Music TO GO!
2020年11月10日
PW Audioの4.4mmアダプターレビュー
今回紹介するのはPW AUDIO製の4.4mmバランス出力の変換アダプターです。PW AUDIOは2010年から続く香港のオーディオメーカーで、ケーブルやアクセサリーなどを取り扱っています。国内ではサイラスが代理店となって販売しています。
こちらはサイラスのPW Audio製品ページです。
https://www.cyras.jp/97513.html
この4.4mmアダプターは4.4mmバランス出力端子を持っていないプレーヤーやアンプを4.4mm対応にするものです。今回試したものはAstell&Kern用とHUGO2用の計5機種です。
どの製品も筐体は耐久性のあるアルミ削り出しで、端子は日本ディックス製4.4mm端子を採用しています。
* Astell & Kernプレーヤー用
Astell & Kernプレーヤーの3.5mmと2.5mm端子の両方のプラグに接続します。Fはストレート型のイヤフォン端子に好適です。
どうして2.5mmと3.5mmの両方を差すかというと、バランスの信号(R+/-, L+/-)は2.5mmの方から取るんですが、グランド(G)を3.5mmのものを使うからです。普通の4.4mmケーブルは効果がないかもしれませんが、PW Audioでは外部ノイズ遮断用のシールドを採用したGNDも生きているケーブルを企画中で、そうしたグランド分離タイプのケーブルで真価を発揮するということです。
1. AK TO 4.4F ストレート型(通常モデル)
通常版と限定版の違いは外観だけではなく、内部配線も違うということです。価格は11,000円(税別)。通常版のL型は12,000円(税別)。
2. AK TO 4.4F ストレート型(秋モデル)
これはPW AUDIOが企画した限定版だそうです。価格は予価13,000円(税別)。L型は予価15,000円(税別)。
3. AK TO 4.4F ストレート型(日本限定モデル)
こちらは代理店のサイラスが企画したもので、線材もサイラスの指定になるものということです。価格は予価24,000円(税別)。L型も予価24,000円(税別)。
試聴ではCampfire AudioのSolaris2020にDITAのAWESOMEプラグを使用して、2.5mmと4.4mmを変えながらイヤフオンとケーブルは同じで聴いています。
実際に試してみると、思ったよりも音質に差はあります。2.5mm直差しから4.4mmアダプター経由に変えると少し音圧が上がって音の広がりがより広く感じます。より音に厚みも加わります。ひとレベル上の音と言ってもよいくらいでしょう。やはり4.4mmアダプタを介した方が音はいいという感じです。こうしたアクセサリーを使おうとするマニアのユーザーなら違いは大きいと感じると思います。
もともと2.5mmよりも4.4mmの方が電気的特性は上だと思いますが、このようにアダプタを介した時も効果があるのは意外です。
4.4mm(+アダプター)から2.5mmに戻すと音がやや軽くこじんまりとして、音圧が少し下がります。
通常版とJP限定版も音が違います。音の良さのレベルは同じくらいですが、JP限定版は少し明るめで多少クリアな音になっています。ただ通常盤も重みがある感じで、これは好みの違いと考えてよいかと思います。JP限定版の方がいわゆる中高域好きの日本人好みの音になっているかもしれません。
秋版も音が違いますが、やや通常盤に近い感じです。通常盤-秋版-JP限定版の順に違いがあるように思います。
実のところ聞く前は違いはあっても差は微小かと思ってたんですが、けっこう違いますね。いわゆる一旦聞いてしまうと外せなくなるというタイプのアクセサリーのように思います。このAstell&Kern用のアダプターはAKユーザーにはオススメですので、一度試してほしいと思います。
* Chord Hugo2用
これはHUGO2のプリアウトRCA出力のLとRに接続するアダプターです。「RCA to 4.4mmアダプター」と言ってもいいかもしれません。RCAはプリアウトですが、メーカーはイヤフォンをつけても聞けると言っているようなので今回はイヤフォンをつけてAK版と同じようにして試してみました。
1. HUGO2 TO 4.4 ストレート型(通常モデル)
Hugo2においては他のポートの邪魔をしないのでストレート型の方がよいかもしれません。価格は予価12,000円(税別)。通常版のL型は14,000円(税別)。
2. HUGO2 TO 4.4L L型(限定モデル)
この限定版は通常モデルとは異なる線材を使用しているということです。価格は予価24,000円(税別)。通常版のL型は24,000円(税別)。
HUGO2でも同じくDITAのAWSOMEプラグで3.5mmをHUGO2の3.5mm端子に挿した時の音と、4.4mmに変えてアダプタの4.4mm端子につけた時の音を比べました。
より広がりのある音になるのはAKと同じですが、やはりこちらはプリアウトなので差は微妙ではありますね。L型(限定モデル) はストレート型(通常モデル)に比べてAKタイプと同傾向でより明るくてクリアな音になるようです。
やはりHUGO2の方は手持ちの4.4mmを生かしたい人向け、あるいは4.4mm to 4.4mmケーブルを使ってアンプに接続したい人向けと考えたほうがよいように思います。(いま手元に4.4mm入力のアンプがないので試せませんが)
* Chord MOJO用
また今回試していませんが、このほかにMOJO用のアダプターもあります。価格は予価18,000円(税別)。
2020年09月18日
Oriolus Rebornの美音チューンモデル、Crassirostris
CrassirostrisはJabenとOriolusのコラボモデルのイヤフォンで、JABEN CHINAの企画商品です。
名前はフウキンチョウという鳥のことのようで、箱絵にも鳥の絵が描かれています。おそらくは美しい声で鳴く鳥ではないかと思います。
価格はオープンで、実売は税抜122,000円前後を予定しているとのこと。
Crassirostrisの構成はBA3+D1のハイブリッド構成で基本的にはOriolus Rebornと同じ系列で、BAの部分(ツィーター)が違う型番ということです。このイヤホンはモニター的ではなく、基本的に楽しく美音を聞いてもらうためにチューニングされたということです。Oriolus Rebornの派生モデルという感じですね。
シェルは3Dプリントで製作されています。感度は115dB/mW、インピーダンスは21オームで、周波数特性は10Hz-40kHzで箱にはハイレゾシールが貼ってあります。ケーブルの線材は銅,銀,銀メッキ銅線ということです。ケーブル端子は3.5mmです。シリコンイヤーピースとフォーム、ダプルフランジ(M)が付属しています。
シェルが透明でドライバー配置がよくわかります。ベント穴が直接シェル空間に空いています。ベント穴にはなにかフィルターが入っているように見えます。シェル内空間はダイナミックドライバーにとって、全てチャンバーとなるとのこと。またノズル部分が広く作られています。
プラグがごっついのでマニアックな製品と感じますね。ケーブルはなかなかに凝った標準ケーブルで、しなやかで取り回しは悪くないです。
大柄なシェルだけれども、わりと装着感はよく特にシリコンイヤーピースがよくできていて密着します。吸い付くような感触がありますね。かなり遮音性は良いと思います。能率は高めで鳴らしやすい方でしょう。
まず音がニュートラルで聴きやすいA&K AK380で試してみます。
音楽的にチューニングしたというだけあって、音はわかりやすく端的に言って低重心でベースの重みがあって、音の広がりがすごいサウンド、という感じです。
AK380とCrassirostris
中高域はシャープでギターをつま弾く音が鮮明に聞こえますね。低域はかなり誇張されて量感がたっぷりとあります。ハイブリッド構成らしく、音に重みもずっしりと感じられます。この辺からもモニター的に聞くのではなく音を楽しんで聞く方向性が伝わってきます。ただ低域は強いけれども、ヴォーカルはわりとはっきりと聞こえると思います。
周波数特性はかなり誇張されていますが、音調自体は暖かすぎるものではなくわりとニュートラルです。この辺はケーブル特性も関係していると思います。
もう一つCrassirostrisのポイントは音の広がりが良いことです。左右にもわりと広い方ですね。奥行き感もあります。低音がたっぷりとあって音もよく広がるのでオーケストラものでのスケール感もいいですね。
音の個性がA&K SP1000CPに合いそうなのでプレーヤーを変えてみたところ大当たりという感じです。この組み合わせは最高にいいですね。
AK380からSP1000CPになってより音性能が向上したことで、こちらの方がCrassirostrisの力を引き出すという意味合いもあります。Crassirostrisは解像力もあってただのfunタイプのイヤフォンではなく、ポテンシャルも高いようです。これは元になったOriolus Rebornの性能の賜物でしょう。
SP1000CPとCrassirostris
高域もSP1000CPで聴く方がより美しく感じられます。音場の良さとあいまって、エレクトロニカではベルの音やそれに近いような電子音が頭の中に響き渡り、豊かな低域と相まって美しい中高域が浮き上がったように聞こえます。音楽の作る世界に引き込まれるようです。
女性ボーカルのジャズでは囁くようなボーカルも細かく再現される側面もあります。例えば定番の"Spanish Harlem"だとバックのベースはやや大きめに聴こえますが、ヴォーカルは綺麗に声質もよく聞き取れます。アニソンだとやはりバックの演奏はやや大きく聞こえるけれどもやはり躍動的に楽しめます。こうしたヴォーカル主体のジャンルでは、ヴォーカルだけではなく演奏も楽しみたい人向けの再現のように感じられます。
特にパワーがあって、低域の再現力が高いので、一番向いているジャンルはロックだと思います。
パーカッションやドラムのパンチがあって、ダンダン・バンバンという音がパワフルで気持ち良いんですよね。畳み掛けるようなベースギターとドラムの絡みなんかは最高です。パワフルで躍動的な音の世界を楽しめます。なかなかここまでベースギターやバスドラの気持ち良さを再現できるイヤフォンもないのではと思います。ドラムやパーカッションの連打では気持ち良さを感じられる、かなり気持ちもハイになって上がっていくと思います。
例えばメタルとかだと、低いデス声のバックで聞こえる美しい女性ヴォーカルなんていう曲でもそれぞれが楽しめ、そこにドスッドンドンという破壊的なドラムが気持ちよく聴こえてきます。
Oriolus 1795で聴く相性もまた良いです。スマートフォンとBTで聴きたいならば、Oriolus 1795くらいの音の良さがないと面白くないと思います。
やはり音の広がりがよく、低音の迫力を堪能できます。音色もきれいに再現され、音も細かさもかなり高いと感じられます。おそらくこの組み合わせだとBluetoothを聴いているという感覚なく音楽に浸れます。Oriolus 1795はBTレシーバーにしては音のスピード感がある点もcrassirostrisを生かせるでしょう。
Oriolus 1795とCrassirostris
音楽を分析的ではなく、躍動感あふれる最前列で楽しみたい人向けのイヤフォンと言えるでしょう。またOriolus Rebornを元にした基本的な性能も高いのでパワーのある高性能なプレーヤーに向いています。
音楽を楽しみたい人、パワーのあるハイエンドプレーヤーを持っている人にオススメです。
名前はフウキンチョウという鳥のことのようで、箱絵にも鳥の絵が描かれています。おそらくは美しい声で鳴く鳥ではないかと思います。
価格はオープンで、実売は税抜122,000円前後を予定しているとのこと。
Crassirostrisの構成はBA3+D1のハイブリッド構成で基本的にはOriolus Rebornと同じ系列で、BAの部分(ツィーター)が違う型番ということです。このイヤホンはモニター的ではなく、基本的に楽しく美音を聞いてもらうためにチューニングされたということです。Oriolus Rebornの派生モデルという感じですね。
シェルは3Dプリントで製作されています。感度は115dB/mW、インピーダンスは21オームで、周波数特性は10Hz-40kHzで箱にはハイレゾシールが貼ってあります。ケーブルの線材は銅,銀,銀メッキ銅線ということです。ケーブル端子は3.5mmです。シリコンイヤーピースとフォーム、ダプルフランジ(M)が付属しています。
シェルが透明でドライバー配置がよくわかります。ベント穴が直接シェル空間に空いています。ベント穴にはなにかフィルターが入っているように見えます。シェル内空間はダイナミックドライバーにとって、全てチャンバーとなるとのこと。またノズル部分が広く作られています。
プラグがごっついのでマニアックな製品と感じますね。ケーブルはなかなかに凝った標準ケーブルで、しなやかで取り回しは悪くないです。
大柄なシェルだけれども、わりと装着感はよく特にシリコンイヤーピースがよくできていて密着します。吸い付くような感触がありますね。かなり遮音性は良いと思います。能率は高めで鳴らしやすい方でしょう。
まず音がニュートラルで聴きやすいA&K AK380で試してみます。
音楽的にチューニングしたというだけあって、音はわかりやすく端的に言って低重心でベースの重みがあって、音の広がりがすごいサウンド、という感じです。
AK380とCrassirostris
中高域はシャープでギターをつま弾く音が鮮明に聞こえますね。低域はかなり誇張されて量感がたっぷりとあります。ハイブリッド構成らしく、音に重みもずっしりと感じられます。この辺からもモニター的に聞くのではなく音を楽しんで聞く方向性が伝わってきます。ただ低域は強いけれども、ヴォーカルはわりとはっきりと聞こえると思います。
周波数特性はかなり誇張されていますが、音調自体は暖かすぎるものではなくわりとニュートラルです。この辺はケーブル特性も関係していると思います。
もう一つCrassirostrisのポイントは音の広がりが良いことです。左右にもわりと広い方ですね。奥行き感もあります。低音がたっぷりとあって音もよく広がるのでオーケストラものでのスケール感もいいですね。
音の個性がA&K SP1000CPに合いそうなのでプレーヤーを変えてみたところ大当たりという感じです。この組み合わせは最高にいいですね。
AK380からSP1000CPになってより音性能が向上したことで、こちらの方がCrassirostrisの力を引き出すという意味合いもあります。Crassirostrisは解像力もあってただのfunタイプのイヤフォンではなく、ポテンシャルも高いようです。これは元になったOriolus Rebornの性能の賜物でしょう。
SP1000CPとCrassirostris
高域もSP1000CPで聴く方がより美しく感じられます。音場の良さとあいまって、エレクトロニカではベルの音やそれに近いような電子音が頭の中に響き渡り、豊かな低域と相まって美しい中高域が浮き上がったように聞こえます。音楽の作る世界に引き込まれるようです。
女性ボーカルのジャズでは囁くようなボーカルも細かく再現される側面もあります。例えば定番の"Spanish Harlem"だとバックのベースはやや大きめに聴こえますが、ヴォーカルは綺麗に声質もよく聞き取れます。アニソンだとやはりバックの演奏はやや大きく聞こえるけれどもやはり躍動的に楽しめます。こうしたヴォーカル主体のジャンルでは、ヴォーカルだけではなく演奏も楽しみたい人向けの再現のように感じられます。
特にパワーがあって、低域の再現力が高いので、一番向いているジャンルはロックだと思います。
パーカッションやドラムのパンチがあって、ダンダン・バンバンという音がパワフルで気持ち良いんですよね。畳み掛けるようなベースギターとドラムの絡みなんかは最高です。パワフルで躍動的な音の世界を楽しめます。なかなかここまでベースギターやバスドラの気持ち良さを再現できるイヤフォンもないのではと思います。ドラムやパーカッションの連打では気持ち良さを感じられる、かなり気持ちもハイになって上がっていくと思います。
例えばメタルとかだと、低いデス声のバックで聞こえる美しい女性ヴォーカルなんていう曲でもそれぞれが楽しめ、そこにドスッドンドンという破壊的なドラムが気持ちよく聴こえてきます。
Oriolus 1795で聴く相性もまた良いです。スマートフォンとBTで聴きたいならば、Oriolus 1795くらいの音の良さがないと面白くないと思います。
やはり音の広がりがよく、低音の迫力を堪能できます。音色もきれいに再現され、音も細かさもかなり高いと感じられます。おそらくこの組み合わせだとBluetoothを聴いているという感覚なく音楽に浸れます。Oriolus 1795はBTレシーバーにしては音のスピード感がある点もcrassirostrisを生かせるでしょう。
Oriolus 1795とCrassirostris
音楽を分析的ではなく、躍動感あふれる最前列で楽しみたい人向けのイヤフォンと言えるでしょう。またOriolus Rebornを元にした基本的な性能も高いのでパワーのある高性能なプレーヤーに向いています。
音楽を楽しみたい人、パワーのあるハイエンドプレーヤーを持っている人にオススメです。
2020年09月06日
Oriolusのポータブルオーディオの新製品、BD20/BA20/SE02レビュー
Oriolusのポータブルオーディオの新製品が7月末に発売されました。国内ではサイラスから発売されています。
ポータブルヘッドフォンアンプのBA20、ポータブルDACのBD20、そして異色のポータブルイコライザーSE02です。これらはそれぞれシンプルな単機能の製品で、組み合わせて使用します。
例えばBD20はポータブルの単体DACでアンプ機能はないため、別にポータブルアンプが必要となります。BA20はそれに好適のポータブルアンプです。このBD20とBA20の組み合わせは王道のシステムですが、ユニークなのはポータブルイコライザーのSE02といえるでしょう。これはアナロググライコのポータブル版と言えるものでいままでにはなかったユニークな製品です。SE02をBD20とBA20の組み合わせに足すことで楽しみ方が広がります。これらは小さいながらフルバランス構成の本格的なものです。
* BD20の特徴
BD20はポータブルでバッテリー方式の単体DACです。外でも使うことができます。価格はオープンですが推奨価格は47,000円です。DAC ICはESSフラッグシップのES9038proなので価格にしては立派なものですね。内部はフルバランス設計で入出力もバランス対応(4.4mm)と本格的な構成といえます。
入力はもちろんデジタルのみで、USB-C(OTG)、SPDIFです。ケーブルを選ぶことでスマートフォンやPCなどをソースとして使用できます。SPDIFは3.5mm端子を使用します。デジタル信号は768kHz/32bit(DXD含む)まで対応、DSD512まで対応と本格的なものです。入力コントロールチップはXMOSを使用。またオペアンプを交換することができるということです。
出力はアナログのみのラインアウト出力で、端子はバランス4.4mm、アンバランス3.5mmとなります。
スイッチでUSB接続において電源を供給するかどうかの切り替えができます。PCであれば供給しても良いのですが、スマホなどではオフにするべきでしょう。
電池は4時間の充電で10時間の使用ができる。重さは175gと軽量です。付属品としてUSBケーブル(USB-CとUSB-C、USB-Cとライトニング、充電用)が3本と、他のアンプ等とスタックするための粘着シートが入っています。
* BA20の特徴
BA20はアナログ入力でバッテリー方式のポータブル・ヘッドフォン・アンプです。DACは内蔵していないのでデジタルソースの場合にはBD20などと組み合わせる必要があります。あるいは他のアナログ出力のソース機器と組み合わせても良いでしょう。価格はオープンですが推奨価格は32,000円です。こちらもフルバランス構成です。
BA20はオペアンプ交換が可能なので自分で音を変えることができるのが特長です。デモ機では試していませんが、製品版には交換用のオペアンプセットが入っている(NE5534bypas、47buffer、トランジスタ、ストレート)ということです。ストレートはバイパスのことです。例えばオペアンプだけで十分な出力ができるならばバッファは不要でバイパスすれば良いでしょう。
それぞれ内部フルバランスなのでシングル(片チャンネル)オペアンプでは4つ必要となります。
音量変更はアナログ式のボリュームコントロールでアルプス製です。8時まではギャングエラー(左右の不一致)が生じるかもしれないとわざわざ書いているのが正直というか、面白い点ですね。デジタルボリュームならばギャングエラーが出にくいわけですが、ここはギャングエラーが出たとしてもあえてアナログ式のボリュームポッドを採用して音にこだわった、と読み取ることもできます。
また3段階のゲインが切り替え可能で、出力は220mW(32オーム)です。出力インピーダンスは0.2オームと低いので低インピーダンスのイヤフォンでも音がよく引き締まるでしょう。
スイッチで電源を電池から取るか外部から取るかの切り替えができます。
電池は4時間の充電で15時間の使用ができます。重さは180gとBD20と組み合わせやすいでしょう。もちろんサイズはBD20とほぼ同一です。付属品としてラインケーブル(4.4mmから4.4mm)、充電用のUSBケーブルとスタックするための粘着シートが入っています。
* SE02の特徴
このラインナップでユニークなのが、ポータブルイコライザーのSE02です。特定の周波数だけ通すバンドパスフィルターを左右別に5種類搭載しています。それぞれ63Hz, 330Hz, 1kHz, 3.3kHz, 10kHz (+/-8dB)です。いわば低域、中低域、中音域、中高域、高域といえるでしょう。また楽器の担当帯域だけではなく、弄ることで音場感とかクリアさを感覚的に変えられるということもあります。
スマホなどデジタルでこうしたイコライザーをいじる人は多いでしょうけれども、ひと昔かふた昔前にはこうしたアナログのグライコがミニコンポやラジカセなどにも搭載されて、高級機というかオーディオらしさを主張していたのを思い出します。
BCLラジオとかフラッシャー付き自転車のように昭和の日本の懐かしメカとも言えます。それを中国のメーカーがポータブル用に復活したわけです。
スイッチでイコライザのオン・オフができるので、その効果を簡単に比べることができます。ただしこのイコライザーが電源を消費するアクティブ機器なので、全てゼロ設定にしてもオンオフで音が少し変化します。これは後述します。
電池は4時間の充電で15時間の使用ができる。重さは215gと他とほぼ同じですが、ずっしりとした重みです。付属品としてラインケーブル(4.4mmから4.4mm)、充電用のUSBケーブルとスタックするための粘着シートが入っています。
* BD20+BA20の組み合わせのインプレッション
まずBD20とBA20を付属の4.4mmケーブルで接続してフルバランス構成で聴いてみます。イヤフォンはまずCampfire Audio Solarisを4.4mmバランスリケーブル(OSLOケーブル)で使います。
はじめにPCに接続してUSBで接続して、Roonを使って聴いてみます。
音の階調表現が豊かで色彩感が豊かという印象です。ヴォーカル表現に長けていて声の様々な表現がよくわかります。中音域は特に厚みがあって豊かで良いですね。無機的ではなく有機的な音です。Roonでアップサンプリングするとさらに音質があがり、据え置きかという感じになります。
低音は迫力とインパクトがありパワフルで、高域はきつさが少なくスムーズで滑らかです。低音強調など音の誇張感は少なく忠実な再生だと思いますので、後でSE02で味付けするベースには好適です。
音はわりと耳に近くライブ会場の前で聞いているような迫力があります。バランスらしいパワーがあって音の力強さで躍動的な音楽再現が楽しめます。音場の広さは標準的だけれども、奥行き感は良く深みが感じられます。
DACの音色はESSのPro系DACらしくなくドライではないですね。バーブラウンとかシーラスロジックのような感じです。たぶんDAC ICだけではなくI/V変換やDACのアナログ回路が良いのでしょう。回路が丁寧に作られた感じで音に不快なきつさや歪みが少ないですね。値段以上の高級な音がする感じです。
OSLOケーブルだと少し暖かめに出るので、イヤフォンを変えてシャープでドライな印象のあるDita Dreamでも4.4mmリケーブル(VanDen Hul)で聞いてみました。こちらはゲインを+3にします。Dreamに変えるとBD20+BA20の組み合わせが音の切れ味がとてもよく、タイトで歯切れが良いのがよく分かります。ハイスピードのジャズではスピード感が気持ち良いですね。
イヤフォンによってサウンドが変えられるという点もこの組み合わせの音が高再現性でかつ素直だからでしょう。オススメはシャープ系のハイエンドIEMよりも、スムーズ系のハイエンドIEMで聴くとより良いかもしれません。
次に付属のケーブルでiPhoneとライトニング接続してみました。思っていたよりかなり音質が良いのでちょっと驚きます。たぶんこの付属ケーブルもかなり品質が良いのではないかと思います。iPhone側はフルボリュームにすることを推奨します。
iPhoneでもPCのように力強く、誇張感は少ないが有機的な音楽再生を楽しめます。ポータブルでもかなりレベルの高い音が楽しめるでしょう。
またAstell&KernのSE020とのUSB接続もしてみました。こちらはさらに良く、かなりレベルが高い音で音の明瞭感が高く歯切れも良いですね。かなり細かい音もよく聴こえます。もちろんiPhoneよりもだいぶ音は良く、下手するとPCよりいいかもしれません。
ポータブルではこうした高品質のDAPとの組み合わせでいい音が楽しめるでしょう。
今回デモ機のためオペアンプ交換は行わなかったけれども、さらに音を変えて楽しめると思います。
ボリュームノブがもう少しスムーズに動くといいかなとは思います。もっと高級機を扱っているような感じになると思う。
3.5mmでも聞いてみたんですが、いったん4.4.mmの音を聴くともとに戻れない感じがするので、やはりこの組み合わせは4.4mmで聴くことを推奨します。
* BD20+SE02+BA20の組み合わせのインプレッション
続いてポータブルイコライザーSE02を組み入れてみました。SE02を組み入れる位置としてはBD20とBA20の間が推奨されています。
一番の懸念はイコライザーを挟むことで音質が低下することだと思いますが、バイパスとEQが手軽に切り替えられるので試してみると音の低下というのはあまり感じられません。それよりもSE02をオンにするとかえって少しではありますが音質が良くなるようにも思います。これ自体がアクティブな機器なのでなにか電気的な処理があるのかもしれません。
イコライザーのノブを使ってみると音の変化は自然で滑らかです。スライダーの動きもスムーズで、中間(0dB)にはクリック感があるのでデフォルト状態に戻しやすいのも良いですね。デジタルだと大きくプラス方向に振ると音割れが起こったりするのであらかじめゲインを下げたりするけれど、SE02では特にそうしたことは起こりません。
一番簡単な使い方の例はいわゆるベースブーストで、63Hzと330Hzをあげると爆低音が楽しめます。ヴォーカルとか音場感は1kHzとか 3.3kHzあたりをかえてみてもよいでしょう。
自然だがきちんと効くところがピュアオーディオ向けイコライザーという感じです。BD20+BA20の組み合わせの音が素直ということもあるでしょう。
デジタルイコライザーだと効果が不自然だったり、音が劣化したりと結局あまり使うことはないのですが、これなら自分の好みに音を変える面白さが味わえます。ポータブルではかさばりますが、デスクトップで使ってみると面白いでしょう。
* SE02+Oriolus1795の組み合わせのインプレッション
Oriolus 1795は4.4mmバランス出力のできるBTレシーバーです。(link)
試しにこの組み合わせもやってみました。ケーブルは付属の4.4mmを使用しています。
面白いのはBD20とBA20の組み合わせで使うよりも、ただ繋げただけで音質がよくなるということです。バッファアンプみたいな働きがあるのでしょうかね。これは先の組み合わせよりもはっきりとわかるくらいの音質差があります。音がより広がり、音に厚みが出て音が豊かになり、より高級な音の感じになります。たぶんBA300Sもこうした感じなのでしょうね。
* まとめ
BD20とBA20は王道のシンプルな組み合わせですが、SE02を加えることでマニアックな楽しみ方ができます。オペアンプを変えられるのも趣味的に楽しいでしょう。音も有機的で素直なコスパの高いものです。
この新製品を使っていて、とても久しぶりに「コンポ」という言葉を思い出しました。そこにはオーディオ機器を組み合わせる楽しみ、音を弄り回す楽しみがあったと思います。
この新製品ではオペアンプ交換したり、イコライザーで自分流設定をしたり、ポータブルでもれっきとした昔ながらの「コンポ」という感じです。オーディオを楽しみたい人向きの製品群と言えるでしょう。またフルバランスという本格的な構成で、音も良くてそれに応えてくれると思います。
ミニチュアホビー感覚にしろ、オーディオコンポの楽しみにしろ、日本がもう昭和に忘れてしまったもの、捨ててしまったものをここから感じ取れます。たぶんそれを海の向こうから眺めていただろう中国のオーディオマニアがまたこの現代のポータブルオーディオ時代に合わせて復活してくれたのは感慨深いと思いました。
ポータブルヘッドフォンアンプのBA20、ポータブルDACのBD20、そして異色のポータブルイコライザーSE02です。これらはそれぞれシンプルな単機能の製品で、組み合わせて使用します。
例えばBD20はポータブルの単体DACでアンプ機能はないため、別にポータブルアンプが必要となります。BA20はそれに好適のポータブルアンプです。このBD20とBA20の組み合わせは王道のシステムですが、ユニークなのはポータブルイコライザーのSE02といえるでしょう。これはアナロググライコのポータブル版と言えるものでいままでにはなかったユニークな製品です。SE02をBD20とBA20の組み合わせに足すことで楽しみ方が広がります。これらは小さいながらフルバランス構成の本格的なものです。
* BD20の特徴
BD20はポータブルでバッテリー方式の単体DACです。外でも使うことができます。価格はオープンですが推奨価格は47,000円です。DAC ICはESSフラッグシップのES9038proなので価格にしては立派なものですね。内部はフルバランス設計で入出力もバランス対応(4.4mm)と本格的な構成といえます。
入力はもちろんデジタルのみで、USB-C(OTG)、SPDIFです。ケーブルを選ぶことでスマートフォンやPCなどをソースとして使用できます。SPDIFは3.5mm端子を使用します。デジタル信号は768kHz/32bit(DXD含む)まで対応、DSD512まで対応と本格的なものです。入力コントロールチップはXMOSを使用。またオペアンプを交換することができるということです。
出力はアナログのみのラインアウト出力で、端子はバランス4.4mm、アンバランス3.5mmとなります。
スイッチでUSB接続において電源を供給するかどうかの切り替えができます。PCであれば供給しても良いのですが、スマホなどではオフにするべきでしょう。
電池は4時間の充電で10時間の使用ができる。重さは175gと軽量です。付属品としてUSBケーブル(USB-CとUSB-C、USB-Cとライトニング、充電用)が3本と、他のアンプ等とスタックするための粘着シートが入っています。
* BA20の特徴
BA20はアナログ入力でバッテリー方式のポータブル・ヘッドフォン・アンプです。DACは内蔵していないのでデジタルソースの場合にはBD20などと組み合わせる必要があります。あるいは他のアナログ出力のソース機器と組み合わせても良いでしょう。価格はオープンですが推奨価格は32,000円です。こちらもフルバランス構成です。
BA20はオペアンプ交換が可能なので自分で音を変えることができるのが特長です。デモ機では試していませんが、製品版には交換用のオペアンプセットが入っている(NE5534bypas、47buffer、トランジスタ、ストレート)ということです。ストレートはバイパスのことです。例えばオペアンプだけで十分な出力ができるならばバッファは不要でバイパスすれば良いでしょう。
それぞれ内部フルバランスなのでシングル(片チャンネル)オペアンプでは4つ必要となります。
音量変更はアナログ式のボリュームコントロールでアルプス製です。8時まではギャングエラー(左右の不一致)が生じるかもしれないとわざわざ書いているのが正直というか、面白い点ですね。デジタルボリュームならばギャングエラーが出にくいわけですが、ここはギャングエラーが出たとしてもあえてアナログ式のボリュームポッドを採用して音にこだわった、と読み取ることもできます。
また3段階のゲインが切り替え可能で、出力は220mW(32オーム)です。出力インピーダンスは0.2オームと低いので低インピーダンスのイヤフォンでも音がよく引き締まるでしょう。
スイッチで電源を電池から取るか外部から取るかの切り替えができます。
電池は4時間の充電で15時間の使用ができます。重さは180gとBD20と組み合わせやすいでしょう。もちろんサイズはBD20とほぼ同一です。付属品としてラインケーブル(4.4mmから4.4mm)、充電用のUSBケーブルとスタックするための粘着シートが入っています。
* SE02の特徴
このラインナップでユニークなのが、ポータブルイコライザーのSE02です。特定の周波数だけ通すバンドパスフィルターを左右別に5種類搭載しています。それぞれ63Hz, 330Hz, 1kHz, 3.3kHz, 10kHz (+/-8dB)です。いわば低域、中低域、中音域、中高域、高域といえるでしょう。また楽器の担当帯域だけではなく、弄ることで音場感とかクリアさを感覚的に変えられるということもあります。
スマホなどデジタルでこうしたイコライザーをいじる人は多いでしょうけれども、ひと昔かふた昔前にはこうしたアナログのグライコがミニコンポやラジカセなどにも搭載されて、高級機というかオーディオらしさを主張していたのを思い出します。
BCLラジオとかフラッシャー付き自転車のように昭和の日本の懐かしメカとも言えます。それを中国のメーカーがポータブル用に復活したわけです。
スイッチでイコライザのオン・オフができるので、その効果を簡単に比べることができます。ただしこのイコライザーが電源を消費するアクティブ機器なので、全てゼロ設定にしてもオンオフで音が少し変化します。これは後述します。
電池は4時間の充電で15時間の使用ができる。重さは215gと他とほぼ同じですが、ずっしりとした重みです。付属品としてラインケーブル(4.4mmから4.4mm)、充電用のUSBケーブルとスタックするための粘着シートが入っています。
* BD20+BA20の組み合わせのインプレッション
まずBD20とBA20を付属の4.4mmケーブルで接続してフルバランス構成で聴いてみます。イヤフォンはまずCampfire Audio Solarisを4.4mmバランスリケーブル(OSLOケーブル)で使います。
はじめにPCに接続してUSBで接続して、Roonを使って聴いてみます。
音の階調表現が豊かで色彩感が豊かという印象です。ヴォーカル表現に長けていて声の様々な表現がよくわかります。中音域は特に厚みがあって豊かで良いですね。無機的ではなく有機的な音です。Roonでアップサンプリングするとさらに音質があがり、据え置きかという感じになります。
低音は迫力とインパクトがありパワフルで、高域はきつさが少なくスムーズで滑らかです。低音強調など音の誇張感は少なく忠実な再生だと思いますので、後でSE02で味付けするベースには好適です。
音はわりと耳に近くライブ会場の前で聞いているような迫力があります。バランスらしいパワーがあって音の力強さで躍動的な音楽再現が楽しめます。音場の広さは標準的だけれども、奥行き感は良く深みが感じられます。
DACの音色はESSのPro系DACらしくなくドライではないですね。バーブラウンとかシーラスロジックのような感じです。たぶんDAC ICだけではなくI/V変換やDACのアナログ回路が良いのでしょう。回路が丁寧に作られた感じで音に不快なきつさや歪みが少ないですね。値段以上の高級な音がする感じです。
OSLOケーブルだと少し暖かめに出るので、イヤフォンを変えてシャープでドライな印象のあるDita Dreamでも4.4mmリケーブル(VanDen Hul)で聞いてみました。こちらはゲインを+3にします。Dreamに変えるとBD20+BA20の組み合わせが音の切れ味がとてもよく、タイトで歯切れが良いのがよく分かります。ハイスピードのジャズではスピード感が気持ち良いですね。
イヤフォンによってサウンドが変えられるという点もこの組み合わせの音が高再現性でかつ素直だからでしょう。オススメはシャープ系のハイエンドIEMよりも、スムーズ系のハイエンドIEMで聴くとより良いかもしれません。
次に付属のケーブルでiPhoneとライトニング接続してみました。思っていたよりかなり音質が良いのでちょっと驚きます。たぶんこの付属ケーブルもかなり品質が良いのではないかと思います。iPhone側はフルボリュームにすることを推奨します。
iPhoneでもPCのように力強く、誇張感は少ないが有機的な音楽再生を楽しめます。ポータブルでもかなりレベルの高い音が楽しめるでしょう。
またAstell&KernのSE020とのUSB接続もしてみました。こちらはさらに良く、かなりレベルが高い音で音の明瞭感が高く歯切れも良いですね。かなり細かい音もよく聴こえます。もちろんiPhoneよりもだいぶ音は良く、下手するとPCよりいいかもしれません。
ポータブルではこうした高品質のDAPとの組み合わせでいい音が楽しめるでしょう。
今回デモ機のためオペアンプ交換は行わなかったけれども、さらに音を変えて楽しめると思います。
ボリュームノブがもう少しスムーズに動くといいかなとは思います。もっと高級機を扱っているような感じになると思う。
3.5mmでも聞いてみたんですが、いったん4.4.mmの音を聴くともとに戻れない感じがするので、やはりこの組み合わせは4.4mmで聴くことを推奨します。
* BD20+SE02+BA20の組み合わせのインプレッション
続いてポータブルイコライザーSE02を組み入れてみました。SE02を組み入れる位置としてはBD20とBA20の間が推奨されています。
一番の懸念はイコライザーを挟むことで音質が低下することだと思いますが、バイパスとEQが手軽に切り替えられるので試してみると音の低下というのはあまり感じられません。それよりもSE02をオンにするとかえって少しではありますが音質が良くなるようにも思います。これ自体がアクティブな機器なのでなにか電気的な処理があるのかもしれません。
イコライザーのノブを使ってみると音の変化は自然で滑らかです。スライダーの動きもスムーズで、中間(0dB)にはクリック感があるのでデフォルト状態に戻しやすいのも良いですね。デジタルだと大きくプラス方向に振ると音割れが起こったりするのであらかじめゲインを下げたりするけれど、SE02では特にそうしたことは起こりません。
一番簡単な使い方の例はいわゆるベースブーストで、63Hzと330Hzをあげると爆低音が楽しめます。ヴォーカルとか音場感は1kHzとか 3.3kHzあたりをかえてみてもよいでしょう。
自然だがきちんと効くところがピュアオーディオ向けイコライザーという感じです。BD20+BA20の組み合わせの音が素直ということもあるでしょう。
デジタルイコライザーだと効果が不自然だったり、音が劣化したりと結局あまり使うことはないのですが、これなら自分の好みに音を変える面白さが味わえます。ポータブルではかさばりますが、デスクトップで使ってみると面白いでしょう。
* SE02+Oriolus1795の組み合わせのインプレッション
Oriolus 1795は4.4mmバランス出力のできるBTレシーバーです。(link)
試しにこの組み合わせもやってみました。ケーブルは付属の4.4mmを使用しています。
面白いのはBD20とBA20の組み合わせで使うよりも、ただ繋げただけで音質がよくなるということです。バッファアンプみたいな働きがあるのでしょうかね。これは先の組み合わせよりもはっきりとわかるくらいの音質差があります。音がより広がり、音に厚みが出て音が豊かになり、より高級な音の感じになります。たぶんBA300Sもこうした感じなのでしょうね。
* まとめ
BD20とBA20は王道のシンプルな組み合わせですが、SE02を加えることでマニアックな楽しみ方ができます。オペアンプを変えられるのも趣味的に楽しいでしょう。音も有機的で素直なコスパの高いものです。
この新製品を使っていて、とても久しぶりに「コンポ」という言葉を思い出しました。そこにはオーディオ機器を組み合わせる楽しみ、音を弄り回す楽しみがあったと思います。
この新製品ではオペアンプ交換したり、イコライザーで自分流設定をしたり、ポータブルでもれっきとした昔ながらの「コンポ」という感じです。オーディオを楽しみたい人向きの製品群と言えるでしょう。またフルバランスという本格的な構成で、音も良くてそれに応えてくれると思います。
ミニチュアホビー感覚にしろ、オーディオコンポの楽しみにしろ、日本がもう昭和に忘れてしまったもの、捨ててしまったものをここから感じ取れます。たぶんそれを海の向こうから眺めていただろう中国のオーディオマニアがまたこの現代のポータブルオーディオ時代に合わせて復活してくれたのは感慨深いと思いました。
2020年08月25日
ASCII.jpにジェームズ・リー氏開発の新DAP、K100のレビューを書きました
ASCII.jpにジェームズ・リー氏開発の新DAP、K100をいち早く試聴することが出来たので早速レビューを書きました。
https://ascii.jp/elem/000/004/024/4024093/
Kontinum K100を試聴してみて感銘するのはその独特な音質の良さです。これは32bitモードというのがキーのようです。
電池を交換できるというのは単に寿命を伸ばすだけでなく、発熱を許容できるとか電力消費を気にしないということで間接的に音質を高められるということでもあるかもと思いました。
https://ascii.jp/elem/000/004/024/4024093/
Kontinum K100を試聴してみて感銘するのはその独特な音質の良さです。これは32bitモードというのがキーのようです。
電池を交換できるというのは単に寿命を伸ばすだけでなく、発熱を許容できるとか電力消費を気にしないということで間接的に音質を高められるということでもあるかもと思いました。
2020年08月17日
ASCII.jpにSE200とYoutube Musicの連携の記事を書きました
ASCII.jpにSE200ファームアップの記事を書きました。
特にV-link music(Youtube Music)を使ってCDリッピングした曲を(メモリーに移さずに)Youtube Music経由でSE200にストリーミングする方法も試していますので興味あればどうぞ。
https://ascii.jp/elem/000/004/023/4023208/
特にV-link music(Youtube Music)を使ってCDリッピングした曲を(メモリーに移さずに)Youtube Music経由でSE200にストリーミングする方法も試していますので興味あればどうぞ。
https://ascii.jp/elem/000/004/023/4023208/
2020年05月29日
Campfire Audioの新製品、Solaris 2020レビュー
HeadFiのCampfire Audio公式フォーラムで5月14日にCampfire Audioの新製品発表が行われました。
本稿ではSolaris 2020についてレビューします。Campfire AudioのフラッグシップであるSolarisの2020年度改良版です。Solarisは3基のBAドライバーと大口径ダイナミックドライバーのハイブリッド機です。
Campfire Audioの公式スレッド
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-new-iem-release.932244/
HeadFiTV動画URL
https://youtu.be/kaaxk4wrap8
*Solaris 2020の特徴
Solaris 2020の最大の特徴は音は良いけれども大柄だったSolarisが音はほぼそのままにコンパクトになったということです。
SolarisはAtlas譲りの大口径ダイナミックドライバーを搭載したハイブリッド機のため、大柄な筐体だったのですが2020モデルでは一回りスリムになっています。
左:Solaris 2020
これは今回のモデルで新規採用された一体成型の内部構造により、容積を効率よく詰めることができたためということです。いままで3Dプリントで形成されたいくつかのパーツだったものを一体にしたので効率良くコンバクトになり、ドライバーなどの取り付け精度も向上したということです。
Solaris2020内部構造(HeadFiTVより)
動画の中ではこの一体型構造(Single solid piece)の部分は"boot"とも呼ばれていることに注意すると面白いと思います。bootは英語ではトランクのように入れ物という意味もあります。
* オリジナルSolarisとの違い
オリジナルSolarisと最近のSolarisバリアントの違いは下記のようになると思います。
Solaris Special Edition: セラミックチャンバー3Dパーツ、サイズはオリジナルと同じ
Solaris 2020: 一体型内部構造、サイズはより小さくなった、新Smoky litzケーブル
Solaris 2020パッケージ
* インプレッション
もともとBA3基に大口径のダイナミックのハイブリッドなので大柄な筐体だったのですが、今回の一体構造のおかげでかなりコンパクトになったように思います。見た目も小さくなっていますが、耳に装着してもより座りがよくなっています。
音的にはオリジナルとかなり似ている感じで、ハイブリッドらしく低音の迫力たっぷりで、音の広がりも良く解像力も細やかな音です。ただし少し2020の方が整っていて、より立体感がある感じはします。この差は同じケーブルをつけてA/Bで比べるとわかるというくらいだと思います。新旧ケーブルの音質差はほぼないと思います。ただ色は2020には黒スモークがあってますね。
高音域はきれいでよく倍音が聞こえて豊かな感じで、TAECらしくきつさはほぼありません。きれいな音色の良い中高域表現ですね。高い方はオリジナルよりもより伸びているようにも感じられます。生楽器の弦を鳴らす際の歯切れ良さ、鮮明さにも驚かされます。情報量の多さもたっぷりとあります。
低音域はハイブリッドらしくパワフルでドスンとくる迫力が気持ち良いですね。ここはAtlas譲りの大口径ダイナミックドライバーならではだと思います。音傾向も躍動感があって、ハイテンポの曲が気持ち良く、音に迫力があります。やや誇張された低音のパワーで、ウットペースが気持ち良く聞こえます。それでも中音域は見通しが良くて、ヴォーカルはよく聞こえます。
Solarisの特徴だった音の三次元的な広がりももちろん健在で立体感が高いと感じられます。拍手の音なんかがかなり立体的に感じられますね。
ポテンシャルの高い音なので、高性能ケーブル(DitaのOSLOケーブルがオススメ)に変えるとさらによくなります。
* まとめ
Solarisの魅力はAtlas譲りの大口径ダイナミックによるハイブリッドらしい低音の魅力と、マルチドライバーらしくない音場のフォーカスのあった立体感です。
コンパクトになって使いやすく、音も旧製品との差は大きくないがより磨きがかけられているように思います。
本稿ではSolaris 2020についてレビューします。Campfire AudioのフラッグシップであるSolarisの2020年度改良版です。Solarisは3基のBAドライバーと大口径ダイナミックドライバーのハイブリッド機です。
Campfire Audioの公式スレッド
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-new-iem-release.932244/
HeadFiTV動画URL
https://youtu.be/kaaxk4wrap8
*Solaris 2020の特徴
Solaris 2020の最大の特徴は音は良いけれども大柄だったSolarisが音はほぼそのままにコンパクトになったということです。
SolarisはAtlas譲りの大口径ダイナミックドライバーを搭載したハイブリッド機のため、大柄な筐体だったのですが2020モデルでは一回りスリムになっています。
左:Solaris 2020
これは今回のモデルで新規採用された一体成型の内部構造により、容積を効率よく詰めることができたためということです。いままで3Dプリントで形成されたいくつかのパーツだったものを一体にしたので効率良くコンバクトになり、ドライバーなどの取り付け精度も向上したということです。
Solaris2020内部構造(HeadFiTVより)
動画の中ではこの一体型構造(Single solid piece)の部分は"boot"とも呼ばれていることに注意すると面白いと思います。bootは英語ではトランクのように入れ物という意味もあります。
* オリジナルSolarisとの違い
オリジナルSolarisと最近のSolarisバリアントの違いは下記のようになると思います。
Solaris Special Edition: セラミックチャンバー3Dパーツ、サイズはオリジナルと同じ
Solaris 2020: 一体型内部構造、サイズはより小さくなった、新Smoky litzケーブル
Solaris 2020パッケージ
* インプレッション
もともとBA3基に大口径のダイナミックのハイブリッドなので大柄な筐体だったのですが、今回の一体構造のおかげでかなりコンパクトになったように思います。見た目も小さくなっていますが、耳に装着してもより座りがよくなっています。
音的にはオリジナルとかなり似ている感じで、ハイブリッドらしく低音の迫力たっぷりで、音の広がりも良く解像力も細やかな音です。ただし少し2020の方が整っていて、より立体感がある感じはします。この差は同じケーブルをつけてA/Bで比べるとわかるというくらいだと思います。新旧ケーブルの音質差はほぼないと思います。ただ色は2020には黒スモークがあってますね。
高音域はきれいでよく倍音が聞こえて豊かな感じで、TAECらしくきつさはほぼありません。きれいな音色の良い中高域表現ですね。高い方はオリジナルよりもより伸びているようにも感じられます。生楽器の弦を鳴らす際の歯切れ良さ、鮮明さにも驚かされます。情報量の多さもたっぷりとあります。
低音域はハイブリッドらしくパワフルでドスンとくる迫力が気持ち良いですね。ここはAtlas譲りの大口径ダイナミックドライバーならではだと思います。音傾向も躍動感があって、ハイテンポの曲が気持ち良く、音に迫力があります。やや誇張された低音のパワーで、ウットペースが気持ち良く聞こえます。それでも中音域は見通しが良くて、ヴォーカルはよく聞こえます。
Solarisの特徴だった音の三次元的な広がりももちろん健在で立体感が高いと感じられます。拍手の音なんかがかなり立体的に感じられますね。
ポテンシャルの高い音なので、高性能ケーブル(DitaのOSLOケーブルがオススメ)に変えるとさらによくなります。
* まとめ
Solarisの魅力はAtlas譲りの大口径ダイナミックによるハイブリッドらしい低音の魅力と、マルチドライバーらしくない音場のフォーカスのあった立体感です。
コンパクトになって使いやすく、音も旧製品との差は大きくないがより磨きがかけられているように思います。
2020年05月28日
Campfire Audioの新製品、Araレビュー
HeadFiのCampfire Audio公式フォーラムで5月14日にCampfire Audioの新製品発表が行われました。同時にHeadFiのインタビューも行われてオンライン発表会という感じでした。発表されたのはAndromeda 2020,Solaris 2020,Araの3機種ですが、本稿ではAraについてレビューします。
Campfire Audioの公式スレッド
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-new-iem-release.932244/
HeadFiTV動画URL
https://youtu.be/kaaxk4wrap8
他のSolaris 2020とAndromeda 2020が従来機種の改良版であるのに対してAra(えいら、えーら、またはあーら)はまったくの新機種です。名はCampfire Audioらしく星座から取られています。Araは日本ではなじみのない南天の星座で祭壇座というようです。
* Araの特徴
筐体はチタン切削のシェルで、ドライバー構成は高音域に2基、中音域に1基、そして低音域に4基のBAドライバーを搭載しています。オールBAのマルチドライバー構成ですがクロスオーバーレス設計を採用しているのが特徴のひとつです。
新ラインナップではありますが、上の動画インタビュー中でケンさんはクロスオーバーレス設計は「Andromeda Gold」から継承していて、チューニングはオーディオファイル(フラットでニュートラル)志向であり、これは「Andromeda MW10」から継承したと語っています。クロスオーバーレス設計については私がケンさんに聞いたところ、ケンさんは自らの設計哲学である"Less is more"(日本語でいうとシンプルイズベスト)によるものだと語っています。これはCampfire Audio当初から語っていますが、配線が少なく接点が少ないほど音は良いという考え方です。音響抵抗レスのTAEC設計もそういう意味では"Less is more"と言えますね。
ケンさんは以前SolarisはAndromeda(中高域の良さ)とAtlas(低域の良さ)の良いところ取りだ、と語ってくれたことがありますが、そうした過去機種の良いところをミックスして新機種に昇華させてゆくというのがひとつのCampfire Audioの開発方針の一つかもしれません。
Araパッケージ イヤチップは従来通り
Araのもうひとつの特徴は低域ドライバーが4基もあるということです。しかし、これは低域での迫力増しを狙ったものではありません。
周波数特性はHeadFi TVでJudeが測定しているように、聴覚的にもフラットで、この点からAraはMW10の延長線上にあると言えます。実際に聞いてみてもそう思います。
ではなぜ4基の低域ドライバーを搭載しているのに、2基のAndromedaよりもむしろ低域が測定的に抑え気味なのかということについてKenさんに聞いてみると、低音域で同じ音圧を得るのにドライバー数を増やしたほうが低域の質が高くなるからということです。つまり同じ音圧を得るためにドライバーの数が多いほうがひとつのドライバーあたりの負荷は軽減するのでその分音質は良くなるということでしょう。
また低域のインピーダンスをAraではさらに調整して中域をより際立たせるためということです。つまり低域の質を上げながら中域を生かすため、というわけですね。このことは実際に聞いてみて低音域の質が他のオールBA機ともハイブリッドとも一味違うことに現れていると思います。
ケンさんがいうところによると周波数特性についてさらに言えば、Araは低域というよりもむしろ中高域を重視したモデルであり、これは日本のユーザーの好みに合うのではないかと言っていました。そういう意味ではAraはAndromedaの「リブート版」という側面もあると思います。
* インプレッション
筐体は7ドライバーの割にはコンパクトで、チタンシェルが鈍い光を放ち高級感があります。やはりチタンはイヤフォンのシェルとしてはいいですね。特にこの金属パネルとビスのスパルタンなデザインにはチタンがよく似合うと思います。多少大きめの筐体だけれども、フィットは悪くありません。
音は帯域バランスが良くフラット基調で、全帯域で楽器の音色が美しいのが印象的です。歪みがなく澄んだ音ですね。楽器音の明瞭感・鮮明さが高く、はきはきとした歯切れが良い音です。音色が美しいのでいつまでも聞いていたくなる感じです。従来機種に比べてもよりクリアで明瞭感が高い音です。ここはクロスオーバーレスが効いているのかもしれませんね。
たしかにヴォーカルは鮮明で、バックの楽器とのバランスがよく取れています。フラットな帯域表現だけれども、いわゆるモニター的ではなく無機質というよりかなり躍動感と有機的な感じがある。
中高域はTAECらしい歪み感が少なく整っていて上にきれいに伸びる中高音です。それと倍音表現にも優れて、古楽器の響きがふくよかで豊かに感じられます。感度はSolarisよりもすこしならしにくいくらいです。
そしてAraの音の特徴の一つは低域の再現力です。
低域はよく抑えられていて張り出し感は少ないんですが、低音の量感は不思議と結構あるように感じます。ジャズのウッドベースはピチカートのキレが良く、十分に存在感がありながらメインのボーカルを引き立てます。よく沈んで超低域もたっぷりあるように思う。
全体にキレが良く歯切れが良くタイトで贅肉が少ない低音で、テンポのよい曲で自然と体が動く感じ。ここがポイントなんですが、聞いているとなぜかダイナミックのように躍動感を感じます。だからオールBAでCIのようなでかいウーファーがないわりにはロックによく向いています。Araの音はまるでオールBAというよりもハイブリッドのような躍動感と低域のパンチを感じるのが不思議な魅力です。ですから音圧自体は抑え気味でも低域の存在感が十分に高く感じられます。
いちばんはじめにCampfireデビュー作のLyraを聞いたときにダイナミックだけどBAのように感じたと逆に、BAだけどダイナミックのように感じる。ただダイナミックのような荒く過剰な感じの低域はなくて、整って適度なのでBAだと気がつく感じ。ダイナミックというよりもやはりハイブリッドのような音です。
いわゆるSNが高い音というか、ピアノソロがわかりやすいと思います。ピアノの低域の打鍵の打撃感が良く、だんだんと後半に強く打鍵しながら盛り上げていくような曲は特に感動的です。
この考えを確かめたかったので実際にいくつかダイナミック機とハイブリッド機と比べてもみました。Araの低域はダイナミック機より歯切れが良くBAらしくタイトで、BAよりもダイナミックのように躍動感とパンチがあります。
これもSP1000などハイエンドソースで聞いたほうが良いと思いますが、なかなか魅力的な音を持った意欲作だと思います。
* まとめ
優等生的な試聴曲を聴いてると感じるのは、音に曇りが少なく鮮明さ明瞭感、音の美しさ、歯切れの良さですが、ロックなどいろんな曲で聴き進めていくとダイナミックのようにパンチがあって、あたかもハイブリッドのように聞こえる不思議な魅力を持ったイヤフォンです。帯域特性が整っているのも良いですね。
Campfire Audioとしては新たな試みの試金石でもあり、いままでの技術の集大成的な側面もある優れたイヤフォンだと思います。
Campfire Audioの公式スレッド
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-new-iem-release.932244/
HeadFiTV動画URL
https://youtu.be/kaaxk4wrap8
他のSolaris 2020とAndromeda 2020が従来機種の改良版であるのに対してAra(えいら、えーら、またはあーら)はまったくの新機種です。名はCampfire Audioらしく星座から取られています。Araは日本ではなじみのない南天の星座で祭壇座というようです。
* Araの特徴
筐体はチタン切削のシェルで、ドライバー構成は高音域に2基、中音域に1基、そして低音域に4基のBAドライバーを搭載しています。オールBAのマルチドライバー構成ですがクロスオーバーレス設計を採用しているのが特徴のひとつです。
新ラインナップではありますが、上の動画インタビュー中でケンさんはクロスオーバーレス設計は「Andromeda Gold」から継承していて、チューニングはオーディオファイル(フラットでニュートラル)志向であり、これは「Andromeda MW10」から継承したと語っています。クロスオーバーレス設計については私がケンさんに聞いたところ、ケンさんは自らの設計哲学である"Less is more"(日本語でいうとシンプルイズベスト)によるものだと語っています。これはCampfire Audio当初から語っていますが、配線が少なく接点が少ないほど音は良いという考え方です。音響抵抗レスのTAEC設計もそういう意味では"Less is more"と言えますね。
ケンさんは以前SolarisはAndromeda(中高域の良さ)とAtlas(低域の良さ)の良いところ取りだ、と語ってくれたことがありますが、そうした過去機種の良いところをミックスして新機種に昇華させてゆくというのがひとつのCampfire Audioの開発方針の一つかもしれません。
Araパッケージ イヤチップは従来通り
Araのもうひとつの特徴は低域ドライバーが4基もあるということです。しかし、これは低域での迫力増しを狙ったものではありません。
周波数特性はHeadFi TVでJudeが測定しているように、聴覚的にもフラットで、この点からAraはMW10の延長線上にあると言えます。実際に聞いてみてもそう思います。
ではなぜ4基の低域ドライバーを搭載しているのに、2基のAndromedaよりもむしろ低域が測定的に抑え気味なのかということについてKenさんに聞いてみると、低音域で同じ音圧を得るのにドライバー数を増やしたほうが低域の質が高くなるからということです。つまり同じ音圧を得るためにドライバーの数が多いほうがひとつのドライバーあたりの負荷は軽減するのでその分音質は良くなるということでしょう。
また低域のインピーダンスをAraではさらに調整して中域をより際立たせるためということです。つまり低域の質を上げながら中域を生かすため、というわけですね。このことは実際に聞いてみて低音域の質が他のオールBA機ともハイブリッドとも一味違うことに現れていると思います。
ケンさんがいうところによると周波数特性についてさらに言えば、Araは低域というよりもむしろ中高域を重視したモデルであり、これは日本のユーザーの好みに合うのではないかと言っていました。そういう意味ではAraはAndromedaの「リブート版」という側面もあると思います。
* インプレッション
筐体は7ドライバーの割にはコンパクトで、チタンシェルが鈍い光を放ち高級感があります。やはりチタンはイヤフォンのシェルとしてはいいですね。特にこの金属パネルとビスのスパルタンなデザインにはチタンがよく似合うと思います。多少大きめの筐体だけれども、フィットは悪くありません。
音は帯域バランスが良くフラット基調で、全帯域で楽器の音色が美しいのが印象的です。歪みがなく澄んだ音ですね。楽器音の明瞭感・鮮明さが高く、はきはきとした歯切れが良い音です。音色が美しいのでいつまでも聞いていたくなる感じです。従来機種に比べてもよりクリアで明瞭感が高い音です。ここはクロスオーバーレスが効いているのかもしれませんね。
たしかにヴォーカルは鮮明で、バックの楽器とのバランスがよく取れています。フラットな帯域表現だけれども、いわゆるモニター的ではなく無機質というよりかなり躍動感と有機的な感じがある。
中高域はTAECらしい歪み感が少なく整っていて上にきれいに伸びる中高音です。それと倍音表現にも優れて、古楽器の響きがふくよかで豊かに感じられます。感度はSolarisよりもすこしならしにくいくらいです。
そしてAraの音の特徴の一つは低域の再現力です。
低域はよく抑えられていて張り出し感は少ないんですが、低音の量感は不思議と結構あるように感じます。ジャズのウッドベースはピチカートのキレが良く、十分に存在感がありながらメインのボーカルを引き立てます。よく沈んで超低域もたっぷりあるように思う。
全体にキレが良く歯切れが良くタイトで贅肉が少ない低音で、テンポのよい曲で自然と体が動く感じ。ここがポイントなんですが、聞いているとなぜかダイナミックのように躍動感を感じます。だからオールBAでCIのようなでかいウーファーがないわりにはロックによく向いています。Araの音はまるでオールBAというよりもハイブリッドのような躍動感と低域のパンチを感じるのが不思議な魅力です。ですから音圧自体は抑え気味でも低域の存在感が十分に高く感じられます。
いちばんはじめにCampfireデビュー作のLyraを聞いたときにダイナミックだけどBAのように感じたと逆に、BAだけどダイナミックのように感じる。ただダイナミックのような荒く過剰な感じの低域はなくて、整って適度なのでBAだと気がつく感じ。ダイナミックというよりもやはりハイブリッドのような音です。
いわゆるSNが高い音というか、ピアノソロがわかりやすいと思います。ピアノの低域の打鍵の打撃感が良く、だんだんと後半に強く打鍵しながら盛り上げていくような曲は特に感動的です。
この考えを確かめたかったので実際にいくつかダイナミック機とハイブリッド機と比べてもみました。Araの低域はダイナミック機より歯切れが良くBAらしくタイトで、BAよりもダイナミックのように躍動感とパンチがあります。
これもSP1000などハイエンドソースで聞いたほうが良いと思いますが、なかなか魅力的な音を持った意欲作だと思います。
* まとめ
優等生的な試聴曲を聴いてると感じるのは、音に曇りが少なく鮮明さ明瞭感、音の美しさ、歯切れの良さですが、ロックなどいろんな曲で聴き進めていくとダイナミックのようにパンチがあって、あたかもハイブリッドのように聞こえる不思議な魅力を持ったイヤフォンです。帯域特性が整っているのも良いですね。
Campfire Audioとしては新たな試みの試金石でもあり、いままでの技術の集大成的な側面もある優れたイヤフォンだと思います。
2020年05月22日
最近のアップルのヘッドフォン情報まとめ
昨年の2月くらいにアップルがヘッドフォンを開発しているという噂が海外を賑わせたことがあります。これはアップル情報では有名なミンチー・クオ氏による情報でしたが、最近ではヘッドフォンはオーバーイヤー型で名前は「AirPods Studio」であるという情報も出ています。
最近また海外でこのヘッドフォンの情報が出始めているので、これらの情報をまとめて推測を交えながら少し新しい「アップルのヘッドフォン」を考えてみようと思います。あくまで噂に過ぎないので念のため。
Macの情報サイトである9to5macでは機能の詳細について述べられています。
https://9to5mac.com/2020/05/11/airpods-studio-features-exclusive/
それによるとこの「AirPods Studio」はイヤフォンのAirPods同様に耳から外すと一時停止する機能を持っているが、肩にかけているのか頭に乗っているのかの判断ができるということです。これによって、肩にかけているときは電源を切らずに再生のみ一時停止するような機能を持つよう。おそらくは肩でも頭でもないときは電源が切れる設計になっているように思います。
また左右をセンサーで探知して、間違えて左耳側を右にかけていても左右をスイッチできるともいいます。もしかすると左右対称型のデザインを採用していて、はじめから左右がないのかもしれません。
さらに9to5macではiOS14βのコードに隠されたヘッドフォンのグリフ形状から白と黒のモデルがあることを伝えてます。
またBloombergはこのヘッドフォンの外装のレポートをしています。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-04-16/apple-developing-high-end-headphones-with-interchangeable-parts
それによると外観はレトロな感じで金属製のヘッドバンドに楕円形のイヤカップの組み合わせで、ヘッドバンドはイヤカップの側面ではなく上部から伸びているようだと書いています。また外装の違いで二つのタイプが開発されているということです。革製のプレミアムバージョンとフィットネスに向いたより軽い素材でできている廉価版と言えますね。またイヤパッドとヘッドバンドのパッドは磁石でついているので交換が簡単というのもアップルらしい話ではあります。これはいまや他社でも珍しくはないんですが、よりカスタマイズに向いたモジュール設計になっているということです。
別な情報によると価格は$349であると伝えられています。海外ではソニーやBOSEの同様なヘッドフォンがやはり$350程度で販売されているのでこれも信憑性はありそうです。
この他にも名称は「AirPods X」であるというものもあり、どこまでが本当かはわかりません。しかし、たくさんのセンサーがついたスマートタイプで左右対称に利用できるのはモダンだが、レトロでシックな外形も備えているというヘッドフォンはなかなか興味深い製品で、新製品への期待を膨らませておくのも悪くないように思えますね。
最近また海外でこのヘッドフォンの情報が出始めているので、これらの情報をまとめて推測を交えながら少し新しい「アップルのヘッドフォン」を考えてみようと思います。あくまで噂に過ぎないので念のため。
Macの情報サイトである9to5macでは機能の詳細について述べられています。
https://9to5mac.com/2020/05/11/airpods-studio-features-exclusive/
それによるとこの「AirPods Studio」はイヤフォンのAirPods同様に耳から外すと一時停止する機能を持っているが、肩にかけているのか頭に乗っているのかの判断ができるということです。これによって、肩にかけているときは電源を切らずに再生のみ一時停止するような機能を持つよう。おそらくは肩でも頭でもないときは電源が切れる設計になっているように思います。
また左右をセンサーで探知して、間違えて左耳側を右にかけていても左右をスイッチできるともいいます。もしかすると左右対称型のデザインを採用していて、はじめから左右がないのかもしれません。
さらに9to5macではiOS14βのコードに隠されたヘッドフォンのグリフ形状から白と黒のモデルがあることを伝えてます。
またBloombergはこのヘッドフォンの外装のレポートをしています。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-04-16/apple-developing-high-end-headphones-with-interchangeable-parts
それによると外観はレトロな感じで金属製のヘッドバンドに楕円形のイヤカップの組み合わせで、ヘッドバンドはイヤカップの側面ではなく上部から伸びているようだと書いています。また外装の違いで二つのタイプが開発されているということです。革製のプレミアムバージョンとフィットネスに向いたより軽い素材でできている廉価版と言えますね。またイヤパッドとヘッドバンドのパッドは磁石でついているので交換が簡単というのもアップルらしい話ではあります。これはいまや他社でも珍しくはないんですが、よりカスタマイズに向いたモジュール設計になっているということです。
別な情報によると価格は$349であると伝えられています。海外ではソニーやBOSEの同様なヘッドフォンがやはり$350程度で販売されているのでこれも信憑性はありそうです。
この他にも名称は「AirPods X」であるというものもあり、どこまでが本当かはわかりません。しかし、たくさんのセンサーがついたスマートタイプで左右対称に利用できるのはモダンだが、レトロでシックな外形も備えているというヘッドフォンはなかなか興味深い製品で、新製品への期待を膨らませておくのも悪くないように思えますね。
2020年05月14日
Campfire Audioから新製品
Campfire Audioから新製品3機種発表されました。キープコンセプトの改良版Andromeda 2020、コンパクトになったSolaris 2020、そしてクロスオーバーレスでフラットな特性を持つ新しいモデル、チタンシェルで7BA(Hx2,Mx1,Lx4)のAra(えいら、えーら)です
デモ機も届いたのでまた詳細後ほど。HeadFiでは下記リンクで発表されています。
2020年04月11日
CHORD 2goのインプレと使いこなし
CHORD Hugo2をネットワーク対応させる外付モジュールのCHORD 2goがいよいよ日本でも発売されました。私は先行して少し使っていましたが、音質や使いやすさでHugo2が生まれ変わったかのように変わります。端的に言うとMojoに対するPolyと同じ役割をするモジュールですが、Polyの時に比べるとよりスムーズに導入できて、より一体化して使うことができます。
CHORD 2go本体とHugo2との合体
下記リンクは製品ページです。
https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2952.php
PolyはMojoのできた後で考えられたものですが、2goはHugo2の開発時点から考えられていたものなので、より相性良くHugo2と「合体」できます。ジョンフランクスがHugo2の発表の際に日本に来た時に、すでに2goの存在をちらっとほのめかしていましたね。
またPolyとはより進化した分で改良点もあります。以下それを解説していきます。
* CHORD 2goとはなにか
2goとは"to go"のことで、うちのタイトルもそうですが、外に持ち出すという意味です。海外旅行でマクドナルドやバーガーキングに行った方は"for here(ここで食べるか) or to go(持ち出すか)?"と店員さんから聞かれたことがあるでしょう。
2goのパッケージ
2goはHugo2の外付モジュールで、Hugo2にネットワーク機能と内蔵音源再生機能を加えます。つまり2goとHugo2を合体させることで単体のDAPのように使うことができるようになります。と言っても2goには液晶などの操作画面はありませんので操作はスマホから行います。
Hugo2に2goを組み合わせると、家のWiFiネットワークに接続することでDLNAやRoonなどとシステムを組むことが可能となり、MPDアプリを使うことで内臓のSDカードから再生することができるようになります。DLNAやMPDなどそれぞれのサービスはスマホの対応するアプリから操作するわけです。
使用方法は簡単で、Hugo2の電源オンで両方立ち上がり、電源オフで両方とも落ちます。はじめに設定アプリのGoFigureで設定作業をしてしまえば、あとはスマートフォンのアプリから操作するだけで良いので、毎回GoFigureを立ち上げる必要はありません。アプリから使う際のレスポンスは快適でもたつくことはありません。
Hugo2との間ではUSB端子を使用して情報のやりとりができます。2go自体はコンピューターのようなもので、ワイヤレスと有線ネットワークの双方と接続ができます。Polyではワイヤレスだけでしたが、2goでは有線LAN(標準的なRJ45端子)と接続できるのはよりホームユースを考えているからでしょう。またPolyの時もそうでしたが、コンピュータ自体の性能も優れてオーディオ向きの設計がなされたミニオーディオPCのような、高性能のコンピュータと言えます。(単体の重さは155g)
2goはHugo2が扱える限界であるPCM768kHz/32bit、DSD256まで扱うことが可能です。
2goはバッテリーで作動するため、Hugo2と組み合わせてポータブルとして外に持ち出すこともできますし、家で使うときもACノイズのないバッテリー電源駆動オーディオとして使うことができるでしょう。単体では12時間動作ができます。また2goを充電すると同時にHugo2も充電できるようです。(Polyと同じ)
CHORD 2goの外観
筐体側面には電源用のUSB MicroB端子と2基のMicroSDカードスロットがあります。Polyは一つだけでしたのでより大容量の音源を使うことができます(最大4TB)。この内蔵音源は2go内蔵のMPDソフトウエアを使用して再生するので、外部のMPD対応アプリ(MPDPlayerなど)で再生指示がてきます。GoFigureでもクイックプレイ機能でプレイリストがあればプレイリストを再生できます。
2goは内蔵音源に加えて、WiFiワイヤレスとイーサネットによる有線ネットワーク接続ができます。加えてBluetoothを使うことができます。
2goではDLNA(uPnP),Roon,AirPlay,Bluetoothオーディオの豊富なネットワークオーディオを使うことができます。またTIDAL,Qobuzのストリーミング機能を内蔵しています。
これらには普通はネットワークルーターが必要ですが、外で使うときの利便性のため、2goではPolyと同様にルーターなしで内蔵WiFi(hotspotモード)を使ってスマートフォンと接続することもできます。
GoFigureの画面、ホットスポットモードに入っている
Polyのとき同様なこうした豊富な音楽再生のサービスがありますが、Polyの時にはRoonとDLNAやAirPlayはいちいち切り替えて使う必要がありました。しかし2goでは自動モード(オートマチックプレイモードスイッチ機能)が設けられたため、こうした切り替えを気にせずにRoonとAirPlayを交互に使うことができます。またPolyではひとつのサービス(DLNAやAirPlay)が出力を抑えているときは他のサービスに自動で切り替わりませんでしたか、2goでは切り替えることが可能です。
またPolyの時と違うのははじめから設定アプリのGoFigureを前提としているため、こうした豊富な機能がありながらねスムーズに導入ができるということがあります。Polyの時には小さなノッチをつついてモード切り替えなどを行う必要がありましたが、こうした面倒さは2goではありません。
後述しますが、Hugo2と2goの「合体」にはHugo2側に2goに付属している突起を取り付けてしっかりと固定ができます。PolyとMojoの時にはここはいささか脆弱に感じられたため、ケースを加えてサポートする人も多かったんですが、2goとHugo2においては心配がありません。(いずれバンナイスさんから出ると思いますが)
またハード的にも2goは2枚のSDカードを使用することができ、WiFiネットワークに加えて有線LANを使うことでより手軽にホームネットワークに接続することができます。
2goは基本的にはMojoにおけるPoly同様な、Hugo2における外付ネットワークモジュールですが、こうした様々な点がPolyを経て改良されているのが2goのポイントです。
*2go本体と合体
2goの筐体はソリッドでがっしりとしているCHORD品質のCNC加工のアルミニウム筐体です。色は黒とシルバーの二色用意されて入るので手持ちのHugo2と合わせると良いでしょう。あえて違える手(いわゆるパンダ)もあるかもしれませんが。
専用設計のためにHugo2とはあつらえたように合体できます。これはさきに書いたように開発時点から考えられていたからですね。まずHugo2の端子側側面がフラットに開けられていましたし、そこになにかが付くような小穴が空いていることにHugo2ユーザーなら気がついていたでしょう。2goのパッケージにはHugo2側の穴に取り付けられる突起が二本付いています。これを指でねじ込みます。
その後で2goとは突起部とUSB端子を合わせて、するっと合体ができてしっかりとはまります。その後に付属の六角レンチで2goの側面にある固定ビスを締めて完成です。
MojoはPolyと合体させる時にやや脆弱だったので一体型のMojo/Polyケースをサポートに使っている人もいると思いますが、2goとHugo2はもともと一体のものだったように合体させることができます。
* 2go + Hugo2の音質と使い勝手
Hugo2はDAC内蔵アンプであるため単体では音源を再生できません。そこで2goの前はPCやDAPやスマートフォンをHugo2と接続していたと思いますが、2goを使えばケーブルなしでそれが可能となります。そして専用設計のハードでより良い音質で聞くことができるようになるでしょう。2goには操作画面はありませんので操作はスマホから行います。このスマートフォンとの親和性の良さが2goの特徴でもあります。
Chord 2go+Hugo2とAcoustune HS1670SS
できることはPoly同様にとても広いのですが、例を挙げると、たとえばわたしは朝にiPhoneを取り出してストリーミングサイトのBandcampの新作を確認します。たいていBTイヤフォンでやっていますが、2goならAirPlayでiPhoneのストリーミング音楽をHugo2に飛ばして良い音で聴くことができます。
それが終わると手持ちの曲をデジタルプレーヤーで聴いていますが、それは手持ち曲をMicroSDに入れて2goのMPD機能でiPhoneからケーブルレスで操作してHugo2で聴くことができます。Astell&KernのDAPを使っている人はexFATで使用しているならそのまま2goで使えると思います。
さらにはDLNA機能を生かしてAstell&Kernプレーヤーの中の曲をDLNAメディアサーバーに指定して、Hugo2/2goをDLNAレンダラーにして聴くことができます(同一ネットワーク内のAKプレーヤーのAK Connectをオンにします)。操作はiPhoneでできます。これはかなり高度なネットワークオーディオですが、嘘のように簡単です。
家に帰ればRoonを立ち上げて、自宅のWiFIまたは有線のルーターに2goを接続し、家のPCのRoonライブラリの音楽をHugo2で聴くことができます。Roonの高度なアップサンプリング機能を使ってHugo2の能力最大まで使用したり、Roonの最新の「AIおすすめ機能」を使って音楽を楽しめます。Hugo2は他の据え置きDACと比較しても遜色ない性能を持っています。
Polyではこうした利便性もさることながら、Mojoの音質をよりよく楽しむことができるのに驚きましたが、それは2goでも同様です。いままでスマホやDAPをHugo2と接続していた人はケーブルの選択にも悩んでいたと思いますが、その悩みもなくよりよい音で楽しめるでしょう。
透明感がより一層高く、引き締まった端正なCHORDのDACらしい音質を楽しむことができます。これはもちろん2goの専用設計が効いているんでしょう。
ちなみに前にワンボードのTinkerboardをHugo2のプレーヤーとして同様な運用を試みましたが、Tinkerboardをつけたよりもずっと音は良いです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/472823080.html
CHORD 2go+Hugo2とSimphonio VR1
音が消えていくときの細かさはまさにHugo2の能力を生かしている感じで、最高のハイエンドヘッドフォンとかイヤフオンで聞いてみたいと感じます。2goとHugo2を組み合わせるとヘッドフォンやイヤフォンの能力も引き出せるので、今度はあれ使いたいとか、もっと良いものがほしいと思うようになるでしょう。
またPolyの時に比べると、よりクリアになった他に立体感がより際立っているようにも感じます。なんかいままであまりDACで聞いたことないような場所から音が聞こえてくる感じですね。
もともとHugo2が優秀なのではありますが、それを120%引き出しているといえましょうか。特にTidalを聞いているとそう思います。
Hugo2の駆動力は高く、能率が低いので知られている平面型のHiFiman HE6でさえも軽々と鳴らすのには驚きます。HE6をならせるならば鳴らせないヘッドフォンはまずないでしょう。しかも音量が取れるというだけでなく、音が暗くならずにまるで低インピーダンスのヘッドフォンのように明るく鳴らすのにはちょっとすごいと思いますね。
* Polyを使う前に知っておいた方が良いこと(スマホはiPhoneです Androidは手持ちに使えるものがないので)
GoFigureはBluetoothを使用して2goと接続するので、スマホと2goの間には2つの接続(音楽再生用とGoFigureコントロール用)が現れます。
注意事項として使用する前にGoFigureをいったん削除してから再インストールしてください。必要なバージョンはiOSが2.02,Androidが1.2.80です。
合体させる時に2go側の側面固定ビスが内側に入り込みすぎていると突起が入らないので、確認してから入れた方が良いです。
上記右図のようにビスが飛び出さないようにしておく
(Roonを使用する時には別売りのRoonライセンスが必要ですが、2goには2ヶ月有効のクーポンが入っています)
MPD(SDカード音源)を使うときの個人的なおすすめアプリはMPDluxe,SoundirokかMPDPlayer(iOS)です。DLNAとTIDAL/Quobuz使用でおすすめアプリは8Player(iOS)です。
ボリュームはサービス機能に依存します。AirPlayならiPhoneボリュームもHugo2ボリュームも効きます。MPDではHugo2ボリュームのみです。
基本Hugo2の電源スイッチはなく2goをHugo2につなぐとオン。オフも連動してるが、2goはコンピュータなのでHugo2と違ってすぐに落ちないから少し長く点灯します。
アプリによってはipアドレスが必要ですが、ipアドレスが必要な時は、Polyの時のようにFingアプリを使っても良いですが、2goではGoFigureを開いてsettingsからgeneral settingsを見ると簡単にわかります。
* Hugo2と2goの使い方
2goではDLNAやらRoonやらいろいろ機能があるのでなにをどうするのか混乱するかもしれませんが、機能よりもやりたいことベースで考えたほうがよいと思います。例えば以下のような例です。
1. スマートフォンで聞いていたストリーミングやスマホ内蔵の音源をHugo2で聴きたい (ストリーミングは5も参照)
1-1 手軽に聴きたいなら → Bluetoothを使う
iPhoneならメニューのオーディオの"ヘッドフォン"から2goを選択
Bluetoothはヘッドフォン、AirpLayはスピーカーを選択する
1-2 良い音質で聴きたいなら → AirPlayを使う(iPhoneのみ)
WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の5項も参照)
iPhoneならメニューのオーディオの"スピーカーとテレビ"から2goを選択
2. Astell & Kernデジタルプレーヤーの内蔵音源をワイヤレスでHugo2で聴きたい
2-1 手軽に聴きたいなら → Bluetoothを使う
DAPの設定画面から2goを接続する
2-2 良い音質で聴きたいなら → DLNAを使う
WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の6項も参照)
A&Kプレーヤーの"AK Connect"モードをオンにする
8PlayerなどDLNAアプリを用意して、レンダラーを2goに指定、メディアサーバーをA&Kプレーヤーに設定
3. 手持ちのFLACやWAV音源を2goのSDカードスロットで使いたい
3-1 簡単に使いたいなら → GoFigureのクイックプレイを使う
WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の6項も参照)
すでに他のMPDアプリでプレイリストを作成する必要がある
GoFigureの画面からプレイリストを選択する
3-2 標準の使い方 → MPDアプリを使う(Soundirok,MPDPlayer,MPDluxeなど)
WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の6項も参照)
MPDアプリで2goのipアドレスなどを設定
MPDアプリから曲を選択
3-3 SDカードだけでなく外部音源(サーバー、AK DAP)も使いたい → DLNAを使う
2-2と同じ
メディアサーバーに2goを指定する
4. 家で使いたい
4-1 DLNAを使いたい
WiFi設定、あるいは有線LANを使う
メディアサーバーに家の音源サーバーを指定する
DLNAアプリまたは他のDLNAコントローラーで再生指示
4-2 Roonを使いたい アップサンプリング機能などを使える
WiFi設定、あるいは有線LANを使う
Roonで2goのネットワーク設定をする
Roonで再生指示(あるいはRoonクライアントを使う)
5. ストリーミングサービス(TIDALまたはQobuz)を2goで直接使いたい
WiFi設定、あるいは有線LANを使う
8PlayerなどDLNAアプリを用意して、レンダラーを2goに指定、メディアサーバーを2goからTIDAL/Qobuzに設定
DLNAアプリまたは他のDLNAコントローラーで再生指示
6. AirPlayなどWiFi使いこなしのヒント
AirPlayはWiFi環境下でないとつなげないので、外出時にはモバイルルーターを使わなければなりません。しかし2goには内蔵WiFiであるHotspotモードがあります。Hotspotモードに入れて、2go-xxxというネットワークにつなげば2go自身が持っているローカルWiFiにつなげます。
ところが、このままだとiPhoneがインターネット(セルラー回線)につながらなくなり、2goに音楽は流せますがネット作業がなにもできなくなります。(2goはインターネットとつながっていないので)
この時はWiFiとスマホのセルラー回線を同時に使う方法があります。
1.WiFiで2go-xxxxにつないだら、その右の(i)を押下してください。
2.ipアドレスとサブネットマスクをメモって下さい。(たぶん192.168.1.xxxと255.255.255.0です)
3.その画面の「IPを構成」を"手動"に変えてください。
4. さきのipアドレスとサブネットマスクを入力してください
5.画面を戻ります。これで右上に4Gと出ていたらインターネットがセルラーで使えています。音楽はいままでどおりに2go-xxでつながっています。
* まとめ
2goですごいのは家の据え置き機材でしか聞けないような素晴らしい音質が、いとも簡単にポータブルで使えるということです。
例えば家でiPhoneのストリーミングアプリ(Bandcampなど)でAirPlayでHugo2に飛ばして楽しんでいた時に、PCのRoonを立ち上げていたらお気に入りのアーティストの新作をTIDALで見つけて、すかさずRoonでの再生に切り替えてそれを楽しむことができます。しかもRoonならば384kHzにアップサンプリングしてそれをHugo2に送信することができます。自分の環境で使う分にはアプリの切り替えや操作感は迅速で、384kHzでアップサンプリングしてWiFiで2goに送ってもグリッチなど不具合は起きません。
そして前のアルバムではどうだったっけかと、SDカードに内蔵された音源をMPDアプリで聴くということがシームレスにできます。とても高度なネットワークオーディオを自在に使いこなす様は魔法のようにも思えます。
SFには有名なクラークの法則「進んだ科学は魔法と区別ができない」というのがありますが、まさにそれを想起させる製品がCHORD 2goです。
CHORD 2go本体とHugo2との合体
下記リンクは製品ページです。
https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2952.php
PolyはMojoのできた後で考えられたものですが、2goはHugo2の開発時点から考えられていたものなので、より相性良くHugo2と「合体」できます。ジョンフランクスがHugo2の発表の際に日本に来た時に、すでに2goの存在をちらっとほのめかしていましたね。
またPolyとはより進化した分で改良点もあります。以下それを解説していきます。
* CHORD 2goとはなにか
2goとは"to go"のことで、うちのタイトルもそうですが、外に持ち出すという意味です。海外旅行でマクドナルドやバーガーキングに行った方は"for here(ここで食べるか) or to go(持ち出すか)?"と店員さんから聞かれたことがあるでしょう。
2goのパッケージ
2goはHugo2の外付モジュールで、Hugo2にネットワーク機能と内蔵音源再生機能を加えます。つまり2goとHugo2を合体させることで単体のDAPのように使うことができるようになります。と言っても2goには液晶などの操作画面はありませんので操作はスマホから行います。
Hugo2に2goを組み合わせると、家のWiFiネットワークに接続することでDLNAやRoonなどとシステムを組むことが可能となり、MPDアプリを使うことで内臓のSDカードから再生することができるようになります。DLNAやMPDなどそれぞれのサービスはスマホの対応するアプリから操作するわけです。
使用方法は簡単で、Hugo2の電源オンで両方立ち上がり、電源オフで両方とも落ちます。はじめに設定アプリのGoFigureで設定作業をしてしまえば、あとはスマートフォンのアプリから操作するだけで良いので、毎回GoFigureを立ち上げる必要はありません。アプリから使う際のレスポンスは快適でもたつくことはありません。
Hugo2との間ではUSB端子を使用して情報のやりとりができます。2go自体はコンピューターのようなもので、ワイヤレスと有線ネットワークの双方と接続ができます。Polyではワイヤレスだけでしたが、2goでは有線LAN(標準的なRJ45端子)と接続できるのはよりホームユースを考えているからでしょう。またPolyの時もそうでしたが、コンピュータ自体の性能も優れてオーディオ向きの設計がなされたミニオーディオPCのような、高性能のコンピュータと言えます。(単体の重さは155g)
2goはHugo2が扱える限界であるPCM768kHz/32bit、DSD256まで扱うことが可能です。
2goはバッテリーで作動するため、Hugo2と組み合わせてポータブルとして外に持ち出すこともできますし、家で使うときもACノイズのないバッテリー電源駆動オーディオとして使うことができるでしょう。単体では12時間動作ができます。また2goを充電すると同時にHugo2も充電できるようです。(Polyと同じ)
CHORD 2goの外観
筐体側面には電源用のUSB MicroB端子と2基のMicroSDカードスロットがあります。Polyは一つだけでしたのでより大容量の音源を使うことができます(最大4TB)。この内蔵音源は2go内蔵のMPDソフトウエアを使用して再生するので、外部のMPD対応アプリ(MPDPlayerなど)で再生指示がてきます。GoFigureでもクイックプレイ機能でプレイリストがあればプレイリストを再生できます。
2goは内蔵音源に加えて、WiFiワイヤレスとイーサネットによる有線ネットワーク接続ができます。加えてBluetoothを使うことができます。
2goではDLNA(uPnP),Roon,AirPlay,Bluetoothオーディオの豊富なネットワークオーディオを使うことができます。またTIDAL,Qobuzのストリーミング機能を内蔵しています。
これらには普通はネットワークルーターが必要ですが、外で使うときの利便性のため、2goではPolyと同様にルーターなしで内蔵WiFi(hotspotモード)を使ってスマートフォンと接続することもできます。
GoFigureの画面、ホットスポットモードに入っている
Polyのとき同様なこうした豊富な音楽再生のサービスがありますが、Polyの時にはRoonとDLNAやAirPlayはいちいち切り替えて使う必要がありました。しかし2goでは自動モード(オートマチックプレイモードスイッチ機能)が設けられたため、こうした切り替えを気にせずにRoonとAirPlayを交互に使うことができます。またPolyではひとつのサービス(DLNAやAirPlay)が出力を抑えているときは他のサービスに自動で切り替わりませんでしたか、2goでは切り替えることが可能です。
またPolyの時と違うのははじめから設定アプリのGoFigureを前提としているため、こうした豊富な機能がありながらねスムーズに導入ができるということがあります。Polyの時には小さなノッチをつついてモード切り替えなどを行う必要がありましたが、こうした面倒さは2goではありません。
後述しますが、Hugo2と2goの「合体」にはHugo2側に2goに付属している突起を取り付けてしっかりと固定ができます。PolyとMojoの時にはここはいささか脆弱に感じられたため、ケースを加えてサポートする人も多かったんですが、2goとHugo2においては心配がありません。(いずれバンナイスさんから出ると思いますが)
またハード的にも2goは2枚のSDカードを使用することができ、WiFiネットワークに加えて有線LANを使うことでより手軽にホームネットワークに接続することができます。
2goは基本的にはMojoにおけるPoly同様な、Hugo2における外付ネットワークモジュールですが、こうした様々な点がPolyを経て改良されているのが2goのポイントです。
*2go本体と合体
2goの筐体はソリッドでがっしりとしているCHORD品質のCNC加工のアルミニウム筐体です。色は黒とシルバーの二色用意されて入るので手持ちのHugo2と合わせると良いでしょう。あえて違える手(いわゆるパンダ)もあるかもしれませんが。
専用設計のためにHugo2とはあつらえたように合体できます。これはさきに書いたように開発時点から考えられていたからですね。まずHugo2の端子側側面がフラットに開けられていましたし、そこになにかが付くような小穴が空いていることにHugo2ユーザーなら気がついていたでしょう。2goのパッケージにはHugo2側の穴に取り付けられる突起が二本付いています。これを指でねじ込みます。
その後で2goとは突起部とUSB端子を合わせて、するっと合体ができてしっかりとはまります。その後に付属の六角レンチで2goの側面にある固定ビスを締めて完成です。
MojoはPolyと合体させる時にやや脆弱だったので一体型のMojo/Polyケースをサポートに使っている人もいると思いますが、2goとHugo2はもともと一体のものだったように合体させることができます。
* 2go + Hugo2の音質と使い勝手
Hugo2はDAC内蔵アンプであるため単体では音源を再生できません。そこで2goの前はPCやDAPやスマートフォンをHugo2と接続していたと思いますが、2goを使えばケーブルなしでそれが可能となります。そして専用設計のハードでより良い音質で聞くことができるようになるでしょう。2goには操作画面はありませんので操作はスマホから行います。このスマートフォンとの親和性の良さが2goの特徴でもあります。
Chord 2go+Hugo2とAcoustune HS1670SS
できることはPoly同様にとても広いのですが、例を挙げると、たとえばわたしは朝にiPhoneを取り出してストリーミングサイトのBandcampの新作を確認します。たいていBTイヤフォンでやっていますが、2goならAirPlayでiPhoneのストリーミング音楽をHugo2に飛ばして良い音で聴くことができます。
それが終わると手持ちの曲をデジタルプレーヤーで聴いていますが、それは手持ち曲をMicroSDに入れて2goのMPD機能でiPhoneからケーブルレスで操作してHugo2で聴くことができます。Astell&KernのDAPを使っている人はexFATで使用しているならそのまま2goで使えると思います。
さらにはDLNA機能を生かしてAstell&Kernプレーヤーの中の曲をDLNAメディアサーバーに指定して、Hugo2/2goをDLNAレンダラーにして聴くことができます(同一ネットワーク内のAKプレーヤーのAK Connectをオンにします)。操作はiPhoneでできます。これはかなり高度なネットワークオーディオですが、嘘のように簡単です。
家に帰ればRoonを立ち上げて、自宅のWiFIまたは有線のルーターに2goを接続し、家のPCのRoonライブラリの音楽をHugo2で聴くことができます。Roonの高度なアップサンプリング機能を使ってHugo2の能力最大まで使用したり、Roonの最新の「AIおすすめ機能」を使って音楽を楽しめます。Hugo2は他の据え置きDACと比較しても遜色ない性能を持っています。
Polyではこうした利便性もさることながら、Mojoの音質をよりよく楽しむことができるのに驚きましたが、それは2goでも同様です。いままでスマホやDAPをHugo2と接続していた人はケーブルの選択にも悩んでいたと思いますが、その悩みもなくよりよい音で楽しめるでしょう。
透明感がより一層高く、引き締まった端正なCHORDのDACらしい音質を楽しむことができます。これはもちろん2goの専用設計が効いているんでしょう。
ちなみに前にワンボードのTinkerboardをHugo2のプレーヤーとして同様な運用を試みましたが、Tinkerboardをつけたよりもずっと音は良いです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/472823080.html
CHORD 2go+Hugo2とSimphonio VR1
音が消えていくときの細かさはまさにHugo2の能力を生かしている感じで、最高のハイエンドヘッドフォンとかイヤフオンで聞いてみたいと感じます。2goとHugo2を組み合わせるとヘッドフォンやイヤフォンの能力も引き出せるので、今度はあれ使いたいとか、もっと良いものがほしいと思うようになるでしょう。
またPolyの時に比べると、よりクリアになった他に立体感がより際立っているようにも感じます。なんかいままであまりDACで聞いたことないような場所から音が聞こえてくる感じですね。
もともとHugo2が優秀なのではありますが、それを120%引き出しているといえましょうか。特にTidalを聞いているとそう思います。
Hugo2の駆動力は高く、能率が低いので知られている平面型のHiFiman HE6でさえも軽々と鳴らすのには驚きます。HE6をならせるならば鳴らせないヘッドフォンはまずないでしょう。しかも音量が取れるというだけでなく、音が暗くならずにまるで低インピーダンスのヘッドフォンのように明るく鳴らすのにはちょっとすごいと思いますね。
* Polyを使う前に知っておいた方が良いこと(スマホはiPhoneです Androidは手持ちに使えるものがないので)
GoFigureはBluetoothを使用して2goと接続するので、スマホと2goの間には2つの接続(音楽再生用とGoFigureコントロール用)が現れます。
注意事項として使用する前にGoFigureをいったん削除してから再インストールしてください。必要なバージョンはiOSが2.02,Androidが1.2.80です。
合体させる時に2go側の側面固定ビスが内側に入り込みすぎていると突起が入らないので、確認してから入れた方が良いです。
上記右図のようにビスが飛び出さないようにしておく
(Roonを使用する時には別売りのRoonライセンスが必要ですが、2goには2ヶ月有効のクーポンが入っています)
MPD(SDカード音源)を使うときの個人的なおすすめアプリはMPDluxe,SoundirokかMPDPlayer(iOS)です。DLNAとTIDAL/Quobuz使用でおすすめアプリは8Player(iOS)です。
ボリュームはサービス機能に依存します。AirPlayならiPhoneボリュームもHugo2ボリュームも効きます。MPDではHugo2ボリュームのみです。
基本Hugo2の電源スイッチはなく2goをHugo2につなぐとオン。オフも連動してるが、2goはコンピュータなのでHugo2と違ってすぐに落ちないから少し長く点灯します。
アプリによってはipアドレスが必要ですが、ipアドレスが必要な時は、Polyの時のようにFingアプリを使っても良いですが、2goではGoFigureを開いてsettingsからgeneral settingsを見ると簡単にわかります。
* Hugo2と2goの使い方
2goではDLNAやらRoonやらいろいろ機能があるのでなにをどうするのか混乱するかもしれませんが、機能よりもやりたいことベースで考えたほうがよいと思います。例えば以下のような例です。
1. スマートフォンで聞いていたストリーミングやスマホ内蔵の音源をHugo2で聴きたい (ストリーミングは5も参照)
1-1 手軽に聴きたいなら → Bluetoothを使う
iPhoneならメニューのオーディオの"ヘッドフォン"から2goを選択
Bluetoothはヘッドフォン、AirpLayはスピーカーを選択する
1-2 良い音質で聴きたいなら → AirPlayを使う(iPhoneのみ)
WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の5項も参照)
iPhoneならメニューのオーディオの"スピーカーとテレビ"から2goを選択
2. Astell & Kernデジタルプレーヤーの内蔵音源をワイヤレスでHugo2で聴きたい
2-1 手軽に聴きたいなら → Bluetoothを使う
DAPの設定画面から2goを接続する
2-2 良い音質で聴きたいなら → DLNAを使う
WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の6項も参照)
A&Kプレーヤーの"AK Connect"モードをオンにする
8PlayerなどDLNAアプリを用意して、レンダラーを2goに指定、メディアサーバーをA&Kプレーヤーに設定
3. 手持ちのFLACやWAV音源を2goのSDカードスロットで使いたい
3-1 簡単に使いたいなら → GoFigureのクイックプレイを使う
WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の6項も参照)
すでに他のMPDアプリでプレイリストを作成する必要がある
GoFigureの画面からプレイリストを選択する
3-2 標準の使い方 → MPDアプリを使う(Soundirok,MPDPlayer,MPDluxeなど)
WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の6項も参照)
MPDアプリで2goのipアドレスなどを設定
MPDアプリから曲を選択
3-3 SDカードだけでなく外部音源(サーバー、AK DAP)も使いたい → DLNAを使う
2-2と同じ
メディアサーバーに2goを指定する
4. 家で使いたい
4-1 DLNAを使いたい
WiFi設定、あるいは有線LANを使う
メディアサーバーに家の音源サーバーを指定する
DLNAアプリまたは他のDLNAコントローラーで再生指示
4-2 Roonを使いたい アップサンプリング機能などを使える
WiFi設定、あるいは有線LANを使う
Roonで2goのネットワーク設定をする
Roonで再生指示(あるいはRoonクライアントを使う)
5. ストリーミングサービス(TIDALまたはQobuz)を2goで直接使いたい
WiFi設定、あるいは有線LANを使う
8PlayerなどDLNAアプリを用意して、レンダラーを2goに指定、メディアサーバーを2goからTIDAL/Qobuzに設定
DLNAアプリまたは他のDLNAコントローラーで再生指示
6. AirPlayなどWiFi使いこなしのヒント
AirPlayはWiFi環境下でないとつなげないので、外出時にはモバイルルーターを使わなければなりません。しかし2goには内蔵WiFiであるHotspotモードがあります。Hotspotモードに入れて、2go-xxxというネットワークにつなげば2go自身が持っているローカルWiFiにつなげます。
ところが、このままだとiPhoneがインターネット(セルラー回線)につながらなくなり、2goに音楽は流せますがネット作業がなにもできなくなります。(2goはインターネットとつながっていないので)
この時はWiFiとスマホのセルラー回線を同時に使う方法があります。
1.WiFiで2go-xxxxにつないだら、その右の(i)を押下してください。
2.ipアドレスとサブネットマスクをメモって下さい。(たぶん192.168.1.xxxと255.255.255.0です)
3.その画面の「IPを構成」を"手動"に変えてください。
4. さきのipアドレスとサブネットマスクを入力してください
5.画面を戻ります。これで右上に4Gと出ていたらインターネットがセルラーで使えています。音楽はいままでどおりに2go-xxでつながっています。
* まとめ
2goですごいのは家の据え置き機材でしか聞けないような素晴らしい音質が、いとも簡単にポータブルで使えるということです。
例えば家でiPhoneのストリーミングアプリ(Bandcampなど)でAirPlayでHugo2に飛ばして楽しんでいた時に、PCのRoonを立ち上げていたらお気に入りのアーティストの新作をTIDALで見つけて、すかさずRoonでの再生に切り替えてそれを楽しむことができます。しかもRoonならば384kHzにアップサンプリングしてそれをHugo2に送信することができます。自分の環境で使う分にはアプリの切り替えや操作感は迅速で、384kHzでアップサンプリングしてWiFiで2goに送ってもグリッチなど不具合は起きません。
そして前のアルバムではどうだったっけかと、SDカードに内蔵された音源をMPDアプリで聴くということがシームレスにできます。とても高度なネットワークオーディオを自在に使いこなす様は魔法のようにも思えます。
SFには有名なクラークの法則「進んだ科学は魔法と区別ができない」というのがありますが、まさにそれを想起させる製品がCHORD 2goです。
2020年03月25日
Chord 2go国内発売!
Chord Hugo2のネットワークモジュールの2goがいよいよ国内でも発売されます! アユートさんから3月28日に直販価格税込149,980円で発売されます。色はブラックとシルバーです。2goはすでにCanJamレポートなどでお伝えしたようにMojoに対するPolyのような存在ですが、いくつか進化もあります。
私はデモ機を試用しているのですが、簡単にコメントを。やはり一体型で専用設計なので扱いやすく、Hugo2がより自由になった感じです。音質も鮮烈でとくにTidalをストリーミングで使う音が良いのが快感です。まさにHugo2の力が開放された感じです。
プレイモードにオートができて、Mpjo/PolyではRoonとDLNS/AirPlayはリブートが必要でしたが、交互に再生が可能となっています。
Hugo2側に突起部を取り付けてしっかりと2goと合体できるようになっています。
ちなみにすでにGoFigureを使っている人はいったん今のを削除してから最新版(2.02)を再インストールすることは確認したほうが良いです。
また続報します。
私はデモ機を試用しているのですが、簡単にコメントを。やはり一体型で専用設計なので扱いやすく、Hugo2がより自由になった感じです。音質も鮮烈でとくにTidalをストリーミングで使う音が良いのが快感です。まさにHugo2の力が開放された感じです。
プレイモードにオートができて、Mpjo/PolyではRoonとDLNS/AirPlayはリブートが必要でしたが、交互に再生が可能となっています。
Hugo2側に突起部を取り付けてしっかりと2goと合体できるようになっています。
ちなみにすでにGoFigureを使っている人はいったん今のを削除してから最新版(2.02)を再インストールすることは確認したほうが良いです。
また続報します。
2020年02月22日
Jaben Japanから新ブランドのイヤフオンと高級交換ケーブル登場
Jaben Japanからポタ研で展示していたイヤフォンと、リケーブル用の高級交換ケーブルの新ブランドが発売されています。
オンラインショップはこちらです。
https://jabenjapan.thebase.in/
Jaben Japanでは2/22から3/2までの期間に全品10%オフというクーポンをJaben Japanのtwitter(@JabenJapan)とfacebook(Jaben Japan)のアカウントで配布していますので興味ある方はどうぞ。
○ 1 Custom Universal
イヤフオンの新ブランドは1 customという名前ですがカスタムではなくユニバーサルイヤフォンです。customというのはスイッチによって音色が変えられるというところからきているようです。BAマルチドライバーのMR,SRとハイブリッドのJRの3モデルが販売されています。
スイッチはデフォルト、Vocal, Detailed, Bassの4種類が可能で、これは各機種に共通の特徴です。スイッチを切り替えるための小さなピンが付属しています。
以下は機種ごとのインプレッションです。試聴はAK380を使用しています。
* MR(4Hi, 2Mid/low, 1Low) 27Ω 68,000円 (発売記念特価 58,000円 税込)
マルチドライバーなので大柄なシェルだけれども、軽くて耳にぴったりとフィットして装着感はよいと思います。おそらくシェルの形が良いと思いますね。まずデフォルトで聴いてみます。
音数が多い感じで情報量が豊富という印象です。透明感もわりと高く、高域は響きが美しいけれども、あまりきつくなりすぎないよい特性だと思います。低域は多くなりすぎずに程よくいい感じ。周波数特性のバランスはわりと優等生的です。
ヴォーカルは少し前に出る感じで、明瞭感も高く聴きやすいと思います。あまり低域が中域をマスクしている感も少ないと思います。
全体に厚みがあって、音楽を聴く魅力があります。この価格でのマルチドライバー機としてはなかなか良いと思います。
次にVocalモードにしてみます。添付のピンで1番を左右ともONにすることでVocalモードになります。ちょっと細かいのでやりにくい点はありますね。変えるとVocalというよりも全体が前に出る感じではあり、全体にやや甘めな感じになります。次にDetailedにするVocalよりはやや引いた音になって聴きやすくなる感じですね。Bassにすると低域が盛り上がるというよりはヴォーカルが少し引いた感じになると思います。
試聴ではデフォルトのバランスが良いのであまりスイッチで変える必要性はないように思うけれども、いろいろと自分の音楽で聴いてみてモードを使い分けるとよいのかもしれません。テイストが少しずつ異なるような感じだと思います。これはもうちょっと激変したほうが面白いのではなかったかと思います。
* SR(2HI,1Mid,1Low) 14.8Ω 42,000円 (発売記念特価 38,000円 税込)
装着感としてはMRよりも小さい分で耳へのおさまりはよいという感じです。
音は高域が少し強めでややきつい感じはあります。実のところ高域ドライバー数の多いMRの方が質が良くなめらかな高域表現であると思います。
低域はMR同様にわりと穏やかであまり強くはないですね。SRでもBASSモードを試してみたけれども、あまり激変する感じではなくやや低域が盛り上がる感じです。こちらもMR同様に基本のデフォルトモードのバランスがよいので、スイッチでもっと味付けしてもよかったと思います。
* JR(ハイブリッド、1Hi,1Mid,1DD) 8.6-9.5Ω 26,000円 (発売記念特価 18,000円 税込)
JRのみダイナミックドライバーとのハイブリッドでベント穴があります。
高域はあまりきつくなく聴きやすい感じです。伸びも悪くないのですが、MRと比べると情報量には欠ける感じがします。
低域はハイブリッドらしくたっぷりとしていてSR/MRよりもだいぶ低域が多いように感じられます。躍動感があって、音楽を楽しく聴くことができます。低価格でハイブリッドらしい楽しさを感じられる良い機種だと思います。
スイッチの切り替えもこのモデルが一番違いが分かるような気はします。
3機種ではMRとJRが価格にしては音が良い感じがするので、この二機種のどちらかがお勧めです。
○ Creator Cable (香港)
こちらは高級な交換ケーブルのブランドです。2010年よりハンドメイドにより交換ケーブルのOEM展開をしていたブランドで、2018年にそのノウハウを生かした自社ブランドの「CREATOR」を立ち上げたということです。
特徴としては音色に分けたケーブルの展開をしていることで、リファレンス的な位置づけのSilver4、ボーカル表現に重きを置いたVocal cable、音楽のたたずまいの再現と高品位な高域に重点を置いたというMusical cableの3種類があり、それぞれに2pin、MMCX、Fitearの3タイプが用意されています。アンプ側は4.4mmバランスです。
FitEar (335univ)
MMCX (HS1675SSS)
2pin (Maverick3 CIEM)
またアダプターも多種類用意されています。
音は代表してMMCXタイプをAcoustune HS1670SSで聴いてみました。されざれ自分でのエージングはしていない状態です。共通して高級ケーブルらしく重く硬いケーブルで、耳にかけるところの癖が付けられていないので耳にかける使い方はやややりにくいところはあります。タッチノイズはかなり少ないと思います。
* Silver4 (特殊処理、最高級高純度、純銀線) \ 235,000税込
リファレンスというだけあって、音のバランスが良いと思います。たしかに純銀らしい上質感があると思います。
ちょい聞きには低域が多いようにも感じますが、高域もよく伸びていて、とてもワイドレンジに感じられます。音の広がりも3本の中で一番広いですね。透明感が高く解像力が高いが、軽いとかきついという感が少ない感じです。
音に厚みと重みがあってよくある「銀線です」というようなシャープさのみを主張するケーブルではないと思います。上質な銅線にも思えるくらいです。それでいて低域のインパクトに切れあじがあって音の歯切れが良いところは銀線らしいですね。低域の深みと重さもよい感じです。
ヴォーカルもよく聞き取れるので、全体的に明瞭感が高い上質なケーブルだと思う。これはかなりレベルが高いケーブルです。
* Vocal (特殊処理、銀メッキ高級OFC) \ 118,800税込
Silver4と比較すると高域と低域のワイドレンジ感が少なくなり、やや小さくまとまった音になりますが、低域のインパクト感も高域も悪くはありません。
特徴はやはりヴォーカルがとにかく明瞭感が高いとともにとても前に出てくる感じです。相対的にヴォーカルに注意が行くような音です。Silver4のヴォーカルも明瞭感は高いが、少し奥にいて客観的な感じがします。
* Musical (特殊処理、銀メッキ高級OFC) \ 173,000税込
特殊処理銀メッキ特殊OFCという点でヴォーカルと同じですが、こちらは各パートにバランスが取れていると思います。全体的に厚みや程よい暖かみがあって、いわば銅線的な鳴りのケーブルです。きつさも少ないので音楽を長い時間楽しく聴くことができると思います。Silver4よりも再現力ではやや劣るけれども、わりとオールマイティに使えると思います。
3機種では再現力はSilver4ですが、Musicalも悪くありません。
個人的には特にSilver4はかなり気に入りました。純銀線のお手本的な音の良さがあると思います。銀コートはときにハイや子音がきつくなるのですが、ほんとによい純銀線はSilver4みたいにきつくないのですよね。
もう一つヴォーカルは癖がありますが、特徴的なのでヴォーカルものをよく聞くという人にお勧めしたいと思います。他の二本はオールマイティに使えると思います。
オンラインショップはこちらです。
https://jabenjapan.thebase.in/
Jaben Japanでは2/22から3/2までの期間に全品10%オフというクーポンをJaben Japanのtwitter(@JabenJapan)とfacebook(Jaben Japan)のアカウントで配布していますので興味ある方はどうぞ。
○ 1 Custom Universal
イヤフオンの新ブランドは1 customという名前ですがカスタムではなくユニバーサルイヤフォンです。customというのはスイッチによって音色が変えられるというところからきているようです。BAマルチドライバーのMR,SRとハイブリッドのJRの3モデルが販売されています。
スイッチはデフォルト、Vocal, Detailed, Bassの4種類が可能で、これは各機種に共通の特徴です。スイッチを切り替えるための小さなピンが付属しています。
以下は機種ごとのインプレッションです。試聴はAK380を使用しています。
* MR(4Hi, 2Mid/low, 1Low) 27Ω 68,000円 (発売記念特価 58,000円 税込)
マルチドライバーなので大柄なシェルだけれども、軽くて耳にぴったりとフィットして装着感はよいと思います。おそらくシェルの形が良いと思いますね。まずデフォルトで聴いてみます。
音数が多い感じで情報量が豊富という印象です。透明感もわりと高く、高域は響きが美しいけれども、あまりきつくなりすぎないよい特性だと思います。低域は多くなりすぎずに程よくいい感じ。周波数特性のバランスはわりと優等生的です。
ヴォーカルは少し前に出る感じで、明瞭感も高く聴きやすいと思います。あまり低域が中域をマスクしている感も少ないと思います。
全体に厚みがあって、音楽を聴く魅力があります。この価格でのマルチドライバー機としてはなかなか良いと思います。
次にVocalモードにしてみます。添付のピンで1番を左右ともONにすることでVocalモードになります。ちょっと細かいのでやりにくい点はありますね。変えるとVocalというよりも全体が前に出る感じではあり、全体にやや甘めな感じになります。次にDetailedにするVocalよりはやや引いた音になって聴きやすくなる感じですね。Bassにすると低域が盛り上がるというよりはヴォーカルが少し引いた感じになると思います。
試聴ではデフォルトのバランスが良いのであまりスイッチで変える必要性はないように思うけれども、いろいろと自分の音楽で聴いてみてモードを使い分けるとよいのかもしれません。テイストが少しずつ異なるような感じだと思います。これはもうちょっと激変したほうが面白いのではなかったかと思います。
* SR(2HI,1Mid,1Low) 14.8Ω 42,000円 (発売記念特価 38,000円 税込)
装着感としてはMRよりも小さい分で耳へのおさまりはよいという感じです。
音は高域が少し強めでややきつい感じはあります。実のところ高域ドライバー数の多いMRの方が質が良くなめらかな高域表現であると思います。
低域はMR同様にわりと穏やかであまり強くはないですね。SRでもBASSモードを試してみたけれども、あまり激変する感じではなくやや低域が盛り上がる感じです。こちらもMR同様に基本のデフォルトモードのバランスがよいので、スイッチでもっと味付けしてもよかったと思います。
* JR(ハイブリッド、1Hi,1Mid,1DD) 8.6-9.5Ω 26,000円 (発売記念特価 18,000円 税込)
JRのみダイナミックドライバーとのハイブリッドでベント穴があります。
高域はあまりきつくなく聴きやすい感じです。伸びも悪くないのですが、MRと比べると情報量には欠ける感じがします。
低域はハイブリッドらしくたっぷりとしていてSR/MRよりもだいぶ低域が多いように感じられます。躍動感があって、音楽を楽しく聴くことができます。低価格でハイブリッドらしい楽しさを感じられる良い機種だと思います。
スイッチの切り替えもこのモデルが一番違いが分かるような気はします。
3機種ではMRとJRが価格にしては音が良い感じがするので、この二機種のどちらかがお勧めです。
○ Creator Cable (香港)
こちらは高級な交換ケーブルのブランドです。2010年よりハンドメイドにより交換ケーブルのOEM展開をしていたブランドで、2018年にそのノウハウを生かした自社ブランドの「CREATOR」を立ち上げたということです。
特徴としては音色に分けたケーブルの展開をしていることで、リファレンス的な位置づけのSilver4、ボーカル表現に重きを置いたVocal cable、音楽のたたずまいの再現と高品位な高域に重点を置いたというMusical cableの3種類があり、それぞれに2pin、MMCX、Fitearの3タイプが用意されています。アンプ側は4.4mmバランスです。
FitEar (335univ)
MMCX (HS1675SSS)
2pin (Maverick3 CIEM)
またアダプターも多種類用意されています。
音は代表してMMCXタイプをAcoustune HS1670SSで聴いてみました。されざれ自分でのエージングはしていない状態です。共通して高級ケーブルらしく重く硬いケーブルで、耳にかけるところの癖が付けられていないので耳にかける使い方はやややりにくいところはあります。タッチノイズはかなり少ないと思います。
* Silver4 (特殊処理、最高級高純度、純銀線) \ 235,000税込
リファレンスというだけあって、音のバランスが良いと思います。たしかに純銀らしい上質感があると思います。
ちょい聞きには低域が多いようにも感じますが、高域もよく伸びていて、とてもワイドレンジに感じられます。音の広がりも3本の中で一番広いですね。透明感が高く解像力が高いが、軽いとかきついという感が少ない感じです。
音に厚みと重みがあってよくある「銀線です」というようなシャープさのみを主張するケーブルではないと思います。上質な銅線にも思えるくらいです。それでいて低域のインパクトに切れあじがあって音の歯切れが良いところは銀線らしいですね。低域の深みと重さもよい感じです。
ヴォーカルもよく聞き取れるので、全体的に明瞭感が高い上質なケーブルだと思う。これはかなりレベルが高いケーブルです。
* Vocal (特殊処理、銀メッキ高級OFC) \ 118,800税込
Silver4と比較すると高域と低域のワイドレンジ感が少なくなり、やや小さくまとまった音になりますが、低域のインパクト感も高域も悪くはありません。
特徴はやはりヴォーカルがとにかく明瞭感が高いとともにとても前に出てくる感じです。相対的にヴォーカルに注意が行くような音です。Silver4のヴォーカルも明瞭感は高いが、少し奥にいて客観的な感じがします。
* Musical (特殊処理、銀メッキ高級OFC) \ 173,000税込
特殊処理銀メッキ特殊OFCという点でヴォーカルと同じですが、こちらは各パートにバランスが取れていると思います。全体的に厚みや程よい暖かみがあって、いわば銅線的な鳴りのケーブルです。きつさも少ないので音楽を長い時間楽しく聴くことができると思います。Silver4よりも再現力ではやや劣るけれども、わりとオールマイティに使えると思います。
3機種では再現力はSilver4ですが、Musicalも悪くありません。
個人的には特にSilver4はかなり気に入りました。純銀線のお手本的な音の良さがあると思います。銀コートはときにハイや子音がきつくなるのですが、ほんとによい純銀線はSilver4みたいにきつくないのですよね。
もう一つヴォーカルは癖がありますが、特徴的なのでヴォーカルものをよく聞くという人にお勧めしたいと思います。他の二本はオールマイティに使えると思います。
2020年02月21日
Chordのホームページに見る2goと2yu
先週のCanJam NYで披露されたChordのPoly相当の2goと、2goのデジタル出力モジュールである2yuですが、Chordのホームページに情報が公開されています。2goはTo Goとうちのブログ名と同じく、日本語の「テイクアウト」と同じで外に持ち出すという感じの名前です。
2go
https://chordelectronics.co.uk/product/2go/
2yu
https://chordelectronics.co.uk/product/2yu/
2goの方は予想通りにPoly相当で、Polyとの違いはMIcroSDが2基あるということと、有線イーサネットのRJ45の口があるということ。
それと特徴的なのはオートスイッチングという機能で、PolyではDLNAとRoonを切り替えが必要でしたが、おそらく2goではこれが不要なんではないかと思います。
2yuの方ですが、基本的には2goと組み合わせてデジタル出力端子を提供してネットワークブリッジとして使い、Hugo2以外にも使えるようにした機種です。CanJamではHugo TTと組み合わせてデモしていました。
ただ説明をよく読むとなかなか興味深い機能があり、2yu内部にもプロセッサーが内蔵されていて接続するDACに応じたダウンサンプリング機能が用意されています。
またこのプロセッサーはPLLにも使用していると書かれています。PLLというかこのリサンプル機能はおそらくASRCとして働いてジッターを低減させるのではないかと思います。ここは推測なので後で確かめてみたいですね。
それと注目は2yuは単に2goのデジタル出力モジュールというだけでなく、2yu単独でPCと繋ぐことができるようですね。おそらく2goと接続するMicroUSBの口を直にPCに繋げるんではないかと思いますが、これも確かめたいところ。
2yuは思ってたより深い...
2go
https://chordelectronics.co.uk/product/2go/
2yu
https://chordelectronics.co.uk/product/2yu/
2goの方は予想通りにPoly相当で、Polyとの違いはMIcroSDが2基あるということと、有線イーサネットのRJ45の口があるということ。
それと特徴的なのはオートスイッチングという機能で、PolyではDLNAとRoonを切り替えが必要でしたが、おそらく2goではこれが不要なんではないかと思います。
2yuの方ですが、基本的には2goと組み合わせてデジタル出力端子を提供してネットワークブリッジとして使い、Hugo2以外にも使えるようにした機種です。CanJamではHugo TTと組み合わせてデモしていました。
ただ説明をよく読むとなかなか興味深い機能があり、2yu内部にもプロセッサーが内蔵されていて接続するDACに応じたダウンサンプリング機能が用意されています。
またこのプロセッサーはPLLにも使用していると書かれています。PLLというかこのリサンプル機能はおそらくASRCとして働いてジッターを低減させるのではないかと思います。ここは推測なので後で確かめてみたいですね。
それと注目は2yuは単に2goのデジタル出力モジュールというだけでなく、2yu単独でPCと繋ぐことができるようですね。おそらく2goと接続するMicroUSBの口を直にPCに繋げるんではないかと思いますが、これも確かめたいところ。
2yuは思ってたより深い...
2020年02月06日
セラミック・フルレンジ振動板のハイエンドイヤフオン Simphonio VR1レビュー
Simphonio VR1はシングルドライバーダイナミックのハイエンドイヤフォンです。VR1は昨年の春のヘッドフォン祭に出展されて好評を得ています。この時はCHORD DAVEのシステムでデモされていて驚くほど高い音質を味わわせてくれました。
私はその後に雑誌の記事を書くために再度借りたのですが、その時はまずAK380と組み合わせてみると、良いけれどもさすがにDAVEで聴いたほどではないか、とはじめは考えました。その後にSP1000と組み合わせたところ、あのDAVEと組み合わせたようなものすごい音質を再生して、えっなんでこんなにプレーヤーで違うのとあらためて驚いたのを覚えています。
それでVR1に興味を持ち、また貸し出してもらって今回詳細にレビューを書いているというわけです。VR1は七福神商事から発売が決定されて、フジヤさんで専売されます。今度のポタ研に出展されますので参考になればと思います。
*Simphonioについて
この開発者の方とは随分前からメールでのやり取りをして知ってはいました。聞いた話によるともとは有名メーカーのOEMを手がけていたのですが、Sunriseという自社ブランドを立ち上げて製品を作ってもいました。私がまだヘッドフォン祭で自分のブースを持っていたとき(2011年頃)にデモ機を送ってもらって参考展示したりしていたのですが、ここにちょっと書いています。(自分のブースを持っていると他に参加できないので、のちに自分でブースを持つのはやめましたが)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/199951950.html
その後にSimphonioという会社を立ち上げています。Simphonioはとにかく音質を第一に提供するというブランドで、他の要素は二次的に考えるというオーディオファイル的なブランドということです。VR1の他にはDragon3というハイインピーダンスのインイヤー型のイヤフオンもありますが、こちらも見た目はスマホの付属イヤフォンだが音はよいというものなのでコンセプトがわかってもらえると思います。
他の製品などについては公式ホームページをご覧ください。
http://www.simphonio.com/index.html
*VR1とセラミック振動板
VR1は形式的にはシングルドライバーのダイナミック型イヤフオンです。
ユニークなのはセラミックを積層させて形成した「セラミック振動板」を採用していることです。普通セラミックは陶器みたいなものなので成形して焼き入れして加工しますが、ここではまったく新しい方式でセラミックをあるベース素材に積層を繰り返すことで成形するという研究所レベルの技術をもちいて製作されています。良い例えかわかりませんが、セラミックの3Dプリントみたいなものでしょうか。
これはSimphonioの件の開発者の知人にこうした研究者がいて、その要素技術をなにかに応用できないかということで、 開発者がイヤフオンの振動板に応用することを思いついたということのようです。つまり他でこの技術が使われるということはないでしょう。
いままでもVSTのようにイヤフォンでいわばスーパーツィーターでのセラミック応用はあったのですが、この技術を採用することで14.2mmという大型のフルレンジ振動板が可能となりました。そしてもう一つ重要なポイントがありますが、これはもう少し後で書きます。
このセラミック振動板はセラミックなので軽くて硬いという、振動板に好適な特徴を持っています。硬くてたわみにくいので、ダイナミックドライバーが中央の一点で振動していても場所によって振動が異なるということが生じにくいわけです。このことで全面が均等に動きやすいので平面型のような特性を持つことができます。
また軽くてすぐ動けるので入力信号に正確で動きが早いという利点もあります。また止めたいときに止められるので余分な附帯音もつきにくいというわけです。
それなりの解像力だとそれなりの音になるし、解像力が高いとすごい音になるというのもこの辺から推測ができます。
そして先に書いたもう一つのポイントはこの積層方式の成形によって、振動板の厚みを局所的に自由に変えることができるということです。このことで振動板の周辺部・縁の部分を薄くすることで、あたかもスピーカーのエッジを持ったようにここだけ柔らかく作ることができるというわけです。
このことにより振動板の動きの自由度が高くなり、イヤフォンというよりはスピーカーのように深みのある音を出すことが可能になるということです。
公式サイトから
このセラミック振動板のデメリットはやはり高価について、まだ大量生産に向かないということです。まだ研究室レベルの技術の応用ですからそれは仕方のないところでしょう。
*VR1の他の特徴
他のVR1のイヤフオンとしての特徴はダイナミック型なのでベント穴がありますが、ベントが二個あるという点です。これは振動板を挟むように前と後ろにいわゆるアコースティックチャンバーのような空気室があってそれぞれについているということです。一つは耳穴の内側に空いていて耳内の空気室と連動しているということです。これらのことにより振動板がより自由に、かつ最適に動くことができるので豊かな音を実現できるということです。
こうしたイヤフオンの工夫はさきに書いたような開発者の長年の経験からくるもので、けっしてセラミック振動板だけのアイディア企業ではありません。
またVR1の外観を特徴付けているのはサファイア製のフェイスプレートです。サファイアも硬いので強度を上げるためということもありますが、一番の理由は見た目の良さで、開発者の意向として宝石のような製品を作りたいので加工しやすく強度を稼げる宝石としてサフアイアを選んだということです。
* VR1とケーブルについて
このVR1の音を引き出すには、このブログを見ている人にはいうまでもなく良いケーブルが必要です。
VR1は発売形態としてケーブル無しと推奨ケーブル付きの二種類があります。
推奨ケーブルにはCS1とCS10があり、それぞれ3.5mm端子と4.4mm端子のモデルがあります。
青いほうがCS10、黒いほうがCS1
CS10(いちぜろ)は単結晶の銅線と、銀メッキではなく無垢の銀線と、無垢の金線をよった線材を使用しています。
CS1は単結晶の銅線をクライオ処理したものと、シルバーの上にパラジウム(レアメタル)コーティングした線材を採用しています。
* インプレッション
Simphonio VR1は緑色の立派な化粧箱に入っています。中にはケーブルはなく、先に書いたようにオプション扱いになっています。イヤチップはいくつか入っていて、今回は標準添付のシリコンチップを試聴に使いました。
公式サイトから
またイヤチップと共にユニークな形状のイヤフォンバッグもついてきます。
VR1本体は14.2mmの大口径ということもあってそれなりに大柄な筐体ですが、耳に入れた時の装着感は悪くありません。金属製なのでずっしりとくる感じですね。ケーブルはCS1とCS10を使いましたが、どちらも凝った線材のわりには取り回しはしやすい感じです。ポータブルで使いにくいような硬いものではありません。この点で他の8芯線などの高級交換ケーブルなどに比べると使いやすい方だと思います。
はじめにAK380を使用してCS1で聴き始め、時折CS10に変えて違いをみてみます。
まずいままで聞いたことがないくらいの高いレベルの透明感と解像力の高さに驚きます。解像力というよりも情報量の多さというべきかもしれません。音の響きというか余韻、いわゆる楽器の松ヤニがとびちるような感覚ですね。このVR1の音を特徴付けているのはこの豊富な情報量からくる緻密な音の再現力です。一音一音の音の余韻によって、ものすごく小さな音が積み重なって豊かな音空間を作り上げているという感じです。
例えばバロックバイオリンは典型的な例ですが、古楽器らしい倍音というか音の響きのこまかな音がよく聞こえて来ます。中高域はとてもシャープで鋭いのですが、ベルの音が整っていて淀みのない美しい音色を聴かせてくれるのも特徴的です。この辺はハイエンドでなければとうてい味わえないレベルの音楽体験といえるでしょうね。
低音域もとても深く、ダイナミックドライバーらしい重みもあります。このため、ポップやロックのようなジャンルでもパンチのある音楽が楽しめます。ここはCS10に変えてみるとやや様子がことなり、CS1ではよりワイドレンジでより低い方の超低域が豊かであり、CS10はいわゆる低音を感じるところのやや上の方がやや強調されているように感じられます。
中域はもちろん声の明瞭感が高くはっきりと歌詞が聞き取れますが、ここでも情報量の多さがかなり効いていて、アカペラを聞くとよくわかるけれども、音の広がりと重なりが音のよいホールで聴いているようにリアルで鮮明に感じられます。
細かい音の重なりがとても立体的ですが、これはシングルらしい良好な位相特性による影響も大きいと思います。また楽器音が正確で、音色がそれぞれ違うのがよくわかるのも特徴です。
このVR1とCS1の組み合わせはおそろしく透明感が高く、解像力があるけれども、ずっと聞いていたくなるような豊かさがあって、この無数の音の粒子に包まれるような気持ち良さにいつまでも浸っていたい感じになります。
またCS1の特徴として透明感の高さ、ワイドレンジという他にわずかな心地よい味付けがなされているように感じられます。AK380はSP10000SS/CPなどのような特殊筐体とはことなり、それ自体に付帯音がないのでわかりやすいのですが、ちょっと隠し味的な味付けがなされているように思います。それがちょっと音を麻薬的な美しい魅力あるものにしているように思います。このために性能が高いからといって音楽を無機的に感じることはありません。CS10はもっと着色感は少なくプレーンな感覚です。
次にSP1000に変えてみると、いっそう音レベルが高くなるのがわかります。特に立体感は顕著に良くなり、音の細かさも一層上がってきます。よく聞くSpanish Harlemもあまり聞いたことがないくらいの高いレベルの再現力で楽しめます。こういう試聴曲は文字通り飽き飽きするほど聞いているのですが、新しい魅力を感じさせてくれます。
またSP1000では鋭いベースパーカッションのインパクト・アタック感など打撃感がより高く感じられます。この辺はスピーカーオーディオでも再現が難しいところですが、AK380だと音の良さはよくわかるけれども、こうした音再現の凄みというところまでは及ばないように思いますね。
SP10000ではSSとCPの違いもかなり明確にわかるのですが、特にVR1ではCPがおすすめです。低域の深みと重みを堪能でき、高性能ながら美しい音色で長い時間でも聞いていたくなります。
AK380にHugo2を加えてみてもさらに生き生きとした迫力ある音世界を聞かせてくれます。なにしろミニDaveのようHugo2ですから、再現レベルは東京インターナショナルオーディオショウに出てくるようなハイエンドスピーカーをきいているようなかなり高いものです。
情報量がたっぷりとしていて、それが音楽的に魅力的な音の豊かさ厚みにつながっているのがよい点ですが、こうしてみると普通のイヤフオンで拾いきれない小さな音はずいぶんあるものだと感心します。
* ケーブルの違いについて
ケーブルの違いについてもう少しまとめてみます。ただし両方ともエージングはあまりしていない状態ですので、使い込むとまた印象は変わるかもしれません。
3.5mmと4.4mmのバランスを比べてみるとCS1/CS10ともに、バランスにすると音の広がり、音の力感ともに向上します。これは一般的なバランスとシングルエンドの差と同じですが、CS10の方がややバランスとシングルエンドの差が大きいように思います。これはおそらくCS10の低域の出方によるものだと思います。双方ともシングルエンドに戻すと音が軽めに感じられますが、線材がよいせいかあまり音が薄くなる感じはありません。
またCS1とCS10の違いをいうと、CS1の方はより透明感が高く、周波数特性が良くてフラットに近く聞こえ、よりハイエンドで高域と低域がより広がって聞こえます。CS1はより声とか楽器の違いがわかる感じですね。またさきにも書いたように着色感というよりはより音が美しく聞こえます。
特に透明感の高さが顕著で、いままで聞いたケーブルの中でもかなり高いレベルです。
CS10の方はやはり高いレベルですが、先に書いたように少しですが低域に強調感があってよりポップやロックには向いている感じがします。 CS1はより良録音のジャズやクラシックに向いているような音再現です。
* まとめ
このVR1は音への追従性能が高く、かつポテンシャルが高いので、プレーヤー側のレベルを上げたり、よいケーブルを使うとそれがわかりやすいと言えます。ただし相性はあると思います。自分でもいろいろと手持ちのケーブルを使ったけれども、これだけVR1の能力を引き出せるものは実はあまりないので、推奨ケーブルセットをおすすめします。あるいは試聴会でいろいろと試してみるのがよいでしょう。
このVR1に関しては「スマホで聴いても良い音を再生してくれる」と書くつもりはありません。持っている最高のプレーヤーを使ってみてください。ハイエンドプレーヤーを持っている人が、さらに高みを目指すためのイヤフォンといえるでしょう。
私はその後に雑誌の記事を書くために再度借りたのですが、その時はまずAK380と組み合わせてみると、良いけれどもさすがにDAVEで聴いたほどではないか、とはじめは考えました。その後にSP1000と組み合わせたところ、あのDAVEと組み合わせたようなものすごい音質を再生して、えっなんでこんなにプレーヤーで違うのとあらためて驚いたのを覚えています。
それでVR1に興味を持ち、また貸し出してもらって今回詳細にレビューを書いているというわけです。VR1は七福神商事から発売が決定されて、フジヤさんで専売されます。今度のポタ研に出展されますので参考になればと思います。
*Simphonioについて
この開発者の方とは随分前からメールでのやり取りをして知ってはいました。聞いた話によるともとは有名メーカーのOEMを手がけていたのですが、Sunriseという自社ブランドを立ち上げて製品を作ってもいました。私がまだヘッドフォン祭で自分のブースを持っていたとき(2011年頃)にデモ機を送ってもらって参考展示したりしていたのですが、ここにちょっと書いています。(自分のブースを持っていると他に参加できないので、のちに自分でブースを持つのはやめましたが)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/199951950.html
その後にSimphonioという会社を立ち上げています。Simphonioはとにかく音質を第一に提供するというブランドで、他の要素は二次的に考えるというオーディオファイル的なブランドということです。VR1の他にはDragon3というハイインピーダンスのインイヤー型のイヤフオンもありますが、こちらも見た目はスマホの付属イヤフォンだが音はよいというものなのでコンセプトがわかってもらえると思います。
他の製品などについては公式ホームページをご覧ください。
http://www.simphonio.com/index.html
*VR1とセラミック振動板
VR1は形式的にはシングルドライバーのダイナミック型イヤフオンです。
ユニークなのはセラミックを積層させて形成した「セラミック振動板」を採用していることです。普通セラミックは陶器みたいなものなので成形して焼き入れして加工しますが、ここではまったく新しい方式でセラミックをあるベース素材に積層を繰り返すことで成形するという研究所レベルの技術をもちいて製作されています。良い例えかわかりませんが、セラミックの3Dプリントみたいなものでしょうか。
これはSimphonioの件の開発者の知人にこうした研究者がいて、その要素技術をなにかに応用できないかということで、 開発者がイヤフオンの振動板に応用することを思いついたということのようです。つまり他でこの技術が使われるということはないでしょう。
いままでもVSTのようにイヤフォンでいわばスーパーツィーターでのセラミック応用はあったのですが、この技術を採用することで14.2mmという大型のフルレンジ振動板が可能となりました。そしてもう一つ重要なポイントがありますが、これはもう少し後で書きます。
このセラミック振動板はセラミックなので軽くて硬いという、振動板に好適な特徴を持っています。硬くてたわみにくいので、ダイナミックドライバーが中央の一点で振動していても場所によって振動が異なるということが生じにくいわけです。このことで全面が均等に動きやすいので平面型のような特性を持つことができます。
また軽くてすぐ動けるので入力信号に正確で動きが早いという利点もあります。また止めたいときに止められるので余分な附帯音もつきにくいというわけです。
それなりの解像力だとそれなりの音になるし、解像力が高いとすごい音になるというのもこの辺から推測ができます。
そして先に書いたもう一つのポイントはこの積層方式の成形によって、振動板の厚みを局所的に自由に変えることができるということです。このことで振動板の周辺部・縁の部分を薄くすることで、あたかもスピーカーのエッジを持ったようにここだけ柔らかく作ることができるというわけです。
このことにより振動板の動きの自由度が高くなり、イヤフォンというよりはスピーカーのように深みのある音を出すことが可能になるということです。
公式サイトから
このセラミック振動板のデメリットはやはり高価について、まだ大量生産に向かないということです。まだ研究室レベルの技術の応用ですからそれは仕方のないところでしょう。
*VR1の他の特徴
他のVR1のイヤフオンとしての特徴はダイナミック型なのでベント穴がありますが、ベントが二個あるという点です。これは振動板を挟むように前と後ろにいわゆるアコースティックチャンバーのような空気室があってそれぞれについているということです。一つは耳穴の内側に空いていて耳内の空気室と連動しているということです。これらのことにより振動板がより自由に、かつ最適に動くことができるので豊かな音を実現できるということです。
こうしたイヤフオンの工夫はさきに書いたような開発者の長年の経験からくるもので、けっしてセラミック振動板だけのアイディア企業ではありません。
またVR1の外観を特徴付けているのはサファイア製のフェイスプレートです。サファイアも硬いので強度を上げるためということもありますが、一番の理由は見た目の良さで、開発者の意向として宝石のような製品を作りたいので加工しやすく強度を稼げる宝石としてサフアイアを選んだということです。
* VR1とケーブルについて
このVR1の音を引き出すには、このブログを見ている人にはいうまでもなく良いケーブルが必要です。
VR1は発売形態としてケーブル無しと推奨ケーブル付きの二種類があります。
推奨ケーブルにはCS1とCS10があり、それぞれ3.5mm端子と4.4mm端子のモデルがあります。
青いほうがCS10、黒いほうがCS1
CS10(いちぜろ)は単結晶の銅線と、銀メッキではなく無垢の銀線と、無垢の金線をよった線材を使用しています。
CS1は単結晶の銅線をクライオ処理したものと、シルバーの上にパラジウム(レアメタル)コーティングした線材を採用しています。
* インプレッション
Simphonio VR1は緑色の立派な化粧箱に入っています。中にはケーブルはなく、先に書いたようにオプション扱いになっています。イヤチップはいくつか入っていて、今回は標準添付のシリコンチップを試聴に使いました。
公式サイトから
またイヤチップと共にユニークな形状のイヤフォンバッグもついてきます。
VR1本体は14.2mmの大口径ということもあってそれなりに大柄な筐体ですが、耳に入れた時の装着感は悪くありません。金属製なのでずっしりとくる感じですね。ケーブルはCS1とCS10を使いましたが、どちらも凝った線材のわりには取り回しはしやすい感じです。ポータブルで使いにくいような硬いものではありません。この点で他の8芯線などの高級交換ケーブルなどに比べると使いやすい方だと思います。
はじめにAK380を使用してCS1で聴き始め、時折CS10に変えて違いをみてみます。
まずいままで聞いたことがないくらいの高いレベルの透明感と解像力の高さに驚きます。解像力というよりも情報量の多さというべきかもしれません。音の響きというか余韻、いわゆる楽器の松ヤニがとびちるような感覚ですね。このVR1の音を特徴付けているのはこの豊富な情報量からくる緻密な音の再現力です。一音一音の音の余韻によって、ものすごく小さな音が積み重なって豊かな音空間を作り上げているという感じです。
例えばバロックバイオリンは典型的な例ですが、古楽器らしい倍音というか音の響きのこまかな音がよく聞こえて来ます。中高域はとてもシャープで鋭いのですが、ベルの音が整っていて淀みのない美しい音色を聴かせてくれるのも特徴的です。この辺はハイエンドでなければとうてい味わえないレベルの音楽体験といえるでしょうね。
低音域もとても深く、ダイナミックドライバーらしい重みもあります。このため、ポップやロックのようなジャンルでもパンチのある音楽が楽しめます。ここはCS10に変えてみるとやや様子がことなり、CS1ではよりワイドレンジでより低い方の超低域が豊かであり、CS10はいわゆる低音を感じるところのやや上の方がやや強調されているように感じられます。
中域はもちろん声の明瞭感が高くはっきりと歌詞が聞き取れますが、ここでも情報量の多さがかなり効いていて、アカペラを聞くとよくわかるけれども、音の広がりと重なりが音のよいホールで聴いているようにリアルで鮮明に感じられます。
細かい音の重なりがとても立体的ですが、これはシングルらしい良好な位相特性による影響も大きいと思います。また楽器音が正確で、音色がそれぞれ違うのがよくわかるのも特徴です。
このVR1とCS1の組み合わせはおそろしく透明感が高く、解像力があるけれども、ずっと聞いていたくなるような豊かさがあって、この無数の音の粒子に包まれるような気持ち良さにいつまでも浸っていたい感じになります。
またCS1の特徴として透明感の高さ、ワイドレンジという他にわずかな心地よい味付けがなされているように感じられます。AK380はSP10000SS/CPなどのような特殊筐体とはことなり、それ自体に付帯音がないのでわかりやすいのですが、ちょっと隠し味的な味付けがなされているように思います。それがちょっと音を麻薬的な美しい魅力あるものにしているように思います。このために性能が高いからといって音楽を無機的に感じることはありません。CS10はもっと着色感は少なくプレーンな感覚です。
次にSP1000に変えてみると、いっそう音レベルが高くなるのがわかります。特に立体感は顕著に良くなり、音の細かさも一層上がってきます。よく聞くSpanish Harlemもあまり聞いたことがないくらいの高いレベルの再現力で楽しめます。こういう試聴曲は文字通り飽き飽きするほど聞いているのですが、新しい魅力を感じさせてくれます。
またSP1000では鋭いベースパーカッションのインパクト・アタック感など打撃感がより高く感じられます。この辺はスピーカーオーディオでも再現が難しいところですが、AK380だと音の良さはよくわかるけれども、こうした音再現の凄みというところまでは及ばないように思いますね。
SP10000ではSSとCPの違いもかなり明確にわかるのですが、特にVR1ではCPがおすすめです。低域の深みと重みを堪能でき、高性能ながら美しい音色で長い時間でも聞いていたくなります。
AK380にHugo2を加えてみてもさらに生き生きとした迫力ある音世界を聞かせてくれます。なにしろミニDaveのようHugo2ですから、再現レベルは東京インターナショナルオーディオショウに出てくるようなハイエンドスピーカーをきいているようなかなり高いものです。
情報量がたっぷりとしていて、それが音楽的に魅力的な音の豊かさ厚みにつながっているのがよい点ですが、こうしてみると普通のイヤフオンで拾いきれない小さな音はずいぶんあるものだと感心します。
* ケーブルの違いについて
ケーブルの違いについてもう少しまとめてみます。ただし両方ともエージングはあまりしていない状態ですので、使い込むとまた印象は変わるかもしれません。
3.5mmと4.4mmのバランスを比べてみるとCS1/CS10ともに、バランスにすると音の広がり、音の力感ともに向上します。これは一般的なバランスとシングルエンドの差と同じですが、CS10の方がややバランスとシングルエンドの差が大きいように思います。これはおそらくCS10の低域の出方によるものだと思います。双方ともシングルエンドに戻すと音が軽めに感じられますが、線材がよいせいかあまり音が薄くなる感じはありません。
またCS1とCS10の違いをいうと、CS1の方はより透明感が高く、周波数特性が良くてフラットに近く聞こえ、よりハイエンドで高域と低域がより広がって聞こえます。CS1はより声とか楽器の違いがわかる感じですね。またさきにも書いたように着色感というよりはより音が美しく聞こえます。
特に透明感の高さが顕著で、いままで聞いたケーブルの中でもかなり高いレベルです。
CS10の方はやはり高いレベルですが、先に書いたように少しですが低域に強調感があってよりポップやロックには向いている感じがします。 CS1はより良録音のジャズやクラシックに向いているような音再現です。
* まとめ
このVR1は音への追従性能が高く、かつポテンシャルが高いので、プレーヤー側のレベルを上げたり、よいケーブルを使うとそれがわかりやすいと言えます。ただし相性はあると思います。自分でもいろいろと手持ちのケーブルを使ったけれども、これだけVR1の能力を引き出せるものは実はあまりないので、推奨ケーブルセットをおすすめします。あるいは試聴会でいろいろと試してみるのがよいでしょう。
このVR1に関しては「スマホで聴いても良い音を再生してくれる」と書くつもりはありません。持っている最高のプレーヤーを使ってみてください。ハイエンドプレーヤーを持っている人が、さらに高みを目指すためのイヤフォンといえるでしょう。
2020年02月03日
ニールヤングがMacbookの音質を批判
先週のトピックにニールヤングがvergeのインタビューに答えてMacbookの音質を批判するということがありました。
この辺はASCII.JPの記事に書きましたのでこちらをご覧ください。
https://ascii.jp/elem/000/004/001/4001655/?topnew=6
この辺はASCII.JPの記事に書きましたのでこちらをご覧ください。
https://ascii.jp/elem/000/004/001/4001655/?topnew=6
2019年12月26日
音質志向のBTレシーバー、Oriolus 1795レビュー
Oriolus 1795はイヤフォンブランドのOriolusの開発したBluetoothレシーバーです。
最近はストリーミング音源への移行やiPhoneでのイヤフォン端子の廃止など、ますますBluetoothを使う機会が増えていますが、流行りの完全ワイヤレスではどうしても音質的に満足できないというマニアの方々も多いと思います。そうした時には従来のイヤフォンにBluetoothレシーバーを使いますが、今度はBluetoothレシーバーに音質の良いものがあまりないというジレンマに悩まされます。
そうしたユーザーに向いているのが、この音質重視のBluetoothレシーバーであるOriolus 1795です。イヤフォンメーカーが作ったポータブルアンプっていうと、Heirのアナログ入力時代のRenditionとか、RHAのデジタル入力のDacamp 1などがありましたが、Oriolus 1795はBluetooth入力でストリーミング時代に即して良い音で聴いてほしいという提案なのでしょう。
* 特徴
Oriolus 1795はコンパクトなBluetoothレシーバーでクアルコム製Bluetoothチップを搭載してBluetooth5.0に対応しています。SBC、AACの他にLDACにも対応しているのでWalkmanユーザーにも向いています。
最大の特徴はその高音質設計です。たいていのBluetooth機器はBTチップ内の付属品的なDACでDA変換されていて、コーデックの問題以上にそこで音質が悪くなってしまうのですが、Oriolus 1795ではBluetoothチップからデジタル信号を抜いてそれを本格的なDACでDA変換して、内蔵のアンプで増幅することで高音質を実現しています。
注目すべきはそのシグナルパスの強力さです。Bluetooth信号は普通最大でも48kHzですが、Oriolus 1795ではまず入力した信号を192kHz/24bitにアップサンプリングします。これのためにサンプル変換専用のチップであるAK4125が搭載されています。それを据え置きオーディオ機器でもよく使われる高性能DACチップであるPCM1795(名の由来)に送って高音質の音を再現します。
しかもそのあとにバランスアンプ回路があつて、4.4mm端子でバランス出力ができます。またそれとは別に3.5mm端子専用のシングルエンドアンプ回路も備えています。こんな小さな筐体にこんな本格的な設計がなされています。
この他にも機能的にはマイクを備えているので会話が可能で、NFCペアリング、ワイヤレス充電も備えています。(USB DAC機能もあるようです)
再生時間は7時間ということです。サイズは95.9x50.7x15.4mm、重さは109gです。
* インプレッション
以下はiPhone Xを組み合わせています。
本体はアルミ筐体+両面高強度強化ガラスでなかなかにきれいです。上面に開いた4.4mmバランス端子がコンパクトな筐体になかなかの迫力かあります。
本体側面にはハードの操作キーがあります。ボリュームはiPhone側よりも細かいのでこちらで操作したほうがなめらかな音量調整ができます。
Bluetooth機器としての接続性は良く、電車で使っても特に問題になることはありません。
音はCampfire Audio Solaris(4.4mmバランス)、Acoustune HS1670SS(3.5mm)を組み合わせてみました。
Oriolus 1795を普通のBTレシーバーと考えて聴き始めると、音が良いのにちょっと驚きます。まず音場が広くホールのように立体的に広がりのある音空間が楽しめます。ただ幅が広いだけではなく豊かで厚みがある音再現が堪能できますが、これはBluetoothイヤホンではちょっと無理な音です。また緻密で解像感が高い音で、ギターのピッキングでも単にシャープなだけでなく余韻の響きや音の厚みが美しいのも特徴的です。マルチBAのハイエンドIEMでも普通のDAPと遜色ないレベルの高い音が楽しめます。
全帯域でクリアで鮮明であり、解像力も高くハイエンドマルチBAでの音の繊細さも活かせます。加えてダイナミックドライバーでのパンチもあり躍動感もあります。
特に4.4mmでの音は良好で、力感があって駆動力が高く感じます。音の広がりも一段と良く、バランスらしい一段レベルの高い音が楽しめます。Solarisでは音の細かさと低音のパンチがよく生かされていてハイエンドハイブリッドイヤフオンにもよく合います。
またHS1670SSとの組み合わせでは3.5mmシングルエンドでも十分以上の良好な音質が感じられます。HS1670SSの持ち前の中高域のきれいな伸びやかさの再現はもちろん、低域ではミリンクス振動板らしいパンチの良さと厚みがあって打撃音が気持ちよく深く感じられます。
iPhoneの中のロスレス音源だけではなく、ロッシーのストリーミングで聴いていても滑らかでキツさがあまりありません。ロスレス音源もBTのコーデックでいったんロッシーになるのですが、ワイヤレスとかロッシーの音は有線とかロスレスに較べるとどうしても粗くて乾いた薄い音になってしまいます。しかしこうしたソースの音がロッシーで濁っていても適切なフィルターで濾過すればきれいにできるという感じですね。
わたしみたいにiPhoneに100GB以上のロスレス音源を入れてる人も、ストリーミングオンリーという人も問題なく使えます。
前に雑誌でレビューを書いたときにLDACでWalkmanから聴いたことがあって、その時はワイヤレスとは思えない音と思いましたが、iPhoneで聴いてもやはりワイヤレスで聴いているとは思えません。これもコーデックというよりも内蔵アンプの音質が良いからだといえるでしょう。
Oriolus 1795は単にワイヤレス化するだけのBTレシーバーとは別物で、積極的に音を良くするBT入力ポタアンと言ってほうが良いでしょう。BTレシーバーとしては音が良いと言うのでなく、十分DAC内蔵ポタアンに匹敵する音です。BTレシーバーとしては大柄かもしれませんが、DAC内蔵ポータブルアンプとしてはバランス対応をはじめ、かなりコンパクトにこれだけの音をまとめ込んだと感心します。
* まとめ
AtlasからSolarisに変えると音質の差がはっきり分かるのもイヤフォンの違いを楽しめることを示しています。せっかくハイエンドイヤホンのためにBTレシーバー使うならこのクラスの音でないともったいないと思います。いまの時代は超高性能イヤフオンに向かうベクトルと、手軽なBTワイヤレスみたいなベクトルの分断が起こっていますが、Oriolus 1795はそのジレンマを解消する良い解法になると思います。
ハイエンドイヤホンを使ってるけど、ストリーミングやスマホ内蔵音源も生かしたいというハイエンドイヤホンユーザーにおすすめのワイヤレス機材と言えるでしょう。
最近はストリーミング音源への移行やiPhoneでのイヤフォン端子の廃止など、ますますBluetoothを使う機会が増えていますが、流行りの完全ワイヤレスではどうしても音質的に満足できないというマニアの方々も多いと思います。そうした時には従来のイヤフォンにBluetoothレシーバーを使いますが、今度はBluetoothレシーバーに音質の良いものがあまりないというジレンマに悩まされます。
そうしたユーザーに向いているのが、この音質重視のBluetoothレシーバーであるOriolus 1795です。イヤフォンメーカーが作ったポータブルアンプっていうと、Heirのアナログ入力時代のRenditionとか、RHAのデジタル入力のDacamp 1などがありましたが、Oriolus 1795はBluetooth入力でストリーミング時代に即して良い音で聴いてほしいという提案なのでしょう。
* 特徴
Oriolus 1795はコンパクトなBluetoothレシーバーでクアルコム製Bluetoothチップを搭載してBluetooth5.0に対応しています。SBC、AACの他にLDACにも対応しているのでWalkmanユーザーにも向いています。
最大の特徴はその高音質設計です。たいていのBluetooth機器はBTチップ内の付属品的なDACでDA変換されていて、コーデックの問題以上にそこで音質が悪くなってしまうのですが、Oriolus 1795ではBluetoothチップからデジタル信号を抜いてそれを本格的なDACでDA変換して、内蔵のアンプで増幅することで高音質を実現しています。
注目すべきはそのシグナルパスの強力さです。Bluetooth信号は普通最大でも48kHzですが、Oriolus 1795ではまず入力した信号を192kHz/24bitにアップサンプリングします。これのためにサンプル変換専用のチップであるAK4125が搭載されています。それを据え置きオーディオ機器でもよく使われる高性能DACチップであるPCM1795(名の由来)に送って高音質の音を再現します。
しかもそのあとにバランスアンプ回路があつて、4.4mm端子でバランス出力ができます。またそれとは別に3.5mm端子専用のシングルエンドアンプ回路も備えています。こんな小さな筐体にこんな本格的な設計がなされています。
この他にも機能的にはマイクを備えているので会話が可能で、NFCペアリング、ワイヤレス充電も備えています。(USB DAC機能もあるようです)
再生時間は7時間ということです。サイズは95.9x50.7x15.4mm、重さは109gです。
* インプレッション
以下はiPhone Xを組み合わせています。
本体はアルミ筐体+両面高強度強化ガラスでなかなかにきれいです。上面に開いた4.4mmバランス端子がコンパクトな筐体になかなかの迫力かあります。
本体側面にはハードの操作キーがあります。ボリュームはiPhone側よりも細かいのでこちらで操作したほうがなめらかな音量調整ができます。
Bluetooth機器としての接続性は良く、電車で使っても特に問題になることはありません。
音はCampfire Audio Solaris(4.4mmバランス)、Acoustune HS1670SS(3.5mm)を組み合わせてみました。
Oriolus 1795を普通のBTレシーバーと考えて聴き始めると、音が良いのにちょっと驚きます。まず音場が広くホールのように立体的に広がりのある音空間が楽しめます。ただ幅が広いだけではなく豊かで厚みがある音再現が堪能できますが、これはBluetoothイヤホンではちょっと無理な音です。また緻密で解像感が高い音で、ギターのピッキングでも単にシャープなだけでなく余韻の響きや音の厚みが美しいのも特徴的です。マルチBAのハイエンドIEMでも普通のDAPと遜色ないレベルの高い音が楽しめます。
全帯域でクリアで鮮明であり、解像力も高くハイエンドマルチBAでの音の繊細さも活かせます。加えてダイナミックドライバーでのパンチもあり躍動感もあります。
特に4.4mmでの音は良好で、力感があって駆動力が高く感じます。音の広がりも一段と良く、バランスらしい一段レベルの高い音が楽しめます。Solarisでは音の細かさと低音のパンチがよく生かされていてハイエンドハイブリッドイヤフオンにもよく合います。
またHS1670SSとの組み合わせでは3.5mmシングルエンドでも十分以上の良好な音質が感じられます。HS1670SSの持ち前の中高域のきれいな伸びやかさの再現はもちろん、低域ではミリンクス振動板らしいパンチの良さと厚みがあって打撃音が気持ちよく深く感じられます。
iPhoneの中のロスレス音源だけではなく、ロッシーのストリーミングで聴いていても滑らかでキツさがあまりありません。ロスレス音源もBTのコーデックでいったんロッシーになるのですが、ワイヤレスとかロッシーの音は有線とかロスレスに較べるとどうしても粗くて乾いた薄い音になってしまいます。しかしこうしたソースの音がロッシーで濁っていても適切なフィルターで濾過すればきれいにできるという感じですね。
わたしみたいにiPhoneに100GB以上のロスレス音源を入れてる人も、ストリーミングオンリーという人も問題なく使えます。
前に雑誌でレビューを書いたときにLDACでWalkmanから聴いたことがあって、その時はワイヤレスとは思えない音と思いましたが、iPhoneで聴いてもやはりワイヤレスで聴いているとは思えません。これもコーデックというよりも内蔵アンプの音質が良いからだといえるでしょう。
Oriolus 1795は単にワイヤレス化するだけのBTレシーバーとは別物で、積極的に音を良くするBT入力ポタアンと言ってほうが良いでしょう。BTレシーバーとしては音が良いと言うのでなく、十分DAC内蔵ポタアンに匹敵する音です。BTレシーバーとしては大柄かもしれませんが、DAC内蔵ポータブルアンプとしてはバランス対応をはじめ、かなりコンパクトにこれだけの音をまとめ込んだと感心します。
* まとめ
AtlasからSolarisに変えると音質の差がはっきり分かるのもイヤフォンの違いを楽しめることを示しています。せっかくハイエンドイヤホンのためにBTレシーバー使うならこのクラスの音でないともったいないと思います。いまの時代は超高性能イヤフオンに向かうベクトルと、手軽なBTワイヤレスみたいなベクトルの分断が起こっていますが、Oriolus 1795はそのジレンマを解消する良い解法になると思います。
ハイエンドイヤホンを使ってるけど、ストリーミングやスマホ内蔵音源も生かしたいというハイエンドイヤホンユーザーにおすすめのワイヤレス機材と言えるでしょう。
2019年12月12日
イヤフォン向けの「シリコンスピーカー」、MEMSドライバー
イヤフォン向けの新しいドライバーが下記に紹介されています。いわゆる「ヒアラブル」というウェアラブルのイヤフォン版の流れです。
https://techxplore.com/news/2019-10-in-ear-silicon-speakers-internet-voice.html
これはMEMSという「シリコンスピーカー」で従来の振動板ではなく、無数のNEDアクチュエーターという薄膜が電圧に応じて動くことで空気を振動させ音を出すようです。薄膜というか静電アクチュエーターという帯電の異なるもの同士の力を使って動くもののようです。記事中の動画を見るとわかりやすいと思います。電圧で動くので普通にイヤフォンに使えそうですね。効率が高いのが特徴で、実験的には音は出せてるそう。
MEMSってリボン型をシリコンでやってるように思いますが、参照リンクをクリックしたらネイチャーに飛んだので読むのやめました 笑
https://techxplore.com/news/2019-10-in-ear-silicon-speakers-internet-voice.html
これはMEMSという「シリコンスピーカー」で従来の振動板ではなく、無数のNEDアクチュエーターという薄膜が電圧に応じて動くことで空気を振動させ音を出すようです。薄膜というか静電アクチュエーターという帯電の異なるもの同士の力を使って動くもののようです。記事中の動画を見るとわかりやすいと思います。電圧で動くので普通にイヤフォンに使えそうですね。効率が高いのが特徴で、実験的には音は出せてるそう。
MEMSってリボン型をシリコンでやってるように思いますが、参照リンクをクリックしたらネイチャーに飛んだので読むのやめました 笑
2019年10月26日
Bluetooth 5.0でのロングレンジモード
Bluetoothの到達距離について、新しい動画が投稿されています。
こちらはBluetooth 5.0で導入されたロングレンジモード(Coded)を用いて1.5kmまで届くという実験です。動画の後半ではロングレンジモードの説明がなされています。ロングレンジモードはLE Codedとも呼ばれていますが(というかLong Range modeが俗称か)、誤り訂正をコード化することによってデータレートが低くなるのと引き換えにより長距離届くことを保証するというモードです。コード化に応じて500K(bps)と125Kのモードがあります。
前にも書いた到達距離計算機を用いて、同条件でLE 1Mを500Kまたは125Kと変えると距離が長くなりますがこの二つがロングレンジモードです。
こちらはBluetooth 5.0で導入されたロングレンジモード(Coded)を用いて1.5kmまで届くという実験です。動画の後半ではロングレンジモードの説明がなされています。ロングレンジモードはLE Codedとも呼ばれていますが(というかLong Range modeが俗称か)、誤り訂正をコード化することによってデータレートが低くなるのと引き換えにより長距離届くことを保証するというモードです。コード化に応じて500K(bps)と125Kのモードがあります。
前にも書いた到達距離計算機を用いて、同条件でLE 1Mを500Kまたは125Kと変えると距離が長くなりますがこの二つがロングレンジモードです。
2019年10月25日
Bluetoothは「近距離通信技術」か?
下記はBluetoothの誤解はBTが近距離通信技術と認識されてることで、実際の到達距離は1kmから1mまで機器の実装や環境によるよ、というBluetooth SIGによる記事です。なかにBluetoothの到達距離計算ツールと様々な要因が書かれてます。
ちょっと要素はむずかしいですが、Path Loss(経路ロス)を屋外とか家とか変えるだけでも面白いですね。
https://www.bluetooth.com/bluetooth-technology/range/?utm_source=tw&utm_medium=social&utm_term=social&utm_content=tw-btrange-boost&utm_campaign=range
これは下記のBluetooth Smart(BLE)機器はどこまで届くか、という動画投稿のフォローアップだと思います。
https://twitter.com/BluetoothSIG/status/1187075479569866752
ようはBTも普通の電波だっていうところですね。そこで思うんですが、Bluetoothも電波ならアンテナが重要になると思います。アンテナには波長に応じで効率的な長さが決まっています。
ちょっと計算すると2.4GHzでの波長は12.4cmとなるので、必要なアンテナ長は1/2波長の6.2cm、あるいは1/4波長の3.1cmのはずです。たいていのスマホは上部にWIFI/BTアンテナがあるので1/4波長だと思います。
ただ問題は受け手の機器が完全ワイヤレスみたいに小さいとアンテナがそんな長く取れないことですね。
仮に5GHz帯だと波長は6cmなので必要なアンテナ長は3cmまたは1.5cmです。これなら小型機器でも向いてるように見えます。
ただ到達距離は波長が半分になるとだいたい1/4になるので、逆に高出力が求められてしまいますね。
また屋内で使われることが多いBluetoothでは反射が重要になりますね。アマ無線やってた(やってる)人はEスポとかぱっと出てくると思いますが(月面反射っていう人も中にはいるかも)、BTも反射を考慮した設計が求められるでしょう。完全ワイヤレスでもEarinの頃から言われてました。
ちょっと要素はむずかしいですが、Path Loss(経路ロス)を屋外とか家とか変えるだけでも面白いですね。
https://www.bluetooth.com/bluetooth-technology/range/?utm_source=tw&utm_medium=social&utm_term=social&utm_content=tw-btrange-boost&utm_campaign=range
これは下記のBluetooth Smart(BLE)機器はどこまで届くか、という動画投稿のフォローアップだと思います。
https://twitter.com/BluetoothSIG/status/1187075479569866752
ようはBTも普通の電波だっていうところですね。そこで思うんですが、Bluetoothも電波ならアンテナが重要になると思います。アンテナには波長に応じで効率的な長さが決まっています。
ちょっと計算すると2.4GHzでの波長は12.4cmとなるので、必要なアンテナ長は1/2波長の6.2cm、あるいは1/4波長の3.1cmのはずです。たいていのスマホは上部にWIFI/BTアンテナがあるので1/4波長だと思います。
ただ問題は受け手の機器が完全ワイヤレスみたいに小さいとアンテナがそんな長く取れないことですね。
仮に5GHz帯だと波長は6cmなので必要なアンテナ長は3cmまたは1.5cmです。これなら小型機器でも向いてるように見えます。
ただ到達距離は波長が半分になるとだいたい1/4になるので、逆に高出力が求められてしまいますね。
また屋内で使われることが多いBluetoothでは反射が重要になりますね。アマ無線やってた(やってる)人はEスポとかぱっと出てくると思いますが(月面反射っていう人も中にはいるかも)、BTも反射を考慮した設計が求められるでしょう。完全ワイヤレスでもEarinの頃から言われてました。