Edition8を聴くことができましたので、ファーストインプレを書きます。ただしそれほど長い時間使ったわけではありませんので暫定的な感想です。また、最終版とは音が異なるかもしれません、念のため。

比較にはポータブル用途のモデルとしては高い性能を持ったオーテクのESW10と、フルサイズとしてW2002と比べました。JPN比べというわけではありませんが、実質的にフルサイズはほとんどバランスでリケーブルにしているので、そのままのこしているというとW2002になってしまいます。
E8の外観と装着感金属を多用したアームやハウジングなどかなり高級感があり、Edition7/9の不満が解消されて価格相応の高級感があります。長さ調整のクリック間も適度で、金属のクリック感なのが良い感触だと思います。

ただしできればESW9/10のようにハウジングを90度回転させるくらいたためないとポータブルとしてはややかさばると思います。(Edition7/9ではアームが折りたためるので)
締め付けは適度できつすぎず良いと思います。装着感もハウジングに金属が多いことを考えるとかなり軽い気がします。
Edition 8の音まずばっと聴いて感じるのは音にスピード感があって、早く切れが良いことです。そして全体的にタイトで締りがよく、全域できちんとコントロールされている感じがします。
また低域が充実しているところはE9を思わせますが、E7/9ではよく言われた低域過多で低域が突出しているという印象はなく、タイトでパンチがあるという感じがするので、上から下まで帯域にわたってより洗練されたというか、E7/9を見て改良させたという感じがします。
このように音自体はE7/9系を思わせるけれどもまったく同じではないと思います。癖の強さを強調することなく、音のタイトさと歯切れの良さを基調とした全体のまとまりはよりよくなっているように思います。
低い方もかなり出ていて、100Hzと50Hzがほぼ同じくらいで、40Hzくらいから下は急峻に落ち始めるけれどもハイクラスのW2002と比べても遜色ないというよりも、少し良いくらいの低域のフラットさとレスポンスのよさはあります。
高域はかなりシャープでベルの音もかなりリアルに感じられますが、バーンインもあるかもしれませんが、少しきつめに感じられることもあります。
E8 vs ESW10次にESW10と比較してみます。
ESW10と比べるとE8の方がかなり透明感が高く、音の見通しが良いので何枚かベールをはいだように明瞭でクリアに聞こえます。これはわずかな差ではなく、だれが聴いても明らかなくらい違います。
全体にやや能率が低めであるという気はするので、それなりのアンプは必要かもしれません。ポータブルだとiQubeやSR71Aのようにハイパワーで音場が広いアンプと組み合わせると印象的です。
S-Logicのせいか音の広がりが印象的で、空間表現が自然です。
ポータブルアンプでオーテクのESW10と比べると明らかに一レベル以上の格の違いがあります。
SR71だとある意味アンプの甘いウォーム感がESW10をいくぶんカバーしてくれているが、HiFiなiQubeとあわせるとESW10とE8の差は歴然とする感じです。おなじ曲をESW10でかけるとがちゃがちゃと聴こえ余裕がなく聴こえます。
特に高性能のiQubeとあわせるとEdition8にはちょっと驚かされます、とてもポータブルで聴いているとは思えないという感じです。iQubeとは特によくあうように思います。
ESW10とE8の差はホーム用のより高性能なアンプで聴くとより顕著に分かります。
あらためて気がつかされましたが、ESW10はあくまでiPodをソースとしたポータブル環境で使うヘッドホンとしてはとてもよいけれども、より高性能のソースから取れるホーム用としては物足りないところがあります。一方でEdition8はホーム用としても十分に耐えられます、というよりもホーム用の音そのもので、しかもホーム用としてもハイエンド機と言えると思います。それは次のW2002との比較でより明白になります。
E8 vs W2002ESW10とはちょっと格が違うので、次にホーム用のフルサイズヘッドホン、W2002と比べてみました。限定品の意地をかけてのJapanモデルのリベンジでもありますね。
しかしポータブルよりも力のあるホームアンプで比べてもやはりW2002よりEdition8の方がクリアで、ひとつひとつの音の明瞭さが際だっています。かつ音はタイトでより明確な歯切れの良さを感じます。これはかなりはっきりとした差です。
W2002もオーテクではわりと音が制御されているほうだと思いますが、Edition8の方がスピード感もありシャープです。音楽のテンポの刻みもEdition8だと歯切れよく小気味良いですが、W2002だとややもったりとしています。
また、比べてみないとそうは感じませが、W2002はEdition8と比べると楽器が複雑に入り組んだアンサンブルでやや音が団子に感じます。
中高域はEdition8はシンバルやヴァイオリンの音、ピアノの音は贅肉がなくかなりリアルに聞こえます。かっちりと締まっているだけではなく、鮮やかに質感を描き出す解像力もあると思います。
とくに音のエッジの切れが印象的ですが、ここはW2002にはないところです。ヴォーカルを聴いてもW2002ではやや不要な膨らみを感じます。
一方でE8は高い方にやや強調感があって、システムを工夫しないときつめな音になる可能性があると思います。といっても高い方に寄っているわけではなく、低い方の再現力も高く、かなり低く沈み低域もタイトです。ベースのピチカートはかなり気持ちが良く、低域の弦を弾くというより跳ねる感覚がかなりリアルです。W2002は量感はあるけれどもあまりタイトではなく、弦をはじく音がややあいまいです。
測定してみないと分からないけれども、W2002と比べると高い方も低い方もかなりフラットに伸びている気がします。
ただしハウジングの大きさからかW2002の方がやや音場は広く感じます。ただしEdition8に比べるとW2002は散漫な感じもあります。E8はS-Logicの効果もあるのか、耳からの距離感が適度で自然な気がします。
たとえていうとW2002はラグジュアリーカーで、Edition8はポルシェとかロータスという感じでしょうか。E8の方が機微で加速も早くハンドリングもクイック、ワインディングでは大きく差が付くし、高速のスピード勝負でも負けないでしょう。ただW2002の方もそこまでの機敏さはなくてもそれなりに高性能で、ゆったりとした良さがあり落ち着いて楽しめるでしょう。
あえてリケーブルしたEdition7と比べるとさすがにもう一枚ベールをとる余地はあると思います。そこはハイエンドとは言えさすがに販売価格の3・4割もケーブル代で占めるようなカスタム品のようなわけにはいかないでしょう。
まあこれは逆に言えば買ってからまだ楽しめる余地が残っているということでしょうか(^.^