Music TO GO!

2011年03月29日

ジェネシス組曲 - トルガ・カシフ

これは"Queen Symphony"などを作曲したトルガ・カシフという作曲家によるジェネシスの曲をオーケストラアレンジしたものです。オケはプログレ様御用達というか、リックウエイクマンの地底探検などで知られるロンドン交響楽団と言うのがまたマニアックなところです。

YouTubeのトレーラーはこちらです。


これは吉松タルカスの海外版みたいなものかと思いきや、聴いてみるとタルカスみたいにプッと吹き出しそうな完コピではなく、こんな曲あったっけ?という感じです。ジェネシスの曲をベースに再構成した、ある意味リミックスですね。原曲はサビメロとかでちょっとわかるくらいです。
またジャケ写に反してフィルコリンズ時代の選曲が多いのも特徴かもしれません。あえてポップ志向の時代のものを持ってくるのも面白いところです。例えば「静寂の嵐」からだと冒頭曲の「マー伯爵11世」の方がオーケストラアレンジもはまりそうだと思いますが、わざと外して別の曲を選んだりとちょっとひねてます。それでMTVあたりでかかりそうな「Land of confusion」をあえて合唱も加えて「プログレ風な」壮大な作品にしたりしています。(上のトレーラーの最後でかかる曲です)

でもそう言うことは実はどうでも良くて、この「Land of cofusion」とにかくカッコ良いです。カールジェンキンスがジェネシスのアレンジしたという感じで感動的でドラマティックです。Ripplesのハケットのギターパートのピアノアレンジもセンス良いですね。
ジェネシスのオーケストラアレンジということを除いてもなかなか聴きごたえがあります。


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2011年02月20日

Romance with me - SHANTI

今日はちょっと気になってたアーティストのSHANTIのインストアライブを見てきました。
SHANTIはジャズヴォーカリストで、含めてジェームステイラーとかコールポーターなどジャズやポピュラーのカバー曲を歌うスタイルで、忌野清志郎のスローバラードの英語カバーも歌います。
実際に聞いてみるとルックスも良いけど歌唱力もかなり高く表現力がとても良いです。メジャーデビューは昨年ですが、バックバンドを長くやっててミュージシャンとしての経験は豊富ということです。アルバムを聴くと落ち着いた曲も多くジャンル的にはジャズヴォーカルだけど、ライブを見るとポップシンガーとジャズヴォーカルをつなぐところにいる感じです。個人的にはフェイキーのkeikoさんを思い出しました。
インストアではアコギとエレキのシンプルで立体的なバッキングも良かったですね。オーディオ的には前作が録音でもプロ音楽録音賞というのを受けたということですが、このアルバムもなかなか悪くないように思います。
ちなみにSHANTIは本名で、ゴダイゴのドラマーだったトミースナイダーの娘さんだそうです。

ゼクシーとコラボで楽曲提供もしていてweb cmのLove mattersのYouTubeはこちらです。




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2011年02月13日

A matter of life - ペンギンカフェオーケストラ

最近はオールドバンドの新譜が出るのも珍しくありませんが、なんとペンギンカフェオーケストラの新作が出ました。
ペンギンカフェオーケストラというとイーノのレーベルから環境音楽の一環として発売されたユニットです。聴きやすいセンスのよい楽曲で人気を集めました。キーメンバーのサイモンジェフス死後に活動が途絶えたんですが、息子アーサーさんがインディーレーベルとして復活させたということです。
この新作を聴いてみると、落ち着いて聴ける上質の室内楽という印象は同じです。4・6曲目が昔のイメージに近いように思いますね。ペンギンカフェというとイーノなどのアンビエント音楽が暗めで瞑想的なのに対して明るい色彩感が人気のあったところだったと思います。この息子アーサー版では前よりウエットで感傷的なところもまたありますが、この息子さんもなかなかよい感覚の作曲をする人だと思います。

このディスクを見つけたのはエレクトロニカのコーナーだったというのも面白いところです。この音楽自体はエレクトロニカっぽくありませんが、当時の環境音楽と同じようなニッチを埋めるのが今ではエレクトロニカということでしょうか、その辺がちょっと興味深いところです。
家具の音楽とも呼ばれましたが環境音楽は曲それ自体が主張するというより生活の一部に組み込まれ混ざり合うような音楽ムーブメントでした。直接的にはいまのアンビエントにつながる流れです。
ちなみに始祖であるイーノも昨年久しぶりに新作"Small Craft On A Milk Sea"を出しました。こちらもどうぞ。
新ペンギンカフェの試聴は下記Amazonリンクでできます。リンクはMP3ダウンロードですが、ディスクはタワーレコードなどで購入できます。

     

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2011年02月03日

Good day today - デヴィッド・リンチ

はい、これはサントラではありません。監督ではなく、アーティストがデヴィッド・リンチです。なんとヴォーカル(と言うかヴォイス)もデヴィッド・リンチです。あのデビッドリンチがプロデュースした純粋な音楽作品です。
一曲目のGood day todayは意表をつくポップですが、微妙に暗いのか明るいのかわからないところがリンチです。二曲目はリンチの映像作品らしいダークな世界観が繰り広げられて行きます。実際はミニアルバムでリンチのオリジナル曲は二曲だけで、後はUndergroundなどのアーティストのカバー曲で占められています。

デヴィッド・リンチの世界観を体現した音楽でお勧めは、ツインピークスでも出演したジュリークルーズがサントラの他にオリジナルアルバムとして製作したFloating into the nightです。これは映画の世界観そのままになかなかはまる深い音世界です。このアルバムも実質的にリンチが深くかかわった彼の音楽作品といえると思います。

     
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For Your Smile - フライドプライド

こちらも何回か取り上げていますフライドプライドの新作アルバムが発売されました。
フライドプライドというとジャズをベースにさまざまなカバー曲を中心にオリジナルも取り混ぜながら演奏するデュオです。シホさんのハスキーで特徴なヴォーカルとアコギ伴奏というシンプルなスタイルが基本でが、ときとして複雑な曲に挑戦したりもしました。今回はまた「トゥートゥー」のようなシンプルなデュオスタイルで「オンリー・ユー」とか「ユー・ビー・ソーナイス」のようなスタンダードナンバーをカバーしています。ちょっと面白いところではマイケルジャクソンのBadなんかも入っていますが、アルバムとしてみると井上揚水をカバーした時のような意欲作というわけではなく、最近すこしそうだったようなパワフルなアップテンポの調子も控えめになり、「少しリラックスした」とアーティストブログにもあるように、スタンダードの雰囲気とともに一息つけるような落ち着いた仕上がりのアルバムになっていると思います。
今年で10周年ということですが、この機会に少し落ち着いて見つめなおすという感じでしょうか。

しかしフライドプライドを聴くとやはりフェイキーもまた聴きたいなあ、ともちょっと思ってしまいますね。


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2011年01月23日

古い神話の国の新しい音楽

少し前に書いたデンマークのValraun(ヴァルラウン)をなかなか気に入ったので、こういう民族楽器(古楽器)+電子楽器というパターンのいわばロック・ポップ寄りのトラッドバンドを少し発掘してみようと、昨年から探していろいろとCDを買ってみました。日本ではほとんど売っていないものが多いので、まずいろいろ検索してバンド名の情報を仕入れ、そのバンドのホームページを探り当ててそこから買うというパターンです。

トラッドバンドといっても今回はアイルランドとイギリス、およびフランスとカナダなどケルト文化圏は除外しています。そのためポップよりでもロリーナマッケニットとかセシルコルベルは含んでいません(というかこの辺はすでに何回も書いてますけど)。
今回焦点を当てているのはゲルマン・チュートン文化圏の北欧とドイツ周辺です。もともとヴァルラウンという言葉は北欧神話から取ってきているのですが、そうした古い神話の国の今の音楽というわけです。
最初は「北欧神話の国の音楽」というタイトルにしようとしてたんですが、調べてみると北欧というよりドイツのバンドで日本ではルネサンス音楽として捉えられているものをベースとしたバンドが多いのに気がつきます。もっとも日本でよく知られている宮廷音楽的なものよりも、もっと大衆・世俗音楽といったものがベースとなっています。例えばはじめに紹介するFaunのAndroはフォークダンスかなにかの曲のようです。(ラ・フォリアが様々にアレンジされるのに似ているかもしれませんね)

Faun - ドイツ

まずこの傾向のバンドで代表格のひとつ、ドイツのFaunです。 これはPikonosvenieの最新コンピレーションにも入っていたので気になっていました。ダウンテンポ+ゴシック、というデレリウムとかSleepthiefのような音楽傾向に古楽器を加えるというパターンで、どちらかというと(新作では特に)Valravnよりデレリウム色が強く、さきに書いたようにより中世・ルネッサンス音楽よりです。
こちらのライブの動画を見ると演奏スタイルが良く分かると思います。曲は上のコンピにも入っているAndro(Licht収録)です。



ギターの代わりにリュートを使い、バグパイプをメインに使っています。それとステージ向かって右の女性が手で回しながら演奏してる楽器はあまりなじみがないと思いますが、ハーディーガーディーという楽器です。ちょうど先週のテレビ朝日の「題名のない音楽会」に絶滅危惧種の楽器として登場しました。ただこうやって使っている人は使っているというわけです。ヴァルラウンも来日では使っていました。リュート、ハーディーガーディーとバグパイプの取り合わせはとてもルネッサンス期らしいようですが、それに打ち込み電子音っていう組み合わせが特徴的なところです。

Totemはまだ日本のAmazonで買えます。わたしはLichtとRenessanceをホームページから注文しました。(確認メールが来てPayPalで払います)
返事はその日のうちに来ましたが、メールのドメインがミッドガルド(英訳で言うとミドルアース)というところが面白いです。
Faunのホームページはこちらです。
http://www.faune.de/web/index.html


Omnia - オランダ

次にオランダのOmniaを紹介したほうが良いかもしれません。このバンドはスタイルを評して"Pagan Fork"というジャンルで語られ、Pagan Forkというアルバムも出しています。(ここからジャンル名になったのかもしれません)
Paganというのは一般には異端とか異教徒みたいな意味ですが、狭い意味ではキリスト教・イスラム教の(一神教の)宗教から見た場合の、土地に根ざしたローカルな多神教宗教を意味しています。たとえばチュートン・北欧神話とかケルト神話みたいなものがキリスト教から見た場合のPaganとなります。
そのため、Pagan forkとは「異端的な変わったフォーク」というスタイル的な意味とともに、この場合は「ゲルマン系の土着音楽」という意味にも取れます。本来Paganというのは「原始的な」というような差別的なネガティブ表現ですが、この場合はつまり自分で言うわけですから、斜に構えてあえて使っているわけです。

Ominaは音楽的にやはり中世音楽をベースにしてますが、下のライブ動画を見ると分かるようにハイテンションでハイスピード、特徴ある演奏スタイルです。ケルト音楽系でのLAUとか、アイリッシュパンクの系にも通じるパワフルでスピード感がありますね。曲はBealtaine(Pagan Folk収録)です。



OmniaはPagan Forkが日本からもAmazon契約の米国ショップなどで買えるかもしれません。私はPagan Fork聴いて気に入ったので全部アルバムをバンドのホームページから通販で買いました。(CDの海外通販で困るのは送料が高くつくということですので、たいてい一気買いします)
Omniaは曲をリミックス風にしたり、最新アルバムではラップを取り入れたりといろんなことをやっています。
Omniaのホームページはこちらです。
http://www.worldofomnia.com/


Dunkelschoen - ドイツ

Dunkelschoen(oeはOウムラウトの代記)はやはりルネッサンス世俗音楽をベースにして、Omniaに比べると全体にメロディアスでヴォーカル主体曲も多くしっとりと美しい佳曲も多くあります。加えてエレキベースやドラムスなんかも含めてけっこうキャッチャーな美メロポップ風な曲もあります。
下記の動画はDunkelschoenらしい美しい小品、"Quiet land"(アルバムKathasia収録)です。



こちらはやはりアーティストのホームページから直接買いました。返事はやはりきわめて早く、「英語はうまくないんだけど。。」と海外からメールもらうのも新鮮です。ただしなぜかFaunよりも郵送に時間がかかりましたが、この辺の郵便事情もちょっと不明です。
Dunkelschoenの
ホームページはこちらです。
http://www.dunkelschoen-musik.de/


Wardruna - ノルウェー

北欧神話の国の音楽というと実のところWardrunaが一番あっているかもしれません。これはバイキングの戦いや踊りの音楽をイメージして、それを呪術的なビートでアンビエント風アレンジとなっています。妙に鬼気迫るヴォーカルスタイルとか、ダークなイメージはCold meatレーベルにいても良さそうな北欧インディーバンドっぽい感じがします。
出しているアルバムのタイトルは"Runaljod - gap var Ginnunga"「(北欧神話に出てくる)ギンヌンガの裂け目」、バンドのマークはルーン文字というまさに北欧神話の世界を体現しています。
下の動画はKanua(上記アルバム収録)です。



こちらWardrunaのホームページです。
http://wardruna.com/


Valravn - デンマーク

冒頭に書いたValraunです。Valravnはデンマークがベースのユニットですが、メンバー自体は各国からきているようです。ヴォーカルはもともと女優志望だったということで、なかなかステージも魅せてくれます。



ホームページのリンク先を見るとトラッド系と一緒にかなりインディー系の怪しい音のバンドがリストされているのが面白いところでバンドの音楽性を感じます。
Valravnは最新アルバムが日本では普通に買えます。その前のは入手困難のようです。
こちらValraunのホームページです。
http://www.valravn.net/


この辺から番外編に近くなりますが、やっぱりメタルでなきゃ、という人にはトラッドフォークとメタルの融合、スイスのEluveitieなんかも挙げておきます。下はInis Mona(Slania収録)です。



古楽器の素朴な音色とデス声のミスマッチ感がなんともいい味です。こちらでもハーディーガーディーが使われていますね。こんなに使われていてほんとに絶滅危惧種? Eluvetiは日本で普通に買えると思います。
あとついでではありますが、実はこの手のバンドでは日本で一番知られているかもしれない、リッチーのBlackmore's Nightの新作が出ています。これも日本で普通に買えます。
http://www.amazon.co.jp/Autumn-Sky-Blackmores-Night/dp/B003YUK8GO
動画は最新アルバムではありませんがヒットしたShadow of the Moonから御大のアコギ演奏を見ながら本記事を締めたいと思います。第一期パープルを知っているとこうした音楽性は意外ではないと思います。なおヴォーカルはリッチーの奥さんです。





まえに世界の個性的なレーベル紹介ということで、フランスのPikonosvenieとアメリカのProjektを取り上げたんですが、音楽で世界をめぐるというのもいろんな文化の発見があって面白いものです。

Pikonosvenieの記事
http://vaiopocket.seesaa.net/article/112958381.html

Projektの記事
http://vaiopocket.seesaa.net/article/30956262.html

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2011年01月13日

夜長オーケストラ

今年はいろいろ買うものがあって新年になってから通販も入れるともう10枚以上CD買ってますけど、中から今年一回目の音楽紹介として力強くて爽やかな映像からはじめたいと思います。
この夜長オーケストラは管弦楽とエレクトロニカの融合を感じさせるユニットです。下記にライブ映像がアップされています。



アルバムとは多少アレンジが違いますが、アルバムの方を聴くともっとギターとか打ち込み系がフューチャーされていて、ジャンル的にはエレクトロニカでいうところのポストクラシカルに近いと思います。アルバムで曲が進むと美しい曲構造が徐々にこわれていくところはWorld's end girlfriendのHurtbreak WonderlandとかKASHIWA DAISUKEのApril#02などを想起します。そのため、Youtubeのタグにもジャンルにエレクトロニカが入ってます。
ただそうしたアーティストよりはエレクトロニカっぽいところは強くないので、わりとクラシックの周辺・クロスオーバー的な音楽としても聞けます。サラブライトマンみたいな音楽が好きな人にもよいでしょうね。

購入はメジャー流通では出てないようなのでAmazonでは買えません。これは目白のプログレ屋さんWORLD DISQUE(マーキー)で買いました。こちらがホームページです。
http://www.marquee.co.jp/world_disque/d.w.frameset.html
上のライブ曲の「群青 survive」は1st収録です。
あとは夜長オーケストラの公式ページからも買うことが出来ます。
http://yonaga.net/Yonaga/Top.html
公式ページからは試聴用のMP3もダウンロードできます。
今回はWORLD DISQUEのTwitterで知ったんですが、また今年も良い音楽を見つけていきたいものです。
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2010年12月05日

キャロル - Aura

女性5人組のアカペラコーラスグループのAuraの新作です。今日発売記念ミニコンサートがあったので聴きに行ってきました。いままでAuraはクラシックの楽曲に歌詞を創作して歌うというスタイルだったのですが、このアルバムではホリディシーズンにあう教会で歌うような曲が選ばれています。美しいコーラスの響きが違和感なくAuraの女声アカペラコーラスという音世界に自然とあうように溶け込んでいます。
皆さんの歌うのを見ていると各人が常にそろって歌うのではなく、持ちパートがあることをうまく生かして曲に厚みを与えています。ちょうどカルテットでヴィオラがヴァイオリンに厚みを与えているような相互関係の妙です。シンプルなアカペラですが、こうして豊かさを感じられます。

私もロスアンゼルスに駐在員で赴任して住んでたときに、アメリカに居るんだからクリスマスくらいは教会に行けとアメリカ人の同僚に言われて、むこうの教会の日本人部を紹介してもらって、少しだけ教会に行ってたことがあります。
教会も現地のアメリカ人が行く方は牧師さんもやたら砕けてカジュアルな雰囲気なんですが、(おそらく日本でもそうだと思いますが)日本人部は真面目で厳粛な雰囲気でした。そうした中でみんなで賛美歌を歌ってると、とても清廉で気持ちの良い感覚になったことを覚えています。
私が行っていたむこうの会社ではいま頃になると会社のホールで有志によるコーラスの練習が行われていたことも懐かしく思い出します。もうそういう季節になりましたね。

慌ただしい年の瀬ですが、こういうときだからゆっくりと気持ちの良い美しい音楽を聴きたいと思ってる人にお勧めです。
試聴は下記リンクのAmazonのリンクでどうぞ、

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2010年11月14日

映画サイレントランニングとジョーンバエズ

実は私は結構映画アヴァターが好きなんですが、先日また特別編をiMAXシアターで見に行きました。そうしたらちょっとなにか思い出すものがありました。そしてあとで追加映像が含まれる新バージョンDVDがまた発売され、その冒頭が荒廃した地球から始まるものに変わる、というニュースを見て思い出したのは映画「サイレントランニング」です。
サイレントランニングは1972年に製作されたもので、SF映画としては古典的な作品です。「2001年宇宙の旅」が1968年、「スターウォーズ」が1976年なのでその中間ほどの作品です。2001年宇宙の旅などのSFX監督で知られるダグラストランブルが監督として撮影したものです。しかし収益が思わしくなかったため、あまり知られてはいませんが、その質の高さから一種伝説的な映画と言われているものです。

これは音楽と映画という関係でも面白いものがあるので、今回取り上げて見ます。
ネタばれになりますが、もうDVDも絶版でまずほとんど見ることはないと思いますのでYoutubeでアップされているシーンを含めてストーリーを追って紹介してみます。

SFX監督の映画というと派手なものを思い浮かべるかもしれませんが、冒頭は下記のような花々をアップにした背景に優しい音楽がかぶさる美しいものです。この音楽はテーマ曲のインストバージョンです。



次のカットもなかなか良いのですが、主人公がキッチンで果物を洗っているところをカメラがパンしていくと、この映画の舞台が現れます。実はさきの緑の木々はこのドームの中だったわけです。
そしてかぶさるように大統領のナレーションが設定を解説します。

「大いなる世紀の初頭に当たり、
われわれは惜別の情とともにこの最後の緑に別れを告げる。
いつの日にか地球に緑が戻ることを願う。
神よ、その日までこの緑の庭を守りたまえ。森の守護者たちに祝福あれ。」




実はこの映画は冒頭部を除いて全編を通じてほとんど主人公の植物学者であるフリーマン・ローウエル(ブルースダーン)と3体のロボットしか出てきません。これは低予算で作られたからということもあるかもしれませんが、少し性格のきつめな主人公の一人芝居と、子供のように純真無垢なロボットの演技がとても良い対比をなしています。 (ロボットは当時なので小さな俳優が入っています)

ここで"Rejoice in the Sun"というジョーンバエズが歌うテーマ曲がかぶさります。
ジョーンバエズは60年代を代表するフォーク歌手ですが、プロテストソングの歌手としてよく知られています。「ドナドナ」もそれまでは民謡にすぎなかったんですが、ジョーンバエズがベトナム戦争で兵士が従軍するさまにかけて歌い流行させたものです。
この未来SFというテーマと素朴なフォークソングの取り合わせが絶妙な演出です。



しかし細々とドームで保護されていた最後の緑の木々にも政治的に廃棄の命令が下されます。ローウエルはそれに逆らい、一隻の船で逃走します。

おなじく"Silent running"というジョーンバエズの歌がこの孤独な逃走を象徴しています。
このように映画では当時の音楽とうまく融合が図られています。
ちなみにこの二曲は探したんですがジョーンバエズのCDにはないようなので、もうこの映画の中でしか聴くことができないと思います。


最後には結局地球からの捜索船に見つかってしまいます。あきらめたローウエルは最後の緑のドームにロボットを一体いれ、ドームを船から切り離します。そして「子供のころビンに手紙を詰めて流したけど、あれはだれかに見つかったのだろうか」とつぶやき自らは船とともに自爆します。

ラストシーン、ドームにひとり残ったロボットはじょうろで木々に水をかけ、いつまでも世話を続けます。ラピュタもこれに影響されていると思いますが、印象的なラストです。

そして最後にまた"Rejoice in the Sun"がリピートされます。

「太陽の下で
子供たちをそばに引き寄せなさい
そして愛するものはみな死にゆく運命にあると教えなさい
なぜそうなのかも

そしてまだ遅くはないと教えなさい
だから少しずつ少しずつ種を植えていきましょう
太陽の下で収穫を喜ぶために」



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2010年10月17日

ワタリガラス〜神々の夢物語 - ヴァルラウン

このアルバムは帯に、《北欧トラッド》+《ゴシック》+《デジタル・ビート》+《プログレ》+《北欧神話》+《ケルト》 と長々とジャンルのコピーが書いてあるんですが、私はほとんど該当するので買ってしまいました。
ヴァルラウンという北欧系のグループ名がかっこいいバンドで、デンマーク出身とのこと。ヴォーカルはデンマーク語と一部フェロー語で歌われていると言うことです。
ワタリガラスは北欧神話のオーディンの使いとして現れると言われているものです。いわゆる使い魔ですね。

ビョーク風のヴォーカルに北欧トラッド風の味付けでデレリウム風のエレクトリックビートサウンドという感じですが、「仮ぐらしのアリエッティ」でセシルコルベルのファンになった方が次を探すにもお勧めかもしれません。
セシルコルベルの場合はトラッド色とポップ色が半々位ですが、こちらはもっとビートよりです。トラッド色を残しつつもっと現代ビートサウンド方向が好みの人にはオススメです。

今年のケルティッククリスマスにも参加すると言うことです。アルバムはこちらのプランクトンのホームページにも詳しくのっています。こちらでは試聴もできます。
http://www.plankton.co.jp/373/index.html

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2010年09月25日

追憶のショーロ - 鈴木大介

自分ではそう意識してなかったんだけど、ふと自分のリファレンスにしてる曲にギター曲が多いと言うのに気がつきます。
鈴木大介さんは主にクラシック分野で活躍するギタリストで、このアルバムはアグスティン・バリオスと言うギターの名手にささげられたものです。ただこのアルバムで特筆するのはそのギターの音の美しさ。録音もよいんですが、使われているギターが1964年製のイグナシオ・フレタというギターの名器で日本には4本しかないそうです。
ちょっとミニコンサートも聞いてきたんですが、本人もギターは高次倍音が多い楽器で録音のときは大変だったと語ってました。この名器イグナシオフレタのことを語るときは生き生きとしてましたが、良い再生機にこだわるって言うのは聴くほう以上に演奏者のこだわりかもと思いました。
下記Amaoznリンクで試聴できます。


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2010年08月26日

シンフォニシティ - スティング

うちのブログでもけっこうスティングの新譜を書いてますが、また新作アルバムが出ました。
これはポリス時代やソロになってからの名曲をオーケストラアレンジしたものです。
企画ものとしては珍しくないように思えますが、アレンジも良く、覚えのある曲がオーケストレーションで表情を変えるのが面白いところです。

Next to youでは吉松タルカスのようにオーケストラならではのパワーでロックを表現しているし、
ロクサーヌは好きな曲のひとつなんですがストリングスや管楽器でしっとりとした雰囲気感をあげてます。ロクサーヌではオリジナルより複雑な印象をうけますがEnglishman in Newyorkではシンプルなままで原曲の良さを生かしクラシックというよりはジャズ風な仕上げが上品です。

しかしロクサーヌを聴いてるとスティングも歌唱がさらに上手になったと感じますね。最近のクラシックヴォーカルものに挑戦していたのも伊達ではありません。
ベテランになってもいろんなことに挑戦して自らを磨いて行く姿勢はさすがですね。
DVD付きもあって、そらちはSHM-CD仕様です。


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2010年08月16日

Gloria/Te deum - カールジェンキンス

タワレコにいったところ、吉松タルカスのところに空前のヒット!という広告ポップが立ってました。意外とと言ってはなんですが、けっこう売れてるんですね。ロックにオーケストラを入れるのはよくあるんですが、純粋な管弦楽曲でプログレっぽいアプローチというのは意外となかったかもしれません。(オーケストラル・チューブラーベルズのようにオフィシャルものもありますが)

こうしたプログレっぽいオーケストラものを探しているひとにお勧めの作品はこれ、ソフトマシーンにいたカールジェンキンスの新作、Gloria/Tedeumです。
以前"This land of ours"収録の"In these stones horizon sing"を紹介しましたが、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/120104117.html
このGloriaも声楽を交えた壮大な管弦楽曲です。冒頭から声楽と管楽器でかっこよく鳴り響く壮大なテーマの提示に圧倒されます。
また壮大なテーマだけではなく歌曲もなかなか美しいものです。下のYoutubeビデオではピアノを弾いているのはカールジェンキンス本人です。



カールジェンキンスについてはアディエマスというのもいまは昔で最近はこうした現代管弦楽曲を主に作曲しています。普通こうした宗教曲をテーマにした作品は教会なんかの委託が多かったりしますが、このGloriasは変わった事に楽章の間にテキストの朗読があり、それらは仏教とかヒンズー教の他の宗教からの聖典からの引用です。
そうした面白いアプローチでまた作品世界を広げています。

こちら試聴のためのiTunesリンクです。
http://itunes.apple.com/jp/album/jenkins-gloria-te-deum/id378611137




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2010年08月05日

吉松隆タルカスを語る

今日はタワレコで吉松隆さんのタルカス発売記念のトークイベントに行ってきました。
なんだかんだと構想から足掛け40年くらいかかったといってましたが、やはりプログレバンドって備忘録みたいなものだけで演奏していてスコアを書かないようで、そこを耳コピするのが大変といってました。分析していくとジャズみたいにテーマパートとアドリブパートがあって、そこをうまくまとめていったとのこと。
今回のポイントはいわゆるクラシックの上品さというよりも、ロックの破壊力をオーケストラで再現したかったとのことですね。原曲を知っていると演奏してるときに笑っちゃう人がいたというのがちょっとおかしかったです。
とにかくこうした試みが広まってほしい、といっておりました。
吉松隆さんのホームページはこちらです。

http://homepage3.nifty.com/t-yoshimatsu/

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2010年07月24日

タルカス - 吉松隆

吉松隆氏はプログレ派を自認する現代音楽の作曲家です。今年オペラシティで、伝統音楽以外のオーケストラ曲を新世代に紹介すると言うテーマで開かれた東京フィルのコンサートで、EL&Pのタルカスをオーケストラアレンジした曲を披露しましたが、そのコンサートがCD化されました。
ほかには黛敏郎氏の「BUGAKU」や四重奏曲の「アメリカ」のオーケストラアレンジも収録されています。現代曲だけど難しくなくて聴きやすいというのが一つのテーマということです。

タルカスはなんと譜面がないんで全部CDから耳コピしたそうです。
同アルバム収録のアトムハーツクラブも一部タルカスから取ってるんですが、それに比べるとかなり原曲から忠実に起こしています。
このタルカスは曲の権利を持ってるキースエマーソンにも承諾を得てるそうですが、本人にも気に入ってもらえたとか。実際聞いてると、レディース&ジェントルマンに入ってるキースエマーソンの純粋な管弦楽曲にもちょっと似てるところがあって、キース本人が一番やりたかったのではないでしょうか。ピアノパートは本人にやってもらうと言うとすごかったことでしょう。
東京フィルのコンマスもプログレファンということで、テーマにかこつけて趣味で楽しんでやってるのが良いですね。

吉松隆ではピアノ作品のプレイアデス舞曲もお勧めです。現代音楽でありながら聴きやすくきれいな作品です。ちょっとフランス印象派のような不思議な浮遊感のある美しい曲です。(下記の2100円のほうがリマスタリングされています)
また水色スカラーというギター曲が村治佳織さんのリュミエールに収録されていますがこれも吉松隆氏らしいフレーズが聴けます。
試聴は下記リンクからどうぞ。

      

それと他にもタルカスのカバーがあります。
こちら邦楽楽器グループのKoKooのタルカスです。タルカス以外にもいろんなロックのカバーが面白いですね。
http://www.kokoo.com/cd/index.html
また下記Amazonのリンクにピアニストの黒田亜樹さんの器楽アンサンブル版もあります。

もっとストレートなロックのカバーではRobert Berryのちょっとかっこよいアレンジの聴けるものが、下記のトリビュートです。またエマーソンレイク&パウエルのアルバムにも収録があります。
もちろん本家もよろしく、今年はショパンイヤーに隠れてEL&Pイヤーですね !

      

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2010年06月27日

マイクオールドフィールド初期三部作(2010 Mix)

いまなぜかプログレ本の出版ブームで、二冊のムックの他に雑誌でもBeat Sound誌がプログレ特集を組んだりしています。

          

最近は学生など若い人がCDを買わなくなったので、大人が代わりにがんばってCDを買ってあげるはめになり、往年のバンドもそれに答えるようにがんばっています。そんな中で今年はELPが40年節目の年ということのようですね。
反面で最近新しい目立ったプログレバンドがあるかというとそういうわけではなく、お馴染みになったAnekdotenとかアニーハスラムとも共演したMagentaもまあいいんですけど、オリジナリティは今ひとつという感もあります。
そういうわけでプログレムーブメントが再度活性化してきたわけではなく、ビートルズ再発から続く復古ブームの延長なのかもしれません。

新しいものがないなら、結局古いCDを取り出して来ることになりますが、さすがに聴き飽きたという愛聴盤も数多くあると思います。そう言うものにはちょっとスパイスをかけると、また味を変えて楽しめるかもしれません。
最近マイクオールドフィールドの初期三部作が2010 Mix(チューブラーベルズは2009)ということで再発され、まんまとわたしも三つとも買わされてしまいました。私は通常版の2010/2009ミックスだけ買いましたが、他にSHM-CD仕様と最近流行の5.1chサラウンドDVDの付いたデラックス版もあります。下記リンクはデラックス版のものです。

          

聞いてみると音の曇りが取れてクリアに晴れあがる、いわゆるリマスター的な明瞭感があるのですが、それよりも聴いて行くと「あれ?こんな楽器あったっけ」という箇所が随所に出てきます。始めは新しく録音をして音を加えたのかと思ったんですが、オリジナルをよく聴き返すとそこにその音がもともと入ってるというのが分かります。
前には埋もれていたある楽器・あるトラックの音が2010年版では浮き出るようにシャープに描かれています。そのためまるで新しく音が加わったように感じられます。おそらくミキシングの調整だけで新しい録音のようにしてるようですね。

前にもリマスターしてる「チューブラーベルズ」よりも手を加えられることが少ない「ハージェストリッジ」とか「オマドーン」の方がよりはっきり気が付きます。多少重めのオマドーンよりもハージェストリッジの方がはっきりしているように思います。この辺はちょっと新しい発見があって面白いところです。

ミキシングの考え方も昔は音を混ぜるという考えだったのが、今は一つ一つ音を際立たせると言う方向に行ってるのかもしれません。結果的に複雑感が増し、豊かに聞こえます。オーディオ装置の発展というところも絡みそうです。
Dead Can DanceのSerpent's EggやイエスのFragileのようなモービル盤のオーディオファイル向けリマスターとも方向性が異なりますが、あたらしいスパイスで古い作品がまた楽しめます。

実際、これらは残して行きたい作品です。ある意味もう作られることはないでしょう。アーチストのマイクはまだまだ現役ですが、周りの時代がもう異なります。
映画音楽ともなったチューブラーベルズはあまりに有名ですが、他の二作も秀作です。ハージェストリッジはマイクのルーツ的なケルトをより志向し、オマドーンではワールドミュージック的な展開も見せ、最後にインストゥルメント多重録音で知られた彼が素朴な民謡と声で締めくくる、という本当に文句のない作品群です。当時のプログレムーブメントの中で生まれた、当時ならでは完璧な音楽作品です。
実際は三部作プラス「インカンテイションズ(呪文)」まで初期作品群としてみなせますが、ある意味インカンテイションズとかイエスの海洋地形学みたいなLP二枚組で全4曲の作品は彼らのやろうとしていたことの完成系に近いと思います。しかし、ロックであってロックでなく、本来は今なら吉松隆あたりが逆側からやろうとしていることに近いとも言えそうです。ただこれらはある意味やり過ぎだったのかもしれません。究極のロック進化型を目指していたら、あまりにもロックではなくなりすぎたという批判もあります。
そしてこれらは続くものもなく、やがてプログレや他の70年代巨大音楽産業自体が廃れていく反面でパンクやオルタナが出てきて、混沌として爆発的な80年代へと突入して行くわけです。

ただオーディオでも黄金期に最高を目指して作らた名器は素晴らしさを失うことはなく、いまでも敬愛され使われています。カメラでもライカやツアイスはそうです。時代が最高のときに最高を目指して作らた、という点でこれら三部作も残っていくでしょう。
高名な写真家のアンセルアダムスは「ネガは楽譜で、プリントは演奏」といいました。これは同じネガフィルムから、プリント技術でいかようにも表現の違う写真が作れると言うことです。
そういう意味では音楽もそうで、同じマスターからリミックスすることで色んな最終形態としてのCDが作れるということでしょう。
これからの音楽の配信形態がどうなっていくかということも大事かもしれませんが、むしろこれらの良い作品をどう残していくかということが重要なことにも思います。
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2010年06月12日

HORISON - アニャンゴ

今日はアニャンゴこと向山恵理子さんのインストアイベントを見てきました。これ、見に行ったわけでなくたまたま行ったらリハーサルやっていて面白そうだったので本番までみてしまいました。
わたしも今日まで知らなかったのですが、彼女はニューズウィークの選ぶ世界が尊敬する日本人100人の中に選ばれ、ケニアでは尊敬する日本人の第3位というひとだそうです。ニャティティというケニアのハープのような民族楽器を学ぶために単身ケニアに行き、はじめは女性には教えられないといっていた師匠もついには折れて、女性で初のニャティティ奏者となったとのこと。

アコースティックな民族楽器のソロ演奏かというとそうではなく、ベースギターやドラムスのリズムパートを今風にして、ダンサーといっしょに聴きやすくグルーブ感のある、明るくノリの良いステージが楽しめます。



その修行記の本も執筆されてますが、あの9.11の影響でアメリカで音楽修行ができなくなっての転進ということです。転機というのはどこにあるか分かりませんね。

こちらオフィシャルホームページです。
http://anyango.com/

こちらMySpaceでも試聴とビデオが見られます。
http://www.myspace.com/jowimusic

明日(6/12)横浜の赤レンガ倉庫でアフリカン・フェスタ 2010というのが行われ、12:30からまたライブがあるということです。無料ということなのでぜひどうぞ。

      
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2010年05月16日

24のプレリュード - 三浦友理枝

土曜は才色兼備のピアニスト、三浦友理枝さんのタワレコでのミニコンサートに行って来ました。これもショパンイヤーにちょっと関連したもので、彼女の「24のプレリュード」発売記念です。
(三浦友理枝公式サイト)
http://www.yamaha-mf.or.jp/art/official/yuriemiura/

試聴は下記アマゾンのサイトでできます。



今回はタワレコのショパンイヤー応援団長、ではなく応援隊長に任命ということです。
みずから肉食系というアリスの場合は応援団長と言う言葉もイメージ的にぴったりくるけれども、この方の場合は隊長というよりもどちらかというと応援団のマスコットのマネージャーさんというイメージではあります。

何回かうちのブログでも書いてるんですけど、彼女はタッチが滑らかで美しく色彩感があるように感じられるので、いくつか出したフランス系の方があっているかとも思っていましたが、本人はショパンが一番すきということです。実際ライナーの曲紹介も自らが全曲分書いています。このアルバムではいままでより抑揚がダイナミックな感触さえ受けますね。

今回は24のプレリュードから何曲か抜粋して演奏されました。
全曲となると24のプレリュードは順番どおり引くことで意味があるそうで、隣り合う曲の相関や全体の中での位置づけというのも意味があります。これは24という数に意味があるからで、近代音楽が12音ありそれぞれ長調と短調があるので調性が全部で24種類あるということによります。それを全て使うわけです。

24曲中では(日本では)だれもがきいたことがあるのはCMで知られる7番ですけど、単品として取り上げられるくらい一番知られているのは「雨だれ」とも呼ばれる15番です。この曲は全曲中一番長いのですが、これがここにあるというのもまた意味があるということです。
雨だれは同じ音を連打することで雨だれとも呼ばれてるんですが、これは弾いてるピアニストのテンションもあげるそうで、ここから一気にクライマックスに流れ込むぞという気分にさせる効果があるそうです。
この雨だれも含め、とても素晴らしい演奏で、せっかく目のまえに美人が弾いてるのにもったいなくも目を閉じて聴き入ってしまいたくなる魅力がありました。

しかしショパンっていままであまり意識して聴いてなかったんですけど、こうしてきっかけをもって聴いてみると、ピアニストによってショパンって多彩であり、そう言う意味ではやっぱりピアノの基本だと言う気になってきました。このアルバムではショパンに関しては当人も一番好きというだけあって個性的なアリスに比べると、より正面から向き合っているように思えます。

24のプレリュードの一番始めの曲はコードの基本であるハ長調ですが、これは実は24曲中一番後に作曲されたものだそうです。明るく始めて暗く(ニ短調)落とすという、全体の中でのバランスを考えたものだそうですが、これは人の生まれてから終焉までをも意味するということです。
また考えてみるとCから始まると言うのはショパン(Chopin)のCにかけてるように思います。これはダ・ヴィンチコードならぬ、文字通りショパンコードというところでしょうか。
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2010年04月30日

SWEDISH LULLABY - シゼル・ストーム

これはスウェーデンのシゼルストームによるジャズヴォーカルアルバムです。はっとするような魅力のあるジャケットに惹かれてしまいますが、曲もとても素晴らしいものです。
試聴は下記のmyspaceで出来ますが、モダンでかつ憂いを含んだ落ち着いた曲が北欧ジャズのイメージにもマッチします。一曲目のタイトル曲は美しい展開の中にも終盤のチェロのソロが斬新な感覚を添えてくれます。myspaceにはありませんが、8曲目の「エミリー」もなかなか名曲だと思います。
*Amazonのリンクはなぜか高価ですが、タワレコなどでもっと安く買うことが出来ます。

試聴はこちらです。
http://www.myspace.com/sidselstorm


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2010年04月11日

Kari-gurashi〜借りぐらし - セシルコルベル

以前Cecil Corbelがジブリの新作の主題歌を担当すると書きましたが、その主題歌を含むアルバムが発売されました。
ただしこれはサントラではなく、映画のイメージに合わせて作ったイメージアルバムです。つまり実質的なCecil Corbelのオリジナルアルバムで、Song book1とSong book2に次ぐ新作になります。以前Songbook2の記事を書いた時点ではこんな形でCecil Corbelの新作が発売されるとは思いませんでしたね。主題歌の英語版も入っています。
いつものポップ色の強いアイリッシュベースの音ですが、やはりイメージアルバムということもあってか、全体的な音のまとまりが高くトータルアルバム的なものに仕上がっています。また、いままでのようにトラッドアレンジの曲がないのも特徴かもしれません。

以前書いたフランスの妖精のレーベル、Pikonosvenieの主催者とメールをしてたときに、お勧めのアルバムとしてCecil CorbelのSong book2をあげてもらったことがありました。それだけセシルって向こうでも知ってる人は知ってるタイプのアーチストではあります。
日本でもライブをするそうなので、またたくさんの人に知ってもらう機会になると思います。


posted by ささき at 23:12 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする