Music TO GO!

2017年06月24日

マズルカ・アパシオナータ 〜ベスト・オブ・バリオス - 福田進一

今日はギタリストの福田進一さんの南米の音楽家バリオス作品集の発売記念ミニコンサートを聞いてきました。
音のつながりの滑らかさや一音の余韻を計算し尽くしたような完成度の高い演奏はシンプルなギターのみながら圧巻と言えるようなものでした。

面白かったのは福田氏が自分はライブよりもむしろ録音派だと言っていたところです。
やはり録音派だったグールドを引き合いに出してましたが、様々な要因で完璧にできないライブよりも、むしろ自分の演奏はCDで聴いて欲しいし、できればハイレゾで良いオーディオで聴いて欲しいと言うことです。
ましてカーステでは聴いて欲しくない、と言うことでしたが遮音されたカスタムイヤホンと高性能DAPで細かな音のニュアンスまで聴けるなら、演奏者の意図に沿うのかも、とも思いました。
また、よく正論的にオーディオ聴くより生演奏が一番、と言ったりしますが、必ずしもそうとは言い切れないのではないか、ともちょっと思いました。

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2017年03月26日

On Horseback - マイク・オールドフィールド

マイク・オールドフィールドは「チューブラーベルズ」で大ヒットを記録した後に人嫌いとなって、ウェールズ地方のハージェスト・リッジという片田舎に移りすみました。

「オマドーン」は前にも書いたんですが初期三部作の最後の作品で、チューブラーベルズ同様に様々な楽器で多重録音を駆使した複雑な大曲です。そしてその最後にシンプルに自分の声を使って素朴なパートを入れてエンディングとしました。その部分はオマドーンの発表時には曲の一部と思われていましたが、のちにシングルカットされていまでは"On horseback"として知られています。

こちらのYoutubeで聴くことができます。


英語の元歌詞は画面に表示されますが、下にわたしが日本語の訳出をしました。

高原に行って森の中を馬の背で揺られていくと、森の木々の中で自然と一体になれたような気がします。そうしたとき、この曲がふと頭をよぎります。
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(左で見えているのは八ヶ岳の赤岳)

---------"On horseback"-------------------
*は繰り返し部分

ぼくはビールが好きだ、チーズも好きだ。
そして西からそよ風に運ばれてくる匂いも好きだ。
でもそれら全部より、馬に乗ることが好きなんだ。

* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。

ぼくは雷が好きだ、雨も好きだ。
そして焚き火で燃えさかる炎も好きだ。
でも頭の中で音がとどろくくらいなら、馬の背に揺られていたいんだ。

あるものは都会を好み、喧噪を好む。
あるものは混沌やらなにやら作りだす。
でもぼくがもし選べるならば、馬に乗っていたいと思う。

* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。

こんな小さな星の上に自分がいるのを不思議に思う人もいる。
でもここがどこだか知っている人がいるのだろうか。
もしそうした不安につぶされそうになったら、馬に乗るといいよ。

世の中にはちっちゃな人もいる、でっかい人もいる。壁に頭を打ちつけてる人もいる。
でもそんなことはどうでもよいことなんだ、馬に乗ればそれが分かるよ。

* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。

だからもし、きみの気持ちがすさんできたら、
ハージェスト・リッジに来てごらん。
夏でも、冬でも、雨でも、晴れでも、
馬に乗るにはいいところなんだ。

* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。

* さあ、草原を、雪の上を駆けていこう。
茶色い大きな背中、茶色い大きな顔、
ぼくは宇宙を飛んでいくよりも、おまえといっしょの方がいいんだ。

posted by ささき at 13:41 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Return to Ommadon - マイク・オールドフィールド

マイクオールドフィールドの初期3部作の続編が彼自身の手によって続編が製作されました。その名も「Return to OMMADON」、オマドーンへの回帰という感じでしょうか。
高校の時にみんなで好きな音楽を持ち寄って観賞するという時間があったんですが、私が持ってきたのがこの「オマドーン」で、みなを思いっきり眠らせてしまったというのを思い出します。それほど思い入れがある作品ではありますね。
チューブラーベルズはいくつも続編が出ていますが、どれも初期作の続きというわけではなくアレンジ作品というべきでしょう。またAmarokがオマドーン2ともいわれましたが、あまりしっくりするわけではありません。

Roonの曲解説を読むと、ネットで次はどういうスタイルで作曲するか投票をしたそうで、その結果初期作品懐古のテーマを決めたということのようです。
たしかにCDというより、もはやダウンロードやストリーミングの時代にわざとLP時代のように一曲20分にした大作、コンセプトアルバム、一人多重録音(アナログ時代より楽だったと思うけれど)などなど初期作を思わせます。
またこれも前に書いたのですが、Robert Reedとか日本の大山耀(Asturius)氏によるマイクの初期作へのオマージュのような作品がいまでも作られていますのでそれに刺激されたというのもあるかもしれません。大山氏は新作のAt the Edge of the worldを出していますし、Robert Reedも以前紹介したSanctualyの続編を出しています。下記に記事を書いています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/408328727.html

期待も大きくて、夜e-onkyoのダウンロードを始めてダウンロード終わったら寝ようかと思ってたんですが、結局そのまま聴いてしまいました。
前がアフリカっぽいリズムを取り入れていたところに、今回はネイティヴアメリカンっぽいのを取り入れたり、最後に"On Horseback"と子供のコーラスを入れたりと複雑と言えば複雑な曲構成はオマドーンだけど、オリジナルがもっと内省的だったのに対して、これはどちらかと言うとインカンテーションズ・呪文の続編的には思えます。

ただ、悪くいうとRobert Reedのカバーっぽくも聞こえてしまいますね。なぜかというと、前のRobert Reedの時の記事にも書いたんですがRobert Reedも当時のマイクのエッセンスをうまく取り入れたのだけれども、Robert Reedが真似できなかったのはマイクの病んだ当時の精神性だったと思うんです。Robert Reedは人嫌いになって馬とともに田舎に引っ込んで鬱になるってことはないでしょう。その精神性がこの「Return to OMMADON」にもないんです。それはマイク自身が捨てたものだから。

たしかに70年代当時はアナログでのあれだけの多重録音する人間はそれだけで、少し偏執狂的な要素があったかもしれない。そしてマイクオールドフィールドの場合はチューブラーベルズでは多重録音のデモ音楽に過ぎなかったものが、オマドーンではそれを内的探求の旅へのツールとして昇華できたと思う。
今でもまだ大変かもしれないけれど、今はそれは音楽の探求者でなくてもやるでしょう。ミュージシャンがもはや探究者ではないのなら、これはやはり単なるベテランミュージシャンのファンサービスと言えるでしょう。

音楽なんて優秀作で十分なのに、優秀作が名作となるのはなにか切れたものが必要だと思います。
それは彼が成長するにつれて克服したものでマイクの場合は呪文でそれがありました。長髪を切ったジャケ写のように。
でも、おそらく我々が求めるのはそうした中二病とも言える若さゆえのなにかなのかもしれないとも思います。高校の私が共感して今は失くしたもの、70年代の音楽にあって、21世紀の音楽が失ったもの。
とか文句を言いながらも、今日もまた聴くわけですが。

ちなみに「オマドーン」はゲール語(古代アイルランド語)のバカとか間抜けという意味です。

e-onkyoのリンクはこちら。
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00602557277685/
Amazonリンクはこちら。
posted by ささき at 13:39 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月06日

アフターグロウ - 進藤麻美

週末にピアニストの進藤麻美さんのデビュー曲記念のミニコンサートを見てきました。
http://mamishindo.wp.xdomain.jp/
技術力がすばらしく高くて指がよく動き滑らかで、音が鋭いというのが印象的です。アルバムも購入したんですが、選曲も興味深く有名曲と無名曲、時代が選ばれてます。
ピアニストがデビューアルバムでラ・カンパネラを収録するのはヴァイオリニストがデビュー盤でツィゴイネルワイゼンを収録するみたいな技術力の証明のようなものかもしれませんが、こうしたよく知られてる曲では切れの良いタッチがよくわかります。
演奏スタイルはダイナミックなタイプですが、タッチがよく音色が多彩なのでドビュッシーみたいなフランス系もこなす器用さもわかりますね。

でもこういう人はやはり現代曲が似合うと思います。そういう意味ではヴィラロボスのオリオン座の三つ星と、なんと言っても最後のヴァインのソナタが圧巻でした。
コンサートの冒頭はオリオン座の三つ星で始めたけど、その指使いにちょっと聞いてこの人は上手いって思わせてくれます。
ソナタは冒頭からノンジャンルの感覚がユニークですが、88鍵全部使うっていうこの曲はテクニカルでスピーディ、緩急自在のダイナミックさ。これはコンサートの最後の曲だったんですが、終わった時はこの人このまま倒れるんじゃないかと思ったくらいの演奏への没入感がすごい。アンコールさせるのがかわいそうと思ったくらい。
書評でも選曲が良いと書かれてるそうだけど、それは自分の魅せ所をよく知ってるということでもあると思います。

私もそんなにクラシック系は聞くほうではないけれども、最近だとこの人とヴァイオリンの小林美樹さんが、同じ楽器でも弾く人で違うんだなと思わせてくれた感じです。オーディオもそういうところを表現して欲しいところではありますね。

* Roonでのダイナミックレンジ表示: 16

Amazonのリンクで試聴できます。
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2017年02月01日

Starless - King Crimson

ジョン・ウエットンの逝去の報が入ってきました。安らかな最期だったとのこと。
彼は来日も多くU.K.、エイジアのほうがいきいきとしていたかもしれませんが、わたしはやはりジョン・ウエットンというとクリムゾンの名曲スターレスですね。グレッグレイク同様にどちらかというとやはりヴォーカルとしてのイメージが強かったと思います。
クリムゾン第1期の最後を告げるスターレスには、その始まりだったグレッグレイクの歌う宮殿のようなピートシンフィールドの歌詞のきらびやかなファンタジーに飾られた世界はなく、ストレートでストイックに星のない漆黒の闇をテーマに歌う世界の中で、ウエットンの深みのある声がフリップのもたらす破壊に救済を与えてくれます。だれがこれ以上のスターレスを聴かせてくれるんだろうかと思うと残念です。R.I.P.


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2016年12月08日

Still You Turn Me On - グレッグレイク

最近はこうした話題が多いのですが、3月のキースエマーソンに続いてグレッグレイクまでもなくなったというニュースが流れてきました。ただエマーソンがライブを控えての自殺というショッキングなものだったのですが、グレッグレイクは闘病の末だということです。
http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-38251936
このBBCニュースのタイトルを見るとギタリストとありますが、言われてみればということで、やはりグレッグレイクというと本来のベースやギターよりもヴォーカルとしてのイメージがはるかに強いですね。
グレッグレイクがメインなのはやはりELPですが、クリムゾンのファーストの印象もやはり強いものがあります。宮殿なんかはカバーも多いのでさまざまなヴォーカルで歌われていますが、やはりグレッグレイクの声に戻ってきてしまいます。ただやはりバンドの顔はヴォーカルであり、ヴォーカルが変わるクリムゾンに比べれば、グレッグレイクがELPの顔としての存在は大きかったと思います。実質的にはELPはエマーソンバンドですが、やはりヴォーカルの印象の大きさは強く、それを示した一人と言えます。

ここではまずELPのアルバムからヴォーカルとギターの魅力の両方が楽しめるStill You Turn Me Onを紹介したいと思います。そしてもう一曲あげたいのはWorksからのセ・ラ・ヴィですね。
この甘い声がもう聴けないのは残念です。R.I.P.


Still You Turn Me On


C'est La Vie
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2016年10月19日

スマートフォンに最適のDAC内蔵ポータブルアンプ、OPPO HA2SE

OPPO HA2はスリムタイプのDAC内蔵型のポータブルヘッドフォンアンプですが、利便性、性能、デザインのバランスの良さで高評価を得ています。そのHA2の後継ともいうべき新型のHA2SEが発売されました。

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これによりHA-2ブラックモデルは販売終了しますが、日本限定モデルのCherry RedとSapphire Blueは継続販売されるということです。価格はオープンで実勢価格は4万円弱です。このことからHA2SEはHA2の正式な後継機であるということが言えます。
本稿ではHA2(初代)と比較しながらHA2SEの紹介をしていきます。

* HA2シリーズの特徴

まずHA2SEの解説の前に初代HA2の紹介をします。

Oppoは音質も良いBDプレーヤーで知られるようになり、ピュアオーディオ分野やポータブルオーディオ分野にも範囲を広げています。BDプレーヤーの頃の当初からESSのDAC ICを活用していたことで知られていて、ESSのDAC採用ではエキスパートともいえます。HA2ではやはりESSのポータブル向けのハイグレードDACであるES9018K2Mを採用しています。これで高音質とDSDネイティブ対応を実現しています。

もうひとつのHA2の大きな特徴はスマートフォン、特にiPhoneに向いているということです。iPhone 7では3.5mmヘッドフォン端子がなくなってしまいましたが、HA2はそれをカバーするうえでも有効なアクセサリーとなります。
なぜiPhoneに向いているかと言うと、まずデザイン的にスリムでiPhoneとあわせやすいということがあります。筺体はアルミ削り出しの高級感があり、iPhoneの質感にも劣りません。また手帳型ともいわれるように手帳風の革張りがされてるのでスマートフォンと背中合わせにしても傷の心配が少ない。また滑りにくく持ちやすいですね。
またHA2ではUSB入力としてUSB Micro Bの他にUSB Aタイプ(スイッチA)の端子を持っているので、いわゆる「iPodデジタル」タイプのデジタル接続が可能です。これはUSBアクセサリー接続というもので(詳細はこちらの記事参照)、Micro Bタイプに比較するといわゆるカメラコネクションキットが不要で、直接ライトニング端子に接続できることと、電力消費の心配が少ない点があります。また本体のボリュームとの連動など、スマートフォンとDACの接続としては安定感があります。

ただしハイレゾやDSD接続に対応していないので、それが必要な場合にはMicro B(スイッチB)を使います。
追記→確認したところ、HA2/HA2SEではスイッチA位置でもPCM384/24、DSD128に対応すると言うことです。

またHA2はモバイルバッテリーとしても機能するので、その点でもスマートフォンとはあわせやすいと言えます。接続するためのケーブルははじめから入っています。

* HA2とHA2SEの違い

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赤が初代HA2、黒がHA2SE

HA2とHA2SEの外観の違いはSEのマーキング以外にはほぼありません。

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HA2とHA2SEの違いは主に下記の4点です。

- ESSのES9028Q2Mを採用
HA2SEではESSのDACは最新のタイプであるES9028Q2Mに変更されました。ES9028Q2Mの採用はおそらくポータブル業界初のことで、この辺のESSに対しての機敏さはOPPOならではです。これにより384kHz/32bitまでのPCMデータおよび12.2 MHz (HA2では11.2MHzまでの保証だった)までのDSDデータの再生に対応しています。12.2はDSD256のクロックの系列による差です。
スペック的にも2dBほどですがダイナミックレンジが改善されていますが、内部的な違いは音質に現れるでしょう。

- アンプ回路の改良
ヘッドホンアンプ回路はICとディスクリート部品のトランジスタで構成されたAB級アンプ設計となっていて、ディスクリート部品のトランジスタで構成された出力段にはマッチドペアの選別品を使用するなど,出力品質へのこだわりが感じられます。また昨今のトレンドを踏まえた音質傾向にしたとのことです。

- ゲイン設定の見直し
高感度IEM向けの改良点としてLowゲインで高感度カスタムIEMにも対応したということで、これは主にユーザーの声だそうです。実際に海外ではポータブル機器にも大型ヘッドフォンを使うことも多く、ポータブルでも出力が追求される傾向にあります。そこでこうしたイヤフォン重視という日本としての要求を反映させることは大事であるし、また聴いてくれるというのは良いメーカーだと言えます。

-付属ケーブルの変更
これもユーザーの声からストレートからL字型に変更されました。これもやはり海外ではデスクにおいて使うことが多く考えられるために(iQubeなんかはそうですが)、ストレートでも良いのですが、バッグに入れて使いたいという日本ならではの要求をするのは大事なことです。また日本市場を重要視する姿勢が見られますね。

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* 外観・操作感

旧HA2とは外観もパッケージもほぼ同じです。パッケージは海外マニアックメーカーと言うよりも国産メーカー的なしっかりしたものでこの辺からも製品の安心感を感じることでしょう。

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筺体はなかなか高級感のあるもので、CNCマシンで削り出したアルミニウム合金の筐体を高品質な本革製カバーで覆った構造になっています。
旧HA2とは色違いのモデル以外はSEの刻印が異なるのみのように思います。

筺体の大きさはiPhone 6/7(無印)とほぼ同じです。iPhone5ではやや小さく、iPhone 6/7 plusではやや大きくなります。実際にiPhone 7 plusと組み合わせてみましたが、手に持って見てHA2SEが薄いので特に問題なく持って使えるように思います。

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iPhone6(左)とiPhone 7 Plus(右)

使い方はA/B/Cの底面入力スイッチで使いわけをすることになりますが、アナログ入力(C)、USB Aによるデジタル入力(A)、USB micro B(B)によるデジタル入力があります。やはりHA2ならではの使い方をするならば、AまたはB位置でデジタル入力で使うのがお勧めで、強力なESS DACの恩恵を受けられます。
AとBの使い分けは上でも書きましたが、iPhoneとはAを使うのがお勧めで、AK70/AK300またはWalkmanなどと組み合わせるにはBを使います。またiPhoneでもハイレゾを出したいときにはBを使うことになりますが、この場合にはカメラキットか同等のケーブルが必要です。

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ここでは主にA位置を使ってiPhoneと組みあわせて使いましたが、スムーズに使うことができました。AK70のmicro USBでもiPhoneのAでもとにかく簡単でスイッチを変えるだけです。とても扱いやすいと思います。

* HA2(初代)/HA2SEの音質

リファレンスIEMのKatanaユニバーサルを使用して主にiPhone 7 plusを使ってA位置(USB A)で試聴しました。

まずHA2(初代)の方を聴くと初代でかなり音質は良く、ESSらしくSNが高くとてもクリアで透明感、明瞭感がとても優れた音です。解像力が高く音数が多いと感じ、帯域的な音バランスはかなりフラットで良好、切れが良いのでアタック感があります。音の個性はよく整っていてニュートラル、色つけが少ないのですが、ちょっとドライな感じがする点もESS的な特徴です。総じて音性能はかなり高く、価格を考えるととてもコストパフォーマンスが良いと思います。

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次にHA2SEを同じソースで聴いてみました。音の印象はまずHA2よりもやや厚み・暖かみがあってESS的なドライさが少ないと感じられます。ノイズが少ないというよりも音の個性がやや違っていて、少しだけれども暖かくESSっぽいドライさが(良い方へ)減ってより聴きやすいと感じられます。
帯域的な高低により広がって、ファルセットの伸びもより高く伸びているように思います。またウッドベースのピチカートでSEの方がより切れ味が良く、明瞭感が高いと思います。ここはDACの効果かもしれませんが、たぶん駆動力の向上はここにも効いてると思います。ドライブ感のあるロックでもSEの方がスピード感と強いアタック・インパクトを感じられます。より音の厚みがあるのもそこにプラスにはたらしいています。SEの後でHA2(初代)を聴くとやや薄味に感じられます。
新型DACに目が行きがちですが、アンプの違いが大きいという印象があります。

私はApple MusicとかBandcampでよくストリーミングを使うのですが、iPhoneでストリーミングを高音質で聴くにはうってつけのアンプです。それらが圧縮音源だということは言われないと気がつかないと思いますね。
またもしこのクオリティでTidalストリーミングできれば、とも思います。(AK70/AK300の最新ファームアップと合わせるとできそうですが)

接続用のケーブルはiPhone用のライトニングも、AK70/300などと合わせるOTGも入っていて、すぐに使えると言う点もHA2の長所で、特にSEになってL字型になって利便性が良くなっていると思います。

* まとめ

透明感や解像感などはHA2(初代)でも十分すぎるほど良いけれども、SEの方が一段と音楽的により気持ちよく楽しく聴くことができます。見た目は同じだけど、中身はだいぶ進化していると思います。

iPhone 7からヘッドフォン端子がなくなり、ワイヤレス派とライトニング派に分かれてその後を模索していますが、ライトニング派は高音質を重視すると思いますのでぜひお勧めしたいところですね。
最近はApple MusicやSpotifyの参入などでストリーミングの需要も増えていますが、これならばかなり高音質で聴くことができます。ストリーミングは音質が落ちるので安く提供できるという考えもあるかもしれませんが、Apple Musicとかこの音質で聴かれたら反則じゃないかと思います。

また今回の改良はユーザーの声を聴いたということで、そうして声を吸い上げてくれるメーカーは良いですね。なにしろこのヘッドフォンオーディオの世界はボトムアップで進歩してきましたから。

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OPPOデジタルジャパンはヘッドフォン祭に出展しますのでそちらでHA2SEを試聴することができます。またRMAFで展示されたSonica DAC(ネットワークオーディオプレーヤー機能付DAC)も展示されるということです。
また隣のエミライブースではMrSpeakersとResonessene Labs、exaSound、そしてHeadFiで人気のあのCavalliのヘッドホンアンプも展示予定だそうです。これ私も期待してましたのでかなり楽しみです!
posted by ささき at 12:04 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月22日

Radical Action To Unseat The Hold Of Monkey Mind - King Crimson

すいません、またDVD付きCD3枚組ボックスセットとかいうトラップに引っかかってしまいました。
というわけで言い訳を書くんですが、これまずロックのライブものにしては音がいいんです。それとライブにつきものの観客の騒音を消していて、あたかもスタジオアルバムっぽく聴くことができるのが面白いところです。またあまりフリップ先生がやりたがらなかったRED以外の初期ナンバーも宮殿含めて多数入っているのもポイントです。
そういう意味でいうと、今風にちょいアレンジされたクリムゾン・リサージェンス的な新録音アルバムっぽくも聴けます。ただアネクドテンみたいにビンテージメロトロンまで使うようなサービスはさすがになくてシンセで代用してます。70年代ナンバーやるための21 Century Schizoid bandがちょっと気が抜けた感じでもあったのでやはりまあ正統派という感じで楽しめます。
クリムゾンというと最近ライブで40年ぶりに(フリップ先生に封印されたと思われていた)サーカスとかリザードをライブで演ったというのでニュースにまでなりました。デビットボウイのカバーもやっているようで、最近のロックレジェンドの急逝に触れてやはりいろいろと心境の変化というやつでしょうか。

演奏自体はトリプルドラムが印象的な通りにヘビーなもので、ここでは単にうるさいロックではなく、緊張感があってかっこいいというオールドロックの真髄を聴かせてくれます。太陽と旋律からの盛り上がりのパターンも相変わらずいいですね。CD3クラシックだけではなく、CD1もCD2もなかなかよいのでけっこう通して聴けます。買ったのはほとんど発売直後ですが、いまではポータブルアンプのロックリファレンスアルバムみたいになってます。
ただ観客の「ノイズ」がないのは賛否あって、ライブならではというところで盛り上がりの拍手とか声がないとかえって気抜けしたライブみたいな違和感があることもありますね。

radicalaction-roon.png

ちなみにRoonだときちんと3CDとして分類表示がなされていました。さすがにアルバムコメントはないですね。アーティストコメントに関してもこの前のDhafer Jossefみたいなアーティストはともかく、こういうメジャーアーティストだと「俺の方が知ってるよ」と言いたい人も多いと思いますので、まああってもなくてもという気もします。

あとCD3枚のほかにDVDもしくはブルーレイの映像ディスクも入っています。(DVDは初期のみ)
映像でもけっこう音が良いと思います。ただDVDで48/24収録するなら、DVD-ROMでハイレゾも入れてよと言いたいところですが、まあオールドロックは44/16でいいかという気もありますね。

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2016年08月23日

Birds Requiem組曲 - Dhafer Youssef

独特なエスニックテイスト、ファルセットのVoとトランペットのからみが美しく、ちょっとヒリアードのあのOfficiumを思わせる音世界が魅力的に思えるアルバムです。ジャンルはワールドっぽいジャズと言ってもよいですが、ジャンルはECM Newっぽいアルバムと言ってもよいでしょう。(実際のレーベルはSONY系ですが)

この曲を知ったきっかけはApple Musicのプレイリストです。Apple Musicのプレイリストは好みを解釈するので、適度に「鍛える」ことでより好みにあった曲を進めてきて、なかなか良いクリエイティブな現代曲も紹介してくれます。(いまいち日本の80年代ニューウェーブや派生するインディー系が鍛えられないのが不満ですが)
それを聴いていて、これは高音質で聴きたいと思って検索し、e-onkyoでハイレゾ音源(96/24)を見つけて購入しました。

試聴はApple Musicやe-Onkyoなどのサイト、あるいはYoutubeにも試聴リンクがありました。
You tube


itunes link
https://itunes.apple.com/us/album/birds-requiem/id722029904
e-onkyoサイト
http://www.e-onkyo.com/music/album/sme886443945463/

日本だとほとんどアーティストもアルバムも情報はありませんが、Roonのデータベースに解説があります。

screen001.png

Dhafer Youssefという人はチュニジア生まれのアーティストで、歌とOud(ウード)というリュートのような弦楽器の演奏者ということです。主に演奏旅行を通してヨーロッパで活躍しているようです。
このアルバムは2013年に発売されたもので、11曲のうちでBirds Requiemというテーマが組曲として4曲使われています。他の曲も楽器と声のアンサンブルがジャズベースらしい即興的な演奏によって生かされているとのこと。音楽言語という言葉も使われていますが、たしかに聴いてみると無国籍的な感じではありますが、そこが逆に音楽という言語の国籍を超えた表現力ということを感じさせてくれる好アルバムだと思います。
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2016年03月12日

ピアノ協奏曲第一番 - キースエマーソン

ロックレジェンドの急逝が相次いでいますが、ELPのキースエマーソンが銃で自殺したというショッキングなニュースが今日飛び込んできました。この4月に来日公演も控えてたんですが、ニュースによると病気により右手の一部の指が動かずにキーボードを8本の指で弾かねばならないことでうつ状態にあったようです。
http://m.tmz.com/#article/2016/03/11/keith-emerson-death-suicide/

ELPといえば前に書いた吉松隆も「カバー」したタルカスもありますが、展覧会の絵をはじめ庶民のファンファーレやナットロッカー、ホウダウン、トッカータ、聖地エルサレムのような現代音楽やクラシックのカバー(アレンジ)曲が多いのも特徴です。プログレは端的にクラシックのロックアレンジのように言われることもありますが、実のところ他のメジャーバンドではこうしたアプローチは意外とないですね。
ELPというよりキースエマーソンのそうしたクラシック志向の集大成はWorksのキースのソロパートで作曲した「ピアノ協奏曲第一番」でしょう。ロックミュージシャンが普通のクラシックの曲を作曲するというアプローチは話題となりました。
ここではそのキースの曲を逆にクラシックの演奏家が「カバー」したバージョンをいくつかあげます。キース演奏の原曲とはまた違った味わいがあります。いずれにしろこの第二番をもう聴くことはできないのは残念なことです。R.I.P.


黒田亜樹(タルカスもカバーした)


Regina Strokosz - Michalak


Jeffrey Biegel(冒頭にキース本人が出ています)
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2015年11月27日

LINNのクリスマスプレゼント再び

昨年好評だったLINN recordsのハイレゾ無料音源のクリスマスプレゼントを今年も実施しています。今年のテーマは映画音楽で、必ずしもサントラではありませんが映画にちなんだ曲を選んでいます。
http://www.linnrecords.com/recording-movies.aspx?__utma=237059741.297752916.1448574765.1448574765.1448574765.1&__utmb=237059741.1.10.1448574765&__utmc=237059741&__utmx=-&__utmz=237059741.1448574765.1.1.utmcsr=Twitter|utmccn=Christmas2015|utmcmd=post&__utmv=-&__utmk=209031505
昨年同様にこれから毎週一曲ずつ増えていくようです。録音自体とても優秀ですのでリファレンスにも重宝しますね。ぜひダウンロードしてみてください。
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2015年11月23日

NHORHM - 西山瞳

NHORHMはジャズピアニストの西山瞳さんの新作です。NHORMHはNew Heritage Of Real Heavy Metalの略で、文字通りヘビーメタルの名曲をカバーしてジャズアレンジした新プロジェクトです。もともと西山瞳さんは学生のころからヘビメタやロックが好きだったようですが、どうしてもUKのIn the dead of nightがやりたくて選曲したということで、ヘビメタというかプログレもあり、ベビメタもありというなかなか面白い選曲になってます。オリジナル曲も一曲あります。
試聴は下記PVでどうぞ。


NHORHM PV
1. In the Dead of Night / U.K.
2. Walk / Pantera
3. Man On the Silver Mountain / Rainbow


本人もライナーにロックの反復性とジャズの即興性は相いれないけれども、と前置きしてますがかなり大胆に原曲からは変わってます。ヘビメタのアレンジとはいいますが、想像しているのとはちょっと違うかもしれません。原曲はテーマパートで微妙に残してあるくらいです。
In the dead of nightは原曲のテイストが残っていますが、タワレコで買ったCDRおまけについてたHighway Starなんかは、ほとんど美しいジャズピアノの落ち着いたバラード曲なんですが、良く聴くとベースラインにI'm a highway starって旋律が乗ってます。ほかもたぶん原曲を知らなければほとんどロックっぽいジャズのアルバムと思うでしょう。そうした意味でロック色の強いジャズの好アルバムに仕上がっていて、上原ひろみトリオのMOVEとかALIVEが好きな人にはお勧めです。




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2015年08月11日

You're Surrounded - バイノーラル・サラウンド・アルバム

HD TracksのDr Cheskyが世界初というバイノーラル録音のサラウンドアルバムを発表しました。これは信号処理なしで普通の2chのヘッドホンを使ってサラウンドサウンドができるか、という実験的プロジェクトです。
http://www.hdtracks.com/you-re-surrounded

これで実際にサラウンド効果が得られるかというのは、リスナーの耳介(外耳)がいかに録音したダミーヘッドシステムと似ているかにかかっているということです。
アルバムには曲解説とともにその曲ではどの方向から音が聞こえてくるはずかが明示されています。

写真 2015-08-10 13 49 14.png   写真 2015-08-10 13 49 05.png

試聴はヘッドフォンがHiFiman HE560とDAC内蔵ヘッドフォンアンプGEEK Pulse Sfi(フェムトクロックモデル)でPCにつないでJRMCで聴いてみました。あれGEEK Pulse SFiって記事書いたっけ? まあいいや 笑
この組み合わせ自体がかなり音場感は優秀なんですが、たしか録音の良さと相まって不思議・不気味なリアルさがあります。テナーサックスのソロがぐるぐると頭を回るNo11やバスケのボールをバウンドさせるNo13なんかは後方に来る感覚がわかりやすいかもしれません。
外耳うんぬんとありますが、AK380といまテスト中のCampfireのLyraでも試してみましたが、イヤフォンでもわかりますね。Lyraが優秀というのはあるかもしれませんが。
実験的アルバムではありますが、音楽としても十分楽しめます。
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2015年06月30日

Amores Pasados - ジョン・ポッター(ジョンジー、トニーバンクス、スティング)

Amores Pasadosは古楽のテノール歌手ジョンポッターの最新アルバムです。ポッターは古楽・現代音楽では随一の声楽グループであるヒリアードアンサンブルのメンバーとしてよく知られています。
このアルバムはぱっと聴きには普通の古楽のリュートと声楽曲に思えますが、聴いているとちょっと不思議な感覚にとらわれます。それはこのアルバムにはユニークな試みがなされているからです。

ポイントはこのアルバムで起用された作曲家にあります。
17世紀のトーマス・カンピオンらとともに名を連ねるのは、ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズ、ジェネシスのトニーバンクス、そしてスティングです。
しかしこれはジェネシスの名曲をリュートにアレンジしたものではありません。古楽のテキストをもとにジョンポールジョーンズ、トニーバンクスやスティングといった大バンドの作曲の要だった音楽家が自分たちの感性をもとに古楽曲を書き起こしたものです。(ジョンポールジョーンズは本格的な音楽教育を受けています)

ヒリアードアンサンブルの理論家でもあるジョンポッターはライナーノートにこう書いてます。
もともと歌はひとつのものだった。行商人が道端でヴェルディを口ずさんだりしていた。しかし時が進み、歌はポップソングと芸術音楽に分かれていった。
では、何がポップミュージックで何が芸術音楽なのか、そもそも17世紀のダウランドやカンピオンの時代に区別はあったのか、彼らはその時代のソングライターだったのではないか? ...

ポッターはトニーバンクスの作曲したジェネシスの曲はその独特の和声や複雑な構造からテノール歌手に歌わせればそのまま芸術音楽じゃないの、と書いてます。
ジョンポールジョーンズは冒頭のタイトル曲を書いていますが、ロックにおける即興的な要素のひとつが、17世紀の作曲技法のひとつと一致するという点に面白さを持っているということを書いてます。
スティングはこの分野では自分でもグラモフォンから「クラシック」のアルバムを出してますが、ここではロビンフッドをテーマにしたオリジナルの作詞・作曲を手掛けてます。

ただ歌詞については17世紀の古典のテキストを(スティング以外)は使っています。これは歌い手のポッターがなれたテノールの唱法の解釈ができるからだそうです。
つまりこれで古典的な声楽の骨の部分だけをすっぽりと現代ロックの作曲者の感性に置き換えることができるというわけです。ここがひとつポイントであって、よくあるロックのクラシックアレンジとは違うところだと思います。

わたしが感じた不思議な感覚は、聴きやすいというか、耳になじみやすいという感覚です。もっと自分に近いもの、という感覚でしょうか。
このアルバムで特に面白いのは、トニーバンクスのパートです。同じテキストからカンピオンの作曲した「オリジナル」の曲と、トニーバンクスが作曲した「バリエーション」曲が同じタイトルで二組収録されています。カンピオンのオリジナルはきれいですが、シンプルで変化が少なく淡泊に感じられます。トニーバンクスのパートはもっと複雑で音楽の抑揚が豊かに感じられます。

例えば古楽をいま聞いて単純に良いなと思っても、当時の人が聴いていた感じとは異なるでしょう。我々が日ごろ慣れている作曲法も変わっているし、なにより我々自身が17世紀の人たちとは変わっているのです。
そうして、17世紀と21世紀で人の変わったところはどこか、同じところはどこか、と音楽を通して考えてみるのも面白いのではないでしょうか。

試聴は下記ECM newサイトで可能です。
http://player.ecmrecords.com/potter-2441/music

CDのほかに下記のe-onkyoサイトでハイレゾ(96/24)でも購入ができます。
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00028948115570/

こちらはCDのリンクです。

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2015年06月29日

未知への飛翔 - クリス・スクワイア

YESのベーシストとして知られるクリス・スクワイアが闘病生活ののちに亡くなったという訃報を聞きました。まさに残念というしかありません。
YESというとジョン・アンダーソンのイメージが強いんですが、長いYESの歴史の中でクリス・スクワイアはセカンドマンとして、またときにはしっかりとリーダーシップを発揮していました。リッケンバッカーが小さく見える大きな体で正確なベースプレイが印象的でした。

70年代のビッグネームたちはまさにプロフェッショナルな超絶テクニックで知られていましたが、なかでもYESは最たるものでしょう。そのグループとしての音楽性を保つためにメンバーはわざと日頃は仲良くしないということがよく言われてましたが、真偽はわかりません。
そうしたYESもひとりひとりがソロアルバムを出していた時期があります(リック・ウエイクマンは脱退後なのでこれにカウントせず)。ジョンアンダーソンのサンヒローのオリアス、アランホワイトのラムシャックルド、スティーヴ・ハウのビギニングス、パトリック・モラーツ(アルバム名忘れた)、そしてクリス・スクワイアのFish out of water(邦題: 未知への飛翔)です。水から出た魚とは言い得て妙なタイトルです。
今聴いても名曲ぞろいの傑作と言って良いアルバムだと思いますが、わたしは特にラストのSafe (Canon Song)が好きです。15分越えというプログレらしい大曲で、気持ちよいベースラインの刻みと、オーケストレーション、ドラマチックな盛り上がりが感動的で彼らの黄金期を思わせます。
今日はこれを聴いて70年代の息吹をまたちょっと感じ取ろうと思います。
R.I.P


Safe (Canon Song)


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2015年06月27日

ノルディック&ケルティック ミュージックパーティー2015

今年も上野の水上ホールで開催された「ノルディック&ケルティック ミュージックパーティー2015」略してノルケル15に参加してきました。これは北欧とアイルランドの伝承音楽を日本人バンドが演奏するミュージックフェスです。午後1時頃から6時頃まで10のグループが演奏していきます。
こちらにイベントのホームページがあります。以下の動画は公式動画です。
http://nordicceltic.blogspot.jp/
また昨年のブログ記事を下記リンクに書いてます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/399489752.html

伝承音楽なので普通の人はまず見たことのない楽器のデパートみたいになるのが面白いところ。指穴のない謎の横笛(ノルカルTOKYO)や、古代の楽器を思わせるカンテレや音色のきれいなハンマーダルシマー(小松崎健&あらひろこ)などなど。スエーデンのニッケルハルパ(Johansson Sagaの一番左)などはこの場に来るとメジャーな楽器になるほど。


ノルカルTOKYO - Selje Halling


小松崎健&あらひろこ - Orphan, Mist Covered Mountain

伝承音楽なのでアイルランドのオ・キャロランなど有名作曲家のものがベースにはありますが、日本で独自発展して日本語歌詞がついたりして発展していくグループがあるのも面白いところ。そういう意味でも今年はJohansson Sagaが特によかった感じです。曲もドラマティックでよかったんですが、アイリッシュのヴォーカルはああいう風に力強く気高く歌ってほしいという感じでしたね。またフィドル(バイオリン)はまだ子供ですがなかなかしっかりした演奏。次がまた楽しみです。


Johansson Saga - でげでげ


Johansson Saga - 船上の薔薇

上野の水上ホールは半野外なので音楽に鳥の声がかぶって聴こえるのも面白いなぁ、と思ってたら聴こえるどころか全力演奏してるステージに鳥がはいってきたりします。鳥にとっても嫌な音ではないんでしょう。まさにearthyというか土の香りのするイベントではありました。


小松崎健&あらひろこ - カンテレと鳥の声の合奏

写真 2015-06-07 17 37 49[1].jpg
会場全景
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2015年04月16日

ショパン・プロジェクト - アリス=紗良・オット/オラフ・アルナルズ

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アリス=紗良・オットとオラフ・アルナルズという組み合わせで「おっ」と言う人がどれだけいるかわかりませんが、とにかく私はタワレコ店頭で見かけて「おっ」と言ったのでそのまま購入しました。ピアニストのアリス=紗良・オットはご存知の方が多いと思いますが、オラフ・アルナルズはエレクトロニカ・現代音楽系の人で最近日本でも人気です。私はどちらのアーティストも好きでそれぞれアルバムも持っています。ただ別々のジャンルの人だと思っていました。ショパン・プロジェクトはショパンの作品をこの二人が再解釈するというものです。

この組み合わせでひとつ思い出したのは、「クラシックの有名演奏家 + エレクトロニカ・現代音楽家」という組み合わせは前にも書いたということです。それは前に書いた記事のハウシュカとヒラリーハーンの"Silfra"です。
ちなみにアリス=紗良・オットはFransisco Tristanoとコラボしてやはりクラシック再解釈アルバム"Scandal"を出してます。クラシック作品にしてはポップなアルバムジャケットアートが面白いんですが、これも中身は良いです。こうしたコラボを好む人でもありますね。

ショパン・プロジェクトは音楽的にはこれも前に書いたやはりエレクトロニカ・現代音楽家であるマックス・リヒターの四季(邦題は"25%のビバルディ")のように、クラシックの有名作品を現代エレクトロニカ音楽家が再構築をするというものです。ただし手法は異なっています。
マックス・リヒターがサンプリングとかループと言った、わりと今風のDTM手法をクラシックの曲に適用したのとはある意味逆で、オラフ・アルナルズの目指すところは「作品における人間臭さ、ヒューマニティの復権」です。別な言い方をすると聴いている人間に近いという感じでしょうか。詳しくは下記リンクの海外ウェブマガジンにインタビューが載っています。
http://nbhap.com/interviews/olafur-arnalds-alice-sara-ott-chopin-project/
クラシックの録音は普通はとてもきれいで、ある意味で潔癖症です。正確に演奏し、余分なノイズを排除して行いますが、そこにもっと演奏者の息使いや椅子のきしみなど環境音を入れることで人の存在を感じられるものとしたいというのが二人の共通意見です。アリスはタワレコのショパン大使になったこともあり普通のショパンのアルバムも出していますが、彼女の好きな昔のショパン弾きは実のところ誤った音をたくさん弾いているけど、昔の録音だとそれが悪くなくむしろ人間的に思える、しかし今日の潔癖症録音でそれをやってしまうと粗が目立つだけのアルバムに仕上がってしまうという点に不満を寄せています。

そこで「ショパン・プロジェクト」では録音にはビンテージマイクとアナログ機材を使い、録音方法も演奏者の息遣いを意図的に入れるように工夫しているということです。またピアノはプリペアドにして音色を調整しています。ピアノはこのプロジェクトのためにプリペアドピアノとして「改造」されたようです。たぶんちょっとモノを挟めた程度ではないんでしょう。コンサートというかライブで披露したときはステージのピアノを20分かけてプリペアドにしたということです。それだけ音色にはこだわっています。
これにアルナルズの電子音およぴストリングスのパートと、アリスの弾くショパンの曲が交互に展開していきます。アルナルズのパートはショパンのメロディをアレンジしたもので、After Chopin(ショパンにならい、みたいな感じ)と英語版ではタイトルについています。ピアノパートにもフィールド録音した水音や会話のサンプリングなどを少し混ぜています。
ショパン自身は即興的な傾向の人で、同じ曲で出版社に渡した楽譜が異なるというのもよくあるそう。その辺もショパンを選んだ理由のひとつだそうです。彼女らはおそらく決まり切ったものを正確にこなすというところに、非人間性のような問題意識をもっているのでしょう。

こちらにプロモーションビデオがあります。



実際に聴いてみると、ピアノの音は普通に良録音で聴くようなエッジが立って硬質感があるような音ではなく、霧の中に響くようなぼやけた不明瞭な音で響いています。録音機材だけではなくプリペアドピアノの音色変更の効果もあると思います。
たしかに背景にアリスの声にも思えるハミングのような音がするけど、グールドのような明瞭な鼻歌ではなく、それももしかすると電子音のノイズや水の音のサンプリングと区別がともすればつきにくく感じられます。彼女の弾くショパンもピアノであることの主張を控え、アルナルズのストリングや電子音と混じっていき渾然一体となっていきます。それらは電子音なのか生楽器なのかあいまいになり、そうしたことはどうでも良いのではないかと思えるようになります。

録音を工夫してギシギシ言う環境音を言わばアコースティックなグリッチ的にわざとピアノ曲に絡めるのは、ポストクラシカルとも呼ばれるこの辺の音楽家の最近の常套手段だと思いますが、オラフ・アルナルズはそれをもっと別な角度から行いたかったのではないか、ともちょっと思います。
また、ピアニストのハミングなど交えたという点からは上にも書いたようにグールドを連想しますが、実際に彼らもそれを意識しているようです。とはいえ、グールドが観客との交わりであるコンサートを避けてあえて録音のみを志向していったのは彼なりの音楽追求なわけですが、このアルナルズやアリスの方向性はそれと逆なのか、あるいは実は同じなのか、とあれこれと考えてみるのも音楽の楽しみのひとつではありますね。

もうひとつ面白いのはこの実験的な感じのアルバムがマーキュリーというメジャーレーベルで出ているということで、インタビューの中でもインディーレーベルならこういうのは出しやすいが、メジャーでこうしたアルバムがリリースされるというのは業界が変わりつつあるということではないかと書かれています。
国内ではCDの他にe-Onkyoからハイレゾ配信されています。私は両方買いましたが、意図的に古い機材で録音しているのにその良さを引き出すのにハイレゾで聴くというのもまた面白いところではないでしょうか。

e-onkyoサイト
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00028948115044/
posted by ささき at 00:49 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月07日

ニルス・フラームと世界最大のピアノ、Klavins M370

さる3月29日は「ピアノの日」だったそうです。知らなかった人が多いと思いますが、それは無理もありません。これはピアニストのニルス・フラームによって今年制定というか提唱されたもので、ピアノの88腱にちなんで新年から88日目が3月29日なのだそうです。(ちなみに日本でのピアノの日はシーボルトがピアノを輸入した日にちなんで7月9日だそうです)
ニルス・フラームはこの日のために専用のウエブサイトを作成しています。ここで彼は新作のピアノソロアルバム、"Solo"を無料配信しています。
http://www.pianoday.org/

ここまではよくありそうな話ですが、この話が面白くなってくるのは彼が使用したピアノです。それはピアノ技師であるDavid Klavinsによって製作された世界最大のピアノ、Klavins M370です。このM370というのは小型のパイプオルガンのような大きさで2トンもあるものです。普通のグランドピアノで約300kg、より大型のコンサートタイプで約500kgというので、M370の巨大さが分かるでしょう。下記に紹介ビデオがあります。


ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調

M370の特徴はその弦の長さです。鍵盤は88腱と変わりませんが、低音弦が普通は2メートル低度のところ、このM370では3メートルを超えます。そのため横ではなく縦に弦が配置されています。つまり移動は不可能で、スタジオの二階と一階をぶっ通して製作されていて、演奏者は二階まで歩いて上がることになります。
弦が長くなるとなにが良いかというと、大きなコンサートピアノの弦長でも本来の低域再生が難しいそうで、調律師が妥協をして張力を調整しているため、本来得られるべき音になっていないとのこと。そうした低音の倍音を正しく再現してこそ、ピアノのあるべき音がはじめて分かるということです。つまり基本的には低域再生力の向上ですが、倍音の影響で全体の音質もよくなるということですね。そのためにこんな巨大なピアノを製作したというわけです。M370については記事がこちらにあります。
http://gigazine.net/news/20150407-klavins-piano/

David Klavins氏はピアノの調整や修理を請け負っている人なのだそうですが、その本来の音を出すための挑戦と言えるでしょう。そしてこの冒頭に書いた「ピアノの日」と言うのはDavid Klavinsがさらなる次の巨大ピアノであるM450を完成させるためのサポートのためということです。私もけっこうニルス・フラーム好きなんでよく聴きますが、ピアニストと言うよりは、エレクトロニカ・ミュージシャンということで日本では有名です。また他のミュージシャンのエンジニア仕事もよくやっているように思います。
彼の演奏するM370の音はさきに書いた「SOLO」で聴くことができます。96/24ハイレゾWAVとMP3で無料ダウンロードできますので、世界最大のピアノの音をぜひハイレゾで楽しんでください。Wallなんかはニルス・フラームらしいミニマルな現代曲に仕上がっています。

このプロジェクトはKlavinsの夢にささげられたとあります。そもそもピアノの発明者はバートロメオ・クリストフォリという人ですが、ピアニストのデビッド・ランツによるクリストフォリの夢という名曲がありますのでM370とは関係ありませんが、最後にこちらを聴きながらピアノの将来に思いをはせたいと思います。バイオリンは完成された形とはよく言いますが、ピアノはまだまだ発展できるものなんですね。


クリストフォリの夢 - デビッド・ランツ
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2014年11月04日

Robert Reed - Sanctuary

これは今年の夏くらいに出たアルバムですがRobert Reedというイギリスのミュージシャンがどれだけマイクオールドフィールドの音楽に近づけるかという点に挑戦してオリジナル曲を書いたものです。ただのトリビュートやコピーではなくあえて曲はオリジナルを書いたというのが面白いところです。もちろんフレーズは似ていますが、微妙に聞いたことがない感が味わえます。一言でいうと、マイクオールドフィールドの初期3部作の4枚目を完コピしているといえば良いでしょうか。それで劣化していないというのがなかなか良く書けているところです。
下記にYoutubeでプロモ映像がありますが、もちろん一人多重録音です。しかしマイクはこれを70年代のアナログ時代にやったんですからすごいものです。



ただ当時のマイクの内向感というか今でいう引きこもり感がちょっとなくて表の音楽性のみをコピーした感はあります。いわばもう少しキーを下げると初期作品の暗く重い雰囲気に近づけるかなと思えるところもあるけれども、そこはRobert Reedとマイクの差というよりも、時代の差のような気もします。

CDはAmazon、ダウンロードはBandcampで購入可能です。
Bandcampのリンクは下記です。
https://robertreed.bandcamp.com/releases
ジャケットはなぜかルビコンというのもちょっと面白いですね。
こちらを聴いて興味が出た人には日本のマイクオールドフィールドことAsturiasの大山氏の樹霊もお勧めします。こちらも多重録音製作ですが、もちろん完全Asturiasオリジナルです。



と、ここまで書いたらやはりオリジナルのことも書かなければならないかと思ったんですが、以前下記の記事で書いていますのでこちらをどうぞ。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/154656059.html

   
posted by ささき at 21:34 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月29日

インディーレーベル配信サイトBandcampの紹介

最近私がはまっていることといえば、BandCampでお気に入りのアーティストを見つけることです。
いままではタワーレコードに行って新譜を試聴しながら同じことをしていたわけですが、いまではそれが家でできます。

以前フランスのPrikosnovenieやアメリカのProjekt、そして欧州Pagan音楽系のマイナー音楽を紹介しました。
Prikosnovenieレーベルの紹介ページ
Projektレーベルの紹介ページ
古い神話の国の新しい音楽

私はこういうマイナー・インディー系レーベルの音楽もよく買うんですが、問題もあります。まずCDを海外通販すると送料が高くつくということです。また海外のようにCDがなくなるのが現実味を帯びてくると、配信の必要性がまして来ますが、大手メジャーレーベルは良くともかえってこういうマイナーレーベルでは配信サイトの運営に難がありそうと感じていたわけです。

Bandcampとは

bandcamp-logo-color-white-175.png

BandCampは主にそうしたマイナー・インディー系レーベルのための配信サイトです。そういう点では日本でいうとe-Onkyoよりototoyに近いと思います。どちらかというと音楽が好きなマニア向けですから、必然的に扱っている音楽ジャンルも少し偏りが出てきて、たとえばストレートなジャズやクラシックもありますが、BandCampではジャズやクラシックでもアバンギャルドや実験系が多くなります。多いのは広くエレクトロニカ系、オルタナ系、インディーポップやロック、またジャズでもユーロジャズやエレクトロニカに近い系(たとえばGoGo Penguin)などです。クラシックでも現代音楽はあります(たとえばBang on the Can)。

BandCampのトップページはここです。
https://bandcamp.com/

BandCampはもともとCD通販がメインだったと思いますし、グッズなども販売されていますが、いまの主はデジタル配信だと思います。配信形式ではMP3の他にFLACやALACでも配信されていて、落として見るとデータのなかにはハイレゾもあります(48/24や44/24など)が特に明記されていません。また配信を購入すると同時にiPhoneなどの専用アプリでストリーミングも可能です(これもOTOTOYみたいな感じ)。
CDでは売り切れでも配信は可能で、価格は$5-$10とだいぶ安く設定されています。またアルバムではなく、シングルでも購入は可能です(アーティストによる)。支払いはPaypalです。

BandCampでまず面白いのは買い手が値段を決められることです。たいてい価格ではクラウドファンディングのように$7 or moreと書いてあります。つまり最低価格以上ならいくらで買っても良いんです。気に入ったら$7を$10出しても構いません。面白いのは$0以上というアルバムもけっこうあります(you name it"あなたが決めて"と書いてあります)。サンプラーはもちろんですが、ミュージシャンによっては普通に「あなたが決めて」販売してます。もちろんいくら払っても構いません。ただし0円で買った場合はストリーミングオプションが適用されませんし、多くはアーティストのメーリンググループ登録が必要となります。条件なしで無料の場合はFreeと書いてあります。
なかにはor moreという表示がなく、定価で$10というものもあります。この辺はミュージシャンしだいですね。

また売り上げは全ていったんミュージシャン(あるいはレーベル)のものとなります。Paypalの支払先は直接ミュージシャンです。そのため価格は現地通貨ですので注意してください。そこからPaypalが4%引いて、BandCampが15%取ります。(そのためアルバム買いではなくシングル書いをするとアーティストへの実入りが減ります)

またBandCampでは試聴がたっぷりと出来ます。というかアルバム全部聴けるというのが普通です。なかには1-2曲のみというミュージシャンもいますが、いずれにせよ一曲はまるまる試聴できます。
実際アーティストはインディーズ以外に学生とかアマチュアもみられて、そうした人が自分の曲を売るのに使っています。そのため質は玉石混交ですので、試聴はたっぷりした方がよいですね。タワレコだとバイヤーが一次フィルターになって良いものを入れてくると思いますが、ここは本当に直接ミュージシャンに接すると言ってもよいでしょう。

そういう意味でBandCampはSNS的な側面があります。曲を買うときにはコメントが残せますので、良かった、とかこの曲聴いてこんなこと思った、などいろいろ書きこめて直にミュージシャンに伝わります。また買ったミュージシャンは自動的にフォローされるので、新曲の情報はメールで分かります。またBandCampでユニークなのはファン同士がフォローできるということです。これは次に説明します。

Bandcampの歩き方

さて、Bandcampでまず困難にぶちあたるのは、どうやって曲を探すの?という点です。
一番良いのはすでにこうしたバンドを知っている場合、その名前を検索してください。上のジャンルに合うような欧米のマイナーバンドです。たとえばMirablisとタイプすると、Mirablisのアルバムがリストされ、さらにProjektレーベルがたくさん他にBandcampで売られていることが分かります。Projektレーベル以外のアルバムを探すには、下にタグがありますのでそれをクリックしてください。たとえばGothicとかAlternativeなどで同傾向のバンドが出てきます。もしバンド名が分からなければ、検索欄に直接post rockとかelectronicaなどのキーワードを検索欄にタイプします。するとそれにタグつけられたリストが出てきます。これを芋づる式にやっていきます。また、DiscoverリンクではいまBandCampで売れているバンドを探すこともできます。

あとはBandCampならではの方法はSNS的な広がりです。Bandcampに登録している買う立場の人(我々)はFanと言います。BandCampに登録した時のアカウントがFanのアカウントになり、自分のページをもちます。そこに購買したリストやWish listが見られます。これらはデフォルトは公開です。Bandcampでアルバムを買うと自動的にそのアーティストのFanとして登録されます。そしてBandcampにいると定期的にお勧めのアルバムとともにお勧めのFanのリストが出てきます。つまりアーティストだけではなく、他のFanもフォローできます。フォロー関係はtwitterに似ています。また自分をフォローしてくれる人が出てきます。
たとえば自分をフォローしてくれた人はたいてい自分と好きな音楽傾向が似ています。その人の買ったリストを見ていくとだいたい自分も買うようなもので、それをAmazonのお勧めリンクのようにシステムが解析して、お勧めFanのリストを送ってくるわけです。ですのでフォローした/されているFanの買ったアルバムを試聴していくとけっこうはまります。またミュージシャンの新譜だけではなく、フォローしているFanの購入履歴もメールで送られてきます。そうするとこの人はこれ買ったのか、よし聴いてみよう、となるわけです。この辺は学校で友達同士で最近どんなミュージシャンの曲買った?なんて話すのと同じです。なかには私が買った曲もあって、ああ私の買ったの見てこの人も買ったんだ、ということもあります。この辺がBandCamp使いこなしのポイントの一つです。

BandCampでの購入方法

購入についてはそのアルバムのページに行き、配信であればDigital Albumのところを探してその下のBuy Now $7 or moreと書かれたBuy Nowのボタンを押してください。(CDと別にあることが多いので注意ください。たいてい価格が高い方がCDです。)
シングルの場合は曲の横にマウスをもっていくとDownloadとボタンが出てくるのでそこを押してください。(ない場合もあります)

するといくら入れるか聞いてくるので、金額を入力してください。前に書いたように表示が$7でもとても気に入ってたら$10と入れてかまいません(低い金額はだめです)。あるいは全額募金の場合もあるのでその趣旨に賛同するときは多く入れても良いでしょう。
金額が書かれてなくてname your price とあれば、0以上です。ただし0を入れると多くの場合は無料リンクを別にメールで提示され、MLへの参加のためのメールアドレスを聞かれます。
金額を入力したらPaypalの画面になるのでPaypalのパスワードを入れて支払いをしてください。

最後にダウンロード画面になります。ここでダウンロード形式をFLACとかロスレスに変更すると良いでしょう。MP3がよければそのままでよいでしょう。少し時間があってダウンロードの準備ができるとリンクが表示されます。

またここでそのミュージシャンお勧めの他のミュージシャンのリンクが表示されるので、そこに飛んでも世界を広げられます。

BandCampのお勧めアーティスト

私のお勧めアルバムを10枚ほど紹介します。

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Adrian H & wounds
debut
https://projektrecords.bandcamp.com/album/debut-2
前に書いたProjektレーベルの新作で、くせになりそうなユニークなヴォーカルスタイルと世界観をもった個性派バンドAdrian H & wounds。ゴシックやオルタナ好きの人に。

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Alex Cook ensemble
The Deacon of Myrká
https://alex-hler-ensemble.bandcamp.com/
作曲を学ぶ学生であるAlex Cookがバレエのために書き下ろした作品。荒削りながらも感動的な作品で、アコースティック楽器主体だけれども適度なエレクトロのブレンドもよい。これはname your price で0円から好きなだけ。

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Tiny Leaves
A Good Land, An Excellent Land
https://tinyleaves.bandcamp.com/album/a-good-land-an-excellent-land
もともとアンビエント系音楽を書いていたTiny Leavesによる端正で美しい室内楽。ジャケットのイメージ通りの自然を生楽器により描き出す心象風景が見事です。7曲目がお勧め。

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GoGo Penguin
v2.0
https://gogopenguin.bandcamp.com/album/v20
ユーロジャズだけど、もっといま風のエレクトロニカ的な解釈がはいって、いわばポストロックに対するポストユーロジャズみたいな感じ。スピード感があってノリが良い。かなりお勧め。

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Zoe Keating
Into The Trees
http://music.zoekeating.com/album/into-the-trees
クラシックのチェリストだけど、現代的でかつポップな曲を多く書いています。BandCampでもわりと人気の高いアーティスト。

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Rhian Sheehan
Stories From Elsewhere
https://rhiansheehan.bandcamp.com/album/stories-from-elsewhere
基本アンビエントの人だけど、ポストクラシカル的なドラマ性が良い。美しい音楽好きな人に。

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Julia Wolfe feat. Bang on a Can All-Stars
Steel Hammer
https://cantaloupemusic.bandcamp.com/album/steel-hammer
いわゆるBang on a canの尖った現代音楽グループによる尖った音楽。ミニマル好きな人に。難しいというより癖になります。この系統では私はDavid Langがわりと好き。

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Mili
MuNiCa - Cry of Pluto
https://project-mili.bandcamp.com/album/munica-cry-of-pluto-original-sound-track
BandCampで人気の高い日本のエレクトロニカバンドMiliのストレートなエレクトロニカ。サントラらしいドラマティックな展開が良い。BandCampの日本のバンドだとkaninaもよい。name your priceです。

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KING CRIMSON tribute The Letters
Mellow Records
https://mellowrecords.bandcamp.com/album/king-crimson-tribute-the-letters-3cd
イタリアのプログレレーベルのMellow Recordsによるクリムゾントリビュート。私は9曲目のEpitaphの壊れ具合が好き。
他にもイエス、フロイド、ジェネシスはもとよりVGGやカンタベリーものトリビュートなどネタが豊富。BandCampはオールドロックが少ないのでわりと貴重かも。

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.​.​. and darkness came
https://headphonecommute.bandcamp.com/album/and-darkness-came
87曲で$10、FLACで2.8GBというCDではありえないコンピ。アンビエント・エレクトロニカ好きの人に。Helios、Nils Frahm、Max Richterなど日本でも有名なアーティストをはじめとしてたくさん入っています。これは100%を2012年のハリケーン・サンディ災害の募金に当てられます。

あとはページの左下にtagがありますので、そこをクリックしていけばいろんな音楽に出会えると思います。
Bandcampの世界をお楽しみください !
posted by ささき at 21:59 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする