームレベルに関してはK3003の方が能率はやや低い感じです。

たぶん他のハイエンドカスタムとも比べろと言われると思うのでそれも簡単に書いておきますが、現在最高レベルのJH13+WhiplashのTWagリケーブルで比べてみました。これはちょっと似た感じになって近しい勝負ではありますが、はっきり差がつくところでは音の広がりと立体感はやはりFitEar TO GO!334が上ですね。ただこのレベルになるともう少し聴きこんでみますが、FitEar TO GO!334は標準ケーブルですから標準同士だと334を取るでしょうね。

販売に関してはフジヤさんですでに予約を開始して、店頭に試聴機も設置しています。通販でも買えるので都市部ではなく「カスタム良さそうだけど耳型とってくれる人がいない」という人にも福音でしょう。
販売に関してはフジヤさんホームページをご覧ください。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail11577.html

私もカスタムイヤフォンを声を大に広めてきた立場上ユニバーサルがカスタムを超えたとは言いづらいところはありますが(笑)、少なくても音質に関してはもうどちらが上とは言えませんね。設計次第です。もちろんフィット感はカスタムの方が良いです。特にシェルの造形とフィット感は須山さんとこが一番だと思います。これは私もカスタムいっぱい持ってますが、シェルの透明感もさることながら細かい造形の巧みさは他にないと思います。
いずれにせよカスタムとユニバーサルは単に音質や価格の松と梅ではなく、本来的な使い方で分けられる時代になったのかもしれません。

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2010年12月22日

須山カスタムの新型、FitEar MH334

さきの2010秋のヘッドフォンショウでの目だったトピックのひとつにカスタムイヤフォンが一般化しつつあることがあげられます。国産でカスタムというとやはり須山さんのところですが、今回はショウにも初参加され、またInterBEEにも出展していました。

以前コンシューマー用のPrivate 333の記事を書きましたが、今回新たな製品として334のデモ機をいただきましたので、レポートします。
ちなみに須山カスタムの名称には意味があり、334の場合は3Way + 3 units + 4 driversという意味です。これはひとつのBAユニットに2つのドライバーが入っているものもあるためです。

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この334はもとはProAudio用として開発されたもので、333とは異なるラインということです。334はもとあった335(Low 1, Low-Mid 2, High 2)を引き継ぐものとなります。335は業務用途での高域ヘッドルーム確保のために同じドライバー2基を高域として使用したというものです。ただし、これにより位相の問題か、低位があいまいになるデメリットなどがあったため、335のクロスオーバーを見直して、Highのドライバーの受け持ちを狭くして負担を減らした結果、Highを一基で済ませ、334(Low 1, Low-Mid 2, High 1)として位相特性や対入力特性の向上を図ったというものということです。このおかげで内部もコンパクトになったので、製作可能な耳穴の形状やサイズに余裕ができたということです。あとで書きますが実際に音のバランスはよく仕上がっていると思います。

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334はまずはProAudio 334として販売開始をするそうですが、ケーブルなどの見直しをしてのちに新シリーズ、FitEar MH334として来春ころ一般販売をするということです。
わたしがいただいたものはこの新シリーズ版に近いものですが、最終版とは音が異なるかもしれませんのでお断りをしておきます。

*機能的な面について

シェルの造りのよさ、透明度・装着感は問題なく世界トップでしょう。シェルの指かけなど細かい造形はまさに日本人が作ったものですね。

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UE18ではUE11よりシェルの造形品質が落ちたように思えますし、JH13/16はシェル的には元からあまり良くないので、他よりもはっきりと優れています。ただシリアルなどがシールになっているのがちょっと残念ではあります。
使い勝手で言うとケーブルが硬くて柔軟性がないので、使用中にも気になることがありますが、ケーブルの品質はなかなかによいように思えます。メモリーワイヤーのない点は改良されると思います。

*音質面について

全体的なレベルはとても高くてUE18とかJH13/16など海外トップクラスと比肩できるレベルにあると思います。差は音の好みや使い方に出ると思います。実際に試用中は主に13/16や18とどういう違いがあるのか、自分の使い方ではどうなのか、ということに重点を置いていました。
個人的にざくっというと、UE18よりも全体的に優れていて、JH13/16とは好みにより分かれる、という感じに思えます。

帯域特性にはプロ用としてもコンシューマー用としても通用するようなバランスの良さをまず感じました。
JH16などと比べると、低域の充実感は引けを取らないくらい十分にありますが、JH16のように低域だけ膨らんでいるという感じはありません。そのため低域の充実感が他の帯域をマスクするということなしに、全体的なソリッド感というか、よい音の厚みがあるように感じられます。そのため、バランスが良いといってもいわゆるニュートラルフラットのモニター調のようなつまらない音ではなく、聴いて楽しい音になっています。また334では中域に独特の厚みがあり、全体的なバランスのよさに貢献しているかと思います。特にヴォーカルの聴きやすさ・充実感はJH13/16と比べた大きな334の利点のように思います。全体にJH13/16よりも良い意味で厚み・重み・芯があるソリッドな音と感じます。

もちろん細かい音もよく聴こえますが、音の再現性・音色に忠実さを感じます。
たとえば古いロックで録音のよいもの(Band on the runとか)を聴くと、JH13/16などでは現代モノのように先鋭的に聴こえますが、334だともともとの音がこう録音されていたか、という感じに脚色無しに伝わってくるような感じです。JH13/16は中高域の明るさと明瞭感が特徴的でそれはよいのですが、ややそこが強調されて聞こえるのかと思います。
JH13/16のほうが音がはっきりと明確に描き出される明瞭感はあります。ただしJH13/16ではやや軽さを感じます。この辺が好みの差と前に書いた点です。
JH13だとヘルゲリエンのような現代ジャズトリオのようなものは音が明瞭でかっちりとしてよく聴こえますが、334は自然でバランスが良く厚みがあるので、ビートのあるサウンドでもジャンルを問わず良く聴こえます。

UE18と比べると全体的にソリッドで芯があり、楽器の音もシャープで明瞭に聴こえます。UE18にある音のあいまいさがなく、音のインパクト・アタック感をしっかりと感じられます。UE18も音色の美しさとか音場感のよさはありますが、あまり決定的な差とは感じられないので、客観的には全体的に334の方が良いと感じられます。

他のカスタムとの差が一番出るのはプレーヤーとの相性のように思えます。
おそらくiPhone4単体と組み合わせるイヤフォンとしてはいままでで一番良いでしょう。特にFLAC Playerを使ってiPhone4で334を使うとバランスも良く、欠点をあまり感じさせないすばらしい音を楽しめます。おそらくiPhoneでこれだけの音が出せるということに驚く人は多いでしょう。iPhoneはポータブルアンプとは組み合わせにくいので、単体で十分なよさが引き出せるというのはなかなかに魅力的です。JH13/16やUE18と比べてもiPhone4単体との相性は優れていると思います。またこれだけで完結しています。
ポータブルアンプの組み合わせとかHM801なんかとあわせたときにも良いのですが、ただ334は少し能率が高すぎてパワーを生かしきれないというか、そうしたもどかしさがあるかもしれません。たとえばゲインが低であってもボリュームの余地が取れなさ過ぎる気もします。ただ音の相性が悪いというわけではなく、HM602なんかとの組み合わせが個人的には一番気に入っています。

334はとてもバランスがよくて、かついろんなジャンルで楽しく聴くことが出来るイヤフォンに仕上がっていると思います。自分のお気に入りのひとつです。特にiPhoneだけ持って出かけたいというときはこれがベストチョイスという感じですね。
posted by ささき at 23:10 | TrackBack(0) | __→ 須山カスタム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月16日

須山カスタムIEM FitEar Private 333 レビュー

カスタムイヤホンというと外国製品がほとんどですが、須山カスタム(FitEar)は国産のカスタムIEMとして知られています。

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これまでのラインナップはプロ用途を念頭に置いたものが多かったということですが、このPrivate 333はコンシューマー用に考えられた最新モデルです。
須山さんのカスタムイヤホンはモデル番号が数字で示されていますが、それぞれに意味があります。333とは3Way、3ユニット、3ドライバー(レシーバー)という意味です。これはたとえばWestone3のように3Wayであってもハイとミッドがひとつのユニット(TWFK)で兼ねられている場合もあるからです。つまりWestone3ならば須山さん流に言うと323、ES3Xは333となります。JH13は336ということになりますね。

使用感について

フィットはわたしがいままで試したUE11/ES3X/Freq show/Sleek customのすべての中でベストだと思います。
わたしはすべての耳型は須山さんのところで取っています。つまり個体は厳密には違いますが、ほとんど耳型自体はすべて同じようなものでした。それを考えると須山カスタムのレベルの高さは伺えます。

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333はぴったりと耳に吸い付くようにはまり、動いてもずれません。また、遮音性もきっちりしています。耳型を同じところで取っていても、シェルの製作に違いがあるのは興味深いと思います。シェル自体もJH13のように気泡がはいることなく、きれいなものです。
小さめのシェルはコンパクトで良く、取り外すときは耳下に親指の爪をかける切れ込みがあるという点もなかなか細かい工夫です。下の写真で指をかけているところです。

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また333の特徴は音の出るポートが3つ別にドライバーごとに分かれていることです。それも上の写真でよく分かると思います。
他のほとんどのカスタムは3Wayであってもポートは2つです。シェルの出来のよさとあわせてこの辺は須山カスタムの造形におけるアドバンテージがあります。

ケーブルに関してはちょっと取り回しに困り、わたしのものはメモリワイヤがないのも少し不便ですがこの辺はまだ改良されると思います。

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音質について

全体的な音の印象は忠実性というよりは演出感を重視して、あくまで正しく音楽をモニターするというよりは、楽しく音楽を聴くということを重視しているようです。
高い音を中心に繊細で音色がきれいな華やかさと、強調間のある低域を中心としたダイナミックなインパクトも兼備えてある、という感じです。きれいなシェル造形のように、音の透明感もなかなか高いと思います。

この他に333で感じるもうひとつの音の特徴としては重なり合う立体感
のある空間表現が特徴的だということです。音と音の重なりが絡み合う様が明確に分かり、音の混濁感がありません。
音場の横の広さはUE11ほど広くはないけれども、この独特の立体感で空間表現が豊かに聞こえます。
ここは3ポートの効果なのか、他の高性能機にはない独自の良さだと思います。複雑な音の波をうまくさばくのが得意という感じで、高性能なアンプと組み合わせると、複雑に絡み合う音の再現に感銘します。

基本的な性能面でもなかなかよく、解像感は上から下までかなり高く感じられます。ウッドベースのテストとなる前に書いたhandsでもベースの音は生々しく、楽器だけでなく背景のプレイヤーの息遣いも細かくうき彫りにします。
高域の繊細さはかなり高く、ベルの音のきれいに伸びた響きは鮮明です。きつさはP-51では気になりませんが、シャープさがあるので聴くほうの環境にもよるかもしれません。


前述したように低域は強調されていますが、これはコンシューマー向けとして意図的なものでしょうし、ロックなどのインパクトには寄与しています。たとえばJH13のように正確性優先なタイプだとロックポップでものたりないところは333では過不足なく感じられます。
強調されているといっても、ジャズトリオの軽快さを損なうようなこともありません。またインピーダンスの違いかJH13などに比べると特に低域で緩めに感じられるところはあります。
アンプについてはUE11ほど依存されるわけではありませんのでiPod単体でもわりと悪くはありませんが、P51のようなアンプをつけるとドラムの音の締まりが見違えるようによくなりリズムのきざむ小気味よさが大きく改善されます。

J-Popのような音学は得意で、今風の複雑なアレンジで音が複雑に絡んでいても、混じらずに整理して楽曲の構造が見えやすく、低域のパワフルさがあり音楽にノリよく没入できます。
全体にポップ、ロック向けに上手くチューニングされているが、いろんなジャンルにもあうようにバランスよく設計されているところもあります。全体的なレベルも他社の高性能機と比較できるようなものを持っています。
きれいな繊細さと技巧的な複雑さ、それにダイナミックさを兼ね備えています。特にP-51とSXCケーブルとの組み合わせでは華やかで演出的なきらびやかさを堪能できます。
アンプはやはり低インピーダンス傾向のようなのでUE11と似てP-51、ALO SXCとiModがわたしは好みです。ただUE11ほどはアンプ依存がないので、DAP直でも楽しめると思います。

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きれいなシェル造形、指かけや3つの独立ポートなど日本製らしい芸の細かさもありますし、音の傾向もPrivateというプロではなくコンシューマー向けとしてよく考えられています。
ちなみにFit-Earのページは最近リニューアルされて、こちらのアドレスです。
http://fitear.jp/music/
須山さんのカスタムはまだ正式発売という形を取っていませんので、興味のある方はこちらから問い合わせください。
posted by ささき at 21:32 | TrackBack(0) | __→ 須山カスタム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする