Music TO GO!

2009年06月29日

LINN Numerik SPS

メインのオーディオシステムとしてはしばらくCDプレーヤーのLINN IKEMIをソース機器として使っていましたが、iTransportなど外部からのソースに対応するためにDACを導入することにしました。DLIIIなんかもありますが、過去にいろいろとやった経験からLINNの機材は一個でも外すとLINNの音にならないというのを学んだので、DACもLINNにすることにしました。
NUMERIKです。

numerik1.jpg


これでうちの90年代LINNサウンドを核にしたシステムはこうなりました。
iTransport(NeutronStar mod) -> LINN NUMERIK(DAC) -> LINN KAIRN(Pre) -> LINN Krout(Pwr) -> Dynaudio SP25
まさに当時のQE2のシステムにまた一歩近づきました。

LINNは総合オーディオメーカーではありますが、アナログプレーヤーのLP12で成功した会社なのでソース機器にはひとしおの思い入れがあると思います。
そこでなかなか当初はCDプレーヤーを出さなかったんですが、満を期して出したCDプレーヤー、というよりシステムがこのDACのNumerikとCDトランスポートのKarikです。90年代初頭のことです。
Numerikについて詳しくはさまざまなタイプをテストした記事がStereophileにあり、とても参考になります。
http://www.stereophile.com/cdplayers/930/index.html

このリリースにあたり、LINNはアナログにはなかったクロックとジッターという課題に対してある回答を用意していました。
このKarikとNumerikの画期的な点は、民生機としては初めてマスタースレイブという方式を導入したことです。

*マスター・スレイブ方式とSPDIF

マスター・スレイブ方式はDAC側(Numerik)のクロックをsyncケーブルを通して、トランスポート(Karik)に送るということです。トランスポート側は自分のクロックではなく、送られてくるDACのクロックを使用します。
この方式の利点はより精度の高いDACのクロックを利用できると説明されることもありますが、実はもっと本質的な問題があります。それは精度というよりもむしろ、DACとトランスポートで同一のクロック(タイミング)を保証できるということです。
これはSPDIFというデジタル伝送方式そのものに内在するクロックリカバリーという問題に起因します。

デジタル機器とはデジタルデータを扱う機器というよりはむしろクロックにより回路の動作が制御される機器と言ったほうがよいかもしれません。DACは独立したデジタル機器として送出側とは別な固有のクロックを使います。
デジタル(PCM)信号と言うのはどういうタイミングで区切ったかという情報(クロック)と、そのタイミングでの大きさはいくらだったか(ワードデータ)という情報(および付加情報)からなります。機器間で同じものをリレーしていかないとタレントがTVでよくやる変な伝言ゲームみたいに中身がずれていきます。それを確実にするには本来はクロック情報とデータは別に送るべきです。

しかし古いSPDIF規格においてはクロックを別に伝送するのではなく中にタイミングとして埋め込まれて(エンコードされて)います。これを主にPLLなどを使って同期(ロック)し、それをリカバリーしてクロックを掘り起こすという手間が入ります。その際にジッターが入り込む余地が大きいというわけです。
つまり別に送ってないことで、直接的にはっきり言わないで間接的にジェスチャーで伝えているようなものです。それで伝言ゲームのようにぴったりではなく、似たような近いが違ったものになりえます。これをジッターの問題と読み替えてもいいかもしれません。

numerik3.jpg

マスタースレイブとはそれを防ぐために強制的にDAC(自分・マスター)のクロックをトランスポートに使用させます。つまり掘り起こすことなく、自分のクロックがトランスポートから送出されるクロックであるという保証が得られるという簡単で効果的な解決方法です。
上の写真ではデジタル入力(BNC)の右にある端子がSync端子で、KARIKだけではなくIKEMIも対応しています。Syncケーブルは通常のRCAアンバランス(通称LINNの黒)を使います。

この辺は古きをたずねて新しきを知る、というのにも通じるかもしれません。

*NUMERIKのタイプ

Numerikにはいくつかタイプがあります。大きく分けると、もっとも初期のタイプ(PCM63)、DACチップが変更されたタイプ(PCM1702)、スイッチング電源(SPS)になったタイプです。スイッチング電源のものはいくつかさらにタイプがあります。
これはIKEMI/KARIN PRO同等のスリムライン電源搭載の最終タイプで、ちょっとだけレアです。(シリアル4000-)
Streophileなんかのレビューを見ると上の二番目のもの(スイッチング電源ではないPCM1702のタイプ)が一番評価がよくないので、性能を取るときはSPS以降、味を取るなら一番初期モデルということのようです。

numerik2.jpg

*NUMERIK SPSの音

「古きワインを新しい器に」というのはプラスでもマイナスでも使われることわざなのですが、このiTransport+Numerikの組み合わせでもいえるかもしれません。
より細かい埋もれている音の抽出とか、先鋭さ、音の分離・定位などはIKEMIよりも向上して、端正な歪み感のなさなどは一ランク上を感じさせます。ただLINNっぽい滑らかさはありますが、まだ90年代LINNと現代配信ソースの音のマッチングは想定ほどうまくかみ合ってないようにも思います。
この辺がこうしたオーディオシステムの難しいところなんですが、もうすこし練りこみが必要です。

ただ古いアンプはどうしても電源オンからの立ち上がりが遅いので週末で時間のあるときくらいしかゆっくりと使えません。先に書いたようにIKEMIもSync端子を装備していて、マスタースレイブ運用はKARIKではなくIKEMIでも可能なのでその辺もまたおいおいと、まあゆっくりと使っていこうと思います。
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2009年01月31日

KIMBER KABLE KS-1010とKCAG

少し前にPCシステム用にKIMBERのHEROを買いました。いままでKIMBERはあまり手を出していなかったんですが、使ってみるとたしかにKIMBERの風評である抜けの良さとか広がりの良さというのがよく感じられます。
そこで、ためしにHEROをメインシステムのCDPのIKEMIとプリのKAIRNの間に使ってみると、これもなかなか良い感じです。ただHEROでは少し粗さが残るので、メインのシステムにはもの足りません。そこでこの機会にKIMBERを試してみようということで、KIMBERでいうと上の下、というくらいの格のOFC系としてSelect KS-1010と銀線では有名なKCAGを中古で探してみました。
双方ともプレミアクラスなので立派なボックスに入っています。


KIMBER Select KS-1010 (RCA)

kimber1a.jpg

KIMBERのケーブルは大きく分けて銅のみを使ったもの、銀のみを使ったもの、銅と銀をミックス(GNDと信号線で分ける)したものに大別できます。KS-1010はSelectと呼ばれるプレミアムクラスで銅のみをベースにしたものです。

こちらは工具箱のようなケースに入っています。セレクトシリーズはケーブルを木製のタグ(スタビライザー?)でつないでますが、この裏に方向指示があります。
ちなみにケーブルの中古を買うと方向性に迷うことがあります。方向指示の矢印があればよいのですが、矢印がない場合はケーブルに印刷されているロゴ文字の印刷方向を見て、文字列の頭が来る方が一般に上琉だそうです。
これも分からないときは両方聴いてみて高域が伸びる方が正しい方向だそうですが、この辺になるとよく分かりません。バランスの場合はオスメスがプラグで決まっているので迷う必要はありません。

KS-1010はCDPのIKEMIとプリのKAIRNの間に使いました。ちなみにプリとパワーの間はAudioQuestのAnacondaです。
KS-1010はわりと高価な方のケーブルにしてはかなり味系のところがあって、こうしたケーブルはソースとプリの間で力を発揮すると思います。

HEROに比べると音の豊かさという点で、少しやせていたHEROよりも艶やかで芳醇に聞こえます。HEROよりもややウォーム調でより響きを際立たせるところがあり、美音調です。リファレンス的ではなく味付けをするタイプですが、これがよくLINNに合います。

また独特の音の広がりの豊かさがあり、SP25のスケール感や低域の深さもよく引き出します。フロアタイプもいいかなと思っていたけど、これならブックシェルフでも十分という気がしますね。

このシステムではたゆたうような、音楽に酔わせてくれる、柔らかく音楽的な表現というのがしっくりきます。
聴き手の心をつかむのがうまい歌手が抑揚をつけて情念を込めて歌うようにLINNとSP25は歌います。
Dynaudioというと正確系というイメージもあったりしますが、このSP25はちょっと別で、十分な性能とともに暖かみのある甘さを兼ね備えていて、LINNとあうという点はそのへんです。
前にうちのプリのKARINのレビューを見るために古いオーディオ誌を見ていたところ、真空管で有名な上杉氏がKAIRNに高評価を与えていたのをみて妙に納得した覚えがあります。
KS-1010はよくこのシステムのシナジーを引き出してくれると思います。

こうなってくるとあんまり分析的な言葉を弄してもかえって正確ではないという気がします。客観的にどうこうというよりも、同じ曲を聴きなおしてまた感動したというのが率直なところですね。


KIMBER KCAG (XLR)

kimber1b.jpg

KCAGは純銀製ケーブルの代名詞的な存在で、ながらくStereophile誌などの純銀線のリファレンスのひとつといわれていたケーブルです。
みるからにジュエリーボックスのようなスエード調の箱に入っています。

このバランスバージョンのKCAGはDACのPS AudioのDLIIIとSTAXの007tAの間に使いました。

銀らしい透明感と解像感を味わえるという反面でややきつめというレビューもよくみますが、しかし実際に使ってみるとそう痛いわけではありません。
たしかに曲やレコーディングによってはブライトさを感じることがありますが、そういつも感じるわけではないと思います。
この辺は真空管ハイブリッドの007tAを使っている関係にもよるかもしれません。特にOmega2とあわせて流して聴いていると以外と普通に聞ける感じです。ただし404と717などを組み合わせていると、ちょっとどうでしょうか。

そうした懸念をふっきれば、まさに抜けるような透明感があじわえます。
低域が出ないわけではなく、かえって前のオーディオクエストのケーブルよりも低い方まで出ます。
ただ強調感がないという感じですね。おとなしめかというと、そうではなく十分なダイナミックさがあります。

STAXではOmega2、旧STAXのLamda Nove Signature、Sigma Proで比較してみました。
このKCAGはそれぞれの個性の違いを大きく際立たせます。Lamdaのタイトさとシャープさ、Sigmaの独特の音場感、そしてOmegaIIの持つ音楽表現力の豊かさです。
一番銀線らしさが際だつのはLamdaで、Lamdaらしい音のタイトさとシャープさはいっそう際立ちます。Lamdaだと器楽曲はすばらしくシャープでスピード感があります。
OmegaIIが一番普通に銀線と意識しません。Omega2のもつ音楽的な豊かさと包容感をよく引き出します。
Sigma Proも少し銀線らしさはやや控えめになりますが、抜けていく透明な空間表現は前方に配置されたユニットを持ったSigmaならではです。


音の柔らかさと解像力・タイトさを両立させる手として、石のアンプと銅線を組み合わせるという方法と、真空管と銀線を合わせるという両方がありますが、組み合わせの妙というのをなかなか考えさせられます。
posted by ささき at 22:50 | TrackBack(0) | __→ LINN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月02日

LINN Majik DSとDSシリーズクロスレビュー

LINNのDSシリーズの最後のラインナップの穴を埋める機種として待望のMAJIK DSがいよいよ発売されました。価格は約45万ほどですので、Akurate DSの半分位で、約30万くらいのSneaky DSと比べても大きく違わないのでかなり戦略的な価格設定です。
Sneakyはアンプなどが内蔵されていますので単純比較はできませんが、そうした意味ではDSシリーズの真の普及機と言えます。
わたしがはじめてLINN機材を買ったのがプリメインアンプのMajikですが、いまでは機種名というよりもグレードを表すブランド名として使われています。最後の文字がMagicではなくMajikとわざとcとkを変えてなまっているのがスコットランドのLINNの遊び心です。

以前LINN銀座ショールームに行ったおりに試聴をお願いしていたところ、到着したとの連絡をもらい、さっそく行って試聴をさせてもらいました。

LINN銀座のホームページ
http://www.linn-ginza.jp/

LINN銀座の試聴機は下記のとおりです。

majikds2.jpg

プレーヤー
Senaky DS、Majik DS、Akurate DS
Akurate CD

プリアンプ
Majik Control

パワーアンプ
Majik 2100
(以前のC2100とほぼ同等でチャクラ回路搭載)

スピーカー
Akurate 212

試聴曲はDSシステムなのでHD(NAS)に入っている曲を基本的には聴かせてもらいます。(CDクオリティで聴きました)
この前行った時にジャズの試聴盤としてLINNレコードのAmbulanceというバンドはありませんか、とリクエストしたところその時はなかったんですが、今回はきちんとそれを覚えていてくれて曲をNASにいれて聞けるようにしていてくれました。LINN銀座の方はこうしたところが親切です。

Arnie Somogyi's Ambulance "Accident and Insurgency"
http://www.linnrecords.com/recording-accident-and-insurgency.aspx

それとヴォーカルものとしてはジャズと言って良いのか異色のミュージシャンですが、やはりLINNレコードのBarb Jungr(バーブ・ヤンガー)というヴォーカリストの最新アルバムをやはりRIPしてくれました。
こちらの方はダウンロードでも買っていたんですが、今日は来たついでにCDも買ってしまいました。

Barb Jungr "Just like a woman - hymn to Nina"
http://www.linnrecords.com/recording-Just-like-a-woman-hymn-to-Nina.aspx

このふたつのアルバムはとてもお勧めです。(上記リンクで試聴が出来ます)
上記サイトではダウンロードで買えますが、LINN銀座にいけば直接買えるCDもあります。

試聴はアンプ・スピーカーは固定してプレーヤーをSneaky,Majik,Akurateの順でつなぎかえて行きました。すべてアナログアウトから出力を取り、デジタルストリーム・DACとしての運用です。

以下の写真では一番上が各DSプレーヤーで、真ん中はmajik Control、下はAkurate CD(今回未使用)です。

majikds5.jpg
Sneaky DS

Senakyも一体型という点や価格的なものからするとよくまとまっていて、Ambulanceのスピード感ある演奏を小気味良く再現します。
解像力的なものも文句ないと思います。

majikds4.jpg
MAJIK DS

Majik DSは大きさと形はほとんどAkurate DSと同じです。特にMajikはデジタルアウトも装備されていますのでトランスポートとしても使えます。またアナログの可変出力も可能です。

Majikに変えると空間表現に余裕のような物が感じられ、Ambulanceの演奏では楽器の音がよりリアルに聴こえ、Barb Jungerのヴォーカルはより肉質感が高くなります。ベースのピチカートはより締まって歯切れ良く、IKEMIの感覚に近いものを感じます。
ただ届いたばかりと言うことでエージングがないせいかやや伸びに欠ける感じもしました。ちなみにMajik DSは届いたばかりということです。

majikds1.jpg
Akurate DS

次にAkurate DSです。
大きな性能的な違いと言うよりは細部のニュアンスがAkurateではよりスムーズで角の取れた柔らか味を感じます。より静粛感があるともいえるかもしれません。
Majikは比べるとやや硬めですが、Majikは先鋭的というプラスの言い方もできるようにも思います。ここはエージングの違いもあるとは思いますが、キャラクターの差としても残ると思います。


DSファミリーの中ではAkurate DSがオーディオ的な意味では一番洗練されているようにも思いますが、Majik DSとAkurate DSは、性能の差というよりは個性の差に近いように思えます。

たとえて言うと似たような演奏レベルだけれども、Akurate DSはベテランでより洗練された音楽表現を聴かす老練なミュージシャン、Majik DSはちょっと粗削りだけれどもその分で鮮鋭感も感じられる若いミュージシャン、という感じでしょうか。

Majik DSはアナログ回路と電源はAkurate DSとほぼ同じで、デジタルのレシーバー部がSneaky DSと共通だそうです。つまりAkurate DSとSneaky DSの混在的なものですが、アナログ回路の多くがAkurateと共通だとするとかなりコストパフォーマンスは高いと言うことになります。

こうしてみるとAkurate DSと差はないとはいえないけれども、かなりMajik DSはお得だと思います。デジタルアウトつき、回路もほぼAkurateと同じ、音も実際に良い、価格はお手頃というかなり魅力的なモデルです。今回はCDクオリティでしたが、これがスタジオクオリティの96k/24bitデータだったら、、と考えるとわたしもかなり気持ちは傾いて買いたいモードに入って来ました。

majikds3.jpg
NOKIAのコントロール端末(LINN GUI画面)

今回はNOKIAの端末からコントロールを行いましたが、あとはiPhoneからコントロールができるようになったら面白いところです。
ついでにiPhoneをNASにみたててストリーム再生できるようになると、iPhone内部の音楽だけでなく、インターネットからも直接再生できます。アプリ次第で可能性は大きく広がりそうです。
オーディオの世界はCDが出た時にデジタル化は済んだと思われていますが、本当のデジタル化はまだまだ今から始まるという予感がしてきました。
posted by ささき at 20:12| Comment(1) | TrackBack(0) | __→ LINN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月30日

LINNの"The Source"マガジンとSneaky Music DS

LINN(英国本国版)のメールマガジンによると"The source"マガジンの電子版が創刊されたとのこと。もともと印刷で出していたようですが、今号からオンライン版に切り替わります。下記リンクです。
http://thesource.linn.co.uk/

表紙にもちょっと書いていますが、LINNはいまでは総合オーディオ機器メーカーのように見えます、しかしもともとはLP12からはじまったプレーヤーのメーカーなので特にソース機器にはこだわりがあると思います。内容はDSの紹介記事がほとんどです。

また、ホームページ上にSneaky music DSの情報もいくつか公開されています。
http://www.linn.co.uk/sneaky_music_ds
マニュアルもありますが、基本的にはLINN GUIの使用説明が主です。
背面の写真をみるとスピーカー端子とともにデジタルアウト、アナログアウトもあるようです。もしかして、価格差別化のためにDACとしての使用はできないのではないかとも思っていましたが、これでトランスポートとしてもDACとしても使えますのでひと安心です。縦でも横でも置ける薄型の筺体が斬新です。

LINNのメールマガジンのSneaky Music DSのところには"We have a sneaky solution."と書かれています。
Sneakは「ひっそり、こっそり」という意味で日本語だと「忍び足」のような意味になります。その形容詞系なのでおそらくHDもCDも内蔵していない「静か、静粛」という意味を持たせていると思います。また、Sneakはこっそりなにかやるというような意味もありますが、薄い筺体とともに、仰々しいオーディオ機器ではなくさりげない存在としてリビングにあるといいたいのかもしれません。そのためアンプを内蔵したのでしょう。そうした意味ではLINNの得意な分野だし、Classikの後継とも言えます。

存在を感じさせない、身近にある、という意味ではいわば一時はやったユービキタスみたいな言葉にも近いと思いますが、「ユービキタス(遍在する)」のようなアカデミックな言葉ではなく、「スニーキー」という会話語的であまりポジティブな意味ではなくちょっと汚い言葉を用いることで手軽な、という意味も含めていると思います。LINNはQE2に採用とか英国王室御用達のようなフレーズが前に立ち、音も上品ですけれどもブランド自体が上品なイメージがあります。
しかしダウンロード音楽というと対象は若い人たちが多いので、こうしたカジュアルな売り方を立ててきているように思います。

実際にSneaky music DSは最上位機が294万円のKlimax DSになるLINNのDSプレーヤーシリーズの普及帯モデルです。Sneaky music DSはおそらく20万円台後半から30万前後でしょうか。最近のLINNはラインナップがかなり増えたせいか、ブランド名で価格帯をはっきりとわけているので、おそらくはこの上にMajik DSが来るかもしれません。


ちなみにDSとはDigital Streamの略でストリーム再生を受けるネットワークDACのようなものです。システムはまず有線・無線のLANネットワークが必要で、LAN上にDSとNASとPCとコントローラーを配します。NASはネットワークに特化したハードディスクのサーバーのようなものです。外づけハードディスクとちがって複数のPCから共有ができます。
まずPCでリップ・エンコードしたデータ(主にFLAC)をNASに置きます。DSはNASにアクセスしてデータを取得してDACを行います。アンプなどのオーディオ機器から見るとDACとして見えます。どのファイルを取りに行くかという指示はLINN GUIというソフトを搭載したコントローラーで指示します。コントローラーはハンドヘルドPCのようなものを使うようですがPC上においてもよいと思います。DSはもちろん複数あってもよいでしょう。LINNはKNEKTという独自のマルチルーム・ネットワークがあったのですが、DSシステムには標準プロトコルが採用されています。
ハードディスクトランスポートに比べたこのシステムの利点はDS自体はインターネットに出る必要がなく、CDDBなどの取得やripはPCでやればよいので分業ができ、DS本体はシンプルに無可動部・静音の音質追求の設計ができるということ、HDが外なので陳腐化が少ないなどがあると思います。
はじめの"The source"にLINN創業者のアイヴァーとその息子が自宅に設置されたDSシステムについて語る、と言う対談があります。その中で「他社にも似たようなシステムがあるが、それらはPCの周辺機器をオーディオ機器として磨こうとしている、しかしDSははじめから最後まで精密なオーディオ機器として考えられている」というようなくだりがあります。
結局のところ、いわゆるPCオーディオでも似たようなシステムは組めるけれども、そのコンセプトが一番違うところなのかもしれません。


ところで、ハードディスクトランスポートとしてはOliveも新型になってラインナップが一新されました。
http://www.olive.us/products/opus4.html
こちらはHDを内蔵するものですが、デザインが変わったと共に指示がカラー液晶のタッチパネルからできるようになりました。またリモートでのコントロール指示は以前はNokiaのスマートフォンでしたが、今度はなんとiPhoneからできるようです。またiPhoneのライブラリーを無線で受けてOliveで再生するということもできるようです。
http://www.olive.us/products/opus4_connectivity.html
(iPhone対応は今年後半のようです)

どれが正解とはもちろんいえませんが、デジタルプレーヤーの世界も多彩な形態やコンセプトが出来てきたように思います。
この辺の世界も文字通り静粛ながら、着実に歩を重ねているのかもしれません。
posted by ささき at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | __→ LINN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月17日

週末のオーディオの組み換え

週末にうちのプリをGS-XからLINN KAIRN(ケルン)に戻しました。同時にソースをIKEMIからの直にして、ふたたびオールLINNとなりました。
やはり音はスピーカーで聞くにはこちらの方が素晴らしく、特に空間表現が良くて立体感や少し憂いを持った深みや厚み、音の響きの良さを含めた箱庭的な美しさはやはりLINNサウンドです。

スピーカーのDynaudioはペンで空間に音符を書くようなはっきりした音像再現性など性能面で定評がありますが、欧州的な音の美しさという味系の点も実は優れていると思っていて、わたしはけっこうLINNとDynaudioというのはあうと思っています。
もしスピーカーを変えるとしたらフロア形式のものはいまの部屋では無理なのでまたブックシェルフということになるでしょうね。同じDynaudioでSpecial25よりもハイエンドの音に近いConfidence C1あたりがちょっと気になるところです。
ただ自然とスケール感豊かに鳴るSP25とはC1は違うでしょうから、やはりその場合もアンプ類に手をつけずというわけにはいかなくなるかもしれません。もっとも、今年は30周年記念モデルが出るでしょうから、その辺はまた秋のショウあたりの楽しみです。

* ちなみにKAIRNは逆相出力なので、パワーからのスピーカー接続は+/-を逆に取り付けなければなりません、中古購入されるときの参考まで。
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2006年05月01日

LINNショップ銀座オープン

この週末のもうひとつの話題はLINNのショールームが銀座にオープンしたことです。
http://www.phileweb.com/news/d-av/200604/28/15456.html

場所はプランタンの少し先のところです。
LINNはスコットランドのオーディオメーカーですが、単独のショールームを持つ海外メーカーは少ないと思います。LINNの場合はCDPからスピーカーまで手がける総合メーカーですし、みずから良いアーティストを探すためにLINNレーベルという独自のレコード会社も持っています。

そうした総合的に音楽を捉えているメーカーゆえにこうしたショールームも成り立つといえます。
またLINNは以前から(現)サウンドクリエイトという店を通して日本に紹介されていたのですが、今回のショールームはより一般的な層へ広げるために銀座という土地に出展したということです。

わたしも実際に行ってみました。展示機はハイエンドのものではありませんが、とてもよくセッティングされていて優しく柔らかな音色を奏でていました。
スタッフの方も親切ですので、興味のある方は銀座散歩のついでにでもたずねてみてください。
こちらがホームページです。

http://www.linn-ginza.jp/
posted by ささき at 23:55| Comment(2) | TrackBack(0) | __→ LINN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月06日

LINNの新型CD専用プレーヤーデビュー

わたしのいま使っているLINNのIKEMIが先日ディスコンになったんですが、その後継としてCD専用プレーヤーがデビューしました。MAJIKというのはこれもわたしが以前使っていたプリメインアンプの名前でしたが、中級を意識したものなのでしょう。
いまの時代にSACDとかユニバーサルプレーヤーではなくCD専用機を出してくるところがLINNらしいとはいえます。

http://www.phileweb.com/news/audio/200604/05/6421.html

IKEMIを超えるとうたっていますが、すくなくともトレイを見ると汎用品を使っているようです。メカはGENKIの流用で中身を最新のUNIDISK系のものにしたという感じではないでしょうか。IKEMIをやめたときはさすがにCD専用では売れなくなってきたのかと思いましたが、またCD専用機を出したところを見るとおそらくIKEMIのLINN独自のメカがパーツかなんかの都合で供給できなくなったというところでしょうか。
こうしたそれなりの価格のCD専用機を出してきたということは、少なくともワールドワイドではCD専用機に対する需要があるということなのでしょう。

アンプのMAJIK 2100はC-LINEっぽいのでこちらがちょっと気になります。
posted by ささき at 09:23| Comment(3) | TrackBack(0) | __→ LINN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月23日

LINNのLKシリーズ終了

とうとうというかIKEMIを含むLINNの黒い箱シリーズ(LKシリーズというそうです)が全て生産終了となるようです。LINNというとこの形というイメージでしたが、これからはすべてClimax筐体になるのでしょうね。
わたしはこのシリーズのオーナーなので悲しくもあります。

http://www.linn.jp/news/press/index.html

もともとLINNのこのコンパクトな黒いボックスはLPジャケットのサイズから来ているとのことです。これはLP12ではじまったリンのこだわりといえるのでしょうね。
CD時代に入ってもしばらくはCDプレーヤーを出さなかった(91年にKarik/Numerikが出るまで)というのもすごい話ですが、この初のCDプレーヤーであるKarik/Numerikがマスター・スレイブタイプのCDP/DAC間クロックシンクロ方式の嚆矢でもあるという点で独創性と伝統が巧みにブレンドされたLINNのキャラクターを感じます。

ちなみにLINNのKarikとはゲール語で水に棲む妖精だそうです。"Numerik"のようにLINNはCをKとわざとなまったりしてタイポしてますが、これもLINNがベースとするスコットランドという風土を感じます。この辺は以前に書いたクラナドの誇りと通じるものがあるようです。
posted by ささき at 22:16| Comment(2) | TrackBack(0) | __→ LINN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月13日

LINNの壁紙

ちょうど良いタイミングでリン・ジャパンで壁紙の新規画像提供のアナウンスがありました。
しかし、、こうしてみてみるとさすがに旧タイプの筐体はもうClassicシリーズぐらいですね。
もともと旧タイプのブラック筐体はLPジャケットと同じサイズというのが理由のようで、これもLP12にこだわるLINNらしい話ではありました。
また3K/4Kドライバー系のスピーカーも気にはなりますが、、

http://www.linn.jp/life/fun/index.html
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IKEMI ! 第一印象

Ikemi(アイケミ)はCD専用プレーヤーとしては現在はLINNのトップモデルです。
LINNは海外メーカーとしては珍しいことにフィリップスやソニーのOEMドライブを使わずに自社設計のCDドライブメカニズムを持っています。もともとLINNはLP12というLPプレーヤーで成功したメーカーなのでこうしたところにこだわりを持っているのでしょう。
KARIKから引き継がれた"100% LINN"とラベルされたLINN独自のCDドライブメカニズムを磨き上げ、CDトランスポートとしての能力が強力なことがIKEMIの最大の特徴です。(姉妹機種のGENKIはソニー製のドライブメカを使用しています)
冒頭で"CD専用機としては・現在は"という但し書きがついたのは、もちろん今は生産終了した"世界で一番良いCDプレーヤー"のCD12があったからで、またユニバーサルプレーヤーとしてはさらに上位のUNIDISCシリーズがあります。

LINNジャパンのページ

IKEMIは一聴してマクロレベルでは性能が高いというより音の品格の高さを感じさせます。そしてマイクロレベルで見ると、その品格の高さは高い性能に裏づけされているのが分かります。
マイクロレベルでみると、まず解像力が非常に高いのでいままで聞こえなかったようなとても細かくて小さい音を拾います。こんな音が入っていたのかと改めて驚くこともあります。それが情報量の高さとして音に立体的な厚みとテクスチャーを加えます。
そのためヴォーカルに艶があるという美点もよりダイレクトに伝わります。
また音がとても締まっているというのが次に感じる点です。音にたるんだところは皆無です。これは特に低域で顕著で音の締りは驚くほどです。これが動的なレベルでは音楽のリズムを的確にリスナーに伝えます。
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2005年08月09日

IKEMI !

待望だったIKEMIを入手しました!
あとで詳しいコメントはアップしますが、さすがにCDプレーヤーを入れ替えるとシステムの音は変わりますね。いままでのAudio AnalogueのPAGANINIもいいプレーヤーだと思っていたけど、IKEMIに入れ替えるとシステムの格がひとつあがったように感じます。
さすがに"世界で二番目に良いCDプレーヤー"と称されるだけあります(^.^
さて、楽しみ楽しみ。。

http://www.linn.co.uk/spec_sound/product_display.cfm?ProductID=56&activeNavBar=products&activeSubNavBar=Source
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2005年06月24日

LINNの普及タイプスピーカー登場

わたしの好きなブランドのひとつ、イギリスのLINNからKONPONENTというエントリークラスのスピーカーが発売されました。LINNでは少し前にアクティブタイプの高級スピーカーが話題になりましたがこれは数百万なんでうちのブログでは話題になんてとても(笑)
最近のLINNはハイエンド志向が強くてなかなか普通に話題にできる製品がありませんでしたが、KONPONENTはなかなかよさそうです。LINNはもともと名前のCをKと読み替えるネーミングが特徴的ですが、英語ネイティブの人たちからするとちょっとなまった感じがあるんでしょうね。
この2Kアレイと呼ばれる近接配置のトゥイーターとミッド(スコーカー)が特徴的ですが、もともとはフラッグシップのKOMRIで4Kアレイとして採用されたもので、ヴォーカルのニュアンスを求めて作られたとききます。KONPONENT 110が売りなんでしょうけど、コンパクトなKONPONENT 104も面白そうです。
ちょっと聴いてみたいスピーカーの新製品です。

http://www.linn.jp/products/new/komponent.html
posted by ささき at 21:48| Comment(2) | TrackBack(0) | __→ LINN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月07日

リンのケルンとクラウト到着

というわけで、うちのアンプ部分がグレードアップを果たしてなんとLINNの旧タイプとしては最上級のKAIRNとKLOUTに置き換わりました。KAIRN(ケルン)がプリアンプでKLOUT(クラウト)がパワーアンプです。これにてうちもいよいよセパレート環境に移行しました(パチパチ)。
はじめはYAMAHAのMX-D1なんかもメーカー貸し出し機で自宅試聴してみましたが、じっくり家で聴いてみるとS/Nや定位・セパレーションなどオーディオ性能といわれてるものは非常に高いのですが、テスト的に聴いているはじめはすごいとおもっても長く音楽を聴きこむとどうも音楽がいまひとつです。かえってそういう性能では大きく劣るMajikに戻すと音楽に聴き入ってしまう自分を見つけることができます。やはりオーディオ性能のほかに音楽性というのはありますね。写真で言うところのレンズの味というやつでしょう。

そこでそのあともJeff Rowlandなど音楽的と言われるのもいろいろ試聴してみてやはり自分的にLINNの音の響きが合っていると思い、某ショップで目をつけていたケルンとクラウトの中古が十分に値が下がったところでゲットしました。
やはりケルンとクラウトはレビューなどを読んでも組になるように開発されただけあって相性が良いようでいっしょに入れ替えることにしました。

音を出した瞬間にスピーカーを超えてふっくらとした柔らかい音空間が広がります。とても上品で落ち着いた音は丸みをも感じさせます。レビューを読むと真空管のファンがよく選んでいるようですが、気持ちは分かります。
音は期待したようにMajikの延長上のLINNの美しい音でありながら、かつ低音の厚みやS/Nなどオーディオ性能も高いものです。実際のところアストゥリアスやアメリカンリヴァーを聴いてみるとほんとうに感動してしまいました。オーディオ機器から出る音で涙がでるなんて。。
これでうちの目指す美音系システムは一応の完成をみたといえるかもしれません。

。。だが(爆)
やはりセパレートにするとケーブルの再検討や配置などいろいろ要素が増えますし、オーディオ性能の高いものにするとかえってシステムのあらが見えてしまいます。
そして、そして、一番の問題点はここまでくるとなんといってもかのCDプレーヤー"IKEMI"が欲しくなってしまうということです(爆)
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2005年04月05日

プリメインアンプ (05/04/04現在)

LINN, Majik

リンはハイエンドでは海外メーカーの代表格のひとつでイギリス(スコットランド)のメーカーです。ハイエンド志向は王室御用達とかQE2のオーディオを担当していると言うところからもうかがい知れます。リンも音傾向としては音楽性重視で楽しく音楽を聴かせるものとして知られています。またもうひとつのリンの特徴としてシステム性が高く特徴的なバイワイヤリングやバイアンプのAktivなど個々の製品のモジュール化が進んでいることがあげられます。
このMajikはちょっと特徴的なプリメインで、プリアンプのWAKONDAというモデルをベースにしてそれにパワーアンプを付加したと言う形になっています。実際に背面のプリのアウトとパワーのインをジャンパーコネクタで接続しただけでつながっているのでジャンパーをはずすとそれぞれ独立して動作可能です。パワーは8Ωで33W/chと控えめですが4Ωで66W/chときちんとリニアに倍の値が出ているのはアンプの基本と言える電源供給力がしっかりしていることをうかがわせます。
Majikの音は渋く落ち着いた音調で、ステージの再現という意味での立体感というよりは音楽的な陰影のような表現に優れているようです。

ボリューム部分はプリアンプの要ですがMajikは可変抵抗ではなく独自のDAC応用のロスが少ないスムーズなコントロールを実現しています。また高品質の独立したヘッドホンアンプが内蔵されているのも生活スタイルを重視する欧州オーディオらしい側面が見えます。ただし単体のヘッドフォンアンプには及びません。

Majikにはスピーカープラグの形状が異なるタイプがあり中古購入は注意が必要です。わたしのものは普通のバナナを直接させるタイプです。またPhonoあり(Majik-P)となし(Majik-L)のモデルがあります。
posted by ささき at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | __→ LINN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする