Music TO GO!

2008年03月23日

Music of the Spheres - マイク・オールドフィールド

マイクオールドフィールドの2年ぶりの新作は電子楽器の入らないフルオーケストラによる純粋な管弦楽曲です。前作はチルアウトということで叙情的だけれども電子処理の多い系統だったので、ちょっとした変化です。
考えて見れば彼の音楽にフルオーケストラというと違和感はないんですが、ありそうでなかったともいえます。

以前に彼の師でもありオーケストレーションを手掛けていたデヴィッドベッドフォードがチューブラーベルズをオーケストラアレンジしたことがあったので、今回もそうかと思ったんですが、デヴィッドベッドフォードの名前はありませんでした。しかし、今回はプロデューサーがあのカールジェンキンスということで納得です。
カールジェンキンスは一般にはアディエマスでよく知られていますが、もともとソフトマシーンにいた人なのでプログレつながりと言えます。またカールジェンキンスは最近は管弦楽向けの曲をたくさん書いています。本作ではオーケストラの指揮もカールジェンキンスが振っています。

本作はよくあるロックバンドのバックにオーケストラを配するようなものではなく、純粋にフルオーケストラの管弦楽曲です。
しかしアレンジも指揮もロックの人らしくテンポは早く軽快で、退屈ではありません。アコースティクギターやピアノがリードすることもあり、時には彼らしく牧歌的な抒情性を垣間見せます。ブラスセクションを効果的に使って壮大にもりあげてもくれます。全体的に期待通りドラマティックで感動的、かつ聞きやすいという感じです。
チューブラーベルズの変奏曲というか自己オマージュ的なところもありますが、全体的にそう内省的でこわれ易いというわけでもなく、明るく壮大で感覚的には初期3部作への回帰というより心機一転後の幕を開けたIncantations(呪文)を想起します。
またこちらも日本でも有名ですがヘイリー(Hayley Westenra)が、ヴォーカルというかソプラノを感動的に挿入しています。

邦題の「天空の音楽」は大仰ですが、タイトルやヴォーカルのテキストはラテン語から取られているようです。深いコンセプトがあるのかと思えば、雑誌のインタビューをみるとあっさりとしたもので、達観しているというかマイクオールドフィールド先生もどこへいくのでしょうか。

曲はこちらの米アマゾンで試聴できます。

またカールジェンキンスのほうの新作、管弦楽曲のスターバトマーテルもお勧めです。こちらはアディエマス風のジェンキンス節がフルオーケストラで聞けます。

      

posted by ささき at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月04日

The Voice - KOKIA

これは日本の歌姫、KOKIAさんの10周年を記念する新作アルバムです。
TVとかCFでもよくタイアップされているので聴いた人は多いと思いますが、わたしはそれほど興味があるというわけではありませんでした。
ただこのアルバムをたまたま試聴してみて、一曲目からその世界に引き込まれてしまいました。

この「穏やかな静けさ」という曲の歌詞が心に響きます。
下記のサイトで歌詞を読むことが出来ますが、"悲しい歌を歌いましょう あなたの代わりに歌いましょう 穏やかな静けさが心に宿りますように"というフレーズがまさに祈るように歌うように耳に届きます。

http://listen.jp/store/artword_1146409_53313.htm

国内でも国外でも、いまの世の中の暗く悲しい世相が頭に横切って行きます。そうした中で"歌うことでわたしが代わりになりましょう"という献身的な言葉にはっとさせられます。
このアルバムの最後の曲は新潟中越地震の被災者の応援のために書かれたそうですが、その人に何かしたいと言う気持ちと通じるものを感じます。
そうした大きな悲しみだけではなく、日ごろのちょっとしたいさかいと言うところでも口から出る言葉と言うのをちょっと考えさせられます。音楽が人に伝えるメッセージであると言うことを再認識させてくれる歌でした。

試聴は下記のHMVのサイトで聴くことが出来ます。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2671161

他の曲も素晴らしいものですので、お勧めのアルバムです。




posted by ささき at 00:33| Comment(2) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月03日

シンフォニー - サラ・ブライトマン

「シンフォニー」はサラブライトマンの久々のスタジオ新作で、前作の「ハーレム」以来4年ぶりくらいになります。少し間があいていますが、一昨年にベスト版がかなりブレークしたので久々と言う感じも薄いかもしれません。
「シンフォニー」は名の通りにオーケストラを取り入れた壮大な作品ですが、一曲目からプロデューサーのフランクピーターソンの少しダークでドラマチックな色がかなり濃く出ています。どちらかというとサラブライトマンの新作と言うよりはフランクピーターソンの新作でサラブライトマンがメインヴォーカル、といった方が良いかもしれません。
フランクピーターソンはエニグマがもっとも一般には有名だと思いますが、グレゴリアン・シリーズも良く知られています。グレゴリアンのアルバムではクレジットされていませんが、サラブライトマンがゲストヴォーカルとしてグレゴリオ聖歌隊にまじって紅一点の歌声を披露しています。

またこの作品ではサラブライトマンの出世作ともいえる「Time to say goodbye」でデュエットしたアンドレア・ボチェッリとも再度競演するなどゲストも多彩です。ホルストの木星(ジュピター)のアレンジ曲が入っているのも面白いところですが、クラシックカバーは洋の東西を問わないのでしょうか。
タワーレコードではいま輸入版が1850円とかなり安くなっているのでちょっとお買い得かも。

posted by ささき at 00:01| Comment(3) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月26日

BR25 (Blade Runner 25) - Vangelis

この前の記事で映画ブレードランナーのファイナルカット版を紹介しましたが、同じくブレードランナー25周年を記念してサントラの記念盤も発売されました。
これはCD3枚組と堂々たるものですが、3枚も入っているには少々わけがあります。

1枚目は1994年に発売されたサントラですが、それをリマスターしているようでかなり音質は良いです。
映画は25周年なのにサントラは1994発売?と気がついた方は鋭いです。実は初めの映画公開時にはヴァンゲリスがサントラとしての発売を拒否したため、オリジナル公開後10年以上経ってからやっと発売されたといういわくつきのものでした。ヴァンゲリスは映画で有名になってもマイクオールドフィールドのようにその亡霊がつきまとうというのを避けたかったのかもしれません。
その発売されたサントラもオリジナルサントラと言うよりはヴァンゲリスが自分のアルバムとしてかなり手を加えて、映画の中で使われたいくつかの曲を収録しないで逆に新しいアレンジを入れるなどして映画のサントラとは離れたものになったため、この2枚目はそれで収録されなかった未収録音源をあつめたものです。

そして3枚目が注目で、これは今回ヴァンゲリスがあらたに書き下ろした新作です。
BR25というタイトルが示すようにブレードランナーにインスパイアされたイメージから作曲したものだそうです。実際にサントラの重厚なイメージを生かして、セルフリミックスというか別テイクのような趣の音楽に仕上がっています。サントラでほんとうにやりたかったことをここでやったということでしょうね。
そうした意味では、やりのこしたことを全て盛り込んだ映画のファイナルカット版と同様にサントラも「ファイナルカット版」と言えるでしょうね。

posted by ささき at 01:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月23日

Viva! Rodrigo - 村冶佳織

本作品は村冶佳織さんの新作にして、7年ぶりの再録でもあるアランフェスを中心としたロドリーゴの作品集になります。村冶佳織さんといえばロドリーゴの晩年に教えをこうたこともあり、ロドリーゴの作品は特に思い出が深いものなのかもしれません。またアランフェスからは7年ぶりですが、はじめてのロドリーゴ作品集のパストラルからは今年でちょうど10年になりますので、その記念と言うことかもしれません。
前の作品に比べるとオーケストラも違うんですが、今作の方が純粋に音楽に深く沈みこめるような感じがします。さわやかなスペインの風を運んでくるような録音もいいですね。

さて、村冶佳織さんは下記のムック本BARKS+の今月号「クラシックとジャズの女神たち」の表紙とグラビアもかざっています。この本はクラシックとジャズの才色兼備アーチストのインタビューを集めた本です。(ただし日本のアーチストだけです)
他にも取り上げ方の大小はありますが、新倉瞳、松田理奈、三浦友里枝、と特に新人系はうちのこの欄で取り上げた方ばかり、まるでここの記事が本になったかのようです(笑)

この秋はほかにも女優さんがミュージシャンとしてCDを出しているのも目立ちます。たとえば映画「未来予想図」主演の松下奈緒さん(ピアノ)や、元宝塚の純名りささん(ヴォーカル)です。両方とも女優がCDを出しました、というレベルではない完成度の高いものです。純名りささんは歌劇の宝塚ですし、松下奈緒さんは音大在籍中のようですね。
この秋は才色兼備のアーチストたちに注目が高まりそうです。

posted by ささき at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月26日

Nights from the Alhambra - ロリーナ・マッキニット

これは「彷徨えるケルト人」ことロリーナ・マッキニットの世界遺産アルハンブラ宮殿でのライブアルバムです。
2枚組みのCDと演奏のDVDがはいっていて3枚組みとなっています。(収録はおそらく2006年と思われます)
下記Amazonリンクで試聴ができます。

本作は新アルバムツアーのものですが、アルバム内容はロリーナ・マッキニットの過去の作品を網羅したベスト版的な選曲になっています。ライブ用の会場ではないためかやや録音はよくないですが、内容はなかなか満足させられるものです。
あらためて過去の曲を聴いてみると美しく深部に染み入る名曲が多く、彼女の独特の声質とあいまって感動的です。

DVDとCDは曲は同じですがDVDはMCがはいってやや長めです。演奏内容を淡々と撮ったものですが、多彩な民族楽器のコラボレーションがとても興味深く見ていてわりとあきません。

ロリーナ・マッキニットはいわゆる純粋な意味でのアイリッシュ・ミュージックではないかもしれませんが、アイリッシュではないけど、ケルティックではある、という気がします。
わたしもアイリッシュ・ミュージックとケルティック・ミュージックという言葉は混同して使いがちですが、ロリーナ・マッキニットはそれが本来は使い分けられるものであると教えてくれるように思えます。


posted by ささき at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月02日

Cross - レ・フレール

ピアノの連弾デュオとして最近はよくメディアに登場することも多くなったレ・フレールの新作です。
最近TVでピアノ特集をすると出演することが多いんですが、よくこのCrossから弾いていましたので新作が出ると思っていましたがCDシングルと演奏風景のDVDという組み合わせで発売されました。
レ・フレールというとブギーとかラグタイムジャズのようなスタイルというイメージですが、本作ではタイトルが組曲のように構成されているようにクラシックよりの曲調になっています。新境地というところでしょうね。

レ・フレールを初めて買う方は以前のピアノブレーカーの方がお勧めですが、こちらはピアノブレーカーが出てからかなり人気が出てきたせいかボーナス曲入りのスペシャルエディションが出ています。
初回版はDVDがついていましたが、このDVDはレフレールの演奏の良さが出ていなくあまり良くないのでこちらのスペシャルエディションをお勧めします。

posted by ささき at 11:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ライディーン07シングルCD発売

以前書いたYMOのCMタイアップ曲であるライディーン07ですが、いままではネット配信のみでしたが、CDシングルが発売されました。
CDとしてほしいと思っていた人には朗報ではないかと思います。

posted by ささき at 10:37| Comment(2) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Rainbow Vibration - Bobin

いつものように渋谷タワレコの5FをCD試聴しながらぶらぶらとしていると、たまたまこのBobinさんのインストアライブが始まり、席も空いていたので観覧してみました。
Bobinさんはネパール人の若い青年ですが日本に住んでいるということで日本語はとても流暢です。

ほんとうになんの知識もなかったんですが、はじめの声を聴いてその歌に引き込まれました。ちょっとハスキーな独特の声質があって、ギター一本でせつせつと平和のこころとゆっくりと生きる心の大切さを歌い上げます。
そうしてライブの終了時にはCDを手にしていました。快くサインを入れてくれたんですが、名前を聞かれたので答えるとネパール語でわたしの名前をジャケットに書き込んでくれました。

彼の前にはおおきなキャンドルがおかれていました。さすがに店内では点燈させてはくれなかったそうですが、長崎などに行って火をつけたキャンドルの周りにひとを集めてライブをするということです。

posted by ささき at 10:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月23日

Smile/無言歌集 - 宮本 笑里

前にも触れました新鋭ヴァイオリニストの宮元笑里さんのデビューCDが発売されました。標準版(右)とDVD付の初回版(左)があります。
DVDには下記ページの演奏中の写真に見られる映像が納められています。

CDジャーナルの記事
http://www.cdjournal.com/main/interview/interview.php?ino=29

選曲も聴きやすいものが多く、テクニックを誇示するというよりは情感で語りかけるように弾くのが上手なタイプと思います。
また中には何曲かこのアルバムのためのオリジナル曲があります。その中でもはじめは前に書いたように大島ミチルさんのお得意の管弦楽曲が楽しみであったのですが、実際にアルバムを通して聞いてみて感じ入ったのは別の曲でした。
それは「無言歌集」という小組曲です。

クラシックにも同じタイトルの曲がありますが、この曲は作曲家の岩代太郎さんが彼女のために書き下ろした曲です。
彼女はブログも好評で、そのブログ記事に無言歌集についてのコメントが載っています。
http://playlog.jp/emirimiyamoto/blog/2007-07-18

この重厚で憂いを持った曲を中心に聞くと、アイドル性豊かなアーチストのデビューCDというのとはまた趣が違ってきます。深く染み入るメロディーを持つ反面で不安定で現代曲的なストリングスとソロヴァイオリンのアンサンブルがとても印象的です。
曲は実際に9.11や現代の暗い世相をテーマにしたそうで、もしかすると若いアーチストのデビュー曲としては少し重めかも知れません。しかしこれは笑里さんの父の知り合いという岩代太郎さんが彼女にあてたメッセージとも取れます。
この曲の持つ悲しみの底から取り出せる希望というむずかしいテーマを弾きこなしていってほしいという、彼女へのテーマのようなものかもしれません。

以前少し書いたんですが、やはり新鋭チェリストの新倉瞳さんがデビューCDに有名な「鳥の歌」を持ってきたのについて、それは自分への課題のようなもの、平和をテーマにしたこの曲をいくつになっても弾いて行きたいという言葉を思い出しました。
宮元笑里さんにもずっとこの無言歌集を弾いて行って欲しいものです、そして10年後にこの世の中がどういう世界になっているかはわかりませんが、その中でまた彼女の解釈をヴァイオリンの響きで聞いてみたいものです。

posted by ささき at 23:23| Comment(2) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月16日

Ave - 金子飛鳥

これはヴァイオリニストの金子飛鳥さんのプライベートプロジェクトで平和をテーマにしたコンセプトアルバムです。
音楽はポップ・ジャズ系ですが、アルバムを通して聴くとワールド風のテイストを強く感じます。というのもこのアルバムでは世界各地のミュージシャンをゲストに招いているからです。

中でも2曲目の"Hill of Tara"はその名の通りにアイルランドの有名な聖地であるタラの丘をテーマにしていて、ドーナル・ラリーやトリーナ・二・ゴーナルなどの豪華なアイリッシュ系ミュージシャンが参加しています。ドーナル・ラリーはプロデューサーとしての方がいまや有名かもしれませんが、ここではボーラン(アイリッシュ・パーカッション)とブズーキで参加しています。
タラの丘(王の丘)は日本のミュージシャンがアイリッシュ風のアルバムを作る際にとくにテーマに選ぶような気がします。南米アルパ奏者の上松美香さんなんかもインスパイアされた曲を書いていました。日本人からみるとそうした精神的な象徴があると共感しやすいのかもしれません。
そして曲はリーシャ・ケリーのアイリッシュ・ハープとドーナル・ラリーのボーランが確かなリズムを刻んでそれに大貫妙子風の飛鳥さんの日本語のヴォーカルが歌詞を乗せていきますが、わずかアレンジがアイリッシュに変わるとそれがトリーナ・二・ゴーナルのゲール語のヴォーカルに代わり、また自然に日本語の飛鳥さんのヴォーカルに戻る、というところがとてもかっこよくまた感動的です。
ほかにもナイトノイズの名曲"Hugh"をカバーするなどアイリッシュ的な志向はありますが、他の曲ではアコーディオンのcobaさんの参加などでもっと多様なワールドをイメージできます。
またある曲ではロシア語によるナレーションも入っていて、こちらはチェルノブイリ事故でいまでに帰郷できないナターシャ・グジーというヴォーカリストがふるさとを想う歌です。いまだに故郷にもどれないというと旧ユーゴ出身のヤドランカも思い出されます。

このようにアルバムは息子の純粋な言葉に打たれたということから世界平和をテーマとして、アルバムの売り上げの10%は国際平和関係の基金に寄付されるということです。
日ごろ物欲の彼岸に彷徨うわたしとしてはたまの罪滅ぼしにと、世界平和のために財布から...タワレコのたまったポイントカードで払おうとしてしまいました(笑)おっと、いかんいかん。

ちなみに金子飛鳥さんの公式ページはこちらです。
http://www.aska-aloha.com/home.html


posted by ささき at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月02日

Fate - Erik Mongrain

Erik Mongrainはその超絶なギタープレイがYou Tubeにアップロードされたことで有名になったというギタリストです。ヒザの上にギターを置いてタップするなど、下記のAir Tapという曲のYou Tubeリンクを見てもらうとすごさが分かると思います。

http://www.youtube.com/watch?v=AxdOq-wifUc

ギターを叩きまくるという点では前に書いたカーキ・キングにも似ていると思いますが、両者ともマイケル・ヘッジスを思い起こさせるという点でも共通していると思います。
マイケル・ヘッジスはウインダムヒルで活躍したNew Age/Smooth Jazz系のアーチストで、その超絶的で情熱的なギタープレイと抒情的な曲で知られています。そして人気絶頂の時に交通事故で死亡したため伝説の人になりました。ちょうど10年前のことです。
代表的なアルバムにはAerial Boundariesなどがあります。これは下記のAmazonで試聴できますので聴いてみてください。

Erik Morgrainの曲を聴いてもそのテクニック的なものよりむしろそうした曲調の方が影響を受けていると言えると思います。カーキ・キングが曲的にはより現代的でアブストラクトな面があったのに対するとかなりウエットで琴線に響くものが多くあります。
おそらく押尾コータローが好きな人からするとややダークな感じがするかも知れません。ただこうした面もまたある意味アメリカ的と言えるのではないか、とわたしは思います。
(厳密に言うとMongrainはカナダ出身ですが)

http://erikmongrain.com/

ちなみに公式ホームページは上記リンクで、日本語のページもあります。


      
posted by ささき at 23:39| Comment(3) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月23日

rodrigo y gabriela

これはスパニッシュギター(フラメンコギター)のデュオですが、なんと元メタルのバンドをやっていたという変わり種で、ハイスピード・ハイエナジーのギターがなかなかかっこよくてお勧めです。

名盤のMichel Camilo&TomatitoのSpainをほうふつとさせるノリの良さで、実際に店ではSpainと並べてあります。あれが好きな人なら気に入るでしょう。でもCamiloがチックコリアのカバーをいれてるように、この人たちはさすがツェッペリンとメタリカのカバーをいれているところが違いです(笑)
もっともツェッペリンはともかく、メタリカはどれがカバーか分かりませんでした。わたしがメタリカを知らないというのもあるけど、なにしろみなメタルみたいに聴こえます(笑)
(ちなみに調べると7曲目のようです)
生ギターでもこれだけ炸裂できるということで、あちこちの試聴コーナーにありますので聴いてみてください。Jazzのコーナーにあります。

      
posted by ささき at 20:31| Comment(2) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月16日

Moonlight - ベイ・シュー

Bei Xu(ベイ・シュー)は中国系のジャズヴォーカリストです。演奏はジャズのピアノトリオ(p,dr,b)と女性ヴォーカルというスタイルです。
今日は新アルバム"Moonlight"の発売記念のミニライブがあるということで行ってきました。このアルバムMoonlightはジャズのスタンダードをポップというか聴きやすくアレンジしたものです。
アーチストのページはこちらです。
http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/bei_xu/

ベイシューのよいところは声質で、高すぎずハスキーすぎない感じで、ルックスから想像する甘さも適度なくらいです。その辺のバランスが聴きやすくある意味ポップにアレンジされたスタンダードナンバーとよく合って、うまくジャズの雰囲気を伝えているように思います。
ほとんど英語ですが、なかには中国語の歌詞でジャズというのもあってユニークでいいですね。




また今日はもうひとつあって、こちらはクラシックのヴァイオリニストで瀬崎明日香さんです。デビューアルバムということですが、演奏はかなりレベルが高いと思います。
テーマが聴き易いクラシックの名曲ではなく、イザイの無伴奏ソナタとやや難解で複雑な近代の曲でしたが、圧倒的な表現力と色彩豊かな音色で感動しました。
ヴァイオリンはある企業から、有能なアーチストのために2年ずつ貸し出されるという名品らしく、300年ものということでした。

  
posted by ささき at 23:49| Comment(4) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月14日

smile - 宮本 笑里

さて、わが才色兼備アーチスト探検隊の早期警戒レーダーに探知がありました。

http://playlog.jp/emirimiyamoto/blog/2007-06-14-2

のだめオーケストラなんかで活躍しているヴァイオリニストで実際はまだCD発売はされてなく7/18に発売です。またTV CMなんかにも出演しているようですね。

上はアーチストさんのブログです。またこちらにもう少し詳しく解説があります。
http://www.cdjournal.com/main/news/news.php?nno=15373
なかなか聴きやすい感じのヴァリエーションにとんだ選曲といえます。わたしは大島ミチルさんの楽曲に注目ですね。

6/23 追記

今月号のMostly Classic誌の表紙をかざっています。
また新星堂のフリーペーパーであるMusic Townも表紙とインタビューで出ています。なかなかデビューに向けた活動が活発になってきた様子です。




あとチャイコフスキーコンクールでも少し探知反応があるようです(笑)
posted by ささき at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月02日

シカゴとAmerica

東京12chで土曜の夜にやっている地球街道という番組の中で中村雅敏がルート66をめぐるドライブ旅行をしていますが、そのシリーズも来週に目的地のシカゴに到着します。

まだ正式ではないと思いますが、来年のHeadFestはシカゴで行なわれるようです。シカゴというとサミュエルズさんの地元でもありますので、HeadFestにあわせてなにか発表してくるのではないかと来年も楽しみです。
アメリカの実質的な中心は東海岸ですので、まずNYCで第一回を行なって次に西海岸で開催し、3回目を地勢的に真ん中のシカゴというのは順当なところです。(ちなみに4回目は海外という計画もあるとか)

シカゴというと日本ではアルカポネやギャングというイメージがあって怖いと感じる方もいるかもしれませんが、現在はまったくそうしたことはなくてかえって安全なほうです。それよりもむしろコンサートホールや博物館の多い学芸的な街でもあります。
ただ日本からは15時間ほどもかかる遠いところではありますね。

私もずいぶん前ですが、シカゴに少し出張にいっていたことがあります。私もそんなに海外出張するわけではありませんが、行くとなるとたいてい2−3週間は滞在しましたので、むこうでの便を考えて空港に着いたらまずレンタカーを借ります。
シカゴに行ったときは同僚と別に二台の車を借りましたが、ハーツのにいちゃんは良いひとでこちらの示した予算からアップグレードしてスポーツカータイプの車を貸してくれました。

シカゴは風が強いということで別名"Windy City"と呼ばれますが、これはビル風のせいとも言われます。世界最高クラスのシアーズタワー(以前は世界一)をはじめ、高層ビルが林立してスカイラインの美しい街でミシガン湖から船で見るととても美しく感じます。近くにはフランク・ロイド・ライトのスタジオ跡があって近代建築の街とも呼ばれます。
一方でシカゴのあるイリノイ州は別名を"The Prairie State(大草原の州)"とも呼ばれるようにとても平坦なところです。週末はシカゴ見物に飽きたらドライブをしようと思っていたので、日本からテープに聴きたい曲をつめて持っていきました。
なにを詰めて言ったかというと、サイモンとガーファンクルの"America"です。
ホテルは郊外にあったので、とりあえずホテルの前の道をいけるところまで行こうと、どこまでもAmericaをリピートで聴きながらドライブしていったのをなつかしく覚えています。

サイモンとガーファンクルの曲はサウンドオブサイレンスとかボクサーとかどれも歌詞がすばらしいのですが、Americaはまるで映画のせりふにそのまま曲をつけたかのようなドラマチックで映像的な歌です。
Americaの中では主人公は恋人とヒッチハイクをしたりグレイハウンドに乗ってはるかに旅をしながら車窓や車内のさまざまな人々や風景をみながら、あるときは騒ぎながら、あるときは落ち込みながらも"America"を探していきます。Americaを探すとはどういうことか、としばし考えるのも悪くありません。
実際にAmericaの歌詞の中でグレイハウンドとか、荒野に月が昇るとか、ニュージャージー・ターンパイク(高速道路)で車が詰まっている様子とか、アメリカを旅している様子が映像的に描写されます。
また"All come to look for America"という歌詞のリフレインはこの曲がベトナム戦争の只中に発表されたということを考えると意味深なものもあります。"I'm lost"とつぶやく主人公は当時のアメリカそのものかもしれません、しかし同時に歌詞はとても内省的なものでもあります。主人公は寝ている恋人に「ぼくはからっぽで、どうすればわからない」と独り言をつぶやきます。そして広大な荒野に月が昇っていきます。
わたしも技術者としてアメリカに行ってどうすればよいかということにもがきながらも、そうしたことを考えていたのかもしれません。

そのとき通っていた会社のビルの窓からは2階なのにもかかわらず、数十キロはなれたシカゴの高層ビル群がはっきりと見えました。日本では考えられない幽玄な景色です。休み時間に窓枠にもたれながら、ぼんやりとその景色を見ていたのを覚えています。
いつも馴れた場所ではなく遠く離れたところに身を置いてこそ、得るものというのもあるかもしれません。
posted by ささき at 23:16| Comment(2) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月17日

ECM Newのセール

タワレコでは7月までECMのセールをやっていて、4790円の2枚組輸入盤が3790円、2790円が2090円ということでお得です。わたしはちょっと気になってたけど手を出さなかったアルバム3点をこの機会に買い込みました。
いずれもECM Newレーベルのものです。ECMというとジャズですがNewレーベルは第一作がアルヴォ・ペルトのタブラ・ラーサのように、いまでは現代音楽としてのスタンダードが選ばれたように実験的・先鋭的な作品が多いクラシックよりのレーベルです。
ECMはジャケットがきれいなのも特徴で、写真好きの私には特に気になります。

MNEMOSYNE - Jan Garbarek & Hilliard Ensemble

これは以前紹介したOfficiumの続編ともいうべきもので、声楽コーラスにジャズのサックスがからむという構成です。
前は(当時流行りだった)グレゴリオ聖歌とサックスだったのですが、今回は幅広くペルシアやスコットランドの伝統曲からタリスやヒルデガルドのような古楽の王道まで修めています。
Officiumはグレゴリオ聖歌ありきの企画モノでもあったんですが、今作はガルバレク+ヒリアードの成功した路線を拡張したもので、反則といっていいほど静謐で美しい世界が描かれていきます。
単にきれいなだけではなく、サックスが縦横にからむことでクリエイティブなスパイスもあります。この辺はECM Newレーベルならではの持ち味ですね。


Care-charming sleep - The Dowland Project

これはダウランドプロジェクトの第二弾になります。
また後で紹介記事を書こうと思っているんですが、海外ではジャズミュージシャンが古楽を演奏するというのがひとつ流れとしてあります。
ジャズ風にアレンジするというのではなしに、あくまで古楽なんですが新感覚で解釈を行い、ときにはジャズの楽器も使うというスタイルです。例のスティングがダウランドを歌ったアルバムもこの延長にあるともいえます。
ダウランドプロジェクトはそのはしりともいえるもので、ここでもサックスやベースなども取り入れられています。


The Sonatas and Partitas for Violin Solo
- Gidon Kremer


これはクレメールによるバッハの無伴奏ソナタとパルティータの20年振りの再録音です。
クレーメルにとってのバッハの無伴奏ソナタとパルティータ(特にシャコンヌ)はグールドのゴルトベルクに匹敵するトレードマークのようなものですので、その再録音はさすがに素晴らしいものです。グールドにまけず劣らず個性的なクレメール節が炸裂という感じで、琴線をわしづかみにされるような演奏にただただ圧倒されます。
録音も良いのでわたしの新しいヴァイオリンのリファレンスCDになりそうです。
ただこれは国内版も安いので国内版のほうがいいかもしれません。

            
posted by ささき at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月30日

Blendrums - レナード衛藤

Blendrumsはもと鼓童のメンバーでありグループ感あふれる和太鼓で知られるレナード衛藤が自らの太鼓、ドラムス、それ以外のパーカッション類などさまざまな打楽器およびベースギターと競演した作品で、それゆえブレンド+ドラムスという名になっています。

これ、とにかくかっこいい!
鼓童を知っていると分かると思いますが、あの気持ちの良い和太鼓のリズムにパワフルなドラムスとか図太いエレキベースがからんできます。ジャージーなスピード感あるアレンジとともにそのへんの柔なロックを軽く蹴散らしてしまうようなノリの良いかっこよさを堪能できます。

試聴がないのが残念ですが有名レコード店で入っていると思います。ジャンルはNew Ageかジャズです。
また前作のOCEANもこうしたアンサンブルではないですがかなりお勧めです。

      
posted by ささき at 20:44| Comment(2) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月29日

AMANDA - 村治佳織

この前書きました村治佳織さんの新譜、AMANDAです。
今回はうちのブログのトラックバックのところにもありますが、「ドラリオン」のテーマ曲を中心とした、クラシックではなしにギターとオーケストラの競演によるクロスオーバー的な作品になっています。
前作ライア&ソネットはそれでもクラシックのジャンルに入るようなものでしたが、今作は完全な周辺作品となっています。それだけ聴きやすく、クラシックファンでない人も受け入れやすいでしょう。
実際のところ一歩間違うとただのイージーリスニング的なところもありますが、そうならずに格調高いギター協奏曲のように仕上がっているのはオーケストラアレンジの大島ミチルさんの手腕が大きいのではないでしょうか。



posted by ささき at 20:01| Comment(2) | TrackBack(1) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月28日

エチュード - 三浦友理枝

今日はうちのブログいち押しの才色兼備ピアニスト、三浦友理枝さんのインストアイベントにいってきました。ショパンの作品を扱った新作「エチュード」の発売記念です。2年前にも紹介したことがありますが、最近はさらに活動の幅を広げて映画にも出演しています。公開中の映画「神童」ですが、ピアニスト役で少しだけ出ているようです。
下記リンクに写真が出ています。

http://feature.movies.jp.msn.com/interview/04.htm

http://mantanweb.mainichi.co.jp/web/graph/2006/12/post_27.html?photonum=27

とはいってもまだ学生さんの身の上ということでプロとしての活動は控えているということで、いまはロンドン在住ということです。

http://www.yamaha-mf.or.jp/art/official/yuriemiura/profile/

写真をみてもらえば分かりますようにまさに映画に出てくるような美少女というイメージで、さらに上のプロフィールのように昨年のリーズ国際をはじめ数々の国外のコンクールでの受賞実績をゆうするというまさに実力派。その演奏をみていても映画の中を覗いているようで現実感さえなく、そこだけぽっかりと別世界という雰囲気をもっています。

前回の印象派の時はとても美しい音を紡ぐ人だと思ったのですが、やはりショパンはショパンの音、ショパンの色彩というものがあるんだなとふと感じました。同じピアノを使っても色彩感豊かに弾くというのはそうしたことを聴く人に感じさせるということかもしれません。

posted by ささき at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする