最近私がはまっていることといえば、BandCampでお気に入りのアーティストを見つけることです。
いままではタワーレコードに行って新譜を試聴しながら同じことをしていたわけですが、いまではそれが家でできます。
以前フランスのPrikosnovenieやアメリカのProjekt、そして欧州Pagan音楽系のマイナー音楽を紹介しました。
Prikosnovenieレーベルの紹介ページProjektレーベルの紹介ページ古い神話の国の新しい音楽私はこういうマイナー・インディー系レーベルの音楽もよく買うんですが、問題もあります。まずCDを海外通販すると送料が高くつくということです。また海外のようにCDがなくなるのが現実味を帯びてくると、配信の必要性がまして来ますが、大手メジャーレーベルは良くともかえってこういうマイナーレーベルでは配信サイトの運営に難がありそうと感じていたわけです。
Bandcampとは
BandCampは主にそうしたマイナー・インディー系レーベルのための配信サイトです。そういう点では日本でいうとe-Onkyoよりototoyに近いと思います。どちらかというと音楽が好きなマニア向けですから、必然的に扱っている音楽ジャンルも少し偏りが出てきて、たとえばストレートなジャズやクラシックもありますが、BandCampではジャズやクラシックでもアバンギャルドや実験系が多くなります。多いのは広くエレクトロニカ系、オルタナ系、インディーポップやロック、またジャズでもユーロジャズやエレクトロニカに近い系(たとえばGoGo Penguin)などです。クラシックでも現代音楽はあります(たとえばBang on the Can)。
BandCampのトップページはここです。
https://bandcamp.com/BandCampはもともとCD通販がメインだったと思いますし、グッズなども販売されていますが、いまの主はデジタル配信だと思います。配信形式ではMP3の他にFLACやALACでも配信されていて、落として見るとデータのなかにはハイレゾもあります(48/24や44/24など)が特に明記されていません。また配信を購入すると同時にiPhoneなどの専用アプリでストリーミングも可能です(これもOTOTOYみたいな感じ)。
CDでは売り切れでも配信は可能で、価格は$5-$10とだいぶ安く設定されています。またアルバムではなく、シングルでも購入は可能です(アーティストによる)。支払いはPaypalです。
BandCampでまず面白いのは買い手が値段を決められることです。たいてい価格ではクラウドファンディングのように$7 or moreと書いてあります。つまり最低価格以上ならいくらで買っても良いんです。気に入ったら$7を$10出しても構いません。面白いのは$0以上というアルバムもけっこうあります(you name it"あなたが決めて"と書いてあります)。サンプラーはもちろんですが、ミュージシャンによっては普通に「あなたが決めて」販売してます。もちろんいくら払っても構いません。ただし0円で買った場合はストリーミングオプションが適用されませんし、多くはアーティストのメーリンググループ登録が必要となります。条件なしで無料の場合はFreeと書いてあります。
なかにはor moreという表示がなく、定価で$10というものもあります。この辺はミュージシャンしだいですね。
また売り上げは全ていったんミュージシャン(あるいはレーベル)のものとなります。Paypalの支払先は直接ミュージシャンです。そのため価格は現地通貨ですので注意してください。そこからPaypalが4%引いて、BandCampが15%取ります。(そのためアルバム買いではなくシングル書いをするとアーティストへの実入りが減ります)
またBandCampでは試聴がたっぷりと出来ます。というかアルバム全部聴けるというのが普通です。なかには1-2曲のみというミュージシャンもいますが、いずれにせよ一曲はまるまる試聴できます。
実際アーティストはインディーズ以外に学生とかアマチュアもみられて、そうした人が自分の曲を売るのに使っています。そのため質は玉石混交ですので、試聴はたっぷりした方がよいですね。タワレコだとバイヤーが一次フィルターになって良いものを入れてくると思いますが、ここは本当に直接ミュージシャンに接すると言ってもよいでしょう。
そういう意味でBandCampはSNS的な側面があります。曲を買うときにはコメントが残せますので、良かった、とかこの曲聴いてこんなこと思った、などいろいろ書きこめて直にミュージシャンに伝わります。また買ったミュージシャンは自動的にフォローされるので、新曲の情報はメールで分かります。またBandCampでユニークなのはファン同士がフォローできるということです。これは次に説明します。
Bandcampの歩き方さて、Bandcampでまず困難にぶちあたるのは、どうやって曲を探すの?という点です。
一番良いのはすでにこうしたバンドを知っている場合、その名前を検索してください。上のジャンルに合うような欧米のマイナーバンドです。たとえばMirablisとタイプすると、Mirablisのアルバムがリストされ、さらにProjektレーベルがたくさん他にBandcampで売られていることが分かります。Projektレーベル以外のアルバムを探すには、下にタグがありますのでそれをクリックしてください。たとえばGothicとかAlternativeなどで同傾向のバンドが出てきます。もしバンド名が分からなければ、検索欄に直接post rockとかelectronicaなどのキーワードを検索欄にタイプします。するとそれにタグつけられたリストが出てきます。これを芋づる式にやっていきます。また、DiscoverリンクではいまBandCampで売れているバンドを探すこともできます。
あとはBandCampならではの方法はSNS的な広がりです。Bandcampに登録している買う立場の人(我々)はFanと言います。BandCampに登録した時のアカウントがFanのアカウントになり、自分のページをもちます。そこに購買したリストやWish listが見られます。これらはデフォルトは公開です。Bandcampでアルバムを買うと自動的にそのアーティストのFanとして登録されます。そしてBandcampにいると定期的にお勧めのアルバムとともにお勧めのFanのリストが出てきます。つまりアーティストだけではなく、他のFanもフォローできます。フォロー関係はtwitterに似ています。また自分をフォローしてくれる人が出てきます。
たとえば自分をフォローしてくれた人はたいてい自分と好きな音楽傾向が似ています。その人の買ったリストを見ていくとだいたい自分も買うようなもので、それをAmazonのお勧めリンクのようにシステムが解析して、お勧めFanのリストを送ってくるわけです。ですのでフォローした/されているFanの買ったアルバムを試聴していくとけっこうはまります。またミュージシャンの新譜だけではなく、フォローしているFanの購入履歴もメールで送られてきます。そうするとこの人はこれ買ったのか、よし聴いてみよう、となるわけです。この辺は学校で友達同士で最近どんなミュージシャンの曲買った?なんて話すのと同じです。なかには私が買った曲もあって、ああ私の買ったの見てこの人も買ったんだ、ということもあります。この辺がBandCamp使いこなしのポイントの一つです。
BandCampでの購入方法購入についてはそのアルバムのページに行き、配信であればDigital Albumのところを探してその下のBuy Now $7 or moreと書かれたBuy Nowのボタンを押してください。(CDと別にあることが多いので注意ください。たいてい価格が高い方がCDです。)
シングルの場合は曲の横にマウスをもっていくとDownloadとボタンが出てくるのでそこを押してください。(ない場合もあります)
するといくら入れるか聞いてくるので、金額を入力してください。前に書いたように表示が$7でもとても気に入ってたら$10と入れてかまいません(低い金額はだめです)。あるいは全額募金の場合もあるのでその趣旨に賛同するときは多く入れても良いでしょう。
金額が書かれてなくてname your price とあれば、0以上です。ただし0を入れると多くの場合は無料リンクを別にメールで提示され、MLへの参加のためのメールアドレスを聞かれます。
金額を入力したらPaypalの画面になるのでPaypalのパスワードを入れて支払いをしてください。
最後にダウンロード画面になります。ここでダウンロード形式をFLACとかロスレスに変更すると良いでしょう。MP3がよければそのままでよいでしょう。少し時間があってダウンロードの準備ができるとリンクが表示されます。
またここでそのミュージシャンお勧めの他のミュージシャンのリンクが表示されるので、そこに飛んでも世界を広げられます。
BandCampのお勧めアーティスト私のお勧めアルバムを10枚ほど紹介します。

Adrian H & wounds
debut
https://projektrecords.bandcamp.com/album/debut-2前に書いたProjektレーベルの新作で、くせになりそうなユニークなヴォーカルスタイルと世界観をもった個性派バンドAdrian H & wounds。ゴシックやオルタナ好きの人に。

Alex Cook ensemble
The Deacon of Myrká
https://alex-hler-ensemble.bandcamp.com/作曲を学ぶ学生であるAlex Cookがバレエのために書き下ろした作品。荒削りながらも感動的な作品で、アコースティック楽器主体だけれども適度なエレクトロのブレンドもよい。これはname your price で0円から好きなだけ。

Tiny Leaves
A Good Land, An Excellent Land
https://tinyleaves.bandcamp.com/album/a-good-land-an-excellent-landもともとアンビエント系音楽を書いていたTiny Leavesによる端正で美しい室内楽。ジャケットのイメージ通りの自然を生楽器により描き出す心象風景が見事です。7曲目がお勧め。

GoGo Penguin
v2.0
https://gogopenguin.bandcamp.com/album/v20ユーロジャズだけど、もっといま風のエレクトロニカ的な解釈がはいって、いわばポストロックに対するポストユーロジャズみたいな感じ。スピード感があってノリが良い。かなりお勧め。

Zoe Keating
Into The Trees
http://music.zoekeating.com/album/into-the-treesクラシックのチェリストだけど、現代的でかつポップな曲を多く書いています。BandCampでもわりと人気の高いアーティスト。

Rhian Sheehan
Stories From Elsewhere
https://rhiansheehan.bandcamp.com/album/stories-from-elsewhere基本アンビエントの人だけど、ポストクラシカル的なドラマ性が良い。美しい音楽好きな人に。

Julia Wolfe feat. Bang on a Can All-Stars
Steel Hammer
https://cantaloupemusic.bandcamp.com/album/steel-hammerいわゆるBang on a canの尖った現代音楽グループによる尖った音楽。ミニマル好きな人に。難しいというより癖になります。この系統では私はDavid Langがわりと好き。

Mili
MuNiCa - Cry of Pluto
https://project-mili.bandcamp.com/album/munica-cry-of-pluto-original-sound-trackBandCampで人気の高い日本のエレクトロニカバンドMiliのストレートなエレクトロニカ。サントラらしいドラマティックな展開が良い。BandCampの日本のバンドだとkaninaもよい。name your priceです。

KING CRIMSON tribute The Letters
Mellow Records
https://mellowrecords.bandcamp.com/album/king-crimson-tribute-the-letters-3cdイタリアのプログレレーベルのMellow Recordsによるクリムゾントリビュート。私は9曲目のEpitaphの壊れ具合が好き。
他にもイエス、フロイド、ジェネシスはもとよりVGGやカンタベリーものトリビュートなどネタが豊富。BandCampはオールドロックが少ないのでわりと貴重かも。

... and darkness came
https://headphonecommute.bandcamp.com/album/and-darkness-came87曲で$10、FLACで2.8GBというCDではありえないコンピ。アンビエント・エレクトロニカ好きの人に。Helios、Nils Frahm、Max Richterなど日本でも有名なアーティストをはじめとしてたくさん入っています。これは100%を2012年のハリケーン・サンディ災害の募金に当てられます。
あとはページの左下にtagがありますので、そこをクリックしていけばいろんな音楽に出会えると思います。
Bandcampの世界をお楽しみください !