Music TO GO!

2010年07月07日

Head-DirectのIEM、RE-ZEROとRE0

サードウェーブさんから明日7/8(木)に全世界1000個限定のHeadDirectのイヤホン、RE-ZEROが発売されます。
こちらがサードウェーブさんのページです。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN4.html

そこで通常品であるRE0との比較を交えて書いていきたいと思います。

*RE0

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まずRE0ですが、これはカナル型のダイナミック型ドライバーを使用したイヤホンです。
以前RE1の記事を書きましたが、RE0はシリーズとしてはその延長にあるイヤホンです。ただしインピーダンスは高くないのでアンプ無しのプレーヤー直でも鳴らせます。
国内価格約8900円というわりにはかなり音は良いと思います。

今回はRE0/RE-ZEROともiPhone4、iPad、Hifiman801などで聞いてみました。ちなみにiPhone4は前モデルに対して音質も幾分クリアに向上しています。iPadはさらに良く、単体でもけっこう満足できます。(iPadにUSB経由でuDACとかつける手もありますが、それはおいといて)

音は特定の帯域の強調が少なく、ニュートラルです。またクリアで透明感があり、こもった感じが少ないのも良い点です。価格の割には解像感もあり、高域はRE1とは違いとてもシャープです。
低域は量感はありませんが、正しいチップをつければ適度に確保できますし、タイトで腰があるのでロックなんかでのインパクト感はあります。全体にスピード感がよく、少し前に出てくるタイプの音なので、フラット・ニュートラル基調のタイプにしては音楽をリズミカルに楽しく聞かせてくれるという点も良いですね。
RE1のよいタイトさ、インパクト感を低インピーダンスでも実現しているのはなかなか良い点だと思います。

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このイヤホンに関してはかなりチップ選びで音が左右されます(これはRE-Zeroも同じです)。そこで低域が足りないと思ったらまず、チップをいろいろと変えて試してみると良いでしょう。大中小のシングルフランジのほかに、RE1から評判の良かったダブルフランジもあります。白いダブルフランジのほうが透明感は出やすく、黒いシングルフランジで大き目のほうがフィットしやすく低域は出やすいと思います。


*RE-ZERO

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RE-ZEROはHead-DirectブランドのREシリーズのイヤホン三周年記念ということで限定で作られるイヤホンです。11550円で販売するそうですので、それほどRE0と差があるわけでもありません。
RE0とのめだった違いとしては、
1. 巻き線に銀線を使用して低域特性を上げた。
2. 4極ミニプラグを採用している。
3. ハウジングの色など細かいところ。

また聴いてみると分かりますが、RE-ZEROの方がやや能率が高いようです。

RE0はHeadFiでもかなり評判の良い定評あるイヤホンですが、低域がもの足りないとやはり言われていました。低域特性を上げたのはそうした背景があるのでしょう。

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4極ミニプラグを使用しているのは、バランス化も考えているようです。これはここのHeadFiリンクに書かれているように、将来のHifimanプレーヤーへの対応ということのようです。
またここのHeadFiリンクにあるようにJHAudioのJH-3Aのようなアクティブクロスオーバー(というかクロスオーバーなし)のタイプをも想定しているということのようです。ただしこの辺はまだ分かりませんので念のため。

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4極のままだと普通のiPodなどのプレーヤーにさしたときに音が片方しか出ません。そのため、4極→3極アダプタが標準でついているので、普通のプレーヤーで使う人はこれを使う必要があります。あと腕におぽえのあるひとはProtectorとかいろいろ出ているポータブルバランスアンプ用に自作しても良いですね。据え置きと違ってプラグに統一性がないのはポータブルバランスアンプの難点ではあります。
米国発売当初はかなりかさばるアダプターが付いていたのですが、現在は小さなアダプターがついています。けっこうHeadFiと連動してユーザーの声にこまめに対応するのもHead-Directの良いところです。また、ケーブルつきのアダプタもありますので、場合によって分けると良いでしょう。個人的にはケーブルなしアダプタのほうが良好でした。

音は上のケーブルなしアダプタを使ってiPhone4、iPadやHifiman801で聴きました。基本的にRE0との比較です。
印象はRE0の重心を少し低くしたようで、低域の量感も増えています。全体的な音のバランスは低音が増えたせいで、ピラミッドバランス的に感覚的に良くなったと感じます。ただそれでもボンボンいう低音ではありませんが、iPadなどと組み合わせると十分なくらい出ています。
バランスアンプで聴いてはいませんが、4極のセパレーションが良いのか空間表現も向上しています。少しこじんまりとしたRE0より広がり感を感じます。明瞭感もやや増した感じです。また、RE-ZEROの良い点はより質感表現が向上して少し暖かみもあります。たとえば女性ヴォーカルはより肉感的で声も甘く感じられます。
低域を適度に増強して、全体に音楽的な余裕もあり、定評あるRE0の正常進化的なイヤホンといえます。

とりあえずポータブルバランスアンプがない人でも、RE-ZEROはあるうちに買ったほうが良いと思います。
音も向上していて、アダプタを介して三極で使っても価格の割りにかなり良いイヤホンだと思います。どうしてもアダプタをかますのが好きではないと言う人は別ですが、この価格差ならRE-ZEROを買っておいたほうが良いでしょう。また将来HifiManシリーズのプレーヤーが4極プラグを採用したときにも使えます。
ちなみに予約はかなり好調のようですのでお早めに。。
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2008年11月03日

YUIN G1 Review

Head-Directからレビュー依頼をもらい送ってもらったYUIN G1のレビューです。

g1b.jpg

Head-Directのホームページはこちらです。

http://head-direct.com/

YUINは中国のメーカーで、PK1、PK2、PK3という高性能イヤホンで知られるようになりました。PK1、PK2についてはこちらの記事をご覧ください。
PK1は150Ωという高いインピーダンスを特徴としていますので、ポータブルアンプが必要になってきます。そのためPK2というローインピーダンスのバージョンも用意されています。PK3はそれらの低価格版です。
G1は同系列のクリップタイプの耳かけ式のイヤホンです。これも同様にハイインピーダンスのG1とローインピーダンスのG2が用意されています。
現在G1はすでに発売されていますが、G2は少し遅れて発売される予定です。

販売はこちらのHead-directのリンクからどうぞ。G1は$150です。
いま気がつきましたけどFiio F3ミニアンプがおまけでついてくるようですね。

http://head-direct.com/product_detail.php?p=35

またG1とPK1の間にはOK1がラインナップとして発売されていて、PK1->OK1->G1という流れで考えるのが音を考える上でひとつのポイントになります。RE1もありますが、これはHead-directブランドのものなので傍流ととらえるべきかもしれません。

1.

G1は以前のような中国風の小箱ではなく、普通の小型の化粧箱に入ってきます。デザインはなかなか現代的で良いと思います。

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G1のデザインも現代的でとても優れています。耳かけのクリップの部分は良く見ると半透明の素材でできていて、デザイン上のよいアクセントになっています。ちょうどiMacの半透明素材のようです。

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ハウジングはアルミの削り出しに見えますが、これは実際は金属ではないようです。ただしヘアラインは印刷ではなく実際に凹凸がありますが、ちょっと変わった処理です。その代りとても軽く出来ていて、締め付けの少なさとともに装着感はとても快適です。

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実際に装着感はよく考えられていて、適度な締め付け、全体の軽さなどとても快適です。KOSSのKSC35はクリップ部分の作りが荒くて耳にあたったりしますが、これはそうしたことはありません。KSC35よりも装着感は快適だと思います。
またG1のケーブルは反発があるタイプでからみにくくなっているのも現代的なポイントと言えます。

2.

実際にスタイルがKSC35と似ているので、はじめはKSC35と比較する記事を書こうと思っていました。しかし価格をはじめ、二者は似て非なるものと言えます。そのため、比較記事にするのはやめました。
その最たるものは音質です。

まずG1はPK1、RE1、OK1に相当するハイインピーダンスのイヤホンなので、アンプがあったほうが力を発揮できます。
音量という点ではiPodでもそこそこは大きい音を出せますが、これらのハイインピーダンス・イヤホンの実力はそれでは発揮できません。
これらはたしかに鳴りがたいのですが、端的に言うと振動板が動きにくいということは不必要に余分な動きをすることもないですから、送り手のアンプがそれに見合う力があれば、たるみのない正確な研ぎ澄まされた音が期待できます。
ただし一般のiPodやDAPの単体ではそうした鳴らしにくいイヤホンを扱うのは難しく、コンシューマー向けにそうしたイヤホンを出すのは勇気が必要でしょう。そうした意味でこのハイインピーダンス・イヤホンは国産の大メーカーだとまず手を出さないところで、ポータブルアンプを持ち歩くようなマニア向け市場のニッチな製品と言えますし、いまのところYUINの独壇場と言えるでしょう。
ここではXinのSM4やiQubeを使って聞きました。

これを踏まえたG1の音は背景の黒さとそこから浮き上がる楽器の音のコントラストが明確で、鮮明で切れの良い音が聴こえて来ます。
とてもクリアで音の切れや楽器の分離が鋭く、HiFiな音と言えます。アコースティック楽器の響きはかなり豊かでヴォーカルも肉質感が感じられます。

全体に楽器の音色は甘すぎずウオーム過ぎずニュートラルでリアルです。ドライな訳でもありません。
バーンインしてしまうとそうでもありませんが、はじめはちょっと子音がきつめになることがあるのであまりシャープすぎないセットアップがよいかもしれません。

カナルのように密閉されている訳ではないため、音は少し腰が高く感じられますが、低域もこのタイプとしては十分出ているのではないかと思います。コントラバスは切れが良く明瞭です。
ただし低い方に深く沈む感じとか量感はそれほどでもありませんが、逆にあまり低音が強く出過ぎないよさがあるとは言えるかもしれません。

こうした音の特徴はPK1というよりは、いまいっしょにテストしているOK1と似ています。PK1はやはりハイイインピーダンスの明瞭な音ですが、もっとミッド寄りでウォームな感じがあります。
YUINの音の進化についてはこうしたHiFiよりな方向があるのでしょう。


G1の音の特徴はそうした鋭く明瞭音だけではありません。
むしろG1の特徴としてはっきりわかるのは音の広がりの良さです。
これは装着感の軽さとあいまって独特の魅力があり、まるですごく軽い開放型ヘッドホンを乗せているような感じがあります。
はじめはKSC35の教訓から遮音性がないものはだめかなと思っていたんですが、これはかなり特徴的で耳かけ式をうまく音の広がりの良さに結び付けているように思えます。
特徴として耳元にスピーカーがあるように感じる臨場感があります。

ただし電車の中では音漏れするのであまり使えないという点は同タイプのものと同じです。ただ装着感も軽いので家の中で使うのもいいようにも思います。ジョギングやお散歩用にはかなり良いでしょうね。

3.

まとめると特徴は開放的な音空間ときりっと明瞭な音で、デザインも良く音も良いというところでしょうか。
もしスタイルが気に入っているがアンプ常用は好きではない、という人にはG2を待つという手があると思います。ただしはじめに書いたようにFiio E3がついてくるようなので音量的には問題ないでしょう。
なおHeadFiではすでにebayからG2を入手したひとのコメントが載っていますが、これは正規ディーラーむけに出したものではなく、中国国内で少量テスト販売したものがebayに流れたもののようです。Head-directのFangさんはこの辺がしっかりしていて、きちんとしないものは出さないので信頼できます。

はじめはKSC35と比べようかと思ったんですが、比べるまでもないかなと思います。音の傾向も違いますがG1の方がずっと現代的で優れています。またインピーダンスも価格帯も違うので、似て非なる、という感じです。

これはデモ品でよこしたのですが、ちょっと自分用に買い取ろうかとも考えてます。電車で使いにくいというのが難ではありますが、デザインも音も個性的な魅力があるといえます。
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2008年05月19日

Head-Direct RE1 "Dragon"

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1. ハイ・インピーダンスIEMとしてのRE1

RE1はHead-Directが販売する150ΩのIEMです、ピリオド。
と、いうくらいこれについてはあまりよく分かりません。ウエブをみてもインピーダンスが150Ωであること以外は書いてありません。
よくわからないのに買うなよ、という話もありますが、あのYUIN PK1を販売しているHead-Directが企画したもので、PK1と同じ150Ωでカナルタイプというだけでなんとなくピンとくるものがあったわけです。
YUINはPK1の次機種としてはOK1というイヤホンにもなるし、カナルタイプにもなるというコンバーチブル機を開発したんですが、イヤホンモードのときはかなり良いけれどもカナルモードでアタッチメントをつけるといまいち、というレビューが大勢なので少し様子見をすることにして、ハイインピーダンスのカナルタイプとしてはRE1の方を選んでみました。
たとえばUE11なんかは音は素晴らしいのですが、高能率のうえにインピーダンスが低すぎて使いにくい面があります。PK1はハイインピーダンスの良さを教えてくれましたが、イヤホンですので電車内での使用に限界があります。そこでハイインピーダンスのカナルタイプが欲しかったわけです。

2. RE1の購入について

RE1はHead-directのサイトから購入することができますが、Group Buyという扱いなので注意してください。
http://www.head-direct.com/

Group Buyは共同購入とかまとめ買いという意味ですが手法はさまざまで、ユーザーが集まってまとめて発注して安く買おうというときもありますし、ディーラーがあるロット分の注文がたまった時点でメーカーに発注をかけるというときもあります。
サイトには中一日で発送とは書いてあって、わたしの場合も頼んで二日で発送されました。気になる人は問い合わせてから注文してみてください。Group buyというよりは先行発売とかテスト販売のようなもののように思えます。発注自体はBuyボタンを押してからPaypalで手続きするだけですので簡単です。Group Buyだからと、とくに交渉等はありません。なおGroup buyは(少なくともRE2については)6/15までだそうで、その後はわかりません。

なお、Group buyの利益の50%は四川大地震の支援に寄付されるそうです。


3. RE1のデザインとパッケージ

Group buyのせいか外箱はついていませんが、専用ケースがついています。RE1は「ドラゴン」という愛称がついているようで、龍のデザインがなかなか中華風です。ちなみに32ΩバージョンのRE2は「フェニックス」というコードネームで箱も不死鳥の絵になっています。

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やや大きめのケースの中には付属品がたくさんはいっています。

RE1のケーブルはたしか1mだったとおもいますが、少し短めですのでこのように延長ケーブルがついてきます。ケーブルのジャンクションには金メッキの留め具がついていてなかなか高級感はあります。
RE1の外見的な特徴としては背面に開口部があるということで、これは低音のためのポートのようですが、同時に遮音性を少し損ないます。ちなみにRE1はこの部分がゴールドでRE2はシルバーです。

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このように先端にはフィルターがついています。

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RE1についてはチップがいくつか付属してきます。
シングルフランジの大小、ダブルフランジの色違いなど、フォームがついているというレポートもあったように思いますがOK1の方だったかもしれません。小さな子袋があって、なかには極小のシングルがついていました。この辺はテスト販売ということかもしれません。
(右下の灰白のチップはComplyチップです)


4. RE1の音

RE1は150Ωということからポータブルアンプを使うことが前提です。nanoなんかを使うと、アンプなしでもPK1よりは音量が取れるようにはなっているようです。ただしiPod直では音性能はとても発揮できているとはいえません。アンプなしで使いたいという人にはRE2という低インピーダンスのバージョンがあります。

わたしはとりあえずiMod5.5G+Super Cotton iMod dock+Xin SM4というセットアップで聴きました。
IABCスイッチのゲイン(A)はハイにしていますが、他のスイッチはオフで使います。

4-1 音の印象と経過

まず箱から出しての第一印象ですが、ぱっと聴いて少し甘く感じます。
ただ細かい音はよく解像してるので、はじめは中低域の空気感のようなぼんやりしたものがそう感じるのかと思ってたんですが、imageなんかとちょっと比べると高域がごっそり落ちているような刺激性のなさがありました。たとえば流行りのエリックモングレインのようなアコースティックギターの早弾きなんかでは音のエッジが切れの部分で丸くなってしまっている感があり、「キー」とか「キュッ」といった高域の切れの気持ち良さの点でいまひとつ物足りなさが感じられました。男声ヴォーカルはよいんですが、女性ヴォーカルとかヴァイオリンで不満がありました。
しかし、これも一日聴いていくにつれて緩和され、その後に一晩エージングしてみると高域はかなり再現されるようになり不満点はほぼなくなります。それでもバランストアーマチュアのような切り裂く高音はありませんが、さ行のきつさもまるでないのでここは好みの問題と言えるレベルです。この時点では女性ヴォーカルもヴァイオリンも不満なくなります。かえって強調感のない高音がよいという人もいると思います。

ふつうは高域がきついのをエージングで柔らかくするものだけど、これは逆に弱い高域がエージングで出てくる感じです。感じとしては発音ユニットのピストンモーションがかなり硬かったのが、エージングでより闊達に動くようになったという感じです。それが高域では顕著に感じられたように思います。全体的な音も聴き始めからタイトではありましたが、やはりエージングを少しすることでさらにシャープになり、音のゆるみはほぼなくなります。
ハイインピーダンスでノイズフロアが低いことで音は明瞭であり、PK1同様に解像力もかなり高く感じられます。こうなるとインピーダンスの高さがメリットとして生きてきます。十分にエージングされると高域も含めて音は研ぎ澄まされてクリーンでよどみがありません。効果音やささやき声のような音はかなりリアルに聞こえます。
これこそハイインピーダンスと良いアンプがうまく融和している音だと思います。
箱から出した時はエージングゼロであるというバイアスをかけていつも評価していますが、RE1はそれでもかなりエージングが必要な手ごわいタイプではあるということを意識しておいた方がよいかもしれません。

これでRE1に期待していたハイインピーダンスならではのタイトなIEMという期待条件は満たされましたが、さらにRE1には他より抜きんでた長所があります。こちらは初日からでもかなり感じますが、スケール感がかなりあって音の広がりと空間表現がとても立体的であるという点です。
Ultrasoneのデモディスクに波の音が動き回るように聞こえるトラックがありますが、これなんかはかなり気持ちが悪くなるくらいに聞こえます。IMAGEもかなり音の広がりは良い方ですが、IMAGEだと波が左右にいったりきたり動くという感じだけですが、RE1だと背後に回りこむ感覚もあり、もっと立体的にサラウンド感のようなものが感じられます。ただ横に広いというよりも、前後左右の空間的な奥行き感があるという感じです。
もうひとつの長所は低域の豊かさです。これはポートが効いているのかもしれませんが、低域のレスポンスが妙に強いというような張り出し感ではなく、自然な豊かさがあります。また低域の解像力も高く、コントラバスソロも弦のうなりがよく聞こえ、量感とともに質も高い低域再現力があります。またタイトな音の特性とあいまって、低域ではパンチがありダイナミックと言う感じでロックにもとても向いています。


フラメンコのタップなんかもダイナミックで、ダンっと叩きつけるような感覚が切れがよく気持ち良いものがあります。
タイトでシャープな音の鳴り方からジャズのピアノトリオのようなものも個々の楽器の再現が良いですが、立体感が高く低域が気持ち良いのでポストロック・エレクトロニカのような電子的に処理されたいわゆる打ち込み系でもかなり楽しめます。音が動き回るようなトラックだとなかなか楽しめるでしょう。
いずれにせよ良いアンプは必須です。
ここまで書いてきて、特に空間表現のところなんかは聴いていたXin SM4の特性をそのまま書いているような気がするのに気が付きました。
そういう意味ではアンプの性能を映す鏡のような面もあるように思います。

4-2 遮音性

低域特性の良さの反面で、ポートのせいでRE1は遮音性を犠牲にしてはいます。いずれのチップでも外の音はこもってではなく小さいけどクリアに抜けて聞こえるので、ポートから入ってきていると思います。
どの程度かということですが、音を止めていると電車の中の環境音はわりと聞こえます。ただイヤホンのようにまったく遮音性がないというわけではなく、それなりには小さくなります。音楽を聴いているときはイヤホンのように環境騒音で聴こえなくなるというほどではないと思います。音漏れも多少あるとは思いますが、IEMなのでそれなりだと思います。


4-3 チップ

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RE1もIEMとしてかなりチップで音は左右されます。装着感はあまりよい方ではないと思います。つけにくさではtriple.fiなみという感じでしょうか、ここはやはりユニバーサルタイプではIMAGEは傑出していると思います。装着がわるいと確実に低音が逃げるので、RE1の良さの一つが失われてしまいます。
結局はわたしには上の写真の標準の透明なダブルフランジが一番空間表現や帯域バランス、遮音性が良かったと思います。

re1a.jpg

またComplyチップも合うようです。これは上の写真になります。
ComplyチップはHeadFiではよく出てきますが、春のヘッドホンショウのときに書いたように日本ではEntry Japanから販売されるようになりました。わたしはそのときにサンプルでもらったものを付けてみましたが、するっとはまります。むこうのポストによるとT400というタイプのようです。Complyチップだとフィットは一番良いけど、全体にやわらかい感じになり、これの方が好みという人もいるかもしれませんが、RE1の凄みのようなものは減退するように思えます。
この状態でも環境音はそれなりに聞こえますが、遮音は十分なレベルとは思います。


5. まとめ

ちょっとだらだらと書いたのでまとめると、結局いまの時点でのRE1の特徴は下記のように思います。

* ハイインピーダンスならではのタイトな音再現(ただしアンプが必須)
* 高域はおとなしいがサ行のきつさも少ない
* 低域再現は解像力、量感ともにかなり良い
* 立体感がかなり高く、3次元的
* 装着性と遮音性はいまひとつ

RE1にはPK1のカナル版を単に期待していたんですが、結局は良い意味でも悪い意味でもそうではないという感じではあります。
(RE1のドライバはPK1より小口径(8mm)の新開発されたものだそうです)
やはり高域が物足りないという人もいるだろうし、遮音性がこれではという人もいるでしょう。アンプが必須というのも考えものという人もいるでしょう。しかし、アンプ前提という条件でより高いものを目指してほしいという人もいるでしょう。
そういう意味では平均点というところからは、はみ出したやはりPK1同様にニッチな面白い個性的な製品です。
個人的にはとても気に入っています。
posted by ささき at 21:51| Comment(2) | TrackBack(0) | __→ RE-ZERO, RE0, RE1, G1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする