Music TO GO!

2014年05月27日

タイムロードの短い光ケーブル、TL-OP1

Chord HugoなどDAC内蔵で光入力のポータブルアンプを使用する方は短い光ケーブルの入手にまず悩むことになると思います。いままではそんな短い光ケーブルはなかったからです。普通短くて1mか、あったとしても60cmくらいでした。
私はいつもカナダのSys-conceptに頼むのですが、オーダーメイドなのでアンプの入力位置に合わせた長さを測定する必要があります。また海外通販は苦手という人も多いでしょう。
そこでタイムロードさんがChord発売に合わせて光ケーブルも用意してくれました。TL-OP1というモデルでミニ丸端子と角端子を13.5cmの長さで繋ぎます。
http://www.timelord.co.jp/blog/news/140507_tl-op1/

これは発売前に試聴テストを行い、適切な音質や各種製品との接続スタイルを検討して長さを調査して製作しています。その結果として13.5cmになったということです。
TL-OP1は透明度と柔軟性に優れるアクリル素材の光ファイバー導体を採用することにより、業務用通信機器の仕様に準拠した高信頼性の伝送特性をもたせたと言うことです。またスリムながら装着時の安定性に優れた業務用高信頼性コネクターの採用により、接続時のグラつきが低減され光軸の安定に貢献しているそうです。ハイレゾの伝送にも強いようです。

製品は13.5cmですが、試用で作った12cmのものを貰い受けましたのでレポートします。
製品版とは長さの違いだけで、線材は同じです。
またSys-conceptも通常のケーブルではHugoのプラグに対応できないので、Hugo対応のモデルを注文したので比較して見ます。
価格はSys-conceptが日本円で約6700円、TL-OP1はオープン(約2500円くらい)です。

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タイムロードTL-OP1(左)とSys-Concept Hugoモデル

TL-OP1ではSys-conceptのように上が平たくならないけど、Hugoは上にイヤフォンと光ケーブルをどちらもまとめられるので大きな問題ではありません。

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タイムロードTL-OP1(左)とSys-Concept Hugoモデル

TL-OP1もSys-conceptも両方とも問題なく192/24音源にロックします。
TL-OP1の音質は高く明瞭感もよいのですが、特徴はバランスが良いことです。柔らかさと硬さ、周波数的な高低のバランスがよく取れています。音色として楽器の音は爽やかに聴こえる感じですね。
Sys-conceptと比べると、Sys-conceptの方が音が濃密で低域のレスポンスがあります。またより曇りが取れて明瞭感が高くも感じられます。ただTL-OP1もSys-conceptと比べても価格差を考えると音質レベルはそんなに遜色ないと思います。むしろ好みの問題もあって、整理されてすっきりした音を好む人はTL-OP1が良いかもしれません。

タイムロードのTL-OP1は入手しやすく、安く、十分に満足できる音レベルだと思います。いつもSys-Conceptから買ってるなら別ですが、一般的にはまずTL-OP1を買って試してみて、さらに別の音が欲しいときはSys-Conceptに挑戦してみるというステップが良いのではないかと思います。
posted by ささき at 23:09 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月07日

AK120をすっぽり包むDAC内蔵バランスアンプ "The Glove"登場!

ヘッドフォン祭の直前ですごい製品の情報がJabenからはいって来ました!世界初公開です。
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The Grove(ザ・グラブ) - GloveAudio A1は名の通りにAK120を覆うように装着するDAC内蔵のバランス駆動対応のヘッドフォンアンプです。ケーブルはありません。前のHP-P1のプロトにも似てますね。
現時点で多くの情報はないのですが、光端子に装着してDACを使うようです。DACはSaberと言うのでESSですね。192/24対応です。AKシリーズを強化するパワードスーツにも見えます。
注目はヘッドフォン出力でKobikonn 4pin コネクタとAK式の二つのバランス出力付きです。KobikonnとはいわゆるRSAタイプのポータブル用のバランス端子です。この二つのおかげでポータブルのバランス駆動についても悩む必要は少ないでしょう。AK120ユーザーがAK240の資産である2.5mmバランス端子を使えるようになるのも画期的です。電池は充電池のようです。

GloveAudio は Jaben が全世界配給権をもっていますので、日本でも販売します。ただルートなど詳細はわかりません。価格の目安は6万から7万円でその前半くらいにしたいそうですが、基本的には未定です。
デモ機はヘッドフォン祭にJabenが持ってくると思います。

またJabenではたくさんのDAPを持ってきます。
最近話題となって来たHidizs AP100(下左)もあります。
またCookie(下右)はディスプレイがついて、flacをサポート、音も磨きをかけたそうです。ただハイレゾサポートはないようです。
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Biscuit+はシャッフルを付けた他は変わっていませんが、もともと音はいいのでこれも楽しみです。

ヘッドフォン祭では15FのJabenブースへGO!

*追記
Jaben JapanのFacebookにアップされました。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=439427949526792&id=248060828663506
Analog Squared Paperとのコラボアンプも面白そうですね。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=439423072860613&id=248060828663506
posted by ささき at 19:53 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月24日

Geek Wave 目標額達成と詳細情報

LH Labsのクラウドファンディング開発によるポータブルオーディオ機器であるGeek Waveが無事目標額を達成しました。
Geek Waveはindiegogoでキャンペーン中です。indiegogoはKickstarterと違ってPaypal払いです。
https://www.indiegogo.com/projects/geek-wave-make-your-smartphone-s-sound-sound-better#home

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Geek Waveについてはいままでで一番仕様不確定のところから開始したので、当初は混乱がありましたが、いまでは下記の仕様にほぼ落ち着いているようです。いまはAdd On(オプション)の追加策定をフォーラム(Geek Force)で話しているところです。

Geek Waveはひとつのデバイスで2つのモードがあります。それはStreamモード(DACモード)とDAPモードです。またStreamモードしかないモデルをGeek Wave-Sと言います。
StreamモードはスマートフォンからUSB経由でデジタル信号を受けるもので、スマホのUSB DACとなるモードです。
DAPモードは内蔵のメモリ(256GB)に格納した音源を再生します。本体には5つの物理ボタンがあります(Play/Pause/Previous/Next/Volume Up&Down)。Geek Waveだけで使うときはあたかもiPod Shuffleのように使います。ただしこのDAPモードのときにスマートフォンにBLE(Bluetooth LE4.0)で接続することができ、そのスマホの上のアプリからプレイリストや楽曲操作が可能です。DAPモードのときはUSB接続は不要であり、無視されます。
本体には物理ボタンのほかにLEDがあって、充電状態とPCM/DSD入力の確認ができます。またバッテリーを内蔵しています。バッテリーが外せるかどうかはユーザー投票で決まります。またスリープモードもあります。

PCと接続するとUSB DACとUSBマスストレージの両方としてPCから見えます。ここでDAPモードの楽曲転送ができます。また充電もなされます(このときにスマートフォンが接続されていればスマートフォンも充電されます)。
スマートフォンと接続すると、Geek WaveはUSB DACとして見えます。またスマートフォンに給電することが可能です。(おそらくバスパワーではなくセルフパワーとして認識されると思います)

また注目のオプションですが下記のものがユーザー投票で策定中です。

SDXC拡張スロット
Bluetoothレシーバーとしての機能
内蔵メモリの追加
一行LEDディスプレイの追加
交換可能なバッテリーのデザイン
第二の出力ポート(Line out?/SPDIF?)
ヘッドフォンのバランス出力
電池容量の増加
デュアルモノ構成(デュアルDACも含むと思います)
フェムトクロックオプション


ちなみに標準のDACはES9018K2Mだったと思います。
ポータブルでフェムトクロックってすごいですが、オプション全部載せならどんなモンスターになるのやら。

ただGeek Waveは納品時期が決定されていませんので念のため(まあXinみたいにはならないと思いますが)。
posted by ささき at 21:21 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月12日

Pono詳細とAppleのハイレゾ配信の噂

Ponoは普通の人のハイレゾプレーヤーを標榜しているのでハード的なことは書かずにひたすらアーティスト限定モデルを増やしてきました。
しかしながらハード詳細を望む声が大きいということで少し詳細を公開してます。
https://www.kickstarter.com/projects/1003614822/ponomusic-where-your-soul-rediscovers-music/posts/807924
回路はフルバランス、オールディスクリート、ゼロフィードバックのアナログ設計です。Ayreのデジタルフィルタもあるけど、音質の良さはこうした設計からということ。
DACはES9018とだけ書かれてましたが、ここの説明を見ると2M版ということがわかります。
またAyreというと副作用が少なく自然な音鳴りのMinimum Phase(MP)フィルタで有名ですが、PonoではさらにMoving Average(移動平均)フィルターをハイレゾ再生時(2x,4x)に採用しているということ。これは副作用(アーティファクト)がないということでさらに優れたフィルターということです。ポータブルにも最高の技術を全力投入ってHugoを思わせます。
出力インピーダンスは5Ωということ。これは別なアップデートでゼロフィードバック回路と電池消費の妥協点として設定したとあります。

ちなみに中にも書いてますが、クラウドファンディングの場合はユーザーがファンドする時はまだ未完成状態ですので仕様や測定は確定してないので念のため。試作はしてると思いますが、ファンドが整ってから量産設計に移ります。(Geek Waveなんかは構想段階からやってますけど)


それと今週はAppleがハイレゾ配信を始めるのではないかというニュースがいくつかありました。
http://www.macrumors.com/2014/04/10/high-definition-itunes-music-downloads/

http://www.monoandstereo.com/search/label/news?m=1

iTunesが全面改修されるという噂があるんですが、それに合わせて6月か7月ころ動きがあるのではということです。すでにAppleは十分な24bit音源を持ってるのではないかという読みです。
Appleとハイレゾの噂は前にもあって、結局はMastered For iTunesという妥協点となりました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/253750773.html
もともとAppleにハイレゾ配信を働きかけたのはニールヤングで、それが結実しなかったので自らPono Musicを作ったわけです。
このPonoとAppleのハイレゾ配信の噂が良い方向で結びつけば、と思わざるを得ません。
posted by ささき at 10:59 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月10日

クラウドファンディングのポータブルオーディオ、Geek Wave

USBメモリタイプDACのGeek Out(Kickstarter)、デスクトップDACのGeek Pulse(indiegogo)とクラウドファンディングのオーディオ機器開発を成功させてきたLH labs(ハイエンドメーカーLight Harmonicの子会社)ですが、今度はポータブルオーディオ機器をクラウドファンディングで出して来ました。
これはGeek Waveというデバイスでスマホ用DACと独立したDAPの両方に使えるというものです。またモバイルバッテリー機能も持っています。クラウドファンディングはPonoのKickstarterではなくindiegogoで行います。こちらのリンクです。
https://www.indiegogo.com/projects/geek-wave-your-mobile-life-amplified#description

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これらはポストGeek outとして、ユーザーの声を拾うフォーラムとしてLH labsがたてたGeek Forceで暖められてきたアイディアです。
http://geek.lhlabs.com/force/geekwave.html

Geek outをバッテリー駆動させポータブルデバイス化するのがGeek Ariaってもので、これはスマホDACですね。さらにその派生版としてそれを独立したDAPにするのがGeek Waveだったと思いますが、実際に出てきたのは両方の機能を兼ね備えているようです。

ビデオではPonoを意識しているようです。
http://geek.lhlabs.com/geekwave
スペック的にはPonoの倍の384/32対応でDSD128も再生可能というものです。
メモリは256GBで、バッテリーは3000mAhです。

ただ見た目はiDSD nanoみたいにスマートフォンにつけるモバイルDAC/アンプに見えますが、これがDAPってどういうこと?って疑問が上のフォーラムでもすでに載っています。
Androidを内蔵していてストリーミングをWave側で再生可能で内蔵メモリも持ってるっていうのはたしかにDAPっぽいですが操作画面もボリュームもありません。
これに対してはWaveのコメント欄でスタンドアローンだがコントロールにはスマートフォンが必要とあります。ボリュームはUSBの制御信号を使うのかどうかわかりませんが、この辺も不透明ではあります。あとはスマホ側のアプリでBTで制御するなどですかね。DLNA使えば面白いけどそこまではなにも書いてません。
まあそういう点をユーザーが提案して行くっていうのもクラウドファンディングではあります

実際にLH labsの場合はいきなり完成系を示してあとはアーティストモデルを増やすだけというPonoと違って、このキャンペーン中にもユーザーの声を聞きながら開発を進めて変えていく可能性が見えます。Geek Pulseに似てますね。
例えばケースは3つの案が提示されていて決まってません。Please helpと書いてます。

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またスマホとWaveを結ぶケーブルもユーザーの声を聞きながら決めて行きたいとしています。この辺はGeek Forceフォーラムで吸い上げて行きます。
短いオーディオ用線材のLightningケーブル作ってよーと言いに行きたいと思います。

ハイエンドメーカーのクラウドファンディングでのコンシューマーへの取り組みという点で見ると、LH Labsでは300万のDa Vinci DACで使われている96k以下の音質向上をはかる“Duet Engine”(SonyのDSEEみたいなものか?)とか
即座に電源を立ち上げる“INSTANT POWER” などの技術をハイエンドからの流用としています。ハイエンドの技術を生かしているというのはiFiを意識しているようにも見えますね。
ただPonoが普通の人をターゲットにしてるのに対してGeek(英語で言うおたく)という名の示すようにこっちはマニア志向です。

クラウドファンディングとして見ると、indiegogoでのperk(得点)は早割引で価格は399$(定価は619$)とちょっと高めです。昨日からアナウンスされてたので予想は早割で$199かなと思ってたので強気です。256GBメモリというのもあるでしょう。
スマートフォンとの接続は3タイプあり、
Galaxy S4/5用、その他Android、iPhone5/5s(lightning)に分かれています。
* 注:Geek ForceのメンバーはまずフォーラムのGeek Force Only Perksをみてください。
早割よりさらに安くなります。

さて、Geek Waveはコンセプトのわからなさに今回は早速批判も出てます。仕様未定の部分を残して走り出したGeek Waveですが、キャンペーンの終わりにはユーザーの声によってどうなって行くのでしょうか。


他にAndroidを内蔵したクラウドファンディングのポータブルデバイスというとスマートヘッドフォンを標榜するStreamzがあります。これも直でストリーミングを受けられます。ただ人気はないですね。
https://www.kickstarter.com/projects/272894776/streamz-first-smart-headphones-with-wifi-android-p
また面白いのではウエアラブル・イヤフォン(直訳すると当たり前になるけど)のDashがあります。これはウエアラブルデバイスの考えを持ったイヤフォンでヘルスモニターなどが出来ます。これは成功しました。
https://www.kickstarter.com/projects/hellobragi/the-dash-wireless-smart-in-ear-headphones

ちなみに最新情報ではPonoはKickstarterでも歴代3位の成功プロジェクトとなったようです。
オーディオ機器のクラウドファンディングっていうものもこれを契機にさらに活発になって欲しいものです。
posted by ささき at 08:42 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月27日

高性能ポータブルアンプ、Portaphile Micro MUSES01バージョン

*English summary is available at the end of text.

Portaphile MicroはPortaphile 627を小型にしたものです。仕様はほぼ同一でコンデンサーが一個少ないだけとされています。電池持続時間も同じということ。
プリオーダー特典で$499が$399で販売されていましたので早速オーダーしました。
ホームページはこちらです。
http://portaphile.com/shop/portaphile-627-micro-pre-order/

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今回のポイントはオペアンプの選択が出来ることで、オプションとしてJRCの「オーディオ向け高音質オペアンプ」であるMUSES01がプラス$50で選択できます。
このオプションを取ることでPortaphile Microの3チャンネルのうち左右チャンネルはMUSES01で、GチャンネルはOPA627となります。なんと贅沢な。

MUSES01はオーディオ専用の高音質オペアンプとしてJRC(新日本無線)が制作しているMUSESシリーズのフラッグシップモデルです。
http://semicon.njr.co.jp/jpn/MUSES/MUSES01.html
MUSES01は他のモデルと比較して動作電圧が高い(MUSES01は+/-9Vで他は+/-3.5V)ので、基本的には据え置きのハイエンドオーディオ向けですが、Portaphileはもともと627向けに内部昇圧しているのでMUSES01がポータブルアンプでも使用できるということなんでしょう。
MUSES01バージョンと627バージョンはLEDの色が赤(Muses01)と青(627)で判別できます。

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細かいところではプラグの食い付きが良く、QuickStepと同等になったのが良いところです。またボリュームノブも多少変わっています。ボリュームポッドまで変わったかは分かりません。(627Xはボリュームをより高品質のものに変えたと明記されてます)
USB ミニBで充電できるようになったのが改良点ですがあやしい二股のUSBケーブルがついてきて、PCのUSBから取る時は2つのプラグから取らないと電流が足りません。(付属のACアダプタはひとつで済みます)
しかも、ソースのDAPと同時に一つのPCから取ると誤動作するという謎の症状が報告されています。(PC側の供給の問題かも)
電池の持ちはPortaphile 627と同じく4時間程度ということですが、まだ3時間半程度までしか実測はしていません。いずれにせよ電圧が下がると下記の電源投入不安定問題も出やすくなるのでまめにフルチャージした方がよいと思います。SONYの2個USBソケットのあるモバイルバッテリーでは充電可能でした。

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Portaphile 627(下)とPortaphile Micro

以前のPortaphile 627では電源投入時に2回ひねらないと電源が投入されないという「儀式」があったのですが、Microでは一度で電源が入るようになりました。しかし、、はじめの数秒はノイズがあり、それはすぐに収まってほぼ無音のローノイズフロアとなりますが、音量がはじめ低レベルで少し経ってからポップノイズとともにポンっと上がるというなかなかの癖を見せてくれています。製作者のCaesarに聞くとよくわからないようなのでもしかすると個体の問題かもしれませんが、この辺がひさしぶりに海外マニアックものを感じさせてくれます。
ある程度安定すると問題なくなり、実にすばらしいというか驚きの音質を聴かせてくれます。さすがオーディオ専用とうたうMUSES01です。
Micro MUSES01バージョンはAK120のWM8741デュアル改造のRAWK120-B(S)のために注文したもので、サイズ的にもなかなかぴったりです。デジタル接続システムのAK100+Hugoにたいしてアナログ接続のハイエンドポータブルシステムとなりますね。

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MUSES01バージョンではまず音の解像度と明瞭感が半端なく、いままで良いと思っていた627バージョンと比較しても、627では描ききれず丸めてしまった音の輪郭をMUSES01版ではさらに鮮明に彫り深く描き出し、WM8741デュアルの再生品質の高さをあますところなく再現するという感じです。RWAK120-BとPortaphile MUSES01の再現力にはちょっと圧倒されますね。全体的な明瞭さもかなり鮮明さが向上して楽器音の輪郭がクッキリはっきりとしています。
また高域と低域の再現力も半端なく、かなりのワイドレンジ感があります。高域の明瞭感・鮮明さの素晴らしさと低域の重み・下への沈み込みの深さは新感覚と思えるほどです。ある曲でJH13が耳の中でぶるぶる震えるように感じられたのはちょっと驚きでしたね。
Portaphile 627に戻して聴きなおすと627はよりソフトな感じでちょっとメリハリがなくのっぺりとした感じにはなります(相対的な話ですが)。
もちろん好みの差もあって、前の627のメロウさ・中音域の甘さが良いという向きもあるかもしれません。
Portaphile 627は中音域重視のウォーム感のある音も人気のひとつでした。買う前の予想ではMUSES01バージョンはおそらくドライで分析的になるだろうと思ったのですが、思ったほどはそうドライではありません。もちろん上で書いてきたような差はあるのですが、まったくの別物的な音調になったという感じではないですね。そうした点では聴きやすいPortaphile 627の良さは適度に残していると思います。
また全体的に力強く押しが強い感覚です。Portaphileのゲインは627バージョンではLowが2xだったのですが、MUSES01バージョンでは1.2xに下げられたのもわかります。

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MUSES01の音は素晴らしいのはわかったので、電源が安定できればと思いますが、大きくても良いという人は627XのMuses01バージョンをオーダーするのも良いかもしれません。(問題が収まるかどうかは分かりませんが)
音質的にはいままでのアナログ入力のポータブルアンプでは最上級のレベルのものだと思いますし、AKシリーズと組み合わせてコンパクトなシステムにできるのも魅力です。反面で不安定さがあり、電池持ちも悪いという難点もあります。なかなか海外マニアック製品を久しぶりに堪能した感じですね。
それとMUSES01がすごいのが分かったんで、MUSES01(あるいは02)を使ったポータブルアンプをもっと見たいと思います。MUSESの普及品を使ったのはありますが、やはりトップモデルを使ってこそのマニアック製品。どうせトップモデルなんかポータブルに使っても性能は発揮できないさ、と言う前にまず作って試して聴かせて欲しいと思います。

*English summary here.
Although I experienced pop and noise unstability on the startup, the sound quality is top notch. After some burm-in time the difference between 627 and Meses01 comes to more obvious. Muses01 delivers crisper highs and more weight and details on the lower region. More articulate overall the sound spectrum. Some may say it is analytical but I feel the sound signature is not so far from the original 627 version as I thought first. I think this is not dry nor sterile. But anyway original 627 is sweeter and warmer.
posted by ささき at 22:40 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月18日

ヘッドフォンブック2014に執筆しました

恒例のヘッドフォンブックが今年も発売されました。
まず今回は付録のカスタムブックが注目です。FitEar須山さんの情熱編集による気合いの入ったカスタムイヤフォンブックです。こちらでは私はジェリーハービーのインタビューとキーマンに聞くを書いています。インタビュー
ではロクサーヌや現行品のところを担当しています。ジェリーってとてもまじめな人でこちらからの質問にはとても真摯に答えてくれます。個人的には須山さんとジェリーの絡みをもっと入れこみたかったところです。
こちらはいくつかインタビュー中のスナップです。

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他ではP114からのAKシリーズの特集を書いていますが、これは字数4000の大作。またP118でWalkman ZX1も1000字程度で書いています。
また今回もP22でヘッドフォン大賞を書かせてもらっています。個人的には昨年はやはりDita Audioかなあと思います。きちんとポリシーを持っている点がまず良いですね。
あとはP131からのメモリスティックタイプのUSB DAC特集も書かせてもらっています。これも昨年のトレンドですね。
あとはレビユーでパルテールやDita Answer,音茶楽ドングリなどを書いています。

売れ行きは絶好調のようです。ぜひ手に取って読んでください。


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2014年03月13日

はじめてのKickstarter

Ponoはわずか9時間で目標額達成し、一日ちょっとで5000個もオーダーが入りました。
おもしろいことにコメント欄などをみると、これがはじめてのKickstarterと書いている人も多く、ハイレゾDAPだけではなく、クラウドファンディングもすそ野を広げてくれたと思います。
PonoでKickstarterに興味を持った人もいると思いますので、基本的なことを書いていきます。

Kickstarterはみんなの投資で製品を開発するクラウドファンディングを運営するサイトです。別な言い方をすると、Start-Up(ベンチャー企業)を支援するサイトです。ちなみにクラウドは雲の意味のクラウド(cloud)ではなく、民衆の意味のクラウド(crowd)です。
各自の出資はPledgeと呼ばれプリオーダーみたいなものですが、期間内に目標額に満たない場合は製作されません。また開発期間の前に出資するのでたいていリードタイムが長い点が製品のプリオーダーとは異なりますので注意が必要です。あくまで購入ではなく出資です。
Kickstarterは名の通りにStart-Upを支援するものですから、ベンチャーゆえに量産に対しては見込みが甘く遅延することも多いのでそこも考慮しておかねばなりません。たとえばPonoにしてもAyreやAQが開発に参画しているといっても、製品を作るのはあくまでPono Teamですからそこは未知数です。念のため。

Kickstarterのサイトはこちらです。
https://www.kickstarter.com/

Kickstarterの場合はウエブとiPhoneアプリで参加ができます(iPadネイティブアプリはいま現在ありません)。
Kickstarterに参加するためにはまずアカウントが必要です。Pledgeは米国Amazonのアカウントが必要でクレジット払いです。目標額に届かなかった場合は、KickstarterではPledgeはキャンセルされて支払いは発生しません。予定額に届いてプロジェクト期間が終了した時点でクレジット支払いが発生します。

Kickstarterのキャンペーンが開始されたら、プロジェクトの内容を見ていくら投資するか決定します。たいていはリストを見て、製品が対価としてもらえるところに出資します。賛同表明で$1だけ、なんていうのもかまいません。日本の場合は送料が別になっていることが多いので注意が必要です。
たとえばPonoの場合には$300 or moreという欄にBlack Pono Playerまたはもう一行あってYellow Pono Playerとありますので、そこが製品が対価として手に入るところです。moreとあるのは賛同する気持ちですのでそれ以上出してもかまわないということです。(またあとで書くようにオプションのための追加支払いもある場合があります)
その欄を見ると海外へは+$15とあります。ここでクリックすると次では+$15の送料も含めてトータルでの支払額があります。おそらくは自動で計算されていると思います。ここを次に進めるとAmazon USでのクレジット支払の画面となります。支払を終了させるとPledge手続きは終わりです。Pledgeをした人はbackerとよばれます。私のtweetを見ている方は私がI just backedというtweetをたまにしていますが、それはこのタイミングです。

プロジェクトの期間中は出資金額を増減したいときはPledge Managerを使用します。これは後で書くようにオプションが途中で追加されてオプション分の金額を増やしたいときに活用できます。また期間中であればキャンセルもできますが、それもPledge Managerから行います。

Kickstarterの各プロジェクトはUpdateとして途中経過が報告されますので、ここは目を通す必要があります。またメールでも知らせが来ます。開発状況、出荷遅れなどが書かれたりします。
プロジェクトが成功して目標額に達成すると、期間が終わったあとにサーベイという調査のメールが来ます。サーベイはbacker kitとも呼ばれることがあります。サーベイでは発送住所とオプションの確認が主な目的です。例えばRingでは海外送料はPledgeの際に加えますが、指輪のサイズはPledgeでは指定しないのでサーベイで聞かれるはずです。

オプションはPledgeで固定される場合とサーベイで後で決める場合があります。オプションが一個だけの場合は前者、複数オプションの場合は後者が多いようです。例えば、
ベース製品: $100
オプションA: $10
オプションB: $20
オプションC: $30

という組み合わせがあり、AとBが欲しい場合はPledgeではとりあえず$130払っておいて、サーベイでAとBを指定するというやり方です。このときCに変更しても良いと思いますが、出資金総額はこの時点では変更できないのが普通です。このサーベイはいくつかシステムがあるらしく、サーベイの方法はプロジェクトによってまちまちなのでメールをよく見て注意が必要です。

私が思うに、Kickstarterの一番のだいご味は開発中にコメント入れられるという点です。出資して作らせるのでフォーラムに好き勝手書けるのがクラウドファンディングの良い点です。もちろん聞いてくれるかどうかはわかりませんが、言うだけは言っておくというのが海外的なやり方でもあります。(日本的だとはじめから言わないでおく、という感じですが)
また実際に開発に取り入れてくれたりもします。Geekでは高出力を主張してたら高出力バージョンも追加してくれました。Kickstarterではありませんが似たようなクラウドファンディングのIndiegogoの方のGeek Pulseではキャンペーン開始時と終了時ではまるでちがったUSB DACになっています。外形デザインもユーザーコメントを取り入れ、オプションもどんどん追加され、ミニモンスター的になりました。
あとはiPhoneのポータブルフラッシュNovaではアプリへのSONYのレンズカメラのライブラリ対応を依頼しましたが、検討するとはありましたが対応不明。Ponoでは出力インピーダンスは低くしてね、DSD対応してねってコメントしときました。
いずれもこれらは単なるプリオーダーでは不可能なことで、開発中にユーザーが参画しているからこそできることです。このユーザーと作り手の関係が新しい点です。

クラウドファンディングによる開発はいままでにないユーザー参加型の製品開発でもあります。また、従来のビジネスモデルに対する変革でもあります。あるいは変革というよりは時代の変化に対する順応といった方がよいかもしれません。ハイエンドオーディオメーカーのLight HarmonicがStart-Up版の分身としてLH Labsを作り、Geek outを開発したのもそうしたトライアルであると思います。LH Labsではユーザーの声を直接聞くサイトも立ち上げました。Ayreも自分で製品を作るわけではありませんが、こうした新しい仕組みに参画することで得ることは大きいと思います。
作り手が買い手の顔が見えない、という時代からいまはもっと作り手と買い手の距離が近くなっています。その変化の背景にはIT進化があります。こうした新しい時代の新しいビジネスモデルとしてクラウドファンディングは面白い展開を見せていくでしょう。
posted by ささき at 22:41 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月07日

CHORD HUGO発表会開催

明日のポタ研ではCHORD Hugoの発表会を行います。
https://m.facebook.com/photo.php?fbid=597599703653739
なんと今回はジョンフランクスのみならず、パルスアレイDACの生みの親ロバートワッツも来日します。
ロバートワッツは初来日のようでQBDでも来ませんでしたが、Hugoでは来日してくれます。これはすごい。ぜひポタ研の熱気を伝えてください。
公開イベントだそうですのでぜひお越しください

場所は中野サンプラザ6F 部屋名:フラワー
http://www.sunplaza.jp/access/
なお、「ポタ研」本会場とはフロアが異なります。下記案内図で(B)の部屋になります。
http://www.fujiya-avic.jp/user_data/docs/0208_potaken_map.pdf
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2014年02月02日

Jabenの新作Govibe RivoとKASSO真空管アンプ

2月8日のポタ研にはいつものJabenも参加しますが、今回の出展物のお知らせが来ましたので紹介します。
いつものようにコストパフォーマンスの高い二つの新製品があります。

KASSO YJ-01 classA 真空管アンプ

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KASSOというメーカーのヘッドフォンアンプで真空管を採用したAクラスアンプです。価格は24,800円(予価)と据え置きとしてはかなりお手頃です。
DAC機能はなく、純粋なヘッドフォンアンプです。外観はソリッドでなかなかよくできています。
背面にはRCAアナログ入力のほかにプリアウトがあるのでプリアンプとしても使うことができるようです。またミニ入力がついているのでiPodあたりから接続することもできるでしょう。パッケージにはACアダプターのほかにミニ-ミニケーブルもついているのでiPhoneなどから手軽に出力を取り出せます。

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CHORD QuteHDをDACとしてみました。ヘッドフォンはHD800を使います。
箱から出したばかりですが、澄んでいてピュアな美しい音を聴かせてくれます。ニュートラル基調で暖かみというのを強調していませんが、軽く暖かい感じで音が美しく感じられます。柔らかさもあり、この音の美しさは真空管らしさを十分に感じさせます。
楽器の音の分離も良く、ヴォーカルも艶やかです。低域のインパクトも出すぎずにしっかりとあります。ヘッドフォンアンプとしての基本的な解像力とか音の広がりもこの価格にしてはかなり良いのではないかと思います。HD800とQuteHDのような高い性能のシステムに入れても粗さはあまり感じられません。ハイレゾを再生しても差はわかります。

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間接音の多いスピーカーの場合は甘すぎる真空管アンプでも良いかもしれませんが、ヘッドフォンの場合は音がダイレクトなので甘すぎるとそのまま甘さが目立ってしまいます。その点でこのアンプはヘッドフォンアンプとしての基本的なしっかりとした音の再現力と、適度な真空管の柔らかさのバランスが良いように思います。

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付属のケーブルでiPhoneと接続してみましたが、なかなか良い音が再生できました。ケーブルを良いものに変えるとさらに音質の向上が図れます。
ヘッドフォン出力もミニと標準がついているので、家でiPhoneなどをより良い音でヘッドフォン、あるいはイヤフォンで聴きたいという用途に向いていると思います。iPhoneなどはいわゆるきつめのデジタルくささが抜けませんので、こうした真空管でそれを緩和するというのはなかなか良いと思います。
コストパフォーマンスの高いデスクトップアンプという感じですね。

GoVibe Rivo

GoVibeシリーズの新作であまり情報がないのですが、手探りで試してみました。はじめ画面が広いのでDAPと思っていましたが、ポータブルヘッドフォンアンプのようで、DAC内蔵タイプです。画面を見るとFiio E7あたりに似たところがあるのでファームは関係があるのかもしれません。

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アナログ入力はミニ端子がついているのでiPhoneやAK100などに使うことができます。ただRivoの重点はデジタル機能だと思います。

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RivoにはUSB DAC機能がついていてPCにつないで使うことができます。標準ドライバーでインストールなしでWindows PCと接続することができます。おそらくオーディオクラス1でしょう。サウンドのプロパティから推測すると最大96kHzの入力が可能のようです。
USB DACとして聞いてみると、音はFiio E7とは異なる元気なGoVibeサウンドです。音質は良好で明瞭感が十分あり、高いほうの伸びや低いほうの沈み込みもなかなか良好です。低域はかなり豊かなに感じられます。音の広がりも良く、音質的にはなかなか良いですね。

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メニューからアクセスする機能もE7に似た感じで、同様にUSBチャージのオンオフ設定があるので、iPadとiPhnoneにも使うことができます。ここではiPhoneからカメラコネクションキットと須山FitEarのUSB01- Micro35で接続してみました。イヤフォンはDita Answerで、アプリはONKYO HF Playerです。メニューからUSB CFGをオフにしてセルフパワーモードにします
この組み合わせはなかなか音質が良く、音の広がりもかなり印象的にあって、基本的な解像力や明瞭感も高いレベルにあります。Rivoで特徴的なのはさきのPCのところでも書きましたが低域の量感がかなりあるので、迫力たっぷりにアグレッシブな音楽を楽しみたい人には向いていると思います。デジタル接続ものというとお上品な製品が多いのではありますが、Rivoのように基本的な能力を押さえておいて、ベースの迫力たっぷりというのは選択肢としてはありだと思います。
なんとRivoは14,800円(予価)というお値段だそうですので、噂のiPhoneデジタル接続とやらを試してみたいと思う人はぜひどうぞ。

他にもいろいろと出展物はあると思いますので、ぜひJabenブースにお越しください。
もしかするとさらに会場特価もあるかも?
また、Jabenでは3月の初旬に今度はインドネシアのジャカルタでMookヘッドフォンショウを開催します。インドネシアも日本企業進出も多く急発展している地域ですので興味のある方はJabenブースで大山さんに声をかけてみてください。
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2014年01月28日

BSG TechnologyのReveelとM/S処理のオーディオ活用

こちらユニークな製品の紹介です。
見た目はコンパクトな普通のポータブルアンプで、アナログイン・アナログアウトがあるだけのシンプルなものですが、ただのポータブルアンプではありません。というかアンプと言えるかどうか。これはBSG Technologyというところの開発した"Phase Layering"技術を応用して作られたポータブル・デバイスです。簡単に言うとDAPなどの出力につなげて音質を向上させるものです。

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Reveelは昨年(2013)の11月か12月頃に発表されたもので、名前は英語の「暴き出す」の意味のrevealから来ていて、文字通り録音されているが聴こえなかった音楽情報を暴き出すというものです。開発元のコメントではこの技術はDSPではなくアナログドメインでおこなわれ、クロスフィードの類でもない、もとの信号にないものは足さないとサイトには書かれています。
これだけ聞くとあやしく聞こえますが、特許情報などから調べてみると実のところ使用されている技術はオーディオの世界に古くから知られているものをベースにしています。それはMid-Sideステレオ処理(MS処理)です。
また本稿ではそれに付随する技術としてBlumlein Shuffleも紹介していきます。なぜかというと、本技術は欧米では"Blumlein Shuffle"として紹介されることが多いようすだからです。

*Mid-Sideステレオ処理とBlumlein Shuffleについて

まずMid-Sideステレオ処理とはなにかというと、録音した情報をL chとR chから派生したMid(中央部)とSide(側方)の情報にわけて、さらにはそこから再度LとRを取りだすというものです。こうすることでステレオイメージの調整ができます。
MidというのはM=(L+R)で計算されるステレオイメージの中央部(センター)の情報で、SideはS=(L-R)で示されるステレオイメージの側方部分の情報です。S=0(つまりL=Rのとき)のときはセンターイメージだけとなるので、Sを増減させることでステレオイメージを広げたり縮めたりすることができることがわかります。なぜ(L-R)の計算で側方部の音が取り出せるかと言うと、LとRに均等にある音は中央部の音ですから、片方を逆相にして加算すればその部分の音は打ち消されるからです。
またLとRは前述の式から2L=M+S, 2R=M-Sとあらわされますから、MidとSide情報からふたたびLとRを取りだすことができます。L/RからM/Sへ、そして再びM/SからL/Rへと戻せるわけです。この際に2倍されるのでオリジナルよりも3dB音圧が上がることになります。

ただ、このMid-Sideステレオ処理では単純にSを増減させると高音域と低音域でステレオイメージが異なると言う問題が出てくるようです。それを解決するのがStereo shuffling(Blumlein Shuffle)という技術です。これはAlan Blumleinというイギリス人が中心に開発したのでそういう名前が付いています。さきのSを単純に増減させるだけではなく、それを周波数ごとに変えると言う手法です(イコライジングします)。これを先に書いたMとSからLとRを取りだすステップの前に行うことをShufflingと呼びます。

これらは1930年代から戦後にかけて研究されていたもののようです。Mid-Sideステレオ処理は主にマスタリングやレコーディングのさいに使われていてDTMをやっている人はなじみのある人もいるかもしれません。これをオーディオ再生に応用したのがこのBSGの技術です。
Reveelで使われている技術はBSG Technologyでは"Phase Layering"と呼んでいて、独自特許を取っています。下記のUS特許がそうです。
http://www.google.com.br/patents/US8259960
BSG Technologyの特許を読むとさきの説明でSを取りだすときにS1=(L-R)、S2=(R-L)としてLとRに付随するSide情報を別々に管理し、さらに最後にMとS1/S2をそれぞれ加算してLとRに戻すときに、黄金比(1.618=5:8)を系数として加算すると言うことです。これによって優れたステレオ再生が得られるというのがBSGの主張する技術です。
ただこうするとLとRの成分が微妙に混じってやはりクロスフィードっぽくなるようにも思えますが、よくわかりません。もしそうだとするとスピーカーよりはヘッドフォンに向いた改良とも言えるかもしれませんけれども。

*BSG Technology Reveel

話をReveelに戻すと、はじめはInner FidelityのCESレポートで触れられている下のページを見てちょっと興味がわいたのでいろいろと調べてみました。HeadFiでもスレッドがあります。
http://www.innerfidelity.com/content/ces-2014-show-highlight-bsg-technologies-reveel-signal-completion-stage-headphones

BSG Technology自体はこの技術をライセンス売りしたいようですが、その効果をデモするために前に$3000くらいのq0Lという高価なプリアンプを以前作っていたようです。今回それを$115のポータブルアンプに応用したのがこのReveelです。もともとPhase Layeringの基盤自体はコンパクトなものだったようです。

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使い方はポータブルアンプと同様にDAPと組み合わせてアナログ接続します。ヘッドフォン出力はReveelのヘッドフォン端子から取ります。ReveelにボリュームはないのでラインアウトではなくDAPのヘッドフォン端子から取るのが良いでしょう。

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手に取ってみるとかなり小さくて軽いですね。作りはなかなかしっかりしていて質感も価格にしては悪くありません。
本体にはシンプルにin/outプラグと電源スイッチ、機能のオフオンスイッチがあります。機能のオフオンで利きを確かめられます。ちょっと問題はプラグ間隔が狭いので太いケーブルは使えないことです。また電源をつけたままケーブルの抜き差しをすると壮絶にポップノイズが出るので注意が必要です。

少し手持ちでいろいろと試してみましたが、AK100mk2がよく効果がわかります。
ぱっと目の前が開けて音空間が三次元的に広がり、音に明るさというかきらめきが感じられます。またDAPにも寄るけれども、聴覚的により細かく解像力が上がるように感じられます。また少しですが音圧が上がります。
もとの音は少し明るめに変わるけれども、ほぼ性格的には引き継がれている印象です。周波数的にどこかを上げることはないようにも思いますが、少し中高音域よりになるかもしれません。

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パッケージについてきた標準のいい加減そうなミニミニケーブルでも差があるのが十分わかります。おまけのケーブルだとかえって音が劣化するんじゃないかってポータブルアンプもありますからね。上ではオヤイデの最近出たHPC-MSSケーブル(3cm)を使ってみましたがなかなかよくマッチします。
初めのうちは少しヒスっぽい背景ノイズが出てますけど、バーンインしてくうちに多少収まってきます。ただ完全には収まりません。電池持ちは測ってないけど届いた晩にチャージせずに一晩エージングさせて放置しても切れなかったのでそれなりにあると思います。

書いたようにボリューム増減ができないので固定出力のラインアウトから取ることは出来ません。DAPのイヤフォン端子から取るのに向いてます。あるいはDAP/アンプの二段重ねにプラスワンしても良いでしょう。重量級システムならコンパクトなんで側面につけるとかいいかもしれません。アンプというよりアナログフィルターみたいなものと考えたほうが良いですね。
アンプ作る人はこの辺を研究して機能に取り入れてみても面白いんじゃないかと思います。(下に実例を挙げます)

Reveelは下記サイトで購入ができます。
http://reevelsound.com/
海外送料とかは書いてありませんが、これもなんとか売ってと直メールして頼んだら親切なことにDHL送料を折半してくれて送ってくれました。(通常だとDHL送料だけで$50くらいになるから)
こういう場合はカート使わずに直談判で払い方を相談します。

*M/S処理のオーディオ再生における他の応用例

これでM/S処理のオーディオ再生の応用に興味を持った方もいると思います。これを試してみるにはReveel以外にもいろいろと選択があります。

よく知られているところではあのiFI AudioのiCanやiTubeで採用されている3D Holographic Sound systemもこのM/S処理とBlumleinの技術を応用したもののようです。独特のぱっと広がり明るくなる感じは似ています。
http://www.ifi-audio.com/en/iTube.html
またPHAEDRUSという会社もこのBlumlein Shuffleを応用した機材を開発しています。
http://www.phaedrus-audio.com/shuphler.htm
BSG Technologyもその応用例の一つと言うわけです。前のプリアンプは下記のものです。
http://www.stereophile.com/content/bsg-q248l-signal-completion-stage

またPCで試すことができます。もともとマスタリング向け技術ではあるのでいくつかDSPプラグインがあると思います。わたしが試してみたのはVoxengo MSEDという無料のVST/AUプラグインです。
http://www.voxengo.com/product/msed/
Windows PCだとMSEDはVSTプラグインなので、JRMCならばそのまま使うことができます。DSPスタジオからVSTプラグインの追加でインストールします。JRMCではWindows OSのバージョンにかかわらず32bit版を選んでください。またFoobar2000でもあらかじめVSTラッパーを入れておくことで使えると思います。MacではAUプラグインで提供されています。

msed.gif

立ち上げるといくつかモードがありますが、DTM用途ではなく再生用の場合はinlineを選んでください。encoderはL/RからM/Sへ、decoderはM/SからL/Rへ変換する用途です。inlineはこれらを同時に行います。mid成分とside成分はそれぞれゲインで調整が可能です。

このあたりをいろいろと調べていたのですが、日本と欧米の資料をいろいろと読むと面白い事に気が付きました。
日本ではBlumleinという言葉はあまり出てこなくて、主にM/S処理のことが書かれています。対して、欧米ではM/S処理とBlumlein ShuffleをまとめてBlumlein Shuffleと呼んでいることが多いようです。
日本ではM/S処理と言うのは中田ヤスタカ氏がPerfumeなどの製作で音圧を上げるのに使ったことでよく知られているようです。また欧米ではBlumleinという人はたくさんの特許を持つ多才な偉人だったようで、人物自体がよく知られているようです。iFIのトルステン博士とインタビューしたときにも著書を見せて雄弁に語ってくれたのを思い出しました。
この辺もお国柄と言うのが出ていて興味深いものです。
posted by ささき at 22:55 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月05日

CHORD HUGO preview report

CHORD is well known in the highend audio industry by their renowned QBD76 or classic DAC64. However we portable audio users think CHORD is in the another league to us.
Now CHORD announced new product called "Hugo". Hugo is a portable gear which is a high performance DAC-Amp combo with a bunch of great features.
Now we get a high-end sound never had before in our hands.

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To my surprise, CHORD stated the Hugo product is a reference grade product which is regarded as a highest class in their range. This tells us they are serious about Hugo sound quality.
Yes Hugo is a cutting-edge product.

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DAC portion of Hugo employs Pulse Array DAC circuit that is well known among CHORD DAC products. Pulse Array DAC is not an off the shelf ready-made product like Wolfson or ESS DAC chips. Instead the Pulse Array DAC is composed within the FPGA. Hugo's pulse array DAC circuit is the new generation of CHORD Pulse Array DACs.

The name HUGO comes from a play on words, it is "Wherever You Go" that means portable product.


* Hugo Preview event at Tokyo

We had a Hugo preview show at Tokyo Timelord showroom.

Timelord is the Japanese distributor of CHORD product. CHORD founder John Franks came to show us the proto type
of Hugo. I interviewed him some queries. Here is the movie of the interview.
http://www.youtube.com/watch?v=trypeVPenSE&feature=youtu.be
http://www.youtube.com/watch?v=fJWnhIRw9HM&feature=youtu.be

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John Franks is a founder of CHORD electronics. He used to work on designing power supply of aircrafts. At CHORD, John is responsible to products concept. As for digital matter, Robert Watts is fully responsible.

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John met Robert when John was at a recording studio installing his amplifiers. Robert showed him his unique DAC which employed the FPGA. It was the origin of Pulse Array DAC nowadays.

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He is holding DAC64 PWB in the picture

DAC64 sounded remarkable but used to get hot. Next QBD76 was improved for both of sound quality and the heat efficiency, thanks to improved FPGA device. QBD won’t get hot. QuteHD is a downscale version of QBD76 to bring a size merit of FPGA. QuteHD employs the same generation FPGA but less capacity.

John thought about the situation of current audio industry and he saw that SONY released a portable headphone amp (HPA-1), he came to the idea that CHORD should design a portable audio gear. So he asked Robert about feasibility of the idea. It was the start of Hugo product 14 months ago.

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Then Robert Watts brought an idea that to use the latest FPGA called Xilinx Spartan-6. The most improved point of Spartan6 is a heat efficiency and low power consumption as well as a compution performance.
Speaking of performance of the CHORD FPGA, refer to the tap value below. Higher is better.

DAC64 1024
QBD76 17000
Qute 8000
Hugo 26000


Looks like Qute is a scale down version of QBD so the tap value is also lower. But Hugo is better than QBD76 in specification thanks to its improved FPGA. Hence CHORD stated the Hugo is the reference product. Hugo also supports THD -140dB ! This is an unbelievable spec even in all the audio product's not only limited to portable products. John told us "When Robert showed the first Hugo prototype, it seemed like something from another planet".

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Notice the large batteries of Hugo. These ensure a good run time.

CHORD also implemented an advanced digital volume control with FPGA.The volume is very accurate and precise, almost no data loss would be found. An optical encoder is used in the volume.

* Hugo and the technology

Highlights of CHORD products are an advanced digital circuit like Pulse array DAC, WTA filter and they also features high quality power supply. Aircraft grade machined aluminum body is also a CHORD signature.
Hugo has all of this. There is no compromise.

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In fact, this advanced power supply is very useful for portable gears that has a severe power restriction. It can be said the CHORD had an elemental technology for portable gears. Another elemental technology is a low power consumption in order to make a portable gear. New Spartan-6 FPGA made that possible.

For example, DAC64 use four Xilinx FPGA consume 3.3V/8W power that could go up to almost same temperature as a human body.
New sixth generation Xilinx Spartan-6 of Hugo consume only 0.7V. Spartan-6 equip high efficiency switching regulator which is free from switching noise. It keeps power consumption low even in a high load condition.

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Not only in the power section but also the improvement can be found in the performance section. Hugo WTA filter runs 1.5 times faster than QBD76 using 26000 taps. That reaches up to THD -140 dB that had never been possible to achieve even with full size gears ever. John said that as a designer he was amazed by this result himself.

Newest digital technology has been fully implemented into this small package.
Until now only obsolete technology has been used for portable gears. But Hugo is different. Hugo employs the latest technology which never used even in high-end audio world. This is the proof of reference class of CHORD.

* Hugo specifications

Here I recap the spec of Hugo. The casing is CHORD signature aircraft grade machined aluminum. Hugo only accepts digital signal. They are optical(TOS), SPDIF, USB(two types) and Bluetooth.
TOS is 192kHz capable and SPDIF is 352/384kHz capable. Hugo has two different USB inputs, one works for iPad or smart devices that accepts only 48kHz 16bit via USB Audio class1. Hence we don't need to install any drivers. This one runs off self-power supply from Hugo battery so we don't have to worry about iPad/iPhone current limitation.
The other one works for computer audio with higher data rate up to 352/384kHz at 32bit. To use this USB, we need to install CHORD driver.
(But you never know, when the CHORD finalize this product, you may see more improvement to this spec!)


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Hugo also accepts DSD natively up to DSD128(5.6MHz).
It requires (We need) DoP to enable native DSD transmission. Bluetooth accepts decent APT-X codec for good sound reproduction. Hugo employs metal body but Hugo has a plastic window to pass thru BT signal that enhances transmission efficiency. I feel the wireless transmission is a desired move for this smartphone age. We used wired connection in iPod age but in this smartphone age the wiring is not a proper method I think. BT said to have poor sound but CHORD has been studying carefully about the implementation of BT device these several years. Hugo is the one of the result came our of their study.

Speaking of output plugs, Hugo has two mini(3.5mm) headphones plug and a 1/4 headphones plug so you can use Hugo either at home or on the go. Hugo has one pair of RCA analog out terminal so you can use Hugo as a decent USB DAC at home. In fact Hugo would also be a good "first CHORD" for many people.

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Multi color LED tells us current sampling rate and volume level. CHORD's unique round window is illuminated by the LED and so as well as the volume control knob. As I wrote earlier, Hugo has an advanced digital volume which retains minimum data loss as possible.

Battery lasts around 12 hours. Full charge will be completed in two hours and one hour charge is enough for casual use.
The amplifier section is analog circuit not digital amp. Amplifier circuit is another highlight of Hugo. Output power is strong enough to drive even the loud speakers that has 8 ohm impedance.

* Use of Hugo

John Franks came to see how Japanese portable users use audio gears at the time of previous show. Hence the Hugo has everything what we need to use for portable audio. Analog out is an exception but by considering very high quality of DA conversion
performance of Hugo, it is likely to be used at home too so it's not an issue.

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AK100mk2 hooked up with Hugo.
The blue light square is the BlueTooth antenna window.


Hugo can be hooked up with various audio gears. For example, PC USB connection, optical out of AK100 or SPDIF out of DX100 and more. In addition to that, Hugo is able to hook up with iPad and iPhone(iOS7 or later) thanks to dedicated 48kHz USB input via camera connection kit. Some of Android phones would be feasible too. (Androids would need USB OTG cable)

Bluetooth is useful with smartphones and tablets. I guess one of the reason why BT sounds poor is a sake of poor audio circuit design of budget gear besides the SBC lossy transmission codec. However, the implementation of Hugo is different. Hugo does not use the poor DA conversion in the BT chip. Instead Hugo directly take digital signal from BT chip. That means the BT signal will be converted by Hugo's marvelous Pulse array DAC section. In addition, Hugo accept APT-X decent transmission codec.
The result would change your mind about BT.

You can use Hugo as a decent USB DAC from your PC. Hugo supports -140 dB of THD so you may want to replace your home rigs with Hugo!
In fact, I tried Hugo with CHORD's fine home DAC and amps with high-end speakers to test the home audio ability of Hugo. Then I was amazed by the sound quality that Hugo could deliver. It was a truly high-end sound and it is well comparable to good home rigs. I found Hugo can be a rival to home DACs.
I can hook my iPhone5 up with Hugo (We need iOS7 to do so).

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Volume control is a round knob on the top plate. You will see color changing along the knob movement.

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Sennheiser HD800 and Hugo.

I tried Hugo headphone sound using Ultrasone Edition 8 and Sennheiser HD800, they are the finest rigs in the headphone world.
Hugo delivers crystal clear and accurate sound that is very transparent and pure like fountain water. Highs and lows are both well extended so I could feel very wide frequency range. I also felt good PRaT in the fast paced music. The instrument notes are well separated. Hugo sounded very sharp, articulated but no harshness there. Yes I felt the sound of Hugo is highly resoluted but very smooth at the same time. This may be similar to the feeling of a virtue of audiophile's beloved DAC64.

I think the amp section is very nice too. Because the sound is thick and rich. It reminds me of a good home audio system sound. An impact of bass and drums is tight and well controlled. Hugo is able to drive high impedance HD800 very well.
I think the "sharp while natural" sounding is a proof of high quality audio gear.

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Hugo hooked up with CHORD amps and Raidho Acoustic speakers.

* Hugo brings a new age

In recent years, portable audio is getting popular and a demand of high quality gears are also
increasing. Hugo costs almost 1000 UK pounds that may be a bit expensive for portable audio however it is still a bargain price. You will understand it from what you see in this document. I think CHORD gets almost no profit at this price point.
Hugo raised the bar of the portable audio quality. To sell outstanding quality gear comes from a philosophy of CHORD. That is CHORD.

John told us the strength of CHORD is a passion to seek perfection. No compromise there. Hugo to break up current portable amp league and start new era. That is no amp reached ever.
Hugo would be a turning point to change audiophile's mind. Portable gears are now on the same ring with speaker listening highend audio gears.

Now we have a portable amp that has THD -140 dB. A history of portable amps has started by small starup manufactures then major manufactures came in like FOSTEX or SONY. Finally we have a high-end audio manufactures too. I see a strong growth in this portable audio world. This must be a good thing for us.

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Lastly John Franks said:
"I hope you like my little baby. 40 years ago people listen to realistic sound of stereo system they never had before and they showed a lovely happy look on the face. With Hugo it gets the same responses. It's a pure pleasure for me"

2013年12月07日

CEntrance HiFi M8レビュー

CEntranceはDACportやDACminiなどのオーディオ製品でも知られていますが、USBのファームウエアでも独自の位置を占めています。たとえばPS AudioやBel Canto、BenchmarkなどのUSBファームウエアを提供していたいわばUSB DACの老舗でもあります。HiFi M8はそのデジタル製品に強いCEntranceが出したデジタル入力のみのDAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプです。
いままでの名称でM1とかM7っていうのはありませんが、HiFi M8のM8は"メイト (エム・エイトのアナグラム)"と読むようです。つまりはルームメイトやチームメイトのようにHiFiを聴く相棒というわけですね。またアメリカではバーやクラブで気軽に人に話しかけるときによくHey manとかHey mateと言いますので、そうした気軽さと言う意味もあるのかもしれません。

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AK120+HiFI M8

ホームページはこちらです(代理店Mixwaveさんのページ)。
http://www.mixwave.jp/audio/centrance/hifi_m8.html

1 HiFi M8の特徴

1-1 豊富な機種バリエーションと豊富な入出力の選択

M8にはいくつかのバリエーションがあります。日本ではそのうち前面パネルで二種類、背面パネルで二種類の組み合わせが選べます。M8の音質レベルが高いので、ポータブルだけではなく家を主体に聞きたいと言う場合にも便利なように出来ています。
前面パネルはひとつはXLR2本のバランス端子を持つものがあります。このバランス用のXLR端子は普通のヘッドフォン端子を兼ねているので、外よりも家で多く使いたいと言う人にはこちらがお勧めです。
もうひとつはコンポジャックと標準ヘッドフォン端子、そして4ピンのポータブル用のバランス端子がついたものです。コンポジャックはミニステレオのヘッドフォン端子と光出力が兼ねられた端子です。コンポジャックを使うことで光出力も可能ですので、iDevice機器を使用している場合にはDDコンバータのように使うこともできます。
4ピンのポータブル用のバランス端子はミニXLRともいわれますが、はじめにサミュエルズさんのRSAが採用したことでRSAタイプともいわれます(HeadFi世界的な言い方)。そのためこちらの全面プレートはRSAモデルと呼ばれます。

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背面パネルはデジタル入力がiPhone/iPodなどいわゆるiDeviceから取る方式か、光入力かで分けられます。光タイプはLXと呼ばれます。
これはメインのソース機器をiPodにするか、AK100にするかで分けられます。一方でiDeviceタイプはiPhoneだけではなくiPod Classicも使えますが44kHz/16bitの上限があります。このタイプの入力はiTransportを嚆矢とするAccesseasry Protocol(iPod/iOSをデバイス側としてデジタル信号を取り出す)ですが、これは最近Herusなどでも話題のUSB DACを使うもの(iPod/iOSをホスト側にしてデジタル信号を送る)とは異なりますので注意してください。この方式では専用のDAC(M8やHP-P1のような)が必要です。

もう一方の光入力タイプ(LX)では角型のTOSリンク端子が装備されています。この方式では192kHz/24bitのハイレゾ入力が可能です。一方でこの組み合わせで使用するショートの光ケーブルが必要になってきます。私はこういうのには基本的にカナダのSys-Conceptのケーブルを使うので、今回も発注しました。これは機種ごとのカスタムで、アンプとDAP間のスペーサーなどによる個体差もあるので個々に角度と長さとTOSの向きをはかって注文時に報告が必要です。ただ実際には長さは測っておいて、後はアンプとDAPを重ねた写真を撮ってSys-conceptに送ると見積もりをしてくれます。その旨を注文時に指定しておくとよいでしょう。AK100が丸端子で、M8側は角端子なのでそれも注意が必要です。

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私は主にポータブルで使うし、ハイレゾで聴きたかったので、前面パネルがRSAタイプで背面はLXを選びました。つまりシステムとしてはAK100/120をソース機材として、光ケーブルはSyS-Conceptの特注品でHiFi M8の光入力に接続しています。
M8はポータブルとしては大柄な筺体ではありますが、このようにユーザーの使い方によってセミオーダーのように機種を選ぶことができます。このユーザーの自由に合わせると言う考え方は後の味付けスイッチでも見て取れます。

1-2 デジタル入力専用

HiFiM8の入力ではアナログはなく、USB入力とiDeviceまたは光入力となります。
またCEntranceは前述のようにデジタル技術に強いメーカーですので、デジタル入力のみと言う仕様は強みを発揮できるところだと思います。
HiFi M8ではJitteGurdという仕組みでジッター低減をしていますが、これはDACminiに使用されたものと同じということです。

1-3 バランス駆動対応

HiFiM8のヘッドフォン出力のポイントはバランス駆動に対応していることです。M8ではさきに書いたように前面プレートの選択によってポータブルではRSAタイプ、家用にはXLRx2本(いわばHeadroomタイプ)のタイプが選べます。

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ポータブル用・イヤフォン用のバランス駆動のための端子は主にこのRSAタイプと、HiFiManなどが使う4極端子で一本のTSSRタイプ、そして国内のラトックが使うステレオミニ2本の端子なとがあります。また標準のヘッドフォンのためには上のXLR2本(Headroomが嚆矢)が一般的ですが、最近では一本で4ピンXLRを持ったタイプもよく使われています。なぜXLR(キャノン)が2本かと言うと、はじめのHeadroomのバランス駆動ヘッドフォンアンプが普通のステレオヘッドフォンアンプ二個を物理的にくっつけたようなBTL構成だったからです。


1-4 多彩な味付け機能

HiFi M8の背面には様々な付加機能があります。左からインピーダンス切り替え、ゲインスイッチ、高音域強調と低音域の強調です。HiFi M8はバランスの良い音調ですが、これらの機能を加えてやることで音の味付けに変化を与えることができます。

一番左は出力インピーダンスの変更です。普通出力インピーダンスは低いほどよく音が引き締まってタイトになると考えますが、低いと分析的すぎると感じる人もいるので、膨らみ感があっても迫力と感じるような高い出力インピーダンスを好む人のためにあえて設定スイッチを付けたということです。いわばオーディオマシーナのようなスピーカーより往年のJBLサウンドを好むという感覚でしょうか。これもユーザーのヒアリングを重視して選択の範囲を広げるという入出力選択のポリシーにも共通しているように思います。
次はゲインスイッチで、3ポジションあります。これはめずらしくないですが、これもユーザーの選択肢を広げると言うポリシーにかなっていますね。
次の2つはトーンコントロールのようなもので、低域と高域のレスポンスを調整できます。3段階あって効き目はあまり強すぎず、適度に使えます。M8自体はあまり誇張感のない音調なので、少し誇張した音が好きな人はこれらのスイッチを付加して味付けを行い、さらにさきのインピーダンスも緩くするとロックポップ向けの設定ができると思います。

2. 使用と音質

M8は少し大柄の筺体で、持ち運びはしにくい点もありますが家で使うにはこのくらいの方が安定して設置できるかもしれません。家と外で両方使いたいと言う人には良いかもしれません。また見た目ほどは重くはありません。私はソース機材としてはAK100/120を使用しています。

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今回はポータブルでのバランス駆動をしますので、ケーブルはBeat SuperNovaのRSAタイプを使用してみました。Supernovaのケーブルはやや硬めだけれども取り回しに問題はありません。Beat独特のメモリーワイヤがついていて、耳のまわりに回すShure方式です。プラグはよくできていて、旧UEの引っ込んだプラグにもきちんとはまり、JHAやWestoneなどの弱いプラグ穴でもしっかりとはまります。このほかにもUnique melodyや1964 Earsにも使えるようです。新UE(現行UE)には使ないと思いますので確認が必要です。またこのカスタムイヤフォンタイプのほかにもいくつかタイプがあって、MMCX、ゼンハイザーにも対応できるようです。他のケーブルとも比べてみましたが、価格の割には音質レベルが高いのではないかと思います。特に音がきつすぎずに滑らかさを感じる点は評価できます。M8と合わせて大人の音を堪能できるでしょう。

試聴は下記のような形態です。
AK120 ⇒ 光ケーブル(Sys-Concept) ⇒ HiFi M8 ⇒ Beat Super Nova RSA Balanced⇒ Ultimate Ears UE18カスタムまたはJH Audio 13/16カスタム
AK120 ⇒ 光ケーブル(Sys-Concept) ⇒ HiFi M8 ⇒ ゼンハイザーHD800やEdition8



試聴はインピーダンスは1オーム、低域、高域強調はオフにして始めました。イヤフォンとしてUE18/JH13/16+Beat Supernovaを使用しました。
全体に透明感が高く、楽器音は音像の形よくきれいに鳴るが、いわゆる美音のように音色が脚色されているわけではないですね。
ポータブル機器としては音がよく整っていて破綻がなく、上質なホームアンプをおもわせます。DAC部分はよく出来ていて、ポータブル機器でよく聴かれる荒さやバランスの悪さというのはありません。例えばベースのピチカートなどはキレが良くタイトで性能が高いと感じるけれども、それによってきつさが副産物になるわけではなく、音像の角も滑らかに取れています。立体感は4芯独立したバランスケーブルで聴いてることもあってかなり高いものがあります。
素の周波数特性はわりとフラットで、低域が物足りなければスイッチで加えることができます。ただ素のままでも低域には必要なほどのインパクトは十分あると思いますが、人によっては物足りないと感じるかもしれません。

DACportやDACminiでは乾いたドライな感じもあったんですが、M8ではそうした感はなく厚みがあって豊かな本格的なオーディオの音が基調だと感じます。ただサミュエルズさんアンプのような強い暖かみはなく、全体に着色感も少ないですね。こうしてバランスが取れている分で、ある意味でリファレンス的、アキュフェーズ的というか、割と中庸な印象も受けます。そのために味付け機能があるとも言えますね。
ハイレゾでは単に細かさが向上するだけではなく、良録音のもたらす空気感を良く伝えてくれます。それによってヴォーカルの息遣いをリアルに聴き取れます。

インピーダンス・スイッチを変えると、インピーダンスを高くするにつれて音像が緩く膨らんできます。インピーダンスが低いといわばジャズや弦楽四重奏のような上品な音楽には向いてますが、インピーダンスを高くすることでメタルなど荒っぽい音楽には合うように感じられます。これに低域増強を足すとかなりアグレッシブなロック再生機となります。
一方でロックこそドラムスのシャープなインパクトが必要と思う人はインピーダンスを低くすれば良いし、これもユーザーの音の好みと聴く音楽による選択であると思いますね。出力インピーダンスを変えると、どう音が変わるかっていうのを知るのも面白い機能だと思います。

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イヤフォンからヘッドフォンに変えて聴いてみると、HD800ではむしろこうした高性能ヘッドフォンでHiFi M8の真価が発揮されると感じます。端正で正確、スピードもあり、インパクトのシャープさも高いですね。バランスでなくてもHD800の空間表現力の豊かさを感じられる基本性能の高さがわかります。荒さもなくスムーズで音に深みが感じられ、堂々とした風格がある音でホームアンプらしくもある上質な音です。余裕があり、いかにも無理してボリューム上げてポータブルでHD800を鳴らしてる感はあまりありません。HD800との組み合わせが素晴らしかったのでXLRx2バランスも試して見たくなるほどです。
むしろこうしたフルサイズのヘッドフォンでM8が生きると思えます。HiFi M8がポータブルとホームアンプの両立を果たしていると感じられるところですね。Edition 8でもかなり良く、どちらかというとこうした本格的なヘッドフォン向きかもしれません。家ではHD800、外ではEdition 8など高性能ヘッドフォンを生かすことができます。大柄ではあるけれども、ホームアンプを持ち歩けるように下のがM8とも言えます。

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もちろんUSB DACとしても使用することができます。USB経由でMacに接続すると、さらに音質は向上してかなり上質なヘッドフォンアンプ内蔵のUSB DACとして使えます。

3. HiFi M8まとめ

海外製アンプでは作り手の個性が強く出て脚色的に暖かかったり美音だったりしますが、HiFi M8はベーシックで高い音性能を中心に据え、ユーザーの好みで入出力が選択出来たり、音の味付けを変えたりできるユーザー主体の製品ともいえます。これによってさまざまな用途、多様なユーザーに対応するように考えられた結果なのだと思います。

実はしばらく前のヘッドフォン祭でM8のプロトタイプ(当時は当然名前はなかったですが)をこそっと見せてもらったことがあるんですが、DAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプという初期コンセプトは同じでも、この製品版はそれとは大きく異なってかなり機能豊富で進化したものになっています。たっぷりと時間をかけて入念に作り上げたのでしょう。
またこちらのCEntranceのブログで進捗を途中からオープンにしたこともユニークです。
http://centrance.com/products/new/blog/
この辺もユーザーとのコミュニケーションを大事にしていますね。

プロ機材中心だったCEntranceにとってのコンシューマー・ポータブル機材はDACportもありましたがDACportはMICportの姉妹機ともいえるので、実質的にHeadFi世界向けのポータブル機材としては初の本格的な参入と言えると思います。そういう点でショウにもよく顔を出しているCEntranceのマイケルさんはユーザーの要求を吸い上げて時間をかけて設計したと思いますし、その成果が結実したのがこのHiFi M8だと言えるのではないでしょうか。
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2013年11月27日

ハイエンドオーディオのCHORDからパルスアレイDAC内蔵ポータブルアンプ"Hugo"登場

CHORDというとQBD76や、かつて知られたDAC64のようにハイエンドオーディオの代名詞の一つで、ヘッドフォン世界からはやや遠い存在でした。しかし、今回そのCHORDがポータブルヘッドフォンアンプを開発しました! その名もHUGO(ヒューゴ)というもので、入力はすべてデジタルで行う超高性能DAC内蔵ポータブルアンプです。入力は384kHz PCM、DSD 128、そしてBluetoothにも対応します。

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画期的な点はCHORDはHUGOをCodetteシリーズのようなコンシューマ向けの安い製品ではなく、CHORDでも最上クラスを意味するリファレンスグレードの製品として考えているということです。
ほかのオーディオメーカーでもエントリークラスとしてヘッドフォンやPCオーディオ製品を出すことはよくありますが、CHORDではHUGOをリファレンスグレードであるとしています。理由は後で分かってくると思います。

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HugoのDAC部分はQBD76やDAC64ではおなじみのパルスアレイDACを採用しています。ESSやWolfsonなどの出来合いのDACチップではなく、FPGAで構成されたカスタムメイドのDAC回路です。しかもこのパルスアレイDACは新世代のもので、スペック的にQBD76をさえ上回る点もあります。ポータブルで、ですよ。またポータブルにも適合できるように特に低消費電力に力点が置かれています。

ちなみにHugoという名前はYou Go(ユーゴー)というところからきた英国モンティパイソン流の英語のごろ合わせです。これはWherever you go(あなたのいくところ、どこへでも)というところから来たもので、ポータブル製品を表しています。

* Hugo発表会とCHORDのこれまでとHugo開発の背景

本日はCHORD社から創始者であり開発チーフでもあるジョンフランクスが来日して、プロトタイプを持参してのデモを行ってくれました。
また、私がインタビュアーとなっていくつか質問をしています。その内容はフジヤさんの動画で後に公開予定です。

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本日が一般にはワールドプレミアになります。ただし本日はプレビュー的なもので、正式な発表会は後で開催されます。本日持参してくれたのはプロトタイプで、情報も開発段階のものですので念のため。


ジョン・フランクスはChordの創立者で、もともと航空機開発の電源開発に関わっていました。話を聞いてみるとコンコルドなどにも関わっていたようです。
CHORDには他社と比較するのではなく、自分で最高のものを開発するという哲学があるということで、自分たちが目指すものは高品質でありハイエンドと位置付けられているとのこと。製品はオペラハウスのPA用のアンプとして数百台も採用され、自然な音再現が評価されているそうです(下の写真)。

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CHORDではジョン・フランクスは主にCHORDのコンセプト全般とアナログまわり関係を担当していて、ロバート・ワッツはデジタル関係を担当しています。ロバート・ワッツとはスタジオに出入りして出会いました。彼はDAC開発をしていてユニークなゲイトアレイを使用した市販品のDACチップではない、それらを超えるDACを開発していました。これがのちのFPGAを使用するパルスアレイDACになります。

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上の写真ではジョン・フランクスはDAC64の基盤を持って説明しています。右はDAC64の基盤です。

当初のDAC64では音は良かったが熱くなるのが難点だったということ。QBD76はさらに進化したFPGAにより性能があがり熱効率と消費電力は改善され、QBD76は発熱しなくなりました。これはFPGAを使ったDACのメリットでありムーアの法則で良くなって来たというわけです。
さらにFPGAのサイズメリットを生かすためにコンパクトなQuteHD/EXが出てきました。
この辺りで最近は若者はあまりハイエンドは買わなくなったということも合わせて、なにができるかを考えていたということ。そこにソニーが出した例のDAC付きヘッドフォンアンプ(HPA-1)に考えさせられ、我々もできるのではないかと14ヶ月前にロバート・ワッツに相談したということです。

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そこでロバート・ワッツは新しいFPGAのXilinx Spartan-6を使うアイデアを持ってきました。これはQuteのものより高性能で低消費電力でした。性能面でいうと、各機種のタップ数(処理の細かさ)はだいたい次のようになります。
DAC64 1024
QBD76 17000
Qute 8000
Hugo 26000

タップ数が増えるほど処理能力は上がります。つまりQuteにおいてはQBD同世代のFPGAを採用してQBDのスケールダウン版だったのでいったん処理能力は下がりましたが、最新のFPGAを採用したHugoはQBDより性能が上がったわけです。ここにCHORDが自信を持ってリファレンスクラスという理由があります。
性能面でいうとなんと、HugoはTHD -140dB(DRもほぼ同じ)を達成しているのです!
ポータブルで、ですよ。据え置き高性能DACでも100dB越えたら高性能でしょう。ジョンいわく「ロバートから提示されたものを見た時は、まるで他の惑星から来たようだと思った」です。

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さらにHugoではFPGAのあまりあるパワーを使ってFPGAでデジタルボリューム(32bit)を作りました。これも高精度なタップ数ゆえにロスはほぼ皆無ということです。ボリュームは光学エンコーダで読み取られます。
上の写真はHugoの内部画像です。右と左端のバッテリーが大きいのがわかります。

* Hugoと最新技術

CHORD社の製品の特徴はパルスアレイDACやWTAフィルターのような先進的なデジタル回路と、SMPSのように強力で高品質のスイッチング電源が特徴です。
また航空機グレードのアルミ切削のシャーシもこのクラスのオーディオには欠かせません。そしてHugoはこれらのすべてを備えた生粋のChord製品です。妥協はありません。ビーズブラスト(サンドブラストより細かい)処理による表明仕上げも特徴的です。

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実のところ限られた電源を有効に使わねばならないポータブルではこのCHORDの効率の良い電源が有効で、CHORDはポータブルにも通用できる要素技術を持っていたと言えるかもしれません。
そして、CHORD製品をポータブルにするのに必要なもうひとつの要素技術は低消費電力です。この新たな第6世代のパルスアレイDACでは特に低消費電力に重きが置かれています。
例えばDAC64では、4つのXilinx 100,000ゲート・ロジック・アレイFPGAが搭載され、それぞれ3.3V/8Wのパワーを供給する必要がありました。それは人の体温くらいに発熱する効率の悪さでした。
HUGOに採用された第6世代Xilinxは0.7V以下になっています。HUGOには1個(*初出時2個と書きましたが1
個です
)の低消費電力のXilinx Spartan-6が搭載されていますが、バッテリー・パワーを効率的に運用するために超高効率スイッチング・レギュレーターを採用し、これらの1.2MHzスイッチング・レギュレーターとともにスイッチング・ノイズから完全に解放され、負荷の高い再生状態にあっても電力消費は低く抑えることを可能にしています。

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もちろん性能面でも向上が図られています。CHORDでは独自のWTAデジタルフィルターも自慢の技術ですが、HUGOのWTAフィルタリングでは16個のカスタム・デザインDSPコアが208MHzのスピードで動作して26,368タップもの高精度でWTAフィルターを実装しています。さきに書いたようにDAC64ではわずか1,024タップの精度ですし、なんとこれはあのQBD76より1.5倍も上回ります。設計者自身ここまで可能とは思っていなかったが、実現できたと語っています。

これによりTHD -140dBというポータブル機材ではありえないような、というか据え置きハイエンド機器でもほとんどみないようなレベルの数値が実現できているということです。
まさに最新のデジタル技術が惜しげもなく採用されていて、いままでのポータブル機材とはあきらかにレベルが異なるのが分かると思います。
いままでは据え置きで使い古された技術をコストダウンしてポータブルに導入と言うケースがほとんどだったと思いますが、このHugoではまさに据え置きホームオーディオでもないような最先端の技術が採用されています。それがリファレンスクラスです。

* Hugoの仕様

ここでHugoの仕様をまとめたいと思います。
ケースはいままでのCHORD製品同様にCNC切削による航空機グレードのアルミシャーシです。入力はデジタルのみで光(TOS)入力、SPDIF入力、USB入力(2系統)、そしてBluetoothです。
光(TOS)入力は192khz対応で、SPDIFは352/384kHzまで対応しています(両方とも24bit対応)。USBは2系統あって、ひとつは48kHz/16bit専用のもので、こちらはスマートフォンやタブレットでの利用を想定していてドライバーレス(USB Class1)です。もうひとつはPC/Macからの接続を想定したHD入力のもので、こちら352.8/384KHzで32bit入力まで対応していますが、カスタムドライバーのインストールが必要です。
確認しましたがスマートフォン用USB入力はバスパワーではなくセルフパワーですから、USBはiPad/iPhoneからも受けられます。実際につないで確認しました。

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もちろんDSDに対応していて、DSD128(5.6MHz)にも対応しています。DSDネイティブ再生にはDoPを使用します。BluetoothはApt-Xに対応したものです。金属のシャーシだけれどもプラスチックの窓を設けてアンテナ効率を高めています。高性能オーディオではまだBT対応も数少ないですが、やはり個人的にはスマートフォン・タブレット時代のポータブルオーディオではワイヤレス対応が必要であると考えています。
またCHORDはQBD76も含めて伝統的にBT技術をも探求していてその成果のひとつとも言えます。BTは完全ではないが、進化を続けているというわけです。

出力系統はミニヘッドフォン端子(3.5mm)が2つ、標準端子(1/4インチ)がひとつあります。またRCAアナログ出力が一組ついていますので、DACとしても使えます。実際にCHORDのハイエンドアンプのシステムとつないでライドーの新型スピーカーで鳴らしましたが、据え置きに勝るとも劣らない音質です。これだけの音質のものですので、ぜひとも家でも使いたいものですし、多くの人にとっては"My first CHORD"となるでしょう。

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入出力とサンプリングレート、ボリュームレベルは多色のLEDで示されます。サンプリングレートはCHORD独特の窓で、ボリュームレベルはボリュームノブが光ります。
またこれもさきに述べたように、HUGOにはデータロスを最小限にした先進のデジタルボリュームが内蔵されています。またクロスフィードも内蔵されているようで、これはデジタル領域で動作します。
電池の持続時間も気になる人は多いと思いますが、電池はこのスペックにしては長時間の12時間も動作します。製品化までにはさらに伸ばしたいとのこと。フル充電時間は2時間で済むそうで、1時間充電で通常の使用は可能と言うこと。

アンプセクションはデジタルではなくアナログアンプです。アンプ部分も充実していて、後段はディスクリートバッファでパワーも十分あります。8Ωのヘッドフォンもドライブできるのでスピーカーでさえ鳴らせるということです。

* Hugoの使い方

秋のヘッドフォン祭に間に合う予定もあったのですが、万全の体制で臨むため時間を取りました。前回のポータブル研究会でジョンフランクスが来場したことを伝えましたが、あのときも日本のポータブル文化を視察していって、同時に必要な仕様の見直しをはかったりもしています。光やSPDIFなどを含めたデジタル入力の充実も日本のファンがポータブルでデジタル入力を先進的に使っているのを見越しての改良点です。
下の写真はAK100と光接続したHugoです。

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このようにHugoは光入力やSPDIFミニ端子もついていますので、光出力付きのAK100やSPDIF付きのAK100 B-specなどさまざまなデジタル出力を持ったプレーヤーと組み合わせることができます。
また、44kHz専用USB端子があるので、スマートデバイスのiPhoneやiPadとカメラコネクションキットを介してUSB接続でデジタル出力を出せます。またAndroidともUSB OTGを使えば接続可能でしょう(未確認)。
またBluetoothの搭載はスマートフォンをケーブルから開放して真の自由さを謳歌できます。もちろんBTチップ内蔵のプアなDACではなく、超高性能のパルスアレイDACを使用していますのでおそらくBluetoothというものを見直すことでしょう。
もちろんPCやMacからは(超)高性能のヘッドフォンアンプ付きのDACとして使用できます。このくらいのレベルならばたいていの据え置き機は勝負にならないと思います。
アナログ入力はありませんが、そもそもHugoはDACがポイントですし、多くのソース機器の出力を大きく凌駕しているで必要はないですね。
Bluetoothワイヤレスやタブレット専用44kHzUSB入力など、いまからの時代を見越しての設計、そしてユーザーがどう使うかを考慮した設計がなされていると思います。

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ボリュームは表面の丸いノブで音量を上げると色が変わります。丸窓もQuteHDのようにサンプリングレートで色が変わります。iOS7のiPhone5でもカメラコネクションキットで再生ができました。

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試聴は短時間ですが、Edition 8とHD800で聴きました。
音は端正で澄んだ音であり、雑味がなく伸び切っています。粗さがなく上質でキレが良く正確さを感じます。また高解像度ですが自然であり、滑らかで荒さがありません。DAC64のイメージかもしれません。
アンプ部分もなかなか出来がよく、痩せた感じはなく豊かな感じですね。据え置きなみの音と言って良いと思います。ベースやドラムスのインパクトやキレの良さは言うまでもなく、かなりパワフルでHD800をグイグイとひっぱってドライブします。それでいて音が上質で高級オーディオらしさがあります。

下の写真のようにHugoをスピーカーオーディオにつないでパソコンからUSB DACとして音楽再生しましたが、据え置きDACと変わらないくらいのレベルの高い音でした。これも驚きです。
高解像力でかつ自然な音、それが高性能オーディオの証明でしょう。

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なおケーブルもスマートフォン対応を含めて始めからいろいろと付属してくるそうです。


* Hugoがもたらす世界

最近はポータブルオーディオもさかんになり、ハイレゾ対応も含めてオーディオ製品としての品格が求められるようにもなってきました。
Hugoは価格的には予価は約英1000ポンドとポータブルとしては高価格ですが、これは途中過程をちょっと知ってる私からするとバーゲン価格と言って良いと思います。ほとんど儲けはないでしょう。すでに書いてきたことを見ていただければ、内容的にもそれは納得してもらえると思います。

Hugoはいままでにないグレードのポータブル製品と言えると思います。それを出すのがCHORDの矜恃です。
ポータブルオーディオの世界がHugoの登場でより上に拡張されたとみるべきでしょう。まさにリファレンスクラスのハイエンド・ポータブルオーディオです。

ジョンフランクスはCHORDの強みは完全を望む情熱であると語っています。
いままでのポータブルアンプは「最高の音質を追求しました」とか「コスト的に妥協しませんでした」といっても、ある枠があってそれを超えない範囲でのことだったと思います。ハイエンドオーディオメーカーのCHORDの参入によりその枠は広がり、HUGOはその枠を超えています。
HUGOはポータブルオーディオが安かろう悪かろうという世界から、真にスピーカーオーディオに比肩するようなオーディオ世界の仲間入りをする一歩となる歴史的な機器となるでしょう。

しかし、とうとうポータブルオーディオの進化はTHD -140dBという域まで達した最新のパルスアレイDACを採用したポータブルアンプまで登場するに至りました。ポータブルオーディオだからこそ、小型化への必要性がその進化をプッシュしたとも言えるかもしれません。
ポータブルオーディオはガレージメーカー主体から大手メーカーの参入に発展し、いまやハイエンドオーディオメーカーも参入しました。来年からのこの世界にますます期待が高まります。

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最後にジョンが語ったことを紹介します。
"なぜ日本を初めの発表の地に選んでくれたのですか?"という問いにはこう答えています。
「日本は技術においても世界をリードしているが、モバイルオーディオ界でもそう思っている。日本のユーザーの質は高く、日本でまず評価して欲しいと考えた。」ということです。さきのDita Audioのダニーも同じことを言っていましたが、いまや日本のユーザーの熱意が世界から注目されています。
そしてジョンは最後にこう結んでくれました。
「みなさんが私の子供であるこの製品を好きになって欲しいと思います。人は40年前にステレオに驚いて音のリアルさに満面の笑みを浮かべました。ぜひこのHugoでまた同じように驚いて笑みを浮かべて欲しいと思います。」

Hugoは2014年CESで正式に発表され、2014年前半に販売が開始される予定です。
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2013年11月20日

シンガポールの新星、Dita Audioのハイエンドイヤフォン、"The Answer"

シンガポールから新しいハイエンド・イヤフォン製品が登場しました。Dita Audioというメーカーの名前も"The Answer"というイヤフォンです。
ホームページはこちらです(日本語もあり)。
http://www.ditaaudio.com/

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1. Ditaのオーディオ哲学

実は私が夏にシンガポールに行ってきたときにこのメーカーの人と会っていろいろと話を聞いてきたんですが、それが日本で初お目見えとなります。Ditaの人は日本にもよく来ていて、ぜひこの製品を日本で初登場させたいと語っていました。日本のユーザーのレベルをとても高く評価しているので、ぜひ日本のユーザーの方たちにはじめに聞かせて評価いただきたいと言う願いがあるそうです。この思いをDita設計者のひとり、ダニーが熱く語ってくれました。

まず彼らはオーディオファイルであるというところからスタートしています。だからオーディオファイル向け「のみ」のプロダクトを作りたい。マスマーケット向けの妥協はしたくないというのを強調していました。Dita Audioの設計者たちはシンガポールではオーディオの代理店もやっていて、オーディオマニアとして満足できるオーディオ再現をイヤフォンで実現すると言う目的で作られています。このためにパーツ構成には妥協なく取り組み、可能な限り高精度のパーツを自社で開発しています。事実上ドライバー素材以外のパーツはほとんどすべてDitaの自社製です。

ダイナミックを選んだのもスピーカーオーディオからきたからということで、その採用はバランスド・アーマチュア(BA)に比べるとより自然であると語っています。またBAの問題は性能を上げるためにはマルチBAで組まねばならず、クロスオーバーなど部品が多くなります。そのさいにクロスオーバーなどのコンポーネントはgenericコンポーネント(汎用品でオーディオ向けではないという意味で)を使わねばならず、オーディオとしての音質が製作者にはコントロールできないと言っていました。これはスピーカーのハイエンドオーディオではクロスオーバーにオーディオ用の特注品を使用しているし、オーディオ的な音質と言うことを語るにはオーディオ用に設計されたパーツを使うことが外せないと言っています。

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たとえばプラグなんかも既製品ではなく、自製で音質的に優れたものになるように非磁性やレゾナンスを考慮して一から設計していて、カーボンファイバーを採用したプラグを作りました。もちろんハウジングもCNC加工の100%メタルシャーシで、これらにはDitaの親会社の持つ金属加工技術をフルに発揮しているのも特徴です。親会社が機械製造のプロなのでハウジングの製造にも活かされているということです。このようにわずかなパーツも妥協なくオーディオ向けとして設計し、不要なレゾナンスを減らすなどの考慮をしています。ドライバー以外はプラグに至るまでほぼ自製で、ドライバーも専業メーカー製だけれども独自のチューニングを入れてるとのことです。

またダニーはデータよりも音楽性を取りたいとも語っていました。たとえばAnswerはややペースのレスポンスが高めにも聞こえますが、これは多くのオーディオファイルはベースが少ないと良いと思ってるが、やはりベースは重要であると考えるという彼らの考えに基づいています。実際にハイエンドスピーカーなどもそのコストのほとんどはおそらくベース再現のためなので、これは納得出来る話ではあります。もちろん彼らの言う「良いベース」は単に低域が膨らむというものではなく、重みがあり解像力があって音楽全体の下支えとなる文字通り「基礎」となるベースです。
そしてまた、アタックとかスピードも持ちたい、躍動感をもって音楽の魅力を伝えたいとしています。

そのシンガポールでの暑い夏の日には夢語りかと思ったオーディオファイルのためのイヤフォンがいま製品となりました。その名もDita Audio "The Answer"です。
本来オーディオ機材であれば当然の細かいこだわりの積み重ねが良い音を作ると言う彼らの哲学が結実した、オーディオ機器としてのイヤフォンです。そして箱には自信の証として設計者のサインが描かれています。

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2. Dita Audio Answerイヤフォン

Dita Audio "The Answer"は形式的にはシングルドライバーのダイナミック型イヤフォンです。プラグさえも自製で、汎用品を使わずに音質を向上させるとともに、スマートフォンケースの厚みのオフセットも考慮された使いやすさも考えられています。ハウジングは航空機グレードのアルミニウムの削りだしからCNCで製作されています。これはDitaの親会社が機械製作を行っているノウハウを生かしています。ハウジング・エンクロージャーはスピーカー設計においては音質の重要なキーポイントとしてあげられますが、イヤフォンの場合にはそうした見地からはあまり顧みられていません。Dita Audioではそこにポイントを置いて音質的に最適化して設計を行い、さらに重心から考慮した人間工学的な配慮をしています。
ドライバーは広帯域で反応が早いということに重きが置かれています。シングル構成と言うのも、もちろんコストのためではなく位相の問題を解決し優れたイメージングを得ると言うスピーカーのフルレンジ的な考え方で採用されています。スペック的にも18-25000 Hzと広帯域ですね。

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ケーブルには2タイプあり、それによってAnswerには二つのバージョンがあります。ひとつは通常品のThe Fat cableともうひとつはThe Truthです。Fat CableはDitaの開発によるもので、The TruthはケーブルメーカーのVan Den HulがAnswerのために専用に開発したものです。これはVan den HulがDita Audioの思想にほれ込んで特別にコラボをおこなったもので、The Truthでは使用するハンダまでVan Den Hul製と言うこだわりようです。ケーブルの一部が切りかかれていてわざと線材を見せるようにしているのがユニークです。以下の音質レビューは主にこのThe Truth Editionを使用しています。

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箱を開けてまず目に入るのは上でも書いた製作者のサインです。パッケージも高級感があり、積層されています。

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ケースはジッパー付きのソフトケースと、やや容積が大きいセミハードケースが付属しています。

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イヤチップは何種類か用意されています。Answerは音響フィルターの交換はできませんが、チップを交換することで高域特性を変えることができます。中くらいの音導孔のサイズのものが標準で、穴の小さいタイプは高域を和らげ、穴の大きなものは高域をやや強調させます。

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Answerの質感はかなり高いものでハウジング自体は精密感があります。またとても耳にフィットしてはまりやすいので、シンプルな形状ですがよく研究していると思います。
True editionのケーブルはかなり弾力性があって、ケーブルの反発が強いのでShure方式で耳に回すにはメモリーケーブルがもう少し強いのがほしいところです。首のところのチョーカーで締めれば問題はありません。ケーブルの一部に切り欠きがあって、シールドの下の線材が見えるようになっているところがちょっとユニークです。ケーブルの品質にはかなり自信をもっているのでしょう。

3. Answerの音質

自分の持ち機材でいろいろためすとAcoustic Research M1(ARM1)が一番相性は良く、AK100Mk2でもなかなか好印象です。これらの組み合わせはまさにポータビリティも高いですね。

Answer Trueの総合的な印象としては、基本的にニュートラルで付帯音がなく端正な音を鳴らしますが、かといって無機的と言うのとも違います。あくまで音楽的に楽しめます。
アルミ筐体にしては硬質感がなく、クリーンで雑味がないスムーズさが魅力的です。またダイナミズムがあり、スピード感があり楽器音の歯切れが良い点もポイントです。全体に緩さがなく引き締まっていますね。際立つのは立体感と音場再現で、楽器音は忠実でリアルです。ピアノの音色再現なんかは秀逸だと思います。空間に広がるかすかな余韻の広がりが微かに聴こえる感覚が素晴らしいですね。
Van Den Hulはスピーカーケーブルを一組持ってますが、やはり独特の個性があり、透明感と共に音色良い系ではありますね。

また、単なる柔らか系イヤフォンとは異なっていて、シャープなところは芯があって密度感があります。音像はアルミ削りだし素材のようなシャープさではなく角や面取りが丁寧にされてる上質感があります。
解像力や音質レベルはIE800同等以上だと思いますが、違いは滑らかさです。上質さ、品格の高さですね。また、K3003で聴けばものすごく細かい音が聴こえるっていう発見があってすごいすごいって聴くけれども、Answerではそれに加えて滑らかで心地よい響きの良さを発見でき音楽に没入するということも言えます。
おそらく評価が分かれるのは低域、ベースかもしれません。やや強調感はありますが、大きく張り出しているわけではなく、密度感のあるベースの押し出しが強いという感じでしょうか。

True Editionと比べると、標準ケーブルだともっと取り扱いが楽で弾性もしなやかですね。音再現は標準でも十分に堪能できるが個人的にはtrueの方がよりクリアで広帯域感があると思います。やはりTrueの方が一枚上手だと思いますが、やや高域に強めの癖があるなど気になる人はいるかもしれません。これはイヤピースや後述のアプリEQでも調整できますが、音は個人の好みもあるので聴き比べて選ぶのも良いでしょう。特にTrueはバーンインに時間をかけたほうがよいですね。中途半端だとかえってハイがきつめになりがちに思います。

iPhoneではFLAC Playerがお勧めで、iPhone単体でもかなり高いレベルの音再現が楽しめます。解像力も十分に細かく、透明感が高いクリアな音でバランスも良いですね。音の高級感があります。
スマートフォンの利点を生かしてアプリをいろいろと変えてみるのも良いでしょう。たとえばTrue Editionでクリアなのは良いけれどもハイがややきついという時にはOnkyoのHF Playerアプリのハードでは実現困難なほど高精度な64bit EQで調整してみても良いでしょう。またAudiophile PlayerアプリのMAXX DSPを使用して、端正なAnswerをあえてドンドンするロックやエレクトロ向けの激しい音にしてみるのも面白いですね。iPhoneのA6やA7などの高性能さを堪能できて、iPhone単体でもけっこう満足する自分なりの設定ができると思います。またAndroid+Neutronプレーヤーアプリも相性が良さそうです。
ただこの音の良さに気がつくとAKシリーズなどのもっと上級のプレーヤーも欲しくなるでしょう。

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AK100Mk2だと躍動的な側面もより明瞭に見えてきまます。BAに比べたダイナミックタイプの躍動感がよく出ていて音楽が生き生きと生命力あるものに感じられます。ニュートラル系でリファレンスタイプというと無機的にも想像されますが、Answerではそれはないですね。
音再現がシャープで細かくよく聞こえます。ヴォーカルの声のニュアンスもよく伝えられ、Answer独特の滑らかさと上質感が出ています。楽器の音がよく再現され、高域はTrueの個性もあり鮮明ですがAK100mk2ではそうきつめには出てないと思います(ケーブルのエージングも十分必要ですが)。低域の解像度も高くチェロやベースの鳴りも逸品です。低域の重視は重みとなって現れ、ヴォーカルがそれでマスクされるということはありません。ベースの迫力が欲しい時にも欲しい量感の豊かさが得られます。ドローンのように重い低音が流れる上にささやくようなヴォーカルが乗っていても、両方明瞭に再生できます。Auraのようなアカペラ合唱だとAnswerの良さが際立ちます。発声がスムーズで声の重なりが心地よく、響きやトーンがリアルです。また立体感が際立っていて音の重なり合わせが三次元的です。
ジャズトリオでは切れが良くリズムのノリのよさもあります。Answerは音楽のジャンルは選ばないと思います。

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ARM1だと精緻できりっとした歪みのないような正確な音を叩き出します。これがおそらく上質さという他にAnswerの持ち味のひとつだと思います。音の緩みがなく、引き締まって気持ち良いくらい音が伸びて行きます。無の空間からヴォーカリストが口をあけて発声するリアルな感覚も味わえるでしょう。それに加えて、薄っぺらにならない厚みがあって、滑らかで上質、密度感があるところもAnswerらしいところです。特にスピード感のあるARM1とトランジェントの速いAnswerの組み合わせはかなり良いと思います。またARM1の耳に近いアクティブさもAnswerのダイナミック型の良さを引き出しています。
クロノスカルテットの新作Aheymでは単調な音の流れから複雑に変化していく細やかな音楽の表情を浮き立たせてくれ、ともすると退屈に聞こえそうな現代音楽での細かな表現に注力すると言う魅力を教えてくれます。またTim Heckerの新作Virginsのような現代音楽meetsインダストリアル系はなまじなシステムだとうるさいだけになってしまうけれども、ARM1+Answerは緊張感と迫力を引き出して複雑な音の絡みを解きほぐし、音楽に没入させてくれます。
単に聞き流すというよりもこうした音に注力して取り組まねばならない音楽にもAnswerはその姿勢に答えてくれます。それが真のオーディオ機器というものだと思います。

    

総じて言うと、私みたいに日頃リケーブルしたカスタムで聴いてる人も満足できる音質レベルです。カスタムのマルチBA機とは性格が異なるので優劣をつけるのがむずかしいところではありますが、ダイナミックでは今までのイヤフォンのベストと言って良いと思います。

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4. "Music is a harsh mistress"

Dita Audioのホームページには下記のDita Audioのモットーが載っています。
"Music is a harsh mistress, there can be no compromises".
前節はハインラインの「月は無慈悲な夜の女王("Moon is a harsh mistress")」から来ていますが、「音楽は無慈悲であり、そこに妥協をゆるさない」という感じですね。

日頃高性能イヤフォンで聴いていて、この細かい音再現力は並みのスピーカーオーディオには負けないぜ、と言いつつもやはりオーディオショウなんかでハイエンドスピーカー群を聴くとまだまだ及ばないなあ、なにか越えられない一線がある、と考えさせられます。しかしDita Answerにはそこに一歩近づくなにかがあると思います。さきに感じた多くのイヤフォンとDita Answerの差はそれに対しての「答え」になっているのではないでしようか。
それは単にドライバーだけが突出して新開発のすごいものとか、リケーブルして最高のケーブルを使った、というような一点豪華主義で優れているというのではない、プラグや各種接点の細かいこだわりの積み重ねが良い音を作るというハイエンドのオーディオ機器ならばある意味当たり前のことがなされているという点から感じられることかもしれません。
ヘッドフォン、イヤフォン、ポータブルオーディオが伸びてきていても、どこかで従来のスピーカーオーディオの世界に追いつくためには考え方を変えねばならないところがあると日頃感じるところはありますが、そういう意味でもピュアオーディオ志向の開発者がこうしたイヤフォンを作ってきたということは評価に値すると思います。
いまやヘッドフォンがスピーカーと並んで一人前のオーディオ機器として受け入れられたように、Dita AudioのAnswerもオーディオ機器としてのイヤフォンとしてのターニングポイントとなるでしょう。

実際にすでに販売を開始しているフジヤさんではかなり好評にDita Audioが売れているので、彼らが選んだはじめの日本の市場で評価を正しく受けているということも言えますね。
購入はフジヤさんの下記リンクでどうぞ。

Dita Audio Answer
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail53558.html

Dita audio Answer True Edition
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail53559.html

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2013年11月10日

CalyxがCESでDSD128/DXD対応のハイレゾDAPを出展か

下記Mono&Stereo誌によると、韓国メーカーCalyxがCESでDSD128とDXD対応のハイレゾプレーヤーを出展するようです。価格は990ユーロとのこと。
http://www.monoandstereo.com/2013/11/calyx-m-portable-dxddsd-player.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+monoandstereo%2FHOym+%28MONO+AND+STEREO+Ultra+High-End+Audio+Magazine%29

下記サイトではスリムなボディが見て取れます。内蔵メモリは64GBでタッチスクリーンUIとのこと。名称はCalyx Mとなるようです。
http://www.digitalaudioreview.net/2013/11/calyx-m-portable-dxddsd-player-to-launch-at-ces-2014/

CalyxはコンパクトUSB DACのKongでも知られてますが、XMOS採用の192/24DACなどPCオーディオに対しての取り組みも先進的なメーカーです。PCオーディオ系ではHerusやGeek outのようにDXD/DSD対応するコンパクトUSB DACが最近は流行しつつあります。そこでやはり流行りつつあるハイレゾ対応のポータブルオーディオとコンパクトDSD/DXD対応のPCオーディオの二つのトレンドを融合させようという試みかもしれません。上リンクでは"DSD/DXD go mobile"とありますね。
DACチップは書いていませんが、上記のDAC192/24ではESS9018だったので、これもESSで2M系ではないかと推測はできます。またこれもいまのところは推測ではありますが、このスペックであればDAP単体でDSDネイティブ再生も可能だと思いますのでちょっと注目したいところです。
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2013年10月31日

Meier Audio CORDA QUICKSTEPレビュー

MeierのQUICKSTEPは一年くらい前に出たポータブルアンプで新製品ではありませんが、セールをやっていたので手を出しました。私にとってはMOVE(初代)いらのMeierアンプです。

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久々のMeierアンプになるのでその新しい搭載技術のおさらいをしてみました。MeierのアンプはMOVEシリーズの後のSTEPDANCEで新機軸が入り、2STEPDANCEで改良され、QUICKSTEPでマイナーチェンジがなされたという歩みになると思います。PCSTEPはUSB DACがついたバージョンで音質重視のラインではありません。
STEPDANCEで導入された新技術はおもにディスクリートボリュームとアクティブ・バランスド・グランドです。しかし電気食いすぎるとかいう批判もあってか2STEPDANCEで回路やオペアンプが改良されて、ハイカレントモードでの電流が減っています。そしてQUICKSTEPでの改良点はRFフィルターと頑丈なイヤフォン端子です。
ですからQUICKSTEPでもディスクリートボリュームとアクティブ・バランスド・グランドが引き継がれて主要な位置を占めています。

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*ディスクリートボリューム

まずディスクリートボリュームですが、製品説明では32ステップの「ボリューム」の段階があるとされています。しかし、それは従来的な意味でのボリュームとかアッテネーターと言うものではないようです。
その詳細についてはHeadFiスレッドの中に、設計したMeierさん自身が書いた下記説明文があります。
"With most amplifiers the input signal is first attenuated with the use of a potentiometer and next it is fed into an output stage with fixed amplification factor"
→「ほとんどのアンプでは入力信号はまずポテンショメーター(ボリューム)によって減衰(アッテネート)され、次に固定のamplification factorを持った出力段に送られる。」
"The concept of the STEPDANCE and QUICKSTEP models is different. The input signal is not attenuated but the amplification factor of the output stage is changed with volume. "
→「しかしSTEPDANCEとQUICKSTEPのコンセプトは違っている。入力シグナルを減衰するのではなく、出力段のamplification factorがボリュームによって変更される」とあります。その"amplification factor "っていわゆるゲインのことなので、注文したときについでにMeierさんにディスクリートボリュームとはVariable gain(可変ゲイン)のことと言い換えてよいか?と聞いたらexactly so(まさしくそうだ)と言ってました。つまりディスクリートボリュームって32段階の細かいゲイン切り替えみたいなものです。
製品説明ページの解説にはADCでアナログボリュームの位置を測るとありますが、これはボリュームノブの回転角を測ってゲイン調整するためで、シグナルパスにはボリュームまわりは入ってないと思います。アンプにはゲイン設定も別にありますがこれは固定値で足してるんでしょうね。
従来のボリュームやアッテネーターはシグナルパスには無いので、抜群の透明感の理由も納得できます。またチャンネル間のインバランス(ギャングエラー)もないでしょう。

*アクティブ・バランスド・グランド

次にアクティブ・バランスド・グランド(Active balaneced ground)ですが、これはケーブル改造なしでバランス駆動のような効果を得ると製品解説にあります。
これはちょっとわかりにくいのですが、二つの言葉の合成語だと気づくと分かり易いと思います。それは3chアンプを意味するActive groundとバランス駆動のBalancedです。つまり基本は3chアンプだけどバランス駆動のように信号の平衡が取れてるという意味でしょう。どういうことかというと、平衡を取るのに4本だとリケーブルが必要なので3本で平衡を取るという考え方です。
以下の式は本来は1/2とか1/4が必要ですがわかりにくくなるのでざっぱな概念です。()内は一本のケーブルの電位です。

(L+0) + (R+0) + (0) < > 0 普通の2chヘッドホン(Gは0)。計ゼロでないのでアンバランス
(L)+ (-L) + (R) + (-R) = 0 普通のバランス駆動。計ゼロなのでバランス(平衡)
(L-G) + (R-G) + (2G) = 0 アクティブ・バランスド・グランド。計ゼロなのでバランス(平衡) *Gは共通なのでLとRの逆位相信号が混ざってます。

ですから端的に言うと、アクティブ・バランスド・グランドとは簡易バランス駆動アンプと言うよりは改良型3chアンプと言った方が正しいと思います。
より正しく理解されたい方は下記のMeier氏自身の解説をご覧ください。
http://www.meier-audio.homepage.t-online.de/grounds.htm
それとアクティブ・バランスド・グランドだとボリュームが作りにくいという点もあって、可変ゲインであるディスクリートボリュームを採用したのではないか、と思いますが定かではありません。

*そのほかの改良など

QUICKSTEPでの改良点であるRFフィルターはおもにスマートフォンのような電波発信デバイスをソースに使うために改良されたと思います。ポータブルアンプのソース機材はiPodからiPhoneなどに変化していますが、ポータブルアンプでもその対策が必要と言うことでしょう。
イヤフォン端子はよりしっかりとしたタイプに変更されています。SONY ZX1と似た感じのプラグですが、外観上の特徴でもありますね。

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またこれもSTEPDANCEからですが、Meierアンプ得意のクロスフィードがありません。これもアクティブバランスドグランド採用に関係するのかもしれませんが、特許問題でかなり以前もめた(Meierのをコピーされた)のでその辺もあるのかもしれません。

また出荷時はハイカレントモードですが、切っている人もいるので中古を買う人は注意が必要です。カレントモードの変更は中を開ける必要があります。

*音質

サイズ自体はコンパクトで、AK120だと少しはみだすくらいです。AK100あたりがよいでしよう。重さもそれほどではありません。

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RWAK100-SとQUICKSTEP

下記のインプレはローゲインでカスタムのUE18を使用しています。
まずQUICKSTEPは透明感がとても高いのが印象的です。またハイスピードで楽器の音の切れが良く、トランジェントの良さを感じます。いわゆる鮮度感が高い音で、生き生きとしています。ボリュームレスとか、ショートシグナルパスなんかが効いているんでしょうか。この点では透明感はあるが音が遅いPortaphileとは違いますね。帯域特性などはとてもバランスがよく、低域の量感もあります。
音の広がりも立体感があってよいですが、二次元的な広さ自体はそれほどでもないかもしれません。スケール感よりはコンパクトな弦楽カルテットやジャズトリオが似合いそうな感じではあります。

ちょっと難は、改良されたとはいえやはり電池があまり持たないと言うところでしょうか。ただしこれも音質とはトレードオフですので個人的にはハイカレントモードを推奨です。

*まとめ

QUICKSTEPはサイズもコンパクトで取り回しもしやすい感じです。音も高い透明感と立体感、そして歯切れの良さが良いポイントです。価格もわりと程よいところだと思いますのでコストパフォーマンスは良いですね。コストパフォーマンスと言う点で言うと、QUICKSTEPと2STEPDANCEは小改良程度なのでRFフィルターとしっかりしたイヤフォン端子がいらなければ、もしかしたら安くなった2STEPDANCEの方が得かもしれません。ただ私にそれを言うのは野暮というものでして。。
posted by ささき at 22:16 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月22日

EarSonic S-EM6、6ドライバーのユニバーサルIEM

EarSonic S-EM6はフランスのメーカーのハイクラスイヤフォンで、ユニバーサルタイプながら3Wayの6ドライバーを採用している点がポイントです。ドライバーはそれぞれ高域x2、中音域x2、低域x2、となっています。インピーダンスは60オームと言うことでこの手としては少し高めですね。
ホームページはこちらです。
http://www.earsonics.com/en/audiophiles-earphones/s-em6/

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デモ品を借りましたので、AK100Mk2で試聴しました。装着はShure式で、装着感は悪くはありません。チップはダブルフランジです。

IMG_2701_filtered.jpg     IMG_2700_filtered.jpg

音質は全体に誇張感はなく、適度に滑らかさと聴きやすさがあります。乾いた感じではなく適度にウエットですね。低域もインパクトはありますが強くはありません。高音域もカチッとしたクリアさもありますが、きつさはあまりありません。音場の二次元的な広がりは標準的ですが、立体感は高いと思います。解像感もクラス的には普通程度です。3Wayで6ドライバーにしては一穴のイヤフォン孔と言うのも工夫してほしかった点ではありますね。
全体に音楽の雰囲気表現に長けていますが、やや甘い面もあります。さすがフランス製と言うか、性能系というより音楽性よりだと思いますね。AK100Mk2と組み合わせた音楽リスニングはなかなか良い感じです。
ケーブルプラグはカスタムイヤフォンで一般的なタイプなのでケーブル交換すると光るかもしれないが、プラグが硬くて借用品なのでやめておきました。標準ケーブルだとやや中庸的ですが、ケーブル交換するとまた光るかもしれません。

ヘッドフォン祭ではムジカアコースティックのブースで試聴できる予定です。
posted by ささき at 22:25 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月18日

ネットオーディオ VOL12に執筆しました

発売中のネットオーディオVOL12に執筆しました。
まずポータブルオーディオ特集の中でP71にポータブルオーディオの歴史としてここ10年ほどのポータブルオーディオの進化を簡単にまとめています。
しかし、ポータブルアンプもこうしてオーディオ誌に特集として取り上げられるとはその昔には考えられなかったものです。SR71のサミュエルズさんは当時は海の向こうの尊敬する人でしたが、いまではヘッドフォン祭に呼んで来てもらえるまでになりました。
Xinのアンプもいまとなっては懐かしい話です。Xinはシンと読む人もいますが、HeadFi文化の私としては英語読みのジンと書きました。これも当時は東京にHeadFiの中心人物たちがいたころで、そのころに彼らのHeadFi meetに招かれたときに聞いた話で、いまとなっては懐かしいことです。実は当時の方が東京のHeadFierはまとまっていて力があったのですが、一時期彼らが帰国するとちょっと散発的になりました。でもいままたヘッドフォン祭も軸としてまとまりつつあります。

それといつもの連載ですが、P176でiOS7のオーディオ的な改良のポイントを書きました。iOSもAndroidもこれからますますオーディオに組み込まれていくことでしょう。なぜかというと、スマートフォン・タブレットがPCに代わって世の中のインフラとなっていくならば、カメラも書籍も音楽も世の中のインフラと切り離せず無縁ではありえないからです。オーディオもその一つです。
ぜひ本誌をお手に取ってください。


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2013年10月03日

Kickstarterの超小型MP3プレーヤー内蔵イヤフォン、SPLIT

クラウドファンディングのKickstarterでまた面白いのを見つけました。
これは下記の超小型MP3プレーヤー内蔵イヤフォン、SPLITです。名の通りに左右間にケーブルはなく、独立してます。

http://www.kickstarter.com/projects/701992503/the-worlds-only-earbuds-with-no-strings-attached?ref=live

Splitは両方の耳に入るような小型のイヤフォンにMP3プレーヤーが内蔵されています。面白いのは操作の仕方で、歯を噛むことで行います。一回噛むと再生でもう一回噛むとスキップ、噛むごとに曲スキップします。この検知には3軸加速度計を使用しています。ボリュームは二回カチカチと噛むことでアップができ、二回噛むごとにボリュームをアップします。デフォルトは3段階ですが、PCにつなぐことでステップを細かく設定できます(ただし一度行き過ぎると歯が痛くなるでしょうけど)。この機能はイヤフォンに指で触れることでキーロック(噛みロック?)できます。ご飯を食べてる時に使えないのは残念です。

プロセッサはARMベースのEFM32でこの中にDACやオペアンプが内蔵されています。製作者は音にも自信あり、だそう。オーディオとしてのスペックは出力20mW/ch、SNR:100dB、6mmのネオジウムダイナミックドライバー。チップは取り換え可能。再生は4時間です。メモリは64MB(GBではない)か256MB、ファイルはMP3とWAVに対応しています。(WAVは入れられないと思いますが)
ポイントは両耳でのケーブルなしの再生ですが、これは片側にプレーヤーがあってもう片方にストリーミングするのではなく、両方にプレーヤーがあって、同時に同じ音源を再生します。そしてその同期をクロックを無線で交換することで行います。そのため、無線はBTやWiFiではなく、独自の小電力通信でここがKickstarterものらしい技術のポイントなんでしょう。体に与える電磁波的な影響もBTの1/1000とか。

Kickstarterで投資受付中で$155から実機が購入できます。ターゲット完成期日は2014年4月です。ガジェット的な引きは強いんですが、さて。。。

ちなみにこれを開発するGreenwing Audioのような小さな新興メーカーは今ではガレージメーカーというよりスタートアップ(Startup)と呼びますのでその辺も小耳に挟んでおくと良いかもしれません。
***

ちなみについでながらKickstarter開発のLight Harmonic社のUSB DACのGeekですが、名前をGeek outと変更して順調に開発進行中で、いまは色などのオーダーを取っているところです。私は限定KickstarterカラーのGreenと普段使いのBlackをそれぞれノーマルタイプとSuper Duperタイプで購入(投資)しています。
http://mustgeekout.com/?ref=backers

またKickstarterネタではないけど、この手のDragonfly的な小型で、かつDSD再生や384KHzも可能なUSB DACは他にもResonessenceがHerusというのをつい先日発売開始しました。この手のいわばDragonfly第二世代みたいなDSD対応のコンパクトUSB DACにもちょっと注目です。
http://resonessencelabs.com/herus/
ちなみに採用してるDACはそれぞれGeek OutはPCM1795、HerusはES9010-2Mです。
posted by ささき at 23:57 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする