今年も上野の水上ホールで開催された「ノルディック&ケルティック ミュージックパーティー2015」略してノルケル15に参加してきました。これは北欧とアイルランドの伝承音楽を日本人バンドが演奏するミュージックフェスです。午後1時頃から6時頃まで10のグループが演奏していきます。
こちらにイベントのホームページがあります。以下の動画は公式動画です。
http://nordicceltic.blogspot.jp/
また昨年のブログ記事を下記リンクに書いてます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/399489752.html
伝承音楽なので普通の人はまず見たことのない楽器のデパートみたいになるのが面白いところ。指穴のない謎の横笛(ノルカルTOKYO)や、古代の楽器を思わせるカンテレや音色のきれいなハンマーダルシマー(小松崎健&あらひろこ)などなど。スエーデンのニッケルハルパ(Johansson Sagaの一番左)などはこの場に来るとメジャーな楽器になるほど。
ノルカルTOKYO - Selje Halling
小松崎健&あらひろこ - Orphan, Mist Covered Mountain
伝承音楽なのでアイルランドのオ・キャロランなど有名作曲家のものがベースにはありますが、日本で独自発展して日本語歌詞がついたりして発展していくグループがあるのも面白いところ。そういう意味でも今年はJohansson Sagaが特によかった感じです。曲もドラマティックでよかったんですが、アイリッシュのヴォーカルはああいう風に力強く気高く歌ってほしいという感じでしたね。またフィドル(バイオリン)はまだ子供ですがなかなかしっかりした演奏。次がまた楽しみです。
Johansson Saga - でげでげ
Johansson Saga - 船上の薔薇
上野の水上ホールは半野外なので音楽に鳥の声がかぶって聴こえるのも面白いなぁ、と思ってたら聴こえるどころか全力演奏してるステージに鳥がはいってきたりします。鳥にとっても嫌な音ではないんでしょう。まさにearthyというか土の香りのするイベントではありました。
小松崎健&あらひろこ - カンテレと鳥の声の合奏
会場全景
Music TO GO!
2015年06月27日
2015年04月16日
ショパン・プロジェクト - アリス=紗良・オット/オラフ・アルナルズ
アリス=紗良・オットとオラフ・アルナルズという組み合わせで「おっ」と言う人がどれだけいるかわかりませんが、とにかく私はタワレコ店頭で見かけて「おっ」と言ったのでそのまま購入しました。ピアニストのアリス=紗良・オットはご存知の方が多いと思いますが、オラフ・アルナルズはエレクトロニカ・現代音楽系の人で最近日本でも人気です。私はどちらのアーティストも好きでそれぞれアルバムも持っています。ただ別々のジャンルの人だと思っていました。ショパン・プロジェクトはショパンの作品をこの二人が再解釈するというものです。
この組み合わせでひとつ思い出したのは、「クラシックの有名演奏家 + エレクトロニカ・現代音楽家」という組み合わせは前にも書いたということです。それは前に書いた記事のハウシュカとヒラリーハーンの"Silfra"です。
ちなみにアリス=紗良・オットはFransisco Tristanoとコラボしてやはりクラシック再解釈アルバム"Scandal"を出してます。クラシック作品にしてはポップなアルバムジャケットアートが面白いんですが、これも中身は良いです。こうしたコラボを好む人でもありますね。
ショパン・プロジェクトは音楽的にはこれも前に書いたやはりエレクトロニカ・現代音楽家であるマックス・リヒターの四季(邦題は"25%のビバルディ")のように、クラシックの有名作品を現代エレクトロニカ音楽家が再構築をするというものです。ただし手法は異なっています。
マックス・リヒターがサンプリングとかループと言った、わりと今風のDTM手法をクラシックの曲に適用したのとはある意味逆で、オラフ・アルナルズの目指すところは「作品における人間臭さ、ヒューマニティの復権」です。別な言い方をすると聴いている人間に近いという感じでしょうか。詳しくは下記リンクの海外ウェブマガジンにインタビューが載っています。
http://nbhap.com/interviews/olafur-arnalds-alice-sara-ott-chopin-project/
クラシックの録音は普通はとてもきれいで、ある意味で潔癖症です。正確に演奏し、余分なノイズを排除して行いますが、そこにもっと演奏者の息使いや椅子のきしみなど環境音を入れることで人の存在を感じられるものとしたいというのが二人の共通意見です。アリスはタワレコのショパン大使になったこともあり普通のショパンのアルバムも出していますが、彼女の好きな昔のショパン弾きは実のところ誤った音をたくさん弾いているけど、昔の録音だとそれが悪くなくむしろ人間的に思える、しかし今日の潔癖症録音でそれをやってしまうと粗が目立つだけのアルバムに仕上がってしまうという点に不満を寄せています。
そこで「ショパン・プロジェクト」では録音にはビンテージマイクとアナログ機材を使い、録音方法も演奏者の息遣いを意図的に入れるように工夫しているということです。またピアノはプリペアドにして音色を調整しています。ピアノはこのプロジェクトのためにプリペアドピアノとして「改造」されたようです。たぶんちょっとモノを挟めた程度ではないんでしょう。コンサートというかライブで披露したときはステージのピアノを20分かけてプリペアドにしたということです。それだけ音色にはこだわっています。
これにアルナルズの電子音およぴストリングスのパートと、アリスの弾くショパンの曲が交互に展開していきます。アルナルズのパートはショパンのメロディをアレンジしたもので、After Chopin(ショパンにならい、みたいな感じ)と英語版ではタイトルについています。ピアノパートにもフィールド録音した水音や会話のサンプリングなどを少し混ぜています。
ショパン自身は即興的な傾向の人で、同じ曲で出版社に渡した楽譜が異なるというのもよくあるそう。その辺もショパンを選んだ理由のひとつだそうです。彼女らはおそらく決まり切ったものを正確にこなすというところに、非人間性のような問題意識をもっているのでしょう。
こちらにプロモーションビデオがあります。
実際に聴いてみると、ピアノの音は普通に良録音で聴くようなエッジが立って硬質感があるような音ではなく、霧の中に響くようなぼやけた不明瞭な音で響いています。録音機材だけではなくプリペアドピアノの音色変更の効果もあると思います。
たしかに背景にアリスの声にも思えるハミングのような音がするけど、グールドのような明瞭な鼻歌ではなく、それももしかすると電子音のノイズや水の音のサンプリングと区別がともすればつきにくく感じられます。彼女の弾くショパンもピアノであることの主張を控え、アルナルズのストリングや電子音と混じっていき渾然一体となっていきます。それらは電子音なのか生楽器なのかあいまいになり、そうしたことはどうでも良いのではないかと思えるようになります。
録音を工夫してギシギシ言う環境音を言わばアコースティックなグリッチ的にわざとピアノ曲に絡めるのは、ポストクラシカルとも呼ばれるこの辺の音楽家の最近の常套手段だと思いますが、オラフ・アルナルズはそれをもっと別な角度から行いたかったのではないか、ともちょっと思います。
また、ピアニストのハミングなど交えたという点からは上にも書いたようにグールドを連想しますが、実際に彼らもそれを意識しているようです。とはいえ、グールドが観客との交わりであるコンサートを避けてあえて録音のみを志向していったのは彼なりの音楽追求なわけですが、このアルナルズやアリスの方向性はそれと逆なのか、あるいは実は同じなのか、とあれこれと考えてみるのも音楽の楽しみのひとつではありますね。
もうひとつ面白いのはこの実験的な感じのアルバムがマーキュリーというメジャーレーベルで出ているということで、インタビューの中でもインディーレーベルならこういうのは出しやすいが、メジャーでこうしたアルバムがリリースされるというのは業界が変わりつつあるということではないかと書かれています。
国内ではCDの他にe-Onkyoからハイレゾ配信されています。私は両方買いましたが、意図的に古い機材で録音しているのにその良さを引き出すのにハイレゾで聴くというのもまた面白いところではないでしょうか。
e-onkyoサイト
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00028948115044/
2015年04月07日
ニルス・フラームと世界最大のピアノ、Klavins M370
さる3月29日は「ピアノの日」だったそうです。知らなかった人が多いと思いますが、それは無理もありません。これはピアニストのニルス・フラームによって今年制定というか提唱されたもので、ピアノの88腱にちなんで新年から88日目が3月29日なのだそうです。(ちなみに日本でのピアノの日はシーボルトがピアノを輸入した日にちなんで7月9日だそうです)
ニルス・フラームはこの日のために専用のウエブサイトを作成しています。ここで彼は新作のピアノソロアルバム、"Solo"を無料配信しています。
http://www.pianoday.org/
ここまではよくありそうな話ですが、この話が面白くなってくるのは彼が使用したピアノです。それはピアノ技師であるDavid Klavinsによって製作された世界最大のピアノ、Klavins M370です。このM370というのは小型のパイプオルガンのような大きさで2トンもあるものです。普通のグランドピアノで約300kg、より大型のコンサートタイプで約500kgというので、M370の巨大さが分かるでしょう。下記に紹介ビデオがあります。
ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調
M370の特徴はその弦の長さです。鍵盤は88腱と変わりませんが、低音弦が普通は2メートル低度のところ、このM370では3メートルを超えます。そのため横ではなく縦に弦が配置されています。つまり移動は不可能で、スタジオの二階と一階をぶっ通して製作されていて、演奏者は二階まで歩いて上がることになります。
弦が長くなるとなにが良いかというと、大きなコンサートピアノの弦長でも本来の低域再生が難しいそうで、調律師が妥協をして張力を調整しているため、本来得られるべき音になっていないとのこと。そうした低音の倍音を正しく再現してこそ、ピアノのあるべき音がはじめて分かるということです。つまり基本的には低域再生力の向上ですが、倍音の影響で全体の音質もよくなるということですね。そのためにこんな巨大なピアノを製作したというわけです。M370については記事がこちらにあります。
http://gigazine.net/news/20150407-klavins-piano/
David Klavins氏はピアノの調整や修理を請け負っている人なのだそうですが、その本来の音を出すための挑戦と言えるでしょう。そしてこの冒頭に書いた「ピアノの日」と言うのはDavid Klavinsがさらなる次の巨大ピアノであるM450を完成させるためのサポートのためということです。私もけっこうニルス・フラーム好きなんでよく聴きますが、ピアニストと言うよりは、エレクトロニカ・ミュージシャンということで日本では有名です。また他のミュージシャンのエンジニア仕事もよくやっているように思います。
彼の演奏するM370の音はさきに書いた「SOLO」で聴くことができます。96/24ハイレゾWAVとMP3で無料ダウンロードできますので、世界最大のピアノの音をぜひハイレゾで楽しんでください。Wallなんかはニルス・フラームらしいミニマルな現代曲に仕上がっています。
このプロジェクトはKlavinsの夢にささげられたとあります。そもそもピアノの発明者はバートロメオ・クリストフォリという人ですが、ピアニストのデビッド・ランツによるクリストフォリの夢という名曲がありますのでM370とは関係ありませんが、最後にこちらを聴きながらピアノの将来に思いをはせたいと思います。バイオリンは完成された形とはよく言いますが、ピアノはまだまだ発展できるものなんですね。
クリストフォリの夢 - デビッド・ランツ
ニルス・フラームはこの日のために専用のウエブサイトを作成しています。ここで彼は新作のピアノソロアルバム、"Solo"を無料配信しています。
http://www.pianoday.org/
ここまではよくありそうな話ですが、この話が面白くなってくるのは彼が使用したピアノです。それはピアノ技師であるDavid Klavinsによって製作された世界最大のピアノ、Klavins M370です。このM370というのは小型のパイプオルガンのような大きさで2トンもあるものです。普通のグランドピアノで約300kg、より大型のコンサートタイプで約500kgというので、M370の巨大さが分かるでしょう。下記に紹介ビデオがあります。
ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調
M370の特徴はその弦の長さです。鍵盤は88腱と変わりませんが、低音弦が普通は2メートル低度のところ、このM370では3メートルを超えます。そのため横ではなく縦に弦が配置されています。つまり移動は不可能で、スタジオの二階と一階をぶっ通して製作されていて、演奏者は二階まで歩いて上がることになります。
弦が長くなるとなにが良いかというと、大きなコンサートピアノの弦長でも本来の低域再生が難しいそうで、調律師が妥協をして張力を調整しているため、本来得られるべき音になっていないとのこと。そうした低音の倍音を正しく再現してこそ、ピアノのあるべき音がはじめて分かるということです。つまり基本的には低域再生力の向上ですが、倍音の影響で全体の音質もよくなるということですね。そのためにこんな巨大なピアノを製作したというわけです。M370については記事がこちらにあります。
http://gigazine.net/news/20150407-klavins-piano/
David Klavins氏はピアノの調整や修理を請け負っている人なのだそうですが、その本来の音を出すための挑戦と言えるでしょう。そしてこの冒頭に書いた「ピアノの日」と言うのはDavid Klavinsがさらなる次の巨大ピアノであるM450を完成させるためのサポートのためということです。私もけっこうニルス・フラーム好きなんでよく聴きますが、ピアニストと言うよりは、エレクトロニカ・ミュージシャンということで日本では有名です。また他のミュージシャンのエンジニア仕事もよくやっているように思います。
彼の演奏するM370の音はさきに書いた「SOLO」で聴くことができます。96/24ハイレゾWAVとMP3で無料ダウンロードできますので、世界最大のピアノの音をぜひハイレゾで楽しんでください。Wallなんかはニルス・フラームらしいミニマルな現代曲に仕上がっています。
このプロジェクトはKlavinsの夢にささげられたとあります。そもそもピアノの発明者はバートロメオ・クリストフォリという人ですが、ピアニストのデビッド・ランツによるクリストフォリの夢という名曲がありますのでM370とは関係ありませんが、最後にこちらを聴きながらピアノの将来に思いをはせたいと思います。バイオリンは完成された形とはよく言いますが、ピアノはまだまだ発展できるものなんですね。
クリストフォリの夢 - デビッド・ランツ
2014年11月04日
Robert Reed - Sanctuary
これは今年の夏くらいに出たアルバムですがRobert Reedというイギリスのミュージシャンがどれだけマイクオールドフィールドの音楽に近づけるかという点に挑戦してオリジナル曲を書いたものです。ただのトリビュートやコピーではなくあえて曲はオリジナルを書いたというのが面白いところです。もちろんフレーズは似ていますが、微妙に聞いたことがない感が味わえます。一言でいうと、マイクオールドフィールドの初期3部作の4枚目を完コピしているといえば良いでしょうか。それで劣化していないというのがなかなか良く書けているところです。
下記にYoutubeでプロモ映像がありますが、もちろん一人多重録音です。しかしマイクはこれを70年代のアナログ時代にやったんですからすごいものです。
ただ当時のマイクの内向感というか今でいう引きこもり感がちょっとなくて表の音楽性のみをコピーした感はあります。いわばもう少しキーを下げると初期作品の暗く重い雰囲気に近づけるかなと思えるところもあるけれども、そこはRobert Reedとマイクの差というよりも、時代の差のような気もします。
CDはAmazon、ダウンロードはBandcampで購入可能です。
Bandcampのリンクは下記です。
https://robertreed.bandcamp.com/releases
ジャケットはなぜかルビコンというのもちょっと面白いですね。
こちらを聴いて興味が出た人には日本のマイクオールドフィールドことAsturiasの大山氏の樹霊もお勧めします。こちらも多重録音製作ですが、もちろん完全Asturiasオリジナルです。
と、ここまで書いたらやはりオリジナルのことも書かなければならないかと思ったんですが、以前下記の記事で書いていますのでこちらをどうぞ。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/154656059.html
下記にYoutubeでプロモ映像がありますが、もちろん一人多重録音です。しかしマイクはこれを70年代のアナログ時代にやったんですからすごいものです。
ただ当時のマイクの内向感というか今でいう引きこもり感がちょっとなくて表の音楽性のみをコピーした感はあります。いわばもう少しキーを下げると初期作品の暗く重い雰囲気に近づけるかなと思えるところもあるけれども、そこはRobert Reedとマイクの差というよりも、時代の差のような気もします。
CDはAmazon、ダウンロードはBandcampで購入可能です。
Bandcampのリンクは下記です。
https://robertreed.bandcamp.com/releases
ジャケットはなぜかルビコンというのもちょっと面白いですね。
こちらを聴いて興味が出た人には日本のマイクオールドフィールドことAsturiasの大山氏の樹霊もお勧めします。こちらも多重録音製作ですが、もちろん完全Asturiasオリジナルです。
と、ここまで書いたらやはりオリジナルのことも書かなければならないかと思ったんですが、以前下記の記事で書いていますのでこちらをどうぞ。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/154656059.html
2014年10月29日
インディーレーベル配信サイトBandcampの紹介
最近私がはまっていることといえば、BandCampでお気に入りのアーティストを見つけることです。
いままではタワーレコードに行って新譜を試聴しながら同じことをしていたわけですが、いまではそれが家でできます。
以前フランスのPrikosnovenieやアメリカのProjekt、そして欧州Pagan音楽系のマイナー音楽を紹介しました。
Prikosnovenieレーベルの紹介ページ
Projektレーベルの紹介ページ
古い神話の国の新しい音楽
私はこういうマイナー・インディー系レーベルの音楽もよく買うんですが、問題もあります。まずCDを海外通販すると送料が高くつくということです。また海外のようにCDがなくなるのが現実味を帯びてくると、配信の必要性がまして来ますが、大手メジャーレーベルは良くともかえってこういうマイナーレーベルでは配信サイトの運営に難がありそうと感じていたわけです。
Bandcampとは
BandCampは主にそうしたマイナー・インディー系レーベルのための配信サイトです。そういう点では日本でいうとe-Onkyoよりototoyに近いと思います。どちらかというと音楽が好きなマニア向けですから、必然的に扱っている音楽ジャンルも少し偏りが出てきて、たとえばストレートなジャズやクラシックもありますが、BandCampではジャズやクラシックでもアバンギャルドや実験系が多くなります。多いのは広くエレクトロニカ系、オルタナ系、インディーポップやロック、またジャズでもユーロジャズやエレクトロニカに近い系(たとえばGoGo Penguin)などです。クラシックでも現代音楽はあります(たとえばBang on the Can)。
BandCampのトップページはここです。
https://bandcamp.com/
BandCampはもともとCD通販がメインだったと思いますし、グッズなども販売されていますが、いまの主はデジタル配信だと思います。配信形式ではMP3の他にFLACやALACでも配信されていて、落として見るとデータのなかにはハイレゾもあります(48/24や44/24など)が特に明記されていません。また配信を購入すると同時にiPhoneなどの専用アプリでストリーミングも可能です(これもOTOTOYみたいな感じ)。
CDでは売り切れでも配信は可能で、価格は$5-$10とだいぶ安く設定されています。またアルバムではなく、シングルでも購入は可能です(アーティストによる)。支払いはPaypalです。
BandCampでまず面白いのは買い手が値段を決められることです。たいてい価格ではクラウドファンディングのように$7 or moreと書いてあります。つまり最低価格以上ならいくらで買っても良いんです。気に入ったら$7を$10出しても構いません。面白いのは$0以上というアルバムもけっこうあります(you name it"あなたが決めて"と書いてあります)。サンプラーはもちろんですが、ミュージシャンによっては普通に「あなたが決めて」販売してます。もちろんいくら払っても構いません。ただし0円で買った場合はストリーミングオプションが適用されませんし、多くはアーティストのメーリンググループ登録が必要となります。条件なしで無料の場合はFreeと書いてあります。
なかにはor moreという表示がなく、定価で$10というものもあります。この辺はミュージシャンしだいですね。
また売り上げは全ていったんミュージシャン(あるいはレーベル)のものとなります。Paypalの支払先は直接ミュージシャンです。そのため価格は現地通貨ですので注意してください。そこからPaypalが4%引いて、BandCampが15%取ります。(そのためアルバム買いではなくシングル書いをするとアーティストへの実入りが減ります)
またBandCampでは試聴がたっぷりと出来ます。というかアルバム全部聴けるというのが普通です。なかには1-2曲のみというミュージシャンもいますが、いずれにせよ一曲はまるまる試聴できます。
実際アーティストはインディーズ以外に学生とかアマチュアもみられて、そうした人が自分の曲を売るのに使っています。そのため質は玉石混交ですので、試聴はたっぷりした方がよいですね。タワレコだとバイヤーが一次フィルターになって良いものを入れてくると思いますが、ここは本当に直接ミュージシャンに接すると言ってもよいでしょう。
そういう意味でBandCampはSNS的な側面があります。曲を買うときにはコメントが残せますので、良かった、とかこの曲聴いてこんなこと思った、などいろいろ書きこめて直にミュージシャンに伝わります。また買ったミュージシャンは自動的にフォローされるので、新曲の情報はメールで分かります。またBandCampでユニークなのはファン同士がフォローできるということです。これは次に説明します。
Bandcampの歩き方
さて、Bandcampでまず困難にぶちあたるのは、どうやって曲を探すの?という点です。
一番良いのはすでにこうしたバンドを知っている場合、その名前を検索してください。上のジャンルに合うような欧米のマイナーバンドです。たとえばMirablisとタイプすると、Mirablisのアルバムがリストされ、さらにProjektレーベルがたくさん他にBandcampで売られていることが分かります。Projektレーベル以外のアルバムを探すには、下にタグがありますのでそれをクリックしてください。たとえばGothicとかAlternativeなどで同傾向のバンドが出てきます。もしバンド名が分からなければ、検索欄に直接post rockとかelectronicaなどのキーワードを検索欄にタイプします。するとそれにタグつけられたリストが出てきます。これを芋づる式にやっていきます。また、DiscoverリンクではいまBandCampで売れているバンドを探すこともできます。
あとはBandCampならではの方法はSNS的な広がりです。Bandcampに登録している買う立場の人(我々)はFanと言います。BandCampに登録した時のアカウントがFanのアカウントになり、自分のページをもちます。そこに購買したリストやWish listが見られます。これらはデフォルトは公開です。Bandcampでアルバムを買うと自動的にそのアーティストのFanとして登録されます。そしてBandcampにいると定期的にお勧めのアルバムとともにお勧めのFanのリストが出てきます。つまりアーティストだけではなく、他のFanもフォローできます。フォロー関係はtwitterに似ています。また自分をフォローしてくれる人が出てきます。
たとえば自分をフォローしてくれた人はたいてい自分と好きな音楽傾向が似ています。その人の買ったリストを見ていくとだいたい自分も買うようなもので、それをAmazonのお勧めリンクのようにシステムが解析して、お勧めFanのリストを送ってくるわけです。ですのでフォローした/されているFanの買ったアルバムを試聴していくとけっこうはまります。またミュージシャンの新譜だけではなく、フォローしているFanの購入履歴もメールで送られてきます。そうするとこの人はこれ買ったのか、よし聴いてみよう、となるわけです。この辺は学校で友達同士で最近どんなミュージシャンの曲買った?なんて話すのと同じです。なかには私が買った曲もあって、ああ私の買ったの見てこの人も買ったんだ、ということもあります。この辺がBandCamp使いこなしのポイントの一つです。
BandCampでの購入方法
購入についてはそのアルバムのページに行き、配信であればDigital Albumのところを探してその下のBuy Now $7 or moreと書かれたBuy Nowのボタンを押してください。(CDと別にあることが多いので注意ください。たいてい価格が高い方がCDです。)
シングルの場合は曲の横にマウスをもっていくとDownloadとボタンが出てくるのでそこを押してください。(ない場合もあります)
するといくら入れるか聞いてくるので、金額を入力してください。前に書いたように表示が$7でもとても気に入ってたら$10と入れてかまいません(低い金額はだめです)。あるいは全額募金の場合もあるのでその趣旨に賛同するときは多く入れても良いでしょう。
金額が書かれてなくてname your price とあれば、0以上です。ただし0を入れると多くの場合は無料リンクを別にメールで提示され、MLへの参加のためのメールアドレスを聞かれます。
金額を入力したらPaypalの画面になるのでPaypalのパスワードを入れて支払いをしてください。
最後にダウンロード画面になります。ここでダウンロード形式をFLACとかロスレスに変更すると良いでしょう。MP3がよければそのままでよいでしょう。少し時間があってダウンロードの準備ができるとリンクが表示されます。
またここでそのミュージシャンお勧めの他のミュージシャンのリンクが表示されるので、そこに飛んでも世界を広げられます。
BandCampのお勧めアーティスト
私のお勧めアルバムを10枚ほど紹介します。
Adrian H & wounds
debut
https://projektrecords.bandcamp.com/album/debut-2
前に書いたProjektレーベルの新作で、くせになりそうなユニークなヴォーカルスタイルと世界観をもった個性派バンドAdrian H & wounds。ゴシックやオルタナ好きの人に。
Alex Cook ensemble
The Deacon of Myrká
https://alex-hler-ensemble.bandcamp.com/
作曲を学ぶ学生であるAlex Cookがバレエのために書き下ろした作品。荒削りながらも感動的な作品で、アコースティック楽器主体だけれども適度なエレクトロのブレンドもよい。これはname your price で0円から好きなだけ。
Tiny Leaves
A Good Land, An Excellent Land
https://tinyleaves.bandcamp.com/album/a-good-land-an-excellent-land
もともとアンビエント系音楽を書いていたTiny Leavesによる端正で美しい室内楽。ジャケットのイメージ通りの自然を生楽器により描き出す心象風景が見事です。7曲目がお勧め。
GoGo Penguin
v2.0
https://gogopenguin.bandcamp.com/album/v20
ユーロジャズだけど、もっといま風のエレクトロニカ的な解釈がはいって、いわばポストロックに対するポストユーロジャズみたいな感じ。スピード感があってノリが良い。かなりお勧め。
Zoe Keating
Into The Trees
http://music.zoekeating.com/album/into-the-trees
クラシックのチェリストだけど、現代的でかつポップな曲を多く書いています。BandCampでもわりと人気の高いアーティスト。
Rhian Sheehan
Stories From Elsewhere
https://rhiansheehan.bandcamp.com/album/stories-from-elsewhere
基本アンビエントの人だけど、ポストクラシカル的なドラマ性が良い。美しい音楽好きな人に。
Julia Wolfe feat. Bang on a Can All-Stars
Steel Hammer
https://cantaloupemusic.bandcamp.com/album/steel-hammer
いわゆるBang on a canの尖った現代音楽グループによる尖った音楽。ミニマル好きな人に。難しいというより癖になります。この系統では私はDavid Langがわりと好き。
Mili
MuNiCa - Cry of Pluto
https://project-mili.bandcamp.com/album/munica-cry-of-pluto-original-sound-track
BandCampで人気の高い日本のエレクトロニカバンドMiliのストレートなエレクトロニカ。サントラらしいドラマティックな展開が良い。BandCampの日本のバンドだとkaninaもよい。name your priceです。
KING CRIMSON tribute The Letters
Mellow Records
https://mellowrecords.bandcamp.com/album/king-crimson-tribute-the-letters-3cd
イタリアのプログレレーベルのMellow Recordsによるクリムゾントリビュート。私は9曲目のEpitaphの壊れ具合が好き。
他にもイエス、フロイド、ジェネシスはもとよりVGGやカンタベリーものトリビュートなどネタが豊富。BandCampはオールドロックが少ないのでわりと貴重かも。
... and darkness came
https://headphonecommute.bandcamp.com/album/and-darkness-came
87曲で$10、FLACで2.8GBというCDではありえないコンピ。アンビエント・エレクトロニカ好きの人に。Helios、Nils Frahm、Max Richterなど日本でも有名なアーティストをはじめとしてたくさん入っています。これは100%を2012年のハリケーン・サンディ災害の募金に当てられます。
あとはページの左下にtagがありますので、そこをクリックしていけばいろんな音楽に出会えると思います。
Bandcampの世界をお楽しみください !
いままではタワーレコードに行って新譜を試聴しながら同じことをしていたわけですが、いまではそれが家でできます。
以前フランスのPrikosnovenieやアメリカのProjekt、そして欧州Pagan音楽系のマイナー音楽を紹介しました。
Prikosnovenieレーベルの紹介ページ
Projektレーベルの紹介ページ
古い神話の国の新しい音楽
私はこういうマイナー・インディー系レーベルの音楽もよく買うんですが、問題もあります。まずCDを海外通販すると送料が高くつくということです。また海外のようにCDがなくなるのが現実味を帯びてくると、配信の必要性がまして来ますが、大手メジャーレーベルは良くともかえってこういうマイナーレーベルでは配信サイトの運営に難がありそうと感じていたわけです。
Bandcampとは
BandCampは主にそうしたマイナー・インディー系レーベルのための配信サイトです。そういう点では日本でいうとe-Onkyoよりototoyに近いと思います。どちらかというと音楽が好きなマニア向けですから、必然的に扱っている音楽ジャンルも少し偏りが出てきて、たとえばストレートなジャズやクラシックもありますが、BandCampではジャズやクラシックでもアバンギャルドや実験系が多くなります。多いのは広くエレクトロニカ系、オルタナ系、インディーポップやロック、またジャズでもユーロジャズやエレクトロニカに近い系(たとえばGoGo Penguin)などです。クラシックでも現代音楽はあります(たとえばBang on the Can)。
BandCampのトップページはここです。
https://bandcamp.com/
BandCampはもともとCD通販がメインだったと思いますし、グッズなども販売されていますが、いまの主はデジタル配信だと思います。配信形式ではMP3の他にFLACやALACでも配信されていて、落として見るとデータのなかにはハイレゾもあります(48/24や44/24など)が特に明記されていません。また配信を購入すると同時にiPhoneなどの専用アプリでストリーミングも可能です(これもOTOTOYみたいな感じ)。
CDでは売り切れでも配信は可能で、価格は$5-$10とだいぶ安く設定されています。またアルバムではなく、シングルでも購入は可能です(アーティストによる)。支払いはPaypalです。
BandCampでまず面白いのは買い手が値段を決められることです。たいてい価格ではクラウドファンディングのように$7 or moreと書いてあります。つまり最低価格以上ならいくらで買っても良いんです。気に入ったら$7を$10出しても構いません。面白いのは$0以上というアルバムもけっこうあります(you name it"あなたが決めて"と書いてあります)。サンプラーはもちろんですが、ミュージシャンによっては普通に「あなたが決めて」販売してます。もちろんいくら払っても構いません。ただし0円で買った場合はストリーミングオプションが適用されませんし、多くはアーティストのメーリンググループ登録が必要となります。条件なしで無料の場合はFreeと書いてあります。
なかにはor moreという表示がなく、定価で$10というものもあります。この辺はミュージシャンしだいですね。
また売り上げは全ていったんミュージシャン(あるいはレーベル)のものとなります。Paypalの支払先は直接ミュージシャンです。そのため価格は現地通貨ですので注意してください。そこからPaypalが4%引いて、BandCampが15%取ります。(そのためアルバム買いではなくシングル書いをするとアーティストへの実入りが減ります)
またBandCampでは試聴がたっぷりと出来ます。というかアルバム全部聴けるというのが普通です。なかには1-2曲のみというミュージシャンもいますが、いずれにせよ一曲はまるまる試聴できます。
実際アーティストはインディーズ以外に学生とかアマチュアもみられて、そうした人が自分の曲を売るのに使っています。そのため質は玉石混交ですので、試聴はたっぷりした方がよいですね。タワレコだとバイヤーが一次フィルターになって良いものを入れてくると思いますが、ここは本当に直接ミュージシャンに接すると言ってもよいでしょう。
そういう意味でBandCampはSNS的な側面があります。曲を買うときにはコメントが残せますので、良かった、とかこの曲聴いてこんなこと思った、などいろいろ書きこめて直にミュージシャンに伝わります。また買ったミュージシャンは自動的にフォローされるので、新曲の情報はメールで分かります。またBandCampでユニークなのはファン同士がフォローできるということです。これは次に説明します。
Bandcampの歩き方
さて、Bandcampでまず困難にぶちあたるのは、どうやって曲を探すの?という点です。
一番良いのはすでにこうしたバンドを知っている場合、その名前を検索してください。上のジャンルに合うような欧米のマイナーバンドです。たとえばMirablisとタイプすると、Mirablisのアルバムがリストされ、さらにProjektレーベルがたくさん他にBandcampで売られていることが分かります。Projektレーベル以外のアルバムを探すには、下にタグがありますのでそれをクリックしてください。たとえばGothicとかAlternativeなどで同傾向のバンドが出てきます。もしバンド名が分からなければ、検索欄に直接post rockとかelectronicaなどのキーワードを検索欄にタイプします。するとそれにタグつけられたリストが出てきます。これを芋づる式にやっていきます。また、DiscoverリンクではいまBandCampで売れているバンドを探すこともできます。
あとはBandCampならではの方法はSNS的な広がりです。Bandcampに登録している買う立場の人(我々)はFanと言います。BandCampに登録した時のアカウントがFanのアカウントになり、自分のページをもちます。そこに購買したリストやWish listが見られます。これらはデフォルトは公開です。Bandcampでアルバムを買うと自動的にそのアーティストのFanとして登録されます。そしてBandcampにいると定期的にお勧めのアルバムとともにお勧めのFanのリストが出てきます。つまりアーティストだけではなく、他のFanもフォローできます。フォロー関係はtwitterに似ています。また自分をフォローしてくれる人が出てきます。
たとえば自分をフォローしてくれた人はたいてい自分と好きな音楽傾向が似ています。その人の買ったリストを見ていくとだいたい自分も買うようなもので、それをAmazonのお勧めリンクのようにシステムが解析して、お勧めFanのリストを送ってくるわけです。ですのでフォローした/されているFanの買ったアルバムを試聴していくとけっこうはまります。またミュージシャンの新譜だけではなく、フォローしているFanの購入履歴もメールで送られてきます。そうするとこの人はこれ買ったのか、よし聴いてみよう、となるわけです。この辺は学校で友達同士で最近どんなミュージシャンの曲買った?なんて話すのと同じです。なかには私が買った曲もあって、ああ私の買ったの見てこの人も買ったんだ、ということもあります。この辺がBandCamp使いこなしのポイントの一つです。
BandCampでの購入方法
購入についてはそのアルバムのページに行き、配信であればDigital Albumのところを探してその下のBuy Now $7 or moreと書かれたBuy Nowのボタンを押してください。(CDと別にあることが多いので注意ください。たいてい価格が高い方がCDです。)
シングルの場合は曲の横にマウスをもっていくとDownloadとボタンが出てくるのでそこを押してください。(ない場合もあります)
するといくら入れるか聞いてくるので、金額を入力してください。前に書いたように表示が$7でもとても気に入ってたら$10と入れてかまいません(低い金額はだめです)。あるいは全額募金の場合もあるのでその趣旨に賛同するときは多く入れても良いでしょう。
金額が書かれてなくてname your price とあれば、0以上です。ただし0を入れると多くの場合は無料リンクを別にメールで提示され、MLへの参加のためのメールアドレスを聞かれます。
金額を入力したらPaypalの画面になるのでPaypalのパスワードを入れて支払いをしてください。
最後にダウンロード画面になります。ここでダウンロード形式をFLACとかロスレスに変更すると良いでしょう。MP3がよければそのままでよいでしょう。少し時間があってダウンロードの準備ができるとリンクが表示されます。
またここでそのミュージシャンお勧めの他のミュージシャンのリンクが表示されるので、そこに飛んでも世界を広げられます。
BandCampのお勧めアーティスト
私のお勧めアルバムを10枚ほど紹介します。
Adrian H & wounds
debut
https://projektrecords.bandcamp.com/album/debut-2
前に書いたProjektレーベルの新作で、くせになりそうなユニークなヴォーカルスタイルと世界観をもった個性派バンドAdrian H & wounds。ゴシックやオルタナ好きの人に。
Alex Cook ensemble
The Deacon of Myrká
https://alex-hler-ensemble.bandcamp.com/
作曲を学ぶ学生であるAlex Cookがバレエのために書き下ろした作品。荒削りながらも感動的な作品で、アコースティック楽器主体だけれども適度なエレクトロのブレンドもよい。これはname your price で0円から好きなだけ。
Tiny Leaves
A Good Land, An Excellent Land
https://tinyleaves.bandcamp.com/album/a-good-land-an-excellent-land
もともとアンビエント系音楽を書いていたTiny Leavesによる端正で美しい室内楽。ジャケットのイメージ通りの自然を生楽器により描き出す心象風景が見事です。7曲目がお勧め。
GoGo Penguin
v2.0
https://gogopenguin.bandcamp.com/album/v20
ユーロジャズだけど、もっといま風のエレクトロニカ的な解釈がはいって、いわばポストロックに対するポストユーロジャズみたいな感じ。スピード感があってノリが良い。かなりお勧め。
Zoe Keating
Into The Trees
http://music.zoekeating.com/album/into-the-trees
クラシックのチェリストだけど、現代的でかつポップな曲を多く書いています。BandCampでもわりと人気の高いアーティスト。
Rhian Sheehan
Stories From Elsewhere
https://rhiansheehan.bandcamp.com/album/stories-from-elsewhere
基本アンビエントの人だけど、ポストクラシカル的なドラマ性が良い。美しい音楽好きな人に。
Julia Wolfe feat. Bang on a Can All-Stars
Steel Hammer
https://cantaloupemusic.bandcamp.com/album/steel-hammer
いわゆるBang on a canの尖った現代音楽グループによる尖った音楽。ミニマル好きな人に。難しいというより癖になります。この系統では私はDavid Langがわりと好き。
Mili
MuNiCa - Cry of Pluto
https://project-mili.bandcamp.com/album/munica-cry-of-pluto-original-sound-track
BandCampで人気の高い日本のエレクトロニカバンドMiliのストレートなエレクトロニカ。サントラらしいドラマティックな展開が良い。BandCampの日本のバンドだとkaninaもよい。name your priceです。
KING CRIMSON tribute The Letters
Mellow Records
https://mellowrecords.bandcamp.com/album/king-crimson-tribute-the-letters-3cd
イタリアのプログレレーベルのMellow Recordsによるクリムゾントリビュート。私は9曲目のEpitaphの壊れ具合が好き。
他にもイエス、フロイド、ジェネシスはもとよりVGGやカンタベリーものトリビュートなどネタが豊富。BandCampはオールドロックが少ないのでわりと貴重かも。
... and darkness came
https://headphonecommute.bandcamp.com/album/and-darkness-came
87曲で$10、FLACで2.8GBというCDではありえないコンピ。アンビエント・エレクトロニカ好きの人に。Helios、Nils Frahm、Max Richterなど日本でも有名なアーティストをはじめとしてたくさん入っています。これは100%を2012年のハリケーン・サンディ災害の募金に当てられます。
あとはページの左下にtagがありますので、そこをクリックしていけばいろんな音楽に出会えると思います。
Bandcampの世界をお楽しみください !
2014年06月15日
ノルディック&ケルティック・ミュージックパーティー (上野水上音楽堂)
さる6/7に上野水上音楽堂で開催された「第二回」ノルディック・ケルティック・ミュージックパーティーライブを見てきました。ノルディック・ケルティックミュージックの音楽フェスです。
これはJaben Japanをやっている大島さんのブログ「クラン・コロ・ブログ」で知りました。
http://blog.livedoor.jp/yosoys/
実は大島さんは日本のアイリッシュ音楽研究の大家であり、本も何冊か執筆されています。私もオーディオ関係で知り合う前に大島さんの本は買って持ってたくらいです。
私もマイクオールドフィールドあたりからの流れで、こうしたトラッド音楽はそれなりに興味がありました。トラッド・アイリッシュ・ケルティックといろいろな呼び方はありますが、だいたいアイルランド近辺を中心としたケルト民族の伝承(トラッド)音楽です。地域的にはアイルランドだけではなく、フランスのブルターニュとかカナダ東部なんかのケルト文化圏でも盛んです。
最近ではそれに加えてスウェーデンとかノルウェーの北欧系(ノルディック)も浸透してきましたので、ノルディック・ケルティックとここでは称しているようです。こうした音楽は伝統音楽ですから海外だけでやっているように思いますが、実は日本でも日本人がトラッドを演奏するいわばジャパニーズ・トラッド系の音楽活動が盛んで、ひとつのジャンルを形成してます。日本人の感性に合うのはアイルランド民謡とロシア民謡と言われますが、日本人にも素直に入ってこれるものなんでしょう。
このノルディック・ケルティック・パーティーはNPO主催による無料のライブコンサートで、そうした日本人バンドによるコンサートです。昼の1時から夜の6時まで10ユニットの出演バンドが30分くらいずつ数曲演奏します。CDを何枚も出しているベテランから、飲み屋で知り合ったバンドまで多彩な顔触れです。
当日の様子は下記のFacebookページで写真などを交えてたくさん紹介されています。
https://www.facebook.com/nordiccelticmp
私ははじめ開演から少し見て、中座して渋谷タワレコのサクスフォーンカルテット・アテナのミニライブ見て、もどって有名バンドのシャナヒーとドレイクスキップを見るっていう感じでした。(アテナも音が厚くてけっこう良かった)
シャナヒーは大阪のバンドで女性グループです。
http://shanachie.jp/
Ljus / シャナヒー 3rd Album
当日はゲストの女性ヴォーカル・ほりおみわさんも加えて3曲ほど披露しましたが、なかでもちょっと感銘を受けたのが「花嫁ロジー」という曲で、これは最新アルバムのLjusの収録曲です。これはバラッドというトラッドでは特徴的な物語を歌に乗せて伝えるものですが、日本語歌詞で歌われるので新鮮な感じです。美しい娘が望まぬ政略結婚をさせられる日に、かつての恋人が現れて別れを告げ船で去り、それを追いかけた彼女が海に消えて泡となる、という美しくも切ないお話です。
アイリッシュ系だと、妹に嫉妬した姉が妹を川に突き落としておぼれさせ、その体は白鳥になって川を漂い、やがて吟遊詩人がその骨からハープを作ってその姉の家に行くと、勝手にハープが歌いだして姉の悪事を暴く、という物語パターンがあってペンタングルやロリーナマッキニットが歌ってます。
こうした物語系の歌ってとてもトラッドらしいところだと感じ入り"Ljus"を帰ってからさっそく注文しました。考えてみればその場で買ってれば良かったとは思いました。
もうひとつのドレイクスキップはやはり大阪のバンドで、関西勢の勢いを感じます。関西のバンドが関東でライブをしてくれるよい機会でもありますね。この辺は(比較的)有名なので私もCDを持っています。
ドレイクスキップは編成にパーカッションだけではなく、ドラムスを導入することで躍動感あふれるステージで聴かせてくれます。
http://www.drakskip.net/menu.html
[Official] Drakskip - Steering Through the Storm
ドレイクスキップの真ん中の人が持っている変わった楽器はニッケルハルパというスウェーデン音楽でよくつかわれる伝統楽器です。MCで「この楽器の名前分かる人は手を挙げて」っていったら、会場のほとんどの人が挙手しましたので、さすが来ているのは通な人ばかりです。ただ一方で知らない人をもっと呼ばねばならないという点もあるのかなあとも思いました。
当日は雨で最後の方はけっこう冷えてきたりしましたが、半野外ステージですから通りかかった人が音につられて入ってくるようになれば良いなと思います。
シャナヒーとドレイクスキップだけでも対照的ですが、こうしたジャパニーズ・トラッドの音楽ムーブメントの良いショウケースになっていると思いますし、ぜひ来年も開催してもらいたいと思います。
これはJaben Japanをやっている大島さんのブログ「クラン・コロ・ブログ」で知りました。
http://blog.livedoor.jp/yosoys/
実は大島さんは日本のアイリッシュ音楽研究の大家であり、本も何冊か執筆されています。私もオーディオ関係で知り合う前に大島さんの本は買って持ってたくらいです。
私もマイクオールドフィールドあたりからの流れで、こうしたトラッド音楽はそれなりに興味がありました。トラッド・アイリッシュ・ケルティックといろいろな呼び方はありますが、だいたいアイルランド近辺を中心としたケルト民族の伝承(トラッド)音楽です。地域的にはアイルランドだけではなく、フランスのブルターニュとかカナダ東部なんかのケルト文化圏でも盛んです。
最近ではそれに加えてスウェーデンとかノルウェーの北欧系(ノルディック)も浸透してきましたので、ノルディック・ケルティックとここでは称しているようです。こうした音楽は伝統音楽ですから海外だけでやっているように思いますが、実は日本でも日本人がトラッドを演奏するいわばジャパニーズ・トラッド系の音楽活動が盛んで、ひとつのジャンルを形成してます。日本人の感性に合うのはアイルランド民謡とロシア民謡と言われますが、日本人にも素直に入ってこれるものなんでしょう。
このノルディック・ケルティック・パーティーはNPO主催による無料のライブコンサートで、そうした日本人バンドによるコンサートです。昼の1時から夜の6時まで10ユニットの出演バンドが30分くらいずつ数曲演奏します。CDを何枚も出しているベテランから、飲み屋で知り合ったバンドまで多彩な顔触れです。
当日の様子は下記のFacebookページで写真などを交えてたくさん紹介されています。
https://www.facebook.com/nordiccelticmp
私ははじめ開演から少し見て、中座して渋谷タワレコのサクスフォーンカルテット・アテナのミニライブ見て、もどって有名バンドのシャナヒーとドレイクスキップを見るっていう感じでした。(アテナも音が厚くてけっこう良かった)
シャナヒーは大阪のバンドで女性グループです。
http://shanachie.jp/
Ljus / シャナヒー 3rd Album
当日はゲストの女性ヴォーカル・ほりおみわさんも加えて3曲ほど披露しましたが、なかでもちょっと感銘を受けたのが「花嫁ロジー」という曲で、これは最新アルバムのLjusの収録曲です。これはバラッドというトラッドでは特徴的な物語を歌に乗せて伝えるものですが、日本語歌詞で歌われるので新鮮な感じです。美しい娘が望まぬ政略結婚をさせられる日に、かつての恋人が現れて別れを告げ船で去り、それを追いかけた彼女が海に消えて泡となる、という美しくも切ないお話です。
アイリッシュ系だと、妹に嫉妬した姉が妹を川に突き落としておぼれさせ、その体は白鳥になって川を漂い、やがて吟遊詩人がその骨からハープを作ってその姉の家に行くと、勝手にハープが歌いだして姉の悪事を暴く、という物語パターンがあってペンタングルやロリーナマッキニットが歌ってます。
こうした物語系の歌ってとてもトラッドらしいところだと感じ入り"Ljus"を帰ってからさっそく注文しました。考えてみればその場で買ってれば良かったとは思いました。
もうひとつのドレイクスキップはやはり大阪のバンドで、関西勢の勢いを感じます。関西のバンドが関東でライブをしてくれるよい機会でもありますね。この辺は(比較的)有名なので私もCDを持っています。
ドレイクスキップは編成にパーカッションだけではなく、ドラムスを導入することで躍動感あふれるステージで聴かせてくれます。
http://www.drakskip.net/menu.html
[Official] Drakskip - Steering Through the Storm
ドレイクスキップの真ん中の人が持っている変わった楽器はニッケルハルパというスウェーデン音楽でよくつかわれる伝統楽器です。MCで「この楽器の名前分かる人は手を挙げて」っていったら、会場のほとんどの人が挙手しましたので、さすが来ているのは通な人ばかりです。ただ一方で知らない人をもっと呼ばねばならないという点もあるのかなあとも思いました。
当日は雨で最後の方はけっこう冷えてきたりしましたが、半野外ステージですから通りかかった人が音につられて入ってくるようになれば良いなと思います。
シャナヒーとドレイクスキップだけでも対照的ですが、こうしたジャパニーズ・トラッドの音楽ムーブメントの良いショウケースになっていると思いますし、ぜひ来年も開催してもらいたいと思います。
2014年03月30日
クラウドファンディングによりライブを実現するAlive
PonoのところでクラウドファンディングとしてKickstarterを紹介しましたが、クラウドファンディングの音楽分野応用例として海外からインディーアーティストを呼んでライブを実現するというのがAliveです。
https://www.alive.mu/
これはサイトにアーティストのライブをユーザーがリクエストして、事務局がアーティストとのライブを調整し、そのライブチケットに対して仮支払いを行い、一定数に達すると実際に呼んでくれるというシステムです。目標額に達した時点で支払いが発生し、その時点からはキャンセルはできません(ミュージシャン・開催側の都合の時は払い戻しされるようです)。このときのチケット代はKickstarterによるPledgeのように安い価格で提供されます。
デペッシュ・モードなんかはもっと来ているのかと思いましたが、意外と機会がない有名アーティストもよさそうです。実際に開催されたライブをTVで紹介していましたが、面白い試みといえますね。
https://www.alive.mu/
これはサイトにアーティストのライブをユーザーがリクエストして、事務局がアーティストとのライブを調整し、そのライブチケットに対して仮支払いを行い、一定数に達すると実際に呼んでくれるというシステムです。目標額に達した時点で支払いが発生し、その時点からはキャンセルはできません(ミュージシャン・開催側の都合の時は払い戻しされるようです)。このときのチケット代はKickstarterによるPledgeのように安い価格で提供されます。
デペッシュ・モードなんかはもっと来ているのかと思いましたが、意外と機会がない有名アーティストもよさそうです。実際に開催されたライブをTVで紹介していましたが、面白い試みといえますね。
2014年03月22日
The Red Book - ペンギン・カフェ(アーサージェフス)
新生ペンギンカフェの新作"The Red Book"が発売され、プロモーションで来日しているアーサージェフス(オリジナルのペンギンカフェオーケストラのサイモンジェフスの息子)とヴァイオリ二ストのオリ・ランフォードがタワレコでインストアライブを行い、私も見て来ました。今日は新作からNASAのケプラープロジェクトでのコミッションで作曲された2曲、前アルバムから2曲とサイモン時代の一曲を演奏しました。ピアノとヴァイオリンだけに編曲したものですがこれもなかなか良い感じ、ピアノ演奏するときにピアノの天板をかなり寝せてセットしてたのがちょっとユニークでしたね。ミニライブですがすっかり前列に座って至近距離から演奏を聴いて感動しました。
下記は新作Red BookからNASAのコミッションによるSOLARISです。もちろん有名なあれにかけているタイトルです。
サイモンジェフスがペンギンカフェをやっていたときはいわゆる環境音楽の一派で家具の音楽とも称されました。つまり家具のように部屋に流れていて溶け込んでいる、けれども生活を豊かにすると言うわけです。
これはともすると主張がない音楽とも取られますが、息子アーサーのペンギンカフェはもっと主張が強くなっていると思います。アーサーはペンギンカフェの他にもSUNDOGというユニットもやっていて、そちらはもっとアグレッシブなアプローチです。おとなしめで父の血筋のペンギンカフェともっとアーサーらしいSUNDOGという感じでしょうか。
現代的な器楽曲という根源は同じでも、サイモンのときとアーサーのいまでは立ち位置も変わるでしょう。かつてトールキンは現実逃避するのも勇気であるとして指輪物語を書きましたが、今の時代のさなかであえて一歩おいて自分を見つめるために現実から離れさせてくれるきっかけになっていると思います。こんな静かな音楽なのに心はハードロックよりも揺さぶられるのですから。
ちなみにタイトルの"Red Book"はユングの著書のタイトルから来ています。ただアーサーに言わせると(CDという意味の)レッドブックマスターにもかけていると言うこと。レッドブックのレッドブックマスターと言うのが面白いからだそうです。
ちょっと個人的に思ったのはこうした質の高い音楽がなぜCDではなくハイレゾででないのか、ということです。ウタダとかもいいかもしれませんが、音楽は生きてます。たとえばヒラリーハーンとも共作した現代音楽家なのかポップアーティストなのかユニークなハウシュカの新作とか、音楽シーンの先端にいるアーティストの新作がハイレゾで出ないでそれが本当に新しいフォーマットと言えるのでしょうか。
まず普及が大事だと売れ線ばかりハイレゾで出ても、いまの消費者は情報も豊富で賢いのでハイレゾって言って高付加価値でまた金を取るんだろう、と気がついてしまいます。ハイレゾとか言っても昔アーティストのデラックス版CD再発DVD付き(リマスター何回目だよ)なんてのと変わらないじゃない、と。(まあそれを買っちゃう私もなんですが)
もし本当に時代に合わせて音楽というものをより進化させるためにフォーマットを考えるなら、そこは変えていく必要があるでしょう。ハイレゾの問題は22kHzより上が聴けるかなんてことより大事なことが別にあると思います。
ちなみにペンギンカフェは9月に楽団員を引き連れて本格的な来日公演を予定しています。詳細は下記リンクから。
http://plankton.co.jp/penguin/
下記は新作Red BookからNASAのコミッションによるSOLARISです。もちろん有名なあれにかけているタイトルです。
サイモンジェフスがペンギンカフェをやっていたときはいわゆる環境音楽の一派で家具の音楽とも称されました。つまり家具のように部屋に流れていて溶け込んでいる、けれども生活を豊かにすると言うわけです。
これはともすると主張がない音楽とも取られますが、息子アーサーのペンギンカフェはもっと主張が強くなっていると思います。アーサーはペンギンカフェの他にもSUNDOGというユニットもやっていて、そちらはもっとアグレッシブなアプローチです。おとなしめで父の血筋のペンギンカフェともっとアーサーらしいSUNDOGという感じでしょうか。
現代的な器楽曲という根源は同じでも、サイモンのときとアーサーのいまでは立ち位置も変わるでしょう。かつてトールキンは現実逃避するのも勇気であるとして指輪物語を書きましたが、今の時代のさなかであえて一歩おいて自分を見つめるために現実から離れさせてくれるきっかけになっていると思います。こんな静かな音楽なのに心はハードロックよりも揺さぶられるのですから。
ちなみにタイトルの"Red Book"はユングの著書のタイトルから来ています。ただアーサーに言わせると(CDという意味の)レッドブックマスターにもかけていると言うこと。レッドブックのレッドブックマスターと言うのが面白いからだそうです。
ちょっと個人的に思ったのはこうした質の高い音楽がなぜCDではなくハイレゾででないのか、ということです。ウタダとかもいいかもしれませんが、音楽は生きてます。たとえばヒラリーハーンとも共作した現代音楽家なのかポップアーティストなのかユニークなハウシュカの新作とか、音楽シーンの先端にいるアーティストの新作がハイレゾで出ないでそれが本当に新しいフォーマットと言えるのでしょうか。
まず普及が大事だと売れ線ばかりハイレゾで出ても、いまの消費者は情報も豊富で賢いのでハイレゾって言って高付加価値でまた金を取るんだろう、と気がついてしまいます。ハイレゾとか言っても昔アーティストのデラックス版CD再発DVD付き(リマスター何回目だよ)なんてのと変わらないじゃない、と。(まあそれを買っちゃう私もなんですが)
もし本当に時代に合わせて音楽というものをより進化させるためにフォーマットを考えるなら、そこは変えていく必要があるでしょう。ハイレゾの問題は22kHzより上が聴けるかなんてことより大事なことが別にあると思います。
ちなみにペンギンカフェは9月に楽団員を引き連れて本格的な来日公演を予定しています。詳細は下記リンクから。
http://plankton.co.jp/penguin/
2014年01月12日
伊福部昭、生誕100年 - 「二十絃筝と管弦楽のための交響的エグログピアノリダクション」
今年はじめのアルバム紹介は年初らしく琴の演奏を紹介したいと思います。「伊福部昭: ピアノ作品集 第三集」から「二十絃筝と管弦楽のための交響的エグログピアノリダクション」です。
今年は伊福部昭氏の生誕100年にあたる年でもあります。伊福部昭氏はゴジラをはじめ映画音楽でつとに知られていますが、実際は日本現代音楽の重鎮でたくさんの作品を残しています。この「二十絃筝と管弦楽のための交響的エグログピアノリダクション」は琴独奏の作品を琴とピアノの二重奏に伊福部氏自らが編曲した版です。
現代音楽っていうと調性が曖昧で難しく、聴いてると良くわからない作品を思い起こします。しかしこれは明確な美しい旋律で琴の音色が堪能できる静のパートと、ジャズのインプロビゼーションを思わせるようなスピード感のあるピアノと琴の絡み合う動のパートが見事に対比された聴きやく感動的な作品です。これが初録音というのはもったいないくらいの良い作品だと思います。演奏も素晴らしいですね。
また録音も良いと思いますが、琴の音色をじっくりと楽しむのも面白い機会です。琴は琴線に触れる、という言葉もあるくらい良い音色の楽器ですが一般にはなじみ少ないですね。琴って雅楽・邦楽ではおなじみですが、わたしたちは近代西洋調性の音楽に慣れてるので、むしろ邦楽や雅楽から離れたこうした作品で琴の魅力を再発見できるのかもしれません。
カップリングされたピアノとヴァイオリンの作品も同様に素晴らしいもので、またピアノソロの子供向け作品ではなじみのあるメロディも随所に出てきます。怪獣総進撃マーチがそのまま「楽しい学校」ってタイトルがつけられていると、まあ似たようなもんかと思う面白さもあります。
購入はタワレコの店舗またはオンライン、あるいは下記のゼール音楽事務所にて。
http://zele.hustle.ne.jp/
来週のテレビ朝日系列の題名のない音楽会でも伊福部昭の生誕100年特集が放映されるということです。
ちなみに今年はライカ生誕100周年でもあります。下記リンクの日本カメラ博物館で展示を行っています。また今年はフォトキナ開催年ですので、どんな100周年記念モデルが出てくるか、、戦々恐々です。
http://www.timeout.jp/ja/tokyo/event/9943
今年は伊福部昭氏の生誕100年にあたる年でもあります。伊福部昭氏はゴジラをはじめ映画音楽でつとに知られていますが、実際は日本現代音楽の重鎮でたくさんの作品を残しています。この「二十絃筝と管弦楽のための交響的エグログピアノリダクション」は琴独奏の作品を琴とピアノの二重奏に伊福部氏自らが編曲した版です。
現代音楽っていうと調性が曖昧で難しく、聴いてると良くわからない作品を思い起こします。しかしこれは明確な美しい旋律で琴の音色が堪能できる静のパートと、ジャズのインプロビゼーションを思わせるようなスピード感のあるピアノと琴の絡み合う動のパートが見事に対比された聴きやく感動的な作品です。これが初録音というのはもったいないくらいの良い作品だと思います。演奏も素晴らしいですね。
また録音も良いと思いますが、琴の音色をじっくりと楽しむのも面白い機会です。琴は琴線に触れる、という言葉もあるくらい良い音色の楽器ですが一般にはなじみ少ないですね。琴って雅楽・邦楽ではおなじみですが、わたしたちは近代西洋調性の音楽に慣れてるので、むしろ邦楽や雅楽から離れたこうした作品で琴の魅力を再発見できるのかもしれません。
カップリングされたピアノとヴァイオリンの作品も同様に素晴らしいもので、またピアノソロの子供向け作品ではなじみのあるメロディも随所に出てきます。怪獣総進撃マーチがそのまま「楽しい学校」ってタイトルがつけられていると、まあ似たようなもんかと思う面白さもあります。
購入はタワレコの店舗またはオンライン、あるいは下記のゼール音楽事務所にて。
http://zele.hustle.ne.jp/
来週のテレビ朝日系列の題名のない音楽会でも伊福部昭の生誕100年特集が放映されるということです。
ちなみに今年はライカ生誕100周年でもあります。下記リンクの日本カメラ博物館で展示を行っています。また今年はフォトキナ開催年ですので、どんな100周年記念モデルが出てくるか、、戦々恐々です。
http://www.timeout.jp/ja/tokyo/event/9943
2013年12月28日
The End - 渋谷慶一郎+初音ミク
富田勲のイーハトーブ交響曲についで今年二回目の初音ミクもの紹介です。いまごろ初音ミクかよ、と言われるかもしれません。でも私もヴォーカロイドものを聴きたいわけではないんですが、最近初音ミクが私の行く手に立ちふさがってるので避けられない、と言った方が正しいかもしれません。意外なノイズ系の非常階段なんかも含めてクリエーターが好んで最近は初音ミクとのコラボを展開してます。それがいまごろなんです。
渋谷慶一郎の場合は委託でステージに人のいないオペラを成立させるためにヴォーカロイドという素材を選んでいます。それがこのThe Endという作品です。下記にプロジェクトの公式ホームページがあります。渋谷慶一郎氏は初音ミクのことをディストーション含んでハイがたって埋もれない楽器と評しています。
http://theend-official.com
The Endというタイトルの示すように、この作品では死がテーマになっています。つまり死なないヴォーカロイドという存在が死というものを歌うことが初音ミクの起用理由となります。
CDを聴いてて気がついたんですが、初音ミクというと高校生くらいの少女っていうイメージアイコンがあるんですが、このThe Endでの初音ミクはもっと幼く扱われていると思います。なにも知らないピュアな存在感ですね。データが蓄積される前のソフトウエアの空白状態、そうした意図も含められるっていうのはあるでしょう。
ステージでは下記PVのようにルイヴィトンの衣装デザインで登場しています。
The EndのCDはこちらで、右の豪華ボックス版もあります。
The Endにはヴォーカロイド版ではなく、渋谷慶一郎氏演奏による劇中アリアのピアノソロバージョンがあって、昨日からototoyでDSD配信が開始しました(DSD64+MP3)。これはSONYの最新ハンディDSD録音機材PCM D100を使って、オンマイクとオフマイクの二通りを録音するという面白い試みも行われてます。雑誌主催のちょっと実験的企画ですが、音楽としてこちらもけっこう良いので興味ある人はこちらからどうぞ。
http://ototoy.jp/feature/2013122700
渋谷慶一郎の場合は委託でステージに人のいないオペラを成立させるためにヴォーカロイドという素材を選んでいます。それがこのThe Endという作品です。下記にプロジェクトの公式ホームページがあります。渋谷慶一郎氏は初音ミクのことをディストーション含んでハイがたって埋もれない楽器と評しています。
http://theend-official.com
The Endというタイトルの示すように、この作品では死がテーマになっています。つまり死なないヴォーカロイドという存在が死というものを歌うことが初音ミクの起用理由となります。
CDを聴いてて気がついたんですが、初音ミクというと高校生くらいの少女っていうイメージアイコンがあるんですが、このThe Endでの初音ミクはもっと幼く扱われていると思います。なにも知らないピュアな存在感ですね。データが蓄積される前のソフトウエアの空白状態、そうした意図も含められるっていうのはあるでしょう。
ステージでは下記PVのようにルイヴィトンの衣装デザインで登場しています。
The EndのCDはこちらで、右の豪華ボックス版もあります。
The Endにはヴォーカロイド版ではなく、渋谷慶一郎氏演奏による劇中アリアのピアノソロバージョンがあって、昨日からototoyでDSD配信が開始しました(DSD64+MP3)。これはSONYの最新ハンディDSD録音機材PCM D100を使って、オンマイクとオフマイクの二通りを録音するという面白い試みも行われてます。雑誌主催のちょっと実験的企画ですが、音楽としてこちらもけっこう良いので興味ある人はこちらからどうぞ。
http://ototoy.jp/feature/2013122700
2013年07月19日
音楽で人の心を守る歌姫、三宅由佳莉3曹がCDデビュー
いま最も輝いていて、もっと知られても良い歌姫、それが三宅由佳莉さんです。彼女は自衛隊初の声楽採用で海上自衛隊の3等海曹です。東京音楽隊の一員として各地でその素晴らしい歌声を披露しています。いままでは会場に足を運ぶかYoutubeで見る以外にその歌声に触れることはできませんでしたが、なんとこの8月にユニバーサル・ミュージックからCDデビューすることが決まりました。
これに際して専用サイトが立ち上がっています。
http://www.emimusic.jp/classic/miyake/
ここではYoutubeで紹介していきます。
まずこちらの交響組曲「高千穂」を聴いてほしいと思います。これは海自のオリジナル曲で後で書きますが指揮の河邊一彦2等海佐の作曲です。なみのサントラよりもスケール感が大きく勇壮でカッコ良いですね。そのなかでの彼女の歌声に注目してほしいと思います。これもCDに収録されます。
自衛隊は各地でさまざまな層の観客を相手に演奏活動を行いますので、多彩なジャンルを歌いこなす必要があります。三宅3曹もオペラの歌曲からアニメのテーマまで多彩に歌いこなします。ラピュタのテーマはこれまでも多くのカバーがありましたが、この三宅由佳莉さんさんの歌ほど力強くストレートに感動できる歌の力はあまり聴いたことがありません。
三宅由佳莉さんの歌の魅力は声質が美しく魅力的とか多彩に歌いこなす技術力という点もありますが、まずこの力強く背を張って凛とした表現力だと思います。たとえば「坂の上の雲」のテーマ曲(Stand Alone)を三宅由佳莉さんさんが歌ったバージョンを聞くとオリジナルのサラブライトマンや森真紀さんよりもハッと思わせる感動があります。坂の上の雲というのは恋愛ドラマではありませんから、甘くきれいに歌えば良いというわけではありません。明治の日本が坂の上の雲に手を伸ばそうという、凛とした力強さを三宅由佳莉さんの歌からは感じられます。
また、オリジナル曲の作曲をしているのは指揮の河邊一彦2等海佐ですが、この河邊2佐の作曲センスも良いですね。軍楽隊らしくダイナミックで勇壮です。多くの一般の人が聴くので分かりやすい良さもあります。上の交響組曲「高千穂」は歌曲が入るのは2楽章だけですが、1楽章から4楽章までいずれも良いのでぜひ聞いてみてください。自衛隊の音楽隊は一般に演奏力もとても高いんですが、この機会にもっと注目されても良いと思います。
下は「祈り」で東日本大震災の被災者の方々への応援歌として作曲されました。曲はピアノのリードで展開される前半と歌曲の後半に分かれます。前半は被災後の哀しさなどが表現されていますが、やがて「希望」「夢」「未来」という-言葉を「祈り」に込めて美しく奏でられます。その祈りの部分を彼女が歌います。この祈りがCDではメインテーマとなるでしょう。
大震災では自衛隊の活躍ぶりが注目されましたが、三宅3曹の場合は歌の力で人を救うということが出来るということを改めて思い起こさせてくれます。彼女の歌の力強さは人々にきっと力を与えてくれるでしょう。
これに際して専用サイトが立ち上がっています。
http://www.emimusic.jp/classic/miyake/
ここではYoutubeで紹介していきます。
まずこちらの交響組曲「高千穂」を聴いてほしいと思います。これは海自のオリジナル曲で後で書きますが指揮の河邊一彦2等海佐の作曲です。なみのサントラよりもスケール感が大きく勇壮でカッコ良いですね。そのなかでの彼女の歌声に注目してほしいと思います。これもCDに収録されます。
自衛隊は各地でさまざまな層の観客を相手に演奏活動を行いますので、多彩なジャンルを歌いこなす必要があります。三宅3曹もオペラの歌曲からアニメのテーマまで多彩に歌いこなします。ラピュタのテーマはこれまでも多くのカバーがありましたが、この三宅由佳莉さんさんの歌ほど力強くストレートに感動できる歌の力はあまり聴いたことがありません。
三宅由佳莉さんの歌の魅力は声質が美しく魅力的とか多彩に歌いこなす技術力という点もありますが、まずこの力強く背を張って凛とした表現力だと思います。たとえば「坂の上の雲」のテーマ曲(Stand Alone)を三宅由佳莉さんさんが歌ったバージョンを聞くとオリジナルのサラブライトマンや森真紀さんよりもハッと思わせる感動があります。坂の上の雲というのは恋愛ドラマではありませんから、甘くきれいに歌えば良いというわけではありません。明治の日本が坂の上の雲に手を伸ばそうという、凛とした力強さを三宅由佳莉さんの歌からは感じられます。
また、オリジナル曲の作曲をしているのは指揮の河邊一彦2等海佐ですが、この河邊2佐の作曲センスも良いですね。軍楽隊らしくダイナミックで勇壮です。多くの一般の人が聴くので分かりやすい良さもあります。上の交響組曲「高千穂」は歌曲が入るのは2楽章だけですが、1楽章から4楽章までいずれも良いのでぜひ聞いてみてください。自衛隊の音楽隊は一般に演奏力もとても高いんですが、この機会にもっと注目されても良いと思います。
下は「祈り」で東日本大震災の被災者の方々への応援歌として作曲されました。曲はピアノのリードで展開される前半と歌曲の後半に分かれます。前半は被災後の哀しさなどが表現されていますが、やがて「希望」「夢」「未来」という-言葉を「祈り」に込めて美しく奏でられます。その祈りの部分を彼女が歌います。この祈りがCDではメインテーマとなるでしょう。
大震災では自衛隊の活躍ぶりが注目されましたが、三宅3曹の場合は歌の力で人を救うということが出来るということを改めて思い起こさせてくれます。彼女の歌の力強さは人々にきっと力を与えてくれるでしょう。
2013年07月08日
鳥の響展 - 吉松隆
本作は「プログレ現代作曲家」吉松隆氏の還暦を祝するコンサートライブです。若手のように思えましたが、もうそんなベテランなのですね。
二枚組で構成されていて、一枚目は現代音楽家としての吉松隆氏の顔、二枚目は平清盛やタルカスなど最近の話題作から録音されています。実際のコンサートライブではこのほかにピアノ演奏など器楽演奏があったようです。
一枚目の「鳥は静かに」は吉松氏らしい美しい佳品で(このCDには収録されていない)プレイアデス舞曲ともども難解なイメージの現代曲でこれだけ美しさが表現できるという好例となりうるものです。「サクスフォン協奏曲・サイバーバード」はジャズの要素も感じさせる軽快でやはりわかりやすい曲ですね。「ド-リアン」は名の通りドーリア旋法を駆使した万華鏡のような「幻の」初期作品です。
二枚目の「平清盛」と「タルカス」は最近の話題曲で、氏の知名度を押し上げるとともに、ロックをベースにした「破壊力のある」ダイナミックなオーケストラサウンドを全面に押し立てたものです。そして最後にはキースエマーソンのサプライズ演奏で「ハッピバースディ」が演奏されます。
こちらは本人からのメッセージです。
私も吉松作品はこれまでいくつか記事にしていますが、現代作曲家らしい新しい試み、プログレ好きに由来するダイナミックなところ、そしてあくまで美しさを追及するところなど、よくバランスのとれた作曲家だと思います。還暦を機にこれからもぜひがんばっていってほしいですね。
二枚組で構成されていて、一枚目は現代音楽家としての吉松隆氏の顔、二枚目は平清盛やタルカスなど最近の話題作から録音されています。実際の
一枚目の「鳥は静かに」は吉松氏らしい美しい佳品で(このCDには収録されていない)プレイアデス舞曲ともども難解なイメージの現代曲でこれだけ美しさが表現できるという好例となりうるものです。「サクスフォン協奏曲・サイバーバード」はジャズの要素も感じさせる軽快でやはりわかりやすい曲ですね。「ド-リアン」は名の通りドーリア旋法を駆使した万華鏡のような「幻の」初期作品です。
二枚目の「平清盛」と「タルカス」は最近の話題曲で、氏の知名度を押し上げるとともに、ロックをベースにした「破壊力のある」ダイナミックなオーケストラサウンドを全面に押し立てたものです。そして最後にはキースエマーソンのサプライズ演奏で「ハッピバースディ」が演奏されます。
こちらは本人からのメッセージです。
私も吉松作品はこれまでいくつか記事にしていますが、現代作曲家らしい新しい試み、プログレ好きに由来するダイナミックなところ、そしてあくまで美しさを追及するところなど、よくバランスのとれた作曲家だと思います。還暦を機にこれからもぜひがんばっていってほしいですね。
2013年05月23日
ゴールドベルク変奏曲(弦楽五重奏曲版) - 松原勝也
本アルバムはバッハの有名なゴルトベルク変奏曲を弦楽アレンジしたものです。ポイントは一般的なカルテットではなくコントラバスを加えて五重奏のクインテットとした点です。低域にコントラバスが加わることで全体的にも音に厚みが増し、カルテットの軽快なイメージからすると重厚さもうまく演出されています。
もうひとつ本作の長所となっているのは弦楽器の利点を生かして音をゆっくりと長く引いているところです。ゴルトベルク変奏曲というとグールドのピアノ演奏のテンポが速くリズミカルな印象が頭に浮かびますが、こうしたよく聴かれるピアノアレンジとの差が明瞭に浮き出ているのが本作品の面白いところだと思います。このため聴いていて気持ちよく、癒しの音楽的な心地よさがあります。聴いて疲れないところも良いですね。
ゴルトベルク変奏曲はチェンバロがオリジナルですが、チェンバロの発音の仕組みは弦楽器に似たものがあります。またゴルトベルク変奏曲はもともと眠れぬ貴族のために作曲されたという話ですので、さまざまな意味でとてもオリジナルの作曲意図に忠実でゴルトベルク変奏曲の本来あるべき姿なのかもしれません。
もうひとつ本作の長所となっているのは弦楽器の利点を生かして音をゆっくりと長く引いているところです。ゴルトベルク変奏曲というとグールドのピアノ演奏のテンポが速くリズミカルな印象が頭に浮かびますが、こうしたよく聴かれるピアノアレンジとの差が明瞭に浮き出ているのが本作品の面白いところだと思います。このため聴いていて気持ちよく、癒しの音楽的な心地よさがあります。聴いて疲れないところも良いですね。
ゴルトベルク変奏曲はチェンバロがオリジナルですが、チェンバロの発音の仕組みは弦楽器に似たものがあります。またゴルトベルク変奏曲はもともと眠れぬ貴族のために作曲されたという話ですので、さまざまな意味でとてもオリジナルの作曲意図に忠実でゴルトベルク変奏曲の本来あるべき姿なのかもしれません。
2013年04月02日
地中海音楽 - ラルペッジャータ
前作「十字架の道」では演奏の素晴らしさとともに録音も良くて私の一時期のリファレンスアルバムだったバロックアンサンブル・ラルペッジャータ(Christina Pluhar)の新作がこの地中海音楽です。古楽アンサンブルなのに地中海の音楽ということで素材もユニークですが、演奏もユニークです。楽器は古楽器だけではなくウッドベースも含まれています。
古楽アンサンブルでジャズの楽器や要素を入れるのはラルペッジャータのAll'improvviso、あるいはダウランド・プロジェクトあたりからよく行われるようになったことではありますが、ラルペッジャータのアルバムを古さを感じさせないで軽快なテンポで楽しむことができます。また本作では楽曲を地中海のテイストあふれるものにしたこともあってとてもノリの良さもより感じさせます。加えてイベリアあたりのファドの哀愁も感じさせながら歌の要素も濃く取り入れて、あきのこないバランスの良いアルバムの出来になっていると思います。
古楽アンサンブルでジャズの楽器や要素を入れるのはラルペッジャータのAll'improvviso、あるいはダウランド・プロジェクトあたりからよく行われるようになったことではありますが、ラルペッジャータのアルバムを古さを感じさせないで軽快なテンポで楽しむことができます。また本作では楽曲を地中海のテイストあふれるものにしたこともあってとてもノリの良さもより感じさせます。加えてイベリアあたりのファドの哀愁も感じさせながら歌の要素も濃く取り入れて、あきのこないバランスの良いアルバムの出来になっていると思います。
Off The Record - カールバルトス
クラフトワークのキーメンバーであったカールバルトスの新作です。いつのアルバムだよと言いたくなるくらい全力で80年代サウンドを繰り広げています。これは俺らのものだと言わんばかりに堂々とボコーダーを前面に立てているところはPerfume世代からするとむしろ新しく感じるかもしれません。
またカバーアートもそうですが、クラフトワークの新作と言っても良いくらいクラフトワークのアルバムを思わせるメロディーラインも感じられます。実際クラフトワーク自体はもともと電子音楽の実験的グループらしいのですが、このカールバルトスの加入によっていわゆる「テクノポップ」的なポップサウンドを全面に出したという点もあるようです。ライナーノートを中野フジヤエービックさんと同じ階にある80年代音楽ショップ、ショップメカノの店長が書いているところもポイントですね。
こちらタイトル曲AtomiumのPVがあります。Atomiumとはベルギーにあるユニークな原子の形をした建造物のことです。
ちなみにテクノポップというのは日本だけの言葉のようです。一般的にはメジャー系YMOの影響と考えられますが、そのあとマイナー音楽シーンではテクノというよりもむしろニューウェーブというジャンルで膨らんでいって、インディーズブームにつながっていくという流れとなりますね。
またカバーアートもそうですが、クラフトワークの新作と言っても良いくらいクラフトワークのアルバムを思わせるメロディーラインも感じられます。実際クラフトワーク自体はもともと電子音楽の実験的グループらしいのですが、このカールバルトスの加入によっていわゆる「テクノポップ」的なポップサウンドを全面に出したという点もあるようです。ライナーノートを中野フジヤエービックさんと同じ階にある80年代音楽ショップ、ショップメカノの店長が書いているところもポイントですね。
こちらタイトル曲AtomiumのPVがあります。Atomiumとはベルギーにあるユニークな原子の形をした建造物のことです。
ちなみにテクノポップというのは日本だけの言葉のようです。一般的にはメジャー系YMOの影響と考えられますが、そのあとマイナー音楽シーンではテクノというよりもむしろニューウェーブというジャンルで膨らんでいって、インディーズブームにつながっていくという流れとなりますね。
2013年02月14日
イーハトーヴ交響曲 - 冨田勲
巨匠冨田勲の80歳の作品にして初音ミクが管弦楽作品で起用されたということでも話題となった公演のライブアルバムです。
本作は冨田勲氏の敬愛する宮沢賢治の作品世界を表現した合唱とオーケストラ(とヴォーカロイド)のための作品です。音楽は賢治の詩や小説の一節を合唱と初音ミクで歌い上げるもので、加えて壮大な冨田勲らしい映画のようなオーケストレーションが楽しめます。最近は惑星のリメイクをするなど積極的に活動をしている冨田勲氏ですが、TVでこの作品に関する番組を見ていたら、さすがにもう80でオーケストラのスコアを書くような細かい仕事はもう難しいと言ってましたので、300名もの合唱団を取り入れるような大規模な作品としてはこれが最後なのかもしれません。
初音ミクを起用した理由としては賢治の不思議な世界観を表現するのに"バーチャル世界の"存在が好適であると語っています。冨田勲氏はご存知のように電子楽器であるモーグシンセサイザーをいち早く取り入れた作品を発表した作曲家ですが、今回もヴォーカロイドという新しい可能性を取り入れているわけです。
しかし、この作品で特徴的なのは単に流行のヴォーカロイドを入れてみました、という以上に新しい試みも行われています。本来は「作り置き」しておく初音ミクの音楽を、11/23の公演ではリアルタイムで歌わせているのです。これはつまり録画・録音されたものではなく、きちんとその場で指揮者の指揮に合わせて歌っているということです。対していままでのいわゆる初音ミクのライブみたいなものは周りの演奏者が合わせていたわけです。これは演奏者が弾くキーボードに合わせたタイミングで歌わせるという仕組みのようですね。CGもリアルタイムということです。これで名実ともにオーケストラのソリストとして歌い踊っていると言っても差し支えないわけです。逆に言うと単に話題性とか集客効果から初音ミクを取り上げたわけではなく、真にヴォーカロイドを表現手段として起用したいからオーケストラと合わせられるように工夫したと言えるんでしょう。
80歳の巨匠の口から初音ミクという言葉が出てくるだけでも驚きのような気がしますが、いまなお進取の気鋭のある巨匠には頭が下がります。なお本作にはリボンの騎士のオーケストラバージョンも収録されていて、歌うのはもちろん初音ミクです(下記動画の後半にちょっと出てきます)。こちらは手塚治虫が生きていたら、とちょっと考えますね。
こちらにコンサートの様子が少しアップされています。
初音ミクとのコラボでは日本のノイズバンドの元祖というか大御所バンドの非常階段とのコラボ作品が最近リリースされたのも驚きです。
新人歌手としてみると初音ミクはデビュー間もないのにこんなに大御所との共演を可能としてすごい、という見方もあるようにやはり時代の寵児的な存在であるとはいえますね。もちろんスケジュールを合わせやすいとか、文句を言わない、スキャンダルもないと製作側にとって都合の良い側面もあるのでしょうけれども。
本作は冨田勲氏の敬愛する宮沢賢治の作品世界を表現した合唱とオーケストラ(とヴォーカロイド)のための作品です。音楽は賢治の詩や小説の一節を合唱と初音ミクで歌い上げるもので、加えて壮大な冨田勲らしい映画のようなオーケストレーションが楽しめます。最近は惑星のリメイクをするなど積極的に活動をしている冨田勲氏ですが、TVでこの作品に関する番組を見ていたら、さすがにもう80でオーケストラのスコアを書くような細かい仕事はもう難しいと言ってましたので、300名もの合唱団を取り入れるような大規模な作品としてはこれが最後なのかもしれません。
初音ミクを起用した理由としては賢治の不思議な世界観を表現するのに"バーチャル世界の"存在が好適であると語っています。冨田勲氏はご存知のように電子楽器であるモーグシンセサイザーをいち早く取り入れた作品を発表した作曲家ですが、今回もヴォーカロイドという新しい可能性を取り入れているわけです。
しかし、この作品で特徴的なのは単に流行のヴォーカロイドを入れてみました、という以上に新しい試みも行われています。本来は「作り置き」しておく初音ミクの音楽を、11/23の公演ではリアルタイムで歌わせているのです。これはつまり録画・録音されたものではなく、きちんとその場で指揮者の指揮に合わせて歌っているということです。対していままでのいわゆる初音ミクのライブみたいなものは周りの演奏者が合わせていたわけです。これは演奏者が弾くキーボードに合わせたタイミングで歌わせるという仕組みのようですね。CGもリアルタイムということです。これで名実ともにオーケストラのソリストとして歌い踊っていると言っても差し支えないわけです。逆に言うと単に話題性とか集客効果から初音ミクを取り上げたわけではなく、真にヴォーカロイドを表現手段として起用したいからオーケストラと合わせられるように工夫したと言えるんでしょう。
80歳の巨匠の口から初音ミクという言葉が出てくるだけでも驚きのような気がしますが、いまなお進取の気鋭のある巨匠には頭が下がります。なお本作にはリボンの騎士のオーケストラバージョンも収録されていて、歌うのはもちろん初音ミクです(下記動画の後半にちょっと出てきます)。こちらは手塚治虫が生きていたら、とちょっと考えますね。
こちらにコンサートの様子が少しアップされています。
初音ミクとのコラボでは日本のノイズバンドの元祖というか大御所バンドの非常階段とのコラボ作品が最近リリースされたのも驚きです。
新人歌手としてみると初音ミクはデビュー間もないのにこんなに大御所との共演を可能としてすごい、という見方もあるようにやはり時代の寵児的な存在であるとはいえますね。もちろんスケジュールを合わせやすいとか、文句を言わない、スキャンダルもないと製作側にとって都合の良い側面もあるのでしょうけれども。
2012年12月29日
Recomposed Four Seasons - Max Richter
これはあの有名なクラシックの名曲であるヴィバルディの四季を"リミックス"したものです。タイトル通りに言うと四季の再作曲ですね。クラシックのアレンジというと原曲にビートをアレンジするというパターンがほとんどですが、現代音楽家のマックス・リヒターは本作で文字通り楽譜レベルから四季の再構築を行っています。四季とは異なったメロディーラインに絡めて四季の有名なフレーズをループさせるっていうミニマル手法が斬新です。こちらにYoutubeの試聴リンクがありますのでご覧ください。アルバムから冒頭のSpring 0とSpring 1です。
ビートが入ってないのに気持ちよく躍動的に感じられるところも良いですが、ドラマティックに見せかけていて終結部がなく唐突に終わるのも現代曲を思わせます。Richterは元の四季のスコアを音符レベルで再構築して、結果的に3/4を捨てたけれども元の曲のダイナミックさとエッセンスを抜き出したと語っています。Max Richterのインタビューもあります。
Max Richterは元は現代音楽ユニットであるピアノ・サーカスのメンバーでした。ピアノサーカスは6台のピアノを同時に使用するスティーブライヒのSix Pianosを演奏するために結成されたユニットで、その後もグラスなどミニマル音楽を中心として活動しています。Max Richterは最近ではエレクトロニカのアーティストとして有名になりいくつものアルバムを出しています。現代音楽家でもあり最近ではエレクトロニカで有名というと、少し前に紹介したヒラリーハーンと共作したハウシュカを思い出します。こちらのリンクです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/272154203.html
本作もハウシュカのSilfraと同様にクリエイティブにクラシック音楽の再構築をしています。
ちなみにピアノサーカスのSix Pianos演奏はこちらのiTunesリンクでどうぞ。
https://itunes.apple.com/jp/album/reich-six-pianos-riley-in/id206660790
ここでカップリングされているテリーライリーのin Cはミニマルの名曲、というよりこの曲でミニマルという音楽が創始された記念碑的作品です。Cはハ長調のことですが、それまでの現代音楽の代表だった無調が調性を否定しないと自由で創造的な作曲はできないという主張なのに対して、調性を持っていてもこれだけ創造的でかつ人が楽しめる音楽が作れるという意味がタイトルの"in C"に込められています。
そうしたミニマルムーブメントを受け継いで、最近のポストミニマルの傾向はもっとカジュアルな音楽に寄ってきて、こうしてゼロ年代音楽の代表ともいえるエレクトロニカと融合してきていますが、このRecomposed Four Seasonsもその流れと言えるでしょう。
Recomposed Four Seasonsのアルバムはドイツグラモフォンからリリースされています。
ビートが入ってないのに気持ちよく躍動的に感じられるところも良いですが、ドラマティックに見せかけていて終結部がなく唐突に終わるのも現代曲を思わせます。Richterは元の四季のスコアを音符レベルで再構築して、結果的に3/4を捨てたけれども元の曲のダイナミックさとエッセンスを抜き出したと語っています。Max Richterのインタビューもあります。
Max Richterは元は現代音楽ユニットであるピアノ・サーカスのメンバーでした。ピアノサーカスは6台のピアノを同時に使用するスティーブライヒのSix Pianosを演奏するために結成されたユニットで、その後もグラスなどミニマル音楽を中心として活動しています。Max Richterは最近ではエレクトロニカのアーティストとして有名になりいくつものアルバムを出しています。現代音楽家でもあり最近ではエレクトロニカで有名というと、少し前に紹介したヒラリーハーンと共作したハウシュカを思い出します。こちらのリンクです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/272154203.html
本作もハウシュカのSilfraと同様にクリエイティブにクラシック音楽の再構築をしています。
ちなみにピアノサーカスのSix Pianos演奏はこちらのiTunesリンクでどうぞ。
https://itunes.apple.com/jp/album/reich-six-pianos-riley-in/id206660790
ここでカップリングされているテリーライリーのin Cはミニマルの名曲、というよりこの曲でミニマルという音楽が創始された記念碑的作品です。Cはハ長調のことですが、それまでの現代音楽の代表だった無調が調性を否定しないと自由で創造的な作曲はできないという主張なのに対して、調性を持っていてもこれだけ創造的でかつ人が楽しめる音楽が作れるという意味がタイトルの"in C"に込められています。
そうしたミニマルムーブメントを受け継いで、最近のポストミニマルの傾向はもっとカジュアルな音楽に寄ってきて、こうしてゼロ年代音楽の代表ともいえるエレクトロニカと融合してきていますが、このRecomposed Four Seasonsもその流れと言えるでしょう。
Recomposed Four Seasonsのアルバムはドイツグラモフォンからリリースされています。
2012年12月19日
Song of the Lonely Mountain - 映画「ホビットの冒険」
映画「ホビットの冒険」を見て来ました。なかなか面白く気に入りました。
映画の予備知識をあまり持っていかなかったんですが、指輪と違って原作って一冊だったのでかってに一話完結で指輪の外伝っぽく作るのかと思ってましたが3部作とは驚きました。はじめなぜ「思いがけない冒険」とサブタイトルつけたんだろうと思ってましたがこういうことだったんですね。
映画のエンドロールで流れるエンディングテーマの"Song of the Lonely Mountain"もなかなか気に入ったのでさっそくiTunesダウンロードで購入して聴いてたんですが、聴きながら"Song of the Lonely Mountain"って「はなれ山の歌」っていうより「おさびし山の歌」だよなあ、とか思っていろいろ見てたら、実はトーベヤンソンがフィンランド版のホビットの冒険の挿絵を書いてたようです。こちらです。なんとなくムーミンタッチですね。
http://www.zepe.de/tjillu/hobbit/s/title.htm
フィンランド語でおさびし山をなんというかわかりませんが、面白い一致だと思ってもう少し調べたらやはり「ホビットの冒険」の方が早いのでトーベヤンソンもなんらかの影響は受けてたんでしょうね。それだけこの原作は影響力が高い物語ではあります。
ホビットの冒険は書かれたのは戦前で、指輪物語は戦中ですが、指輪物語が第二次大戦の隠喩となっているとはよく言われます。そうしてみるとホビットの冒険に出てくる故郷を追われてさまよえる民族になっているドワーフ族が奪還を目指そうとしているLonely Mountainってもしかして中東の。。と思ってしまいます。
ただ正直言ってトールキンって作家というより研究者なんで、言語を含めた作品世界の造型に比べると小説としてはだるいところがあります。それは指輪物語と同年に出版されたポールアンダーソンの「折れた魔剣」の物語としての圧倒的な面白さと比べると明らかです。映画としてあれだけ面白く作ったのは監督の功績だと思います。
それと見てて思いましたが、さらに前の時代設定の「シルマリルリオン(シルマリルの物語)」もおそらく映画化するつもりでしょうね。ちなみにシルマリルリオン(Silmarillion)はあのマリリオン(Marillion)のバンド名の元です。ですからあのバンド名はマリリオンって呼んでるけどホントはマリルリオンなんでしょうね。
こちら"Song of the Lonely Mountain"のiTunesリンクです。
https://itunes.apple.com/jp/album/ying-hua-hobitto-siigakenai/id587778989
AmazonでのCD購入はこちらです。
映画の予備知識をあまり持っていかなかったんですが、指輪と違って原作って一冊だったのでかってに一話完結で指輪の外伝っぽく作るのかと思ってましたが3部作とは驚きました。はじめなぜ「思いがけない冒険」とサブタイトルつけたんだろうと思ってましたがこういうことだったんですね。
映画のエンドロールで流れるエンディングテーマの"Song of the Lonely Mountain"もなかなか気に入ったのでさっそくiTunesダウンロードで購入して聴いてたんですが、聴きながら"Song of the Lonely Mountain"って「はなれ山の歌」っていうより「おさびし山の歌」だよなあ、とか思っていろいろ見てたら、実はトーベヤンソンがフィンランド版のホビットの冒険の挿絵を書いてたようです。こちらです。なんとなくムーミンタッチですね。
http://www.zepe.de/tjillu/hobbit/s/title.htm
フィンランド語でおさびし山をなんというかわかりませんが、面白い一致だと思ってもう少し調べたらやはり「ホビットの冒険」の方が早いのでトーベヤンソンもなんらかの影響は受けてたんでしょうね。それだけこの原作は影響力が高い物語ではあります。
ホビットの冒険は書かれたのは戦前で、指輪物語は戦中ですが、指輪物語が第二次大戦の隠喩となっているとはよく言われます。そうしてみるとホビットの冒険に出てくる故郷を追われてさまよえる民族になっているドワーフ族が奪還を目指そうとしているLonely Mountainってもしかして中東の。。と思ってしまいます。
ただ正直言ってトールキンって作家というより研究者なんで、言語を含めた作品世界の造型に比べると小説としてはだるいところがあります。それは指輪物語と同年に出版されたポールアンダーソンの「折れた魔剣」の物語としての圧倒的な面白さと比べると明らかです。映画としてあれだけ面白く作ったのは監督の功績だと思います。
それと見てて思いましたが、さらに前の時代設定の「シルマリルリオン(シルマリルの物語)」もおそらく映画化するつもりでしょうね。ちなみにシルマリルリオン(Silmarillion)はあのマリリオン(Marillion)のバンド名の元です。ですからあのバンド名はマリリオンって呼んでるけどホントはマリルリオンなんでしょうね。
こちら"Song of the Lonely Mountain"のiTunesリンクです。
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2012年12月18日
Jouluyo - Rajaton
iTunesにHolidayというタグ項目があります。これは直訳的な意味での祝日というのではなく、クリスマスを意味します。音楽ですからクリスマスソングですね。
日本では正月が特別なようにアメリカではクリスマスが特別な意味を持ちます(日本のクリスマスというイメージとはやや違いますけど)。しかしクリスマスというとキリスト教の意味を持つので、多民族国家のアメリカでは一般的に12月はホリディシーズンと呼びます。
この季節になると音楽もホリディソングがたくさん発売されます。今回紹介するのはフィンランドのアカペラグループ、RajatonのJouluyoです。これは前作のJouluという二枚組のホリディアルバムがヒットしたのを受けての続編です。Jouluがわりと伝統的・宗教的で他の国では知られていない曲をメインにしていたのに対すると、本作Jouluyoではより知られている曲、またポップな志向を取り入れています。
ため息の出るような美しい男女混声のアカペラ曲を堪能できますが、なかでも特にお勧めは映画「スノーマン」のテーマ曲である有名な"Walking in the Air"のカバー曲です。これは名曲なのでたくさんのカバーが出ていますが、Rajaton版はアレンジにおいて群を抜いて素晴らしいものです。バスパートがビートボックスを演じて背景のコーラスとともにポップでかつセンスの良い仕上がりになっています。
先月清里に行ったときに「えほんミュージアム」でスノーマンの原画が展示してあり、この曲をふと思い出しました。清里自体はそれほど雪はないようですが、牧歌的な雰囲気の中でいまころは静かな冬を迎えているのでしょう。そうしたイメージがふと頭を横切りました。
RAJATONのホームページはこちらです。
http://www.rajaton.net/en/frontpage
Jouluyoは多分普通には売ってないと思いますので、Amazon経由で海外のショップで買うか、試聴とともにiTunesでどうぞ。iTunesリンクはこちらです。
https://itunes.apple.com/jp/album/jouluyo/id474307722
Amazonのリンクでは左がJouluyoで右が前作のJouluです。
日本では正月が特別なようにアメリカではクリスマスが特別な意味を持ちます(日本のクリスマスというイメージとはやや違いますけど)。しかしクリスマスというとキリスト教の意味を持つので、多民族国家のアメリカでは一般的に12月はホリディシーズンと呼びます。
この季節になると音楽もホリディソングがたくさん発売されます。今回紹介するのはフィンランドのアカペラグループ、RajatonのJouluyoです。これは前作のJouluという二枚組のホリディアルバムがヒットしたのを受けての続編です。Jouluがわりと伝統的・宗教的で他の国では知られていない曲をメインにしていたのに対すると、本作Jouluyoではより知られている曲、またポップな志向を取り入れています。
ため息の出るような美しい男女混声のアカペラ曲を堪能できますが、なかでも特にお勧めは映画「スノーマン」のテーマ曲である有名な"Walking in the Air"のカバー曲です。これは名曲なのでたくさんのカバーが出ていますが、Rajaton版はアレンジにおいて群を抜いて素晴らしいものです。バスパートがビートボックスを演じて背景のコーラスとともにポップでかつセンスの良い仕上がりになっています。
先月清里に行ったときに「えほんミュージアム」でスノーマンの原画が展示してあり、この曲をふと思い出しました。清里自体はそれほど雪はないようですが、牧歌的な雰囲気の中でいまころは静かな冬を迎えているのでしょう。そうしたイメージがふと頭を横切りました。
RAJATONのホームページはこちらです。
http://www.rajaton.net/en/frontpage
Jouluyoは多分普通には売ってないと思いますので、Amazon経由で海外のショップで買うか、試聴とともにiTunesでどうぞ。iTunesリンクはこちらです。
https://itunes.apple.com/jp/album/jouluyo/id474307722
Amazonのリンクでは左がJouluyoで右が前作のJouluです。
2012年11月29日
ロジャーディーンのiPhoneゲーム
アルバム紹介の番外編ですが、イエスやエイジア、グリーンスレイドなどの幻想的なアルバムアートで知られる画家のロジャーディーンがプロデュースしたiPhoneのゲームが出ています。
その画集の名前もそうですが、Dragon's Dreamというものです。
価格は450円でiTunesリンクはこちらです。
https://itunes.apple.com/jp/app/dragons-dream/id560115046?mt=8
ゲームとしては単純なもので、タップで調整しながらキャラクターを右スクロールのフィールドでロジャーディーンの描く幻想的な世界のなかを進めていくというものです。
オーブと呼ばれる球体を集めていくことでギャラリーをアンロックしていくことができるようです。
ゲームとしてはいまひとつですが、あの世界観が好きな人には楽しめると思います。
その画集の名前もそうですが、Dragon's Dreamというものです。
価格は450円でiTunesリンクはこちらです。
https://itunes.apple.com/jp/app/dragons-dream/id560115046?mt=8
ゲームとしては単純なもので、タップで調整しながらキャラクターを右スクロールのフィールドでロジャーディーンの描く幻想的な世界のなかを進めていくというものです。
オーブと呼ばれる球体を集めていくことでギャラリーをアンロックしていくことができるようです。
ゲームとしてはいまひとつですが、あの世界観が好きな人には楽しめると思います。