Music TO GO!

2017年08月16日

64 Audioの新機軸ハイエンドIEM、tia Fourteレビュー

64 AUDIOは2010年創業の新世代のアメリカのカスタムイヤフォンのメーカーですが、いまではカスタムイヤフォンの中堅メーカーといえるでしょう。

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当初の会社の理念はカスタムイヤフォンを手ごろな価格で提供するというものだったのですが、最近ではカスタムを取り巻く環境も変わり、ハイクラスなメーカーを目指していると言うことです。後でまた触れますが、本レビューで紹介するtia Fourté(ティア・フォルテ)の開発もその差別化戦略の一環と言えるでしょう。

ちなみに本稿ではTiaやAPEX、CenterDriveなどの基本的な解説は省きます(うちのサイトで検索すると出てきます)。代理店のミックスウエーブの製品ページは下記リンクです。
http://www.mixwave.co.jp/dcms_plusdb/index.php/item?category=Consumer+AUDIO&cell002=64+AUDIO&cell003=tia+Fourt%26%23233%3B&id=143

特徴

tia Fourteはドライバー数4つで、ダイナミックとBAのハイブリッドIEMです。
私もそうだけれども、たぶんtia Fourteに対してのまず抱く疑問は、「A18/U18が高いのは18個ものドライバーが入っているのだからそれは分かる、しかし4つしかドライバーがないFourteがなぜこんなに高価なのか、」ということではないでしょうか。

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その答えというのはメーカーに聞いてみると、簡単に言うと内部の音響設計がいままでのイヤフォンとは大きく異なり、それに多くの開発費が費やされ、工作精度がとても精密なものであり、製造にもコストがかかっているからということのようです。

A18/U18ではtiaは高域ドライバーのみにtia、つまり不要な共鳴を取って透明感を上げるアコースティック・チェンバー(音響室)が適用されています。Tia(Tubeless in-ear Audio)とはチューブレスのことですが、チューブ自体が問題というよりも、むしろチューブに通すためにBAユニットの音の出る穴が小さいのに無理やりつめるというのが問題ということのようです。
一方でtia Fourteの"tia system"ではHighとMid/Highユニットにtiaの名称が冠されています。さらに内部図解を見ると、4つのドライバーすべてにモールド(区画割り)が施されています。Campfire Audioのアコースティック・チェンバーと異なり、64 Audioのモールドはドライバー全体を包み込むようなものだということです。これは64 Audioの採用するBAドライバーがオープンBAということも関係しているとのこと。(またこれで特許回避もできると思います)
Highドライバーのアコースティック・チェンバーはステム自身でもあり、ファイナルチェンバーと呼ばれます。またダイナミックドライバーもすっぽりとアコースティック・チェンバーに入っていますが、これはより空気の容積が必要なためということです(AZLAの大柄のシェルみたいなものでしょうか?)。

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tia Fourteのアコースティック・チェンバー(モールド)の配置

逆に言うと、そのモールドスペースを十分に確保するために4つしかドライバーがないということになりますね。またこの設計のゆえにtia Fourteではユニバーサルのみで、カスタムは作れないそうです。
tia Fourteではこのようにドライバーがそれぞれ専用の気室に入っていて、エアフローを調整しているというわけです。64 Audioではシングルボア(音の出る孔)を特徴としてますが、音は全て最後はファイナルチェンバーであるシングルボアに直結するチェンバーに集められます。

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Tia オープンBAドライバー

またFourteに採用されている技術のうちでパッシブラジエーターとは低域と中音域ドライバーと相互作用する振動版(ダミーコーン?)で、ファイナルチェンバーに送ってHigh(Tia)とHigh/Mid(Tia)と音を合流させるために使われているということです。これで金属シェルの不要なレゾナンスを減らすことができるということ。

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internal APEXの配置

このパッシブラジエーターを効率的に動作させるためにAPEXモジュールが使われています。(適切にベントを促しているようです)
tia ForteではAPEXはフェイスプレートに露出してなく、M20ユニット相当の機構が内蔵されています。これをinternal APEXと呼びます(上図参照)。これはパッシブラジエーターを機能させるためにフェイスプレートに突出物が設けられないからだそうです。これはTia Forteの底面にあるベント穴に通じているようです。
ちなみにTia技術は正圧(Front Pressure)に関係しています。ですのでこのベント穴は通常の背圧を逃がすものとは異なるかもしれません。その辺はよくわかりませんが、オープンBAということも絡んでの関係があるのかもしれません。

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tia Fourteのベント穴

筐体はアルミニウムの無垢材を機械加工し造り上げ、 フェイスプレートには耐久性が高いパティナ仕上げ(緑青仕上げ)の銅を採用しています。

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このようにTia Forteではとても複雑でかつてないような入念で精密なエアフロー設計がなされているのが分かると思います。これらのことからtia Fourteが高価な理由、そしてtia Fourteではカスタムは作れないという理由もわかってもらえるのではないかと思います。

音質

音の全体に感じられるのは豊かさと倍音のような高級感のある厚みのある豊かな音です。痩せて薄い音の対極にあるような上質な音です。
またこれも独特の空間表現があって、ちょっとUMのMAVISIIに似た感じがあるように思いました。オープン型BAドライバーというのも関係しているかもしれません。音の広がるホールのように聴こえます。
中域から高域は透明感の高い気持ちの良い音ですが、低価格機のような薄手のものではなく豊かな倍音のような厚みが聴こえます。低域もバランスよく、ダイナミックらしい重みのある音を生かしています。

十分な高域と低域がありますが、18ドライバー機のようにワイドレンジ方向には欲張らずに中域を中心に、音の質感に焦点を当ててうまくまとめた設計が感じられます。

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tia FourteはAK380よりもSP1000のように音の質感が高いとそれをストレートに再現してくれます。SP1000はAk380よりもさらに一段以上音質が高くなっています。そこはいままでのスピーカーのハイエンドオーディオのような細かな音再現の品質でもあるわけですが、tia Fourteはそうした領域にも踏み込んで品質の向上を味わわせてくれます。むしろtia FourteはAK380よりもSP1000で能力を発揮するようにも思えます。

まとめと考察

U18は少し前に雑誌でレビューを書いた時に試聴したのですが、ワイドレンジで余裕のある音でいかにもドライバー数が多いという感触でしたが、tia Fourteでは一つの音が余裕があり豊かという感じです。
U18とtia Fourteのどちらが好きかと聞かれたら、個人的にはtia Fourteと答えます。どちらが高性能か、と聞かれると答えに窮しますが。
端的にいうと、U18は音の領域全体が進化し、Fourteでは音それ自体が進化したという感じでしょうか。

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つまりA18/U18のような従来の多ドライバー化とは別のベクトルをもって、少ないドライバーのそれぞれの音の効率を最大に引きだしたものがこのtia Fourteということができます。

64 Audioは冒頭にあげたような高級ブランドへの転換にあたって、二つの戦略というか方向性を考えたと思います。ひとつは従来のトレンドのさらなる追求(さらなる多ドライバー化)、そしてもうひとつは従来にない方向性の模索です。前者がA18/U18 Tzarであり、後者がこのtia Fourteに行きついたのでしょう。
64 Audioは地味に良い仕事をしながらも、この業界ではどちらかというと手堅い裏方にいた感じはあります。このtia Fourteで今後ちょっと楽しみなメーカーになりそうだと、ふと思いました。
posted by ささき at 07:36| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月14日

UMの新しいエントリー機、MACBETH II Classicレビュー

MACBETH II ClassicはUMエントリークラスのユニバーサルモデルとして好評を博したMACBETHの第2世代モデルです。

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改良点とIIのデザイン

改良点としてはまず筐体サイズを小型化してフィット感を向上し、UMのほこるモールディング技術や新しいファイバー素材を採用した新しいシェルデザインがあげられます。これは3Dプリンターは使わずにカスタムIEMに使用している樹脂を筐体素材として使用し、3人の職人が1つずつ手作業で模様を作っていくというもので、ランダムに混ぜ込まれたファイバーがひとつしかない個体の個性となっています。3Dプリンタのような新技術ではなく、こうしたカスタムイヤフォンのような昔ながらの手作りをしているので、クラシックという命名をしているそうです。

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またサウンドチューニングの再デザインがおこなわれ、ドライバーは前モデルとは異なるものを採用しています。オールジャンルに対応したサウンド・デザインを目指し、描き方は筐体に設けた「ポート・チューニング」やプラチナ塗装の金属製サウンドチューブ(音導管)の採用など、他の第二世代モデル「MAVERICK IIやMAVIS II、MASON II」で実現してきた独特の空間の描き方を応用しているということ。クロスオーバーやドライバーの構成は非公表です。

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このイヤフォンも好評のミックスウエーブ宮永氏によるチューンが施されたモデルです。
MACBETH II Classicのポートチューニングは、低域の量感と音空間を調整するのに使用しているとのこと。低域は減らす方向に、音空間は広くなるように調整しているそうです。ポートは一般的なアンビエントポートと同様の設計になっていますが、アンビエントポートだと外部の音が入ってくるので、アンビエントポートに特殊なフィルターを詰め込み、その問題を防ぎつつ、そのフィルターで低域の量感や音空間のチューニングを行っているということです。

音質

AK380で聞いてみると、高域はきつすぎない程度にシャープで、気持ちよくよく伸びる感じです。
低域は抑えめで上品な感じのベースで、ドラムのパンチも良好で歯切れ感も良いと思います。クリアで帯域バランスもすっきりしているのでヴォーカルも良好に聴くことができます。女性ヴォーカルは特にすっきりと美しく聴くことができるので、JPopやアニソンに向いた感じがします。

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少し細身でコンパクトですが、透明感が高くクリアでよく整ってまとまっている感じです。中高域がよく伸びて低域が抑えめという音バランス自体は少しqdcの2SEを想起しました(音自体は別のものですが)。

まとめ

魅力的でコンパクトなシェルデザイン、良くまとまって高品質なサウンドを持ったイヤフォンで、前のマクベスの延長線とはまた違った意味でUMのエントリー機として人気を博していくと思います。
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2017年07月19日

Bluetoothにメッシュ・ネットワーク機能が追加

Bluetooth LEにメッシュ・ネットワークという新しいネットワーク機能が提唱されています。下記リンクです。
https://www.bluetooth.com/what-is-bluetooth-technology/how-it-works/le-mesh



メッシュネットワークとはどういうものかというと、まずBluetoothは下のように1対1でした(画像は上の動画から)。これは一般的なBTイヤフォンなどです。(1:1)

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それがBLEでブロードキャスト機能として1対多数に発展しました。これはアップルのiBeaconなどがそうです。(1:n)

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そしてそのネットワーク・トポロジーが多数:多数に発展したものが、今回のメッシュ・ネットワークです。(n:n)

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これはIoTを念頭にしていますが、オーディオ機器がIoTを志向していけばいずれは関係するでしょう。
posted by ささき at 06:25 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月13日

CTMからユニバーサルIEMが発売

カスタムIEMで知られるCTM(Clear Tune Monitors)からユニバーサルIEMが発売されます。国内発売はテックウインドになります。発売は7月19日を予定しています。

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CTM VS2、VS3、VS4

* CTMとVSシリーズについて

CTMはフロリダ州のオーランドを拠点とするカスタムIEMブランドです。
CTMの創設者Cesar Milanoは音楽プロデューサー及びコンサート会場の監督であり、レコーディングやロックミュージシャンを手掛けていました。設計はCastor MilanoがWestoneでいうカール兄弟のようなエンジニアとなっているようです。プロフェッショナルサウンドと装着感、軽量性をコンセプトとしているとのこと。

発売されるのはビンテージ・シリーズというラインナップで、CTMとしては初めてのユニバーサルモデルです。デザインコンセプトが50年代から60年代のアメ車やジュークボックスとなっています。なぜビンテージかというと、その頃はいわばアメリカの黄金時代で音楽も輝いていたのでそのオマージュということです。
ユニバーサルモデルはペイントがない分で没個性的になりがちなので、こうしたコンセプトは面白いと思います。

こちらにCTM ビンテージシリーズの紹介ビデオがあります。(英語)


ビンテージシリーズは4ドライバ、3ドライバ、2ドライバの3ラインナップ、カラーはそれぞれのモデルでダスティ・ブルー、インテンス・レッド、パッション・ピンク、ダースブラックの4色が用意されています。
VS-4は4ドライバ構成で高域×1、中域×2、低域×1の3Wayです。 (価格はオーブンで想定価格は7万円前後)
VS-3は3ドライバ構成で高域×1、中域×1、低域×1の3Wayです。 (価格はオーブンで想定価格は5万9千円前後)
VS-2は2ドライバ構成で高域×1、中域×1の2Wayです。 (価格はオープンで想定価格は4万7千円前後)
BAドライバーはKnowles製で、シリーズの各モデルはそれぞれ個性と特徴があります。

このビンテージシリーズでは音導管にソフトシリコンを採用しています。メタルやプラスチック素材の音導管ではドライバから出て来た音、特に中音域の周波数が音導管内で反響し、素材の音が出てしまいますが、ソフトシリコンを使うことによって音導管内での不要な反響をなくし、素直で暖かな音を得られるということ。これはカスタムインイヤーモニターにおける長年の経験から、人間の耳の中には固い部分や直線がなく、全て柔らかな曲線であることからヒントを得たものということです。
たしかにどのモデルもシャープで鮮明さが高い割にはきつさ・痛さはあまりありません。

* 実機インプレッション

3モデルとも箱が凝っていてデザインが良いですね。ビンテージシリーズということでジュークボックスをモチーフにしてアメリカ製っていう感じです。箱のデザインが一モデルごとに違う点も面白いことで、VS3だけわざわざ横型なのもあまり他ではないですね。箱の横にはイヤフォンの特性や分解図も載っていて、情報的にもよくできたパッケージです。

フォームチップとラバーチップが箱の反対側に付いてるので開ける時に注意してください。またダブルフランジがひとつ付属していて、これはボックスの中パッキンの底にケースと一緒に入っています。
箱から出すと本体もビンテージっぽくアレンジされてて個性的です。雰囲気が昔のアメ車みたいですね。イヤフォン本体ではステムが太くWestoneと好対照です。イヤフォン本体は3機種ともコンパクトで軽量で、装着感も良いです。

音質はAK380で試してみましたが、どのモデルもAK380の性能にもつりあうくらい優秀です。すべてのモデルにおいて共通するのは非常にクリアで見通しの良いサウンドであるということです。
高域はわりと3機種とも似ていて、シャープでクリアです。ただ3機種で上への伸びやかさはちょっと異なります。VS2が一番鋭く、VS3が一番まったりしています。
このように高域はとてもきれいに伸びるイメージですが、仕様上は15.5kHzとか16.5KHz上限と正直に書いてあるところは好感が持てます。いずれにせよ聴覚上はVS2やVS4はハイレゾを標榜するどのイヤフォンとも譲らないような優れた高域特性があると思います。(VS3はやや緩やかです)
スペックを伸ばすために無理してないせいか、あまりきつくなりすぎていないのも良い点です。
中域・低域は3機種で個性が異なります。音の広がりかたも少し異なりますね。

-- VS2 --
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VS2はエージングなしでもはっとするくらいクリアでシャープです。イヤチップはダブルフランジが一番良いです。
かなり解像感が高く、上によく伸びます。それでいてスケール感もあるのに驚きます。2ドライバーイヤフォンも激戦区だけど、音的にはかなりの上位にいきなり食い込む感じですね。端的に言ってかなり良いです。
低域は量は標準的でやや軽めだがよく引き締まったベースラインが聴くことができます。3機種では一番ベースは軽いという感じですね。ただタイトで質のよい低域とは言えますね。

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高域はVS2が3機種で一番伸びてシャープに聴こえる。それでいてそれほどきつさを感じません。透明感も高く、VS2は単なる低価格モデルではなく、シンプルな良さが出てると思います。


-- VS3 --
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VS3とVS4はエージング1日した方が良いです。たぶんクロスオーバーなどのせいでしょう。
VS3は迫力があって、ノリが良いタイプです。VS2よりも厚みが増えて、音楽的な豊かさが重視されています。イヤチップは普通のラバーが好みです。

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低域はより豊かで、かなり量感があります。これは3機種で一番です。多少緩やかな反面でパワフルで、たっぷりとした低域が楽しめます。
少し平面的ではあるけれど、横方向はVS2よりスケール感があります。ロックなどでは音の塊感があって、迫力はありますが、複雑な音楽だとちょっとガチャガチャしやすい傾向はあります。
音再現が分厚く、一番演出的で音楽を楽しく聴けるイヤフォンです。
エレクトロ系とかロックに良いですね。能率は3機種では高めです。


-- VS4 --
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これは一番モニターっぽく、いわゆるプロデューサー向きと言う感じですね。音性能はワイドレンジで、周波数特性も整って3機種のなかで一番高いです。イヤチップはダブルフランジが一番良いです。
シャープ感も高く歯切れも良いですね。低域は量感があるというよりも、タイトで整った感じです。これもクリアさが高いのですが、音に余裕があるためVS2のように痩せたように感じられる点はなく、豊かな音だと思いのます。横だけではなく立体的に音場が広がります。音は濃いめで情報量も高いですね。
高域はやや抑えめで落ち着いた印象を受けますが、VS3よりはシャープで伸びていく感じです。細身になりすぎないで、ヴァイオリンの音色も豊かさが感じられます。

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複雑でもごちゃごちゃした音楽でもきれいに解きほぐして、ガチャガチャしません。それぞれの楽器パートが整理されて聴こえます。
鮮明さに秀でたVS2や分厚さのあるVS3は一芸に秀でたタイプだが、VS4はマルチドライバーの余裕で優等生タイプの音作りです。

* まとめ

音楽の相性で端的に言うと各イヤフォンは次のようになると思います。
VS2は小編成アコースティック、ジャズトリオなど、VS3はロック・ポップ・エレクトロなど、VS4はクラシック向けとも言えますが、合う範囲は広いと思います。VS2、VS3は個性が強いので相性がありますが、VS4はわりとなんにでも合うと思います。

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とても個性的なラインナップであると思います。パッケージやイヤフォンのデザインも個性的ですし、音質もたんなる松竹梅のクラス分けにならずに3機種ともに個性があります。たとえばVS2もたんなる低価格モデルとはちがいますね。低コストゆえのシンプルさを逆に透明感の高さに生かしています。
CTMはカスタムメーカーとして知られていましたが、ユニバーサルでもっとユーザーを獲得するのではないかと感じさせてくれる製品群です。
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2017年07月11日

ユニークなハイブリッド・ドライバーの新鋭ブランド、AZLA(アズラ)レビュー

韓国の新鋭イヤフォンブランド、AZLAがデビューします。国内ではアユートから発売されます。
AZLAは韓国のオーディオ業界で活躍してきたAshully Lee氏が今年立ち上げたブランドで、今回の製品名もブランド名と同じくAZLAとなります。それだけこの初回の製品にこめた思いが強いと言えます。

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AZLA silver

色はLunatic Silver(シルバー)とMeteor Gray(グレイ)の二色があり、透明のシェルの中に見えるドライバーの色とバックカバーの色の違いとなります。価格はオープン(参考直販価格 49,980円税込み)で発売日は調整中ということです。

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AZLA Gray(下)とSilver(上)比較


* 特徴

AZLA(アズラ)とはフランス語のAZUR(天空)とラテン語のLAPIS(石)の「天空のかけら」を意味しているとのことです。ちょっとジブリアニメを連想しますが、これはいままでになかった新しい音の世界を意味しているということで、目指すものは新次元のサウンド、そして聴いて楽しい音を目指して、開放型のようなすっきりとした空間表現と、密閉型のような豊かな低域を両立させることだそうです。
それを実現するため、AZLAには大きな特徴が二つあります。


AZLA テクノロジー イメージ動画

1. BAとダイナミックの同軸ハイブリッドドライバー構成を採用 (BED)

AZLAはBAドライバーとダイナミックドライバーを同軸で組み合わせたハイブリッド構成を採用しています。このためにふたつのドライバーの位相差を減らすことができるとのこと。これはあたかもシングルドライバーのようにふるまえるということで、音場とか立体感で有利になるでしょう。
ドライバーの担当はダイナミックドライバーはフルレンジ的な使用をし、BAドライバーは中高域を担当しているということです。

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BAとダイナミックドライバーの同軸配置

ドライバーはDynamic Motionの協力を得ているということで、ダイナミックドライバーは11mmでダイアフラムの素材は2層素材を特徴としているということです。また同軸の構造についても、磁石でなく振動板に特色があって他メーカーとは異なる独自の特徴があるということです。

2. 中は開放、外は密閉の独自のエアフロー技術 (Infinity sound technology)

イヤフォンはドライバーとシェルの二重構造になっていて、中のドライバーユニットにはダイナミックドライバーを効率よく動かすための空気抜きのベント(ポート)がありますが、透明の外殻(シェル)にはベントがありません。つまりイヤフォンの形式としては密閉型ですが、ドライバーの外に適当な空間があって、そこがチャンバー(空気室)のようになって、ダイナミックドライバーの背圧を適度に逃がして効率が高まるようです。これでクリーンなベースが確保できるということです。

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ハウジング内のエアフローの概念図

この二つの技術によって作られたドライバーをInfinity driverと呼ぶそうです。中のドライバーはアルミの切削加工による2ピース構成で、シェルはUV加工されたポリカーボネイト製です。ポリカーボネイトはイヤフォンに使われる一般的なシェルの材質よりも加工は難しいが、より傷に強く透明度が高くてきれいということで採用したということです。

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イヤフォン構造

また隠れたところでは内部のケーブルも芯の数が多いものを採用しているのがひそかなポイントだそうです。

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AZLA Gray

またメインのドライバー以外でもマニアックなこだわりを見せているところがAZLAのポイントです。
最近では標準ケーブルに高級ケーブルをはじめから添付する例が増えていますが、AZLAでも香港Labkable(ラブケーブル)社製のSilver Galaxy Mix MKIIをベースにしたAZLA専用設計のケーブルが標準でついてきます。これは高純度銀と6N OFCのハイブリッドで、単体で買ったとしてもそれなりの価格になりそうです。2.5mm 4極版もそう遅くない時期に出すということです。

それにポータブルオーディオ界隈で良く使われるDignis製のイヤフォンケースも付属してきます。
ファブリック製のケースは撥水加工のあるコーティングがなされ、内部の仕切りにも工夫があるのがポイントだそうです。

* インプレッション

外観は近未来的なカッコ良さがあり、インナードライバーのアルミとアウターシェルの透明なポリカーボネイトが良い組み合わせです。標準でリケーブルされたような高級ケーブルが付いてくるのも良いですね。
装着感は良好で、シェルが耳にすぽっと入るのもきちんと固定されている感じがあります。

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AZLA silver, AK70

再生のリファレンス機としては、Astell & KernのAK70とAK380、SONYのWalkman WM1A、WM1Z、そしてiPhone6だそうです。スマートフォンでの仕様も考慮しているそうです。
ダイナミックが入っているので50時間はエージングしてからAK70で聴きました。(100時間やるとレビュー書く時間なくなっちゃうので)

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AZLA silver, AK380

聴いてすぐに感じるのは立体的に空間が広がるような独特の音世界と、躍動感があり低域のたっぷりとしたインパクトのある個性的な音です。支配的なのは厚みとか重みのあるダイナミックの音ですが、中高域に傾聴するとアコースティック楽器の音もきれいで明瞭に聴こえます。
モニター的に録音の粗を探すのではなく、好きな音楽を聴いていると音楽世界に没入できるようなイヤフォンです。

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AZLA silver, AK70

低域は量感があるだけではなく、深みとインパクト感があります。低音のドラムスやベースのアタック感は緩くはありませんが、鋭利と言う感じでもありません。低域はたっぷりとありますが、ヴォーカルが埋もれるほどではなく、声ははっきりと聴こえます。中高域の解像感も十分にあり、アコースティックギターの鳴きや残響感もリアルに聴こえます。
躍動感があってAK70にはよく合いますね。AK380を使用するとさらに立体感の良さが際立ってきます。380のようにDACが強力なプレーヤーでは楽器の重なり表現が見事です。

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AZLA silver, iPhone6

iPhone6でもそれほどボリュームを上げずに7割程度で音量は取れます。FLAC Playeで上原ひろみのAliveなんかを聴くとやはり音の広がりが良くたっぷりと低音が乗ったダイナミックな音が楽しめます。音再現も滑らかで楽器音もきれいです。ただ立体感に関してはやはりDAPを使った方がより感じられますね。独特の立体感がiPhone直ではいまひとつです。


* まとめ

AZLAは個性的なイヤフォンで、デザインも個性的でよく、音も個性的で良いですね。
まず立体的な広がりのある音再現が独特であり、ベースを軸にしたダイナミックな音作りも楽しめます。ヴォーカルや生楽器もなかなか良いです。
アユートさんが言うには、この価格帯での新しい定番にしたいということです。ケーブル等も含めてたしかに価格を超えた内容があって、コストパフォーマンスは良いし、マニアにも訴求するような個性もあると思います。
特にAK70ユーザーにはお勧めのイヤフォンです。

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AZLAは楽しい音作りというターゲットがあって、ダイナミックドライバーを選びBAで強化し、そのため同軸ハイブリッド化し、
低音と音の広さ・開放感のために独特のベント構造を撮った、ということで、明快な作り手の主張を明快なロジックで作り上げたイヤフォンだと思います。
それにマニアックなケーブル ケースがついて、少し上のマニアにも訴求できるというところもポイントでしょう。
実際の音にもそれが結びついていますし、なかなか面白いブランドが出てきたと思います。
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2017年07月06日

Beat Audioのライトニング/3.5mmアダプタレビュー

まえにAppleのライトニング/3.5mmアダプタを紹介しました。ライトニングのデジタル信号を3.5mmのアナログ信号に変換するわけですから、実質的にはケーブルのついた超小型のDAC内蔵のポータブルアンプです。常に携帯できてバッグに苦も無く入れられ、iPhoneを手に持ったまま気にならなくケーブルの延長として使えるというのはなかなか使えます。
この3.5mmアダプタはたしかに価格の割にはなかなか使えるアクセサリーではありますが、わたしとかはわりとハイエンドイヤフォンをよく使うので、使い始めるともう少し音が良ければと欲が出てきます。アップルのアダプタを高品質ケーブルに交換した改造品をどこかで売ってないとか思ったりしてましたが、Beat Audioからもっと良いものが出ました。

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それがBeat Audioから登場したSilversonic MKV Lightning to 3.5mm Adapter Cableです。アップルの3.5mmアダプタの高音質版と言ってもよいでしょう。

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Apple純正アダプター(上)

Appleのものと比べてみるとBeatのほうが少し長い程度で、取り回しなどはあまり変わりません。軽さもほぼないようなものですね。これもDACに相当するICが入っています。

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Beat Audioはプラグの品質もとても高いのですが、このケーブルもライトニングプラグの出来の良さにまず驚きます。ケーブルの素材には、特注の銀メッキ銅導体を使用し、Lightning端子の外装には丈夫なアルミニウム合金を使用しているとのことです。
価格は7,400円(税別)ということですが、見合うもののように思います。

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Campfire Audio LyraII

音質ですが、Campfire AudioのLyraIIとUMのMaverickIIにSignalを付けたものを使ってみました。特にSignalをつけるとBeat同士なので見た目もすっきりします。
結論から言うと、このくらいのレベルのイヤフォンを使っている人には、かなりはっきりわかるくらいの音質差があり変える価値は大きいと思います。Maverickらしい切れ味の良さや、Lyraらしい深い低音などハイエンドイヤフォンらしさも十分にわかります。

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Campfire Audio LyraII

比較してみると全体にBeatの方が晴れ上がったようにクリアで、音は洗練されて粗さ痛さが少なくスムーズです。細かい音もはっきりと聞こえて鈍くありません。
音が団子のように絡まないでよほぐれて明瞭感があります。

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Campfire Audio LyraII

低音はぱっと聞くとアップルの方が量感あるように感じるかもしれませんが、実のところドラムやベースなどではアップルの方は軽くてアタック感も鈍いのがわかると思います。これはシルバー線材の歯切れの良さもあると思います。Beatのほうが低域の深みが表現できるので、聴きこむと差ははっきりわかります。
高域はアップルの方は少し鈍い音がしますが、Beatはきちんとシャープなカチッとした音が楽しめます。

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UM MaverickII

私が一番使いたくなるのは、普段はAK380にこのクラスのハイエンドイヤフォンで聴いているときにiPhone7で記事を読んでいて、急にこの紹介されている曲が聴きたくなるというときですね。ストリーミング品質でも十分わかる程度の差はあります。もちろん3.5mm端子のない7以外でも、iPhone直の音はちょっと、という人には積極的に使えると思います。

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UM MaverickII

もちろん内蔵のハイレゾ音源を活用して本格的なDAC内蔵ポータブルアンプを使う場合に勝るというわけではありませんが、(ロッシー)ストリーミングであればこれでいいかなというくらいの音質はあると思います。むしろストリーミングということを忘れるくらいの音質の良さではありますね。iPhoneでストリーミングよく使う人むきです。私とかはBandcampの新作やオススメを毎日チェックするので、日頃良く使うハイエンドイヤフォンでそうした、ちょっとした音楽リスニングが高音質で楽しめるというのはちょっと気持ちよいものです。しかも日頃携帯するのに苦になりません。
映画やドラマをストリーミングで見る時の迫力も一層あがりますし、ストリーミングでもこだわりを持って聞きたという人にお勧めです。
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2017年06月28日

シングルダイナミックの到達点、Dita Audio Dreamレビュー

DreamはAnswerで日本、そして世界へデビューしたシンガポールのオーディオメーカーであるDita Audioの最新作にしてフラッグシップです。Answerもデビュー作にしてはなかなか練られて時間をかけて作られていましたが、Dreamではいっそうの作りこみがなされています。
参考としての直販価格は¥219,980 円(税込)とAnswerよりも上になりましたが、ダイナミック型シングルドライバーイヤホンの究極といってもよいでしょう。しばらく使いこんでみてそう思います。ダイナミックだけではなく、マルチBAのフラッグシップクラスとも比肩できるレベルと言えると思います。

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下記は代理店アユートさんの製品ページです。
http://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2103.php

Answerに比べると全面的に刷新されたまったく新しいデザインを採用しています。
なかでも特徴的なのはAwesomeプラグというプラグ交換システムです。Awesomeというのは「すごい」という意味ですが、これはプラグが交換可能になっていて、プラグを交換することで3.5mmアンバランスや2.5mmバランス、4.4mmバランスにも対応できるというものです。ケーブル線材は引き続きVan den Hulが担当して、シルバータイプの線材が標準で使われています。
Answerでは接触面をできる限り減らしたいというオーディオファイルらしい要求からあえてケーブル交換可能な形にはしなかったのですが、Dreamでは2ピンによりケーブル交換が可能になっています。
これもCEOのダニー氏に言わせるとどちらかというと断線した時の保証のようなものということです。実のところ標準でついているVan den Hulのケーブルの品質の高さを考えると交換する必要はあまりないかもしれません。しかしながらバランスにも対応は必要であるという点からプラグ交換という仕組みに行きついたわけです。
実際使って見ると、ケーブル交換するよりも簡単に3.5mmと2.5mmバランスの交換ができますし、音自体は変化しないのでこの仕組みはなかなかよくできています。AKプレーヤーとMojoの使い分けなんかでも簡単です。

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このほかにも全面的に新設計となり、ハウジングは精巧な技術を有する日本で加工される高精度のチタン製のシャーシです。これはエアフローの最適化とダンピング制御の向上にも貢献しているとのこと。音響工学に基づき設計したチタンシャーシ内の形状を、精度高く切削するだけでなく、全ての接触面を限りなく平面に研磨する為に、精巧な技術を有する日本でシャーシ加工を行うという凝りようが再びここでも発揮されています。
新開発の10mm 径ダイナミック型ドライバーはカーボンコーティングを施したマルチコート・マイラー振動板の採用、そして 高純度 OFC によるボイスコイル、高磁力のリングマグネットとポールピースの 搭載など、Dita Audioの哲学でもある「気品あるシンプリズムにより純度を限りなく高く」という目標のもとに、広帯域に渡りレスポンスに優れた自然で正確なサウンドを提供するとされていますが、まさに息をのむような音性能の高さには圧倒されます。
またドライバーの左右差が極限に近く少ないのも特徴で、これによって位相のそろった立体感の良い音再現が可能になります。

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ボックスは豪華なもので、なかなか洒落たイヤフォンケースが付属してきます。付属品としては音の違うイヤチップが3種類ずつ、S/M/Lとついているのでそれで音を自分のの好みでチューニングすることができます。
またT400くらいのサイズのチューブなのでわりとさまざまな市販イヤチップを使うこともできます。

デザイン

Dreamのハウジングはチタンで成形され、頑強さと軽さを兼ね備えています。特徴のひとつはAwesomeプラグ(awesomeはすごいの意)です。Awesomeケーブル/プラグについてはまた別記事で詳しく書く予定ですが、ケーブル交換ではなくプラグ交換と言うのは3.5mmと2.5mmをよく取り変える場合にたしかに便利だと思います。線心自体は4本で根元まで来ていますので、3.5mmでも立体感は高くなっています。
ケーブルプラグは2ピン仕様で、新バージョンではかなり硬くて抜けにくくなっています。
チタン製のハウジングは装甲か鎧のようで、Awesomeプラグのプラグのネジなんかとも合わせていかにも精密感とメカメカしい感じがカッコよいと思います。

音質について

Dreamの最大のポイントはなんといっても音質の良さです。ダイナミックではトップクラスと言ってよいでしょう。いや、ダイナミックでは、と断る必要もないかもしれません。
まずAK380単体の3.5mmで聴きましたが、驚くほど音が良いという感じで、あのDitaのAnswer truthよりも格段に良くなっています。
音の個性はAnswerをさらに進化させたように、基本はがっちりとしたクリアではっきりとした音の輪郭を持っていて音の切れ味がするどさを聴かせてくれます。
以下で音の特徴をポイントごとに述べていきます。

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「ダイナミックらしくない圧倒的な解像力と切れ味の鋭さ、ダイナミックらしい迫力と躍動感」

Dreamは全体にマルチBA機と比べると重みがあってダイナミックらしい迫力を感じます。ダイナミック機の中でも音に重みや厚みが高く感じられる方だと思います。
一方でダイナミックの甘さは少なく、極限までだぶついた贅肉がないとても先鋭な音再現を聴かせてくれます。

DreamはBAのような切れ味と解像感、ダイナミックの音の厚みを持ってると言っても良いでしょう。
特にアコースティック楽器は圧巻で、たぶん売ってるイヤフォンの中でも最強レベルと言ってよいかもしれません。楽器の音の再現力、ヤニが飛ぶようなリアルさと解像力、シャープな切れ味がためいきものです。
私が思ったのは切れ味の良さでNobleのKatanaに似てる感じですね。躍動感と言う意味ではK10 encoreのダイナミック版といっても良いかもしれません。K10でいえばこの極限的なクリアさ透明感はオリジナルではなくencoreの方です。それをダイナミックにした感じでしょうか。
ひずみ感が少なく音がすっきりピュアで、引き締まって贅肉もない。それでダイナミックだからドラムやベースのアタックも鋭いと感じられます。

解像力が高く、細かな音の粒子を積み上げて、音鳴りのリアルさを再現するのは圧巻です。
普通シャープなイヤホンは乾いて人工的な音になりがちですが、Dreamは音の生々しさとか自然さという点でも今まで聴いた中でトップクラスです。これはチューニングの妙もあると思います。前のAnswerのように鮮明で切れ味の良さも感じられますが、厚みとか豊かさも増して、自然でリアルな表現に進化してます。
ピアノの音の歯切れがよく、ただのソロピアノでも気持ち良く、存在感が高まります。バロックヴァイオリンの弦の鳴りの倍音が豊かでリアルさを高めます。
細かい音がよく聞こえ、AK380のクロックの正確さや改造力など、そのポテンシャルを引き出してると思うし、AK380がさらに一段と高音質に感じられます。

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Ditaの提供するジャズ音源を聴くと驚くくらいの生々しさを感じられます。音の鮮明さがよくわかり、楽器の音の忠実な再現、ヴォーカルの息遣いの生々しさがよく伝わって来ます。アーティストが、録音エンジニアが、伝えたかったものがよく伝わって来ます。ダイナミックとしての躍動感もひときわ高く感じられます。
例えばオールドロック懐古的で録音も良いトレバーホーンのThe Producersだと今まで聴いた中で一番良い再現を聴かせてくれます。
スピード感もあり、ノリも良く、ドラムやベースの切れも良い。ドライブ感やパワーも感じます。

ただし録音や曲によっては高域がきついと感じることもあります。しかしながらこれはDreamのせいというよりもむしろ録音のせい、特にPCMのデジタルっぽさに由来するところが大きいともいえます。こういうように顕微鏡のように音のささいな凹凸もあぶり出すようなイヤフォンこそ、DSDネイティヴ再生で聴いてほしいと思います。たとえばRyu MihoのDSD11.2Mhz音源をAK380で聴いてみてください。これが本当のDreamの実力であり、今まで一番DSDネイティヴの良さを生かせるイヤフォンと感じられます。DSDネイティブとPCM再生の差がいままでのイヤフォンではそれほど大きな問題と感じなかったということですね。
とはいえ現実にはPCM音源できつい録音を聴くことも多いわけですから、そのときはチップで少し工夫するということはできると思います。

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* Dreamのチップ選び
ユニバーサルイヤフォンのポイントの一つはイヤチップが大事で、かつ音を変えることもできるということです。いくつか種類があるときには装着性とともに音の好みも大きい要素となってきます。Dreamの場合には標準で3種類のチップがついてきます。これらは開口部の大きさで違いがあり、大きいものほど高域が強くなる傾向があります。もしきつさを和らげるという点では青いチップが一番良いと思います。
またDreamはステムの太さが適度なので、わりといろいろと社外品のイヤチップが使えます。コンプライのフォームチップはT400が使えます。高域を和らげて低域を増やすという点では良いのですが、もともと低域の量感はフォームでなくても十分確保できていることと、Dreamの良さである歯切れの良さが少し減退するようにも思います。フォームチップだとCampfire Audioのフォームだと歯切れの良さはそれほど減らないのでフォームを使いたい場合にはお勧めですが、
社外品のイヤチップではやはりスピンフィットが装着性と音質のバランスで最も良いと思います。まずクリアさと解像感は半端ないですね。

「シングルダイナミックらしくない帯域再現、シングルダイナミックらしい立体感」

Dreamは上から下まで均質性が高く、高域表現の鋭さ、豊かな低域、明瞭感の高い中域など、シングルダイナミックとは思えないくらいのワイドレンジです。
高域はきれいに淀みなく伸び、高域のベルの音が気持ち良く感じられます。
低域はやや多めで、ダイナミックらしい重みがあります。ロックではこの重みが気持ち良いです。Answerでも低域をすこし増していたのですが、今回も期待通りにだっぷりした低域を堪能できてダイナミックドライバーの魅力を伝えてくれます。
中音域のヴォーカルは肉感豊かで艶っぽさがあります。立体感の良さと相まってくっきりと浮き出るようにヴォーカルが聴こえるのもDreamの魅力です。これはあとで書くようにチューニングの完成度が高いこともあります。
ヴォーカルは適度な湿り気があって無機質にならないのはダイナミックならではの魅力を両立させています。BAにありがちな無機的ではありませんが、着色感があるというほどには音に色はありません。

Dreamの特徴のひとつは立体感が際立って良いことです。特にAK380のようにDACの優れた再生機で聴くと3.5mmでは聴いたことないレベルの立体感が味わえて圧巻です。音の重なりという意味だけではなく、左右の広さと言う点でもすべてのイヤフォンの中でもかなり広い方だと思います。
これはマルチBAに対してはシングルドライバーと言う位相の優位さもあるでしょう。むしろシングルダイナミックだから達成できたものかもしれません。またこれは左右ドライバーの性能マッチがうまくいっているというチューニングの要素もあると思います。

クラシックでも迫力があってスケール感を感じられます。低音がたっぷりあってピラミッドバランスがあり、シングルの位相の良さで音場も良いと思います。
3.5mmシングルエンドでも音の広がりが良く、これはケーブルの良さもあると思います。ロックでもダイナミックらしく線が細くならずに太めのパワフルな気持ちよいインパクトを聴かせてくれます。
バランスに変えるとさらに音が回りこむように広がります。これもまた魅力的です。

「完成度の高いチューニング」

実のところDreamの良さの基礎を支えるのは、かなり完璧なチューニングだと思います。
長く開発に時間がかかっただけあって、高いところから低い音まで見事にチューニングされています。ここに来るまでにDreamにはいくつかのプロトタイプがあり、ひとつ前は中域の低域かぶりがあって少しヴォーカルが曇ってた(それでも他機種ならオーケーレベル)んですが、この製品版では見事にスッキリと晴れ上がっています。ヴォーカルの聴き取りやすさはイヤフォンでもトップクラスでしょう。
十分なほどの低音の量感があって、音楽全体の豊かさを増してるが、中域が曇るほどではありません。
CEOのダニーは音作りにおいて完全主義者で交換ケーブルも拒否してましたが、今回はそこはゆずって音のチューニングで完全を求めた感じですね。

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まとめ

DreamはAnswerの良さは引き継いでさらに進化したものと言えます。
変わらないものは音質と機械工作的なこだわりです。
いわばダイナミックらしくない切れ味の良さ、ダイナミックらしい音の豊かさと厚み暖かみを有しているのがこのDreamです。

ここでいままでのサブタイトルを再掲することでまとめとします。

1. 「ダイナミックらしくない、圧倒的な解像力と切れ味の鋭さ
ダイナミックらしい迫力と躍動感」

2. 「シングルダイナミックらしくない帯域再現
シングルダイナミックらしい立体感」

3. 「完成度の高いチューニング」

感度はちょっと低めですが、AKプレーヤーでも音量は取れます。iQuve V5のように強力なアンプを使って鳴らしてあげると立体感などがさらに際立って良くなります。

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いままでダイナミックドライバのイヤフォンを選ぶ場合には絶対的な音性能の高さではなく、暖かみや躍動感と言ったポイントで選ぶことが多かったと思います。たとえば、音質の最高レベルを目指すならばマルチBAのカスタム、でも暖かみのあるダイナミックも良いかな、という感じでしょうか。
Dreamは音性能の高さで純粋に選ぶこともできるダイナミックドライバー機であり、高いレベルでイヤフォンの音の魅力を両立しています。

Ditaのはじまりはヘッドフォン祭でした。青山だった時ですが、シンガポールのメーカーでイヤフォンを作ろうとしているところがあるのでちょっと見てもらえないかと言うことで、呼ばれてアンダーテーブルで彼らに初めて会いました。それはいまのAnswerのプロトタイプで、これはハイエンドだと言い想定価格もかなり高めだったのですが、音を聴いてみたらこれはかなり良いのでいけると思いました。まず日本市場で認めてほしいということだったのですが、その年の秋のヘッドフォン祭では持ってきたAnswerがすべて売れたということでまずはよかったと思いました。そしてDreamが構想され、長い時間がかかりましたが、ここに結実したと思います。彼らの情熱が"Dream"を実現したと言えます。
このようにDreamは現在最高のイヤフォンの一つであり、シングルダイナミックとしてはひとつの到達点といえるでしょう。
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2017年06月21日

MEZEの美しいヘッドフォン、99Classicsと99Neoレビュー

テックウインドから新しいヘッドフォンが発売されます。
Meze 99 classicと99 Neoの2種類で、このほかにもイヤフォンが発売になります。本稿は99 classicと99 Neoのレビュー記事です。

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99Classicsと99Neo

Meze(メゼ) Audioは2009年にルーマニアで誕生したブランドで、代表のAntonio Meze(アントニオ メゼ)は様々な分野のデザインを手がけていたようです。彼はギタリストでもあって、自分で満足できるヘッドフォンを作りたいがために創業したようです。

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そして2015年に発表した99Classicsが世界的な人気となります。
Meze 99 classicはHeadFiをはじめ、海外で高い人気を得たヘッドフォンで美しいデザインの木製のハウジングを採用しています。99 NeoはClassicの好評を継いで後から発売されたモデルで同じ振動版を使っていますが、チューニングは異なり音の個性も違います。またデザインもブラックのモダンな外観となっています。

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99Classicsと99Neo

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さすがデザイナーが手がけたブランドらしく、外観とハウジングの作りはなかなかよくできていて、装着性も快適です。ハウジングのカップがNeoとClassicでは異なりますが、それ以外はほぼ同じです。ハウジングの表面はなめらかできれいに加工がなされている。ケーブルの左側にリモコンがついています。
重さはわりと軽めでそう負担にはならない程度だと思います。締め付けはあまり強くはないタイプで長くつけててもそう不快感はないでしょう。両方ともクローズタイプで短いケーブルが付いてくるのでポータブルでも使うことができますが、折りたたみはできません。99 Classicには家で聴くための長いケーブルも付いてきます。

NeoとClassicのポイントは振動板は同じで音質レベルはほとんど同じですが、チューニングが異なるためそれぞれ音の個性があります。

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99Classics

Classicはより忠実で、やはり音楽がきれいに聴こえて心地よい音再現です。
低音もNeoより引き締まってタイトですっきりとしたベースです。Neoの少しガチャガチャとした感はClassicでは少なくなり、端正な音を聴かせてくれます。
全体にクリアで曇りの少ない音再現で、すっきりと楽器音が美しく聴こえるタイプです。きつさは少なくやや丸めだが鈍いわけではなく、楽器音やヴォーカルは明瞭に聴こえる。ひずみ感も少なくすっきりと端正に楽器音が聞こえます。
高域表現はシャープさは適度で、どちらかというと優し目できつさは少ない感じですね。きつさが少ないので長い時間聴けるタイプだと思います。
低域の再現はダブルベースが気持ちよく聴こえるくらい量感は十分にありますが、フラットよりは低域が強い傾向ではあります。またわりと低いところまで出て、低域もよく整っていると感じられます。
全体にバランスよく上品な表現ですが、あまり平坦すぎることもなく、適度な低音の味付けはされています。音の明瞭感も高いので、いわゆるジャズ・クラシック向けですが、ヴォーカルを聴きこみたい人にも良いと思す。

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99Neo

Neoでは低域がたっぷりあって、音が分厚く、楽器の音は多少誇張されてきれいに聴こえます。楽器やヴォーカルも明瞭に聞こえ、わりと細かい再現力もあります。演出感は強いが、エレクトロ系やビート系などに向いています。ヘッドホンならではのロックのパワー感や迫力を堪能できますね。
Neoはかなり低域が強調されてベースヘビーなので、ビートの効いた音楽やエレクトロ系によく合います。ただし、ややヴォーカルに明瞭さが欠けることもあります。また楽器を聴きこむとやや音は粗く聴こえます。
高域はclassicよりもシャープに聞こえるのですが、よりきつめにも聞こえます。勢いがあるタイプでヘビーなロックやポップに向いています。エレクトロニカなどもneo99のほうが良いですね。

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端的に素直で音再現が端正なのがClassic、演出気味で勢いのあるのがNeoという感じです。聴きたい音楽で選ぶと良いと思います。
双方ともiPhoneにも向いていて、初級ヘッドフォンやイヤフォンからステップアップしたい人は、かなり音が良く聴こえると思います。
ただClassicのウッドハウジングはなかなかに良くできていますので、スタイルで選ぶというのもありだと思います。

端的に言ってデザインが良く音も良いというのがMEZEの特徴です。価格は99 Classicsが市場想定価格が29,800円前後、99Neoが24,800円前後と言うことでお手頃だと思います。
一番お勧めはNeo、ClassicともAK70あたりに合わせることです。AK70とNeoの組み合わせはロックファンにお勧めです。iPhone直でヘッドフォンリスニングをしたい人にも良いですね。ポータブルでヘッドフォンリスニングを楽しみたい人はぜひチェックしてみてください。
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2017年04月28日

フェンダー新製品発表会ハイエンドIEM発表

本日フェンダーのIEMの新製品発表がありました。私は司会を務めました。
フェンダーでIEMをやるのはプレイをしないフェンダーファン向けということで、フェンダーの理念を伝えたいということ。

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発表されたのは二機種でまずローエンドのCXA1、これはリモコン付きでフェンダー初のコンシューマ向けモデルです。
注目はハイエンドのFXA9です。6ドライバー機でハイ1、ミッド1、ロー2、サブウーファー2です。
フェンダーIEMの母体であるAurisonicsはハイブリッドデザインで知られてますが、A9はオールBAデザインでハイブリッド的なノウハウも加えてるところがポイントです。これはミュージシャンがオールBAを望んだからということです。

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これはどういうことかというと、A9のポイントは低音で特に超低音です。まず気がつくのはオールBAなのにベント穴(ポート)が空いてます。これをデールロットに指摘したら「お前がそこに初めて気がついた」って言ってました。
サブウーファーは3Dプリントで造形されアコースティックチャンバーのように他のドライバーと隔絶されてます。ここに二基のサブウーファーだけ外部にベント穴(ポート)が通じてます。これで低域のレスポンスの良さ(60Hz前後)と開放感のある広がりがえられるとのこと。
ポート穴は外に通じてますが、試してみると外に音は漏れないようで、外の音もあまり聞こえません。IEMとして遮音性は極めて良い方です。たぶん超低域だけ隔離してポートに繋いでるからだと思います。
もう一つのポイントはA9ではサブウーファーのクロスオーバーがなく、音導管の太さと長さでアコースティックにローパスさせる方式を取っている点です。これもデールができるだけ電気的にクロスオーバーを使いたくないからだそう。ハイとミッド、ミッドとローは電気的にクロスオーバーがあります。
また低域以外では24金をノズルに使うことで音に変化がないことを狙ってるということ。デールからお墨付きのある熟練工(一人のみ)のハンドメイドの製作も良い点です。

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聴いてみると音の広がりが独特で開放感があります。躍動感もあってヴォーカルが良いですね。Aurisonicsらしい音ですがオールBAのためにもっと洗練されている感じです。

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ヘッドフォン祭ではぜひ完実さんのブースでお聞きください。

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2017年04月06日

Hugo2とPolyのインタビュー公開

この前のHugo2/Polyの発表会の後に個別にジョンフランクス、ロブワッツ、ラジフ(Polyエンジニア)にわたしがインタビューしたものがPhilewebで公開されました。
下記Philewebへのリンクからご覧ください。
http://www.phileweb.com/sp/interview/article/201704/06/452.html

かなり濃い内容で、かつロブワッツの語るデジタルフィルターの使いこなしなどユーザーにも役に立つ情報がいろいろあると思いますのでぜひ読んでみてください。

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2017年03月29日

Unique Melodyユニバーサルモデルの新世代機、MAVERICK IIとMAVIS IIレビュー

Unique Melodyはユニバーサル機戦略として地域戦略を用いています。日本ではミックスウェーブの宮永氏がチューニングしたMAVERICKがデビューし、人気を博しました。
そしていよいよその後継機となるUnique Melodyのユニバーサル第二世代機であるMAVERICK IIとMAVIS IIが登場しました。今回はおもにそれぞれの前機種やカスタム版と比べてどうかという点と、MAVERICK IIとMAVIS IIをくらべてどうかという点に焦点をあてて書いていきます。
なお明確にするために初代MAVERICKをMAVERICK Iと書き、初代MAVISをMAVIS Iと書きます。

* MAVERICK II ユニバーサルIEM

MAVERICK IIはオープン価格(メーカー希望価格 税別137,600円)です。
大型ダイナミックとBAのハイブリッド形式は従来通りですが、ポート(ベント穴)がMAVISのように二個に変更されています。またクロスオーバーの最適化、プラチナ塗装の合金をサウンドチューブに採用し、前モデルとはダイナミックドライバーと中音域BAが変更されているということで改良がなされています。

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MAVERICK IIは前よりも音質がより良く明瞭感が増しているように思います。相変わらず低音のパンチもよく、名器の改良版という期待に応えたレベルが高い音です。装着感は良く、全体が耳にぴたっと収まる感じです。
全体の音調とか個性はMAVERICK Iと似ていますが、全体に音がより明瞭になり解像力が上がったように思えます。音の広がりも向上しています。低域もMAVERICK特有のパンチの強さがよりはっきりと感じられます。またMAVERICK Iよりも能率が少し高いかもしれません。
良録音のジャズヴォーカルではMAVERICK Iよりも鮮明にヴォーカルが聞こえ、ベールを1枚取ったようによりクリアに感じられます。

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MAVIS IIと比べると、
MAVIS IIではロックやエレクトロはおとなしく感じられてしまいますが、MAVERICK IIだと躍動的に前列でライブを見てるように音が襲いかかってくる感が味わえます。
ポップやアニソンなどを聞くと音楽の躍動感はMAVERICK IIのほうが良く、音楽のかっこよさを伝えると言う点ではMAVERICK IIが好みですが、ヴォーカル自体はMAVIS IIの方がこうした曲ではごちゃごちゃせずに整理されてよりはっきりと声やナレーションが聞こえます。

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進藤麻美のピアノソロの「ラ・カンパネラ」を聴くと、MAVERICK IIだと打楽器のように強いインパクトが感じられ、まさにピアノが打楽器でもあるということを感じさせてくれます。しかし、プレーヤーとの組み合わせなどでちょっと音が強すぎるというときはコンプライ・イヤチップなどフォームチップにするとMAVISの音に近くなります。

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コンプライTsx

MAVERICKカスタムと比べた場合でもMAVERICK IIのほうが、より明瞭感が高くクリアでよりパンチが鋭いと感じます。メリハリがより濃く感じられますね。特に一枚ベールを取ったような鮮明さはMAVERICK IIの特徴です。MAVERICK IIと比べるとMAVERICK IとかMAVERICKカスタムはやや音が鈍く感じられます。


* MAVIS II ユニバーサルIEM

MAVIS IIはオープン価格(メーカー希望価格 税別 111,000円)です。
前モデルに比較してクロスオーバーの最適化、プラチナ塗装の合金をサウンドチューブに採用しています。すでにMAVISは生産終了しましたので後継機となります。

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MAVISとはウタツグミという小鳥で美声で知られているということです。そのためMAVISのイメージカラーというかフェイスプレートはウタツグミの茶色だそうです。
MAVIS IIは少し控えめで落ち着いた感じなところは前に似ています。こちらも装着感は良いです。MAVISの名のもとのように音色がきれいで、またホールの感じがより広く感じられます。
低域のボリューム感、量感もさすがダイナミック二発でたっぷりありますね。低域はMAVIS IIでも緩みは少ないのですが、鋭さではダイナミック+BAウーファーのMAVERICK IIの方が鋭く感じられます。音場に関しては、MAVERICK IIが客席前列で音が飛び込んでくる感じとすると、こちらは中央で音楽監督が全体を俯瞰してる感じでスケール感がよいと思います。

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進藤麻美の「ラ・カンパネラ」を聴くとMAVERICK IIだと打楽器のように強いインパクトが感じられますが、MAVIS IIでは自然な打鍵の強さでこちらの方がリアルに思えます。またピアノの響きの音色の美しさが良いと感じられます。おそらくジャズピアノはMAVERICK IIの方がカッコよく聞こえ、クラシックピアノはMAVIS IIの方がリアルで性格に聴こえると思います。

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MAVIS IIはMAVIS Iよりも全体に音が鮮明に聴こえます。MAVERICK IIと比べると少しおちついています。MAVERICK IIより音場感が良く、クラシックにはMAVISのほうが向いていると思います。ジャズトリオの白熱した演奏やロックのライブではMAVERICK II、クラシックではスケール感と響きの美しさ、自然なリアルさでオーケストラでも小編成でもMAVIS IIが良いと感じます。アコースティック主体で自然に美しく、スケール感良く聞きたい場合はMAVIS IIがお勧めです。

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MAVIS Iと比べるとMAVIS IIはやや音調とか個性がやや異なっています。ただMAVIS的な落ち着いた感じではありますね。
MAVIS Iはよくもわるくも中庸な感じですが、MAVIS IIは音のメリハリがより良く美音系です。
ただしカスタムとの差はMAVERICKほどではなく、こちらはMAVISカスタムとMAVIS IIは音が似ています。MAVIS IIのほうがやや明瞭感が高いかというくらいですね。MAVIS IIとMAVISカスタムに関しては、フィットの良さでカスタムのほうが好みです。簡単にいうとMAVIS IIユニバーサルはMAVISカスタムのユニバーサルへのフィードバックというか、MAVISカスタムのユニバーサル版という感じですね。

* MAVERICKとMAVISファミリーの系統

最後に日本におけるユニバーサル戦略のまとめとして、MAVERICKとMAVISファミリーの関係について書いてみます。

MAVERICK IとMAVERICKカスタムはドライバーは同じでチューニングが異なります。MAVERICK I/MAVERICKカスタムとMAVERICK IIではドライバー(とチューブ材質)が異なっていて、MAVERICK IIはMAVERICK I/MAVERICKカスタムに対しての進化版といえます。MAVERICK+(プラス)とMAVERICK IIではダイナミックドライバーとチューニングが異なりますが、音レベルとしては同じような兄弟のようなものということです。つまりMAVERICK IIは+に対しては上位機ではないということになります。

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MAVISはMAVIS I、MAVISカスタム、MAVIS IIともにドライバーは同じです(IIではチューブ材質が異なります)。違うのはチューニングやクロスオーバーで、MAVIS IとMAVISカスタムのチューニングが異なります。これはMAVIS Iのチューニングをさらに宮永氏が突き詰めたものです。MAVIS IIはカスタムとほぼチューニング傾向は似ていて、MAVISカスタムのユニバーサル版と言えます(ただしチューブ材質が異なります)。つまりMAVERICKではMAVERICK IIとMAVERICK+が兄弟のようなものでしたが、MAVISに関してはMAVIS IIとMAVISカスタムが兄弟のようなものと言えます。

個人的に言うと、MAVISに関してはIIユニバーサルとカスタムでは似ていますが、カスタムの方が良いように感じます。たぶんカスタムゆえの差があるだからです。
MAVERICKに関してはMAVERICK(I)カスタムよりもMAVERICK IIユニバーサルの方が良いと思います。やはり改良版という感じです。MAVERICK+は聴いていないので分かりません。

まとめると、
MAVERICK IIは主観的で躍動的、MAVIS IIは客観的で美音系、と個性もあって使い分けられるところが良いところ。両者は対比的かもしれません。
それで、さらにMASON IIにはMAVERICK IIともMAVIS IIとも違う個性があるというところがUMラインナップのうまいところですね。
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2017年03月27日

Unique Melodyの12ドライバーカスタム、MASON IIレビュー

MASON IIカスタムは昨年12月17日に発表されたUnique Melody(以下UM)のカスタムIEMです。
価格はオープンですが、希望小売価格は税別で255,834円ということです。

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* MASON IIカスタムの特徴と開発ポリシー

MASON IIカスタムは12個のドライバーを持つハイエンド機で、低域x4、中域x4、高域x4の3Way構成です。
以前のMASONユニバーサルの後継機として2年をかけて開発されたということ。ドライバーは前モデルとは異なるものを搭載し、特に低域用と中域用のドライバーにはUMがメーカーに対して特注でカスタマイズをしたドライバーを採用しているということです。

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全てBAドライバーですが、中音域の向上のためにオープンBAドライバーを中域用に採用し、オープン型BAドライバーに対してベントでのエアフローの最適化を採用しているという点です。このためオールBAドライバーでありながらフェイスプレートにポート(ベント)が空いているのが特徴です。これはADELやAPEXとも違うアプローチのようです。

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また音導管にはプラチナ塗装の合金チューブを採用しています。ここはMAVERICK IIユニバーサルやMAVIS IIユニバーサルとも共通していますね。
ケーブルは2pinでリケーブルができます。

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宮永氏によれば、MASON IIカスタムはライブ会場で聴いているかのような空間表現を生かしたということで、TOTOのライブ体験を再現したかったということ。実際に聞いてみると独特の音場の立体感と空間の余裕ある表現力を感じます。ここはのちに書く「個性」のパートになると思います。

またもうひとつのキーはサントリーウイスキー「響」ということで、整ったブレンドの中にもオリジナルな部分があって深みを出していることがヒントのひとつになったということ。MASON IIカスタムも「整ったバランス」と「個性」を7:3か8:2くらいの割合でブレンドして、リスナーを飽きさせないものにしたかったということです。

その個性のキーとなるのがオープン型BAドライバとベントによる最適化チューニングです。このオープン型BAとベントというのはADELやAPEXとはまた別のもので、オープン型BAにはADELのような音圧を外に逃がしてやるような機構はないということ。
オープン型BA自体はなにかというとBAドライバーに穴があいているもので、これはいままででも採用機種はあります。たとえばUMではメンターに採用されています。これはミッドレンジの特性が良いためにMASON IIカスタムに採用したということです。

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問題はオープンBA型ドライバーの開発過程で、フェイスプレートを取り付けたことによる聴覚上の閉塞感が感じられたということだそうです。そこで、オープン型BAとベントを組み合わせることによって、音質の向上ができるのではないかということで開発を進めたということです。
これは周波数測定しても現れないたぐいのもので、なにかどう変化したかはまさにノウハウの世界だということ。つまりは測定機械よりも聴覚上の良さを求めてチューニングしていたことにより発見ができたというわけです。
それがMASON IIで感じる、聴覚的な気持ち良さ、独特の立体感と余裕のある表現の秘密であるのかもしれません。
独特の音の余裕感はオープン型BAドライバーとベントによる最適化によるもので、指をベントで閉じてみるとこの独特感が消えてしまうとのことです。

* 実機のインプレッション

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ケースを開けると、おーとため息つくくらい美しいシェルが出てきます。
いつも思うけれど、UMはシェル作りが上手ですね。シェルの造形もきれいですが、ぴったり密着するようにはまります。カスタムの中でも装着感はトップクラスだと思います。

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音のインプレは主にAK380と標準ケーブルで聴いています。
MASON IIカスタムで感じられるのは、まずオープンBAとエアフローの改良の効果か、いままで聴いたことがないような個性的な空間表現というか音空間の余裕が感じられます。また音色も自然ですね。
ヘッドホンに例えると今までのBAは密閉型で、MASON IIカスタムは開放型という感じの違いといいましょうか、ちょっと表現しにくい「個性」ではあります。音の広さというのともちょっと違います。クロスフィードとかサラウンドDSPとかそういう人工的な味付けでもありません。
この良さはMAVERICK IIにもMAVIS IIにもないものです。

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「整ったバランス」という意味ではMASON IIカスタムは12ドライバーらしいワイドレンジ感が見事です。この意味でも音の高い方と低い方にたっぷりとした余裕を感じます。自然な音であまり強調感は少なく、尖った所のあるMAVERICKIIよりも落ち着いた感はあります。これは初代からだと思いますが、全域で整って端正なBAサウンドで荒っぽいところはありません。もちろん解像感も高く、情報量がたっぷりあります。標準ケーブルとの相性も良いですね。
実に堂々たると言うか、12ドライバーの横綱相撲的な余裕あるスケール感、低域の深み、中域の厚み、高域の伸びの良さ、トップレベルの実力だと思います。

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帯域感としてはフラットよりはやや低域よりだと思いますけれど、これはMASON II自身というより標準ケーブルの個性だと思います。例えばCrystal Cable NEXTだともっと全域フラットで銀線っぽい味わいは付加できます。キラキラっとして、よりフラットな音が好きな人はリケーブルも良いと思いますが、上級者でも標準ケーブルで十分満足できると思います。
標準ケーブルの相性が良いという点ではMAVISに似ていて、MAVERICKの場合は私だとSignalかなんかを使いたくなります。

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ジャズトリオの演奏は生っぽく、アコースティック系だと生っぽさが際立って良く、ライブリスニングに一歩近づいたともいえますが、実のところ電子音楽も深みが圧巻です。濃いインダストリアル系アンビエントをループしてMASON IIカスタムのめくるめく音空間に浸るのも気持ち良いものです。

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音の鳴り方がリアルなんですが、生楽器・ヴォーカルだけでなく電子音でもリアルです。電子音がリアルっていうのもなんですが、実際にありそうな感じに聴こえるのが面白いところ。なんでも合いますね、これは。

* まとめ

UMではあえてフラッグシップという呼び方はしないのだそうですけれども、フラッグシップだから12ドライバーで作ったというよりは、この高度なまとまりの良さを得るために12ドライバーになったという感じでしょうか。
MASON IIカスタムの魅力は、この12ドライバーによる「整ったバランス」とワイドレンジ性能、そしてオープン型BAとベントのチューニングによるミッドレンジの「個性」というブレンドによるものというところは開発の狙い通りだと思います。

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12ドライバーの基本的性能は優れていてワイドレンジで高域も低域も強すぎるところもなく整っています。音のひとつひとつの出方は先鋭なMAVERICKと落ち着いたMAVISの中間的なものだと思います。
ただしオーディオファイルは贅沢なもので、中庸で整ったバランスだけだとある意味面白みに欠いてしまいます。そこを個性がおぎなって、常に飽きない音で楽しめます。音に独自性があり、かなり優れたカスタムと言えるでしょう。

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2017年03月22日

VSTハイブリッドイヤフォン、n+um(エニューム) NUM-E1000レビュー

先日のポタ研で注目製品の一つはハイブリッドイヤフォンのn+um(エニューム)でした。特徴は独自技術であるVST(Vertical Support Tweeter)を高域ドライバーに採用している点で、n+um NUM-E1000はVSTとダイナミックドライバーの2ドライバーのハイブリッドイヤフォンです。

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n+umはイヤフォンのブランド名で、イヤフォンの製品名はNUM-E1000といいます。販売はネディアという会社が担当して、フジヤエービックの限定販売です。
販売リンクは下記の通りです。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail128891.html

* エニュームブランドについて

エニュームというのはネディアのブランドで、ネディア・ウルトラ・ミュージックの頭文字をとってn u mとしたということです。またナチュラル(natural)な音、新しい(new)技術、素晴らしい(neat)などnに複数の意味を持たせているので+がついて、n+umとしたということもあるということです。
開発はO2ad(オーツェイド)という会社が担当しています。もしかすとるこの社名はすでに聞いたことがある人もいるでしょう。今回オーツェイドの渡部社長に製品についての話を聞く機会を得ました。

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オーツェイドの渡部社長

もともと渡部社長は以前大手電子部品メーカでセラミックを使用した積層型スピーカーの技術開発のプロマネをしており、その高域に強いという特徴を如何にオーディオに活かすかを模索していたそうです。2014年に同社を退職し、独自にセラミック音響の開拓を進めさまざまなOEM先や提携先と仕事をしていましたが、2015年にセラミックドライバーの共振周波数の問題を解決したVSTという特許技術を開発します。
それを応用したイヤフォンの第一弾がアンティームのSORA(ソラ)です。これはVSTを低価格でも作れる可能性を示したコスパが高いと評判のイヤフォンですが、VSTにまつわる特性をさらに改良し、音質的にも上を目指したいと考えた渡部社長は、販売会社に弟のやっているネディアを選びました。つまりOEMやODMではなく、自分の好きなことをしたかったので、兄弟がやっているという強みを生かしたかったようです。ネディアの渡部(弟)社長も兄の技術を世に出したいと考え、このコラボがはじまったというわけです。ここで渡部社長はSORAよりもより高度なVSTの開発を進めることができました。

コンセプトは「聞く喜び」と「持つ喜び」と言うことで、音もさることながら、筺体部分は制振のために日本の加工会社に頼んだステンレスのローレットで、職人技で製作し一日に30個しか作れないということです。
筺体にはコストをかけて職人の手作りがかかっているので追加生産ができず1000個限定となると言います。

* VST技術のポイント

NUM-E1000のポイントはVSTで20kHzを超えて50kHzに及ばんとする超高音域の再生に挑んだことで、それをスピーカーで言うところの「フルレンジユニット + スーパーツィーター」という構成にまとめたという点です。NUM-E1000ではツィーターであるVSTとダイナミックドライバーの2ドライバー構成ですが、従来的な高域と低域の2Wayというよりも、可聴帯域の16kHzまての音はほぼすべてダイナミックドライバーで担当しています。そのためダイナミックドライバーはウーファーというよりもフルレンジとして捉えた方がよいでしょう。VSTはそれを超えるような超高域の再生を担当しているわけです。
ふたつのドライバー間では電気的なクロスオーバーはありません(VSTの中心部の孔が音響的なハイパスフィルターとして働くそうです)。

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この「フルレンジユニット + スーパーツィーター」という形式で何が良いかというと、可聴帯域の音はフルレンジなのでつながりがよく位相的な問題はありません。そして20kHz以上の音はスーパーツィーターで倍音再生することで高域だけではなく、すべての帯域で音質向上ができるというわけです。
ハイレゾ対応に有利と思いがちですが、実のところ普通にCDで聴いていても音質はよくなります。ハイレゾ対応というよりも、むしろ可聴帯域の音を向上させるのがポイントです。

この方式は私はけっこう好きで、以前Bat PureとJohn Blueのスピーカーを組み合わせたり、村田製作所のスーパーツィーターをディナウディオに組み合わせたりしていました。イヤフォンでもそうしたものができるというわけです。下に記事があります。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/6244798-1.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/16778366.html
セラミック発音体は魚群探知機に使われているように超高域の再生に適しているということで、村田製作所の作ったスーパーツィーターもセラミックのドライバーを採用しています。経験的には2Wayスピーカーに組み合わせるよりも、フルレンジのほうがスーパーツィーターの効果はわかりやすいと思います。

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つまりNUM-E1000において、基本の音はダイナミックドライバーの音であり、スーパーツィーター(VST)はそれを高めると言う考え方です。そのため、単に高域だけではなく、低域も含めた全域で効果が出ていると思います。上のスピーカーの例だとスーパーツィーターのあるなしをするようなもので、スーパーツィーターがなくても高域を含めて普通に音は聞こえますが、スーパーツィーターを付けることで音質がかなり向上します。
つまり上の記事で書いたように、ありなしをしてみると、いつもの音となにかちがう、音像がよりくっきりと明瞭になるという感じ、という効果ですね。

VSTは振動版がニッケルで高剛性を確保し、ドライバーはセラミックを用いたピエゾ圧電素子(素子を電極ではさんだユニモルフ構造)となっています。ここに実は特許技術があり、VSTの振動は全面駆動ですかと聞いたところ、点支持と全面振動の複合となっているということ。
ダイナミックドライバーの振動版の材質はPEEK(ボリエーテルエーテルケトン)というもので、これは一般的なマイラーとは異なり新素材で、ShureのSRH1540にも使われていましたね。
剛性に優れリニアな特性をもっているということですが、高域が伸びる特性が特に役にたっているということです。また筐体のローレット加工についても、ローレットのあるなしで試してみて制振効果(低域のたるみの防止)があったということです。
今回のNUM-E1000はSORAとは異なりオーディオファイル向けの音つくりをしますが、同時になるべく広いジャンルで楽しめるようにしているとのことでチューニングもそうした点で苦労したということです。
製品のターゲットは音にこだわりがあり、他とは違うものを持ちたい人ということです。

* 実機のインプレッション

箱はシンプルなもので、中にはラバーイヤチップが3種類ついています。本体はステンレス金属で高級感があり適度にずっしりとした重みがあります。ボディがインシュレーターのようでがっしりして制振性がありそうなところも目で見てわかる感じですね。

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コンパクトでシンプルなデザインでステムの太さも適度なので装着感は良く、耳では重くも感じるわけではありません。遮音性も悪くありません。

エージングなしでも音は極めて良い印象です。
中高域の解像度の高さと低音のインパクトがすごいという感じで、独特の空気感があるのが特徴的です。独特の質感表現といいましょうか、ダイナミックならではの厚みのある音ですが、きっちりとした芯があります。

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一晩エージングするとクラス上の音になる感じで、ケーブルもドライバーもこなれるのか、低域が深みが増して、高音域がより鋭くなります。ちょっと能率は低めではあります。中高域だけでなく低音域も独特の立体感と言うか空気感があります。
音場の広がりは標準的だけれども、独特の立体感がありますね。

基本的にシングルダイナミックなので、高低のつながりはスムーズで一体感が高く、ヴォーカルがキリッとセンターに像を結んで口元も小さく引き締って歌詞もよく聞こえます。特に女性ヴォーカルが逸品ですね。
低域がたっぷりあるけど、ヴォーカルが引っ込まずに出て来るようです。

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一般の高性能マルチドライバーBAイヤフォンと比べると、音はややコンパクトだけど、ダイナミックらしい躍動感があって、引き締って強靭な音です。きれいに伸びるけれど、BAみたいに細く薄くない感じです。ドライでもないですね。独特の中高域で、BAにない不思議な空気感があります。オーディオファイル向けと言ってもいわゆるモニター的な味気のない音ではなく楽しめるのはダイナミックならではの良いところです。

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普通のダイナミックだと音の芯の鋭さが足りないのでアタックが鈍くなりがちですけど、NUM-E1000は芯が強くその点で不満がありません。緩くなく小口径ドライバーのような音の切れ味があり、制振設計が効いているのかもしれません。たぶんマルチBAよりこっちが好きと言う人も多いと思います。

おそらくスーパーツイーターがなくても、ダイナミックだけでかなり高いレベルだと思いますね。PEEKの採用もよいのでしょう。ダイナミックにしては一つの音の鮮明さ、明瞭さが高いのはスーパーツイーターとしてのVSTの効果のように思えます。高域から低域まで一様な良さがあります。
最近よくあるハイレゾ対応イヤフォンのように不自然に高域を高めた感も少ないです。いわゆるハイレゾ対応イヤフォンも倍音をうたってはいますが、こうした感覚は薄いのでVSTほどにはあまり効いてないようにも思います。

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なかなか隙がなくよくチューニングされていると思いますが、リケーブルできないのが残念ですね。これだけ音が良いと良いケーブル使いたくなります。
ただあまり荒れたザラザラした音ではないので、このケーブルも悪くないとは思います。また今の音に文句もないのでこの音で聴いてほしいという作り手の気持ちもあるのかもしれません。ただ音の好みもあるので調整できる方が良いとは言えますね。あとはバランスにしたいとか、このくらいの音レベルだと上級機と比べて見たくなります。

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主にAK380を使って聞きましたが、iPhoneでもけっこう良いです。ただし一個注意点はiPhone7の3.5mmアダプタで謎のノイズが出てきます(注意書きが同梱されています)。iPadでは問題ありません。iPhoneでも5とか6のように3.5mmがついているものでは問題ありません。なにかセラミックのドライバーと相性が良くないようです。

ちょっと新感覚の鋭く空気感のある中高域が楽しめて、たっぷりした低音のインパクトも良いです。今までのハイブリッドにないような個性もあります。個性的なダイナミックドライバー機としてお勧めです。
これからもVSTでいろいろなアプローチをしていきたいということですので楽しみにしたいものです。
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2017年03月16日

Hugo 2とChord固有技術 パルスアレイDACの仕組みと利点

本日アユートのChord製品発表会で私がロバートワッツをまじえてHugo2とChord社の独自技術の解説をしました。

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Chord社の主要技術であるパルスアレイDACについては詳しく解説する機会はあまりなかったと思いますので、ここでまとめてみます。

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一般的なDACではESSやバーブラウンなどのように市場に売られている汎用品のDACチップICを買ってきてそれを使います。
ChordではFPGAを中心に据えたより洗練されたものでパルスアレイDACと呼ばれます。これはFPGAが独自のプログラミングができるカスタムICであるから可能なことです。
FPGAではWTAフィルターやボリューム・クロスフィードなどデジタルドメインの処理を担当します。処理の細かさであるタップ数はHugoの26368タップから、ほぼ倍の49,152タップに向上しています。またWTAフィルターは二段階になっているのですが、Hugoでは初段が8FS(CDの8倍)、二段目が16FSだったところが、Hugo2では初段が16FS、二段目が256FSとさらに細分化、高性能化されています。
ちなみに二段目の256FSフィルターはDAVEに使われているものと同じだそうです。このようにHugo2には先行していたDAVEゆずりの技術がいくつも採用されています。
またFPGAはMojoと同じシリーズ7のザイリンクスのFPGAですが、電源の関係でその性能を十分な発揮できなかったMojoに対して、より電源に余裕のあるHugo2では100%その力を発揮できたということです。

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そしてFPGAでフィルタリングされたデジタル信号はフリップ・フロップ回路(IC)に送られてアナログ信号に変換されます。一個のパルスアレイは上の図のFPGAの横にあるフリップフロップICと抵抗のペアで、上の図では4組見えています(回路図はMojoのものです)。
よくChordのパルスアレイDACはFPGAをベースにしているということでFPGAチップでDA変換がおこなわれているようにも言われることがありますが、実際にはFPGAではなく、そこから出たデジタル信号をこのフリップ・フロップ回路と抵抗の組み合わせでアナログに変換します。
ただしフリップ・フロップ回路に送られるパルスアレイ信号はFPGAによって作られるため、FPGAとフリップ・フロップ回路は分離できず、ハード的には双方を合わせてパルスアレイDACと呼ぶのが正しいでしょう。

このフリップ・フロップ回路と抵抗のペアをパルスアレイエレメント(要素)と呼び、Hugo2では片チャンネル10個のパルスアレイ・エレメントで構成されます。HugoとMojoでは4個、DAVEでは20個。ロバートによると、パルスアレイエレメントが4つの場合はどうしても妥協があるということです。

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パルスアレイDACはスイッチング動作によってデジタル信号をアナログにします。上の図はHugo2の10個のパルスアレイの様子です。
この10個のパルスアレイ・エレメントでパルス信号を10列の並列的にスイッチング動作させてアナログに変換します。そのためパルスのアレイ(列)と言います。
横に見ていくと、7のときは7個のパルスアレイエレメントがオンとなり、8のときは8個オンとなります。

パルスアレイDACのポイントはスイッチング動作が入力信号と無関係で一定だということです。
ここは分かりにくいと思いますが、たとえば4本の指が4つのパルスDACエレメントと思ってください。一本の指がひと組のフリップフロップICと抵抗に相当します。
4本の指をすべて上にあげると最大音量です。すべてさげると最小音量です。中間の音量はどの指が上で、どの指が下かの組み合わせになります。実際に上げ下げしてみるとパルスアレイの様子がわかりやすいと思います。
このとき一本の指だけに着目すると、信号の大小にかかわらずやっているのは一定の上げ下げだけだということが分かるでしょう。上げ下げはスイッチング動作ですから、スイッチング動作は信号の大小にかかわらず一定というのはそういう意味です。
(さきに書いたように4エレメントの場合は妥協があるので本当はもっと複雑ということです)

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またこのときに一本を上げて、もう一本を下げると動きが相殺されるのが分かると思います。これでスイッチング時のノイズが相殺されます。実際は図のように少しずれて動作が行われるため、横から見ると互いの立ち上がりと立下りが重なることで、その悪影響をキャンセルできるということです。

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左が普通のDACのノイズフロア変動、右はChord DAC

このことはノイズフロア変動による歪に関係します。
ノイズフロア変動というのはDACの残留ノイズであるノイズフロアが、信号が入ることで変動してしまうということによって生じます。本来ノイズフロアは一定のはずですが、それが信号入力で揺れてしまうという現象で、音質の悪さとして働きます。(信号のハーモニクスと非同期になるから)
これはちょっと困ったことで、上の図のように一般のDACはかなりの量のノイズフロア変動があります。ChordのDACの場合にはさきほどの説明のようにパルスアレイの原理的にほとんどそれが生じませんし、出たとしてもわずかでスムーズなため音質にあまり悪影響を及ぼしません。

この辺がパルスアレイDACの優れた点です。もちろんChord DACではこのほかにも優れた部品や電源などさまざまな工夫をして最高の音質に仕上げています。ロバートワッツによれば、Hugo2の仕上がりにはかなり満足しているということです。

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実際に聴いてみても前Hugoからの音質向上は顕著で、シャープだけれどもきつく感じられることがあった前Hugoにくらべると、まるでDAVEを聴いているかのようなスムーズで自然な高品質の音はDACのあるべき姿を聴いているかのようです。
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2017年02月16日

ミックスウェーブからUM ユニバーサル第二世代機、MAVERICK IIとMAVIS II登場

ミックスウェーブからUnique Melodyのユニバーサル第二世代機であるMAVERICK IIとMAVIS II登場します。

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MAVERICK II

MAVERICK IIはオープン価格(メーカー希望価格 税別137,600円)、発売日は2月20日となります。
大型ダイナミックとBAのハイブリッド形式は従来通りですが、ポート(ベント穴)がMASONのように二個に変更されています。またクロスオーバーの最適化、プラチナ塗装の合金をサウンドチューブに採用し、前モデルとはダイナミックドライバーと中音域BAが変更されているということで改良がなされています。

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MAVIS II

MAVIS IIはオープン価格(メーカー希望価格 税別 111,000円)、発売日はMAVERICK IIと同じ2月20日です。
前モデルに比較してクロスオーバーの最適化、プラチナ塗装の合金をサウンドチューブに採用しています。すでにMAVISは生産終了しましたので後継機となります。

音は試聴機が届いたばかりなので少し聴いただけですが、特にMAVERICK IIは前よりも音質がより良く明瞭感が増しているように思います。相変わらず低音のパンチもよく、名器の改良版という期待に応えたレベルが高い音です。MAVIS IIは少し控えめで落ち着いた感じなところは前に似ているようにも思います。この両者は好みによって切り分けができると思います。


またこちらはすでに発表されていますが、カスタムモデルのMASON IIも届きました。

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MASON II

これは12基ものドライバーを搭載しています。全てBAドライバーですが、中音域の向上のためにオープンBAドライバーをミッドレンジに採用し、エアフローを向上させるためにオールBAでありながらフェイスプレートにポート(ベント)が空いているのが特徴です。これはADELやAPEXとも違うアプローチのようです。

MASON IIはオープンBAとエアフローの改良の効果か、いままで聴いたことがないような個性的な空間表現というか音空間の余裕が感じられます。また音色も自然ですね。音に独自性があり、かなり優れたカスタムです。
またカスタムという点でいうとUMはシェルつくりが上手です。シェルも綺麗ですが、ぴったりとしたフィット感が絶妙です。
また詳しいレビューは使ってから書きます。

これらは今週末に中野サンプラザで開催されるフジヤエービック主催の「ポタ妍」に出展されます。
どうぞミックスウェーブのブース(15F奥のアクア)に行ってぜひ進化したUMのモデルを自分の耳で試してみてください。
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2017年01月19日

Astell & KernプレーヤーとOppo HA2SEでポータブルTIDALを楽しむ

既報のように今年のCESではTIDALのMQAサポート、つまりハイレゾによるストリーミングの開始がアナウンスされて話題となりました。
またその同じ日にUniversal、SONY、Warnerの3大メジャーレーベルとRIAA(全米レコード協会)、DEG(Digital Entertainment Group)などがハイレゾでのストリーミングを支持するというむねのアナウンスをしています。そしてDEGが"Stream the Studio"のキャッチコピーのもとで展示を行っていたようです。

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ストリーミングはスマートフォンなどで楽しむことも増えてきましたが、それがスタジオなみのより高音質を目指しているというわけです。やはり現時点で高音質ストリーミングというとTIDALになりますが、ポータブルでTIDALを楽しむ記事は意外とないので書いてみました。
"Stream the Studio"の目指すところの高音質ストリーミングが、ポータブルオーディオにどう影響を及ぼすかということです。

* TIDALの基本

TIDAL(タイダル)はロスレスの高音質配信(HIFIサブスクリプション時)を特徴とするストリーミングサービスで、ミュージシャンがオーナーとなった初めてのストリーミングサービスでもあります。(TIDALの登録方法は本稿では割愛します)

TIDALの品質は以下の通りです。
Normal : 96kbps AAC
High : 320 kbps AAC
HIFI : ロスレス(1411kbps)

TIDALでのストリーミングの同時再生は1デバイスまで、オフライン再生は同時に3デバイスまでの制限があります。

TIDALプレーヤーで画面下部にHIFIの表示があればロスレスで再生できています。それ以外はロッシーです。AKプレーヤーではこの表示はありません。
現在はPCプレーヤーではMQA - Masterもありますが、この場合にはHIFIの1411kbpsの帯域幅の中でMQA圧縮を使用してハイレゾストリーミングしているということになりますね。正確に言うとMQAはロスレスではありませんが、ハイレゾ品質とのトレードオフになります。ポータブルではMQAはいまのところサポートされていません。


* TIDALをポータブルで楽しむために

ポータブルでTIDALを楽しむには、スマートフォンアプリを使う方法と、Astell & KernデジタルプレーヤーのTIDAL機能を使う方法があります。

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Oppo HA2SEとAK380

それぞれ接続のためにWiFiネットワークが必要です。私はWiMaxのポータブルルーターをいつも持っているのでそれを使っています。またスマートフォンの場合は最近では20GB制限のギガモンスターなどでスマートフォンでもストリーミングが楽しめるようになってきましたので携帯回線でも楽しめます。もちろんiPhoneとAK380でテザリング(インターネット共有)もできます。
スマートフォンはiPhone 7 plusを使っています。再生のためにはTIDALアプリが必要です(海外アカウントが必要です)。
Astell & Kernでは最新のファームを適用すると第三世代機とAK70ではストアにTIDALメニューが使えるようになります。

ポータブルならではの注意点などもまたあります。たとえば回線品質の設定です。WiFi Streaming QualityとCellular Streaming Qualityでそれでれ回線に応じた設定が可能です。(Normal. High, HIFI)
またその下のOptimised Playback(再生の最適化)ではAdaptive streamingが使用できます。これをオンにするとTIDALが回線の接続スピードに応じたレートでストリーミングしてなるべく途切れないようにします。ただし便利といえば便利ですが、TIDALの場合は常に高音質で聴きたいのですが、Adaptiveだといくらになっているかが分かりにくいので、この場合にはAdaptiveをオフにして置いた方がよいかもしれません。iOS版の回線品質はPC版と同様にアプリ下部に表示されます。

またiPhoneとiPadでは電波がなくてもキャッシュに入れるオフライン再生が可能ですが、Astell & Kernではオフライン再生はできません。ポータブルルーターのない人などは家でダウンロードしておいて、外ではオフライン再生するなどすると良いかもしれませんね。

先読みバッファリングもそれなりにされるので、トンネルに入ってただちに止まることはありません。ただし地下鉄は苦手なので携帯回線・テザリングでつなぐかオフラインの利用が必要になります。

* TIDALの音質はポータブルでも楽しめるか

iPhoneやiPadで直で聞いた場合、TIDALとApple Musicの音質差はオーディオファイルなら分かると思いますが、あまり大きくありません。iPhoneではせっかくのTIDALの高音質を生かすためにもOppo HA2のような外つけのスマートフォン向けのDACをお勧めします。ここではHA2SEを使いました。
HA2SEのような高性能DACを使うとTIDALの高い音質がよく分かると思います。HA2SEでWestone W80/ALOケーブルという組み合わせでApple musicと同じ曲で聴き比べると、楽器音の明瞭さが違いますし、打ち付けるようなパーカッションやドラムのキレが違います。TIDALはパシッ、Apple Musicはへなっという感じですね。また厚み、緻密さだけではなく立体感がTIDALでは際立って感じられます。
ワイヤレスの場合、BTにすると伝送で非可逆に落ちるのでTIDALの利点がなくなります。実際に差があまり感じられません。
iOS版のTIDALはほぼPCのTIDAL Playerと同じですがMaster(MQA)モードはありません。曲再生の時にディスクがぐるぐる回るのもPC版と同じです。iPhoneの場合はとても使い勝手が良いので検索も含めてPCと遜色なく使うことができると思います。

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iOSアプリ再生画面

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Astell & Kern再生画面

AK380シリーズの第3世代機およびAK70ではストアの下のTIDALリンクからTIDALを起動できます。これはさらにコンパクトで手軽に使えます。やはりWestone W80/ALOケーブルという組み合わせで聴いてみると、やはり音質はかなり良く、濃くて緻密な音が楽しめ、やはり切れがよく気持ちの良い音楽が楽しめます。
AK380やAK320にAMPを付けると一層本格的なオーディオの品質で音楽を楽しむことができます。AK380 copperであれば標準モデルとのカッパーならではの音の響きの美しさの違いもよく分かります。単体で聴く場合にはAK320がお勧めです。透明感と高域の伸びの良さが際立って良く感じられます。音源の品質についてはCDリッピングと変わりはないと言ってよいでしょう。

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このようにポータブルでも十分に高音質の利点を楽しめます。よくストリーミングは試聴のようなもので、気に入ったら良い音のためにCDで買うということもありますが、TIDALならいい音で聞くためにCDを買う必要はないと言ってよいと思います。それを考えると月20$(HIFI)というやや高い料金も納得できるかもしれません。

私の場合はiPhoneに内蔵している購入した音源はBandcamp経由のノルウェーとかロシアとかの(世間から見ると)超マイナーなインディーアーティストの曲が多いので、Apple Musicでもほとんど出てきません。
そういう意味ではわりと内蔵音源(インディー)とストリーミング(メジャー)のように両立できてバランスは取れてます(というのか?)。
内蔵音源(リッピングまたはBandcampからのダウンロードのFLAC)はHiByアプリで再生して、ストリーミングはTIDALアプリまたはApple Musicという感じですね。
これらを良い音で聴きたいときはHA2SEで聴きます。あるいはMojoですね。気軽に聴きたいときは完全ワイヤレスになりますが、完全ワイヤレスだとTIDALとApple Musicの音質差はあまりありません(伝送の段階でロッシーになるので)。

まとめると、iPhoneでは外つけDACアンプを加えることでかなり良い音質で楽しむことができます。iOSアプリだと操作性もほとんど遜色なく、音楽情報の検索と相まって強力に使えると思います。
Astell & Kernプレーヤーではその高音質を生かしたままでストリーミングという新たな世界に踏み出せるという魅力があります。TIDALが使えるっていうことがAstell & Kern第三世代機やAK70を選ぶ新たな理由の一つになったくらいのレベルだと思いますね。
AK70のように低価格でコンパクト高音質なDAPをTIDALプレーヤーにできるのは意味が大きいと思います。

Astell & kernのMQA対応があればさらにハイレゾのストリーミングも楽しめるので期待したいところです。まさにAstell & Kernに見合った高いレベルの音質で手軽で柔軟なストリーミングができるのがTIDALの良い点です。
iOSアプリでMQA対応がなされ、HA2SEがMQA対応されればiPhoneでもハイレゾストリーミングが楽しめると思いますが、未知数です。iOSアプリでのMQAソフトウエアデコードはできるのか、これも気になります。

* TIDALの歩き方

Astell & Kernの場合には高音質DAPで、iPhoneのようにストリーミングが楽しめると言う点が大きいといえます。いままでAK DAPでは内蔵音源(もしくはAK ConnectでNASなど)から自分の持っている音源しか聴くことができませんでしたが、これでPCやiPhoneなどと同様に広大なストリーミング音源というまだ見ぬ音源が広がる大宇宙に飛び立つことができるわけです。しかもAstell & kernの高音質にみあった品質で聴くことができます。これはかなり画期的ですし、スマホのストリーミングに慣れていても新鮮に感じられます。

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TIDALの場合には検索、Similar Artist、Suggested Tracksなどの機能で知見を広げられます。またTIDALお勧めの有名・無名アーティストを特集したTIDAL RisingやキュレーションされたPlaylistでも知らなかった音楽を探すことができます。
Astell & Kernプレーヤーの場合には曲を選択する基本動作は画面の小さなAK70でも使えます。しかしAKではキー入力が不便なので検索があつかいにくく、PC上でFavoriteやPlaylistを作ってからMy Music経由で共有してポータブルで聴くとよいですね。Playlistの場合は曲単位になるのでアルバム単位で聞きたい音楽を保存しておきたいときはアーティストやアルバム画面でFavorite(星)を押せばネットで共有できます。

またiPhoneの場合には音楽系のRSSフィードやTweetをみていて、気になる曲やアーティストがあったら、それをそのままコピペして検索しストリーミングサービスで探すことができますが、AKの場合にはそうした一体感はできないので、iPhoneのTIDALアプリでアーティストを見つけたらFavoriteを付けて、AKで聴くということがよいかもしれません。

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PCやiPhoneのTIDALアプリでは曲を選択するとその下にSuggested trackが出てきて似たような曲を芋づる式に知ることができますが、Astell & kernの再生画面は簡略化されているのでSuggested trackはありません。その代わりにSimilar Artistはあるので、曲の再生中にサブメニューからGo Artistを選択すると、そのアーティスト画面になるのでその下にSimilar Artistで似たような曲を探せます。またAppeared onを見るとアーティストが収録されているコンピレーションアルバムも表示されるので、そこから似たようなアーティストを探すこともできます。(ただSimilar Artistもたまに同名アーティストで誤爆しているものもあります)

例えばうちの記事の「ピアノの日」でも書いたNils Frahmを選択してSimilar ArtistするとA Winged Victory for the sullen、Max Lichter、Hauschkaなど納得出来るお勧めがなされます。このときA Winged Victory for the sullenをみてみたらこの一月に出たばかりの新譜を発見してしまいました。こうしたときはApple MusicだとCD買おうかと思いますが、TIDALならポータブルでも使えるし、家でも使えるので特に必要ないかと思います。月にこれが一回あるだけで元は取れてしまいます。

またDead Can Dance -> This mortal Coilの筋でたどったら2012年リリースですがいままで知らなかった新アルバムDust & Guitarsを発見してしまいました。私も音楽情報についてはかなりフォローしている方だと思いますが、This mortal Coilほどのアーティストでも知らないことがあったのかと愕然としてしまいました。そういえばEP集が出たっけかなあと思い出しました。Dust & Guitarsはリマスター集みたいなものですが、ニールヤングカバーのアルバム未収録曲も含まれてます。
4ADはもともとThis mortal Coilを出すために作ったレーベルみたいなものでしたが、今と昔ではがらっとレーベルカラーが変わったのであまりフォローしてなかったなぁと、こうして検索していてもふと感慨に浸ります。

曲数自体は私はほとんど洋楽の人なのでTIDALでもいいように思いますが、それでもApple Musicに比べるとやや少ない気はします。これも曲によりけりで、Apple Musicでない曲がTIDALで聴けたりするので単純には比較できないかもしれません。どちらもクリムゾンというかフリップ先生系はほとんどないですね。ただリックウエイクマンの今月の新譜(デビッドボウイのスペースオーディティのカバーが入ったやつ)とか、Vangelisの昨年の新譜などもあるので、オールドロックファンもそれなりについていけると思います。

またTIDALはエレクトロニカ周辺アーティストは日本も含めてけっこうあります。Scholeの小瀬村晶とかナカムラ・ハルカなどキーアーティストは抑えてますし、最近戸川純と仲良くやっているVampilliaも入ってます(戸川純はないけれど)。
ほかにうちのブログで紹介したアルバムでは、たとえば最近書いたDhafer YoussefのBirds Requiemはあります。ただしJohn PotterのAmores Pasadosはないですね。
Kaki Kingのような新進女性SSW、JoraneとかJuana Molinaのようなワールド系統の女性SSWなんかもマイナーですがけっこうありますね。女性SSWでは元祖的なSuzanne Vegaもたっぷりあります。たまにルカ聞いてみるのもよいね。

こうして探し出すとApple MusicよりもTIDALの方が収穫が大きく趣味的に楽しいという気はしますね。やはりApple Musicはシリアス・リスニングというよりも、どこか試聴的に聴いている感は否めません。

ただこれは個人的な好みになりますが、TIDALのキュレーションはあまり好きではありません。オーナーの先入観もあるかもしれませんが、一般的にヒップホップなどB系色が強い気がします。これも個人的感覚ですが、Apple Musicだとわりと感心するような納得できるキュレーションリストがよくありますが、TIDALだとジャンル別のキュレーションでもあまり好きではないです。
一方で純粋なストリーミングではありませんがBandcampは「見つける」リンクを良く使うし、お勧めアルバムも納得出来るので個人的にはTIDALはこの辺はいまひとつに感じますね。
もちろんTIDALのキュレーションで合う人もいると思います。ただわたしはTIDALに関しては検索のほかは、やはり自分でSuggested TrackとかSimilar Artistで見つけていくか、コンピレーションからたどるのが良いですね。

いずれにせよこのサービスが自分に合うかは一カ月無料の試聴期間に確認してみるというのが良いと思います。

* 高音質ストリーミングサービスとポータブルオーディオのゆく先

TIDALはJay Zの前のAspiro時代に比べるとメジャーレーベルの扱いが多くなったのだと思いますが、TIDALはこのリブートを境にアーティスト運営という色を濃くしてきたと思います。TIDAL Risingも埋もれたアーティストを取り上げようと言うアーティスト運営サービスらしい点とは言えるでしょう。TIDALプレーヤーはつい最近1.17というバージョンでTrack Editという機能が追加されました。これは曲ごとに開始時間・終了時間とテンポを編集できるというものです。これはDJ向けの機能という話もありますが、これもTIDALはアーティスト運営でアーティスト周辺のひとのことを考えたレーベルという色はわかります。
ただそのせいもあると思いますが、さきに書いたように収録音楽の傾向に偏りがあるようにも思います。

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これは良さそうに見えてちょっときしみも感じます。Aspiro時代では高音質を生かすジャズやクラシックを多く取り上げるレーベルかとも思ってたんですが、リブート後はJay Z色が強くなったこともあって、取り上げているミュージシャンと、高音質というTIDALの利点がうまくかみ合っていないようにも見えます。いま流行っている音楽を聴きたいと言う人、こういう音楽を流行らせたいという趣旨に合うリスナーが、どれだけロスレスというところに価値を見出すかですね。

これにたいして、あるアメリカの調査によると、調査対象の85%の人が音質は「とても重要」であり、71%は「スタジオ品質のストリーミングに興味がある」、48%の人は「高音質オプションにお金を払う」と答えているそうです。そういう意味では特にジャズ・クラシックに傾倒する必要もないかもしれません。
また2016年8月のAstell & Kern(US)のブログでは、なぜハイレゾかというハイレゾプレーヤーの必要性に加えて、ダウンロード市場の売上低下がみられる一方で多くの人が高音質を望むという調査結果を引用しています。この辺もAstell & KernプレーヤーでTIDAL機能が加えられた理由の一つなのかもしれません。

いまハイレゾプレーヤーというとCDリッピングした音源とかダウンロードした音源を入れています。しかし、このどちらの市場も縮小化していくという事実、そして上記のようにユーザーはやはり高音質を望むという調査結果を踏まえれば、いずれはストリーミングがデジタルプレーヤーの音源の一つとして重みをましていき、そして高音質のストリーミングサービスが望まれるということになると思います。加えて日本のように携帯各社の20G通信プランなどでストリーミングのインフラもできてきています。

こうしてハイレゾプレーヤーにも高音質ストリーミングの機能(あるいはアプリ)が必要とされていくようになり、ポータブルオーディオの世界も少しずつ変わっていくかもしれません。行きつく先はスマートフォンが高音質化したものか、デジタルプレーヤーがスマホ化したものか、それは分かりません。いまデジカメとビデオの区別がつかなくなっているように。変化とはそうしたものでしょう。
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2017年01月08日

ChordがMojoをネットワーク対応させるアクセサリーのPolyを発表

CESで注目製品発表が相次いでいますが、CHORDからはPolyというMojoの拡張モジュールが発表されました。これは前にヘッドフォン祭で私がMojoの紹介をしたときにJohn Franks氏も述べていたアクセサリーですね。
Polyはポリゴンのポリでもわかるように「多い」とい意味で、Monoの対義語です。その通りにとても多様な使い方ができるモジュールです。
SDカードで内蔵音源を再生でき、DLNAやAirPlayなどネットワーク経由の再生もできます。さらにはBluetoothや話題のRoonにまで対応しています。電池の持ちは約9時間、PCM768kHzからDSD512まで対応可能です。

Mojo-and-Poly-900x675_2.jpg
(画像は下記ホームページから)

Polyのホームページはこちらです。
http://www.chordelectronics.co.uk/product/poly/
ただ、どう使えるのかがイメージしにくいかもしれませんので、さっそくChordに聞いてみた情報と合わせてわかったことを書いてみます。

まずPolyとはどういうものかというと、簡単に言うとLinuxベースのネットワークプレーヤーのようなものです。もう少しいうとMojoのネットワークブリッジですね。Polyで音楽データをネットワーク経由で受けて、MojoとはUSBで接続してMojoのDAC機能で音楽再生するわけです。
またSDカードの内蔵音源も再生できるので単体DAPのようなものと考えてもよいです。

Poly-Connectivity-900x675.jpg  Poly-Module-900x675.jpg

使い方としては下記のように使用する音源に合わせてPCやスマートフォンから操作します。

1. Polyは内蔵したSDカードの音源を再生できます。
SDカード内蔵音源を再生したいときは、スマホなどでMPodなどMPDクライアントを使用します。(PolyはMPDを使用しています)

2. PolyはNASなどDLNAネットワーク内の音源を再生できます
ネットワーク上の音源を再生したいときは、スマホなどでPlugPlayerのようなDLNAコントローラーアプリを使います。

3. PolyはAirPlayでiPhoneの音源を再生できます
この場合はiPhoneの多彩な音楽再生アプリが使用できます

4. PolyはBluetoothでスマートフォンの音源を再生できます
この場合はスマートフォンの音楽再生アプリが使用できます(対応CODECはちょっとまだわかりません)。

5, PolyはRoonの再生機器としてRoon管理の音源を再生できます
この場合はRoonBridgeとして機能します。つまりPoly+MojoがRoonReadyデバイスとして使えるわけです。家に戻ったらMojoをPolyを使ってRoon対応デバイスとして再生に使えます。

たぶんこれだけ多様な音源に対応できる製品はホームオーディオ含めても少ないと思います。しかもこんなコンパクトさで。

これらの設定作業のためにはPolyのWeb-UIを使用します。おそらくVolumioやMoodeのようにブラウザからhttp://poly.localとやると開くのではないかと思います。マシン名の変更もこのWeb-UIでできると思います。またAP(acess Point)モードを備えているようなので、ルーターなしでネットワークアクセスできると思います。
加えてPolyでは音声メッセージで設定作業を進めることができるようです。ここはちょっと不明ですが、エラーや接続確認も音声でわかるのではないかと思います。

Poly-Power-900x675.jpg

以前うちのホームページでMojoにラズベリーパイを付けてポータブル運用しましたが、イメージ的にはこれと似たようなものです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/435089337.html
ただし違いはMojoとUSBで接続するという点と、コンピューター部分(ここではラズパイ)のOSがラズパイではMoode(またはVolumio)を使ったのに対して、PolyではCHORD独自開発ということです。
たぶん詳しい人ほどわかると思いますが、Polyのサポートする多様な条件を満たすOS/ソフトウエアはまだ世の中にないと思います。VolumioやMoodeでは現状でRoonはサポートしませんし、BrystonのBDPπのファームではDLNAとRoonはサポートできますがBluetoothはサポートしません。
AK70のUSB出力機能でMojoにつなげた時の使い方にも似ているでしょう。ただしもっと一体感があります。
今年早々の注目製品と言えるでしょうね。

またCHORDからは100万タップ(Hugoは2.6万タップ)の信号処理能力を誇るCDプレーヤーのBlu II、そしてあのHugoの後継機であるHugo IIも発表されています。
今年もポータブルからハイエンドまでCHORDに注目ですね。
posted by ささき at 13:36 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月07日

Campfire Audioの新ラインナップ発売、VEGA、DORADO、LYRAIIレビュー

すでにヘッドフォン祭でも展示がありましたが、Campfire Audioから新しいラインナップであるVEGA、DORADO、LYRAIIの3機種が加わりました。

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左からVEGA、DRADO、LYRA II

国内ではミックスウェーブが本日からVEGA、LYRAUを販売開始、DRADOは後日販売開始と言うことです。価格はVEGAが税別146,100円、LYRAIIが税別78,900円だそうです。
http://www.mixwave.co.jp/c_audio/c_news/caudio_news161104_01.html

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VEGA(左)とLYRA II

本記事ではDRADOも含めて3機種をまとめて解説と音のレビューを行い、今回のラインナップのポイントやそれぞれの個性と買うポイントを紹介します。

* Campfire Audioとは

Campfire AudioはALOの創立者としてこの業界では広く知られるKen Ballが創設したイヤフォンのメーカーです。ベリリウムダイナミックドライバーのLYRA、チューブレスで最近大人気のANDROMEDA、シンプルで人気の高いORIONなど、もう新興メーカーとは言えないくらい地位を確立したと思います。
ブランドの特徴としては、シングルドライバーに重点をおいているようにシンプル・イズ・ベストの哲学に基づく設計、もちろんALOの高品質ケーブルの標準添付、そしてブランド名の由来でもある米国ポートランドでの製造などがあります。

Campfire AudioはKenさんの情熱とクラフトマンシップのたまものと言っても過言ではありません。なぜALOというすでに確立したブランドがあるのに、Campfire Audioという新しいブランドを作ったのかというと、kenさんはケーブルというのはやはり部品の一つでしかないので、もっと根本的に自分で一からヘッドフォンやIEMを設計・製作するという気持ちがあったからだそうです。
そしていまはたくさんのイヤフォンブランドがあるので、自分ならではの考え(statement)をそれに盛り込まねばなりません。Campfire Audioではこれまでもシングルダイナミックにこだわったベリリウムドライバーの採用や、BAの音質を向上させるためのチューブレス設計(現在のTAEC)など個性的な製品を世に出してきました。

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ヘッドフォン祭でのKen Ball(右端)

ブランドの名の由来は、もともとALOのあるポートランドの西海岸は自然に恵まれた土地でKenさん自身もアウトドア好きだそうです。このアウトドアのキャンプファイアの灯りとはぜる音の瞑想的な雰囲気を音楽に例えたわけです。
そしてこの西海岸の夜空を見上げた時、その美しさの中にあるひとつひとつの小さな星々がCampfire Audioの製品名になっています。

* VEGA、DORADO、LYRAII - ダイナミックの深化と新たな挑戦

Campfire Audioは最近のANDROMEDAの大ヒットによりマルチBAでも知られるようになりましたが、原点はシングルダイナミックのLYRAです。これはKenさん自身のダイナミックドライバーへのこだわりと、マルチBA全盛への疑問がベースにあるということです。
今作では3機種ともにダイナミックドライバーが採用されていて、VEGAとLYRAIIは得意のシングル・ダイナミック、また新たにDORADOではBAとダイナミックのハイブリッド形式を採用しています。このため3機種ともにTuned port(ベント穴)がついています。ベントはイヤフォン内の空気圧を抜くことでダイナミックドライバーをより効率的に動かすための仕組みです。

それぞれの製品のポイントは簡単にまとめると次のようなものです。

1. VEGAでのダイアモンド(ADLC)ドライバーの採用

2. DRADOでハイブリッド構成を初採用

3. 復活した人気モデル、LYRA II

また今回のラインナップの共通特徴は流体金属のハウジング(筐体)を採用していることです。
初代LYRAではさまざまな材質のプロトタイプを作成して聴き比べて材質を決めたというくらいCampfire Audioではドライバーと同じくらいにハウジング(筺体)にこだわっています。
今回の3製品ではシェルに独自の流体金属を採用しています。流体金属を筺体に採用する利点としては、
チタンよりも高い強度、硬くて傷に強く、独特の質感があり、耐腐食性・化学変化に強い。また人体に優しい・アレルギーになりにくい、ダンピング能力に優れているなどの長所があります。
見た目も金属らしい高級感がありスマート・コンパクトで、ANDROMEDAやJUPITERのやや大柄でごつい筺体とはかなり異なっています。初代LYRAに近いですね。ただ表面はつるつるの初代LYRAに比べると艶消しのマット的な質感です。

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SpinFitチップを装着したDRADO、VEGA

また今回のラインナップからSpinFitチップの添付がなされました。標準以外のイヤチップは前まではComplyがついていましたが、今回から人気のSpintFitに変わっています。

これらに加えて、ANDROMEDA/NOVAから採用されたより優れた標準ケーブルも大きなポイントです。
初代LYRAからCampfire AudioはALO母体を生かして高品質ケーブルをつけていましたが、前ラインのANDROMEDA/NOVAからはさらに音質が良くなったと思います(ANDROMEDAの記事参照)。今回もその新しいケーブルが標準でついています。

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AK380, LYRA II

以降は機種別にレビューを書いて、最後にクロスレビュー的に今回のラインナップのとまとめと買いのポイントを書いていきます。

以下の試聴はすべて標準チップと標準ケーブルで行いました。これは条件を標準で聞くというのもあるけれども、Campfire Audioの場合は標準で十分以上に音質が良く、標準がよく音に会うというのがあります。ケーブルは言うに及ばず、標準のフォームチップも良いと思います。ただイヤチップは個人差があるのでこれは新しいSpinFitがあう人もいるでしょう。すべてたっぷりエージングしてから聴いています。

プレーヤーは基本的にはAK380を使用しました。はじめに結論を言うようでなんですが、これらをAK380で聴くとちょっとすごいです。特にVEGA。

-- Campfire Audio 「VEGA」レビュー  ダイアモンド(ADLC)ドライバーの採用

今回のラインナップの目玉ともいえるVEGAは、初のADLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)を振動版に採用した、8.5mmシングルドライバーのダイナミック型イヤフォンです。いわばダイヤモンド振動版を採用したダイナミック型イヤフォンとも言えます。

名前はCampfire Audioらしく、こと座のもっとも明るい星であるベガから取っています。これは同じダイナミックドライバーのLYRA(こと座)と関係するということでしょう。ダイナミックドライバーの中でもひときわ輝くというような意味かもしれません。

* ダイヤモンド振動版を採用

VEGAの特徴はまずこの新開発のダイヤモンド振動版です。
好評だったLYRAでは高い硬度のベリリウムのドライバーを採用したことが高音質のキーでしたが、VEGAではさらに高い硬度を持つダイアモンドを採用したわけです。つまりLYRAのベリリウムのさらに上をいきます。B&Wのダイアモンドツィーターなんかもこの部類に入ります。

LYRAも振動版すべてがベリリウムではないのですが、VEGAも正確に言うと振動版がダイアモンドの単結晶で出来ているわけではなく、ADLC(Amorphous Diamon-like Carbon)、つまりダイアモンドとグラファイトの複合材(アモルファス)であるダイアモンド・ライク・カーボンという非結晶体の硬質の薄膜でコートされています。ADLCはダイアモンドの性質をかなり継承しているということです。

なぜ振動版にADLCを採用すると良いかと言うと、いくつか理由があります。

*ADLCはとても高いヤング率が特徴です。簡単に言うととても硬いということで、つまり伸びにくい・変形しにくいです。ヤング率はチタンが1.1なのにたいし、ベリリウムは2.8、ADLCは3.3と大変硬いのがわかります。このため振動版の端まで正しく信号が伝わり分割振動(場所による振動の差)が少なくなります。不要な偽信号を排除して、結果的に高音域をより上に伸ばし、低音域においてはひずみを減らすことができます。これはB&Wでツイーターに使われる理由と同じでしょうね。
これで高域も歪なしに伸びてワイドレンジと低い歪を確保できるというわけです。

*次にADLCは硬さと低密度の比が良く(つまり軽くて硬い)、これによりレスポンスの速さ、ダイナミクスの再現がとても良いということです。また軽いだけでなく硬いので、しっかりしたピストン運動ができます。これで原音に忠実な音再現が可能になります。

*またADLCの振動版は音の伝搬速度が速く、高域特性の向上がはかれます。さらに熱伝導率も高いので音を出すパワー効率が改善されます。

簡単にまとめるとADLCは硬くて軽く、音の伝搬が速く、熱伝導率が高いなど振動版として優れた特性を持っているというわけです。
音的にはワイドレンジで低ひずみ、クリーンで色付けがなく自然な音再現が可能となるということです。

* 外観

これは今回のラインナップの3点共通していますが、ケースに入ったイヤフォンはたがいにこすれて傷がつかないように小さな袋に左右別々に入っています。なかなか細やかな配慮です。

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VEGAはとてもコンパクトでメタリック、がっしりとした感触を受けます。VEGAはその明るい恒星のイメージのようにシルバーで光り輝いているように思えます。

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ALO製の標準ケーブルと高い強度のMMCX端子もこれまで通りの長所です。

* VEGAの音質

まずVEGAでは鮮烈なほどの透明感と音の明瞭さに驚きます。これってシングルドライバーか、これってダイナミックか、と思うような驚きの鮮烈な音質です。はじめは本当に一度スペックを再確認したくらいです。

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前に記事を書いたようにLYRAをはじめてきいた時もダイナミックというよりBAの先鋭さだと思ったんですが、VEGAはいっそう透明感が高くシャープです。またBAドライバーとも違ったシャープさを感じます。高域は録音が荒くなければそうきつくはなく、にごりがなくすっきりと鮮明感があるという言う印象です。楽器音はピュアで明瞭感を感じます。シングルながらスケール感があり、音の広がりが豊かです(ここはシングルゆえの位相的な音のフォーカスの良さもあるでしょう)。低音域も深みを感じるほど低い音が出る。シングルとは思えないほど、とても帯域的にワイドレンジです。
低域はタイトに引き締まり、中域は美しく、高域は繊細でひたすら上に伸びていきます。総じて言うと音の印象はモニター的、リファレンス的な音でニュートラルです。低域は十分ありますがLYRAIIよりも抑えられています。

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またBAとはやや異なりダイナミックドライバーらしい躍動感を感じますが、暖かみは後に書くLYRAIIよりも控えめで、色付けが少なくニュートラルです。
中域から低域のパンチ、アタックはダイナミックらしいところです。ダイナミックとしてもかなり鋭い方でしょう。全体に音がクリーンで低音はダイナミックのパンチとBAのすっきり感が両立されています。この低音域の感覚に一番近いのはマベリックのように思います。

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解像力がとても高く、音が並はずれてリアルです。たとえばワールドミュージックで土俗的な太鼓をたたく音では、太鼓の革の素材が分かるように音が響いてきます。ちょっと初めて聞くと気持ち悪いくらいです。また生楽器だけではなく、エレクトロ系でもプログラムされた電子的な唸りはリアルっていうと変だけれども、実在感があります。
またスピードが速くテンポの刻みが気持ちよく、音の切れが良いです。音の立ち上がり・下がりの遷移が速いと言う感じです。

シングルドライバーゆえに高音から低音まで均質であり、楽器の音のピントもぴったりフォーカスが合う感じです。音が左右に移動する際には気持ち悪いくらいの立体感があります。

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AK380があったまるにつれて音が良くなるのが分かるような感じで、たぶん手持ちの高性能DAPがより楽しめると思います。
VEGAの素晴らしさはAK380 copperでさらに引き出されます。音はさらにピュアで美しく、(測定的にはともかく)聴覚的にはワイドレンジ感もいっそう感じられます。
ニュートラルで無着色だけれども、音に美しさが感じられるのが魅力で、透明で忍野八海の湧水のように純粋に美しい感じです。

VEGAは従来のダイナミックドライバーに一石を投じたようなインパクトのある製品だと思います。

-- Campfire Audio 「LYRAII」レビュー  復活した人気モデル

LYRAIIはLYRAで好評だった8.5mmのベリリウムPVDダイナミック型ドライバーを採用しています。ドライバーは初代LYRAと同じものだそうです。新たに新素材の流体金属をハウジングに採用している。LYRAの正統な後継機という位置付けだと思います。

名称は前モデル同様に、こと座(リラ・ライラ)から取られています。

* 外観

外観はコンパクトで前モデルとは色は違うがよく似ています。良く見ると旧LYRAのセラミックっぽいつるっとした艶のある外観ではなく、マットの艶消し質感だけれど質感的にはあまり変わらないように思います。サイズもほぼ同じです。違いは標準ケーブルも新しいタイプだということがあげられます。

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オリジナルはセラミック素材という特殊な筺体材質を採用することで音質アップも狙っていました(実際に比較用に製作したアクリル筺体のプロトタイプよりも音が良かったそうです)。この流体金属とセラミック素材ではそれほどの差はないということなので、同様な音質的な向上もはかれるということのようです。

* LYRAIIの音質

音質はダイナミックらしい有機的な音で、たっぷりとしたソリッドな低音域と鮮明で歪のないLYRAらしいピュアな中高域が魅力的です。前にも増して有機的な音がしますね。ヴォーカルが暖かみがあって艶っぽくて良いです。
また前よりすっきりして抜けが良いように思います。上の伸びが鮮烈で美しく伸びる感覚があります。

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VEGAに似た透明感・高い明瞭感を持っていますが、VEGAの方がよりワイドレンジでフラット、ニュートラル基調です。LYRAIIはより重心が低く、ややウォーム感があり音楽的というと音楽的です。モニター的傾向はVEGAよりは薄まっています。VEGAよりも音楽的で、より躍動感と有機的な味を感じられます。
またLYRAIIの解像力はかなり高いのですが、やはりVEGAには譲ります。たとえば上にあげた太鼓の音の音質についてはVEGAの方がはっきりと革の材質がわかる感じがします。

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VEGA同様にシングルゆえの音の均一性はかなり良く、高域と低域はハイブリッドのように違う音ということはありません。

次にLYRA初代と比較しみました。
LYRA IIとLYRA初代を比較してみると外観はほぼ同じですが、外観の質感はセラミックと流体金属の違いがあります。初代はつるつるで艶がありLYRA IIはマット(艶消し)です。

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初代LYRAとLYRA II

旧LYRA2とドライバーは同じで似た感じの音ですが、(ケーブルが初代LYRAから変わったから)同じケーブルで両者を比較してみると、より音の抜け・すっきりさが向上して全体に音の均一性が増して音質がより高くなっているように思います。
念のためにケーブルだけでなく、イヤチップも新しいものに変えて同一条件にしたけれども、それでもやはりLYRA IIの方がより良いように感じます。
ただ機構的にはTuned portは基本的に前作と同じもので、ドライバーも同じなのでまったく違う音と言うわけではありません。

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LYRAIIは LYRAの正統な後継機で、単にハウジングが変わっただけではなく音質もLYRAの特徴を引き継ぎながらより向上しているように思います。実際この音質の高さを考えると価格も手ごろなものになっていると思います。

-- Campfire Audio 「DRADO」 レビュー  ハイブリッド構成を初採用

DORADOはLYRAに採用されたベリリウムPVDのダイナミック型ドライバーと、BA型ドライバー2基のハイブリッド設計が特徴です。

名前ははじめは黄金郷の意味のエルドラドから取ったのかと思ったのですが、実はこれもやはり天文名シリーズで、DRADO(ドーレイドウ)とは南天の星座の名前です。日本語だと「かじき座」ですね。日本からは見られないのであまりなじみないように思いますが、実はこれ、日本人にはおなじみのあの「大マゼラン星雲」を含んだ星座です。つまり距離は天文マニアでなくても分かる14万8千光年のかなたです。

* 初のハイブリッド構成

DRADOはCampfire Audioでははじめてのハイブリッド構成を採用しています。
高域側がBAで、低域側がダイナミックです。BA部分はANDROMEDAと同じドライバーとクロスオーバーを採用しています。ダイナミックドライバーはLYRAと同じだそうですので、いままでのCampfire Audioラインナップのハイブリッドです。

BAドライバーはJUPITERやANDROMEDAと同じチューブレス設計でアコースティックチャンバーをも採用しています。Campfire Audioではこの機構をTAECと呼んでいます。TAECとは"Tuned Acoustic Expansion Chamber"の略で、いままでアコースティックチャンバー(音響室)と書いてたものです。
これはBAドライバーの出力穴のところに置いた音響空間で、大きさと形を工夫することで高音域を伸ばし、不快なピーク部分を減らす働きがあります。つまり音響フィルターが不要なので音質もよりクリアになるというわけです。
DARKOの記事ではKenさんがDarkoにTAECとは"高域ドライバーのスーパーチャージャーだ"と語ってますね。

* 外観

ハイブリッドとしてはかなりコンパクトで取り回しがしやすい感じです。

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LYRAに似ていますが、よりメタリックな外観です。ハイブリッドにしてはコンパクトで、ダイナミックなのでベント(tuned port)があります。

* DRADOの音質

VEGAがモニター的、リファレンス的な音ならこれは個性派といえます。音の一貫性・つながりはシングルのVEGAの方が良いけれども、DRADOではBAらしい細やかさの中高域とダイナミックっぽいパンチの低域の両方でハイブリッドらしい魅力を楽しめます。

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中高域のすっきり加減はチューブレスっぽいように思います。ただANDROMEDAやJUPITERに比較すると、全体に重心が低くてより中低域にポイントが置かれた音になっています。また一方でLYRAIIに比べると暖かみは控えめでBAらしいシャープでニュートラルな感じでもあります。
低音はあえてたっぷりと強調感があるように思いますが、全体的なダイナミックの厚みも加えて今回のラインナップでは一番ロック・ポップ向きだと思います。ただし中低域と全体の厚みが印象的ですが、ヴォーカルはマスクされてる感はなく、むしろ女性ヴォーカルが良い印象です。この辺は初のハイブリッドにしてはうまくまとめていると思います。違和感の少ないわりと自然な音表現で音の広がりも悪くありません。

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DRADOは重みがあって濃い音で、すっきりとした感覚のあるCampfireのこれまでよりもJH Audioをちょっと思わせます。低音はLYRAよりもさらに迫力があります。この辺はVEGAだとすっきりと透明感が高い低音表現です。濃くて厚みのある音が好みの人はDRADOが良いかもしれません。
例えば太鼓の音はVEGAの方が革の質感が分かるほどのリアルさだけどすっきりしていて、パンチとインパクトはDRADOの方ががんがんとある感じです。

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次にANDOROMEDAと比較してみます。
ANDROMEDAと比較してみるとDRADOのコンパクトさがよくわかります。またDRADOの方にはダイナミックドライバー内蔵らしくベント孔がついています。

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音質をANDROMEDAと比べてみると中高域がピュアな点は似ていますが、全体の音はANDROMEDAが上に伸びる中高域よりなのに対して、DRADOは重心が低く中低域よりになっているので、音の個性は異なります。ヘビーなロックにはよりDRADOの方が向いた感じです。
またANDROMEDAはとても感度が高いのですが、DRADOはわりと感度は普通から低めになっているので扱いやすくなっています。

* 今回の新ラインナップのまとめ

全体に今回の流体金属化とVEGAの新ドライバー採用やDRADOのハイブリッドでの厚みのある音など、ラインナップが一新された感があります。ステップアップもされた感じです。
すべてコンパクトで特にDRADOがハイブリッドのマルチドライバーなのにかなりコンパクトです。この辺も流体金属効果でしょうか。前はシングルBAのORIONでもやや大柄だったので進歩を感じさせます。

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LYRA II

各機種を比較すると、それぞれアンプやDAPの相性もあります。AK380にはVEGAやLYRAIIがあっていて、iQubeV5などアンプシステムにはDRADOがあっているように思います。AK380持ってる人にはVEGAはおすすめです。マルチBAカスタム使ってる人でも、AK380ってこんなすごかったとまた見直すと思います。

VEGAとLYRAIIは相性という観点からはほぼ同じですが、音の個性が異なります。
際立った透明感・明瞭さとニュートラル・リファレンス的な音の性格で、端的に言うとVEGAはシングルダイナミック版のKatanaという感じ。新鮮さを覚えるほどすごい音の高みを感じますね。

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VEGA

LYRA IIはやはり高い透明感はあるが、もっと低域よりでやや温かみがあり音楽的に楽しめるタイプの音。VEGAとは音の好みで選択するとよいと思う。たとえば旧LYRAファンの人ならば、LYRAにダイナミックを超えるような音性能の高さに惹かれたならばVEGAに行くのが良いと思うし、LYRAの持つなめらかで音楽的な美しさに惹かれた場合にはLYRA IIが良いと思います。

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DRADO

DRADOはハイブリッドということでこの二者とは立ち位置が違いますが、Campfireの今回のラインナップとしての共通した音の魅力もかねそなえています。
VEGAが聴いたことない音再現だとすると、こちらは馴染みの音。BAとダイナミックを使ってるのだな、と分かります。VEGAは予備知識なしだと、どういうドライバーなんだと思ってしまいそうです。
ラインナップ的にはシングルのVEGAがあって、ハイブリッドのDRADOが映える感じでもあります。やはりVEGAの透明感の高さ・明瞭さには惹かれるけれども、全体にもっと厚みや濃さがほしいという時にはDRADOがぴったりです。

ざくっとしたジャンル的にいうとジャズ・クラシック・良録音系はVEGAで、ロックポップ・エレクトロ系はLYRA2、またはDRADOがよいと思います。

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LYRA II

またマルチドライバーモデルと言っても、ANDROMEDAはDRADOとも音の個性は異なるので、これも今回のラインナップとともに選択に加わると思います。
これでCampfire Audioの製品が洗練されたとともにますますラインナップの幅が増えて充実しました。これで名実ともにCampfire Audioが新興メーカーから中堅メーカーに移行できたと言えるのではないかと思います。
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2016年10月27日

Apple純正3.5mmヘッドフォンアダプタの実力とは

Apple純正の完全ワイヤレスイヤフォンであるAirPodsはどうやら予定よりも遅れるらしいというニュースが流れてきました。それならばiPhone7のポスト3.5mm端子の選択はライトニングで、という選択でもっとも手軽なものはこれです。Apple純正のDAC内蔵型ポータブルヘッドフォンアンプ、Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ、900円なりです。

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これはiPhone7でヘッドフォン端子がなくなったことにより、iPhone7/plusには付属でついてくるものですが、別売でも購入できます。以前30ピン端子がライトニングに変わったときについてきた30ピンアダプタはやはりDACが入ってました。このときはWolfson WM8533というDACチップが入っていました。これは今回のアダプタとは違ってADCが不要だからDACでよいわけです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/302004727.html

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このLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタについてはあまり音質的な期待はなかったんですが、使ってみると意外と音が良いと思います。前のiPhone5sでも使ってヘッドフォン端子とくらべてみましたが、解像感はそこそこですが、よりパンチがあって音のメリハリがあります。そこでヘッドフォン端子がついているiPad mini2を使う時でもわざわざこのアダプターを使うようになったのでほとんどポタアン状態です。iPadの場合には普通のサイズのDAC内蔵ポタアンは合わせにくいので便利です。

このアダプタについては下記のiPhoneの分解でおなじみiFixitに記事があります。
http://ifixit.org/blog/8448/apple-audio-adapter-teardown/
ここではX線で透視した写真が載っていますが、他の分解した人の写真から見ると使われているICはiPhone本体で使われているAudioCODECチップと同様なシーラスロジックのICであると考えられます。型番は検索できませんが、Appleくらいの出荷数ならカスタムICを使うのでカタログには載ってないでしょう。
AudioCODECはADCとDACをワンチップにしたものです。ライトニング端子はアナログが透過できないので、その手前でイヤフォン出力もマイク入力もデジタル/アナログ変換が必要になりますね。
ただこの記事でも書かれていますが、iPhoneと異なるのはCODEC(圧縮と伸張)がiPhoneの中のAudioCODECチップで行われるために不要なので、単にデジタル信号の入出力でよいということと、アダプタのチップにはアンプが内蔵されているのではないかということです。iPhone本体ではアンプは別チップになっています。

これだけだとこのアダプタの性能は良くわからないのですが、このLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタを測定したドイツの雑誌記事がこのリンクにあります。
https://www.heise.de/ct/artikel/iPhone-7-nachgemessen-Audio-Adapter-liefert-schlechteren-Sound-3325932.html
その結果を見るとダイナミックレンジはiPhone本体に劣りますが、出力インピーダンスが大きく改善されています。iPhone単体で出力インピーダンスが4.5オームだったものが、Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタでは1オームを割って0.5オームくらいになっていますので、これはちょっとしたヘッドフォンアンプ並みと言ってよいでしょう。
Walkmanでも出力インピーダンスは3オーム前後だったと思うのですが、大きなメーカーはやはり安全基準のようなものがあってあまりマニアックメーカーほどは出力インピーダンスを下げないのが普通だと思います。そこでマニアックメーカーくらい低い出力インピーダンスを持っているLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタはちょっと面白い存在です。特にインピーダンスの低いイヤフォン向きと言えそうです。おそらくは本体ではなくアクセサリだから基準が適用されなかったのでしょうね。
またダイナミックレンジに関してはiFixitの記事にもありますが、測定値が99dB→97dBのように低下したとしても16bit音源の場合には理論限界の96dBよりも高いので問題ないと言えると思います。

*ちなみにハイレゾ(24bit)の場合は理論値が144dBで、人間の知覚限界が120dBと言われてますので、ダイナミックレンジはもっとあった方が良いということになりますね。本当の意味での「ハイレゾ対応かどうか」ってこういうことだと思いますが、こういう話が出ないのは不思議、不思議。

また雑誌のカメラマンでもあるHeadFiのネイサンが測定した結果もこちらに乗っています。ここでもダイナミックレンジはiPhone本体よりも低いのですが、イヤフォンをつけた負荷状態のTHDはわりと優れているということがうかがえます。
http://ohm-image.net/data/audio/apple-lightning-35-mm-headphone-jack-adapter-24-bit

これらの結果から考えるとLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタのDACはそこそこでも、アンプ部分はわりとよいのでCD音源であれば十分けっこう使えると思います。聴覚的にもiPhoneやiPadのイヤフォン端子よりもタイトでキレ良くインパクト感が出ていて楽しく聴くことができます。それとちょっと低域を強調させていて妙にチューニングした感があります。一見して安物おまけアクセサリーのように見えますが、実のところけっこう手が込んでるように思います。
いずれにせよ本格的なDAC内蔵ポータブルアンプにはおよばずとも、ちょっとバッグに入れておくには十分なアクセサリーだと思います。特にサイズ的にポータブルアンプと合わせにくいiPadには良いように思います。iPadだと1.5オーム前後とiPhoneよりは一般に出力インピーダンスが低いのですが、それでもこのアダプタ経由の方が良いように思います。

仮にiPhone7でヘッドフォン端子がついていても出力インピーダンスは4-5オームを踏襲して、それまでのiPhoneとさほど代わり映えのしない音質となったと思いますので、かえってこのアクセサリーが出てきて音が楽しめるようになったというのは意外なiPhone7の落し物というか拾い物という感じです。
posted by ささき at 21:52 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月12日

DJタイプの高音質BTヘッドフォン、Pendulumic TACH T1

Pendulumicは海外でも音質の良いBluetoothヘッドフォンとして最近注目されてきています。前回はS1というモデルを紹介しましたが、今回はT1というDJタイプのモデルを紹介します。日本には宮地商会(M.I.D)が輸入して、各ヘッドフォン販売店で購入することができます。
http://www.miyaji.co.jp/MID/product.php?item=TACH%20T1

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* T1の特徴

基本的な特徴はS1と準じますが、いくつか新機能が付加されています。またT1は日本でも販売されていますので、日本語の解説書がついています。

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T1は端的に言うとアンプ内蔵のBluetoothヘッドフォンです。特徴としては充電式のバッテリーのほかに乾電池(単4)も搭載していることです。このことにより、両方を併用してBTでの使用時間を延ばすことができるとともに、いざ使いたいときに充電していない、というミスを防ぐことができます。また無線の使用時間は最大25時間(メーカー公表値で電池使用含む)を確保しています。

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またT1は無線でも有線でも使うことができます。S1では手動での切り替えですが、T1ではケーブルを接続することで自動的に有線モードになります。有線モードのアンプあり、有線モードのアンプなしはスイッチで切り替えます。有線でもアンプを入れたほうが音質は高まりますが、バッテリーも消費するためにこのような使い分けが可能となっています。またそれぞれのモードでスマホなどでの電話通話に切り替えることができます。
聴き比べてみるとT1はS1よりも有線モードの音質が高いように思えます。

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またこれもS1と同じなのですが、PendulumicのBTヘッドフォンのポイントとしてハウジングには操作つまみがついていて、これを押しこむことでリモコンの働きをして再生・一時停止や曲送りが可能です。またこのつまみを回すことで音量を手元で調整できます。これ以上上がらなくなると音で警告します。

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そのほかの機能としてはBluetoothは4.0に対応していて、Apt-Xコーデックも使用ができます。
ドライバー口径は40mmで周波数特性は20Hz-20kHz(apt-x時)、インピーダンスは32オームです。重さは245gです。

T1では新機能としてSharing modeという機能が追加され、二人がT1を持っていれば一台目のT1が゛二台目のT1に音楽を飛ばして同じ音楽を共有できるようになった。四角いボタンがシェアリングボタンです。
また映画を見てても気にならない程度の低レイテンシーをうたっています。

* 音質について

試聴はiPhone6/5s、AK240と行いましたが、特にひどい音切れはないように思えます。アプリはKaisertoneを使用しました。
S1はわりと整ったいわばジャズクラシック向けのような音だったけれども、T1は見た目通りのDJタイプっぽい低域強めの音です。高域は強くなく柔らかめで、中音域の音も丸く柔らかいがわりと明瞭感もあります。全体的には低音域を中心とした音といえます。
かなりベース偏重の音なので、好みは分かれるかもしれないけれども、個性がはっきりしているのでEDMとか聴くジャンルがはっきりしている人にはかえって選びやすいと思います。

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無線の時はボリュームが下がって音が低く聴こえるときがあるので音が小さめの時はまずつまみを操作するとよいと思います。

音的にはAstell & KernプレーヤーとBluetoothで接続したほうが向上します。そこでAK240と組み合わせてみました。この場合はAPT-Xが有効となります。
音の傾向はiPhoneと同様のベースヘビーなDJタイプだけれども、AK240と合わせると歯切れの良さが向上し、ベースやドラムスでもアタックが気持ちよくなります。ヘビーなロックやポップの再生が楽しめます。ただアコースティックな曲の再生などにはやはり向いていないので、ロックやダンスミュージックをヘビーに楽しむというのが良いと思います。
有線でアンプをオンにすると内蔵アンプの効果もあってか、パワフルで迫力があるサウンドを楽しめます。

T1は音とデザインがDJタイプらしくはっきりしているので、聴きたい音楽がはっきりしている人にお勧めです。
秋のヘッドフォン祭では13F宮地商会(MID)さんのブースでT1を聴くことができます。
良いDJタイプのタイプのワイヤレスヘッドフォンの探している方はぜひどうぞ。


posted by ささき at 11:14 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする