Music TO GO!

2013年06月11日

HifiMan HM901製品版の出荷開始とインプレ

HifiMan HM901については以前2012秋のヘッドフォン祭のときにプロトタイプをレビューしましたが、先日めでたく出荷が開始されました。そこで生産版をヘッドフォン祭(2013春)から使用してみての感想をまた記事にしてみました。下記の前回のプロトタイプの記事も合わせてご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/303979241.html

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こちらは製品版のパッケージです。外部入出力は専用の端子なのでアナログラインアウトとデジタルイン・アウトの専用ケーブルも入っています。

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記事を書きかけで途中でファームの更新があったのですが、まずはじめのコメントはシステムバージョン1.070で聴いていました。
さすがに音質向上に時間をかけたと言うだけあって、プロトタイプよりさらに磨かれて高いレベルになっています。自然でかつ豊かで精細な音で、デュアルの効果か、9018っぽいというかESS臭い分析的で冷徹なところはだいぶ印象を変えています。音楽性と音像の解像性能をとても高いレベルで両立させています。上原ひろみのVoiceではがっちり詰まった音の密度感とインパクトの強靭さ、ライブのような迫りくる迫力というものが感じられます。一歩引いた客観的・分析的な感じはしません。この音の密度感・実体感・重み、精巧な金属の切削加工品のような楽器音の磨かれた音像再現力、明瞭な立体感と定位、そして前にがっつり来るような迫真性というのがHM901の良いところだと思います。
音質のレベルはDX100やR10よりもさらに良いという感じで、これらよりさらに一レベル以上は上ですね。音が単に細かいとかシャープっていうところを超えた音の洗練があり、持ち運ぶハイエンドオーディオ的な感じがします。低域の重み密度感というのもあまり感じたことがないくらいです。下記のスピーカーデモで自信を持っているように、DAPというより他の一般的なハイエンド製品と比較できるようなレベルにあると思います。
HM901はDACのみならずアンプ性能が高く余裕がある感じですね。ただ反面でカスタムIEMなんかにはスタンダードカードもハイエンド(バランス)カードも、ややゲインが高すぎる傾向はあると思います。ここはぜひ801のようにイヤフォンカードもほしいところです。イヤフォンではK3003がいいかなあと思います。ただK3003の場合はHD設定だとやや高い音がきつくなりますのでVintage設定が良いと思います。
このHDとVintage設定はローパスフィルターによる高域の設定で、差が微妙では分かりにくいところもありますが、通常はHDにしておいて、高域が刺さるとかきついという場合にVintageにすると良いと思います。

下記画像側面にHD/Vintageの切り替えスイッチがあります。
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ファームウエアを1.074にあげると少し音の強さが緩和され(た感じがするため)イヤフォンにも少し向くようになり、1.070より主に中高域の明瞭感が高くなり、立体感も上がった感じがします。また低域はやや抑え目になって、全体のバランスはよくなったように思えます。1.074ではJH13+TWagがもっとも良いかなと思えるようになりました。

アップデートはトップウイングさんのサイトからHM901の項をご覧ください。
http://www.twctokyo.co.jp/

下記はプロトタイプと製品版で違いはあまりわかりません。ただ製品版は側面放熱口にメッシュが入っています。底面は製品版のものです。

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操作性ではプロトタイプ(前回の秋のヘッドフォン祭でのデモ機)に比べるとコントロールホイールの品質が少し落ちているようでやや操作しづらくなっていますが、反面でバッテリー室のドアにロックがついたりと改良はされています。HM901の特徴でもある豪華なステップアッテネーターは変更ありません。
バッテリーについてはプロトタイプは2-3時間しか持ちませんでしたが、製品版では私の使用でこの倍以上は持つと思います。公称の9時間は使用条件次第となるでしょうか。

もうひとつ気がついたのはSDカードで音質が代わるということです。(これも1.070のときの印象ではありますが)
AK100/120はMicroSDカードのブランドをいろいろ変えてもあまり音質の差はありませんが、HM901はSDカードで音はかなり変わるように思います。私はカメラ用に高速SDカードをいろいろ持っているので少しくらべてみましたが、Transcend 128GB、Sundisk Extream Pro 32GB、Lexar 128GBと比べてみましたが、Lexarが特に音が良いです。これはスピードかと言うとそうでもなく、Extream Proの方がスペックは早いんですがOEM入出力コントローラの相性があるかもしれません(カメラの世界ではよく言われることです)。

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販売リンクは下記のフジヤさんサイトを参照ください。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail14665.html

一番気に入った組み合わせはHM901+ハイエンドカード+Lexar128GB+AKG K3003+Vintage設定です。1.074ではJH13もお気に入りです。
もっとも、ベストはヘッドフォンのEdition8を組み合わせることだと思います。ただもう暑い季節なので。。
次なるアンプカードも楽しみなところです。
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ヘッドフォン祭でのHM901デモスクリプト

HM901はアンプカードも強力ですが、その特徴はやはりデュアル9018の強力なDAC部分で、この良さをアピールするために春のヘッドフォン祭ではスピーカーのデモを行いました。このときにHifiManのスタッフRichardがスピーチした内容を日本語にしたものをアップします。原稿を書いたのはHifiMan アジア太平洋マーケット担当のRichardさんです
HM901はまさにホームオーディオなみの音質を持ってますので、家でもラインアウトから取って試してみてください。

1. 中音域のニュートラルさとpurity(純粋さ)

みなさまも生き生きとした中音域がオーディオファイル向けの機器でもっとも重要なことだということを納得してもらえるでしょう。それはいくつかの例外を除けば多くの楽器はこの周波数帯域に含まれるからです。HM901は不要な色付けのないとてもニュートラルでリアルな中音域表現力があります。
ここで米良義一の歌う「赤とんぼ」を聞いてみましょう。彼の声がピアノ音と自然に溶け合うpurityに驚かれることでしょう。

2. 分析的な能力とinner voice(中間声)の再現力

HM901のもっとも重要な特徴は2個のES9018チップをデコーダーとして採用した点です。ES9018はその分析的な能力でよく知られています。複雑な楽曲に耳を傾けるとき、中間声に注意を向けることが重要になってきます。よくあるDACやDAPは表面的な美しさにとらわれていて、こうした細やかさを失っているものが多くあります。そのためにリスナーにとって音楽を聞くことが退屈なものとなるのです。
ここでKing's Singersの中世のマドリガルを聞いてみましょう。太鼓やピッコロの強い音の陰で4声合唱のinner voiceをHM901が再現している点に注目ください。

3. 厚みのある豊かな音、シルクのように滑らかな高域、ソリッドな低域、マイクロダイナミクス

*マクロダイナミクスは大きな意味での曲のメリハリのようなもので、マイクロダイナミクスは細かな音の遷移みたいなもの

HM901のデュアルモノデコード(DAC)は音を締まった(compact)ものにすると同時に音を豊かなものにします。ダイナミック感もHM901の特徴です。残念ながら隣接ブースに気を配るとその(マクロダイナミクス)の能力を最大に発揮するには気がひけますが、マイクロダイナミクスは聴くことができます。
オーケストラ曲では楽譜のなかにこうしたマイクロダイナミクスが隠されています。マイクロダイナミクスの進行はにぎやかなフレーズに比べると気がつきにくいものですが、音楽体験を豊かなものにします。
素晴らしい録音だけがマイクロダイナミクスに生命を吹き込みます。
ここで巨匠カラヤンとベルリンフィルの演奏で、ベルディのラトリビアータを聞いてみましょう。これは古いアナログ録音されたものなのでヒスノイズが聴こえてしまいますが、シルクのようなバイオリン、チェロの豊かな響き、ダブルベースのソリッドな低音に注意を払って聞いてみてください。マイクロダイナミクスはチェロのトレモロやバイオリンが半音下がるときに聴こえるでしょう。ため息をつくような素晴らしい演奏です。
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2012年11月26日

HiFiMan HM901 試聴機インプレッション

ヘッドフォン祭で使用したHM901の試聴機(プリプロダクションモデル)を使用しての実機インプレッションです。

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HM901は通常のボリュームに比べるとかなり高価で本格的なステップアッテネーターを搭載していて、本体上部はそれで占められるというこだわり用です。本体前面には再生停止・早送り、曲選択などのハードボタンとホイールがありますのでDX100で面倒を感じてた人には福音でしょう。UIはHM801から比べてかなり使いやすくなっています。

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ユーザーインターフェースはかなり使いやすくHM801の古いDAPのようなものではなく、一気に国産のメジャーメーカー製品的な洗練された優れたUIになりました。ホイールを回すところころとアイコンが転がって選択します。ただしDX100のようなアップサンプリングとかデジタルフィルターの機能は試聴機ではありませんで、代わりにSPDIF入力の機能などがありました。

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底面はAppleの旧30ピンコネクタのような拡張ポートになっていて、アナログアウトやデジタルアウトはこのポート経由となります。また充電もこのポートを使います。側面にいくつかスイッチがありますが、HD/Vintageとはアナログローパスフィルターの設定で、帯域特性を変えることができるようです。

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音質の点でいま現在のハイレゾDAPの王者としてDX100と比較してみました。DX100は差異もありますが、HDP-R10のベースとなったモデルです。
感じるのはまずHM901の透明感の高さです。DX100はAndroidベースっていうのも原因と思うけど、iriver AK100あたりと比べても透明感に劣るのはちょっと問題ではあります。前に書いたようにDX100の音声出力は最終的にALSAを経由しているようですが、プレーヤー本体はJAVAベースで仮想マシン(VM)上で実行されます。ただDX100ではFirmware1.2.7でかなり手が加わったのか音質のこの辺は改善されてはいるようです。この辺は別記事(iBasso DX100とAPI開示)に続きます。
ただし仮にこの透明感・クリアさの問題がさらなるバージョンアップで少なくなったとしても、HM901はDX100に比べて一段上の音楽再現の質の高さを聴かせてくれます。これはもう少し補足して言うと、たとえるならオーディオ的で自然な鳴りの豊かさとち密さですね。濃密感・実体感のようなハイエンド機器で使うような言葉が浮かんできます。DX100もそれだけで聴くと良いんだけど、HM901からDX100に戻すと物足りなさ、密度感の低さ、音再現が淡白なものに感じられます。これは一つの曲をじっくり聴き比べて分かるというレベルではなく、聞き流していてもすぐわかります。JH16+Twagのような再現力の高いイヤフォンを使うと顕著ですね。たしかに音の細かさという点で言うとDX100でもかなり高いレベルにあるのですが、901ではそれにプラスしてオーディオ機器的な意味での音の豊かさが再現されています。この差はDX100のバージョンアップをしても埋まらないハードの差だと思います。

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HM901の技術的なポイントはハイエンドDACチップのES9018を二個使用しているところです。このES9018はもともと一個でマルチチャンネルの機能がありますから、それを複数使うというのは贅沢なことで、ハイエンド機材の世界を見てもアキュフェーズをはじめそれほど例はありません。HiFiman CEOのFangにヘッドフォン祭で会ったときに話を聞いてみたんですが、プロトタイプではさまざまなモデルを作成し、実際にはES9018一個のタイプも作成したそうです。そのモデルではたしかに性能は良かったけれども、いわゆるESSくさいというかドライで分析的すぎる感じが取れなかったそうです。しかし二個使用することで音楽的に豊かさのある再現力までが可能となったということです。
実際に中国のHiFiman本社には高性能スピーカーを使用した環境があって、そこでES9018を使ったある有名ハイエンドDACと比べたりして音決めをしているということです。そんなにそのリファレンスDACと遜色ないって話です。

カスタムIEMと合わせてみると、JH13だと音の表情は掴みやすいんですが、音楽的に良いのはJH16です。JH13だとジャズトリオに向いていて、JH16だとオーケストラのスケール感をも再現できるという点もあります。またそれだけの余裕を備えているのがHM901とJH16の組み合わせです。もちろんWhiplash TWagなどの高性能ケーブルも必要ですね。このレベルになると。

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HM901とFitEar ToGo 334/Ultrasone IQ

Ultrasone IQと合わせるとさらに音楽的には聴きやすくなります。FitEar To go 334と合わせると空間表現の豊かさに圧倒されます。ただK3003だとやや薄い表現が目立つようにも思えます。
いずれにせよ901レベルの音になると一つの音が正確であいまいさというものが少なくなるので、テスト機器的な意味でもイヤフォンの性能があばきだされます、まさにもちあるくアキュフェーズみたいなものかもしれません。

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またHM901とペアになる新型のRE600もなかなか良いイヤフォンです。音楽的に豊かで性能も高い一方でiPhoneにRE600とUBiOアプリあたりを組み合わせただけでも満足できる鳴らしやすさもあります。

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RE600は4pin TRRSバランスプラグを備えているので901を組み合わせるとバランス出力が楽しめます。バランスに切り替えるとぱっと音が広がってポータブルでのバランス駆動を手軽に楽しめます。バランスとシングルエンド(ノーマル)の切り替えはスイッチのみです。
試聴機はバランスアンプカード付きで、アンプカードは電池裏蓋を外すと交換ができるようになっています。

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持ちあるきに関しては文鎮とも称されたDX100とはちがって、AK100ほどではないにしろHM901がそれなりにコンパクトでものすごく重いというわけではありません。バッテリーの持ちは測ってはいませんが、特によいわけではなくだいたいDX100くらいかなと思います。ただ、あまり長く持つよりもこのクラスだと数時間程度と言う方がいっぱい電流を流してる感じがして良いですね。もちろんそれなりにあったかくなります。

ファームに関しては割と安定していてあまり落ちるということはありませんでしたが、タグの扱いなどがまだ試聴機ではうまく出来てないところもあります。基本的にいま使えたのは音質だけを試すモデルで、機能についてはまだ試聴機では実装されていないものも多いので生産モデルが使えるようになったらまた詳しく見てみたいと思います。
ハイレゾDAPも注目を集めてきていますが、HM901は音質に関してはハイレゾDAPの頂点を極めた新しい王者と言えるでしょう。日頃ハイレベルのオーディオ製品を聴いている人にもぜひお勧めしたい製品です。
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2010年09月11日

ステレオファイルのページにHifiMan HM801の記事が掲載

StereophileのホームページにHifiMan HM801のレビューが掲載されています。
Head DirectのFangの略歴から載っていますが、ナノテクを勉強していたようですね。
HM801もまだ知らない人も多いと思うので、こうして取り上げられてHeadFierでないオーディオ好きの人たちにもぜひ興味を持ってもらいたいものです。

http://blog.stereophile.com/stephenmejias/the_hifiman_hm-801_portable_music_player_big_is_the_new_small/
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2010年08月28日

HifiMan HM-602 NOS DAC搭載の高性能ポータブルプレイヤー

人気のHifiMan HM801の弟分ともいえるHM-602がいよいよ9月に発売されます。
わたしはHead Directから評価用モデルを送ってもらいました。下記の記事はそのモデルによるものです。

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こちらはサードウェーブさんの製品ページです。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN2.html

ひとことでいうとHM602はHM801に比べて一回り小さく、価格も抑えられたモデルです。
しかし単にHM801の弟分というだけではなく、HM602は独自の特徴を持っています。それはNOS DACの搭載です。
NOS DACとはノンオーバーサンプリング・DACのことです。HM-602で使用されているTDA1543というDACチップは実はもう生産されていないのですが、このNOS DACを製作するために使われた代表的なDACチップです。それをわざと使用してNOSというところにこだわったわけです。ちなみにHead Directでは全数検査をして品質を確保しています。

*DACのオーバーサンプリングとは

さて、ノンオーバーサンプリングを説明するにはオーバーサンプリングを説明しなければなりません。
オーバーサンプリングとはサンプリング周波数をさらに高く分割するものです。しかし、いわゆるリサンプリングやアップサンプリングとは違います。
リサンプリングやアップサンプリングはDACに入れる前(トランスポートから出すとき)にオリジナルのサンプリング周波数を44.1->88.2のように高めて音を良くしようとするものです。そのために中間補完とかも使うでしょう。
それに対してオーバーサンプリングはDACの中でアナログフィルター(ローパスフィルター)の効率を高めるための工夫です。ローパスフィルターとは最近はデジカメでよく聞くでしょう。デジタルカメラもデジタルオーディオもサンプリングをしてデジタル記録をするという点で、原理的に折り返し(エイリアシング)の問題から逃げることはできません。そのために折り返しの影響を受けるナイキスト周波数(1/2fs)より高い周波数を取り除くローパス(低い周波数だけを通す)フィルターが必要です。これは音楽でも写真でもデジタル記録であれば同じです。
ここのfig3が分かりやすい図式です。ちょっと難しくなりますが、オーバーサンプリングのポイントはサンプリング周波数を上げることで、ナイキスト周波数をシフトすることが出来るというところです。つまりローパスフィルターで図の左にある中身の音楽データに傷をつけずに取り出したいのが目的ですが、あまりデータが真ん中(ナイキスト周波数)ぎりぎりだと取出しが難しいのですが、オーバーサンプリングして周波数を高めるとナイキスト周波数がシフトして余白が多くなり、取り出しやすくなるのがわかると思います。
つまりオーバーサンプリングすることでアナログ回路で構成されるローパスフィルターの設計を簡易化できるのです。

*ノンオーバーサンプリングとは

しかし、こういう細工をすることで音質が劣化すると考える人たちもいます。基本的にデータに細工をしすぎる問題であるとか、また折り返しの影響を受けるとされる高い周波数が本当に意味がないのかという考え方もあります。そこを取ることで本来聴こえるべきものがなくなるのではないかということです。あるものはそのままにという純粋主義的な考えですね。(むこうではピュアリスト・アプローチといいます)
さらにジッターは周波数の時間方向に対しての揺らぎですから、周波数を細かく刻むとより多くのサンプルがジッターの影響を受けるようになります。
オーバーサンプリングとノンオーバーサンプリングのどちらがいいというのはよくネットで炎上するテーマのひとつなのであまり踏み込みませんけど、多くの人がノンオーバーサンプリングの音を好んで特にカスタムビルダーがよく使います。
メーカー品ではノンオーバーサンプリングというのはほとんどありません。ひとつの理由はスペック上の値はオーバーサンプリングのほうが容易に上げられるからです。それよりも聴覚上の音の良さを取るというのがノンオーバーサンプリングの考え方といえると思います。また素材を生かす料理に手間がかかるようにノンオーバーサンプリングもなかなか製作は難しいそうです。
普通にオーバーサンプリングを使えば失敗せずにそこそこ良いものは作れるわけですから、そこにこだわりを見せるところはポータブルプレーヤーにハイエンドDACチップのPCM1704を持ち込んだHead Direct/HifiManらしいといえます。

*HM801とHM602

単にアンプ前段のオペアンプが同じだから改良HM801とHM602が同じかというとこのようにDAC部分では別物の考え形、コンセプトで作られているわけです。
HM801はマークレビンソンのDACでも採用されていた様なハイエンドのDAチップであるPCM1704を使用して、ハイエンドオーディオ的なアプローチをポータブルオーディオに持ち込むことで良い音を追求し、HM602はDAチップにTDA1543を使用してノンオーバーサンプリングというハイエンドオーディオとはまた別な自作マニアが作るカスタムビルドのオーディオマニア的なアプローチをポータブルオーディオに持ち込むことで良い音を目指していると言えます。

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ちなみにHM-602では24bitは再生出来るけれどもTDA1543自体が16bitなので、互換性がある程度に考えておいたほうが良いと思います。この辺でも違いは出てきます。
またHM801ではアンプモジュールが差し替えられますが、コンパクトさ優先の602ではそれが固定で、代わりにゲイン切り替えがあります。アンプ自体は801の標準モジュールに近いものということです。IEMの相性はわたしはJH13が良いと思いました。使っていると熱くなるところは同じで、まじめにA級増幅仕事をしているという感じです。
602で改良された点も多々あって、まずチャージャーがコンパクトになりました。初版の801を持っていた私にしてみるとちょっと驚きです。

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キーは普通の十字キーとなることでわかりやすくなりました。ちょっとタッチは軽めなのでロックはしておいたほうが良いでしょう。厚みはちょっとありますが、本体はだいぶ軽く感じます。
スクリーン周りはほとんど同じでメニューも同じです。801で使用していたSDカードがそのまま使えます。

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なお機能はかなり引き継いでいて、USB DACとしても使えますし、各種入出力も801に似ていますね。それをコンパクトな筐体に入れ込んでいます。正面のボタンは上から電源ボタン、キーロックボタン、DAP/DAC切り替えです。

*602の音質

一番重要なのはもちろん音質です。技術は音質のためにあります。
届いてからまる二日程度はもうバーンインしていますが、JH13とEdition8で聴いてみました。
HM801と比べるとぱっと聴きの音質は近くて上質な感じは共通しています。帯域バランスは自然で、音表現はクリアで明瞭感は改良型の801に近いように思えます。
低域もタイトでドラムスのインパクトもよいし、ひとつひとつの音は明確でJH13で聴いてると音の細かさがはっきりわかります。もちろんドライではなく、オーディオ的なウォーム感があるのは801と共通する良い点です。性能偏重に陥らないということですね。
これを考えると602のコストパフォーマンスは高いと思います。

両者の差は細かく聴くとわかります。HM801は立体感や楽器の音の重なりのコントラストが明確で、音像の緻密さに優れています。洗練された音像や空間表現もさすがにハイエンドDACです。
HM602はアコースティック楽器の音を聴くと顕著ですが、音再現がとても滑らかでスムーズです。これは届いてすぐから感じたことですので、602の個性といえるでしょう。
ヴォーカルも聴いていてとても気持ちが良い再現力を持っています。ハープの音色も絶品という感じできれいに感じられますね。空間表現も独特で音楽のリアルな空気感や雰囲気をよく伝えられます。
とにかく聴いていて気持ちのよい音で、高い音性能を兼ね備えながら味のある良い音という感じです。この辺はNOS DACの効果なのでしょう。

602は単に801のスケールダウンで価格を求めやすくしたのではない、違ったアプローチで作られたポータブルオーディオといえます。いうなれば弟といっても異母兄弟的な感じでしょうか。
801をすでにもっている方にもお勧めできるのではないかと思います。
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HM-801のアップグレードサービス

前にも書きましたが、HifiMan HM-801について、602で使われているのと同じオペアンプにアップグレードできるというサービスがサードウェーブさんで行われています。
海外から買った人にも対応してもらえるという太っ腹なものです。

http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html

そのモジュールが届きました。オペアンプを交換した後のものは明るく透明感が高まります。また全体に先鋭に感じられます。
ちなみにHM801のアンプボードがIEM用(GAME)のときはJH16が良いように思えましたが、標準にしたときはJH13のほうが良いように思えます。
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2010年08月09日

HM-801の無償アップグレード案内

おなじみHifiman HM-801に無償アップグレード案内が出ています。
今度HM-602という弟分が出来ますが、こちらの方が良いオペアンプを搭載すると言うことで、HM-801の方も無料で同じものにアップグレードしてくれるという、うれしい話です。しかも日本ではサードウエーブさんがアメリカから直販で買った分も交換してくれるそうです!
普通こう言う場合はアメリカから買ったら向こう送りになるところをなんとも懐深い話です。海外送料や事故の心配なしで済ませられますね。送料は国内で買った人とアメリカ直の人は違いますので注意ください。

http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html

詳しくは上記ホームページを参照してお申し込みください。

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2010年03月09日

Hifiman 801の新アンプモジュール登場

Hifiman HM-801も国内販売されてなかなか好調のようです。
HM-801の特徴のひとつはアンプをモジュール式に取り替えられるという方式です。もともとPCM1704を使ったソース部分は優秀なだけにアンプを取り替えることでさまざまな個性をひとつのユニットで楽しむことができます。

そこでいよいよ待望の新アンプモジュールが登場します。
http://www.head-fi.org/forums/f87/ganqi-amp-module-earphones-game-card-475671/
このモジュールをHead-Directからサンプル品として送ってもらいました。新アンプモジュール(GAME)はIEM(イヤホン)のために設計されたもので、モジュールは634x2と627x2の構成です。またゲインも低く設定されています。

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上の写真で右はオリジナルモジュール(ST)です。なお新基盤に書かれている"Wu Bing"とはHM-801の開発コード名です。ちなみにWu Bingとは(わたしは知らないんですけど)マージャンのパイのひとつ「うーぴん」だそうです。

取り付けは下記ページにありますが、背面のGanQi Bayというアンプハッチを開けます。
http://www.head-fi.org/forums/5676654-post1.html
取り付けはとても簡単です。はじめから取り外しを念頭に設計されているようです。そのためアンプはラッチで押さえてあるだけなので力を入れすぎないように、軽くラッチを外側に押すだけでポップアップしてきます。

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ただ乾燥シーズンなので作業の前になにか金属にタッチして静電気を逃がしておくと良いですね。


はじめUE18につけて試してみました。UE18はUE11より改善されたとはいえ低インピーダンスのせいか、やや甘さがあります。しかしこの新モジュールで使用すると、明瞭感と解像感がぐっと改善されます。UE18のよさの精細感がPCM1704によって存分に引き出され、精緻で広がりのある空間の迫力に圧倒されます。
またゲインが低くなっているせいか、ボリュームの余地も広くなりよりボリュームコントロールがしやすくなっています。背景ノイズはまったくといってよいほど感じられません。漆黒です。

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JH13とHifiman 801の相性はもともと良かったのですが、さらによくなって驚きました。ぱっと聴くとまるで極上の銀線にリケーブルしたかのように晴れ上がっています。楽器やボーカルの生々しさは格別です。

ただしEdition8に使ってみると明瞭感はありますが、少し力が抜けた感じになります。これはオリジナルのモジュールの方が良いですね。やはり新モジュールはIEMに使って威力を発揮するものと言えそうです。また全体の音調はあまり変わりませんが、音がやや腰高になり厚み表現も少し異なるので音の好みもあるかもしれません。この辺はやはり両方そろえて変えて楽しむというのが良いと思います。
低インピーダンス、高感度のイヤホンとHifiman801を組み合わせて考えている方にはぜひお勧めです。


この新モジュールについては今月後半に国内発売されるということです。価格は下記の国内代理店のサードウェーブさんのサイトによると17900円と言うことです。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html
近いうちに入荷すると思いますので、フジヤさんブログとかサードウェーブさんのニュースをチェックしていてください。
posted by ささき at 21:02 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月15日

HifiMan HM-801国内発売 !

昨年の秋のヘッドホン祭でも紹介しましたが、持ち運ぶハイエンドオーディオとでも言うべきHifiMan HM801がついに国内でも発売になりました。
代理店としてサードウエーブさんが扱います。下記のフジヤさんブログなどをご覧ください。

http://avic.livedoor.biz/archives/51389643.html

評論家のかたにも試してもらっていますが、高評価をいただいています。オーディオを知っている人なら納得できる本物のオーディオの音ですね。わたしもいまのメインのポータブルセットになっているのが、HM801+JH13です。
今回はPSEをクリアしての国内販売ということですので、輸入ものとしてなかなか踏み切れなかった人も興味あるところだと思います。
あとはアンプモジュールが出てきてくれるとうれしいところですね。
posted by ささき at 23:07 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月27日

HifiMan HM-801と二週間

だいたい二週間くらいずっとHifiMan 801を使ってましたが、実際に使ってみたところをちょっと書いてみます。

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まずアンプ付きの二段重ねに比べると文庫本を一冊余計にもてるというのはやはり助かりますね。横幅はありますがそれほど厚みがあるわけではなく、わりと軽いのでバッグにするっと入れるにはほどよい感じです。もちろんポケットにはいるわけではありません。

使用したのは主にEdition8とJH13でした。IEMに関してはカスタムをいろいろと試しましたがやはりベストはJH13だと思います。はっきりくっきりしっかりとした明快なHiFiサウンドが堪能できます。
もちろんEdition8との組み合わせは文句なしにポータブル環境でベストと言えるでしょう。意外とよかったのはSennのMX W1ですね。HiFiワイヤレス体験を楽しめます。

電池の持ちについては実測でだいたい8-9時間は持つという感じです。
ただしLCDの消灯設定を適切にする必要があります。初回版では電池残表示が正しくされていませんが、これもパッチで修正される予定です。
本当に音質に特化したプレーヤーですが、その反面そのほかの領域は弱くて使いにくい面もあります。
例えば5つキーがありますが方向と機能に一貫性がなく、直感的に使いにくく感じます。またプレイリストも一個作れるだけのようです。Rockboxのように外部からのインポートができるといいんですけれども、まだマニュアルが来てないので機能面ではあまり書くことができません。

楽曲ファイルは主にExact Audio CopyでWavにRipしてからFLACにエンコードしています。このためタグなどはいい加減なのでフォルダーで管理しています。日本語のファイル名も表示は可能ですが、ひらがなフォントのデザインはなぜか小さめです。
96/24は主にLINNのダウンロードの楽曲ファイルを使いました。実際に使ったのは例えば下記のようなものです。
"Hymn to Nina" - Barb Junger 88/24 FLAC、"Life Jacket" - Ian Shaw 88/24 FLAC、"Spem in alium" - Thomas Tallis 96/24 FLAC、またスタジオマスターのサンプラーVol3の曲などです。このサンプラーはLINN Japanの人もDSのデモで良く使っています。
しかし相性があるのか以前記事に書いたHDTracksのRaising Sandはうまく再生できませんでした。この問題については向こうでも把握しているらしく、次のパッチで入るということです。
LINNのダウンロードを使って同じ曲(クレア・マーチン)を一曲44/16と96/24でそれぞれ買ったものを比較してみましたが、特にヴォーカルの艶っぽさや厚みといったところで差が出ます。


音質の変化についても良い方向でエージングできてきます。
はじめはポップなどのきつめの録音のものでは少しエッジにきつさが見られることがありますが、これは少しずつ取れていきます。
つまり基本的に高精細で録音に忠実な再現力をもっているので、そうした元々がきつい録音エンジニアリングのものはそのまま再現されるというわけです。逆に言うと良録音されているものではまさに一クラス上のリスニングをもたらしてくれます。

こう書くとジャズとかクラシック向きかと思うかもしれませんが、インパクトと切れが良いのでロックでも音の躍動感をよく伝えます。
低域は単に盛り上がってるのではなく、しっかりとした重みが乗って切れがあります。量感は十分ありますが誇張は少ないので、ズンズンいうのがいい人はヘッドホンの方で工夫するといいでしょう。

HiFiManはドライというわけではないけれども、iMod+SR71Aで聴くときの心地良い暖かみが欲しくなることもあります。そこでラインアウトからSR71Aにつなぐというのも少しだけやってみました。
こうすると全体的にかさばるということもあるけど、音の鮮度感がやや損なわれるようにも思えます。そうした意味でもプレーヤーとアンプの一体型というのはケーブルレスという点でも利点があると再認識させてくれます。また、アンプモジュールが変えられるので、将来的にそれも楽しみです。

HiFiという名の通りの高再現性というほかにHM801の音の特徴をひとことでいうと「豊かさ」と言えるでしょう。もう少し言うならば、色彩感とか音の陰影というようにオーディオの世界の言葉が浮かびます。あるいはワインの世界の表現も合うでしょう。
そうしたクラス上の上質感を味わうことができます。

いままではこうした高再現性がある音を得るためにはiPod/iModベースのiPod内臓DACでは不足で、光を使って外部DACを使うD10など使ってました。HifiMan 801は一つのパッケージでその辺とはひとクラス上の豊かで時折ハッとする世界をもたらします。




たとえばクラシック畑の大萩康司のギター曲"アクアレル"では、エリックモングレインなどのように派手さはなく、地味でシンプルでたんたんと演奏されて行きます。
しかしHifiManで聴くと細かいギターワークと、背景に聞こえる様々な環境音、きしみ、すれ、息遣いなど情報の多さが演奏者がいるかのように思えます。
演奏者の精神が細部に宿るとすると、それを描き出すHiFi再生機器は必要な要素です。HifiManはそれをポータブルで感じさせてくれます。
忙しくて帰宅してからも音楽を聴く余裕が取れないという時、電車の通勤リスニングも無駄にはならない時間です。これを充実させてくれるのはありがたいことです。

こうした領域で語れるというのはポータブルオーディオもまた一歩進歩したということになるでしょう。
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2009年09月15日

HiFiMan HM-801、その印象

hifiman801b.jpg

1. HiFiMan HM801とは

端的に言うとHM801は高音質のポータブル・オーディオプレーヤーです。
ただし、ここでいう高音質というのはiPodと他のDAPを比べて云々するというレベルのものではなく、まさにハイエンドオーディオに匹敵するような高音質をポータブルで実現するという野心的なプロジェクトです。

製作はHead-Directの責任者であるFangさんにより進められました。
Head-Directはうちでは何度も触れていますが、中国のヘッドホン関連のオーディオ製品を主に米国に展開しているディーラーです。こちらがホームページです。
http://www.head-direct.com/

HiFiManはこのプロジェクトの名前であると同時に、これまでのHead-Directというブランド名に代わるものです。この辺からもその意気込みが伝わりますが、HM-801はその第一弾の製品となります。

いままでポータブル環境の高音質化というと、iPodのラインアウトからケーブルを介してポータブルのヘッドホンアンプにつなぐということが一般的でした。HM801は単体のプレーヤーのみでそれらを統合してひとつの箱にまとめたものと考えるとわかりやすいかもしれません。
HM801はモジュール構成によりそれを実現しています。それに沿ってHM801の特徴を簡単に紹介します。

プレーヤー(ソース)部ではAAC/MP3/OGG/WMAの非可逆(ロスのある)の圧縮形式のほかに、高音質プレーヤーらしくWAVの非圧縮形式、そしてロスレス圧縮形式としてFLACをサポートしています。またFLACではなんと96k/24bitの高品質データ再生が可能です。この辺もいままでMP3プレーヤーとしてくくられてきたこのカテゴリの製品とは一線を画しています。ちなみに一番上の写真の液晶表示はLINNの高品質楽曲配信から購入した96/24の曲を再生しているところです。
そしてなによりプレーヤー部分の目玉はDACチップがPCM1704というハイエンドオーディオのDACに採用されている高性能チップを使用していることです。PCM1704はマークレビンソンのNo360やWadiaのシリーズ9などでも使用されています。
従来ポータブル機で音がいいといっても、たとえばiBasso D10ではWM8740というPCのサウンドカードに使われているようなDACチップです。DACチップだけが全てではないにしろ、これだけでもHM801の本気度には驚かされます。また、このDAC部分は単体として使うことが可能です。HM-801のキーのひとつはこの強力なソースコンポーネントにあるといえるでしょう。
楽曲ファイルは本体にも2GBのメモリーがありますが、SDHCカードで32GBまで増設できます。これも差し替えて何枚でも使うことができます。(わたしはちなみにSandiskのUltraIIです) 
UIはシンプルな仕様ですがカラー液晶で視認性は問題ありません。

アンプ部は取り外し可能なモジュール方式になっていて、その仕様は公開されています(下記アドレス参照)。現在標準でついてくるのは前段に15Vで動作しているOPA275と、後段はディスクリートバッファになっているようです。高いソース部の性能をディスクリート回路で十分に生かしているということですね。

電源部はリチウムポリマーの内蔵バッテリーですが、15Vもの高い電圧を得ることができます。このためにホームユースのチップ等を使えるということになり、安定動作できるチップも増えることでしょう。これも取り外しが可能でスペアバッテリーと交換できます。

入出力も豊富で、USB DACとしても使えますし、同軸デジタルケーブルから入力してDACとして使うこともできます。ただデジタル入力はミニプラグになります。ラインアウトもついているのでmini-miniケーブルを用意しておけばポータブルアンプと繋ぐこともできるでしょう。

現在は正式受注というよりは先行販売を行なっています。
定価は$750-$800となると思いますが、現在は第二次の先行販売申し込みを受けています。
価格や仕様など詳しくはこちらのHeadfiページをご覧ください。
http://www.head-fi.org/forums/f87/updated-hifiman-hm-801-portable-music-player-preorder-424053/

販売開始は遅れていましたが、今日時点で私のものを含めて3台のみ出荷されています。今後続いて出荷されていく予定ですが、しばらくは品薄となるかもしれません。


2. HM-801 Hands On

実物のHM801は横幅がやや広いものの重さは思ったより軽いという印象です。

hifiman801d.jpg     hifiman801c.gif

iHP140とD10の組み合わせと比べるとこんな感じです。右のペアが左にすっきりと統合されたという感じですね。実際にはケーブルも不要です。単体でiHP140と比べると3D CGでは右図のような感じです。手前の青がiHP140で紫がHiFiManです。厚み的にほぼ変わらず、横方向にやや広い感じです。

パッケージについては最終決定されていませんので、ちょっと省きます。わたしのものには本体のほかにチャージャーとアンプベイをはずすドライバー、そしてデジタル入力のためのRCAとミニ変換プラグが付いてきました。またポーチやクリーニングクロスも付いています。

インプレッションについてはマニュアルがまだ到着してないので、機能の詳細等はまだ分かりません。そこで箱を開けてから数時間程度の基本的な音の印象のみ書いておきます。
ヘッドホンのほうも現在ポータブル最高峰といえるEdition8とJH13で聴いてみました。

全般的な音調は精緻でかつ洗練されていてニュートラルであるという典型的なHiFi系のオーディオサウンドです。音質のレベルはもはやiPodとかDAPのレベルではありません。iPod+アンプのシステムを越え、外部DACのiHP-140+D10をも超えています。
大きめの高級DAPというよりは高級オーディオ機器が小さくなったというべきで、これは明らかに高級オーディオを感じさせる音です。
高級オーディオを感じさせるというのは、まず音が単に細かいというだけではなく質感が豊かです。研ぎ澄まされて一音、一音が明瞭というだけではなく、声や音の質感再現が豊かで滑らかです。8色のクレヨンでは表現できない微妙な中間色を24色のクレヨンなら再現が可能であるとたとえると分かるでしょうか。また、堂々とした深みのあるスケール感があります。音場が単に広いというのではなく空間表現が豊かです。
これらは例えばヴォーカリストの声のニュアンスの違いとか、楽器の音の色彩感、音色の書き分けをテクスチャ豊かに描き出します。ミクロ的にはヴォーカルのささやくような肉質感、マクロ的にはオーケストラの堂々たる迫力に圧倒されます。
単に音楽を聴くだけならばラジカセでもミニコンポでも聴けます。ハイグレードなオーディオの世界の良さはこうしたアーチストの音楽表現やサウンドエンジニアリングの妙を感じることができることです。そうして音楽の作品としての深みにひたることができます。そういう意味で高級オーディオ機器らしいというわけです。

またUE11でいつものようにヒスが聴こえるかということを試してみると、ボリュームがほとんど振り切っていてもヒスらしい背景雑音が聞こえないのに驚きます。まさに驚くほどのノイズフロアの低さです。おそらくiPodベースのシステムではiPodから流れてくるような背景ノイズのもとがほとんどないのでしょう。
これだけ背景が黒いとSN比もかなり高いことでしょう。これはかすかな細かい音が背景ノイズに埋もれずにかなりはっきり聞こえるということで、DACチップの細やかな再現を生かすことにもつながります。

UIはカラーで背景にはうっすらと波模様が見えているように階調再現が可能です。視認性は問題ありません。ただ操作等はやや直感的ではないところもあります。また機能的にもよく分からないところもありますが、この辺はマニュアルが来てから少しまた見直してみます。
楽曲ファイルはわたしはFLACを使用しています。フォルダー移動ができるのでRockbox的にフォルダーを作成してドラッグ&ドロップで曲をUSB経由で移動させます。96/24もOKなのはうれしいところですが、たまにひっかかるファイルがあるようです。もっともいまのところこれは少数で、たとえばLINNの高品質配信のファイルは問題ありません。また44/16の普通のCD品質ならまったく問題ありません。

早くからJudeさんのレビューでわかっていた出来のよさそうなソースセクションに比べると未知のアンプセクションは心配でしたが、なかなかの出来のようです。はじめはminibox-eをベースにするといっていましたが、完成品ではそれとは異なりディスクリートバッファを持っているようで、十分なカレントを確保しているようです。
音もしっかり引き締まって、Edition8でHandsのウッドベースを聴いたときは贅肉のない引き締まった音にちょっと驚きました。DACの良さもさることながら、がっしりと低域を押さえ込むのはやはりハイカレントのアンプ部が必要です。そうした意味できちんと上流の良さを生かす性能をもっていると言えるでしょう。
また再生側のヘッドホンやIEMもそれなりのレベルのものが必要になるでしょうね。

使用しているとすこし熱をもちますが、これもまじめに働いているオーディオ機器の証に思えます。その分でふんだんに電流を流しているせいか電池も長時間再生とはいきませんが、この辺はいまLCDなどの省エネ設定の組み合わせをしながらちょっと工夫しています。この辺はまさに音質第一というところです。
音質以外のところが華やかなオーディオプレーヤーは他にたくさんあります。実のところ音質というのは一番セールスポイントになりにくいところです。新機種で新しくビデオが表示できたり、新しくノイズキャンセルができたりすると新機能はすぐに違いがわかりますし、アピールとしてカタログに書きやすいところです。しかし、音質がよくなったと本来の基本的なところの向上を地味に行ってもなかなかセールスポイントには結びつきにくいでしょう。

この製作指揮をしているHead-DirectのFangさんは中国では知られたポータブルプレーヤー通のようで、実際に雑誌に記事を執筆したりしていたようです。そうしたポータブルオーディオへの情熱がこうした真のHiFiプレーヤーの登場となったのでしょう。
このブランドの今後の展開にも注目です。
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2009年09月12日

HiFiMan HM-801到着

HifiMan HM-801到着しました。
出荷が遅れていましたが、3個だけ先行出荷してもらいました。その一台がこれです。
残り二台はJudeさんとImmtbikerさんというそうそうたるHeadFiの重鎮なので、並んで選んでもらえるとうれしいですね。
この三台はロゴがレーザーですが、続くモデルはロゴはゴールドになります。

hifiman801.jpg

思っていたよりは軽いという印象ですね。さっそく少し聴いてみましたが、音は市販のポータブルプレーヤーと比べるようなものではなく、iHP140/D10の光接続DACセットよりもさらに精緻で堂々たる音です。
ちょっといま時間がないので詳しくはまた。


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2009年06月01日

CanJamでのHifiMan

CanJamでのHifiMan HM-801については音のコメントはありませんが、写真はいくつか掲載されています。
http://www.head-fi.org/forums/5725480-post182.html
http://www.flickr.com/photos/scorche/sets/72157619027545714/
(ちなみに上リンクの中で基盤だけのものはRSA Shadowです)

UIもできているようで、ID3タグも読めるようですね。
iHPとギガビートとの比較もあります。iHP-140より一回り大きいくらいでしょうか。このくらいならiPodとポータブルアンプを持ってケーブルをつなぐよりもずっとすっきりしますね。
底面は転送接続とUSB DAC用のUSBコネクタで、側面にLine outがあるので、アンプはSR71Aを使って、ということもできます。またデジタルインも装備していますのでDACのみでも使えます。CanJamではそうした展示もしたようです。
ボディの質感もなかなか思ったよりは良いという感じです。ちなみに外装はプラスチックではなくメタルということです。
だんだん期待が膨らんできました(^^

上の写真にはEF-2という名前も出てきますが、これはEF-1の下位モデルのことです。EF-1は昨年秋のヘッドホンショウに持っていった真空管ハイブリッドのホーム用ヘッドホンアンプです。

それとちょっと書きましたが、Head-Directの新型ヘッドホンも出ています。下記リンクのおそらく手前のもので、奥はJade(HE1.3)だと思います。
http://www.head-fi.org/forums/5725720-post195.html
これはなんとOrthodynamic方式という点が特徴です(Isodynamicとも言います)。オルソダイナミックは下記のわたしのYAMAHA HP-1の記事を参考にしてください。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/4708524-1.html
簡単に言うとSTAXのような平面振動版をダイナミック方式で行うもので、特に専用のアンプは必要ありません。ダイナミック型のひとつの理想ですが、製作コストはかかるということです。そのせいか価格は$800とちょっと高いですが、YAMAHA HP-1やYH-5Mから推してもオルソダイナミックはスムーズでリニアな帯域特性を持っているようなのでこれも注目ですね。

HifiManについてはもうちょっとコメントが見たいようにも思いますけれど、、まあもう注文しちゃったからいいけど(笑)
posted by ささき at 23:04 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月13日

HifiMAN HM-801 - ハイエンドDAP

iPodとドックとポータブルアンプをバッグに入れながら、おそらくみな考えていたと思います。これらがひとつにならないかと。
そのときがいよいよ来たのでしょうか?
何回かうちでも書いてきたHead-DirectがHifiMANと名称を変えて、HM-801というハイエンドDAPを出すようです。つまりRE-1のようにFangさんがプロデュースしたもののようですね。

http://www.head-fi.org/forums/f87/hifiman-hm-801-portable-music-player-preorder-424053/#post5677357

こちらにjudeさんがここに至る経緯とプロトタイプをためしてみたレビューが載っています。

http://www.head-fi.org/forums/f15/hifiman-hm-801-portable-player-dac-review-part-one-two-424091/

HM-801はモジュール方式になっていて、アンプ部分は挿しかえれるようです。また14.8Vという高電圧の電池をやはりモジュール式で内蔵できるようです。この辺もポイントですね。ストレージはSDHCとのこと、ただレビューを見ると内蔵メモリーもあるようです。サイズからするとiPodを一回り大きくしたような感じです。
DAC部分はPCM1704と出力段には627をおごっているようです。レビューを見るとまだアンプ部分はできていないようです。そこでDACとしてつかったようですが、性能はすばらしくノイズフロアはとても低くて据え置きとしても遜色ない性能とか。
ちょっと、というか、かなり気になりますね。
posted by ささき at 01:03 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする