Music TO GO!

2018年05月24日

iFI-Audio機器とMQA対応の記事を執筆しました

iFI AudioサイトとPhilewebに、MQA対応を果たしたxDSDなどiFI機器をどのように活用するか、そもそもMQAデコーダーとレンダラーの違いはなにか、というところを詳細記事に書きました。内容に関してはMQA ltdに協力をいただきました。

またトルステン博士に聞いたxDSDではなぜパワーモードがなくても良いかなどのヒミツ、またMQA-CDをリッピングした音源はソフトウエアによって挙動が異なる、という細かなところまでカバーしてます。これはAudirvanaもRoonも直に開発者に聞いて確認しています。
ぜひご覧ください!

iFI-Audioサイト

Phileweb


posted by ささき at 18:52| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

PhilewebにCampfireインタビューと新製品レビューを執筆しました

PhilewebでCampfire AudioのKenさんインタビューと新製品ATLAS、COMET、CASCADEのレビューを執筆しました。
インタビューはなぜCOMETはシングルでワイドレンジを達成できるか、VEGAからATLASへの進化など濃い内容になってますのでぜひご覧ください。

posted by ささき at 10:31| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月17日

UM MAVERICK IIカスタム レビュー

UM MAVERICK IIカスタムはUMのIEMの中でも代表的なモデルの最新カスタムバージョンです。
まずこのシェルの美しさに惹かれますが、音質もまた改善されています。

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*MAVERICKのおさらい

まず簡単にもともとのオリジナルのMAVERICKのまとめをしておきます。
MAVERICK(マーベリック)はカスタムIEMで知られるユニークメロディ(UM)が開発したユニバーサルIEMとして登場してきました。UMの取ったアプローチは国ごとの代理店と共同開発でその国の事情に「カスタム化」した音決めや開発をするということです。日本からはミックスウェーブの宮永さんがUMに赴いて開発に参加しました。普通代理店はメーカーに意見を言うくらいの影響力のように思いますが、このUMのユニバーサルIEM開発においては代理店とメーカーの共同開発と言ってよいほどかなり深く関与しているのが特徴です。

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初代MAVERICKユニバーサル

MAVERICKはダイナミックとBAのハイブリッドで5ドライバー。ネットワークは4Wayです。高域がBAx2、中音域がBAx1、そして特徴的なのは低音域にBAとダイナミックを両方配置しているということです。
ハイブリッド構成では繊細なBAが中高域、迫力のダイナミックが低域という分担が一般的で、同じUMでも以前のCIEMであるMerlinはそうなっています。MAVERICKもはじめの予定ではMerlinのようにダイナミック一発で低域を担当する予定だったそうですが、開発していくうちに20〜40Hz辺りのバスドラムのアタック感が関係してくる箇所がダイナミック一発では再現出来ず、結果的にBAでその部分を補ったということです。
これが音質的に低音域の質を向上させる大きな特徴となり、「独自路線を歩む人」のような意味である"MAVERICK"という名前の由来ともなっています。

*MAVERICKカスタムへの進化

MAVERICKをユニバーサルからカスタムに再設計するにおいては、ドライバーをそのままにしてチューニングを徹底して行うという方針を立てたということです。
なぜかというと、当初ユニバーサルIEMであったMAVERICKをカスタムIEM化するうえでは、まずユニバーサルモデルをそのままカスタム化するという手法も試してみたということですが、全くといっていいほど意図していない音になったということです。

チューニングでは具体的にいうと、MAVERICKカスタムではカスタムシェルにした状態での位相調整、低域の量感調整、4ウェイのスピード調整等を行ったということです。これは主にフィルター、レジスタ(クロスオーバー)、チューブの長さの3点をMAVERICK・カスタム向けに調整したということです。ドライバーユニットユニバーサルとカスタムでは変更していません。
チューニングの方向としては元々宮永氏がドラムなど楽器をやっていたこともあり、楽器の音(特にドラムなどリズム隊)を中心にチューニングしたということです。

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左が初代MAVERICKカスタム

またチューニングのさいにポイントになったのはカスタムとユニバーサルの根本的な違いであるダイナミックレンジだそうです。カスタムでは遮音性が高いために静音がより聞こえる、つまり大きな音と小さな音の差のダイナミックレンジが大きくなるわけです。
MAVERICK・ユニバーサルの時も楽器メインでチューニングを行っていますが、MAVERICK・カスタムとでは使えるダイナミックレンジが異なるため、その点はカスタムモデルが有利になります。これがカスタム化の大きなメリットであり、それを生かしたということですね。

*MAVERICK IIへの進化

低域における大型ダイナミックとBAのハイブリッド構成は変わりませんが、ポート(ベント穴)がMAVISのように二つになっています。またドライバーも初代からはダイナミックドライバーと中高域用のBAドライバーが変更されています。これによりクロスオーバーの最適化、音導管にプラチナ塗装の金属チューブを採用しています。

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左がMAVERICK IIユニバーサル

MAVERICK IIでは全体の音調とか個性は初代と似ていますが、全体に音がより明瞭になり解像力が上がったように思えます。低域もMAVERICK特有のパンチの強さがよりはっきりと感じられます。
良録音のジャズヴォーカルでは初代よりも鮮明にヴォーカルが聞こえベールを1枚取ったように感じられます。初代カスタムと比べた場合でもMAVERICK IIのほうがより明瞭感が高くクリアでよりパンチが鋭い感じで、メリハリがより濃く感じられます。特に一枚ベールを取ったような鮮明さはやはりMAVERICK IIの特徴です。女性ヴォーカルもMAVERICK IIのほうがより聴き取りやすいと思います。

MAVERICK IIでは兄弟としてのMAVERICK+も存在しています。ただし名前が示すような上下関係ではなく、ドライバー違いの兄弟のようなものということです。

*MAVERICK IIカスタムへの進化

そしてMAVERICK IIのカスタムモデルとしてMAVERICK IIカスタムが登場しました。

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このデザインはマクベス2とも似てUMが最近取り扱いを始めたファイバーシェルというタイプです。MASON IIカスタムもシェルが美しいIEMでしたが、MAVERICK II カスタムも負けません。

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紫のIEMはMASON IIカスタム

MAVERICK IIカスタムも宮永氏のチューニングでMACBETH II Classicと同じころに実施したということです。MAVERICK IIカスタムについても初代MAVERICKユニバーサルとカスタムの関係のようにドライバーは同じでチューニングをし直しているそうです。チューニングでは評判のよかったMAVERICK+の意見も考慮しているということ。

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私の持っている初代MAVERICKカスタムに対して、MAVERICK IIカスタムでは2ピンプラグが引っ込んだものに変わっています。よりがっしりと固定できるというプロ仕様ですね。

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左が初代MAVERICKカスタム

* MAVERICK IIカスタムの音質

音質はまず標準ケーブルで比較しています。

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全体にMAVERICKらしいシャープでパンチの効いた音の個性は変わりません。ピアノの打鍵の気持ちよさはピアノが打楽器であるということを教えてくれるようです。MAVERICK IIカスタムで向上したのは透明感だと思います。全体にクリアさを増してより音の明瞭感が高くなった感じです。また楽器の音がより整って歪み感が減っているようにも思いますね。
初代MAVERICKカスタムと比べると音がやや中高域よりになっているようにも感じますが、どちらかというと初代MAVERICKカスタムの中高域のクリアさと伸びがいまひとつなので、ワイドレンジ化したようにも聴こえます。MAVERICK IIカスタムと比べるとですが、初代MAVERICKカスタムは少し詰まって低域よりの音に聞こえます。初代MAVERICKカスタムからMAVERICK IIカスタムに変えると、音世界がぱっと広がり音がよりクリアに聞こえます。中高域の伸びもより気持ちよく伸びていきます。
中高域の楽器音はそれを反映してより鮮明に聴こえ、特にヴォーカルが聴き取りやすくなって歌詞がはっきりと伝わってくるように思います。

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MAVERICK II カスタムの高性能はA&K SP1000で真価を発揮します。標準ケーブルのままでもその音の透明感や深みは感動的なほどですね。Mojo+Polyで聴いてみると歯切れの良さ、透明感の高さがUM MAVERICK II カスタムによく合う感じです。

*MAVERICK II カスタムとリケーブル

MAVERICKでは以前からBeat Signalが良く似合うと思っていたので、MAVERICK II カスタムのケーブルをSignal標準とSignal8芯で聴いてみました。すると8芯の方が音が自然でより細かな音が聴こえます。SP1000CPのほかのDAPにないような音の深みが気持ちよく引き出せる感じで、MAVERICK II カスタムとSignal 8芯はかなり相性良いと思います。SP1000SSと組み合わせると音の透明感がひときわ高く、細かな音がざわざわっと湧き上がるSN感の高さに感動するほどです。
MAVERICKシリーズらしいドラムスやパーカッションの打撃感もいっそうキレよく気持ち良く楽しめます。

ただSignalがよく似合った初代MAVERICKカスタムとは音がやや変わっていて、もともと中高域がよく伸びるので、Signalよりは中高域を抑えたケーブルのほうが良いかなという気もします。MAVERICKIIカスタムはいままでのMAVERICK系よりも違ったケーブル選びが必要かもしれません。

それとMAVERICK II カスタムは標準ケーブルでも良いと思います。UMはMavis、Masonもそうですが、標準ケーブルで十分と言うものが増えてきたように思いますね。


* MAVERICK II カスタムとUM IEM群

初代MAVERICKカスタムと比べて、MAVERICK II ユニバーサルはよりクリアだがスケールダウンする感じです。これは低域の出方のカスタムとユニバーサルの差になっているかもしれません。
MAVERICK II カスタムだとMAVERICK II ユニバーサルよりかなりクリアで、さらに初代MAVERICKカスタムよりスケールアップしてる感じですね。加えて低域もより明瞭になっています。音の個性的にはMAVERICK II カスタムは初代MAVERICKカスタムよりも、特に中高域の伸びやかさと全体の透明感でMAVERICK II ユニバーサルに似ています。MAVERICK II カスタムはMAVERICK II ユニバーサルよりもカスタムの分だけよりユニバーサルよりもよくなっているように感じます。

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左はMAVERICK IIユニバーサル

MAVERICKとMavisは低域(20-40hz)の質の向上というテーマに関しては、それを異なる手段(MAVERICKなら大口径ダイナミック+BA、Mavisなら小口径ダイナミック2発)で実現した兄弟機ともいえる面もあります。しかしながら、それよりも違いはむしろ全体的に異なった音の個性を目標に作られたと言う方が正しいようです。(BAドライバーもMAVERICKとは異なるようです)
それはMAVERICKでは楽器音を鮮明に聞くと言うことを目指しているのに対して、Mavisでは音楽全体を楽しく聴くというコンセプトのもとに設計されているからだそうです。
このようにUMファミリーはそれぞれにテーマがある個性的な製品群です。

* まとめ

MAVERICK II カスタムはシェルの美しさに目を引かれますが、音質もだいぶ良くなってます。

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音としては透明感の向上と楽器音の正確さにこれまでのMAVERICKファミリーとの差が感じられます。向上の幅もより大きい感じですね。
つまりMAVERICKの初代と2の音質改善の上に、MAVERICKユニバーサルからカスタムへの向上もなされているということです。
UMのIEMの進化というのがよく感じられるのが、このMAVERICKシリーズであり、力の入った代表モデルにふさわしいと思います。


posted by ささき at 20:54| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月02日

Campfire Audioのヘッドフォン、CASCADEレビュー

Campfire Audioの音がヘッドフォンになりました。

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いよいよ噂されていたCampfire Audioのヘッドフォンが登場します。その名はCASCADE(カスケイド)。端的に紹介すると、トップクラスの音質を持ったクローズタイプのポータブルヘッドフォンです。

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私はデモ機を貸与してもらいましたので、使ってみたレビューをします。CASCADEには驚かされますが、ポータブルヘッドホン世界にとってはEdition8以来の衝撃といえると思います。
本記事は海外情報によるもので、Campfire AudioのCASCADEのページは以下です。海外価格はUS$799です。
https://campfireaudio.com/shop/cascade/


* 機能と特徴

1.ポータブルを念頭に置いた設計がなされている

形式としてはダイナミック型のクローズタイプのヘッドフォンです。腕を曲げて折りたたむことができ、またイヤカップの可動範囲の自由度が高いのも特徴です。これで耳にフィットして装着感と遮音性を両立しやすくなります。

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振動版はCampfire Audioらしくベリリウム振動板を採用しています。外装はダイキャストアルミでCNC加工をしたものです。サイズ調整のスライダーはステンレス・スチールです。
ヘッドバンドはPUレザーで、イヤパッドはラムスキン皮革を使用しています。
ケーブルも短いポータブルの長さ(1.2mくらい?)で、3.5mm端子です。

2.リケーブルが可能、HD800プラグを採用

リケーブルが可能で、プラグはポータブルにしてはかなり頑丈なHD800プラグを使用しています。HD800プラグはKenさんがいままで見たなかでもっとも信頼性が高いからだそうです。デザイン的な特徴にもなっていますが、プラグの丈夫さというのもCampfireというかALOのKenさんらしいところです。Campfire AudioはMMCXでもかなりがっちりとしたプラグを採用していましたね。

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またALOでHD800用の交換ケーブルが出ているということもあります。これらを付け変えて家ではHD800の長いケーブルでバランス駆動対応などすることができるでしょう。
もちろん外で使うような短いケーブルもALOでバランス駆動用の端子(.2.5mm/4.4mmも含む)も別売で用意しているようです。

*Edition 8 EXのLEMOとHD800プラグは多少異なるようなので注意が必要です

3. ダンパー交換で音質を変更できる

また特徴的なのはイヤパッドを開けてダンパー(薄いシール)を貼ることで音質を変えられるということです。イヤパッドは磁石で簡単に取り外しが可能です。

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イヤパッドを開けると上下にホールがあり、そこにダンパーを貼り付けることで低音を増強できます。下のダンパーははじめから付いた状態のはずです。

* 使用感・インプレ

箱はCampfire Audioの大きな箱という感じです。

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やはりCampfire Audioの大きなケースが付属しています。

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CASCADEの良い点の一つは装着感が良く、遮音性が高いという点です。この点においてもいままでのヘッドフォンの上位にあると思います。

イヤカップの自由度が高く、密着して装着感も良いです。側圧は適度で軽くもないし、耳が痛くなるほどぎっちり強いわけでもありません。ヘッドバンドのサイズは十分で日本人だったら頭が大きめの人でも十分入ると思います(わたしで実証)。ヘッドフォン自体の重量もそれほどではないので、装着感は良いと思います。実際にKenさんは3回ほどヘッドバンドを大きく改良して開発しながら1年遅れたほどだそうです。

遮音性もかなり高く、駅のアナウンスや電車の暗騒音を聞いても、カスタムとは言わずとも優秀なユニバーサルのカナル型と同じくらいは遮音すると思えます。
大きめに音楽再生しても、静かな部屋で耳を近づけて少し聞こえるかと言う程度です。周りに迷惑かけにくいとともに、電車の中でも騒音がかなり低くなるので細かい音も聴きやすいのが利点です。解像力が高いヘッドホンですので、遮音性でSNを確保できるのは有利です。
外観はごっついプラグが特徴的で、ポータブルで折りたたみでこうしたプラグは初めてではないかと思います。Kenさんのこだわりの凄さを感じますね。

ただし、たたむ時はプラグを取る必要があります。プラグはごっついですが硬くなく、軽く付け外しができます。
また首を回してフラットにもできます。大きめで平たいカバンならこっちが良いかも知れません。この場合はプラグつけたままでも良いように見えますが、プラグとハウジングが擦れるのでやはりプラグは外した方が良いです。

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* 音質

でもCASCADEの最大の長所はやはり音質の高さです。ポータブルでは良いという程度ではなく、音質のレベルは家で使ういまのハイエンドクラスのヘッドフォンとくらべてもさほど引けを取らないほどです。もちろんクローズとオープンの違いはあり、初代HD800よりも音場とフラットさを除けば、解像力や立体感など音質はすでに超えているようにも思いますね。クローズならではのかたまり感・迫力もCASCADEの良いところです。

音も個性的で、初めてCampfire Lyraを聞いた時のように独特の音です。KenさんはVEGAのような音をイメージしているとのこと。たしかに透明感が高く、SP1000SSなどを使用していると、あまり解像力のすごさに身震いしてしまいます。
ヘッドホンでBAがあるとこういう感じかもしれませんし、あるいはヘッドホンなら低域ダイナミックで中高域が静電型のハイブリッドに近いと言えるようにも思います。
イヤフォンでいうとやはり良くできたハイブリッドという感じで、中高域の情報量豊富でシャープさと低域の深い重み迫力を両立しています。

ダイナミックらしく躍動感にあふれて、ノリ良く聴くことができます。低域はたっぷり出ていて迫力もひとしおです。クローズタイプらしい、音の深みが感じられますが、解像力が非常に高いので音は良くほぐれて聴けます。
モニター的ではなく音楽楽しむ系なので、ついつい音量を上げて迫力に浸りたくなります。

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横方向の音場の広さはクローズにしては良い方だと思いますが、奥行き方向の立体感はヘッドホンでもトップクラスに近いと思います。楽器位置の再現性が高いので、三次元的に広がる感じです。

エージングしてなくてもかなり音は良いのですが、エージングが進むとすっきりして高域が伸び、透明感が出てきます。エージングしてないとやや荒くて、これはこれでいいなあと思いつつ、エージングが進むと透明感が出て音がクリアになり、全体により滑らかで整った音になっていく感じです。エージングすると中高域は伸びていき、中域の女性ヴォーカルはひとしおで高域のベルの音も美しいですね。
だいたいはじめの10-20時間で大きく異なるので、女性ヴォーカル好きな人はたっぷりエージングしてから聴き、ロック好きな人はエージングなしで聴き始めるのがおすすめです。

振動板が軽いように思いますが、歯切れよく、スピード感があってリズムのノリが良いですね。音の立ち上がりと立ち下がりがトランジェントが高いように感じられ、音のエッジがかなり立って鮮明で歯切れが良く、透明感。明瞭感が高く感じられます。ヴォーカルの発音もよく聴き取れて発音が明瞭です。

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これはSP1000のような解像力モンスターで良録音で聴いてほしいですね。SP1000だと恐ろしいくらいの音の再現力を感じられます。ポータブルヘッドフォンではいままで聴いたことがなく、ハイエンドのカスタムイヤフォンで聴けるような繊細な音です。それがヘッドフォンならではの音圧になって襲ってくる感覚です。
能率はやや低いですがDAPで十分鳴らせるくらいです。SP1000だと120前後で普通の録音は音量は取れます。
iQube V5のように優秀な駆動力を持つアンプだと音の重さを実感できます。重みのある低音から突き抜けるように伸びる中高域までワイドレンジ感をも堪能できます。全域にわたってシャープで引き締まりタイトな音です。

ハイエンドクラスの開放型ヘッドホン(ポータブルでない)と比べても、音の広さは譲っても解像力や音再現では譲らないですね。メーカーによってはフラッグシップ並みと言ってよいレベルだと思います。

HD800とケーブルを実際に変えて据え置きのヘッドフォンアンプGEEK PULSEで比較してみると、CASCADEのアグレッシブな性格はケーブルにもよるようで、HD800の標準ケーブルをCASCADEにリケーブルしてみるとCASCADEがより落ち着いて客観的な音になります。これもなかなか魅力的な音で、クラシックなどはこちらのほうが良いかもしれません。ただベースが強めでパワフルなのはCASCADEの個性です。ケーブル自体のクリアさとか解像力はほぼ同じくらいかALOのほうが少し良いくらいだと思います(HD800の標準ケーブルもなかなか良いのですが)。ただ個性の点からはHD800にはHD800の標準ケーブルが良いとは思います。
次にHD800にCASCADEのケーブルをつけて同じケーブルでCASCADEと音質を比較してみると、能率の点でまず大きな差がありますし(HD800がかなり低い)、開放型と密閉型の違い、周波数特性のフラットさなどで個性の差が強いので比較しにくいところですが音質レベル的にはそう変わらないくらいだと思います。
いままでDJタイプとか、密閉型のポータブルというと音質的には初級モデルから普及モデルの並くらいというものばかりであったので、フラッグシップくらいの音質を持ったCASCADEは注目に値するでしょう。

ちなみに、据え置きヘッドフォンの標準ケーブルの長さが3mというのはスピーカーオーディオのCDプレーヤーなどにつないでリスニングポジションで聴いていたときの長さなので、いまみたいにデスクトップにDACを置いてつなぐ場合などは据え置きでも1.5m程度でも十分だと思います。

* ダンパーについて

ダンパーを貼る個所は左右に2か所ずつあります。下に一か所がはじめから貼ってあり、これは基本的にこのままで使い、上の空いているホールにさらにダンパーを張ると低音を増強できます。
電気的ではなく音響的に低音を足せるというのは気分的にいい感じです。効果はそれほど激しくはないので微妙なチューニングに使うと良いと思います。

* まとめ

端的に言ってこれは10年くらいの間、私がいままで欲しかったものです。このヘッドフォン世界に入りたてで、HD25を気に入り、海外通販をしてまでリケーブルしていたあの時の感覚が蘇ってきた感もあります。
私がこのブログを始めたころに使っていたものは、イヤフォンのER4、E5、それとヘッドフォンのHD25です。イヤフォンは長足な進歩を遂げ、数え切れないほどのモデルを使用してきました。しかしポータブルのヘッドフォンはEdition8があって、T5pがありましたが、はじめに感じていたHD25を気にいっていた感覚はあまり刷新がなされなかったように思います。わたしがHD25にリケーブルしていってHD25-13まで入手して実現したかったこと、それはこのCASCADEだったように思います。いままでこれがほしかったんです。

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イヤフォンは激戦区だけどポータブルヘッドホンではあまりライバルがありません。音質的にライバルになりうるのはEdition8系とかT5pくらいでしょう。Campfire以外のユーザーも、ハイエンドイヤフォン並みの解像度をヘッドホンで体験したい人は試してみてください。

名前のCASCADEとはCampfire Audioのあるオレゴン近くのカスケード山脈(Cascade Range)とカスケード滝(多段滝)を意味しています。いままでCampfire Audioのイヤフォンでは宇宙の星々の名前を取ってきましたが、ヘッドフォンでは地上の自然の名称を使うようです。これもキャンプファイアらしい名前ではありますね。新しい分野への意気込みがここからも感じ取れます。
Campfire Audioがはじめてのヘッドフォンでポータブル(クローズ型でコンパクト)を開発したのは日本市場を意識したとKenさんも語っています。また音のチューニングも日本市場を意識したということです。開発には3年をかけています。

イヤフォンだとこの迫力と音の重み、音圧は得られないので、CASCADEの音はちょっとクセになります。優秀なイヤフォンに慣れると、ヘッドホンを持ち出すのはおっくうになるけれど、CASCADEはそれを押して持ち出したくなります。音に酔ってあまり外したくない感じですね。
遮音性が高く、ハイエンドなみの解像力、畳める、手が届く価格、ドラムやパーカッションの打撃感、アタック、インパクトが重くて鋭く深い、イヤフォンでは得られない気持ち良さ、それがCASCADEです。
posted by ささき at 12:38| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月11日

HiFiMan RE2000とRE800レビュー

HiFiMan RE2000とRE800はダイナミックドライバーを採用したイヤフォンで、
特徴はHiFimanの新世代イヤフォンでは新しい技術が採用されています。
そのひとつはトポロジーダイヤフラム(幾何学的振動版)です。

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RE2000

ダイナミックドライバーにはBAにはない良い特徴もありますが、問題点も抱えています。そのひとつは分割振動と言う現象で、ダイヤフラムの素材に伝搬特性があるため、振動が表面の場所によって異なってしまうものです。簡単に言うと(振動の)中心に比べて端が物性の関係でたわんでしまいます。これは周波数特性を劣化させて歪を生みます。これはスピーカーではツィーターでよく言及される問題です。ヘッドフォンでは平面型の利点としても紹介されます。

トポロジーダイヤフラムとは、「異なるナノ素材は構造が違い、特性も違う」という点から着目されたもので、ダイヤ不ラムの表面に特殊なメッキを施したもので、そのコーティングは幾何学模様になっています。この幾何学模様の形状、素材、厚さを変化させることで音の周波数特性の調整が可能となります。

トポロジーダイヤフラムは、「異なるナノ素材は構造が違い、特性も違う」という発想からヒントを得て開発したもので、ダイヤフラムの異なる表面構造の特性を適切に調整することで、ワイドで滑らかなサウンドを実現したということです。

これによって、ダイヤフラムの分割振動による歪を大幅に低減させることができるということです。これはRE800とRE2000の共通特徴となります。

試聴には主にSP1000やAK380を使用した。両方とも能率はやや低めですがデジタルプレーヤーで駆動できないほどではない。

* RE800

RE800は筐体がコンパクトで耳にすぽっと収まる感じです。わりと耳の奥まで入る感じです。ケーブルは交換できないんですが、プラグはかなりがっちりしたもので、見た目にも線材はマニアックでよく思えます。

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音質レベルは端的にこのクラスではかなり良い方だと思います。楽器音は少し細身の音でシャープでゆるみが少なく、トランジェントが良いので歯切れ感と音のスピード感が高いのが特徴です。ヴォーカルの明瞭感も高く、発音ははっきりと聴こえます。すっきりとした音で肉厚感は控えめと感じられます。この辺が後で書くRE2000との大きな違いです。

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高音域はかなり上に伸びる感じで、シャープ傾向なのでやや高域はきつくなりがちではあるのでフォームチップを使うのもよいと思います。コンプライのT400がM/Lと付属しています。
フォームを使うと低域もかなり出るので、高域が上に伸びてもあまり腰高感がなく、ワイドレンジに聴こえます。
かなり音性能は高いが少し高域が強めなので、イヤチップをいろいろと変えてみると音質の高さを引き出せると思います。個人的にはスピンフィットが良いかと思いました。

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音の相性としてはAK380でも使えるくらいに音質は高いけれども、意外とiPhone直でも音は合うので、iPhone直で高音質に聞きたいという人にもお勧めしたいですね。

* RE2000

ボックスにはさまざまなイヤチップが付属してきますが、できればシングルフランジタイプのサイズのバリエーションがあればよかったと思います。またフォームチップもあったほうが良いと思います。ここではトリプルフランジを使用しました。このトリプルフランジはなかなかに使いやすいと思います。

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RE2000は24kゴールドメッキを施した真鍮製ハウジングが徳地陽で、わりと大きめの筐体ですがうまく設計されていて、耳の座りは悪くありません。

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RE2000は全体の音のバランスの良さと、自然な鳴りの良さに感じ入ります。たっぷりした低域を基調にした音の余裕感もなかなかに良いと思います。
中高域のバロックバイオリンはきつすぎないが鮮明で、豊かな倍音も感じられ高級イヤフォンで聴いている感じは十分に味わえます。
低音域は量感は十分にあり、上質な低音で深みを感じられます。ダイナミックらしく音全体を下支えしているような低域の出方です。このおかけでスケール感もありますね。RE2000のポイントの一つは低域の出方かと思います。たっぷりとしていますが、低音が張り出している感じではなく、ヴォーカルがマスクされている感じはありません。

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RE800と比べた場合の差はRE800は透明感とかシャープさ重視で中高域より、RE2000はより音の豊かさ・解像感重視で中低域よりというところです。RE2000と比べるとRE800は細身で薄めの音に感じられます。

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RE2000は自然な音で、音の豊かさ、解像力に優れたイヤフォンだと思います。おそらく自然な感じの中高域はトポロジーダイアフラムが効いているのではないかと思いますね。SP1000SSは先鋭すぎてときとしてシャープさが耳についてしまうこともありますが、RE2000だとそうした点で相性の良さを感じさせます。
ダイナミックドライバーで中高域で音の荒さがこれだけ少なく端正ですっきりとしているのは特筆ものと言ってもよいかもしれません。もしかすると突出しすぎない低域もトポロジーダイアフラムの効果かもしれないですね。

*まとめ

RE800とRE2000は単にフラッグシップと普及機という関係だけではなく、RE800はコンパクトで中高域を重点にシャープでタイトだがやや細み、RE2000はやや大柄な筐体で中低域を重点に豊かで自然な解像感の高さを基調としています。
端的にいえばやはりRE2000のほうがフラッグシップらしく高級感のある音ですが、好みの部分もあると思います。2017年11月24日(金)〜2017年12月28日(木)まではキャンペーンでRE2000とRE800は安くなっているそうなので、お店で聴き比べてみてください。
posted by ささき at 17:42| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月06日

Chord Polyのインプレと使いこなしについて

Chord Mojoをネットワーク対応させるモジュールのPolyがいよいよ日本でも発売されます。
私は先行して少し使っていましたが、音質や使い勝手でMojoが生まれ変わった感じです。

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* Poly + Mojoの音質と使い勝手

まずスマホとの親和性が良いのが感心します。Polyでは機能よりもやることベースで考えたほうがよいと思いますが、たとえばわたしは朝にストリーミングでBandcampの新作の"エアチェック"をします。たいていBTイヤフォンでやっていましたが、PolyならAirPlayでiPhoneのストリーミング音楽をMojoに飛ばして良い音で聴くことができます。
エアチェックが終わると手持ちの曲をデジタルプレーヤーで聴いていましたが、それは手持ち曲をMicroSDに入れてPolyのMPD機能でiPhoneからケーブルレスで操作してMojoで聴くことができます。AKプレーヤーに入れていたMicroSDがそのまま使えました。
さらにはAKプレーヤーの中の曲をDLNAサーバーに指定して、Polyをレンダラーにして聴くことができます。操作はiPhoneでできます。
家に帰ればRoonを立ち上げて、家のPCのRoonライブラリの音楽をMojoで聴くことができます。

このように高い利便性もPolyの魅力ですが、Polyではその音質に驚くことでしょう。
いままでMoJoで聴いた中で一番良い音で、音像が引き締まって、音が整っています。シャープで特に低音域が緩みないのはジッターも少ないあかしだと思いますし、Mojoが本来性能を発揮してイヤフォンを駆動してる感もあります。Polyのポイントはハードの作り込みがラズパイ流用みたいなせこいものでなく、航空宇宙レベルの基板実装とかハードとソフトの作り込みがすごいことです。専用トランスポートって言ってよいレベルだと思います。
そこはChordの矜持だと思うし、これがほんとうのMojoの音かと思いますね。

* Poly + Mojoの使い方

一方でPolyは慣れるとスマホとの組み合わせでとても便利に使えますが、とっかかり分かりにくい点があるので、少し私なりに解説したいと思います。個人的に見つけたことを書いてるので、マニュアルと異なる点があってもこの記事をもとに代理店や販売店さんには問い合わせないでください。
ちなみに書いている時点のPolyの最新ファームは1.0.6(2017/12/6現在)です。スマートフォンはiPhone XにiOS11を使用しています。
設定はGoFigure設定アプリを使わない場合の方法です(まだGoFigureは無いようです)。

1. 動作モードと初期設定

まずPolyには動作モードがあります。
初期設定を行うアクセスモード、外部ネットワークにつなぐネットワークモード、Polyがネットワークをホストするホットスポットモードです。
この遷移はConfigという孔を添付のピンでつつくことで行われます。つつき方は下記の二通りのようです。(マニュアルには何秒押すと書いてますが、下記の方が確実に思えます)

1-1 ピンでconfigを突く、"モードイズ..."とモード案内音声が聞こえたらピン離す → 現在のモードの確認とipアドレスの確認。音声が流れます。

1-2 ピンでconfigを突く、"モードイズ..."とモード案内音声が聞こえても無視してピン押し続ける、"エンタリングxxxモード"と聞こえたらピン離す → モードの遷移が行われます。

Polyを買ったらまずアクセスモードに入ってください。(1-2)の手順でイヤホンつけてると"エンタリング・アクセスモード"と聴こえます。またはP-Statusが青と緑の交互点滅であればアクセスモードです。
iPhoneのWifi設定でPolyのローカルネット(Poly-xxx)に入ると自動で設定ページが出てきますが、出てこないときはブラウザでpoly.audioと入力してください。
ファイル 2017-12-06 20 49 46.png
マニュアルを参照してネットワーク情報など入力します。
SSIDは自分のWiFiルーターのSSIDとパスワードを入力します。テザリング時はiPhoneなら「設定」→「一般」→「情報」で「名前」がSSID、インターネット共有のところにパスワードが書いてあります。
ネットワークは複数登録できます。一番電波強度の高いネットに自動的に入るようです。
ここではbitperfect modeを選択して、reboot on saveも選んだ方が良いかもしれません。

またPolyの名前もここで入力しますのでBTのみ使う場合でもアクセスモードには入る必要があります。たとえば"MyPoly"はPolyが他から見える名前です。

2. Polyを使う前に知っておいた方が良いこと

M.StatusはMojoのステータス、P.StatusはPolyのステータス。

Polyではひとつのサービス(DLNAやAirPlay)が出力を抑えているときは他のサービスに自動で切り替わりません。
たとえばMPD使おうとして音がでなければAirPlay/BT接続を確認。不具合があるときはコントロールセンターからネットワーク出力先を見て切る。10秒ほど停止して待つか、使っていたアプリを終了させてください。

ボリュームはサービス機能に依存します。AirPlayならiPhoneボリュームもMojoボリュームも効きます。MPDではMojoボリュームのみです。

基本Polyの電源スイッチはなくMojoにつなぐとオン。オフも連動してるが、PolyはコンピュータなのでMojoと違ってすぐに落ちないから少し長く点灯します。

店頭デモの時はまずBTで試し、AirPlayやSDカード再生したければ、ホットスポットモードではいると自分の設定を残さなくて済むと思います。

なおDLNAやMPDなどは対応するすべてのアプリの動作が保障されているわけではないので、下記の代理店さんの互換性リストを参照してください。
http://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2094.php#3

3. Polyの使い方

Polyでは機能よりもやることベースで考えたほうがよいと思います

iPhoneでストリーミングや内蔵楽曲をPoly + Mojoで聞きたい。
→ Bluetooth - 設定不要で手軽
→ WiFiでAirPlay - iPhoneではAirPlayの方が音が良い

AndroidやAKプレーヤーから使いたい
→ Bluetooth

手持ちのFLACやWAV音源を使いたい。
→ MicroSDに格納してWiFiでMPD
→ WiFiでDLNA(uPnP)

他のAKプレーヤーなどDLNA/uPnP対応機器とつなげたい。
→ WiFiでDLNA

家でDLNAサーバーの音源を聴きたい
→ WiFiでDLNA

家でRoonライブラリの音源を聴きたい
→ WiFiでRoon


3-1. Bluetoothの使い方

PolyではBT優先で常にペアリングモードになっています。
Bluetooth設定はiPhoneのBT設定でMyPolyを見つけてください。

WiFi接続に不具合が出たらBT設定を切ってみてください。
BTの場合は初期設定は不要ですが、MyPolyなど名前は入れたほうがよいです。


3-2. WiFiの使い方

3-2-1. WiFiルータかテザリングがある場合は動作モードでネットワークモードを選んでください

まずはじめに1で書いた初期設定をしてください。ネットワーク設定は初めだけ。次からは電源オンでネットワークモードになるはず。

* AirPlay
ipアドレス自動取得なのですぐ使えます。
ファイル 2017-12-06 20 50 44.png
BluetoothとAirPlayの切り替えはiOS11ならコントロールセンターの音楽再生の右上のワイヤレスアイコンをクリックします。(BTとAirPlayの聞き比べとかできます)

* MPD (SDカード再生)
これはPolyに内蔵するMPDというサービスでMicroSDカードの中身の楽曲を再生する機能です。操作にはMPDクライアントというアプリが必要です。MicroSDはAK70で使ってたものがそのまま使えました。AKユーザーはSDカードのフォーマットをあまり気にしないで良いかと思う。
MPDクライアントですが、iPhoneではそれまで定番のMPoDがなくなったので、MPDluxeやSoundirokアプリが使えます。Soundirokは有料ですが、高機能で使いやすいです。Roonっぽいアーティスト情報表示もなかなか良いですね。MPDluxeは無料でシンプルな古風なMPDクライアントです。下記はSoundirok。
ファイル 2017-12-06 21 50 20.png
問題はPolyのipアドレスですが、Polyは自分のipアドレスを喋ります(MPDのため)。ただ聴き取りづらいと思うので、聞き取れなかったらfingアプリで見つけるのが簡単です。
2回目以降もネット内の構成が変わらなければたぶん同じアドレスを使えると思います(ただし保証できない)。
ポートは6600で、パスワードなしです。

再生では5.6M DFFもオーケーです。なお先に書いたようにMPD再生をしてるときにAirPlayに切り替えようとしてもできないので、いったんMPD再生を止めてからAirPlayに切り替えます。

* DLNA

8 PlayerのようなDLNAアプリでDLNAサーバーとレンダラーでそれぞれPolyを指定します。
ファイル 2017-12-06 21 50 35.png
ここですごいのはDLNAサーバーには(例えば)AK380を指定し、レンダラーにPolyを指定することでAK380のライブラリをMojoで出力できることです。音質もとても良いです。
これはまるでAK380をMojoにUSBでつなぐかわりにWIFIでつないでアンプに使っているのと同じですね。もちろんAK380だけでなく、第二世代以降のAK connnectが使えるAKプレーヤーなら良いので、今は使ってないプレーヤーをファイルサーバーというかNASがわりに使うことができます。

* Roon

家ではRoonのライブラリをMojoで再生できます。つまりPolyを装着することでMojoがRoonReadyデバイスとなります。Roonで使うためにはアクセスモードにして設定でRoonを選びます。
polymojo.png  roonpoly2.png
その後にPolyをRoonのネットワークゾーンとして設定します。Roonアプリでリモートでも操作ができます。ここですごいのはRoon側で高精度のアップサンプリングをしてMojoに再生できるということです。

3-2-2. WiFiルータかテザリングの両方ないときはホットスポットモードを使います

アクセスモード同様にiPhoneのWiFi設定からPloy-xxxのネットにはいります。keep in hotspot選択します。
設定ページをキャンセルで閉じて「インターネットに接続せずに使用」を選びます。

3-2-1の場合とipアドレスはかわります、192.168.1.1になると思います。

4. アップデートについて

Polyはファームウェアのアップデートが可能です。やり方はちょっと変わっていて20-30分ネットワークモードでいるとダウンロードして一度切って立ち上げて10-20分経ったら、また切って立ち上げるというものです。

ここまででもPolyのできることのあまりの多様さに驚くと思いますが、PolyはアップグレーダブルでTidalも対応予定にはいっていますのでなかなかに楽しみです。
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2017年10月31日

イントラ・コンカ型の人気イヤフォン、水月雨(MoonDrop)のLiebesleid

イヤフォンというといまでは耳穴に挿入するカナルタイプが主流だけれども、なかにはこのタイプが苦手という人もいます。
そこでイントラ・コンカ(インナー・イヤー)と呼ばれるいわゆる普通のイヤフォンも一定の人気があるのですが、最近人気なのは水月雨(MoonDrop)というメーカーの日本限定モデル、Liebesleidです。フジヤさんの専売で税込み26,670円です。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail144504.html

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なかなか良いお値段ですが、実物を見ると作りの良さに納得します。
過去にもソニーのe888とかYuin PK1など、こうした普通のイヤフォンで音が良いというものがありましたが、MoonDropは作りの良さでまず異なります。
真鍮削り出しに電気メッキという仕上がりでかなりモノ感は高いですね。ダイナミック型ですが、1T以上という強力な磁束密度で20kHzくらいまでフラットに近く、45kHzで-35dBという性能を得ているということです。

IMG_9166[1].jpg  IMG_9173[1].jpg

ボックスは日本市場を意識したのか、影響されたのかアニメチックなイラストです。イヤフォンはずっしりとした重さで、パッケージのなかでぶつからないようにビニールパックに入っています。
ボディは真鍮削り出しで重く、メッキが美しい仕上がりです。

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イヤフォンはこの手にありがちなほど能率が低いわけではないのでiPhoneでも十分音は取れると思います。
音質レベルはかなり高く、こうしたイヤフォンでは私はPK1を思い出しますね。PK1はシャープでその進化型だったOK1ではさらにきつさを感じるほど先鋭だったんですが、このLiebesleidはそれとはまた異なって、刺激的なシャープさは避けながらもとても鮮明でクリア、かつ響きが良く滑らかな音を作り出しています。
ベルの音も整っていて高域の出方も優れていると思うし、倍音再生も優れているのか音に深みと高級感を感じます。楽器が立体的に重なり合い、音の立体感も高いですね。かなり上質な音再現ができていると思います。
ただこのタイプは超低域は漏れるので、あまりカナル型と比べた周波数的にどうこう言う比較をしても仕方ないとは思います。

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高性能ながら刺激成分はわりと少なめなので長時間聴いていられると思います。ただロック・ポップできつい録音のものだとやはり刺激的ではありますが、これらはもっと低性能のオーディオ機器をターゲットにしてきつめ強めに録音しているので仕方ないところではあります。

普通イヤフォンとかポータブルオーディオは電車とか外で使うものですが、このイントラコンカ型のイヤフォンは音漏れもするし、遮音性もありません。ちょっとポータブルには不向きに思えますが、実のところポータブルユーザーはホームオーディオを持たずに良いポータブルオーディオ機材を持っているので、家でもポータブルで聴きたい人も多いそうです。
そうしたときに家でもカナル型で耳穴に差し込むものだと疲労感や不快感があるので、こうした耳において開放的に楽しむタイプは人気があるようです。オープンで家の人の声が聞こえるのもプラスなんでしょう。

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夜にストリーミング音源の新譜のチェックなどをしたくてもデスクトップスピーカーでも音が大きい、というときなど重宝するでしょう。
ヘッドフォンだと長時間かけていると重くて蒸せるという場合にもよいですね。DragonFlyのような手軽なUSB DACやAK70のDACモードを使用してPCに接続して聴いてみるのもまた良いと思います。

週末のヘッドフォン祭でぜひ試聴してみてください。
試聴ブースは14Fロビー(3)のNGS(農義社)さんです。また13Fのフジヤさんブースで特価販売の予定だそうです。
posted by ささき at 21:58| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月27日

Campfire Audioの青い新星Polarisレビュー

POLARIS(ポラリス)は好評のCampfire Audioの新製品で、BAとダイナミックのハイブリッドタイプのユニバーサルイヤフォンです。青い筺体が特徴的ですね。価格は希望小売価格(税別):67,800円ということで、発売は9月29日より開始されます。

IMG_7841[1].jpg  IMG_7831[1].jpg

* 特徴

1. チャンバー技術の全面的投入

POLARISは1BA(高域)+1ダイナミック(低域)のハイブリッド構成ですが、特徴的なのはいずれのドライバーもチャンバー(空気室/音響空間)を設けているということです。
まず高音域側のBAドライバーには定評のあるTAEC、つまりチューブレス設計を用いています。これはチューブを排してチューブのあるべき部分にアコースティックチャンバー(音響空間)と呼ばれる空気室を設けるというものです。これが高音域側のチャンバーです。

ファイル 2017-09-27 21 21 59.png

また低音域側には8.5mmのダイナミックドライバーが採用されていますが、これも新技術「Polarity Tuned Chamber」と呼ばれる空気室、つまりチャンバーで覆っています。これはダイナミック型ドライバーをスピーカーで例えるところの「キャビネット」のように機能するチャンバー(空気室)に配置することで、これまで以上にドライバーの音響特性を制御し、ドライバー本来のパフォーマンスを引き出す為の新技術ということです。またこのチャンバーによりベント穴へのフロー制御も行われているようです。このチャンバーは3Dプリントによって製作されているということです。
なんとなくベント穴がバスレフポートで、チャンバーがスピーカー内空間というたとえと言えるのでしょうか。
なおダイナミックドライバーはベリリウムではなく新設計の別素材のようです。

2. 3Dプリントを駆使

最新の3Dプリンタ技術もふんだんに投入され、チャンバー技術という点ではその複雑な形状を製作するために3Dプリンタが駆使されています。

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またイヤチップ部分(イヤフォンの先端部)にはプラスチックが使われていて、半透明になっていますが、これは3Dプリンタによって作られたもので、この複雑な内部形状は金属とかモールドでは作ることができないということです。これはつまりイヤチップ部分がTAEC(チャンバー)と一体になっているということのようです。

3. 新しい筺体の採用

筺体はAndromedaのような無骨なデザインですが、POLARISには筐体に新しいセラミックコーティングを採用しているということです。Cerakote(セラコート - セラミック・パウダー・コート)と呼ばれるこのセラミックコーティングを行うことで、耐摩耗性、耐食性、耐薬品性、耐衝撃性、硬度などの物理的性能を向上させているとのこと。

POLARIS PT02.jpg

コートの中はアルミ切削によってボディが作られています。

4. 新しいケーブルの採用

POLARISにはALO品質の新しい特製イヤフォンケーブルが標準でついてきます。「Litz Wire Earphone Cable」というケーブルですが、通常のLitz Wire Earphone Cableは外観がシルバーですが、このPOLARISに付属するLitz Wire Earphone Cableは外観がブラックです。これは本体のカラーリングに合わせてあつらえたものです。

POLARIS PT05.jpg

導体材料も同様にPolarisの音にあわせて変更しており、通常の銀メッキ銅導体のLitz Wire Earphone Cableではなく、銀メッキを施していない「純銅導体」の線材を採用しています。これはPOLARISのチューニング過程において、POLARISに搭載している8.5mmのダイナミック型ドライバーとこの純銅導体ケーブルの相性が非常に良かったため、特別にこのLitz Wire Earphone Cableを採用することにしたからということです。

* インプレッション

パッケージングはいままでのCampfire Audioを踏襲したものです。

IMG_7818[1].jpg  IMG_7821[1].jpg  IMG_7824[1].jpg

外観は名器Andoromedaを思わせるような武骨なものですが、青いカラーがとても美しく映えて印象的です。またCampfire AudioというとALOの流れをくむケーブルが特徴的ですが、また標準ケーブルが変わって黒になったことがわかります。それとイヤチップ(イヤフォンの先端)部分が半透明でプラスチック素材になったことも特徴的です。

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POLARISというモデルが出るというのを海外のショウの情報で聴いたときは、ドライバー2基でハイブリットということで、Dradoの廉価版かと思っていました。
それで少し前にKenさんにこれを送ってもらったんですが、届いて箱を開けて聞いてみてあまりに音が良いのでちょっとびっくりするくらい音が良く、思っていた音とだいぶ違うので驚きました。
まず音の個性はDRADOとはかなり違います。どう違うかというと、DRADOでは高域のシャープなBAと低域の太いダイナミックの音がかい離していました。これはこれでハイブリッドらしい個性ではあるのですが、POLARISでは継ぎ目がわかりにくいくらいに高い音と低い音のシームレス感があります。これだけでもDRADOの流れとは違うのがわかります。

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また聴き進めてみるといままでのCampfire Audioの音とも異なるように思えます。ただし音が滑らかな点はKenさんのポリシーを残していると思います。

音質的にPOLARISで印象的なのは音の透明感の高さ、圧倒的な音の解像力、再現性の高さです。これはSP1000SSで聴くと圧巻の音質を引き出してくれます。音はシャープで音の歯切れが良く、ドラムスの打撃感やベースのピチカートが気持ち良く感じられます。ロックを聴いてもかっこよさに震えてきますね。
SP1000SSだと立体感が際立って良いのも特徴的で、ジャズヴォーカルなど録音が良いものではリアルさが半端なく感じられます。また客観的な音ではなく、耳に近めでアグレッシブな音再現でライブの熱さも感じられます。
ただSP1000SSだと音源によってはきついこともあり、そういう場合にはプロEQを適用すると良いと思いますね。SP1000CPではCPの音の深みや音のきれいさを堪能できます。

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ただPolarisではSP1000SSの音のすごみを感じることができるという点で、個人的にはSP1000SSを使いたくなります。ナレーション音声を聞くと、たくさんの音が闇から浮き上がってくるようにものすごく情報量が豊富でハスキーな声の再現性が特に優れています。

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透明感が高いから細かい音が浮き出てくるようで、まさにSP1000のハイエンドDACを堪能できるでしょう。
しかしSP1000のような圧倒的な情報量の怪物とタメで渡り合えるというのは実売67,800円という価格を考えると驚きます。この価格でSP1000のメインイヤフォンとして使うことができ、SP1000の性能を十二分に引き出せますよ、と言えるものは少ないと思います。

* まとめ

Polarisは3Dプリントを駆使して、チャンバーで最適な空気の流れを作り出して高音質を生んでいます。
音的には高い透明感、解像力とワイドレンジなど基本性能の高さが特徴的で、それと独特の空気感と滑らかな音楽性が魅力的です。

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この価格としては特筆すべき高い音質を持っていると思います。特にSP1000を持っている人に勧めます、とこの価格帯で言えるのは驚きます。
Campfire AudioのKenさんもPolarisの価格は戦略的な設定で、より多くの人にこの音を聴いてほしいということから設定したそうです。また特にアンプを必要とせずにDAPから直に音を良く鳴らせるように設計したとも言います。

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KenさんはPOLARISについて、自分がこれまで学んできたことに総決算である、というようにも語ってくれました。
POLARISとは北極星の意味ですが、北極星が天に動かぬ道標として人々に道を示しているのと同様に、このCampfire AudioのPOLARISも今後のイヤフォンの道標、マイルストーンになるものかもしれません。

posted by ささき at 21:35| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月16日

64 Audioの新機軸ハイエンドIEM、tia Fourteレビュー

64 AUDIOは2010年創業の新世代のアメリカのカスタムイヤフォンのメーカーですが、いまではカスタムイヤフォンの中堅メーカーといえるでしょう。

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当初の会社の理念はカスタムイヤフォンを手ごろな価格で提供するというものだったのですが、最近ではカスタムを取り巻く環境も変わり、ハイクラスなメーカーを目指していると言うことです。後でまた触れますが、本レビューで紹介するtia Fourté(ティア・フォルテ)の開発もその差別化戦略の一環と言えるでしょう。

ちなみに本稿ではTiaやAPEX、CenterDriveなどの基本的な解説は省きます(うちのサイトで検索すると出てきます)。代理店のミックスウエーブの製品ページは下記リンクです。
http://www.mixwave.co.jp/dcms_plusdb/index.php/item?category=Consumer+AUDIO&cell002=64+AUDIO&cell003=tia+Fourt%26%23233%3B&id=143

特徴

tia Fourteはドライバー数4つで、ダイナミックとBAのハイブリッドIEMです。
私もそうだけれども、たぶんtia Fourteに対してのまず抱く疑問は、「A18/U18が高いのは18個ものドライバーが入っているのだからそれは分かる、しかし4つしかドライバーがないFourteがなぜこんなに高価なのか、」ということではないでしょうか。

ファイル 2017-08-14 22 38 02.jpeg

その答えというのはメーカーに聞いてみると、簡単に言うと内部の音響設計がいままでのイヤフォンとは大きく異なり、それに多くの開発費が費やされ、工作精度がとても精密なものであり、製造にもコストがかかっているからということのようです。

A18/U18ではtiaは高域ドライバーのみにtia、つまり不要な共鳴を取って透明感を上げるアコースティック・チェンバー(音響室)が適用されています。Tia(Tubeless in-ear Audio)とはチューブレスのことですが、チューブ自体が問題というよりも、むしろチューブに通すためにBAユニットの音の出る穴が小さいのに無理やりつめるというのが問題ということのようです。
一方でtia Fourteの"tia system"ではHighとMid/Highユニットにtiaの名称が冠されています。さらに内部図解を見ると、4つのドライバーすべてにモールド(区画割り)が施されています。Campfire Audioのアコースティック・チェンバーと異なり、64 Audioのモールドはドライバー全体を包み込むようなものだということです。これは64 Audioの採用するBAドライバーがオープンBAということも関係しているとのこと。(またこれで特許回避もできると思います)
Highドライバーのアコースティック・チェンバーはステム自身でもあり、ファイナルチェンバーと呼ばれます。またダイナミックドライバーもすっぽりとアコースティック・チェンバーに入っていますが、これはより空気の容積が必要なためということです(AZLAの大柄のシェルみたいなものでしょうか?)。

ファイル 2017-08-14 22 37 36.jpeg  
tia Fourteのアコースティック・チェンバー(モールド)の配置

逆に言うと、そのモールドスペースを十分に確保するために4つしかドライバーがないということになりますね。またこの設計のゆえにtia Fourteではユニバーサルのみで、カスタムは作れないそうです。
tia Fourteではこのようにドライバーがそれぞれ専用の気室に入っていて、エアフローを調整しているというわけです。64 Audioではシングルボア(音の出る孔)を特徴としてますが、音は全て最後はファイナルチェンバーであるシングルボアに直結するチェンバーに集められます。

ファイル 2017-08-14 22 37 49.jpeg
Tia オープンBAドライバー

またFourteに採用されている技術のうちでパッシブラジエーターとは低域と中音域ドライバーと相互作用する振動版(ダミーコーン?)で、ファイナルチェンバーに送ってHigh(Tia)とHigh/Mid(Tia)と音を合流させるために使われているということです。これで金属シェルの不要なレゾナンスを減らすことができるということ。

ファイル 2017-08-14 22 37 26.jpeg
internal APEXの配置

このパッシブラジエーターを効率的に動作させるためにAPEXモジュールが使われています。(適切にベントを促しているようです)
tia ForteではAPEXはフェイスプレートに露出してなく、M20ユニット相当の機構が内蔵されています。これをinternal APEXと呼びます(上図参照)。これはパッシブラジエーターを機能させるためにフェイスプレートに突出物が設けられないからだそうです。これはTia Forteの底面にあるベント穴に通じているようです。
ちなみにTia技術は正圧(Front Pressure)に関係しています。ですのでこのベント穴は通常の背圧を逃がすものとは異なるかもしれません。その辺はよくわかりませんが、オープンBAということも絡んでの関係があるのかもしれません。

ファイル 2017-08-14 22 41 29.jpeg
tia Fourteのベント穴

筐体はアルミニウムの無垢材を機械加工し造り上げ、 フェイスプレートには耐久性が高いパティナ仕上げ(緑青仕上げ)の銅を採用しています。

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このようにTia Forteではとても複雑でかつてないような入念で精密なエアフロー設計がなされているのが分かると思います。これらのことからtia Fourteが高価な理由、そしてtia Fourteではカスタムは作れないという理由もわかってもらえるのではないかと思います。

音質

音の全体に感じられるのは豊かさと倍音のような高級感のある厚みのある豊かな音です。痩せて薄い音の対極にあるような上質な音です。
またこれも独特の空間表現があって、ちょっとUMのMAVISIIに似た感じがあるように思いました。オープン型BAドライバーというのも関係しているかもしれません。音の広がるホールのように聴こえます。
中域から高域は透明感の高い気持ちの良い音ですが、低価格機のような薄手のものではなく豊かな倍音のような厚みが聴こえます。低域もバランスよく、ダイナミックらしい重みのある音を生かしています。

十分な高域と低域がありますが、18ドライバー機のようにワイドレンジ方向には欲張らずに中域を中心に、音の質感に焦点を当ててうまくまとめた設計が感じられます。

ファイル 2017-08-13 10 54 56.jpg

tia FourteはAK380よりもSP1000のように音の質感が高いとそれをストレートに再現してくれます。SP1000はAk380よりもさらに一段以上音質が高くなっています。そこはいままでのスピーカーのハイエンドオーディオのような細かな音再現の品質でもあるわけですが、tia Fourteはそうした領域にも踏み込んで品質の向上を味わわせてくれます。むしろtia FourteはAK380よりもSP1000で能力を発揮するようにも思えます。

まとめと考察

U18は少し前に雑誌でレビューを書いた時に試聴したのですが、ワイドレンジで余裕のある音でいかにもドライバー数が多いという感触でしたが、tia Fourteでは一つの音が余裕があり豊かという感じです。
U18とtia Fourteのどちらが好きかと聞かれたら、個人的にはtia Fourteと答えます。どちらが高性能か、と聞かれると答えに窮しますが。
端的にいうと、U18は音の領域全体が進化し、Fourteでは音それ自体が進化したという感じでしょうか。

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つまりA18/U18のような従来の多ドライバー化とは別のベクトルをもって、少ないドライバーのそれぞれの音の効率を最大に引きだしたものがこのtia Fourteということができます。

64 Audioは冒頭にあげたような高級ブランドへの転換にあたって、二つの戦略というか方向性を考えたと思います。ひとつは従来のトレンドのさらなる追求(さらなる多ドライバー化)、そしてもうひとつは従来にない方向性の模索です。前者がA18/U18 Tzarであり、後者がこのtia Fourteに行きついたのでしょう。
64 Audioは地味に良い仕事をしながらも、この業界ではどちらかというと手堅い裏方にいた感じはあります。このtia Fourteで今後ちょっと楽しみなメーカーになりそうだと、ふと思いました。
posted by ささき at 07:36| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月14日

UMの新しいエントリー機、MACBETH II Classicレビュー

MACBETH II ClassicはUMエントリークラスのユニバーサルモデルとして好評を博したMACBETHの第2世代モデルです。

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改良点とIIのデザイン

改良点としてはまず筐体サイズを小型化してフィット感を向上し、UMのほこるモールディング技術や新しいファイバー素材を採用した新しいシェルデザインがあげられます。これは3Dプリンターは使わずにカスタムIEMに使用している樹脂を筐体素材として使用し、3人の職人が1つずつ手作業で模様を作っていくというもので、ランダムに混ぜ込まれたファイバーがひとつしかない個体の個性となっています。3Dプリンタのような新技術ではなく、こうしたカスタムイヤフォンのような昔ながらの手作りをしているので、クラシックという命名をしているそうです。

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またサウンドチューニングの再デザインがおこなわれ、ドライバーは前モデルとは異なるものを採用しています。オールジャンルに対応したサウンド・デザインを目指し、描き方は筐体に設けた「ポート・チューニング」やプラチナ塗装の金属製サウンドチューブ(音導管)の採用など、他の第二世代モデル「MAVERICK IIやMAVIS II、MASON II」で実現してきた独特の空間の描き方を応用しているということ。クロスオーバーやドライバーの構成は非公表です。

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このイヤフォンも好評のミックスウエーブ宮永氏によるチューンが施されたモデルです。
MACBETH II Classicのポートチューニングは、低域の量感と音空間を調整するのに使用しているとのこと。低域は減らす方向に、音空間は広くなるように調整しているそうです。ポートは一般的なアンビエントポートと同様の設計になっていますが、アンビエントポートだと外部の音が入ってくるので、アンビエントポートに特殊なフィルターを詰め込み、その問題を防ぎつつ、そのフィルターで低域の量感や音空間のチューニングを行っているということです。

音質

AK380で聞いてみると、高域はきつすぎない程度にシャープで、気持ちよくよく伸びる感じです。
低域は抑えめで上品な感じのベースで、ドラムのパンチも良好で歯切れ感も良いと思います。クリアで帯域バランスもすっきりしているのでヴォーカルも良好に聴くことができます。女性ヴォーカルは特にすっきりと美しく聴くことができるので、JPopやアニソンに向いた感じがします。

ファイル 2017-08-13 10 51 32.jpg

少し細身でコンパクトですが、透明感が高くクリアでよく整ってまとまっている感じです。中高域がよく伸びて低域が抑えめという音バランス自体は少しqdcの2SEを想起しました(音自体は別のものですが)。

まとめ

魅力的でコンパクトなシェルデザイン、良くまとまって高品質なサウンドを持ったイヤフォンで、前のマクベスの延長線とはまた違った意味でUMのエントリー機として人気を博していくと思います。
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2017年07月19日

Bluetoothにメッシュ・ネットワーク機能が追加

Bluetooth LEにメッシュ・ネットワークという新しいネットワーク機能が提唱されています。下記リンクです。
https://www.bluetooth.com/what-is-bluetooth-technology/how-it-works/le-mesh



メッシュネットワークとはどういうものかというと、まずBluetoothは下のように1対1でした(画像は上の動画から)。これは一般的なBTイヤフォンなどです。(1:1)

写真 2017-07-19 6 04 13.jpg

それがBLEでブロードキャスト機能として1対多数に発展しました。これはアップルのiBeaconなどがそうです。(1:n)

写真 2017-07-19 6 04 38.jpg

そしてそのネットワーク・トポロジーが多数:多数に発展したものが、今回のメッシュ・ネットワークです。(n:n)

写真 2017-07-19 6 04 59.jpg

これはIoTを念頭にしていますが、オーディオ機器がIoTを志向していけばいずれは関係するでしょう。
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2017年07月13日

CTMからユニバーサルIEMが発売

カスタムIEMで知られるCTM(Clear Tune Monitors)からユニバーサルIEMが発売されます。国内発売はテックウインドになります。発売は7月19日を予定しています。

IMG_7167[1].jpg IMG_7169[1].jpg IMG_7171[1].jpg
CTM VS2、VS3、VS4

* CTMとVSシリーズについて

CTMはフロリダ州のオーランドを拠点とするカスタムIEMブランドです。
CTMの創設者Cesar Milanoは音楽プロデューサー及びコンサート会場の監督であり、レコーディングやロックミュージシャンを手掛けていました。設計はCastor MilanoがWestoneでいうカール兄弟のようなエンジニアとなっているようです。プロフェッショナルサウンドと装着感、軽量性をコンセプトとしているとのこと。

発売されるのはビンテージ・シリーズというラインナップで、CTMとしては初めてのユニバーサルモデルです。デザインコンセプトが50年代から60年代のアメ車やジュークボックスとなっています。なぜビンテージかというと、その頃はいわばアメリカの黄金時代で音楽も輝いていたのでそのオマージュということです。
ユニバーサルモデルはペイントがない分で没個性的になりがちなので、こうしたコンセプトは面白いと思います。

こちらにCTM ビンテージシリーズの紹介ビデオがあります。(英語)


ビンテージシリーズは4ドライバ、3ドライバ、2ドライバの3ラインナップ、カラーはそれぞれのモデルでダスティ・ブルー、インテンス・レッド、パッション・ピンク、ダースブラックの4色が用意されています。
VS-4は4ドライバ構成で高域×1、中域×2、低域×1の3Wayです。 (価格はオーブンで想定価格は7万円前後)
VS-3は3ドライバ構成で高域×1、中域×1、低域×1の3Wayです。 (価格はオーブンで想定価格は5万9千円前後)
VS-2は2ドライバ構成で高域×1、中域×1の2Wayです。 (価格はオープンで想定価格は4万7千円前後)
BAドライバーはKnowles製で、シリーズの各モデルはそれぞれ個性と特徴があります。

このビンテージシリーズでは音導管にソフトシリコンを採用しています。メタルやプラスチック素材の音導管ではドライバから出て来た音、特に中音域の周波数が音導管内で反響し、素材の音が出てしまいますが、ソフトシリコンを使うことによって音導管内での不要な反響をなくし、素直で暖かな音を得られるということ。これはカスタムインイヤーモニターにおける長年の経験から、人間の耳の中には固い部分や直線がなく、全て柔らかな曲線であることからヒントを得たものということです。
たしかにどのモデルもシャープで鮮明さが高い割にはきつさ・痛さはあまりありません。

* 実機インプレッション

3モデルとも箱が凝っていてデザインが良いですね。ビンテージシリーズということでジュークボックスをモチーフにしてアメリカ製っていう感じです。箱のデザインが一モデルごとに違う点も面白いことで、VS3だけわざわざ横型なのもあまり他ではないですね。箱の横にはイヤフォンの特性や分解図も載っていて、情報的にもよくできたパッケージです。

フォームチップとラバーチップが箱の反対側に付いてるので開ける時に注意してください。またダブルフランジがひとつ付属していて、これはボックスの中パッキンの底にケースと一緒に入っています。
箱から出すと本体もビンテージっぽくアレンジされてて個性的です。雰囲気が昔のアメ車みたいですね。イヤフォン本体ではステムが太くWestoneと好対照です。イヤフォン本体は3機種ともコンパクトで軽量で、装着感も良いです。

音質はAK380で試してみましたが、どのモデルもAK380の性能にもつりあうくらい優秀です。すべてのモデルにおいて共通するのは非常にクリアで見通しの良いサウンドであるということです。
高域はわりと3機種とも似ていて、シャープでクリアです。ただ3機種で上への伸びやかさはちょっと異なります。VS2が一番鋭く、VS3が一番まったりしています。
このように高域はとてもきれいに伸びるイメージですが、仕様上は15.5kHzとか16.5KHz上限と正直に書いてあるところは好感が持てます。いずれにせよ聴覚上はVS2やVS4はハイレゾを標榜するどのイヤフォンとも譲らないような優れた高域特性があると思います。(VS3はやや緩やかです)
スペックを伸ばすために無理してないせいか、あまりきつくなりすぎていないのも良い点です。
中域・低域は3機種で個性が異なります。音の広がりかたも少し異なりますね。

-- VS2 --
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VS2はエージングなしでもはっとするくらいクリアでシャープです。イヤチップはダブルフランジが一番良いです。
かなり解像感が高く、上によく伸びます。それでいてスケール感もあるのに驚きます。2ドライバーイヤフォンも激戦区だけど、音的にはかなりの上位にいきなり食い込む感じですね。端的に言ってかなり良いです。
低域は量は標準的でやや軽めだがよく引き締まったベースラインが聴くことができます。3機種では一番ベースは軽いという感じですね。ただタイトで質のよい低域とは言えますね。

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高域はVS2が3機種で一番伸びてシャープに聴こえる。それでいてそれほどきつさを感じません。透明感も高く、VS2は単なる低価格モデルではなく、シンプルな良さが出てると思います。


-- VS3 --
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VS3とVS4はエージング1日した方が良いです。たぶんクロスオーバーなどのせいでしょう。
VS3は迫力があって、ノリが良いタイプです。VS2よりも厚みが増えて、音楽的な豊かさが重視されています。イヤチップは普通のラバーが好みです。

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低域はより豊かで、かなり量感があります。これは3機種で一番です。多少緩やかな反面でパワフルで、たっぷりとした低域が楽しめます。
少し平面的ではあるけれど、横方向はVS2よりスケール感があります。ロックなどでは音の塊感があって、迫力はありますが、複雑な音楽だとちょっとガチャガチャしやすい傾向はあります。
音再現が分厚く、一番演出的で音楽を楽しく聴けるイヤフォンです。
エレクトロ系とかロックに良いですね。能率は3機種では高めです。


-- VS4 --
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これは一番モニターっぽく、いわゆるプロデューサー向きと言う感じですね。音性能はワイドレンジで、周波数特性も整って3機種のなかで一番高いです。イヤチップはダブルフランジが一番良いです。
シャープ感も高く歯切れも良いですね。低域は量感があるというよりも、タイトで整った感じです。これもクリアさが高いのですが、音に余裕があるためVS2のように痩せたように感じられる点はなく、豊かな音だと思いのます。横だけではなく立体的に音場が広がります。音は濃いめで情報量も高いですね。
高域はやや抑えめで落ち着いた印象を受けますが、VS3よりはシャープで伸びていく感じです。細身になりすぎないで、ヴァイオリンの音色も豊かさが感じられます。

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複雑でもごちゃごちゃした音楽でもきれいに解きほぐして、ガチャガチャしません。それぞれの楽器パートが整理されて聴こえます。
鮮明さに秀でたVS2や分厚さのあるVS3は一芸に秀でたタイプだが、VS4はマルチドライバーの余裕で優等生タイプの音作りです。

* まとめ

音楽の相性で端的に言うと各イヤフォンは次のようになると思います。
VS2は小編成アコースティック、ジャズトリオなど、VS3はロック・ポップ・エレクトロなど、VS4はクラシック向けとも言えますが、合う範囲は広いと思います。VS2、VS3は個性が強いので相性がありますが、VS4はわりとなんにでも合うと思います。

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とても個性的なラインナップであると思います。パッケージやイヤフォンのデザインも個性的ですし、音質もたんなる松竹梅のクラス分けにならずに3機種ともに個性があります。たとえばVS2もたんなる低価格モデルとはちがいますね。低コストゆえのシンプルさを逆に透明感の高さに生かしています。
CTMはカスタムメーカーとして知られていましたが、ユニバーサルでもっとユーザーを獲得するのではないかと感じさせてくれる製品群です。
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2017年07月11日

ユニークなハイブリッド・ドライバーの新鋭ブランド、AZLA(アズラ)レビュー

韓国の新鋭イヤフォンブランド、AZLAがデビューします。国内ではアユートから発売されます。
AZLAは韓国のオーディオ業界で活躍してきたAshully Lee氏が今年立ち上げたブランドで、今回の製品名もブランド名と同じくAZLAとなります。それだけこの初回の製品にこめた思いが強いと言えます。

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AZLA silver

色はLunatic Silver(シルバー)とMeteor Gray(グレイ)の二色があり、透明のシェルの中に見えるドライバーの色とバックカバーの色の違いとなります。価格はオープン(参考直販価格 49,980円税込み)で発売日は調整中ということです。

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AZLA Gray(下)とSilver(上)比較


* 特徴

AZLA(アズラ)とはフランス語のAZUR(天空)とラテン語のLAPIS(石)の「天空のかけら」を意味しているとのことです。ちょっとジブリアニメを連想しますが、これはいままでになかった新しい音の世界を意味しているということで、目指すものは新次元のサウンド、そして聴いて楽しい音を目指して、開放型のようなすっきりとした空間表現と、密閉型のような豊かな低域を両立させることだそうです。
それを実現するため、AZLAには大きな特徴が二つあります。


AZLA テクノロジー イメージ動画

1. BAとダイナミックの同軸ハイブリッドドライバー構成を採用 (BED)

AZLAはBAドライバーとダイナミックドライバーを同軸で組み合わせたハイブリッド構成を採用しています。このためにふたつのドライバーの位相差を減らすことができるとのこと。これはあたかもシングルドライバーのようにふるまえるということで、音場とか立体感で有利になるでしょう。
ドライバーの担当はダイナミックドライバーはフルレンジ的な使用をし、BAドライバーは中高域を担当しているということです。

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BAとダイナミックドライバーの同軸配置

ドライバーはDynamic Motionの協力を得ているということで、ダイナミックドライバーは11mmでダイアフラムの素材は2層素材を特徴としているということです。また同軸の構造についても、磁石でなく振動板に特色があって他メーカーとは異なる独自の特徴があるということです。

2. 中は開放、外は密閉の独自のエアフロー技術 (Infinity sound technology)

イヤフォンはドライバーとシェルの二重構造になっていて、中のドライバーユニットにはダイナミックドライバーを効率よく動かすための空気抜きのベント(ポート)がありますが、透明の外殻(シェル)にはベントがありません。つまりイヤフォンの形式としては密閉型ですが、ドライバーの外に適当な空間があって、そこがチャンバー(空気室)のようになって、ダイナミックドライバーの背圧を適度に逃がして効率が高まるようです。これでクリーンなベースが確保できるということです。

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ハウジング内のエアフローの概念図

この二つの技術によって作られたドライバーをInfinity driverと呼ぶそうです。中のドライバーはアルミの切削加工による2ピース構成で、シェルはUV加工されたポリカーボネイト製です。ポリカーボネイトはイヤフォンに使われる一般的なシェルの材質よりも加工は難しいが、より傷に強く透明度が高くてきれいということで採用したということです。

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イヤフォン構造

また隠れたところでは内部のケーブルも芯の数が多いものを採用しているのがひそかなポイントだそうです。

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AZLA Gray

またメインのドライバー以外でもマニアックなこだわりを見せているところがAZLAのポイントです。
最近では標準ケーブルに高級ケーブルをはじめから添付する例が増えていますが、AZLAでも香港Labkable(ラブケーブル)社製のSilver Galaxy Mix MKIIをベースにしたAZLA専用設計のケーブルが標準でついてきます。これは高純度銀と6N OFCのハイブリッドで、単体で買ったとしてもそれなりの価格になりそうです。2.5mm 4極版もそう遅くない時期に出すということです。

それにポータブルオーディオ界隈で良く使われるDignis製のイヤフォンケースも付属してきます。
ファブリック製のケースは撥水加工のあるコーティングがなされ、内部の仕切りにも工夫があるのがポイントだそうです。

* インプレッション

外観は近未来的なカッコ良さがあり、インナードライバーのアルミとアウターシェルの透明なポリカーボネイトが良い組み合わせです。標準でリケーブルされたような高級ケーブルが付いてくるのも良いですね。
装着感は良好で、シェルが耳にすぽっと入るのもきちんと固定されている感じがあります。

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AZLA silver, AK70

再生のリファレンス機としては、Astell & KernのAK70とAK380、SONYのWalkman WM1A、WM1Z、そしてiPhone6だそうです。スマートフォンでの仕様も考慮しているそうです。
ダイナミックが入っているので50時間はエージングしてからAK70で聴きました。(100時間やるとレビュー書く時間なくなっちゃうので)

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AZLA silver, AK380

聴いてすぐに感じるのは立体的に空間が広がるような独特の音世界と、躍動感があり低域のたっぷりとしたインパクトのある個性的な音です。支配的なのは厚みとか重みのあるダイナミックの音ですが、中高域に傾聴するとアコースティック楽器の音もきれいで明瞭に聴こえます。
モニター的に録音の粗を探すのではなく、好きな音楽を聴いていると音楽世界に没入できるようなイヤフォンです。

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AZLA silver, AK70

低域は量感があるだけではなく、深みとインパクト感があります。低音のドラムスやベースのアタック感は緩くはありませんが、鋭利と言う感じでもありません。低域はたっぷりとありますが、ヴォーカルが埋もれるほどではなく、声ははっきりと聴こえます。中高域の解像感も十分にあり、アコースティックギターの鳴きや残響感もリアルに聴こえます。
躍動感があってAK70にはよく合いますね。AK380を使用するとさらに立体感の良さが際立ってきます。380のようにDACが強力なプレーヤーでは楽器の重なり表現が見事です。

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AZLA silver, iPhone6

iPhone6でもそれほどボリュームを上げずに7割程度で音量は取れます。FLAC Playeで上原ひろみのAliveなんかを聴くとやはり音の広がりが良くたっぷりと低音が乗ったダイナミックな音が楽しめます。音再現も滑らかで楽器音もきれいです。ただ立体感に関してはやはりDAPを使った方がより感じられますね。独特の立体感がiPhone直ではいまひとつです。


* まとめ

AZLAは個性的なイヤフォンで、デザインも個性的でよく、音も個性的で良いですね。
まず立体的な広がりのある音再現が独特であり、ベースを軸にしたダイナミックな音作りも楽しめます。ヴォーカルや生楽器もなかなか良いです。
アユートさんが言うには、この価格帯での新しい定番にしたいということです。ケーブル等も含めてたしかに価格を超えた内容があって、コストパフォーマンスは良いし、マニアにも訴求するような個性もあると思います。
特にAK70ユーザーにはお勧めのイヤフォンです。

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AZLAは楽しい音作りというターゲットがあって、ダイナミックドライバーを選びBAで強化し、そのため同軸ハイブリッド化し、
低音と音の広さ・開放感のために独特のベント構造を撮った、ということで、明快な作り手の主張を明快なロジックで作り上げたイヤフォンだと思います。
それにマニアックなケーブル ケースがついて、少し上のマニアにも訴求できるというところもポイントでしょう。
実際の音にもそれが結びついていますし、なかなか面白いブランドが出てきたと思います。
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2017年07月06日

Beat Audioのライトニング/3.5mmアダプタレビュー

まえにAppleのライトニング/3.5mmアダプタを紹介しました。ライトニングのデジタル信号を3.5mmのアナログ信号に変換するわけですから、実質的にはケーブルのついた超小型のDAC内蔵のポータブルアンプです。常に携帯できてバッグに苦も無く入れられ、iPhoneを手に持ったまま気にならなくケーブルの延長として使えるというのはなかなか使えます。
この3.5mmアダプタはたしかに価格の割にはなかなか使えるアクセサリーではありますが、わたしとかはわりとハイエンドイヤフォンをよく使うので、使い始めるともう少し音が良ければと欲が出てきます。アップルのアダプタを高品質ケーブルに交換した改造品をどこかで売ってないとか思ったりしてましたが、Beat Audioからもっと良いものが出ました。

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それがBeat Audioから登場したSilversonic MKV Lightning to 3.5mm Adapter Cableです。アップルの3.5mmアダプタの高音質版と言ってもよいでしょう。

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Apple純正アダプター(上)

Appleのものと比べてみるとBeatのほうが少し長い程度で、取り回しなどはあまり変わりません。軽さもほぼないようなものですね。これもDACに相当するICが入っています。

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Beat Audioはプラグの品質もとても高いのですが、このケーブルもライトニングプラグの出来の良さにまず驚きます。ケーブルの素材には、特注の銀メッキ銅導体を使用し、Lightning端子の外装には丈夫なアルミニウム合金を使用しているとのことです。
価格は7,400円(税別)ということですが、見合うもののように思います。

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Campfire Audio LyraII

音質ですが、Campfire AudioのLyraIIとUMのMaverickIIにSignalを付けたものを使ってみました。特にSignalをつけるとBeat同士なので見た目もすっきりします。
結論から言うと、このくらいのレベルのイヤフォンを使っている人には、かなりはっきりわかるくらいの音質差があり変える価値は大きいと思います。Maverickらしい切れ味の良さや、Lyraらしい深い低音などハイエンドイヤフォンらしさも十分にわかります。

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Campfire Audio LyraII

比較してみると全体にBeatの方が晴れ上がったようにクリアで、音は洗練されて粗さ痛さが少なくスムーズです。細かい音もはっきりと聞こえて鈍くありません。
音が団子のように絡まないでよほぐれて明瞭感があります。

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Campfire Audio LyraII

低音はぱっと聞くとアップルの方が量感あるように感じるかもしれませんが、実のところドラムやベースなどではアップルの方は軽くてアタック感も鈍いのがわかると思います。これはシルバー線材の歯切れの良さもあると思います。Beatのほうが低域の深みが表現できるので、聴きこむと差ははっきりわかります。
高域はアップルの方は少し鈍い音がしますが、Beatはきちんとシャープなカチッとした音が楽しめます。

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UM MaverickII

私が一番使いたくなるのは、普段はAK380にこのクラスのハイエンドイヤフォンで聴いているときにiPhone7で記事を読んでいて、急にこの紹介されている曲が聴きたくなるというときですね。ストリーミング品質でも十分わかる程度の差はあります。もちろん3.5mm端子のない7以外でも、iPhone直の音はちょっと、という人には積極的に使えると思います。

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UM MaverickII

もちろん内蔵のハイレゾ音源を活用して本格的なDAC内蔵ポータブルアンプを使う場合に勝るというわけではありませんが、(ロッシー)ストリーミングであればこれでいいかなというくらいの音質はあると思います。むしろストリーミングということを忘れるくらいの音質の良さではありますね。iPhoneでストリーミングよく使う人むきです。私とかはBandcampの新作やオススメを毎日チェックするので、日頃良く使うハイエンドイヤフォンでそうした、ちょっとした音楽リスニングが高音質で楽しめるというのはちょっと気持ちよいものです。しかも日頃携帯するのに苦になりません。
映画やドラマをストリーミングで見る時の迫力も一層あがりますし、ストリーミングでもこだわりを持って聞きたという人にお勧めです。
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2017年06月28日

シングルダイナミックの到達点、Dita Audio Dreamレビュー

DreamはAnswerで日本、そして世界へデビューしたシンガポールのオーディオメーカーであるDita Audioの最新作にしてフラッグシップです。Answerもデビュー作にしてはなかなか練られて時間をかけて作られていましたが、Dreamではいっそうの作りこみがなされています。
参考としての直販価格は¥219,980 円(税込)とAnswerよりも上になりましたが、ダイナミック型シングルドライバーイヤホンの究極といってもよいでしょう。しばらく使いこんでみてそう思います。ダイナミックだけではなく、マルチBAのフラッグシップクラスとも比肩できるレベルと言えると思います。

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下記は代理店アユートさんの製品ページです。
http://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2103.php

Answerに比べると全面的に刷新されたまったく新しいデザインを採用しています。
なかでも特徴的なのはAwesomeプラグというプラグ交換システムです。Awesomeというのは「すごい」という意味ですが、これはプラグが交換可能になっていて、プラグを交換することで3.5mmアンバランスや2.5mmバランス、4.4mmバランスにも対応できるというものです。ケーブル線材は引き続きVan den Hulが担当して、シルバータイプの線材が標準で使われています。
Answerでは接触面をできる限り減らしたいというオーディオファイルらしい要求からあえてケーブル交換可能な形にはしなかったのですが、Dreamでは2ピンによりケーブル交換が可能になっています。
これもCEOのダニー氏に言わせるとどちらかというと断線した時の保証のようなものということです。実のところ標準でついているVan den Hulのケーブルの品質の高さを考えると交換する必要はあまりないかもしれません。しかしながらバランスにも対応は必要であるという点からプラグ交換という仕組みに行きついたわけです。
実際使って見ると、ケーブル交換するよりも簡単に3.5mmと2.5mmバランスの交換ができますし、音自体は変化しないのでこの仕組みはなかなかよくできています。AKプレーヤーとMojoの使い分けなんかでも簡単です。

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このほかにも全面的に新設計となり、ハウジングは精巧な技術を有する日本で加工される高精度のチタン製のシャーシです。これはエアフローの最適化とダンピング制御の向上にも貢献しているとのこと。音響工学に基づき設計したチタンシャーシ内の形状を、精度高く切削するだけでなく、全ての接触面を限りなく平面に研磨する為に、精巧な技術を有する日本でシャーシ加工を行うという凝りようが再びここでも発揮されています。
新開発の10mm 径ダイナミック型ドライバーはカーボンコーティングを施したマルチコート・マイラー振動板の採用、そして 高純度 OFC によるボイスコイル、高磁力のリングマグネットとポールピースの 搭載など、Dita Audioの哲学でもある「気品あるシンプリズムにより純度を限りなく高く」という目標のもとに、広帯域に渡りレスポンスに優れた自然で正確なサウンドを提供するとされていますが、まさに息をのむような音性能の高さには圧倒されます。
またドライバーの左右差が極限に近く少ないのも特徴で、これによって位相のそろった立体感の良い音再現が可能になります。

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ボックスは豪華なもので、なかなか洒落たイヤフォンケースが付属してきます。付属品としては音の違うイヤチップが3種類ずつ、S/M/Lとついているのでそれで音を自分のの好みでチューニングすることができます。
またT400くらいのサイズのチューブなのでわりとさまざまな市販イヤチップを使うこともできます。

デザイン

Dreamのハウジングはチタンで成形され、頑強さと軽さを兼ね備えています。特徴のひとつはAwesomeプラグ(awesomeはすごいの意)です。Awesomeケーブル/プラグについてはまた別記事で詳しく書く予定ですが、ケーブル交換ではなくプラグ交換と言うのは3.5mmと2.5mmをよく取り変える場合にたしかに便利だと思います。線心自体は4本で根元まで来ていますので、3.5mmでも立体感は高くなっています。
ケーブルプラグは2ピン仕様で、新バージョンではかなり硬くて抜けにくくなっています。
チタン製のハウジングは装甲か鎧のようで、Awesomeプラグのプラグのネジなんかとも合わせていかにも精密感とメカメカしい感じがカッコよいと思います。

音質について

Dreamの最大のポイントはなんといっても音質の良さです。ダイナミックではトップクラスと言ってよいでしょう。いや、ダイナミックでは、と断る必要もないかもしれません。
まずAK380単体の3.5mmで聴きましたが、驚くほど音が良いという感じで、あのDitaのAnswer truthよりも格段に良くなっています。
音の個性はAnswerをさらに進化させたように、基本はがっちりとしたクリアではっきりとした音の輪郭を持っていて音の切れ味がするどさを聴かせてくれます。
以下で音の特徴をポイントごとに述べていきます。

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「ダイナミックらしくない圧倒的な解像力と切れ味の鋭さ、ダイナミックらしい迫力と躍動感」

Dreamは全体にマルチBA機と比べると重みがあってダイナミックらしい迫力を感じます。ダイナミック機の中でも音に重みや厚みが高く感じられる方だと思います。
一方でダイナミックの甘さは少なく、極限までだぶついた贅肉がないとても先鋭な音再現を聴かせてくれます。

DreamはBAのような切れ味と解像感、ダイナミックの音の厚みを持ってると言っても良いでしょう。
特にアコースティック楽器は圧巻で、たぶん売ってるイヤフォンの中でも最強レベルと言ってよいかもしれません。楽器の音の再現力、ヤニが飛ぶようなリアルさと解像力、シャープな切れ味がためいきものです。
私が思ったのは切れ味の良さでNobleのKatanaに似てる感じですね。躍動感と言う意味ではK10 encoreのダイナミック版といっても良いかもしれません。K10でいえばこの極限的なクリアさ透明感はオリジナルではなくencoreの方です。それをダイナミックにした感じでしょうか。
ひずみ感が少なく音がすっきりピュアで、引き締まって贅肉もない。それでダイナミックだからドラムやベースのアタックも鋭いと感じられます。

解像力が高く、細かな音の粒子を積み上げて、音鳴りのリアルさを再現するのは圧巻です。
普通シャープなイヤホンは乾いて人工的な音になりがちですが、Dreamは音の生々しさとか自然さという点でも今まで聴いた中でトップクラスです。これはチューニングの妙もあると思います。前のAnswerのように鮮明で切れ味の良さも感じられますが、厚みとか豊かさも増して、自然でリアルな表現に進化してます。
ピアノの音の歯切れがよく、ただのソロピアノでも気持ち良く、存在感が高まります。バロックヴァイオリンの弦の鳴りの倍音が豊かでリアルさを高めます。
細かい音がよく聞こえ、AK380のクロックの正確さや改造力など、そのポテンシャルを引き出してると思うし、AK380がさらに一段と高音質に感じられます。

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Ditaの提供するジャズ音源を聴くと驚くくらいの生々しさを感じられます。音の鮮明さがよくわかり、楽器の音の忠実な再現、ヴォーカルの息遣いの生々しさがよく伝わって来ます。アーティストが、録音エンジニアが、伝えたかったものがよく伝わって来ます。ダイナミックとしての躍動感もひときわ高く感じられます。
例えばオールドロック懐古的で録音も良いトレバーホーンのThe Producersだと今まで聴いた中で一番良い再現を聴かせてくれます。
スピード感もあり、ノリも良く、ドラムやベースの切れも良い。ドライブ感やパワーも感じます。

ただし録音や曲によっては高域がきついと感じることもあります。しかしながらこれはDreamのせいというよりもむしろ録音のせい、特にPCMのデジタルっぽさに由来するところが大きいともいえます。こういうように顕微鏡のように音のささいな凹凸もあぶり出すようなイヤフォンこそ、DSDネイティヴ再生で聴いてほしいと思います。たとえばRyu MihoのDSD11.2Mhz音源をAK380で聴いてみてください。これが本当のDreamの実力であり、今まで一番DSDネイティヴの良さを生かせるイヤフォンと感じられます。DSDネイティブとPCM再生の差がいままでのイヤフォンではそれほど大きな問題と感じなかったということですね。
とはいえ現実にはPCM音源できつい録音を聴くことも多いわけですから、そのときはチップで少し工夫するということはできると思います。

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* Dreamのチップ選び
ユニバーサルイヤフォンのポイントの一つはイヤチップが大事で、かつ音を変えることもできるということです。いくつか種類があるときには装着性とともに音の好みも大きい要素となってきます。Dreamの場合には標準で3種類のチップがついてきます。これらは開口部の大きさで違いがあり、大きいものほど高域が強くなる傾向があります。もしきつさを和らげるという点では青いチップが一番良いと思います。
またDreamはステムの太さが適度なので、わりといろいろと社外品のイヤチップが使えます。コンプライのフォームチップはT400が使えます。高域を和らげて低域を増やすという点では良いのですが、もともと低域の量感はフォームでなくても十分確保できていることと、Dreamの良さである歯切れの良さが少し減退するようにも思います。フォームチップだとCampfire Audioのフォームだと歯切れの良さはそれほど減らないのでフォームを使いたい場合にはお勧めですが、
社外品のイヤチップではやはりスピンフィットが装着性と音質のバランスで最も良いと思います。まずクリアさと解像感は半端ないですね。

「シングルダイナミックらしくない帯域再現、シングルダイナミックらしい立体感」

Dreamは上から下まで均質性が高く、高域表現の鋭さ、豊かな低域、明瞭感の高い中域など、シングルダイナミックとは思えないくらいのワイドレンジです。
高域はきれいに淀みなく伸び、高域のベルの音が気持ち良く感じられます。
低域はやや多めで、ダイナミックらしい重みがあります。ロックではこの重みが気持ち良いです。Answerでも低域をすこし増していたのですが、今回も期待通りにだっぷりした低域を堪能できてダイナミックドライバーの魅力を伝えてくれます。
中音域のヴォーカルは肉感豊かで艶っぽさがあります。立体感の良さと相まってくっきりと浮き出るようにヴォーカルが聴こえるのもDreamの魅力です。これはあとで書くようにチューニングの完成度が高いこともあります。
ヴォーカルは適度な湿り気があって無機質にならないのはダイナミックならではの魅力を両立させています。BAにありがちな無機的ではありませんが、着色感があるというほどには音に色はありません。

Dreamの特徴のひとつは立体感が際立って良いことです。特にAK380のようにDACの優れた再生機で聴くと3.5mmでは聴いたことないレベルの立体感が味わえて圧巻です。音の重なりという意味だけではなく、左右の広さと言う点でもすべてのイヤフォンの中でもかなり広い方だと思います。
これはマルチBAに対してはシングルドライバーと言う位相の優位さもあるでしょう。むしろシングルダイナミックだから達成できたものかもしれません。またこれは左右ドライバーの性能マッチがうまくいっているというチューニングの要素もあると思います。

クラシックでも迫力があってスケール感を感じられます。低音がたっぷりあってピラミッドバランスがあり、シングルの位相の良さで音場も良いと思います。
3.5mmシングルエンドでも音の広がりが良く、これはケーブルの良さもあると思います。ロックでもダイナミックらしく線が細くならずに太めのパワフルな気持ちよいインパクトを聴かせてくれます。
バランスに変えるとさらに音が回りこむように広がります。これもまた魅力的です。

「完成度の高いチューニング」

実のところDreamの良さの基礎を支えるのは、かなり完璧なチューニングだと思います。
長く開発に時間がかかっただけあって、高いところから低い音まで見事にチューニングされています。ここに来るまでにDreamにはいくつかのプロトタイプがあり、ひとつ前は中域の低域かぶりがあって少しヴォーカルが曇ってた(それでも他機種ならオーケーレベル)んですが、この製品版では見事にスッキリと晴れ上がっています。ヴォーカルの聴き取りやすさはイヤフォンでもトップクラスでしょう。
十分なほどの低音の量感があって、音楽全体の豊かさを増してるが、中域が曇るほどではありません。
CEOのダニーは音作りにおいて完全主義者で交換ケーブルも拒否してましたが、今回はそこはゆずって音のチューニングで完全を求めた感じですね。

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まとめ

DreamはAnswerの良さは引き継いでさらに進化したものと言えます。
変わらないものは音質と機械工作的なこだわりです。
いわばダイナミックらしくない切れ味の良さ、ダイナミックらしい音の豊かさと厚み暖かみを有しているのがこのDreamです。

ここでいままでのサブタイトルを再掲することでまとめとします。

1. 「ダイナミックらしくない、圧倒的な解像力と切れ味の鋭さ
ダイナミックらしい迫力と躍動感」

2. 「シングルダイナミックらしくない帯域再現
シングルダイナミックらしい立体感」

3. 「完成度の高いチューニング」

感度はちょっと低めですが、AKプレーヤーでも音量は取れます。iQuve V5のように強力なアンプを使って鳴らしてあげると立体感などがさらに際立って良くなります。

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いままでダイナミックドライバのイヤフォンを選ぶ場合には絶対的な音性能の高さではなく、暖かみや躍動感と言ったポイントで選ぶことが多かったと思います。たとえば、音質の最高レベルを目指すならばマルチBAのカスタム、でも暖かみのあるダイナミックも良いかな、という感じでしょうか。
Dreamは音性能の高さで純粋に選ぶこともできるダイナミックドライバー機であり、高いレベルでイヤフォンの音の魅力を両立しています。

Ditaのはじまりはヘッドフォン祭でした。青山だった時ですが、シンガポールのメーカーでイヤフォンを作ろうとしているところがあるのでちょっと見てもらえないかと言うことで、呼ばれてアンダーテーブルで彼らに初めて会いました。それはいまのAnswerのプロトタイプで、これはハイエンドだと言い想定価格もかなり高めだったのですが、音を聴いてみたらこれはかなり良いのでいけると思いました。まず日本市場で認めてほしいということだったのですが、その年の秋のヘッドフォン祭では持ってきたAnswerがすべて売れたということでまずはよかったと思いました。そしてDreamが構想され、長い時間がかかりましたが、ここに結実したと思います。彼らの情熱が"Dream"を実現したと言えます。
このようにDreamは現在最高のイヤフォンの一つであり、シングルダイナミックとしてはひとつの到達点といえるでしょう。
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2017年06月21日

MEZEの美しいヘッドフォン、99Classicsと99Neoレビュー

テックウインドから新しいヘッドフォンが発売されます。
Meze 99 classicと99 Neoの2種類で、このほかにもイヤフォンが発売になります。本稿は99 classicと99 Neoのレビュー記事です。

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99Classicsと99Neo

Meze(メゼ) Audioは2009年にルーマニアで誕生したブランドで、代表のAntonio Meze(アントニオ メゼ)は様々な分野のデザインを手がけていたようです。彼はギタリストでもあって、自分で満足できるヘッドフォンを作りたいがために創業したようです。

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そして2015年に発表した99Classicsが世界的な人気となります。
Meze 99 classicはHeadFiをはじめ、海外で高い人気を得たヘッドフォンで美しいデザインの木製のハウジングを採用しています。99 NeoはClassicの好評を継いで後から発売されたモデルで同じ振動版を使っていますが、チューニングは異なり音の個性も違います。またデザインもブラックのモダンな外観となっています。

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99Classicsと99Neo

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さすがデザイナーが手がけたブランドらしく、外観とハウジングの作りはなかなかよくできていて、装着性も快適です。ハウジングのカップがNeoとClassicでは異なりますが、それ以外はほぼ同じです。ハウジングの表面はなめらかできれいに加工がなされている。ケーブルの左側にリモコンがついています。
重さはわりと軽めでそう負担にはならない程度だと思います。締め付けはあまり強くはないタイプで長くつけててもそう不快感はないでしょう。両方ともクローズタイプで短いケーブルが付いてくるのでポータブルでも使うことができますが、折りたたみはできません。99 Classicには家で聴くための長いケーブルも付いてきます。

NeoとClassicのポイントは振動板は同じで音質レベルはほとんど同じですが、チューニングが異なるためそれぞれ音の個性があります。

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99Classics

Classicはより忠実で、やはり音楽がきれいに聴こえて心地よい音再現です。
低音もNeoより引き締まってタイトですっきりとしたベースです。Neoの少しガチャガチャとした感はClassicでは少なくなり、端正な音を聴かせてくれます。
全体にクリアで曇りの少ない音再現で、すっきりと楽器音が美しく聴こえるタイプです。きつさは少なくやや丸めだが鈍いわけではなく、楽器音やヴォーカルは明瞭に聴こえる。ひずみ感も少なくすっきりと端正に楽器音が聞こえます。
高域表現はシャープさは適度で、どちらかというと優し目できつさは少ない感じですね。きつさが少ないので長い時間聴けるタイプだと思います。
低域の再現はダブルベースが気持ちよく聴こえるくらい量感は十分にありますが、フラットよりは低域が強い傾向ではあります。またわりと低いところまで出て、低域もよく整っていると感じられます。
全体にバランスよく上品な表現ですが、あまり平坦すぎることもなく、適度な低音の味付けはされています。音の明瞭感も高いので、いわゆるジャズ・クラシック向けですが、ヴォーカルを聴きこみたい人にも良いと思す。

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99Neo

Neoでは低域がたっぷりあって、音が分厚く、楽器の音は多少誇張されてきれいに聴こえます。楽器やヴォーカルも明瞭に聞こえ、わりと細かい再現力もあります。演出感は強いが、エレクトロ系やビート系などに向いています。ヘッドホンならではのロックのパワー感や迫力を堪能できますね。
Neoはかなり低域が強調されてベースヘビーなので、ビートの効いた音楽やエレクトロ系によく合います。ただし、ややヴォーカルに明瞭さが欠けることもあります。また楽器を聴きこむとやや音は粗く聴こえます。
高域はclassicよりもシャープに聞こえるのですが、よりきつめにも聞こえます。勢いがあるタイプでヘビーなロックやポップに向いています。エレクトロニカなどもneo99のほうが良いですね。

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端的に素直で音再現が端正なのがClassic、演出気味で勢いのあるのがNeoという感じです。聴きたい音楽で選ぶと良いと思います。
双方ともiPhoneにも向いていて、初級ヘッドフォンやイヤフォンからステップアップしたい人は、かなり音が良く聴こえると思います。
ただClassicのウッドハウジングはなかなかに良くできていますので、スタイルで選ぶというのもありだと思います。

端的に言ってデザインが良く音も良いというのがMEZEの特徴です。価格は99 Classicsが市場想定価格が29,800円前後、99Neoが24,800円前後と言うことでお手頃だと思います。
一番お勧めはNeo、ClassicともAK70あたりに合わせることです。AK70とNeoの組み合わせはロックファンにお勧めです。iPhone直でヘッドフォンリスニングをしたい人にも良いですね。ポータブルでヘッドフォンリスニングを楽しみたい人はぜひチェックしてみてください。
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2017年04月28日

フェンダー新製品発表会ハイエンドIEM発表

本日フェンダーのIEMの新製品発表がありました。私は司会を務めました。
フェンダーでIEMをやるのはプレイをしないフェンダーファン向けということで、フェンダーの理念を伝えたいということ。

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発表されたのは二機種でまずローエンドのCXA1、これはリモコン付きでフェンダー初のコンシューマ向けモデルです。
注目はハイエンドのFXA9です。6ドライバー機でハイ1、ミッド1、ロー2、サブウーファー2です。
フェンダーIEMの母体であるAurisonicsはハイブリッドデザインで知られてますが、A9はオールBAデザインでハイブリッド的なノウハウも加えてるところがポイントです。これはミュージシャンがオールBAを望んだからということです。

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これはどういうことかというと、A9のポイントは低音で特に超低音です。まず気がつくのはオールBAなのにベント穴(ポート)が空いてます。これをデールロットに指摘したら「お前がそこに初めて気がついた」って言ってました。
サブウーファーは3Dプリントで造形されアコースティックチャンバーのように他のドライバーと隔絶されてます。ここに二基のサブウーファーだけ外部にベント穴(ポート)が通じてます。これで低域のレスポンスの良さ(60Hz前後)と開放感のある広がりがえられるとのこと。
ポート穴は外に通じてますが、試してみると外に音は漏れないようで、外の音もあまり聞こえません。IEMとして遮音性は極めて良い方です。たぶん超低域だけ隔離してポートに繋いでるからだと思います。
もう一つのポイントはA9ではサブウーファーのクロスオーバーがなく、音導管の太さと長さでアコースティックにローパスさせる方式を取っている点です。これもデールができるだけ電気的にクロスオーバーを使いたくないからだそう。ハイとミッド、ミッドとローは電気的にクロスオーバーがあります。
また低域以外では24金をノズルに使うことで音に変化がないことを狙ってるということ。デールからお墨付きのある熟練工(一人のみ)のハンドメイドの製作も良い点です。

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聴いてみると音の広がりが独特で開放感があります。躍動感もあってヴォーカルが良いですね。Aurisonicsらしい音ですがオールBAのためにもっと洗練されている感じです。

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ヘッドフォン祭ではぜひ完実さんのブースでお聞きください。

posted by ささき at 23:09 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月06日

Hugo2とPolyのインタビュー公開

この前のHugo2/Polyの発表会の後に個別にジョンフランクス、ロブワッツ、ラジフ(Polyエンジニア)にわたしがインタビューしたものがPhilewebで公開されました。
下記Philewebへのリンクからご覧ください。
http://www.phileweb.com/sp/interview/article/201704/06/452.html

かなり濃い内容で、かつロブワッツの語るデジタルフィルターの使いこなしなどユーザーにも役に立つ情報がいろいろあると思いますのでぜひ読んでみてください。

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2017年03月29日

Unique Melodyユニバーサルモデルの新世代機、MAVERICK IIとMAVIS IIレビュー

Unique Melodyはユニバーサル機戦略として地域戦略を用いています。日本ではミックスウェーブの宮永氏がチューニングしたMAVERICKがデビューし、人気を博しました。
そしていよいよその後継機となるUnique Melodyのユニバーサル第二世代機であるMAVERICK IIとMAVIS IIが登場しました。今回はおもにそれぞれの前機種やカスタム版と比べてどうかという点と、MAVERICK IIとMAVIS IIをくらべてどうかという点に焦点をあてて書いていきます。
なお明確にするために初代MAVERICKをMAVERICK Iと書き、初代MAVISをMAVIS Iと書きます。

* MAVERICK II ユニバーサルIEM

MAVERICK IIはオープン価格(メーカー希望価格 税別137,600円)です。
大型ダイナミックとBAのハイブリッド形式は従来通りですが、ポート(ベント穴)がMAVISのように二個に変更されています。またクロスオーバーの最適化、プラチナ塗装の合金をサウンドチューブに採用し、前モデルとはダイナミックドライバーと中音域BAが変更されているということで改良がなされています。

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MAVERICK IIは前よりも音質がより良く明瞭感が増しているように思います。相変わらず低音のパンチもよく、名器の改良版という期待に応えたレベルが高い音です。装着感は良く、全体が耳にぴたっと収まる感じです。
全体の音調とか個性はMAVERICK Iと似ていますが、全体に音がより明瞭になり解像力が上がったように思えます。音の広がりも向上しています。低域もMAVERICK特有のパンチの強さがよりはっきりと感じられます。またMAVERICK Iよりも能率が少し高いかもしれません。
良録音のジャズヴォーカルではMAVERICK Iよりも鮮明にヴォーカルが聞こえ、ベールを1枚取ったようによりクリアに感じられます。

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MAVIS IIと比べると、
MAVIS IIではロックやエレクトロはおとなしく感じられてしまいますが、MAVERICK IIだと躍動的に前列でライブを見てるように音が襲いかかってくる感が味わえます。
ポップやアニソンなどを聞くと音楽の躍動感はMAVERICK IIのほうが良く、音楽のかっこよさを伝えると言う点ではMAVERICK IIが好みですが、ヴォーカル自体はMAVIS IIの方がこうした曲ではごちゃごちゃせずに整理されてよりはっきりと声やナレーションが聞こえます。

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進藤麻美のピアノソロの「ラ・カンパネラ」を聴くと、MAVERICK IIだと打楽器のように強いインパクトが感じられ、まさにピアノが打楽器でもあるということを感じさせてくれます。しかし、プレーヤーとの組み合わせなどでちょっと音が強すぎるというときはコンプライ・イヤチップなどフォームチップにするとMAVISの音に近くなります。

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コンプライTsx

MAVERICKカスタムと比べた場合でもMAVERICK IIのほうが、より明瞭感が高くクリアでよりパンチが鋭いと感じます。メリハリがより濃く感じられますね。特に一枚ベールを取ったような鮮明さはMAVERICK IIの特徴です。MAVERICK IIと比べるとMAVERICK IとかMAVERICKカスタムはやや音が鈍く感じられます。


* MAVIS II ユニバーサルIEM

MAVIS IIはオープン価格(メーカー希望価格 税別 111,000円)です。
前モデルに比較してクロスオーバーの最適化、プラチナ塗装の合金をサウンドチューブに採用しています。すでにMAVISは生産終了しましたので後継機となります。

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MAVISとはウタツグミという小鳥で美声で知られているということです。そのためMAVISのイメージカラーというかフェイスプレートはウタツグミの茶色だそうです。
MAVIS IIは少し控えめで落ち着いた感じなところは前に似ています。こちらも装着感は良いです。MAVISの名のもとのように音色がきれいで、またホールの感じがより広く感じられます。
低域のボリューム感、量感もさすがダイナミック二発でたっぷりありますね。低域はMAVIS IIでも緩みは少ないのですが、鋭さではダイナミック+BAウーファーのMAVERICK IIの方が鋭く感じられます。音場に関しては、MAVERICK IIが客席前列で音が飛び込んでくる感じとすると、こちらは中央で音楽監督が全体を俯瞰してる感じでスケール感がよいと思います。

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進藤麻美の「ラ・カンパネラ」を聴くとMAVERICK IIだと打楽器のように強いインパクトが感じられますが、MAVIS IIでは自然な打鍵の強さでこちらの方がリアルに思えます。またピアノの響きの音色の美しさが良いと感じられます。おそらくジャズピアノはMAVERICK IIの方がカッコよく聞こえ、クラシックピアノはMAVIS IIの方がリアルで性格に聴こえると思います。

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MAVIS IIはMAVIS Iよりも全体に音が鮮明に聴こえます。MAVERICK IIと比べると少しおちついています。MAVERICK IIより音場感が良く、クラシックにはMAVISのほうが向いていると思います。ジャズトリオの白熱した演奏やロックのライブではMAVERICK II、クラシックではスケール感と響きの美しさ、自然なリアルさでオーケストラでも小編成でもMAVIS IIが良いと感じます。アコースティック主体で自然に美しく、スケール感良く聞きたい場合はMAVIS IIがお勧めです。

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MAVIS Iと比べるとMAVIS IIはやや音調とか個性がやや異なっています。ただMAVIS的な落ち着いた感じではありますね。
MAVIS Iはよくもわるくも中庸な感じですが、MAVIS IIは音のメリハリがより良く美音系です。
ただしカスタムとの差はMAVERICKほどではなく、こちらはMAVISカスタムとMAVIS IIは音が似ています。MAVIS IIのほうがやや明瞭感が高いかというくらいですね。MAVIS IIとMAVISカスタムに関しては、フィットの良さでカスタムのほうが好みです。簡単にいうとMAVIS IIユニバーサルはMAVISカスタムのユニバーサルへのフィードバックというか、MAVISカスタムのユニバーサル版という感じですね。

* MAVERICKとMAVISファミリーの系統

最後に日本におけるユニバーサル戦略のまとめとして、MAVERICKとMAVISファミリーの関係について書いてみます。

MAVERICK IとMAVERICKカスタムはドライバーは同じでチューニングが異なります。MAVERICK I/MAVERICKカスタムとMAVERICK IIではドライバー(とチューブ材質)が異なっていて、MAVERICK IIはMAVERICK I/MAVERICKカスタムに対しての進化版といえます。MAVERICK+(プラス)とMAVERICK IIではダイナミックドライバーとチューニングが異なりますが、音レベルとしては同じような兄弟のようなものということです。つまりMAVERICK IIは+に対しては上位機ではないということになります。

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MAVISはMAVIS I、MAVISカスタム、MAVIS IIともにドライバーは同じです(IIではチューブ材質が異なります)。違うのはチューニングやクロスオーバーで、MAVIS IとMAVISカスタムのチューニングが異なります。これはMAVIS Iのチューニングをさらに宮永氏が突き詰めたものです。MAVIS IIはカスタムとほぼチューニング傾向は似ていて、MAVISカスタムのユニバーサル版と言えます(ただしチューブ材質が異なります)。つまりMAVERICKではMAVERICK IIとMAVERICK+が兄弟のようなものでしたが、MAVISに関してはMAVIS IIとMAVISカスタムが兄弟のようなものと言えます。

個人的に言うと、MAVISに関してはIIユニバーサルとカスタムでは似ていますが、カスタムの方が良いように感じます。たぶんカスタムゆえの差があるだからです。
MAVERICKに関してはMAVERICK(I)カスタムよりもMAVERICK IIユニバーサルの方が良いと思います。やはり改良版という感じです。MAVERICK+は聴いていないので分かりません。

まとめると、
MAVERICK IIは主観的で躍動的、MAVIS IIは客観的で美音系、と個性もあって使い分けられるところが良いところ。両者は対比的かもしれません。
それで、さらにMASON IIにはMAVERICK IIともMAVIS IIとも違う個性があるというところがUMラインナップのうまいところですね。
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2017年03月27日

Unique Melodyの12ドライバーカスタム、MASON IIレビュー

MASON IIカスタムは昨年12月17日に発表されたUnique Melody(以下UM)のカスタムIEMです。
価格はオープンですが、希望小売価格は税別で255,834円ということです。

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* MASON IIカスタムの特徴と開発ポリシー

MASON IIカスタムは12個のドライバーを持つハイエンド機で、低域x4、中域x4、高域x4の3Way構成です。
以前のMASONユニバーサルの後継機として2年をかけて開発されたということ。ドライバーは前モデルとは異なるものを搭載し、特に低域用と中域用のドライバーにはUMがメーカーに対して特注でカスタマイズをしたドライバーを採用しているということです。

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全てBAドライバーですが、中音域の向上のためにオープンBAドライバーを中域用に採用し、オープン型BAドライバーに対してベントでのエアフローの最適化を採用しているという点です。このためオールBAドライバーでありながらフェイスプレートにポート(ベント)が空いているのが特徴です。これはADELやAPEXとも違うアプローチのようです。

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また音導管にはプラチナ塗装の合金チューブを採用しています。ここはMAVERICK IIユニバーサルやMAVIS IIユニバーサルとも共通していますね。
ケーブルは2pinでリケーブルができます。

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宮永氏によれば、MASON IIカスタムはライブ会場で聴いているかのような空間表現を生かしたということで、TOTOのライブ体験を再現したかったということ。実際に聞いてみると独特の音場の立体感と空間の余裕ある表現力を感じます。ここはのちに書く「個性」のパートになると思います。

またもうひとつのキーはサントリーウイスキー「響」ということで、整ったブレンドの中にもオリジナルな部分があって深みを出していることがヒントのひとつになったということ。MASON IIカスタムも「整ったバランス」と「個性」を7:3か8:2くらいの割合でブレンドして、リスナーを飽きさせないものにしたかったということです。

その個性のキーとなるのがオープン型BAドライバとベントによる最適化チューニングです。このオープン型BAとベントというのはADELやAPEXとはまた別のもので、オープン型BAにはADELのような音圧を外に逃がしてやるような機構はないということ。
オープン型BA自体はなにかというとBAドライバーに穴があいているもので、これはいままででも採用機種はあります。たとえばUMではメンターに採用されています。これはミッドレンジの特性が良いためにMASON IIカスタムに採用したということです。

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問題はオープンBA型ドライバーの開発過程で、フェイスプレートを取り付けたことによる聴覚上の閉塞感が感じられたということだそうです。そこで、オープン型BAとベントを組み合わせることによって、音質の向上ができるのではないかということで開発を進めたということです。
これは周波数測定しても現れないたぐいのもので、なにかどう変化したかはまさにノウハウの世界だということ。つまりは測定機械よりも聴覚上の良さを求めてチューニングしていたことにより発見ができたというわけです。
それがMASON IIで感じる、聴覚的な気持ち良さ、独特の立体感と余裕のある表現の秘密であるのかもしれません。
独特の音の余裕感はオープン型BAドライバーとベントによる最適化によるもので、指をベントで閉じてみるとこの独特感が消えてしまうとのことです。

* 実機のインプレッション

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ケースを開けると、おーとため息つくくらい美しいシェルが出てきます。
いつも思うけれど、UMはシェル作りが上手ですね。シェルの造形もきれいですが、ぴったり密着するようにはまります。カスタムの中でも装着感はトップクラスだと思います。

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音のインプレは主にAK380と標準ケーブルで聴いています。
MASON IIカスタムで感じられるのは、まずオープンBAとエアフローの改良の効果か、いままで聴いたことがないような個性的な空間表現というか音空間の余裕が感じられます。また音色も自然ですね。
ヘッドホンに例えると今までのBAは密閉型で、MASON IIカスタムは開放型という感じの違いといいましょうか、ちょっと表現しにくい「個性」ではあります。音の広さというのともちょっと違います。クロスフィードとかサラウンドDSPとかそういう人工的な味付けでもありません。
この良さはMAVERICK IIにもMAVIS IIにもないものです。

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「整ったバランス」という意味ではMASON IIカスタムは12ドライバーらしいワイドレンジ感が見事です。この意味でも音の高い方と低い方にたっぷりとした余裕を感じます。自然な音であまり強調感は少なく、尖った所のあるMAVERICKIIよりも落ち着いた感はあります。これは初代からだと思いますが、全域で整って端正なBAサウンドで荒っぽいところはありません。もちろん解像感も高く、情報量がたっぷりあります。標準ケーブルとの相性も良いですね。
実に堂々たると言うか、12ドライバーの横綱相撲的な余裕あるスケール感、低域の深み、中域の厚み、高域の伸びの良さ、トップレベルの実力だと思います。

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帯域感としてはフラットよりはやや低域よりだと思いますけれど、これはMASON II自身というより標準ケーブルの個性だと思います。例えばCrystal Cable NEXTだともっと全域フラットで銀線っぽい味わいは付加できます。キラキラっとして、よりフラットな音が好きな人はリケーブルも良いと思いますが、上級者でも標準ケーブルで十分満足できると思います。
標準ケーブルの相性が良いという点ではMAVISに似ていて、MAVERICKの場合は私だとSignalかなんかを使いたくなります。

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ジャズトリオの演奏は生っぽく、アコースティック系だと生っぽさが際立って良く、ライブリスニングに一歩近づいたともいえますが、実のところ電子音楽も深みが圧巻です。濃いインダストリアル系アンビエントをループしてMASON IIカスタムのめくるめく音空間に浸るのも気持ち良いものです。

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音の鳴り方がリアルなんですが、生楽器・ヴォーカルだけでなく電子音でもリアルです。電子音がリアルっていうのもなんですが、実際にありそうな感じに聴こえるのが面白いところ。なんでも合いますね、これは。

* まとめ

UMではあえてフラッグシップという呼び方はしないのだそうですけれども、フラッグシップだから12ドライバーで作ったというよりは、この高度なまとまりの良さを得るために12ドライバーになったという感じでしょうか。
MASON IIカスタムの魅力は、この12ドライバーによる「整ったバランス」とワイドレンジ性能、そしてオープン型BAとベントのチューニングによるミッドレンジの「個性」というブレンドによるものというところは開発の狙い通りだと思います。

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12ドライバーの基本的性能は優れていてワイドレンジで高域も低域も強すぎるところもなく整っています。音のひとつひとつの出方は先鋭なMAVERICKと落ち着いたMAVISの中間的なものだと思います。
ただしオーディオファイルは贅沢なもので、中庸で整ったバランスだけだとある意味面白みに欠いてしまいます。そこを個性がおぎなって、常に飽きない音で楽しめます。音に独自性があり、かなり優れたカスタムと言えるでしょう。

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