スタインウェイが世界初の「ハイレゾリューション・ピアノ」と銘打った新製品Spirioを発売しています。
https://www.steinway.co.jp/spirio
スタインウェイとしては実に80年ぶりの新製品ということですが、端的にいうと従来のスタインウェイのピアノに自動演奏システムを搭載したもので、いわゆる自動ピアノです。
なぜハイレゾかというとピアノの解像力が高くなったわけではなくて、自動演奏記録の精度(解像力)が高くなったということのようです。自動演奏システムの部分はiPadを使用して、独自のアプリを搭載しています。
Spirioのカタログより
このフォーマットはSpirio High Resolutionというらしく、記録しているのは打鍵の強さと長さ、ペダルのデータで、おそらく昔のピアノのロール紙をベースにしているように思います。記録方法はSpirioで演奏しているのを記録するか、または音源から解析することができます。
再現精度はハンマー速度が一秒間に880回、1020段階、ペダルが1秒間に100回、256段階ということです。
わたしは自動ピアノにわりと興味があって、前にZenph社がヤマハの自動ピアノを使ってグールドの演奏を再現したときに下記リンクの記事を書いています。
グレングールドは電気ピアノの夢を見るか?
これはグールドの録音したマスターテープを解析してデータ化(MIDI)します。このときは2007年で10年以上前ですが、この当時でも100万分の一秒の精度で鍵盤を叩く角度まで検出していたというので、今だとAIを使用してもっと進んだ解析ができるのでしょう。
こうした先進的な自動ピアノのもとになったのが、昔ながらのロール紙を読んで再生する自動ピアノで英語でいうとPlayer Piano(ボネガットの小説タイトルにもなった)またはReproducing Piano(再現ピアノ)ともいいます。わたしが行った範囲では清里と河口湖にわりと良い自動ピアノがあります。
清里の自動ピアノ(ホールオブホールズ所蔵)
河口湖の自動ピアノ(河口湖オルゴール博物館所蔵)
清里ではガーシュインとかラフマニノフが自分で記録したロール紙があります。下記動画は学芸員さんの了承を得て撮った自動ピアノの再生動画で、ガーシュイン自身によるラプソディインブルーのピアノ演奏です。
当時(100年くらい前)は自動ピアノがビジネスとして成立していて、作曲家も小遣い稼ぎになるのでよく自分自身で自動ピアノの記録を行ったそうです。記録には専用の記録ピアノを自動ピアノの発売の前に作っておいて、ロール紙に記録しますが、当時の技術では完全ではありません。そこで記録時に別の演奏家が立ち会って自分でもメモを取っていて、あとでロール紙を手作業で修正するのだそうです。(この辺がいまではAIなんでしょうけれども)
わたしが興味あるテーマの一つはオーディオがない時代はどのように家で音楽を楽しんでいたか、です。
その一つの答えは「自分で演奏する」で、よくオーケストラ曲のソロギターなどのアレンジ版がありますが、あれはギター演奏家のためというよりも、演奏会で楽しんだ感動を家でも味わいたいという人々の需要があったからのようです。そしてもう一つの答えは「オルゴールによる機械演奏」で、これが自動ピアノにつながります。
私自身はピアノを弾くわけではないですが、こうした科学と音楽の融合という分野には心惹かれるものがありますね。オーディオもそうなんですけれども。
Music TO GO!
2019年03月16日
2018年12月20日
ホールウインターの楽曲無料ダウンロード
Bandcampでサックス奏者でありニューエイジアーティストのポールウインターがみずからのレーベルの曲をいくつか無料ダウンロードで提供しています。
https://music.paulwinter.com/track/icarus-14
この"イカロス"は聴いたことがある人も多いと思います。
クリスマスプレゼント企画だと思いますが、ぜひどうぞ。
https://music.paulwinter.com/track/icarus-14
この"イカロス"は聴いたことがある人も多いと思います。
クリスマスプレゼント企画だと思いますが、ぜひどうぞ。
2018年04月01日
怪奇と正義 - 科楽特奏隊
ウルトラテーマのロックアルバムを出したグループ、科楽特奏隊の3/28リリースのセカンド。特撮主題歌のロックアレンジアルバムです。
01. 恐怖の町 (「怪奇大作戦」より)
02. 戦え!アイゼンボーグ (「恐竜大戦争アイゼンボーグより」)
03. 夢のヒーロー (「電光超人グリッドマン」より)
04. レッドマン (「レッドマン」より)
05. アンドロメロス (「アンドロメロス」より)
06. 快獣ブースカ (「快獣ブースカ」より)
07. ミラーマンの歌 (「ミラーマン」より)
08. ファイヤーマン (「ファイヤーマン」より)
09. ULTRA 7 (「ウルトラセブン」より)
10. TACの歌 (「ウルトラマンA」より)
11. マイティジャックの歌 (「マイティジャック」より)
ある世代にはよく知られてますが、若いミュージシャンが演奏するとは思えないテーマの主題歌がずらっと並んでます。欲を言えばこういうのならマッハバロンやれよ、って話もありますが、ローリーがすでにカバーしてるので避けたかも。
うまく原曲をロックンロールに乗せて曲ごとにアレンジもなかなか面白い(ミラーマンとか)ところ。ワンダバのTACの歌や、Ultra 7(ワン・ツー・スリー・フォーの歌)では"フォースゲートオープン"とか泣かせどころのSEも入ってます。最後を冨田勲の特撮テーマ代表曲ともいえるマイティジャックで閉めるのもかっこいいところ。
こちらは紹介動画で、アルバムタイトルの怪奇大作戦のテーマ。なんかそれっぽくMVも作られています。
購入はこちらです。
01. 恐怖の町 (「怪奇大作戦」より)
02. 戦え!アイゼンボーグ (「恐竜大戦争アイゼンボーグより」)
03. 夢のヒーロー (「電光超人グリッドマン」より)
04. レッドマン (「レッドマン」より)
05. アンドロメロス (「アンドロメロス」より)
06. 快獣ブースカ (「快獣ブースカ」より)
07. ミラーマンの歌 (「ミラーマン」より)
08. ファイヤーマン (「ファイヤーマン」より)
09. ULTRA 7 (「ウルトラセブン」より)
10. TACの歌 (「ウルトラマンA」より)
11. マイティジャックの歌 (「マイティジャック」より)
ある世代にはよく知られてますが、若いミュージシャンが演奏するとは思えないテーマの主題歌がずらっと並んでます。欲を言えばこういうのならマッハバロンやれよ、って話もありますが、ローリーがすでにカバーしてるので避けたかも。
うまく原曲をロックンロールに乗せて曲ごとにアレンジもなかなか面白い(ミラーマンとか)ところ。ワンダバのTACの歌や、Ultra 7(ワン・ツー・スリー・フォーの歌)では"フォースゲートオープン"とか泣かせどころのSEも入ってます。最後を冨田勲の特撮テーマ代表曲ともいえるマイティジャックで閉めるのもかっこいいところ。
こちらは紹介動画で、アルバムタイトルの怪奇大作戦のテーマ。なんかそれっぽくMVも作られています。
購入はこちらです。
2018年02月26日
アップルからヘッドフォン発売か?
アップルからヘッドフォンが発売されるのではないかと複数の海外メディアが書いています。
http://appleinsider.com/articles/18/02/25/apple-to-launch-branded-over-ear-headphones-upgraded-airpods-this-year
情報の出どころはアップル自身が投資家にあてたノートの中で述べた情報から、KGI証券のよく知られたアップル事情通のMing-Chi Kuoが推測したものです。Beatのリブランドにしろ、おそらくW1チップを使ったワイヤレスという線は堅いのではないかと思います。
まだ推測の域を出ていませんが、アップルロゴがイヤカップに入ったヘッドフォンはなかなかに魅力ではありますね。
http://appleinsider.com/articles/18/02/25/apple-to-launch-branded-over-ear-headphones-upgraded-airpods-this-year
情報の出どころはアップル自身が投資家にあてたノートの中で述べた情報から、KGI証券のよく知られたアップル事情通のMing-Chi Kuoが推測したものです。Beatのリブランドにしろ、おそらくW1チップを使ったワイヤレスという線は堅いのではないかと思います。
まだ推測の域を出ていませんが、アップルロゴがイヤカップに入ったヘッドフォンはなかなかに魅力ではありますね。
2018年02月12日
The sun's gone dim - Johann Johannsson
アイスランドは多彩な才能を音楽シーンに送っていて、ヨハン・ヨハンソンもその一人でしたが逝去の報を目にしました。ロック巨匠たちとは異なってまだ若いので残念です。エレクトロニカ方面から映画音楽、現代音楽方面でも活躍がありました。
ここでは映像的でドラマティックなThe sun's gone dimを紹介します。アルバムとしてはIBM 1401, A User's Manualに収録されています。ユーザーマニュアルを歌詞にするという現代音楽的なものですが、The sun's gone dimはシングル発売された曲なので他のトラックとは多少曲調が違います。
R.I.P.
ここでは映像的でドラマティックなThe sun's gone dimを紹介します。アルバムとしてはIBM 1401, A User's Manualに収録されています。ユーザーマニュアルを歌詞にするという現代音楽的なものですが、The sun's gone dimはシングル発売された曲なので他のトラックとは多少曲調が違います。
R.I.P.
2017年06月24日
マズルカ・アパシオナータ 〜ベスト・オブ・バリオス - 福田進一
今日はギタリストの福田進一さんの南米の音楽家バリオス作品集の発売記念ミニコンサートを聞いてきました。
音のつながりの滑らかさや一音の余韻を計算し尽くしたような完成度の高い演奏はシンプルなギターのみながら圧巻と言えるようなものでした。
面白かったのは福田氏が自分はライブよりもむしろ録音派だと言っていたところです。
やはり録音派だったグールドを引き合いに出してましたが、様々な要因で完璧にできないライブよりも、むしろ自分の演奏はCDで聴いて欲しいし、できればハイレゾで良いオーディオで聴いて欲しいと言うことです。
ましてカーステでは聴いて欲しくない、と言うことでしたが遮音されたカスタムイヤホンと高性能DAPで細かな音のニュアンスまで聴けるなら、演奏者の意図に沿うのかも、とも思いました。
また、よく正論的にオーディオ聴くより生演奏が一番、と言ったりしますが、必ずしもそうとは言い切れないのではないか、ともちょっと思いました。
音のつながりの滑らかさや一音の余韻を計算し尽くしたような完成度の高い演奏はシンプルなギターのみながら圧巻と言えるようなものでした。
面白かったのは福田氏が自分はライブよりもむしろ録音派だと言っていたところです。
やはり録音派だったグールドを引き合いに出してましたが、様々な要因で完璧にできないライブよりも、むしろ自分の演奏はCDで聴いて欲しいし、できればハイレゾで良いオーディオで聴いて欲しいと言うことです。
ましてカーステでは聴いて欲しくない、と言うことでしたが遮音されたカスタムイヤホンと高性能DAPで細かな音のニュアンスまで聴けるなら、演奏者の意図に沿うのかも、とも思いました。
また、よく正論的にオーディオ聴くより生演奏が一番、と言ったりしますが、必ずしもそうとは言い切れないのではないか、ともちょっと思いました。
2017年03月26日
On Horseback - マイク・オールドフィールド
マイク・オールドフィールドは「チューブラーベルズ」で大ヒットを記録した後に人嫌いとなって、ウェールズ地方のハージェスト・リッジという片田舎に移りすみました。
「オマドーン」は前にも書いたんですが初期三部作の最後の作品で、チューブラーベルズ同様に様々な楽器で多重録音を駆使した複雑な大曲です。そしてその最後にシンプルに自分の声を使って素朴なパートを入れてエンディングとしました。その部分はオマドーンの発表時には曲の一部と思われていましたが、のちにシングルカットされていまでは"On horseback"として知られています。
こちらのYoutubeで聴くことができます。
英語の元歌詞は画面に表示されますが、下にわたしが日本語の訳出をしました。
高原に行って森の中を馬の背で揺られていくと、森の木々の中で自然と一体になれたような気がします。そうしたとき、この曲がふと頭をよぎります。
(左で見えているのは八ヶ岳の赤岳)
---------"On horseback"-------------------
*は繰り返し部分
ぼくはビールが好きだ、チーズも好きだ。
そして西からそよ風に運ばれてくる匂いも好きだ。
でもそれら全部より、馬に乗ることが好きなんだ。
* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。
ぼくは雷が好きだ、雨も好きだ。
そして焚き火で燃えさかる炎も好きだ。
でも頭の中で音がとどろくくらいなら、馬の背に揺られていたいんだ。
あるものは都会を好み、喧噪を好む。
あるものは混沌やらなにやら作りだす。
でもぼくがもし選べるならば、馬に乗っていたいと思う。
* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。
こんな小さな星の上に自分がいるのを不思議に思う人もいる。
でもここがどこだか知っている人がいるのだろうか。
もしそうした不安につぶされそうになったら、馬に乗るといいよ。
世の中にはちっちゃな人もいる、でっかい人もいる。壁に頭を打ちつけてる人もいる。
でもそんなことはどうでもよいことなんだ、馬に乗ればそれが分かるよ。
* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。
だからもし、きみの気持ちがすさんできたら、
ハージェスト・リッジに来てごらん。
夏でも、冬でも、雨でも、晴れでも、
馬に乗るにはいいところなんだ。
* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。
* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。
「オマドーン」は前にも書いたんですが初期三部作の最後の作品で、チューブラーベルズ同様に様々な楽器で多重録音を駆使した複雑な大曲です。そしてその最後にシンプルに自分の声を使って素朴なパートを入れてエンディングとしました。その部分はオマドーンの発表時には曲の一部と思われていましたが、のちにシングルカットされていまでは"On horseback"として知られています。
こちらのYoutubeで聴くことができます。
英語の元歌詞は画面に表示されますが、下にわたしが日本語の訳出をしました。
高原に行って森の中を馬の背で揺られていくと、森の木々の中で自然と一体になれたような気がします。そうしたとき、この曲がふと頭をよぎります。
(左で見えているのは八ヶ岳の赤岳)
---------"On horseback"-------------------
*は繰り返し部分
ぼくはビールが好きだ、チーズも好きだ。
そして西からそよ風に運ばれてくる匂いも好きだ。
でもそれら全部より、馬に乗ることが好きなんだ。
* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。
ぼくは雷が好きだ、雨も好きだ。
そして焚き火で燃えさかる炎も好きだ。
でも頭の中で音がとどろくくらいなら、馬の背に揺られていたいんだ。
あるものは都会を好み、喧噪を好む。
あるものは混沌やらなにやら作りだす。
でもぼくがもし選べるならば、馬に乗っていたいと思う。
* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。
こんな小さな星の上に自分がいるのを不思議に思う人もいる。
でもここがどこだか知っている人がいるのだろうか。
もしそうした不安につぶされそうになったら、馬に乗るといいよ。
世の中にはちっちゃな人もいる、でっかい人もいる。壁に頭を打ちつけてる人もいる。
でもそんなことはどうでもよいことなんだ、馬に乗ればそれが分かるよ。
* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。
だからもし、きみの気持ちがすさんできたら、
ハージェスト・リッジに来てごらん。
夏でも、冬でも、雨でも、晴れでも、
馬に乗るにはいいところなんだ。
* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。
* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。
Return to Ommadon - マイク・オールドフィールド
マイクオールドフィールドの初期3部作の続編が彼自身の手によって続編が製作されました。その名も「Return to OMMADON」、オマドーンへの回帰という感じでしょうか。
高校の時にみんなで好きな音楽を持ち寄って観賞するという時間があったんですが、私が持ってきたのがこの「オマドーン」で、みなを思いっきり眠らせてしまったというのを思い出します。それほど思い入れがある作品ではありますね。
チューブラーベルズはいくつも続編が出ていますが、どれも初期作の続きというわけではなくアレンジ作品というべきでしょう。またAmarokがオマドーン2ともいわれましたが、あまりしっくりするわけではありません。
Roonの曲解説を読むと、ネットで次はどういうスタイルで作曲するか投票をしたそうで、その結果初期作品懐古のテーマを決めたということのようです。
たしかにCDというより、もはやダウンロードやストリーミングの時代にわざとLP時代のように一曲20分にした大作、コンセプトアルバム、一人多重録音(アナログ時代より楽だったと思うけれど)などなど初期作を思わせます。
またこれも前に書いたのですが、Robert Reedとか日本の大山耀(Asturius)氏によるマイクの初期作へのオマージュのような作品がいまでも作られていますのでそれに刺激されたというのもあるかもしれません。大山氏は新作のAt the Edge of the worldを出していますし、Robert Reedも以前紹介したSanctualyの続編を出しています。下記に記事を書いています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/408328727.html
期待も大きくて、夜e-onkyoのダウンロードを始めてダウンロード終わったら寝ようかと思ってたんですが、結局そのまま聴いてしまいました。
前がアフリカっぽいリズムを取り入れていたところに、今回はネイティヴアメリカンっぽいのを取り入れたり、最後に"On Horseback"と子供のコーラスを入れたりと複雑と言えば複雑な曲構成はオマドーンだけど、オリジナルがもっと内省的だったのに対して、これはどちらかと言うとインカンテーションズ・呪文の続編的には思えます。
ただ、悪くいうとRobert Reedのカバーっぽくも聞こえてしまいますね。なぜかというと、前のRobert Reedの時の記事にも書いたんですがRobert Reedも当時のマイクのエッセンスをうまく取り入れたのだけれども、Robert Reedが真似できなかったのはマイクの病んだ当時の精神性だったと思うんです。Robert Reedは人嫌いになって馬とともに田舎に引っ込んで鬱になるってことはないでしょう。その精神性がこの「Return to OMMADON」にもないんです。それはマイク自身が捨てたものだから。
たしかに70年代当時はアナログでのあれだけの多重録音する人間はそれだけで、少し偏執狂的な要素があったかもしれない。そしてマイクオールドフィールドの場合はチューブラーベルズでは多重録音のデモ音楽に過ぎなかったものが、オマドーンではそれを内的探求の旅へのツールとして昇華できたと思う。
今でもまだ大変かもしれないけれど、今はそれは音楽の探求者でなくてもやるでしょう。ミュージシャンがもはや探究者ではないのなら、これはやはり単なるベテランミュージシャンのファンサービスと言えるでしょう。
音楽なんて優秀作で十分なのに、優秀作が名作となるのはなにか切れたものが必要だと思います。
それは彼が成長するにつれて克服したものでマイクの場合は呪文でそれがありました。長髪を切ったジャケ写のように。
でも、おそらく我々が求めるのはそうした中二病とも言える若さゆえのなにかなのかもしれないとも思います。高校の私が共感して今は失くしたもの、70年代の音楽にあって、21世紀の音楽が失ったもの。
とか文句を言いながらも、今日もまた聴くわけですが。
ちなみに「オマドーン」はゲール語(古代アイルランド語)のバカとか間抜けという意味です。
e-onkyoのリンクはこちら。
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00602557277685/
Amazonリンクはこちら。
高校の時にみんなで好きな音楽を持ち寄って観賞するという時間があったんですが、私が持ってきたのがこの「オマドーン」で、みなを思いっきり眠らせてしまったというのを思い出します。それほど思い入れがある作品ではありますね。
チューブラーベルズはいくつも続編が出ていますが、どれも初期作の続きというわけではなくアレンジ作品というべきでしょう。またAmarokがオマドーン2ともいわれましたが、あまりしっくりするわけではありません。
Roonの曲解説を読むと、ネットで次はどういうスタイルで作曲するか投票をしたそうで、その結果初期作品懐古のテーマを決めたということのようです。
たしかにCDというより、もはやダウンロードやストリーミングの時代にわざとLP時代のように一曲20分にした大作、コンセプトアルバム、一人多重録音(アナログ時代より楽だったと思うけれど)などなど初期作を思わせます。
またこれも前に書いたのですが、Robert Reedとか日本の大山耀(Asturius)氏によるマイクの初期作へのオマージュのような作品がいまでも作られていますのでそれに刺激されたというのもあるかもしれません。大山氏は新作のAt the Edge of the worldを出していますし、Robert Reedも以前紹介したSanctualyの続編を出しています。下記に記事を書いています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/408328727.html
期待も大きくて、夜e-onkyoのダウンロードを始めてダウンロード終わったら寝ようかと思ってたんですが、結局そのまま聴いてしまいました。
前がアフリカっぽいリズムを取り入れていたところに、今回はネイティヴアメリカンっぽいのを取り入れたり、最後に"On Horseback"と子供のコーラスを入れたりと複雑と言えば複雑な曲構成はオマドーンだけど、オリジナルがもっと内省的だったのに対して、これはどちらかと言うとインカンテーションズ・呪文の続編的には思えます。
ただ、悪くいうとRobert Reedのカバーっぽくも聞こえてしまいますね。なぜかというと、前のRobert Reedの時の記事にも書いたんですがRobert Reedも当時のマイクのエッセンスをうまく取り入れたのだけれども、Robert Reedが真似できなかったのはマイクの病んだ当時の精神性だったと思うんです。Robert Reedは人嫌いになって馬とともに田舎に引っ込んで鬱になるってことはないでしょう。その精神性がこの「Return to OMMADON」にもないんです。それはマイク自身が捨てたものだから。
たしかに70年代当時はアナログでのあれだけの多重録音する人間はそれだけで、少し偏執狂的な要素があったかもしれない。そしてマイクオールドフィールドの場合はチューブラーベルズでは多重録音のデモ音楽に過ぎなかったものが、オマドーンではそれを内的探求の旅へのツールとして昇華できたと思う。
今でもまだ大変かもしれないけれど、今はそれは音楽の探求者でなくてもやるでしょう。ミュージシャンがもはや探究者ではないのなら、これはやはり単なるベテランミュージシャンのファンサービスと言えるでしょう。
音楽なんて優秀作で十分なのに、優秀作が名作となるのはなにか切れたものが必要だと思います。
それは彼が成長するにつれて克服したものでマイクの場合は呪文でそれがありました。長髪を切ったジャケ写のように。
でも、おそらく我々が求めるのはそうした中二病とも言える若さゆえのなにかなのかもしれないとも思います。高校の私が共感して今は失くしたもの、70年代の音楽にあって、21世紀の音楽が失ったもの。
とか文句を言いながらも、今日もまた聴くわけですが。
ちなみに「オマドーン」はゲール語(古代アイルランド語)のバカとか間抜けという意味です。
e-onkyoのリンクはこちら。
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00602557277685/
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2017年03月06日
アフターグロウ - 進藤麻美
週末にピアニストの進藤麻美さんのデビュー曲記念のミニコンサートを見てきました。
http://mamishindo.wp.xdomain.jp/
技術力がすばらしく高くて指がよく動き滑らかで、音が鋭いというのが印象的です。アルバムも購入したんですが、選曲も興味深く有名曲と無名曲、時代が選ばれてます。
ピアニストがデビューアルバムでラ・カンパネラを収録するのはヴァイオリニストがデビュー盤でツィゴイネルワイゼンを収録するみたいな技術力の証明のようなものかもしれませんが、こうしたよく知られてる曲では切れの良いタッチがよくわかります。
演奏スタイルはダイナミックなタイプですが、タッチがよく音色が多彩なのでドビュッシーみたいなフランス系もこなす器用さもわかりますね。
でもこういう人はやはり現代曲が似合うと思います。そういう意味ではヴィラロボスのオリオン座の三つ星と、なんと言っても最後のヴァインのソナタが圧巻でした。
コンサートの冒頭はオリオン座の三つ星で始めたけど、その指使いにちょっと聞いてこの人は上手いって思わせてくれます。
ソナタは冒頭からノンジャンルの感覚がユニークですが、88鍵全部使うっていうこの曲はテクニカルでスピーディ、緩急自在のダイナミックさ。これはコンサートの最後の曲だったんですが、終わった時はこの人このまま倒れるんじゃないかと思ったくらいの演奏への没入感がすごい。アンコールさせるのがかわいそうと思ったくらい。
書評でも選曲が良いと書かれてるそうだけど、それは自分の魅せ所をよく知ってるということでもあると思います。
私もそんなにクラシック系は聞くほうではないけれども、最近だとこの人とヴァイオリンの小林美樹さんが、同じ楽器でも弾く人で違うんだなと思わせてくれた感じです。オーディオもそういうところを表現して欲しいところではありますね。
* Roonでのダイナミックレンジ表示: 16
Amazonのリンクで試聴できます。
http://mamishindo.wp.xdomain.jp/
技術力がすばらしく高くて指がよく動き滑らかで、音が鋭いというのが印象的です。アルバムも購入したんですが、選曲も興味深く有名曲と無名曲、時代が選ばれてます。
ピアニストがデビューアルバムでラ・カンパネラを収録するのはヴァイオリニストがデビュー盤でツィゴイネルワイゼンを収録するみたいな技術力の証明のようなものかもしれませんが、こうしたよく知られてる曲では切れの良いタッチがよくわかります。
演奏スタイルはダイナミックなタイプですが、タッチがよく音色が多彩なのでドビュッシーみたいなフランス系もこなす器用さもわかりますね。
でもこういう人はやはり現代曲が似合うと思います。そういう意味ではヴィラロボスのオリオン座の三つ星と、なんと言っても最後のヴァインのソナタが圧巻でした。
コンサートの冒頭はオリオン座の三つ星で始めたけど、その指使いにちょっと聞いてこの人は上手いって思わせてくれます。
ソナタは冒頭からノンジャンルの感覚がユニークですが、88鍵全部使うっていうこの曲はテクニカルでスピーディ、緩急自在のダイナミックさ。これはコンサートの最後の曲だったんですが、終わった時はこの人このまま倒れるんじゃないかと思ったくらいの演奏への没入感がすごい。アンコールさせるのがかわいそうと思ったくらい。
書評でも選曲が良いと書かれてるそうだけど、それは自分の魅せ所をよく知ってるということでもあると思います。
私もそんなにクラシック系は聞くほうではないけれども、最近だとこの人とヴァイオリンの小林美樹さんが、同じ楽器でも弾く人で違うんだなと思わせてくれた感じです。オーディオもそういうところを表現して欲しいところではありますね。
* Roonでのダイナミックレンジ表示: 16
Amazonのリンクで試聴できます。
2017年02月01日
Starless - King Crimson
ジョン・ウエットンの逝去の報が入ってきました。安らかな最期だったとのこと。
彼は来日も多くU.K.、エイジアのほうがいきいきとしていたかもしれませんが、わたしはやはりジョン・ウエットンというとクリムゾンの名曲スターレスですね。グレッグレイク同様にどちらかというとやはりヴォーカルとしてのイメージが強かったと思います。
クリムゾン第1期の最後を告げるスターレスには、その始まりだったグレッグレイクの歌う宮殿のようなピートシンフィールドの歌詞のきらびやかなファンタジーに飾られた世界はなく、ストレートでストイックに星のない漆黒の闇をテーマに歌う世界の中で、ウエットンの深みのある声がフリップのもたらす破壊に救済を与えてくれます。だれがこれ以上のスターレスを聴かせてくれるんだろうかと思うと残念です。R.I.P.
彼は来日も多くU.K.、エイジアのほうがいきいきとしていたかもしれませんが、わたしはやはりジョン・ウエットンというとクリムゾンの名曲スターレスですね。グレッグレイク同様にどちらかというとやはりヴォーカルとしてのイメージが強かったと思います。
クリムゾン第1期の最後を告げるスターレスには、その始まりだったグレッグレイクの歌う宮殿のようなピートシンフィールドの歌詞のきらびやかなファンタジーに飾られた世界はなく、ストレートでストイックに星のない漆黒の闇をテーマに歌う世界の中で、ウエットンの深みのある声がフリップのもたらす破壊に救済を与えてくれます。だれがこれ以上のスターレスを聴かせてくれるんだろうかと思うと残念です。R.I.P.
2016年12月08日
Still You Turn Me On - グレッグレイク
最近はこうした話題が多いのですが、3月のキースエマーソンに続いてグレッグレイクまでもなくなったというニュースが流れてきました。ただエマーソンがライブを控えての自殺というショッキングなものだったのですが、グレッグレイクは闘病の末だということです。
http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-38251936
このBBCニュースのタイトルを見るとギタリストとありますが、言われてみればということで、やはりグレッグレイクというと本来のベースやギターよりもヴォーカルとしてのイメージがはるかに強いですね。
グレッグレイクがメインなのはやはりELPですが、クリムゾンのファーストの印象もやはり強いものがあります。宮殿なんかはカバーも多いのでさまざまなヴォーカルで歌われていますが、やはりグレッグレイクの声に戻ってきてしまいます。ただやはりバンドの顔はヴォーカルであり、ヴォーカルが変わるクリムゾンに比べれば、グレッグレイクがELPの顔としての存在は大きかったと思います。実質的にはELPはエマーソンバンドですが、やはりヴォーカルの印象の大きさは強く、それを示した一人と言えます。
ここではまずELPのアルバムからヴォーカルとギターの魅力の両方が楽しめるStill You Turn Me Onを紹介したいと思います。そしてもう一曲あげたいのはWorksからのセ・ラ・ヴィですね。
この甘い声がもう聴けないのは残念です。R.I.P.
Still You Turn Me On
C'est La Vie
http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-38251936
このBBCニュースのタイトルを見るとギタリストとありますが、言われてみればということで、やはりグレッグレイクというと本来のベースやギターよりもヴォーカルとしてのイメージがはるかに強いですね。
グレッグレイクがメインなのはやはりELPですが、クリムゾンのファーストの印象もやはり強いものがあります。宮殿なんかはカバーも多いのでさまざまなヴォーカルで歌われていますが、やはりグレッグレイクの声に戻ってきてしまいます。ただやはりバンドの顔はヴォーカルであり、ヴォーカルが変わるクリムゾンに比べれば、グレッグレイクがELPの顔としての存在は大きかったと思います。実質的にはELPはエマーソンバンドですが、やはりヴォーカルの印象の大きさは強く、それを示した一人と言えます。
ここではまずELPのアルバムからヴォーカルとギターの魅力の両方が楽しめるStill You Turn Me Onを紹介したいと思います。そしてもう一曲あげたいのはWorksからのセ・ラ・ヴィですね。
この甘い声がもう聴けないのは残念です。R.I.P.
Still You Turn Me On
C'est La Vie
2016年10月19日
スマートフォンに最適のDAC内蔵ポータブルアンプ、OPPO HA2SE
OPPO HA2はスリムタイプのDAC内蔵型のポータブルヘッドフォンアンプですが、利便性、性能、デザインのバランスの良さで高評価を得ています。そのHA2の後継ともいうべき新型のHA2SEが発売されました。
これによりHA-2ブラックモデルは販売終了しますが、日本限定モデルのCherry RedとSapphire Blueは継続販売されるということです。価格はオープンで実勢価格は4万円弱です。このことからHA2SEはHA2の正式な後継機であるということが言えます。
本稿ではHA2(初代)と比較しながらHA2SEの紹介をしていきます。
* HA2シリーズの特徴
まずHA2SEの解説の前に初代HA2の紹介をします。
Oppoは音質も良いBDプレーヤーで知られるようになり、ピュアオーディオ分野やポータブルオーディオ分野にも範囲を広げています。BDプレーヤーの頃の当初からESSのDAC ICを活用していたことで知られていて、ESSのDAC採用ではエキスパートともいえます。HA2ではやはりESSのポータブル向けのハイグレードDACであるES9018K2Mを採用しています。これで高音質とDSDネイティブ対応を実現しています。
もうひとつのHA2の大きな特徴はスマートフォン、特にiPhoneに向いているということです。iPhone 7では3.5mmヘッドフォン端子がなくなってしまいましたが、HA2はそれをカバーするうえでも有効なアクセサリーとなります。
なぜiPhoneに向いているかと言うと、まずデザイン的にスリムでiPhoneとあわせやすいということがあります。筺体はアルミ削り出しの高級感があり、iPhoneの質感にも劣りません。また手帳型ともいわれるように手帳風の革張りがされてるのでスマートフォンと背中合わせにしても傷の心配が少ない。また滑りにくく持ちやすいですね。
またHA2ではUSB入力としてUSB Micro Bの他にUSB Aタイプ(スイッチA)の端子を持っているので、いわゆる「iPodデジタル」タイプのデジタル接続が可能です。これはUSBアクセサリー接続というもので(詳細はこちらの記事参照)、Micro Bタイプに比較するといわゆるカメラコネクションキットが不要で、直接ライトニング端子に接続できることと、電力消費の心配が少ない点があります。また本体のボリュームとの連動など、スマートフォンとDACの接続としては安定感があります。
ただしハイレゾやDSD接続に対応していないので、それが必要な場合にはMicro B(スイッチB)を使います。
追記→確認したところ、HA2/HA2SEではスイッチA位置でもPCM384/24、DSD128に対応すると言うことです。
またHA2はモバイルバッテリーとしても機能するので、その点でもスマートフォンとはあわせやすいと言えます。接続するためのケーブルははじめから入っています。
* HA2とHA2SEの違い
赤が初代HA2、黒がHA2SE
HA2とHA2SEの外観の違いはSEのマーキング以外にはほぼありません。
HA2とHA2SEの違いは主に下記の4点です。
- ESSのES9028Q2Mを採用
HA2SEではESSのDACは最新のタイプであるES9028Q2Mに変更されました。ES9028Q2Mの採用はおそらくポータブル業界初のことで、この辺のESSに対しての機敏さはOPPOならではです。これにより384kHz/32bitまでのPCMデータおよび12.2 MHz (HA2では11.2MHzまでの保証だった)までのDSDデータの再生に対応しています。12.2はDSD256のクロックの系列による差です。
スペック的にも2dBほどですがダイナミックレンジが改善されていますが、内部的な違いは音質に現れるでしょう。
- アンプ回路の改良
ヘッドホンアンプ回路はICとディスクリート部品のトランジスタで構成されたAB級アンプ設計となっていて、ディスクリート部品のトランジスタで構成された出力段にはマッチドペアの選別品を使用するなど,出力品質へのこだわりが感じられます。また昨今のトレンドを踏まえた音質傾向にしたとのことです。
- ゲイン設定の見直し
高感度IEM向けの改良点としてLowゲインで高感度カスタムIEMにも対応したということで、これは主にユーザーの声だそうです。実際に海外ではポータブル機器にも大型ヘッドフォンを使うことも多く、ポータブルでも出力が追求される傾向にあります。そこでこうしたイヤフォン重視という日本としての要求を反映させることは大事であるし、また聴いてくれるというのは良いメーカーだと言えます。
-付属ケーブルの変更
これもユーザーの声からストレートからL字型に変更されました。これもやはり海外ではデスクにおいて使うことが多く考えられるために(iQubeなんかはそうですが)、ストレートでも良いのですが、バッグに入れて使いたいという日本ならではの要求をするのは大事なことです。また日本市場を重要視する姿勢が見られますね。
* 外観・操作感
旧HA2とは外観もパッケージもほぼ同じです。パッケージは海外マニアックメーカーと言うよりも国産メーカー的なしっかりしたものでこの辺からも製品の安心感を感じることでしょう。
筺体はなかなか高級感のあるもので、CNCマシンで削り出したアルミニウム合金の筐体を高品質な本革製カバーで覆った構造になっています。
旧HA2とは色違いのモデル以外はSEの刻印が異なるのみのように思います。
筺体の大きさはiPhone 6/7(無印)とほぼ同じです。iPhone5ではやや小さく、iPhone 6/7 plusではやや大きくなります。実際にiPhone 7 plusと組み合わせてみましたが、手に持って見てHA2SEが薄いので特に問題なく持って使えるように思います。
iPhone6(左)とiPhone 7 Plus(右)
使い方はA/B/Cの底面入力スイッチで使いわけをすることになりますが、アナログ入力(C)、USB Aによるデジタル入力(A)、USB micro B(B)によるデジタル入力があります。やはりHA2ならではの使い方をするならば、AまたはB位置でデジタル入力で使うのがお勧めで、強力なESS DACの恩恵を受けられます。
AとBの使い分けは上でも書きましたが、iPhoneとはAを使うのがお勧めで、AK70/AK300またはWalkmanなどと組み合わせるにはBを使います。またiPhoneでもハイレゾを出したいときにはBを使うことになりますが、この場合にはカメラキットか同等のケーブルが必要です。
ここでは主にA位置を使ってiPhoneと組みあわせて使いましたが、スムーズに使うことができました。AK70のmicro USBでもiPhoneのAでもとにかく簡単でスイッチを変えるだけです。とても扱いやすいと思います。
* HA2(初代)/HA2SEの音質
リファレンスIEMのKatanaユニバーサルを使用して主にiPhone 7 plusを使ってA位置(USB A)で試聴しました。
まずHA2(初代)の方を聴くと初代でかなり音質は良く、ESSらしくSNが高くとてもクリアで透明感、明瞭感がとても優れた音です。解像力が高く音数が多いと感じ、帯域的な音バランスはかなりフラットで良好、切れが良いのでアタック感があります。音の個性はよく整っていてニュートラル、色つけが少ないのですが、ちょっとドライな感じがする点もESS的な特徴です。総じて音性能はかなり高く、価格を考えるととてもコストパフォーマンスが良いと思います。
次にHA2SEを同じソースで聴いてみました。音の印象はまずHA2よりもやや厚み・暖かみがあってESS的なドライさが少ないと感じられます。ノイズが少ないというよりも音の個性がやや違っていて、少しだけれども暖かくESSっぽいドライさが(良い方へ)減ってより聴きやすいと感じられます。
帯域的な高低により広がって、ファルセットの伸びもより高く伸びているように思います。またウッドベースのピチカートでSEの方がより切れ味が良く、明瞭感が高いと思います。ここはDACの効果かもしれませんが、たぶん駆動力の向上はここにも効いてると思います。ドライブ感のあるロックでもSEの方がスピード感と強いアタック・インパクトを感じられます。より音の厚みがあるのもそこにプラスにはたらしいています。SEの後でHA2(初代)を聴くとやや薄味に感じられます。
新型DACに目が行きがちですが、アンプの違いが大きいという印象があります。
私はApple MusicとかBandcampでよくストリーミングを使うのですが、iPhoneでストリーミングを高音質で聴くにはうってつけのアンプです。それらが圧縮音源だということは言われないと気がつかないと思いますね。
またもしこのクオリティでTidalストリーミングできれば、とも思います。(AK70/AK300の最新ファームアップと合わせるとできそうですが)
接続用のケーブルはiPhone用のライトニングも、AK70/300などと合わせるOTGも入っていて、すぐに使えると言う点もHA2の長所で、特にSEになってL字型になって利便性が良くなっていると思います。
* まとめ
透明感や解像感などはHA2(初代)でも十分すぎるほど良いけれども、SEの方が一段と音楽的により気持ちよく楽しく聴くことができます。見た目は同じだけど、中身はだいぶ進化していると思います。
iPhone 7からヘッドフォン端子がなくなり、ワイヤレス派とライトニング派に分かれてその後を模索していますが、ライトニング派は高音質を重視すると思いますのでぜひお勧めしたいところですね。
最近はApple MusicやSpotifyの参入などでストリーミングの需要も増えていますが、これならばかなり高音質で聴くことができます。ストリーミングは音質が落ちるので安く提供できるという考えもあるかもしれませんが、Apple Musicとかこの音質で聴かれたら反則じゃないかと思います。
また今回の改良はユーザーの声を聴いたということで、そうして声を吸い上げてくれるメーカーは良いですね。なにしろこのヘッドフォンオーディオの世界はボトムアップで進歩してきましたから。
OPPOデジタルジャパンはヘッドフォン祭に出展しますのでそちらでHA2SEを試聴することができます。またRMAFで展示されたSonica DAC(ネットワークオーディオプレーヤー機能付DAC)も展示されるということです。
また隣のエミライブースではMrSpeakersとResonessene Labs、exaSound、そしてHeadFiで人気のあのCavalliのヘッドホンアンプも展示予定だそうです。これ私も期待してましたのでかなり楽しみです!
これによりHA-2ブラックモデルは販売終了しますが、日本限定モデルのCherry RedとSapphire Blueは継続販売されるということです。価格はオープンで実勢価格は4万円弱です。このことからHA2SEはHA2の正式な後継機であるということが言えます。
本稿ではHA2(初代)と比較しながらHA2SEの紹介をしていきます。
* HA2シリーズの特徴
まずHA2SEの解説の前に初代HA2の紹介をします。
Oppoは音質も良いBDプレーヤーで知られるようになり、ピュアオーディオ分野やポータブルオーディオ分野にも範囲を広げています。BDプレーヤーの頃の当初からESSのDAC ICを活用していたことで知られていて、ESSのDAC採用ではエキスパートともいえます。HA2ではやはりESSのポータブル向けのハイグレードDACであるES9018K2Mを採用しています。これで高音質とDSDネイティブ対応を実現しています。
もうひとつのHA2の大きな特徴はスマートフォン、特にiPhoneに向いているということです。iPhone 7では3.5mmヘッドフォン端子がなくなってしまいましたが、HA2はそれをカバーするうえでも有効なアクセサリーとなります。
なぜiPhoneに向いているかと言うと、まずデザイン的にスリムでiPhoneとあわせやすいということがあります。筺体はアルミ削り出しの高級感があり、iPhoneの質感にも劣りません。また手帳型ともいわれるように手帳風の革張りがされてるのでスマートフォンと背中合わせにしても傷の心配が少ない。また滑りにくく持ちやすいですね。
またHA2ではUSB入力としてUSB Micro Bの他にUSB Aタイプ(スイッチA)の端子を持っているので、いわゆる「iPodデジタル」タイプのデジタル接続が可能です。これはUSBアクセサリー接続というもので(詳細はこちらの記事参照)、Micro Bタイプに比較するといわゆるカメラコネクションキットが不要で、直接ライトニング端子に接続できることと、電力消費の心配が少ない点があります。また本体のボリュームとの連動など、スマートフォンとDACの接続としては安定感があります。
追記→確認したところ、HA2/HA2SEではスイッチA位置でもPCM384/24、DSD128に対応すると言うことです。
またHA2はモバイルバッテリーとしても機能するので、その点でもスマートフォンとはあわせやすいと言えます。接続するためのケーブルははじめから入っています。
* HA2とHA2SEの違い
赤が初代HA2、黒がHA2SE
HA2とHA2SEの外観の違いはSEのマーキング以外にはほぼありません。
HA2とHA2SEの違いは主に下記の4点です。
- ESSのES9028Q2Mを採用
HA2SEではESSのDACは最新のタイプであるES9028Q2Mに変更されました。ES9028Q2Mの採用はおそらくポータブル業界初のことで、この辺のESSに対しての機敏さはOPPOならではです。これにより384kHz/32bitまでのPCMデータおよび12.2 MHz (HA2では11.2MHzまでの保証だった)までのDSDデータの再生に対応しています。12.2はDSD256のクロックの系列による差です。
スペック的にも2dBほどですがダイナミックレンジが改善されていますが、内部的な違いは音質に現れるでしょう。
- アンプ回路の改良
ヘッドホンアンプ回路はICとディスクリート部品のトランジスタで構成されたAB級アンプ設計となっていて、ディスクリート部品のトランジスタで構成された出力段にはマッチドペアの選別品を使用するなど,出力品質へのこだわりが感じられます。また昨今のトレンドを踏まえた音質傾向にしたとのことです。
- ゲイン設定の見直し
高感度IEM向けの改良点としてLowゲインで高感度カスタムIEMにも対応したということで、これは主にユーザーの声だそうです。実際に海外ではポータブル機器にも大型ヘッドフォンを使うことも多く、ポータブルでも出力が追求される傾向にあります。そこでこうしたイヤフォン重視という日本としての要求を反映させることは大事であるし、また聴いてくれるというのは良いメーカーだと言えます。
-付属ケーブルの変更
これもユーザーの声からストレートからL字型に変更されました。これもやはり海外ではデスクにおいて使うことが多く考えられるために(iQubeなんかはそうですが)、ストレートでも良いのですが、バッグに入れて使いたいという日本ならではの要求をするのは大事なことです。また日本市場を重要視する姿勢が見られますね。
* 外観・操作感
旧HA2とは外観もパッケージもほぼ同じです。パッケージは海外マニアックメーカーと言うよりも国産メーカー的なしっかりしたものでこの辺からも製品の安心感を感じることでしょう。
筺体はなかなか高級感のあるもので、CNCマシンで削り出したアルミニウム合金の筐体を高品質な本革製カバーで覆った構造になっています。
旧HA2とは色違いのモデル以外はSEの刻印が異なるのみのように思います。
筺体の大きさはiPhone 6/7(無印)とほぼ同じです。iPhone5ではやや小さく、iPhone 6/7 plusではやや大きくなります。実際にiPhone 7 plusと組み合わせてみましたが、手に持って見てHA2SEが薄いので特に問題なく持って使えるように思います。
iPhone6(左)とiPhone 7 Plus(右)
使い方はA/B/Cの底面入力スイッチで使いわけをすることになりますが、アナログ入力(C)、USB Aによるデジタル入力(A)、USB micro B(B)によるデジタル入力があります。やはりHA2ならではの使い方をするならば、AまたはB位置でデジタル入力で使うのがお勧めで、強力なESS DACの恩恵を受けられます。
AとBの使い分けは上でも書きましたが、iPhoneとはAを使うのがお勧めで、AK70/AK300またはWalkmanなどと組み合わせるにはBを使います。またiPhoneでもハイレゾを出したいときにはBを使うことになりますが、この場合にはカメラキットか同等のケーブルが必要です。
ここでは主にA位置を使ってiPhoneと組みあわせて使いましたが、スムーズに使うことができました。AK70のmicro USBでもiPhoneのAでもとにかく簡単でスイッチを変えるだけです。とても扱いやすいと思います。
* HA2(初代)/HA2SEの音質
リファレンスIEMのKatanaユニバーサルを使用して主にiPhone 7 plusを使ってA位置(USB A)で試聴しました。
まずHA2(初代)の方を聴くと初代でかなり音質は良く、ESSらしくSNが高くとてもクリアで透明感、明瞭感がとても優れた音です。解像力が高く音数が多いと感じ、帯域的な音バランスはかなりフラットで良好、切れが良いのでアタック感があります。音の個性はよく整っていてニュートラル、色つけが少ないのですが、ちょっとドライな感じがする点もESS的な特徴です。総じて音性能はかなり高く、価格を考えるととてもコストパフォーマンスが良いと思います。
次にHA2SEを同じソースで聴いてみました。音の印象はまずHA2よりもやや厚み・暖かみがあってESS的なドライさが少ないと感じられます。ノイズが少ないというよりも音の個性がやや違っていて、少しだけれども暖かくESSっぽいドライさが(良い方へ)減ってより聴きやすいと感じられます。
帯域的な高低により広がって、ファルセットの伸びもより高く伸びているように思います。またウッドベースのピチカートでSEの方がより切れ味が良く、明瞭感が高いと思います。ここはDACの効果かもしれませんが、たぶん駆動力の向上はここにも効いてると思います。ドライブ感のあるロックでもSEの方がスピード感と強いアタック・インパクトを感じられます。より音の厚みがあるのもそこにプラスにはたらしいています。SEの後でHA2(初代)を聴くとやや薄味に感じられます。
新型DACに目が行きがちですが、アンプの違いが大きいという印象があります。
私はApple MusicとかBandcampでよくストリーミングを使うのですが、iPhoneでストリーミングを高音質で聴くにはうってつけのアンプです。それらが圧縮音源だということは言われないと気がつかないと思いますね。
またもしこのクオリティでTidalストリーミングできれば、とも思います。(AK70/AK300の最新ファームアップと合わせるとできそうですが)
接続用のケーブルはiPhone用のライトニングも、AK70/300などと合わせるOTGも入っていて、すぐに使えると言う点もHA2の長所で、特にSEになってL字型になって利便性が良くなっていると思います。
* まとめ
透明感や解像感などはHA2(初代)でも十分すぎるほど良いけれども、SEの方が一段と音楽的により気持ちよく楽しく聴くことができます。見た目は同じだけど、中身はだいぶ進化していると思います。
iPhone 7からヘッドフォン端子がなくなり、ワイヤレス派とライトニング派に分かれてその後を模索していますが、ライトニング派は高音質を重視すると思いますのでぜひお勧めしたいところですね。
最近はApple MusicやSpotifyの参入などでストリーミングの需要も増えていますが、これならばかなり高音質で聴くことができます。ストリーミングは音質が落ちるので安く提供できるという考えもあるかもしれませんが、Apple Musicとかこの音質で聴かれたら反則じゃないかと思います。
また今回の改良はユーザーの声を聴いたということで、そうして声を吸い上げてくれるメーカーは良いですね。なにしろこのヘッドフォンオーディオの世界はボトムアップで進歩してきましたから。
OPPOデジタルジャパンはヘッドフォン祭に出展しますのでそちらでHA2SEを試聴することができます。またRMAFで展示されたSonica DAC(ネットワークオーディオプレーヤー機能付DAC)も展示されるということです。
また隣のエミライブースではMrSpeakersとResonessene Labs、exaSound、そしてHeadFiで人気のあのCavalliのヘッドホンアンプも展示予定だそうです。これ私も期待してましたのでかなり楽しみです!
2016年09月22日
Radical Action To Unseat The Hold Of Monkey Mind - King Crimson
すいません、またDVD付きCD3枚組ボックスセットとかいうトラップに引っかかってしまいました。
というわけで言い訳を書くんですが、これまずロックのライブものにしては音がいいんです。それとライブにつきものの観客の騒音を消していて、あたかもスタジオアルバムっぽく聴くことができるのが面白いところです。またあまりフリップ先生がやりたがらなかったRED以外の初期ナンバーも宮殿含めて多数入っているのもポイントです。
そういう意味でいうと、今風にちょいアレンジされたクリムゾン・リサージェンス的な新録音アルバムっぽくも聴けます。ただアネクドテンみたいにビンテージメロトロンまで使うようなサービスはさすがになくてシンセで代用してます。70年代ナンバーやるための21 Century Schizoid bandがちょっと気が抜けた感じでもあったのでやはりまあ正統派という感じで楽しめます。
クリムゾンというと最近ライブで40年ぶりに(フリップ先生に封印されたと思われていた)サーカスとかリザードをライブで演ったというのでニュースにまでなりました。デビットボウイのカバーもやっているようで、最近のロックレジェンドの急逝に触れてやはりいろいろと心境の変化というやつでしょうか。
演奏自体はトリプルドラムが印象的な通りにヘビーなもので、ここでは単にうるさいロックではなく、緊張感があってかっこいいというオールドロックの真髄を聴かせてくれます。太陽と旋律からの盛り上がりのパターンも相変わらずいいですね。CD3クラシックだけではなく、CD1もCD2もなかなかよいのでけっこう通して聴けます。買ったのはほとんど発売直後ですが、いまではポータブルアンプのロックリファレンスアルバムみたいになってます。
ただ観客の「ノイズ」がないのは賛否あって、ライブならではというところで盛り上がりの拍手とか声がないとかえって気抜けしたライブみたいな違和感があることもありますね。
ちなみにRoonだときちんと3CDとして分類表示がなされていました。さすがにアルバムコメントはないですね。アーティストコメントに関してもこの前のDhafer Jossefみたいなアーティストはともかく、こういうメジャーアーティストだと「俺の方が知ってるよ」と言いたい人も多いと思いますので、まああってもなくてもという気もします。
あとCD3枚のほかにDVDもしくはブルーレイの映像ディスクも入っています。(DVDは初期のみ)
映像でもけっこう音が良いと思います。ただDVDで48/24収録するなら、DVD-ROMでハイレゾも入れてよと言いたいところですが、まあオールドロックは44/16でいいかという気もありますね。
というわけで言い訳を書くんですが、これまずロックのライブものにしては音がいいんです。それとライブにつきものの観客の騒音を消していて、あたかもスタジオアルバムっぽく聴くことができるのが面白いところです。またあまりフリップ先生がやりたがらなかったRED以外の初期ナンバーも宮殿含めて多数入っているのもポイントです。
そういう意味でいうと、今風にちょいアレンジされたクリムゾン・リサージェンス的な新録音アルバムっぽくも聴けます。ただアネクドテンみたいにビンテージメロトロンまで使うようなサービスはさすがになくてシンセで代用してます。70年代ナンバーやるための21 Century Schizoid bandがちょっと気が抜けた感じでもあったのでやはりまあ正統派という感じで楽しめます。
クリムゾンというと最近ライブで40年ぶりに(フリップ先生に封印されたと思われていた)サーカスとかリザードをライブで演ったというのでニュースにまでなりました。デビットボウイのカバーもやっているようで、最近のロックレジェンドの急逝に触れてやはりいろいろと心境の変化というやつでしょうか。
演奏自体はトリプルドラムが印象的な通りにヘビーなもので、ここでは単にうるさいロックではなく、緊張感があってかっこいいというオールドロックの真髄を聴かせてくれます。太陽と旋律からの盛り上がりのパターンも相変わらずいいですね。CD3クラシックだけではなく、CD1もCD2もなかなかよいのでけっこう通して聴けます。買ったのはほとんど発売直後ですが、いまではポータブルアンプのロックリファレンスアルバムみたいになってます。
ただ観客の「ノイズ」がないのは賛否あって、ライブならではというところで盛り上がりの拍手とか声がないとかえって気抜けしたライブみたいな違和感があることもありますね。
ちなみにRoonだときちんと3CDとして分類表示がなされていました。さすがにアルバムコメントはないですね。アーティストコメントに関してもこの前のDhafer Jossefみたいなアーティストはともかく、こういうメジャーアーティストだと「俺の方が知ってるよ」と言いたい人も多いと思いますので、まああってもなくてもという気もします。
あとCD3枚のほかにDVDもしくはブルーレイの映像ディスクも入っています。(DVDは初期のみ)
映像でもけっこう音が良いと思います。ただDVDで48/24収録するなら、DVD-ROMでハイレゾも入れてよと言いたいところですが、まあオールドロックは44/16でいいかという気もありますね。
2016年08月23日
Birds Requiem組曲 - Dhafer Youssef
独特なエスニックテイスト、ファルセットのVoとトランペットのからみが美しく、ちょっとヒリアードのあのOfficiumを思わせる音世界が魅力的に思えるアルバムです。ジャンルはワールドっぽいジャズと言ってもよいですが、ジャンルはECM Newっぽいアルバムと言ってもよいでしょう。(実際のレーベルはSONY系ですが)
この曲を知ったきっかけはApple Musicのプレイリストです。Apple Musicのプレイリストは好みを解釈するので、適度に「鍛える」ことでより好みにあった曲を進めてきて、なかなか良いクリエイティブな現代曲も紹介してくれます。(いまいち日本の80年代ニューウェーブや派生するインディー系が鍛えられないのが不満ですが)
それを聴いていて、これは高音質で聴きたいと思って検索し、e-onkyoでハイレゾ音源(96/24)を見つけて購入しました。
試聴はApple Musicやe-Onkyoなどのサイト、あるいはYoutubeにも試聴リンクがありました。
You tube
itunes link
https://itunes.apple.com/us/album/birds-requiem/id722029904
e-onkyoサイト
http://www.e-onkyo.com/music/album/sme886443945463/
日本だとほとんどアーティストもアルバムも情報はありませんが、Roonのデータベースに解説があります。
Dhafer Youssefという人はチュニジア生まれのアーティストで、歌とOud(ウード)というリュートのような弦楽器の演奏者ということです。主に演奏旅行を通してヨーロッパで活躍しているようです。
このアルバムは2013年に発売されたもので、11曲のうちでBirds Requiemというテーマが組曲として4曲使われています。他の曲も楽器と声のアンサンブルがジャズベースらしい即興的な演奏によって生かされているとのこと。音楽言語という言葉も使われていますが、たしかに聴いてみると無国籍的な感じではありますが、そこが逆に音楽という言語の国籍を超えた表現力ということを感じさせてくれる好アルバムだと思います。
この曲を知ったきっかけはApple Musicのプレイリストです。Apple Musicのプレイリストは好みを解釈するので、適度に「鍛える」ことでより好みにあった曲を進めてきて、なかなか良いクリエイティブな現代曲も紹介してくれます。(いまいち日本の80年代ニューウェーブや派生するインディー系が鍛えられないのが不満ですが)
それを聴いていて、これは高音質で聴きたいと思って検索し、e-onkyoでハイレゾ音源(96/24)を見つけて購入しました。
試聴はApple Musicやe-Onkyoなどのサイト、あるいはYoutubeにも試聴リンクがありました。
You tube
itunes link
https://itunes.apple.com/us/album/birds-requiem/id722029904
e-onkyoサイト
http://www.e-onkyo.com/music/album/sme886443945463/
日本だとほとんどアーティストもアルバムも情報はありませんが、Roonのデータベースに解説があります。
Dhafer Youssefという人はチュニジア生まれのアーティストで、歌とOud(ウード)というリュートのような弦楽器の演奏者ということです。主に演奏旅行を通してヨーロッパで活躍しているようです。
このアルバムは2013年に発売されたもので、11曲のうちでBirds Requiemというテーマが組曲として4曲使われています。他の曲も楽器と声のアンサンブルがジャズベースらしい即興的な演奏によって生かされているとのこと。音楽言語という言葉も使われていますが、たしかに聴いてみると無国籍的な感じではありますが、そこが逆に音楽という言語の国籍を超えた表現力ということを感じさせてくれる好アルバムだと思います。
2016年03月12日
ピアノ協奏曲第一番 - キースエマーソン
ロックレジェンドの急逝が相次いでいますが、ELPのキースエマーソンが銃で自殺したというショッキングなニュースが今日飛び込んできました。この4月に来日公演も控えてたんですが、ニュースによると病気により右手の一部の指が動かずにキーボードを8本の指で弾かねばならないことでうつ状態にあったようです。
http://m.tmz.com/#article/2016/03/11/keith-emerson-death-suicide/
ELPといえば前に書いた吉松隆も「カバー」したタルカスもありますが、展覧会の絵をはじめ庶民のファンファーレやナットロッカー、ホウダウン、トッカータ、聖地エルサレムのような現代音楽やクラシックのカバー(アレンジ)曲が多いのも特徴です。プログレは端的にクラシックのロックアレンジのように言われることもありますが、実のところ他のメジャーバンドではこうしたアプローチは意外とないですね。
ELPというよりキースエマーソンのそうしたクラシック志向の集大成はWorksのキースのソロパートで作曲した「ピアノ協奏曲第一番」でしょう。ロックミュージシャンが普通のクラシックの曲を作曲するというアプローチは話題となりました。
ここではそのキースの曲を逆にクラシックの演奏家が「カバー」したバージョンをいくつかあげます。キース演奏の原曲とはまた違った味わいがあります。いずれにしろこの第二番をもう聴くことはできないのは残念なことです。R.I.P.
黒田亜樹(タルカスもカバーした)
Regina Strokosz - Michalak
Jeffrey Biegel(冒頭にキース本人が出ています)
http://m.tmz.com/#article/2016/03/11/keith-emerson-death-suicide/
ELPといえば前に書いた吉松隆も「カバー」したタルカスもありますが、展覧会の絵をはじめ庶民のファンファーレやナットロッカー、ホウダウン、トッカータ、聖地エルサレムのような現代音楽やクラシックのカバー(アレンジ)曲が多いのも特徴です。プログレは端的にクラシックのロックアレンジのように言われることもありますが、実のところ他のメジャーバンドではこうしたアプローチは意外とないですね。
ELPというよりキースエマーソンのそうしたクラシック志向の集大成はWorksのキースのソロパートで作曲した「ピアノ協奏曲第一番」でしょう。ロックミュージシャンが普通のクラシックの曲を作曲するというアプローチは話題となりました。
ここではそのキースの曲を逆にクラシックの演奏家が「カバー」したバージョンをいくつかあげます。キース演奏の原曲とはまた違った味わいがあります。いずれにしろこの第二番をもう聴くことはできないのは残念なことです。R.I.P.
黒田亜樹(タルカスもカバーした)
Regina Strokosz - Michalak
Jeffrey Biegel(冒頭にキース本人が出ています)
2015年11月27日
LINNのクリスマスプレゼント再び
昨年好評だったLINN recordsのハイレゾ無料音源のクリスマスプレゼントを今年も実施しています。今年のテーマは映画音楽で、必ずしもサントラではありませんが映画にちなんだ曲を選んでいます。
http://www.linnrecords.com/recording-movies.aspx?__utma=237059741.297752916.1448574765.1448574765.1448574765.1&__utmb=237059741.1.10.1448574765&__utmc=237059741&__utmx=-&__utmz=237059741.1448574765.1.1.utmcsr=Twitter|utmccn=Christmas2015|utmcmd=post&__utmv=-&__utmk=209031505
昨年同様にこれから毎週一曲ずつ増えていくようです。録音自体とても優秀ですのでリファレンスにも重宝しますね。ぜひダウンロードしてみてください。
http://www.linnrecords.com/recording-movies.aspx?__utma=237059741.297752916.1448574765.1448574765.1448574765.1&__utmb=237059741.1.10.1448574765&__utmc=237059741&__utmx=-&__utmz=237059741.1448574765.1.1.utmcsr=Twitter|utmccn=Christmas2015|utmcmd=post&__utmv=-&__utmk=209031505
昨年同様にこれから毎週一曲ずつ増えていくようです。録音自体とても優秀ですのでリファレンスにも重宝しますね。ぜひダウンロードしてみてください。
2015年11月23日
NHORHM - 西山瞳
NHORHMはジャズピアニストの西山瞳さんの新作です。NHORMHはNew Heritage Of Real Heavy Metalの略で、文字通りヘビーメタルの名曲をカバーしてジャズアレンジした新プロジェクトです。もともと西山瞳さんは学生のころからヘビメタやロックが好きだったようですが、どうしてもUKのIn the dead of nightがやりたくて選曲したということで、ヘビメタというかプログレもあり、ベビメタもありというなかなか面白い選曲になってます。オリジナル曲も一曲あります。
試聴は下記PVでどうぞ。
NHORHM PV
1. In the Dead of Night / U.K.
2. Walk / Pantera
3. Man On the Silver Mountain / Rainbow
本人もライナーにロックの反復性とジャズの即興性は相いれないけれども、と前置きしてますがかなり大胆に原曲からは変わってます。ヘビメタのアレンジとはいいますが、想像しているのとはちょっと違うかもしれません。原曲はテーマパートで微妙に残してあるくらいです。
In the dead of nightは原曲のテイストが残っていますが、タワレコで買ったCDRおまけについてたHighway Starなんかは、ほとんど美しいジャズピアノの落ち着いたバラード曲なんですが、良く聴くとベースラインにI'm a highway starって旋律が乗ってます。ほかもたぶん原曲を知らなければほとんどロックっぽいジャズのアルバムと思うでしょう。そうした意味でロック色の強いジャズの好アルバムに仕上がっていて、上原ひろみトリオのMOVEとかALIVEが好きな人にはお勧めです。
試聴は下記PVでどうぞ。
NHORHM PV
1. In the Dead of Night / U.K.
2. Walk / Pantera
3. Man On the Silver Mountain / Rainbow
本人もライナーにロックの反復性とジャズの即興性は相いれないけれども、と前置きしてますがかなり大胆に原曲からは変わってます。ヘビメタのアレンジとはいいますが、想像しているのとはちょっと違うかもしれません。原曲はテーマパートで微妙に残してあるくらいです。
In the dead of nightは原曲のテイストが残っていますが、タワレコで買ったCDRおまけについてたHighway Starなんかは、ほとんど美しいジャズピアノの落ち着いたバラード曲なんですが、良く聴くとベースラインにI'm a highway starって旋律が乗ってます。ほかもたぶん原曲を知らなければほとんどロックっぽいジャズのアルバムと思うでしょう。そうした意味でロック色の強いジャズの好アルバムに仕上がっていて、上原ひろみトリオのMOVEとかALIVEが好きな人にはお勧めです。
2015年08月11日
You're Surrounded - バイノーラル・サラウンド・アルバム
HD TracksのDr Cheskyが世界初というバイノーラル録音のサラウンドアルバムを発表しました。これは信号処理なしで普通の2chのヘッドホンを使ってサラウンドサウンドができるか、という実験的プロジェクトです。
http://www.hdtracks.com/you-re-surrounded
これで実際にサラウンド効果が得られるかというのは、リスナーの耳介(外耳)がいかに録音したダミーヘッドシステムと似ているかにかかっているということです。
アルバムには曲解説とともにその曲ではどの方向から音が聞こえてくるはずかが明示されています。
試聴はヘッドフォンがHiFiman HE560とDAC内蔵ヘッドフォンアンプGEEK Pulse Sfi(フェムトクロックモデル)でPCにつないでJRMCで聴いてみました。あれGEEK Pulse SFiって記事書いたっけ? まあいいや 笑
この組み合わせ自体がかなり音場感は優秀なんですが、たしか録音の良さと相まって不思議・不気味なリアルさがあります。テナーサックスのソロがぐるぐると頭を回るNo11やバスケのボールをバウンドさせるNo13なんかは後方に来る感覚がわかりやすいかもしれません。
外耳うんぬんとありますが、AK380といまテスト中のCampfireのLyraでも試してみましたが、イヤフォンでもわかりますね。Lyraが優秀というのはあるかもしれませんが。
実験的アルバムではありますが、音楽としても十分楽しめます。
http://www.hdtracks.com/you-re-surrounded
これで実際にサラウンド効果が得られるかというのは、リスナーの耳介(外耳)がいかに録音したダミーヘッドシステムと似ているかにかかっているということです。
アルバムには曲解説とともにその曲ではどの方向から音が聞こえてくるはずかが明示されています。
試聴はヘッドフォンがHiFiman HE560とDAC内蔵ヘッドフォンアンプGEEK Pulse Sfi(フェムトクロックモデル)でPCにつないでJRMCで聴いてみました。あれGEEK Pulse SFiって記事書いたっけ? まあいいや 笑
この組み合わせ自体がかなり音場感は優秀なんですが、たしか録音の良さと相まって不思議・不気味なリアルさがあります。テナーサックスのソロがぐるぐると頭を回るNo11やバスケのボールをバウンドさせるNo13なんかは後方に来る感覚がわかりやすいかもしれません。
外耳うんぬんとありますが、AK380といまテスト中のCampfireのLyraでも試してみましたが、イヤフォンでもわかりますね。Lyraが優秀というのはあるかもしれませんが。
実験的アルバムではありますが、音楽としても十分楽しめます。
2015年06月30日
Amores Pasados - ジョン・ポッター(ジョンジー、トニーバンクス、スティング)
Amores Pasadosは古楽のテノール歌手ジョンポッターの最新アルバムです。ポッターは古楽・現代音楽では随一の声楽グループであるヒリアードアンサンブルのメンバーとしてよく知られています。
このアルバムはぱっと聴きには普通の古楽のリュートと声楽曲に思えますが、聴いているとちょっと不思議な感覚にとらわれます。それはこのアルバムにはユニークな試みがなされているからです。
ポイントはこのアルバムで起用された作曲家にあります。
17世紀のトーマス・カンピオンらとともに名を連ねるのは、ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズ、ジェネシスのトニーバンクス、そしてスティングです。
しかしこれはジェネシスの名曲をリュートにアレンジしたものではありません。古楽のテキストをもとにジョンポールジョーンズ、トニーバンクスやスティングといった大バンドの作曲の要だった音楽家が自分たちの感性をもとに古楽曲を書き起こしたものです。(ジョンポールジョーンズは本格的な音楽教育を受けています)
ヒリアードアンサンブルの理論家でもあるジョンポッターはライナーノートにこう書いてます。
もともと歌はひとつのものだった。行商人が道端でヴェルディを口ずさんだりしていた。しかし時が進み、歌はポップソングと芸術音楽に分かれていった。
では、何がポップミュージックで何が芸術音楽なのか、そもそも17世紀のダウランドやカンピオンの時代に区別はあったのか、彼らはその時代のソングライターだったのではないか? ...
ポッターはトニーバンクスの作曲したジェネシスの曲はその独特の和声や複雑な構造からテノール歌手に歌わせればそのまま芸術音楽じゃないの、と書いてます。
ジョンポールジョーンズは冒頭のタイトル曲を書いていますが、ロックにおける即興的な要素のひとつが、17世紀の作曲技法のひとつと一致するという点に面白さを持っているということを書いてます。
スティングはこの分野では自分でもグラモフォンから「クラシック」のアルバムを出してますが、ここではロビンフッドをテーマにしたオリジナルの作詞・作曲を手掛けてます。
ただ歌詞については17世紀の古典のテキストを(スティング以外)は使っています。これは歌い手のポッターがなれたテノールの唱法の解釈ができるからだそうです。
つまりこれで古典的な声楽の骨の部分だけをすっぽりと現代ロックの作曲者の感性に置き換えることができるというわけです。ここがひとつポイントであって、よくあるロックのクラシックアレンジとは違うところだと思います。
わたしが感じた不思議な感覚は、聴きやすいというか、耳になじみやすいという感覚です。もっと自分に近いもの、という感覚でしょうか。
このアルバムで特に面白いのは、トニーバンクスのパートです。同じテキストからカンピオンの作曲した「オリジナル」の曲と、トニーバンクスが作曲した「バリエーション」曲が同じタイトルで二組収録されています。カンピオンのオリジナルはきれいですが、シンプルで変化が少なく淡泊に感じられます。トニーバンクスのパートはもっと複雑で音楽の抑揚が豊かに感じられます。
例えば古楽をいま聞いて単純に良いなと思っても、当時の人が聴いていた感じとは異なるでしょう。我々が日ごろ慣れている作曲法も変わっているし、なにより我々自身が17世紀の人たちとは変わっているのです。
そうして、17世紀と21世紀で人の変わったところはどこか、同じところはどこか、と音楽を通して考えてみるのも面白いのではないでしょうか。
試聴は下記ECM newサイトで可能です。
http://player.ecmrecords.com/potter-2441/music
CDのほかに下記のe-onkyoサイトでハイレゾ(96/24)でも購入ができます。
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00028948115570/
こちらはCDのリンクです。
このアルバムはぱっと聴きには普通の古楽のリュートと声楽曲に思えますが、聴いているとちょっと不思議な感覚にとらわれます。それはこのアルバムにはユニークな試みがなされているからです。
ポイントはこのアルバムで起用された作曲家にあります。
17世紀のトーマス・カンピオンらとともに名を連ねるのは、ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズ、ジェネシスのトニーバンクス、そしてスティングです。
しかしこれはジェネシスの名曲をリュートにアレンジしたものではありません。古楽のテキストをもとにジョンポールジョーンズ、トニーバンクスやスティングといった大バンドの作曲の要だった音楽家が自分たちの感性をもとに古楽曲を書き起こしたものです。(ジョンポールジョーンズは本格的な音楽教育を受けています)
ヒリアードアンサンブルの理論家でもあるジョンポッターはライナーノートにこう書いてます。
もともと歌はひとつのものだった。行商人が道端でヴェルディを口ずさんだりしていた。しかし時が進み、歌はポップソングと芸術音楽に分かれていった。
では、何がポップミュージックで何が芸術音楽なのか、そもそも17世紀のダウランドやカンピオンの時代に区別はあったのか、彼らはその時代のソングライターだったのではないか? ...
ポッターはトニーバンクスの作曲したジェネシスの曲はその独特の和声や複雑な構造からテノール歌手に歌わせればそのまま芸術音楽じゃないの、と書いてます。
ジョンポールジョーンズは冒頭のタイトル曲を書いていますが、ロックにおける即興的な要素のひとつが、17世紀の作曲技法のひとつと一致するという点に面白さを持っているということを書いてます。
スティングはこの分野では自分でもグラモフォンから「クラシック」のアルバムを出してますが、ここではロビンフッドをテーマにしたオリジナルの作詞・作曲を手掛けてます。
ただ歌詞については17世紀の古典のテキストを(スティング以外)は使っています。これは歌い手のポッターがなれたテノールの唱法の解釈ができるからだそうです。
つまりこれで古典的な声楽の骨の部分だけをすっぽりと現代ロックの作曲者の感性に置き換えることができるというわけです。ここがひとつポイントであって、よくあるロックのクラシックアレンジとは違うところだと思います。
わたしが感じた不思議な感覚は、聴きやすいというか、耳になじみやすいという感覚です。もっと自分に近いもの、という感覚でしょうか。
このアルバムで特に面白いのは、トニーバンクスのパートです。同じテキストからカンピオンの作曲した「オリジナル」の曲と、トニーバンクスが作曲した「バリエーション」曲が同じタイトルで二組収録されています。カンピオンのオリジナルはきれいですが、シンプルで変化が少なく淡泊に感じられます。トニーバンクスのパートはもっと複雑で音楽の抑揚が豊かに感じられます。
例えば古楽をいま聞いて単純に良いなと思っても、当時の人が聴いていた感じとは異なるでしょう。我々が日ごろ慣れている作曲法も変わっているし、なにより我々自身が17世紀の人たちとは変わっているのです。
そうして、17世紀と21世紀で人の変わったところはどこか、同じところはどこか、と音楽を通して考えてみるのも面白いのではないでしょうか。
試聴は下記ECM newサイトで可能です。
http://player.ecmrecords.com/potter-2441/music
CDのほかに下記のe-onkyoサイトでハイレゾ(96/24)でも購入ができます。
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00028948115570/
こちらはCDのリンクです。
2015年06月29日
未知への飛翔 - クリス・スクワイア
YESのベーシストとして知られるクリス・スクワイアが闘病生活ののちに亡くなったという訃報を聞きました。まさに残念というしかありません。
YESというとジョン・アンダーソンのイメージが強いんですが、長いYESの歴史の中でクリス・スクワイアはセカンドマンとして、またときにはしっかりとリーダーシップを発揮していました。リッケンバッカーが小さく見える大きな体で正確なベースプレイが印象的でした。
70年代のビッグネームたちはまさにプロフェッショナルな超絶テクニックで知られていましたが、なかでもYESは最たるものでしょう。そのグループとしての音楽性を保つためにメンバーはわざと日頃は仲良くしないということがよく言われてましたが、真偽はわかりません。
そうしたYESもひとりひとりがソロアルバムを出していた時期があります(リック・ウエイクマンは脱退後なのでこれにカウントせず)。ジョンアンダーソンのサンヒローのオリアス、アランホワイトのラムシャックルド、スティーヴ・ハウのビギニングス、パトリック・モラーツ(アルバム名忘れた)、そしてクリス・スクワイアのFish out of water(邦題: 未知への飛翔)です。水から出た魚とは言い得て妙なタイトルです。
今聴いても名曲ぞろいの傑作と言って良いアルバムだと思いますが、わたしは特にラストのSafe (Canon Song)が好きです。15分越えというプログレらしい大曲で、気持ちよいベースラインの刻みと、オーケストレーション、ドラマチックな盛り上がりが感動的で彼らの黄金期を思わせます。
今日はこれを聴いて70年代の息吹をまたちょっと感じ取ろうと思います。
R.I.P
Safe (Canon Song)
YESというとジョン・アンダーソンのイメージが強いんですが、長いYESの歴史の中でクリス・スクワイアはセカンドマンとして、またときにはしっかりとリーダーシップを発揮していました。リッケンバッカーが小さく見える大きな体で正確なベースプレイが印象的でした。
70年代のビッグネームたちはまさにプロフェッショナルな超絶テクニックで知られていましたが、なかでもYESは最たるものでしょう。そのグループとしての音楽性を保つためにメンバーはわざと日頃は仲良くしないということがよく言われてましたが、真偽はわかりません。
そうしたYESもひとりひとりがソロアルバムを出していた時期があります(リック・ウエイクマンは脱退後なのでこれにカウントせず)。ジョンアンダーソンのサンヒローのオリアス、アランホワイトのラムシャックルド、スティーヴ・ハウのビギニングス、パトリック・モラーツ(アルバム名忘れた)、そしてクリス・スクワイアのFish out of water(邦題: 未知への飛翔)です。水から出た魚とは言い得て妙なタイトルです。
今聴いても名曲ぞろいの傑作と言って良いアルバムだと思いますが、わたしは特にラストのSafe (Canon Song)が好きです。15分越えというプログレらしい大曲で、気持ちよいベースラインの刻みと、オーケストレーション、ドラマチックな盛り上がりが感動的で彼らの黄金期を思わせます。
今日はこれを聴いて70年代の息吹をまたちょっと感じ取ろうと思います。
R.I.P
Safe (Canon Song)