Music TO GO!

2020年05月29日

Campfire Audioの新製品、Solaris 2020レビュー

HeadFiのCampfire Audio公式フォーラムで5月14日にCampfire Audioの新製品発表が行われました。
本稿ではSolaris 2020についてレビューします。Campfire AudioのフラッグシップであるSolarisの2020年度改良版です。Solarisは3基のBAドライバーと大口径ダイナミックドライバーのハイブリッド機です。

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Campfire Audioの公式スレッド
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-new-iem-release.932244/


HeadFiTV動画URL
https://youtu.be/kaaxk4wrap8

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*Solaris 2020の特徴

Solaris 2020の最大の特徴は音は良いけれども大柄だったSolarisが音はほぼそのままにコンパクトになったということです。
SolarisはAtlas譲りの大口径ダイナミックドライバーを搭載したハイブリッド機のため、大柄な筐体だったのですが2020モデルでは一回りスリムになっています。

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左:Solaris 2020

これは今回のモデルで新規採用された一体成型の内部構造により、容積を効率よく詰めることができたためということです。いままで3Dプリントで形成されたいくつかのパーツだったものを一体にしたので効率良くコンバクトになり、ドライバーなどの取り付け精度も向上したということです。

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Solaris2020内部構造(HeadFiTVより)

動画の中ではこの一体型構造(Single solid piece)の部分は"boot"とも呼ばれていることに注意すると面白いと思います。bootは英語ではトランクのように入れ物という意味もあります。

* オリジナルSolarisとの違い

オリジナルSolarisと最近のSolarisバリアントの違いは下記のようになると思います。

Solaris Special Edition: セラミックチャンバー3Dパーツ、サイズはオリジナルと同じ
Solaris 2020: 一体型内部構造、サイズはより小さくなった、新Smoky litzケーブル


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Solaris 2020パッケージ

* インプレッション

もともとBA3基に大口径のダイナミックのハイブリッドなので大柄な筐体だったのですが、今回の一体構造のおかげでかなりコンパクトになったように思います。見た目も小さくなっていますが、耳に装着してもより座りがよくなっています。

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音的にはオリジナルとかなり似ている感じで、ハイブリッドらしく低音の迫力たっぷりで、音の広がりも良く解像力も細やかな音です。ただし少し2020の方が整っていて、より立体感がある感じはします。この差は同じケーブルをつけてA/Bで比べるとわかるというくらいだと思います。新旧ケーブルの音質差はほぼないと思います。ただ色は2020には黒スモークがあってますね。

高音域はきれいでよく倍音が聞こえて豊かな感じで、TAECらしくきつさはほぼありません。きれいな音色の良い中高域表現ですね。高い方はオリジナルよりもより伸びているようにも感じられます。生楽器の弦を鳴らす際の歯切れ良さ、鮮明さにも驚かされます。情報量の多さもたっぷりとあります。
低音域はハイブリッドらしくパワフルでドスンとくる迫力が気持ち良いですね。ここはAtlas譲りの大口径ダイナミックドライバーならではだと思います。音傾向も躍動感があって、ハイテンポの曲が気持ち良く、音に迫力があります。やや誇張された低音のパワーで、ウットペースが気持ち良く聞こえます。それでも中音域は見通しが良くて、ヴォーカルはよく聞こえます。

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Solarisの特徴だった音の三次元的な広がりももちろん健在で立体感が高いと感じられます。拍手の音なんかがかなり立体的に感じられますね。
ポテンシャルの高い音なので、高性能ケーブル(DitaのOSLOケーブルがオススメ)に変えるとさらによくなります。

* まとめ

Solarisの魅力はAtlas譲りの大口径ダイナミックによるハイブリッドらしい低音の魅力と、マルチドライバーらしくない音場のフォーカスのあった立体感です。
コンパクトになって使いやすく、音も旧製品との差は大きくないがより磨きがかけられているように思います。
posted by ささき at 11:09| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月28日

Campfire Audioの新製品、Araレビュー

HeadFiのCampfire Audio公式フォーラムで5月14日にCampfire Audioの新製品発表が行われました。同時にHeadFiのインタビューも行われてオンライン発表会という感じでした。発表されたのはAndromeda 2020,Solaris 2020,Araの3機種ですが、本稿ではAraについてレビューします。

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Campfire Audioの公式スレッド
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-new-iem-release.932244/


HeadFiTV動画URL
https://youtu.be/kaaxk4wrap8

他のSolaris 2020とAndromeda 2020が従来機種の改良版であるのに対してAra(えいら、えーら、またはあーら)はまったくの新機種です。名はCampfire Audioらしく星座から取られています。Araは日本ではなじみのない南天の星座で祭壇座というようです。

* Araの特徴

筐体はチタン切削のシェルで、ドライバー構成は高音域に2基、中音域に1基、そして低音域に4基のBAドライバーを搭載しています。オールBAのマルチドライバー構成ですがクロスオーバーレス設計を採用しているのが特徴のひとつです。

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新ラインナップではありますが、上の動画インタビュー中でケンさんはクロスオーバーレス設計は「Andromeda Gold」から継承していて、チューニングはオーディオファイル(フラットでニュートラル)志向であり、これは「Andromeda MW10」から継承したと語っています。クロスオーバーレス設計については私がケンさんに聞いたところ、ケンさんは自らの設計哲学である"Less is more"(日本語でいうとシンプルイズベスト)によるものだと語っています。これはCampfire Audio当初から語っていますが、配線が少なく接点が少ないほど音は良いという考え方です。音響抵抗レスのTAEC設計もそういう意味では"Less is more"と言えますね。

ケンさんは以前SolarisはAndromeda(中高域の良さ)とAtlas(低域の良さ)の良いところ取りだ、と語ってくれたことがありますが、そうした過去機種の良いところをミックスして新機種に昇華させてゆくというのがひとつのCampfire Audioの開発方針の一つかもしれません。

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Araパッケージ イヤチップは従来通り

Araのもうひとつの特徴は低域ドライバーが4基もあるということです。しかし、これは低域での迫力増しを狙ったものではありません。
周波数特性はHeadFi TVでJudeが測定しているように、聴覚的にもフラットで、この点からAraはMW10の延長線上にあると言えます。実際に聞いてみてもそう思います。
ではなぜ4基の低域ドライバーを搭載しているのに、2基のAndromedaよりもむしろ低域が測定的に抑え気味なのかということについてKenさんに聞いてみると、低音域で同じ音圧を得るのにドライバー数を増やしたほうが低域の質が高くなるからということです。つまり同じ音圧を得るためにドライバーの数が多いほうがひとつのドライバーあたりの負荷は軽減するのでその分音質は良くなるということでしょう。
また低域のインピーダンスをAraではさらに調整して中域をより際立たせるためということです。つまり低域の質を上げながら中域を生かすため、というわけですね。このことは実際に聞いてみて低音域の質が他のオールBA機ともハイブリッドとも一味違うことに現れていると思います。
ケンさんがいうところによると周波数特性についてさらに言えば、Araは低域というよりもむしろ中高域を重視したモデルであり、これは日本のユーザーの好みに合うのではないかと言っていました。そういう意味ではAraはAndromedaの「リブート版」という側面もあると思います。

*  インプレッション

筐体は7ドライバーの割にはコンパクトで、チタンシェルが鈍い光を放ち高級感があります。やはりチタンはイヤフォンのシェルとしてはいいですね。特にこの金属パネルとビスのスパルタンなデザインにはチタンがよく似合うと思います。多少大きめの筐体だけれども、フィットは悪くありません。

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音は帯域バランスが良くフラット基調で、全帯域で楽器の音色が美しいのが印象的です。歪みがなく澄んだ音ですね。楽器音の明瞭感・鮮明さが高く、はきはきとした歯切れが良い音です。音色が美しいのでいつまでも聞いていたくなる感じです。従来機種に比べてもよりクリアで明瞭感が高い音です。ここはクロスオーバーレスが効いているのかもしれませんね。

たしかにヴォーカルは鮮明で、バックの楽器とのバランスがよく取れています。フラットな帯域表現だけれども、いわゆるモニター的ではなく無機質というよりかなり躍動感と有機的な感じがある。
中高域はTAECらしい歪み感が少なく整っていて上にきれいに伸びる中高音です。それと倍音表現にも優れて、古楽器の響きがふくよかで豊かに感じられます。感度はSolarisよりもすこしならしにくいくらいです。

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そしてAraの音の特徴の一つは低域の再現力です。
低域はよく抑えられていて張り出し感は少ないんですが、低音の量感は不思議と結構あるように感じます。ジャズのウッドベースはピチカートのキレが良く、十分に存在感がありながらメインのボーカルを引き立てます。よく沈んで超低域もたっぷりあるように思う。
全体にキレが良く歯切れが良くタイトで贅肉が少ない低音で、テンポのよい曲で自然と体が動く感じ。ここがポイントなんですが、聞いているとなぜかダイナミックのように躍動感を感じます。だからオールBAでCIのようなでかいウーファーがないわりにはロックによく向いています。Araの音はまるでオールBAというよりもハイブリッドのような躍動感と低域のパンチを感じるのが不思議な魅力です。ですから音圧自体は抑え気味でも低域の存在感が十分に高く感じられます。

いちばんはじめにCampfireデビュー作のLyraを聞いたときにダイナミックだけどBAのように感じたと逆に、BAだけどダイナミックのように感じる。ただダイナミックのような荒く過剰な感じの低域はなくて、整って適度なのでBAだと気がつく感じ。ダイナミックというよりもやはりハイブリッドのような音です。
いわゆるSNが高い音というか、ピアノソロがわかりやすいと思います。ピアノの低域の打鍵の打撃感が良く、だんだんと後半に強く打鍵しながら盛り上げていくような曲は特に感動的です。
この考えを確かめたかったので実際にいくつかダイナミック機とハイブリッド機と比べてもみました。Araの低域はダイナミック機より歯切れが良くBAらしくタイトで、BAよりもダイナミックのように躍動感とパンチがあります。

これもSP1000などハイエンドソースで聞いたほうが良いと思いますが、なかなか魅力的な音を持った意欲作だと思います。

*  まとめ

優等生的な試聴曲を聴いてると感じるのは、音に曇りが少なく鮮明さ明瞭感、音の美しさ、歯切れの良さですが、ロックなどいろんな曲で聴き進めていくとダイナミックのようにパンチがあって、あたかもハイブリッドのように聞こえる不思議な魅力を持ったイヤフォンです。帯域特性が整っているのも良いですね。

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Campfire Audioとしては新たな試みの試金石でもあり、いままでの技術の集大成的な側面もある優れたイヤフォンだと思います。
posted by ささき at 13:48| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月22日

最近のアップルのヘッドフォン情報まとめ

昨年の2月くらいにアップルがヘッドフォンを開発しているという噂が海外を賑わせたことがあります。これはアップル情報では有名なミンチー・クオ氏による情報でしたが、最近ではヘッドフォンはオーバーイヤー型で名前は「AirPods Studio」であるという情報も出ています。
最近また海外でこのヘッドフォンの情報が出始めているので、これらの情報をまとめて推測を交えながら少し新しい「アップルのヘッドフォン」を考えてみようと思います。あくまで噂に過ぎないので念のため。

Macの情報サイトである9to5macでは機能の詳細について述べられています。
https://9to5mac.com/2020/05/11/airpods-studio-features-exclusive/
それによるとこの「AirPods Studio」はイヤフォンのAirPods同様に耳から外すと一時停止する機能を持っているが、肩にかけているのか頭に乗っているのかの判断ができるということです。これによって、肩にかけているときは電源を切らずに再生のみ一時停止するような機能を持つよう。おそらくは肩でも頭でもないときは電源が切れる設計になっているように思います。
また左右をセンサーで探知して、間違えて左耳側を右にかけていても左右をスイッチできるともいいます。もしかすると左右対称型のデザインを採用していて、はじめから左右がないのかもしれません。
さらに9to5macではiOS14βのコードに隠されたヘッドフォンのグリフ形状から白と黒のモデルがあることを伝えてます。

またBloombergはこのヘッドフォンの外装のレポートをしています。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-04-16/apple-developing-high-end-headphones-with-interchangeable-parts
それによると外観はレトロな感じで金属製のヘッドバンドに楕円形のイヤカップの組み合わせで、ヘッドバンドはイヤカップの側面ではなく上部から伸びているようだと書いています。また外装の違いで二つのタイプが開発されているということです。革製のプレミアムバージョンとフィットネスに向いたより軽い素材でできている廉価版と言えますね。またイヤパッドとヘッドバンドのパッドは磁石でついているので交換が簡単というのもアップルらしい話ではあります。これはいまや他社でも珍しくはないんですが、よりカスタマイズに向いたモジュール設計になっているということです。

別な情報によると価格は$349であると伝えられています。海外ではソニーやBOSEの同様なヘッドフォンがやはり$350程度で販売されているのでこれも信憑性はありそうです。

この他にも名称は「AirPods X」であるというものもあり、どこまでが本当かはわかりません。しかし、たくさんのセンサーがついたスマートタイプで左右対称に利用できるのはモダンだが、レトロでシックな外形も備えているというヘッドフォンはなかなか興味深い製品で、新製品への期待を膨らませておくのも悪くないように思えますね。
posted by ささき at 14:38| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月14日

Campfire Audioから新製品

Campfire Audioから新製品3機種発表されました。キープコンセプトの改良版Andromeda 2020、コンパクトになったSolaris 2020、そしてクロスオーバーレスでフラットな特性を持つ新しいモデル、チタンシェルで7BA(Hx2,Mx1,Lx4)のAra(えいら、えーら)です
デモ機も届いたのでまた詳細後ほど。HeadFiでは下記リンクで発表されています。


posted by ささき at 19:43| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月11日

CHORD 2goのインプレと使いこなし

CHORD Hugo2をネットワーク対応させる外付モジュールのCHORD 2goがいよいよ日本でも発売されました。私は先行して少し使っていましたが、音質や使いやすさでHugo2が生まれ変わったかのように変わります。端的に言うとMojoに対するPolyと同じ役割をするモジュールですが、Polyの時に比べるとよりスムーズに導入できて、より一体化して使うことができます。

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CHORD 2go本体とHugo2との合体

下記リンクは製品ページです。
https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2952.php

PolyはMojoのできた後で考えられたものですが、2goはHugo2の開発時点から考えられていたものなので、より相性良くHugo2と「合体」できます。ジョンフランクスがHugo2の発表の際に日本に来た時に、すでに2goの存在をちらっとほのめかしていましたね。
またPolyとはより進化した分で改良点もあります。以下それを解説していきます。

* CHORD 2goとはなにか

2goとは"to go"のことで、うちのタイトルもそうですが、外に持ち出すという意味です。海外旅行でマクドナルドやバーガーキングに行った方は"for here(ここで食べるか) or to go(持ち出すか)?"と店員さんから聞かれたことがあるでしょう。

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2goのパッケージ

2goはHugo2の外付モジュールで、Hugo2にネットワーク機能と内蔵音源再生機能を加えます。つまり2goとHugo2を合体させることで単体のDAPのように使うことができるようになります。と言っても2goには液晶などの操作画面はありませんので操作はスマホから行います。

Hugo2に2goを組み合わせると、家のWiFiネットワークに接続することでDLNAやRoonなどとシステムを組むことが可能となり、MPDアプリを使うことで内臓のSDカードから再生することができるようになります。DLNAやMPDなどそれぞれのサービスはスマホの対応するアプリから操作するわけです。

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使用方法は簡単で、Hugo2の電源オンで両方立ち上がり、電源オフで両方とも落ちます。はじめに設定アプリのGoFigureで設定作業をしてしまえば、あとはスマートフォンのアプリから操作するだけで良いので、毎回GoFigureを立ち上げる必要はありません。アプリから使う際のレスポンスは快適でもたつくことはありません。

Hugo2との間ではUSB端子を使用して情報のやりとりができます。2go自体はコンピューターのようなもので、ワイヤレスと有線ネットワークの双方と接続ができます。Polyではワイヤレスだけでしたが、2goでは有線LAN(標準的なRJ45端子)と接続できるのはよりホームユースを考えているからでしょう。またPolyの時もそうでしたが、コンピュータ自体の性能も優れてオーディオ向きの設計がなされたミニオーディオPCのような、高性能のコンピュータと言えます。(単体の重さは155g)
2goはHugo2が扱える限界であるPCM768kHz/32bit、DSD256まで扱うことが可能です。

2goはバッテリーで作動するため、Hugo2と組み合わせてポータブルとして外に持ち出すこともできますし、家で使うときもACノイズのないバッテリー電源駆動オーディオとして使うことができるでしょう。単体では12時間動作ができます。また2goを充電すると同時にHugo2も充電できるようです。(Polyと同じ)

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CHORD 2goの外観


筐体側面には電源用のUSB MicroB端子と2基のMicroSDカードスロットがあります。Polyは一つだけでしたのでより大容量の音源を使うことができます(最大4TB)。この内蔵音源は2go内蔵のMPDソフトウエアを使用して再生するので、外部のMPD対応アプリ(MPDPlayerなど)で再生指示がてきます。GoFigureでもクイックプレイ機能でプレイリストがあればプレイリストを再生できます。
2goは内蔵音源に加えて、WiFiワイヤレスとイーサネットによる有線ネットワーク接続ができます。加えてBluetoothを使うことができます。
2goではDLNA(uPnP),Roon,AirPlay,Bluetoothオーディオの豊富なネットワークオーディオを使うことができます。またTIDAL,Qobuzのストリーミング機能を内蔵しています。
これらには普通はネットワークルーターが必要ですが、外で使うときの利便性のため、2goではPolyと同様にルーターなしで内蔵WiFi(hotspotモード)を使ってスマートフォンと接続することもできます。

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GoFigureの画面、ホットスポットモードに入っている

Polyのとき同様なこうした豊富な音楽再生のサービスがありますが、Polyの時にはRoonとDLNAやAirPlayはいちいち切り替えて使う必要がありました。しかし2goでは自動モード(オートマチックプレイモードスイッチ機能)が設けられたため、こうした切り替えを気にせずにRoonとAirPlayを交互に使うことができます。またPolyではひとつのサービス(DLNAやAirPlay)が出力を抑えているときは他のサービスに自動で切り替わりませんでしたか、2goでは切り替えることが可能です。
またPolyの時と違うのははじめから設定アプリのGoFigureを前提としているため、こうした豊富な機能がありながらねスムーズに導入ができるということがあります。Polyの時には小さなノッチをつついてモード切り替えなどを行う必要がありましたが、こうした面倒さは2goではありません。
後述しますが、Hugo2と2goの「合体」にはHugo2側に2goに付属している突起を取り付けてしっかりと固定ができます。PolyとMojoの時にはここはいささか脆弱に感じられたため、ケースを加えてサポートする人も多かったんですが、2goとHugo2においては心配がありません。(いずれバンナイスさんから出ると思いますが)
またハード的にも2goは2枚のSDカードを使用することができ、WiFiネットワークに加えて有線LANを使うことでより手軽にホームネットワークに接続することができます。

2goは基本的にはMojoにおけるPoly同様な、Hugo2における外付ネットワークモジュールですが、こうした様々な点がPolyを経て改良されているのが2goのポイントです。

*2go本体と合体

2goの筐体はソリッドでがっしりとしているCHORD品質のCNC加工のアルミニウム筐体です。色は黒とシルバーの二色用意されて入るので手持ちのHugo2と合わせると良いでしょう。あえて違える手(いわゆるパンダ)もあるかもしれませんが。

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専用設計のためにHugo2とはあつらえたように合体できます。これはさきに書いたように開発時点から考えられていたからですね。まずHugo2の端子側側面がフラットに開けられていましたし、そこになにかが付くような小穴が空いていることにHugo2ユーザーなら気がついていたでしょう。2goのパッケージにはHugo2側の穴に取り付けられる突起が二本付いています。これを指でねじ込みます。

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その後で2goとは突起部とUSB端子を合わせて、するっと合体ができてしっかりとはまります。その後に付属の六角レンチで2goの側面にある固定ビスを締めて完成です。
MojoはPolyと合体させる時にやや脆弱だったので一体型のMojo/Polyケースをサポートに使っている人もいると思いますが、2goとHugo2はもともと一体のものだったように合体させることができます。

* 2go + Hugo2の音質と使い勝手

Hugo2はDAC内蔵アンプであるため単体では音源を再生できません。そこで2goの前はPCやDAPやスマートフォンをHugo2と接続していたと思いますが、2goを使えばケーブルなしでそれが可能となります。そして専用設計のハードでより良い音質で聞くことができるようになるでしょう。2goには操作画面はありませんので操作はスマホから行います。このスマートフォンとの親和性の良さが2goの特徴でもあります。

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Chord 2go+Hugo2とAcoustune HS1670SS

できることはPoly同様にとても広いのですが、例を挙げると、たとえばわたしは朝にiPhoneを取り出してストリーミングサイトのBandcampの新作を確認します。たいていBTイヤフォンでやっていますが、2goならAirPlayでiPhoneのストリーミング音楽をHugo2に飛ばして良い音で聴くことができます。
それが終わると手持ちの曲をデジタルプレーヤーで聴いていますが、それは手持ち曲をMicroSDに入れて2goのMPD機能でiPhoneからケーブルレスで操作してHugo2で聴くことができます。Astell&KernのDAPを使っている人はexFATで使用しているならそのまま2goで使えると思います。
さらにはDLNA機能を生かしてAstell&Kernプレーヤーの中の曲をDLNAメディアサーバーに指定して、Hugo2/2goをDLNAレンダラーにして聴くことができます(同一ネットワーク内のAKプレーヤーのAK Connectをオンにします)。操作はiPhoneでできます。これはかなり高度なネットワークオーディオですが、嘘のように簡単です。
家に帰ればRoonを立ち上げて、自宅のWiFIまたは有線のルーターに2goを接続し、家のPCのRoonライブラリの音楽をHugo2で聴くことができます。Roonの高度なアップサンプリング機能を使ってHugo2の能力最大まで使用したり、Roonの最新の「AIおすすめ機能」を使って音楽を楽しめます。Hugo2は他の据え置きDACと比較しても遜色ない性能を持っています。

Polyではこうした利便性もさることながら、Mojoの音質をよりよく楽しむことができるのに驚きましたが、それは2goでも同様です。いままでスマホやDAPをHugo2と接続していた人はケーブルの選択にも悩んでいたと思いますが、その悩みもなくよりよい音で楽しめるでしょう。
透明感がより一層高く、引き締まった端正なCHORDのDACらしい音質を楽しむことができます。これはもちろん2goの専用設計が効いているんでしょう。
ちなみに前にワンボードのTinkerboardをHugo2のプレーヤーとして同様な運用を試みましたが、Tinkerboardをつけたよりもずっと音は良いです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/472823080.html

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CHORD 2go+Hugo2とSimphonio VR1

音が消えていくときの細かさはまさにHugo2の能力を生かしている感じで、最高のハイエンドヘッドフォンとかイヤフオンで聞いてみたいと感じます。2goとHugo2を組み合わせるとヘッドフォンやイヤフォンの能力も引き出せるので、今度はあれ使いたいとか、もっと良いものがほしいと思うようになるでしょう。
またPolyの時に比べると、よりクリアになった他に立体感がより際立っているようにも感じます。なんかいままであまりDACで聞いたことないような場所から音が聞こえてくる感じですね。
もともとHugo2が優秀なのではありますが、それを120%引き出しているといえましょうか。特にTidalを聞いているとそう思います。

Hugo2の駆動力は高く、能率が低いので知られている平面型のHiFiman HE6でさえも軽々と鳴らすのには驚きます。HE6をならせるならば鳴らせないヘッドフォンはまずないでしょう。しかも音量が取れるというだけでなく、音が暗くならずにまるで低インピーダンスのヘッドフォンのように明るく鳴らすのにはちょっとすごいと思いますね。

* Polyを使う前に知っておいた方が良いこと(スマホはiPhoneです Androidは手持ちに使えるものがないので)

GoFigureはBluetoothを使用して2goと接続するので、スマホと2goの間には2つの接続(音楽再生用とGoFigureコントロール用)が現れます。

注意事項として使用する前にGoFigureをいったん削除してから再インストールしてください。必要なバージョンはiOSが2.02,Androidが1.2.80です。

合体させる時に2go側の側面固定ビスが内側に入り込みすぎていると突起が入らないので、確認してから入れた方が良いです。
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上記右図のようにビスが飛び出さないようにしておく

(Roonを使用する時には別売りのRoonライセンスが必要ですが、2goには2ヶ月有効のクーポンが入っています)

MPD(SDカード音源)を使うときの個人的なおすすめアプリはMPDluxe,SoundirokかMPDPlayer(iOS)です。DLNAとTIDAL/Quobuz使用でおすすめアプリは8Player(iOS)です。


ボリュームはサービス機能に依存します。AirPlayならiPhoneボリュームもHugo2ボリュームも効きます。MPDではHugo2ボリュームのみです。

基本Hugo2の電源スイッチはなく2goをHugo2につなぐとオン。オフも連動してるが、2goはコンピュータなのでHugo2と違ってすぐに落ちないから少し長く点灯します。

アプリによってはipアドレスが必要ですが、ipアドレスが必要な時は、Polyの時のようにFingアプリを使っても良いですが、2goではGoFigureを開いてsettingsからgeneral settingsを見ると簡単にわかります。


* Hugo2と2goの使い方

2goではDLNAやらRoonやらいろいろ機能があるのでなにをどうするのか混乱するかもしれませんが、機能よりもやりたいことベースで考えたほうがよいと思います。例えば以下のような例です。

1. スマートフォンで聞いていたストリーミングやスマホ内蔵の音源をHugo2で聴きたい (ストリーミングは5も参照)
1-1 手軽に聴きたいなら →  Bluetoothを使う
  iPhoneならメニューのオーディオの"ヘッドフォン"から2goを選択

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Bluetoothはヘッドフォン、AirpLayはスピーカーを選択する
  
1-2 良い音質で聴きたいなら → AirPlayを使う(iPhoneのみ)
  WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の5項も参照)
iPhoneならメニューのオーディオの"スピーカーとテレビ"から2goを選択

2. Astell & Kernデジタルプレーヤーの内蔵音源をワイヤレスでHugo2で聴きたい
2-1 手軽に聴きたいなら →  Bluetoothを使う
DAPの設定画面から2goを接続する

2-2 良い音質で聴きたいなら → DLNAを使う
  WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の6項も参照)
  A&Kプレーヤーの"AK Connect"モードをオンにする
  8PlayerなどDLNAアプリを用意して、レンダラーを2goに指定、メディアサーバーをA&Kプレーヤーに設定

3. 手持ちのFLACやWAV音源を2goのSDカードスロットで使いたい
3-1 簡単に使いたいなら → GoFigureのクイックプレイを使う
  WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の6項も参照)
  すでに他のMPDアプリでプレイリストを作成する必要がある
  GoFigureの画面からプレイリストを選択する

3-2 標準の使い方 → MPDアプリを使う(Soundirok,MPDPlayer,MPDluxeなど)
  WiFi設定が必要、外でルーターがない場合には2goのhotspotモードを使用できる(後述の6項も参照)
  MPDアプリで2goのipアドレスなどを設定
  MPDアプリから曲を選択

3-3 SDカードだけでなく外部音源(サーバー、AK DAP)も使いたい → DLNAを使う
  2-2と同じ
  メディアサーバーに2goを指定する

4. 家で使いたい
4-1 DLNAを使いたい
  WiFi設定、あるいは有線LANを使う
  メディアサーバーに家の音源サーバーを指定する
DLNAアプリまたは他のDLNAコントローラーで再生指示

4-2 Roonを使いたい アップサンプリング機能などを使える
  WiFi設定、あるいは有線LANを使う
  Roonで2goのネットワーク設定をする
  Roonで再生指示(あるいはRoonクライアントを使う)

5. ストリーミングサービス(TIDALまたはQobuz)を2goで直接使いたい
WiFi設定、あるいは有線LANを使う
8PlayerなどDLNAアプリを用意して、レンダラーを2goに指定、メディアサーバーを2goからTIDAL/Qobuzに設定
DLNAアプリまたは他のDLNAコントローラーで再生指示  

6. AirPlayなどWiFi使いこなしのヒント

AirPlayはWiFi環境下でないとつなげないので、外出時にはモバイルルーターを使わなければなりません。しかし2goには内蔵WiFiであるHotspotモードがあります。Hotspotモードに入れて、2go-xxxというネットワークにつなげば2go自身が持っているローカルWiFiにつなげます。

ところが、このままだとiPhoneがインターネット(セルラー回線)につながらなくなり、2goに音楽は流せますがネット作業がなにもできなくなります。(2goはインターネットとつながっていないので)
この時はWiFiとスマホのセルラー回線を同時に使う方法があります。
1.WiFiで2go-xxxxにつないだら、その右の(i)を押下してください。
2.ipアドレスとサブネットマスクをメモって下さい。(たぶん192.168.1.xxxと255.255.255.0です)
3.その画面の「IPを構成」を"手動"に変えてください。
4. さきのipアドレスとサブネットマスクを入力してください
5.画面を戻ります。これで右上に4Gと出ていたらインターネットがセルラーで使えています。音楽はいままでどおりに2go-xxでつながっています。

2go メイン_sv.jpg  2go サブ5_sv.jpg


* まとめ

2goですごいのは家の据え置き機材でしか聞けないような素晴らしい音質が、いとも簡単にポータブルで使えるということです。
例えば家でiPhoneのストリーミングアプリ(Bandcampなど)でAirPlayでHugo2に飛ばして楽しんでいた時に、PCのRoonを立ち上げていたらお気に入りのアーティストの新作をTIDALで見つけて、すかさずRoonでの再生に切り替えてそれを楽しむことができます。しかもRoonならば384kHzにアップサンプリングしてそれをHugo2に送信することができます。自分の環境で使う分にはアプリの切り替えや操作感は迅速で、384kHzでアップサンプリングしてWiFiで2goに送ってもグリッチなど不具合は起きません。
そして前のアルバムではどうだったっけかと、SDカードに内蔵された音源をMPDアプリで聴くということがシームレスにできます。とても高度なネットワークオーディオを自在に使いこなす様は魔法のようにも思えます。
SFには有名なクラークの法則「進んだ科学は魔法と区別ができない」というのがありますが、まさにそれを想起させる製品がCHORD 2goです。
posted by ささき at 14:41| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月25日

Chord 2go国内発売!

Chord Hugo2のネットワークモジュールの2goがいよいよ国内でも発売されます! アユートさんから3月28日に直販価格税込149,980円で発売されます。色はブラックとシルバーです。2goはすでにCanJamレポートなどでお伝えしたようにMojoに対するPolyのような存在ですが、いくつか進化もあります。

2go メイン_sv.jpg 2go サブ5_sv.jpg 2go サブ3_sv.jpg

私はデモ機を試用しているのですが、簡単にコメントを。やはり一体型で専用設計なので扱いやすく、Hugo2がより自由になった感じです。音質も鮮烈でとくにTidalをストリーミングで使う音が良いのが快感です。まさにHugo2の力が開放された感じです。

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プレイモードにオートができて、Mpjo/PolyではRoonとDLNS/AirPlayはリブートが必要でしたが、交互に再生が可能となっています。

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Hugo2側に突起部を取り付けてしっかりと2goと合体できるようになっています。

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ちなみにすでにGoFigureを使っている人はいったん今のを削除してから最新版(2.02)を再インストールすることは確認したほうが良いです。

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また続報します。

posted by ささき at 11:01| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

AZLA AZELの記事をASCII.jpに書きました

AZLA AZELの記事をASCII.jpに書きましたのでご覧ください。

https://ascii.jp/elem/000/004/006/4006816/?topnew=3

posted by ささき at 09:27| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月22日

Jaben Japanから新ブランドのイヤフオンと高級交換ケーブル登場

Jaben Japanからポタ研で展示していたイヤフォンと、リケーブル用の高級交換ケーブルの新ブランドが発売されています。

オンラインショップはこちらです。
https://jabenjapan.thebase.in/
Jaben Japanでは2/22から3/2までの期間に全品10%オフというクーポンをJaben Japanのtwitter(@JabenJapan)とfacebook(Jaben Japan)のアカウントで配布していますので興味ある方はどうぞ。

○ 1 Custom Universal

イヤフオンの新ブランドは1 customという名前ですがカスタムではなくユニバーサルイヤフォンです。customというのはスイッチによって音色が変えられるというところからきているようです。BAマルチドライバーのMR,SRとハイブリッドのJRの3モデルが販売されています。
スイッチはデフォルト、Vocal, Detailed, Bassの4種類が可能で、これは各機種に共通の特徴です。スイッチを切り替えるための小さなピンが付属しています。

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以下は機種ごとのインプレッションです。試聴はAK380を使用しています。

* MR(4Hi, 2Mid/low, 1Low) 27Ω 68,000円 (発売記念特価 58,000円 税込)

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マルチドライバーなので大柄なシェルだけれども、軽くて耳にぴったりとフィットして装着感はよいと思います。おそらくシェルの形が良いと思いますね。まずデフォルトで聴いてみます。
音数が多い感じで情報量が豊富という印象です。透明感もわりと高く、高域は響きが美しいけれども、あまりきつくなりすぎないよい特性だと思います。低域は多くなりすぎずに程よくいい感じ。周波数特性のバランスはわりと優等生的です。
ヴォーカルは少し前に出る感じで、明瞭感も高く聴きやすいと思います。あまり低域が中域をマスクしている感も少ないと思います。
全体に厚みがあって、音楽を聴く魅力があります。この価格でのマルチドライバー機としてはなかなか良いと思います。

次にVocalモードにしてみます。添付のピンで1番を左右ともONにすることでVocalモードになります。ちょっと細かいのでやりにくい点はありますね。変えるとVocalというよりも全体が前に出る感じではあり、全体にやや甘めな感じになります。次にDetailedにするVocalよりはやや引いた音になって聴きやすくなる感じですね。Bassにすると低域が盛り上がるというよりはヴォーカルが少し引いた感じになると思います。

試聴ではデフォルトのバランスが良いのであまりスイッチで変える必要性はないように思うけれども、いろいろと自分の音楽で聴いてみてモードを使い分けるとよいのかもしれません。テイストが少しずつ異なるような感じだと思います。これはもうちょっと激変したほうが面白いのではなかったかと思います。

* SR(2HI,1Mid,1Low) 14.8Ω 42,000円 (発売記念特価 38,000円 税込)

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装着感としてはMRよりも小さい分で耳へのおさまりはよいという感じです。
音は高域が少し強めでややきつい感じはあります。実のところ高域ドライバー数の多いMRの方が質が良くなめらかな高域表現であると思います。
低域はMR同様にわりと穏やかであまり強くはないですね。SRでもBASSモードを試してみたけれども、あまり激変する感じではなくやや低域が盛り上がる感じです。こちらもMR同様に基本のデフォルトモードのバランスがよいので、スイッチでもっと味付けしてもよかったと思います。

* JR(ハイブリッド、1Hi,1Mid,1DD) 8.6-9.5Ω  26,000円 (発売記念特価 18,000円 税込)

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JRのみダイナミックドライバーとのハイブリッドでベント穴があります。
高域はあまりきつくなく聴きやすい感じです。伸びも悪くないのですが、MRと比べると情報量には欠ける感じがします。
低域はハイブリッドらしくたっぷりとしていてSR/MRよりもだいぶ低域が多いように感じられます。躍動感があって、音楽を楽しく聴くことができます。低価格でハイブリッドらしい楽しさを感じられる良い機種だと思います。
スイッチの切り替えもこのモデルが一番違いが分かるような気はします。

3機種ではMRとJRが価格にしては音が良い感じがするので、この二機種のどちらかがお勧めです。


○ Creator Cable (香港)

こちらは高級な交換ケーブルのブランドです。2010年よりハンドメイドにより交換ケーブルのOEM展開をしていたブランドで、2018年にそのノウハウを生かした自社ブランドの「CREATOR」を立ち上げたということです。

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特徴としては音色に分けたケーブルの展開をしていることで、リファレンス的な位置づけのSilver4、ボーカル表現に重きを置いたVocal cable、音楽のたたずまいの再現と高品位な高域に重点を置いたというMusical cableの3種類があり、それぞれに2pin、MMCX、Fitearの3タイプが用意されています。アンプ側は4.4mmバランスです。

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FitEar (335univ)

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MMCX (HS1675SSS)

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2pin (Maverick3 CIEM)

またアダプターも多種類用意されています。

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音は代表してMMCXタイプをAcoustune HS1670SSで聴いてみました。されざれ自分でのエージングはしていない状態です。共通して高級ケーブルらしく重く硬いケーブルで、耳にかけるところの癖が付けられていないので耳にかける使い方はやややりにくいところはあります。タッチノイズはかなり少ないと思います。

* Silver4 (特殊処理、最高級高純度、純銀線) \ 235,000税込

リファレンスというだけあって、音のバランスが良いと思います。たしかに純銀らしい上質感があると思います。
ちょい聞きには低域が多いようにも感じますが、高域もよく伸びていて、とてもワイドレンジに感じられます。音の広がりも3本の中で一番広いですね。透明感が高く解像力が高いが、軽いとかきついという感が少ない感じです。
音に厚みと重みがあってよくある「銀線です」というようなシャープさのみを主張するケーブルではないと思います。上質な銅線にも思えるくらいです。それでいて低域のインパクトに切れあじがあって音の歯切れが良いところは銀線らしいですね。低域の深みと重さもよい感じです。
ヴォーカルもよく聞き取れるので、全体的に明瞭感が高い上質なケーブルだと思う。これはかなりレベルが高いケーブルです。

* Vocal (特殊処理、銀メッキ高級OFC) \ 118,800税込

Silver4と比較すると高域と低域のワイドレンジ感が少なくなり、やや小さくまとまった音になりますが、低域のインパクト感も高域も悪くはありません。
特徴はやはりヴォーカルがとにかく明瞭感が高いとともにとても前に出てくる感じです。相対的にヴォーカルに注意が行くような音です。Silver4のヴォーカルも明瞭感は高いが、少し奥にいて客観的な感じがします。

* Musical (特殊処理、銀メッキ高級OFC) \ 173,000税込
特殊処理銀メッキ特殊OFCという点でヴォーカルと同じですが、こちらは各パートにバランスが取れていると思います。全体的に厚みや程よい暖かみがあって、いわば銅線的な鳴りのケーブルです。きつさも少ないので音楽を長い時間楽しく聴くことができると思います。Silver4よりも再現力ではやや劣るけれども、わりとオールマイティに使えると思います。

3機種では再現力はSilver4ですが、Musicalも悪くありません。
個人的には特にSilver4はかなり気に入りました。純銀線のお手本的な音の良さがあると思います。銀コートはときにハイや子音がきつくなるのですが、ほんとによい純銀線はSilver4みたいにきつくないのですよね。
もう一つヴォーカルは癖がありますが、特徴的なのでヴォーカルものをよく聞くという人にお勧めしたいと思います。他の二本はオールマイティに使えると思います。
posted by ささき at 15:12| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月21日

Chordのホームページに見る2goと2yu

先週のCanJam NYで披露されたChordのPoly相当の2goと、2goのデジタル出力モジュールである2yuですが、Chordのホームページに情報が公開されています。2goはTo Goとうちのブログ名と同じく、日本語の「テイクアウト」と同じで外に持ち出すという感じの名前です。

2go
https://chordelectronics.co.uk/product/2go/
2yu
https://chordelectronics.co.uk/product/2yu/

2goの方は予想通りにPoly相当で、Polyとの違いはMIcroSDが2基あるということと、有線イーサネットのRJ45の口があるということ。
それと特徴的なのはオートスイッチングという機能で、PolyではDLNAとRoonを切り替えが必要でしたが、おそらく2goではこれが不要なんではないかと思います。

2yuの方ですが、基本的には2goと組み合わせてデジタル出力端子を提供してネットワークブリッジとして使い、Hugo2以外にも使えるようにした機種です。CanJamではHugo TTと組み合わせてデモしていました。
ただ説明をよく読むとなかなか興味深い機能があり、2yu内部にもプロセッサーが内蔵されていて接続するDACに応じたダウンサンプリング機能が用意されています。
またこのプロセッサーはPLLにも使用していると書かれています。PLLというかこのリサンプル機能はおそらくASRCとして働いてジッターを低減させるのではないかと思います。ここは推測なので後で確かめてみたいですね。
それと注目は2yuは単に2goのデジタル出力モジュールというだけでなく、2yu単独でPCと繋ぐことができるようですね。おそらく2goと接続するMicroUSBの口を直にPCに繋げるんではないかと思いますが、これも確かめたいところ。

2yuは思ってたより深い...
posted by ささき at 19:17| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月06日

セラミック・フルレンジ振動板のハイエンドイヤフオン Simphonio VR1レビュー

Simphonio VR1はシングルドライバーダイナミックのハイエンドイヤフォンです。VR1は昨年の春のヘッドフォン祭に出展されて好評を得ています。この時はCHORD DAVEのシステムでデモされていて驚くほど高い音質を味わわせてくれました。

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私はその後に雑誌の記事を書くために再度借りたのですが、その時はまずAK380と組み合わせてみると、良いけれどもさすがにDAVEで聴いたほどではないか、とはじめは考えました。その後にSP1000と組み合わせたところ、あのDAVEと組み合わせたようなものすごい音質を再生して、えっなんでこんなにプレーヤーで違うのとあらためて驚いたのを覚えています。
それでVR1に興味を持ち、また貸し出してもらって今回詳細にレビューを書いているというわけです。VR1は七福神商事から発売が決定されて、フジヤさんで専売されます。今度のポタ研に出展されますので参考になればと思います。

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*Simphonioについて

この開発者の方とは随分前からメールでのやり取りをして知ってはいました。聞いた話によるともとは有名メーカーのOEMを手がけていたのですが、Sunriseという自社ブランドを立ち上げて製品を作ってもいました。私がまだヘッドフォン祭で自分のブースを持っていたとき(2011年頃)にデモ機を送ってもらって参考展示したりしていたのですが、ここにちょっと書いています。(自分のブースを持っていると他に参加できないので、のちに自分でブースを持つのはやめましたが)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/199951950.html

その後にSimphonioという会社を立ち上げています。Simphonioはとにかく音質を第一に提供するというブランドで、他の要素は二次的に考えるというオーディオファイル的なブランドということです。VR1の他にはDragon3というハイインピーダンスのインイヤー型のイヤフオンもありますが、こちらも見た目はスマホの付属イヤフォンだが音はよいというものなのでコンセプトがわかってもらえると思います。
他の製品などについては公式ホームページをご覧ください。
http://www.simphonio.com/index.html

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*VR1とセラミック振動板

VR1は形式的にはシングルドライバーのダイナミック型イヤフオンです。
ユニークなのはセラミックを積層させて形成した「セラミック振動板」を採用していることです。普通セラミックは陶器みたいなものなので成形して焼き入れして加工しますが、ここではまったく新しい方式でセラミックをあるベース素材に積層を繰り返すことで成形するという研究所レベルの技術をもちいて製作されています。良い例えかわかりませんが、セラミックの3Dプリントみたいなものでしょうか。

これはSimphonioの件の開発者の知人にこうした研究者がいて、その要素技術をなにかに応用できないかということで、 開発者がイヤフオンの振動板に応用することを思いついたということのようです。つまり他でこの技術が使われるということはないでしょう。

いままでもVSTのようにイヤフォンでいわばスーパーツィーターでのセラミック応用はあったのですが、この技術を採用することで14.2mmという大型のフルレンジ振動板が可能となりました。そしてもう一つ重要なポイントがありますが、これはもう少し後で書きます。

このセラミック振動板はセラミックなので軽くて硬いという、振動板に好適な特徴を持っています。硬くてたわみにくいので、ダイナミックドライバーが中央の一点で振動していても場所によって振動が異なるということが生じにくいわけです。このことで全面が均等に動きやすいので平面型のような特性を持つことができます。
また軽くてすぐ動けるので入力信号に正確で動きが早いという利点もあります。また止めたいときに止められるので余分な附帯音もつきにくいというわけです。
それなりの解像力だとそれなりの音になるし、解像力が高いとすごい音になるというのもこの辺から推測ができます。

そして先に書いたもう一つのポイントはこの積層方式の成形によって、振動板の厚みを局所的に自由に変えることができるということです。このことで振動板の周辺部・縁の部分を薄くすることで、あたかもスピーカーのエッジを持ったようにここだけ柔らかく作ることができるというわけです。
このことにより振動板の動きの自由度が高くなり、イヤフォンというよりはスピーカーのように深みのある音を出すことが可能になるということです。

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公式サイトから

このセラミック振動板のデメリットはやはり高価について、まだ大量生産に向かないということです。まだ研究室レベルの技術の応用ですからそれは仕方のないところでしょう。

*VR1の他の特徴

他のVR1のイヤフオンとしての特徴はダイナミック型なのでベント穴がありますが、ベントが二個あるという点です。これは振動板を挟むように前と後ろにいわゆるアコースティックチャンバーのような空気室があってそれぞれについているということです。一つは耳穴の内側に空いていて耳内の空気室と連動しているということです。これらのことにより振動板がより自由に、かつ最適に動くことができるので豊かな音を実現できるということです。
こうしたイヤフオンの工夫はさきに書いたような開発者の長年の経験からくるもので、けっしてセラミック振動板だけのアイディア企業ではありません。

またVR1の外観を特徴付けているのはサファイア製のフェイスプレートです。サファイアも硬いので強度を上げるためということもありますが、一番の理由は見た目の良さで、開発者の意向として宝石のような製品を作りたいので加工しやすく強度を稼げる宝石としてサフアイアを選んだということです。

* VR1とケーブルについて

このVR1の音を引き出すには、このブログを見ている人にはいうまでもなく良いケーブルが必要です。
VR1は発売形態としてケーブル無しと推奨ケーブル付きの二種類があります。

推奨ケーブルにはCS1とCS10があり、それぞれ3.5mm端子と4.4mm端子のモデルがあります。
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青いほうがCS10、黒いほうがCS1

CS10(いちぜろ)は単結晶の銅線と、銀メッキではなく無垢の銀線と、無垢の金線をよった線材を使用しています。

CS1は単結晶の銅線をクライオ処理したものと、シルバーの上にパラジウム(レアメタル)コーティングした線材を採用しています。

* インプレッション

Simphonio VR1は緑色の立派な化粧箱に入っています。中にはケーブルはなく、先に書いたようにオプション扱いになっています。イヤチップはいくつか入っていて、今回は標準添付のシリコンチップを試聴に使いました。

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公式サイトから

またイヤチップと共にユニークな形状のイヤフォンバッグもついてきます。

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VR1本体は14.2mmの大口径ということもあってそれなりに大柄な筐体ですが、耳に入れた時の装着感は悪くありません。金属製なのでずっしりとくる感じですね。ケーブルはCS1とCS10を使いましたが、どちらも凝った線材のわりには取り回しはしやすい感じです。ポータブルで使いにくいような硬いものではありません。この点で他の8芯線などの高級交換ケーブルなどに比べると使いやすい方だと思います。

はじめにAK380を使用してCS1で聴き始め、時折CS10に変えて違いをみてみます。

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まずいままで聞いたことがないくらいの高いレベルの透明感と解像力の高さに驚きます。解像力というよりも情報量の多さというべきかもしれません。音の響きというか余韻、いわゆる楽器の松ヤニがとびちるような感覚ですね。このVR1の音を特徴付けているのはこの豊富な情報量からくる緻密な音の再現力です。一音一音の音の余韻によって、ものすごく小さな音が積み重なって豊かな音空間を作り上げているという感じです。

例えばバロックバイオリンは典型的な例ですが、古楽器らしい倍音というか音の響きのこまかな音がよく聞こえて来ます。中高域はとてもシャープで鋭いのですが、ベルの音が整っていて淀みのない美しい音色を聴かせてくれるのも特徴的です。この辺はハイエンドでなければとうてい味わえないレベルの音楽体験といえるでしょうね。

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低音域もとても深く、ダイナミックドライバーらしい重みもあります。このため、ポップやロックのようなジャンルでもパンチのある音楽が楽しめます。ここはCS10に変えてみるとやや様子がことなり、CS1ではよりワイドレンジでより低い方の超低域が豊かであり、CS10はいわゆる低音を感じるところのやや上の方がやや強調されているように感じられます。

中域はもちろん声の明瞭感が高くはっきりと歌詞が聞き取れますが、ここでも情報量の多さがかなり効いていて、アカペラを聞くとよくわかるけれども、音の広がりと重なりが音のよいホールで聴いているようにリアルで鮮明に感じられます。
細かい音の重なりがとても立体的ですが、これはシングルらしい良好な位相特性による影響も大きいと思います。また楽器音が正確で、音色がそれぞれ違うのがよくわかるのも特徴です。

このVR1とCS1の組み合わせはおそろしく透明感が高く、解像力があるけれども、ずっと聞いていたくなるような豊かさがあって、この無数の音の粒子に包まれるような気持ち良さにいつまでも浸っていたい感じになります。
またCS1の特徴として透明感の高さ、ワイドレンジという他にわずかな心地よい味付けがなされているように感じられます。AK380はSP10000SS/CPなどのような特殊筐体とはことなり、それ自体に付帯音がないのでわかりやすいのですが、ちょっと隠し味的な味付けがなされているように思います。それがちょっと音を麻薬的な美しい魅力あるものにしているように思います。このために性能が高いからといって音楽を無機的に感じることはありません。CS10はもっと着色感は少なくプレーンな感覚です。

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次にSP1000に変えてみると、いっそう音レベルが高くなるのがわかります。特に立体感は顕著に良くなり、音の細かさも一層上がってきます。よく聞くSpanish Harlemもあまり聞いたことがないくらいの高いレベルの再現力で楽しめます。こういう試聴曲は文字通り飽き飽きするほど聞いているのですが、新しい魅力を感じさせてくれます。
またSP1000では鋭いベースパーカッションのインパクト・アタック感など打撃感がより高く感じられます。この辺はスピーカーオーディオでも再現が難しいところですが、AK380だと音の良さはよくわかるけれども、こうした音再現の凄みというところまでは及ばないように思いますね。
SP10000ではSSとCPの違いもかなり明確にわかるのですが、特にVR1ではCPがおすすめです。低域の深みと重みを堪能でき、高性能ながら美しい音色で長い時間でも聞いていたくなります。

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AK380にHugo2を加えてみてもさらに生き生きとした迫力ある音世界を聞かせてくれます。なにしろミニDaveのようHugo2ですから、再現レベルは東京インターナショナルオーディオショウに出てくるようなハイエンドスピーカーをきいているようなかなり高いものです。
情報量がたっぷりとしていて、それが音楽的に魅力的な音の豊かさ厚みにつながっているのがよい点ですが、こうしてみると普通のイヤフオンで拾いきれない小さな音はずいぶんあるものだと感心します。

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* ケーブルの違いについて

ケーブルの違いについてもう少しまとめてみます。ただし両方ともエージングはあまりしていない状態ですので、使い込むとまた印象は変わるかもしれません。

3.5mmと4.4mmのバランスを比べてみるとCS1/CS10ともに、バランスにすると音の広がり、音の力感ともに向上します。これは一般的なバランスとシングルエンドの差と同じですが、CS10の方がややバランスとシングルエンドの差が大きいように思います。これはおそらくCS10の低域の出方によるものだと思います。双方ともシングルエンドに戻すと音が軽めに感じられますが、線材がよいせいかあまり音が薄くなる感じはありません。

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またCS1とCS10の違いをいうと、CS1の方はより透明感が高く、周波数特性が良くてフラットに近く聞こえ、よりハイエンドで高域と低域がより広がって聞こえます。CS1はより声とか楽器の違いがわかる感じですね。またさきにも書いたように着色感というよりはより音が美しく聞こえます。
特に透明感の高さが顕著で、いままで聞いたケーブルの中でもかなり高いレベルです。
CS10の方はやはり高いレベルですが、先に書いたように少しですが低域に強調感があってよりポップやロックには向いている感じがします。 CS1はより良録音のジャズやクラシックに向いているような音再現です。

* まとめ

このVR1は音への追従性能が高く、かつポテンシャルが高いので、プレーヤー側のレベルを上げたり、よいケーブルを使うとそれがわかりやすいと言えます。ただし相性はあると思います。自分でもいろいろと手持ちのケーブルを使ったけれども、これだけVR1の能力を引き出せるものは実はあまりないので、推奨ケーブルセットをおすすめします。あるいは試聴会でいろいろと試してみるのがよいでしょう。

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このVR1に関しては「スマホで聴いても良い音を再生してくれる」と書くつもりはありません。持っている最高のプレーヤーを使ってみてください。ハイエンドプレーヤーを持っている人が、さらに高みを目指すためのイヤフォンといえるでしょう。

posted by ささき at 10:35| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月03日

ニールヤングがMacbookの音質を批判

先週のトピックにニールヤングがvergeのインタビューに答えてMacbookの音質を批判するということがありました。
この辺はASCII.JPの記事に書きましたのでこちらをご覧ください。
https://ascii.jp/elem/000/004/001/4001655/?topnew=6
posted by ささき at 21:14| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月26日

音質志向のBTレシーバー、Oriolus 1795レビュー

Oriolus 1795はイヤフォンブランドのOriolusの開発したBluetoothレシーバーです。

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最近はストリーミング音源への移行やiPhoneでのイヤフォン端子の廃止など、ますますBluetoothを使う機会が増えていますが、流行りの完全ワイヤレスではどうしても音質的に満足できないというマニアの方々も多いと思います。そうした時には従来のイヤフォンにBluetoothレシーバーを使いますが、今度はBluetoothレシーバーに音質の良いものがあまりないというジレンマに悩まされます。

そうしたユーザーに向いているのが、この音質重視のBluetoothレシーバーであるOriolus 1795です。イヤフォンメーカーが作ったポータブルアンプっていうと、Heirのアナログ入力時代のRenditionとか、RHAのデジタル入力のDacamp 1などがありましたが、Oriolus 1795はBluetooth入力でストリーミング時代に即して良い音で聴いてほしいという提案なのでしょう。

* 特徴

Oriolus 1795はコンパクトなBluetoothレシーバーでクアルコム製Bluetoothチップを搭載してBluetooth5.0に対応しています。SBC、AACの他にLDACにも対応しているのでWalkmanユーザーにも向いています。

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最大の特徴はその高音質設計です。たいていのBluetooth機器はBTチップ内の付属品的なDACでDA変換されていて、コーデックの問題以上にそこで音質が悪くなってしまうのですが、Oriolus 1795ではBluetoothチップからデジタル信号を抜いてそれを本格的なDACでDA変換して、内蔵のアンプで増幅することで高音質を実現しています。
注目すべきはそのシグナルパスの強力さです。Bluetooth信号は普通最大でも48kHzですが、Oriolus 1795ではまず入力した信号を192kHz/24bitにアップサンプリングします。これのためにサンプル変換専用のチップであるAK4125が搭載されています。それを据え置きオーディオ機器でもよく使われる高性能DACチップであるPCM1795(名の由来)に送って高音質の音を再現します。

しかもそのあとにバランスアンプ回路があつて、4.4mm端子でバランス出力ができます。またそれとは別に3.5mm端子専用のシングルエンドアンプ回路も備えています。こんな小さな筐体にこんな本格的な設計がなされています。

この他にも機能的にはマイクを備えているので会話が可能で、NFCペアリング、ワイヤレス充電も備えています。(USB DAC機能もあるようです)
再生時間は7時間ということです。サイズは95.9x50.7x15.4mm、重さは109gです。

* インプレッション

以下はiPhone Xを組み合わせています。
本体はアルミ筐体+両面高強度強化ガラスでなかなかにきれいです。上面に開いた4.4mmバランス端子がコンパクトな筐体になかなかの迫力かあります。

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本体側面にはハードの操作キーがあります。ボリュームはiPhone側よりも細かいのでこちらで操作したほうがなめらかな音量調整ができます。
Bluetooth機器としての接続性は良く、電車で使っても特に問題になることはありません。

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音はCampfire Audio Solaris(4.4mmバランス)、Acoustune HS1670SS(3.5mm)を組み合わせてみました。

Oriolus 1795を普通のBTレシーバーと考えて聴き始めると、音が良いのにちょっと驚きます。まず音場が広くホールのように立体的に広がりのある音空間が楽しめます。ただ幅が広いだけではなく豊かで厚みがある音再現が堪能できますが、これはBluetoothイヤホンではちょっと無理な音です。また緻密で解像感が高い音で、ギターのピッキングでも単にシャープなだけでなく余韻の響きや音の厚みが美しいのも特徴的です。マルチBAのハイエンドIEMでも普通のDAPと遜色ないレベルの高い音が楽しめます。
全帯域でクリアで鮮明であり、解像力も高くハイエンドマルチBAでの音の繊細さも活かせます。加えてダイナミックドライバーでのパンチもあり躍動感もあります。

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特に4.4mmでの音は良好で、力感があって駆動力が高く感じます。音の広がりも一段と良く、バランスらしい一段レベルの高い音が楽しめます。Solarisでは音の細かさと低音のパンチがよく生かされていてハイエンドハイブリッドイヤフオンにもよく合います。
またHS1670SSとの組み合わせでは3.5mmシングルエンドでも十分以上の良好な音質が感じられます。HS1670SSの持ち前の中高域のきれいな伸びやかさの再現はもちろん、低域ではミリンクス振動板らしいパンチの良さと厚みがあって打撃音が気持ちよく深く感じられます。

iPhoneの中のロスレス音源だけではなく、ロッシーのストリーミングで聴いていても滑らかでキツさがあまりありません。ロスレス音源もBTのコーデックでいったんロッシーになるのですが、ワイヤレスとかロッシーの音は有線とかロスレスに較べるとどうしても粗くて乾いた薄い音になってしまいます。しかしこうしたソースの音がロッシーで濁っていても適切なフィルターで濾過すればきれいにできるという感じですね。
わたしみたいにiPhoneに100GB以上のロスレス音源を入れてる人も、ストリーミングオンリーという人も問題なく使えます。

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前に雑誌でレビューを書いたときにLDACでWalkmanから聴いたことがあって、その時はワイヤレスとは思えない音と思いましたが、iPhoneで聴いてもやはりワイヤレスで聴いているとは思えません。これもコーデックというよりも内蔵アンプの音質が良いからだといえるでしょう。
Oriolus 1795は単にワイヤレス化するだけのBTレシーバーとは別物で、積極的に音を良くするBT入力ポタアンと言ってほうが良いでしょう。BTレシーバーとしては音が良いと言うのでなく、十分DAC内蔵ポタアンに匹敵する音です。BTレシーバーとしては大柄かもしれませんが、DAC内蔵ポータブルアンプとしてはバランス対応をはじめ、かなりコンパクトにこれだけの音をまとめ込んだと感心します。

* まとめ

AtlasからSolarisに変えると音質の差がはっきり分かるのもイヤフォンの違いを楽しめることを示しています。せっかくハイエンドイヤホンのためにBTレシーバー使うならこのクラスの音でないともったいないと思います。いまの時代は超高性能イヤフオンに向かうベクトルと、手軽なBTワイヤレスみたいなベクトルの分断が起こっていますが、Oriolus 1795はそのジレンマを解消する良い解法になると思います。

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ハイエンドイヤホンを使ってるけど、ストリーミングやスマホ内蔵音源も生かしたいというハイエンドイヤホンユーザーにおすすめのワイヤレス機材と言えるでしょう。

posted by ささき at 16:11| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月12日

イヤフォン向けの「シリコンスピーカー」、MEMSドライバー

イヤフォン向けの新しいドライバーが下記に紹介されています。いわゆる「ヒアラブル」というウェアラブルのイヤフォン版の流れです。
https://techxplore.com/news/2019-10-in-ear-silicon-speakers-internet-voice.html

これはMEMSという「シリコンスピーカー」で従来の振動板ではなく、無数のNEDアクチュエーターという薄膜が電圧に応じて動くことで空気を振動させ音を出すようです。薄膜というか静電アクチュエーターという帯電の異なるもの同士の力を使って動くもののようです。記事中の動画を見るとわかりやすいと思います。電圧で動くので普通にイヤフォンに使えそうですね。効率が高いのが特徴で、実験的には音は出せてるそう。
MEMSってリボン型をシリコンでやってるように思いますが、参照リンクをクリックしたらネイチャーに飛んだので読むのやめました 笑
posted by ささき at 08:07| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月26日

Bluetooth 5.0でのロングレンジモード

Bluetoothの到達距離について、新しい動画が投稿されています。



こちらはBluetooth 5.0で導入されたロングレンジモード(Coded)を用いて1.5kmまで届くという実験です。動画の後半ではロングレンジモードの説明がなされています。ロングレンジモードはLE Codedとも呼ばれていますが(というかLong Range modeが俗称か)、誤り訂正をコード化することによってデータレートが低くなるのと引き換えにより長距離届くことを保証するというモードです。コード化に応じて500K(bps)と125Kのモードがあります。

前にも書いた到達距離計算機を用いて、同条件でLE 1Mを500Kまたは125Kと変えると距離が長くなりますがこの二つがロングレンジモードです。

posted by ささき at 17:45| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月25日

Bluetoothは「近距離通信技術」か?

下記はBluetoothの誤解はBTが近距離通信技術と認識されてることで、実際の到達距離は1kmから1mまで機器の実装や環境によるよ、というBluetooth SIGによる記事です。なかにBluetoothの到達距離計算ツールと様々な要因が書かれてます。
ちょっと要素はむずかしいですが、Path Loss(経路ロス)を屋外とか家とか変えるだけでも面白いですね。

https://www.bluetooth.com/bluetooth-technology/range/?utm_source=tw&utm_medium=social&utm_term=social&utm_content=tw-btrange-boost&utm_campaign=range

これは下記のBluetooth Smart(BLE)機器はどこまで届くか、という動画投稿のフォローアップだと思います。

https://twitter.com/BluetoothSIG/status/1187075479569866752

ようはBTも普通の電波だっていうところですね。そこで思うんですが、Bluetoothも電波ならアンテナが重要になると思います。アンテナには波長に応じで効率的な長さが決まっています。
ちょっと計算すると2.4GHzでの波長は12.4cmとなるので、必要なアンテナ長は1/2波長の6.2cm、あるいは1/4波長の3.1cmのはずです。たいていのスマホは上部にWIFI/BTアンテナがあるので1/4波長だと思います。
ただ問題は受け手の機器が完全ワイヤレスみたいに小さいとアンテナがそんな長く取れないことですね。
仮に5GHz帯だと波長は6cmなので必要なアンテナ長は3cmまたは1.5cmです。これなら小型機器でも向いてるように見えます。
ただ到達距離は波長が半分になるとだいたい1/4になるので、逆に高出力が求められてしまいますね。

また屋内で使われることが多いBluetoothでは反射が重要になりますね。アマ無線やってた(やってる)人はEスポとかぱっと出てくると思いますが(月面反射っていう人も中にはいるかも)、BTも反射を考慮した設計が求められるでしょう。完全ワイヤレスでもEarinの頃から言われてました。
posted by ささき at 08:14| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月22日

スピーカーメーカーのヘッドフォン、DALI iO-6レビュー

DALIは良く知られたデンマークのスピーカーメーカーです。幅広いラインナップと音色の美しさ、北欧らしい美しいデザインが特徴です。日本ではディーアンドエムホールディングスが輸入販売しています。最近ではコスパの良いオベロンシリーズなんかが話題です。

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そのスピーカー専業だったDALIがヘッドフォン分野に参戦した初の製品がiO-6とiO-4です。今年のドイツハイエンドショウで発表されました。本稿はそのDALI iO-6のレビューです。これはDALI本社からレビユーしてほしいということで送ってもらったものです(技適はメーカーで取得済み)。ちなみにiO-6とiO-4の違いはiO-6がANC(アクティブノイズキャンセリング)機能を持っているということですので、以下はANC以外はiO-4でもほぼ同じだと思います。また振動板など技術内容等はDALIの担当に問い合わせて確認したものです。

*特徴

1. Bluetoothワイヤレス対応

iO-6は密閉型のワイヤレスヘッドフォンです。これは外で使うため、ストリーミングソースを主としたスマートフォンとの親和性のためです。そのためワイヤレスはBluetoothを採用しています。BLuetoothバージョンは5.0に対応して、対応コーデックはAAC、AptX、AptX HDです。

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3.5mmステレオミニ端子の付属ケーブルを使用してアナログの有線接続もできます。これは飛行機などで便利でしょう。この場合は電源オフでも使用できます。

2. 高い遮音性

iO-6は外で使うことを想定した密閉型で日本市場に向いています。実際にiO-6を使いながら電車に随分乗ってみましたが、気がつくのはiO-6がこうした密閉型ヘッドフォンの中でもかなり遮音性が高いということです。あとで書くANCなしでもかなりしっかりと音が聞こえなくなり、遮音性はトップクラスだと思います。

3, 美しいデザイン

iO-6を手に取った時に感じるのはとてもデザインが美しいということです。キャラメルホワイトとブラックがあり、本機はキャラメルホワイトですが、北欧家具のようにセンスがよいカラーリングとデザインでここはさすがデンマーク製です。これなら装着して外に出たくなることでしょう。

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人間工学的にも大きなサイドボタンや装着感の良さなどよく考えられていて、ヘッドフォン第一号とは思えません。これはFocalのときにも感じましたが、かなり開発を重ねてきて作ったもののように感じます。

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3. ANC(アクティブノイズキャンセリング)機能搭載(iO-6のみ)

iO-6にはANC(アクティブノイズキャンセリング)が搭載されています。またオーディオ・トランスペアレント機能がついているので逆に周囲の音をよく聞くこともできます。

iO-6を立ち上げるとまずANCオフではじまり、下部のボタンを押下することでANCがオンになります。たとえば電車の中でオンにすると周囲からすうっと電車のゴーっという音が引いていきます。しかし車内アナウンスははっきり聞こえます。というか車内アナウンスはANCオフよりも明瞭に聞こえます。iO-6は遮音性が高いので本来車内アナウンスも聞こえにくいのですが、ANCオンにすると周波数を選択的に通したりノイズを減らしています。音楽に集中して乗り過ごすことはないわけですね。ノイズ低減効果もかなり高いと思います。
ANCオンではあまり音量をあげなくても良いので音漏れも少なくなるでしょう。

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もう一度ANCボタンを押すと、完全ワイヤレスなどにもあるいわゆるオーディオ・トランスペアレント機能で周囲の音が普通に聞こえるようになります。ANCオフよりもこれも明瞭に聞こえますので、つまりパッシブの遮音性よりも聞こえるようになります。ヘッドフォンをつけたままレジの人などと会話するのに向いています。

ちなみに家の中でもANCが有効に使えます。家でPCにBT接続してANCオンにすると、PCのうるさいファンノイズの近傍にいてもファンのノイズがすうっと引いていきます。家でも夜はけっこう便利に使えるでしょう。

4. ミニチュアスピーカーのようなドライバー設計

ワイヤレスやノイキャンは他社でもありますが、オーディオメーカーたるDALIらしいこだわりはここです。
iO-6は50mmのダイナミック型ドライバーを採用していますが、特徴的なのはスピーカーのミニチュア版のようなドライバー設計がなされていることです。ヘッドフォンは小さなスピーカーのようなものと考えがちですがも実は一般的なヘッドフォンのトライバーはスピーカーに比べると簡略設計されています。

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DALIはヘッドフォンを設計するにあたって、「基本的にヘッドフォンは頭の両側に取り付けられたスピーカーである」というポリシーを立てたそうです。これは当たり前そうで、実はなかなか実現しにくいことです。
普通のヘッドフォンは振動板のエッジが固定されていますが、iO-6ではスピーカーのようなフリーエッジが採用されています(分解図)。またマグネットではスピーカーのようにボビン(芯材)を採用し、最適な磁力特性を持たせているということです。
こうした設計は以前ではAudioQuestのNighthawkを想起させますし、デノンの高級機でも採用されていますが、こうした低価格帯(400-500ユーロ)のモデルに採用された例はないということです。

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振動板は非常に軽量で強固なペーパーファイバーを使用して良好な内部損失特性を持っています。DALIのスピーカーではウッドファイバーを採用しているのだそうですが、ヘッドフォンでは重すぎるのでペーパーファイバーとしているそうです。
iO-6はこうしたDALIらしいDNAをきちんとうけついだヘッドフォンだということですね。

5. 長時間駆動できる電池

60時間(iO-4)持続できます。iO-6は30時間程度持ちます。実際にエージングするときに丸一日以上つけっぱなしにしていてもまだ再生していたのでなかなかの持ちだと思います。実際には毎日充電しなくてもたまに充電すれば十分という感じです。充電にはUSB-C端子を使用します。

6. 機能性

iO-6はワイヤレスの利便性を保つために音量変更や再生指示はヘッドフォン側で可能です。このためのサイドボタンは極めて大きく、操作は単純です。ロゴの部分をクリックすると再生やスキップ、サイドボタンの上下を押下するとボリュームの上下ができます。
操作していると男声による英語音声ガイドが聞こえてきます。電源ボタンを押し下げ続けると"Bluetooth paring",接続すると"Bluetooth connected"、また電源投入時に"Battery level 90%"などです。ちなみにバッテリーが100%のときには"Battery full"と言います。
電源オンで既に接続されているスマホとは自動でつながります。もちろんマイク内蔵で通話も可能です。

*インプレッション

iO-6はパッケージのデザインもなかなかセンスが良く、デニム地のヘッドフォンケースも洒落ています。iO-6はカップをひねって平たくしてたたむことができます。内容物は有線ケーブル、USB-Cケーブル、航空機アダプターなどです。

IMG_1313_s.jpg  IMG_1314_s.jpg  IMG_1330_s.jpg

中にはスタートガイドも付属していますが操作はそれほど難しくありません。電源ボタンを押し続けてペアリング、ANCボタンでANC機能変更、右側面はメカスイッチになっていて押すとタップで再生停止、ダブルタップで曲スキップ、トリプルタップでバックします。そのボタンの上下のリム部分を押すと音量調整などです。サイドボタンは指を二本添えると軽くタップしやすいと思います。

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本体は品が良いという感じのデザインで大人がつけても違和感はないでしょう。また肌触りがよく高級感がとても高いと感じます。サイズ調整のスライド機構もしっかりしています。
重さは325g(iO-6)、320g(iO-4)で重いというほどではなく装着感は快適です。側圧もきつめでDJタイプっぽいしっかりとした装着感です。ANCを使わなくても遮音性がとても高く周りの音はかなり聞こえなくなります。

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音は主にiPhone Xを使い、Windows10とも組み合わせています。
音も上質感が高くスムーズで深みのあるかなり高いレベルの音質です。たしかにNighthawkに似た独特の滑らかさがあり、音質はコンシューマー向けの安いモデルとは一線を画しています。

中高域は透明感がかなり高く、明瞭で歪みも少ないすっきりした質の高い音です。
密閉型だけどもDJタイプのようなバフバフいうこもった音ではなく、開放型を感じさせるようなすっきりした音でオーディファイル的な美音系に近い音を出します。海外のメーカーらしく個性を持った音にチューニングで、デンマーク製のスピーカーに期待するような感じの音ですね。
低域はパワフルで密度感のある密閉型らしい重みがあって深みもあり、男性ボーカルは深く渋さを感じさせます。この辺の音バランスはよくできてると思いますね。スピード感のあるパーカッションでは足踏みしたくなるくらいで、この辺の迫力はやはりイヤホンでは味わいにくいと思います。音にはまってしまい、しばらくは外出時はiO-6をずっと使ってましたね。

ANCのありなしで音が変わるかというと、静かなところでANCオンオフで聴き比べると多少音は違うが大きく差がないので常時オンでも良いと思います。

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Bluetooth機器としては遅延も大きくなく、iPhoneでNetflixなど映画を見ても違和感はとくにありません。

*まとめ

ワイヤレスやノイズキャンセリングで今風の機能性を持つとともに、オーディオメーカーらしい音質へのこだわりも兼ね備えたヘッドフォンがiO-6です。デザインも北欧家具のように上質感があり、音も上質感があります。音質にコストパフォーマンスは悪くないと思う。
100ユーロの違いはあるが、やはりANCの効果は大きいのでありのiO-6を勧めます。ただ遮音性が高いのでiO-4でもかなり良いと思います。

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密閉型なので外に持って行ってストリーミングを高音質で楽しみたいという要望に応えるヘッドフォンです。操作性や電池の持ちなどそつなく上手に練られています。
posted by ささき at 13:24| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月21日

HIFIMANの完全ワイヤレスイヤフォン、TWS600レビュー

TWS600は音質では定評のあるHIFIMANが開発したTWS(True Wireless Stereo)、つまり完全ワイヤレスイヤフォンです。
8月23日から発売開始され、価格はオープン(予想売価13,800円程度)です。BluetoothイヤフオンとしてコーデックはAAC,SBCに対応しています。

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* 特徴

1. HIFIMAN独自のトポロジーダイヤフラムを採用

高級機RE2000でも採用されているHIFIMAN独自のナノ技術を応用した「トポロジーダイヤフラム」技術を採用しています。振動板自体はTWS600向けの専用設計です。
トポロジーダイヤフラムとは何かというと、ダイヤフラムの表面に幾何学的な特殊なメッキを施したものです。目的はこの幾何学模様の形状、素材、厚さを変化させることで音の周波数特性の調整を可能にすることです。トポロジーダイヤフラムは「異なるナノ素材は構造が違い、特性も違う」という点から着目されたものです。このようにダイヤフラムの異なる表面構造の特性を適切に調整することで、振動の伝搬をコントロールしているわけです。こうした技術によってTWS600においては従来の完全ワイヤレスイヤフォンよりも、より自然で解像力の高い音質が得られるということです。

TWS600においては他にも先進的な合金製ヴォイスコイルやハイテク・マグネットの採用など高音質のための技術が詰め込まれています。ちなみにエージングは40時間が推奨されています。

2. 長距離再生が可能
TWSの大きな特徴の一つは150mもの距離での通信が可能であるということです。これについてはHIFIMANが検証する動画を公開しています。



また使っていても左右ユニット、ユニットとスマホ間でも接続が切れにくいと思います。電車などで普通に使っていて左右切れすることは少なく、片耳を手で覆ってもひと昔前の完全ワイヤレスみたいに接続切れになりません。


3. 合計38.5時間の再生が可能長時間の再生が可能
本体が5.5時間、バッテリー内蔵ケースを使用してさらに33時間の長時間再生が可能です。
HIFIMANによれば38.5時間の再生時間があれば、アメリカ大陸の端から端まで6回のフライトが可能であり、ジムで一日1時間使用しても一か月以上も持つということです。
バッテリー内蔵のケースは充電器も兼ねていて、USB-Cタイプのケーブルをケースの充電端子に接続します。充電中はケース内側の充電用LEDが赤く点滅し、その4個のLEDが点滅することで残りの充電レベルを知ることができます。
充電は実測で4-5回ほどケースから充電が可能です。ただしケースが透明ではないので充電中のライトが見られないのが残念ではあります。

4. 人間工学的なデザイン
完全ワイヤレスは片方だけ取れてしまうという不安がある人が多いのですが、TWS600においては運動をしていてもわりとしっかりとフィットします。実際にイヤフォンとしての装着感がとても良いのもポイントが一つで、5.9gの軽さとともに使用感は快適です。
こちらにスポーツで使われている動画があります。




他にもIPX4防水で汗と埃を防ぐことができます。

5. 左右どちらでも片側で使用可能
TWS600は片側使用が可能であるところにこだわっているのも他の完全ワイヤレスとは異なる点です。左だけでも、右だけでも使えます。これは通常どちらか親機のみが片方使用可能な完全ワイヤレスとしては珍しい特徴だと思います。

ただし左と右では少し使い方が異なります。
左のみ使うときは右側のイヤフォンはケースに収納したままにしておくと、左側のイヤフォンは自動的に片側専用モードになります。ステレオモードに戻すには単に右側のイヤフォンをケースから取り出します。
右のみの時は右側のイヤフォンをケースから取り出してから、”Power Off”と音声が聞こえるまでボタンを押し続けるというものです。そしてさらに”Power On”と音声が聞こえるまで押し続けます。ただしこちらの方はなかなかうまくいかないようです。

* インプレッション

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TWS600のパッケージ

スマホはiPhone Xを使用しています。
TWS600はケースから取り出した時に自動的に電源がオンになりますが、取り出してすぐ電源オンされるのは良いですね。またTWS600はケースに収納した時に自動的に電源がオフになり、充電を開始します。
ケースから取り出した時に自動的に右ユニットが左ユニットとペアリングをします。それからイヤフォンはペアリングモードになり、LEDの赤と青が交互に点滅します。スマホとのペアリングに関しては普通のBTイヤフォンと変わりません。ちなみに3分間以内に他のデバイスとの接続がない場合にイヤフォンは自動的に電源オフになります。

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英語での音声ガイド機能があり、取り出すと"power on"、左右接続された時は"TWS connected"、スマホと接続されると"connected"とガイド音声が流れます。

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イヤフォン側面のボタンによる操作が可能で、タップ(クリック)の回数で一回なら再生/一時停止、二回なら左右ボタンに応じて音量調整、三回なら左右ボタンに応じて前の曲/次の曲にスキップができます。
またマイク内蔵で、2秒押し続けることでヴォイスアシスタントを起動可能です。

前述したようにTWS600は装着感が良く、耳に密着してぴったりとはまります。静粛性は高くて電車の中でも遮音性は高いと思います。
音質は中高域寄りの音で、生ギターの音色やピッキングの切れなど立体感と解像感はなかなか良いと思います。他方で低域はタイトですが軽いので、使用する際にはスマホのイコライザーを使って低域を持ち上げた方が良いと思います。基本的な音質は悪くないので、たとえばEQuアプリのバスブーストで聞くとかなり違った面を聞かせてくれます。

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低遅延をうたっていて、実際にNetflixアプリで映画をみてみましたが、口とのシンクロは違和感が少ないレベルで、特に映画を見ていて気にはならないと思います。ゲームは私はあまりやらないので明確には言えませんが、遅延はわりと少ない方だと思います。

* まとめ

わりと低価格で装着感も良好、長距離送信可能で切れにくいという特徴を持った使いやすい完全ワイヤレスイヤフオンだと思います。今週末(8/24)はフジヤさんにてHIFIMANの試聴会を行うそうですので興味ある方はいらしてください。
音質に関してはイコライザーを使用して大きく低域を持ち上げるとかなり変わりますので、ぜひ試してみてください。
posted by ささき at 10:45| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月12日

Andromeda Gold海外発表

Campfire Audioの人気モデルAndromedaに1000本限定のGoldバージョンが登場するということです。違いは外見だけではなく、低域ドライバーが2つから4つに増え、さらにクロスオーバーレスのデザインになっています。かなり大きく違いますね。

Headfi TVでさっそくレビューがあげられています。
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-introducing-2-new-models-hello-andromeda-and-nova.805107/page-501#post-15113948



音に関しては低域はAtlasなどより誇張していないが、しっかりある感じで、増えた低域とバランスをとるために高域も少し上がっているようです。上のビデオで新旧の周波数測定値が公開されています。
また最近のCampfire Audioの大きな特徴として、左右のマッチングがかなり良いことがここでも触れられています。マルチドライバーモデルとしてはかつてないくらいに左右のマッチングが取られているということです。
またインピーダンスが8Ωとなったことで、センシティブと言われるAndromedaがさらにセンシティブになっているようです。
posted by ささき at 22:49| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月05日

Campfire Audioの新製品、Polaris IIとIOのレビュー

Campfire Audioの新製品が国内発売されました。その中から今回はPolarisの改良型であるPolaris IIと、新ラインナップのエントリー機であるIOのレビューをしていきます。

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まず、この前のヘッドフォン祭でKenさんが来た時に簡単に今回の製品についてインタビューしたものがあるのでそれを掲載します。

* Campfire Audio Kenさんとのインタビュー

- PolarisIIについて

ささき: これはPolarisの新バージョンですか?

Kenさん: そうです。いくつか改良をしたものです。
まずダイナミックドライバーが大口径化しています。8.5mmから9.2mmに変更しています。

ささき: それはAtlasとは違うものですね?

Kenさん: そうです。新規開発したものです。
ドライバー以外ではクロスオーバーも異なってます。また筐体を前は3Dプリントしていたところをステンレススチールにしています。
MMCX端子も改良され、ケーブルも新しくなっています。メモリーワイヤではなくメモリータイプのヒートシュリンク(被覆)を使っています。
ケースも改良されています。もちろん音質もよくなっていますよ。

ささき: ケーブルはSolarisと同じものですか?

Kenさん: ゲージはより細いもので、線材は同じですが拠り方は異なります。

- IOについて

ささき: IOはまったく新しいデザインですね。

Kenさん: Campfire Audioのエントリーモデルとして低価格を目標にしたんです。2ドライバーで大きなBAドライバーと小さな高域BAドライバーの組み合わせで、クロスオーバーを介しています。またインピーダンスの変動が少ない設計を施しています。
もちろん低価格でも音質はよいものを目指しているので、コストパフォーマンスは高いですよ。
ケーブルは新Polarisと同じで、ケースも新Polarisと同じです。

ささき: 高域ドライバーはTAECを採用しているのですね?

Kenさん: はい、音響抵抗も使用していません。TAECは音響抵抗を省略できる理由の一つですが、すべてではないのですよ。
音的にはJupiterに似ています。特に高域の伸びがそう感じさせると思います。

ささき: 改良されたJupiterのような感じですか?

Kenさん: まあそういう感じかな(sort of that)。
(改良されたというよりは)似た感じといったほうが良いかもしれません。


* Polaris IIインプレッション

以前のPolarisのレビューはこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/453783142.html
旧タイプとの差は見た目がフェイスプレートが青に変わっているということが異なっていますが、印象はかなり似ていますね。

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PolarisIIパッケージ

音が細かく高域は鮮烈でこまかな響きもよく再現している。かなりレベルが高い音と言えますね。低音はかなり深く量感あり、EDMなどを聴いた時のベースの重さがすごく迫力があふれます。
旧タイプよりも低音が強いのが特徴で、よりハイブリッドらしいとも言えます。旧タイプとの比較でなく、絶対的にもかなり低域の量感があって、重みがあります。あくまで大口径ダイナミックらしい重みのある迫力あふれる低域表現です。

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ここが前のPolarisとは一番異なる点で、以前はつながりがよくシングルのようなある意味ハイブリッドらしくない完成度を目標にしていたように思えるけれども、新Polarisではあくまでハイブリッドらしい低域のパンチの強さを売りにしています。
ただし中域はクリアで低域にあまりマスクされていないように思えますね。ボーカルは男性も女性も明瞭感があって歌詞が聴き取りやすいように聴こえます。

イヤピースとケーブルをPolaris IIのものに統一して旧Polarisと比較するとかなり大きく音が違います。音の個性自体は似ていますが、旧タイプでは低音がかなりばさっとローカットフィルターをかけたように減ります。能率自体はあまり変わっていないように思えます。旧Polarisも低音がないわけではなく、深くて抑えめのバランスのよい低音ですが、量感がまるで違います。旧Polarisはわりとフラットですっきりとした(ある意味BAよりの)音再現ですが、新しいPolarisはいかにもハイブリッドという感じの低音です。これによって迫力がだいぶ違います。
ただ新Polarisはこんなに低域が増えたのに中域があまり埋もれないのはなかなかのチューニングの冴えと言えると思います。

旧タイプのPolarisはCampfireの技術の総集編的な投入をしつつ、コストパフォーマンスの高いモデルを作ることを目指したと言えるでしょう。それに対して新タイプはよりハイブリッドらしい高性能イヤフオンを作ることを念頭に置いたと思います。

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*IOインプレッション

Campfire Audioは天文の名称を付けてきましたが、IOは木星の月であるイオ(英語だとアイオー)からつけています。木星は以前Jupiterという製品があったということがポイントです。

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IOのパッケージ

Campfireの低価格モデルだけども、ケンさんがシンプルイズベストを極めたって言ってたんですが、透明感というか鮮明さが独特で価格が安いだけではなく他にない個性がある。チューブレス構造の極み、みたいな音の気持ち良さがありますね。

中高域の透明感、鮮明さはIOならではの個性があります。低価格モデルということを忘れて、この気持ちよさの魅力で思わずIOを持ち出したくなることでしょう。良録音のアコースティック・アンサンブル、女性ヴォーカルの良さはひとしおです。
帯域的にはわりとフラット、ニュートラルで低域の量感も十分にあります。低域も質は良くタイトで解像感のある低域で超低域(サブベース)もそれなりにあると思います。アコギの胴鳴りの豊かさ良いですね。
とはいえダイナミックドライバー機やハイブリッド機と比べるとやや軽めには感じられるかもしれません。言い換えると全体にBAらしい音の作りであり、あたかもシングルBA機のような感じを覚えるのがひとつのポイントだと思います。

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もうひとつのIOの特徴はこれも独特の立体感が良いことです。Campfire Audioは前作のSolarisから一皮むけた立体感の良さが感じられますが、Kenさんに聴いてもあまりなにか特別の技術云々というわけではないようです。
関連するのかどうか、HeadFiでJudeがCampfire Audioを測定したグラフが公開されていますが、いままで測定した中でも最も左右の周波数特性とTHDがマッチしたイヤフォンの一つと言っています。
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-io.905408/page-27#post-14972084

これもあってか、IOはものすごく性能の良いシングルBAイヤフォンって感じに思えるのが面白いと思います(実際はデュアルですが)。

シンプルイズベストを単なる低価格というのではなく音の魅力にした点はさすがです。BAらしいイヤフォンがほしい人で、ダイナミックと差別化したいならこれをお勧めできますね。

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まとめ

ひと言でいうと、IOがBAらしいさわやかな明瞭感を出しているのに対して、Polarisはハイブリッドらしい高域の鮮烈さと低域の重さを両立させていると思います。
それぞれらしさ、個性を明確にしているというのは海外製品らしい個性的な魅力を感じさせてくれることでしょう。


posted by ささき at 14:46| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月03日

Acoustune HS1670SSレビュー

Acoustuneは香港に拠点を置くイヤフォンメーカーですが、スタッフは日本でオーデイオ産業に従事していたベテラン技術者が含まれているようです。Acoustuneは日本ではアユートが代理店となり、イヤフォンとともに交換用のイヤピースでも知られるようになりました。本稿はHS1670SSのレビューです。下記は製品ページで、価格は7万円を切るくらいです。
https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2498.php

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* 特徴について

1. 医療技術を用いた独自のMyrinx(ミリンクス)振動板

HS1670SSを聞く前に中高域が美しいという評判はすでに聞いていました。しかし実際に自分で聞いてみて驚いたのは評判通りの中高音域の美しさと伸びの良さに負けずにきちんと量感もある質の良い低域表現が聴けたという点です。シングルダイナミックにしてはかなりのワイドレンジ再生力です。

そのひとつの理由は振動板に使われているミリンクスという素材です。ミリンクスは医療分野で人工皮膚や手術縫合糸などに使われる合成素材ということです。ミリンクスとは医療用語で鼓膜という意味だそうですが、HS1670SSはミリンクスを薄膜化した10mm径のダイナミックドライバーを採用しています。HS1670SSには改良された第4世代ドライバーを採用しています。

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ミリンクスの振動板としての特徴としてはまず軽いということ、これは入力に対して素早くかつ正しく振動できるというメリットをもたらします。そして大事なのはミリンクスが強度と柔軟性を両立している(言い換えるとムチのように強靭でかつよくしなる)ということです。振動板の素材としては強度、つまり変形しにくさは音を正しく伝えるのに重要ですが、ミリンクスでは加えて柔軟性を両立しているというわけです。ここが広いダイナミックレンジをもたらす秘密のようで、振動板として一般的なPETとの違いでもあるようです。またこれは残響音の再現においても優れているということです。
こうしたミリンクスの特質がHS1670SSの中高域のみならず優れた低域再生力を支え、かつ強度を保ったまま薄膜化できることで音の細かさや速さも再現できるのでしょう。
実際に聴いてみるとその音は単に立体感というよりも、独特な彫りのある音の深みを感じられる個性的な音再現を感じますが、そうした特性ゆえなのかもしれません。

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もうひとつ面白いのはミリンクスが安定性が高いということです。これはエージングをあまり必要とせずに、長期間にわたる使用で音質劣化が少ないというメリットがあるということです。
かなり特徴的なメリットを持つミリンクスですが、なかなか製造は難しいようで独自のノウハウをもっているのがAcoustuneであると言えるのでしょう。

2. 共振を減らしたモジュラー構造

HS1670SSの大きな特徴のひとつはやはりその見た目の良さです。金属製CNC加工でまるで精密機器のようなカッコ良いイヤフオンで、私もいつになく気合をいれて、箱を開けてしばらくいつまでも写真を撮ってしまいました。特にマクロレンズで撮っていると細部の緻密さに惹かれます。
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特にいつくかのモジュールが組み合わされたメカ感が良いですね。これは機能美でもあり、HS1670SSではモジュラー構造で音響チャンバー部と機構部が分離されています。
この仕組みのメリットは共振の防止で、筐体のパーツを最小化することで振動するユニットから生じる悪影響を減らすことができるということです。音響チャンバーは効果的な音場感とソリッドな低域を実現しているということですが、モジュラー構造により低域で生じる歪みが中高域に伝わることを抑えるということです。
HS1670SSの場合にはステンレススチールの特性とこのモジュラー構造がすっきりとした純度の高い音を生み出しているのでしょう。

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3. 多種のイヤピースが付属

最近ではさまざまなメーカーが音を変えるタイプのイヤピースを出して話題となり、イヤピースに対しての注目度も上がってきていると思います。
Acoustuneはイヤピースを単体発売もしていて、こだわりを見せています。標準となるのはAET07ですが、AET08はAET07にくらべて軸の直径が太く長めです。これは音響的に低域を増強するということで、組み合わせることでイヤフォンの音をいろいろと変えて楽しむことができます。HS1670SSには他にダブルフランジタイプのAET06とフォームチップが付属してくるのでイヤピースについては選択の余地はかなりあると言えると思います。

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HS1670SS付属のイヤピース

イヤピースで音が変わるかというと、変わります。これにはいくつかの要素があります。まずイヤピースの傘の部分の遮蔽によって漏れやすい低域の音が失われないできちんと出ること、それと同時に低域のマスキング効果によって中高域の特性が影響を受けるということです。これにはイヤピースの傘の長さやサイズがポイントになります。
次にイヤピースの軸の長さと太さ、材質などによって帯域の出方が異なります。このためにAcoustuneではAET07の他にAET08という軸の異なるタイプを用意しています(AETとはAcoustune Ear-Tips)。これもイヤフォンのチューニングが音導管の長さ・太さで行われるということを想起すると納得できると思います。
ちなみに各タイプの詳細はメーカーによると以下の通りです。

AET06
遮音性を重視しダブルフランジ形状を採用。S+とM+でフランジ形状を若干変更し最適化。遮音性を確保し低域の減衰を最小化。
AET07
acoustuneイヤホンの開発工程でも使用するベンチマーク。ノズル開口部を可能な限り広く短く設計。更にノズル軸部の硬度を高めに成形する事で、特に中高域の減衰を抑え、再生周波数全域における高い解像度と抜けの良さを実現。(サイズ表のM-は単体販売のみ)
AET08
ノズル内径を狭く長めに設計。意図的に高音域を減衰させる事で、相対して低音域を押し上げる音響を実現。

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AET06,AET07,AET08のサイズ表

イヤピースについてはHS1670SSではAET07が合うと思いました。特にHS1670SSでイヤピースを選ぶコツは合うちょうどくらいを選ぶことであり、あまり大きなサイズを使わないということだと思います。大きすぎて低音が多くなると低域のマスキング効果で中高域にも影響を与えてしまうことがあるので、独自の美しい中高域が消えてしまう場合もあります。あまり高い音がきれいに出ないと思ったら、ひとつ下のサイズのイヤピースにしてみるのも良いと思います。
もちろんロックやEDMなどの低音がほしい音楽の時は逆にそうした大きめのイヤピースで音を変えてみるのも面白いですし、低音が欲しい時はAET08を使うのも良いかもしれません。こうしていろいろと変えたり試したりできるというのも面白さの一つです。

4. 高品質な標準ケーブル

HS1670SSの見た目の美しさはイヤフォン本体だけではなく、ケーブルも太くて高級感があります。中身もシルバーコート銅線とOFC線材のハイブリッド設計というユニークなもので、8芯ケーブルを3重にシールドしたものです。端子はMMCXでリケーブル可能です。
このケーブルは太いわりにはタッチノイズが少ないのも長所としてあげられるかもしれません。

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* インプレッション、使用感、音質

HS1670SSはまず見た目のかっこよさに惹かれてしまいます。手に取るとずっしりと重みがあり精密機器らしいメカの美しさの魅力がよくわかります。特にHS1670SSはステンレススチール製なので、金属製の高級感と持った感触が価格以上のものを感じさせてくれます。
またメカニカルで武骨な形ですが、実のところはするっと耳におさまってぴったりと確実に耳穴に固定される装着感の良さも意外とポイントだと思います。装着してしまうと重さはさほど気になりません。

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HS1670SSパッケージ

さきにも書きましたが、まずHS1670SSではイヤピース選びがポイントになります。多種のイヤピースが付属しているので自由度が高いということと、音の良さを引き出すためです。

ここはもちろん個人差があるところなんですが、私の場合にはAET07のMサイズを主に使用しました。AET07だとリファレンス的なサウンドでHS1670の良さを引き出すのに向いていると思います。
AET08だと低音が太く迫力を感じるとともに、全体に重みが乗ってくるので低音がほしいビート系音楽にはAET08がよいですね。中高域を活かしつつ低音域によりパンチがほしいときはAET08の同じサイズを使うのが良いと思います。ただし中高域はやはりAET07が良く出ると思います。
一番低域を引き出すのはひとサイズ上のAET08となるでしょう。

またAZLAのSednaEarfitも試してみました。SednaEarfitはやはりよくフィットし、Mサイズで十分に低域が出ます。
音的にはAET07の同サイズのほうがやはり中高域はきれいに出ていますが、SednaEarfitはAET08に近い感じでより低域寄りの音になるように思いました。SednaEarfit lightではよりよくフィットして低域はより出てくるようです。ただしAET08とSednaEarfitを比べるとよりAET08のほうが低域が出ている感じなので、この辺はいろいろ試してみるのがやはり面白いところでしょう。

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音はやはり中高域が美しいのが特徴であり、強みでしょう。高い音が美しくベルやハイハットの音もピュアできれいに響き、よく上に伸びる感じです。歯切れよく明るく明瞭な音調で、音の歯切れよさもよいんですが、特に痛さを感じずに鈍くならない点もポイントです。また音の倍音成分がたっぷりと豊かに聴こえる中高域も魅力的です。たとえばバロックバイオリンの音など古楽器系の再現力の豊かさです。
しかしそれと同時にソリッドで質の良い低域も実現していて軽さがありません。

女声ヴォーカルと合わせた時の美しさはひとしおで、試聴でよく聞く混声アカペラグループのRajatonを聴いて、こんなにいい曲だったかと改めて感動してしまいました。女声のメインパートは声質が良く伝わり抒情的で、男声のサブパートも太く豊かに曲全体の豊かさと深みをよく表現しています。ヴォーカルよりも帯域の広い器楽曲を聴いても同様に思います。これらのことがシングルドライバーで再現されているのだから、かなり優れたドライバーと筐体設計だと思います。

着色感は少なく、暖かくも冷たくもない感じです。たぶんドライバーの特性もありますが、ケーブルも良いと思います。着色感は少なくとも無機的にならずに音楽が美しく感じられるのはなかなか得がたいものがあります。

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シングルダイナミックにしてはかなりワイドレンジでダブルベースを聴くと低い方にもよく沈みこみ、ロックでも低域は十分にあってパンチがあります。もしEDMとかもっと低音が欲しい時にはイヤピースをAET08とかもっとサイズの大きいものに変えると良いと思います。
中高域が美しいのが特徴なんですが、低域の方も厚みがあって音が豊かに聴こえるのがトータルの音の再現性を上げていると思います。

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特にMojoとかSP1000など高性能の機材を使用した時の深みがある音空間が特徴的で、同じ曲でAK380からSP1000に変えた時の情報量の増加がよくわかります。高級オーディオを聞いているような感じです。細かい音の再現力の高さも含めて、音再現力の高さも価格を超えているように思います。

* まとめ

見た目の美しさと音の良さは価格を超えていて、価格が10万円を超えていてもおかしくない気はしますね。
音の美しさなど優れた長所を持つ一方で、ケーブルのタッチノイズもかなり少なく、全体にそつなく弱点も少なく設計されています。オーディオ業界のベテランによって創立された会社というのもうなづけます。トータルの完成度も高く、コストパフォーマンスもよいイヤフオンだと言えるでしょう。


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posted by ささき at 16:54| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする