Music TO GO!

2021年12月30日

2021年のトレンド2  ASMRとイヤフォン

ゲーミングと並んで今年のトレンドの一つだったのはASMRがあげられると思います。
ASMRは一般には波の音や雨音などもありますが、特に日本で人気があるのはやはり男性もしくは女性が耳元で囁くような密着感のある音源です。実際この分野ではよく知られるfinal E500がブレークしたきっかけというのは池袋界隈の女子たちが多く買い求めたことだったそうだけれども、それはつまりそうした音源に向いているということがネット・口コミで広まったということのようです。そして声優さんの「エッチなイヤフォン」というパワーワードもあってE500がASMR向けイヤフォンとして知られるようになりました。

COTSUBU_ASMR_とE500右_1.jpg
COTSUBU for ASMRとE500

E500は開発時からバイノーラルに強い左右の音情報を持つことができるイヤフォンとして開発されたようですが、もともとは3DとかCGなどの用途だったそうです。しかし上記のように、市場反応でASMRが向いているということでその点を音響工学的に深く掘り下げて、さらに有線だと寝ながら装着ができないのでワイヤレスとしたのがagのCOTSUBU for ASMRです。ここでポイントとなるのが集中力が途切れないための"没入感"というキーワードです。これは自然な音造りで歯擦音などを含まないという意味のようです。また耳との近さが重要です。

COTSUBU_ASMR左とCOTSUBU右_3.jpg
通常COTSUB(クリーム)とASMRバージョン

実際に自分でも通常版のCOTSUBUとCOTSUBU for ASMRを比較してASMR音源を聴いてみるとかなりの違いがあり、通常版のCOTSUBUだと客観的で少し離れたところに音を感じますが、COTSUBU for ASMRでは耳元とか首筋の至近で語り掛けられる感じになります。刺激成分を抑えているとはいいますが、COTSUBU for ASMRの方が声が鮮明でよりリアルに聴こえます。
COTSUBU for ASMRはE500とも耳の近さという点では似ていますが、E500の方がより密着感があります。またVR3000 for Gamingも"没入感"というキーワードではASMR向けイヤフオンと似たような開発方針で作られていて、ASMR音源を聴いてもやはりこうした密着感が感じられます。ただし耳との近さには差があり、近い方からE500/COTSUBU for ASMR/VR3000 for Gamingとなります。

COTSUBU for ASMRの他にもacoustuneの完全ワイヤレスのANIMA ANW01に使われる専用アプリのANIMA StudioにもASMR向けのイコライザーのプリセットがあり、ダミーヘッドやマイクの特性を考慮しながら設定したということです。ANW01はDJのTAKU INOUE氏によるサウンドチューニングなど音造りに主眼がおかけていて、ASMR用プリセットもまたその一環なのでしょう。
当初のASMR 4Cの他にも声優さん監修によりASMR LONGが設けられ、監修した小岩井ことりさんはやはり聴き疲れしない音にポイントを置いているようです。

anima.jpg
ANIMA ANW01

最近は空間オーディオ流行りということで、イヤフオン・ヘッドフォンにもスピーカーらしさが求められたりしますが、物理的に違うものだからそれを求めても限界はあると思います。
昔からイヤフオン・ヘッドフォンをやっていて思うのは、むしろイヤフオン・ヘッドフォンで語られるべきは耳との近さ・親密感(海外ではよくintimateと評される)ではないでしょうか。ASMR分野はそれを再確認させてくれるように思います。
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2021年12月29日

2021年のトレンド1  ゲーミング分野と有線イヤフオン

昨年から継続しているコロナ禍でトレンドとなっているものはゲーミングです。最近行われたクアルコムのイベントでもゲーム分野の注目度の高さが伺えました。
これについてはイヤフォンの分野でも「ゲーム専用」やゲーム特化型のモデルが作られるようになってきました。そしてゲーミングに使われる機材がハイエンド化していることが特徴です。

まず今年初めに平面型のヘッドフォンで知られるAUDEZEが新製品Euclidを発売しています。これは$1,299となかなか高価格のハイエンドイヤフォンです。これ自体はAUDEZEで初めての密閉型の平面磁界型イヤフォンですが、興味ふかい点はこの新型イヤフォン解説のストリーミングをtwitchで行ったということです。twitchはゲームの実況中継を行うサイトです。HeadFiなどのオーディオサイトではなくtwitchで行ったというのは注目点です。
またAUDEZEは昨年7月にワイヤレスヘッドフォンのPenroseを発売してゲーミング分野への興味を示していましたが、この時代に有線イヤフォンを開発するということは低遅延を重視するゲーミング市場も重要に捉えているのでしょう。Penroseは2.4GHzのワイヤレスドングルが付属していて一般的なBluetoothを超える低遅延を実現しています。

今年中盤には映画館でおなじみのTHXから初のコンシューマー向け製品としてドングル型のポータブルUSB DAC Onyxが発売されています。価格はUSD$200くらいでTHX-AAAを採用した本格的な製品です。
ポータブルUSB DACを出したTHXの製品戦略を考えてみると、海外で販売されているのがゲーミングデバイスのRazerのサイトだということがキーになるように思えます。有線ヘッドフォン向けデバイスであるからゲームで重要な遅延も問題になりません。またTHXは「THX Spatial Audio」という今流行りでもある空間オーディオの技術を持っています。つまりRazerが発売しているRazer BlackShark V2のようなTHX Spatial Audioに対応したゲーミングヘッドフォンと組み合わせて、対戦ゲームで求められる高精度の立体音響と高品質でリアルな音質の実現を提供するデバイスとしてOnyxが用意されたのではないかと考えることができます。

Razerのサイト
https://www.razer.com/mobile-accessories/thx-onyx/RC21-01630100-R3M1

オーディオ製品のゲームへの歩み寄りとともに、ゲーム製品のオーディオへの歩み寄りもまたあります。
今年9月にはASUSのRepublic of Gamers (ROG)イベントにおいてゲーミングヘッドセットDelta Sが発表されています。ASUSはすでにゲーミングヘッドセットを出していますが、Delta Sで注目すべきは高音質仕様になっているということです。DAC IC(正しくはオーディオCODEC)にES9281を採用し、MQAをサポート(MQAレンダラー)した初めてのヘッドホンです。
ただしMQAレンダラーはソフトウエアでコードが必要なためにゲームアプリでは対応できないでしょう。ASUSは、MQA対応をメインの特徴とするためにES9281を採用したのではなく、従来モデルのROG DeltaでES9218を採用していたのでその延長上とも考えられますが、やはりES9821の130dBもの高音質がゲーミング分野に重要と読んだのかもしれません。

ゲーミングに好適というゲーム仕様のイヤフォンもまた発売されています。今年の6月には有線イヤフォンのAZLA AZEL Edition Gが発売されています。これはAZELのゲーミング向けバージョンで、AZELをベースにして韓国一の人気プロゲーマー監修により再設計を施したバージョンです。銃声音や足音など細かい音を一つ逃さず、敵の位置を把握しやすいサウンドバランスを実現した点が特徴で、特にFPSゲームに最適化しています。
AZLAによると、オリジナルのAZELも本国ではゲーミング用として1万台以上販売されるほどのニーズがあったということです。 Edition Gでは特に左右バランスの完璧さ(音のピンポイントの定位、音の来る方向)が最大のポイントだということです。このために高度なハイエンドイヤフォン並みのチャンネルマッチングをeditionGでは実施しています。

IMG_5156.JPG  廃棄品.JPG  
AZEL EditionGとチャンネルマッチングのために廃棄されたパーツ
IMG_5157.JPG
特性図は左右がきれいに合致している(赤青の色が重なっている)ことに注目

国内ではfinalが有線イヤフォンのVR3000 for Gamingを発売しています。
finalで重要としたポイントはプレーヤーの没入感を高めるという点だといいます。これは具体的にいうと刺激成分が少なく集中力が途切れないということです。方向感覚も大事ながらも、やはりゲーミングでも集中力を生むことのできる没入感が大事であるとfinalでは考えているということです。

vr3000.JPG
final VR3000 for Gaming

イヤフォンはワイヤレスに移行しつつありますが、ゲーミング分野では低遅延の必要からまだ有線イヤフォンが重宝されているという点も見逃せません。つまりシェアを奪われつつある有線イヤフォンが生き残る道の一つであり、高度化するゲーミングがより優れた方向性で銃撃の方向がわかることや、優れた解像力でかすかな足音がわかるようなハイエンドの特性を欲しているということでもあります。プロのeスポーツプレーヤーの反射神経はオリンピックの運動選手並みということをクアルコムのイベントでゲーマーが話してたのが印象的です。

一方でワイヤレスで有線に匹敵するような低遅延化については、今年オーディオテクニカが音楽練習用で発売した赤外線ワイヤレスEP1000IRがひとつの面白い手段ではあります(処理が単純なために遅延が少ないとのこと)、ただしドングルが必要なためゲーミングに広まるかはわかりません。

ピアノアプリとep1000ir.jpg
オーディオテクニカ EP1000IRとiPadのピアノアプリ
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2021年12月16日

acoustuneのプロ用モニターイヤフォン、RS oneレビュー

おなじみのAcoustuneから新製品が登場です。しかしいつもの製品とはまったく異なるラインで、「Monitor(モニター)」シリーズの第1弾となるステージモニターイヤフォン「RS ONE」です。発売日は2021年12月10日(金)で、価格は12,980円です。二色カラーの展開です

IMG_7213_filtered_s.jpg  RS_ONE 2色.jpg

「RS ONE」は高耐久性とモニタリング性能に焦点を当てて、新開発のミリンクスELドライバーを搭載したステージモニター向けのイヤホンです。もちろん一般ユーザーが音楽を聴くのにも使うことができます。
例えばスパウト部分の折損、コネクター部分やハウジング部分の破損、ケーブルの接触不良等のトラブルが発生しがちな部分をクリアしつつ、大入力でも飛ばないとか、強靭ながら取り回しが良いケーブル、イヤホンとイヤモニシステムがマッチするようにインピーダンスをデザインするなどの工夫でプロフェッショナルの現場を想定して開発されたとのこと。

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*モニター用のミリンクスEL ドライバーの採用

音質の面ではAcoustuneらしくポリマーバイオマテリアル「ミリンクス」を振動板素材に採用しています。
ミリンクスは医療用の合成基材ですが、振動板素材としても非常に高い音響性能を誇る高機能樹脂です。このミリンクスを薄膜化した振動板は、軽量でありながら高い強度と柔軟性を合わせ持つのが特徴です。これはいわばムチのように強いがよくしなるということのようです。

ステージモニターとして設計したRS ONEでは新たに「ミリンクスEL ドライバー」を採用しています。このミリンクスEL ドライバーは通常のミリンクスドライバーに比べ、より正確なモニタリングを実現する為のドライバーで、内部損失が大きいのが特徴のようです。
内部損失が大きいということは叩いても反響音がしない材質ということで、余計な付帯音を減らしてモニタリング性能を高めています。

また瞬間的に最大250mWの信号が入力された後でも正常に使用できる高耐入力性を実現ているということです。これにより、突発的にステージ上でハウリングのような大きな入力があった場合でも、イヤホンのスピーカーが壊れにくい堅牢性を持つとのこと。

*ワイヤレスイヤモニシステムとのインピーダンスマッチ

ステージモニターは主にワイヤレスイヤモニシステムと組み合わされて使用されます。このイヤモニシステムとイヤホンのインピーダンスが合っていない場合、音量が取りにくくなったりイヤホンの特性が変わってしまい、モニタリング性能が低下する等のケースがあります。RS ONEではこういったトラブルを避けるため、インピーダンスマッチングを的確に行うことでイヤモニシステムと相性問題を少なくしているとのことです。

*新規開発ケーブル『ARM011』と『Pentaconn Ear Long-Type』の採用

ケーブルにはRS ONE 用に新規開発した「ARM011」を採用しています。これは高純度リッツ線とケブラーワイヤーを編み込んだ線材を4芯構造で使用しPU 素材の被覆をしたもので、取り回しが良いながらも癖がつきにくく、かつ断線しにくいとのことです。イヤモニシステム使用上との相性を考え、プラグ部はストレートタイプです。

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端子は好評のPentaconn Earタイプで、RS ONEでは、ステージモニターとして重要となる汗対策として、ボディに対して埋め込み式となりコネクター部分に汗が入りにくい構造である『Pentaconn Ear Long-Type』を採用しています。

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付属品としてはAcoustune イヤホン開発時のリファレンスとしても使用されているシリコンイヤーピース「AET07」、フォームタイプならではの密閉感を得られる「AET02」が付属します。更にキャリングケースも付属しています。

インプレッション

簡素な箱がプロ用と言う感じを受けます。筐体は軽くカールがあるのでかなりしっかりはまり装着感は良好です。ケーブルはやや硬めだけどしなやかなので取り回しは悪くないですね。見るからに音が良さそうなケーブルです。

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モニターらしく帯域バランスの良いフラットな音で、ソリッドでシャープなサウンドです。楽器やホールの立体感、音空間の深みがよく再現されています。
音的にはレベルが高くもっと高くてもおかしくなさそうなくらいの音です。良録音を聞くと音の細かなニュアンスまでよく聞こえ、音の歯切れが良く音像のエッジがよく立っています。音像がつかみやすい音ですね。着色感が少なく、元の音に忠実で、楽器の音色もよくわかります。特にピアノの打鍵音が良いですね。
高域のベルやハイハットの音はかなりシャープで、低音もHD800のような正確な低域で、引き締まっていて、かなり深く沈むように思います。ワイドレンジ感も高いですね。低域が出過ぎていないのでヴォーカルもかなり明瞭に聴こえます。

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とても音楽が綺麗に聞こえるので、モニター用としてではなく音楽用としても良いでしょう。
この価格ではかなりレベルが高い音でミリンクスのポテンシャルの高さを感じます。たぶんリケーブルするとさらにレベルの高い音になると思います。
しっかりとした音の輪郭がアコースチューンらしいと思います。独特のミリンクスらしい空間表現が個性的な点もあります。
普段遣いでも気軽にバッグに入れておけそうだし、質実剛健でコスパの良いイヤフォンです。

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2021年12月09日

アスキーに「ASMR専用をうたう「COTSUBU for ASMR」、ではASMR向けの音作りとは何か?」を執筆しました

アスキーに「ASMR専用をうたう「COTSUBU for ASMR」、ではASMR向けの音作りとは何か?」を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/077/4077279/
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2021年11月24日

アスキーに「Astell&Kernの「AK ZERO1」を聴く、平面駆動/ダイナミック/BA型の異種アンサンブル」の記事を書きました

アスキーに「Astell&Kernの「AK ZERO1」を聴く、平面駆動/ダイナミック/BA型の異種アンサンブル」の記事を書きました。

https://ascii.jp/elem/000/004/075/4075708/
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アスキーに「SAOの世界を実現するようなアップルの特許申請技術」を書きました

アスキーに「SAOの世界を実現するようなアップルの特許申請技術」を書きました。

https://ascii.jp/elem/000/004/075/4075154/
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2021年10月18日

アスキーに「MEMSスピーカーを採用したFAUNAのオーディオグラスを体験」の記事を執筆しました

アスキーに「MEMSスピーカーを採用したFAUNAのオーディオグラスを体験」の記事を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/071/4071632/
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アスキーに「HIFIMANが新DAC「HYMALAYA DAC」開発、小型のマルチビットDAC」の記事を執筆しました

アスキーに「HIFIMANが新DAC「HYMALAYA DAC」開発、小型のマルチビットDAC」の記事を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/071/4071119/
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2021年09月24日

Oriolusのハイエンドイヤフォン「Mellianus JP」レビュー

OriolusのMellianus JPは生産終了した先代Mellianusのマイナーチェンジモデルです。Oriolusの「JPシリーズ」はOriolus本社から全面的なサポートを受けた上に、日本代理店と関連会社のノウハウで作り出したOriolusハイエンドラインナップということです。

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Mellianus JPは、先代Mellianusの音の傾向を維持しながら、低音域から高音域までさらにフラットになるようにチューニングされ、情報量とディテールをさらに増すという方向で音造りがなされたとのこと。そのポイントの一つとなるのがPW Audio社の特注のケーブルを採用するということです。これはPW audio社のノウハウを借りながら10数種類の候補を用意してもらい、その中で「Silver Liar」が一番目標に近いということで選ばれています。先代の片方10BAという構成は本機でも堅持されています。これは様々な試行錯誤の結果だということです。インピーダンスは36Ωで、出力音圧レベルは109dB/mWです。

Mellianus JPにはカスタムモデルもありますが、今回レビューするのはユニバーサルタイプです。カスタムモデルもユニバーサルモデルもチューニングは同じだとのことです。
ユニバーサルモデルは発売日が9月24日で価格はオープンですが推奨価格は税込みで385,000円。カスタムモデルは9月24日に受注開始(納期が2-3ヶ月ほど)で、価格はやはりオープンですが推奨価格は税込みで431,200円です。かなりのハイエンドモデルと言えます。

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インプレッション

Vannuysのヘビーデューティーなケースに格納されています。ソフトケースですが、ちょっとやそっとの衝撃では大丈夫そうです。高価なモデルなので安心感は高いでしょう。

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本体はシェルが透明で10個のドライバーが整然と配列されているのがよくわかります。シェルの透明度も高いですね。フェイスプレートはシルバーでOriolusのロゴが記されておりシンプルな感じです。
PW Audio製のケーブルはやはりシルバーで配色されていて豪華ですが、柔軟性は高く全体にそう重くはないので取り回しは大変ではないでしょう。プラグは4.4mm端子のみです。日本ディックス製Pentaconnブランドの立派なプラグで実際にかなりしっかりと接続できます。
ケーブルは2ピンのタイプで、旧UEやfinalのようにはめ込みのガイド溝のあるタイプですので2ピンでよく問題になる極性を間違うことはありません。これを買うクラスの人は多数ケーブルをお持ちだと思いますが、ガイド溝だけ気をつければ付け外しも硬くないのでリケーブルは簡単でしょう。

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特徴的なのはノズルの先端のボア(穴)が4つもあいていることで、3つは金属のチューブが挿入されていて、一つはアクリルの無垢です。そのためノズルが太いので少しイヤーピースは嵌め込みにくい感じです。

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デモ機には試用のイヤーピースが一組だけ入っていましたが(ウエブ画像はデモイヤピース)、SednaEarfit light shortが装着できました。装着感は良好で10ドライバーの割にシェルのサイズはそう大きくないので耳への座りも良いですね。重さもさほどではありません。

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試聴はAKのA&Futura SE180で行いました。AK4497のSEM2を使用しています。能率は適度で通常ゲインで十分に音量は取れます。
音は厚みがあって豊かなサウンドで高級オーディオのような品格高い音です。音はシャーブですが、マルチBAにありがちな細身な音ではなく、どっしりとした太身の音です。しかし、もちろんハイエンドイヤフォンですから大味なわけではありません。豊かで洋々としたサウンドですが、細かいところに耳を傾けると楽器の音や声質がよくわかります。アカペラの多声曲を聴くと煌めくようなソプラノからどっしりとしたバリトンやバスまで様々な声質が巧みに描き分けられています。着色感は少ない方でここはBAらしい音色です。
音の広がりも良く、ホールに響き渡るように広い音空間が感じられます。一方でヴォーカルはわりと耳に近い方ですから、広いホールの前方席で聴いている感じですね。
低域はたっぷりとあって迫力があります。これも音のスケール感の高さに貢献している感じです。

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AK SE180とMellianus JP

高再現性の音ですがモニター系の音ではなく、聴いて楽しむ系の音造りと言えるでしょうね。それでいて音楽の細部の表現までしっかりと再現されていて、音鳴り自体を楽しむハイ・ファイオーディオ向けのサウンドでもあります。
楽器音の再現はとても鮮明で、弦楽器のピッキングの切れ味も気持ち良く聞くことができます。良録音のサウンドチェック用音源で聴くとかなり細かい音まで抽出されて鮮明に聴き取ることができます。音が漆黒に消え入る時の残響感も見事で情報量の多さには圧倒されます。SE180/SEM2の性能を極限まで楽しめることでしょう。

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SE180のDACカードをES9038ProのSEM1に変更するとサウンドはもっとアクティブで音場により深みが感じられ、ヴォーカルはより鮮明に聞き取れるようになります。SEM2に比べるとよりシンプルな楽曲で音再現の凄みを感じられます。ES9038Proの圧倒的な性能をしっかりと再現している点はさすがです。
全体的に音性能はかなり高いのですが、あまり分析的にならずによく音楽の楽しさを伝えているサウンドです。

まとめ

個人的には帯域バランスや音色なども含めてかなり完成度が高く、あえてリケーブルする必要はないかなとは思います。そういう意味では今回採用したPW Audioのケーブルは十分狙い通りだったと言えます。
全体にBAらしい着色感のなさや音のタイトさを生かしながらも、ある意味でダイナミック的な迫力や分厚さを兼ね備えた音です。情報量の多さもあいまってハイエンドの凄みを堪能できるサウンドですが、客観的なプロデューサー向けの音ではなく週末に好きな音楽を楽しみたくなる感じの音です。最高クラスのDAPを持っている方で、音楽を楽しみたいイヤフォンを探している人にお勧めです。
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2021年09月18日

アスキーに「テクニクスがLDAC対応で第2世代の完全ワイヤレス「EAH-AZ60/AZ40」」の記事を執筆しました

アスキーに「テクニクスがLDAC対応で第2世代の完全ワイヤレス「EAH-AZ60/AZ40」」の記事を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/069/4069083/
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アスキーに「Bluetoothでロスレス伝送が可能になる、aptX Lossless」の記事を執筆

アスキーに「Bluetoothでロスレス伝送が可能になる、aptX Lossless」の記事を執筆。

https://ascii.jp/elem/000/004/068/4068954/
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アスキーに「珍しいアクティブクロスオーバー対応のワイヤレスポータブルシステム、zionote」の記事を執筆しました

アスキーに「珍しいアクティブクロスオーバー対応のワイヤレスポータブルシステム、zionote」の記事を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/066/4066748/
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アスキーに「高級イヤホン市場にひとつの区切りか、再編が進む海外有名ブランド」を執筆しました

アスキーに「高級イヤホン市場にひとつの区切りか、再編が進む海外有名ブランド」を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/066/4066743/
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2021年08月21日

アスキーに「Astell&KernのOpenAppサービスでApple Musicが利用可能に」の記事を執筆

アスキーに「Astell&KernのOpenAppサービスでApple Musicが利用可能に」の記事を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/064/4064530/
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アスキーにA&K SE180のレビューを執筆

アスキーにA&K SE180のレビューを執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/063/4063677/
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2021年07月19日

初代ウォークマンのオマージュ「Oriolus DPS-L2」レビュー

去る7月1日はウォークマンの日で、42年前に記念すべき初代ウォークマンが誕生しました。そしてユニークなDAP製品がOriolusから発売されます。初代ウォークマンそっくりのデジタルオーディオプレーヤー「Oriolus DPS-L2」です。
DPS-L2は外見は初代ウォークマンそっくりのカセットプレーヤー風ですが、中身は最新のデジタルプレーヤーです。いわば「レトロとモダンの融合」です。

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Oriolus DPS-L2

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左が初代ウォークマン

* TPS-L2 初代ウォークマン

まず初代ウォークマンTPS-L2について多少解説します。この初代ウォークマンの登場によってはじめて屋外でステレオ再生で音楽を楽しむことができるようになり、音楽を外で楽しむ文化が生まれたと言っても良いでしょう。それまで外で音楽を聴くのはFMポケットラジオなどだったわけです。

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初代ウォークマンTPS-L2

ソニーのサイトにその誕生物語があります。
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/2-05.html#block3
端的に言うとモノラルだった取材用の「プレスマン」をステレオ再生可能にして、録音機能を省いたのが初代ウォークマンと言えます。そのためマイクも付いていたのでホットライン機能(今でいう外音取り込み・ヒアスルー機能)も搭載されていました。これもDPS-L2に引き継がれています。

面白いのは上リンクのプレスマン改造機を見るとわかりますが、ケーブルが二個の端子から今のバランス駆動のように2本出てます。これは当時ステレオミニ端子がなかったのでこのようにモノラル端子を二個使用してステレオ再生できる工夫をしていたからのようです。今でいうと3.5mmを二本使うTRSバランスのようなものですね。しかし初代ウォークマンの発売時までにはステレオミニ端子が搭載されたので、端子が余り「恋人と聴けるように」と宣伝してたGuys&Dolls(のちにA/B)になって二本端子がそのまま活かされたと思います。

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初代ウォークマンの内部メカ

TPS-L2は当時のソニー製品らしく外も中もきちんと設計されていて、実際にいま音を聴いてみてもそう悪くありません。

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初代ウォークマンとカスタムイヤフォンJH Audio Layla

* Oriolus DPS-L2

OriolusのDPS-L2はその初代ウォークマンのオマージュともいうべき製品です。
こうした製品はソニー自身が初代ウォークマン発売40周年を記念してA100シリーズをベースにしたNW-A100TPSがあります。A100TPSは画面は凝っていましたが、ハード的には大きな差はありません。しかしながらDPS-L2の方はさらに動作ボタンをメカボタンにするなどより凝った設計がなされている点がポイントです。

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大きいほうが初代ウォークマン

このこだわりはかなり細かいところまで考えられていて、初代ウォークマンのトーン切り替えスイッチがあったところには、似たようなデザインでゲイン切り替えスイッチが設けられています。またHotline機能も同様に取り入れられています。これはオープンエアヘッドフォンを採用していた当時に比べると、密閉型のイヤフォンの多い今の方が使える機能でしょう。

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オレンジがHOTLINEボタン

二者を並べてみると重さはそう変わらないのですが、DPS-L2の方が一回り小さく作られています。メカボタンの感触はDSP-L2では軽めですが、これは実際のテープのメカのようになにかを押し込むわけではないので致し方ないでしょう。

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DPS-L2の筐体はアルミ合金製で、初代同様にスライド方式のアナログボリュームコントロールが左右別に採用されています。これはアルプス製の高精度のタイプです(バランス対応)。再生やスキップボタンもタッチではなくメカボタンで再現されています。
再生ボタンでは押すとメカ機構で再生ロックがかかるという機械式ならではの仕組みも組み込まれています。だから止めるためには停止ボタンを押して再生ボタンを解除することになります。これは当時の仕組みにそった形です。

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こうしたアナログ・レトロ的な機能とは対照的にリモートでプレーヤーをコントールできる「Hiby Link」やUSB双方向データ通信など最新の技術も搭載されているのがDPS-L2のユニークな点です。Hiby LinkはスマートフォンにHiby MusicアプリをインストールすることでBluetooth接続によりアプリを使用してスマートフォン側でDPS-L2の内蔵音源のリスト表示や音楽の再生指示ができる機能です。

中身も半端ではなく、心臓部であるDACチップにはESS ES9038PROを採用しています。これはポータブルではなく据え置き用のハイエンドクラスのDACチップです。スペックも優れていてPCMは44kHz〜384kHz,DSDはDSD256までサポートしています。ヘッドフォンアンプはバランスとシングルエンドが別で6ch(バランス4ch,シングルエンド2ch)持っているという凝りようです。

内蔵メモリはなく楽曲はMicroSDに格納します。Bluetooth送信が可能なのでワイヤレスで聴くこともでき、AptXにも対応しています。USB-C端子によってPCからのデータの転送を行うことが可能で、USB-Cタイプのメモリを使うこともできるということです。USB端子はUSB DACとして使用することができ、この場合にはPCM192kHz,DSD128までに対応しています。
さらにUSB OTGケーブルを使用することで外部USB DACに出力することもできます。この場合はPCMが192kHz,DSD256まで対応しています。

1_s.jpg  4_s.jpg  2_s.jpg

このようにレトロでアナログな外観と最新最高クラスのデジタルの中身が組み合わされたユニークなDAPだと言えます。

* インプレッション

実際に操作する際には本体の蓋を開けてメニューボタンや前後ボタンで楽曲を選択して、再生や早送りはメカボタンを使うことになります。再生する時には再生ボタンをメカ的に押し込んでロックするとそのまま再生が始まって継続し、停止ボタンを押すとロックがカチッと外れて再生終了します。巻き戻しとスキップはその瞬間になされてロックはかからずボタンは戻ります。メカボタンでの操作はテープを実際に使っていた私もなかなかに楽しく、いまのユーザーならば新鮮な面白さがあるでしょう。
ただ液晶はタッチではなくサイズも小さいので曲が多い場合には、Hiby Linkと組み合わせて使うという使い方が一般的だと思います。Hiby Musicアプリを用意して、本体とスマホでBluetoothのペアリングをして、Hiby Musicを立ち上げて接続するとスマホのHiby Musicアプリに本体内蔵の音源がリストされます。
具体的に言うと、まず再生メカボタンを押し込んで再生状態(再生モードと言ったほうが良いかも)にして、曲選択をスマホ上のHiby Link(Hiby Musicアプリ)で行い、音量は本体のアナログスライダーで操作するのが最もやりやすい方法です。メカとスマホの混合です。

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再生中はカセットテープのような画面が液晶に表示されるのも面白いんですが、ここはさすがにソニー純正のように「AHF」や「BHF」など実在したテープの名前は使えません。当時にはよく自分だけの好みの音楽を入れた"マイベスト"テープを編集してましたが、これは現在ではプレイリスト機能に相当しますね。


音質は4.4mmバランスでCampfire Audio ARAを使用して聞いてみました。音質レベルはかなり優れていて、音に豊かさと深みのあるオーディオらしい音です。
ESSらしいニュートラルな音調ですが乾いた感じは少なく、デジタルっぽさは少なめという点でオーディオ回路の高品質さが感じられます。このためにアナログ的な音楽の楽しさを堪能できると思います。ただしあまり真空管的な柔らかい音ではなく、あくまで端正でしっかりした高品位な音造りです。音の先鋭さと解像力の高さはESSらしい点で、高音はとても伸びやかでベルの響きがよどみなく美しく聴こえます。録音に含まれる細かな背景音もよく聞こえてリアルです。低域は誇張感がなく、ウッドベースの弦の擦れがよく聞こえます。中音域はクリアでヴォーカルが鮮明に楽しめます。
音はよく引き締まっていて緩みが少なく、ジッターの少なさがうかがえるのでここでもデジタル臭さは抑えられていると言えますね。帯域バランスも優れていて音質的にも大変優れています。
特にバランスがおすすめで、4.4mmで聴くとかなり力感があり太くて強い音が印象的です。パワフルで迫力がある音で、いわゆる「ガッツのある音」という昔オーディオフレーズが思い出されます。音の広がりもよく、スケール感もあります。
総じて言うと音質的にはトップクラスに引けを取らないくらいのかなり優れたDAPだと言えます。タッチ液晶を排したのも音質的にはプラスの効果があるのかもしれません。

このようにDPS-L2は遊び心満載の機材でありながらも、中身は最新・最高クラスの再生が楽しめるユニークな製品となっています。日本製よりも凝った初代ウォークマンへのオマージュ製品を中国が作るというのも面白いのですが、それだけ日本製品が他の国で愛されていたということの証しといえるでしょう。
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アスキーにLuxury & Precision W2で、Apple Musicのハイレゾ・ロスレスを楽しむの記事を執筆しました

アスキーにLuxury & Precision W2で、Apple Musicのハイレゾ・ロスレスを楽しむの記事を執筆しました。

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アスキーにジャック変更が可能、iPhoneで高音質イヤホンを手軽に使える「AS2000 Lightning Adapter」の記事を執筆しました

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アスキーにモジュール交換で音質変化が楽しめるプレーヤーの記事を執筆しました

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2021年05月26日

iPhoneに好適なコンパクトDAC、LUXURY & PRECISION W2

LUXURY & PRECISION W2はいわゆるドングル型・スティック型と呼ばれるポータブルDAC内蔵ヘッドフォンアンプです。PCにも使用できますが、バスパワーでの動作が可能でコンパクトなのでスマホ向けに最適です。特に標準添付のケーブルでアダプタなしにiPhoneに直結できるのでiPhoneに向いています。

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Luxury & Precision(楽彼)は何回か書いていますが中国のオーディオブランドで、はじめはHeadFiなど海外マニアックフォーラムで人気を集めていましたが、2018年からサイラスが国内でも扱いを始めました。L&Pは一時期うちでもよく書いていたColorFly C4の流れを汲む会社でもあります。最近では世界初のディスクリート方式マルチビットDAC搭載のポータブルプレーヤー「L&P P6とP6Pro」を発表して話題になりました。
LUXURY & PRECISION W2は同様なスティック型DAC内蔵アンプのLUXURY & PRECISION W1の上位モデルです。価格は39,600円(税込)です。

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iPhone12 Proとライトニングケーブルで接続

* 特徴

1. iOS、Android、PCの全てに対応可能

W2は対応機種が広く、USB-C to USB-C, USB-C to Litghtning, USB-B変換アダプターが付属しているので、iPhoneやAndroid、PCに広く対応しています。

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2. DACはCS43198をデュアル搭載

CS43198は久しぶりに開発されたシーラスロジックの最新DACチップで、長らくこの座にあった4398の後継でもあります。シーラスの基準のMasterHIFIというハイグレード製品ですが、主眼としてはコンパクトで低消費電力なので、ポータブル製品向けと言えると思います。
CS43198は同社のハイレゾDAPであるL4にも搭載されていますし、他ではA&K SR15やiBasso DX300などにも採用されています。W2では最大131dBのS/N比を実現しているということです。

3. 4.4mm端子でバランス出力対応

W2には3.5mmシングルエンド端子と4.4mmバランス端子が採用されています。 W2では特にバランス時の性能が圧巻で、歪みがバランス時にはシステムとして0.00012%(バランス出力,300Ω)と超低歪みでDACチップの仕様より優れているとしています。これはにわかには信じがたいですが、実際に音を聞いてみると納得します。これがバスパワーで動作しているというのはちょっと驚きますね。バランス端子は日本Dics製Pentaconnジャックです。

4. 鳴らしにくいヘッドフォンにも、高感度IEMにも対応

W2はバランス時に230mW/@300Ωとハイパワーであり、さらにゲイン切り替えでHighとLowの2段階のゲイン切り替えが可能なので様々なヘッドフォンやイヤフォンに対応ができます。
またW2は低消費電力でもあり、USBチップとDACチップ用に別々の電源を備えているという凝った設計を採用しています。

5. 豊富な音質調整のオプション

W2は豊富なデジタル処理が可能です。イコライザーはClassic/Jazz/Rock/Pop/Bass/Movie/Gameのモードが可能、さらにDACフィルター設定でFAST/SLOW/NOS/LL FAST/LL SLOWが設定可能です。
またチューニング切り替えがあって、リラックスしてポップスやボーカル向けのTune01と繊細で情報量が多くオーケストラ向きというTune02が用意されています。

6. SPDIF出力可能

いったんアナログに落として劣化することなく、直接スマホからデジタル信号を取り出して他のDACに送ることができます。端子はイヤフオン端子と共用です。
これによって他の据え置きDACに接続することも可能です。

7 その他

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本体には0.91型モノカラー有機ELのディスプレイが搭載されていて、入力サンプルレートやモードなどが表示されます。本体のサイズは60x22x12.5mmで22gと軽量です。

* インプレッション

W2は極めてコンパクトでかつ軽量です。スマホに取り付けるタイプは重いとケーブルの負担になりますが、W2はまずそうしたことはないでしょう。作りはL&Pらしいメカニカルな角ばった形で背面にはカーボン風のパネルが採用されていて小さい割にはなかなか高級感があります。
ケーブルはUSB-C to USB-CとUSB-C to ライトニングの二つとUSB-CとUSB-Bの変換コネクタが付属しています。ライトニングでiPhoneと接続し、USB-CでAndroidスマホやノートPC、そしてアダプタを取り付けてデスクトップPCとマルチに接続が可能です。ちなみにケーブルについては付属品ではなく無償の同梱品という扱いになるため色や長さなどは予告なしに変更になる場合があるということです。
なおファームウェアアップグレードについては国内公式のサポートはできないが(ソフトは英語のみでかつWindows限定なので国内での案内は難しいとのこと)、国内正規版は海外モデルと同じく、メーカー発表のツールでFWの更新が可能だそうです。

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本体側の端子はUSB-Cと3.5mm、4.4mmのイヤフォン端子があり、液晶パネルと二つのボタンが搭載されています。ボタンはモード切り替えと音量上下および設定値変更に使います。ボタンを押してモードを選択して上下キーで値を変更するという形式です。
接続は簡単で、USBケーブルをスマホに接続してイヤフォンを端子に接続するだけで使用ができます。iPhoneと試しましたが、あっさりと認識しました。音を出す前にゲインを調整したほうがよいかもしれません。Amazon Music HDの出力確認をすると端末は192kHz/24bit対応でハイレゾ出力ができているのがわかります。

設定が多いんですがまずはデフォルトの状態で聴き始めます。音質はたしかにSNの高さを感じるようにメリハリがくっきりとした音で小さい音もかなりしっかりと明瞭に聞こえます。小さいと言って侮るなかれというくらいかなりレベルが高い音質で、バスパワーでこれだけ引き出せるのはちょっと驚きです。
DACフィルタの効きはわりと大きくてそれなりに音が大きく変わります。この手の設定では違いが大きい方ですね。SNが高いのでわかりやすいというのもあるかもしれません。私はSLOW設定が好きですね、
EQも大きく音が変わりますが、W2の音自体がHIFI風なのであまり味付けをするよりは音楽はNormalのままで良いかなと思います。チューニング切り替えは02だとやや誇張感があるので、低価格イヤフォンなどでは変えても良いですが、ハイエンド系では01を使用した方が良いように思います。W2の基本的な音質が高いので設定はいろいろいじれますが、デフォルトが良いように思いますね。イヤフオンによってはいろいろと変えてみるのもよいかもしれません。
ゲインはイヤフォンはダイナミックでもBAでもLOWで良いように感じますが、低能率ヘッドフォンをつけるときはHIGHでバランスが良いですね。
3.5mmではイヤフオン的には切れ味の鋭いFAudioのMajorがなかなか相性がよいように感じました。

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バランスでARAと組み合わせ

CampfireのARAで同じケーブルで3.5mmと4.4mmバランスで聞いてみます。
4.4mmではバランスらしく力強さが一段と増して、空間的な広がりもいっそうよくなります。解像力は極めて高くてかなり細かい音も拾います。楽器の擦れている音は圧巻です。たしかにバランスで聞いているのが一番ハイレベルで、力感だけではなく歪みなどもこちらの方が端正で優れているように感じられます。音の歯切れが良くARAの鋭い切れ味もよく活かせます。このくらいのハイレベルな音がスマホ+ちょっと付の機材で出るのは不思議な感覚でさえあります。
聞いているとシーラスの音というよりはESSっぽい感じさえしますね。電子設計がかなり際立っているのでしょう。DACのスペックよりシステムのスペックが上というとにわかには信じられないですが、音を聞いていると嘘ではないような気もします。3.5mmでも十分良いんですが4.4mmで聞くとちょっと後戻りできなくなります。絶対にバランスがオススメです。

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Mac上のTIDALアプリで使用

Macに使用してみましたが、同様に簡単に接続してあっさり音が出ます。仕事をしながら使うにもいいですね。
ちなみにW1と比較するとW1もかなり良い音ですが、やはりW2はさらにレベルが高いというか音の鮮明さがかなり上です。驚くほどの音と言って良い感じがします。W2がおすすめです。

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左がW1

* まとめ

コンパクトで多機能、そしてバランスでの音の良さは特筆ものです。こんな小型デバイスとは思えません。細かい音が再生できるという点ではハイレゾ再生に向いていますし、iPhoneでストリーミングを高音質で楽しみたい、話題のApple Musicロスレスを楽しみたいという場合にうってつけの機材です。

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