今日は東京近郊でも7割近く欠ける部分日食が観測できました。
あいにくの天気でしたが、わたしも雲の間からつかの間ですけど三日月状に欠ける太陽を見ることができました。スモークの下敷きを持っていったんですけど、雲にかかっていてかえって肉眼でも直視することができました。たしかに実際に見てみると感激もひとしおですね。
日食と音楽ではピンクフロイドの代表作である「Dark side of the moon(狂気)」にそのまま「eclipse」という曲があります。Eclipseだけだと単に「食」なので、こちらはタイトルからすると月食といったほうが良いかもしれませんが、日本語版のタイトルは「狂気日食」となっています。単に語呂合わせとは言えますけど。。
一方でこの前発射の記念日に書いたアポロは8日かかって地球に帰還するので、まだ地球に帰還していないことになります。
天文学的なといいますけど、日ごろちまちまと生きている身からすると壮大なことではあります。
今回はアポロ11号40周年記念記事の第二段としてアポロ計画にインスパイアされた音楽を紹介してみようと思います。
まずはブライアンイーノの"APOLLO"です。
イーノはロキシー時代や一部のソロ、新作などではポップな人ではあるのですが、一方ではこうしたアンビエント系の始祖のひとりとしても有名です。本作はNASAのAPOLLO計画の番組のサントラですが、その時期の代表的な作品です。個人的にも好きな作品です。
当時はこうした音楽を環境音楽といっていましたが、環境音楽というのは家具の音楽という別名もあるくらいで、今のアンビエントとは考え方も異なる点があります。そのうちこの辺も書いてみたいと思います。
下記のYoutubeのリンクでApolloからの抜粋を聴くことが出来ます。
http://www.youtube.com/watch?v=lOgQyIMX_XU
また、ここで上の"Dark side of the moon"とも絡むのですが、このアルバムではエンジニアとして名を上げたアランパーソンズの"On Air"にもApolloという曲があります。
アランパーソンズもエンジニア出身として有名なアーチストです。わたしも良録音というのを意識はじめたのはアランパーソンズあたりのように思います。「狂気」などはよくオーディオのリファレンスにも使われています。
ただアランパーソンズプロジェクトからソロ活動になってからはあまりぱっとしなかったのは残念です。ただこのApolloでは代表曲のひとつ「ルシファー」を思わせるなかなかかっこよいアランパーソンズ節を楽しむことができます(当時の音楽風ではありますが)。ケネディの演説も効果的に使用されています。下記のYoutubeで楽しむことができます。
Music TO GO!
2009年07月22日
2009年07月05日
Waonレコードからの新譜
以前ハイレゾサンプラーの記事を書いたwaonレコードさんから新譜の案内がありました。
Exceptional Audio Recording(EAR)シリーズの第一弾ということです。
「うつろな瞳 - Eyes Look No More -」
http://waonrecords.jp/
ここでもヴィオラ・ダ・ガンバなど古楽器の豊かな響きがハイレゾ・デジタルデータで再現できると思います。
購入についてはWaonレコードさんにお問い合わせください。paypalでの支払いもできます。
これは編集直後のデータをそのままDVDに収録したものです。レコード芸術誌で録音評満点の95点を獲得して優秀録音に選ばれたCDのデータが手元に来ます。
いままで音楽を楽しむのはCDに焼いた後のものしか聴くことはできませんでした。CDという規定されたポリカーボネイトの円盤で録音・製作側と再生・オーディオファイルの側が明確に分かれていたといえます。
しかし、いまこうした試みによってその境が取られつつあるというところが、ハイレゾで楽しめるという以上にかなり画期的なことではないかと思います。
Exceptional Audio Recording(EAR)シリーズの第一弾ということです。
「うつろな瞳 - Eyes Look No More -」
http://waonrecords.jp/
ここでもヴィオラ・ダ・ガンバなど古楽器の豊かな響きがハイレゾ・デジタルデータで再現できると思います。
購入についてはWaonレコードさんにお問い合わせください。paypalでの支払いもできます。
これは編集直後のデータをそのままDVDに収録したものです。レコード芸術誌で録音評満点の95点を獲得して優秀録音に選ばれたCDのデータが手元に来ます。
いままで音楽を楽しむのはCDに焼いた後のものしか聴くことはできませんでした。CDという規定されたポリカーボネイトの円盤で録音・製作側と再生・オーディオファイルの側が明確に分かれていたといえます。
しかし、いまこうした試みによってその境が取られつつあるというところが、ハイレゾで楽しめるという以上にかなり画期的なことではないかと思います。
2009年06月28日
ベンのテーマ - マイケルジャクソン
わたしはマイケルジャクソンの曲とはあんまり関わらないで来たんですが、ふとこの曲を思い出しました。
これは知能の高いネズミのベンと虚弱な少年の交流を描いた古い映画のサントラテーマ曲です。日本でも近年TVで使われたので知っている人も多いかもしれません。
彼がまだジャクソン・ファイブだった頃です。
その後いろいろあった人ですけれども、きっといまはこうした無垢な魂に戻っているのではないでしょうか。
これは知能の高いネズミのベンと虚弱な少年の交流を描いた古い映画のサントラテーマ曲です。日本でも近年TVで使われたので知っている人も多いかもしれません。
彼がまだジャクソン・ファイブだった頃です。
その後いろいろあった人ですけれども、きっといまはこうした無垢な魂に戻っているのではないでしょうか。
2009年06月24日
サンプリングの元祖、メロトロン
今回は聞いたことがある人も多い曲からはじめます。
イギリスのロックバンドOASISのFalling Downです。
ちょっとポストロック風のかっこいい曲ですが、もちろん今人気のあるバンドの新しい曲です。しかし往年のロックファンにはなぜか懐かしく感じられます。それはバックに流れるメロトロンの音色です。
メロトロンというとクリムゾン、というイメージですが、プログレをはじめ70年代バンドではよく使われた電子楽器で、ムーグとならび代表的なキーボードです。
メロトロンは電子楽器といっても原始的なもので、サンプリングの元祖といえます。当時はデジタルでPCM録音するというわけには行きません。そこで楽器の音をテープに録音して、鍵盤をたたくとテープが機械的に動いてその音を再生するという仕組みです。アナログでサンプリングをやっているようなものです。
代表的な音色にはクリムゾンキングの宮殿でオーケストレーションの代わりに使われた"3Violins"がありますが、Falling Downでも使われています。少し楽器の音に近い"Flute"に比べるとヴァイオリンという感じは薄いんですが当時の電子楽器の限界みたいなものですね。その代わり独特の音色がいまでも使われるゆえんです。
OASISは来日したときにはデジタルの復刻版をつかったようですが、調べてみるとMk5というビンテージものも使っているようです。
こうしてメロトロンを今でも使うバンドの代表格はなんといってもスウェーデンのAnekdoten(アネクドテン)です。
かれらは来日公演の時には70年代のビンテージメロトロンを何台も持ち込んで演奏しました。プログレもここまでくるとほとんど伝統芸能の世界です。
Myspaceのアドレスはこちらです。A time of dayが最新ですが、ここでもたっぷりとメロトロンが堪能できます。
http://www.myspace.com/anekdoten
Falling Downが好きな人は意外とアネクドテンも気に入るかもしれません。
メロトロンはいまでも復刻版が入手できます。これはメモトロンというものです。比較的安価なのですがこちらはデジタルで再現したものです。
http://item.rakuten.co.jp/reckb/m23_memotron/
また、もっと手軽なものもあります。iPhoneではピアノをはじめ楽器アプリが多いんですがなんとメロトロンのアプリもあります。
これはマネトロンというもので、メカ作動のノイズも再現しているというこったものです。iPhoneはマルチタッチができるのでちゃんと和音も出せます。

"3Violins","Flute","cello"と代表的な音が再現でき、たたいているだけで気分はもう70年代です。しかしよく考えてみるとリックウエイクマンとかキースエマーソンのような技巧派の名プレーヤーにはあまり好かれなかった楽器でもありますね。どちらかというと効果音的なものではあったかもしれません。
のちに80年代になるとフェアライトCMIなど本格的なデジタルでのサンプリング楽器が登場し、やがてアナログのメロトロンは表舞台からは姿を消します。
そして楽器の世界もオーディオ同様に本格的にデジタル時代に突入します。
イギリスのロックバンドOASISのFalling Downです。
ちょっとポストロック風のかっこいい曲ですが、もちろん今人気のあるバンドの新しい曲です。しかし往年のロックファンにはなぜか懐かしく感じられます。それはバックに流れるメロトロンの音色です。
メロトロンというとクリムゾン、というイメージですが、プログレをはじめ70年代バンドではよく使われた電子楽器で、ムーグとならび代表的なキーボードです。
メロトロンは電子楽器といっても原始的なもので、サンプリングの元祖といえます。当時はデジタルでPCM録音するというわけには行きません。そこで楽器の音をテープに録音して、鍵盤をたたくとテープが機械的に動いてその音を再生するという仕組みです。アナログでサンプリングをやっているようなものです。
代表的な音色にはクリムゾンキングの宮殿でオーケストレーションの代わりに使われた"3Violins"がありますが、Falling Downでも使われています。少し楽器の音に近い"Flute"に比べるとヴァイオリンという感じは薄いんですが当時の電子楽器の限界みたいなものですね。その代わり独特の音色がいまでも使われるゆえんです。
OASISは来日したときにはデジタルの復刻版をつかったようですが、調べてみるとMk5というビンテージものも使っているようです。
こうしてメロトロンを今でも使うバンドの代表格はなんといってもスウェーデンのAnekdoten(アネクドテン)です。
かれらは来日公演の時には70年代のビンテージメロトロンを何台も持ち込んで演奏しました。プログレもここまでくるとほとんど伝統芸能の世界です。
Myspaceのアドレスはこちらです。A time of dayが最新ですが、ここでもたっぷりとメロトロンが堪能できます。
http://www.myspace.com/anekdoten
Falling Downが好きな人は意外とアネクドテンも気に入るかもしれません。
メロトロンはいまでも復刻版が入手できます。これはメモトロンというものです。比較的安価なのですがこちらはデジタルで再現したものです。
http://item.rakuten.co.jp/reckb/m23_memotron/
また、もっと手軽なものもあります。iPhoneではピアノをはじめ楽器アプリが多いんですがなんとメロトロンのアプリもあります。
これはマネトロンというもので、メカ作動のノイズも再現しているというこったものです。iPhoneはマルチタッチができるのでちゃんと和音も出せます。


"3Violins","Flute","cello"と代表的な音が再現でき、たたいているだけで気分はもう70年代です。しかしよく考えてみるとリックウエイクマンとかキースエマーソンのような技巧派の名プレーヤーにはあまり好かれなかった楽器でもありますね。どちらかというと効果音的なものではあったかもしれません。
のちに80年代になるとフェアライトCMIなど本格的なデジタルでのサンプリング楽器が登場し、やがてアナログのメロトロンは表舞台からは姿を消します。
そして楽器の世界もオーディオ同様に本格的にデジタル時代に突入します。
2009年06月10日
Corde ObliqueとAshram - ナポリから哀愁をこめて
前にGianmaria Testaというイタリアのミュージシャンを紹介しました。駅に降り立つ人間模様を切々と歌いあげるヴォーカリストです。
イタリアというとある意味ラテン系というか明るい人たちという感覚もありますが、一方で地中海的なというか土のにおいのあるしっとりとした味わいを感じるところもまたあります。
これもまた以前にPikonosvioueというワールドミュージックを紹介するレーベルを紹介しましたが、そのときに書いたCorde Obliqueというイタリア・ナポリのグループが少し前に新作を発売しました。The stone of Naples - ナポリの石というタイトルです。
Corde ObliqueはグループというよりもギタリストのRiccardo Prencipeのプロジェクトで、メンバーは固定ではなくアルバムごとにセッションアーチストを加えるという構成になっているようです。イタリアの地中海フォークやカンツォーネのような哀愁をもちながらも、現代的で洗練されたポップミュージックと融合したアコースティックでかつダイナミックな曲が楽しめます。
女性ヴォーカルが叙情的なメロディーをゆっくりと歌い上げる前半からアップテンポでダイナミックな展開を見せる後半部分までドラマチックな構成に曲つくりのうまさを感じます。これ、けっこう好きですね。
Corde Obliqueの試聴はmyspaceがあります。
http://www.myspace.com/cordeobliqueunofficial
またナポリのグループというと同じPikonosvioueから発売されていたAshramもナポリの人気のバンドです。
Ashramは日本でも人気があるようですが、ヴァイオリンとピアノという最小構成でリリカルなメロディーを奏で、哀愁たっぷりの男性ヴォーカルが切々と歌い上げるというグループです。
たしかにこの多少悲哀を感じさせるはかなげで美しい音楽は日本人の感性にもはまりそうです。
Ashramは1stと2ndがありますが、1stをまずお勧めします。
Ashramの試聴はmyspaceがあります。
http://www.myspace.com/ashramita
下記リンクのPikonosvioueアーチストが出演するフランスでのミュージックイベントを収めたビデオでもAshramが出てきます。冒頭でダンサーが踊っている音楽がAshramですが、4:20からまた出てきます。
これらは基本的に輸入が必要ですが、国内での購入はCorde Oblique、Ashram、PikonosvioueのDVD(コンピCDとセット)ともこちらのXavier(ザビエル)レコードさんのリンクから購入できます。
Ashramの1st
Corde ObliqueのThe stone of Napoles
アイリッシュは日本では確固とした人気がありますし、ファドの国ポルトガルのマドレデウスなんかも日本でヒットしました。こうしたイタリアの歌もまた日本人の琴線にやさしく触れてくれそうです。
(ちなみにマドレデウスはいまも活動してますが、ヴォーカルのテレーザは脱退してソロ活動をしています)
プログレなんかでも本場イギリスの次に人気があったのがイタリアだったので、ちょっとそうしたところがありそうな気はしますね。
イタリアというとある意味ラテン系というか明るい人たちという感覚もありますが、一方で地中海的なというか土のにおいのあるしっとりとした味わいを感じるところもまたあります。
これもまた以前にPikonosvioueというワールドミュージックを紹介するレーベルを紹介しましたが、そのときに書いたCorde Obliqueというイタリア・ナポリのグループが少し前に新作を発売しました。The stone of Naples - ナポリの石というタイトルです。
Corde ObliqueはグループというよりもギタリストのRiccardo Prencipeのプロジェクトで、メンバーは固定ではなくアルバムごとにセッションアーチストを加えるという構成になっているようです。イタリアの地中海フォークやカンツォーネのような哀愁をもちながらも、現代的で洗練されたポップミュージックと融合したアコースティックでかつダイナミックな曲が楽しめます。
女性ヴォーカルが叙情的なメロディーをゆっくりと歌い上げる前半からアップテンポでダイナミックな展開を見せる後半部分までドラマチックな構成に曲つくりのうまさを感じます。これ、けっこう好きですね。
Corde Obliqueの試聴はmyspaceがあります。
http://www.myspace.com/cordeobliqueunofficial
またナポリのグループというと同じPikonosvioueから発売されていたAshramもナポリの人気のバンドです。
Ashramは日本でも人気があるようですが、ヴァイオリンとピアノという最小構成でリリカルなメロディーを奏で、哀愁たっぷりの男性ヴォーカルが切々と歌い上げるというグループです。
たしかにこの多少悲哀を感じさせるはかなげで美しい音楽は日本人の感性にもはまりそうです。
Ashramは1stと2ndがありますが、1stをまずお勧めします。
Ashramの試聴はmyspaceがあります。
http://www.myspace.com/ashramita
下記リンクのPikonosvioueアーチストが出演するフランスでのミュージックイベントを収めたビデオでもAshramが出てきます。冒頭でダンサーが踊っている音楽がAshramですが、4:20からまた出てきます。
これらは基本的に輸入が必要ですが、国内での購入はCorde Oblique、Ashram、PikonosvioueのDVD(コンピCDとセット)ともこちらのXavier(ザビエル)レコードさんのリンクから購入できます。
Ashramの1st
Corde ObliqueのThe stone of Napoles
アイリッシュは日本では確固とした人気がありますし、ファドの国ポルトガルのマドレデウスなんかも日本でヒットしました。こうしたイタリアの歌もまた日本人の琴線にやさしく触れてくれそうです。
(ちなみにマドレデウスはいまも活動してますが、ヴォーカルのテレーザは脱退してソロ活動をしています)
プログレなんかでも本場イギリスの次に人気があったのがイタリアだったので、ちょっとそうしたところがありそうな気はしますね。
2009年05月25日
coctura - Matryoshka(remix)
YMOの御大たちでさえ注目しているようにエレクトロニカというのは日本でいま一番先進的なジャンルだと思います。ただ音楽シーン全体から見るとまだまだマイナーな分野だと言えます。
このcocturaはその中でもロングセラーとなっているMatryoshka(マトリョーシカ)のファーストアルバム「zatracenie」のリミックスです。リミックスはエレクトロニカのアーチストによるもので、World's end girl friend、aus、Goldmund(Helios)と豪華な顔ぶれです。またMatryoshka自身によるセルフリミックスも入っています。
わたしはいわゆるDJリミックスみたいなものはあまり好きではなく、なんとなくエレクトロニカのリミックスというとちょっといやな予感はあります。実際kashiwa Daisukeの名作"APRIL #02"のリミックスはそうした感じで、kashiwa daisuke氏自身のリミックス以外はあまり好きではありませんでした。リミックスとかカバーなどでも、やはりオリジナルの方が良いというのはよくあります。
しかし、このcocturaはもともと良い素材に対して、各アーチストの個性がうまい具合にかみ合っています。元の曲のイメージをかなり良く残しているので、リミックスというよりはアーチストなりのカバーといっても良いかもしれません。反面で中の一曲"Tyrant's.."などではもともと英語の歌詞なのに日本語で勝手に歌詞をふきかえてしまうという大胆なアレンジにちょっと驚きます。また最後の曲"February Lifesaver"などアーチスト自身によるリミックスも素晴らしいものです。これは下記のmyspaceで聴けます。
Matryoshkaの音楽は簡単に言うとノイズ+美メロ+メロウな女性ヴォーカルというもので、アルバムとしての統一された世界観を持った完成度の高さもある反面で、全体にやや一本調子な感じを受ける場合もあります。しかしこのリミックス版のcocturaは各アーチストの味がうまくアレンジされていて、バリエーション豊かにあきることなく良い音楽がさらによくなったというリミックスの良い例だと思います。もちろん元のアルバムもトータルアルバムとしての良さもあり、まさにベストに補完的な作品です。
Matryoshkaのmyspaceはこちらで、試聴などもできます。(cocturaはアーチスト自身による一曲のみです)
http://www.myspace.com/matryoshkamusic
オリジナルのzatracenieも含めて、エレクトリカを再認識させてくれる良作だと思います。
このcocturaはその中でもロングセラーとなっているMatryoshka(マトリョーシカ)のファーストアルバム「zatracenie」のリミックスです。リミックスはエレクトロニカのアーチストによるもので、World's end girl friend、aus、Goldmund(Helios)と豪華な顔ぶれです。またMatryoshka自身によるセルフリミックスも入っています。
わたしはいわゆるDJリミックスみたいなものはあまり好きではなく、なんとなくエレクトロニカのリミックスというとちょっといやな予感はあります。実際kashiwa Daisukeの名作"APRIL #02"のリミックスはそうした感じで、kashiwa daisuke氏自身のリミックス以外はあまり好きではありませんでした。リミックスとかカバーなどでも、やはりオリジナルの方が良いというのはよくあります。
しかし、このcocturaはもともと良い素材に対して、各アーチストの個性がうまい具合にかみ合っています。元の曲のイメージをかなり良く残しているので、リミックスというよりはアーチストなりのカバーといっても良いかもしれません。反面で中の一曲"Tyrant's.."などではもともと英語の歌詞なのに日本語で勝手に歌詞をふきかえてしまうという大胆なアレンジにちょっと驚きます。また最後の曲"February Lifesaver"などアーチスト自身によるリミックスも素晴らしいものです。これは下記のmyspaceで聴けます。
Matryoshkaの音楽は簡単に言うとノイズ+美メロ+メロウな女性ヴォーカルというもので、アルバムとしての統一された世界観を持った完成度の高さもある反面で、全体にやや一本調子な感じを受ける場合もあります。しかしこのリミックス版のcocturaは各アーチストの味がうまくアレンジされていて、バリエーション豊かにあきることなく良い音楽がさらによくなったというリミックスの良い例だと思います。もちろん元のアルバムもトータルアルバムとしての良さもあり、まさにベストに補完的な作品です。
Matryoshkaのmyspaceはこちらで、試聴などもできます。(cocturaはアーチスト自身による一曲のみです)
http://www.myspace.com/matryoshkamusic
オリジナルのzatracenieも含めて、エレクトリカを再認識させてくれる良作だと思います。
2009年05月24日
This land of ours - Kerl Jenkins
今朝いつものように「題名のない音楽会」を見てましたが、今日はブラスバンド向けの名曲紹介というテーマでした。
ブラス向けの曲というとなんとなく学校でやる堅苦しいという印象ですが、聴いてみると「風紋」とか曲として魅力的なものもたくさんあります。
わたしもほとんどブラス向けの曲というのは持ってませんが、ゆいいつあるのはこの"This land of ours"です。これはアディエマスやソフトマシーンで知られるカールジェンキンスの作曲・指揮によるブラスと合唱向けの曲を集めたものです。カールジェンキンスはいまはほとんどオーケストラ向けの現代作曲家という感じですが、これもまた優れた作品です。
やはりブラスとかウインドオーケストラの魅力というとかっこよさ、勇壮感という点があると思いますが、このアルバム中の"In These Stones Horizons Sing"はまさにそうした名曲だと思います。
下のリンクは純粋なブラスではなく合唱も規模がかなり大きいバージョンですが、カールジェンキンスらしいドラマチックな盛り上がりを楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=u3HTUzSnEbs
"In These Stones Horizons Sing"のオリジナルはアルバム"Requiem"に収録されたもので、"This land of ours"収録のものはイギリスのCory BandというブラスとCantorium Male Voice Choirという男声合唱グループ向けに書かれたものです。
ブラス向けの曲というとなんとなく学校でやる堅苦しいという印象ですが、聴いてみると「風紋」とか曲として魅力的なものもたくさんあります。
わたしもほとんどブラス向けの曲というのは持ってませんが、ゆいいつあるのはこの"This land of ours"です。これはアディエマスやソフトマシーンで知られるカールジェンキンスの作曲・指揮によるブラスと合唱向けの曲を集めたものです。カールジェンキンスはいまはほとんどオーケストラ向けの現代作曲家という感じですが、これもまた優れた作品です。
やはりブラスとかウインドオーケストラの魅力というとかっこよさ、勇壮感という点があると思いますが、このアルバム中の"In These Stones Horizons Sing"はまさにそうした名曲だと思います。
下のリンクは純粋なブラスではなく合唱も規模がかなり大きいバージョンですが、カールジェンキンスらしいドラマチックな盛り上がりを楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=u3HTUzSnEbs
"In These Stones Horizons Sing"のオリジナルはアルバム"Requiem"に収録されたもので、"This land of ours"収録のものはイギリスのCory BandというブラスとCantorium Male Voice Choirという男声合唱グループ向けに書かれたものです。
2009年05月17日
Calima - Diego Barber
このCalimaはスペインのギタリストDiego Barberのファーストアルバムで、スパニッシュギターとジャズトリオの組み合わせが新鮮です。
これはピアノトリオのピアノの代わりにギターが入ります。つまりウッドベースとドラムスとギター、それに曲によってはサックスが加わります。プレーヤー間のインタラクションというのは例えばベースとギター、あるいはサックスとギターという風になります。
スパニッシュギターがはいることで雰囲気は明るくさわやかになり、いわゆるジャズのスモーキーな感じとはちょっと趣が異なります。得てすればスムーズジャズ風に流れそうになるところを踏みとどまったり、流れたりしながら気持ちの良いさわやかなスペインの風をジャズに取り入れています。
ギターの高めの音調と合わせてか、ちょっと高域を強めに入れているのもアルバムを気持ちよく個性あるものにしていると思います。
ジャケットの写真も良いですね。
下記のホームページでちょっと試聴できます。(MySpaceもあります)
http://www.diegobarber.com/
US盤ではありますが、ヨーロッパジャズがクラブジャズ風のものだけではないことを感じさせてくれます。
個性的なユーロジャズという点ではベルギーで一番売れたというJef Neve trioもなかなかお勧めです。曲がさまざまな顔を持っていてとてもバリエーションに富んでいます。
また、ジャズとギターという組み合わせでは名盤のひとつ、Michel Camilo & TomatitoのSPAINがよく引き合いに出されます。言うまでもなくチックコリアの名曲のカバーですが、オリジナルがまた熱くすばらしいものです。こちらはSPAIN againという続編もあります。
これはピアノトリオのピアノの代わりにギターが入ります。つまりウッドベースとドラムスとギター、それに曲によってはサックスが加わります。プレーヤー間のインタラクションというのは例えばベースとギター、あるいはサックスとギターという風になります。
スパニッシュギターがはいることで雰囲気は明るくさわやかになり、いわゆるジャズのスモーキーな感じとはちょっと趣が異なります。得てすればスムーズジャズ風に流れそうになるところを踏みとどまったり、流れたりしながら気持ちの良いさわやかなスペインの風をジャズに取り入れています。
ギターの高めの音調と合わせてか、ちょっと高域を強めに入れているのもアルバムを気持ちよく個性あるものにしていると思います。
ジャケットの写真も良いですね。
下記のホームページでちょっと試聴できます。(MySpaceもあります)
http://www.diegobarber.com/
US盤ではありますが、ヨーロッパジャズがクラブジャズ風のものだけではないことを感じさせてくれます。
個性的なユーロジャズという点ではベルギーで一番売れたというJef Neve trioもなかなかお勧めです。曲がさまざまな顔を持っていてとてもバリエーションに富んでいます。
また、ジャズとギターという組み合わせでは名盤のひとつ、Michel Camilo & TomatitoのSPAINがよく引き合いに出されます。言うまでもなくチックコリアの名曲のカバーですが、オリジナルがまた熱くすばらしいものです。こちらはSPAIN againという続編もあります。
2009年05月02日
Hands - Brian Broomberg
これはまさにオーディオファイル向けの一枚といえるでしょう。
実際に帯にコメントを書いているのはあの菅野沖彦氏です。
Hands - Solo Acoustic Bassはアルバム全曲がジャズのアコースティックベースのソロ作品です。これはキングレコードの「低音」シリーズの一環で下記に作品解説ページがあります。
http://www.kingrecords.co.jp/saisin/bass/2nd/brian_info.html
タワーレコードで買ったらおまけのCDとともに低音ステッカーがもらえました。低音ニュースによるとこの低音ステッカーで応募すると低音Tシャツがもらえるという、なんかよくわかりませんが低音尽くしです。
しかしそれも納得できます。とにかく録音の鮮度が高く、まさにヤニが飛ぶようなベースの鳴りが堪能できます。
とにかく上のキングレコードのページのリンクに試聴曲がありますので、それを聞いてみて下さい。
こちらはSamplitudeの波形エディタの画面ですが、ダイナミックレンジをすっかり使い切っていますね。

曲はジャズのスタンダードからビートルズやツェッペリンのカバーまで幅広く取り入れられています。スピード感もあるので小気味良く楽しめるでしょう。
低域はやはりオーディオシステムを計る目安になりますで、これはオーディオショウ・試聴会向けですね。私もヘッドホン祭りにもって行きます。
実際に帯にコメントを書いているのはあの菅野沖彦氏です。
Hands - Solo Acoustic Bassはアルバム全曲がジャズのアコースティックベースのソロ作品です。これはキングレコードの「低音」シリーズの一環で下記に作品解説ページがあります。
http://www.kingrecords.co.jp/saisin/bass/2nd/brian_info.html
タワーレコードで買ったらおまけのCDとともに低音ステッカーがもらえました。低音ニュースによるとこの低音ステッカーで応募すると低音Tシャツがもらえるという、なんかよくわかりませんが低音尽くしです。
しかしそれも納得できます。とにかく録音の鮮度が高く、まさにヤニが飛ぶようなベースの鳴りが堪能できます。
とにかく上のキングレコードのページのリンクに試聴曲がありますので、それを聞いてみて下さい。
こちらはSamplitudeの波形エディタの画面ですが、ダイナミックレンジをすっかり使い切っていますね。

曲はジャズのスタンダードからビートルズやツェッペリンのカバーまで幅広く取り入れられています。スピード感もあるので小気味良く楽しめるでしょう。
低域はやはりオーディオシステムを計る目安になりますで、これはオーディオショウ・試聴会向けですね。私もヘッドホン祭りにもって行きます。
2009年03月29日
Ravel - 川久保賜紀・遠藤真理・三浦友理枝トリオ
トリオというとジャズのピアノトリオをすぐに思い浮かべますが、これはクラシックのトリオ編成でラベルの作品を演奏したものです。
アーチストも豪華で、ヴァイオリンではチャイコフスキーコンクールで最高位を得たことがある川久保賜紀、チェロではベテランの遠藤真理、そしてピアノはうちのブログでも何回か取り上げた新進の三浦友理枝と、まさに才色兼備の女性アーチストが参集しています。
曲目はピアノ三重奏曲をはじめ、有名な「亡き王女のためのバヴァーヌ」や「マ・メール・ロワ」も三重奏版にアレンジして収録されています。
わたしはクラシックでは小編成で楽器の音が生かされたものが好きなんですが、これはまさに色彩豊かと表現されるラベルの作品群を美しい音色を生かしながら複雑な曲構成を楽しんで聴くことが出来ます。
またオーディオ的には録音もなかなか優秀です。これもダイナミックレンジがうまく生かされた録音で、たった三人による音楽表現の驚くほどの深み広がりを堪能することが出来ます。そのためはじめの弱音部ではボリュームあわせはしない方が無難です。
ちなみにピアノの三浦友理枝さんは同じくラベルをテーマとして新作を来月発売するとのことです。
http://www.cdjournal.com/main/news/news.php?nno=23266
アーチストも豪華で、ヴァイオリンではチャイコフスキーコンクールで最高位を得たことがある川久保賜紀、チェロではベテランの遠藤真理、そしてピアノはうちのブログでも何回か取り上げた新進の三浦友理枝と、まさに才色兼備の女性アーチストが参集しています。
曲目はピアノ三重奏曲をはじめ、有名な「亡き王女のためのバヴァーヌ」や「マ・メール・ロワ」も三重奏版にアレンジして収録されています。
わたしはクラシックでは小編成で楽器の音が生かされたものが好きなんですが、これはまさに色彩豊かと表現されるラベルの作品群を美しい音色を生かしながら複雑な曲構成を楽しんで聴くことが出来ます。
またオーディオ的には録音もなかなか優秀です。これもダイナミックレンジがうまく生かされた録音で、たった三人による音楽表現の驚くほどの深み広がりを堪能することが出来ます。そのためはじめの弱音部ではボリュームあわせはしない方が無難です。
ちなみにピアノの三浦友理枝さんは同じくラベルをテーマとして新作を来月発売するとのことです。
http://www.cdjournal.com/main/news/news.php?nno=23266
2009年03月09日
「つみきのいえ」(DVD) - 加藤久仁生
これは先日アカデミー賞の外国短編映画部門を受賞した作品として一躍有名になった短編アニメーション映画です。
海面の上昇により常に積み木のように上に家を建てまして行かねばならない世界に一人住む老人、という独特の世界観と落ち着いて重厚な絵画風のタッチによる美しい作品です。
わずか12分ほどの作品で大きなドラマや謎はありませんが、淡々と進む時間の中で人生と思い出や年齢を積み重ねることについて考えさせられます。
海面が上がるという設定を地球温暖化と直に結び付けることもできますが、わたしはもっと単純に海面が上がるということを人が歳月を重ねることと捉えました。人が住んでいない他の家は昔は老人の知人であったがもう人生を終えてしまった人々、という風にも思えます。(ナレーション版では別の説明がありますが)
輝いている時間もずっとそこに居続けることはできません。しかし、その時間は過ぎ去っても価値を失うわけではなく、それをいつでも取り出して自分の財産とすることができる、ということでしょうか。積み木の家が高ければ高いほど、その人の生は豊かなものだったのかもしれません。まるで年輪を重ねた大木の幹のように。
もしここから寓話的なものを掴み取りたいのならば、地球温暖化というよりは老人問題に対するエールであると思います。もちろんこれは難解な作品ではまったくありません。子供向けには長澤まさみのナレーション付バージョンもあります。たださきに書いたように自由に自分の考えを膨らませられるナレーションなしの版の方が好ましいと思います。
加藤氏(ROBOT)の作品としては以前Shockwave.comで公開していた「或る旅人の日記」を楽しみに見ていたのを覚えています。これも独特の世界観と作品の雰囲気にうたれます。いまはShockwave.comがなくなってしまったのですが、DVDで見ることができます。
短編アニメ作家だけではなくShockwave.comは良質な作品の発表が多かったと思うのでサイト閉鎖は残念でした。ちなみにShockwaveはFlashと異母兄弟みたいなものですが、多機能のShockwaveに比べるとFlashの方が軽いのでいまではプレゼンソフトはみなFlashになりました。
また、しばらく前ですけどユーリ・ノルシュテインと川本喜八郎をはじめとした国内作家が競作した「冬の日」を見に行ったのを思い出しました。これは俳句の世界を短編アニメーションを連作にすることで表現する試みで、連句という俳句のしりとりのようなリレー形式で各作家の個性的で感性豊かな作品を展開していきます。
こうした短編アニメ作品が好きな人にはお勧めです。
海面の上昇により常に積み木のように上に家を建てまして行かねばならない世界に一人住む老人、という独特の世界観と落ち着いて重厚な絵画風のタッチによる美しい作品です。
わずか12分ほどの作品で大きなドラマや謎はありませんが、淡々と進む時間の中で人生と思い出や年齢を積み重ねることについて考えさせられます。
海面が上がるという設定を地球温暖化と直に結び付けることもできますが、わたしはもっと単純に海面が上がるということを人が歳月を重ねることと捉えました。人が住んでいない他の家は昔は老人の知人であったがもう人生を終えてしまった人々、という風にも思えます。(ナレーション版では別の説明がありますが)
輝いている時間もずっとそこに居続けることはできません。しかし、その時間は過ぎ去っても価値を失うわけではなく、それをいつでも取り出して自分の財産とすることができる、ということでしょうか。積み木の家が高ければ高いほど、その人の生は豊かなものだったのかもしれません。まるで年輪を重ねた大木の幹のように。
もしここから寓話的なものを掴み取りたいのならば、地球温暖化というよりは老人問題に対するエールであると思います。もちろんこれは難解な作品ではまったくありません。子供向けには長澤まさみのナレーション付バージョンもあります。たださきに書いたように自由に自分の考えを膨らませられるナレーションなしの版の方が好ましいと思います。
加藤氏(ROBOT)の作品としては以前Shockwave.comで公開していた「或る旅人の日記」を楽しみに見ていたのを覚えています。これも独特の世界観と作品の雰囲気にうたれます。いまはShockwave.comがなくなってしまったのですが、DVDで見ることができます。
短編アニメ作家だけではなくShockwave.comは良質な作品の発表が多かったと思うのでサイト閉鎖は残念でした。ちなみにShockwaveはFlashと異母兄弟みたいなものですが、多機能のShockwaveに比べるとFlashの方が軽いのでいまではプレゼンソフトはみなFlashになりました。
また、しばらく前ですけどユーリ・ノルシュテインと川本喜八郎をはじめとした国内作家が競作した「冬の日」を見に行ったのを思い出しました。これは俳句の世界を短編アニメーションを連作にすることで表現する試みで、連句という俳句のしりとりのようなリレー形式で各作家の個性的で感性豊かな作品を展開していきます。
こうした短編アニメ作品が好きな人にはお勧めです。
2009年01月21日
Prikosnovenie - 妖精のレーベル
わたしも様々なものを海外通販していますが、それは日本では手に入りにくい魅力的なものが世界にはたくさんあるからです。CDというか、音楽も例外ではありません。前にアメリカのProjektという、あの4AD直系のようなレーベルを紹介しましたが、最近気に入っているのは今回紹介するフランスのPrikosnovenieというレーベルです。一つ前に書いたCecil Corbelもここで紹介されていたアーティストです。
いままではProjektや国内のXavierレコードから購入するときにいっしょに買っていたのですが、今回Prikosnovenieから直で取り寄せてみました。
Prikosnovenieのホームページ(英語とフランス語があります)
http://www.prikosnovenie.com/inde.shtml

Prikosnovenieの特徴はこの写真でもお分かりのように、ジャケットに描かれた妖精のイラストです。またレーベルの音の傾向もそうしたイラストからうかがい知れます。ジャケットもたいへん凝ったものが多く、digipack仕様で中が絵本のようになっているもの、カードが封入されているものも多数あります。
上の写真でアルバムと一緒に写っている手前のカードはタリスマン(護符)カードでおまけでもらったものです。アメリカだとよくマグネットをくれますが、こちらは欧州らしいきれいなカードです。
Prikosnovenieはフランスを拠点にしていますが、取り扱うアーティストはヨーロッパの各地にわたっています。
今回購入した中からいくつか紹介してみます。アーチスト名の下に挙げたリンクはホームページの左のメニューから入れるページのダイレクトリンクです。試聴もたくさん可能です。
Caprice
http://www.prikosnovenie.com/groupes/capricek.html
Capriceはいままでに何曲か聞いていて気にいっていたロシアのグループです。ネオクラシカルとかベヴンリーヴォイスとか言われていますが、レーベルのキーである妖精のイメージそのままのファンタジックなアコースティックサウンドを聴かせてくれます。もともとトールキンの世界をイメージした音楽世界を意識しているということです。
最新の"Kywitt! Kywitt!"と少し前の"Sister Simplicity"というアルバムを買いました。このバンドもかなり独特の音世界を持っています。ネオクラシカルと言うジャンルで説明されますが、ルネッサンス音楽とかトラッドあたりの影響も感じられます。
"Kywitt! Kywitt!"の試聴曲にあるBlacksmithなんかは英国トラッドロックのスティーライスパンのファーストにもはいっていた同名の曲と同じルーツだと思いますが、ロシアのバンドでトラッド由来というのも興味深いものです。ケルト文化圏も昔はずいぶん広かったので、この辺も調べてみるといろいろと面白そうです。
"Sister Simplicity"はバイロンなどイギリスの詩人の詩の世界を音楽化したもので、"Kywitt! Kywitt!"のようないたずらっぽい妖精の世界とは少し異なって落ち着いたいかにもネオクラシカルという室内楽の世界が展開されます。
ロシアのアーティストというと日本ではオリガ(Origa)なんかがよく知られています。ロシアもトラッドと並んで日本人の琴線にひびく音楽ですので、もっと広くたくさんのアーティストが知られて欲しいものです。
Karin Hogheim
http://www.prikosnovenie.com/groupes/karink.html
Karin HogheimはスウェーデンのGotlandという古い地方の島に住むアーティストです。
北欧の古い言語を使って歌うという点に特徴があります。紹介文にはリサ・ジェラルド(ex. Dead Can Dance)とアルヴォ・ペルトを混ぜたような、とありますが、どちらかというとベルトよりもリサ・ジェラルドとメリディアス・モンクを混ぜたような、というと知っている人はピンと来るかもしれません。実際に楽器も演奏しますが、歌そのものに重点が置いてあります。
古い地方の伝統的な音楽というと代表的なものに独特の発声法がありますが、Karin Hogheimもそうした傾向を少し感じさせる特徴的な声の魅力を感じます。シンプルで力強い声の力があります。
Corde Oblique
http://www.prikosnovenie.com/groupes/corde_obliquek.html
Corde Obliqueはイタリアのバンドで、美しいヴォーカルとアコースティックギターとリュートを中心としたアンサンブルです。古楽や地中海のフォークミュージックを思わせる伝統的、土俗的な香りも感じさせますが、単におとなしいものではなくモダンなダイナミズムがあり、複雑な曲構成が魅力です。試聴では特に二曲目のCantastorieがすばらしいと思います。
イタリアというと陽気なイメージもありますが、少し哀愁を帯びた美しくダイナミックな音の世界があります。
興味をもちましたら、まずFairly Worldというサンブラーが1-4まで出ているのでこれをお勧めします。わたしもここから入門しました。
http://www.prikosnovenie.com/groupes/bellak.html
またホームページの右の方から無料で何曲かフルに入ったMP3がダウンロードできます。
海外通販が苦手な方は国内でこうした輸入ものをたくさん扱っているXavier(ザビエル)レコードさんから購入することが出来ます。
http://www.x-rec.com/
しかしこうしてはるかな国の音楽を聴いても琴線に触れることができるというのはすばらしいことですね。写真や音楽のすばらしいところはそうして真に国境を越えることができるということなのでしょう。
いままではProjektや国内のXavierレコードから購入するときにいっしょに買っていたのですが、今回Prikosnovenieから直で取り寄せてみました。
Prikosnovenieのホームページ(英語とフランス語があります)
http://www.prikosnovenie.com/inde.shtml


Prikosnovenieの特徴はこの写真でもお分かりのように、ジャケットに描かれた妖精のイラストです。またレーベルの音の傾向もそうしたイラストからうかがい知れます。ジャケットもたいへん凝ったものが多く、digipack仕様で中が絵本のようになっているもの、カードが封入されているものも多数あります。
上の写真でアルバムと一緒に写っている手前のカードはタリスマン(護符)カードでおまけでもらったものです。アメリカだとよくマグネットをくれますが、こちらは欧州らしいきれいなカードです。
Prikosnovenieはフランスを拠点にしていますが、取り扱うアーティストはヨーロッパの各地にわたっています。
今回購入した中からいくつか紹介してみます。アーチスト名の下に挙げたリンクはホームページの左のメニューから入れるページのダイレクトリンクです。試聴もたくさん可能です。
Caprice
http://www.prikosnovenie.com/groupes/capricek.html
Capriceはいままでに何曲か聞いていて気にいっていたロシアのグループです。ネオクラシカルとかベヴンリーヴォイスとか言われていますが、レーベルのキーである妖精のイメージそのままのファンタジックなアコースティックサウンドを聴かせてくれます。もともとトールキンの世界をイメージした音楽世界を意識しているということです。
最新の"Kywitt! Kywitt!"と少し前の"Sister Simplicity"というアルバムを買いました。このバンドもかなり独特の音世界を持っています。ネオクラシカルと言うジャンルで説明されますが、ルネッサンス音楽とかトラッドあたりの影響も感じられます。
"Kywitt! Kywitt!"の試聴曲にあるBlacksmithなんかは英国トラッドロックのスティーライスパンのファーストにもはいっていた同名の曲と同じルーツだと思いますが、ロシアのバンドでトラッド由来というのも興味深いものです。ケルト文化圏も昔はずいぶん広かったので、この辺も調べてみるといろいろと面白そうです。
"Sister Simplicity"はバイロンなどイギリスの詩人の詩の世界を音楽化したもので、"Kywitt! Kywitt!"のようないたずらっぽい妖精の世界とは少し異なって落ち着いたいかにもネオクラシカルという室内楽の世界が展開されます。
ロシアのアーティストというと日本ではオリガ(Origa)なんかがよく知られています。ロシアもトラッドと並んで日本人の琴線にひびく音楽ですので、もっと広くたくさんのアーティストが知られて欲しいものです。
Karin Hogheim
http://www.prikosnovenie.com/groupes/karink.html
Karin HogheimはスウェーデンのGotlandという古い地方の島に住むアーティストです。
北欧の古い言語を使って歌うという点に特徴があります。紹介文にはリサ・ジェラルド(ex. Dead Can Dance)とアルヴォ・ペルトを混ぜたような、とありますが、どちらかというとベルトよりもリサ・ジェラルドとメリディアス・モンクを混ぜたような、というと知っている人はピンと来るかもしれません。実際に楽器も演奏しますが、歌そのものに重点が置いてあります。
古い地方の伝統的な音楽というと代表的なものに独特の発声法がありますが、Karin Hogheimもそうした傾向を少し感じさせる特徴的な声の魅力を感じます。シンプルで力強い声の力があります。
Corde Oblique
http://www.prikosnovenie.com/groupes/corde_obliquek.html
Corde Obliqueはイタリアのバンドで、美しいヴォーカルとアコースティックギターとリュートを中心としたアンサンブルです。古楽や地中海のフォークミュージックを思わせる伝統的、土俗的な香りも感じさせますが、単におとなしいものではなくモダンなダイナミズムがあり、複雑な曲構成が魅力です。試聴では特に二曲目のCantastorieがすばらしいと思います。
イタリアというと陽気なイメージもありますが、少し哀愁を帯びた美しくダイナミックな音の世界があります。
興味をもちましたら、まずFairly Worldというサンブラーが1-4まで出ているのでこれをお勧めします。わたしもここから入門しました。
http://www.prikosnovenie.com/groupes/bellak.html
またホームページの右の方から無料で何曲かフルに入ったMP3がダウンロードできます。
海外通販が苦手な方は国内でこうした輸入ものをたくさん扱っているXavier(ザビエル)レコードさんから購入することが出来ます。
http://www.x-rec.com/
しかしこうしてはるかな国の音楽を聴いても琴線に触れることができるというのはすばらしいことですね。写真や音楽のすばらしいところはそうして真に国境を越えることができるということなのでしょう。
2009年01月13日
Song book2 - Cecile Corbel
Cécile Corbelはアイリッシュハープの奏者ですが、アイルランドではなくフランスのブルターニュのアーティストです。ブルターニュ地方はケルト文化圏のひとつで、地域名もブリテンと関係が深いようです。分類するとアイリッシュハープ奏者になりますが、曲はアンサンブルと彼女のヴォーカルが中心になります。
こちらにYou tubeの演奏の映像があります。
Cécile Corbelの特徴は上の映像をみるとわかるように音楽自体はトラッドベースのしっかりしたものですが、声がフレンチポップのように甘くかわいらしいというある意味ミスマッチ感のある感覚で、ちょっとケイトブッシュ的な不思議的魅力のある音楽世界を構築しています。
わたしは海外レーベルのコンピレーションなどでCécile Corbelの曲をいくつか聴いていて、そのうちアルバムもほしいと思っていたんですが、国内ではさがせないだろうから海外に頼もうと思っていたところだったのでタワレコでたまたま見つけてちょうどよいタイミングでした。
このSong Book2は昨年の新作です。上の映像よりももっとポップよりでドラマチックな音世界を展開しています。
リンクバナーはSongbook2のものがなかったのでSongbook1のものです。Songbook2に関しては下記が米Amazonのリンクです。
http://www.amazon.com/Songbook-2-Cecile-Corbel/dp/B001H02J6K
こちらにYou tubeの演奏の映像があります。
Cécile Corbelの特徴は上の映像をみるとわかるように音楽自体はトラッドベースのしっかりしたものですが、声がフレンチポップのように甘くかわいらしいというある意味ミスマッチ感のある感覚で、ちょっとケイトブッシュ的な不思議的魅力のある音楽世界を構築しています。
わたしは海外レーベルのコンピレーションなどでCécile Corbelの曲をいくつか聴いていて、そのうちアルバムもほしいと思っていたんですが、国内ではさがせないだろうから海外に頼もうと思っていたところだったのでタワレコでたまたま見つけてちょうどよいタイミングでした。
このSong Book2は昨年の新作です。上の映像よりももっとポップよりでドラマチックな音世界を展開しています。
リンクバナーはSongbook2のものがなかったのでSongbook1のものです。Songbook2に関しては下記が米Amazonのリンクです。
http://www.amazon.com/Songbook-2-Cecile-Corbel/dp/B001H02J6K
2008年12月29日
Canto Ostinato - Simeon Ten Holt
Canto Ostinatoはオランダの現代音楽の作曲家であるSimeon Ten holtの代表的な作品で四台のピアノのために書かれています。わたしが買ったのはより簡素化された二台のために書かれたバージョンですが、それでもCDまるまる75分使います。
この曲は二台のピアノがひとつの主題を103ものパートで少しずつ変化させながら延々と演奏します。そして長い時間演奏してきたというのに、最後は現代音楽の多くがそうであるように、ドラマ性を否定したかのように唐突に終わります。
しかし曲は難解なものではなく、耳を傾けるとただ美しい音楽がときには激しく早く、ときには穏やかに心地よく、流れていきます。
You Tubeで二台バージョンの演奏を見ることができます。
(抜粋です)
オスティナートというのは反復を意味する音楽用語で、これからも類推できるようにこの曲はいわゆるミニマルの形態をとったピアノ曲と紹介されます。
ただミニマルというのが目的としているのは反復というよりも音楽を最小単位に分解するということで、それゆえミニマルアートになぞらえてミニマルミュージックと呼んでいると思います。
オステイナートという言葉は古くからあるもので、伊福部昭もオスティナートとタイトルの付いた作品を書いています。
Simeon Ten Holtも伊福部昭もライヒとかグラスのようなミニマル作家よりは一世代前ということで、そういう意味ではこの作品をミニマルと呼んでよいかということは議論の余地があるのかもしれません。
しかしそうした随想を離れて音楽を聴くと、音の波はまるで浜辺に押し寄せる波が同じように見えても少しずつ異なり同じものがないことに似ています。そうして海岸で飽くことなく、押し寄せる波を見ているように音楽にただ身を任せることができます。作曲法がどうあれ、音楽の一つの目的というのはそうしたところにあるのかもしれません。
あわただしかった日々も終わり、年を迎えるのを待っているこの冬の夜に、こうした音楽にゆったりと身を任せるのも良いものです。
下に上げたAmazonのリンクはやや古いのですが、いまだとエムプラスというところが輸入した盤が安く買えると思います(KTC 1367)。
これに興味をもちましたらミニマルピアノ曲の名作というとなんといっても、ライヒの傑作と賞されるSix Pianosをおすすめします。これもYoutubeで探すと曲を聴くことが出来ると思います(演奏ではないのでここにリンクは張りませんでした)。
またやはり有名なミニマル作曲家であるJohn AdamsのHallelujah Junction(Road Movie収録曲)もおすすめです。
この曲は二台のピアノがひとつの主題を103ものパートで少しずつ変化させながら延々と演奏します。そして長い時間演奏してきたというのに、最後は現代音楽の多くがそうであるように、ドラマ性を否定したかのように唐突に終わります。
しかし曲は難解なものではなく、耳を傾けるとただ美しい音楽がときには激しく早く、ときには穏やかに心地よく、流れていきます。
You Tubeで二台バージョンの演奏を見ることができます。
(抜粋です)
オスティナートというのは反復を意味する音楽用語で、これからも類推できるようにこの曲はいわゆるミニマルの形態をとったピアノ曲と紹介されます。
ただミニマルというのが目的としているのは反復というよりも音楽を最小単位に分解するということで、それゆえミニマルアートになぞらえてミニマルミュージックと呼んでいると思います。
オステイナートという言葉は古くからあるもので、伊福部昭もオスティナートとタイトルの付いた作品を書いています。
Simeon Ten Holtも伊福部昭もライヒとかグラスのようなミニマル作家よりは一世代前ということで、そういう意味ではこの作品をミニマルと呼んでよいかということは議論の余地があるのかもしれません。
しかしそうした随想を離れて音楽を聴くと、音の波はまるで浜辺に押し寄せる波が同じように見えても少しずつ異なり同じものがないことに似ています。そうして海岸で飽くことなく、押し寄せる波を見ているように音楽にただ身を任せることができます。作曲法がどうあれ、音楽の一つの目的というのはそうしたところにあるのかもしれません。
あわただしかった日々も終わり、年を迎えるのを待っているこの冬の夜に、こうした音楽にゆったりと身を任せるのも良いものです。
下に上げたAmazonのリンクはやや古いのですが、いまだとエムプラスというところが輸入した盤が安く買えると思います(KTC 1367)。
これに興味をもちましたらミニマルピアノ曲の名作というとなんといっても、ライヒの傑作と賞されるSix Pianosをおすすめします。これもYoutubeで探すと曲を聴くことが出来ると思います(演奏ではないのでここにリンクは張りませんでした)。
またやはり有名なミニマル作曲家であるJohn AdamsのHallelujah Junction(Road Movie収録曲)もおすすめです。
2008年12月23日
聴いて学ぶアイルランド音楽(CD付属)
今回は本の紹介です。
「聴いて学ぶアイルランド音楽」はアイリッシュ音楽の解説本で附録にCDがついています。
わたしもよくこのコーナーでアイリッシュを取り上げますが、それほどきちんとした知識があるわけではないのでこの本で少し勉強しようと購入しました。
この本はオックスフォード大学の出版局がアメリカの大学の一般教養過程で使われるテキストとして製作したものということです。
実際に教科書的な良さとして包括的にアイリッシュの要素がカバーされています。また、要所に演習があってCDを聞きながら実際の曲を聴いてみたり、拍子を取ってみたりということができるようになっています。
しかし、教科書という言葉から連想するような堅さとか読みにくさはありません。たとえば、導入部分の第一章はアメリカからやってきた外国人である著者たちが地元のセッションに招かれるという設定で、アイルランドではいかに音楽が生活に密着しているかを回想的に語り、その理由を歴史的に考えるということで次章にスムーズにつなげていきます。
また、そこのセッションで演奏された音楽を解説しながら実際に付録のCDを聞いて本書の使い方を覚えて行くという導入部になって自然と本に馴染んで行きます。
そして伝統とは、歴史とはというところから伝統的な変奏や装飾音などの音楽理論的解説や、ジグやリールなど代表的な曲の種類の紹介とリズムパターンの違い、そして附録のCDを使って実際に聴いてみるというふうに進んでいきます。
また、ホイッスルやアイリッシュハープなど特有の楽器、そして伝統的な曲に最近の出来事を歌いこめたりする歌と表現、言語の問題、と続きアイリッシュ音楽の現状までカバーしています。
本書の翻訳はこちらのサイトとメーリングリストを主催されてる方です。
http://blog.livedoor.jp/yosoys/
先日の日曜日にイベントがあったので、わたしも拝聴しようと行ったのですが、部屋がもう満杯ではいれなかったので後で本だけ買ってきました。こうしたシーンが盛況ということは良いことですね。
ちなみに本書の公式ページはこちらです。
http://www.oup.com/us/companion.websites/umbrella/globalmusic/
「聴いて学ぶアイルランド音楽」はアイリッシュ音楽の解説本で附録にCDがついています。
わたしもよくこのコーナーでアイリッシュを取り上げますが、それほどきちんとした知識があるわけではないのでこの本で少し勉強しようと購入しました。
この本はオックスフォード大学の出版局がアメリカの大学の一般教養過程で使われるテキストとして製作したものということです。
実際に教科書的な良さとして包括的にアイリッシュの要素がカバーされています。また、要所に演習があってCDを聞きながら実際の曲を聴いてみたり、拍子を取ってみたりということができるようになっています。
しかし、教科書という言葉から連想するような堅さとか読みにくさはありません。たとえば、導入部分の第一章はアメリカからやってきた外国人である著者たちが地元のセッションに招かれるという設定で、アイルランドではいかに音楽が生活に密着しているかを回想的に語り、その理由を歴史的に考えるということで次章にスムーズにつなげていきます。
また、そこのセッションで演奏された音楽を解説しながら実際に付録のCDを聞いて本書の使い方を覚えて行くという導入部になって自然と本に馴染んで行きます。
そして伝統とは、歴史とはというところから伝統的な変奏や装飾音などの音楽理論的解説や、ジグやリールなど代表的な曲の種類の紹介とリズムパターンの違い、そして附録のCDを使って実際に聴いてみるというふうに進んでいきます。
また、ホイッスルやアイリッシュハープなど特有の楽器、そして伝統的な曲に最近の出来事を歌いこめたりする歌と表現、言語の問題、と続きアイリッシュ音楽の現状までカバーしています。
本書の翻訳はこちらのサイトとメーリングリストを主催されてる方です。
http://blog.livedoor.jp/yosoys/
先日の日曜日にイベントがあったので、わたしも拝聴しようと行ったのですが、部屋がもう満杯ではいれなかったので後で本だけ買ってきました。こうしたシーンが盛況ということは良いことですね。
ちなみに本書の公式ページはこちらです。
http://www.oup.com/us/companion.websites/umbrella/globalmusic/
2008年12月02日
冬のシンフォニー - サラブライトマン
紅葉を追いかけているとまだ秋の気持ちが残っていますが、気がつくともう12月、そろそろ冬の情景が浮かびます。
アメリカでは11月末にサンクスギビング(感謝祭)があるので、本格的に街がクリスマスに変わるのは12月に入ってからです。アメリカは多民族国家なのでキリスト教的な名前を避けてクリスマスシーズンではなく、この時期をホリディシーズンと言います。
この季節には街に賛美歌などクリスマスのコーラスがあふれます。そうして皆の気分も音楽的になるためか、この時期にはホリディアルバムも多く発売されます。
「冬のシンフォニー」はそうした季節感を感じさせるサラブライトマンのホリディアルバムです。
前のアルバム(シンフォニー)の時も書きましたが、サラブライトマンのアルバムは実質的にフランクピーターソンのプロジェクトでヴォーカルがサラブライトマンという見方ができる側面もあります。前作のシンフォニーでは冒頭のゴシック風の世界観がそうでしたが、本作ではやはり一曲目の「アライヴァル」でそれを感じます。
このアライヴァルは聞いたこともある人が多いと思いますが、原曲はアバの名曲です。もともとはインストの曲だったのですが、今回は特別に許可を得てサラのために歌詞をつけています。
フランクピーターソンはグレゴリオ聖歌の聖歌隊のコーラスでちょっと古めのロックやポップソングをアレンジする、グレゴリアンというプロジェクトのアルバムをいくつか出してヒットさせています。この中ではクレジットがなくてもサラブライトマンがゲストヴォーカルで出演したりしています。例えばツェッペリンの「天国への階段」をアレンジした曲では前半のゆっくりと歌い上げるところを男声のグレゴリアン聖歌隊が雄大に歌い、クライマックスのところで曲調が変わりサラブライトマンがソロで歌い上げるという感動的なアレンジです。
このシリーズは他にもオールディーズポップの選曲なども巧みでピーターソンのセンスの良さを感じさせます。このアライヴァルもその延長上で捉えることができると思いますが、スタンダードなポップのヒット作をうまくアレンジしたピーターソンらしい優れた歌曲に仕上がっていると思います。
上で書いた天国への階段のカバーが入っているアルバムもあげておきます。試聴はこちらのアマゾン・ドイツのサイトでできます。
また、アバのアライヴァルは右のアルバムでこちらも試聴できます。
アメリカでは11月末にサンクスギビング(感謝祭)があるので、本格的に街がクリスマスに変わるのは12月に入ってからです。アメリカは多民族国家なのでキリスト教的な名前を避けてクリスマスシーズンではなく、この時期をホリディシーズンと言います。
この季節には街に賛美歌などクリスマスのコーラスがあふれます。そうして皆の気分も音楽的になるためか、この時期にはホリディアルバムも多く発売されます。
「冬のシンフォニー」はそうした季節感を感じさせるサラブライトマンのホリディアルバムです。
前のアルバム(シンフォニー)の時も書きましたが、サラブライトマンのアルバムは実質的にフランクピーターソンのプロジェクトでヴォーカルがサラブライトマンという見方ができる側面もあります。前作のシンフォニーでは冒頭のゴシック風の世界観がそうでしたが、本作ではやはり一曲目の「アライヴァル」でそれを感じます。
このアライヴァルは聞いたこともある人が多いと思いますが、原曲はアバの名曲です。もともとはインストの曲だったのですが、今回は特別に許可を得てサラのために歌詞をつけています。
フランクピーターソンはグレゴリオ聖歌の聖歌隊のコーラスでちょっと古めのロックやポップソングをアレンジする、グレゴリアンというプロジェクトのアルバムをいくつか出してヒットさせています。この中ではクレジットがなくてもサラブライトマンがゲストヴォーカルで出演したりしています。例えばツェッペリンの「天国への階段」をアレンジした曲では前半のゆっくりと歌い上げるところを男声のグレゴリアン聖歌隊が雄大に歌い、クライマックスのところで曲調が変わりサラブライトマンがソロで歌い上げるという感動的なアレンジです。
このシリーズは他にもオールディーズポップの選曲なども巧みでピーターソンのセンスの良さを感じさせます。このアライヴァルもその延長上で捉えることができると思いますが、スタンダードなポップのヒット作をうまくアレンジしたピーターソンらしい優れた歌曲に仕上がっていると思います。
上で書いた天国への階段のカバーが入っているアルバムもあげておきます。試聴はこちらのアマゾン・ドイツのサイトでできます。
また、アバのアライヴァルは右のアルバムでこちらも試聴できます。
2008年09月28日
カルメン幻想曲 - 松田理奈
容姿、技術力、表現力と3拍子そろった期待のヴァイオリニスト、松田理奈さんのインストア・イベントを見に行ってきました。以前はファーストアルバムの記事を書きましたが、今回は「カルメン幻想曲」という新作のプロモです。
まだニュルンベルグで音楽留学をしているということですが、やはり若い演奏者にとって人前で弾くというのは大変なことのようで、本人いわく前回は死にそうだったということです。
そういうこともあるのか一曲目はわりと硬いという感じでしたが、曲間にMCでインタビューに快活に話していたら緊張が解けたのか、二曲目のアヴェマリアとか3曲目のタイスの瞑想曲などはかなりすばらしく、けっこうまじめに感動しました。前に聴いた時は技術力のある音大の人、というイメージでしたが、今回は表現力がついたというのか、こうした定番曲でも飽きさせない立派な演奏家という感じでした。
写真の世界なんかでもそうですが、技術力と表現力は両輪であってどちらがかけてもうまく走りません。そういう点ではとてもバランスのよい演奏家になりそうな気がします。
アルバムもヴァリエーション豊かですが、特に思うのはヴァイオリンの音色が大変美しいということです。これは演奏者の技量もあると思いますが、ひとつにはヴァイオリンが昨年変わったようです。
ストラディバリ、ガルネリ、アマティと並ぶソナスの名器、、ではなくヴァイオリンの名器、ガダニーニをあるNPO法人から貸与されているとのことです。こうして才能ある若い演奏家に名器を貸与する財団や企業がいるということは良いことですね。
これはぜひSHM-CDにしてほしかったところです。
まだニュルンベルグで音楽留学をしているということですが、やはり若い演奏者にとって人前で弾くというのは大変なことのようで、本人いわく前回は死にそうだったということです。
そういうこともあるのか一曲目はわりと硬いという感じでしたが、曲間にMCでインタビューに快活に話していたら緊張が解けたのか、二曲目のアヴェマリアとか3曲目のタイスの瞑想曲などはかなりすばらしく、けっこうまじめに感動しました。前に聴いた時は技術力のある音大の人、というイメージでしたが、今回は表現力がついたというのか、こうした定番曲でも飽きさせない立派な演奏家という感じでした。
写真の世界なんかでもそうですが、技術力と表現力は両輪であってどちらがかけてもうまく走りません。そういう点ではとてもバランスのよい演奏家になりそうな気がします。
アルバムもヴァリエーション豊かですが、特に思うのはヴァイオリンの音色が大変美しいということです。これは演奏者の技量もあると思いますが、ひとつにはヴァイオリンが昨年変わったようです。
ストラディバリ、ガルネリ、アマティと並ぶソナスの名器、、ではなくヴァイオリンの名器、ガダニーニをあるNPO法人から貸与されているとのことです。こうして才能ある若い演奏家に名器を貸与する財団や企業がいるということは良いことですね。
これはぜひSHM-CDにしてほしかったところです。
Fairy Dance - KOKIA
前に書いた前作"The Voice"もすばらしかったんですが、Kokiaさんの新作アルバムが出ました。今作も前作同様に一曲目から曲の世界に引き込まれる独特の歌声で魅了されます。
今回はサブタイトルに"KOKIA meets Ireland"とあるようにアルバムを通してアイリッシュのテイストを取り入れています。
またアイルランドのミュージシャンとも競演していて、NightnoiseのBrian Dunningなんかも参加しています。Nightnoiseは以前に遊佐未森さんとも競演アルバムを作っていましたが、ちょっと共通するものがあるようにも思います。
また、アイリッシュの定番では「シュール・アルーン」をカバーしています。これはヒットしたCeltic Womanにも入っていて、日本語でもカバーされたのでよく知っている人もいると思います。また、直接聴いてなくても、前に書いたようにPPMの"Gone the rainbow"の原曲であり、往年の日本のPop・ニューミュージックなどに影響を与えているので、聴いたことがないけどなんとなく懐かしい、とも思えるかもしれません。
そうしたところが日本人にとってアイリッシュを取り上げる良さのひとつだと思います。
今回はすべて生楽器のみで電子楽器を使わないというというコンセプトで癒しをテーマとしています。またアイリッシュベースらしく、ゲール語で歌う歌もありますが、何曲かはkokia語という自分で創造した言語で歌っています。
こうした実際の言語ではない、自分で創造した言葉で歌う曲は言葉遊びやユニークなリズムで独特の魅力があります。その中の名曲にはずいぶん前にフジテレビでやっていた「ワーズワースの庭」のテーマ曲「シャリオン」なんかを思い出します。こちらで試聴できますので、思い出してもらえると思います。
http://www.ongen.net/search_detail_track/track_id/tr0000188838/
これを歌われていた歌手のErie(河井英里)さんはこのオリジナルアルバム"Prayer"でセルフカバーもしています。しかし残念なことにErieさんはつい先月お亡くなりになったそうです。ご冥福を祈るとともにアルバムもあわせて紹介しておきます。
今回はサブタイトルに"KOKIA meets Ireland"とあるようにアルバムを通してアイリッシュのテイストを取り入れています。
またアイルランドのミュージシャンとも競演していて、NightnoiseのBrian Dunningなんかも参加しています。Nightnoiseは以前に遊佐未森さんとも競演アルバムを作っていましたが、ちょっと共通するものがあるようにも思います。
また、アイリッシュの定番では「シュール・アルーン」をカバーしています。これはヒットしたCeltic Womanにも入っていて、日本語でもカバーされたのでよく知っている人もいると思います。また、直接聴いてなくても、前に書いたようにPPMの"Gone the rainbow"の原曲であり、往年の日本のPop・ニューミュージックなどに影響を与えているので、聴いたことがないけどなんとなく懐かしい、とも思えるかもしれません。
そうしたところが日本人にとってアイリッシュを取り上げる良さのひとつだと思います。
今回はすべて生楽器のみで電子楽器を使わないというというコンセプトで癒しをテーマとしています。またアイリッシュベースらしく、ゲール語で歌う歌もありますが、何曲かはkokia語という自分で創造した言語で歌っています。
こうした実際の言語ではない、自分で創造した言葉で歌う曲は言葉遊びやユニークなリズムで独特の魅力があります。その中の名曲にはずいぶん前にフジテレビでやっていた「ワーズワースの庭」のテーマ曲「シャリオン」なんかを思い出します。こちらで試聴できますので、思い出してもらえると思います。
http://www.ongen.net/search_detail_track/track_id/tr0000188838/
これを歌われていた歌手のErie(河井英里)さんはこのオリジナルアルバム"Prayer"でセルフカバーもしています。しかし残念なことにErieさんはつい先月お亡くなりになったそうです。ご冥福を祈るとともにアルバムもあわせて紹介しておきます。
2008年05月25日
Da Questa Parte del Mare - Gianmaria Testa
オーディオショウの楽しみの一つは代理店さんや評論家の方々のかける試聴用のCDです。選曲に関してはやはりさすがと思わせるものが多々あるので、試聴会では気に入ったものがあるとメモをしてあとで自分で買ったりしています。
このイタリアのGianmaria Testaはさきの春のハイエンドショウのときに山之内氏がPhileweb企画のDAC聞き比べの時に男声ヴォーカルの視聴用としてかけた曲です。氏もドイツのハイエンドショウのときに行って買ったということでむこうでは有名らしいのですが、あまり詳しくは分からず、この人はもと地方の駅員でそこで見た人間模様を歌っているとのこと。
下記のAmazonリンクで試聴が出来ます。実際に購入も下記のAmazon経由で買ったんですが、取り寄せに数日ほどかかりました。
他にもこうして探したものはあっても取り寄せ自体ができなくなっているというのも多々ありました。新品でなければ中古の欄で直接海外の取引店から取り寄せることが出来ます。場合によってはこちらを使うこともあります。
このアルバムはたしかに通して聴いてみるとなかなか全体に質が高く感動的です。原語のイタリア語を英訳された歌詞もブックレットに入っていますが、「彼らは夜明けに到着した、鉄道の彼方、種を撒く台地からやってきて、そこにはなかったものを探していた、そして吹き寄せる風に立ち向かうように手をかざして去っていった」と人間模様を渋いトーンでまるで歌うよりも語りかけるように伝えてきます。
類別的にはカンツォーネなのかもしれませんが、適度にポップ色もあって、アルバムとしてもトータルでよく出来たものだと思います。
このイタリアのGianmaria Testaはさきの春のハイエンドショウのときに山之内氏がPhileweb企画のDAC聞き比べの時に男声ヴォーカルの視聴用としてかけた曲です。氏もドイツのハイエンドショウのときに行って買ったということでむこうでは有名らしいのですが、あまり詳しくは分からず、この人はもと地方の駅員でそこで見た人間模様を歌っているとのこと。
下記のAmazonリンクで試聴が出来ます。実際に購入も下記のAmazon経由で買ったんですが、取り寄せに数日ほどかかりました。
他にもこうして探したものはあっても取り寄せ自体ができなくなっているというのも多々ありました。新品でなければ中古の欄で直接海外の取引店から取り寄せることが出来ます。場合によってはこちらを使うこともあります。
このアルバムはたしかに通して聴いてみるとなかなか全体に質が高く感動的です。原語のイタリア語を英訳された歌詞もブックレットに入っていますが、「彼らは夜明けに到着した、鉄道の彼方、種を撒く台地からやってきて、そこにはなかったものを探していた、そして吹き寄せる風に立ち向かうように手をかざして去っていった」と人間模様を渋いトーンでまるで歌うよりも語りかけるように伝えてきます。
類別的にはカンツォーネなのかもしれませんが、適度にポップ色もあって、アルバムとしてもトータルでよく出来たものだと思います。
2008年05月24日
PIANO ESPRESSIVO - 松本あすか
新鋭ピアニストの松本あすかさんのインストアライブに行ってきました。
アルバムの曲を見るとリストやムソルグスキーなどクラシックなんですが、演奏はもうほとんどジャズです。曲は彼女自身がかなりアレンジをほどこしていますが、単にジャズアレンジをしたというのとも違った「ジャズ・クラシック」的なテイストがあります。
以前ロシアのカプースチンのアルバムの記事を書きましたが、このかたもカプースチンのファンということで納得です。アルバムにもカプースチンの曲がはいっています。
ジャケットからは想像できないんですが、演奏に入るとスイッチが入る、と言うよりなにかが憑依したように前のめりにパワフルに弾きまくり、足でどんどんと踏み鳴らしながら白熱した演奏をします。指が鍵をたたきつける音がピアノの本来の音とは別に聴こえるすさまじさです。
リストなんかはまさにインプロビゼーションといった感じで圧倒的な気迫に押されてしまいます。
こちらにホームページがあります。
http://www.j-two.co.jp/asuka/
アルバムの曲を見るとリストやムソルグスキーなどクラシックなんですが、演奏はもうほとんどジャズです。曲は彼女自身がかなりアレンジをほどこしていますが、単にジャズアレンジをしたというのとも違った「ジャズ・クラシック」的なテイストがあります。
以前ロシアのカプースチンのアルバムの記事を書きましたが、このかたもカプースチンのファンということで納得です。アルバムにもカプースチンの曲がはいっています。
ジャケットからは想像できないんですが、演奏に入るとスイッチが入る、と言うよりなにかが憑依したように前のめりにパワフルに弾きまくり、足でどんどんと踏み鳴らしながら白熱した演奏をします。指が鍵をたたきつける音がピアノの本来の音とは別に聴こえるすさまじさです。
リストなんかはまさにインプロビゼーションといった感じで圧倒的な気迫に押されてしまいます。
こちらにホームページがあります。
http://www.j-two.co.jp/asuka/