アスキーに「Astell&Kernの「AK ZERO1」を聴く、平面駆動/ダイナミック/BA型の異種アンサンブル」の記事を書きました。
https://ascii.jp/elem/000/004/075/4075708/
Music TO GO!
2021年10月18日
アスキーに「HIFIMANが新DAC「HYMALAYA DAC」開発、小型のマルチビットDAC」の記事を執筆しました
アスキーに「HIFIMANが新DAC「HYMALAYA DAC」開発、小型のマルチビットDAC」の記事を執筆しました。
https://ascii.jp/elem/000/004/071/4071119/
https://ascii.jp/elem/000/004/071/4071119/
2021年09月24日
Oriolusのハイエンドイヤフォン「Mellianus JP」レビュー
OriolusのMellianus JPは生産終了した先代Mellianusのマイナーチェンジモデルです。Oriolusの「JPシリーズ」はOriolus本社から全面的なサポートを受けた上に、日本代理店と関連会社のノウハウで作り出したOriolusハイエンドラインナップということです。

Mellianus JPは、先代Mellianusの音の傾向を維持しながら、低音域から高音域までさらにフラットになるようにチューニングされ、情報量とディテールをさらに増すという方向で音造りがなされたとのこと。そのポイントの一つとなるのがPW Audio社の特注のケーブルを採用するということです。これはPW audio社のノウハウを借りながら10数種類の候補を用意してもらい、その中で「Silver Liar」が一番目標に近いということで選ばれています。先代の片方10BAという構成は本機でも堅持されています。これは様々な試行錯誤の結果だということです。インピーダンスは36Ωで、出力音圧レベルは109dB/mWです。
Mellianus JPにはカスタムモデルもありますが、今回レビューするのはユニバーサルタイプです。カスタムモデルもユニバーサルモデルもチューニングは同じだとのことです。
ユニバーサルモデルは発売日が9月24日で価格はオープンですが推奨価格は税込みで385,000円。カスタムモデルは9月24日に受注開始(納期が2-3ヶ月ほど)で、価格はやはりオープンですが推奨価格は税込みで431,200円です。かなりのハイエンドモデルと言えます。

インプレッション
Vannuysのヘビーデューティーなケースに格納されています。ソフトケースですが、ちょっとやそっとの衝撃では大丈夫そうです。高価なモデルなので安心感は高いでしょう。

本体はシェルが透明で10個のドライバーが整然と配列されているのがよくわかります。シェルの透明度も高いですね。フェイスプレートはシルバーでOriolusのロゴが記されておりシンプルな感じです。
PW Audio製のケーブルはやはりシルバーで配色されていて豪華ですが、柔軟性は高く全体にそう重くはないので取り回しは大変ではないでしょう。プラグは4.4mm端子のみです。日本ディックス製Pentaconnブランドの立派なプラグで実際にかなりしっかりと接続できます。
ケーブルは2ピンのタイプで、旧UEやfinalのようにはめ込みのガイド溝のあるタイプですので2ピンでよく問題になる極性を間違うことはありません。これを買うクラスの人は多数ケーブルをお持ちだと思いますが、ガイド溝だけ気をつければ付け外しも硬くないのでリケーブルは簡単でしょう。

特徴的なのはノズルの先端のボア(穴)が4つもあいていることで、3つは金属のチューブが挿入されていて、一つはアクリルの無垢です。そのためノズルが太いので少しイヤーピースは嵌め込みにくい感じです。

デモ機には試用のイヤーピースが一組だけ入っていましたが(ウエブ画像はデモイヤピース)、SednaEarfit light shortが装着できました。装着感は良好で10ドライバーの割にシェルのサイズはそう大きくないので耳への座りも良いですね。重さもさほどではありません。

試聴はAKのA&Futura SE180で行いました。AK4497のSEM2を使用しています。能率は適度で通常ゲインで十分に音量は取れます。
音は厚みがあって豊かなサウンドで高級オーディオのような品格高い音です。音はシャーブですが、マルチBAにありがちな細身な音ではなく、どっしりとした太身の音です。しかし、もちろんハイエンドイヤフォンですから大味なわけではありません。豊かで洋々としたサウンドですが、細かいところに耳を傾けると楽器の音や声質がよくわかります。アカペラの多声曲を聴くと煌めくようなソプラノからどっしりとしたバリトンやバスまで様々な声質が巧みに描き分けられています。着色感は少ない方でここはBAらしい音色です。
音の広がりも良く、ホールに響き渡るように広い音空間が感じられます。一方でヴォーカルはわりと耳に近い方ですから、広いホールの前方席で聴いている感じですね。
低域はたっぷりとあって迫力があります。これも音のスケール感の高さに貢献している感じです。

AK SE180とMellianus JP
高再現性の音ですがモニター系の音ではなく、聴いて楽しむ系の音造りと言えるでしょうね。それでいて音楽の細部の表現までしっかりと再現されていて、音鳴り自体を楽しむハイ・ファイオーディオ向けのサウンドでもあります。
楽器音の再現はとても鮮明で、弦楽器のピッキングの切れ味も気持ち良く聞くことができます。良録音のサウンドチェック用音源で聴くとかなり細かい音まで抽出されて鮮明に聴き取ることができます。音が漆黒に消え入る時の残響感も見事で情報量の多さには圧倒されます。SE180/SEM2の性能を極限まで楽しめることでしょう。

SE180のDACカードをES9038ProのSEM1に変更するとサウンドはもっとアクティブで音場により深みが感じられ、ヴォーカルはより鮮明に聞き取れるようになります。SEM2に比べるとよりシンプルな楽曲で音再現の凄みを感じられます。ES9038Proの圧倒的な性能をしっかりと再現している点はさすがです。
全体的に音性能はかなり高いのですが、あまり分析的にならずによく音楽の楽しさを伝えているサウンドです。
まとめ
個人的には帯域バランスや音色なども含めてかなり完成度が高く、あえてリケーブルする必要はないかなとは思います。そういう意味では今回採用したPW Audioのケーブルは十分狙い通りだったと言えます。
全体にBAらしい着色感のなさや音のタイトさを生かしながらも、ある意味でダイナミック的な迫力や分厚さを兼ね備えた音です。情報量の多さもあいまってハイエンドの凄みを堪能できるサウンドですが、客観的なプロデューサー向けの音ではなく週末に好きな音楽を楽しみたくなる感じの音です。最高クラスのDAPを持っている方で、音楽を楽しみたいイヤフォンを探している人にお勧めです。


Mellianus JPは、先代Mellianusの音の傾向を維持しながら、低音域から高音域までさらにフラットになるようにチューニングされ、情報量とディテールをさらに増すという方向で音造りがなされたとのこと。そのポイントの一つとなるのがPW Audio社の特注のケーブルを採用するということです。これはPW audio社のノウハウを借りながら10数種類の候補を用意してもらい、その中で「Silver Liar」が一番目標に近いということで選ばれています。先代の片方10BAという構成は本機でも堅持されています。これは様々な試行錯誤の結果だということです。インピーダンスは36Ωで、出力音圧レベルは109dB/mWです。
Mellianus JPにはカスタムモデルもありますが、今回レビューするのはユニバーサルタイプです。カスタムモデルもユニバーサルモデルもチューニングは同じだとのことです。
ユニバーサルモデルは発売日が9月24日で価格はオープンですが推奨価格は税込みで385,000円。カスタムモデルは9月24日に受注開始(納期が2-3ヶ月ほど)で、価格はやはりオープンですが推奨価格は税込みで431,200円です。かなりのハイエンドモデルと言えます。

インプレッション
Vannuysのヘビーデューティーなケースに格納されています。ソフトケースですが、ちょっとやそっとの衝撃では大丈夫そうです。高価なモデルなので安心感は高いでしょう。


本体はシェルが透明で10個のドライバーが整然と配列されているのがよくわかります。シェルの透明度も高いですね。フェイスプレートはシルバーでOriolusのロゴが記されておりシンプルな感じです。
PW Audio製のケーブルはやはりシルバーで配色されていて豪華ですが、柔軟性は高く全体にそう重くはないので取り回しは大変ではないでしょう。プラグは4.4mm端子のみです。日本ディックス製Pentaconnブランドの立派なプラグで実際にかなりしっかりと接続できます。
ケーブルは2ピンのタイプで、旧UEやfinalのようにはめ込みのガイド溝のあるタイプですので2ピンでよく問題になる極性を間違うことはありません。これを買うクラスの人は多数ケーブルをお持ちだと思いますが、ガイド溝だけ気をつければ付け外しも硬くないのでリケーブルは簡単でしょう。


特徴的なのはノズルの先端のボア(穴)が4つもあいていることで、3つは金属のチューブが挿入されていて、一つはアクリルの無垢です。そのためノズルが太いので少しイヤーピースは嵌め込みにくい感じです。

デモ機には試用のイヤーピースが一組だけ入っていましたが(ウエブ画像はデモイヤピース)、SednaEarfit light shortが装着できました。装着感は良好で10ドライバーの割にシェルのサイズはそう大きくないので耳への座りも良いですね。重さもさほどではありません。


試聴はAKのA&Futura SE180で行いました。AK4497のSEM2を使用しています。能率は適度で通常ゲインで十分に音量は取れます。
音は厚みがあって豊かなサウンドで高級オーディオのような品格高い音です。音はシャーブですが、マルチBAにありがちな細身な音ではなく、どっしりとした太身の音です。しかし、もちろんハイエンドイヤフォンですから大味なわけではありません。豊かで洋々としたサウンドですが、細かいところに耳を傾けると楽器の音や声質がよくわかります。アカペラの多声曲を聴くと煌めくようなソプラノからどっしりとしたバリトンやバスまで様々な声質が巧みに描き分けられています。着色感は少ない方でここはBAらしい音色です。
音の広がりも良く、ホールに響き渡るように広い音空間が感じられます。一方でヴォーカルはわりと耳に近い方ですから、広いホールの前方席で聴いている感じですね。
低域はたっぷりとあって迫力があります。これも音のスケール感の高さに貢献している感じです。


AK SE180とMellianus JP
高再現性の音ですがモニター系の音ではなく、聴いて楽しむ系の音造りと言えるでしょうね。それでいて音楽の細部の表現までしっかりと再現されていて、音鳴り自体を楽しむハイ・ファイオーディオ向けのサウンドでもあります。
楽器音の再現はとても鮮明で、弦楽器のピッキングの切れ味も気持ち良く聞くことができます。良録音のサウンドチェック用音源で聴くとかなり細かい音まで抽出されて鮮明に聴き取ることができます。音が漆黒に消え入る時の残響感も見事で情報量の多さには圧倒されます。SE180/SEM2の性能を極限まで楽しめることでしょう。

SE180のDACカードをES9038ProのSEM1に変更するとサウンドはもっとアクティブで音場により深みが感じられ、ヴォーカルはより鮮明に聞き取れるようになります。SEM2に比べるとよりシンプルな楽曲で音再現の凄みを感じられます。ES9038Proの圧倒的な性能をしっかりと再現している点はさすがです。
全体的に音性能はかなり高いのですが、あまり分析的にならずによく音楽の楽しさを伝えているサウンドです。
まとめ
個人的には帯域バランスや音色なども含めてかなり完成度が高く、あえてリケーブルする必要はないかなとは思います。そういう意味では今回採用したPW Audioのケーブルは十分狙い通りだったと言えます。
全体にBAらしい着色感のなさや音のタイトさを生かしながらも、ある意味でダイナミック的な迫力や分厚さを兼ね備えた音です。情報量の多さもあいまってハイエンドの凄みを堪能できるサウンドですが、客観的なプロデューサー向けの音ではなく週末に好きな音楽を楽しみたくなる感じの音です。最高クラスのDAPを持っている方で、音楽を楽しみたいイヤフォンを探している人にお勧めです。
2021年09月18日
アスキーに「テクニクスがLDAC対応で第2世代の完全ワイヤレス「EAH-AZ60/AZ40」」の記事を執筆しました
アスキーに「テクニクスがLDAC対応で第2世代の完全ワイヤレス「EAH-AZ60/AZ40」」の記事を執筆しました。
https://ascii.jp/elem/000/004/069/4069083/
https://ascii.jp/elem/000/004/069/4069083/
アスキーに「珍しいアクティブクロスオーバー対応のワイヤレスポータブルシステム、zionote」の記事を執筆しました
アスキーに「珍しいアクティブクロスオーバー対応のワイヤレスポータブルシステム、zionote」の記事を執筆しました。
https://ascii.jp/elem/000/004/066/4066748/
https://ascii.jp/elem/000/004/066/4066748/
2021年08月21日
アスキーに「Astell&KernのOpenAppサービスでApple Musicが利用可能に」の記事を執筆
アスキーに「Astell&KernのOpenAppサービスでApple Musicが利用可能に」の記事を執筆しました。
https://ascii.jp/elem/000/004/064/4064530/
https://ascii.jp/elem/000/004/064/4064530/
2021年07月19日
初代ウォークマンのオマージュ「Oriolus DPS-L2」レビュー
去る7月1日はウォークマンの日で、42年前に記念すべき初代ウォークマンが誕生しました。そしてユニークなDAP製品がOriolusから発売されます。初代ウォークマンそっくりのデジタルオーディオプレーヤー「Oriolus DPS-L2」です。
DPS-L2は外見は初代ウォークマンそっくりのカセットプレーヤー風ですが、中身は最新のデジタルプレーヤーです。いわば「レトロとモダンの融合」です。
Oriolus DPS-L2

左が初代ウォークマン
* TPS-L2 初代ウォークマン
まず初代ウォークマンTPS-L2について多少解説します。この初代ウォークマンの登場によってはじめて屋外でステレオ再生で音楽を楽しむことができるようになり、音楽を外で楽しむ文化が生まれたと言っても良いでしょう。それまで外で音楽を聴くのはFMポケットラジオなどだったわけです。

初代ウォークマンTPS-L2
ソニーのサイトにその誕生物語があります。
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/2-05.html#block3
端的に言うとモノラルだった取材用の「プレスマン」をステレオ再生可能にして、録音機能を省いたのが初代ウォークマンと言えます。そのためマイクも付いていたのでホットライン機能(今でいう外音取り込み・ヒアスルー機能)も搭載されていました。これもDPS-L2に引き継がれています。
面白いのは上リンクのプレスマン改造機を見るとわかりますが、ケーブルが二個の端子から今のバランス駆動のように2本出てます。これは当時ステレオミニ端子がなかったのでこのようにモノラル端子を二個使用してステレオ再生できる工夫をしていたからのようです。今でいうと3.5mmを二本使うTRSバランスのようなものですね。しかし初代ウォークマンの発売時までにはステレオミニ端子が搭載されたので、端子が余り「恋人と聴けるように」と宣伝してたGuys&Dolls(のちにA/B)になって二本端子がそのまま活かされたと思います。

初代ウォークマンの内部メカ
TPS-L2は当時のソニー製品らしく外も中もきちんと設計されていて、実際にいま音を聴いてみてもそう悪くありません。

初代ウォークマンとカスタムイヤフォンJH Audio Layla
* Oriolus DPS-L2
OriolusのDPS-L2はその初代ウォークマンのオマージュともいうべき製品です。
こうした製品はソニー自身が初代ウォークマン発売40周年を記念してA100シリーズをベースにしたNW-A100TPSがあります。A100TPSは画面は凝っていましたが、ハード的には大きな差はありません。しかしながらDPS-L2の方はさらに動作ボタンをメカボタンにするなどより凝った設計がなされている点がポイントです。

大きいほうが初代ウォークマン
このこだわりはかなり細かいところまで考えられていて、初代ウォークマンのトーン切り替えスイッチがあったところには、似たようなデザインでゲイン切り替えスイッチが設けられています。またHotline機能も同様に取り入れられています。これはオープンエアヘッドフォンを採用していた当時に比べると、密閉型のイヤフォンの多い今の方が使える機能でしょう。
オレンジがHOTLINEボタン
二者を並べてみると重さはそう変わらないのですが、DPS-L2の方が一回り小さく作られています。メカボタンの感触はDSP-L2では軽めですが、これは実際のテープのメカのようになにかを押し込むわけではないので致し方ないでしょう。

DPS-L2の筐体はアルミ合金製で、初代同様にスライド方式のアナログボリュームコントロールが左右別に採用されています。これはアルプス製の高精度のタイプです(バランス対応)。再生やスキップボタンもタッチではなくメカボタンで再現されています。
再生ボタンでは押すとメカ機構で再生ロックがかかるという機械式ならではの仕組みも組み込まれています。だから止めるためには停止ボタンを押して再生ボタンを解除することになります。これは当時の仕組みにそった形です。

こうしたアナログ・レトロ的な機能とは対照的にリモートでプレーヤーをコントールできる「Hiby Link」やUSB双方向データ通信など最新の技術も搭載されているのがDPS-L2のユニークな点です。Hiby LinkはスマートフォンにHiby MusicアプリをインストールすることでBluetooth接続によりアプリを使用してスマートフォン側でDPS-L2の内蔵音源のリスト表示や音楽の再生指示ができる機能です。
中身も半端ではなく、心臓部であるDACチップにはESS ES9038PROを採用しています。これはポータブルではなく据え置き用のハイエンドクラスのDACチップです。スペックも優れていてPCMは44kHz〜384kHz,DSDはDSD256までサポートしています。ヘッドフォンアンプはバランスとシングルエンドが別で6ch(バランス4ch,シングルエンド2ch)持っているという凝りようです。
内蔵メモリはなく楽曲はMicroSDに格納します。Bluetooth送信が可能なのでワイヤレスで聴くこともでき、AptXにも対応しています。USB-C端子によってPCからのデータの転送を行うことが可能で、USB-Cタイプのメモリを使うこともできるということです。USB端子はUSB DACとして使用することができ、この場合にはPCM192kHz,DSD128までに対応しています。
さらにUSB OTGケーブルを使用することで外部USB DACに出力することもできます。この場合はPCMが192kHz,DSD256まで対応しています。

このようにレトロでアナログな外観と最新最高クラスのデジタルの中身が組み合わされたユニークなDAPだと言えます。
* インプレッション
実際に操作する際には本体の蓋を開けてメニューボタンや前後ボタンで楽曲を選択して、再生や早送りはメカボタンを使うことになります。再生する時には再生ボタンをメカ的に押し込んでロックするとそのまま再生が始まって継続し、停止ボタンを押すとロックがカチッと外れて再生終了します。巻き戻しとスキップはその瞬間になされてロックはかからずボタンは戻ります。メカボタンでの操作はテープを実際に使っていた私もなかなかに楽しく、いまのユーザーならば新鮮な面白さがあるでしょう。
ただ液晶はタッチではなくサイズも小さいので曲が多い場合には、Hiby Linkと組み合わせて使うという使い方が一般的だと思います。Hiby Musicアプリを用意して、本体とスマホでBluetoothのペアリングをして、Hiby Musicを立ち上げて接続するとスマホのHiby Musicアプリに本体内蔵の音源がリストされます。
具体的に言うと、まず再生メカボタンを押し込んで再生状態(再生モードと言ったほうが良いかも)にして、曲選択をスマホ上のHiby Link(Hiby Musicアプリ)で行い、音量は本体のアナログスライダーで操作するのが最もやりやすい方法です。メカとスマホの混合です。

再生中はカセットテープのような画面が液晶に表示されるのも面白いんですが、ここはさすがにソニー純正のように「AHF」や「BHF」など実在したテープの名前は使えません。当時にはよく自分だけの好みの音楽を入れた"マイベスト"テープを編集してましたが、これは現在ではプレイリスト機能に相当しますね。
音質は4.4mmバランスでCampfire Audio ARAを使用して聞いてみました。音質レベルはかなり優れていて、音に豊かさと深みのあるオーディオらしい音です。
ESSらしいニュートラルな音調ですが乾いた感じは少なく、デジタルっぽさは少なめという点でオーディオ回路の高品質さが感じられます。このためにアナログ的な音楽の楽しさを堪能できると思います。ただしあまり真空管的な柔らかい音ではなく、あくまで端正でしっかりした高品位な音造りです。音の先鋭さと解像力の高さはESSらしい点で、高音はとても伸びやかでベルの響きがよどみなく美しく聴こえます。録音に含まれる細かな背景音もよく聞こえてリアルです。低域は誇張感がなく、ウッドベースの弦の擦れがよく聞こえます。中音域はクリアでヴォーカルが鮮明に楽しめます。
音はよく引き締まっていて緩みが少なく、ジッターの少なさがうかがえるのでここでもデジタル臭さは抑えられていると言えますね。帯域バランスも優れていて音質的にも大変優れています。
特にバランスがおすすめで、4.4mmで聴くとかなり力感があり太くて強い音が印象的です。パワフルで迫力がある音で、いわゆる「ガッツのある音」という昔オーディオフレーズが思い出されます。音の広がりもよく、スケール感もあります。
総じて言うと音質的にはトップクラスに引けを取らないくらいのかなり優れたDAPだと言えます。タッチ液晶を排したのも音質的にはプラスの効果があるのかもしれません。
このようにDPS-L2は遊び心満載の機材でありながらも、中身は最新・最高クラスの再生が楽しめるユニークな製品となっています。日本製よりも凝った初代ウォークマンへのオマージュ製品を中国が作るというのも面白いのですが、それだけ日本製品が他の国で愛されていたということの証しといえるでしょう。
DPS-L2は外見は初代ウォークマンそっくりのカセットプレーヤー風ですが、中身は最新のデジタルプレーヤーです。いわば「レトロとモダンの融合」です。

Oriolus DPS-L2

左が初代ウォークマン
* TPS-L2 初代ウォークマン
まず初代ウォークマンTPS-L2について多少解説します。この初代ウォークマンの登場によってはじめて屋外でステレオ再生で音楽を楽しむことができるようになり、音楽を外で楽しむ文化が生まれたと言っても良いでしょう。それまで外で音楽を聴くのはFMポケットラジオなどだったわけです。

初代ウォークマンTPS-L2
ソニーのサイトにその誕生物語があります。
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/2-05.html#block3
端的に言うとモノラルだった取材用の「プレスマン」をステレオ再生可能にして、録音機能を省いたのが初代ウォークマンと言えます。そのためマイクも付いていたのでホットライン機能(今でいう外音取り込み・ヒアスルー機能)も搭載されていました。これもDPS-L2に引き継がれています。
面白いのは上リンクのプレスマン改造機を見るとわかりますが、ケーブルが二個の端子から今のバランス駆動のように2本出てます。これは当時ステレオミニ端子がなかったのでこのようにモノラル端子を二個使用してステレオ再生できる工夫をしていたからのようです。今でいうと3.5mmを二本使うTRSバランスのようなものですね。しかし初代ウォークマンの発売時までにはステレオミニ端子が搭載されたので、端子が余り「恋人と聴けるように」と宣伝してたGuys&Dolls(のちにA/B)になって二本端子がそのまま活かされたと思います。


初代ウォークマンの内部メカ
TPS-L2は当時のソニー製品らしく外も中もきちんと設計されていて、実際にいま音を聴いてみてもそう悪くありません。

初代ウォークマンとカスタムイヤフォンJH Audio Layla
* Oriolus DPS-L2
OriolusのDPS-L2はその初代ウォークマンのオマージュともいうべき製品です。
こうした製品はソニー自身が初代ウォークマン発売40周年を記念してA100シリーズをベースにしたNW-A100TPSがあります。A100TPSは画面は凝っていましたが、ハード的には大きな差はありません。しかしながらDPS-L2の方はさらに動作ボタンをメカボタンにするなどより凝った設計がなされている点がポイントです。


大きいほうが初代ウォークマン
このこだわりはかなり細かいところまで考えられていて、初代ウォークマンのトーン切り替えスイッチがあったところには、似たようなデザインでゲイン切り替えスイッチが設けられています。またHotline機能も同様に取り入れられています。これはオープンエアヘッドフォンを採用していた当時に比べると、密閉型のイヤフォンの多い今の方が使える機能でしょう。


オレンジがHOTLINEボタン
二者を並べてみると重さはそう変わらないのですが、DPS-L2の方が一回り小さく作られています。メカボタンの感触はDSP-L2では軽めですが、これは実際のテープのメカのようになにかを押し込むわけではないので致し方ないでしょう。

DPS-L2の筐体はアルミ合金製で、初代同様にスライド方式のアナログボリュームコントロールが左右別に採用されています。これはアルプス製の高精度のタイプです(バランス対応)。再生やスキップボタンもタッチではなくメカボタンで再現されています。
再生ボタンでは押すとメカ機構で再生ロックがかかるという機械式ならではの仕組みも組み込まれています。だから止めるためには停止ボタンを押して再生ボタンを解除することになります。これは当時の仕組みにそった形です。

こうしたアナログ・レトロ的な機能とは対照的にリモートでプレーヤーをコントールできる「Hiby Link」やUSB双方向データ通信など最新の技術も搭載されているのがDPS-L2のユニークな点です。Hiby LinkはスマートフォンにHiby MusicアプリをインストールすることでBluetooth接続によりアプリを使用してスマートフォン側でDPS-L2の内蔵音源のリスト表示や音楽の再生指示ができる機能です。
中身も半端ではなく、心臓部であるDACチップにはESS ES9038PROを採用しています。これはポータブルではなく据え置き用のハイエンドクラスのDACチップです。スペックも優れていてPCMは44kHz〜384kHz,DSDはDSD256までサポートしています。ヘッドフォンアンプはバランスとシングルエンドが別で6ch(バランス4ch,シングルエンド2ch)持っているという凝りようです。
内蔵メモリはなく楽曲はMicroSDに格納します。Bluetooth送信が可能なのでワイヤレスで聴くこともでき、AptXにも対応しています。USB-C端子によってPCからのデータの転送を行うことが可能で、USB-Cタイプのメモリを使うこともできるということです。USB端子はUSB DACとして使用することができ、この場合にはPCM192kHz,DSD128までに対応しています。
さらにUSB OTGケーブルを使用することで外部USB DACに出力することもできます。この場合はPCMが192kHz,DSD256まで対応しています。



このようにレトロでアナログな外観と最新最高クラスのデジタルの中身が組み合わされたユニークなDAPだと言えます。
* インプレッション
実際に操作する際には本体の蓋を開けてメニューボタンや前後ボタンで楽曲を選択して、再生や早送りはメカボタンを使うことになります。再生する時には再生ボタンをメカ的に押し込んでロックするとそのまま再生が始まって継続し、停止ボタンを押すとロックがカチッと外れて再生終了します。巻き戻しとスキップはその瞬間になされてロックはかからずボタンは戻ります。メカボタンでの操作はテープを実際に使っていた私もなかなかに楽しく、いまのユーザーならば新鮮な面白さがあるでしょう。
ただ液晶はタッチではなくサイズも小さいので曲が多い場合には、Hiby Linkと組み合わせて使うという使い方が一般的だと思います。Hiby Musicアプリを用意して、本体とスマホでBluetoothのペアリングをして、Hiby Musicを立ち上げて接続するとスマホのHiby Musicアプリに本体内蔵の音源がリストされます。
具体的に言うと、まず再生メカボタンを押し込んで再生状態(再生モードと言ったほうが良いかも)にして、曲選択をスマホ上のHiby Link(Hiby Musicアプリ)で行い、音量は本体のアナログスライダーで操作するのが最もやりやすい方法です。メカとスマホの混合です。

再生中はカセットテープのような画面が液晶に表示されるのも面白いんですが、ここはさすがにソニー純正のように「AHF」や「BHF」など実在したテープの名前は使えません。当時にはよく自分だけの好みの音楽を入れた"マイベスト"テープを編集してましたが、これは現在ではプレイリスト機能に相当しますね。
音質は4.4mmバランスでCampfire Audio ARAを使用して聞いてみました。音質レベルはかなり優れていて、音に豊かさと深みのあるオーディオらしい音です。
ESSらしいニュートラルな音調ですが乾いた感じは少なく、デジタルっぽさは少なめという点でオーディオ回路の高品質さが感じられます。このためにアナログ的な音楽の楽しさを堪能できると思います。ただしあまり真空管的な柔らかい音ではなく、あくまで端正でしっかりした高品位な音造りです。音の先鋭さと解像力の高さはESSらしい点で、高音はとても伸びやかでベルの響きがよどみなく美しく聴こえます。録音に含まれる細かな背景音もよく聞こえてリアルです。低域は誇張感がなく、ウッドベースの弦の擦れがよく聞こえます。中音域はクリアでヴォーカルが鮮明に楽しめます。
音はよく引き締まっていて緩みが少なく、ジッターの少なさがうかがえるのでここでもデジタル臭さは抑えられていると言えますね。帯域バランスも優れていて音質的にも大変優れています。
特にバランスがおすすめで、4.4mmで聴くとかなり力感があり太くて強い音が印象的です。パワフルで迫力がある音で、いわゆる「ガッツのある音」という昔オーディオフレーズが思い出されます。音の広がりもよく、スケール感もあります。
総じて言うと音質的にはトップクラスに引けを取らないくらいのかなり優れたDAPだと言えます。タッチ液晶を排したのも音質的にはプラスの効果があるのかもしれません。
このようにDPS-L2は遊び心満載の機材でありながらも、中身は最新・最高クラスの再生が楽しめるユニークな製品となっています。日本製よりも凝った初代ウォークマンへのオマージュ製品を中国が作るというのも面白いのですが、それだけ日本製品が他の国で愛されていたということの証しといえるでしょう。
アスキーにLuxury & Precision W2で、Apple Musicのハイレゾ・ロスレスを楽しむの記事を執筆しました
アスキーにLuxury & Precision W2で、Apple Musicのハイレゾ・ロスレスを楽しむの記事を執筆しました。
https://ascii.jp/elem/000/004/059/4059702/
https://ascii.jp/elem/000/004/059/4059702/
アスキーにジャック変更が可能、iPhoneで高音質イヤホンを手軽に使える「AS2000 Lightning Adapter」の記事を執筆しました
アスキーにジャック変更が可能、iPhoneで高音質イヤホンを手軽に使える「AS2000 Lightning Adapter」の記事を執筆しました。
https://ascii.jp/elem/000/004/058/4058313/
https://ascii.jp/elem/000/004/058/4058313/
2021年05月26日
iPhoneに好適なコンパクトDAC、LUXURY & PRECISION W2
LUXURY & PRECISION W2はいわゆるドングル型・スティック型と呼ばれるポータブルDAC内蔵ヘッドフォンアンプです。PCにも使用できますが、バスパワーでの動作が可能でコンパクトなのでスマホ向けに最適です。特に標準添付のケーブルでアダプタなしにiPhoneに直結できるのでiPhoneに向いています。

Luxury & Precision(楽彼)は何回か書いていますが中国のオーディオブランドで、はじめはHeadFiなど海外マニアックフォーラムで人気を集めていましたが、2018年からサイラスが国内でも扱いを始めました。L&Pは一時期うちでもよく書いていたColorFly C4の流れを汲む会社でもあります。最近では世界初のディスクリート方式マルチビットDAC搭載のポータブルプレーヤー「L&P P6とP6Pro」を発表して話題になりました。
LUXURY & PRECISION W2は同様なスティック型DAC内蔵アンプのLUXURY & PRECISION W1の上位モデルです。価格は39,600円(税込)です。

iPhone12 Proとライトニングケーブルで接続
* 特徴
1. iOS、Android、PCの全てに対応可能
W2は対応機種が広く、USB-C to USB-C, USB-C to Litghtning, USB-B変換アダプターが付属しているので、iPhoneやAndroid、PCに広く対応しています。

2. DACはCS43198をデュアル搭載
CS43198は久しぶりに開発されたシーラスロジックの最新DACチップで、長らくこの座にあった4398の後継でもあります。シーラスの基準のMasterHIFIというハイグレード製品ですが、主眼としてはコンパクトで低消費電力なので、ポータブル製品向けと言えると思います。
CS43198は同社のハイレゾDAPであるL4にも搭載されていますし、他ではA&K SR15やiBasso DX300などにも採用されています。W2では最大131dBのS/N比を実現しているということです。
3. 4.4mm端子でバランス出力対応
W2には3.5mmシングルエンド端子と4.4mmバランス端子が採用されています。 W2では特にバランス時の性能が圧巻で、歪みがバランス時にはシステムとして0.00012%(バランス出力,300Ω)と超低歪みでDACチップの仕様より優れているとしています。これはにわかには信じがたいですが、実際に音を聞いてみると納得します。これがバスパワーで動作しているというのはちょっと驚きますね。バランス端子は日本Dics製Pentaconnジャックです。
4. 鳴らしにくいヘッドフォンにも、高感度IEMにも対応
W2はバランス時に230mW/@300Ωとハイパワーであり、さらにゲイン切り替えでHighとLowの2段階のゲイン切り替えが可能なので様々なヘッドフォンやイヤフォンに対応ができます。
またW2は低消費電力でもあり、USBチップとDACチップ用に別々の電源を備えているという凝った設計を採用しています。
5. 豊富な音質調整のオプション
W2は豊富なデジタル処理が可能です。イコライザーはClassic/Jazz/Rock/Pop/Bass/Movie/Gameのモードが可能、さらにDACフィルター設定でFAST/SLOW/NOS/LL FAST/LL SLOWが設定可能です。
またチューニング切り替えがあって、リラックスしてポップスやボーカル向けのTune01と繊細で情報量が多くオーケストラ向きというTune02が用意されています。
6. SPDIF出力可能
いったんアナログに落として劣化することなく、直接スマホからデジタル信号を取り出して他のDACに送ることができます。端子はイヤフオン端子と共用です。
これによって他の据え置きDACに接続することも可能です。
7 その他

本体には0.91型モノカラー有機ELのディスプレイが搭載されていて、入力サンプルレートやモードなどが表示されます。本体のサイズは60x22x12.5mmで22gと軽量です。
* インプレッション
W2は極めてコンパクトでかつ軽量です。スマホに取り付けるタイプは重いとケーブルの負担になりますが、W2はまずそうしたことはないでしょう。作りはL&Pらしいメカニカルな角ばった形で背面にはカーボン風のパネルが採用されていて小さい割にはなかなか高級感があります。
ケーブルはUSB-C to USB-CとUSB-C to ライトニングの二つとUSB-CとUSB-Bの変換コネクタが付属しています。ライトニングでiPhoneと接続し、USB-CでAndroidスマホやノートPC、そしてアダプタを取り付けてデスクトップPCとマルチに接続が可能です。ちなみにケーブルについては付属品ではなく無償の同梱品という扱いになるため色や長さなどは予告なしに変更になる場合があるということです。
なおファームウェアアップグレードについては国内公式のサポートはできないが(ソフトは英語のみでかつWindows限定なので国内での案内は難しいとのこと)、国内正規版は海外モデルと同じく、メーカー発表のツールでFWの更新が可能だそうです。

本体側の端子はUSB-Cと3.5mm、4.4mmのイヤフォン端子があり、液晶パネルと二つのボタンが搭載されています。ボタンはモード切り替えと音量上下および設定値変更に使います。ボタンを押してモードを選択して上下キーで値を変更するという形式です。
接続は簡単で、USBケーブルをスマホに接続してイヤフォンを端子に接続するだけで使用ができます。iPhoneと試しましたが、あっさりと認識しました。音を出す前にゲインを調整したほうがよいかもしれません。Amazon Music HDの出力確認をすると端末は192kHz/24bit対応でハイレゾ出力ができているのがわかります。
設定が多いんですがまずはデフォルトの状態で聴き始めます。音質はたしかにSNの高さを感じるようにメリハリがくっきりとした音で小さい音もかなりしっかりと明瞭に聞こえます。小さいと言って侮るなかれというくらいかなりレベルが高い音質で、バスパワーでこれだけ引き出せるのはちょっと驚きです。
DACフィルタの効きはわりと大きくてそれなりに音が大きく変わります。この手の設定では違いが大きい方ですね。SNが高いのでわかりやすいというのもあるかもしれません。私はSLOW設定が好きですね、
EQも大きく音が変わりますが、W2の音自体がHIFI風なのであまり味付けをするよりは音楽はNormalのままで良いかなと思います。チューニング切り替えは02だとやや誇張感があるので、低価格イヤフォンなどでは変えても良いですが、ハイエンド系では01を使用した方が良いように思います。W2の基本的な音質が高いので設定はいろいろいじれますが、デフォルトが良いように思いますね。イヤフオンによってはいろいろと変えてみるのもよいかもしれません。
ゲインはイヤフォンはダイナミックでもBAでもLOWで良いように感じますが、低能率ヘッドフォンをつけるときはHIGHでバランスが良いですね。
3.5mmではイヤフオン的には切れ味の鋭いFAudioのMajorがなかなか相性がよいように感じました。

バランスでARAと組み合わせ
CampfireのARAで同じケーブルで3.5mmと4.4mmバランスで聞いてみます。
4.4mmではバランスらしく力強さが一段と増して、空間的な広がりもいっそうよくなります。解像力は極めて高くてかなり細かい音も拾います。楽器の擦れている音は圧巻です。たしかにバランスで聞いているのが一番ハイレベルで、力感だけではなく歪みなどもこちらの方が端正で優れているように感じられます。音の歯切れが良くARAの鋭い切れ味もよく活かせます。このくらいのハイレベルな音がスマホ+ちょっと付の機材で出るのは不思議な感覚でさえあります。
聞いているとシーラスの音というよりはESSっぽい感じさえしますね。電子設計がかなり際立っているのでしょう。DACのスペックよりシステムのスペックが上というとにわかには信じられないですが、音を聞いていると嘘ではないような気もします。3.5mmでも十分良いんですが4.4mmで聞くとちょっと後戻りできなくなります。絶対にバランスがオススメです。

Mac上のTIDALアプリで使用
Macに使用してみましたが、同様に簡単に接続してあっさり音が出ます。仕事をしながら使うにもいいですね。
ちなみにW1と比較するとW1もかなり良い音ですが、やはりW2はさらにレベルが高いというか音の鮮明さがかなり上です。驚くほどの音と言って良い感じがします。W2がおすすめです。

左がW1
* まとめ
コンパクトで多機能、そしてバランスでの音の良さは特筆ものです。こんな小型デバイスとは思えません。細かい音が再生できるという点ではハイレゾ再生に向いていますし、iPhoneでストリーミングを高音質で楽しみたい、話題のApple Musicロスレスを楽しみたいという場合にうってつけの機材です。



Luxury & Precision(楽彼)は何回か書いていますが中国のオーディオブランドで、はじめはHeadFiなど海外マニアックフォーラムで人気を集めていましたが、2018年からサイラスが国内でも扱いを始めました。L&Pは一時期うちでもよく書いていたColorFly C4の流れを汲む会社でもあります。最近では世界初のディスクリート方式マルチビットDAC搭載のポータブルプレーヤー「L&P P6とP6Pro」を発表して話題になりました。
LUXURY & PRECISION W2は同様なスティック型DAC内蔵アンプのLUXURY & PRECISION W1の上位モデルです。価格は39,600円(税込)です。

iPhone12 Proとライトニングケーブルで接続
* 特徴
1. iOS、Android、PCの全てに対応可能
W2は対応機種が広く、USB-C to USB-C, USB-C to Litghtning, USB-B変換アダプターが付属しているので、iPhoneやAndroid、PCに広く対応しています。



2. DACはCS43198をデュアル搭載
CS43198は久しぶりに開発されたシーラスロジックの最新DACチップで、長らくこの座にあった4398の後継でもあります。シーラスの基準のMasterHIFIというハイグレード製品ですが、主眼としてはコンパクトで低消費電力なので、ポータブル製品向けと言えると思います。
CS43198は同社のハイレゾDAPであるL4にも搭載されていますし、他ではA&K SR15やiBasso DX300などにも採用されています。W2では最大131dBのS/N比を実現しているということです。
3. 4.4mm端子でバランス出力対応
W2には3.5mmシングルエンド端子と4.4mmバランス端子が採用されています。 W2では特にバランス時の性能が圧巻で、歪みがバランス時にはシステムとして0.00012%(バランス出力,300Ω)と超低歪みでDACチップの仕様より優れているとしています。これはにわかには信じがたいですが、実際に音を聞いてみると納得します。これがバスパワーで動作しているというのはちょっと驚きますね。バランス端子は日本Dics製Pentaconnジャックです。
4. 鳴らしにくいヘッドフォンにも、高感度IEMにも対応
W2はバランス時に230mW/@300Ωとハイパワーであり、さらにゲイン切り替えでHighとLowの2段階のゲイン切り替えが可能なので様々なヘッドフォンやイヤフォンに対応ができます。
またW2は低消費電力でもあり、USBチップとDACチップ用に別々の電源を備えているという凝った設計を採用しています。
5. 豊富な音質調整のオプション
W2は豊富なデジタル処理が可能です。イコライザーはClassic/Jazz/Rock/Pop/Bass/Movie/Gameのモードが可能、さらにDACフィルター設定でFAST/SLOW/NOS/LL FAST/LL SLOWが設定可能です。
またチューニング切り替えがあって、リラックスしてポップスやボーカル向けのTune01と繊細で情報量が多くオーケストラ向きというTune02が用意されています。
6. SPDIF出力可能
いったんアナログに落として劣化することなく、直接スマホからデジタル信号を取り出して他のDACに送ることができます。端子はイヤフオン端子と共用です。
これによって他の据え置きDACに接続することも可能です。
7 その他

本体には0.91型モノカラー有機ELのディスプレイが搭載されていて、入力サンプルレートやモードなどが表示されます。本体のサイズは60x22x12.5mmで22gと軽量です。
* インプレッション
W2は極めてコンパクトでかつ軽量です。スマホに取り付けるタイプは重いとケーブルの負担になりますが、W2はまずそうしたことはないでしょう。作りはL&Pらしいメカニカルな角ばった形で背面にはカーボン風のパネルが採用されていて小さい割にはなかなか高級感があります。
ケーブルはUSB-C to USB-CとUSB-C to ライトニングの二つとUSB-CとUSB-Bの変換コネクタが付属しています。ライトニングでiPhoneと接続し、USB-CでAndroidスマホやノートPC、そしてアダプタを取り付けてデスクトップPCとマルチに接続が可能です。ちなみにケーブルについては付属品ではなく無償の同梱品という扱いになるため色や長さなどは予告なしに変更になる場合があるということです。
なおファームウェアアップグレードについては国内公式のサポートはできないが(ソフトは英語のみでかつWindows限定なので国内での案内は難しいとのこと)、国内正規版は海外モデルと同じく、メーカー発表のツールでFWの更新が可能だそうです。

本体側の端子はUSB-Cと3.5mm、4.4mmのイヤフォン端子があり、液晶パネルと二つのボタンが搭載されています。ボタンはモード切り替えと音量上下および設定値変更に使います。ボタンを押してモードを選択して上下キーで値を変更するという形式です。
接続は簡単で、USBケーブルをスマホに接続してイヤフォンを端子に接続するだけで使用ができます。iPhoneと試しましたが、あっさりと認識しました。音を出す前にゲインを調整したほうがよいかもしれません。Amazon Music HDの出力確認をすると端末は192kHz/24bit対応でハイレゾ出力ができているのがわかります。
設定が多いんですがまずはデフォルトの状態で聴き始めます。音質はたしかにSNの高さを感じるようにメリハリがくっきりとした音で小さい音もかなりしっかりと明瞭に聞こえます。小さいと言って侮るなかれというくらいかなりレベルが高い音質で、バスパワーでこれだけ引き出せるのはちょっと驚きです。
DACフィルタの効きはわりと大きくてそれなりに音が大きく変わります。この手の設定では違いが大きい方ですね。SNが高いのでわかりやすいというのもあるかもしれません。私はSLOW設定が好きですね、
EQも大きく音が変わりますが、W2の音自体がHIFI風なのであまり味付けをするよりは音楽はNormalのままで良いかなと思います。チューニング切り替えは02だとやや誇張感があるので、低価格イヤフォンなどでは変えても良いですが、ハイエンド系では01を使用した方が良いように思います。W2の基本的な音質が高いので設定はいろいろいじれますが、デフォルトが良いように思いますね。イヤフオンによってはいろいろと変えてみるのもよいかもしれません。
ゲインはイヤフォンはダイナミックでもBAでもLOWで良いように感じますが、低能率ヘッドフォンをつけるときはHIGHでバランスが良いですね。
3.5mmではイヤフオン的には切れ味の鋭いFAudioのMajorがなかなか相性がよいように感じました。
バランスでARAと組み合わせ
CampfireのARAで同じケーブルで3.5mmと4.4mmバランスで聞いてみます。
4.4mmではバランスらしく力強さが一段と増して、空間的な広がりもいっそうよくなります。解像力は極めて高くてかなり細かい音も拾います。楽器の擦れている音は圧巻です。たしかにバランスで聞いているのが一番ハイレベルで、力感だけではなく歪みなどもこちらの方が端正で優れているように感じられます。音の歯切れが良くARAの鋭い切れ味もよく活かせます。このくらいのハイレベルな音がスマホ+ちょっと付の機材で出るのは不思議な感覚でさえあります。
聞いているとシーラスの音というよりはESSっぽい感じさえしますね。電子設計がかなり際立っているのでしょう。DACのスペックよりシステムのスペックが上というとにわかには信じられないですが、音を聞いていると嘘ではないような気もします。3.5mmでも十分良いんですが4.4mmで聞くとちょっと後戻りできなくなります。絶対にバランスがオススメです。

Mac上のTIDALアプリで使用
Macに使用してみましたが、同様に簡単に接続してあっさり音が出ます。仕事をしながら使うにもいいですね。
ちなみにW1と比較するとW1もかなり良い音ですが、やはりW2はさらにレベルが高いというか音の鮮明さがかなり上です。驚くほどの音と言って良い感じがします。W2がおすすめです。


左がW1
* まとめ
コンパクトで多機能、そしてバランスでの音の良さは特筆ものです。こんな小型デバイスとは思えません。細かい音が再生できるという点ではハイレゾ再生に向いていますし、iPhoneでストリーミングを高音質で楽しみたい、話題のApple Musicロスレスを楽しみたいという場合にうってつけの機材です。

2021年05月17日
新ブランド、Fir Audio Five x Fiveレビュー
Fir Audio(ファーオーディオ)は2018年頃から話題になったブランドですが、この業界ではすでに長く様々な経験を積んでいて、その技術力を背景にしていますので全く新規のメーカーというわけではありません。はじめはクリーナーやケーブルテスターなどのアクセサリーを販売していましたが、最近ではM5やM4などの高性能カスタムIEMやユニバーサルモデルで知られるようになりました。オレゴン州ポートランドに拠点があります。

Five x Five(ファイブ・バイ・ファイブ)はそのエッセンスを求めやすい価格で提供するという目的のモデルで、そのためもあるのかカジュアルなデザインが採用されています。国内ではfinalが輸入してフジヤエービックにて50台限定で販売されています。
フジヤエービックの販売ページ
https://www.fujiya-avic.co.jp/shop/g/g200000058716/
FIVE×FIVEは名称の通りに5つのドライバーを搭載したモデルで、1基のダイナミックドライバー、2基の中音域用BAドライバー、1基の高音域用BAドライバー、1基の超高音域用のBAドライバーを搭載しています。MMCXでリケーブル可能で、2.5mmバランス端子のケーブルが標準で添付されています。国内では標準の2.5mmケーブルに加えてfinalのシルバーコートケーブル(MMCX/3.5mm)をセットにした特別仕様になっています。

* 特徴
1. チューブレス設計を採用
Fir Audioのイヤフオンは基本的にチューブレス設計が採用されています。これは通常BAドライバーと音の出るポートをつなぐ音導管(チューブ)を排した方式のことです。普通のBAドライバーではチューブ途中に音響フィルターという薄膜を使用して音の調整をするのですが、そうすると音が濁りやすくなります。このチューブレス方式では音導管を排して口を広げ、音響室を設けてそこで出音の調整を行います。このことにより音のロスを少なくします。音響フィルターを使わないで音の鮮明さをアップさせるので、フィルターレス設計と言い換えても良いかもしれません。
またFir Audioのダイレクトボア機構では鼓膜との距離をできるだけ短くすることにより、高域のロスを最小限にとどめ歪み感を抑制し、伸びやかな高域を実現するとしています。
2. タクタルベース機構

低域に割り当てられているダイナミックドライバーを、イヤホンの筐体全体を振動板のように使用するように設計し、音を豊かに響かせるように鳴らす機構です。タクタル(TACTILE)というのは手触り・触覚という意味の英語ですが、海外のオーディオレビューでもよく使われる単語です。日本語にしづらいんですが辞書には"tactile = producing a sensation of touch"とあるので手触り感を生み出すような音、リアル感のある音、と考えればよいのかもしれません。
3. 「第二の鼓膜」ATOM技術を採用
筐体内部ドライバー前方の圧力を外へ逃がし鼓膜にかかる過度な圧力を調整する機構です。これにより、メリハリのある力強いサウンドでありながら、サウンドステージは広くまた聴き疲れがしにくい音質を実現するとしています。
これは他でADELやAPEXと言っているものと似た技術だと思います。私も2016年にKickstarterでADELのX2イヤフオンを購入してわずか1万円程度で驚異的な音質だったのにはちょっと驚きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437594645.html

これは通称「第二の鼓膜」とも言われていて、2枚目の鼓膜という半透過の薄膜をベントのところに設置するものです。閉ざされた耳道内の不要な圧力をこの薄膜がうけて、実際の鼓膜の負担を軽減してくれるというもののようです。耳に優しいとも言いますが個人的には音質向上の効果が高いと思います。またこの圧力を可変することで音をチューニングすることができます。
Fir AudioのカスタムIEMでは同様のADELとかApexのように取り外せるフィルターバルブを設けるオプションもありますが、ユニバーサルのFive x Fiveではモジュールは別ではなく内蔵となり、端子の根元部分にダイナミックドライバー用のベント穴と一緒に設けられています。(他のFirユニバーサルでも同じ)
* インプレッション
実機を見てみるとウサギのイラストがカジュアルな製品らしい雰囲気を醸し出しています。

フェイスプレートはプラスチック製に見えますが、樹脂でありながら金属にも迫る高い強度と耐衝撃性を持つという、デュポン社のDelrinという特殊な樹脂が使用されています。本体は耐食性と強度に優れた航空機グレードのアルミニウム合金の切削筐体です。筐体はさほど大きくはなく、軽量で装着感も良好です。標準ケーブルはしなやかで取り回しやすいケーブルです。
シリコンチップのSMLの他にフォームチップ1サイズとダブルフランジ1サイズが同梱されています。

まず2.5mmで聞いてみます。A&K SE200のAKM側を使います。
音は個性的で極めてレベルが高く、極めて開放感があり鮮明な独特の音質です。バランスだとはわかっていてもまさに三次元的と言えるような開放感ある空間の広がりに感銘します。すかっと晴れ上がってクリアで明瞭感が高く、ぞくぞくするような独特の音の深みが感じられる。
音の解像力も高く、声の質感が艶やかで肉質感も高くリアルです。低域の量感はたっぷりとしていてロックなどでは迫力があります。Fir Audioの他のIEMは聞いたことがないですが、少なくともFive x Fiveは全体にモニター的ではなくコンシューマーよりの音造りをしているように思います。

やや低域寄りの音なので特に男性ヴォーカルに深みがあって味が感じられますね。高音域は開放感があって楽器の響きが美しい音です。シャープながらきつさを感じにくいところも「第二の鼓膜」技術らしいかもしれません。きつさが少ないのでアニソンやポップスのような硬い録音でも聴きやすく、かつ引き締まってスピード感があります。
独特の鮮明さから中高音は美音系と言ってもいいくらい音はきれいです。
低域は叩きつけるようなパーカッションがとても歯切れが良くシャープでタイトな音再現を楽しめます。低域の量は多いと言っても解像力も高く引き締まって鋭いベースサウンドを実現しています。
国内版ではfinalの3.5mm端子のシルバーコートケーブルが付属してきます。2.5mmだけだとMojoに使用できないとか不便でもあるので3.5mmケーブルがあると汎用性は向上しますね。

final製ケーブル
次に3.5mm finalケーブルで聴いてみるとシングルエンドだけれどもとても開放感があり鮮明な音で、バランスだけでこの音になっているわけではないのがわかります。また聴いてみるとこのfinal製ケーブルはとてもFive x Fiveの音との親和性が高い音で、鮮明で音に深みのあるVxVの音をさらに引き出してくれるようなケーブルだとわかります。またバランスの標準ケーブルと似た個性で音の違いの違和感も少ないようです。十分検討した上で添付しているように感じます。
* まとめ
さきに書いたように2016年に初の「第二の鼓膜」搭載イヤフォンであるX2というイヤフオンを聴いたときにもわずか$100の価格でも説明がし難いほど独特の透明感と空間の立体的な広がりを感じたけれども、たしかにここにも同じDNAを感じます。音の広がりというよりは独自の開放感といったほうがいいように思いますね。それがハイエンドイヤフォンになり、独自性と高音質を両立したように思います。
いずれにせよプレーヤーをいろいろ変えてみても、ケーブルを変えてもこの独特の開放感と鮮明さや引き締まったサウンドはあるので、とても強い個性をもった高音質のハイエンドイヤフォンだと言えるでしょう。


Five x Five(ファイブ・バイ・ファイブ)はそのエッセンスを求めやすい価格で提供するという目的のモデルで、そのためもあるのかカジュアルなデザインが採用されています。国内ではfinalが輸入してフジヤエービックにて50台限定で販売されています。
フジヤエービックの販売ページ
https://www.fujiya-avic.co.jp/shop/g/g200000058716/
FIVE×FIVEは名称の通りに5つのドライバーを搭載したモデルで、1基のダイナミックドライバー、2基の中音域用BAドライバー、1基の高音域用BAドライバー、1基の超高音域用のBAドライバーを搭載しています。MMCXでリケーブル可能で、2.5mmバランス端子のケーブルが標準で添付されています。国内では標準の2.5mmケーブルに加えてfinalのシルバーコートケーブル(MMCX/3.5mm)をセットにした特別仕様になっています。

* 特徴
1. チューブレス設計を採用
Fir Audioのイヤフオンは基本的にチューブレス設計が採用されています。これは通常BAドライバーと音の出るポートをつなぐ音導管(チューブ)を排した方式のことです。普通のBAドライバーではチューブ途中に音響フィルターという薄膜を使用して音の調整をするのですが、そうすると音が濁りやすくなります。このチューブレス方式では音導管を排して口を広げ、音響室を設けてそこで出音の調整を行います。このことにより音のロスを少なくします。音響フィルターを使わないで音の鮮明さをアップさせるので、フィルターレス設計と言い換えても良いかもしれません。
またFir Audioのダイレクトボア機構では鼓膜との距離をできるだけ短くすることにより、高域のロスを最小限にとどめ歪み感を抑制し、伸びやかな高域を実現するとしています。
2. タクタルベース機構

低域に割り当てられているダイナミックドライバーを、イヤホンの筐体全体を振動板のように使用するように設計し、音を豊かに響かせるように鳴らす機構です。タクタル(TACTILE)というのは手触り・触覚という意味の英語ですが、海外のオーディオレビューでもよく使われる単語です。日本語にしづらいんですが辞書には"tactile = producing a sensation of touch"とあるので手触り感を生み出すような音、リアル感のある音、と考えればよいのかもしれません。
3. 「第二の鼓膜」ATOM技術を採用
筐体内部ドライバー前方の圧力を外へ逃がし鼓膜にかかる過度な圧力を調整する機構です。これにより、メリハリのある力強いサウンドでありながら、サウンドステージは広くまた聴き疲れがしにくい音質を実現するとしています。
これは他でADELやAPEXと言っているものと似た技術だと思います。私も2016年にKickstarterでADELのX2イヤフオンを購入してわずか1万円程度で驚異的な音質だったのにはちょっと驚きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437594645.html

これは通称「第二の鼓膜」とも言われていて、2枚目の鼓膜という半透過の薄膜をベントのところに設置するものです。閉ざされた耳道内の不要な圧力をこの薄膜がうけて、実際の鼓膜の負担を軽減してくれるというもののようです。耳に優しいとも言いますが個人的には音質向上の効果が高いと思います。またこの圧力を可変することで音をチューニングすることができます。
Fir AudioのカスタムIEMでは同様のADELとかApexのように取り外せるフィルターバルブを設けるオプションもありますが、ユニバーサルのFive x Fiveではモジュールは別ではなく内蔵となり、端子の根元部分にダイナミックドライバー用のベント穴と一緒に設けられています。(他のFirユニバーサルでも同じ)
* インプレッション
実機を見てみるとウサギのイラストがカジュアルな製品らしい雰囲気を醸し出しています。



フェイスプレートはプラスチック製に見えますが、樹脂でありながら金属にも迫る高い強度と耐衝撃性を持つという、デュポン社のDelrinという特殊な樹脂が使用されています。本体は耐食性と強度に優れた航空機グレードのアルミニウム合金の切削筐体です。筐体はさほど大きくはなく、軽量で装着感も良好です。標準ケーブルはしなやかで取り回しやすいケーブルです。
シリコンチップのSMLの他にフォームチップ1サイズとダブルフランジ1サイズが同梱されています。

まず2.5mmで聞いてみます。A&K SE200のAKM側を使います。
音は個性的で極めてレベルが高く、極めて開放感があり鮮明な独特の音質です。バランスだとはわかっていてもまさに三次元的と言えるような開放感ある空間の広がりに感銘します。すかっと晴れ上がってクリアで明瞭感が高く、ぞくぞくするような独特の音の深みが感じられる。
音の解像力も高く、声の質感が艶やかで肉質感も高くリアルです。低域の量感はたっぷりとしていてロックなどでは迫力があります。Fir Audioの他のIEMは聞いたことがないですが、少なくともFive x Fiveは全体にモニター的ではなくコンシューマーよりの音造りをしているように思います。

やや低域寄りの音なので特に男性ヴォーカルに深みがあって味が感じられますね。高音域は開放感があって楽器の響きが美しい音です。シャープながらきつさを感じにくいところも「第二の鼓膜」技術らしいかもしれません。きつさが少ないのでアニソンやポップスのような硬い録音でも聴きやすく、かつ引き締まってスピード感があります。
独特の鮮明さから中高音は美音系と言ってもいいくらい音はきれいです。
低域は叩きつけるようなパーカッションがとても歯切れが良くシャープでタイトな音再現を楽しめます。低域の量は多いと言っても解像力も高く引き締まって鋭いベースサウンドを実現しています。
国内版ではfinalの3.5mm端子のシルバーコートケーブルが付属してきます。2.5mmだけだとMojoに使用できないとか不便でもあるので3.5mmケーブルがあると汎用性は向上しますね。


final製ケーブル
次に3.5mm finalケーブルで聴いてみるとシングルエンドだけれどもとても開放感があり鮮明な音で、バランスだけでこの音になっているわけではないのがわかります。また聴いてみるとこのfinal製ケーブルはとてもFive x Fiveの音との親和性が高い音で、鮮明で音に深みのあるVxVの音をさらに引き出してくれるようなケーブルだとわかります。またバランスの標準ケーブルと似た個性で音の違いの違和感も少ないようです。十分検討した上で添付しているように感じます。
* まとめ
さきに書いたように2016年に初の「第二の鼓膜」搭載イヤフォンであるX2というイヤフオンを聴いたときにもわずか$100の価格でも説明がし難いほど独特の透明感と空間の立体的な広がりを感じたけれども、たしかにここにも同じDNAを感じます。音の広がりというよりは独自の開放感といったほうがいいように思いますね。それがハイエンドイヤフォンになり、独自性と高音質を両立したように思います。
いずれにせよプレーヤーをいろいろ変えてみても、ケーブルを変えてもこの独特の開放感と鮮明さや引き締まったサウンドはあるので、とても強い個性をもった高音質のハイエンドイヤフォンだと言えるでしょう。
2021年05月15日
アップルミュージックのAndroidアプリにロスレス再生の情報が
アップルミュージックの高音質HIFI版が出るのではないかという情報は、前回はiOSを開けてみた情報ですが、今度はApple MusicのAndroid版にもロスレス再生時の電池消費の警告文が入っているのが見つかったそうです。
https://9to5google.com/2021/05/14/apple-music-android-lossless-audio-streaming/
Apple musicがロスレスをサポートしたとしてもアップルの狙いはオーディオマニアが言う高音質化よりも、Dolby Atmosのサポートと空間オーディオ関連というのはあるかもしれません。
Dolby Atmosもメタデータをエンコードしてるのでロスレスというかビットパーフェクト必要ですからね。360度オーディオ対応というのはありえます。
そうすると上限は48/24ロスレス程度かもはしれません。
https://9to5google.com/2021/05/14/apple-music-android-lossless-audio-streaming/
Apple musicがロスレスをサポートしたとしてもアップルの狙いはオーディオマニアが言う高音質化よりも、Dolby Atmosのサポートと空間オーディオ関連というのはあるかもしれません。
Dolby Atmosもメタデータをエンコードしてるのでロスレスというかビットパーフェクト必要ですからね。360度オーディオ対応というのはありえます。
そうすると上限は48/24ロスレス程度かもはしれません。
2021年05月05日
Windows 10でAACをサポート
Windows 10のアップデートBuild21370でBluetoothで二点改良が行われます。
まずAACがサポートされます。今はSBCとaptXなのでAirPodsを使うときに音質向上が期待されます。
それとエンドポイントの改良で、ビデオ会議をやったり音楽再生したりの切り替えがよりスムーズにできるようになります。