Svanar WirelessはHIFIMANが開発したANC搭載の完全ワイヤレスイヤフォンです。ANC搭載ながらも、あらゆる点で音質優先が徹底されているのがポイントです。本日6月20日に発売が開始され、価格は79,860円(税込)です。
特徴
1 R2R DAC「ヒマラヤ NANO」とバランスアンプを搭載
普通の完全ワイヤレスイヤフォンではオーディオ回路がBluetoothの通信チップに統合されているために音質はそれなりということになります。
このSvanar WirelessではBluetoothの通信チップとは別に独立したDAC回路とアンプ回路を搭載することで、その制限を超えてより本格的な音の再生が可能です。HIFIMANでは過去にTWS800というこうした設計の先駆的な完全ワイヤレスがありましたが、その延長上にある製品といえます。
さらに特徴的なのはそのDAC部分にHIFIMANが独自開発したヒマラヤDACを搭載していることです。これはヒマラヤNANOと呼ばれるさらなる小型版を開発しているようです。ヒマラヤDACとはHIFIMAMが独自開発したDACで、R2RラダーDAC設計を採用したいわゆるマルチビットDACです。これはPCMの再生時にデジタルっぽさを低減するというメリットがあります。ヒマラヤDACは高性能DAC ICであるPCM1704並みという高音質を実現しただけではなく、他の高性能DAC ICの数十分の一という低消費電力を特徴としているのもポイントです。
また独立したアンプ部分はなんとバランス出力が採用されています。このことにより一層力強い再生が可能となります。
つまりイヤフォンの中に小さなDAC内蔵ポタアンが入っている様なものです。しかもそれがR2R DAC、バランス駆動アンプというマニアックな仕様というわけです。この辺はマニア市場で好評を得ているHIFIMANらしさ全開と言えます。
2 HIFIMAN独自のトポロジー振動版を採用
Svanar WirelessではDACやアンプの様なエレクトロニクス部分だけではなく、音響部分でもHIFIMAN独自のトポロジー振動版を採用することで高性能化が図られています。トポロジー振動板とはHIFIMAMが独自開発した振動版の技術名称です。
振動板上にナノサイズの粒子をさまざまな形状やパターンにした層を組み込むことで、これらのナノサイズコーティングが振動版の動きを正しくチューニングすることができ、そのためドライバーの音質の最適化ができるという技術です。つまりナノサイズの粒子で振動板の動きを正しくコントロールすることができるというわけです。
3 ANCと外音取り込み機能を搭載
Svanar Wirelessでは音質だけではなく、アクティブノイズキャンセリング(ANCモード)と外音取り込み機能(トランスペアレント・モード)も搭載されています。これらは左ユニットのボタンを長押しすることでモードを変更させることができます。
ANCモードはANC ディープノイズキャンセリングと呼ばれていて、最大で-35dBのノイズ低減効果があるとのことです。
4 HIFIモード搭載
面白いのはアクティブノイズキャンセリング・モード、トランスペアレント・モードの他に音質優先のHIFIモードが搭載されていることです。
このHIFIモードのときにはANCモードよりも再生時間が短くなるというのが音質優先の製品らしい特徴です。Svanar Wirelessはトランスペアレント・モードの時に約7時間、ANCモードの時に6時間、HiFiモードの時に約4時間の再生が可能です。
おそらくはHIFIモードの時にバランス出力になるのではないかと思いますが、ここは詳しくはわかりません。
5 人間工学的なデザイン
Svanarとはスエーデン語の白鳥を意味する言葉のスヴァナールから来ています。Svanarは白鳥という意味で、HIFIMANでは形状が白鳥を模したイヤフォンをSvanarと呼んでいるようです。フェイスプレートはカーボンファイバーで反対側はABS樹脂製です。有線のSvanarは真鍮製ですが、これはワイヤレスで電波を通す必要性からでしょう。
Svanar Wirelessはたくさんのエレクトロニクスが満載されているからか多少大柄なシェルのサイズなんですが、この白鳥を模したような人間工学的なデザインにより装着感を向上させています。充電ケースもユニークで未来的な造形がなされています。ケースは本体を3回分充電することができます。
パッケージ内容物
この他の特徴としてはBluetoothのコーデックとしてはSBC、AACに加えてLDACにも対応しています。
* インプレ
製品を手に取るとまずケースのユニークな形状に感心してしまいます。まるでSFの小道具のようです。本体もユニークな形状で大柄な回路とかドライバーが詰まっている感じがします。ただし軽量でユニバーサルイヤフォンのような曲面が耳にぴったりフィットすることで装着感は快適です。
操作はタッチコントロールで、フェイスプレートの四角い部分をタップすることで行います。タップするたびにピッとトーンが出るのでわかりやすく使用ができます。
ANCや外音取り込みのモード切り替えは左ユニットを3秒長押しで切り替えができます。ANCを電車内で使用するとガタガタという騒音はスッと消えてゆきますが、車内アナウンスは聞こえています。他のANCと比べてそう劣る様でもないように思います。音質優先の完全ワイヤレスではありますが、ANC機能も思ったよりも良く効く感じです。外音取り込みはレジで使ってみると、AirPodsみたいに強調されるような感じではないが、自然に使える感じです。
HIFIモードと他のモードではあきらかな音質差があります。またANCオフでも地のパッシブノイズ低減でわりと音は低減できます。そのため、基本的にはHIFIモードで使うことをお勧めします。音楽は基本的にHIFIモードにして電車内で本を読みたい時などにANCにすると良いかもです。
音質は端的に完全ワイヤレスイヤフォンとしては前例がないほど高音質です。特にアナログ的で豊かな高性能オーディオを思わせるようなサウンドが感じられ、とても強い力強さをも感じます。これはR2R DACとバランス回路が効いているからでしょう。完全ワイヤレスとしてはちょっと驚くほどで、思わずケーブルでDAPに繋がっているんじゃないかと錯覚して手が動くほどです。
楽器音はとても細かい音まで解像する感があり、音場の立体感も包み込まれるように感じられます。帯域バランス的には低音重視で、低音が太く豊かで音のスケール感があります。しかしDACやアンプの効果なのか、低音はタイトで歯切れも良いのでコンシューマー的な緩んだ低音の強調感ではありません。しっとりとしたジャズヴォーカルものを聞いていてもそうベースが誇張した違和感はないので普通に聞けるレベルで盛り上げている感じがあり、本当に高性能DAPが耳に詰まっている様な音の制御の巧みさが感じられます。低音が太く豊かで広がりもあるので音にスケール感があります。
このように音傾向はフラットではなく低域が強調されたサウンドですが、もともと回路と一体型なので様々なDAPに合わせる必要はないので、上手に味付けがなされているといえるかもしれません。
またANCは音が出てるのと同じ振動板を動かして逆位相作るのであまりいいことではなく、特に低音再現に影響するとも言われています。そういう意味で低音に強いサウンドにしたのは差別化という点でもありなのかもしれません。
楽器音はとても細かい音まで解像する感があり、音の立体的な広がり方も気持ちよく包み込まれるような感じで立体的な広がりです。エレクトリカとか曲によっては音が自分の周りを飛び回るように聞こえる感じもします。完全ワイヤレスではあまり味わったことがないほどのレベルです。音が絡み合うような複雑な曲で真価を発揮します。
ヴァイオリンの音では響きの余韻が感じられ、音に厚みがあって、より耳に近く感じられます。少し前列で聞いている感じです。声自体は明瞭感があってはっきりと聞こえて、歌詞もよく聞き取れます、ここはさすがにDACの解像力の高さでしょうね。
パーカッションやドラムのアタックの叩きつけるような鋭さも完全ワイヤレスではおよそ聴いたことがないレベルです。アタック感があるのでロックにも良いです。また細かい音を再現するのでクラシックやジャズトリオにも向いています。
他にもDACが独立内蔵されているTWSがありますが、Svanar wirelessはDACもさることながらアンプが強力な気がします。それがこの豊かな音鳴りと空間表現の元になっていると思います。そして楽器音がきつくなくアナログ的な感じがするのはヒマラヤDACの効果ではあるでしょう。
AirPods Pro2に比べるとかなり音質は普通に据え置きのオーディオ機器で聞いているように感じます。比較するとAirPods Pro2の音はやはりコンシューマデジタル機器の音で、かなり薄く軽く感じられます。AirPods Pro2は化学調味料で味付けした音で、Svanar Wirelessは自然のダシで味付けしたオーディオ機器らしい音とも言えます。
HM800はハイインピーダンスドライバーという点にポイントがあって、ゲインが大きすぎた気もするけど、Svanarは欲張らないで自然に鳴っている感じです。
例えると普通の完全ワイヤレスはiPhone直差しの音、これはDAC内蔵ポタアンを通した音。一般的なスティックDACよりも広がりの点で優っている。完全ワイヤレスは仕組み上元々モノDAC・モノアンプですし、さらにバランスですからね。
楽器音の解像力と滑らかさはDACの良さ、空間表現と厚みはアンプの良さかもしれません。
まとめ
マニアックな製品だけど思ったより普通にANCイヤフォンとして使える。ポケットに入れやすさ、外音モードへの切り替えとかもう少し改善
音が良いのにケーブルもなにもないので違和感がある。
まるで上質のDAC内蔵ポタアンと高性能イヤフォンが耳の中に詰まっている不思議な感覚さえ覚えるような、大変音質に優れた完全ワイヤレスイヤフォンだ。
R2RはPCMに強いのですがDSDに弱いという欠点もあります。しかしBluetoothワイヤレスの場合にはこの欠点は問題になりませんので、完全ワイヤレスにはとても向いているのがヒマラヤDACの利点がフルに発揮されている。
Music TO GO!
2023年06月20日
2022年06月22日
ヒマラヤDAC搭載のスマホ向けDAC「HM800」レビュー
HIFIMAN HM800は最近流行りのスマホと組み合わせるのに都合の良いスティックタイプとかドングルタイプと言われる小型DACです。しかしその中身はHIFIMANらしいマニア精神にあふれています。
その特徴はHIFIMAN独自のヒマラヤDACを搭載したことです。これによってR2RDAC採用というマニアックなスペックでありながら驚くほどのコンパクトさを実現しています。
市場のドングル型のDAC製品の半分程度という小型さで、今までのイヤフォンのスプリット部の飾り並みの小型さです。接続は片側のUSBタイプCの端子をスマートフォンなどに接続するだけです。
本レビューは製品化前のモデルで行っていますので、国内販売モデルとは異なります。本レビューではケーブルが固定式のモデルですが、国内導入時にはスマホ側もイヤフォン側も交換可能のケーブルとなるようですので、国内発売時にまた確認してください。
ヒマラヤDACはR2R設計でありながらもFPGAチップ上に独自のアルゴリズムを採用することでチップと周辺回路間の電力を低減させることが可能となったとのことです。SN比やTHDなどの性能面の高さだけではなく電力消費においても優れたDACです。
またHM800はDACフィルターにノン・オーバーサンプリング方式を採用しています。一般にオーディオ用DACで広く使用されている方式はオーバーサンプリングフィルターで、弱い信号のエイリアシングを軽減し量子化ノイズを超高周波数帯域に送り込みアナログフィルターで低減できるようにします。ただし時として細かい信号自体を超高周波数帯域に押し出して完全に除去してしまう場合があります。ノン・オーバーサンプリング方式のDACは録音の細部を可能な限り保てるようにそうしたマイナスの影響を排除しながらメリットを活かすように設計されているとのことです。
ヒマラヤDACは低消費電力が特長です。同時にその電圧出力の特性により、優れたオーディオ出力を実現するために必要な増幅回路は単純に組めるとのこと。電力消費量が少ないために熱雑音(ジョンソン雑音)も非常に低くなります。
HM800は内部バランスで設計され、高い性能と高い出力を誇ります。再生は768kHz/24bitのPCM音源に対応します。ただしR2R DACなのでDSDは直接デコードできませんので、DSD音源はスマホ側のアプリなどでいったんPCMに変換してから再生してください。
次に実際のデモ機を用いたインプレッションです。
試聴はHarmonyOS2.0.0搭載の「ファーウエイ 9X」で行いました。 イヤフォンはHIFIMAN RE2000(旧モデル)です。
やはり感じるのはとても小型だということです。重さは30gです。このタイプのDACはケーブルにぶらさがりますので小型なほど使いやすいと言えます。実際に使ってみると、とても軽くてケーブルについていても気にならないレベルで快適です。
音はSN感が高く鮮明でヴォーカルの声もかなり鮮明に聞き取れます。わりと着色感は少ないですね。楽器音は歯切れよく鮮明でSN感が高く感じられます。ドラムスなどは誇張感が少なくタイトでパンチがあって楽しめます。感じとしてはBluemini R2Rに近い音のように思われますので、DEVA Proを使用していてBlueminiの音を気に入っている人にも良いでしょう。
スマホの音を高音質で手軽にあまり負担なく聞くことができるDACを探している方にオススメです。
HM800は38,500円税込みで7月1日に発売します。またHIFIMAN RE2000は新たにRE2000 Proとして198,000円税込みで7月1日に発売します。
その特徴はHIFIMAN独自のヒマラヤDACを搭載したことです。これによってR2RDAC採用というマニアックなスペックでありながら驚くほどのコンパクトさを実現しています。
市場のドングル型のDAC製品の半分程度という小型さで、今までのイヤフォンのスプリット部の飾り並みの小型さです。接続は片側のUSBタイプCの端子をスマートフォンなどに接続するだけです。
本レビューは製品化前のモデルで行っていますので、国内販売モデルとは異なります。本レビューではケーブルが固定式のモデルですが、国内導入時にはスマホ側もイヤフォン側も交換可能のケーブルとなるようですので、国内発売時にまた確認してください。
ヒマラヤDACはR2R設計でありながらもFPGAチップ上に独自のアルゴリズムを採用することでチップと周辺回路間の電力を低減させることが可能となったとのことです。SN比やTHDなどの性能面の高さだけではなく電力消費においても優れたDACです。
またHM800はDACフィルターにノン・オーバーサンプリング方式を採用しています。一般にオーディオ用DACで広く使用されている方式はオーバーサンプリングフィルターで、弱い信号のエイリアシングを軽減し量子化ノイズを超高周波数帯域に送り込みアナログフィルターで低減できるようにします。ただし時として細かい信号自体を超高周波数帯域に押し出して完全に除去してしまう場合があります。ノン・オーバーサンプリング方式のDACは録音の細部を可能な限り保てるようにそうしたマイナスの影響を排除しながらメリットを活かすように設計されているとのことです。
ヒマラヤDACは低消費電力が特長です。同時にその電圧出力の特性により、優れたオーディオ出力を実現するために必要な増幅回路は単純に組めるとのこと。電力消費量が少ないために熱雑音(ジョンソン雑音)も非常に低くなります。
HM800は内部バランスで設計され、高い性能と高い出力を誇ります。再生は768kHz/24bitのPCM音源に対応します。ただしR2R DACなのでDSDは直接デコードできませんので、DSD音源はスマホ側のアプリなどでいったんPCMに変換してから再生してください。
次に実際のデモ機を用いたインプレッションです。
試聴はHarmonyOS2.0.0搭載の「ファーウエイ 9X」で行いました。 イヤフォンはHIFIMAN RE2000(旧モデル)です。
やはり感じるのはとても小型だということです。重さは30gです。このタイプのDACはケーブルにぶらさがりますので小型なほど使いやすいと言えます。実際に使ってみると、とても軽くてケーブルについていても気にならないレベルで快適です。
音はSN感が高く鮮明でヴォーカルの声もかなり鮮明に聞き取れます。わりと着色感は少ないですね。楽器音は歯切れよく鮮明でSN感が高く感じられます。ドラムスなどは誇張感が少なくタイトでパンチがあって楽しめます。感じとしてはBluemini R2Rに近い音のように思われますので、DEVA Proを使用していてBlueminiの音を気に入っている人にも良いでしょう。
スマホの音を高音質で手軽にあまり負担なく聞くことができるDACを探している方にオススメです。
HM800は38,500円税込みで7月1日に発売します。またHIFIMAN RE2000は新たにRE2000 Proとして198,000円税込みで7月1日に発売します。
2022年06月07日
HIFIMANのコンパクトなハイパワーヘッドフォンアンプ、EF400レビュー
HIFIMAN EF400は据え置きのDAC内蔵型ヘッドフオンアンプです。
EF400の特徴はDACにHIFIMAN独自のヒマラヤDACを採用している点、完全バランス構成、ハイパワー出力、デスクトップに置けるコンパクトなどが挙げられます。つまり強力なヘッドフォンアンプをデスクトップサイズにコンパクトにまとめたものがEF400です。
6月10日に発売開始、価格は85,800円(税込み)です。
* 特徴
平面磁界型ヘッドフォンは最近は高能率化してきましたが、やはり鳴らすためにはハイパワーアンプが必要です。
平面型ヘッドフォンのパイオニアでもあるHIFIMANは平面型の鳴らしにくさを知っていたので、10年も前の2012年に平面型のためにハイパワーを生み出す強力なヘッドフォンアンプであるEF6を発表しています。
私も一時EF6を使用していました。たしかにヘッドフォン史上もっとも能率が低いような平面型のHE6でも鳴らしきるようなハイパワーだったのですが、EF6は大型のスピーカーオーディオ機材のような、とても大きくて重くて扱いにくいアンプでした。
その能力を引き継いでコンパクトに扱いやすくし、バランス対応でさらに高出力化を図って、最新のヒマラヤDACを搭載するヘッドフォンアンプの新製品がEF400と言えます。
ヒマラヤDACはFPGAを核にしたDACで、マルチビット形式とも言われるR2R形式と低消費電力という点がポイントです。性能ではマルチビットDACの代表であるPCM1704と互角で消費電力が1/20というのがヒマラヤDACです。
R2R形式を特徴としていますので、デジタル臭さの少ないオーディオらしい豊かな音を可能にすることができ、低消費電力なのでさまざまな製品に応用ができます。Blueminiではポータブルの応用でしたが、EF400ではそのコンパクトさに貢献しています。
コンパクトなEF400ですが持ってみるとけっこう重たく、中身は図のように大変に本格的な設計がなされています。
OFC巻線トロイダルトランスがあり、3万マイクロファラッドの大容量コンデンサーと大出力のアンプ回路を搭載しています。それに加えてヒマラヤDACモジュールが搭載されています。
EF400のアンプ回路は4チャンネルでAB級増幅のフルバランスの設計がなされています。そして4.4Wというヘッドフォンアンプとしては驚くような大出力を実現しています。一般にヘッドフォンアンプでは1Wくらいの出力でハイパワーといわれると思います。ちなみにEF6ではシングルエンドで5Wの出力でした。
EF400は接続性や機能性にも優れています。
前面左の4段スイッチによりゲイン切り替えだけではなく、NOS(ノンオーバーサンプリング)やオーバーサンプリングなどDAC設定の調整ができます。NOSはマルチビットDACとよく組み合わせられますが、DAC内部でSNを高めるためのオーバーサンプリング処理をしない方式です。その分で本来ノイズのデータを捨てないでそのまま使うので「味がある」音になると言われます。実際に使うとOSモードだとすっきりして現代風、NOSモードだともやっとした感はあるが暖かみがあっていわゆる真空管風の音になります。長短ありますが音の差もわかりやすくマルチビットDACらしい機能といえます。
(ちなみにオーバーサンプリングとアップサンプリングは別の話です)
また通常の標準ヘッドフォン端子に加えて4.4mmのバランスとXLRキヤノン端子の4ピンバランス端子も装備しています。ヘッドフォン接続は豊富です。
USBデジタル入力の他にもXLR端子やRCA端子などの出力端子もあるのでプリアンプとしても使用できるでしょう。入力はデジタルのみでUSB-CあるいはUSB-B(フル)です。
EF400のスペックは以下の通り
SN比:Aウエイトで118dB
全高調波歪み(THD):ラインアウトで 0.002%〜0.004%
チャンネルセパレーション: 125dB
最大出力:4.4W/ch
* インプレッション
MacbookからUSB-Cケーブルで接続して聞きました。あまり熱くならないので上に乗せてもいいくらいで机においてもいいかもしれないですね。横に立てておいてもよいでしょう。
音はニュートラルで色つけが少ないHIFI調の音で、誇張感も少ない方だと思います。音調自体はたしかにDACが同じBlueminiと似ています。ただし音のレベルはより高いので、アンプ性能をより引き出せている感じです。これはバランスで使用するとより強く感じます。かなり細かい音が聞こえるのでDACの解像力も十分に高いと思います。低音のパンチが気持ち良く、楽器音の歯切れも素晴らしくスピード感に溢れています。音の立体感も良いですね。
ちなみにOSモードだと普通にすっきりと良い音、NOSだと少しもやっとしますがより滑らかで角の取れたアナログ風の味のある音になります。
そしてやはりポイントはとても力感があって力強さを感じられるサウンドだということです。
ヘッドフォンは私が所持しているAUDEZE LCD2という古い平面型を使用してみました。というのは最近の平面磁界型は高能率化してきましたが、このころの古い平面磁界型は能率が低くてとても鳴らしにくいからテストに最適というわけです。試してみると躍動感やスピード感もひときわ優れてた素晴らしいサウンドになっていると感じます。
一般に低能率のヘッドフォンではボリュームが取れたとしても遅く重く暗い音になりがちです。これでは音量が十分に取れていても鳴らしきっているとは言えません。EF400ではそうした重苦しさは少なく、朗々としたパンチがあるサウンドで躍動感やスピード感もひときわ優れています。まるでLCD2が高能率のヘッドフォンのように感じられます。
ラックにしか置けないような大きいアンプならともかく、こんなに小さいのに4.4Wもの出力があるのは特筆ものといえるでしょう。
AB級増幅で熱くならないのでデスクトップでもあまり問題にならないでしょう。デスクトップに置けるサイズで価格も手ごろな平面型ヘッドフォンに最適のヘッドフォンアンプを探している人にオススメです。
EF400の特徴はDACにHIFIMAN独自のヒマラヤDACを採用している点、完全バランス構成、ハイパワー出力、デスクトップに置けるコンパクトなどが挙げられます。つまり強力なヘッドフォンアンプをデスクトップサイズにコンパクトにまとめたものがEF400です。
6月10日に発売開始、価格は85,800円(税込み)です。
* 特徴
平面磁界型ヘッドフォンは最近は高能率化してきましたが、やはり鳴らすためにはハイパワーアンプが必要です。
平面型ヘッドフォンのパイオニアでもあるHIFIMANは平面型の鳴らしにくさを知っていたので、10年も前の2012年に平面型のためにハイパワーを生み出す強力なヘッドフォンアンプであるEF6を発表しています。
私も一時EF6を使用していました。たしかにヘッドフォン史上もっとも能率が低いような平面型のHE6でも鳴らしきるようなハイパワーだったのですが、EF6は大型のスピーカーオーディオ機材のような、とても大きくて重くて扱いにくいアンプでした。
その能力を引き継いでコンパクトに扱いやすくし、バランス対応でさらに高出力化を図って、最新のヒマラヤDACを搭載するヘッドフォンアンプの新製品がEF400と言えます。
ヒマラヤDACはFPGAを核にしたDACで、マルチビット形式とも言われるR2R形式と低消費電力という点がポイントです。性能ではマルチビットDACの代表であるPCM1704と互角で消費電力が1/20というのがヒマラヤDACです。
R2R形式を特徴としていますので、デジタル臭さの少ないオーディオらしい豊かな音を可能にすることができ、低消費電力なのでさまざまな製品に応用ができます。Blueminiではポータブルの応用でしたが、EF400ではそのコンパクトさに貢献しています。
コンパクトなEF400ですが持ってみるとけっこう重たく、中身は図のように大変に本格的な設計がなされています。
OFC巻線トロイダルトランスがあり、3万マイクロファラッドの大容量コンデンサーと大出力のアンプ回路を搭載しています。それに加えてヒマラヤDACモジュールが搭載されています。
EF400のアンプ回路は4チャンネルでAB級増幅のフルバランスの設計がなされています。そして4.4Wというヘッドフォンアンプとしては驚くような大出力を実現しています。一般にヘッドフォンアンプでは1Wくらいの出力でハイパワーといわれると思います。ちなみにEF6ではシングルエンドで5Wの出力でした。
EF400は接続性や機能性にも優れています。
前面左の4段スイッチによりゲイン切り替えだけではなく、NOS(ノンオーバーサンプリング)やオーバーサンプリングなどDAC設定の調整ができます。NOSはマルチビットDACとよく組み合わせられますが、DAC内部でSNを高めるためのオーバーサンプリング処理をしない方式です。その分で本来ノイズのデータを捨てないでそのまま使うので「味がある」音になると言われます。実際に使うとOSモードだとすっきりして現代風、NOSモードだともやっとした感はあるが暖かみがあっていわゆる真空管風の音になります。長短ありますが音の差もわかりやすくマルチビットDACらしい機能といえます。
(ちなみにオーバーサンプリングとアップサンプリングは別の話です)
また通常の標準ヘッドフォン端子に加えて4.4mmのバランスとXLRキヤノン端子の4ピンバランス端子も装備しています。ヘッドフォン接続は豊富です。
USBデジタル入力の他にもXLR端子やRCA端子などの出力端子もあるのでプリアンプとしても使用できるでしょう。入力はデジタルのみでUSB-CあるいはUSB-B(フル)です。
EF400のスペックは以下の通り
SN比:Aウエイトで118dB
全高調波歪み(THD):ラインアウトで 0.002%〜0.004%
チャンネルセパレーション: 125dB
最大出力:4.4W/ch
* インプレッション
MacbookからUSB-Cケーブルで接続して聞きました。あまり熱くならないので上に乗せてもいいくらいで机においてもいいかもしれないですね。横に立てておいてもよいでしょう。
音はニュートラルで色つけが少ないHIFI調の音で、誇張感も少ない方だと思います。音調自体はたしかにDACが同じBlueminiと似ています。ただし音のレベルはより高いので、アンプ性能をより引き出せている感じです。これはバランスで使用するとより強く感じます。かなり細かい音が聞こえるのでDACの解像力も十分に高いと思います。低音のパンチが気持ち良く、楽器音の歯切れも素晴らしくスピード感に溢れています。音の立体感も良いですね。
ちなみにOSモードだと普通にすっきりと良い音、NOSだと少しもやっとしますがより滑らかで角の取れたアナログ風の味のある音になります。
そしてやはりポイントはとても力感があって力強さを感じられるサウンドだということです。
ヘッドフォンは私が所持しているAUDEZE LCD2という古い平面型を使用してみました。というのは最近の平面磁界型は高能率化してきましたが、このころの古い平面磁界型は能率が低くてとても鳴らしにくいからテストに最適というわけです。試してみると躍動感やスピード感もひときわ優れてた素晴らしいサウンドになっていると感じます。
一般に低能率のヘッドフォンではボリュームが取れたとしても遅く重く暗い音になりがちです。これでは音量が十分に取れていても鳴らしきっているとは言えません。EF400ではそうした重苦しさは少なく、朗々としたパンチがあるサウンドで躍動感やスピード感もひときわ優れています。まるでLCD2が高能率のヘッドフォンのように感じられます。
ラックにしか置けないような大きいアンプならともかく、こんなに小さいのに4.4Wもの出力があるのは特筆ものといえるでしょう。
AB級増幅で熱くならないのでデスクトップでもあまり問題にならないでしょう。デスクトップに置けるサイズで価格も手ごろな平面型ヘッドフォンに最適のヘッドフォンアンプを探している人にオススメです。
2021年11月24日
HIFIMANの独自DAC「ヒマラヤDAC」
DACはデジタルオーディオのキーコンポーネントですが、現在のDAC IC市場はAKM(旭化成)とESSの寡占状態にあり、それに最近の供給不足問題も加えてやや不安定さを感じさせられるのが現状です。HIFIMANもそれを問題と考えていた企業の一つです。
HIFIMANのFang社長は長年のオーディオファイルでもあり、これを逆に好機と捉えて自分の理想を実現するために自社独自のDACを開発しました。それが「ヒマラヤDAC」です。(HYMALAYA DACは国内ではカタカナ表記とのことです)
ヒマラヤDACの特徴はR2R設計であるということと、超低消費電力であるということです。
ヒマラヤDACはチップではありませんが、FPGAをコアとして周辺部まで含んでDACを形成したものです。ChordのパルスアレイDAC的なものと捉えると良いかもしれません。言い換えるとヒマラヤDACとは、従来の抵抗を組み合わせたR2R DAC回路であれば巨大になるDAC回路を、従来のICなみのコンパクトさで提供することができるようにFPGAを核にパッケージ化したDACアーキテクチャと言えます。
ヒマラヤDACの大きな特徴はR2R設計のDACであるということです。これは現在のほとんどのDACがデルタシグマ形式であることとは対照的です。デルタシグマ設計ではPCM音源の場合にいったんデルタシグマ形式に変換する必要があるので、それがデジタル臭いと言われる音を産んで音質を阻害する原因ともなってきました。R2Rではこの変換の必要がなく、PCM音源をそのままDA変換できますのでデジタル臭さの少ないオーディオらしい豊かな音を可能にするとされています。
R2R設計はデルタシグマの1ビット形式と比較する形でマルチビット形式ともいわれている方式です。いわばデルタシグマ形式のDACをDSDネイティブ形式と呼ぶならば、R2R DACはPCMネイティブ形式とも呼べるでしょう。世の中にもっとも普遍的なPCM形式のデータで最も強みを発揮するわけです。
HIFIMANが10年以上前に発売した初期のデジタルオーディオプレーヤーのHM801はポータブルながらPCM1704を搭載していたのですが、そうした音質にかけるファン社長の情熱がここに結実したと言っても良いでしょう。
R2R形式はいままではPCM1704などのICやディスクリート設計で実現されてきたんですが、いずれもポータブルにはいささか不向きでした。それがコンパクトな形で実現されたのがヒマラヤDACです。
ヒマラヤDACはハイレゾ対応で、サンプリングレートは768kHz対応。そして理論上は1.5MHzまで対応できます。
そしてポイントは24bit対応だということです。デルタシグマ形式ならば簡単に実現できていた24bit対応がR2R形式では実現がなかなかむずかしかったのは回路の精度を出すことがむずかしいからですが、ヒマラヤDACではFPGAを用いて高い精度を製造のばらつきなく実現しています。
ヒマラヤDACは性能の高さでも特筆すべきDACです。下の図はよく使われるR2R DAC ICとの比較ですが、PCM1704のようなリファレンスクラスのICと比べても同等以上の性能を誇っています。
こちらはTHDの比較ですが、PCM1704の選別品のKタイプにはおとりますが、一般製品よりも優れています。
そしてヒマラヤDACの最大の特徴は消費電力が非常に少ないということです。下の図のように第一線級のDACと比べると比較にならないほど低消費電力です。
つまりいままでR2R DACの代表格だったPCM1704と比較すると性能はほぼ同等で消費電力は1/20程度であるということになります。
これはモバイル機器の再生時間を増やすとともに、ジョンソン雑音と呼ばれる熱によるノイズを非常に低減できます。
ヒマラヤDACは電力消費が低いので、それゆえにスマートフォンや完全ワイヤレスなどポータブル機材向けです。
国内ではすでに導入されているDeva Proに付属しているBlueminiの新型であるBluemini R2RにはすでにヒマラヤDACが搭載されています。
以前のヒマラヤDACではBluetooth SoC内蔵のDACを使用していましたが、再生時間は4時間でした。しかしBluemini R2Rでは高音質のヒマラヤDACを使用してさらに再生時間を8時間に伸ばしています。
以前のBluemini
ヒマラヤDACを採用したBluemini R2R
またヒマラヤDACのもうひとつの応用例の一つが近日発売予定のHM800です。
わすが10g程度のDACがフラッグシップのRE2000イヤフォンを強力にドライブします。
このようにヒマラヤDACは音質とコンパクトさ、および消費電力の低さで非常に優れたDACで、これからのHIFIMAN製品の中核となっていくでしょう。
HIFIMANのFang社長は長年のオーディオファイルでもあり、これを逆に好機と捉えて自分の理想を実現するために自社独自のDACを開発しました。それが「ヒマラヤDAC」です。(HYMALAYA DACは国内ではカタカナ表記とのことです)
ヒマラヤDACの特徴はR2R設計であるということと、超低消費電力であるということです。
ヒマラヤDACはチップではありませんが、FPGAをコアとして周辺部まで含んでDACを形成したものです。ChordのパルスアレイDAC的なものと捉えると良いかもしれません。言い換えるとヒマラヤDACとは、従来の抵抗を組み合わせたR2R DAC回路であれば巨大になるDAC回路を、従来のICなみのコンパクトさで提供することができるようにFPGAを核にパッケージ化したDACアーキテクチャと言えます。
ヒマラヤDACの大きな特徴はR2R設計のDACであるということです。これは現在のほとんどのDACがデルタシグマ形式であることとは対照的です。デルタシグマ設計ではPCM音源の場合にいったんデルタシグマ形式に変換する必要があるので、それがデジタル臭いと言われる音を産んで音質を阻害する原因ともなってきました。R2Rではこの変換の必要がなく、PCM音源をそのままDA変換できますのでデジタル臭さの少ないオーディオらしい豊かな音を可能にするとされています。
R2R設計はデルタシグマの1ビット形式と比較する形でマルチビット形式ともいわれている方式です。いわばデルタシグマ形式のDACをDSDネイティブ形式と呼ぶならば、R2R DACはPCMネイティブ形式とも呼べるでしょう。世の中にもっとも普遍的なPCM形式のデータで最も強みを発揮するわけです。
HIFIMANが10年以上前に発売した初期のデジタルオーディオプレーヤーのHM801はポータブルながらPCM1704を搭載していたのですが、そうした音質にかけるファン社長の情熱がここに結実したと言っても良いでしょう。
R2R形式はいままではPCM1704などのICやディスクリート設計で実現されてきたんですが、いずれもポータブルにはいささか不向きでした。それがコンパクトな形で実現されたのがヒマラヤDACです。
ヒマラヤDACはハイレゾ対応で、サンプリングレートは768kHz対応。そして理論上は1.5MHzまで対応できます。
そしてポイントは24bit対応だということです。デルタシグマ形式ならば簡単に実現できていた24bit対応がR2R形式では実現がなかなかむずかしかったのは回路の精度を出すことがむずかしいからですが、ヒマラヤDACではFPGAを用いて高い精度を製造のばらつきなく実現しています。
ヒマラヤDACは性能の高さでも特筆すべきDACです。下の図はよく使われるR2R DAC ICとの比較ですが、PCM1704のようなリファレンスクラスのICと比べても同等以上の性能を誇っています。
こちらはTHDの比較ですが、PCM1704の選別品のKタイプにはおとりますが、一般製品よりも優れています。
そしてヒマラヤDACの最大の特徴は消費電力が非常に少ないということです。下の図のように第一線級のDACと比べると比較にならないほど低消費電力です。
つまりいままでR2R DACの代表格だったPCM1704と比較すると性能はほぼ同等で消費電力は1/20程度であるということになります。
これはモバイル機器の再生時間を増やすとともに、ジョンソン雑音と呼ばれる熱によるノイズを非常に低減できます。
ヒマラヤDACは電力消費が低いので、それゆえにスマートフォンや完全ワイヤレスなどポータブル機材向けです。
国内ではすでに導入されているDeva Proに付属しているBlueminiの新型であるBluemini R2RにはすでにヒマラヤDACが搭載されています。
以前のヒマラヤDACではBluetooth SoC内蔵のDACを使用していましたが、再生時間は4時間でした。しかしBluemini R2Rでは高音質のヒマラヤDACを使用してさらに再生時間を8時間に伸ばしています。
以前のBluemini
ヒマラヤDACを採用したBluemini R2R
またヒマラヤDACのもうひとつの応用例の一つが近日発売予定のHM800です。
わすが10g程度のDACがフラッグシップのRE2000イヤフォンを強力にドライブします。
このようにヒマラヤDACは音質とコンパクトさ、および消費電力の低さで非常に優れたDACで、これからのHIFIMAN製品の中核となっていくでしょう。
2021年10月01日
ベストセラー機の正常進化型、HIFIMAN DEVA Proレビュー
前モデルのDEVAは低価格で音もよくワイヤレスアダプターも付属してかなりベストセラー商品となりましたが、その新型がDEVA Proです。
低価格の平面磁界型ヘッドフォンです。HIFIMANはAudezと並んで平面型ヘッドフォンを過去から引き上げて現在のトップに持ち上げたメーカーですので、平面磁界型ヘッドフォンは得意分野といえるでしょう。
予定価格は36,300円(税込)、予定発売日は10月20日です。
* DEVA Proの特徴
DEVA Proの平面磁界型ヘッドフォンとしての特徴はHIFIMAN独自のNEO "Supernano" 振動板を採用していることです。この新しい振動板はSusvaraなどの高級モデルのために開発された技術で以前の設計よりも80%薄く、早いレスポンスと高解像力を実現して豊かなフルレンジの音質を実現するということです。また最近の平面磁界型ヘッドフォンのトレンドでもある高能率化も取り入れられているので、ソースを選ばないで鳴らせるということです。
DEVA Proの前モデルからの進化としてはステルスマグネックが採用されたことが挙げられます。これはより上位機種に採用されていたHIFIMAN独自の技術です。
従来の平面型ヘッドフォンにおけるマグネットはマグネット自体が回析減少で空気の流れを乱してしまい、音質を劣化させてしまいます。DEVA Proでは特殊形状の「ステルス・マグネット」を採用して、空気の流れをあまり乱すことなく透過させることで音質劣化を防いでいるということです。つまり透過的なエアフローを、見えないステルスに例えているわけです。これによって歪みの少ない、ピュアでハーモニーを阻害しない音楽再現を実現しています。
下の図を見てもらうとわかりますが、従来のマグネットは四角く、ステルス・マグネットは丸くなっています。回析というのは波が回り込む現象を言います。回り込みが多いということは直進する成分が減っているということですので、これによってエアフローが最適化されているということでしょう。
次の特徴は前モデルのDEVA同様にLDAC対応のワイヤレスアダプーBlueminiが付属していることです。それを生かした多彩な入出力、つまりさまざまなシーンで使えるのがポイントです。DEVA ProではR2R ヒマラヤDAC(HYMALAYA DAC)を採用した新しいバージョン「Bluemini R2R」が添付されています。
つまりDEVAでは下記の3種類の使い方ができます。
1.アナログ有線接続
3.5mmステレオミニ、6.3mm標準プラグアダプタ付き
2. Bluetooth ワイヤレス (Bluemini R2R使用)
aptx,LDAC,LHDC(HWA)に対応
3. USB デジタル有線接続 (Bluemini R2R使用)
USB-C端子
Bluemini R2RはDEVA PROに「合体」できる専用アダプターで、DAC内蔵のヘッドフォンアンプでもあります。Bluemini R2Rによって、Bluetoothワイヤレス機能と、USB DAC機能が使えるようになります。
今モデルからはR2R DAC(HIFIMAN独自のヒマラヤDAC)を搭載。内部はフルバランス仕様ということですが、これは実際に音を聞いてみると納得します。またBluetoothレシーバーとしてはLDACを含めて多彩なコーデックに対応しているのも特長です。Bluemini R2RにはUSB端子があるので、これを使用してUSB DACとしても使えます。
* インプレッション
形は前モデルとほぼ同じですが、カラーはシックなブラックとなっています。これで初めて平面磁界型を手にする人も多いと思いますが、大型のハウジングは平面型を購入したという気にさせてくれるでしょう。
ケーブルはコンベンショナルな両方出しに変更されています。機器側端子は3.5mmで6.3mm標準タイプのアダプターが付属しています。
側圧は適度にあってきちんと頭にホールドできます。パッドはやや硬めですが軽量なので長時間装着していても大丈夫でしょう。オープンなので遮音性はありません。
試聴はA&K SE180/SEM1を使用しましたが、DAPだからといって能率不足に感じられるところはあまりありません。多少高めではありますが、ハイゲインにするくらいではないと思います。平面型といってそう身構えることもないのが最近の平面型の進歩です。
音は平面型らしく周波数特性に優れていて誇張されたりきつすぎるような帯域はありません。この辺は普通のダイナミックタイプとの違いの一つでしょう。同価格帯のダイナミック型ヘッドフォンの誇張感の大きな音に慣れていると新鮮かもしれません。
低域はよく抑えられていてタイトでウッドベースのピチカートが気持ち良く聞こえます。低域はよく抑えられていますがパンチがあります。
中域はヴォーカルの声がわかりやすくクリアで気持ち良く音楽を楽しめます。色つけも少ないように思います。高域は伸びはそう鋭くはありませんが、きつさが少なく聴きやすい音です。
また音の広がりがエントリーモデルにしては秀逸で、音の重なりといった立体感も秀でています。空間的な広がりのある音楽で聞くと一層楽しめるでしょう。
ステルスマグネット化されたせいか前モデルよりも音抜けが良く、特に中域がよりクリアにすっきりと聞こえるように思います。前はBlue miniがついている点は良いけれども本体自体はやはりエントリーモデルと感じるところもありましたが、Proタイプでは本体自体もやや良くなってより本格的なオーディオサウンドが楽しめるように感じられます。
ケーブルを交換するともっとクリアに楽しめるかもしれません。そういう意味ではコンベンショナルな両側出しなのは助かるでしょう。
* Bluetooth ワイヤレス
付属のBluemini R2Rを左側のヘッドフォン側端子に取り付けるだけで、Bluemini R2Rを簡単にDEVA Proに合体できます。
左側の端子は4ピン対応(TRRS)のようです。これによってBluetooth ワイヤレスとUSB DACが使えるようになります。ワイヤレス機能はスマートフォンから使用してます。この際に電源を立ち上げてから電源ボタンをダブルタップするとペアリングモードになります。
Bluemini R2Rでは前モデルの躍動感があって力強い音も継承され、低音の迫力がいっそう際立っています。特に音場がより広く包まれるようなサウンドになっているのが印象的です。躍動感があってロックにも向いていて、音の歯切れも良くトランジェントが高い感じです。
BTレシーバーとしてもかなりレベルが高いほうでしょう。
* まとめ
ワイヤレスアダプター付属でコスパの良い平面型ヘッドフォンというDEVAの特徴は引き継いで、ヘッドフォンもアダプターもそれぞれ正常進化したのがDEVA Proと言えます。
手持ちのDAPを使用してオーディオにも取り組んでみたいと思う人が、ドンシャリっぽくない本格的なサウンドを低価格で楽しめるヘッドフォンだと思います。
低価格の平面磁界型ヘッドフォンです。HIFIMANはAudezと並んで平面型ヘッドフォンを過去から引き上げて現在のトップに持ち上げたメーカーですので、平面磁界型ヘッドフォンは得意分野といえるでしょう。
予定価格は36,300円(税込)、予定発売日は10月20日です。
* DEVA Proの特徴
DEVA Proの平面磁界型ヘッドフォンとしての特徴はHIFIMAN独自のNEO "Supernano" 振動板を採用していることです。この新しい振動板はSusvaraなどの高級モデルのために開発された技術で以前の設計よりも80%薄く、早いレスポンスと高解像力を実現して豊かなフルレンジの音質を実現するということです。また最近の平面磁界型ヘッドフォンのトレンドでもある高能率化も取り入れられているので、ソースを選ばないで鳴らせるということです。
DEVA Proの前モデルからの進化としてはステルスマグネックが採用されたことが挙げられます。これはより上位機種に採用されていたHIFIMAN独自の技術です。
従来の平面型ヘッドフォンにおけるマグネットはマグネット自体が回析減少で空気の流れを乱してしまい、音質を劣化させてしまいます。DEVA Proでは特殊形状の「ステルス・マグネット」を採用して、空気の流れをあまり乱すことなく透過させることで音質劣化を防いでいるということです。つまり透過的なエアフローを、見えないステルスに例えているわけです。これによって歪みの少ない、ピュアでハーモニーを阻害しない音楽再現を実現しています。
下の図を見てもらうとわかりますが、従来のマグネットは四角く、ステルス・マグネットは丸くなっています。回析というのは波が回り込む現象を言います。回り込みが多いということは直進する成分が減っているということですので、これによってエアフローが最適化されているということでしょう。
次の特徴は前モデルのDEVA同様にLDAC対応のワイヤレスアダプーBlueminiが付属していることです。それを生かした多彩な入出力、つまりさまざまなシーンで使えるのがポイントです。DEVA ProではR2R ヒマラヤDAC(HYMALAYA DAC)を採用した新しいバージョン「Bluemini R2R」が添付されています。
つまりDEVAでは下記の3種類の使い方ができます。
1.アナログ有線接続
3.5mmステレオミニ、6.3mm標準プラグアダプタ付き
2. Bluetooth ワイヤレス (Bluemini R2R使用)
aptx,LDAC,LHDC(HWA)に対応
3. USB デジタル有線接続 (Bluemini R2R使用)
USB-C端子
Bluemini R2RはDEVA PROに「合体」できる専用アダプターで、DAC内蔵のヘッドフォンアンプでもあります。Bluemini R2Rによって、Bluetoothワイヤレス機能と、USB DAC機能が使えるようになります。
今モデルからはR2R DAC(HIFIMAN独自のヒマラヤDAC)を搭載。内部はフルバランス仕様ということですが、これは実際に音を聞いてみると納得します。またBluetoothレシーバーとしてはLDACを含めて多彩なコーデックに対応しているのも特長です。Bluemini R2RにはUSB端子があるので、これを使用してUSB DACとしても使えます。
* インプレッション
形は前モデルとほぼ同じですが、カラーはシックなブラックとなっています。これで初めて平面磁界型を手にする人も多いと思いますが、大型のハウジングは平面型を購入したという気にさせてくれるでしょう。
ケーブルはコンベンショナルな両方出しに変更されています。機器側端子は3.5mmで6.3mm標準タイプのアダプターが付属しています。
側圧は適度にあってきちんと頭にホールドできます。パッドはやや硬めですが軽量なので長時間装着していても大丈夫でしょう。オープンなので遮音性はありません。
試聴はA&K SE180/SEM1を使用しましたが、DAPだからといって能率不足に感じられるところはあまりありません。多少高めではありますが、ハイゲインにするくらいではないと思います。平面型といってそう身構えることもないのが最近の平面型の進歩です。
音は平面型らしく周波数特性に優れていて誇張されたりきつすぎるような帯域はありません。この辺は普通のダイナミックタイプとの違いの一つでしょう。同価格帯のダイナミック型ヘッドフォンの誇張感の大きな音に慣れていると新鮮かもしれません。
低域はよく抑えられていてタイトでウッドベースのピチカートが気持ち良く聞こえます。低域はよく抑えられていますがパンチがあります。
中域はヴォーカルの声がわかりやすくクリアで気持ち良く音楽を楽しめます。色つけも少ないように思います。高域は伸びはそう鋭くはありませんが、きつさが少なく聴きやすい音です。
また音の広がりがエントリーモデルにしては秀逸で、音の重なりといった立体感も秀でています。空間的な広がりのある音楽で聞くと一層楽しめるでしょう。
ステルスマグネット化されたせいか前モデルよりも音抜けが良く、特に中域がよりクリアにすっきりと聞こえるように思います。前はBlue miniがついている点は良いけれども本体自体はやはりエントリーモデルと感じるところもありましたが、Proタイプでは本体自体もやや良くなってより本格的なオーディオサウンドが楽しめるように感じられます。
ケーブルを交換するともっとクリアに楽しめるかもしれません。そういう意味ではコンベンショナルな両側出しなのは助かるでしょう。
* Bluetooth ワイヤレス
付属のBluemini R2Rを左側のヘッドフォン側端子に取り付けるだけで、Bluemini R2Rを簡単にDEVA Proに合体できます。
左側の端子は4ピン対応(TRRS)のようです。これによってBluetooth ワイヤレスとUSB DACが使えるようになります。ワイヤレス機能はスマートフォンから使用してます。この際に電源を立ち上げてから電源ボタンをダブルタップするとペアリングモードになります。
Bluemini R2Rでは前モデルの躍動感があって力強い音も継承され、低音の迫力がいっそう際立っています。特に音場がより広く包まれるようなサウンドになっているのが印象的です。躍動感があってロックにも向いていて、音の歯切れも良くトランジェントが高い感じです。
BTレシーバーとしてもかなりレベルが高いほうでしょう。
* まとめ
ワイヤレスアダプター付属でコスパの良い平面型ヘッドフォンというDEVAの特徴は引き継いで、ヘッドフォンもアダプターもそれぞれ正常進化したのがDEVA Proと言えます。
手持ちのDAPを使用してオーディオにも取り組んでみたいと思う人が、ドンシャリっぽくない本格的なサウンドを低価格で楽しめるヘッドフォンだと思います。
2019年01月12日
「ストリーミングプレーヤー」HIFIMANのハイエンドDAP R2R2000レビュー
R2R2000は音質の良さで定評あるPCM1704Kをデュアルで搭載したHIFIMANのハイエンドDAPです。
製品ページはこちらです。
http://hifiman.jp/products/detail/295
R2R2000
この製品はなかなか画期的な点がいくつかあるのですが、それを説明するためにまず時間を少し巻き戻してみます。
* HIFIMANとハイレゾプレーヤーとその進歩
いまはハイレゾプレーヤー(DAP)が全盛の時代ですが、このDAPの第一号はHIFIMANのHM801というモデルでした。下記にうちのブログ記事があります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/128041366.html
HIFIMAN HM801
これは約10年前の2009年のことです。当時はポータブルオーディオの高音質化というと、iPodにケーブルでポータブルヘッドフォンアンプを使うというのが一般的でした。しかしこの方法ではソース音源にそもそもハイレゾを扱うことができません。このHM801が画期的だったのはまずプレーヤー自体を独自のものとしてハイレゾ音源を扱えるようにしたこと、そしてDACにハイエンドオーディオなみのDAC IC(PCM1704)を採用したということです。この二点はどこのDAPでもいまでも引き継がれているハイエンドDAPの特徴であり、その嚆矢がHM801です。また、このことによってiPodに上流の音を縛られていたポータブルオーディオに新たな道を示したわけです。
このHM801は当時はHead Directという輸入オーディオショップを経営していたFang Bienによるもので、この時からHIFIMANという名称を使用しています。あまりに画期的だったので、HeadFiに入り浸っていた私はすぐさま連絡を取ったものです。
このHM801と同じPCM1704を再び採用して設計された最新のポータブルデジタルオーディオプレーヤーがR2R2000です。
この間に時は流れ、ユーザーがハイレゾファイルを再生したいためのプレーヤーだったHM801と比較すると、ユーザーが再生したい音源はいまやスマホやPCを軸としたストリーミングが主流となっています。それを反映したR2R2000は「ストリーミングプレーヤー」と呼ばれています。
R2R2000とRE2000
例えばFang CEOに聞くと中国で既にR2R2000を使用しているユーザーの80パーセントはR2R2000を高音質Bluetooth レシーバーとして使い、10パーセントがUSB DAC、10パーセントの人のみがDAPとして使用しているということです。これはストリーミングがメイン音源だからということです。それゆえに小型さがもっとも重要てあり、R2R2000ではBluetoothのコーデックに高音質のHWA(ファーウエイ提唱)を採用しています。
Bluetoothは音質が悪いと良く考えられていますが、WiFiに対して低消費電力で発生ノイズが少ないということが利点になるともR2R2000のリリースノートでは述べられています。
またDAC機能も強力であり、据え置きに負けないようポテンシャルも秘められていて、セルフパワーモードのようにスマートフォンでUSB DACとしての使い勝手も考えられています。ただし反面でデジタルプレーヤー面はR2R2000ではわりとあっさりとした形で実装されています。
わかりやすくするために先に少しまとめましたが、R2R2000は使い方という点で大きく3つに分けることができます。
1. コンパクトなDAP
2. 高音質のUSB DAC
3. HWA対応のBluetoothレシーバー
* コンパクトなR2R DAP
R2R2000はコンパクトなハイレゾプレーヤーとして使用できます。内蔵音源はないので音源はMicroSDカード(TFカード)に格納します。SDカードはスロットではなくトレイ方式を採用していて確実な固定ができ、不用意な飛び出しを防ぐことができます。その代りピンが必要なのでSIMスロットを取り出すようなピンを用意しておいたほうが良いです。再生フォーマットはFLAC、DSD、mp3、WAV、ALAC、AACなどです。
R2R(Register to Register)とはマルチビットDACの別名で、PCM1704は唯一の24bit精度のマルチビットDAC ICとして知られた高音質の代名詞でもあるDAC ICです。最近のDAC ICはデルタシグマというDSDに向いたD/A変換方式を使用しているものがほとんどですが、このマルチビットDACとはPCMに向いたD/A変換方式を採用しており、音の良いことで知られています。
すでにPCM1704は生産されていませんが、R2R2000ではこのDAC ICの新品ストックを使用して作られています。しかもPCM1704Kという選別品を採用しているとのこと。R2R2000のポイントの一つはコンパクトであるということです。これはひとつには独自OSを採用したため、消費電力を抑えることができたのでバッテリーを小型化できたということ
またPCM1704は最近のDAC ICのようにワンチップでOKというものではなく、前段や後段に手間がかかるため、このサイズで押さえたのは回路設計が優れている故と言えるでしょう。
R2R2000ではシングルタスクの独自OSを採用しています。このため、さまざまな処理が走っているスマートフォンベースのOSに比べると軽くて音楽再生に向いているという利点があります。その代りUIでのタッチ操作は簡素なものとなっています。少々変則的ですが、画面すべてがタッチできるのではなく、画面下部の矢印キーをタッチしてメニューを操作する方式になっています。
R2R2000操作画面
一方でこの軽いOSのおかげで消費電力の95%が音楽再生のために使われるため、再生時間を長くできるという利点もあります。R2R2000では高音質(HiFi)モードでも8時間程度の再生が可能ですが、さらにエコモードを用意していて50時間の再生が可能ということです。
デジタルプレーヤーの音はHIFIMANのベストセラー機ともいうべきRE2000で試聴しました。
まずとても細かな音の情報量がたっぷりと聴こえる繊細な音再現が印象的です。全体に滑らかできつさが少ないのはPCM1704のおかげかもしれません。シンプルなアカペラの曲でも平板的にならずに陰影があるのがPCM1704らしい音だと思います。
音は透明感が高く、音像がシャープで明瞭、楽器音の輪郭がくっきりとしています。
低音は力強く豊かで、ドラマやベースギターのアタックが鋭く音に深みがあります。高域は繊細で、中音域は透明感が高く豊かです。
4.4mmケーブルを用いてバランスモードで聴くと3次元的に音空間が広がり、より音に厚みが加わります。力強さも感じられます。
ゲインでかなり大きく変わるのもマニアック製品らしいところで、HIゲインを使用する際は音量に注意してください。
ゲインにSuper lowがありますが、Super Lowは4.4mmのみ使用ができます。この時はいっそう背景の黒さが増して音がより澄んで透明感高く聞こえますが、ほんとにかなり音量が小さくなるのでかなり高感度イヤフォンの時のみに使えるモードと言えるでしょう。(*ゲイン切り替えは2019/1現在のファームでは再生画面から変更できます)
ECOモードでは音が少し甘くなり、ECOモードとHIFIではずいぶん音が違うので、普通に聴く際はHIFIモードに入っているかを確認したほうが良いです。ただしECOモードでも音質はなかなか良いので飛行機など長時間使う人にはECOモードは使えると思います。(*2019/1現在のファームではECOモードは一時的に省かれているということです)
* パワフルで高音質なUSB DAC
マニアック向け製品という点ではR2R2000の本領発揮はむしろUSB DACモードかもしれません。
R2R2000ではUSB-Cポートを使用して最大384kHz、24bitの再生をサポートします。またポータブルで使われているUSB-OTGとPCからのOTGではない直接再生の両方をサポートしています。
実際R2R2000にUSBケーブルを接続してつなげると、USB DACモードをPCとモバイルで選択して選ぶことができます。
USB DACとPCでは標準ドライバーで使えます(MacやWin10最新版の場合)。この時にはプロパティを見ると384kHzがサポートされているのがわかります。
R2R2000の音の真価はプレーヤーモードよりもむしろ、大型ヘッドフォンを使用してUSB DACモードで発揮されます。ここでゲインのHIが効いてきます。普通のヘッドフォンではLOWで大丈夫です。HIは低能率の平面型ヘッドフォン向けと考えたほうが良いでしょう。
いまでは平面型ヘッドフォンは珍しくなくなってきましたが、もともとオーディオ黄金期の数十年前の技術だった平面型ヘッドフォンを現代によみがえらせた功績はAUDEZEとHIFIMANにありますが、HIFIMANはたくさんの平面型ヘッドフォンを開発していてそれに向けたものといるでしょう。
USB DACでの音は鳴らしにくさではAKG K1000と双璧のHIFIMAN HE6を使用してみました。3.5mmに変換プラグを使っています。
LOWゲインだと音量も取れないのでささやくようにしかならないが、HIゲインモードにすると5-6レベルの低い位置でもHE6で十分な音量が取れます。とてもコンパクトなDAPなんですが独特の深みのあるHE6での低域の再現性もなかなかのもので、力感もあって弱弱しくはありません。さすがにHE6向けにベストな機材とまでは言いませんが、十分使えるレベルにあると思います。実のところ久しぶりにHE6を取り出してきて、R2R2000で聴きながら改めてその音質の高さに感銘したくらいです。ちなみに普通のヘッドフォンアンプでHE6を使うと低域の再現性云々の前に音量を取ろうとしてクリップして音が割れてもおかしくありません。
後でHIFIMAN Shanglira Jrと組み合わせてラインアウトの音質も確かめたんですが、一緒に用意していたデスクトップDACよりも音質が高く驚いてしまいました。音の正確性が高くフラットで着色感が少なく据え置きDACなみの音質を聴かせてくれます。解像力も高く、静電型で聴いてもそれに負けないくらい情報量が豊富でした。ぜひラインアウトでDACとしても活用してほしいと思います。
* 高音質のBluetoothレシーバー
R2R2000にはいまの事情を反映した最新のBluetooth機能も搭載されています。R2R2000はハイレゾ・ストリーミングオーディオプレーヤーと銘打たれていますが、これはBluetoothレシーバーとしても機能ができ、Bluetoothレシーバーとしては世界初のHWA方式に対応しているからです。
最近はAptX HDとか、LDACなどBluetoothでのハイレゾストリーミングが流行りですが、このHWAもそのひとつでスマホメーカーのファーウェイによって開発されたものです。ハイレゾ伝送においてWIFIはよいように見えますが、電力消費が大きいという難点を持ちます。対してBluetoothは省電力ですが、音質に難がありました。このHWAでは従来の伝送よりもはるかに歪み率を低く抑えることができるとされています。
これはスマホ側にも対応が必要ですが、HIFIMANではiPhoneの専用アプリを用意していて、このアプリを使って再生するとHWAで伝送が可能ということです。
また専用アプリにはTIDALも対応しているため、iPhoneでTIDALを使いたいという人にも良いでしょう。
BluetoothモードにするにはSettingからBluetooth modeを選択するとペアリングモードになるので、リストからR2R2000-xxxというデバイスを選択してください。
普通のアプリからも使うことができます。
iPhoneのミュージックアプリとHIFIMANアプリをiPhone内のAAC楽曲でBluetooth経由で聴き比べても音質はHIFIMANアプリの方が良いんですが、その真価を発揮するのはロスレス音源を使用した時です。
ハイレゾやロスレスなど再生したい楽曲はiPhoneの場合はiTunesからファイル共有でWindowsやMacから格納します。
もしファイルがアプリで見つからない時は立ち上げ直したり、アルバムのunknownの項を見ると良いでしょう。
たしかに良録音音源を入れてBluetooth聞いてみるとかなりの高音質で楽しむことができます。Bluetoothで聴いているとは思えないと言ってもよいでしょう。
ショップの試聴機で試してみるときはあらかじめHIFIMANアプリをダウンロードして楽曲をスマホに入れてからお店で聴いてみてください。きっと驚くことでしょう。
R2R2000の正面と背面
* まとめ
R2R2000は単体のDAPとしてみると音質はよいのですが簡素なUIなどで少しあっさりとしたものと思えるかもしれません。しかしその真価はUSB DACやHWA対応のBluetoothレシーバーとしてスマートフォンと組み合わせることで発揮できると考えたほうが良いと思います。そうした意味ではHM801が現在のDAPの始祖となったように、R2R2000はストリーミングプレーヤーというべきものの始祖となるのかもしれません。
製品ページはこちらです。
http://hifiman.jp/products/detail/295
R2R2000
この製品はなかなか画期的な点がいくつかあるのですが、それを説明するためにまず時間を少し巻き戻してみます。
* HIFIMANとハイレゾプレーヤーとその進歩
いまはハイレゾプレーヤー(DAP)が全盛の時代ですが、このDAPの第一号はHIFIMANのHM801というモデルでした。下記にうちのブログ記事があります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/128041366.html
HIFIMAN HM801
これは約10年前の2009年のことです。当時はポータブルオーディオの高音質化というと、iPodにケーブルでポータブルヘッドフォンアンプを使うというのが一般的でした。しかしこの方法ではソース音源にそもそもハイレゾを扱うことができません。このHM801が画期的だったのはまずプレーヤー自体を独自のものとしてハイレゾ音源を扱えるようにしたこと、そしてDACにハイエンドオーディオなみのDAC IC(PCM1704)を採用したということです。この二点はどこのDAPでもいまでも引き継がれているハイエンドDAPの特徴であり、その嚆矢がHM801です。また、このことによってiPodに上流の音を縛られていたポータブルオーディオに新たな道を示したわけです。
このHM801は当時はHead Directという輸入オーディオショップを経営していたFang Bienによるもので、この時からHIFIMANという名称を使用しています。あまりに画期的だったので、HeadFiに入り浸っていた私はすぐさま連絡を取ったものです。
このHM801と同じPCM1704を再び採用して設計された最新のポータブルデジタルオーディオプレーヤーがR2R2000です。
この間に時は流れ、ユーザーがハイレゾファイルを再生したいためのプレーヤーだったHM801と比較すると、ユーザーが再生したい音源はいまやスマホやPCを軸としたストリーミングが主流となっています。それを反映したR2R2000は「ストリーミングプレーヤー」と呼ばれています。
R2R2000とRE2000
例えばFang CEOに聞くと中国で既にR2R2000を使用しているユーザーの80パーセントはR2R2000を高音質Bluetooth レシーバーとして使い、10パーセントがUSB DAC、10パーセントの人のみがDAPとして使用しているということです。これはストリーミングがメイン音源だからということです。それゆえに小型さがもっとも重要てあり、R2R2000ではBluetoothのコーデックに高音質のHWA(ファーウエイ提唱)を採用しています。
Bluetoothは音質が悪いと良く考えられていますが、WiFiに対して低消費電力で発生ノイズが少ないということが利点になるともR2R2000のリリースノートでは述べられています。
またDAC機能も強力であり、据え置きに負けないようポテンシャルも秘められていて、セルフパワーモードのようにスマートフォンでUSB DACとしての使い勝手も考えられています。ただし反面でデジタルプレーヤー面はR2R2000ではわりとあっさりとした形で実装されています。
わかりやすくするために先に少しまとめましたが、R2R2000は使い方という点で大きく3つに分けることができます。
1. コンパクトなDAP
2. 高音質のUSB DAC
3. HWA対応のBluetoothレシーバー
* コンパクトなR2R DAP
R2R2000はコンパクトなハイレゾプレーヤーとして使用できます。内蔵音源はないので音源はMicroSDカード(TFカード)に格納します。SDカードはスロットではなくトレイ方式を採用していて確実な固定ができ、不用意な飛び出しを防ぐことができます。その代りピンが必要なのでSIMスロットを取り出すようなピンを用意しておいたほうが良いです。再生フォーマットはFLAC、DSD、mp3、WAV、ALAC、AACなどです。
R2R(Register to Register)とはマルチビットDACの別名で、PCM1704は唯一の24bit精度のマルチビットDAC ICとして知られた高音質の代名詞でもあるDAC ICです。最近のDAC ICはデルタシグマというDSDに向いたD/A変換方式を使用しているものがほとんどですが、このマルチビットDACとはPCMに向いたD/A変換方式を採用しており、音の良いことで知られています。
すでにPCM1704は生産されていませんが、R2R2000ではこのDAC ICの新品ストックを使用して作られています。しかもPCM1704Kという選別品を採用しているとのこと。R2R2000のポイントの一つはコンパクトであるということです。これはひとつには独自OSを採用したため、消費電力を抑えることができたのでバッテリーを小型化できたということ
またPCM1704は最近のDAC ICのようにワンチップでOKというものではなく、前段や後段に手間がかかるため、このサイズで押さえたのは回路設計が優れている故と言えるでしょう。
R2R2000ではシングルタスクの独自OSを採用しています。このため、さまざまな処理が走っているスマートフォンベースのOSに比べると軽くて音楽再生に向いているという利点があります。その代りUIでのタッチ操作は簡素なものとなっています。少々変則的ですが、画面すべてがタッチできるのではなく、画面下部の矢印キーをタッチしてメニューを操作する方式になっています。
R2R2000操作画面
一方でこの軽いOSのおかげで消費電力の95%が音楽再生のために使われるため、再生時間を長くできるという利点もあります。R2R2000では高音質(HiFi)モードでも8時間程度の再生が可能ですが、さらにエコモードを用意していて50時間の再生が可能ということです。
デジタルプレーヤーの音はHIFIMANのベストセラー機ともいうべきRE2000で試聴しました。
まずとても細かな音の情報量がたっぷりと聴こえる繊細な音再現が印象的です。全体に滑らかできつさが少ないのはPCM1704のおかげかもしれません。シンプルなアカペラの曲でも平板的にならずに陰影があるのがPCM1704らしい音だと思います。
音は透明感が高く、音像がシャープで明瞭、楽器音の輪郭がくっきりとしています。
低音は力強く豊かで、ドラマやベースギターのアタックが鋭く音に深みがあります。高域は繊細で、中音域は透明感が高く豊かです。
4.4mmケーブルを用いてバランスモードで聴くと3次元的に音空間が広がり、より音に厚みが加わります。力強さも感じられます。
ゲインでかなり大きく変わるのもマニアック製品らしいところで、HIゲインを使用する際は音量に注意してください。
ゲインにSuper lowがありますが、Super Lowは4.4mmのみ使用ができます。この時はいっそう背景の黒さが増して音がより澄んで透明感高く聞こえますが、ほんとにかなり音量が小さくなるのでかなり高感度イヤフォンの時のみに使えるモードと言えるでしょう。(*ゲイン切り替えは2019/1現在のファームでは再生画面から変更できます)
ECOモードでは音が少し甘くなり、ECOモードとHIFIではずいぶん音が違うので、普通に聴く際はHIFIモードに入っているかを確認したほうが良いです。ただしECOモードでも音質はなかなか良いので飛行機など長時間使う人にはECOモードは使えると思います。(*2019/1現在のファームではECOモードは一時的に省かれているということです)
* パワフルで高音質なUSB DAC
マニアック向け製品という点ではR2R2000の本領発揮はむしろUSB DACモードかもしれません。
R2R2000ではUSB-Cポートを使用して最大384kHz、24bitの再生をサポートします。またポータブルで使われているUSB-OTGとPCからのOTGではない直接再生の両方をサポートしています。
実際R2R2000にUSBケーブルを接続してつなげると、USB DACモードをPCとモバイルで選択して選ぶことができます。
USB DACとPCでは標準ドライバーで使えます(MacやWin10最新版の場合)。この時にはプロパティを見ると384kHzがサポートされているのがわかります。
R2R2000の音の真価はプレーヤーモードよりもむしろ、大型ヘッドフォンを使用してUSB DACモードで発揮されます。ここでゲインのHIが効いてきます。普通のヘッドフォンではLOWで大丈夫です。HIは低能率の平面型ヘッドフォン向けと考えたほうが良いでしょう。
いまでは平面型ヘッドフォンは珍しくなくなってきましたが、もともとオーディオ黄金期の数十年前の技術だった平面型ヘッドフォンを現代によみがえらせた功績はAUDEZEとHIFIMANにありますが、HIFIMANはたくさんの平面型ヘッドフォンを開発していてそれに向けたものといるでしょう。
USB DACでの音は鳴らしにくさではAKG K1000と双璧のHIFIMAN HE6を使用してみました。3.5mmに変換プラグを使っています。
LOWゲインだと音量も取れないのでささやくようにしかならないが、HIゲインモードにすると5-6レベルの低い位置でもHE6で十分な音量が取れます。とてもコンパクトなDAPなんですが独特の深みのあるHE6での低域の再現性もなかなかのもので、力感もあって弱弱しくはありません。さすがにHE6向けにベストな機材とまでは言いませんが、十分使えるレベルにあると思います。実のところ久しぶりにHE6を取り出してきて、R2R2000で聴きながら改めてその音質の高さに感銘したくらいです。ちなみに普通のヘッドフォンアンプでHE6を使うと低域の再現性云々の前に音量を取ろうとしてクリップして音が割れてもおかしくありません。
後でHIFIMAN Shanglira Jrと組み合わせてラインアウトの音質も確かめたんですが、一緒に用意していたデスクトップDACよりも音質が高く驚いてしまいました。音の正確性が高くフラットで着色感が少なく据え置きDACなみの音質を聴かせてくれます。解像力も高く、静電型で聴いてもそれに負けないくらい情報量が豊富でした。ぜひラインアウトでDACとしても活用してほしいと思います。
* 高音質のBluetoothレシーバー
R2R2000にはいまの事情を反映した最新のBluetooth機能も搭載されています。R2R2000はハイレゾ・ストリーミングオーディオプレーヤーと銘打たれていますが、これはBluetoothレシーバーとしても機能ができ、Bluetoothレシーバーとしては世界初のHWA方式に対応しているからです。
最近はAptX HDとか、LDACなどBluetoothでのハイレゾストリーミングが流行りですが、このHWAもそのひとつでスマホメーカーのファーウェイによって開発されたものです。ハイレゾ伝送においてWIFIはよいように見えますが、電力消費が大きいという難点を持ちます。対してBluetoothは省電力ですが、音質に難がありました。このHWAでは従来の伝送よりもはるかに歪み率を低く抑えることができるとされています。
これはスマホ側にも対応が必要ですが、HIFIMANではiPhoneの専用アプリを用意していて、このアプリを使って再生するとHWAで伝送が可能ということです。
また専用アプリにはTIDALも対応しているため、iPhoneでTIDALを使いたいという人にも良いでしょう。
BluetoothモードにするにはSettingからBluetooth modeを選択するとペアリングモードになるので、リストからR2R2000-xxxというデバイスを選択してください。
普通のアプリからも使うことができます。
iPhoneのミュージックアプリとHIFIMANアプリをiPhone内のAAC楽曲でBluetooth経由で聴き比べても音質はHIFIMANアプリの方が良いんですが、その真価を発揮するのはロスレス音源を使用した時です。
ハイレゾやロスレスなど再生したい楽曲はiPhoneの場合はiTunesからファイル共有でWindowsやMacから格納します。
もしファイルがアプリで見つからない時は立ち上げ直したり、アルバムのunknownの項を見ると良いでしょう。
たしかに良録音音源を入れてBluetooth聞いてみるとかなりの高音質で楽しむことができます。Bluetoothで聴いているとは思えないと言ってもよいでしょう。
ショップの試聴機で試してみるときはあらかじめHIFIMANアプリをダウンロードして楽曲をスマホに入れてからお店で聴いてみてください。きっと驚くことでしょう。
R2R2000の正面と背面
* まとめ
R2R2000は単体のDAPとしてみると音質はよいのですが簡素なUIなどで少しあっさりとしたものと思えるかもしれません。しかしその真価はUSB DACやHWA対応のBluetoothレシーバーとしてスマートフォンと組み合わせることで発揮できると考えたほうが良いと思います。そうした意味ではHM801が現在のDAPの始祖となったように、R2R2000はストリーミングプレーヤーというべきものの始祖となるのかもしれません。
2013年06月11日
HifiMan HM901製品版の出荷開始とインプレ
HifiMan HM901については以前2012秋のヘッドフォン祭のときにプロトタイプをレビューしましたが、先日めでたく出荷が開始されました。そこで生産版をヘッドフォン祭(2013春)から使用してみての感想をまた記事にしてみました。下記の前回のプロトタイプの記事も合わせてご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/303979241.html
こちらは製品版のパッケージです。外部入出力は専用の端子なのでアナログラインアウトとデジタルイン・アウトの専用ケーブルも入っています。
記事を書きかけで途中でファームの更新があったのですが、まずはじめのコメントはシステムバージョン1.070で聴いていました。
さすがに音質向上に時間をかけたと言うだけあって、プロトタイプよりさらに磨かれて高いレベルになっています。自然でかつ豊かで精細な音で、デュアルの効果か、9018っぽいというかESS臭い分析的で冷徹なところはだいぶ印象を変えています。音楽性と音像の解像性能をとても高いレベルで両立させています。上原ひろみのVoiceではがっちり詰まった音の密度感とインパクトの強靭さ、ライブのような迫りくる迫力というものが感じられます。一歩引いた客観的・分析的な感じはしません。この音の密度感・実体感・重み、精巧な金属の切削加工品のような楽器音の磨かれた音像再現力、明瞭な立体感と定位、そして前にがっつり来るような迫真性というのがHM901の良いところだと思います。
音質のレベルはDX100やR10よりもさらに良いという感じで、これらよりさらに一レベル以上は上ですね。音が単に細かいとかシャープっていうところを超えた音の洗練があり、持ち運ぶハイエンドオーディオ的な感じがします。低域の重み密度感というのもあまり感じたことがないくらいです。下記のスピーカーデモで自信を持っているように、DAPというより他の一般的なハイエンド製品と比較できるようなレベルにあると思います。
HM901はDACのみならずアンプ性能が高く余裕がある感じですね。ただ反面でカスタムIEMなんかにはスタンダードカードもハイエンド(バランス)カードも、ややゲインが高すぎる傾向はあると思います。ここはぜひ801のようにイヤフォンカードもほしいところです。イヤフォンではK3003がいいかなあと思います。ただK3003の場合はHD設定だとやや高い音がきつくなりますのでVintage設定が良いと思います。
このHDとVintage設定はローパスフィルターによる高域の設定で、差が微妙では分かりにくいところもありますが、通常はHDにしておいて、高域が刺さるとかきついという場合にVintageにすると良いと思います。
下記画像側面にHD/Vintageの切り替えスイッチがあります。
ファームウエアを1.074にあげると少し音の強さが緩和され(た感じがするため)イヤフォンにも少し向くようになり、1.070より主に中高域の明瞭感が高くなり、立体感も上がった感じがします。また低域はやや抑え目になって、全体のバランスはよくなったように思えます。1.074ではJH13+TWagがもっとも良いかなと思えるようになりました。
アップデートはトップウイングさんのサイトからHM901の項をご覧ください。
http://www.twctokyo.co.jp/
下記はプロトタイプと製品版で違いはあまりわかりません。ただ製品版は側面放熱口にメッシュが入っています。底面は製品版のものです。
操作性ではプロトタイプ(前回の秋のヘッドフォン祭でのデモ機)に比べるとコントロールホイールの品質が少し落ちているようでやや操作しづらくなっていますが、反面でバッテリー室のドアにロックがついたりと改良はされています。HM901の特徴でもある豪華なステップアッテネーターは変更ありません。
バッテリーについてはプロトタイプは2-3時間しか持ちませんでしたが、製品版では私の使用でこの倍以上は持つと思います。公称の9時間は使用条件次第となるでしょうか。
もうひとつ気がついたのはSDカードで音質が代わるということです。(これも1.070のときの印象ではありますが)
AK100/120はMicroSDカードのブランドをいろいろ変えてもあまり音質の差はありませんが、HM901はSDカードで音はかなり変わるように思います。私はカメラ用に高速SDカードをいろいろ持っているので少しくらべてみましたが、Transcend 128GB、Sundisk Extream Pro 32GB、Lexar 128GBと比べてみましたが、Lexarが特に音が良いです。これはスピードかと言うとそうでもなく、Extream Proの方がスペックは早いんですがOEM入出力コントローラの相性があるかもしれません(カメラの世界ではよく言われることです)。
販売リンクは下記のフジヤさんサイトを参照ください。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail14665.html
一番気に入った組み合わせはHM901+ハイエンドカード+Lexar128GB+AKG K3003+Vintage設定です。1.074ではJH13もお気に入りです。
もっとも、ベストはヘッドフォンのEdition8を組み合わせることだと思います。ただもう暑い季節なので。。
次なるアンプカードも楽しみなところです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/303979241.html
こちらは製品版のパッケージです。外部入出力は専用の端子なのでアナログラインアウトとデジタルイン・アウトの専用ケーブルも入っています。
記事を書きかけで途中でファームの更新があったのですが、まずはじめのコメントはシステムバージョン1.070で聴いていました。
さすがに音質向上に時間をかけたと言うだけあって、プロトタイプよりさらに磨かれて高いレベルになっています。自然でかつ豊かで精細な音で、デュアルの効果か、9018っぽいというかESS臭い分析的で冷徹なところはだいぶ印象を変えています。音楽性と音像の解像性能をとても高いレベルで両立させています。上原ひろみのVoiceではがっちり詰まった音の密度感とインパクトの強靭さ、ライブのような迫りくる迫力というものが感じられます。一歩引いた客観的・分析的な感じはしません。この音の密度感・実体感・重み、精巧な金属の切削加工品のような楽器音の磨かれた音像再現力、明瞭な立体感と定位、そして前にがっつり来るような迫真性というのがHM901の良いところだと思います。
音質のレベルはDX100やR10よりもさらに良いという感じで、これらよりさらに一レベル以上は上ですね。音が単に細かいとかシャープっていうところを超えた音の洗練があり、持ち運ぶハイエンドオーディオ的な感じがします。低域の重み密度感というのもあまり感じたことがないくらいです。下記のスピーカーデモで自信を持っているように、DAPというより他の一般的なハイエンド製品と比較できるようなレベルにあると思います。
HM901はDACのみならずアンプ性能が高く余裕がある感じですね。ただ反面でカスタムIEMなんかにはスタンダードカードもハイエンド(バランス)カードも、ややゲインが高すぎる傾向はあると思います。ここはぜひ801のようにイヤフォンカードもほしいところです。イヤフォンではK3003がいいかなあと思います。ただK3003の場合はHD設定だとやや高い音がきつくなりますのでVintage設定が良いと思います。
このHDとVintage設定はローパスフィルターによる高域の設定で、差が微妙では分かりにくいところもありますが、通常はHDにしておいて、高域が刺さるとかきついという場合にVintageにすると良いと思います。
下記画像側面にHD/Vintageの切り替えスイッチがあります。
ファームウエアを1.074にあげると少し音の強さが緩和され(た感じがするため)イヤフォンにも少し向くようになり、1.070より主に中高域の明瞭感が高くなり、立体感も上がった感じがします。また低域はやや抑え目になって、全体のバランスはよくなったように思えます。1.074ではJH13+TWagがもっとも良いかなと思えるようになりました。
アップデートはトップウイングさんのサイトからHM901の項をご覧ください。
http://www.twctokyo.co.jp/
下記はプロトタイプと製品版で違いはあまりわかりません。ただ製品版は側面放熱口にメッシュが入っています。底面は製品版のものです。
操作性ではプロトタイプ(前回の秋のヘッドフォン祭でのデモ機)に比べるとコントロールホイールの品質が少し落ちているようでやや操作しづらくなっていますが、反面でバッテリー室のドアにロックがついたりと改良はされています。HM901の特徴でもある豪華なステップアッテネーターは変更ありません。
バッテリーについてはプロトタイプは2-3時間しか持ちませんでしたが、製品版では私の使用でこの倍以上は持つと思います。公称の9時間は使用条件次第となるでしょうか。
もうひとつ気がついたのはSDカードで音質が代わるということです。(これも1.070のときの印象ではありますが)
AK100/120はMicroSDカードのブランドをいろいろ変えてもあまり音質の差はありませんが、HM901はSDカードで音はかなり変わるように思います。私はカメラ用に高速SDカードをいろいろ持っているので少しくらべてみましたが、Transcend 128GB、Sundisk Extream Pro 32GB、Lexar 128GBと比べてみましたが、Lexarが特に音が良いです。これはスピードかと言うとそうでもなく、Extream Proの方がスペックは早いんですがOEM入出力コントローラの相性があるかもしれません(カメラの世界ではよく言われることです)。
販売リンクは下記のフジヤさんサイトを参照ください。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail14665.html
一番気に入った組み合わせはHM901+ハイエンドカード+Lexar128GB+AKG K3003+Vintage設定です。1.074ではJH13もお気に入りです。
もっとも、ベストはヘッドフォンのEdition8を組み合わせることだと思います。ただもう暑い季節なので。。
次なるアンプカードも楽しみなところです。
ヘッドフォン祭でのHM901デモスクリプト
HM901はアンプカードも強力ですが、その特徴はやはりデュアル9018の強力なDAC部分で、この良さをアピールするために春のヘッドフォン祭ではスピーカーのデモを行いました。このときにHifiManのスタッフRichardがスピーチした内容を日本語にしたものをアップします。原稿を書いたのはHifiMan アジア太平洋マーケット担当のRichardさんです
HM901はまさにホームオーディオなみの音質を持ってますので、家でもラインアウトから取って試してみてください。
1. 中音域のニュートラルさとpurity(純粋さ)
みなさまも生き生きとした中音域がオーディオファイル向けの機器でもっとも重要なことだということを納得してもらえるでしょう。それはいくつかの例外を除けば多くの楽器はこの周波数帯域に含まれるからです。HM901は不要な色付けのないとてもニュートラルでリアルな中音域表現力があります。
ここで米良義一の歌う「赤とんぼ」を聞いてみましょう。彼の声がピアノ音と自然に溶け合うpurityに驚かれることでしょう。
2. 分析的な能力とinner voice(中間声)の再現力
HM901のもっとも重要な特徴は2個のES9018チップをデコーダーとして採用した点です。ES9018はその分析的な能力でよく知られています。複雑な楽曲に耳を傾けるとき、中間声に注意を向けることが重要になってきます。よくあるDACやDAPは表面的な美しさにとらわれていて、こうした細やかさを失っているものが多くあります。そのためにリスナーにとって音楽を聞くことが退屈なものとなるのです。
ここでKing's Singersの中世のマドリガルを聞いてみましょう。太鼓やピッコロの強い音の陰で4声合唱のinner voiceをHM901が再現している点に注目ください。
3. 厚みのある豊かな音、シルクのように滑らかな高域、ソリッドな低域、マイクロダイナミクス
*マクロダイナミクスは大きな意味での曲のメリハリのようなもので、マイクロダイナミクスは細かな音の遷移みたいなもの
HM901のデュアルモノデコード(DAC)は音を締まった(compact)ものにすると同時に音を豊かなものにします。ダイナミック感もHM901の特徴です。残念ながら隣接ブースに気を配るとその(マクロダイナミクス)の能力を最大に発揮するには気がひけますが、マイクロダイナミクスは聴くことができます。
オーケストラ曲では楽譜のなかにこうしたマイクロダイナミクスが隠されています。マイクロダイナミクスの進行はにぎやかなフレーズに比べると気がつきにくいものですが、音楽体験を豊かなものにします。
素晴らしい録音だけがマイクロダイナミクスに生命を吹き込みます。
ここで巨匠カラヤンとベルリンフィルの演奏で、ベルディのラトリビアータを聞いてみましょう。これは古いアナログ録音されたものなのでヒスノイズが聴こえてしまいますが、シルクのようなバイオリン、チェロの豊かな響き、ダブルベースのソリッドな低音に注意を払って聞いてみてください。マイクロダイナミクスはチェロのトレモロやバイオリンが半音下がるときに聴こえるでしょう。ため息をつくような素晴らしい演奏です。
HM901はまさにホームオーディオなみの音質を持ってますので、家でもラインアウトから取って試してみてください。
1. 中音域のニュートラルさとpurity(純粋さ)
みなさまも生き生きとした中音域がオーディオファイル向けの機器でもっとも重要なことだということを納得してもらえるでしょう。それはいくつかの例外を除けば多くの楽器はこの周波数帯域に含まれるからです。HM901は不要な色付けのないとてもニュートラルでリアルな中音域表現力があります。
ここで米良義一の歌う「赤とんぼ」を聞いてみましょう。彼の声がピアノ音と自然に溶け合うpurityに驚かれることでしょう。
2. 分析的な能力とinner voice(中間声)の再現力
HM901のもっとも重要な特徴は2個のES9018チップをデコーダーとして採用した点です。ES9018はその分析的な能力でよく知られています。複雑な楽曲に耳を傾けるとき、中間声に注意を向けることが重要になってきます。よくあるDACやDAPは表面的な美しさにとらわれていて、こうした細やかさを失っているものが多くあります。そのためにリスナーにとって音楽を聞くことが退屈なものとなるのです。
ここでKing's Singersの中世のマドリガルを聞いてみましょう。太鼓やピッコロの強い音の陰で4声合唱のinner voiceをHM901が再現している点に注目ください。
3. 厚みのある豊かな音、シルクのように滑らかな高域、ソリッドな低域、マイクロダイナミクス
*マクロダイナミクスは大きな意味での曲のメリハリのようなもので、マイクロダイナミクスは細かな音の遷移みたいなもの
HM901のデュアルモノデコード(DAC)は音を締まった(compact)ものにすると同時に音を豊かなものにします。ダイナミック感もHM901の特徴です。残念ながら隣接ブースに気を配るとその(マクロダイナミクス)の能力を最大に発揮するには気がひけますが、マイクロダイナミクスは聴くことができます。
オーケストラ曲では楽譜のなかにこうしたマイクロダイナミクスが隠されています。マイクロダイナミクスの進行はにぎやかなフレーズに比べると気がつきにくいものですが、音楽体験を豊かなものにします。
素晴らしい録音だけがマイクロダイナミクスに生命を吹き込みます。
ここで巨匠カラヤンとベルリンフィルの演奏で、ベルディのラトリビアータを聞いてみましょう。これは古いアナログ録音されたものなのでヒスノイズが聴こえてしまいますが、シルクのようなバイオリン、チェロの豊かな響き、ダブルベースのソリッドな低音に注意を払って聞いてみてください。マイクロダイナミクスはチェロのトレモロやバイオリンが半音下がるときに聴こえるでしょう。ため息をつくような素晴らしい演奏です。
2012年11月26日
HiFiMan HM901 試聴機インプレッション
ヘッドフォン祭で使用したHM901の試聴機(プリプロダクションモデル)を使用しての実機インプレッションです。
HM901は通常のボリュームに比べるとかなり高価で本格的なステップアッテネーターを搭載していて、本体上部はそれで占められるというこだわり用です。本体前面には再生停止・早送り、曲選択などのハードボタンとホイールがありますのでDX100で面倒を感じてた人には福音でしょう。UIはHM801から比べてかなり使いやすくなっています。
ユーザーインターフェースはかなり使いやすくHM801の古いDAPのようなものではなく、一気に国産のメジャーメーカー製品的な洗練された優れたUIになりました。ホイールを回すところころとアイコンが転がって選択します。ただしDX100のようなアップサンプリングとかデジタルフィルターの機能は試聴機ではありませんで、代わりにSPDIF入力の機能などがありました。
底面はAppleの旧30ピンコネクタのような拡張ポートになっていて、アナログアウトやデジタルアウトはこのポート経由となります。また充電もこのポートを使います。側面にいくつかスイッチがありますが、HD/Vintageとはアナログローパスフィルターの設定で、帯域特性を変えることができるようです。
音質の点でいま現在のハイレゾDAPの王者としてDX100と比較してみました。DX100は差異もありますが、HDP-R10のベースとなったモデルです。
感じるのはまずHM901の透明感の高さです。DX100はAndroidベースっていうのも原因と思うけど、iriver AK100あたりと比べても透明感に劣るのはちょっと問題ではあります。前に書いたようにDX100の音声出力は最終的にALSAを経由しているようですが、プレーヤー本体はJAVAベースで仮想マシン(VM)上で実行されます。ただDX100ではFirmware1.2.7でかなり手が加わったのか音質のこの辺は改善されてはいるようです。この辺は別記事(iBasso DX100とAPI開示)に続きます。
ただし仮にこの透明感・クリアさの問題がさらなるバージョンアップで少なくなったとしても、HM901はDX100に比べて一段上の音楽再現の質の高さを聴かせてくれます。これはもう少し補足して言うと、たとえるならオーディオ的で自然な鳴りの豊かさとち密さですね。濃密感・実体感のようなハイエンド機器で使うような言葉が浮かんできます。DX100もそれだけで聴くと良いんだけど、HM901からDX100に戻すと物足りなさ、密度感の低さ、音再現が淡白なものに感じられます。これは一つの曲をじっくり聴き比べて分かるというレベルではなく、聞き流していてもすぐわかります。JH16+Twagのような再現力の高いイヤフォンを使うと顕著ですね。たしかに音の細かさという点で言うとDX100でもかなり高いレベルにあるのですが、901ではそれにプラスしてオーディオ機器的な意味での音の豊かさが再現されています。この差はDX100のバージョンアップをしても埋まらないハードの差だと思います。
HM901の技術的なポイントはハイエンドDACチップのES9018を二個使用しているところです。このES9018はもともと一個でマルチチャンネルの機能がありますから、それを複数使うというのは贅沢なことで、ハイエンド機材の世界を見てもアキュフェーズをはじめそれほど例はありません。HiFiman CEOのFangにヘッドフォン祭で会ったときに話を聞いてみたんですが、プロトタイプではさまざまなモデルを作成し、実際にはES9018一個のタイプも作成したそうです。そのモデルではたしかに性能は良かったけれども、いわゆるESSくさいというかドライで分析的すぎる感じが取れなかったそうです。しかし二個使用することで音楽的に豊かさのある再現力までが可能となったということです。
実際に中国のHiFiman本社には高性能スピーカーを使用した環境があって、そこでES9018を使ったある有名ハイエンドDACと比べたりして音決めをしているということです。そんなにそのリファレンスDACと遜色ないって話です。
カスタムIEMと合わせてみると、JH13だと音の表情は掴みやすいんですが、音楽的に良いのはJH16です。JH13だとジャズトリオに向いていて、JH16だとオーケストラのスケール感をも再現できるという点もあります。またそれだけの余裕を備えているのがHM901とJH16の組み合わせです。もちろんWhiplash TWagなどの高性能ケーブルも必要ですね。このレベルになると。
HM901とFitEar ToGo 334/Ultrasone IQ
Ultrasone IQと合わせるとさらに音楽的には聴きやすくなります。FitEar To go 334と合わせると空間表現の豊かさに圧倒されます。ただK3003だとやや薄い表現が目立つようにも思えます。
いずれにせよ901レベルの音になると一つの音が正確であいまいさというものが少なくなるので、テスト機器的な意味でもイヤフォンの性能があばきだされます、まさにもちあるくアキュフェーズみたいなものかもしれません。
またHM901とペアになる新型のRE600もなかなか良いイヤフォンです。音楽的に豊かで性能も高い一方でiPhoneにRE600とUBiOアプリあたりを組み合わせただけでも満足できる鳴らしやすさもあります。
RE600は4pin TRRSバランスプラグを備えているので901を組み合わせるとバランス出力が楽しめます。バランスに切り替えるとぱっと音が広がってポータブルでのバランス駆動を手軽に楽しめます。バランスとシングルエンド(ノーマル)の切り替えはスイッチのみです。
試聴機はバランスアンプカード付きで、アンプカードは電池裏蓋を外すと交換ができるようになっています。
持ちあるきに関しては文鎮とも称されたDX100とはちがって、AK100ほどではないにしろHM901がそれなりにコンパクトでものすごく重いというわけではありません。バッテリーの持ちは測ってはいませんが、特によいわけではなくだいたいDX100くらいかなと思います。ただ、あまり長く持つよりもこのクラスだと数時間程度と言う方がいっぱい電流を流してる感じがして良いですね。もちろんそれなりにあったかくなります。
ファームに関しては割と安定していてあまり落ちるということはありませんでしたが、タグの扱いなどがまだ試聴機ではうまく出来てないところもあります。基本的にいま使えたのは音質だけを試すモデルで、機能についてはまだ試聴機では実装されていないものも多いので生産モデルが使えるようになったらまた詳しく見てみたいと思います。
ハイレゾDAPも注目を集めてきていますが、HM901は音質に関してはハイレゾDAPの頂点を極めた新しい王者と言えるでしょう。日頃ハイレベルのオーディオ製品を聴いている人にもぜひお勧めしたい製品です。
HM901は通常のボリュームに比べるとかなり高価で本格的なステップアッテネーターを搭載していて、本体上部はそれで占められるというこだわり用です。本体前面には再生停止・早送り、曲選択などのハードボタンとホイールがありますのでDX100で面倒を感じてた人には福音でしょう。UIはHM801から比べてかなり使いやすくなっています。
ユーザーインターフェースはかなり使いやすくHM801の古いDAPのようなものではなく、一気に国産のメジャーメーカー製品的な洗練された優れたUIになりました。ホイールを回すところころとアイコンが転がって選択します。ただしDX100のようなアップサンプリングとかデジタルフィルターの機能は試聴機ではありませんで、代わりにSPDIF入力の機能などがありました。
底面はAppleの旧30ピンコネクタのような拡張ポートになっていて、アナログアウトやデジタルアウトはこのポート経由となります。また充電もこのポートを使います。側面にいくつかスイッチがありますが、HD/Vintageとはアナログローパスフィルターの設定で、帯域特性を変えることができるようです。
音質の点でいま現在のハイレゾDAPの王者としてDX100と比較してみました。DX100は差異もありますが、HDP-R10のベースとなったモデルです。
感じるのはまずHM901の透明感の高さです。DX100はAndroidベースっていうのも原因と思うけど、iriver AK100あたりと比べても透明感に劣るのはちょっと問題ではあります。前に書いたようにDX100の音声出力は最終的にALSAを経由しているようですが、プレーヤー本体はJAVAベースで仮想マシン(VM)上で実行されます。ただDX100ではFirmware1.2.7でかなり手が加わったのか音質のこの辺は改善されてはいるようです。この辺は別記事(iBasso DX100とAPI開示)に続きます。
ただし仮にこの透明感・クリアさの問題がさらなるバージョンアップで少なくなったとしても、HM901はDX100に比べて一段上の音楽再現の質の高さを聴かせてくれます。これはもう少し補足して言うと、たとえるならオーディオ的で自然な鳴りの豊かさとち密さですね。濃密感・実体感のようなハイエンド機器で使うような言葉が浮かんできます。DX100もそれだけで聴くと良いんだけど、HM901からDX100に戻すと物足りなさ、密度感の低さ、音再現が淡白なものに感じられます。これは一つの曲をじっくり聴き比べて分かるというレベルではなく、聞き流していてもすぐわかります。JH16+Twagのような再現力の高いイヤフォンを使うと顕著ですね。たしかに音の細かさという点で言うとDX100でもかなり高いレベルにあるのですが、901ではそれにプラスしてオーディオ機器的な意味での音の豊かさが再現されています。この差はDX100のバージョンアップをしても埋まらないハードの差だと思います。
HM901の技術的なポイントはハイエンドDACチップのES9018を二個使用しているところです。このES9018はもともと一個でマルチチャンネルの機能がありますから、それを複数使うというのは贅沢なことで、ハイエンド機材の世界を見てもアキュフェーズをはじめそれほど例はありません。HiFiman CEOのFangにヘッドフォン祭で会ったときに話を聞いてみたんですが、プロトタイプではさまざまなモデルを作成し、実際にはES9018一個のタイプも作成したそうです。そのモデルではたしかに性能は良かったけれども、いわゆるESSくさいというかドライで分析的すぎる感じが取れなかったそうです。しかし二個使用することで音楽的に豊かさのある再現力までが可能となったということです。
実際に中国のHiFiman本社には高性能スピーカーを使用した環境があって、そこでES9018を使ったある有名ハイエンドDACと比べたりして音決めをしているということです。そんなにそのリファレンスDACと遜色ないって話です。
カスタムIEMと合わせてみると、JH13だと音の表情は掴みやすいんですが、音楽的に良いのはJH16です。JH13だとジャズトリオに向いていて、JH16だとオーケストラのスケール感をも再現できるという点もあります。またそれだけの余裕を備えているのがHM901とJH16の組み合わせです。もちろんWhiplash TWagなどの高性能ケーブルも必要ですね。このレベルになると。
HM901とFitEar ToGo 334/Ultrasone IQ
Ultrasone IQと合わせるとさらに音楽的には聴きやすくなります。FitEar To go 334と合わせると空間表現の豊かさに圧倒されます。ただK3003だとやや薄い表現が目立つようにも思えます。
いずれにせよ901レベルの音になると一つの音が正確であいまいさというものが少なくなるので、テスト機器的な意味でもイヤフォンの性能があばきだされます、まさにもちあるくアキュフェーズみたいなものかもしれません。
またHM901とペアになる新型のRE600もなかなか良いイヤフォンです。音楽的に豊かで性能も高い一方でiPhoneにRE600とUBiOアプリあたりを組み合わせただけでも満足できる鳴らしやすさもあります。
RE600は4pin TRRSバランスプラグを備えているので901を組み合わせるとバランス出力が楽しめます。バランスに切り替えるとぱっと音が広がってポータブルでのバランス駆動を手軽に楽しめます。バランスとシングルエンド(ノーマル)の切り替えはスイッチのみです。
試聴機はバランスアンプカード付きで、アンプカードは電池裏蓋を外すと交換ができるようになっています。
持ちあるきに関しては文鎮とも称されたDX100とはちがって、AK100ほどではないにしろHM901がそれなりにコンパクトでものすごく重いというわけではありません。バッテリーの持ちは測ってはいませんが、特によいわけではなくだいたいDX100くらいかなと思います。ただ、あまり長く持つよりもこのクラスだと数時間程度と言う方がいっぱい電流を流してる感じがして良いですね。もちろんそれなりにあったかくなります。
ファームに関しては割と安定していてあまり落ちるということはありませんでしたが、タグの扱いなどがまだ試聴機ではうまく出来てないところもあります。基本的にいま使えたのは音質だけを試すモデルで、機能についてはまだ試聴機では実装されていないものも多いので生産モデルが使えるようになったらまた詳しく見てみたいと思います。
ハイレゾDAPも注目を集めてきていますが、HM901は音質に関してはハイレゾDAPの頂点を極めた新しい王者と言えるでしょう。日頃ハイレベルのオーディオ製品を聴いている人にもぜひお勧めしたい製品です。
2010年09月11日
ステレオファイルのページにHifiMan HM801の記事が掲載
StereophileのホームページにHifiMan HM801のレビューが掲載されています。
Head DirectのFangの略歴から載っていますが、ナノテクを勉強していたようですね。
HM801もまだ知らない人も多いと思うので、こうして取り上げられてHeadFierでないオーディオ好きの人たちにもぜひ興味を持ってもらいたいものです。
http://blog.stereophile.com/stephenmejias/the_hifiman_hm-801_portable_music_player_big_is_the_new_small/
Head DirectのFangの略歴から載っていますが、ナノテクを勉強していたようですね。
HM801もまだ知らない人も多いと思うので、こうして取り上げられてHeadFierでないオーディオ好きの人たちにもぜひ興味を持ってもらいたいものです。
http://blog.stereophile.com/stephenmejias/the_hifiman_hm-801_portable_music_player_big_is_the_new_small/
2010年08月28日
HifiMan HM-602 NOS DAC搭載の高性能ポータブルプレイヤー
人気のHifiMan HM801の弟分ともいえるHM-602がいよいよ9月に発売されます。
わたしはHead Directから評価用モデルを送ってもらいました。下記の記事はそのモデルによるものです。
こちらはサードウェーブさんの製品ページです。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN2.html
ひとことでいうとHM602はHM801に比べて一回り小さく、価格も抑えられたモデルです。
しかし単にHM801の弟分というだけではなく、HM602は独自の特徴を持っています。それはNOS DACの搭載です。
NOS DACとはノンオーバーサンプリング・DACのことです。HM-602で使用されているTDA1543というDACチップは実はもう生産されていないのですが、このNOS DACを製作するために使われた代表的なDACチップです。それをわざと使用してNOSというところにこだわったわけです。ちなみにHead Directでは全数検査をして品質を確保しています。
*DACのオーバーサンプリングとは
さて、ノンオーバーサンプリングを説明するにはオーバーサンプリングを説明しなければなりません。
オーバーサンプリングとはサンプリング周波数をさらに高く分割するものです。しかし、いわゆるリサンプリングやアップサンプリングとは違います。
リサンプリングやアップサンプリングはDACに入れる前(トランスポートから出すとき)にオリジナルのサンプリング周波数を44.1->88.2のように高めて音を良くしようとするものです。そのために中間補完とかも使うでしょう。
それに対してオーバーサンプリングはDACの中でアナログフィルター(ローパスフィルター)の効率を高めるための工夫です。ローパスフィルターとは最近はデジカメでよく聞くでしょう。デジタルカメラもデジタルオーディオもサンプリングをしてデジタル記録をするという点で、原理的に折り返し(エイリアシング)の問題から逃げることはできません。そのために折り返しの影響を受けるナイキスト周波数(1/2fs)より高い周波数を取り除くローパス(低い周波数だけを通す)フィルターが必要です。これは音楽でも写真でもデジタル記録であれば同じです。
ここのfig3が分かりやすい図式です。ちょっと難しくなりますが、オーバーサンプリングのポイントはサンプリング周波数を上げることで、ナイキスト周波数をシフトすることが出来るというところです。つまりローパスフィルターで図の左にある中身の音楽データに傷をつけずに取り出したいのが目的ですが、あまりデータが真ん中(ナイキスト周波数)ぎりぎりだと取出しが難しいのですが、オーバーサンプリングして周波数を高めるとナイキスト周波数がシフトして余白が多くなり、取り出しやすくなるのがわかると思います。
つまりオーバーサンプリングすることでアナログ回路で構成されるローパスフィルターの設計を簡易化できるのです。
*ノンオーバーサンプリングとは
しかし、こういう細工をすることで音質が劣化すると考える人たちもいます。基本的にデータに細工をしすぎる問題であるとか、また折り返しの影響を受けるとされる高い周波数が本当に意味がないのかという考え方もあります。そこを取ることで本来聴こえるべきものがなくなるのではないかということです。あるものはそのままにという純粋主義的な考えですね。(むこうではピュアリスト・アプローチといいます)
さらにジッターは周波数の時間方向に対しての揺らぎですから、周波数を細かく刻むとより多くのサンプルがジッターの影響を受けるようになります。
オーバーサンプリングとノンオーバーサンプリングのどちらがいいというのはよくネットで炎上するテーマのひとつなのであまり踏み込みませんけど、多くの人がノンオーバーサンプリングの音を好んで特にカスタムビルダーがよく使います。
メーカー品ではノンオーバーサンプリングというのはほとんどありません。ひとつの理由はスペック上の値はオーバーサンプリングのほうが容易に上げられるからです。それよりも聴覚上の音の良さを取るというのがノンオーバーサンプリングの考え方といえると思います。また素材を生かす料理に手間がかかるようにノンオーバーサンプリングもなかなか製作は難しいそうです。
普通にオーバーサンプリングを使えば失敗せずにそこそこ良いものは作れるわけですから、そこにこだわりを見せるところはポータブルプレーヤーにハイエンドDACチップのPCM1704を持ち込んだHead Direct/HifiManらしいといえます。
*HM801とHM602
単にアンプ前段のオペアンプが同じだから改良HM801とHM602が同じかというとこのようにDAC部分では別物の考え形、コンセプトで作られているわけです。
HM801はマークレビンソンのDACでも採用されていた様なハイエンドのDAチップであるPCM1704を使用して、ハイエンドオーディオ的なアプローチをポータブルオーディオに持ち込むことで良い音を追求し、HM602はDAチップにTDA1543を使用してノンオーバーサンプリングというハイエンドオーディオとはまた別な自作マニアが作るカスタムビルドのオーディオマニア的なアプローチをポータブルオーディオに持ち込むことで良い音を目指していると言えます。
ちなみにHM-602では24bitは再生出来るけれどもTDA1543自体が16bitなので、互換性がある程度に考えておいたほうが良いと思います。この辺でも違いは出てきます。
またHM801ではアンプモジュールが差し替えられますが、コンパクトさ優先の602ではそれが固定で、代わりにゲイン切り替えがあります。アンプ自体は801の標準モジュールに近いものということです。IEMの相性はわたしはJH13が良いと思いました。使っていると熱くなるところは同じで、まじめにA級増幅仕事をしているという感じです。
602で改良された点も多々あって、まずチャージャーがコンパクトになりました。初版の801を持っていた私にしてみるとちょっと驚きです。
キーは普通の十字キーとなることでわかりやすくなりました。ちょっとタッチは軽めなのでロックはしておいたほうが良いでしょう。厚みはちょっとありますが、本体はだいぶ軽く感じます。
スクリーン周りはほとんど同じでメニューも同じです。801で使用していたSDカードがそのまま使えます。
なお機能はかなり引き継いでいて、USB DACとしても使えますし、各種入出力も801に似ていますね。それをコンパクトな筐体に入れ込んでいます。正面のボタンは上から電源ボタン、キーロックボタン、DAP/DAC切り替えです。
*602の音質
一番重要なのはもちろん音質です。技術は音質のためにあります。
届いてからまる二日程度はもうバーンインしていますが、JH13とEdition8で聴いてみました。
HM801と比べるとぱっと聴きの音質は近くて上質な感じは共通しています。帯域バランスは自然で、音表現はクリアで明瞭感は改良型の801に近いように思えます。
低域もタイトでドラムスのインパクトもよいし、ひとつひとつの音は明確でJH13で聴いてると音の細かさがはっきりわかります。もちろんドライではなく、オーディオ的なウォーム感があるのは801と共通する良い点です。性能偏重に陥らないということですね。
これを考えると602のコストパフォーマンスは高いと思います。
両者の差は細かく聴くとわかります。HM801は立体感や楽器の音の重なりのコントラストが明確で、音像の緻密さに優れています。洗練された音像や空間表現もさすがにハイエンドDACです。
HM602はアコースティック楽器の音を聴くと顕著ですが、音再現がとても滑らかでスムーズです。これは届いてすぐから感じたことですので、602の個性といえるでしょう。
ヴォーカルも聴いていてとても気持ちが良い再現力を持っています。ハープの音色も絶品という感じできれいに感じられますね。空間表現も独特で音楽のリアルな空気感や雰囲気をよく伝えられます。
とにかく聴いていて気持ちのよい音で、高い音性能を兼ね備えながら味のある良い音という感じです。この辺はNOS DACの効果なのでしょう。
602は単に801のスケールダウンで価格を求めやすくしたのではない、違ったアプローチで作られたポータブルオーディオといえます。いうなれば弟といっても異母兄弟的な感じでしょうか。
801をすでにもっている方にもお勧めできるのではないかと思います。
わたしはHead Directから評価用モデルを送ってもらいました。下記の記事はそのモデルによるものです。
こちらはサードウェーブさんの製品ページです。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN2.html
ひとことでいうとHM602はHM801に比べて一回り小さく、価格も抑えられたモデルです。
しかし単にHM801の弟分というだけではなく、HM602は独自の特徴を持っています。それはNOS DACの搭載です。
NOS DACとはノンオーバーサンプリング・DACのことです。HM-602で使用されているTDA1543というDACチップは実はもう生産されていないのですが、このNOS DACを製作するために使われた代表的なDACチップです。それをわざと使用してNOSというところにこだわったわけです。ちなみにHead Directでは全数検査をして品質を確保しています。
*DACのオーバーサンプリングとは
さて、ノンオーバーサンプリングを説明するにはオーバーサンプリングを説明しなければなりません。
オーバーサンプリングとはサンプリング周波数をさらに高く分割するものです。しかし、いわゆるリサンプリングやアップサンプリングとは違います。
リサンプリングやアップサンプリングはDACに入れる前(トランスポートから出すとき)にオリジナルのサンプリング周波数を44.1->88.2のように高めて音を良くしようとするものです。そのために中間補完とかも使うでしょう。
それに対してオーバーサンプリングはDACの中でアナログフィルター(ローパスフィルター)の効率を高めるための工夫です。ローパスフィルターとは最近はデジカメでよく聞くでしょう。デジタルカメラもデジタルオーディオもサンプリングをしてデジタル記録をするという点で、原理的に折り返し(エイリアシング)の問題から逃げることはできません。そのために折り返しの影響を受けるナイキスト周波数(1/2fs)より高い周波数を取り除くローパス(低い周波数だけを通す)フィルターが必要です。これは音楽でも写真でもデジタル記録であれば同じです。
ここのfig3が分かりやすい図式です。ちょっと難しくなりますが、オーバーサンプリングのポイントはサンプリング周波数を上げることで、ナイキスト周波数をシフトすることが出来るというところです。つまりローパスフィルターで図の左にある中身の音楽データに傷をつけずに取り出したいのが目的ですが、あまりデータが真ん中(ナイキスト周波数)ぎりぎりだと取出しが難しいのですが、オーバーサンプリングして周波数を高めるとナイキスト周波数がシフトして余白が多くなり、取り出しやすくなるのがわかると思います。
つまりオーバーサンプリングすることでアナログ回路で構成されるローパスフィルターの設計を簡易化できるのです。
*ノンオーバーサンプリングとは
しかし、こういう細工をすることで音質が劣化すると考える人たちもいます。基本的にデータに細工をしすぎる問題であるとか、また折り返しの影響を受けるとされる高い周波数が本当に意味がないのかという考え方もあります。そこを取ることで本来聴こえるべきものがなくなるのではないかということです。あるものはそのままにという純粋主義的な考えですね。(むこうではピュアリスト・アプローチといいます)
さらにジッターは周波数の時間方向に対しての揺らぎですから、周波数を細かく刻むとより多くのサンプルがジッターの影響を受けるようになります。
オーバーサンプリングとノンオーバーサンプリングのどちらがいいというのはよくネットで炎上するテーマのひとつなのであまり踏み込みませんけど、多くの人がノンオーバーサンプリングの音を好んで特にカスタムビルダーがよく使います。
メーカー品ではノンオーバーサンプリングというのはほとんどありません。ひとつの理由はスペック上の値はオーバーサンプリングのほうが容易に上げられるからです。それよりも聴覚上の音の良さを取るというのがノンオーバーサンプリングの考え方といえると思います。また素材を生かす料理に手間がかかるようにノンオーバーサンプリングもなかなか製作は難しいそうです。
普通にオーバーサンプリングを使えば失敗せずにそこそこ良いものは作れるわけですから、そこにこだわりを見せるところはポータブルプレーヤーにハイエンドDACチップのPCM1704を持ち込んだHead Direct/HifiManらしいといえます。
*HM801とHM602
単にアンプ前段のオペアンプが同じだから改良HM801とHM602が同じかというとこのようにDAC部分では別物の考え形、コンセプトで作られているわけです。
HM801はマークレビンソンのDACでも採用されていた様なハイエンドのDAチップであるPCM1704を使用して、ハイエンドオーディオ的なアプローチをポータブルオーディオに持ち込むことで良い音を追求し、HM602はDAチップにTDA1543を使用してノンオーバーサンプリングというハイエンドオーディオとはまた別な自作マニアが作るカスタムビルドのオーディオマニア的なアプローチをポータブルオーディオに持ち込むことで良い音を目指していると言えます。
ちなみにHM-602では24bitは再生出来るけれどもTDA1543自体が16bitなので、互換性がある程度に考えておいたほうが良いと思います。この辺でも違いは出てきます。
またHM801ではアンプモジュールが差し替えられますが、コンパクトさ優先の602ではそれが固定で、代わりにゲイン切り替えがあります。アンプ自体は801の標準モジュールに近いものということです。IEMの相性はわたしはJH13が良いと思いました。使っていると熱くなるところは同じで、まじめにA級増幅仕事をしているという感じです。
602で改良された点も多々あって、まずチャージャーがコンパクトになりました。初版の801を持っていた私にしてみるとちょっと驚きです。
キーは普通の十字キーとなることでわかりやすくなりました。ちょっとタッチは軽めなのでロックはしておいたほうが良いでしょう。厚みはちょっとありますが、本体はだいぶ軽く感じます。
スクリーン周りはほとんど同じでメニューも同じです。801で使用していたSDカードがそのまま使えます。
なお機能はかなり引き継いでいて、USB DACとしても使えますし、各種入出力も801に似ていますね。それをコンパクトな筐体に入れ込んでいます。正面のボタンは上から電源ボタン、キーロックボタン、DAP/DAC切り替えです。
*602の音質
一番重要なのはもちろん音質です。技術は音質のためにあります。
届いてからまる二日程度はもうバーンインしていますが、JH13とEdition8で聴いてみました。
HM801と比べるとぱっと聴きの音質は近くて上質な感じは共通しています。帯域バランスは自然で、音表現はクリアで明瞭感は改良型の801に近いように思えます。
低域もタイトでドラムスのインパクトもよいし、ひとつひとつの音は明確でJH13で聴いてると音の細かさがはっきりわかります。もちろんドライではなく、オーディオ的なウォーム感があるのは801と共通する良い点です。性能偏重に陥らないということですね。
これを考えると602のコストパフォーマンスは高いと思います。
両者の差は細かく聴くとわかります。HM801は立体感や楽器の音の重なりのコントラストが明確で、音像の緻密さに優れています。洗練された音像や空間表現もさすがにハイエンドDACです。
HM602はアコースティック楽器の音を聴くと顕著ですが、音再現がとても滑らかでスムーズです。これは届いてすぐから感じたことですので、602の個性といえるでしょう。
ヴォーカルも聴いていてとても気持ちが良い再現力を持っています。ハープの音色も絶品という感じできれいに感じられますね。空間表現も独特で音楽のリアルな空気感や雰囲気をよく伝えられます。
とにかく聴いていて気持ちのよい音で、高い音性能を兼ね備えながら味のある良い音という感じです。この辺はNOS DACの効果なのでしょう。
602は単に801のスケールダウンで価格を求めやすくしたのではない、違ったアプローチで作られたポータブルオーディオといえます。いうなれば弟といっても異母兄弟的な感じでしょうか。
801をすでにもっている方にもお勧めできるのではないかと思います。
HM-801のアップグレードサービス
前にも書きましたが、HifiMan HM-801について、602で使われているのと同じオペアンプにアップグレードできるというサービスがサードウェーブさんで行われています。
海外から買った人にも対応してもらえるという太っ腹なものです。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html
そのモジュールが届きました。オペアンプを交換した後のものは明るく透明感が高まります。また全体に先鋭に感じられます。
ちなみにHM801のアンプボードがIEM用(GAME)のときはJH16が良いように思えましたが、標準にしたときはJH13のほうが良いように思えます。
海外から買った人にも対応してもらえるという太っ腹なものです。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html
そのモジュールが届きました。オペアンプを交換した後のものは明るく透明感が高まります。また全体に先鋭に感じられます。
ちなみにHM801のアンプボードがIEM用(GAME)のときはJH16が良いように思えましたが、標準にしたときはJH13のほうが良いように思えます。
2010年08月09日
HM-801の無償アップグレード案内
おなじみHifiman HM-801に無償アップグレード案内が出ています。
今度HM-602という弟分が出来ますが、こちらの方が良いオペアンプを搭載すると言うことで、HM-801の方も無料で同じものにアップグレードしてくれるという、うれしい話です。しかも日本ではサードウエーブさんがアメリカから直販で買った分も交換してくれるそうです!
普通こう言う場合はアメリカから買ったら向こう送りになるところをなんとも懐深い話です。海外送料や事故の心配なしで済ませられますね。送料は国内で買った人とアメリカ直の人は違いますので注意ください。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html
詳しくは上記ホームページを参照してお申し込みください。
今度HM-602という弟分が出来ますが、こちらの方が良いオペアンプを搭載すると言うことで、HM-801の方も無料で同じものにアップグレードしてくれるという、うれしい話です。しかも日本ではサードウエーブさんがアメリカから直販で買った分も交換してくれるそうです!
普通こう言う場合はアメリカから買ったら向こう送りになるところをなんとも懐深い話です。海外送料や事故の心配なしで済ませられますね。送料は国内で買った人とアメリカ直の人は違いますので注意ください。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html
詳しくは上記ホームページを参照してお申し込みください。
2010年03月09日
Hifiman 801の新アンプモジュール登場
Hifiman HM-801も国内販売されてなかなか好調のようです。
HM-801の特徴のひとつはアンプをモジュール式に取り替えられるという方式です。もともとPCM1704を使ったソース部分は優秀なだけにアンプを取り替えることでさまざまな個性をひとつのユニットで楽しむことができます。
そこでいよいよ待望の新アンプモジュールが登場します。
http://www.head-fi.org/forums/f87/ganqi-amp-module-earphones-game-card-475671/
このモジュールをHead-Directからサンプル品として送ってもらいました。新アンプモジュール(GAME)はIEM(イヤホン)のために設計されたもので、モジュールは634x2と627x2の構成です。またゲインも低く設定されています。
上の写真で右はオリジナルモジュール(ST)です。なお新基盤に書かれている"Wu Bing"とはHM-801の開発コード名です。ちなみにWu Bingとは(わたしは知らないんですけど)マージャンのパイのひとつ「うーぴん」だそうです。
取り付けは下記ページにありますが、背面のGanQi Bayというアンプハッチを開けます。
http://www.head-fi.org/forums/5676654-post1.html
取り付けはとても簡単です。はじめから取り外しを念頭に設計されているようです。そのためアンプはラッチで押さえてあるだけなので力を入れすぎないように、軽くラッチを外側に押すだけでポップアップしてきます。
ただ乾燥シーズンなので作業の前になにか金属にタッチして静電気を逃がしておくと良いですね。
はじめUE18につけて試してみました。UE18はUE11より改善されたとはいえ低インピーダンスのせいか、やや甘さがあります。しかしこの新モジュールで使用すると、明瞭感と解像感がぐっと改善されます。UE18のよさの精細感がPCM1704によって存分に引き出され、精緻で広がりのある空間の迫力に圧倒されます。
またゲインが低くなっているせいか、ボリュームの余地も広くなりよりボリュームコントロールがしやすくなっています。背景ノイズはまったくといってよいほど感じられません。漆黒です。
JH13とHifiman 801の相性はもともと良かったのですが、さらによくなって驚きました。ぱっと聴くとまるで極上の銀線にリケーブルしたかのように晴れ上がっています。楽器やボーカルの生々しさは格別です。
ただしEdition8に使ってみると明瞭感はありますが、少し力が抜けた感じになります。これはオリジナルのモジュールの方が良いですね。やはり新モジュールはIEMに使って威力を発揮するものと言えそうです。また全体の音調はあまり変わりませんが、音がやや腰高になり厚み表現も少し異なるので音の好みもあるかもしれません。この辺はやはり両方そろえて変えて楽しむというのが良いと思います。
低インピーダンス、高感度のイヤホンとHifiman801を組み合わせて考えている方にはぜひお勧めです。
この新モジュールについては今月後半に国内発売されるということです。価格は下記の国内代理店のサードウェーブさんのサイトによると17900円と言うことです。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html
近いうちに入荷すると思いますので、フジヤさんブログとかサードウェーブさんのニュースをチェックしていてください。
HM-801の特徴のひとつはアンプをモジュール式に取り替えられるという方式です。もともとPCM1704を使ったソース部分は優秀なだけにアンプを取り替えることでさまざまな個性をひとつのユニットで楽しむことができます。
そこでいよいよ待望の新アンプモジュールが登場します。
http://www.head-fi.org/forums/f87/ganqi-amp-module-earphones-game-card-475671/
このモジュールをHead-Directからサンプル品として送ってもらいました。新アンプモジュール(GAME)はIEM(イヤホン)のために設計されたもので、モジュールは634x2と627x2の構成です。またゲインも低く設定されています。
上の写真で右はオリジナルモジュール(ST)です。なお新基盤に書かれている"Wu Bing"とはHM-801の開発コード名です。ちなみにWu Bingとは(わたしは知らないんですけど)マージャンのパイのひとつ「うーぴん」だそうです。
取り付けは下記ページにありますが、背面のGanQi Bayというアンプハッチを開けます。
http://www.head-fi.org/forums/5676654-post1.html
取り付けはとても簡単です。はじめから取り外しを念頭に設計されているようです。そのためアンプはラッチで押さえてあるだけなので力を入れすぎないように、軽くラッチを外側に押すだけでポップアップしてきます。
ただ乾燥シーズンなので作業の前になにか金属にタッチして静電気を逃がしておくと良いですね。
はじめUE18につけて試してみました。UE18はUE11より改善されたとはいえ低インピーダンスのせいか、やや甘さがあります。しかしこの新モジュールで使用すると、明瞭感と解像感がぐっと改善されます。UE18のよさの精細感がPCM1704によって存分に引き出され、精緻で広がりのある空間の迫力に圧倒されます。
またゲインが低くなっているせいか、ボリュームの余地も広くなりよりボリュームコントロールがしやすくなっています。背景ノイズはまったくといってよいほど感じられません。漆黒です。
JH13とHifiman 801の相性はもともと良かったのですが、さらによくなって驚きました。ぱっと聴くとまるで極上の銀線にリケーブルしたかのように晴れ上がっています。楽器やボーカルの生々しさは格別です。
ただしEdition8に使ってみると明瞭感はありますが、少し力が抜けた感じになります。これはオリジナルのモジュールの方が良いですね。やはり新モジュールはIEMに使って威力を発揮するものと言えそうです。また全体の音調はあまり変わりませんが、音がやや腰高になり厚み表現も少し異なるので音の好みもあるかもしれません。この辺はやはり両方そろえて変えて楽しむというのが良いと思います。
低インピーダンス、高感度のイヤホンとHifiman801を組み合わせて考えている方にはぜひお勧めです。
この新モジュールについては今月後半に国内発売されるということです。価格は下記の国内代理店のサードウェーブさんのサイトによると17900円と言うことです。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html
近いうちに入荷すると思いますので、フジヤさんブログとかサードウェーブさんのニュースをチェックしていてください。
2010年02月15日
HifiMan HM-801国内発売 !
昨年の秋のヘッドホン祭でも紹介しましたが、持ち運ぶハイエンドオーディオとでも言うべきHifiMan HM801がついに国内でも発売になりました。
代理店としてサードウエーブさんが扱います。下記のフジヤさんブログなどをご覧ください。
http://avic.livedoor.biz/archives/51389643.html
評論家のかたにも試してもらっていますが、高評価をいただいています。オーディオを知っている人なら納得できる本物のオーディオの音ですね。わたしもいまのメインのポータブルセットになっているのが、HM801+JH13です。
今回はPSEをクリアしての国内販売ということですので、輸入ものとしてなかなか踏み切れなかった人も興味あるところだと思います。
あとはアンプモジュールが出てきてくれるとうれしいところですね。
代理店としてサードウエーブさんが扱います。下記のフジヤさんブログなどをご覧ください。
http://avic.livedoor.biz/archives/51389643.html
評論家のかたにも試してもらっていますが、高評価をいただいています。オーディオを知っている人なら納得できる本物のオーディオの音ですね。わたしもいまのメインのポータブルセットになっているのが、HM801+JH13です。
今回はPSEをクリアしての国内販売ということですので、輸入ものとしてなかなか踏み切れなかった人も興味あるところだと思います。
あとはアンプモジュールが出てきてくれるとうれしいところですね。
2009年09月27日
HifiMan HM-801と二週間
だいたい二週間くらいずっとHifiMan 801を使ってましたが、実際に使ってみたところをちょっと書いてみます。
まずアンプ付きの二段重ねに比べると文庫本を一冊余計にもてるというのはやはり助かりますね。横幅はありますがそれほど厚みがあるわけではなく、わりと軽いのでバッグにするっと入れるにはほどよい感じです。もちろんポケットにはいるわけではありません。
使用したのは主にEdition8とJH13でした。IEMに関してはカスタムをいろいろと試しましたがやはりベストはJH13だと思います。はっきりくっきりしっかりとした明快なHiFiサウンドが堪能できます。
もちろんEdition8との組み合わせは文句なしにポータブル環境でベストと言えるでしょう。意外とよかったのはSennのMX W1ですね。HiFiワイヤレス体験を楽しめます。
電池の持ちについては実測でだいたい8-9時間は持つという感じです。
ただしLCDの消灯設定を適切にする必要があります。初回版では電池残表示が正しくされていませんが、これもパッチで修正される予定です。
本当に音質に特化したプレーヤーですが、その反面そのほかの領域は弱くて使いにくい面もあります。
例えば5つキーがありますが方向と機能に一貫性がなく、直感的に使いにくく感じます。またプレイリストも一個作れるだけのようです。Rockboxのように外部からのインポートができるといいんですけれども、まだマニュアルが来てないので機能面ではあまり書くことができません。
楽曲ファイルは主にExact Audio CopyでWavにRipしてからFLACにエンコードしています。このためタグなどはいい加減なのでフォルダーで管理しています。日本語のファイル名も表示は可能ですが、ひらがなフォントのデザインはなぜか小さめです。
96/24は主にLINNのダウンロードの楽曲ファイルを使いました。実際に使ったのは例えば下記のようなものです。
"Hymn to Nina" - Barb Junger 88/24 FLAC、"Life Jacket" - Ian Shaw 88/24 FLAC、"Spem in alium" - Thomas Tallis 96/24 FLAC、またスタジオマスターのサンプラーVol3の曲などです。このサンプラーはLINN Japanの人もDSのデモで良く使っています。
しかし相性があるのか以前記事に書いたHDTracksのRaising Sandはうまく再生できませんでした。この問題については向こうでも把握しているらしく、次のパッチで入るということです。
LINNのダウンロードを使って同じ曲(クレア・マーチン)を一曲44/16と96/24でそれぞれ買ったものを比較してみましたが、特にヴォーカルの艶っぽさや厚みといったところで差が出ます。
音質の変化についても良い方向でエージングできてきます。
はじめはポップなどのきつめの録音のものでは少しエッジにきつさが見られることがありますが、これは少しずつ取れていきます。
つまり基本的に高精細で録音に忠実な再現力をもっているので、そうした元々がきつい録音エンジニアリングのものはそのまま再現されるというわけです。逆に言うと良録音されているものではまさに一クラス上のリスニングをもたらしてくれます。
こう書くとジャズとかクラシック向きかと思うかもしれませんが、インパクトと切れが良いのでロックでも音の躍動感をよく伝えます。
低域は単に盛り上がってるのではなく、しっかりとした重みが乗って切れがあります。量感は十分ありますが誇張は少ないので、ズンズンいうのがいい人はヘッドホンの方で工夫するといいでしょう。
HiFiManはドライというわけではないけれども、iMod+SR71Aで聴くときの心地良い暖かみが欲しくなることもあります。そこでラインアウトからSR71Aにつなぐというのも少しだけやってみました。
こうすると全体的にかさばるということもあるけど、音の鮮度感がやや損なわれるようにも思えます。そうした意味でもプレーヤーとアンプの一体型というのはケーブルレスという点でも利点があると再認識させてくれます。また、アンプモジュールが変えられるので、将来的にそれも楽しみです。
HiFiという名の通りの高再現性というほかにHM801の音の特徴をひとことでいうと「豊かさ」と言えるでしょう。もう少し言うならば、色彩感とか音の陰影というようにオーディオの世界の言葉が浮かびます。あるいはワインの世界の表現も合うでしょう。
そうしたクラス上の上質感を味わうことができます。
いままではこうした高再現性がある音を得るためにはiPod/iModベースのiPod内臓DACでは不足で、光を使って外部DACを使うD10など使ってました。HifiMan 801は一つのパッケージでその辺とはひとクラス上の豊かで時折ハッとする世界をもたらします。
たとえばクラシック畑の大萩康司のギター曲"アクアレル"では、エリックモングレインなどのように派手さはなく、地味でシンプルでたんたんと演奏されて行きます。
しかしHifiManで聴くと細かいギターワークと、背景に聞こえる様々な環境音、きしみ、すれ、息遣いなど情報の多さが演奏者がいるかのように思えます。
演奏者の精神が細部に宿るとすると、それを描き出すHiFi再生機器は必要な要素です。HifiManはそれをポータブルで感じさせてくれます。
忙しくて帰宅してからも音楽を聴く余裕が取れないという時、電車の通勤リスニングも無駄にはならない時間です。これを充実させてくれるのはありがたいことです。
こうした領域で語れるというのはポータブルオーディオもまた一歩進歩したということになるでしょう。
まずアンプ付きの二段重ねに比べると文庫本を一冊余計にもてるというのはやはり助かりますね。横幅はありますがそれほど厚みがあるわけではなく、わりと軽いのでバッグにするっと入れるにはほどよい感じです。もちろんポケットにはいるわけではありません。
使用したのは主にEdition8とJH13でした。IEMに関してはカスタムをいろいろと試しましたがやはりベストはJH13だと思います。はっきりくっきりしっかりとした明快なHiFiサウンドが堪能できます。
もちろんEdition8との組み合わせは文句なしにポータブル環境でベストと言えるでしょう。意外とよかったのはSennのMX W1ですね。HiFiワイヤレス体験を楽しめます。
電池の持ちについては実測でだいたい8-9時間は持つという感じです。
ただしLCDの消灯設定を適切にする必要があります。初回版では電池残表示が正しくされていませんが、これもパッチで修正される予定です。
本当に音質に特化したプレーヤーですが、その反面そのほかの領域は弱くて使いにくい面もあります。
例えば5つキーがありますが方向と機能に一貫性がなく、直感的に使いにくく感じます。またプレイリストも一個作れるだけのようです。Rockboxのように外部からのインポートができるといいんですけれども、まだマニュアルが来てないので機能面ではあまり書くことができません。
楽曲ファイルは主にExact Audio CopyでWavにRipしてからFLACにエンコードしています。このためタグなどはいい加減なのでフォルダーで管理しています。日本語のファイル名も表示は可能ですが、ひらがなフォントのデザインはなぜか小さめです。
96/24は主にLINNのダウンロードの楽曲ファイルを使いました。実際に使ったのは例えば下記のようなものです。
"Hymn to Nina" - Barb Junger 88/24 FLAC、"Life Jacket" - Ian Shaw 88/24 FLAC、"Spem in alium" - Thomas Tallis 96/24 FLAC、またスタジオマスターのサンプラーVol3の曲などです。このサンプラーはLINN Japanの人もDSのデモで良く使っています。
しかし相性があるのか以前記事に書いたHDTracksのRaising Sandはうまく再生できませんでした。この問題については向こうでも把握しているらしく、次のパッチで入るということです。
LINNのダウンロードを使って同じ曲(クレア・マーチン)を一曲44/16と96/24でそれぞれ買ったものを比較してみましたが、特にヴォーカルの艶っぽさや厚みといったところで差が出ます。
音質の変化についても良い方向でエージングできてきます。
はじめはポップなどのきつめの録音のものでは少しエッジにきつさが見られることがありますが、これは少しずつ取れていきます。
つまり基本的に高精細で録音に忠実な再現力をもっているので、そうした元々がきつい録音エンジニアリングのものはそのまま再現されるというわけです。逆に言うと良録音されているものではまさに一クラス上のリスニングをもたらしてくれます。
こう書くとジャズとかクラシック向きかと思うかもしれませんが、インパクトと切れが良いのでロックでも音の躍動感をよく伝えます。
低域は単に盛り上がってるのではなく、しっかりとした重みが乗って切れがあります。量感は十分ありますが誇張は少ないので、ズンズンいうのがいい人はヘッドホンの方で工夫するといいでしょう。
HiFiManはドライというわけではないけれども、iMod+SR71Aで聴くときの心地良い暖かみが欲しくなることもあります。そこでラインアウトからSR71Aにつなぐというのも少しだけやってみました。
こうすると全体的にかさばるということもあるけど、音の鮮度感がやや損なわれるようにも思えます。そうした意味でもプレーヤーとアンプの一体型というのはケーブルレスという点でも利点があると再認識させてくれます。また、アンプモジュールが変えられるので、将来的にそれも楽しみです。
HiFiという名の通りの高再現性というほかにHM801の音の特徴をひとことでいうと「豊かさ」と言えるでしょう。もう少し言うならば、色彩感とか音の陰影というようにオーディオの世界の言葉が浮かびます。あるいはワインの世界の表現も合うでしょう。
そうしたクラス上の上質感を味わうことができます。
いままではこうした高再現性がある音を得るためにはiPod/iModベースのiPod内臓DACでは不足で、光を使って外部DACを使うD10など使ってました。HifiMan 801は一つのパッケージでその辺とはひとクラス上の豊かで時折ハッとする世界をもたらします。
たとえばクラシック畑の大萩康司のギター曲"アクアレル"では、エリックモングレインなどのように派手さはなく、地味でシンプルでたんたんと演奏されて行きます。
しかしHifiManで聴くと細かいギターワークと、背景に聞こえる様々な環境音、きしみ、すれ、息遣いなど情報の多さが演奏者がいるかのように思えます。
演奏者の精神が細部に宿るとすると、それを描き出すHiFi再生機器は必要な要素です。HifiManはそれをポータブルで感じさせてくれます。
忙しくて帰宅してからも音楽を聴く余裕が取れないという時、電車の通勤リスニングも無駄にはならない時間です。これを充実させてくれるのはありがたいことです。
こうした領域で語れるというのはポータブルオーディオもまた一歩進歩したということになるでしょう。
2009年09月15日
HiFiMan HM-801、その印象
1. HiFiMan HM801とは
端的に言うとHM801は高音質のポータブル・オーディオプレーヤーです。
ただし、ここでいう高音質というのはiPodと他のDAPを比べて云々するというレベルのものではなく、まさにハイエンドオーディオに匹敵するような高音質をポータブルで実現するという野心的なプロジェクトです。
製作はHead-Directの責任者であるFangさんにより進められました。
Head-Directはうちでは何度も触れていますが、中国のヘッドホン関連のオーディオ製品を主に米国に展開しているディーラーです。こちらがホームページです。
http://www.head-direct.com/
HiFiManはこのプロジェクトの名前であると同時に、これまでのHead-Directというブランド名に代わるものです。この辺からもその意気込みが伝わりますが、HM-801はその第一弾の製品となります。
いままでポータブル環境の高音質化というと、iPodのラインアウトからケーブルを介してポータブルのヘッドホンアンプにつなぐということが一般的でした。HM801は単体のプレーヤーのみでそれらを統合してひとつの箱にまとめたものと考えるとわかりやすいかもしれません。
HM801はモジュール構成によりそれを実現しています。それに沿ってHM801の特徴を簡単に紹介します。
プレーヤー(ソース)部ではAAC/MP3/OGG/WMAの非可逆(ロスのある)の圧縮形式のほかに、高音質プレーヤーらしくWAVの非圧縮形式、そしてロスレス圧縮形式としてFLACをサポートしています。またFLACではなんと96k/24bitの高品質データ再生が可能です。この辺もいままでMP3プレーヤーとしてくくられてきたこのカテゴリの製品とは一線を画しています。ちなみに一番上の写真の液晶表示はLINNの高品質楽曲配信から購入した96/24の曲を再生しているところです。
そしてなによりプレーヤー部分の目玉はDACチップがPCM1704というハイエンドオーディオのDACに採用されている高性能チップを使用していることです。PCM1704はマークレビンソンのNo360やWadiaのシリーズ9などでも使用されています。
従来ポータブル機で音がいいといっても、たとえばiBasso D10ではWM8740というPCのサウンドカードに使われているようなDACチップです。DACチップだけが全てではないにしろ、これだけでもHM801の本気度には驚かされます。また、このDAC部分は単体として使うことが可能です。HM-801のキーのひとつはこの強力なソースコンポーネントにあるといえるでしょう。
楽曲ファイルは本体にも2GBのメモリーがありますが、SDHCカードで32GBまで増設できます。これも差し替えて何枚でも使うことができます。(わたしはちなみにSandiskのUltraIIです)
UIはシンプルな仕様ですがカラー液晶で視認性は問題ありません。
アンプ部は取り外し可能なモジュール方式になっていて、その仕様は公開されています(下記アドレス参照)。現在標準でついてくるのは前段に15Vで動作しているOPA275と、後段はディスクリートバッファになっているようです。高いソース部の性能をディスクリート回路で十分に生かしているということですね。
電源部はリチウムポリマーの内蔵バッテリーですが、15Vもの高い電圧を得ることができます。このためにホームユースのチップ等を使えるということになり、安定動作できるチップも増えることでしょう。これも取り外しが可能でスペアバッテリーと交換できます。
入出力も豊富で、USB DACとしても使えますし、同軸デジタルケーブルから入力してDACとして使うこともできます。ただデジタル入力はミニプラグになります。ラインアウトもついているのでmini-miniケーブルを用意しておけばポータブルアンプと繋ぐこともできるでしょう。
現在は正式受注というよりは先行販売を行なっています。
定価は$750-$800となると思いますが、現在は第二次の先行販売申し込みを受けています。
価格や仕様など詳しくはこちらのHeadfiページをご覧ください。
http://www.head-fi.org/forums/f87/updated-hifiman-hm-801-portable-music-player-preorder-424053/
販売開始は遅れていましたが、今日時点で私のものを含めて3台のみ出荷されています。今後続いて出荷されていく予定ですが、しばらくは品薄となるかもしれません。
2. HM-801 Hands On
実物のHM801は横幅がやや広いものの重さは思ったより軽いという印象です。
iHP140とD10の組み合わせと比べるとこんな感じです。右のペアが左にすっきりと統合されたという感じですね。実際にはケーブルも不要です。単体でiHP140と比べると3D CGでは右図のような感じです。手前の青がiHP140で紫がHiFiManです。厚み的にほぼ変わらず、横方向にやや広い感じです。
パッケージについては最終決定されていませんので、ちょっと省きます。わたしのものには本体のほかにチャージャーとアンプベイをはずすドライバー、そしてデジタル入力のためのRCAとミニ変換プラグが付いてきました。またポーチやクリーニングクロスも付いています。
インプレッションについてはマニュアルがまだ到着してないので、機能の詳細等はまだ分かりません。そこで箱を開けてから数時間程度の基本的な音の印象のみ書いておきます。
ヘッドホンのほうも現在ポータブル最高峰といえるEdition8とJH13で聴いてみました。
全般的な音調は精緻でかつ洗練されていてニュートラルであるという典型的なHiFi系のオーディオサウンドです。音質のレベルはもはやiPodとかDAPのレベルではありません。iPod+アンプのシステムを越え、外部DACのiHP-140+D10をも超えています。
大きめの高級DAPというよりは高級オーディオ機器が小さくなったというべきで、これは明らかに高級オーディオを感じさせる音です。
高級オーディオを感じさせるというのは、まず音が単に細かいというだけではなく質感が豊かです。研ぎ澄まされて一音、一音が明瞭というだけではなく、声や音の質感再現が豊かで滑らかです。8色のクレヨンでは表現できない微妙な中間色を24色のクレヨンなら再現が可能であるとたとえると分かるでしょうか。また、堂々とした深みのあるスケール感があります。音場が単に広いというのではなく空間表現が豊かです。
これらは例えばヴォーカリストの声のニュアンスの違いとか、楽器の音の色彩感、音色の書き分けをテクスチャ豊かに描き出します。ミクロ的にはヴォーカルのささやくような肉質感、マクロ的にはオーケストラの堂々たる迫力に圧倒されます。
単に音楽を聴くだけならばラジカセでもミニコンポでも聴けます。ハイグレードなオーディオの世界の良さはこうしたアーチストの音楽表現やサウンドエンジニアリングの妙を感じることができることです。そうして音楽の作品としての深みにひたることができます。そういう意味で高級オーディオ機器らしいというわけです。
またUE11でいつものようにヒスが聴こえるかということを試してみると、ボリュームがほとんど振り切っていてもヒスらしい背景雑音が聞こえないのに驚きます。まさに驚くほどのノイズフロアの低さです。おそらくiPodベースのシステムではiPodから流れてくるような背景ノイズのもとがほとんどないのでしょう。
これだけ背景が黒いとSN比もかなり高いことでしょう。これはかすかな細かい音が背景ノイズに埋もれずにかなりはっきり聞こえるということで、DACチップの細やかな再現を生かすことにもつながります。
UIはカラーで背景にはうっすらと波模様が見えているように階調再現が可能です。視認性は問題ありません。ただ操作等はやや直感的ではないところもあります。また機能的にもよく分からないところもありますが、この辺はマニュアルが来てから少しまた見直してみます。
楽曲ファイルはわたしはFLACを使用しています。フォルダー移動ができるのでRockbox的にフォルダーを作成してドラッグ&ドロップで曲をUSB経由で移動させます。96/24もOKなのはうれしいところですが、たまにひっかかるファイルがあるようです。もっともいまのところこれは少数で、たとえばLINNの高品質配信のファイルは問題ありません。また44/16の普通のCD品質ならまったく問題ありません。
早くからJudeさんのレビューでわかっていた出来のよさそうなソースセクションに比べると未知のアンプセクションは心配でしたが、なかなかの出来のようです。はじめはminibox-eをベースにするといっていましたが、完成品ではそれとは異なりディスクリートバッファを持っているようで、十分なカレントを確保しているようです。
音もしっかり引き締まって、Edition8でHandsのウッドベースを聴いたときは贅肉のない引き締まった音にちょっと驚きました。DACの良さもさることながら、がっしりと低域を押さえ込むのはやはりハイカレントのアンプ部が必要です。そうした意味できちんと上流の良さを生かす性能をもっていると言えるでしょう。
また再生側のヘッドホンやIEMもそれなりのレベルのものが必要になるでしょうね。
使用しているとすこし熱をもちますが、これもまじめに働いているオーディオ機器の証に思えます。その分でふんだんに電流を流しているせいか電池も長時間再生とはいきませんが、この辺はいまLCDなどの省エネ設定の組み合わせをしながらちょっと工夫しています。この辺はまさに音質第一というところです。
音質以外のところが華やかなオーディオプレーヤーは他にたくさんあります。実のところ音質というのは一番セールスポイントになりにくいところです。新機種で新しくビデオが表示できたり、新しくノイズキャンセルができたりすると新機能はすぐに違いがわかりますし、アピールとしてカタログに書きやすいところです。しかし、音質がよくなったと本来の基本的なところの向上を地味に行ってもなかなかセールスポイントには結びつきにくいでしょう。
この製作指揮をしているHead-DirectのFangさんは中国では知られたポータブルプレーヤー通のようで、実際に雑誌に記事を執筆したりしていたようです。そうしたポータブルオーディオへの情熱がこうした真のHiFiプレーヤーの登場となったのでしょう。
このブランドの今後の展開にも注目です。
2009年09月12日
HiFiMan HM-801到着
2009年06月01日
CanJamでのHifiMan
CanJamでのHifiMan HM-801については音のコメントはありませんが、写真はいくつか掲載されています。
http://www.head-fi.org/forums/5725480-post182.html
http://www.flickr.com/photos/scorche/sets/72157619027545714/
(ちなみに上リンクの中で基盤だけのものはRSA Shadowです)
UIもできているようで、ID3タグも読めるようですね。
iHPとギガビートとの比較もあります。iHP-140より一回り大きいくらいでしょうか。このくらいならiPodとポータブルアンプを持ってケーブルをつなぐよりもずっとすっきりしますね。
底面は転送接続とUSB DAC用のUSBコネクタで、側面にLine outがあるので、アンプはSR71Aを使って、ということもできます。またデジタルインも装備していますのでDACのみでも使えます。CanJamではそうした展示もしたようです。
ボディの質感もなかなか思ったよりは良いという感じです。ちなみに外装はプラスチックではなくメタルということです。
だんだん期待が膨らんできました(^^
上の写真にはEF-2という名前も出てきますが、これはEF-1の下位モデルのことです。EF-1は昨年秋のヘッドホンショウに持っていった真空管ハイブリッドのホーム用ヘッドホンアンプです。
それとちょっと書きましたが、Head-Directの新型ヘッドホンも出ています。下記リンクのおそらく手前のもので、奥はJade(HE1.3)だと思います。
http://www.head-fi.org/forums/5725720-post195.html
これはなんとOrthodynamic方式という点が特徴です(Isodynamicとも言います)。オルソダイナミックは下記のわたしのYAMAHA HP-1の記事を参考にしてください。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/4708524-1.html
簡単に言うとSTAXのような平面振動版をダイナミック方式で行うもので、特に専用のアンプは必要ありません。ダイナミック型のひとつの理想ですが、製作コストはかかるということです。そのせいか価格は$800とちょっと高いですが、YAMAHA HP-1やYH-5Mから推してもオルソダイナミックはスムーズでリニアな帯域特性を持っているようなのでこれも注目ですね。
HifiManについてはもうちょっとコメントが見たいようにも思いますけれど、、まあもう注文しちゃったからいいけど(笑)
http://www.head-fi.org/forums/5725480-post182.html
http://www.flickr.com/photos/scorche/sets/72157619027545714/
(ちなみに上リンクの中で基盤だけのものはRSA Shadowです)
UIもできているようで、ID3タグも読めるようですね。
iHPとギガビートとの比較もあります。iHP-140より一回り大きいくらいでしょうか。このくらいならiPodとポータブルアンプを持ってケーブルをつなぐよりもずっとすっきりしますね。
底面は転送接続とUSB DAC用のUSBコネクタで、側面にLine outがあるので、アンプはSR71Aを使って、ということもできます。またデジタルインも装備していますのでDACのみでも使えます。CanJamではそうした展示もしたようです。
ボディの質感もなかなか思ったよりは良いという感じです。ちなみに外装はプラスチックではなくメタルということです。
だんだん期待が膨らんできました(^^
上の写真にはEF-2という名前も出てきますが、これはEF-1の下位モデルのことです。EF-1は昨年秋のヘッドホンショウに持っていった真空管ハイブリッドのホーム用ヘッドホンアンプです。
それとちょっと書きましたが、Head-Directの新型ヘッドホンも出ています。下記リンクのおそらく手前のもので、奥はJade(HE1.3)だと思います。
http://www.head-fi.org/forums/5725720-post195.html
これはなんとOrthodynamic方式という点が特徴です(Isodynamicとも言います)。オルソダイナミックは下記のわたしのYAMAHA HP-1の記事を参考にしてください。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/4708524-1.html
簡単に言うとSTAXのような平面振動版をダイナミック方式で行うもので、特に専用のアンプは必要ありません。ダイナミック型のひとつの理想ですが、製作コストはかかるということです。そのせいか価格は$800とちょっと高いですが、YAMAHA HP-1やYH-5Mから推してもオルソダイナミックはスムーズでリニアな帯域特性を持っているようなのでこれも注目ですね。
HifiManについてはもうちょっとコメントが見たいようにも思いますけれど、、まあもう注文しちゃったからいいけど(笑)
2009年05月13日
HifiMAN HM-801 - ハイエンドDAP
iPodとドックとポータブルアンプをバッグに入れながら、おそらくみな考えていたと思います。これらがひとつにならないかと。
そのときがいよいよ来たのでしょうか?
何回かうちでも書いてきたHead-DirectがHifiMANと名称を変えて、HM-801というハイエンドDAPを出すようです。つまりRE-1のようにFangさんがプロデュースしたもののようですね。
http://www.head-fi.org/forums/f87/hifiman-hm-801-portable-music-player-preorder-424053/#post5677357
こちらにjudeさんがここに至る経緯とプロトタイプをためしてみたレビューが載っています。
http://www.head-fi.org/forums/f15/hifiman-hm-801-portable-player-dac-review-part-one-two-424091/
HM-801はモジュール方式になっていて、アンプ部分は挿しかえれるようです。また14.8Vという高電圧の電池をやはりモジュール式で内蔵できるようです。この辺もポイントですね。ストレージはSDHCとのこと、ただレビューを見ると内蔵メモリーもあるようです。サイズからするとiPodを一回り大きくしたような感じです。
DAC部分はPCM1704と出力段には627をおごっているようです。レビューを見るとまだアンプ部分はできていないようです。そこでDACとしてつかったようですが、性能はすばらしくノイズフロアはとても低くて据え置きとしても遜色ない性能とか。
ちょっと、というか、かなり気になりますね。
そのときがいよいよ来たのでしょうか?
何回かうちでも書いてきたHead-DirectがHifiMANと名称を変えて、HM-801というハイエンドDAPを出すようです。つまりRE-1のようにFangさんがプロデュースしたもののようですね。
http://www.head-fi.org/forums/f87/hifiman-hm-801-portable-music-player-preorder-424053/#post5677357
こちらにjudeさんがここに至る経緯とプロトタイプをためしてみたレビューが載っています。
http://www.head-fi.org/forums/f15/hifiman-hm-801-portable-player-dac-review-part-one-two-424091/
HM-801はモジュール方式になっていて、アンプ部分は挿しかえれるようです。また14.8Vという高電圧の電池をやはりモジュール式で内蔵できるようです。この辺もポイントですね。ストレージはSDHCとのこと、ただレビューを見ると内蔵メモリーもあるようです。サイズからするとiPodを一回り大きくしたような感じです。
DAC部分はPCM1704と出力段には627をおごっているようです。レビューを見るとまだアンプ部分はできていないようです。そこでDACとしてつかったようですが、性能はすばらしくノイズフロアはとても低くて据え置きとしても遜色ない性能とか。
ちょっと、というか、かなり気になりますね。