Music TO GO!

2017年12月31日

2017年振り返り

今年もまずMQAのソフトウエアデコード、Chord Polyの発表などのCESニュースから始まりました。

MQAについては、のちに5月にMQA-CDでまた話題となりボブスチュワートに直接あって、MQAについて聞く機会を得ました。頭のきれる落ち着いた英国紳士という印象の人でした。話についていくのが大変で、英語で話していると頭が痛くなってきました(笑) Philewebのインタビュー記事もご覧ください。
MQAにかんしては「オリガミによる軽量化」と「時間的ブレの低減による高音質化」の二つの側面があるのですが、個人的には前者の方に今年は目を向けていました。MQAについてはなんだかんだとひとつのフォーマットとして定着してきた感はありますね。感覚的に当初の否定感も少なくなってきたようには思います。来年こそはTIDALがなんとか日本で入ってくれれば、さらに注目されることでしょう。
LINNはMQA批判もしていますが、こちらもいままで冷ややかだったDSDに今年対応したりしているので意外とMQAもやるのかもしれません。
今年はPCオーディオとしてはWindowsでクラス2ドライバーのサポート(4月頃)がはいったりしましたが、MQA以外に大きなトレンドがないのも事実ではありますね。

Polyについてはのちにアユートさんの発表会でHugo2とともにロバートワッツ、ジョンフランクス、そしてラジブとあつていろいろと話を聴きました。Philewebにインタビュー記事を載せていますのでそちらもご覧ください。
ロバートワッツからは直々にパルスアレイDACの説明をうけて、なんとかそれを記事にしました。パルスアレイDACについてはいままでよく言われてきましたが、あまりわかりやすく、基本的な解説はなかったと思います。
ロバートワッツはやはり知的で落ち着いていますが、とても情熱的な人です。ジョンフランクスはきちんとしたビジョンを描いて膨らませる人で、ジョンフランクスがジョブズ的、ワッツがウォズ的とChordはよいコンビネーションに思えます。

iFIのトルステンともヘッドフォン祭のときにまたちょっと話ししましたが、こちらはもっと饒舌で陽気な感じでしょうか。トルステンに前にインタビューした時は英国オーディオの伝統的な技術(ミッドサイドステレオ)を採用していると誇らしく語っていました。

今年は英国オーディオ開発者とけっこう縁がありましたが、それも豊かな歴史ありきだと思います。第二次大戦中もっとも電子技術が優れてたのはレーダー技術みてもやはりドイツより英国の方が一歩先で優れてましたですからね。そこからの積み重ねがあります。(ちなみに日本は八木アンテナがそのまま英語になったように、実は大戦「前」は進んでたんですが、大戦「中」にダメだったのは国の無理解によるものです)
歴史にテーマを当てた英国オーディオ史も面白いかもしれません。

英国と言えばRoonもそうです。今年はRoonは1.3、1.4にバージョンアップしました。1.3ではDSPがはいってヘッドフォンでも使いやすくなり、1.4ではiOSの出力対応がなされています。Roonってラズパイから、IOS機器、ハイエンドオーディオまで対応範囲が広いというのがポイントですね。PolyでもRoon対応しています。

人物でいうと、今年はWestoneのカートライト兄弟のBAカスタムIEMはじまり物語を書いて始まり、今年の最後もカートライト兄弟のES80インタビューで締めたっていう感じです。Westoneは人気の有名ブランドですが、その音の中核にいた彼らのことはあまり知られてなかったと思います。しかしカートライト兄弟にあって話を聞いてみると、Westoneの良さというものがよりよくわかってきました。
海外のイヤフォン開発者では日本ではジェリーハービーが有名ですが、Westoneのカートライト兄弟もイヤフォンの歴史における重要度では引けを取りませんので、ぜひ注目していてください。
会う前は堅いようにおもってましたが、実際にあってみるとユーモラスで、アメリカのやんちゃ兄弟がそのまま大きくなったという感じです。インタビューしていても互いにふざけあって面白いんです。

製品的にはAstell & Kernの待望の新フラッグシップであるSP1000が大きいですね。年末に詳細レビュー記事をアップしましたが、AK380とくらべても音質の向上はかなり大きいと思います。
イヤフォンとしてはやはりDita Dreamでしょうね。ダイナミックの頂点を極めたような製品ですが、次の一手も楽しみです。Dita Audioのダニーはヘッドフォン祭であったときに、これからはユーザーの好みによる選択をいかしたツインズコンセプトを言ってました。これは"ウイザード"モールトンのリファレンス/ミュージックの二本立てコンセプトにも似ているのかも知れません。
今年はUMの製品が多く、多種多様に展開されてうちでも多数レビュー記事があります。Campfire Audioも順調に進展し、今や新興メーカーとは呼べません。中核メーカーの一つで常に新製品が待ち望まれて、話題となってます。

今年の話題の完全ワイヤレスは年頭にEratoの新機種をレビューしましたが、今年はAirPods人気の影響もあり、フォローが追いつかないほどたくさんの機種が出て、国産でも昨年のONKYOだけではなく、SONYも出してきました。
NFMIなんかも2016年は予備学習のために調査しておいた(下記リンク)ような感じでしたが、今年はまじめに採用機種が増えてきました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440014833.html
元祖BRAGI Dashなんかも日本市場に出てきました。この分野はますます活発化するでしょうね。

私は毎朝BandcampのSNSと新譜チェックをしているので基本的にほぼ毎日iPhoneでBluetoothも使うのですが、最近iPhoneのBT周りオーディオ周りがアップデートのリストにはなくてもいろいろ手が加えられ動作が変わっているように思えます。音自体も少し変わった気がしますね。来年もなにかとこの辺の話題には事欠かないと思います。

最後に今年も巨星ミュージシャンがなくなり、記事で書いたジョンウエットン他にアランホールズワース、グレッグオールマン、ホルガーシューカイ、トムペティなどもなくなりました、哀悼の意を表します。

また来年もCESのウォッチから始まると思いますが、当ブログをよろしくお願いします。
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2017年04月16日

秩父の桜

この週末は北上する桜を求めて、秩父に桜を撮りに行ってました。
ここはしだれ桜で有名な清雲寺です。桜はソフトフォーカスで撮るのがよく似合います。しかし久々にいったら西武線が秩父線に直通になっていたり駅前が様変わりして驚いてしまいました。

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ここの神社の神楽はまさに桜の花吹雪の舞う中で行われていて、素晴らしいものでした。なんだかタイムスリップした感もあり、時代を経ても変わらぬ日本人と桜の関係を改めて考えさせられました。

Riccoレーベルの日本語を美しく歌い上げるユニット、mizu amaneの新作は春と桜の歌です。こちらもこの時期におすすめです。
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2017年04月05日

CanJam 2017 SoCalプレビュービデオ

今週末に開催されるCanJam Socal(ロサンゼルス)のプレビュービデオがアップされています。
http://www.head-fi.org/t/822835/canjam-socal-2017-april-8-9-2017/350_50#post_13397511
今回は過去最大ということで、さまざまな新機種が1時間にわたり紹介されています。
みな見てませんが、一例をあげると、まず先頭のJH Audioの新製品のLolaです。
JH Audio初のハイブリッドです。たいていのハイブリッドと違いLolaは中域にダイナミックを使っています。中域はDOMEと呼ばれる二個のドライバーの対向型です。
カバー領域は低域が2xBAで10-200Hz、中域がダイナミックx2(DOME)で200-3kHz、高域が4xBAで3k-20kHzとのこと。
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画像は上記ビデオから

ちなみにLolaはKinksの曲ですのでSirenシリーズですね。
*訂正:Performanceシリーズのようです。

さて実際のショウが楽しみです。


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2017年02月12日

小田原での流鏑馬と梅まつり

週末は今年初めての流鏑馬を撮りに行ってきました。
多少風が吹いて寒かったんですが、天気はよく梅も今年は早いそうで咲き誇っていました。ここは曽我の梅林で、仇討ちで知られる曽我兄弟が弓馬の達人だったということで、恒例の梅まつりに合わせて流鏑馬が開催されています。
ここは女性射手が活躍するところでもあり、最後の決勝でもある競射でも5名中女性射手が3名と好成績を収めました。

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カメラはまだまだ現役EOS-1Dmk3、レンズはEF70-200/2.8Lとテレコン、流し撮りはEF24-105/4です。今回は条件もよかったのでうまくスピードについていけました。

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今年もいつのまにか梅の咲くころとなりました。春遠からずというところです。
posted by ささき at 17:21 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月01日

謹賀新年

帰省先の近くに白鳥が飛来していました。寒っ。
みなさま、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
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2016年12月30日

Music To Goの過去記事から2016年のトレンドを振り返る

今年も恒例の当ブログの振り返りから今年のトレンドを読み解く記事を書きました。うちはインデックスがないのが不便ではありますのでリンクもつけています。
一部多少前後しますが、ほぼ時系列的に記事を並べています。

* 1月

今年は2016年初頭のCESで話題となっていたRoon Readyの流れに刺激され、1月からRoonの調査を本格的に開始してRoonの記事を上げました。
特に注目したのはRoonがControl, Core, Outputsと機能が分かれているという点です。これはのちに1.2となって内部がRAAT化する際により意味を持ってきます。

オーディオファイル向けミュージックプレーヤー (20) - Roon、そしてRoonReadyとは
http://vaiopocket.seesaa.net/article/432678977.html
Roon応用編1 - HQ Playerの使用とシグナルパス
http://vaiopocket.seesaa.net/article/432877662.html
Roon補足1 - シグナルパスのオーディオ品質表示について
http://vaiopocket.seesaa.net/article/432913143.html
Roon補足2: 音楽ライブラリの見せ方について
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433203764.html
Roonのさまざまな名称についての整理
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433011338.html


Roon自体は昨年から海外で話題になってはいたんですが、はじめは使い方が簡単なソフトでAudirvanaのように音質を向上するという考えでもない、という感じだったのでそのときは興味が持てなかったのですが、だんだん調べていくと興味を持ってきました。それはネットワーク機能に関して(当時のRoon Speakers)で、従来のDLNAに代わるというよりも、ネットワークやUSB DACという違うと考えられていた分野を一元化できるという点です。このことは下記記事に書いています。

RoonとuPnP(DLNA)の違い、Roonの優位性、RAATの必然性
http://vaiopocket.seesaa.net/article/432956718.html

このときはまだRoonSpeakersという言葉が生きていたので、記録のためにあえて訂正しないでおいています。
面白い点は上の記事で書いたように、Roonのデータストリームは単なるファイル転送ではなく、アシンクロナスUSBのフローコントロールをネットワークでやってるようなものだということです。少し抜粋します。

"RoonではEndpoint(DAC)のクロックをCore(PC)にフィードバックしてできるだけ近くするようにネットワークパケットを使って調整するという手段を使ってるようです。
クロックが送り手と受け手で合わないとサンプル数にズレが生じるので、送り手(PCなど)が勝手に送る限りは受け手のクロックが良くても無駄・音質ロスが生じてしまいます。(送り手が正確に1秒に44000サンプルちょうど送らないから)
そこでRoonSpeakersでは受け手のクロックを送り手にフィードバックすることで、このロスを少なくします。アシンクロナスUSBのフローコントロールをネットワークでやってる感じでしょうか。"


同時にこのことはRoonとDLNAを根本的に別のものとしています。

"Roonの利点は裏返すとDLNAの利点ともいえるように思います。なぜかというとDLNAのメディアサーバーとレンダラーの間にはクロックの依存関係というのはなく、レンダラーという箱の中でクロックという厄介な問題を閉じ込められます。しかしRoonの場合にはCoreとEndpointの間ではクロックの関係ができてしまいます。"

ですから、Roonをユーザーが「DLNAの代替として使えるネットワークオーディオ」と考えるのはそうしても使えるので間違ってはいませんが、DLNAの延長にあると考えるのは正しくないと思います。

またこのころMQAもちょっとチェックをはじめてます。
MQAの2Lサンプル音源
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433177658.html

ただしMQAに関してはいろいろとあって、あちこちで聞く各方面からの「ほんとに音質がいいのか疑惑」とか、「DACのファームにはライセンスするけれど再生ソフトではライセンスしない問題」、とかあって、あんまり肩入れしないでちょっといまでも静観という感じではあります。

MQAでは4月にボブスチュワートのQA記事がComputer Audiophileに乗りました。これはいまでもMQAのバイブル的な記事だと思いますので、MQAとはなにかということはこのQAをみると良いと思います。
ボブスチュワートの「MQAの質問なんでも答えます」
http://vaiopocket.seesaa.net/article/436498152.html


* 2月から3月

2月にはいるとラズベリーパイに興味を持ってきます。ラズパイはずっと前(2013年)に書いたように家で使うMPDベースのミュージックサーバー的な運用が一般的ではあります。下で書いたRaspyFiはいまのVolumioのことです。

2013年の記事: Raspberry PIでMPDとUSB DACを可能にするRaspyFi (DSD再生も可能)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/374988227.html


この2月にふたたびラズベリーパイに興味を持ったのは2点あります。ひとつはポータブル運用ができるのではないかということです。というのは上の2013年の時点でもUSB DACを使ってDSDネイティブ再生っていうのはできていたんですが、このときと違っていまではI2Sベースの拡張ボード(HAT)がたくさん出てきていたからです。
そこでI2S HATボードを調べてIQaudIO PI-DAC+などを使用してポータブルでのラズベリーパイ記事を書きました。これらは従来の2段重ねのDAPをラズパイに置き換えたようなイメージですね。

ラズベリーパイ・デジタルプレーヤー試作とGPIO(I2S)接続
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433533136.html
ラズベリーパイとポータブルDAC付きアンプの接続 (HiFiBerry Digi+)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/435089337.html
ラズベリーパイとポータブルアンプのアナログ接続 (HiFiBerry DAC+)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/435420916.html
ラズベリーパイとポータブルアンプのアナログ接続 (piCorePlayer編)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/435943475.html
国産ではこういうのもあります。これは少し後に書きました。
ラズベリーパイ用の新しいDACボード、msBerryDAC
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441962694.html


また実はもうひとつ含みがあったのは、IQ AudioがRoon対応を表明していたので、ラズパイ経験がRoonでも生かせるだろうと考えていたんです。
そこでラズベリーパイとRoonを組み合わせて、RoonReady対応(RoonBridge)の試験をやってみました。これはRoonフォーラムで情報をチェックしながらIQ Audioのひとにベータ版の状態で頂戴って言ってもらって試してたので、RoonReady対応を実際に試してみたのは国内でもはかなり早いタイミングだったのではないかと思います。当時はRoonReady対応デバイスは製品でも国内未発売のAriesとSonicOrbiterくらいでした。とにかくRAATというものを試してみたかったんです。
これによって一月の段階では頭の中で考えるだけだったRoonの仕組み(RAATとControl/Core/Outputsの関係)をはじめて実際に試してみることができました。

ラズベリーパイのRoonReady機器化(Roon Bridge)について
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434234805.html


そしてさっそくRoonのシステムの柔軟さと音質という面に切り込みました。やはりオーディオであるからには音質面での得失は重要です。

RoonReadyの音質
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434348250.html
RoonReadyとDLNAの構成と音を比べてみると
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434349382.html


この辺はあとでPhilewebに書いた記事のもとになる研究みたいなものでした。


このほかでは二月はポタ研もあって製品レビューもたくさん書きました。
ポタ研2016冬レポート
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433778260.html


Triple.fiの進化、JH Audio TriFi レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433217427.html
新世代のハイエンドケーブル、Crystal Cable Next登場
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433412898.html
Astell & Kern 第三世代のスタンダード機、AK320レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433284579.html
AK380 CopperレビューとAK380とAK320
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433658083.html
Astell & Kern AK380 アンプ Coppperレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/435583495.html
スイッチング電源をクリーンに、iFi iPurifier DC
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434054755.html


ひさしぶりにiQubeもレビューしてみました。新型のV5です。
Qables iQube V5レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434185116.html


* 4月

4月になるとRoonの大型アップデートである1.2が登場しました。
Roonの革新、Roon 1.2登場!
http://vaiopocket.seesaa.net/article/436667160.html


これはRoonとしてほぼ完成された版で、RAATをネットワークでもUSB DACでも汎用的に使用することのできるバージョンです。3月にiQ Auidoを使用して実際にRAATを試用してみることができたわけですが、これはファームウエアを書き換えたようなものです(AriesやSonicOrbitorと同様に)。
今度は汎用イメージでインストールできるより柔軟になり、内部のデータストリームがローカルもリモート(ネット)もRAATで統合されたことでラズベリーパイでもRoonを使うことができるようになりました。この1.2からはもうDLNAとは異なる世界に突入し、あわせていままでの制限だったプライベートゾーンが廃止されました。
Roon 1.2の応用例 ラズベリーパイとUSB DACの使用
http://vaiopocket.seesaa.net/article/436719784.html


この辺を調べた結果をもとにRoonReadyとRoonの音の魅力の記事をPhile-webに執筆しました。やはり音質に関しては一般的なハイエンド機材を使って試さないと説得力が少ないので、音元さんの試聴室のアキュフェーズやTADなどのハイエンドオーディオ機材を用いて自分の考えを確かめたわけです。
RoonReadyとRoonの音の魅力の記事をPhile-webに執筆しました
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437160279.html

実はこの時の記事は1.2を想定しないで書いていたのですが、1.2が直前に出て、急きょ内容を1.2向けに書き直しました。そのためRoonにプライベートゾーンなる制限があったと知っているのはうちのブログの読者くらいになってしまったかもしれません。

またラズベリーパイへのRoonの応用とRAATの紹介についてはのちに7月にPhilewebに書いています。
RoonReady機器の拡大と非対応機へのRoonブリッジ応用の記事をPhilewebに執筆しました
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439843019.html


Philewebでは少し応用的な記事が先行してしまったので、基本的な説明をしようということで、Roonの疑問に応えますの記事を8月に書いています。Roonとはなんぞやという方はこちらからご覧ください。
なおインテジャーモードや排他WASAIなど技術的内容は私の推測ではなくRoon Labsに問い合わせて回答を得ています。
Roonのギモンに答えます記事をPhilewebに書きました
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441506499.html


製品系ではJH Audioのフルメタルジャケットの3兄弟を串刺しでレビューするという試みをしています。個性的なJH Audio製品を別々の記事ではなくひとつにまとめてレビューすることで個性差をみてみようというわけです。
JH Audio Siren第二世代、フルメタルジャケットシリーズ レビュー #1 イントロ・開封編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/436348293.html
JH Audio Siren第二世代、フルメタルジャケットシリーズ レビュー #2 音質編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437213161.html
ROSIEは遅れたのでこちらせに書いています。
JH Audioらしいプロ品質のエントリー機、ROSIEレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/438306504.html


* 5月から6月

だんだんとこの辺になるとiPhoneのイヤフォン端子がなくなるという噂が現実的に語られるようになり、その周辺の話題もなされています。

この辺から左右独立型の「完全ワイヤレス」イヤフォンについてもまじめに取り組み出しています。まずEarinとDashを例に挙げて、左右分離型では左右ユニット間の通信がポイントになることを考察しています。BTを使う方式と、NFMIについて書いています。まだこのころは「完全ワイヤレス」という言葉を使っていませんね。
左右独立型ワイヤレスイヤフォンのトレンドと秘密
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439219276.html


イヤフォンにとっては新しい技術となるNFMIについては下記の記事にまとめました。これは電波ではなく、電磁誘導を使って通信する方式です。こうして少しずつ「完全ワイヤレス」という新しい技術について必要となることの調査を地道にしていったわけです。
完全ワイヤレスイヤフォンの技術(1) - NFMI
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440014833.html


iPhoneではライトニング派かワイヤレス派かなんてことに分かれ、シーラスロジックからライトニング開発キットなども出ています。
シーラスロジックから公式?ライトニングヘッドホン開発キット登場
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439549247.html


一方でAudroid系の動きとしてインテルが提唱するUSB-Cオーディオについての記事を書きました。
ポスト3.5mmの新顔、インテルの提唱するUSB-Cデジタルオーディオ
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437810699.html
これはやがて半年後に10月にUSB Audioクラス3.0としてまた出てきます。
USBオーディオデバイスクラス3.0発表
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442424054.html


またおなじみヘッドフォン祭の記事も書いています。新オルフェウスが話題でしたね。
わたしはカスタム座談会の司会をやったり、音楽出版のヘッドフォンアワードの授賞式の進行なども務めました。
ヘッドフォン祭2016春
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437455188.html


最近ではベント機構はイヤフォンのキーワードの一つですが、ここではADELのベントについて、音質差があるということも書いています。
64 AudioのADELモジュールによる音質の差(S1とB1)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437594645.html
MAM(マニュアルモジュール)については8月に記事を書いています。
ADELモジュールによる音質の差(MAM、マニュアルモジュール)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440804535.html


なつかしのER4Sの後継機が出ると言うので、ついでのなつかしのER4Sの思い出などを語ったりもしています。
ER4SR/XR発売と、わたしとER4S
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439346462.html

なつかしのというと、HeadRoomがひさびさに新開発のヘッドフォンアンプを出しています。ポータブルの方もまた作ってパワフルなアメリカンサウンドを聴かせてほしいものです。
Headroomの帰還
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440023905.html


またCampfireのAndromedaもレビューを書いていますが、これはかなり人気機種となりました。
Campfire Audioの新フラッグシップ、ANDROMEDAレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439105085.html


* 7月から8月

いよいよiPhone7の発表を前に実際の「完全ワイヤレス」の機材レビューをはじめます。まずはこの手では元祖ともいえるEarinのレビューをしています。
左右分離型のBTワイヤレスイヤフォン、EARINレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439637957.html

ちなみにこの記事の最後に意味ありげに伏線を書いていますが、これは諸都合で伏線回収ができませんでした。。まあそういうもので。

このころになると完全ワイヤレス自体にかなり興味を持ってきて、ダイナミックタイプのAria Oneのレビューもしています。この辺から「完全ワイヤレス」という言葉を使ったと思います(英語で言うとTrue Wireless, Complete Wireless)。新しい概念はやはり統一した言葉を使った方がわかり良いと思います。
完全ワイヤレスイヤフォン、fFLAT5 Aria Onレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441265444.html

8/25にはErato Applo 7の記事を書いています。これはおそらく現状ではベストな完全ワイヤレスかもしれません。ちなみにErato audioは台湾系でNuForceとも関連ある会社です。
完全ワイヤレスイヤフォン、Erato Apollo 7レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441325724.html

国産の完全ワイヤレスであるONKYOのW800BTはやや遅れて10月に発売されました。
国産の完全ワイヤレス、ONKYO W800BT
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442875214.html


WestoneからはBTワイヤレスアダプターも発売されています。いままでのイヤフォンを使いたい方には良い解法でしょう。
Westoneからワイヤレスアダプター発売
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440458384.html


音質の良いBTヘッドフォンではシンガポールのPendulmicもお勧めです。
DJタイプの高音質BTヘッドフォン、Pendulumic TACH T1
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442689135.html



いよいよRoonReady機器が国内でも発売され、RoonからみではオリオスペックさんでPlayPointの試聴会も実施しています。Roonの浸透度自体はまだまだだったと思いますが、みな興味を持ってくれていました。
オリオスペックでのPlayPoint試聴会終了
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440348117.html


またRoonではNanoPi Neoっていう小さなワンボードコンピューターを使って、普通のUSB DACをネットワーク対応にするという実験もしています。これはRAATが柔軟でRoonBridgeが軽量だからできることで、個人的にはこの辺がRoonの真骨頂かとおもいますね。
Nanopi NeoのRoonでのネットワークブリッジ応用例
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441031678.html
NanopiNeoについてはこちら。
最安のRoonReadyデバイス?、 NanoPi Neo
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440721221.html


製品では今年の台風の目となったAK70のレビューをしています。いままで光でDAC付きアンプと接続していたのが、この機種からはUSBに変わるというエポックメイキングな節目だったかもしれません。
Astell & Kernの新しいエントリー機、AK70レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440521822.html

さまざまなUSB DACとの組み合わせについてはのちに10月に書いています。
AK70のUSBオーディオ出力機能とDAC内蔵アンプいろいろ
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441032048.html

またAKT8iEも新型のMKIIが登場しています。ダイナミックとしてはかなり完成されたモデルになったのではないかと思います。
テスラドライバーイヤフォンの後継機、AK T8iE MkIIレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440805035.html

Laylaカスタムなんかも書いて、ユニバーサルとの比較もしています。やはりLaylaはよいですね。
JH Audio Layla カスタムIEMレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440556027.html

カスタムではUM Mavisカスタムもレビューしています。Marverickとは良い対象になりそうな兄弟機ともいえそうです。
UM Mavisカスタムレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439943799.html


* 9月

いよいよiPhone7が発売されて、予想通りイヤフォン端子がなかったのでいろいろな考察記事を書いています。iPhone7のインパクトはイヤフォン端子廃止だけではなく、カメラも「マルチアパチャー、マルチレンズ技術」が採用されたのですが、これも記事にしています。
トレンドリーダーとしてのアップルと二つの技術トレンド
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441902779.html
iPhone7のイヤフォン端子廃止とレイテンシー問題
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441962008.html

期待のAirPodsはなんと12月まで販売がずれ込むことになりました。12月にちょっとAirPodsの考察を書いています。
AirPodsの左右通信方式について考える
http://vaiopocket.seesaa.net/article/445197092.html


またこのとき標準添付された3.5mmヘッドフォンアダプタについては、おまけにしてはなかなか良かったので記事にしてみました。
Apple純正3.5mmヘッドフォンアダプタの実力とは
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442816731.html


PCオーディオ関連ではMicrosoftがようやくUSB Audio class 2.0のサポートを表明しました。これはマイクロソフトの開発フォーラムをずっとウォッチしていて見つけました。AndroidのUSB標準ドライバー対応のときもそういう感じで見つけました。やはり開発フォーラムが一番の情報源です。
いよいよWindowsにUSBクラス2ドライバーが導入されるか?
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441536245.html
Microsoftが正式にWindows10のUSBオーディオクラス2.0サポートを認めました
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441555955.html


またAndroidでも新しいOSが出たのですが、相変わらずオーディオ機能はまじめに使えないように思います。
Android 7.0とUSBオーディオクラスドライバ
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441662286.html


製品ではNobleのKatanaユニバーサルをレビューしましたが、Katanaはリファレンスの新基準となりえると思いますが、またのちのK10encoreも考えると独自発注BAというものにちょっと興味をひかれるきっかけともなりました。
Noble Audioの新フラッグシップ、Katanaレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441829630.html

またKatanaをさまざまなWagnusさんとの交換ケーブルとも組み合わせたリケーブル記事を書いています。
究極のKatanaを求めて。Wagnusの交換ケーブルレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442816560.html


また64 AudioではあらたにADELからAPEXを採用しました。
64 Audioの新しいAPEXモジュール試聴
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441691244.html

ちなみにADELはEmpire Audioと組むことになりました。

東京インターナショナルオーディオショウではRoonReadyの国内対応も興味ありましたが、LINNのKatalystに注目しました。私はLPサイズ黒箱のLINNユーザーでもあるんで、ここでかつてのNumerikに思いをはせましたが、マランツのディスクリートDAC採用なんかと考え合わせるとLINNにとって使いなれたバーブラウンからAKMへの変更という意味合いが大きく、AKM/ESSの新型DACチップ寡占時代の象徴だったかもしれません。
東京インターナショナル・オーディオショウ2016に思うこと
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442490098.html


* 10月から11月、12月

10月になると恒例の秋のヘッドフォン祭です。たくさんのイヤフォン製品とともに新型Walkmanなんかも話題でした。私はJH AudioMichellとDita Dreamのプレゼンをしました。
ヘッドフォン祭 2016秋レポート
http://vaiopocket.seesaa.net/article/443121774.html


またこれにつれて製品紹介が多彩なラインナップとなります。やはり春と秋は新製品が多いですね。
Westoneからは待望のフラッグシップW80が登場しました。コンパクトでハイエンドの音、あいかわらず感心しますがこれについての設計者カール・カートライトへのインタビューはのちに12月に実現します。
待望のWestoneの新フラッグシップ、W80レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442751991.html

チタン製カスタム FitEar TITANも話題となりました。金属ならではの質感もよいですが、Airとは音も違います。
チタンカスタム、FitEar TITANレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/444061317.html

Oppo HA2SEもイヤフォン端子のないiPhone7にお勧めと言えるでしょう。スマホ使いによく考えられて設計されてます。
スマートフォンに最適のDAC内蔵ポータブルアンプ、OPPO HA2SE
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442875600.html

Campfireからは流体金属を使って第二世代ラインナップのようなNova、Dorado、LyraIIをレビューしています。やはりCampfireのラインナップは個性的なのであえて一記事にまとめて比較して個性を見てみました。
Campfire Audioの新ラインナップ発売、VEGA、DORADO、LYRAIIレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/443578161.html

Michelleはちょっと遅れてレビューしています。これは最強の普段使いイヤフォンみたいな感じですね。
JH AudioとAstell & Kernコラボの新作、Michelleレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/444304450.html


またひさしぶりにiPhoneの高音質再生アプリの記事も書きました。
iPhone 7とApple 3.5mmアダプタに手軽にHiby + Michelleなんかも良いですよ。
高音質再生アプリ、HibyMusic Player iOS版
http://vaiopocket.seesaa.net/article/444835070.html


12月はいよいよというか、待望のカールとクリスのカートライト兄弟のインタビューができました。
これによって、イヤモニ黎明期の流れがかなり分かるようになりましたのでその記事をかきましたが、こちらは新年の記事となる予定です。

このほか、音楽関係の一年の出来事では私的に今年はキースエマーソンとグレッグレイクの逝去がかなりショッキングなことでした。でもかれらの名曲・名演はずっと残っていくことでしょう。
ピアノ協奏曲第一番 - キースエマーソン
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434862977.html
Still You Turn Me On - グレッグレイク
http://vaiopocket.seesaa.net/article/444723291.html



今年はRoonからはじまって、ラズベリーパイの応用、そして完全ワイヤレスが私的トレンドでしたでしょうか。Roonはロンチから半年以上遅れて興味を持ったのでフォーラムを読みあさって知識をつけて記事を書きました。当時はKB(Knowledge Base)もなかったので大変でした。
一方で完全ワイヤレスはイヤフォン端子がなくなるというiPhone7にあわせて計画的に少しずつ立ち上げてったのが上の流れでもわかると思います。
また新製品もかなりたくさん登場しました。MQAはいぜん様子見というところ。

来年はというと、
かつてiPodと標準イヤフォンから高性能ヘッドフォンがほしくなる人がたくさんいたように、来年はiPhoneとAirPodsから他の完全ワイヤレスも欲しくなっていくひとも多くなることでしょう。
来年のPCオーディオ系ではRoonの今後というところで、RavennaなんかのAOIPネットワークDACとの関係がちょっと注目している点です。
またAKM/ESSの新DACチップ寡占時代ということを考えると、その動きがポータブルにどう影響するかとか、あるいはだんだん見え始めたディスクリートDACの動き、海外では特にマルチビットDACが増えるかどうかにも注目があるかもしれません。「DSDネイティブ再生」の次に来るのが「PCMネイティブ再生」であるところのマルチビットDACだと面白いんではないでしょうか。

さて、来年も当ブログをよろしくお願いします。
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2016年12月04日

紅葉 2016

昨年は紅葉が不作でしたが、今年は見違えるように素晴らしい紅葉が楽しめました。
紅葉の良くなる要素は秋の日照時間と急に冷え込むことですが、今年は日照がいまひとつだったものの、急に冷え込んだことで美しい紅葉が得られたようです。
写真は先週と今週に本土寺(千葉)と平林寺(埼玉)で撮ったものです。

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カメラは広角がSigma dp0、寄ったものはKissX4/EFS17-55/2.8です。

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Sigma dp0
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2016年01月01日

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

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上高地にて、群れの川渡りを見守るボス猿
posted by ささき at 08:38 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月06日

アメリカでの休日

少し前になりますが、長期休暇を取ってアメリカ旅行に行きました。前に住んでいたロサンゼルスから思い出の南西部の荒野を回って車を借りて1900マイルを走破するという旅でした。
馬に乗ったり、飛行機に乗ったり楽しんできましたが、写真を撮るのもまた欠かせません。今回は最新の高性能カメラ、Sigma dp0を持ってアメリカの大自然を撮影すると言うのも大きな目的でした。dp0は21mm超広角のフォビオン素子を採用した一体型のデジタルカメラです。またdp0のサポートとして旅用の軽量一眼レフと最強APSレンズの組み合わせとして、KissX4+EFS17-55/2.8も持っていきました。以下に撮ってきた写真をいくつかお目にかけたいと思います。

SDIM8078[2].jpg  SDIM8197[1].jpg  SDIM8165[1].jpg
グランドキャニオン: Sigma dp0

グランドキャニオンの古い格言で「朝と夕以外はフィルムの無駄」というのがありますので朝の早起きは欠かせません。暗がりをドライブすると鹿が飛び出すので注意しながらポイントに向かうと素晴らしい光景が迎えてくれます。
最左はデザートビューというポイントですが、手前のウォッチタワーの質感とか、はるか遠くのかすんでいる部分のち密な描写などdp0の画質には脱帽します。

SDIM8142[1].jpg  SDIM8103[1].jpg
グランドキャニオン: Sigma dp0

昼間でももちろん絵になるところではありますので、クルマやバスや自転車でポイントを探して駆け回ります。

SDIM8014[1].jpg  SDIM8011[1].jpg  SDIM8010[1].jpg
アンテロープキャニオン: Sigma dp0

今回の写真の目玉はここです。ここは以前アメリカに住んでいてこの辺を回ったときには知らなかったので、今回は最新カメラを携えての挑戦です。
アンテロープキャニオンは洪水による浸食でこのユニークな地形が形成されます。ここはガイド付きでのみ入ることができます。
暗いのでdp0の開放F4ではぎりぎりです。できれば三脚使いたかったのですが、許可が必要なのです(後述)。

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モニュメントバレー: Sigma dp0

ここはナバホの聖地であり、自治管理地域です。今回はThe View Hotelという素晴らしいロケーションのホテルに泊まることができました。ここはモニュメントバレーのアイコンと言うべき3つのビュート(岩山)の目前にあり、部屋に居ながらにテラスでコーヒー片手にビュートに昇る朝日を楽しむことができます。

IMG_7866[1].jpg IMG_7868[1].jpg IMG_7871[1].jpg
モニュメントバレー: Kiss X4, EFS 18-55/2.8

ここではうれしいサプライズがあったんですが、日の出を待っていたら飛行機の音が聞こえてきて、有名な3つのビュートの上でアクロバット飛行をはじめたことです。これは後で聴いたら前に私も日本で見たところのレッドブルエアレースのラスベガス大会のCM撮影だったとか。
思わぬハプニングに喜んでしまいました。このホテル自体がすごく予約が取りづらいので仮にスケジュールを知っていても撮れませんから。。

IMG_0133[1].jpg IMG_0154[1].jpg IMG_0233[1].jpg IMG_0202[1].jpg
モニュメントバレー: DSC880DW

ここでは念願の外乗(野外騎乗)をしました。馬はマスタング(野生馬)です。はじめはビュートの近くを散歩するくらいかと思ってたんですが、乗馬の経験者だと伝えるとロングコースに連れてってやるということで岩山のただなかへと。。
ナバホ族のガイドを先導に道なき道をたどり、はるかな平原を見て、眼前にビュートを見上げるとは思ってもなく感動でした。

IMG_8977[1].jpg IMG_2960[1].jpg IMG_0006[1]2.jpg
ロサンゼルス上空: CANON s95

ロサンゼルスでは以前セスナの練習をしていたトーランス空港で、また操縦かんを握らせてもらいました。かなりブランクがありますが、意外と覚えていて着陸のアプローチ角度なんかもわりと正確に覚えてました。また取り組みたくなったかも。
見えているのはサウスベイというロサンゼルス南部地域の半島です。この海と空のはざまを飛べるのがここの魅力です。

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ロサンゼルス南部: DSC880DW

飛行機に乗った次の日には近くの乗馬施設で今度はロサンゼルスを馬で見降ろします。ガイドが指さしているのが上のトーランス飛行場で、そのちょっと向こうに前に住んでたアパートがあります。
かなたに広がるのがロサンゼルス市外です。TVなどではロサンゼルスの全景はよくグリフィス天文台から撮った写真が使われるのですが、その反対側から見ていることになります。

IMG_8474[1].jpg  IMG_8467[1].jpg  IMG_8529[1].jpg
キングマン: Kiss X4, EFS-18-55/2.8

今回は1900マイルも旅しましたが、途中でルート66の中継点で知られるキングマンにも寄りました。アメリカをドライブで旅するとやはり撮りたくなる光景です。
カメラはKissX4+EFS17-55/2.8です。ちなみに空はPLを使って落としています。

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セドナ: Sigma dp0

今回はまたセドナに寄れたことも収穫の一つです。ここもネイティブアメリカンの聖地として、またアメリカ有数のパワースポットとしてさまざまなカルチャーの中心となっています。緑豊かでもあり、赤い岩山もあり不思議なところでしたが、今回はちょっとだけ立ち寄ったので次回はゆっくりとしたいものです。

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なかなか濃い旅ではありましたが、反省点もあります。
たとえばアンテロープキャニオンはガイドが必要なのですが、ネットで調べると大手しかかかりませんので大手バスツアーみたいになってしまいます。それより実際に地元のPageの街に行くとよりたくさんのガイドがいることが分かります。なかにはもっと写真撮影に特化したものもあります。そこを選んでいたら、暗いキャニオン内での三脚使用も許可され、ピーミングと呼ばれる天井から光が差すところも撮れたかも、と残念なところもあります。
今回はたっぷりと現地資料を持ち帰ったのでまたの機会に向けて研究ですね。
posted by ささき at 22:07 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月19日

ヘッドフォンブック2015に執筆しました

本日ヘッドフォンブック2015が発売されました。私もいくつかの記事を書いています。
まずP28のヘッドフォンアワードです。そしてカスタムvsユニバーサルとして、P158からカスタムとユニバーサルに関する比較研究のような記事を総論とロクサーヌ(カスタムとユニバーサル)、フィットイヤー(MH334とToGo334)、WestoneのW60とES60についてそれぞれ考え方の違いなどを書いています。
レイラとアンジーでは昨年末にジェリーが来日した時にしたインタビューとレビュー記事をP131から書いています。
P186ではオーディオクエストのNightHawkも書いてます。ほかにレビューも数点書いています。

雑誌には話題のヘッドフォン向け音源のHPLが聴き比べできるデモ音源付録もついていますのでぜひご購入ください!



posted by ささき at 23:05 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月08日

Joe Grado氏 逝去

Gradoラボの設立者にして、MCカートリッジの発明者。オーディオの殿堂入りを果たしたJoseph Grado氏が逝去されたということです。
http://www.stereophile.com/content/joe-grado-1925%C2%961915

ヘッドフォンの世界ではHP-1000の開発で知られています。私も本格的な記事の第一号にはHP-2の研究を選びました。下記リンクです。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/1769139-1.html
10年ほど前になりますが、HeadFiの世界を知って、HD650だのRS-1だのありましたが、じゃあとにかくなにが一番のヘッドフォンなんだ、と探して行った究極の一つがこのJoe GradoのHP-1000でした。まさにJoe Gradoらしい極めの製品です。自分にとってもこの魅力あるヘッドフォン世界の膨大な知識の中から、まず頂上を見てやろうという野心あふれた頃でした。感慨深いです。

オーディオ界の巨人のご冥福をお祈りします。

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posted by ささき at 18:05 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月01日

2014年12月29日

Music To Go的に2014年を振り返る

今年も様々なことがありましたが、私的な2014オーディオ振り返り記事です。それぞれうちの記事の関連リンクを張っておきましたのでさらに知りたい場合はリンクをクリックしてください。

今年はなんといってもポータブルオーディオの年でした。
年明けからAstell&kernの新フラッグシップであるAK240、ハイエンドメーカーが本気で作ったポータブルのCHORD Hugoの発表とつづき、クラウドデザインでユーザー意見を取り入れたiFI Audio iDSD Micro、据え置きだけどポータブルユーザーからも支持されたAurender FLOW、そしてナグラの血を引くPAW Goldと、粒ぞろいの大物ばかりでした。年初の大雪のポタ妍は伝説になりましたが、まさに危険を顧みずに会場にいっぱいになったポータブルユーザーの熱さがずっと続いて、一般にも波及していったという感じでした。
また今年はイヤフォンの年でした。WestoneはW60とかES60とか当たり年だったし、JH Audioもロクサーヌから始まってレイラ・アンジーの発表に終わり、Nobleも国内導入を果たし、須山さんのところもFitear fitearとか彩など新製品を投入しました。ビクターのウッドもFX1100でハイエンドイヤフォンへの参入をはじめました。
ただ来年はOppo PM-3とかAudioQuest Nighthawkなど、期待のヘッドフォンが見えているのでヘッドフォン話題もまた増えるかもしれません。
ポータブルでは国産メーカーの勢いと追い上げも加速しました。デノンのDA10をはじめとするポータブルアンプもたくさん発売されましたし、SONY系の国産カスタムJust Earも話題となりました。海外メーカーがトレンドを作ってきた分野ですが、これからは国産もそうした点でも期待したいところです。

私は10年もこの分野におりますが、おそらく今年が一番ポータブルの進化が飛躍的だったと思います。性能の向上、価格レンジの拡大もありますが、おそらく今年がひとつのターニングポイントになるのは、ポータブルがオーディオのトレンドリーダーになったということではないかと思います。
AK240は性能だけではなく、ワイヤレスネットワークでのDSD・ハイレゾのオーディオ再生システムを提案しました。このときには同等なシステムはPCオーディオでもありませんでした。またCHORD Hugoも演算性能ではQBD76をしのいでCHORDのそうそうたるラインナップのなかでもトップの位置を占めています。今年は11.2MHzのDSDネイティブ再生も話題となりましたが、ototoyなどでも取り上げられて11.2MHz再生のリーダーとなったのはiDSD microでした。
いままでオーディオ分野ではPCオーディオが最新技術を取り入れるトレンドリーダーでしたが、ポータブルがそれにとってかわった感じです。いままでポータブルはいわば「お下がり・お古」をもらってきたわけですが、それがかわりつつあるということです。ネットワークに関しても近々登場するCelsus Companion Oneのように手のひらでネットワークオーディオシステムが作れるようになりつつあります。しかもWiFiでネットワークを完結させています。

おそらく2015年はPCオーディオにできて、ポータブルオーディオにできないことはなくなるでしょう。需要が進歩を促すわけで、需要あるところが一番伸びるわけですがそれはここでも例外ではないと思います。
また、Hugoがポータブルユーザーだけではなく、従来オーディオユーザーからも支持されているようにオーディオ機器のあり方が変わってきているようにも思えます。おそらくいままで20万から30万のプリメインアンプやスピーカーのあったポジションに、20万から30万のカスタムIEMやデジタルプレーヤーがはいるということで、ポータブル製品の価格レンジの拡大は阻害要因となるというよりも、むしろ世代替わりを象徴しているようにも思えます。


一方で不透明感があるのはPCオーディオの分野です。いままではアシンクロナス、クラス2、DSDネイティヴと進展してきた技術トレンドの次があまり見えません。ハイレゾってこの分野では昔からある言葉であたらしい技術トレンドではありません(マーケットタームとしてのハイレゾは後で書きます)。しかしPCオーディオはどこへ向かうのか、と考えると少し違和感があります。実は見えている分野もあるからです。それは海外ではすでに「この次の技術トレンド」は高音質ストリーミングに向かうだろうと考えられるからです。
たとえば海外における配信からストリーミングへの流れは、オーディオの世界では高音質に向けてTidalやQobuzのようなロスレスストリーミングを生みました。音質とサイズの両立を図ったMeridianのMQAもその流れの中にあり、すでに英国のストリーミングプロバイダーである7digitalがMQAをサポートする旨を表明しています。MQA vs ロスレスストリーミングも来年にかけての話題となるでしょう。
もうひとつの注目点はソフトウエアの変化です。今年はオーディオ向けの高音質再生ソフトでは待望のAudirvana2.0なども出ましたが、注目すべきはAmarra SQだと思います。下記にJohn Drakoのなかなか良い記事を紹介します。
http://www.digitalaudioreview.net/2014/06/improving-the-sound-quality-of-qobuz-spotify-and-pandora/
これが示すのは、ストリーミング時代には再生ソフトのありかたが変わるのではないか、という点です。つまりソフトウエアによる音質向上の焦点は単体のアプリケーションソフトからバーチャルデバイスに移るのではないかということです。

こうした新しい変化が見えないのは日本だから、です。ストリーミングの是非はありますが、それを語る前に日本の音楽リスニングのメインはいまだにCDです。
今年ちょっとショックだったのはTidalがリリースされた日のことです。いつものように海外のニュースをチェックしていると、海外はどこのサイトもTidalのリリースのニュース一色なのに、日本はすぽっと取り残されたように感じたからです。よく重大ニュースが起こった時に民法各社・NHKが全局速報番組をくむのに対して、東京12chがマイペースで映画やってたりするのを揶揄されたりしますが、ああいう感じですね。
2014年の話題はと言えばこうして日本と海外のかい離が起こり始めているという点かなと思います。いままで日本のPCオーディオではアシンクロナス・USBクラス2(Ayreなどゴードン系)、DSDネイティヴ(Playback DesignsとかdCS)、ネットワーク再生(LINN)とやはり海外トレンドを追ってきた経緯がありますので、ここから先は日本独自の方向性が問われるのかもしれません。。

またPCオーディオでは積み残しの課題として、AndroidのUSBオーディオクラスドライバーの実装問題と、WindowsでのUSBオーディオクラス2ドライバーの採用がありました。Androidについては、5.0 Lollipopでついに実装がなされましたが、48k問題とかいまひとつよくわからない実装となっています。ここは様子見ですね。
WindowsについてはWindows 10にむけて有志がマイクロソフトのページで懇願しています。私も投票しましたが、ここはマイクロソフトの開発者も見ていますので、興味のある方はぜひ一票を入れてください。


また今年は「ハイレゾ」がブームとなりました。ブームと言ったのは、そもそもハイレゾ対応はいまに出てきたことではありませんが、各社キャンペーンもありこの一年で急にオーディオ周辺も含めたキーワードとなったからです。言い換えると、ハイレゾというのは技術的にはもはやキーワードにならないけど、マーケットタームとしてキーワードになっているということです。そのためいささか不鮮明さを残して進んでいるように思えます。
たとえば「ハイレゾロゴ」問題です。何回かこれについて書きましたが、まず規格というには40kHzとだけあっても、ここで何dB落ちているかを書かないと規格をクリアするための基準となりません。音茶楽では-10dB@40kHzのように明記していますが、これならば技術的な基準と言えるでしょう。
問題がある例を挙げると、ヘッドフォン・イヤフォンの分野ではBAの扱いです。BAは補聴器ベースの技術ですからいいところ16kHz上限であったものをJH Audioではデュアルで20kHzに引き上げ、ロクサーヌではクアッドで23kHzにさらに引き上げたというところに技術的な素晴らしさを感じるわけですが、かたやハイレゾロゴのためにBAでもカタログにあっさりと40kHzと記される機種があったとしたら不公平感が出ないだろうかという危惧があります。
またサンプルレートの方は40kHzと数値が書いてあるのに、なぜかビット数の方の24bitは考慮がなされていないというのも不思議な話です。かたや44/24をハイレゾとしてみなしているにもかかわらず、です。矛盾の故事ではありませんが、「ハイレゾ対応」のヘッドフォンやスピーカーで44/16と44/24の「ハイレゾの音質の差」がわかるのか、という基準はどうなのでしょうか。
企業秘密と聴覚判断があるのでメーカーに任せるというのは否定するわけではありません。メーカーが判断してハイレゾを聴くのに有意だと考えたモデルがあるなら、それを購入者に勧めるのはけっこうなことだと思います。選ぶ方もわかりやすいですしね。
ただしそれならば、40kHzという規格にならない規格ではなくメーカーの判断と責任でハイレゾロゴモデルを推奨するということだけで良いと思います。かえって中途半端な「40kHz基準」があるのは不透明感と不公平感を生んでしまうように思えます。

また、購入者がハイレゾロゴが付いてればいいのね、って思わないようにするメディアの書き方があると思うし、そこは気をつけていかねばならないと思います。私はCDよりハイレゾ音源を買うし、日本の市場が物理メディア離れできるチャンスだと思うので、ハイレゾ「ブーム」を否定しているつもりはありませんが、手放しにはできない面はあるということです。
このクリスマスにLINNレコーズがスタジオマスターの4GBもの無料配信をしました。1/6までなのでぜひダウンロードをお勧めします(一括DLできるのでDay24を選択してください)が、音楽の内容自体がまず良いと思いました。ハイレゾ音源って初期のころのスタジオマスター配信のLINNレコーズが音楽性と録音のどちらも良く、単に商業主義に陥らない方向にうまくハイレゾ配信をもって行けたという功績が大きいとも再認識しました。ブームの時だからこそ、そうした初心に立ち返る必要があるように思えます。


再認識と言えば、オーディオが世の中のトレンドとシンクロしているということも再認識した一年でした。
たとえばクラウドファンディングです。長くうわさされてきたニールヤングのPONOはKickstarterでデビューして成功を収めました。LH Labsはさまざまなキャンペーンを行い、超高いDACとケーブルを作ってるよくわからないメーカーと言うイメージから脱却したと思います。他にもAurisonics Rockets、マイケルのとこのi5、PS AudioのSprout、1964ADEL、失敗したけどFoobar2kモバイル、新興EarWerkzなどKickstarterとIndieGoGoなどで採用例は拡大をしています。
また話題のトレンド3Dプリンターもヘッドフォン、イヤフォンとも採用が進んでいますね。
結局オーディオは趣味の世界と言っても世の中の流れとは無縁ではいられないし、うまく利用した方がよりよい結果が得られると思います。


まあ、そうした世の中の流れをつらつらと書いてきて今年で10年にもなりました。うちのブログも10周年を迎えることができて、みていただいてきた皆様には御礼申し上げます。
今年特番として4/1にはこんな話を書いていました。ちなみにちょうど10年前にはカメラページで4/1にこんな話も書いてましたが、冬休みのお暇にでもご覧ください。(この年はロバートキャパ没後50年でした)

さて、来年はどうなるのか、楽しみなところです。ちなみに過去の振り返り記事はこちらですので本記事と合わせてご覧ください。
2013年振り返り記事はこちら
2012年振り返り記事はこちら
2011年振り返り記事はこちら
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2014年11月02日

機材と文化、カメラとオーディオ

11/1はライカの父であるオスカーパルナックの誕生日でした。また今年はパルナックがライカの原型となるウル・ライカの発明から100周年となります。つまりいまほとんどの人が使っているようなカメラが生まれてから100年となります。
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本日のライカ公式Facebookから

もちろんライカの前からカメラはありましたが、ライカが画期的だったのはいままで大型で持ち運びが難しく三脚に据えて撮るという常識を、手に持てるようなポータブルなものにしたことです。これはカメラに撮る自由をもたらして写真文化を大きく変革しました。
そうした意味ではオーディオでいえば初代Walkmanに似ているかもしれません。Walkmanから外で音楽を聴くことが一般的なものとなり、音楽を聴くかたちを変革していきました(ちなみに3.5mmステレオミニプラグは初代Walkmanがはじまりです)。

そしてもうひとつライカには重要なポイントがあります。ライカの小型化をもたらしたのは、フィルムを映画の2コマ分を一コマとしたいわゆるライカ版(36x24 - デジカメでいうフルサイズ)と定めて小型化したことです。いままでの大型カメラのフィルム(あるいは乾板)ならそのまま印画紙サイズで鑑賞できたものを、小さくしたので引き伸ばしが必要となります。このためライカの発売とともに引き伸ばし機も標準で用意されています。つまりライカというのは実はカメラの小型化だけではなく引き伸ばし機と一体のシステムだったわけです。
そしてこの縮小・引き伸ばしというプロセスがライカの隆盛で写真の世界で当たり前になったのですが、縮小したことによる画質の劣化は避けられません。つまりこれは言い換えるとライカは利便性と引き換えに画質が落ちることを人々に納得させた、ということも言えます。
そういう意味ではオーディオでいえばよりiPodに近いのかもしれない、とふと思いました。あるものが革新的というのは、それが人々のコンセンサスを変えうる、ということなのかもしれません。
posted by ささき at 09:41 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月18日

三島の流鏑馬2014

週末は恒例となっている三島大社の例大祭で執り行われる武田流の流鏑馬を撮りに行ってきました。当日は見事に晴れ上がって良いコンディションで撮れました。
三島は水がきれいな街で街中の清流もきれいです。カモは暑さかほぼ橋の下で休みのようでした。ついてみるとまだ早く、大社では若手の方々が練習騎乗してました。

馬場は大社の境内に作られた240mの直線で、ここを15-20秒で駆け抜けます。だいたい平均で時速60km弱ですから、トップスピードはもっと速いでしょう。馬としてはもっとも早い襲歩というギアにはいっています。走路には3つの的があり、私は三の的のところに居ました。
始めの競技は神事として行いこの時は帽子の上に鬼の面を載せます。これを二組6騎ずつで二走し、優秀者は競射として決勝戦を行いますが、これは神事ではなく鬼の面を取ります。
今回もカメラはEOS-1D Mk3とEF70-200/2.8L IS,EF16-35/2.8Lを使用しています。アップではテレコンを付けてさらに倍してだいたい500mm近い望遠で一瞬を切り取ります。

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今回は流し撮りがうまく出来たので良かったんですが、これは秀月という飛び抜けて速い馬を狙ってます。ただこの日は天山もすごいスピードで観客を大いに沸かし、駿馬交代も近いかもしれません。
また話題としては当三島大社の波多野射手(はじめの黄色装束の射手)が復帰されて堂々と貫頭(はじめの射手)を務められたのも特筆事項です。


さて、流鏑馬が終わったら今度はウナギ!
三島はウナギでも有名です。三島大社を後にして、いつも行く本町すみの坊へと参ります。しかし今年はウナギが安いと聞いてましたが..残念。マグロに続いてウナギも遠くなっていきます。。でも味は良くって、ふっくらとして旨味もたっぷり。

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次はもちろん温泉です。ここまで来たらやはり熱海。湯河原もいいんですが、温泉街が駅から遠くにあります。熱海も駅からメインの温泉街は遠いんですが、駅前にいい温泉があります。その名も駅前温泉。温泉地によくある地元民の共同温泉です。

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ここは地元の公共浴場のパターンで74度の高温泉から何度くらい低下してるか、かなりの熱湯が容赦なくドボドボと浴槽に注ぎ込まれ、初めはかなり熱く、周りで入ってる人と我慢比べの様相を呈してきますが、やがて一人が「水入れて良いですか?」と聴いてくると内心ホットしながらニッコリ「良いですよ^^」と言う駆け引きが繰り広げられるわけです 笑
とてもゆっくり入れない短期決戦型の温泉ですが泉質は素晴らしく良く、来る時の披露は取れ、すっかり体が軽くなります。ここは穴場でお勧め。

次の武田流の流鏑馬は9/19に寒川神社で行われます。
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2014年08月10日

セグウェイ、つくばロボット実験区を行く

週末はやや雨のぱらつく中をつくば市のロボット実験区間で試験的に公道走行が許されるツアーに参加しました。これは三ヶ月待ちくらいの人気ツアーです。
http://www.ttca.jp/segway/

ここのセグウェイは日本で唯一公道の走行が許可されているので、ナンバープレート(地方自治体許可)がついています。最近セグウェイに興味を持った身としてはいつも林道では快適なセグウェイが、公道ではスイッチオフして引いて渡るという点に疑問を持っていたわけです。

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はじめにみっちりと講習があり、みなが十分に操れるようになってから公道に出ていきます。
いつもは一部でも公道があるといったんスタンバイにして手で引いて渡るんですが、今日は人の通る歩道や街なかを堂々と通ります。なんとも新鮮な感覚です。特に横断歩道の通行はついこの6月に許可されたばかりだということです。

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セグウェイはブレーキがないから公道は走れないとは言われますが、実のところ乗ってみると物理的なブレーキがなくてもセグウェイは安全に止まれます。むしろ低速で不安定になる自転車よりも安全に走行できると思います。とはいえこれは乗ってみるとわかることであり、まだまだ一般からは「なんだかわからないもの=危ない」として敬遠されるのはある意味致し方ないところです。
横断歩道では上の写真のように自転車に準じてわたりますが、これはセグウェイが軽車両とみなされたからでしょうね。セグウェイが「なんだかわからないもの」から軽車両に準ずるとみなされたのは大きな進歩だと思います。

またツアーの中ではかつての科学博の会場案内などとともにつくばの先進的な人と車を分ける街づくりもよくわかりました。セグウェイは森の中のツアーで静止して花をよく眺められるように、街をもよく理解することができます。

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一部の市職員が実践してるというモバイルシェア・セグウェイ通勤の車庫(上の透明のボックス)なんかもあり、興味深いものでした。つくばのような先進的な取り組みがひろまってほしいところです。
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2014年08月04日

乗馬とセグウェイの夏休み

夏休みを取って山梨から長野へと旅に出て乗馬とセグウェイ、その他いろいろと過ごしてきました。

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先週は八ヶ岳のふもと清里から浅間山を望む佐久に抜ける高原のはしご旅行をしてきました。乗馬においてのメインは佐久のスエトシ牧場でのファームステイです。
http://www.bokujo.co.jp/
これは乗馬をやりながら、牧場の厩務(きゅうむ)も体験するというものです。スエトシ牧場は佐久の郊外の山を登ったところにある牧場で、馬の養老飼育や動物のTV出演貸出なども行っています。オーナーは動物好きな人のようで実際に行ってみると、もう動物園かというようないろんな動物があちこちにあふれています。馬だけではなくラマやヤギがいますし、ふと見るとクラブハウスの床には陸ガメが這っていたりします。ラマなんかはTV出演する子のようです。

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左上の仔馬のほうは生後ひと月くらいです。ここの動物はよく人になつきますが、やはり仔馬は警戒心が強いのか容易によらせてくれません。
ここでは主に外乗(野外騎乗)ということで馬場から外に出て山の中を歩き回っています。今回は馬歴30年なんと流鏑馬師範という方とご一緒させてもらい、いろいろと勉強にもなりました。3人写真の一番右は牧場のガイドの方で先導をしてくれます。真ん中がワタシです。

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コースのひとつは牧場から気持ちの良い林道を延々と下山していき、下につくとそこから舗装道路を一気に牧場まで駈歩(駆け足)で駆け上がっていくというようにダイナミックなものです。馬は軽車両として公道を走れます。サラブレッドだと足が弱く蹄鉄を履いているので舗装路は走れませんが、ここは中間種の足の強い馬で蹄鉄もないので、舗装路でもすごいスピードで走ります。乗った馬のアシュラ君もダイナミックな大きな動きで走りについていくのがやっとなくらい。これは爽快極まりないですね。
別なコースでは林道で走りながらバシバシ木の枝当たるんで終わったら口の中に草がはいってました。。

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そして走った後と前に馬屋仕事を行います。主にエサやりと馬の手入れを少し担当させてもらいました。我々はいいところ朝7時からですが、実際はスタッフの人は5時から働いています。
エサは普通は配合された餌とか藁ですが、別にニンジンが添えられていた馬がいました。この馬は昔は競走馬だったようでそのときのファンの人が差し入れに来てくれたそうです。競争馬は生産動物として冷淡にいわれることもありますし事実そうした面もあると思いますが、こうして引退してもまだなお慕われている馬がいるということには感じ入ります。

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よく知られている馬は競走馬のサラブレッドですが、私はより小さめの馬が好きで中間種とか日本古来種も好きです。そうした馬は足腰が強く、性格も温和なことが多いですね。
冒頭の写真は一週ほど前に行ってきた富士のふもとの紅陽台木曽馬牧場での藤風という馬で、NHKの大河ドラマ天地人で阿部寛さんが乗った馬です。


今回は佐久に行く前にいつもの清里にも寄ってきました。
下は清里の風景ですが、前回行ったときはまだ雪も残ったいたのですが、すっかり夏の装いをまとっていました。

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清里で乗馬以外でいつもお世話になっているのは下リンクの「八ヶ岳アウトドア・アクティヴィティーズ」さんです。ここは登山ガイドのベテラン二人を中心にしてさまざまなアウトドアスポーツを身近に体験させてくれます。
http://www.y-outdoor.com/
そのひとつがセグウェイで、豊かな清里の自然の中に入っていける乗り物として好適です。
夏の特別コースのまきば公園コースでは牛との接近遭遇があり、高低差のあるコースでセグウェイの挙動を楽しめます。セグウェイの面白さは自動的に姿勢を制御することで、下りの時には速度が出すぎないように後傾になるように姿勢制御されるのがわかります。

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一般的なコースでは清里付近の農村風景の中をセグウェイで走り、木々の中でお茶をします。またこのほかに30分の体験コースもあります。

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また八ヶ岳アウトドア・アクティヴィティーズさんでは山カヤック体験もできます。カヤックは一人または二人乗りではじめてやってみるとなかなかまっすぐ進みませんね。ただ千数百メートルの山の中でやるカヤックは涼しく足がひんやりします。水面がまじかに感じられ気持ちの良いものですし、後ろを振り返るとすぐに八ヶ岳がそびえているのは圧巻ですね。

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清里でのハイライトは「清里フィールドバレエ」です。特にバレエに関心があるわけではありませんが、ここ数年清里に来ていると、いつも夏にやってるこのイベントが見たかったのです。
清里フィールドバレエは野外で夜間に行われるバレエです。清里の木々がライトアップされて舞台装置になるわけです。
でも、、実際に見て清里で行われる真の理由が分かったような気がします。はじめの挨拶と解説ナレーションまではライトが夜でも会場を明るく照らしていますが、開演のためにライトがいっせいに消えて会場が暗くなった瞬間、観客がどよめきます。なぜかというとその瞬間に舞台の上空に満天の星空がぱっと美しく広がるからです。
清里の漆黒の夜空が星を浮き上がらせ、その星の多さと言ったらプラネタリウムかCGかと思うくらいのきれいさです。清里は近くに野辺山天文台があるくらい星がよく見えますから。
そのまま作品世界に観客は引き込まれ、肝心の舞台「白鳥の湖」も美しく素晴らしいものでした。
*写真はカーテンコールの撮影タイムのものです

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また清里には清泉寮を中心に自然の中を歩くトレッキングのコースがいくつもあり、馬やセグウェイでなく自分のペースで歩く森の中もいいものです。写真もゆっくり撮れますので、カメラを持ち出すのもよいですね(下はRX100M3です)。
清泉寮では有名なソフトクリームを楽しめ、南アルプス・八ヶ岳・秩父山系、また遠くには富士山までに囲まれた抜群の景色を楽しみながらの足湯もできます。

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ちょっと清里から外れますが、暑くなって行きたかったところがここ、ぬる湯のデパート、増富ラジウム温泉郷の増富の湯です。中は37℃、35℃、30℃、25℃に浴槽が分かれていて源泉掛け流しです(ちなみに普通の温泉は42℃前後です)。37℃は普通に入れ、35℃はちょっとぬる目、30℃はけっこうひんやり、25℃は足を入れると水かよと言うレベル。25℃は胸にかからないように寝湯です。
しかし25℃にしばらくつかっていると体温よりずっと低くなり、それが周りの緑と館内の不思議系ヒーリング趣味とあいまって、なにやら現実を超えた宇宙と一体になれるトリップ感が味わえますw
25℃にはいった後だと30℃はあったかいくらい、今度は気持ち良すぎて思わず浴内で寝てしまいます。

ちょっと興味深かったのはラジウム・ラドン温泉など放射能泉も昨今の事情で風評被害が出ているようです。下にあるような風評被害対策のパンフレットなどもありました。まあ気にする人はこんな秘湯的なところまで来ないと思いますが。

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食もいつものロックのベーコン&ファイアドッグカレーを食すと清里に来た気がしますが、今回はさらにビール付きです。ここロックは地ビールでも知られてるんですが、今までは車で来てたんで飲めなかったんです。でも今回の宿は徒歩圏なので飲めるんです。
これは一番人気のプレミアムロックポックで、麦芽をピルスナーの1.4倍使用。味的にはいわゆるハーフ&ハーフ系に似てるかも。コクがあって美味しかったですね。
左はオールドエイジというホテルのレストランですが、ここは英国式ガーデンがとてもきれいでしたね。ランチも美味。

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清里では美術館もよいところが多くあります。
清里フォトミュージアム(K*MoPA)ではフランスのロベールドアノーの写真展を開催中でした。
ドアノーはフランスの子供達とアルプスをローライフレックスで撮った写真家です。あまりアート志向にならずにスナップ感覚で捉えた視点はエリオットアーウイットに近いかもしれません。しかしいまならスマホで撮るスキー場のスナップも当時はローライフレックスで撮ってたんですねえと改めて思いました。
それとここはヤングポートフォリオ・若手写真家の所蔵品が良いんですが、東京の恵比寿の写真美術館でここの所蔵展をするそうです。

http://www.kmopa.com/

そしてもうひとつ書いておきたいことはバブル期から長らく開館してきた清里現代美術館が今年閉館してしまうということです。閉館予定はいまのところ8月末だそうですが変わる可能性があるので確認したほうが良いと思います。私が聞いた時点では所蔵品の行き先はまだ不明のようです。
http://www7.ocn.ne.jp/~kimoca/

ここはコレクションありきで設計されたため、おもに一作家一区画でコレクションから設計を考えています。例えばRoman Opalkaの"65/1-無限"という作品ではひたすら数字を細かく書いて、書いたらそれをひたすら読み上げていくのですが、それを聴く専用の小部屋もあります。
私は音楽分野のジョンケージの展示が充実しているので興味を持ちました。ケージの有名な作品で"4分33秒"という曲は4分33秒の三楽章全てが休止記号で指示されてるので一曲すべて無音です。しかしなにか聞こうとリスナーが耳をそばだてることで録音された会場の環境音、またはオーディオ装置から以外の自分の心拍鼓動なども聞こえ、そのリスナーが聴くこと自体が演奏の本質である、というのが一般的解釈です(ケージは「なんでも音楽として聴けば音楽になる」とも言ってます)。現代美術館自体が少なく現代美術というだけで敬遠される傾向のあるなかで、ケージの曲と同様に能動的に見ること自体が現代美術の一部だとこの美術館では言いたいような気がします。
あまり予備知識なしでも注力して見ているとお腹いっぱいになるように頭いっぱいになる、小さいけど濃い美術館でした。

清里の場合は東京の美術館と違って美術館を出たらコンクリートと騒音で現実に否応なく引き戻されるということがなく、美術館を出ても外は静寂で幻想的な緑に囲まれて、切れ目なく世界に浸れるという良さがあります。

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最近ではNHKドラマの「花子とアン」のオープニングの最後で花子が帽子を拾うシーンが清里でロケされたものです。ここは通称「ヤッホーの丘」というところですが、青少年施設である八ヶ岳自然の家の敷地内ですので見学にはご注意ください。
清里の魅力はこうした高原らしい風景ですね。一時のブームがあってから衰退した観光地というネガティブな印象もあるかもしれませんが、それを知らないで最近来るようになった私には来るたびになにかをチャージしてくれる魅力的な場所です。
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2014年06月26日

Music To Goブログ、本日で10周年を迎えました!

いつもこのブログを購読ありがとうございます。
本日このブログは10周年を迎えました。はじまりは2004年6月26日の「ブログ作成しました」の記事でした。

このブログを始める前は写真のホームページと掲示板を運用していて、その掲示板で独り言的にオーディオネタを書いてました。
2004年になるとブログというものが流行り始めました。そのブログとはどういうものかわからないけど自分でやってみればわかる、ということで、当時買ったSONYのVaio Pocketというデジタルオーディオプレーヤーと、やはり流行り始めていたカナルタイプのイヤフォンを組み合わせて、買っているCDのレビューでも書こうか、と始めたのがこのブログです。そのためURLはいまでもvaiopocketとなっています。
名前の由来ですが、アメリカのマクドナルドなどでハンバーガーを買うと「店内ですか、持ち帰りですか」は"For here or To go"と聞かれます。この場合のTo goは持って外に出るというような意味です。Music To Goというのは「音楽を持って外に出よう!」というような意味でつけました。

その頃のポータブルオーディオと言うと、Etimotic ResearchのER4SやShureのE2cが音の良いイヤフォンとして人気を集めていた時期です。ER4Sなどは「4万円という信じられないような高価格」の神のイヤフォンでした。いま思うと、こうしたプロ用のイヤモニを応用して、一般に知られていたコンシューマー用のイヤフォンとは音質的にも一線を画するという流れが始まった頃ですね。多少高くても良い音を選ぶと言う差別化が始まった頃だったかもしれません。B&OのA8なんかも話題になりました。

当時の記事を読み返すと、このころはコピー禁止CDの終焉でもあり、SONYも著作権保護機能のないMP3をサポートしたりと、リッピングとか携帯プレーヤーがやっと市民権を得たあたりです。アメリカではダウンロード販売が好調になってきたり、さまざまな端境期にあたっていたわけで、その空気を感じていたのかもしれません。

はじめの話題はATRACとか圧縮音源の楽しみ方みたいな普通の携帯プレーヤー関係の話題で始まりました。いまみたいに濃い話題ではありませんが、ちょっと進歩したのは次のようなきっかけです。
あるとき電気店でiPodのアクセサリーをみていたとき、携帯サイズの小さいiPodドックでラインアウト端子がついている物を見つけました。これはもともとはアクティブスピーカーなどにつなぐためだったのでしょう。一方でそのころ、Dr. Headという小型のヘッドホンアンプにも興味を持っていたんですが、DrHeadが電池でも動作するので、これらを組み合わせれば持ち運べるオーディオのシステムができるのではないかとピンとくるものがありました。
そのころは家のスピーカーオーディオもLINNのプリメインとDynaudioの25周年モデルを組み合わせたりと、すこし凝り始めていた時期でもあったので、こうしたオーディオの考え方をポータブルにも適用できるのではないか、と思ったわけです。例えばiPodなど携帯プレーヤーはCDプレーヤーに例えられるはずですし、ラインアウトで出せるならイヤフォン端子と違って信号の純度も高められます。
実際にこうした考えで組み合わせたシステムをEtimoticなど高性能イヤホンと組み合わせると、ポータブルとは思えない良い音です。iPod miniからラインアウトを取り出してDr Headにつなげ、Etimotic ER4で聴いた音は忘れられません。ものすごくよかったですね。
そこでこの考えに自信を持ったので、さらに次のレベルに進もうとしました。しかし、すぐ壁に当たります。オーディオに適するようなより良いポータブルアンプ、より良いドックとケーブルなどが店には見当たらないからです。そんな時期でした。

そこからですが、おそらく私が電子工作する人ならば自作の道を進んだと思いますが、いまでも家に半田ごてすらありませんので、売ってるものでDr Headを超えるアンプを探さねばなりません。当時はエアリーあたりでPorta Cordaも売ってましたが、こういう世界があるならほかにも見つかるんじゃないかと思ってました。
そこで目を付けたのが海外です。私の場合は仕事でアメリカにしばらく住んでいたことがありましたので、こうした海外交渉なら得意だったわけです。

その頃いろいろとネットを探しているとアメリカにはHead-Fiなるところがあって、そこでこういう情報がぎっしり詰まっているらしいと気が付きました。そこで探してみるとたしかにすごいのがあるじゃないですか。デュアルモノでかっこいい金属シャーシに入ったエスアールナナジューイチというやつです。これは名前から飛行機ファンの私にもよいに違いないと、海外通販しました。ほかにもわずか数センチのサイズなのにシールドされたオーディオみたいなごついケーブルなど、まさにHead-Fiには魅惑の世界が広がっていました。
それでSR71が到着して聴いてみると、まずその音質のすごさというほかに、オーディオ的な温かみのあるサウンドの主張がしっかり感じられるので、ポータブルでもオーディオ趣味ができるという確信を持ちました。

HD25もリケーブルとかいうケーブル交換をすると音質はものすごく向上しました。ミニミニケーブルも太い本格オーディオケーブルのミニチュアみたいなのがMoon audioあたりで売っていて、それもやはり音質を高めてくれます。こうしてだんだんとHeadFi世界を中心としたオーディオ世界にはまっていったというわけです。それが2005年の中頃くらいにかけてです。
自作派なら自分で作ってそれで世界が閉じてしまったのかもしれませんが、わたしの場合はそうではなかったのでかえって多くの人の参考にできたかのかもしれません。

そうして深みにはまっていき、ブログ開始をして一年くらいで2005年の夏には当時の研究の総決算として下記のGRADO HP-1000(HP-2)の記事を書いたりしました。写真には当時使っていたオーディオアナログ社のCDプレーヤーも写ってますね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/5528936.html
上の記事を見てもらうとわかりますが、もういまと書いていることはいっしょです。というか、そのころからはいまにいたるまでほとんど変わってません。10年間もおんなじようなことを書き続けています。

一方でソニーやティアック、ビクターなどがポータブルヘッドフォンアンプを作るなんて、当時だれが考えたでしょうか?想像すらできませんでした。この10年間で私とこのブログはまったく変わってないんですが、私の周りは激変しました。

この世界のブログやホームページは私が始めたわけではなく、私が始めた時にはすでにいくつものそうしたサイトがありましたが、今ではすでにほとんど残っていないのは残念なことでもあります。
たしかにいろいろな意味でブログ運営の難しさというのもあります。わたしが続けてこれたのは無理せず自分のライフスタイルに合わせてやってきたからだと思います。通勤で電車に乗ってる時間が多いからポータブルで良い音を聴きたい、家の帰りが遅くなるからヘッドフォンで音楽を思いっきり楽しみたい、コンピューター仕事が多いのでその時間を快適に過ごしたいからPCで音楽を聴きたい、などみな自然な欲求です。

いまでも月に10-15記事はコンスタントに書いてますので3日に一回は更新している計算になります。実のことろ書く時間がなくて書けないこともあるくらいで書きたいことはまだまだたくさんあります。
たとえば最近ではロスレスストリーミングとソフトの周辺についての記事に着手したんですが、日本では聴けませんしそれで書いている時間がないので今は没にしています(そのうち復活するかもしれませんが)。

おそらく書くことで大事なのは興味を持ったところに納得するまで深く突っ込むということでしょう。
ブログはみなに伝える場でもありますが、自分の考えをまとめる場でもあります。自分が理解していないことを書いても読んだ人は分かりません。もし読んだ人が理解してくれれば、わたしもそれを理解したということでしょう。
そういう意味でMusic To Goはわたしにとって自分の理解を試す場である、とも言えるかもしれません。
また、リケーブルとかインテジャーモードとかブログに書いた言葉が一般にも通用するようになるので、最近では日本では初出かなと思うものを書くときはちょっと気に留めています。

そして、この10年を思い返してみるといろいろなことがありました。このブログが本になりましたし、雑誌にも記事を書くようになりました。いろいろなところで講演などもするようになり、海外に取材にもいきました。
続けることは苦労ということもありますが、たくさんの出会い、知り合い、機会ももらってそれが先に進む原動力になっていたと思います。Music To Goの10年と言うのは苦労というより得たもので数えるべき10年だったと思います。
みなさまには改めて感謝をしたいと思います。また今後ともよろしくお願いします。

"Count your garden by the flowers,
-Never by the leaves that fall,
Count your nights by stars,
-not shadows.
Count your years with smiles,
-not tears."


- Laura Mae Utley Gibson
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2014年04月30日

乗馬とセグウェイのGW

GW前半は久しぶりに清里に行ってました。
目的はいつものように乗馬の場外騎乗(遠乗り)をするためです。

清里ではニュースでも報じられたように今年は記録的な豪雪があって大変だったようです。
私の泊まる宿でも学生さんが二泊のところを帰れなくなり五泊していったそうです。宿の親父は食料備蓄はたくさんあるけど、電気が止まらないかと冷や冷やしてたそうですが(結局止まらなかった)、当の学生さんたちは雪で遊ぶはカラオケするはでたっぷり楽しみ、助けが来て帰れると電話がきたときには「もう帰るのー」と言ったそうですが。

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清里は木々はまだ葉がなく冬から目覚めつつあるようで、桜もまだ来ていません。雪が多かったせいか、山々の高みには雪が残って高山であることを主張しているかのようです。
いつものように清泉寮に(ソフトクリームを食べるために)上がって行くと、四方を雪を抱いた八ヶ岳、南アルプス、秩父山系に囲まれ、遠目には富士山も見えます。周りを雪抱く高い山々に囲まれた春の清里高原の眺めは圧巻です。

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今回のポイントは1日目のセグウェイ初体験です。
清里にセグウェイが登場というのはちょっと小耳に挟んでたんですが、萌木の村に手製の事務所を構えた八ヶ岳アウトドア・アクティビティさんでいくつかのコースを用意してくれてます。
こちらがホームページです。
http://www.y-outdoor.com/

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これはセグウェイのオフロードタイプX2というやつだそうです。
セグウェイは二輪なので電源を切ってるとパタンと倒れますが、自立モードに入れるとジャイロで自立し、手を離しても倒れません。電源を投入してハンドルを垂直に起こすと緑のLEDが一部点灯しスタンバイ状態になるので、ここでステップを軽く一回踏むとLEDが全点灯し自立モードに入ります。ここで両足をステップに載せます。
右左はハンドルを倒すことで操作し、前後は重心移動です。スピードが上がると膝の屈伸で重心移動させるとうまく調整できます。
最初は広場で基本をやってましたが、初めてにしては上手いということでちょっと外に連れて行ってもらいました。けっこう凸凹も平気です。初心者モードでやってたせいかわかりませんが、前傾してスピードを上げるとそれを抑制する方に制御されてスピードがあがりすぎることがありません。また坂の下りではエンジンブレーキかけたように速度が抑制されるので楽で慌てることがありません。自立制御と人の制御のブレンドが巧みにできてます。
また機能を操作する小さな液晶画面は電気接点ではなく、ワイヤレスで本体と接続してます。そのためこの液晶パネルがぱこっと外れてキーになります。パーキングする時はポケットに入れておくわけです。さすがよく考えられた未来の乗り物って感じでした。

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すんごく気に入ったんで午後からは2時間コースのネイチャーライドコースを申し込みました。このGWから開始なので私が第一号です。このコースではネイチャーガイドの方が花々や清里の自然をガイドしながらセグウェイで林間コースを行くというものです。
乗馬で森の中に入っていくのに似た感じでやや視点が高く、音もしないセグウェイは自然の中にはいるものとしては人工物では最上の選択だと思います。その場旋回ができるので機動性も高いですね。

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セグウェイのこの世代は85万と聞いてまじ買う気になりましたが、日本では車両とみなされないので公道は走行不可だそう。なぜかと言うとブレーキがないからだそうです。セグウェイでブレーキかけたらタイヤが止まり自立できなくなるので倒れます。
実際はセグウェイの方が自転車よりずっと安全に止まれるんですが、もう法律が未来に遅れてる一つですね。そのため一般道路を横切る時はいったんスリープに入れて手で引いていきます。
いずれにせよちょっとセグウェイに興味出て来ました。

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2日目は天気もさらに良くなり乗馬も最高のコンディションで行えました。牧場の裏手から山の中に入っていきます。まだ木々は緑がなく冬の装いでしたが、馬ではいる木々のなかは気持ち良いものです。馬場から出て場外での騎乗を外乗(または遠乗り)と言いますが、完全コンピュータ制御のセグウェイに比較すると、いわばアナログ外乗と言えましょうか。

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馬はいつも乗るやつだったので、気持ち良く動け止まれの指示が通り、こっちはセグウェイとも違った二体一身の人馬一体感があります。セグウェイは馬と違って常に人の言うことを聞きますが、馬と違って人の判断以上に自発的に動いてはくれませんから。


3日目は体休めがてら天気も良くなかったので、美術館巡りなどゆっくりと。
写真美術館ではヤングポートフォリオ展をみて、世界中の若手写真家の写真を撮る情熱に感化され、黒井健ミュージアムでは牧歌的な絵本の世界に感化され、少し絵画的な写真を撮りたくなりました。

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食はいつものロックのカレーや中村農場、ホテルのランチ、高原野菜たっぷりのビュッフェ(バイキング)などなど。中村農場は新宿で物産展に初参加したので、その時も食べに行きましたが、やはりここで食べると玉子の鮮度感が別物です。

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温泉はちょっと早いと思いましたが、ぬる湯の殿堂の増富の湯に行きました。ここは少し清里から離れますが、ちょっとした秘湯気分が味わえます。
さすがにこの季節、30度以下は水みたいに感じられ断念しましたが、35度はいつものように魅惑的で、いつものように顔を半分お湯に沈めながら寝てる人などいましたね。

今回のメインカメラはセグウェイと乗馬中の写真で使用した超広角のケンコーのDSC880DWですが、これは逆光に弱いことを除くと安いわりに実によく撮れます。固定焦点カメラなので光学的だけではなく電子補正を大幅に併用してると思いますが、解像力も十分あり歪曲の少なさは驚異的です。今まで使ってたGoProの写真モードではいかに歪曲してたかがわかります。超広角なのにかなり自然なパースで写ります。


しかしこの3日間オーディオらしきものを聞かなかったら、家に帰ってロクサーヌとAK240で聴いたところすごく良い音に新鮮な驚きが感じられました。やはり耳休めも必要ですね。

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2014年04月01日

ある日の新製品発表会にて

その日、私はヘッドフォンイベントの会場にいた。そこで発表される新型のハイレゾプレーヤーのプレゼンを依頼されていたのだ。
発表会場である16Fの部屋に行くとすでに人で溢れかえっていた。私は頭のなかで講演のスクリプトを繰り返すと、壇上に上がった。

「ささきさん、本日はよろしくお願いします。早速ですがこの製品の特徴を説明願います。」
「まずこの製品はこんなに小型コンパクトでありながら、ハイレゾ音源の再生が可能なことが特徴です。」
「いま流行りのハイレゾ再生ですね。ささきさん、その辺をもう少し詳しく解説お願いします。」
「はい。ハイレゾと言うのは従来のオーディオで使われてきたCDの音質を超える音源のことです。ご存知のようにCDは1秒を細かく分割し、それぞれを14ビットの量子化でサンプリングします。デジタルの基本単位である1バイトは7ビットだから14ビットと言うのはその二つ分ですね。
ハイレゾはスタジオなどで使われるさらに情報量の多いデータのことです。これは3バイト分ですからハイレゾとは21ビットのデータとなります。ダイナミックレンジは1ビットあたり6dBですからCDの14ビットでは84dBとなります。つまりハイレゾの21ビットでは126dBもの音の範囲が扱えます。人の可聴範囲は約120dBと言われますから同じくらいの高音質となります。」
「いやあ、ちょっと難しい話でしたがまあ簡単にまとめるとCDの14ビットより良い音が楽しめると言うことですね。それでは続いて機能の説明をお願いします。」
「機能の点で特徴的なのは....

ひと通り話終えるとまずはつかえずに話せて成功か、とホッとした。いつもながら技術的な解説は難しい。
私はちょっと疲れを覚えると空腹なのに気が付いた。会場を離れるとエレベーターで20Fのレストランに行き、よく食べるカレーのランチを注文した。ここはサラダの取り放題サービスがうれしい。
私はテーブルを確保していつものようにスマートフォンを取り出し、ランチを食べながらニュースリーダーをチェックし始めた。画面をフリックしていろいろ読んで行くと興味深い記事に目が止まった。
" 1バイト=7ビットの始まりはIBMのSystem/360 "という記事だ。記事にはこうある。

"... 60年代までのコンピュータは1バイトが6ビットだったり8ビットだったりと機種ごとに異なっていた。しかし60年代半ばにIBMの大型コンピュータであるSystem/360が人気を得て業界標準のコンピューターとなったために、System/360で採用されていた1バイトが7ビットということが標準仕様となっていった。その後に現れたパーソナルコンピュータでもやがて7ビットのCPUが広まって行き..."

なるほど、そういう歴史があるのか、と合点がいった。アメリカで使われるASCII文字は英数の128通りあれば良いので、7ビットで十分表現できる。1バイトが7ビットと決まったのは合理的と言えるだろう。オーディオでいうならばCDは2バイトにあたる14ビットである。14ビットのCDの量子化はフィリップスが提唱したものだ。
しかしIBM System/360で単に採用されたということが、その後の世の中に与えた影響は大きいものだ。

その時、私の頭にひらめくものがあった。もし、Sytem/360で1バイトが7ビットでなければどうなったのだろう? たとえば1バイトが8ビットだったなら。
私は昨夜見たテレビのドラマ、「なぞの転校生」をふと思い出した。これは有名なジュブナイルSFのリメイクだが、このドラマではパラレルワールドのことが描かれている。主人公の世界に来た転校生はD8世界というパラレルワールド、つまり並行世界からの訪問者だったという設定だ。彼はD8世界ではアーサーCクラークが作家ではなく物理学者であるという。つまり主人公の世界と似ているが異なったもうひとつの世界ということがわかる。
面白いのはその転校生が音楽室のピアノでショパンの雨だれを弾くと主人公たちはだれもそれを知らないのだ。つまりは主人公たちの世界も実はドラマを見ている我々とは違う並行世界であることが暗示されている。

それではもし並行世界があるとして、ある世界ではIBMのSystem/360で1バイトが8ビットとして採用されていたとしたら、世の中はどう変わったのだろうか?
IT産業においてはパソコンの始まりは8ビットCPUになったろう。オーディオの世界ではCDはSONYの提唱した16ビットになったのではないか。つまりはその世界でのCDは44kHzの16ビットで、CDでさえダイナミックレンジが96dBもあるわけだ。その世界の人々は我々よりも12dBも広いダイナミックレンジでオーディオを聴いているのだろうか。もしそうならば音楽はどうなったのだろう?
そしてその世界でのハイレゾデータは24ビットだろう。するとダイナミックレンジは144dBになる。しかしそれは人の可聴範囲の120dBを大きく超えるじゃないか、そんなバカな、と私はちょっと頭を振った。
しかし私は思う。別の可能性を想定することで、いままで見えなかったものが見えてくるのではないだろうか。そういう世界があればそこではどういう可能性が開かれているのだろうか?

そうした空想にふけっているとすでにだいぶ時間が過ぎていた。世界というのは可能性の連続体であり、この世の中は単にそのひとつにすぎないのだろう。
まあ考えても仕方ない。私はそろそろイベントでの残りの製品展示を見ようかと、レストランを後にして16Fに降りるエレベーターのボタンを押した。
ふと窓から外を見ると青い空が無限に広がっているように見えた。


*2014/4/1 アップ記事
posted by ささき at 02:57 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする