Music TO GO!

2024年08月01日

アクセル・グレル氏の新たな挑戦「Grell OAE1」レビューというか考察

DROP+Grell 「OAE1」はかつてゼンハイザーの顔としてヘッドフォン祭にも来日していたアクセル・グレル氏が、ゼンハイザーを退社してから個人ブランドとして開発したヘッドフォンです。

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アクセル・グレル氏は1991年からゼンハイザーに在籍してゼンハイザーの歴史に残るフラッグシップ機であるHD600、HD650、HD800などを手掛けた開発者として知られています。ゼンハイザーの中心人物ともいうべきアクセル・グレル氏は、ゼンハイザーのヘッドホン部門がソノヴァに買収される前にゼンハイザーを離れて自らの名を冠したGrell Audioを立ち上げています。
アクセル・グレル氏が自分の理念を込めて開発したヘッドホンがGrell OAE1と言えます。OAE1の販売は海外の通販サイトで自社開発も行うことで知られているDropが担当しています。そのため名称はDROP+Grell 「OAE1」となっています。価格は先行版が$349くらいとそう高くはありません。

こちらホームページです。
Grell OAE1
https://grellaudio.com/products.html

Drop販売ページ
https://drop.com/buy/drop-grell-oae1-signature-headphones

OAE1の特徴はアクセル・グレル氏が取り組んでいる「ヘッドフォンの外形デザインと音質」というテーマを文字通り形にしたことです。それについては「多くのリスナーはヘッドフォンの周波数特性を測定するが、実際に知覚される音はヘッドフォンのジオメトリ(形状や大きさ)とアコースティックインピーダンスに大きく左右される。これはイヤカップの中の音場の形と方向性が空間再現に重要だからだ」とCanJamで開催されたセミナーの概要に書いています。

OAE1ドライバー.png
OAE1ドライバー配置(ホームページから)

それを実現するためにOAE1ではイヤカップの中でドライバー配置を耳の前方に位置させた独特の配置がなされています。それを可能な限り開放されたイヤカップデザイン、および低域を出すためのディフューザーと組み合わせています。振動板は40mmのバイオセルロースのダイナミックドライバーを採用、振動板は外縁部(エッジ)を有していて、ボイスコイルの作り出す定在波を吸収する仕組みになっているとのこと。

グレル氏の考える振動板の配置の進化は、Headfiのインタビューで見せたグレル氏のジェスチャーからわかります。

従来のヘッドホンのドライバーの位置_動画から.png HD800のドライバーの位置_動画から.png OAE1でのドライバーの位置_動画から.png
左から従来のヘッドフォンのドライバー配置、HD800でのドライバー配置、OAE1での配置

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これはホームページの動画から、実際のドライバーを頭に当てたところです。

ちなみにS-Logicでのドライバーも傾いていますが、OAE1ほど前方にあるわけではありません。
スクリーンショット 2024-07-30 13.25.21.png
Edition 15のS-Logicドライバー


ヘッドフォンとしての特性は仕様から抜き出すと周波数特性が12 - 32,000 Hz (-3 dB)、6 - 44,000 Hz (-10 dB)、インピーダンスは38Ω、能率は106 dB (1 kHz, 1 VRMS)です。
ホームページの音の特性のところに"front oriented loudness diffuse field equalization"とありますが、これはOAE1がリスナーに音が前方から来るように感じさせると同時に、拡散音場(音があらゆる方向から均一に到来する音場)に基づく自然な音のバランスを保つように音が調整されているという意味です。

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実際に購入した方から借りて試してみました。

イヤパッドもヘッドパッドも価格的にはそこそこ悪くはなく、ハウジングもかなりがっちりとした剛性ある作りです。側圧は強めで、クランプでがっちり固定される感じです。イヤカップも小さめで調整してもほんとに頭にぴったりはまり余裕が少ないのですが、これはOAE1の設計がドライバーの位置に依存しているので装着位置が大事だからと思います。
サイズはHD800よりだいぶ小さく、OAE1の後にHD800を装着するとかなりゆるゆるに感じられます。

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HD800とOAE1

ケーブルは2.5mmのTRRS(4極)端子を用いてヘッドフォン側と接続し、3.5mm(6.35mmアダプタ)と4.4mmバランスのケーブルが2本付属しています。少し特徴的なのですが、3.5mmケーブルは両側出しで、4.4mmケーブルは片側出しです。ヘッドフォン側端子は両側についていますが、どちらも問題なく使用できます。つまり両方挿しても片方だけ挿しても機能します。
このケーブルについてのHeadFiのGrell氏のコメントを引用します。
"OAE1には4極の2.5mmソケットが左右に付いています。どちらも左右のバランス信号の入力として機能します。ソケットは4極オーバーヘッドケーブルで接続します。片側4極ケーブルは、左側または右側に差し込むことができます。両側2極ケーブルを使用する場合は、信号がオーバーヘッドケーブルを経由して余分な経路を通らないようにするため、右側のプラグ(赤い絶縁リング)を右側のソケットに、左側のプラグを左側のソケットに差し込みます。片出しケーブルを使用する場合は、右手を使う場合は左のソケットに、左手を使う場合は右のソケットに差し込むことをお勧めします"

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もともとプロのモニターが左片だしなのは仕事をするため右手に邪魔にならないようにするためだそうですが、やはりプロ畑のGrell氏なのでその辺も考慮しているように思います。またヘッドフォン側ケーブルは奥まで深く挿入する必要があります。
個人的には4.4mmの方が音が良く、主に左片だしで使用しました。

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4.4mm方出し

能率が低めなのでヘッドフォンアンプを使ったほうが良いと思います。比較用にHD800初代を用意しました。

OAE1の音は、はじめに少し違和感を感じますが、音場感が独特で音楽が浮遊しているようなちょっと不思議な感覚があります。音場に奥行き感がある感じですね。S-Logicに似ているかというとそうかもしれませんが、S-Logicよりも音の奥行きがあるように思います。曲に離れたところでビンが割れるような効果音が入っているとちょっとハッとするくらいのリアルさで少し離れたところに感じられます。
通常のヘッドフォンに比べると音が真ん中に集まって、前方定位のように聞こえますが、距離が頭外に出るというわけではないように思えます。つまりスピーカーの方から聞こえてくるのではなく、通常のヘッドフォンよりも前方に音が集まっています。
音が前方にあるというよりも、感じるのは音場の奥行き感です。通常のヘッドフォンでは左右のカップ方向の線上に散っていた音が、前よりの奥行きのある音場に集まった感じです。サントラ的な雄大な音楽とか、音が空間に散らばるような音楽を聴くとわかります。ヘッドフォンをHD800に変えて同じ曲を聴くと音が平面的に感じられます。

音質自体はHeadFiの初期試聴コメントでは高域が強すぎるというコメントが多かったのですが、帯域バランス的には低音がやや強めの普通のヘッドフォンの音として感じられます。帯域バランス的に似ているのはHD800ではなくHD650ですね。フラットなHD800よりも低域は聴覚的に出ていると感じられます。ただ楽器音の着色感の少なさはHD800に近いと思います。
楽器音や解像力・歪み感自体はハイエンドというわけにはいかないと思うけれども、価格的に考えると悪くはないです。

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音が特徴的なので、はじめ少し違和感を感じるところもありますが、聴いているとなれます。これはfinalのZE8000に近い感覚があるかもしれません。
HeadFiにもOAE1の音に違和感を覚えるというユーザーもいますが、それに対してGrell氏は次のように述べています。
“生演奏やリスニングルームでフルレンジスピーカー(14Hzから22,000Hzの3dBカットオフ周波数)を使ったリスニングの経験が豊富な人なら、OAE1を理解する(好きになる)のは簡単だと思います。ヘッドフォンのみのリスニング経験が豊富な人には、OAE1は最初は少し馴染みにくいかもしれません。しかし、私たちの内部のDSP(脳)はとても柔軟です”

位相遅延のような少し曇る感覚があるというユーザーもいるのですが、これはその通りです。この問題についてGrell氏は次のように答えています。
“(なぜ遅延が生じるかというと)OAE1の場合には外耳道入口での位相応答が、音源が頭に対して90°(270°)の角度ではなく、頭の前方0°から60°(300°)の角度のものだからです。
このような角度から音波がやってくると、低い周波数が直接外耳道入口に届きます。なぜかというと周波数が高くなるにつれて音波がビーム状に伝播するため、高周波数の音波は前方から直接耳道に入らず、耳介(ピンナ)に反射して耳道に入ります。この反射により遅延が生じ、その遅延時間はトラガスから対トラガスおよびヘリックスまでの距離を音速で割った値の2倍の長さとなります。この遅延時間は耳の大きさにより異なりますが、0.06msから0.12msの範囲です。つまり低域の音よりも高域の音の方が遅れて届くわけです。
私たちの脳は、この遅延が前方の自然音源を聞くときに発生することをよく知っています。しかし、従来のヘッドフォンで聴く場合にはこの遅延が発生しないことを学んできました。したがって、OAE1はより正確なサウンドを提供しますが、最初は慣れないサウンドに感じるかもしれません”


ちなみにトラガスから対トラガスまでの距離の2倍とは下の図のような意味です(耳のイラストはAI生成)。直進性が高く曲がりきれなくて耳穴に入れなかった高音が耳たぶに当たって反射して耳穴に入るまでの時間ということですね。
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つまりOAE1の方式ではドライバーをでた音が周波数によって広がり方が違うので這うような低域は直に耳穴に入るけど、直進性の高い高域は外耳に反射してから入るので、低域に対して高域に遅延が生じるということです。普通のヘッドフォンでは耳穴の真横から音が出るので低域も高域も同時に耳穴に届いてしまいます。
つまりOAE1の方式の方が本来音の聞こえ方は自然だけれども、耳に対して直で音がくる普通のヘッドフォンに耳が慣れている人はそれに対して脳の補正が効いてしまっているので、ヘッドフォンの音の聞こえ方に慣れてしまっている人はOAE1の音に慣れるのに時間がかかるということのようです。

この仕組みは脳の学習を見込んでいるので、ZE8000のように慣れる時間が必要になります。HD800を聴き込んでOAE1に移ると変な感じに思うけれども、ずっとそのまま聴いていると普通に聞こえてきます。耳に直接入れるイヤフォンの場合に比べるとヘッドフォンでは耳介を使うことができるので慣れの問題はそう大きくはないかもしれません。逆にいうと自然な音再現のために外耳を積極的に使うのがOAE1と言えるかもしれません。

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SignatureモデルなのでGrell氏のサインが見えます

ASMR音源はHD800よりもリアルで耳に近くASMRらしく聞こえます。この点でフルオープンに近い形状だけれどもクロストークの効果は少ない、あるいは期待していないと思います。つまりフルオープンにも見えるけれどもAKG K1000のように左右の音をまぜて立体感を高めるというアプローチとは異なるということだと思います。
音は普通の開放型のように外に漏れますが、低域用にディフューザーが設けられているのでどの帯域がどのくらい漏れるのかは分かりません。

また映画鑑賞にも向いています。低音がかなり出るので迫力があるということ、それと独特の音のリアル感です。Apple TV+で映画「グレイハウンド」を観てみましたが大西洋の荒波を切っていく音はかなりリアルに聞こえます。HD800でも同条件で試しましたが、HD800よりはOAE1の方が波濤を砕いて進む迫力・リアルさでかなりOAE1の方が上のように思います。

空間オーディオ音源に関してはM2 Macbook Airのヘッドフォン端子に直差ししてHD800(3.5mm端子にリケーブル)とOAE1で、ミュージックアプリでDolby Atmosデコードのオンオフをして試してみましたが、そう差は大きくないように思います。というかOAE1だと常にHD800のDolbyデコードオンのような少し遠めの音再現になっているというべきかもしれません。この辺はちょっとコメント保留しておきます。

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普通のステレオ音源を聴くヘッドフォンとして考えると、はじめに考えていたようなGrell氏のHD800の後継機というようなモニター的な音ではなく、どちらと言えばリスニング向けと考えたほうが良いと思います。独特の音場感を楽しんで音楽に浸りたいというユーザー向けだと思う。音質的にも価格的に悪くはないですし、作りも含めて個人的には悪くないと思います。ただ装着感が少しタイトなので長時間装着はしにくいかもしれません。

またいつもヘッドフォンで音楽を聴いている人は要注意なヘッドフォンではあります。そういう意味ではZE8000と似た点はあるかもしれません。仕組みは全く違うとは思いますが、体の外形を伝う音を考慮したHRTF的な考え方はちょっと似ていますね。
HRTF的な考え方というと体験は個人差が大きいということにもなるかもしれません。もしかすると自分ダミーヘッドサービスのようなものと組み合わせるとなんらかのブレークスルーがあるかもしれませんが、それはさすがに分かりません。
いずれにせよ、興味深くユニークなサウンドのヘッドフォンと言えます。

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2014年08月06日

ColorWareのゼンハイザーHD800G

ゼンハイザーHD800のゴールドモデル、10台限定で$1999です。

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http://www.colorware.com/p-501-colorware-collection-sennheiser-hd-800-g.aspx

これはColorWareというさまざまな製品をカスタムカラーペイントする会社がカスタムメイドしたものです。この会社では最小ロットで5台からペイントしてくれるということ。

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他にもカスタムでカラーリングができるオプションもあるようです。
http://www.colorware.com/p-289-sennheiser-hd-800.aspx
posted by ささき at 21:54 | TrackBack(0) | __→ Senn HD800 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月11日

ゼンハイザーのCESでの新製品公式発表

ゼンハイザーのCESでの新製品公式発表されました。
http://www.sennheiserusa.com/ces2012
HD700は昨日書いたとおりですが、このHD25 Amperiorって。。
HD25熱もいったん冷めたけど、ここでまた持って来るとは。こちら詳細でシルバーとブルーがあります。
http://t.co/t28G3ivI
ただインピーダンスが18オームとHD25普通版より低いですね。またiPhoneリモコンもついてるようと言うことで狙いはちょっと見えるようです。まあガワとパッド変えただけじゃないとはわかるので良いとはいえますが。
RS220もCanjamでJudeさんが披露してましたがワイヤレスとしてはかなり良いようです。
HD700についてはこちらに詳細とドライバーのカットモデルがあります。
http://app.e2ma.net/app2/campaigns/archived/25524/a2e65c53e8e090acc78043f9ac07cb4e/
今年もゼンハイザーにちょっと注目です。
posted by ささき at 08:07 | TrackBack(0) | __→ Senn HD800 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月10日

ゼンハイザーHD700明日発表!

明日(米国時間1/10)CESでゼンハイザーHD700正式発表するそうです! こちらはHeadFi Judeさんのリンクです。
http://t.co/Pk9nWlJf

HD700は$999とやはり$1000切って来ました。Signature pro、Shure 1840と今年はこの辺が熱くなりそうですね。
音的にはHD800に匹敵する(draw)するくらいで、買ったり負けたりするところがあるとのこと。おそらくHD800はスタジオ向きなんでHD700は1840みたいにコンシューマー向けに音を降ってるのではないでしょうか?
ちょっと楽しみですね。

* こちらドイツ語ですが、スペックが分かります。インピーダンスは150オームですね。
http://www.av-magazin.de/Ton_News.49+M5e6a619223e.0.html
posted by ささき at 16:29 | TrackBack(0) | __→ Senn HD800 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月12日

アコースティックリバイブからHD800用の交換ケーブル登場

先日アコースティクリバイブのツインネックのUSBケーブルを紹介して大きな反響がありました。このケーブルについては電源線別と言うツインネック形式もさることながら、高音質のポイントの一つは一般的なよりつい線ではなく単線を使用した線材です。今度はその同じものがヘッドホンのリケーブル用に登場しました。

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*ケーブルについて

よくみると分かりますが、これもあのUSBケーブルみたいに実質ケーブルが片側二本ずつ入っているのと同じです。分岐からプラグまで分離されたままのようです。
導体の太さはUSBケーブルと同じですが、シースの肉厚と緩衝材の綿糸の量を減らし、USBケーブルよりも柔らかいPE素材を使用して、ヘッドホンケーブルとしてフレキシブル性を確保しているということです。ただしそれでも一般的なヘッドホンケーブルに比べるとずいぶん硬くて取り回しづらくなっています。それを考えても、よりつい線などに比べると音質的には単線は有利ということなのでしょうね。Moon Audioあたりに慣れていれば取り回しは大丈夫かもしれません。
線材はPCOCC-Aというものです。PCOCC-Aは単結晶銅素材のPCOCCをアニール(焼き鈍し)したもので、ケーブルとして仕上がった段階の純度は6Nなどの高純度銅素材を上回るということです。メーカーさんによると、現在ケーブルに採用されている素材の中で最も純度が高く、導通特性が高いのがPCOCC-Aと言うことです。
ケーブルの構造は2芯シールド構造となっていて、一般的なノンシールドタイプに比べるとかなりノイズ耐性は高いようです。シールドには銅箔を採用して最外周はカーボンSFチューブ(カーボンを糸の製造限界まで練り込んだもの)ということです。

またケーブルだけではなくプラグもかなり凝っていて、ヘッドホンジャックは鉄心を排除し、銀+ロジウムメッキを施した世界初の完全非磁性体構造ということです。
バランス仕様のキャノンプラグは無半田ネジ留め式です。ボディは2017S航空レベルアルミ合金の削り出しです。
驚くのはHD800側のジャックで、これは昔よく使われたレモ端子らしいのですが、アコースティックリバイブでは一から作り直しているとのこと。

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さすがケーブルもプラグもかなり力が入っています。また単にUSBの使い回しということではなく、ヘッドホンケーブル用に考えられています。


*音質

シングルエンドとバランス版があり、Win7(排他WASAPI)からUSB DDCでHeadroom desktop balancedのDACにつないで聴きました。
まず標準のケーブルとシングルエンドケーブルで比較してみます。ケーブルはどちらも十分エージングしています。

まずはじめに一番感じるのは、全体的にHD800にあった薄さとか軽さの感覚がなく、重みや厚みが感じられることです。全体に厚みが増している感じですね。
低域も深みをまして豊かになり、低域性能が上がったのでピラミッドバランス的に良くなったというのもあるけど、標準より自然なバランスのようにも感じられます。
標準に戻すとちょっと気が抜けた感じになりますね。

また細かいところもより洗練されています。落ち着きを見せながらも、凄味があるという感じです。Moon AudioのBlack Dragonに似た感じかもしれません。
きつさは少なくヴォーカルも滑らかで、空間表現もより豊かです。J-popなどきつめの録音にしている物はよりあうと思います。
HD800はハイがきつくて低域が物足らないと思っている人には良い選択ではないかと思います。
ただし初めはこのケーブルもきつめなので、エージングはけっこう必要ですので注意ください。銀コートの標準ケーブルはシャープ感は感じられますが、エージングしてもあまりきつさが取れない気がします。このケーブルはエージングでかなり改善されます。

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バランスでは空間表現が大きく向上して、三次元的な立体感も増します。より力強さを感じるところもありますね。より前に来る感じです。
制動力も増してよりピタピタと気持ちよく止まり、ドラムスやベースの音の歯切れが良くなります。バランスでの音の向上も分かりやすいですね。

HD800以外にもAKGなどあるそうですので、興味のある方は問い合わせてみてください。
こちら関口機械販売さんのサイトです。
http://www.acoustic-revive.com/japanese/index.html
こちらファイルウエブさんの記事です。
http://www.phileweb.com/news/d-av/201008/27/26667.html
posted by ささき at 23:05 | TrackBack(0) | __→ Senn HD800 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月19日

HD800の交換ケーブル登場、Crystal Cables Piccolino for HD800

ただでさえ高再現性を誇るHD800のケーブルを交換したらどんな世界になるだろう、とはHD800を手にした人は誰しも思うことでしょう。あるいはこれ以上の性能向上ができるのだろうか、とも思うかもしれません。

HD800のプラグはHD650系とは違うので、交換ケーブルはあまり出ていませんでしたが、ここにゼンハイザーHD800の交換ケーブルが登場しました。シンガポールのJabenが取り扱っているCrystal Cablesのpiccolinoというケーブルです。
評価用にシングルエンドとバランスの両方が届きました。

Crystal cables - Piccolino for HD800
Singled-ended
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Balanced
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それとHD25用のミニプラグタイプも送ってもらいました。
Piccolino mini terminate
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Crystal cables社はシンガポールの会社ですが、ニューヨーク在住のピアニストで女性がやっているそうです。
piccolinoは最新のラインナップで、それまで単芯だったケーブルを多芯にして柔軟性を持たせているとのことです。かなり細く柔軟性があります。そのためIEM用にまず使われてLiveWires用に好評をはくし、いまJH-13などにもプロトタイプが作られています。こちらはHeadFiのスレッドにあります。
そのpiccolinoをHD800向けに試作したものがこれです。

材質はシンガポール大学の教授が一年かけて研究したという銀と金の合金で銀はかなり純度が高いようです。こうするとより導体の特性が向上するそうです。
表面的に見える銀色はシールドのようで、中身の線材はもっと金色が混じった色をしています。
ちなみにコネクタは手製ではなくほぼストック(標準品)と同じものだと思います。

音的には基本的に銀系ですが、ちょっとそれだけでは語れないようにも思えるのは合金ゆえかもしれません。しかしケーブルの質が上がるときちんとそれに追従して音質も高くなるというのはさすがHD800です。
また、バランス化するとHD800の独特の空間表現がますます独特になります。どこから音出てるんだという感じ。
HD25についてもずいぶんリケーブルしてきましたけど、これがベストかもしれません。
しかしこれだけあるとバーンインするだけで大変、、まあHD800のシングルエンド優先でやりますか。。

Jaben扱いですがいまのところプロトタイプなので価格なども含めて詳しいことは分かりません。
日本でも、もしかすると歩いて買いにいけるようになるかも。。
posted by ささき at 00:08 | TrackBack(0) | __→ Senn HD800 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月14日

HD800 10日後

常にバーンインしているわけではありませんが、使用するにつれてHD800は、高域はわずかあったきつさが柔らぎ、低域は軽いという感じはなく量感が出てきて、全体に滑らかでスムーズさがさらに増す、という感じでいい方に向かっています。いい方向というよりもより正しい形に近づいているといいましょうか。。
ジョットーだったかミケランジェロが「あなたの絵の才能を見せてください」と言われて、ただ紙に丸い円を描いた、しかしそれは完全な真円であった、というエピソードをちょっと思い出しました。

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ある意味で当たり前になるべき音が当たり前に鳴る、ということが新鮮に感じられる気がしますね。一方で音の密度感・重みというのをどう捕らえるかでクローズタイプと差が出るかもしれません。
posted by ささき at 22:51 | TrackBack(0) | __→ Senn HD800 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月02日

ゼンハイザー HD800 ファーストインプレッションと考察

今年期待のEdition8に続いてゼンハイザーHD800が昨日発売されたとフジヤさんから連絡があり、いま家にやってきました。
今回は引取りではなく配送にしてもらって正解、という箱の大きさです。中は木の箱というわけではありませんがインナーケースが入っています。

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装着してもまるで装着してない様に周りの音が筒抜けで聞こえ、軽さやフィット感のよさもあってまるで装着してないように思えます。
ただつくりの質感のよさでは全体にEdition8の方が高級感があります。

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試聴はいろいろな曲を聞きたいのでPCオーディオのCardDelux->光デジタル(Opc-X1)->Headroom Balanced Desktopで聴きました。Balanced Desktopはシングルエンドとして片方のみ使います。

*ファーストインプレッション

プレーヤーのSongbirdを立ち上げたんですが、そのときにポーンとピアノの音がひとつしました。プラグインの都合で立ち上げたときに続きの音が鳴ります。
その音があまりに綺麗でリアルだったので本来考えていた曲をやめて、ずっとそのまま聴き入ってしまいました。
エレクトリカ系のKido TakahiroのRippleというピアノアンサンブルの曲ですが、音の世界にそのまま吸い込まれたという感触です。幾重にも複雑に重なり合う音が印象的です。

Jan Garbarekとヒリアードアンサンブルの名アルバム、Officiumではヒリアードアンサンブルのコーラスが幾重にも響くようなホールの広がりと背景のヤンガルバレクのサックスが鋭利に静寂を切り裂くさまがまるで眼前に広がるように見えます。そう、聴こえるというより見える感じがします。
ここにはあまり聞いたことがないような奥行き感と、定位を感じる空間表現があります。定位というスピーカーオーディオの言葉を使いましたが、これはおそらくスピーカーオーディオに親しんでいる人にも強くアピールするでしょう。

音や音色がリアルという感じで、楽器の音はそれらしく、ヴォーカルは肉質感あふれています。器楽曲とかヴォーカルものはかなり強力な再現力をもっていて危険な魅力にみちています。
いつも聴くFakieのファンタジーではKeikoさんのヴォーカルがここで聴こえてほしいという適度な距離感をもって、ライブのようにリアルで精彩に歌い上げるようです。

全体に音のバランスが良く、縦にも横にも奥にも高い方にも低い方にもよく伸びてよく広がっているという感じです。周波数的なワイドレンジと立体的な空間表現の豊かさがうまくマッチして独特のHD800の世界を作り上げています。歯切れが気持ちよくスピードがあり、リズムのノリのいい感じでロックにもいい感じです。実際思ったよりポップ・ロック曲をたくさん聴いてしまいました。

解像力が高いというよりもリアルと言いたいと思います。繊細なさざなみのようなSTAXとは違う感覚がある、細かいけれどもダイナミックらしい芯があってシャープでしっかりした音です。
上から下までよく整った統一性のある音で、ゼンハイザー的なウォーム感は控えめではあると思います。上から来たものをそのまま下に流すようなピュアな再現です。少しだけWaonなど96/24のソースも聴いてみましたが、まさに息を呑むような再現力があります。上流にこうした良いソースを持っている人には特にお勧めです。
ただ冷たいとか分析的というのではなく、なにか音楽に引き込まれる魅力があるのはゼンハイザーらしい良さです。

懸念としては少し高域にきつめのブライト感があるけれどもSONYのヘッドホンのように刺さるわけではない程度です。また低域はタイトで質感があり質はよいんですが、少し軽めに感じられるところは好みを分けるかもしれません。ただバランスが悪いとは感じません。

いずれにせよいままでのは箱から出してから数時間程度のコメントです。これからがちょっと楽しみですね。

ヘッドホンショウで聴いたときはハイスピード・フラット・ニュートラルとEdition8とイメージが重なって聴こえたんですが、こうして聴いてみると両者違う魅力を持っていることに気がつきます。もちろんオープンとクローズの差はあるけれども、キャラクター的ななにかですね。


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ケーブルについてはEdition8とは違いこちらはバランスのリケーブル前提なんですが、いま考えているのはHD800のハイスピードキャラクターを推し進める方向でApuresoundのV3を使うか、キャラクターの特性を調整する方向でMoon AudioのBlackDragonか、どちらかを考えてます。
いまは後者に傾いてますが、Drewさんに聞いてみるとBlackDragonはPlugに対してちょっと太いということです。まあEdition7を頼むときもそういわれたのを無理を言ってやってもらったのではありますが、、
いずれにせよDrewさんはまだプラグを入荷できてないようです。


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このようにHD800で特徴的なのはまずワイドレンジとクリーンでリアルな音再現、そして音場の広さ、立体感、奥行き感です。
どうしてこんな音がでるのか不思議ですが、この音を生み出したHD800の特徴について考えてみたいと思います。

*リングラジエーター

まずHD 800で特徴的なのはリングラジエーターと呼ばれる大口径のドーナッツ型のドライバーです。
カタログにはスプリアス振動を抑えたとありますが、スプリアス(spurious)は偽のとか誤ったという意味ですので、本来は不要なものとか意図しない振動と言うことです。
HD800の振動板はドーナッツ状なので、直径は確かに大きいんですが、面積は大きく増えてないようにも思えます。

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なぜリング状なのかということを少し考えて見ましょう。
ここで逆に中がドーナッツのように中空ではなく普通のダイアフラムのように詰まっていると仮定します。このほうが面積が大きいので無駄なくよいように思えますが、その中の部分は直径が大きくなるほど振動の基点であるコイルのところからの距離が長くなってしまいます。すると振動が始点であるコイルのところから徐々に中に向かって伝播していくと、ダイアフラムの物性的な剛性によって振動の周波数が基点と異なりやすくなります。中まで正しく伝わらないで、たわみやすいということです。これは分割振動と呼ばれますが、高域で顕著です。
ところが中を中空にすれば、こうしたことがおきにくいまま、ダイヤフラムを大きく、マグネットやコイルを大型化することが可能です。低域では面積が大きい方が有利ですが、サブウーファーに見られるように振幅(excursion)を深くすることでも同様に低域に必要な空気のマスを大きく動かすことができます。ここでは大型化したマグネットが有利に働いていることでしょう。
つまり中空にしたことにより高域のゆがみが減り、大型化したマグネットにより低域も豊かになっているということなのではないかと思います。
これが驚異的なワイドレンジを得ている理由のひとつでしょう。スペックの6Hz-51kHzは-10dBですからあんまり現実的な数値ではありませんが、スピーカーでよく使われる-3dB(聴覚上半分)でも14Hz-44kHzと驚異的にワイドレンジです。
また音の歪み感のないクリーンさもこれによっているように思います。これがリアルな音再現の秘密のようにも思います。

*傾けたドライバーの設置

もうひとつはドライバーを傾けて外耳にあたる角度をつけているということです。立体感や音場生成に寄与するでしょう。
これはUltrasoneのS-Logicを意識しているようにおもえますが、ハイエンドのHD800自体もEdition7/9の成功に刺激されたということもありそうに思えます。

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*ドイツ製であるということ

HD800のポイントのひとつは誇らしげに書かれている"Made in Germany"です。
いかに設計がよくても製作が雑では品質の高さは達成できません。この音の上質さを考えるにこれは十分納得できます。

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いまでは"Made in Germany"というのはひとつのステータスでさえあります。
しかし、19世紀にさかのぼると世界的に品質の高さをうたわれていたのは産業革命を成功させたイギリス製品でした。
1876年に開かれた万国博覧会のときにはまだ「ドイツ製」というのは安かろう悪かろうの代名詞であったということです。そこでドイツ製品はそれをなるべく隠すように英国製らしく装っていたそうです。そのためドイツ製品はイギリスから"Made in Germany"と明記するように求められてしまいました。実はこれが"Made in Germany"の始まりであるといわれています。
その後ドイツはマイスター制度を軸に工業立国を果たし、20世紀の高品質の象徴としていまの地位を得ます。
ブランドは作られるものであり、生得権のようなものではありません。"Made in Germany"は楽して得たものではなく、こうした歴史があります。だからこそ、価値があるわけです。

わたしはカメラではライカM6をも使っていました。
60年代にはカメラはレンジファインダーという形式で光学的にファインダーで距離を計測してピントあわせしていましたが、そのファインダー製作にはかなり高い工作精度が求められました。日本は当時カメラ技術でドイツを追いかけていましたが、M6の始祖であるライカM3のあまりの高精度なファインダーの品質の高さに日本勢はレンジファインダーを真似るのをあきらめざるをえませんでした。そしてもっと生産が楽で精度が要求されない一眼レフという新しいタイプのカメラの開発に注力し、これがその後の明暗を分けました。
しかしそのライカでさえ大半がポルトガルで製作された後に最後にドイツで組みたてられて"Made in Germany"と刻印されるいまの時代に、全部ドイツの本社工場で作るというゼンハイザーのこだわりはたいしたものです。
こうしたこだわりが、メーカーとしての矜持を感じさせます。


本当はHD650と比較試聴した方が記事が書きやすいと思って、HD650を用意していたんですがやめました。それほど独特な音表現がHD800にはあります。
価格差からHD800がHD650の3倍とか4倍いいのかと揶揄する声もあるかもしれませんが、HD650が何個あってもHD800の音にはなりません。また、両者は別のものであるとも言えます。
そうした点ではHD700ではなく、HD800という少し離れた名前の意味を音楽を聴きながらふと考えていました。
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2009年07月01日

Sennheiser HD800発売!

いよいよ日本でもHD800が発売されました。
http://avic.livedoor.biz/archives/51233253.html

わたしもなんかいろいろ頼んでいたわりにはあんまり届いてなかったんですが、7月からやっとすこしずつ解消されそうです。
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2009年03月16日

HD800の生産工程

Headfiのポストにありましたが、下記リンクで英国CnetのレポートでHD800の生産工程があります。

http://crave.cnet.co.uk/accessories/0,39101000,49301532-1,00.htm

パーツは他の会社で作られているものもありますが、最終生産はドイツ本国であくまで手作りで行われているようです。注目点としてハンドメイドのため生産量はそれほど多くはないようです。

また下記リンクにCnetがテストレビューした記事も載っています。LehmannのBlack Cube Linearが使われてますね。

http://crave.cnet.co.uk/accessories/0,39101000,49301485-1,00.htm

これを見るにかなり性能は高いようです。透明感とか開放感、解像力とか性能的な面では強みを発揮しそうです。この点で味系を少し重視しているように見えるPS1000とは対照的かもしれません。またEdition8/9あたりを意識しているというのはあるかもしれません。

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2009年03月15日

ゼンハイザーHD800正式デビュー

Philewebの記事に出ていますが、先週HD800のプレス発表イベントがありました。
アメリカではHeadfi関係の活躍があって先行でかなり進んでいますが、正式にはこちらがHD800の世界デビューとなります。
そのため日本であまり話を聞かないといって、日本が忘れられているわけではありません。

http://www.phileweb.com/news/d-av/200903/13/23216.html

記事を読んでも日本での発表が楽しみです。
今度はこれをつけてもら.. こほん(笑
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2009年01月13日

HD800とMoon audio

Moon audioのDrewさんのところでも、HD800のアナウンスが載っていました。DrewさんはHeadroomのTyllさんといっしょにJudeさんとこの写真に載ってました。
わたしは基本的にバランスでいきますので、バランスのBlackDragon版ケーブルなどがでたらうれしいですね。HD800のプラグ形状が特殊なので、交換ケーブルはどうなるかわからないのが微妙なところではあります。
ただバランス版の交換ケーブルとHD800もあわせるとお高くなりますね。まさに「ゼンゲバ」(笑)。
ゼンのためならなんでもするズラ。
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2009年01月12日

CES 2009 (5)

Sennheiser HD800
http://blog.stereophile.com/ces2009/worlds_finest_headphones/
StreophileのCESレポートでもHD800が取り上げられていました。他に比べてもかなりの量で書いています。
HD650と比べてナチュラルでスムーズ、楽器や声の再現性も高く、ダイナミックで空気感の再現もよいとなかなか高評価です。歪み感やきつさもなく、Benchmark DAC1で聴いていたようですが(この人はDAC1が好きではないにもかかわらず)オーケストラの緊張感はハイエンドスピーカーでも聞いたことがない、とかなり高評価です。Streophileのレビュアーが書いているんだから、なかなか興味深いですね(ちなみに主筆のJohn AtkinsonはDAC1好きです)。
またケーブルはOFCですが銀皮膜されているようです。スピード感のある一因はケーブルかもしれませんね。
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2009年01月11日

HD800続報

HeadFiにCESで聴いてきた人のレポートがいくつかポストされてきましたが、音場の広がりがすごいということと、音が高域よりで低域は量感はさほどでもなさそうですね。ただ全体にかなりフラットということなのでしょう。それでスピード感があるというと...ふむ、これはちょっと面白いことになるかも。
また、HD650とも音の印象は大きく違わないというポストもあるのでゼンハイザーっぽいところはキープしているけれども、いわゆるベールの感じはないということのようです。
あと装着感もかなり改善されているようですね。

それと前の記事でちらっと書きましたが、以前リークした中国経由の画像はこちらです。
http://www.head-fi.org/forums/f4/pic-hd-800-a-277163/
しかし、これはありえんなーとか思ってたのが本当になるとは(笑)
そうしてみると、このHD800用のアンプも発売する、という方の書き込みも本当なのだろうか??
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2009年01月09日

ゼンハイザーHD800登場

いよいよというか、ゼンハイザーの新フラッグシップ、HD800が発表されたようです。

下記にHeadfi管理者のJudeさんの記事が載っています。
http://www.head-fi.org/forums/f4/sennheiser-hd-800-first-listen-first-review-398829/

これ、以前に某国経由で流出していた画像と同じですね。Photoshopかと思っていたら本物のリーク画像だったようです。

Crafted for perfection
完璧、というのがHD800の目標ということです。

Good enough was never good enough
これで十分、は十分足りえなかった。
とカタログにも記されています。

Judeさんはダイナミックドライバーのパラダイムシフトとまで言ってますので、音場にしろ解像力にしろ、性能はかなり高いようです。
新型のリング・ラジエーター・ドライバーというのを使っているようですが、カタログを見るとドライバー自体がリングのようになっているようですね。振動板とマグネットもリングの形をしているので、一種の平面ドライバーのようです。HD800がプラナーであるというのも冗談半分でうわさされていたことなのでこれも驚きです。まさに都市伝説がそのまま形になって出て来たようです。

ただしカタログを見てもらうと分かりますが、完全な平面ドライバーではなく、ダイアフラムがマグネットにサポートされるようになっているので、あくまで振動は面支持ではなく点支持といえると思います。ただリング状なゆえに分割振動にいたるような長い振幅を持たないので、分割振動を起こしにくいということのようです。そのため50KHzなんていうとてつもない高域の周波数特性を持っています。
つまり点支持の従来のドライバと面支持の平面型の折衷であり、線支持と言えるような新しい形と言えます。リング状の平面ドライバーにすることでより効率よくきれいな音の発生ができるようです。
ホームページではエジソンを引き合いに出していますが、たしかにこれはアイデアものかもしれません。

また一部には高性能をうたったEdition7/9の影響というのもあると思います。カタログを見ると60度のアングルを理想として(スピーカーセッティングの正三角)アングルをつけているところはS-Logicを思わせます。
Judeさんのところの写真を見るとケーブルのコネクタも実にしっかりしています。ちなみに写真に写っているのはHeadroomのTyllさんとMoon audioのDrewさんです。BlackDragonのHD800版は期待できるかも!
http://www.head-fi.org/forums/f77/my-first-look-sennheiser-hd800-399241/#post5262167
Tyllさんは音の早さ、歯切れの良さを書いています。従来のHD650のような音とは異なるようですね。

これはちょっと驚きですね。早く音が聴きたいものです。Amazonにももう出ていますが$1399とタグが付いています。
しかしHD680というのがアナウンスされていましたが、フェイクだったようですね。単なるタイポだったりして。
でもHD700はどこへ行った?ポータブルとか(^^
posted by ささき at 21:48 | TrackBack(0) | __→ Senn HD800 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする