Music TO GO!

2016年09月15日

iPhone7のイヤフォン端子廃止とレイテンシー問題

iPhone 7でイヤフォン端子がなくなったんで代わりにBluetoothで聞いてください、と言ってもそう簡単に行かないのは一つにはレイテンシーの問題です。

オーディオは良いんですが、動画は映像と音声がずれてしまいます。ただこれについてはiOSやAndroidの最近のOSではBT通信時の映像再生は少し遅延させるそうで、これでわりと助かるはずです。
ただ問題なのはゲームなどランダムに音と映像の同期が必要なものです。これについては測った人がいて下記の記事にまとめられてます。
http://stephencoyle.net/latency/
これによると有線と比較するとほぼ3倍近いレイテンシーが発生してます。これは問題になる値ということ。

それでもっと面白いのはDaring Fireballのジョングルーバーがこの記事を引用して、AirPodsではかなり向上してると書いてるところです。
まだ感じるほどあるけれども、この人の今使ってるBeatsのBTイヤフォン PowerBeats2よりも良いということ。

http://daringfireball.net/linked/2016/09/14/airpods-latency

W1チップの効果というのもあるかもしれませんが、ちょっと興味あるところです。
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2016年09月11日

Noble Audioの新フラッグシップ、Katanaレビュー

Noble AudioのKatana(カタナ)はNoble Audioの最新のフラッグシップIEMです。
Katanaはカスタムモデルとユニバーサルモデルがあり、カスタムはWagnus経由、ユニバーサルは宮地商会(M.I.D)経由で各販売店で購入することができます。本稿はユニバーサルモデルのレビューです。
下記は宮地商会のNoble AudioユニバーサルIEM取り扱いページです。
http://www.miyaji.co.jp/MID/brand.php?maker=Noble%20Audio
下記はWagnusのNoble AudioカスタムIEM取り扱いページです。
http://wagnus.exblog.jp/22822571/

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* "Wizard" ジョン・モールトン

JH Audioが"IEMの神様"ことジェリーハービーで語られるように、またNoble Audioは"Wizard"ことジョン・モールトンで語られます。モールトンが日本でも知られるようになったのはHeir Audioのころだと思います。もともと彼はオーディオロジスト(聴力の専門家)で、名前にドクターが付きます。そういう意味ではキャリアのスタートはジェリー・ハービーよりもセンサフォニクスのマイケル・サントゥッチに似ているかもしれません。
Heir時代から続くWizard(魔法使い)というあだ名はウッドフェイスプレート(おそらく彼が初)や金銀など様々な素材を使った類まれな製作技術から来ているようです。私はHeir時代のモールトンのIEMはTzar350とTzar90を持っています。これらについては下記リンクをご覧ください。
2012年:Heir Audio Tzar 350と90 - ハイインピーダンスの高性能イヤフォン

そして2013年にHeirを出て、Noble Audioという新しい会社を立ち上げました。モールトンはIEMを芸術的に作りたいという志向が強く、Heirではやりたいことができないのでやりたいことのできる会社を立ち上げたということです。JH AudioもジェリーがUEをやめてやりたいことをやるために作った会社であるように、Noble Audioもジョン・モールトンが作りたいものを作る会社というわけです。それを補佐してきたのがNobleの若いCEOであるブラナン・メイソンです。Nobleでは他のIEMメーカーがミュージシャンをメインターゲットにしているのに対して、オーディオマニアを大きなターゲットにしている点も特徴です。

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右:ジョン・モールトン 中:ブラナン・メイソン 左:Wagnus久米さん

モールトンはそれからNobleで水を得た魚のようにだれもが驚くようなアートワークをほどこしたり、Wizardモデルというワンオフ(一点もの)モデルを作ったりとオリジナリティあふれる活動をしてきました。そして傑作と言われるK10(Kaiser 10)を発表します。
Noble Audioというと長い間10ドライバーのK10がフラッグシップというかアイコンのように語られ、K10はJH AudioのロクサーヌのライバルとしてもHeadFiあたりではよく語られてきました。
ジェリーとモールトンの間で好敵手と思ってるかはわかりませんが(今度聞いてみたいところですが)、周りがそういう盛り上げ方をしてきたのはやはりTripleFiからHeadFiにながく関わり、主流派としてのジェリー・JH Audioに、新興勢力としてのWizard・Nobleに期待をしている証拠だと思います。

そして今年発表された最新のフラッグシップがKatanaです。

* Noble Katana

Katanaの名の由来はモールトンがポタフェスの発表会でも語っていましたが、ひとつにはNoble Audioが日本でとても人気があるということ、日本刀(Katana)の正確さ・しなやかさ(flexibility)がオーディオ的見地にも似ていること、そして製作が芸術性も含んでいることなどです。

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K10からドライバーをひとつ減らしたことについての大きな理由はサイズをコンパクトにするためのようです。実際にK10よりも2.5mmサイズが小さくなって、耳に収まりやすくなっています。またKatanaからはKnowlesとの協力でNoble Driverという独自仕様のBAドライバーを積んでいます(詳細は不明)。何ウエイかというクロスオーバーについても非公開とのことです。

音についてはK10とは違う音で、もっとHiFi系にしたいという意図があったようです。これはユーザー要望からということですが、モールトン自身もHeadFiの書き込みの中で「私にとってK10は適温のジャグジーのようなもので、入ったら出たくない感じのもの」と語っていますのでもう少し辛口のきりっとした(熱めの風呂のような?)音にしたいという点もあったのではないでしょうか。

モールトンはK10に関してはHeirを始める前から構想を温めていたと言いますから、Nobleになってからのフラッグシップ設計は実質的にKatanaが最初と言えるのかもしれません。Nobleはユーザーに支えられてきた会社という意識があるからこそ、こうしてユーザーの声を生かした成果がKatanaと言えるのかもしれません。

* Katanaのパッケージ

パッケージはシンプルに感じますが、必要性は満たされています。中にはペリカンケースが入っていてその中にイヤチップ、アンプ結束バンド、カラビナ、イヤフォン本体、ステッカーなどが入っています。イヤチップはプレートにはまっている点がユニークで取り出しやすく思えます。以下の試聴では主に赤ラバーチップを使いました。

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イヤチップは4種類ついていて、赤シリコンラバー、青ラバー、二段フランジラバー、黒フォームです。これはHeir時代から同じのように思いますが、チップはきれいに格納できる金属プレートについているのが面白い点です。ユニバーサルだとチップが重要だし、音を変えられるという点でカスタムに対するプラスでもありますので種類が多いのはよいことです。

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Katanaはステムが太いのでややはめづらいのですが、チップのはめ込み位置を上下に加減することで耳にはまりやすくなります。

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これは個人的な耳の相性と音の好みになるのですが基本的には赤シリコンラバーが一番よく、中高域の透明感を出すように思います。また黒フォームもなかなか良く思います。フォームだとフィットはいいけど音を濁らせることがままありますが、これはそうしたことなくバランスよい音です。
社外品だとJVCのスパイラル・ドットがうまく合います。フィットも良いし、音も少し変えられます。

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イヤフォン本体はコンパクトで、質感が高く感じられます。たしかに和風の文様のようにも思えますね。カラーリングはユーザー要望もあり中性的な配色を目指したということですが、電車の中で使っていても目立ちにくい控えめな感覚も和風かなと思えます。

装着感もとても軽く感じられます。ステムは太めで大小大きさ違いの音導孔がうがたれています。
標準ケーブルは軽くしなやかでストレートタイプのプラグがついています。イヤフォンのプラグは2ピンなので多様なリケーブルが楽しめるでしょう。今回の記事ではすべて標準ケーブルで行いましたが、この標準ケーブルもなかなか良いと思います。

* Katanaの音質

Katanaの音質の高さにははじめからちょっと驚かされました。
まず箱を開けていつものように撮影して、さてちょっとエージング前に聴こうと思い、手近にあったAK70+ADL USB OTG+iQube V5で聴いてそのまま凍りついてしまいました(英語で言うとJaw dropってやつ)。ゼロエージングなのに透明感がすごいんです。並みはずれた透明感というべきでしょうか、LyraとかAndromedaもすごかったけれども、これはまた一線越えてる感じです。ちょっと聞いたシガーロスの歌がきれいに伸びたのは驚くほどです。透き通るように美しく、中高域はとてもきれいで整っている歌声がきれいに伸びていくのは感動的なレベルです。

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エージングを進めると次に感銘するのは解像力の高さです。とにかくソースがよくなるほど直線的に音の細かさが向上して、細かい音がよく聴こえます。
さきのAK70+ADL USB OTG+iQube V5のような優れた機材だと、とても細かい音が聞こえます。一つ一つの音があいまいにならずに鮮明に切り立って聞こえるのも特徴で、標準ケーブルでの解像力は現行IEM/イヤフォンでトップクラスだと思います。特にヴォーカルがかすかにため息をつくように消え行くところ、息使いで表現する質感がリアルで、まるでSTAXで聴いてるようです。

ひとつの音のひずみ感のないピュアな美しさも特筆ものです。音のトランジェントも高く、ベースもドラムスもヴァイオリンも楽器の音は贅肉が取れて引き締まったタイトさがあります。リズム感のよさ、畳みかけるインパクトの気持ちよさもトップクラスですね。
音の立体感も高く3次元的な感覚も覚えますが、イヤチップの装着がよくないとこれは喪失してしまいますので注意が必要です。透明感の高さと合わせて、曲によってはヴォーカルが空中に浮いてるように聴こえますね。

色つけはほぼないんですが、ドライでも無機的でもなく、純粋な音というべきでしょうね。ピュアでニュートラルと感じます。重いとか濃いというのではなく、すっきりと軽快で純度が高い感覚です。
帯域特性はほぼフラットでバランスがとてもよく、固有の味付けがないのでほとんどソースの特性をきれいにトレースしてくれます。プレーヤーやアンプの音を忠実に浮き彫りにする。そのためDAPやポータブルアンプの差が大きいといえます。
いろいろ聴いてアンプを変えてみて分かるのはKatanaはとてもソース忠実性が高いというか、アンプの特性をあばきだすという感じです。iQubeV5の時はDAC特性のままベース抑え目だったけど、Mojoだと気持ち良いくらいパンチのあるベースが楽しめます。解像力があってタイトなベースはちょっと快感ですね。

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AK70(USB out), iQube V5, Noble Katana

Noble KatanaをiQubeV5で聴くと高精細な室内楽向けと言う風にも思えたけれども、Mojoで聴くとオールドロック復古バンドのProducersなんかスピード感とかっこよさにあふれまくって楽しめます。隠しトラックのFGTHのTwo Tribesのベースなどは最高ですね。
AK380+AMPだとAK4490とフェムトクロックの高精細感を活かして、声の消え入り具合が見事です。Ryu Mihoの1曲1GBの11.2MHz DSD「ニアネスオブユー」は手島葵をジャズヴォーカルにしたようなRyu Mihoの声のかすれ具合と表現がよくわかります。
Katanaは音色の微妙な色彩感のようなものまで再現できるので、たとえばRWAK120をソースに使うと、解像感やワイドレンジ感というだけではなく、その音色のリアルさがはっきりとわかるようになります。Vinnieさんが工夫したマルチビットDACのようなMPフィルタや回路改造による音色の良さを堪能できます。

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AK380+AMP, Noble KAtana 11.2MHz DSDネイティブ再生

とにかくKatanaには最高のDAPとアンプを使ってください、と言いたいところですが実はiPhoneでもかなり良いのです。というか、iPhoneってこんなに音良かったったけ?と思うほどです。
最近Apple Musicで聴いていたLorenzo Naccarato Trioの最新作にしてメジャー移籍アルバム(?)のKometで白熱するユーロジャズの演奏のかっこよさには感激します。iPhoneで聴いて鳥肌立つとは思いませんでした。
https://itunes.apple.com/us/album/lorenzo-naccarato-trio/id1085504313
コンパクトさも含めてiPhoneにも合わせられるというのはまさにflexibilityというものかもしれません。

この音を聴いて思いだしたのは前述したHeir TZar 350です。TZar350は350オームという技を使って音の純度の高さ、究極のシャープさと切れ味を狙ったのですが、そうした純粋な音への追求というところが共通しているように思えます(ある意味ER4Sの進化系とも思える)。しかしもっと使いやすく、音はずっと深く突き詰めて、完成度をとても高くしたのがKatanaです。
モールトンは音の傾向を低音強く楽しみ系のチューニングをしたFunタイプと、音のバランスよく正確なReferenceタイプに分けて設計する傾向があり、Heir時代は3.Ai/Tzar90がFun系、4.Ai/Tzar350がreference系だったんですが、Nobleでもやはりそれを引き継く3系統がFunで低音重視、4系統がリファレンス・バランス系統です。そういう意味でもNobleではKatanaがReference系の頂点と言えるかもしれません。
またモールトンは3.Aiや4.Aiと比べてもTzar350ではあえて位相問題のためにドライバーを減らしているんですが、Katanaもドライバーを減らしたのは主にはコンパクトさだとは思いますが、もしかするとシャープさと究極のイメージングのためのこうした位相配慮もあるのかもしれません。

音レベル的にはLaylaと比肩できるほどだけれども音の濃さなど個性が異なっていて、同じケーブルが使えないのでどちらがどっちとは言えませんが、K10がロクサーヌのライバルとして語られたようにもしかすると、リファレンスタイプのIEMというフィールドでKatanaはレイラのライバルとされるのかもしれません。

* まとめ

音質の項が長くなりましたが、音のキーワードをまとめると、高い透明感、小気味良いタイトさやスピード感、切れの鋭さ、ワイドレンジ感、周波数帯域のバランス良さ、並はずれた解像力、ピュアですっきりした純度の高い音などがあげられます。音レベル的には現行IEMトップレベルで、高価だけれども価格以上のものがあるように思います。

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AK70(USB out), Chord Hugo, Noble Katana

あらためてレビューを振り返るとiPhoneと組み合わせても違和感ないコンパクトなイヤフォンが現行ユニバーサルの頂点レベルの性能ということに驚きを覚えます。これはWizradという名に恥じない魔法のような製作技術だと言えるでしょう。
また、Katanaの音には繊細なチューニングを感じます。たしかに「ジャグジーに浸るような」感じとは一味違う、身を正したくなる凄みのある音、鮮明でとても繊細な音です。シャープな音ですが、十分にエージングしておけば聴き疲れするということも少ないと思います。むしろ聴き疲れというよりも緊張感のある音ではありますね。
この緊張感は、カタナ・日本刀を目の前にしたときのものなのかもしれません。日本刀は武器という実用品であると同時に芸術品でもあります。
モールトンはモノづくりと芸術家の両立という点で日本の刀鍛冶に共感したのでしょう。そしてできたものが、このKatanaであり、日本のユーザーへのメッセージでもあると言えるでしょう。

次はリケーブルとかK10との比較編も書きたいと思います。
posted by ささき at 10:39 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月06日

64 Audioの新しいAPEXモジュール試聴

先日64 Audioからアナウンスがあり、それまで使用していたADELモジュールをAPEX(Air Pressure EXchange)という新しいモジュールに置き換えると言う発表内容でした。APEXはエイペックスと読みます。

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国内ではこれにともない、ミックスウェーブは64 Audioの販売を一時停止していましたが、64 AudioのA-Seriesの販売を9月10日より再開するということです。アナウンスはこちらです。
http://www.mixwave.co.jp/c_audio/c_news/caudio_news160906.html

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Aシリーズは「A12」「A10」「A8」「A6」「A4」「A3」「A2」の7機種を扱うということです。数字はドライバー数を表しています(「A5」はメーカー側の生産終了とのこと)。

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64 Audio A10

これらはいままでのADEL(S1)モジュールがAPEX(M20)モジュールに置き換えられます。
メーカー説明によると、ADELとAPEXの違いは「ウインドノイズ」について強くなったこと、そして耐久性が増したことの二点が挙げられています。新たにつまみの部分に開けられた穴がウインドノイズ対策だそうです。ADELとAPEXはそれぞれ互換性があります。

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APEX M20

APEXもADELも基本的には耳の鼓膜の保護という点をうたっているのですが、うちのブログではADELモジュールの違いによる音の差に着目してレビューしてきました。今回はAPEXのM20モジュール(ADEL S1の代替)を試すことができました。聴き比べには64 AudioのリファレンスモニターとされているA10を使用しました。

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A10とAPEX

APEX M20とADEL S1を比較してみると、金属の材質感が異なり、またヘッド部分の形状が異なります。APEXは頭が平たく指にかけやすいつまみ状に加工されています。ADELは鋭角な頭になっています。
また人工鼓膜の部分もADELでは薄膜のような形であったののに、APEXではメッシュ状になっています。

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APEX M20とADEL S1

音質は実際に聴いてみると音質的には大差ないようにも聴こえますが、多少違いがありADEL S1はやや開放感があり、APEX M20では密度感がありベースが出ているように思います。
なんとなくADELモジュールで開度が異なるときの音の違いに似ていたので、遮音性を確かめてみました。するとそれぞれモジュールをつけて同じ音量でスピーカーから音楽を出すとAPEXの方が遮音性が高いので、やはり密閉度は少し違うように思えますが、音の違いはそこに起因しているようにも思えます。いずれにしろ音質的にはADELとは大きく違うということではなさそうに思います。
M20の次のモジュールも気になりますね。


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2016年08月30日

iPhone7の発表とその周辺技術の噂

iPhone7と目される新しいiPhoneの発表会の案内がいよいよメディアに届き始めたようです。来週の9月7日(日本の8日深夜)です。

まずLinx社の技術を使ったデュアルカメラが興味深々です。
Linxの文書によるとこれは片側がベイヤーフィルタのないClearチャンネルと呼ばれるモノクロセンサーになってるところがポイントで、カラーフィルターがないため感度が高く解像力がフルに発揮できます。おそらく1200万画素のモノクロセンサーの場合はベイヤーセンサーの3000万画素相当の解像力が得られると思います。それでデジタルズームも効果的だし、暗所の感度も1-2段稼げるでしょう。
しかしモノクロセンサーでは色情報は得られないためそれをもう片側から得るようです。また視差の違いで立体情報も得られるようです。デュアルカメラは立体画像がよく利点とされますがLinx文書だと2カメラ構成の場合は立体情報はどちらというと従のようです。

そしてiPhone7では3.5mmイヤフォン端子がなくなるということが言われてます。
ここでちょっと面白い噂があります。
うちで良く書いてる完全ワイヤレスイヤフォンでは元祖のBragi Dashですが、来週月曜日に大きな発表をするそうです。これは事実。
それで、その時間ですが彼らのドイツ時間と共になんとクパチーノ時間(PST)が書かれてます!普通太平洋標準時を書くならサンフランシスコかロサンゼルスですね。これはBragiがアップルに買収されるのではないかと噂が出てます。
これでもしかしたらポスト3.5mm端子はライトニングでなくワイヤレスにかたむくかもしれません。
ちなみに情報の出所のBragiのFacebookはこちら。
https://m.facebook.com/hellobragi/

ただたぶん初めはBragi版AirPodsでなく、アップルストアでDashを売るんではないかと思います。Dashは仕上がりもきれいでアップルストア向きです。Dashだと健康管理センサーでクックCEO好みで、iOSとのリンクも可能かも。
私が前にBragiの人に日本で売らないのとメールで聴いた時に、すぐに話があるよ、って言ってたのでどこか代理店と契約中かなと思ってたんですが、そういうことかも。
ただ5日はアメリカはレイバーデイ休みなのでアメリカ絡みの発表はないとの観測もあります。念のため。

いずれにせよ、来週がちょっと楽しみですね。
posted by ささき at 10:25 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月19日

ヘッドフォン王国 No6に執筆しました

発売中の「ヘッドフォン王国」No6のカスタム特集で、カスタムIEMの基本(P82)、各カスタムIEMブランド紹介のいくつかの一言コメント、わたしのカスタムIEM遍歴(P112)の記事を書きました。
アニソン特集の本誌ともどもぜひ手に取ってください。


posted by ささき at 20:35 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月09日

ADELモジュールによる音質の差(MAM、マニュアルモジュール)

以前に書いたようにADELモジュールには耳を守るというほかに、音質を変えるという効果があります。これは裏技的なものではなく設計で意図したものです。前の記事は下記リンクです。
64 AudioのADELモジュールによる音質の差(S1とB1)
本記事ではMAM(マニュアルモジュール)の解説をします。

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MAMモジュール

現在のところ存在するモジュールはすでにレビューした、S1(銀、標準)とB1(黒)の他にMAMとG1があります。S1とB1はAutoモジュールと呼ばれていますが、MAMはManual Adjustable Modules、マニュアルモジュールのことで、いわばベントであるADELモジュールの開度(密閉度)を自分で調整できるものです。S1/B1はAutoと呼ばれていますが、むしろプリセットと言ったほうがよいでしょう。MAMでとれる開度のうちで固定した開度を持つものです。(Autoの意味は聴覚が自然に慣れるという意味を含んでいるようです)
G1はやはりAutoモジュールですが、S1/B1とは異なった薄膜(第二の鼓膜)のデザインのようでさらに低域の質が良く、低域がクリアに出ると書かれています。

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ADELモジュール、左からMAM、S1、B1

S1とB1では動かなかったつまみの部分がMAMではねじのように動きます。ゆびでつまんで4-5回しくらい動きます。実際にS1とB1と聴き比べてみましたが、一番の違いは低域の量感とタイトさ(引き締まった感じ)で、全体的な音調もやはりゆるい音からシャープな音に変わります。

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MAMの構造(画像はAsiusのサイトより転載)

もっとも開けた位置と、もっとも閉じた位置で比べるとS1やB1よりも音の調整の範囲が大きいように思います。S1やB1はADELのもっとも閉じた位置やもっとも開いた位置ではなく、どちらもやや余裕を残した位置にプリセットしてあるようです。
けっこう音楽を聴いた感覚も異なります。雰囲気重視か、音の正確さ重視か、というような感じです。

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音質を調整できるというイヤフォンはよくありますが、これはその中でもかなり自然に変わるものと言えるのではないかと思います。ただしモジュールがややゆるくはまっていて、イヤフォンにつけたままだと回転がわからないので、いったんモジュールを外してから調整する必要はあると思います。

私が購入したのは下記のAsiusのサイトです。私はKickstarterのBackerなので情報が来ているのですが、Asiusではやめたと思われていたダイナミックタイプをいま開発中です(ただし設計はKickstarter時点とは異なっていて、BA版と同じADELモジュールを使うようです)。
https://asius.myshopify.com/collections/all

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また知っている人はすでに知っていますが、実は64 AudioがADELという名称をやめてApexとしました。また名前が異なるだけではなく構造的にも違うもののようです。S1/B1というのも64 Audioではいまは取り扱ってなく、現カタログにあるApex M20というのもS1の名前変更だけではなく違うもののようです。(さらにALOのチューブレスのような技術も打ち上げている点も謎ですが)
しかしもともとのADELモジュールのパテントを持っているAsiusの方はそのままADELという名前を使用しているので、さてどうなるのかちょっと状況を注視したいところです。
posted by ささき at 20:51 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月08日

テスラドライバーイヤフォンの後継機、AK T8iE MkIIレビュー

AK T8iEは昨年の暮れに発売され好評だったモデルの後継機がAK T8iE MKIIとして発売されました。

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テスラドライバーや独特のハウジングなど基本設計はほとんど同じですがいくつかの改良点があり、内容的にはグレードアップにもなっていますが、価格は同じで前モデルの置き換えとなります。
製品ページはこちらです、
http://www.iriver.jp/products/product_137.php

* 特徴

AK T8iE MKIIの特徴はテスラ・テクノロジーを搭載していることです。テスラ・テクノロジーとはT1ではじめて採用されたベイヤーの独自技術です。これは前モデルではじめてイヤフォンとして採用されたものです。
基本設計に関してはこちらの前に書いたAK T8iEの記事をご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/430840054.html

MKIIでの改良点は大きく2つです。
1. 標準ケーブルが変更されています
線材には高品質の銀メッキ銅線を使用し、スリープも改良されてタッチノイズも減ったということです。
前モデルと同様に2.5mmバランスケーブルも同梱されています。またMMCX端子が改良されたようです。
2. ユニット自体にも改良があります。
ボイスコイルが新型になり、大音量でも破たんせずに確実に振動版を駆動し、さらに低ひずみ化を図ったということです。

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AK T8iE MKIIは全モデル同様に立派な箱に入っています。前と同じに引き出し式のアクセサリーボックスですが、ケーブルが銀色に変わったので、宝石箱的な感覚がより強くなったように思います。バランスケーブルついてる。ケーブルはかなりきれいになりました。

* 音質

まずは普通の3.5mm(シングルエンド)でAK380で聴いてみました。
パッと聴いてすぐに前作より音がだいぶ向上したとわかるレベルで、前のモデルを持っている人には比較しなくても差はよくわかるくらい大きいと思います。全体に透明感が高く音が明瞭で、ギターなど楽器音の歯切れの良さが印象的で、ダイナミックらしくウッドベースのインパクトも良く、バスドラや打ち込み音のインパクト・アタック感が強いのも印象的な特徴です。楽器音もヴォーカルも前モデルよりもはっきりくっきりと聴こえます。また前モデルよりも音が整っていてより楽器音がより正確に出ていると感じられます。特に中高域の透明感が秀逸だと思いますね。

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同梱のバランスケーブル

後で書きますが、ケーブルの差も大きいけれど本体の差もあると感じられます。低域から高音域まで解像度が高く、音の広がりも良くなり、音の細やかさとともに音世界の深みが感じられます。
2.5MMバランスで聴いてみるとシングルエンドとバランスで個性の違いが前よりも大きくなったと思います。

またコンプライとの相性もよりなくったように思う。前はちょっと苦心してもダースベイダーチップの方が良いと思ったけれども、MK2ではコンプライを使ってしっかり遮音したほうがMK2の音世界の深みをよりよく味わえるようにも思える。

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ケーブルについてはあえてリケーブルする必要はないくらい優秀なケーブルが標準でついてくるれども、さすがにCrystal Cable NEXTは別で、音質をより整えて一段高めてくれると思います。ただ標準ケーブルのままでもほとんど満足できると思います。Campfire Audioもそうですが、最近は標準ケーブルで満足できるというのが増えてきましたね。

* 前のモデルとの音質の比較

前のモデルと3.5mm同士で音質の差を聴き比べてみると、まず倍音たっぷりの古楽器を使ったバロックバイオリンソロでは中高域が前のタイプはダイナミックらしい丸みを帯びた音であるのに対し、MKIIではBAを思わせるようなシャープさが感じられます。またシンプルな曲でもMKIIの方がより音世界の深みが感じられます。
元気のあるロックやエレクトロを聴いてみると、低音域もベースやドラムスがMKIIではタイトで締まっていて、前のモデルではややゆるいということがわかります。
またこうした細部に注目しなくても、全体的な音の感じでMkIIはより深みがあり、多くの音が聞こえるように思います。

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右がMKII

次に旧モデルのユニットをMkIIのケーブルに付け替えてユニットの違いだけを確認してみます。
するとたしかに銀コートらしい透明感とシャープさはあがるけれども、MkIIの音にはなりません。MKIIの音はこうしてユニットの差だけを聴き比べてもよりピュアで透明感があり、整っていて、より低域に深みがあります。
やはりケーブルだけではなく、ユニット自体の差も大きいと思えます。ぱっと聴きの透明感ではケーブルの差が大きいかもしれませんが、聴きこんだ場合の音の深みや音の純粋さではむしろユニットの差の方が大きいかもしれません。いわばよりテスラらしいというか、マグネットが強力に振動板を動かしたり制御しているって感じがあります。

* まとめ

前モデルもやや丸みを帯びた音がダイナミックらしくてよかったと言えるけれども、MKIIは音質的にも確実に向上していてダイナミックとBAの良いとこどりのような進化を見せていると思います。ケーブルだけではなく、ユニット自体の進化も大きいと感じますね。
前モデルとはインターバルが短いけれども、ベイヤーとしては初のイヤフォンということで試行錯誤でイヤフォンならではのテスラドライバーをより完成の域に近づけたという感じなのでしょう。

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AK70とAK T8iE MKII(コンプライチップ)
posted by ささき at 21:44 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月27日

Westoneからワイヤレスアダプター発売

iPhone7からイヤフォン端子がなくなるといううわさを受けて、Bluetooth派とライトニング派に分かれてイヤフォンの世界も進んでいますが、WestoneからはWestone Bluetooth cableが登場しました。
これはMMCXコネクタを備えたBluetoothアダプタで、従来のWestoneイヤフォンをワイヤレス化できるというものです。WestoneのMMCXコネクタはややくせがあるので、専用の機材だと安心ができます。他社イヤフォンもMMCXで合致するものは使えます。またAPT-Xも対応しています。
製品ページは下記リンクです。
http://www.tekwind.co.jp/products/entry_12953.php

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持続時間は8時間ということでかなり長持ちですね。3ボタン採用で通話も可能です。またスマートフォンのSiriやGoogle Nowなどの音声入力にも対応しています。
BT4.0対応で10m届くと言うことで距離的には十分でしょう。身につけるものなのでIPX4防滴対応がなされています。

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使い方は簡単で、MMCXコネクタにイヤフォン(W60など)を装着するだけで、あとは充電をしておきます。
ケーブルはしなやかで平たいもので、首の後ろに回して、余りを締めます。

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完全ワイヤレスほどではないけれど、かなり自由度はあります。私のように始終スマホ持ってるとスマホが自由な点がとてもいいですね。
ケーブル側のボリュームと合わせると十分な音量が取れます。本機はBT4.0対応なのでiPhoneの場合は電池残量はiOS9.0以降では通知センターとステータスバーで分かります。本機では20%単位のようです。

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iPhone5sと6でテストしました。5SはBT性能が6に劣りますが特に大きな問題はありません。iPhone5sの上部のBTアンテナ部を手で覆ってもオーケーです。iPhoneを尻ポケットでもバックパックに入れたままでも大丈夫でした。

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音を聴いてみましたが、ちょっとしたポータブルアンプがついてるみたいに力感を感じる音でなかなか良い感じです。イヤフォン一体型と違って、このアダプタタイプは高性能イヤフォンをつけることも多いので音質的には要求も高いんですが、UM56/W60とiPhone のFlac PlayerやFantabitなどで使っても満足いく音だと思います。
ただ初めは甘く感じるのでエージングした方が良いです(このタイプはエージングしずらいんですが)。

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他社機でも使えるのでCampfireの話題機であるAndromedaを付けてみました。こういうなかなか面白い使い方も可能です。
店頭発売開始日は7月30日(土)を予定、価格はオープンですが、市場想定価格は19,800円前後ということです。
WestoneのBluetoothはポタ研で!
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2016年07月11日

ORIONのデュアル版、Campfire Audio NOVAレビュー

Campfire Audioのもうひとつの最新モデルである「NOVA(ノヴァ)」が7/9に発売がされます。

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NOVAはORIONのデュアル版とでも言うべき設計で、バランスド・アーマチュアドライバー2基採用しています。2基のドライバーをどちらもフルレンジで使用している点がユニークで、フルレンジ2発となります。Kenさんも"Nova is indeed the Orion x 2."と言ってました。音の出る穴が二穴の理由は試聴テストにより、そちらが良かったからだそうです。
なおAndromedaやJupiterで採用されている「チューブレス設計」はNOVAでは採用されていないそうです。また前記事のORIONもやはりそうだということで、前記事も訂正しておきました。Kenさんの話によると、ORIONやNOVAの良い音というのは何か特別な仕組みによるものではなく、適切な音響フィルタの選択や音響設計の最適チューニング、金属筺体の使用によるものだそうです。

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なかなか硬派な外観のイヤフォンですが、イヤホンの筐体には、アルミブロックをCNC加工(コンピュータ数値制御) により高精度で削り出された金属筐体を使用しています。この金属筐体は、音をより正確に伝える上で重要な役割を果たすということで、米オレゴン州ポートランドでハンドメイドで生産されています。

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他の製品と同様にCampfire Audioオリジナルキャリングケースが付属しています。キャリングケースの内部はクッションのようになっており、イヤホンを衝撃から守ってくれます。
イヤホン側の端子には、MMCX端子を採用していて、標準ケーブルに限らず、他のMMCX対応IEMケーブルにも交換することが可能です。標準ケーブルはAndromedaと同じ音の良い新型ですので、あまりリケーブルの必要もないかもしれません。

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イヤチップがいくつか入っているので、音をこれで好みに変えることができます。フォームだと中低域よりで、ラバーだと中高域を伸ばせる感じでしょうか。Kenさんのお勧めはNovaはシリコンラバーのチップで、Andromedaはフォームチップだそうです。
わたしは標準のラバーが耳に合わなかったのでJH Audioのラバーチップを使いました。これだとかなり良いですね。ステムが太いので合わせるチップには注意が必要です。

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事実上NovaはOrionのデュアルドライバーバージョンだけれども、音の個性的には異なった印象を受けます。Orionの音の厚みが増したという感じですね。
全体的にすっきりとしていたOrionに比べるとNovaは中低域に厚みが加わってちっょとピラミッドバランス的な音になったと思います。これでBAらしい線の細さと共にダイナミックでスケール感のある音再現も良くなったと思います。
性能的にはさらに上下の音域が広がって、透明感も良くなったようにも思いますが、これは新しい標準ケーブルの威力もあると思います。

OrionはそつないシングルBAの優等生という感じでしたが、Novaはそれに中低域の厚みという音の魅力と新しい標準ケーブルによる音の性能向上が加わったモデルだと言えます。
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2016年06月24日

ER4SR/XR発売と、わたしとER4S

「あの」Etimotic ER4Sの後継機であるER4SRとER4XRが先日発表され、昨日あたりから海外販売店に出回るようになりました。早い人はもう入手してるようです。
etyのホームページに行ってニュースをみると下記サイトのアナウンスが紹介されてます。
http://www.prweb.com/releases/2016/06/prweb13471162.htm

簡単に言うとER4SR(Studio Reference)がおそらくER4Sの正統な後継機で正確再現のリファレンス機、ER4XR(eXtended Response)はおそらくER4P系のコンシューマ向けで低音域が強化されてるモデルですね。SRもSよりは鳴らしやすくなってるとのこと。価格は$349です。またケーブル端子はMMCXとなったようです。

ER4Sと言うと、一時期は神イヤフォンの代表格でいまでも一定の支持者のある伝説的なイヤフォンですが、当時からのブログやホームページもめっきり少なくなったので、ちょっとまた昔話をしようと思います。

わたしがこのマニアックイヤフォンの領域に関心を寄せ始めた2000年代はじめころにはER4Sというのはすでに国内のネット界隈では話題の存在でした。本当かよというようなあまりにも高い音質評価や、当時のイヤフォンに比べてあまりにも高い値段も話題で、当時の高級機のソニーE888でさえ八千円くらいの時に4-5万円くらいという驚異の高価格はまさに神格化されるに十分でした。当時は飯田橋の店なんかが有名だったと思います。

わたしも興味を覚えつつも、あまりにも高いので海外から安く買えるのではないかと考えて、アメリカのHead-Fiというフォーラムを探し当て、そこで情報をあさり始めたというのがわたしとHead-Fiの関わりの始まりです。

ER4Sといっても試聴などして見ると、当時使ってたプレーヤーのソニーVaio Pocket(このブログのURLとなった)で使って実際に気に入ったのはインピーダンスを下げたER4Pでした。とはいえSの音も欲しいので、結局わたしが買ったのはER4Pと4P-24というER4S相当にするアダプターケーブルでした。だいたい$200だったように思います。

当時はわたしはすでにShureはE5cまで使ってたので、すごく性能が高いというよりもシャープさ、トランジェントの速さ、正確さ、鳴らしにくさといったShureとの個性の対比が印象的でした。下記に当時(2004年8月)書いたレビューがあります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434392.html

そのころ、オーディオ屋さんに行くとDr. Headという電池駆動式のヘッドフォンアンプなるものを見つけ、鳴らしにくいER4もこれなら真価を発揮できるのではないかと考えて、プレーヤーもiPodならラインアウトで出力が取れる、ドックもラインアウトから出せるものを探して、と組んだのが下記の初期のポータブルオーディオです。

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これで聴くとER4Sの音の良さが引き出せれ、特に弦の鳴りに電車の中で感動したのを覚えてます。

その後はHead-Fiで買えるものをベースにこのシステムが進化をしていき、いまに至るという感じです。
そうした意味ではポータブルオーディオもシステムの力だ、普通のオーディオと同じだと気づかせてくれたのがER4Sということになります。それから10年以上経ってあらわれたER4SRは今の我々になにをもたらしてくれるのか、どうなのか。。
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2016年06月17日

Campfire Audioの新フラッグシップ、ANDROMEDAレビュー

ANDROMEDA(アンドロメダ)はCampfire Audioの新しいフラッグシップとなるもので、バランスドアーマチュアの5ドライバー形式を採用しています。

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ドライバー構成は高音域x2、中音域x1、低音域x2となります。ドライバーは新規の中音域ドライバー以外はJUPITERと同じものだそうです。またANDROMEDAではJUPITERで好評だったレゾネータ―チャンバー方式を採用しています。レゾネータ―チャンバーは高音域ユニットに適用されます。
このことから、ANDROMEDAはJupipterの発展版ととらえることができます。
明日、6月18日から発売で価格はメーカー希望小売価格が129,300円です。発売元のミックスウェーブのリンクはこちらです。
http://www.mixwave.co.jp/dcms_plusdb/index.php/item?category=Consumer+AUDIO&cell002=Campfire+Audio&cell003=ANDROMEDA&id=34

手に取るとまず分かるのはANDROMEDAは珍しい緑色のハウジングに包まれているということです。これはおそらく山の緑なのだと思いますが、アウトドア派のKenさとんが好きな色なんだそうです。外観もかなりがっしりとして丈夫そうです。角くてねじが見えるところなど質実剛健な機械っぽさはやはりアウトドア機材のイメージなのでしょうか。
ケースは高級感のあるものです。チップにはコンプライも入っています。

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また次に気がつくのは標準ケーブルがLyraやJUPITERの世代とは異なっているということです。前と同じようにきれいなケーブルですが、これは前のケーブルよりも良さそうです。実際にこの新ケーブルがANDROMEDAの第二のポイントとなります。

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ANDROMEDAの特徴としては、JUPITERに中域ドライバーが追加されたということ、高音域にはJUPITER同様にレゾネータ―チャンバー(チューブレス設計)が採用されていること、そして標準ケーブルが新しくなっていることの3点が大きいと思います。
またこの3点はいずれも音質面で大きくANDROMEDAの音に寄与しています。

ANDROMEDAを聴いてみてまず感じるのは高い透明感、瑞々しく生々しい中高域と厚みのある中域、そしてタイトで張り出し感の少ないフラットな低音域です。この透明感が高くて生々しい中高域はJUPITERゆずりでレゾネータ―チャンバーが効いているところだと思いますが、ANDROMEDAとJUPITERをくらべて大きな差があるのは厚みがある中域です。つまり一枚ベールを取ったような中高域の生々しい 鮮やかな鮮度感はJUPITERそのままで、全体に厚みが加わった感じですね。JUPITERでは薄味に感じられるところがありましたが、ANDROMEDAではほどよく濃くなりました。JUPITERより厚みがあり豊かで、より周波数的に整ってます。
特にヴォーカルがよくなった感じですね。女性ヴォーカルが艶っぽく、くらべるとJUPITERはちょっとドライでした。ヴォーカルは耳に近く臨場感あるところも良い点です。

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Complyをつけると低域に重心が移るので、ヘビーな曲には良いが、中域重視で標準フォームの方がANDROMEDAには向いていると思います。

もう一つ特記して置きたいことは、付属ケーブルがJUPITERよりもだいぶクリアになったことです。ためしに慣れたJUPITERで前の標準ケーブルと今回のケーブルを比べるとかなり今回のケーブルの方が透明感が高く、音の広がりが良いことに気が付きます。今回のはほんとにはじめからリケーブルされたものを売っていると言って過言ではないと思います。
まじめな話、下手にリケーブルするとかえって音質が下がるかもしれないので慎重に交換ケーブルは選んだ方が良いと思います。リケーブルしないほうがよいかも、と書くことはめったにありませんが。。
また引き締まった低音域はケーブルによるところも大きいかなとも思います。解像力とかクリアさというだけではなく、周波数特性的なイヤフォンとの相性もあるので、標準ケーブルで良いというのはそうしたメリットがあると思います。
ただ今回残念なのは2.5mmバランスケーブルが付属していないということです。

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MojoやAK380シリーズのような高性能プレーヤーやアンプで聴くと標準ケーブルでも今までリケーブルして得られるような「ハイエンドっぽい」音の世界が感じられます。上質で端正なところがAK第3世代とよく合います。
ANDROMEDAは基本性能が高く、素姓も素直なのでケーブルを変えたり、DAPを変えることでさまざまな味が楽しめます。たとえばAK300をつかうと標準ケーブルでもパワフルになり、低域の量感も高くなります。
AK320だと透明感が高く、ANDROMEDAの透明感と済んだ中高域の魅力を引き出すにはうってつけだと思います。AK320は単体でも良いけれども、AMPをつけると良さが一層引き立つように感じられますね。

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AK380ではわずかな暖かみの感じられるようなオーディオっぽい音楽性の高さも感じられます。AK380はイヤフォンによってはモニターライクで無機的に聴こえる場合もありますが、ANDROMEDAではJUPITERよりもAK380によく合うようになり、かつAK380の良さも引き出せるようになった。よい組み合わせの相棒という感じです。

まとめ

ANDROMEDAはJUPITERの良さはそのままに、厚みが増して豊かさを感じさせる音になりました。追加の中域ドライバーの力は大きいと思いますし、差はけっこうあると思います。
さらに向上した標準ケーブルもKenさんブランドとしての良さを感じさせてくれます。

ANDROMEDAという名前はアンドロメダ銀河から来ています。そのくらい知っていると言われるかもしれませんが、おそらくアンドロメダ銀河が肉眼でも見える銀河であり、すごく大きいということは知らない人も多いと思います。その大きさは実に月の5-6倍もあります。ただし実際はとても遠くて暗いので普通は気がつかないだけです。
仮にアンドロメダ銀河が十分明るかったらこう見えるはずという画像がこちらです。
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(画像の出展はこちらです)
SFにありそうな光景ですが、ほんとうにこんなのがいつも空に浮かんでいるわけです。なにしろアンドロメダ銀河への距離は230万光年もありますが、直径が20万光年もありますからね。
まさに稀有壮大な話ですが、Campfire Audioで星座の名前を用いてきたKenさんがANDROMEDAという名前にこめた期待感をここから感じ取ってもらえれば、と思います。
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2016年05月31日

プレミアム・ヘッドホン・ガイドマガジン(Vol6)に執筆しました

昨日発売開始されたプレミアム・ヘッドホン・ガイド・マガジン(Vol6)に執筆しました
P122から見開き2ページでBeat Audioのケーブル解説とLaylaIIと組み合わせた試聴記事を書いています。
本誌は名作ヘッドホン特集という事でゼンハイザーHE-1の記事もあり、フェンダーイヤホンの誕生秘話、ハイレゾプレーヤー紹介など盛りだくさんでスピンフィットも付録についていますのでぜひお買い上げください。



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2016年05月16日

ラズベリーパイのオーディオ日記 Moode Audio 2.6のAP機能とラズパイ3のパワー

Moode Audio 2.6のテストリリース(TR)が入手可能となったので、さっそくAPモードをはじめとして試してみました。(現時点でTR4)
APモードはWiFiルーターがなくてもスマートフォンとラズパイを直結できるもので、ラズパイ3の内蔵WiFiでも動作します。
今回は内蔵WiFiで使うためにRaspberry PI 3を使用しました。これに今回はUSB DACとしてLH labsのGeek Out 450を使用しています。
ちなみにMoode AudioはOSコアがJessie-liteをベースにしたMoodeOS1.0と呼称するものに変わったようです。

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Moode Audio 2.6(テストリリース)はホームページのTest Codeボタンからダウンロードできます。インストールすると特に設定もなく、MoodeというWiFiネットワーク名がiPhoneのWiFi画面に出てきますのでそれを選択してパスワードはmoodeaudioで入ります。
立ち上げたときに普通にWiFi設定をしているとそれが優先となり、AP機能は働きません。AP機能のオンオフと言うボタンはないようです。WiFi設定をしていても、そのネットが見つからない場合とか、WiFi設定をしていない場合にAP機能が働くようです。AP機能使うとインターネットを見られないのでこれは場合によりけりです。ただMPoDはAP機能の方が早くプレーヤーを見つけられるような気がします。

使用するプラットフォームをラズパイ2からラズパイ3に更新して面白いのはアップサンプリングです。ラズパイ3では192kどころか、384kHz/32bitのリサンプリングが可能で、しかもSoXの最高品質でリサンプリングできます。ラズパイ2ではVolumioですけど96/24の中品質リサンプルどまりだったことを考えるとさすがすごいパワーです。これで32bitモードですから64bitモードだとさらに向上するでしょう。

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背面の黒いケースがmSATA USBケース

またストレージにはpiCorePlayerで使えなかったmSATAの500GB SSDを使ったところ動作しました。
384/32でES9018K2MのGeek Outを動作させ、純A級増幅(かなり熱い)、無線ルーターも不要でリモートでiPhoneから500GBの音源を管理できます。その辺のノートPC顔負けのPCオーディオシステムです。ただSSDは使ってみるとやはり動作が不安定なのでいまはUSB メモリを使ってます。

Geek OutやSSDの使用を考えるとPi3で化された電源も効いているのかもしれません。Geek outでは384kHzでロックしたのをLEDで確認しました。
とはいえバッテリーはいつもの2500mAh(1A)を使うとこんな感じで容赦なく使ってるとだいたい一時間でなくなりました。なかなか音が良いので軽くするよりも、大きなバッテリー付けたいシステムです。

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いまは4000mAhのバッテリーを使ったますが、一応これで2時間はカバンの中に入れてもファンレスで熱暴走せずに動作するのを確認しました。ラズパイ3のSOCには放熱ブロックを付けています。
ただ純A級増幅をするGeek Outもラズパイ3も熱くなります。Geek Outは一秒以上は触れない感じ、放熱ブロックは一瞬でも触れません。

実際音質はかなり良いです。冗談で組んだけど冗談じゃないくらい良いですね。このなんだかよくわからないポータブルオーディオデバイス、結構いけます。音質が力強くひずみが少ない感じです。Moode AudioだとリサンプリングはSoXを使用するのですけど、SoX very highでリサンプリングしたときにデジタルフィルターがかかったような歪み感を減らす効果が同時にあるような気がします。音が細かくなると言うよりもむしろあいまいさがなく正確になるという感じです。

問題は384/32再生時にMPodでアルバムアートを多数MPDから取り出すときなど、パチパチとノイズが乗りますね。たぶん前に書いたUSBとWiFiの同一パスの競合によるラズパイならではの干渉問題だと思います。
GPIO経由のUSB拡張ボードがあればよいのですが、意外とないのですよね。


本日Raspberry PIではZeroのV1.3が発表されてカメラコネクションポートがZeroに追加されました。Raspberry Piファウンデーションもかなりやる気を見せてますね。iPhoneもカメラコネクションで音楽出してるんですから、パイゼロもこのカメラコネクションで音楽を出せるようになってほしいものです。
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2016年05月12日

ポスト3.5mmの新顔、インテルの提唱するUSB-Cデジタルオーディオ

最近のポータブルオーディオ界のトピックの一つにiPhoneの3.5mmプラグがなくなるのではないかと言う噂があります。これはさらなる薄型を進めるためにはもう3.5mmの端子が厚すぎると言うわけですね。実際に他の薄型を標榜する海外のスマートフォンではイヤフォン端子を排してしまっているのもすでにいくつか出ています。

この3.5mmステレオミニ端子は初代Walkmanで初めて採用されたものです(3.5mmモノはもっとはるかに古い)。それがデファクトスタンダードになったという経緯があります。それではこの3.5mmステレオミニ端子がなくなってしまったら、そのあとはどうするのか、と言うのはいくつかの候補があります。まずBluetooth、そしてiPhoneならライトニング端子があります。Audeze SINEのライトニングケーブルはなかなか好評です。

そしてもうひとつ新しい可能性が出てきました。それがインテルの提唱するUSB-Cオーディオ端子です。Ananda techに詳しい記事が載っています。
http://www.anandtech.com/show/10273/intel-proposes-to-use-usb-typec-cables-to-connect-headsets-to-mobile-devices

これはチャージやデータ交換用のスマートフォンのUSB-C端子をそのまま音楽用に使うというわけで、Appleのライトニングのインテル版みたいなものです。

USBというとああデジタル出力専用ね、と思うかもしれませんが、USB-Cにはサイドバンド・ユーティリティ(SBU-1,SBU2)というピンアサインがあり、これはなにを通してもかまいません。つまりアナログ信号も通せます。またサイドバンドの名の通りに、ここの伝送は他のメインの信号伝送とは独立しています。つまりデータの転送をしながら、アナログ出力でオーディオを聴くと言うこともできます。ただ規格がまだできていないのでアナログ伝送まで含められるかはわかりません。

Anandatechによるとこの仕様はまだ完全に決まってないが、USB オーディオクラス2.0の仕様にも影響を与えるかもしれないと言います。たとえば電源供給とか、同期の仕方などです。

またAnandatechの別記事によると、このUSB-Cオーディオに即したチップが出てきたようです。ConexantのCX20985とCX20899です。
http://www.anandtech.com/show/10311/conexant-introduces-usb-c-digital-audiocompliant-chips
これはいわゆるスマートフォンのオーディオCODECチップ(ADCとDACを兼ねるIC)になるとおもいます。これが今年の2Qなかには出荷できるということなので、早ければ今年後半にはUSB-Cオーディオを採用したスマートフォンが登場するのではないかと言うこと。まだUSB-C自体が規格化されていませんが、これらはUSB-Cオーディオに対応しているとのこと。インテルと協業関係なのでしょう。
CX20985はコンパクトで48kHzどまりですが、ヘッドセットに特化したものでイコライザ内蔵、カップリングコンデンサ内蔵などヘッドセットなど機器を簡単に接続できるようになっています。目的はおもにスカイプ用のヘッドセットのサポートにあるようです。
CX20899は大型でおそらくスマートフォンの外に付けるデバイス用。こちらはDSP内蔵、ハイレゾ対応、SPDIFやI2S対応でオーディオ用途も考慮されているようです。

具体的なチップも出てきているのでインテルは着々と地盤固めをしているように思えます。
基本的にはPCやAndroid向けですが、AppleもEUでは端子を独自ではなくUSBに変えるように勧告されてもいますのでどうなるかはわかりませんけれども。。
posted by ささき at 22:24 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月06日

64 AudioのADELモジュールによる音質の差(S1とB1)

ながらくかかりましたが、Kickstarterで頼んだ64 Audio ADELシリーズのKickstarterモデルが届きました。これは一般販売はされないと思いますが、X2と言うモデルです。

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X2はKickstarterのダイナミック型であるControlがポシャってその代替の2ドライバーモデルです。その切り替えに時間がかかって到着が遅れました。
もともとControlの代替にはU1というモデルを作る予定だったのですが、ユーザーフィードバックでより小さいシェルで、耳掛けではなくストレートイン可能な手軽なものという要望にこたえて、Uシリーズとは別にX2が作られました。作りは3Dプリントという感じでちょっとチープです。
しかし音質は素晴らしくKickstarter価格ではありますが、$100という点からは想像つかないくらい高い音質でADELの音の可能性が感じられます。独特の透明感と立体的な音の広がり方がADELの特徴ですね。

リケーブルできないのが惜しいくらい音が良いので、独特な音の魅力があって1964 earsがADELよりになる理由もわかります。

このX2を用いてADELモジュールを変えたことによる音質の違いと言うのを調べてみたのが本稿の趣旨です。

* ADELモジュールと音質の変化

この64 Audio ADELシリーズの中核をなすADELモジュールについてはKickstarterで登場した時に紹介しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/408595702.html
ADELモジュールは「第二の鼓膜」というキャッチフレーズから聴覚保護のための機構とよくとらえられています。それは正しいことではありますが、すべてでもありません。それはこのADELモジュールにより音質を向上させることができ、さらにモジュールを交換することで音質傾向を変えることができるからです。
ADELモジュールによる音質の向上についてはホームページに説明がありますが、ADELモジュールで音の信号とは別に音の空気圧(pneumatic pressure)を抜くことで位相的によりよい音質が得られ、音が立体的になるとともに、楽器の分離が優れたものになると言うことです。またモジュールを交換することによって音質傾向が変えられるのは小技ということではなく、はじめからメーカーによって設定された仕様です。

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現在64 AudioのADELシリーズを購入すると付属しているシルバーのADELモジュールはS1と呼ばれます。メーカーが初期のころから公言している他のモジュールにはMAM(マニュアルモジュール)があります。そして最近出たのがブラックのB1です。S1とB1は色だけではなく音質が異なります。S1とB1はMAMに対してAutoモジュールと呼ばれますが、実際はプリセットモジュールといったほうが正しいと思います。S1とB1はADELモジュールのベントとしての外気への開度がことなります。S1がもっとも閉じた状態に近く、B1はもっとも開いた状態に近いのですがフルオープンではありません。このためS1とB1では音質傾向と遮音性に違いがあります。(遮音性についてS1は-18dB、B1は-10dB)

64 Audioでは将来的には出荷時にS1かB1を選ぶようにするようですが、これはまだ分かりません。ちなみにS1がシルバーのみで、B1がブラックのみなのはそれぞれ2種類のカラーを用意すると手間がかかると言うことのようです。ちなみにB1モジュールはミックスウェーブでも国内取り扱い予定だそうです。

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B1モジュールは上のような小さなケースに入ってきます。これはスペアを入れておくにも好都合です。

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まずS1を付けたままのX2の音質ですが、AK380とAMPで聴きました。まず高い透明感と立体感のある独特の音の広がり方に圧倒されます。実際にこの二点がADELの音質的な特徴ともいえると思います。聴覚保護というとなんとなくまったりとした甘い音を考えるかもしれませんが、X2の音はかなり明瞭で解像力も高いものを感じます。
$100とは到底思えないほど音質はかなり高いです。$100はKickstarter価格ではあり等価と思われるU2となるとそれなりの値段になりますが、それでも同価格帯の中ではかなり秀でているでしょう。低域はかなり豊かです。

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ADELモジュールは爪をかけてぐいっと引くと外れます。引き出すと第二の鼓膜の振動板がわかると思います。

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B1に変えると低音が抑えられてヴォーカルがよりクリアに聞こえるようになります。周波数特性的にはS1よりもフラットに近くなっていると感じます。音も全体に整った感じがします。またドラムのアタックがより鋭くなったように聞こえます。ただしB1だと低域が物足りないと思う人も多いかもしれません。

ふたたびS1に戻すとダブルベースとヴォーカルがごちゃっとして混濁しているようにも感じます。B1は全体にもっとすっきりとしています。パーカッションやダブルベースのピチカートはB1に比べるとやや鈍く感じます。ただ低音がたっぷりあるのでジャンルによってはS1の方が好ましいことも多いと思います。

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ちなみにどちらもつけずにベント穴をフルオープンで聴いても音楽は再生できますが、かなり気が抜けた音になってしまうので実用にたえません。ADELベントはそれなりになにかしているということですね。

このようにどっちもよい点があるので、その開度を手動で調整可能なMAM(マニュアルモジュール)も発売が待たれるところです。
またADELではS1やB1をイヤチップに直接装着して耳栓にするアクセサリーがあるようですが未発売です(海外でも)。

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このように私がADELに注目していることはBAドライバーとベントの関係です。
昨年ハイブリッドが隆盛を極めたおかげでイヤフォンとベントの関係について焦点が集まりました。FitEar Airのようにベントレスの道を歩むものもあります。
もちろんエアフローはイヤフォンでは重要なテーマではあるし、これらのベントは主に従来からあるようなダイナミックドライバーに関するもので、一般的にはダイアフラムのPET素材の脆弱性についての対策です。しかしながら、最近ではこの64 ADELのようにBAドライバーなのにベントを持ったものも出てきました。他にもWestoneのAM Proなどがあります。
AM Proの場合は主に外の音を聴くという目的がありADELとは異なりますが、音質もまたちょっと個性的なので気にはなっています。外の音を聴くと言うアンビエント機能のためにベントを開けると言うのはUE11時代などのカスタムにもあったのでいままでにBAでベントと言うのがなかったわけではないのですが、UE11アンビエントモデルなどはこんな複雑ではなかったと思います。

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いずれにせよADELモジュールを変えて音質が変わると言うことは、BAでもベント次第で音質が変わると言うことです。これは(うちのブログで取り上げる他の話題と同様に)まだよくわからないことの一つではあるが気になるもので、ちょっと興味あるテーマではあります。
posted by ささき at 21:15 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月30日

ラズベリーパイとポータブルアンプのアナログ接続 (piCorePlayer編)

ラズベリーパイのポータブルオーディオ運用日記です。
前の記事でポータブルアンプとラズベリーパイを組み合わせたポータブルオーディオの記事を書きましたが、ケーブルをライトアングルに変えたらスッキリと今までの2段重ねアンプっぽく収まって妙に実用的になってきました。ジャケットのポケットにもすっぽり入ります。

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ラズベリーパイだけ取り出すと下のような感じです。Raspberry PI2にHAT DACとしてHiFiBerry DAC+のPhono仕様を取りつけて、積層型のケースでガードしています。(このケースにはプロセッサの放熱フィンも付属しています)

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こうしてラズベリーパイをポケットに突っ込んでる人もそういないでしょう。シールドしなくてよいのかと言うと、それほど影響はないように思います。微妙なノイズフロアへの影響は図れませんが、少なくともWiFiアクセスのたびにプチプチしたノイズが入ると言うことは全くありません。

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ポータブルアンプはあいかわらずPortaphile627を使用しています。理由はサイズ的な相性と、音性能の高さ、音の相性などでしょうか。

ソフトウエアも変えました。
こうしてDAPやスマートフォンではなくコンピューターをポータブルアンプにくくりつけるメリットのひとつはソフトウエアをごそっと基本ソフトウエアから入れ替えられることです。スマートフォンだとアプリを変えれる程度ですね。
たとえばVolumioやRune Audio、Moode Audioを好みに応じて入れ替えられますが、実のところこれらはいずれもMPDを使ったディストリビューション(Linuxのバリエーション)なので似たり寄ったりではあります。そこで今回は根本的に異なるものとしてpiCorePlayerを使ってみました。これのMPDに相当する部分はSqueezeliteとLMSというソフトウエアです。

* piCorePlayerとは

piCorePlayerはかつてあったSlim DevicesのSqueezeboxプレーヤーのソフトウエア版と言ってよいソフトウエアです。Squeezeboxは割と古いと言うか先駆的なネットワークオーディオシステムですが、Slim DevicesからLogitechに移った後に2012年に製造中止されています。その後は再生エンジンの部分がLinuxに移植されてSqueezeliteとなり、それを元にしたのがこのラズベリーパイ用のpiCorePlayerです。
ホームページは下記です。
https://sites.google.com/site/picoreplayer/home

piCorePlayerは現在では2.0がリリースされていてわりと活発に更新されてる方ではないかと思います。少し荒削りでマニアックに寄っていて、メニュー上でオーバークロック設定なんかもできます。出力デバイスもI2SのHAT DACが使えるのでHifiberryやiQAudioが使えます。もちろんUSB DACも使えます。
以下はコマンドを使ったりファイルを書き換えたりしませんが、全体の難易度はVolumioよりはやや難しいかもしれません。

Squeezeboxのシステム構成は基本的にはサーバーとプレーヤーから成り、サーバーが音源をプレーヤーにストリーミングしてプレーヤーが音楽を再生します。ただしプレーヤーは実際にはDLNAでいうところのレンダラー(音楽再生エンジン)とコントローラとに分離できます。このレンダラー部分がSqueezeliteつまりpiCorePlayerにあたります。
Squeezeliteは非常に軽量でRAM上に展開できるので、電源をぶち切りしてもよいという利点もあります。軽量と言う点からオーディオマニアなら、音質が良いのではないかと期待するでしょう。
これ(Squeezelite)単体では使えないので、他にLMS(Logitech Media Server)というサーバーが必要です。またコントローラ(リモート)も必要です。

このため、ポータブルで使うにはひとつ問題があります。それはさきに書いたようにサーバーであるLMSが必要であるということです。
普通のSqueezeboxシステムの使い方はLMSをPCにインストールしてpiCorePlayerをラズパイにインストールしてラズパイにDACを設置し、PC上のLMSとラズパイをネットワークでつなぐと言うのが一般的な使い方です。

しかしながら、この3/19にリリースされた2.03からLMSがpiCorePlayerと同一のラズパイにインストールできるようになりました。このため、
DLNAでいうとレンダラーとサーバーが同一筐体で動作しているようなもので、他のVolumioのようなMPDディストリビューションと変わりません。これでSqueezeboxシステムのポータブル運用(と言うか一体型運用)ができるようになりました。

またリモートコントロールはVolumioのようなWebUIも使えますが、Squeezeboxの良さは優れたリモートクライアントアプリが出ていることです。私はiPengというiPhoneの有料アプリを買いました。MPD系で使うMPodに比べるとかなり使い勝手は向上します。


* インストール手順

ラズパイ2にpiCorePlayerをLMS込みでインストールし、無線LANの設定をする方法を書きます。

0. mysqeeze.comでアカウント作成しておきます。無料です。これはLMSを使うために必要です(ステップ17)。

1. 下記サイトからpiCorePlayerの最新版イメージをダウンロードします。
https://sites.google.com/site/picoreplayer/home/download
download 最新(2.0.3以降)
いったんインストールすると以後の更新は設定ページからできるようになります。

2.イメージをWin32 disk imagerなどでMicroSDに書きます。(8GBもあれば十分かと思います)

3. ラズパイ2にMicroSDを入れます

4. ラズパイ2に有線LANを接続します

5. 電源投入します

6. ここがまず難かもしれませんが、
htt://(ラズパイのローカルアドレス)
でpiCorePlayer設定ページを開きます。
本来はhttp://picoreplayer.localで開くはずですが、Rune audio 0.3と同様に名前解決にやや難があるようで、これで開かないかもしれません。ただ自分のローカルアドレス(192.168.xx.xx)はだいたい同じで2つか3つ振れる程度なので、見当がつくと思います。確実にはモニタとキーボードを付けてuser:tc, passwd:piCoreでログインしてipconfigして確認してください。
あとで実用に使うときはクライアントからは自動検出なのでipアドレスの確認は不要です。

以後の設定ページでの操作はボタンを押してすぐに適用される時もあれば、ボタンを押してからインストールが始まって少し待つこともあります。
挙動と言うか画面表示を少し見て慣れてください。

screen1.png
piCorePlayer設定画面

7. 設定ページが出たら中段のSqueezelite settingsタブをクリックしてI2S設定からDAC+やDigi+を設定する。
(これが間違っているとSqueezeliteが停止します)

8. ここがポイントなのですが、一番下のタブに行って、betaをクリックする。
すると選択肢が大幅に増えます。

9. Main Pageタブをクリックする。

10. Expand FSをAutoのままで実行する。(FSはファイルシステムのことでしょう)
これはLMSをインストールする領域を確保するためです。これをしないでinstall LMSとしても領域不足ではねられます。
LMSを一緒にインストールすればポータブルで使えると言うのはすぐ気付いたんですが、このExpand FSのことが分かるまでちょっと悩みました。これでMicroSDカードいっぱいまで領域が大きくなります。
数分かかります。

11. LMSタブをクリック

lms.png
LMS設定画面

12. Install LMSを実行します。
多少時間がかかります。
ボタン押してリブートします。これでレンダラーとメディアサーバーが両方ラズパイ上で動いている状態になります。

13. WiFi Settingsタブをクリック
SSIDとパスワード入力します。

14. ここはオプションですが、Tweaksタブをクリック
Tweaksは小技とか言う意味です。この辺に魅惑の設定がたくさんあってわくわくします 笑
オススメは次の二点です。

screen2.png
Tweaks設定画面

14-1 Overclockオプション
この辺はまたあとで書きます。Advanced overclockというオプションもありますが、別ボタンになっていて、動かなくなったときの回避方が書いてあるのが恐怖をそそります 笑

14-2 Shairport-syncオプション
これでAirPlayが使えるようになります。これをオン(enable)にするとモジュールがダウンロードされます。
なおたまにこれやってもAirPlayがオンにならない場合がありますので、次の14-3でShairportがオンにならなかったら、この設定をいったんオフにしてリブート、もう一度オンにしてリブートしてください。

14-3 Mainタブをクリックして、
squeezelite、LMS、Shairport(AirPlay)が動作していること(緑のチェック)を確認する

なるべくひとつの機能をオンにしたらリブートして、これを繰り返した方が無難です。

* ALACとWMAを再生するためにはMain PageタブのSelect and update Squeezeliteの項目でffmpeg versionをインストールしてください(ただしSqueezeliteのサイズが大きくなります)

15. LMSタブをクリック(中段ではなく最上段のタブ)

17. LMSタブでログイン画面を出してMySqueezeboxのアカウントを入力
一番下のNextまたは「次」を押す

19. 音源はいっているフォルダを指定する(選択する)
一番下のNextまたは「次」を押す

20. プレイリスト作るフォルダを指定
一番下のNextまたは「次」を押す

21. Finishで終わり。

これ以降は右下のSettingでLMSの設定を変更します。するとLMS設定の別画面が出てきます。

lms-admin.png
LMS設定画面

* 操作方法

piCorePlayerの操作はWebUIによる方法と、アプリによる方法があります。WebUIはVolumioやRuneaudioとは少し違います。設定画面でも基本的な操作は可能ですか、実際に使うにはLMS側の画面(一番上のタブで切り替え)を使うことになります。これはスマートフォン対応がなくやりにくいのでアプリをお勧めします。

lms-play.png
LMSのWebUI操作画面

WebUIはPCだと使いやすいので動作確認時か家で使う時がよいでしょう。
実際このpiCorePlayerを使う大きなメリットが優れたリモートアプリを使えると言うことです。お勧めは定番のiPengで、これはMPDにおけるMPoDとは接続安定性、操作性、機能性のすべてでレベルが違います。iPengはClassicと最新の9がありますが、私はiPeng 9(1000円)を使っています。後でふれますが、iPhoneをLMSのレンダラーにできるオプション(600円)があります。

音源はUSBメモリに入れておきます(LMSが現在USBメモリしか読めません)。

立ち上げはラズパイにバッテリー電源をつなぐとスイッチオンです。立ち上げからWiFiに認識されるまでにはたぶん数分かかります。Squeezeliteは10-15秒で立ち上がるそうですが、LMSとネットでの認識が時間がかかってると思います。

IMG_2704.PNG
iPengプレーヤー画面

iPeng(私はipeng9)を立ち上げるとしばしして自動的にpiCorePlayerを見つけてきます。数分程度かかります。
このプレーヤー画面では最上段のpiCorePlayerがLMS(サーバー)のことで、中段のpiCorePlayerはレンダラーであるSqueezeliteのことです。この状態で単体プレーヤーとして機能しています。下段のiPhoneはiPengをレンダラーとして使う場合にここを選択してスイッチします。このときはLMS(ラズパイ)の音源をiPhoneでストリーミング再生できます。

WiFi接続もVolumioにMPodを使っていると外でよくフリーズしたり動かなくなりますが、iPengはかなり安定して接続しています。まるでiPhoneの単体音楽再生アプリのように使えます。これは高いアプリだけありますね。

IMG_2699.PNG  IMG_2701.PNG
iPeng操作画面

iPeng(piCorePlayer)の接続が確立したら操作画面に移ります。piCorePlayerと書かれた上下のバーで画面切り替えをします。
再生画面は3枚の画面があって、フリックで切り替えます。真中は再生画面、左は歌詞画面、右は曲リスト(キュー)です。歌詞はメタデータではなくサーバーから取ってきているようです。詳細は省きますが、使えない場合はLMS設定でプラグインが足りない場合があります。
再生画面ではアルバムアートを長押しするとコンテキストメニューと言うか別画面に行ってお気に入り登録などができます。

IMG_2703.PNG  IMG_2702.PNG
iPnegアルバム、アーティスト選択画面

再生から<"で戻ると上のようにアルバムやアーティスト、ランダム再生やフォルダー再生などができます。すべて説明しませんが、ポイントはアルバムの曲リストを開いているとき、右上の再生マークアイコンをクリックで切り替えることでモードが切り替えられます。これでMPD系で言うところのPlay nextやClear&Play Nextの使い分けができます。すぐ再生したい場合はアルバム表示のモードで再生モードにし、追加モードにするとキューにたまります。

IMG_2708.PNG  IMG_2709.PNG
iPengでは日本語表示はできますが、文字化けすることもありここが難点ではあります

iPengの有料オプションでiPhoneがレンダラーになれるものがあります。EXtrasからたどれます。この場合はラズパイは単なるサーバーとなり、iPengでの再生はiPhoneから出力されます。これもけっこう音が良いので試してみるとよいと思います。
これはこれでラズパイをポータブルミュージックサーバーに使用して、iPhoneで再生ができますので応用は広がります。

iPengはあくまでSqueezeboxのプレーヤーなので、piCorePlayerの設定はできません。
piCorePlayerの設定はさきに書いた設定画面、またはLMSの設定画面になります。つまり設定はpiCorePlayer画面とLMS画面では別々になります(もともとは別のソフトなので)。
LMS側の操作(管理)は次のようなものです。
 USBメモリの音源の指定、プレイリストの格納場所、ライブラリの再スキャン、プラグインのインストール
これらの音源関係の管理はLMS設定で行います。

シャットダウンは正式にはラズパイのpiCorePlayer設定WebUIからShutdownを選択します。piCorePlayerはメモリ展開なので電源ぶちきりでも良いと言いますが、LMSがあるので本来はShutdownした方がよいと思います。シャットダウン時にアクセスランプがつくのでなにかライトバックして同期してます。
ただいちいち設定UIにつなぐのも面倒なのでたいていはアクセスランプがついてないのを見て電源をぬいちゃってます。

またこのほかにもRoonからもSqueezeboxがゾーンとして認識できるので、Squeezeboxゾーンで見えるはずですが、いまのところうまく見えていません。

* 音質

かなりワイドレンジで、超低域も高域も驚くほど出ます。音像はキッチリしてシャープです。特に感じるのは平面的ではない音の深みと言うか立体感で、これは前にVolumioで聴いてた時とも共通してます。価格以上の音質で、まず文句はでないでしょう。Volumioとくらべてもこちらの方がよりよいように感じられます。
透明感も高く、背景も静粛な方だと思います。ノイズだらけと言われるコンピュータをそのまま入れてますが、そう問題があるようには思えないですね。知覚できるようなプチノイズはもちろんないし、微妙なノイズでノイズフロアが上がってSNが下がるという感じでもないです。
音質はもちろんPortaphile627の高音質込みだけれど、Portaphile627やLayla UFのように最高レベルで聴いてても十分負けない音をDAC+とラズパイが出している点に驚かされます。

このソフトのよいところはオーバークロックが簡単にできる点です。オーバークロックすると音がより先鋭に変わります。
mildでエッジがキリッとして、moderateでさらにアタックも強くなりますが、ちょっとガチャガチャ聞こえる感もあるかもしれません。好みもあるかもしれません。また予想通り電池消費は増えてMildでも2500mAhの電池は3時間弱程度しか持ちません。まだ見ていませんが、VolumioよりもpiCorePlayerとLMSの組み合わせ自体が電池消費が激しいのかもしれません。二つ違うものを動作させていますからね。
またこのオーバークロック設定を見てみると、raspi-configでの設定と似ているので、もしかするとラズパイ2では実はアンダークロックで動いているのかもしれませんが(mildでarm_frq=800だから)、この辺はまた調べてみます。いずれにせよ音質は標準状態から変わりますので試してみると面白いと思います。

音質を変えると言う点では、設定ページでのMainタブにふた通りのpiCorePlayerのビルドバージョンが用意されていて、これを変えても微妙に音質が変わるので変えてみても面白いと思います。

* まとめ

まとめると、piCorePlayerを使用してできることは以下の4点です。

1. USBメモリの音源を呼んで再生する
2. AirPlayでiPhoneから音楽を再生する
3. USBメモリの音源をiPhoneにストリーミングする
4. Roonからストリーミング再生する(未確認)


piCorePlayerを使う利点はと言うと、音質が良い(好みもありますが)とSqueezeboxの資産としてクライアントが充実しているので使いやすいと言う点だと思います。iPengだけではなく、他にもいろいろとあります。
RAM上にすべて展開するので電源ぶち切りできると言う利点はこの形態ではLMSと同居させているのであまり言えないかもしれません。(ぶち切りしていますが)
SqueezeliteとLMSの併用は便利ではありますが、ブート速度やぶち切り可能などSqueezeboxの家電的な有利さをちょっと損なってはいるかもしれません。
またVolumioなどのMPDディストリビューション系に比べると設定などでマニアックな追い込みもできます。(MPD系もファイルを手でいじればできますが)
もちろんポータブルだけではないので、今までMPD系のVolumioなどを使ってた方も試してみてください。
ラズベリーパイを使うというと、いままではDIY系の人が多かったと思いますが、ここに書いてきたことははんだごては必要ありませんので誰にでも試してみることができます。

それと今回Squeezboxのことをまじめに調べてみて、かなり優れたコンセプトだったということに改めて気がつかされました。使ってみるとそのコンセプトやユーザビリティ、音質などかなり優れていると思います。LMSからiPhoneにストリーミングできるところもSqueezeboxらしい良さで、これだけでポータブルアンプ無しで運用するのもアリだと思います。
Squeezeboxは時代に早すぎたと思いますね。いまのストリーミング時代ならちょうどよいかもしれません。また操作性に関しても、iPnegのような高度なクライアントアプリでの操作はVolumioやRune AudioのWebUIやMPoDとは別次元の快適さです。この辺は一度は商品として世に出ていたシステムのことはあります。
ちょっとこのSqueezeboxエコシステムの中で少し使ってみようと思ってます。

IMG_2692[1].jpg

このラズパイ使ったポータブルアンプのシステムもなかなかまじめに使えるようになりました。操作はiPhoneで快適にでき、電源落とすときに難がありますが、音質も価格にしてはかなり良いですね。
ポケットにコンピュータいれてポータブルアンプで、サーバー設定変えながらリブートを繰り返し、あーでもないこーでもないと音質のチューニングやってるとあっという間に駅に着きますので、乗り過ごしにご注意を。(実際やりました。。)

      
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2015年12月31日

2015年を振り返る

今年もいろいろと書いてきましたが、今年度の振り返りの記事を書いて終わりとしたいと思います。

いわゆるこの「ヘッドフォンオーディオ」界隈では近年はイヤフォンがトレンドの主導をする傾向がありましたが、今年は年明けからスピーカー技術を取り入れたAudio QuestのNighthawkや、ポータブル平面型のOpo PM-3そしてAstell & KernのベイヤーコラボモデルであるAKT5pなどヘッドフォン復権とも言うべき盛り上がりがありました。
ポータブルでは久々のEditionシリーズであるEdition Mなんかもありましたが、ポータブル系だけではなく、ハイエンド方面でもMrSpeakersの野心作Ether、テスラ第二世代T1 2ndとAK T1p、ゼンハイザーHD800Sなど他にも多数発表がありました。

平面型はわりと定着してきたと思います。もともと平面型は新しい技術ではなくオーディオ黄金期に流行っていたものですが、いったん廃れて最近再び流行るきっかけとなったのはHiFimanとAudezeが推進材となったからです。その両者ともHE1000系やLCD4などトップモデルを更新しています。静電型もオルフェウス2やSTAXの新製品、ポータブルのShureなど驚きの展開となりました。

イヤフォン方面では近年のマルチBAの多ドライバー化のアンチテーゼともいうべき流れが出てきたことが注目事項だと思います。
ひとつはダイナミックの復権で、いままでのDita AnswerやIE800の流れを受けて、CampfireのLyraやAstell & KernのAK T8iE、ビクターのFX1100など、ハイエンド・ダイナミックの流れが定着してきたように思えます。
Shureのまさかのポータブル静電型であるKSE1500もやはりスタッフが語っていたようにマルチBAのアンチテーゼの一派と言えるでしょう。
またCampfire audioのOrion,Jupiterなどで採用されたアコースティック・チェンバー方式(チューブレス)も複雑化に対してのアンチテーゼの一種と言えます。

またカスタム方面ではハイブリッドが人気のカテゴリーとなり、マーヴェリックカスタム、FitEar Air, Justear MH-1/2などなど、たくさん人気機種が登場してきました。
また閉鎖空間の耳道におけるベントホールの問題も、そうしたハイブリッドモデルはもちろん、ちょんまげ3号のA.I.R.や64 AudioのADELモジュールなど注目をされました。
カスタムではWestone Sシリーズやオンキヨーのように一層の低価格化が進むとともに、3Dスキャナ・3Dプリンタの導入など新しい技術動向にも注目です。

それと今年はWestone 3のオマージュであるWestone30やTriple.fi 10 proのオマージュであるJH Audio TriFiなどかつての人気機種の10周年を祝うモデルも話題となりました。これらが日本限定というのもこの10年で日本市場の果たした役割の重さを感じさせます。

DAP(デジタルプレーヤー)では中国製DAPの隆盛は大方の予想通りですが、オンキヨー・パイオニア連合など国産も加わって戦国時代の様相を呈してきている一方で、いち抜けしているAstell & KernはAK380/AK320、AK Jrとラインナップを大きく広げました。
イヤフォンも含めてポータブル製品の価格帯は引き上げられていますが、普通はこうした従来の価格トレンドから離れた高価格製品はオルフェウスのようにメーカーの看板としてあるもので売れるものではありません。しかしポータブル製品の場合は売れ行きも好調であるというのがポイントです。つまり試しに作ったというものではなく、それが価格帯のレンジを引き上げて恒常的に商品選択の幅を増やしたと言えるように思います。

またポータブルアンプではChord Mojoが好評のHugoをついでより小型・低価格で発売されたのが大きな話題となりました。来年は拡張性を広げるアクセサリーの登場にも期待したいところです。


PCオーディオでは、、、なにかありましたっけ?と私が聴きたいくらい。それは技術トレンドに欠けているからだと思います。たとえばDoPによるDSDネイティブ再生やクラス2による96Kの壁の突破などの技術的なブレークスルーがなく、スペックもDSD11Mの浸透くらいで頭打ちに近い状態です。
ハイレゾはもはやマーケット用語であり、技術的なトレンドとしてはすでに48Kや96Kの壁を突破したときに終わってます。40kHzで数10dBも落ち込む「ハイレゾ対応」製品を技術的な壁を突破したと言えるのでしょうか。
MQAについては昨年末に話題となりましたが、対応機種がいくつか出たものの一年たっても市場に登場していません。PCでどうやって聴くかのガイドも十分に提示されていません。
ストリーミングについてはApple Musicの登場や日本での導入、年末のビートルズ、海外でのTidal人気など話題性はいまだありますが、技術トレンドと言うべきか。
ソフトウエアでも今年はPCの音楽ソフトウエアではRoonが海外では話題になっているということは知っていたのですが、RoonはAudirvanaやHQ Playerのようにソフトウエアで音質を高めると言うような方向性の技術主導のソフトウエアではなく、あまり興味が持てなかったということでうちの記事にすることはありませんでした。

PCオーディオ界隈はかつて技術トレンドの先端として、自分でも情報収集がわくわくと楽しみでしたが、最近は正直言ってかなり退屈です。普及期に入って安定したのだ、と言えば良いのですが、トレンドの牽引車に欠けると言う印象も否めません。

昨年の終りに来年(今年)はPCオーディオにできてポータブルにできないことはなくなる、と書いたのは予言というよりすでにその時すでにCelsus Companion oneなどを使っていたのでそう書いたんですが、さらに今年はAstell & Kernの第二世代機以降がDLNA互換のネットワークプレーヤーの機能を有するに至り、Mojoのアクセサリーでもそうしたモジュールが検討されているなど、PCオーディオ的なお株を奪ってしまったように見えます。ポータブルではさらに無線の方面でネットワークオーディオが発展していく期待感もあります。

スマートフォン方面ではあいかわらずの煮え切らないAppleの対応もありますが、Androidでは期待していたUSB標準ドライバーに失望し、レイテンシー向上で期待し、というところでしょうか。来年はさらなる薄型化のためにスマートフォンのイヤフォン穴の動向に注目でしょうか。
高音質アプリでは久々に本格的なiOSのRelistenが出ました。これは使いこんでいくとiPhone直でもAnswerのような高性能イヤフォンで不満ないようにはなります。

また個人的にはシンガポールのMookショウも興味深い経験でした。
今年はヘッドフォンアワードの表彰式の立ち上げしたり、カスタム座談会などの司会も面白かったですね。
現在もいろいろ活動していて、来年はなにか面白い報告ができれば良いなと思ってますが、まだわかりません。
さて来年はどうなるか。
posted by ささき at 09:26 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月24日

ファイナルオーディオデザインのイヤフォン作成講座(シンガポール出張版)

Mookショウで開催されたファイナルオーディオのイヤフォン作成講座に参加させてもらいました。これは人気企画「自作イヤホンで音のチューニングを楽しもう!〜イヤホン組立体験〜」講座の出張版です。イヤフォンの組み立てをすることで構造を学ぶとともに、音のチューニングをどうするかまで学ぶことができます。
日本での参加費は12800円で、ダイナミック型のMMCXリケーブルが可能な本格的なものです。チューニングという観点からするとダイナミックの方が自由度があるとはいえるでしょう。

IMG_3257[1].jpg

使われるイヤフォンもほとんど参加費はパーツ台だけでとんとんというくらいなので、できるイヤフォンは市販品相当だとなかなかのものというのがわかると思います。十分に自分でも使えるくらいになるので、それ目当てということでも良いと思います。

IMG_3240[1].jpg

上のようにはじめにパーツをすべて皿に開けます。このときにパーツが小さいので神経を使いますが、実際のパーツはもっと小さいと言われて改めてイヤフォンのミニチュア感覚の世界に感じ入ります。

IMG_3243[1].jpg

上でブラブラしてるのがダイナミック・ドライバーです。ハンダは使わずに部品を止めていくだけですが、なかなかうまくはまりません。ドライバーのゴムパッキンなどは熟練は1秒でやるそうです。

だいたい作ってチップとケーブルをつけると音を聴くことができます。今回は特別にFinalの好意でJabenのSpiral Strandケーブルをおごられたので音が良すぎという感じです。これが一万くらいの音か!といいたいところですが、ちとベースが過大な感じです。

そこで次は聞いたらチューニングに移ります。

IMG_3260[1].jpg  IMG_3268[1].jpg

まずドライバー自体の背面の開口部をテープで塞ぎます。上の写真で左のドライバーの下にあいた穴をふさぎます。右はすでにふさいでいます。ただしこれは完全にふさいでいるわけではなく、いくらか通気しています。ダイナミック型はこれが大事なので、これになにを貼るかがポイントだそうです。
実際はバックベントよりも、ドライバー自体の開口部ポートが低域に与える影響が大きいそう。

これですっきり上質な音になった気がします。言い換えると少し高いイヤフォンになった感じです。低域が抑えられよりフラットになりヴォーカルも引き立ちます。このドライバーの背面の開口部で100hz-1Khzまでを抑えるとのこと。

IMG_3261[1].jpg  IMG_3267[1].jpg

次は上のハウジングのバックベントを塞ぎます。ねじで回転させて開口部を閉じます。こちらは低域でもより低い方をかえるということで、いわゆる重低音がなくなる感じがします。ここは確認したら好みで戻します。

IMG_3263[1].jpg  IMG_3264[1].jpg

次は上のようにいわゆる音響フィルターをチューブに詰めてハイを抑えます。密度が高いほどハイが落ちるわけで、ストッキングなどを入れても良いそう。実のところこれをいろいろ家にある素材で変えて欲しいということです。天然素材が良いそうです。またハイを変えることで知覚的に低音も変わるとのこと。

最後にメッシュのフィルターをつけるが、これはイヤワックス(耳あか)用なのでなくても良いそうです。むしろいろいろフィルターを変えるにはいらないかもしれません。

IMG_3254[1].jpg

けっこう立派なイヤフォンが出来上がり、音質も良くて十分これで楽しめます。

まとめるとチューニングのポイントとしては、次のようになります。
1. チューブにフィルターを詰めて高音域の調整
2. ドライバーの背面開口部のテープを変えて低音の調整
3. ハウジングのバックポートの開け閉めで超低域の調整
加えてケーブルを交換することでも音が変えられます。

イヤフォンの構造が分かりやすく、チューニングなどの知識も得ることができ、作ったイヤフォンで楽しめるとなかなかお得な講座ですので次の開催にはぜひ参加してみてください。
ファイナルデザインの口座案内(前回)はこちらです。
http://final-audio-design.com/archives/3832

posted by ささき at 09:58 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月23日

ポタ音スタイル2016に記事を書きました

発売中のCDジャーナルムック、ポタ音スタイルにいくつか記事を書きました。
プレーヤー・アンプとヘッドフォンイヤフォン徹底ガイドのレビューでAK Jr、Continental Dual Mono, AK T1p、Campfire Audio Lyra、Chord Mojo、ちょんまげ3号を書いています。
アプリガイドではHF Player、USB Audio Player pro、FLAC Playerとともに新しいRelistenも書いています。
またP146から「ポタ音放談」として私とフジヤの根元さんの対談でポータブルアンプやプレーヤーに関する不満点やこうあるべきという形を話していますので、ぜひご覧ください。


posted by ささき at 10:53 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月18日

日本向け限定モデル、Westone30

Westoneから新製品Westone30が12/26日に発売されます。バランスド・アーマチュアを採用していて3Way・3ドライバーのイヤフォンです。詳細はテックウインドさんのホームページをご覧ください。価格はオープンで市場推定価格は49,800円前後です。
http://www.tekwind.co.jp/information/WST/entry_450.php

IMG_8899[1].jpg

特徴

Westone30には二つの大きな特徴があります。
まずひとつは日本市場向けにサウンドデザインがなされている、日本限定モデルであるということです。これはWestone社のサウンドマイスターであるところのカール・カートライトが日本人好みにチューニングしたものです。
そのためにカールが日本のロック・ポップ、アニメ音楽などを研究したということ。

IMG_8903[1].jpg   IMG_8905[1].jpg
Westone30

もうひとつはこれがあのWestone 3のオマージュになっているということです。筐体デザインは似ていますね。本体ロゴも数字の意匠化が踏襲されています。ドライバはWシリーズとは少し異なり、ネットワーク調整を一から日本向けに作っているということです。(つまり現行のW30とは異なります)

昔話を少しすると、2006年初頭のCESに3ドライバーという画期的なスペックを持ち、$500という「驚くほど」高価格のShureのE500がE5系の後継としてデビューして話題となりました。いまでいうハイエンドイヤフォンのはしりですね。それを同じ2006年にUE(というより当時のジェリー)が3ドライバーで追いかけて当初は別のコード名でしたがtriple.fi 10の発表をし、続いて2007年にWestoneが3ドライバーで3Wayという画期的なWestone 3を発表して追いかけるという展開になりました。それまではカスタムには3wayがありましたが、普通のイヤフォンでは2wayが一般的でした。
特にWestoneはこのモデルで一気に高性能コンシューマーイヤフォンの分野に躍り出た記念すべきモデルですね。モデル名もそれまでとは変わりました(Westone 2はこの後)。日本市場ではShureやUEの陰にあった感のWestoneがこのWestone 3で一気に表舞台に登場した感じでした。なかなか発売されずにユーザーがやきもきして待ち焦がれていたのを覚えています。
この後E500はさらにSE530となり、高性能イヤフォンの戦国時代がはじまります。それは「普通の市販イヤフォン」がカスタムに追いつく時代でもありました。そしてジェリーはUEを離れますが、それはまた別の物語です。

それからほぼ10年が立ち、この2015年末というタイミングにJH AudioがジェリーのUE時代のtriple.fi 10のオマージュであるTriFiを発表し、WestoneがWestone3のオマージュであるWestone30を出すというのは面白い符合であると思います。

音質

ここではWestone30とWestone 3を聴き比べてみました。たしかに似ていますね。ロゴはそれぞれ3と30の意匠化です。フィット感もほぼ同じです。ただ30の方はケーブルは新しいepicです。
試聴する時はチップは両方とも形とサイズを合わせてますが、同一のものではないので多少そこで違いが出るかもしれません。

IMG_8906[1].jpg
左がWestone30、右がWetone3

いままでのアルバム随想録を見てもらうと分かるように私はきわめて洋楽偏重な人なんですが、日本向けモデルということで今回は邦楽で選曲してみました。日本人アーティストで有名どころというと戸川純とかヒカシューですか、とか、アニメ関連なら再発されたYBO2でもいいよね、とか言わないで素直に狙ったあたりと思われる音楽でiPhoneで試聴してみました。

志方あきこ: Arcadia
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ヴォーカルにはさまざまな言葉を駆使して言語感覚を大事にする人ですが、Westone30では特に日本語歌詞の部分の明瞭さが高いように思いますね。Westone3よりも全体に音が整理されていてヴォーカル部分が良くわかります。また楽器パートはよりきれいに聴こえる感じがあります。

アンジェラ: 騎士行進曲
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最近のアニソンはヒーロー名連呼型が少なくなって寂しいんですが、これは合格。複雑な曲ですが、Westone30ではスケール感もよく表現され、スピード感も軍歌っぽい高揚感も魅力的に聞こえます。

中村桜: パンツアーリート
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こちらはリアル軍歌がベースですが、原曲の勇壮感とJ-pop編曲されたビートのスピード感がカッコ良く表現されてます。やはりヴォーカルが聞き取りやすく低域はWestone 3よりもわずかに抑えられているように思います。

Babymetal: アカツキ
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最近ようやく新アルバムの発表あったBabymetalのヴォーカルソロパート定番曲。これは武道館ライブ盤ですが、Westone30ではリードするピアノの音色がWestone 3よりもより好ましくなっているように思います。ヴォーカルはあきらかにWestone30の方が明瞭で声質がきれいに聴こえます。

遊佐未森: ロカ
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これはよくドライブでかけるんですが、Westone30では曲の持つ爽やかな雰囲気と遊佐未森の独特な歌声の気持ち良さがよく表れていて気持ち良く聴くことができます。3だとちょっとごちゃごちゃした音楽になってしまいます。

まとめ

Westone30は全体に高域のきつさが少なく全体的に音がうるさくなく整理されていて、かつ低域が中域にかぶらずにヴォーカル域を重視したチューニングがなされているように思います。また楽器の音色もより正しくきれいに再現されているようですね。
30はJ-Popあたりの録音のきつさを和らげるチューニングとも言えます。もともと低価格イヤフォンのためにきつめに強調した録音を、高性能イヤフォンで聴くときつ過ぎるのでそれを和らげると言ってもよいかもしれません。

また女性ヴォーカルがWestone3より明瞭感があり、好ましく聴こえます。ちょっと興味深いと思ったのはヴォーカルの発声は同じヴォーカルでも特に日本語歌詞の場合に好ましく感じられたことです。これは外国語は子音型が多いのに対して日本語は母音型であるというところとか、日本語の発声周波数帯域が低めということに関連しているように思いますがよくわかりません。
マスマーケット用のTVなんかは国別にスピーカーの音を変えることもあるようですが、こうしたあたりも突き詰めていくと面白そうです。

Westone30はJ-Popやアニソンなどを良く聴く人にお勧めだと思います。また洋楽でもロックポップには好みの合う人もいると思います。ぜひお店で自分の音源でも試聴してみてください。そしてこのイヤフォンという分野にも歴史があること、そして日本市場が大きくそこに貢献してWestone30があることもちょっと思い出してみてください。
posted by ささき at 12:01 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする