Music TO GO!

2018年07月18日

PhilewebにDita Audio fealty/Fidelityの記事を執筆しました

PhilewebにDita Audioの"Twins"、FidelityとFealtyの記事を書きました。写真も私が撮ったものです。
Twinsコンセプトの開発秘話から、Twinsの技術、そして音源によるそれぞれの使い分けまで詳細に書きましたので下記リンクからご覧ください。
https://www.phileweb.com/review/article/201807/18/3093.html

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posted by ささき at 15:48| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月08日

アンディールービンのスマホがMQA対応に

Androidの父であるアンディー・ルービンが新たに提案したハイエンドスマホ、Essential Phoneが一時話題となりましたが、そのEssential PhoneがMQA対応を果たして、TIDAL MASTERSのデコード再生が可能となったようです。
https://www.essential.com/blog/music

それとEssentialでは外付けオプションとしてAudio Adapter HDというDAC内蔵アンプを開発し、これはMQAレンダラー機能を持っているようです。
https://twitter.com/essential/status/1004819304641003521

本体でコアデコードして、外付けにMQAレンダラーという形でポータブルMQAシステムのあるべき姿の一例となりそうです。
MQAの高音質で軽量という特性が一番生きるのはストリーミングですが、ストリーミングに一番向いているのはスマートフォンです。
そういう意味では注目していきたいモデルではありますね。
posted by ささき at 08:53| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月25日

ヘッドフォンブック2018に執筆しました

現在発売中のヘッドフォンブック2018に執筆しました。
ヘッドフォンブックではアワードの審査員となり、発表式での司会を行いました。
本誌の記事ではP-12 Campfire Audio CASCADE、P-24 JH Audio Billie Jean、P158 Westoneのインタビューなどを書き、またレビューではBayer Aventoワイヤレス、Beoplay E5、JVC ET900、LCD XC、ME-1なども書いています。
ぜひお買い求めください。




posted by ささき at 15:46| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月17日

Tyl Hertsenの引退、ひとつの終わりと始まり

HeadFiにTyl Hertsenがこの業界から引退したという記事がJudeによって投稿されています。
昔からのファンにはおなじみのアロハシャツの名物おじさんのような人ですね。

https://www.head-fi.org/threads/a-headphone-tribute-goodbye-to-tyll-from-innerfidelity.879586/page-4#post-14239641



これに合わせてJudeが当時(2001年頃)の話をしていますが、Headfiの前にあったHeadWiseというフォーラムでのHeadroom主催のコンテストでJudeが射止めたHeadroomの景品からヘッドホン熱があがった、ということなどが書かれています。おそらくオンラインでヘッドフォン関連を売る、アンプを自ら開発するという点では世界初だったのがHeadroomです。
いまでは日本の大手メーカーもバランス駆動を普通に採用していますが、その先駆者もHeadroomでした。もともとはHeadroomのヘッドフォンアンプを二大連結してBTL駆動するというコンセプトのもので、3ピンXLR端子が二股に分かれたバランス端子はそれゆえです。
DAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプも、ポータブルの単体DACなるものも、さきがけはHeadroomです。

Tyl Hertsenはその後にHeadroomを辞めてInnerFidelityというサイトでジャーナリストとして活躍していました。そこでも引退の記事が載っています。
引退後はモバイルホームのような車で気ままに暮らしたいみたいに書いてあります。
また引退の理由として、もう耳が老いてしまったということや、25年もいろいろ書いてきて燃え尽きた、もう自分の使命は果たしたということも書いています。そして自分は根っからの冒険者であり、自然の中を旅したいんだ、ということも。事実そうした冒険者マインドがこのパーソナルオーディオという分野を切り開いてきたんでしょう。
https://www.innerfidelity.com/content/thats-itim-out

InnerFidelity自体は続くようです。私も少し前にTyl Hertsenにヘッドフォン祭に来ませんか、と誘ったのですが(レイ・サミュエルズとか誘ったころ)、残念ながら実現しませんでした。

一方のHeadroomでは最近アンプを作ったりメンバーがヘッドホン祭に来てたりしてましたが、最近またフォーラムを作って活動再開しようとしてます。
https://forum.headphone.com
このパーソナルオーディオ界隈でアンプというとは私とかはアメリカの製造するアンプを思い浮かべますが、いまではめっきり低調になっています(HeadAmpなんかはいまでもやってますが)。
ちょっとさみしい気もしますので、なにかまたはじまれば良いのですが。
posted by ささき at 10:15| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月14日

ヘッドフォンアワード2017-2018表彰式

私が司会しました、ヘッドフォン祭で開催されたヘッドフォンブック2018のヘッドフォンアワード2017-2018の各受賞者の写真が届きましたので掲載いたします。

まず総評として大塚康一先生に挨拶いただきました。

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イヤフォン部門
プレゼンターは野村ケンジ先生です。

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エントリークラス ファイナル E3000
S'NEXT株式会社 代表取締役 細尾 満 様、取締役営業部長 工藤 岳 様
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ミドルクラス     フィーオ F9 Pro
株式会社エミライ 取締役 島 幸太郎 様
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アッパークラス    JVC HA-FD01
株式会社JVCケンウッド メディア事業部 技術本部 技術2部 美和 康弘 様
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ハイエンドクラス   64オーディオ tia Fourte
64 AUDIO CEO ブラッド・ベロノシュコ 様、ミックスウェーブ株式会社 コンシューマーオーディオ部長 宮永 賢一 様
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大賞      フィットイヤー FitEar Universal
株式会社 須山歯研 代表取締役社長 須山 慶太 様
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ヘッドフォン部門
プレゼンターは岩井喬先生です。
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エントリークラス オーディオテクニカ  ATH-AR3BT
株式会社オーディオテクニカ マーケティング本部 広報宣伝課マネージャー 松永 貴之 様
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ミドルクラス    MEZEオーディオ 99 classics
Meze Audio Chief Designer & Founder アントニオ・メゼ 様
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アッパークラス  ソニー WH-1000XM2
ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社 商品設計部門 商品設計1部 2課 鬼頭 和久 様
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ハイエンドクラス オーディオテクニカ ATH-ADX5000
株式会社オーディオテクニカ マーケティング本部 広報宣伝課マネージャー 松永 貴之 様
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大賞      ファイナル D8000
S'NEXT株式会社 代表取締役 細尾 満 様、取締役営業部長 工藤 岳 様
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周辺機器部門とヘッドフォンの殿堂
プレゼンターは山本あつし先生
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周辺機器部門 A&ultima SP1000
アイリバー Global Business Unit ソニア 様
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ヘッドフォンの殿堂 Shure SE535
Shure Inc. カテゴリーディレクター マット・エングストローム 様、ショーン・サリバン 様
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最後は受賞者全員で。来年もよろしくお願いします。
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2018年01月01日

謹賀新年

みなさま明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
posted by ささき at 21:49| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月31日

2017年振り返り

今年もまずMQAのソフトウエアデコード、Chord Polyの発表などのCESニュースから始まりました。

MQAについては、のちに5月にMQA-CDでまた話題となりボブスチュワートに直接あって、MQAについて聞く機会を得ました。頭のきれる落ち着いた英国紳士という印象の人でした。話についていくのが大変で、英語で話していると頭が痛くなってきました(笑) Philewebのインタビュー記事もご覧ください。
MQAにかんしては「オリガミによる軽量化」と「時間的ブレの低減による高音質化」の二つの側面があるのですが、個人的には前者の方に今年は目を向けていました。MQAについてはなんだかんだとひとつのフォーマットとして定着してきた感はありますね。感覚的に当初の否定感も少なくなってきたようには思います。来年こそはTIDALがなんとか日本で入ってくれれば、さらに注目されることでしょう。
LINNはMQA批判もしていますが、こちらもいままで冷ややかだったDSDに今年対応したりしているので意外とMQAもやるのかもしれません。
今年はPCオーディオとしてはWindowsでクラス2ドライバーのサポート(4月頃)がはいったりしましたが、MQA以外に大きなトレンドがないのも事実ではありますね。

Polyについてはのちにアユートさんの発表会でHugo2とともにロバートワッツ、ジョンフランクス、そしてラジブとあつていろいろと話を聴きました。Philewebにインタビュー記事を載せていますのでそちらもご覧ください。
ロバートワッツからは直々にパルスアレイDACの説明をうけて、なんとかそれを記事にしました。パルスアレイDACについてはいままでよく言われてきましたが、あまりわかりやすく、基本的な解説はなかったと思います。
ロバートワッツはやはり知的で落ち着いていますが、とても情熱的な人です。ジョンフランクスはきちんとしたビジョンを描いて膨らませる人で、ジョンフランクスがジョブズ的、ワッツがウォズ的とChordはよいコンビネーションに思えます。

iFIのトルステンともヘッドフォン祭のときにまたちょっと話ししましたが、こちらはもっと饒舌で陽気な感じでしょうか。トルステンに前にインタビューした時は英国オーディオの伝統的な技術(ミッドサイドステレオ)を採用していると誇らしく語っていました。

今年は英国オーディオ開発者とけっこう縁がありましたが、それも豊かな歴史ありきだと思います。第二次大戦中もっとも電子技術が優れてたのはレーダー技術みてもやはりドイツより英国の方が一歩先で優れてましたですからね。そこからの積み重ねがあります。(ちなみに日本は八木アンテナがそのまま英語になったように、実は大戦「前」は進んでたんですが、大戦「中」にダメだったのは国の無理解によるものです)
歴史にテーマを当てた英国オーディオ史も面白いかもしれません。

英国と言えばRoonもそうです。今年はRoonは1.3、1.4にバージョンアップしました。1.3ではDSPがはいってヘッドフォンでも使いやすくなり、1.4ではiOSの出力対応がなされています。Roonってラズパイから、IOS機器、ハイエンドオーディオまで対応範囲が広いというのがポイントですね。PolyでもRoon対応しています。

人物でいうと、今年はWestoneのカートライト兄弟のBAカスタムIEMはじまり物語を書いて始まり、今年の最後もカートライト兄弟のES80インタビューで締めたっていう感じです。Westoneは人気の有名ブランドですが、その音の中核にいた彼らのことはあまり知られてなかったと思います。しかしカートライト兄弟にあって話を聞いてみると、Westoneの良さというものがよりよくわかってきました。
海外のイヤフォン開発者では日本ではジェリーハービーが有名ですが、Westoneのカートライト兄弟もイヤフォンの歴史における重要度では引けを取りませんので、ぜひ注目していてください。
会う前は堅いようにおもってましたが、実際にあってみるとユーモラスで、アメリカのやんちゃ兄弟がそのまま大きくなったという感じです。インタビューしていても互いにふざけあって面白いんです。

製品的にはAstell & Kernの待望の新フラッグシップであるSP1000が大きいですね。年末に詳細レビュー記事をアップしましたが、AK380とくらべても音質の向上はかなり大きいと思います。
イヤフォンとしてはやはりDita Dreamでしょうね。ダイナミックの頂点を極めたような製品ですが、次の一手も楽しみです。Dita Audioのダニーはヘッドフォン祭であったときに、これからはユーザーの好みによる選択をいかしたツインズコンセプトを言ってました。これは"ウイザード"モールトンのリファレンス/ミュージックの二本立てコンセプトにも似ているのかも知れません。
今年はUMの製品が多く、多種多様に展開されてうちでも多数レビュー記事があります。Campfire Audioも順調に進展し、今や新興メーカーとは呼べません。中核メーカーの一つで常に新製品が待ち望まれて、話題となってます。

今年の話題の完全ワイヤレスは年頭にEratoの新機種をレビューしましたが、今年はAirPods人気の影響もあり、フォローが追いつかないほどたくさんの機種が出て、国産でも昨年のONKYOだけではなく、SONYも出してきました。
NFMIなんかも2016年は予備学習のために調査しておいた(下記リンク)ような感じでしたが、今年はまじめに採用機種が増えてきました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440014833.html
元祖BRAGI Dashなんかも日本市場に出てきました。この分野はますます活発化するでしょうね。

私は毎朝BandcampのSNSと新譜チェックをしているので基本的にほぼ毎日iPhoneでBluetoothも使うのですが、最近iPhoneのBT周りオーディオ周りがアップデートのリストにはなくてもいろいろ手が加えられ動作が変わっているように思えます。音自体も少し変わった気がしますね。来年もなにかとこの辺の話題には事欠かないと思います。

最後に今年も巨星ミュージシャンがなくなり、記事で書いたジョンウエットン他にアランホールズワース、グレッグオールマン、ホルガーシューカイ、トムペティなどもなくなりました、哀悼の意を表します。

また来年もCESのウォッチから始まると思いますが、当ブログをよろしくお願いします。
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2017年04月16日

秩父の桜

この週末は北上する桜を求めて、秩父に桜を撮りに行ってました。
ここはしだれ桜で有名な清雲寺です。桜はソフトフォーカスで撮るのがよく似合います。しかし久々にいったら西武線が秩父線に直通になっていたり駅前が様変わりして驚いてしまいました。

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ここの神社の神楽はまさに桜の花吹雪の舞う中で行われていて、素晴らしいものでした。なんだかタイムスリップした感もあり、時代を経ても変わらぬ日本人と桜の関係を改めて考えさせられました。

Riccoレーベルの日本語を美しく歌い上げるユニット、mizu amaneの新作は春と桜の歌です。こちらもこの時期におすすめです。
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2017年04月05日

CanJam 2017 SoCalプレビュービデオ

今週末に開催されるCanJam Socal(ロサンゼルス)のプレビュービデオがアップされています。
http://www.head-fi.org/t/822835/canjam-socal-2017-april-8-9-2017/350_50#post_13397511
今回は過去最大ということで、さまざまな新機種が1時間にわたり紹介されています。
みな見てませんが、一例をあげると、まず先頭のJH Audioの新製品のLolaです。
JH Audio初のハイブリッドです。たいていのハイブリッドと違いLolaは中域にダイナミックを使っています。中域はDOMEと呼ばれる二個のドライバーの対向型です。
カバー領域は低域が2xBAで10-200Hz、中域がダイナミックx2(DOME)で200-3kHz、高域が4xBAで3k-20kHzとのこと。
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画像は上記ビデオから

ちなみにLolaはKinksの曲ですのでSirenシリーズですね。
*訂正:Performanceシリーズのようです。

さて実際のショウが楽しみです。


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2017年02月12日

小田原での流鏑馬と梅まつり

週末は今年初めての流鏑馬を撮りに行ってきました。
多少風が吹いて寒かったんですが、天気はよく梅も今年は早いそうで咲き誇っていました。ここは曽我の梅林で、仇討ちで知られる曽我兄弟が弓馬の達人だったということで、恒例の梅まつりに合わせて流鏑馬が開催されています。
ここは女性射手が活躍するところでもあり、最後の決勝でもある競射でも5名中女性射手が3名と好成績を収めました。

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カメラはまだまだ現役EOS-1Dmk3、レンズはEF70-200/2.8Lとテレコン、流し撮りはEF24-105/4です。今回は条件もよかったのでうまくスピードについていけました。

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今年もいつのまにか梅の咲くころとなりました。春遠からずというところです。
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2017年01月01日

謹賀新年

帰省先の近くに白鳥が飛来していました。寒っ。
みなさま、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
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2016年12月30日

Music To Goの過去記事から2016年のトレンドを振り返る

今年も恒例の当ブログの振り返りから今年のトレンドを読み解く記事を書きました。うちはインデックスがないのが不便ではありますのでリンクもつけています。
一部多少前後しますが、ほぼ時系列的に記事を並べています。

* 1月

今年は2016年初頭のCESで話題となっていたRoon Readyの流れに刺激され、1月からRoonの調査を本格的に開始してRoonの記事を上げました。
特に注目したのはRoonがControl, Core, Outputsと機能が分かれているという点です。これはのちに1.2となって内部がRAAT化する際により意味を持ってきます。

オーディオファイル向けミュージックプレーヤー (20) - Roon、そしてRoonReadyとは
http://vaiopocket.seesaa.net/article/432678977.html
Roon応用編1 - HQ Playerの使用とシグナルパス
http://vaiopocket.seesaa.net/article/432877662.html
Roon補足1 - シグナルパスのオーディオ品質表示について
http://vaiopocket.seesaa.net/article/432913143.html
Roon補足2: 音楽ライブラリの見せ方について
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433203764.html
Roonのさまざまな名称についての整理
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433011338.html


Roon自体は昨年から海外で話題になってはいたんですが、はじめは使い方が簡単なソフトでAudirvanaのように音質を向上するという考えでもない、という感じだったのでそのときは興味が持てなかったのですが、だんだん調べていくと興味を持ってきました。それはネットワーク機能に関して(当時のRoon Speakers)で、従来のDLNAに代わるというよりも、ネットワークやUSB DACという違うと考えられていた分野を一元化できるという点です。このことは下記記事に書いています。

RoonとuPnP(DLNA)の違い、Roonの優位性、RAATの必然性
http://vaiopocket.seesaa.net/article/432956718.html

このときはまだRoonSpeakersという言葉が生きていたので、記録のためにあえて訂正しないでおいています。
面白い点は上の記事で書いたように、Roonのデータストリームは単なるファイル転送ではなく、アシンクロナスUSBのフローコントロールをネットワークでやってるようなものだということです。少し抜粋します。

"RoonではEndpoint(DAC)のクロックをCore(PC)にフィードバックしてできるだけ近くするようにネットワークパケットを使って調整するという手段を使ってるようです。
クロックが送り手と受け手で合わないとサンプル数にズレが生じるので、送り手(PCなど)が勝手に送る限りは受け手のクロックが良くても無駄・音質ロスが生じてしまいます。(送り手が正確に1秒に44000サンプルちょうど送らないから)
そこでRoonSpeakersでは受け手のクロックを送り手にフィードバックすることで、このロスを少なくします。アシンクロナスUSBのフローコントロールをネットワークでやってる感じでしょうか。"


同時にこのことはRoonとDLNAを根本的に別のものとしています。

"Roonの利点は裏返すとDLNAの利点ともいえるように思います。なぜかというとDLNAのメディアサーバーとレンダラーの間にはクロックの依存関係というのはなく、レンダラーという箱の中でクロックという厄介な問題を閉じ込められます。しかしRoonの場合にはCoreとEndpointの間ではクロックの関係ができてしまいます。"

ですから、Roonをユーザーが「DLNAの代替として使えるネットワークオーディオ」と考えるのはそうしても使えるので間違ってはいませんが、DLNAの延長にあると考えるのは正しくないと思います。

またこのころMQAもちょっとチェックをはじめてます。
MQAの2Lサンプル音源
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433177658.html

ただしMQAに関してはいろいろとあって、あちこちで聞く各方面からの「ほんとに音質がいいのか疑惑」とか、「DACのファームにはライセンスするけれど再生ソフトではライセンスしない問題」、とかあって、あんまり肩入れしないでちょっといまでも静観という感じではあります。

MQAでは4月にボブスチュワートのQA記事がComputer Audiophileに乗りました。これはいまでもMQAのバイブル的な記事だと思いますので、MQAとはなにかということはこのQAをみると良いと思います。
ボブスチュワートの「MQAの質問なんでも答えます」
http://vaiopocket.seesaa.net/article/436498152.html


* 2月から3月

2月にはいるとラズベリーパイに興味を持ってきます。ラズパイはずっと前(2013年)に書いたように家で使うMPDベースのミュージックサーバー的な運用が一般的ではあります。下で書いたRaspyFiはいまのVolumioのことです。

2013年の記事: Raspberry PIでMPDとUSB DACを可能にするRaspyFi (DSD再生も可能)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/374988227.html


この2月にふたたびラズベリーパイに興味を持ったのは2点あります。ひとつはポータブル運用ができるのではないかということです。というのは上の2013年の時点でもUSB DACを使ってDSDネイティブ再生っていうのはできていたんですが、このときと違っていまではI2Sベースの拡張ボード(HAT)がたくさん出てきていたからです。
そこでI2S HATボードを調べてIQaudIO PI-DAC+などを使用してポータブルでのラズベリーパイ記事を書きました。これらは従来の2段重ねのDAPをラズパイに置き換えたようなイメージですね。

ラズベリーパイ・デジタルプレーヤー試作とGPIO(I2S)接続
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433533136.html
ラズベリーパイとポータブルDAC付きアンプの接続 (HiFiBerry Digi+)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/435089337.html
ラズベリーパイとポータブルアンプのアナログ接続 (HiFiBerry DAC+)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/435420916.html
ラズベリーパイとポータブルアンプのアナログ接続 (piCorePlayer編)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/435943475.html
国産ではこういうのもあります。これは少し後に書きました。
ラズベリーパイ用の新しいDACボード、msBerryDAC
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441962694.html


また実はもうひとつ含みがあったのは、IQ AudioがRoon対応を表明していたので、ラズパイ経験がRoonでも生かせるだろうと考えていたんです。
そこでラズベリーパイとRoonを組み合わせて、RoonReady対応(RoonBridge)の試験をやってみました。これはRoonフォーラムで情報をチェックしながらIQ Audioのひとにベータ版の状態で頂戴って言ってもらって試してたので、RoonReady対応を実際に試してみたのは国内でもはかなり早いタイミングだったのではないかと思います。当時はRoonReady対応デバイスは製品でも国内未発売のAriesとSonicOrbiterくらいでした。とにかくRAATというものを試してみたかったんです。
これによって一月の段階では頭の中で考えるだけだったRoonの仕組み(RAATとControl/Core/Outputsの関係)をはじめて実際に試してみることができました。

ラズベリーパイのRoonReady機器化(Roon Bridge)について
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434234805.html


そしてさっそくRoonのシステムの柔軟さと音質という面に切り込みました。やはりオーディオであるからには音質面での得失は重要です。

RoonReadyの音質
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434348250.html
RoonReadyとDLNAの構成と音を比べてみると
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434349382.html


この辺はあとでPhilewebに書いた記事のもとになる研究みたいなものでした。


このほかでは二月はポタ研もあって製品レビューもたくさん書きました。
ポタ研2016冬レポート
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433778260.html


Triple.fiの進化、JH Audio TriFi レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433217427.html
新世代のハイエンドケーブル、Crystal Cable Next登場
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433412898.html
Astell & Kern 第三世代のスタンダード機、AK320レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433284579.html
AK380 CopperレビューとAK380とAK320
http://vaiopocket.seesaa.net/article/433658083.html
Astell & Kern AK380 アンプ Coppperレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/435583495.html
スイッチング電源をクリーンに、iFi iPurifier DC
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434054755.html


ひさしぶりにiQubeもレビューしてみました。新型のV5です。
Qables iQube V5レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434185116.html


* 4月

4月になるとRoonの大型アップデートである1.2が登場しました。
Roonの革新、Roon 1.2登場!
http://vaiopocket.seesaa.net/article/436667160.html


これはRoonとしてほぼ完成された版で、RAATをネットワークでもUSB DACでも汎用的に使用することのできるバージョンです。3月にiQ Auidoを使用して実際にRAATを試用してみることができたわけですが、これはファームウエアを書き換えたようなものです(AriesやSonicOrbitorと同様に)。
今度は汎用イメージでインストールできるより柔軟になり、内部のデータストリームがローカルもリモート(ネット)もRAATで統合されたことでラズベリーパイでもRoonを使うことができるようになりました。この1.2からはもうDLNAとは異なる世界に突入し、あわせていままでの制限だったプライベートゾーンが廃止されました。
Roon 1.2の応用例 ラズベリーパイとUSB DACの使用
http://vaiopocket.seesaa.net/article/436719784.html


この辺を調べた結果をもとにRoonReadyとRoonの音の魅力の記事をPhile-webに執筆しました。やはり音質に関しては一般的なハイエンド機材を使って試さないと説得力が少ないので、音元さんの試聴室のアキュフェーズやTADなどのハイエンドオーディオ機材を用いて自分の考えを確かめたわけです。
RoonReadyとRoonの音の魅力の記事をPhile-webに執筆しました
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437160279.html

実はこの時の記事は1.2を想定しないで書いていたのですが、1.2が直前に出て、急きょ内容を1.2向けに書き直しました。そのためRoonにプライベートゾーンなる制限があったと知っているのはうちのブログの読者くらいになってしまったかもしれません。

またラズベリーパイへのRoonの応用とRAATの紹介についてはのちに7月にPhilewebに書いています。
RoonReady機器の拡大と非対応機へのRoonブリッジ応用の記事をPhilewebに執筆しました
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439843019.html


Philewebでは少し応用的な記事が先行してしまったので、基本的な説明をしようということで、Roonの疑問に応えますの記事を8月に書いています。Roonとはなんぞやという方はこちらからご覧ください。
なおインテジャーモードや排他WASAIなど技術的内容は私の推測ではなくRoon Labsに問い合わせて回答を得ています。
Roonのギモンに答えます記事をPhilewebに書きました
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441506499.html


製品系ではJH Audioのフルメタルジャケットの3兄弟を串刺しでレビューするという試みをしています。個性的なJH Audio製品を別々の記事ではなくひとつにまとめてレビューすることで個性差をみてみようというわけです。
JH Audio Siren第二世代、フルメタルジャケットシリーズ レビュー #1 イントロ・開封編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/436348293.html
JH Audio Siren第二世代、フルメタルジャケットシリーズ レビュー #2 音質編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437213161.html
ROSIEは遅れたのでこちらせに書いています。
JH Audioらしいプロ品質のエントリー機、ROSIEレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/438306504.html


* 5月から6月

だんだんとこの辺になるとiPhoneのイヤフォン端子がなくなるという噂が現実的に語られるようになり、その周辺の話題もなされています。

この辺から左右独立型の「完全ワイヤレス」イヤフォンについてもまじめに取り組み出しています。まずEarinとDashを例に挙げて、左右分離型では左右ユニット間の通信がポイントになることを考察しています。BTを使う方式と、NFMIについて書いています。まだこのころは「完全ワイヤレス」という言葉を使っていませんね。
左右独立型ワイヤレスイヤフォンのトレンドと秘密
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439219276.html


イヤフォンにとっては新しい技術となるNFMIについては下記の記事にまとめました。これは電波ではなく、電磁誘導を使って通信する方式です。こうして少しずつ「完全ワイヤレス」という新しい技術について必要となることの調査を地道にしていったわけです。
完全ワイヤレスイヤフォンの技術(1) - NFMI
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440014833.html


iPhoneではライトニング派かワイヤレス派かなんてことに分かれ、シーラスロジックからライトニング開発キットなども出ています。
シーラスロジックから公式?ライトニングヘッドホン開発キット登場
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439549247.html


一方でAudroid系の動きとしてインテルが提唱するUSB-Cオーディオについての記事を書きました。
ポスト3.5mmの新顔、インテルの提唱するUSB-Cデジタルオーディオ
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437810699.html
これはやがて半年後に10月にUSB Audioクラス3.0としてまた出てきます。
USBオーディオデバイスクラス3.0発表
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442424054.html


またおなじみヘッドフォン祭の記事も書いています。新オルフェウスが話題でしたね。
わたしはカスタム座談会の司会をやったり、音楽出版のヘッドフォンアワードの授賞式の進行なども務めました。
ヘッドフォン祭2016春
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437455188.html


最近ではベント機構はイヤフォンのキーワードの一つですが、ここではADELのベントについて、音質差があるということも書いています。
64 AudioのADELモジュールによる音質の差(S1とB1)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/437594645.html
MAM(マニュアルモジュール)については8月に記事を書いています。
ADELモジュールによる音質の差(MAM、マニュアルモジュール)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440804535.html


なつかしのER4Sの後継機が出ると言うので、ついでのなつかしのER4Sの思い出などを語ったりもしています。
ER4SR/XR発売と、わたしとER4S
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439346462.html

なつかしのというと、HeadRoomがひさびさに新開発のヘッドフォンアンプを出しています。ポータブルの方もまた作ってパワフルなアメリカンサウンドを聴かせてほしいものです。
Headroomの帰還
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440023905.html


またCampfireのAndromedaもレビューを書いていますが、これはかなり人気機種となりました。
Campfire Audioの新フラッグシップ、ANDROMEDAレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439105085.html


* 7月から8月

いよいよiPhone7の発表を前に実際の「完全ワイヤレス」の機材レビューをはじめます。まずはこの手では元祖ともいえるEarinのレビューをしています。
左右分離型のBTワイヤレスイヤフォン、EARINレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439637957.html

ちなみにこの記事の最後に意味ありげに伏線を書いていますが、これは諸都合で伏線回収ができませんでした。。まあそういうもので。

このころになると完全ワイヤレス自体にかなり興味を持ってきて、ダイナミックタイプのAria Oneのレビューもしています。この辺から「完全ワイヤレス」という言葉を使ったと思います(英語で言うとTrue Wireless, Complete Wireless)。新しい概念はやはり統一した言葉を使った方がわかり良いと思います。
完全ワイヤレスイヤフォン、fFLAT5 Aria Onレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441265444.html

8/25にはErato Applo 7の記事を書いています。これはおそらく現状ではベストな完全ワイヤレスかもしれません。ちなみにErato audioは台湾系でNuForceとも関連ある会社です。
完全ワイヤレスイヤフォン、Erato Apollo 7レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441325724.html

国産の完全ワイヤレスであるONKYOのW800BTはやや遅れて10月に発売されました。
国産の完全ワイヤレス、ONKYO W800BT
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442875214.html


WestoneからはBTワイヤレスアダプターも発売されています。いままでのイヤフォンを使いたい方には良い解法でしょう。
Westoneからワイヤレスアダプター発売
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440458384.html


音質の良いBTヘッドフォンではシンガポールのPendulmicもお勧めです。
DJタイプの高音質BTヘッドフォン、Pendulumic TACH T1
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442689135.html



いよいよRoonReady機器が国内でも発売され、RoonからみではオリオスペックさんでPlayPointの試聴会も実施しています。Roonの浸透度自体はまだまだだったと思いますが、みな興味を持ってくれていました。
オリオスペックでのPlayPoint試聴会終了
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440348117.html


またRoonではNanoPi Neoっていう小さなワンボードコンピューターを使って、普通のUSB DACをネットワーク対応にするという実験もしています。これはRAATが柔軟でRoonBridgeが軽量だからできることで、個人的にはこの辺がRoonの真骨頂かとおもいますね。
Nanopi NeoのRoonでのネットワークブリッジ応用例
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441031678.html
NanopiNeoについてはこちら。
最安のRoonReadyデバイス?、 NanoPi Neo
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440721221.html


製品では今年の台風の目となったAK70のレビューをしています。いままで光でDAC付きアンプと接続していたのが、この機種からはUSBに変わるというエポックメイキングな節目だったかもしれません。
Astell & Kernの新しいエントリー機、AK70レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440521822.html

さまざまなUSB DACとの組み合わせについてはのちに10月に書いています。
AK70のUSBオーディオ出力機能とDAC内蔵アンプいろいろ
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441032048.html

またAKT8iEも新型のMKIIが登場しています。ダイナミックとしてはかなり完成されたモデルになったのではないかと思います。
テスラドライバーイヤフォンの後継機、AK T8iE MkIIレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440805035.html

Laylaカスタムなんかも書いて、ユニバーサルとの比較もしています。やはりLaylaはよいですね。
JH Audio Layla カスタムIEMレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440556027.html

カスタムではUM Mavisカスタムもレビューしています。Marverickとは良い対象になりそうな兄弟機ともいえそうです。
UM Mavisカスタムレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439943799.html


* 9月

いよいよiPhone7が発売されて、予想通りイヤフォン端子がなかったのでいろいろな考察記事を書いています。iPhone7のインパクトはイヤフォン端子廃止だけではなく、カメラも「マルチアパチャー、マルチレンズ技術」が採用されたのですが、これも記事にしています。
トレンドリーダーとしてのアップルと二つの技術トレンド
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441902779.html
iPhone7のイヤフォン端子廃止とレイテンシー問題
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441962008.html

期待のAirPodsはなんと12月まで販売がずれ込むことになりました。12月にちょっとAirPodsの考察を書いています。
AirPodsの左右通信方式について考える
http://vaiopocket.seesaa.net/article/445197092.html


またこのとき標準添付された3.5mmヘッドフォンアダプタについては、おまけにしてはなかなか良かったので記事にしてみました。
Apple純正3.5mmヘッドフォンアダプタの実力とは
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442816731.html


PCオーディオ関連ではMicrosoftがようやくUSB Audio class 2.0のサポートを表明しました。これはマイクロソフトの開発フォーラムをずっとウォッチしていて見つけました。AndroidのUSB標準ドライバー対応のときもそういう感じで見つけました。やはり開発フォーラムが一番の情報源です。
いよいよWindowsにUSBクラス2ドライバーが導入されるか?
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441536245.html
Microsoftが正式にWindows10のUSBオーディオクラス2.0サポートを認めました
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441555955.html


またAndroidでも新しいOSが出たのですが、相変わらずオーディオ機能はまじめに使えないように思います。
Android 7.0とUSBオーディオクラスドライバ
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441662286.html


製品ではNobleのKatanaユニバーサルをレビューしましたが、Katanaはリファレンスの新基準となりえると思いますが、またのちのK10encoreも考えると独自発注BAというものにちょっと興味をひかれるきっかけともなりました。
Noble Audioの新フラッグシップ、Katanaレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441829630.html

またKatanaをさまざまなWagnusさんとの交換ケーブルとも組み合わせたリケーブル記事を書いています。
究極のKatanaを求めて。Wagnusの交換ケーブルレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442816560.html


また64 AudioではあらたにADELからAPEXを採用しました。
64 Audioの新しいAPEXモジュール試聴
http://vaiopocket.seesaa.net/article/441691244.html

ちなみにADELはEmpire Audioと組むことになりました。

東京インターナショナルオーディオショウではRoonReadyの国内対応も興味ありましたが、LINNのKatalystに注目しました。私はLPサイズ黒箱のLINNユーザーでもあるんで、ここでかつてのNumerikに思いをはせましたが、マランツのディスクリートDAC採用なんかと考え合わせるとLINNにとって使いなれたバーブラウンからAKMへの変更という意味合いが大きく、AKM/ESSの新型DACチップ寡占時代の象徴だったかもしれません。
東京インターナショナル・オーディオショウ2016に思うこと
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442490098.html


* 10月から11月、12月

10月になると恒例の秋のヘッドフォン祭です。たくさんのイヤフォン製品とともに新型Walkmanなんかも話題でした。私はJH AudioMichellとDita Dreamのプレゼンをしました。
ヘッドフォン祭 2016秋レポート
http://vaiopocket.seesaa.net/article/443121774.html


またこれにつれて製品紹介が多彩なラインナップとなります。やはり春と秋は新製品が多いですね。
Westoneからは待望のフラッグシップW80が登場しました。コンパクトでハイエンドの音、あいかわらず感心しますがこれについての設計者カール・カートライトへのインタビューはのちに12月に実現します。
待望のWestoneの新フラッグシップ、W80レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442751991.html

チタン製カスタム FitEar TITANも話題となりました。金属ならではの質感もよいですが、Airとは音も違います。
チタンカスタム、FitEar TITANレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/444061317.html

Oppo HA2SEもイヤフォン端子のないiPhone7にお勧めと言えるでしょう。スマホ使いによく考えられて設計されてます。
スマートフォンに最適のDAC内蔵ポータブルアンプ、OPPO HA2SE
http://vaiopocket.seesaa.net/article/442875600.html

Campfireからは流体金属を使って第二世代ラインナップのようなNova、Dorado、LyraIIをレビューしています。やはりCampfireのラインナップは個性的なのであえて一記事にまとめて比較して個性を見てみました。
Campfire Audioの新ラインナップ発売、VEGA、DORADO、LYRAIIレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/443578161.html

Michelleはちょっと遅れてレビューしています。これは最強の普段使いイヤフォンみたいな感じですね。
JH AudioとAstell & Kernコラボの新作、Michelleレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/444304450.html


またひさしぶりにiPhoneの高音質再生アプリの記事も書きました。
iPhone 7とApple 3.5mmアダプタに手軽にHiby + Michelleなんかも良いですよ。
高音質再生アプリ、HibyMusic Player iOS版
http://vaiopocket.seesaa.net/article/444835070.html


12月はいよいよというか、待望のカールとクリスのカートライト兄弟のインタビューができました。
これによって、イヤモニ黎明期の流れがかなり分かるようになりましたのでその記事をかきましたが、こちらは新年の記事となる予定です。

このほか、音楽関係の一年の出来事では私的に今年はキースエマーソンとグレッグレイクの逝去がかなりショッキングなことでした。でもかれらの名曲・名演はずっと残っていくことでしょう。
ピアノ協奏曲第一番 - キースエマーソン
http://vaiopocket.seesaa.net/article/434862977.html
Still You Turn Me On - グレッグレイク
http://vaiopocket.seesaa.net/article/444723291.html



今年はRoonからはじまって、ラズベリーパイの応用、そして完全ワイヤレスが私的トレンドでしたでしょうか。Roonはロンチから半年以上遅れて興味を持ったのでフォーラムを読みあさって知識をつけて記事を書きました。当時はKB(Knowledge Base)もなかったので大変でした。
一方で完全ワイヤレスはイヤフォン端子がなくなるというiPhone7にあわせて計画的に少しずつ立ち上げてったのが上の流れでもわかると思います。
また新製品もかなりたくさん登場しました。MQAはいぜん様子見というところ。

来年はというと、
かつてiPodと標準イヤフォンから高性能ヘッドフォンがほしくなる人がたくさんいたように、来年はiPhoneとAirPodsから他の完全ワイヤレスも欲しくなっていくひとも多くなることでしょう。
来年のPCオーディオ系ではRoonの今後というところで、RavennaなんかのAOIPネットワークDACとの関係がちょっと注目している点です。
またAKM/ESSの新DACチップ寡占時代ということを考えると、その動きがポータブルにどう影響するかとか、あるいはだんだん見え始めたディスクリートDACの動き、海外では特にマルチビットDACが増えるかどうかにも注目があるかもしれません。「DSDネイティブ再生」の次に来るのが「PCMネイティブ再生」であるところのマルチビットDACだと面白いんではないでしょうか。

さて、来年も当ブログをよろしくお願いします。
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2016年12月04日

紅葉 2016

昨年は紅葉が不作でしたが、今年は見違えるように素晴らしい紅葉が楽しめました。
紅葉の良くなる要素は秋の日照時間と急に冷え込むことですが、今年は日照がいまひとつだったものの、急に冷え込んだことで美しい紅葉が得られたようです。
写真は先週と今週に本土寺(千葉)と平林寺(埼玉)で撮ったものです。

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カメラは広角がSigma dp0、寄ったものはKissX4/EFS17-55/2.8です。

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Sigma dp0
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2016年01月01日

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

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上高地にて、群れの川渡りを見守るボス猿
posted by ささき at 08:38 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月06日

アメリカでの休日

少し前になりますが、長期休暇を取ってアメリカ旅行に行きました。前に住んでいたロサンゼルスから思い出の南西部の荒野を回って車を借りて1900マイルを走破するという旅でした。
馬に乗ったり、飛行機に乗ったり楽しんできましたが、写真を撮るのもまた欠かせません。今回は最新の高性能カメラ、Sigma dp0を持ってアメリカの大自然を撮影すると言うのも大きな目的でした。dp0は21mm超広角のフォビオン素子を採用した一体型のデジタルカメラです。またdp0のサポートとして旅用の軽量一眼レフと最強APSレンズの組み合わせとして、KissX4+EFS17-55/2.8も持っていきました。以下に撮ってきた写真をいくつかお目にかけたいと思います。

SDIM8078[2].jpg  SDIM8197[1].jpg  SDIM8165[1].jpg
グランドキャニオン: Sigma dp0

グランドキャニオンの古い格言で「朝と夕以外はフィルムの無駄」というのがありますので朝の早起きは欠かせません。暗がりをドライブすると鹿が飛び出すので注意しながらポイントに向かうと素晴らしい光景が迎えてくれます。
最左はデザートビューというポイントですが、手前のウォッチタワーの質感とか、はるか遠くのかすんでいる部分のち密な描写などdp0の画質には脱帽します。

SDIM8142[1].jpg  SDIM8103[1].jpg
グランドキャニオン: Sigma dp0

昼間でももちろん絵になるところではありますので、クルマやバスや自転車でポイントを探して駆け回ります。

SDIM8014[1].jpg  SDIM8011[1].jpg  SDIM8010[1].jpg
アンテロープキャニオン: Sigma dp0

今回の写真の目玉はここです。ここは以前アメリカに住んでいてこの辺を回ったときには知らなかったので、今回は最新カメラを携えての挑戦です。
アンテロープキャニオンは洪水による浸食でこのユニークな地形が形成されます。ここはガイド付きでのみ入ることができます。
暗いのでdp0の開放F4ではぎりぎりです。できれば三脚使いたかったのですが、許可が必要なのです(後述)。

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モニュメントバレー: Sigma dp0

ここはナバホの聖地であり、自治管理地域です。今回はThe View Hotelという素晴らしいロケーションのホテルに泊まることができました。ここはモニュメントバレーのアイコンと言うべき3つのビュート(岩山)の目前にあり、部屋に居ながらにテラスでコーヒー片手にビュートに昇る朝日を楽しむことができます。

IMG_7866[1].jpg IMG_7868[1].jpg IMG_7871[1].jpg
モニュメントバレー: Kiss X4, EFS 18-55/2.8

ここではうれしいサプライズがあったんですが、日の出を待っていたら飛行機の音が聞こえてきて、有名な3つのビュートの上でアクロバット飛行をはじめたことです。これは後で聴いたら前に私も日本で見たところのレッドブルエアレースのラスベガス大会のCM撮影だったとか。
思わぬハプニングに喜んでしまいました。このホテル自体がすごく予約が取りづらいので仮にスケジュールを知っていても撮れませんから。。

IMG_0133[1].jpg IMG_0154[1].jpg IMG_0233[1].jpg IMG_0202[1].jpg
モニュメントバレー: DSC880DW

ここでは念願の外乗(野外騎乗)をしました。馬はマスタング(野生馬)です。はじめはビュートの近くを散歩するくらいかと思ってたんですが、乗馬の経験者だと伝えるとロングコースに連れてってやるということで岩山のただなかへと。。
ナバホ族のガイドを先導に道なき道をたどり、はるかな平原を見て、眼前にビュートを見上げるとは思ってもなく感動でした。

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ロサンゼルス上空: CANON s95

ロサンゼルスでは以前セスナの練習をしていたトーランス空港で、また操縦かんを握らせてもらいました。かなりブランクがありますが、意外と覚えていて着陸のアプローチ角度なんかもわりと正確に覚えてました。また取り組みたくなったかも。
見えているのはサウスベイというロサンゼルス南部地域の半島です。この海と空のはざまを飛べるのがここの魅力です。

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ロサンゼルス南部: DSC880DW

飛行機に乗った次の日には近くの乗馬施設で今度はロサンゼルスを馬で見降ろします。ガイドが指さしているのが上のトーランス飛行場で、そのちょっと向こうに前に住んでたアパートがあります。
かなたに広がるのがロサンゼルス市外です。TVなどではロサンゼルスの全景はよくグリフィス天文台から撮った写真が使われるのですが、その反対側から見ていることになります。

IMG_8474[1].jpg  IMG_8467[1].jpg  IMG_8529[1].jpg
キングマン: Kiss X4, EFS-18-55/2.8

今回は1900マイルも旅しましたが、途中でルート66の中継点で知られるキングマンにも寄りました。アメリカをドライブで旅するとやはり撮りたくなる光景です。
カメラはKissX4+EFS17-55/2.8です。ちなみに空はPLを使って落としています。

SDIM0568[1].jpg
セドナ: Sigma dp0

今回はまたセドナに寄れたことも収穫の一つです。ここもネイティブアメリカンの聖地として、またアメリカ有数のパワースポットとしてさまざまなカルチャーの中心となっています。緑豊かでもあり、赤い岩山もあり不思議なところでしたが、今回はちょっとだけ立ち寄ったので次回はゆっくりとしたいものです。

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なかなか濃い旅ではありましたが、反省点もあります。
たとえばアンテロープキャニオンはガイドが必要なのですが、ネットで調べると大手しかかかりませんので大手バスツアーみたいになってしまいます。それより実際に地元のPageの街に行くとよりたくさんのガイドがいることが分かります。なかにはもっと写真撮影に特化したものもあります。そこを選んでいたら、暗いキャニオン内での三脚使用も許可され、ピーミングと呼ばれる天井から光が差すところも撮れたかも、と残念なところもあります。
今回はたっぷりと現地資料を持ち帰ったのでまたの機会に向けて研究ですね。
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2015年03月19日

ヘッドフォンブック2015に執筆しました

本日ヘッドフォンブック2015が発売されました。私もいくつかの記事を書いています。
まずP28のヘッドフォンアワードです。そしてカスタムvsユニバーサルとして、P158からカスタムとユニバーサルに関する比較研究のような記事を総論とロクサーヌ(カスタムとユニバーサル)、フィットイヤー(MH334とToGo334)、WestoneのW60とES60についてそれぞれ考え方の違いなどを書いています。
レイラとアンジーでは昨年末にジェリーが来日した時にしたインタビューとレビュー記事をP131から書いています。
P186ではオーディオクエストのNightHawkも書いてます。ほかにレビューも数点書いています。

雑誌には話題のヘッドフォン向け音源のHPLが聴き比べできるデモ音源付録もついていますのでぜひご購入ください!



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2015年02月08日

Joe Grado氏 逝去

Gradoラボの設立者にして、MCカートリッジの発明者。オーディオの殿堂入りを果たしたJoseph Grado氏が逝去されたということです。
http://www.stereophile.com/content/joe-grado-1925%C2%961915

ヘッドフォンの世界ではHP-1000の開発で知られています。私も本格的な記事の第一号にはHP-2の研究を選びました。下記リンクです。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/1769139-1.html
10年ほど前になりますが、HeadFiの世界を知って、HD650だのRS-1だのありましたが、じゃあとにかくなにが一番のヘッドフォンなんだ、と探して行った究極の一つがこのJoe GradoのHP-1000でした。まさにJoe Gradoらしい極めの製品です。自分にとってもこの魅力あるヘッドフォン世界の膨大な知識の中から、まず頂上を見てやろうという野心あふれた頃でした。感慨深いです。

オーディオ界の巨人のご冥福をお祈りします。

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posted by ささき at 18:05 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月01日

2014年12月29日

Music To Go的に2014年を振り返る

今年も様々なことがありましたが、私的な2014オーディオ振り返り記事です。それぞれうちの記事の関連リンクを張っておきましたのでさらに知りたい場合はリンクをクリックしてください。

今年はなんといってもポータブルオーディオの年でした。
年明けからAstell&kernの新フラッグシップであるAK240、ハイエンドメーカーが本気で作ったポータブルのCHORD Hugoの発表とつづき、クラウドデザインでユーザー意見を取り入れたiFI Audio iDSD Micro、据え置きだけどポータブルユーザーからも支持されたAurender FLOW、そしてナグラの血を引くPAW Goldと、粒ぞろいの大物ばかりでした。年初の大雪のポタ妍は伝説になりましたが、まさに危険を顧みずに会場にいっぱいになったポータブルユーザーの熱さがずっと続いて、一般にも波及していったという感じでした。
また今年はイヤフォンの年でした。WestoneはW60とかES60とか当たり年だったし、JH Audioもロクサーヌから始まってレイラ・アンジーの発表に終わり、Nobleも国内導入を果たし、須山さんのところもFitear fitearとか彩など新製品を投入しました。ビクターのウッドもFX1100でハイエンドイヤフォンへの参入をはじめました。
ただ来年はOppo PM-3とかAudioQuest Nighthawkなど、期待のヘッドフォンが見えているのでヘッドフォン話題もまた増えるかもしれません。
ポータブルでは国産メーカーの勢いと追い上げも加速しました。デノンのDA10をはじめとするポータブルアンプもたくさん発売されましたし、SONY系の国産カスタムJust Earも話題となりました。海外メーカーがトレンドを作ってきた分野ですが、これからは国産もそうした点でも期待したいところです。

私は10年もこの分野におりますが、おそらく今年が一番ポータブルの進化が飛躍的だったと思います。性能の向上、価格レンジの拡大もありますが、おそらく今年がひとつのターニングポイントになるのは、ポータブルがオーディオのトレンドリーダーになったということではないかと思います。
AK240は性能だけではなく、ワイヤレスネットワークでのDSD・ハイレゾのオーディオ再生システムを提案しました。このときには同等なシステムはPCオーディオでもありませんでした。またCHORD Hugoも演算性能ではQBD76をしのいでCHORDのそうそうたるラインナップのなかでもトップの位置を占めています。今年は11.2MHzのDSDネイティブ再生も話題となりましたが、ototoyなどでも取り上げられて11.2MHz再生のリーダーとなったのはiDSD microでした。
いままでオーディオ分野ではPCオーディオが最新技術を取り入れるトレンドリーダーでしたが、ポータブルがそれにとってかわった感じです。いままでポータブルはいわば「お下がり・お古」をもらってきたわけですが、それがかわりつつあるということです。ネットワークに関しても近々登場するCelsus Companion Oneのように手のひらでネットワークオーディオシステムが作れるようになりつつあります。しかもWiFiでネットワークを完結させています。

おそらく2015年はPCオーディオにできて、ポータブルオーディオにできないことはなくなるでしょう。需要が進歩を促すわけで、需要あるところが一番伸びるわけですがそれはここでも例外ではないと思います。
また、Hugoがポータブルユーザーだけではなく、従来オーディオユーザーからも支持されているようにオーディオ機器のあり方が変わってきているようにも思えます。おそらくいままで20万から30万のプリメインアンプやスピーカーのあったポジションに、20万から30万のカスタムIEMやデジタルプレーヤーがはいるということで、ポータブル製品の価格レンジの拡大は阻害要因となるというよりも、むしろ世代替わりを象徴しているようにも思えます。


一方で不透明感があるのはPCオーディオの分野です。いままではアシンクロナス、クラス2、DSDネイティヴと進展してきた技術トレンドの次があまり見えません。ハイレゾってこの分野では昔からある言葉であたらしい技術トレンドではありません(マーケットタームとしてのハイレゾは後で書きます)。しかしPCオーディオはどこへ向かうのか、と考えると少し違和感があります。実は見えている分野もあるからです。それは海外ではすでに「この次の技術トレンド」は高音質ストリーミングに向かうだろうと考えられるからです。
たとえば海外における配信からストリーミングへの流れは、オーディオの世界では高音質に向けてTidalやQobuzのようなロスレスストリーミングを生みました。音質とサイズの両立を図ったMeridianのMQAもその流れの中にあり、すでに英国のストリーミングプロバイダーである7digitalがMQAをサポートする旨を表明しています。MQA vs ロスレスストリーミングも来年にかけての話題となるでしょう。
もうひとつの注目点はソフトウエアの変化です。今年はオーディオ向けの高音質再生ソフトでは待望のAudirvana2.0なども出ましたが、注目すべきはAmarra SQだと思います。下記にJohn Drakoのなかなか良い記事を紹介します。
http://www.digitalaudioreview.net/2014/06/improving-the-sound-quality-of-qobuz-spotify-and-pandora/
これが示すのは、ストリーミング時代には再生ソフトのありかたが変わるのではないか、という点です。つまりソフトウエアによる音質向上の焦点は単体のアプリケーションソフトからバーチャルデバイスに移るのではないかということです。

こうした新しい変化が見えないのは日本だから、です。ストリーミングの是非はありますが、それを語る前に日本の音楽リスニングのメインはいまだにCDです。
今年ちょっとショックだったのはTidalがリリースされた日のことです。いつものように海外のニュースをチェックしていると、海外はどこのサイトもTidalのリリースのニュース一色なのに、日本はすぽっと取り残されたように感じたからです。よく重大ニュースが起こった時に民法各社・NHKが全局速報番組をくむのに対して、東京12chがマイペースで映画やってたりするのを揶揄されたりしますが、ああいう感じですね。
2014年の話題はと言えばこうして日本と海外のかい離が起こり始めているという点かなと思います。いままで日本のPCオーディオではアシンクロナス・USBクラス2(Ayreなどゴードン系)、DSDネイティヴ(Playback DesignsとかdCS)、ネットワーク再生(LINN)とやはり海外トレンドを追ってきた経緯がありますので、ここから先は日本独自の方向性が問われるのかもしれません。。

またPCオーディオでは積み残しの課題として、AndroidのUSBオーディオクラスドライバーの実装問題と、WindowsでのUSBオーディオクラス2ドライバーの採用がありました。Androidについては、5.0 Lollipopでついに実装がなされましたが、48k問題とかいまひとつよくわからない実装となっています。ここは様子見ですね。
WindowsについてはWindows 10にむけて有志がマイクロソフトのページで懇願しています。私も投票しましたが、ここはマイクロソフトの開発者も見ていますので、興味のある方はぜひ一票を入れてください。


また今年は「ハイレゾ」がブームとなりました。ブームと言ったのは、そもそもハイレゾ対応はいまに出てきたことではありませんが、各社キャンペーンもありこの一年で急にオーディオ周辺も含めたキーワードとなったからです。言い換えると、ハイレゾというのは技術的にはもはやキーワードにならないけど、マーケットタームとしてキーワードになっているということです。そのためいささか不鮮明さを残して進んでいるように思えます。
たとえば「ハイレゾロゴ」問題です。何回かこれについて書きましたが、まず規格というには40kHzとだけあっても、ここで何dB落ちているかを書かないと規格をクリアするための基準となりません。音茶楽では-10dB@40kHzのように明記していますが、これならば技術的な基準と言えるでしょう。
問題がある例を挙げると、ヘッドフォン・イヤフォンの分野ではBAの扱いです。BAは補聴器ベースの技術ですからいいところ16kHz上限であったものをJH Audioではデュアルで20kHzに引き上げ、ロクサーヌではクアッドで23kHzにさらに引き上げたというところに技術的な素晴らしさを感じるわけですが、かたやハイレゾロゴのためにBAでもカタログにあっさりと40kHzと記される機種があったとしたら不公平感が出ないだろうかという危惧があります。
またサンプルレートの方は40kHzと数値が書いてあるのに、なぜかビット数の方の24bitは考慮がなされていないというのも不思議な話です。かたや44/24をハイレゾとしてみなしているにもかかわらず、です。矛盾の故事ではありませんが、「ハイレゾ対応」のヘッドフォンやスピーカーで44/16と44/24の「ハイレゾの音質の差」がわかるのか、という基準はどうなのでしょうか。
企業秘密と聴覚判断があるのでメーカーに任せるというのは否定するわけではありません。メーカーが判断してハイレゾを聴くのに有意だと考えたモデルがあるなら、それを購入者に勧めるのはけっこうなことだと思います。選ぶ方もわかりやすいですしね。
ただしそれならば、40kHzという規格にならない規格ではなくメーカーの判断と責任でハイレゾロゴモデルを推奨するということだけで良いと思います。かえって中途半端な「40kHz基準」があるのは不透明感と不公平感を生んでしまうように思えます。

また、購入者がハイレゾロゴが付いてればいいのね、って思わないようにするメディアの書き方があると思うし、そこは気をつけていかねばならないと思います。私はCDよりハイレゾ音源を買うし、日本の市場が物理メディア離れできるチャンスだと思うので、ハイレゾ「ブーム」を否定しているつもりはありませんが、手放しにはできない面はあるということです。
このクリスマスにLINNレコーズがスタジオマスターの4GBもの無料配信をしました。1/6までなのでぜひダウンロードをお勧めします(一括DLできるのでDay24を選択してください)が、音楽の内容自体がまず良いと思いました。ハイレゾ音源って初期のころのスタジオマスター配信のLINNレコーズが音楽性と録音のどちらも良く、単に商業主義に陥らない方向にうまくハイレゾ配信をもって行けたという功績が大きいとも再認識しました。ブームの時だからこそ、そうした初心に立ち返る必要があるように思えます。


再認識と言えば、オーディオが世の中のトレンドとシンクロしているということも再認識した一年でした。
たとえばクラウドファンディングです。長くうわさされてきたニールヤングのPONOはKickstarterでデビューして成功を収めました。LH Labsはさまざまなキャンペーンを行い、超高いDACとケーブルを作ってるよくわからないメーカーと言うイメージから脱却したと思います。他にもAurisonics Rockets、マイケルのとこのi5、PS AudioのSprout、1964ADEL、失敗したけどFoobar2kモバイル、新興EarWerkzなどKickstarterとIndieGoGoなどで採用例は拡大をしています。
また話題のトレンド3Dプリンターもヘッドフォン、イヤフォンとも採用が進んでいますね。
結局オーディオは趣味の世界と言っても世の中の流れとは無縁ではいられないし、うまく利用した方がよりよい結果が得られると思います。


まあ、そうした世の中の流れをつらつらと書いてきて今年で10年にもなりました。うちのブログも10周年を迎えることができて、みていただいてきた皆様には御礼申し上げます。
今年特番として4/1にはこんな話を書いていました。ちなみにちょうど10年前にはカメラページで4/1にこんな話も書いてましたが、冬休みのお暇にでもご覧ください。(この年はロバートキャパ没後50年でした)

さて、来年はどうなるのか、楽しみなところです。ちなみに過去の振り返り記事はこちらですので本記事と合わせてご覧ください。
2013年振り返り記事はこちら
2012年振り返り記事はこちら
2011年振り返り記事はこちら
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2014年11月02日

機材と文化、カメラとオーディオ

11/1はライカの父であるオスカーパルナックの誕生日でした。また今年はパルナックがライカの原型となるウル・ライカの発明から100周年となります。つまりいまほとんどの人が使っているようなカメラが生まれてから100年となります。
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本日のライカ公式Facebookから

もちろんライカの前からカメラはありましたが、ライカが画期的だったのはいままで大型で持ち運びが難しく三脚に据えて撮るという常識を、手に持てるようなポータブルなものにしたことです。これはカメラに撮る自由をもたらして写真文化を大きく変革しました。
そうした意味ではオーディオでいえば初代Walkmanに似ているかもしれません。Walkmanから外で音楽を聴くことが一般的なものとなり、音楽を聴くかたちを変革していきました(ちなみに3.5mmステレオミニプラグは初代Walkmanがはじまりです)。

そしてもうひとつライカには重要なポイントがあります。ライカの小型化をもたらしたのは、フィルムを映画の2コマ分を一コマとしたいわゆるライカ版(36x24 - デジカメでいうフルサイズ)と定めて小型化したことです。いままでの大型カメラのフィルム(あるいは乾板)ならそのまま印画紙サイズで鑑賞できたものを、小さくしたので引き伸ばしが必要となります。このためライカの発売とともに引き伸ばし機も標準で用意されています。つまりライカというのは実はカメラの小型化だけではなく引き伸ばし機と一体のシステムだったわけです。
そしてこの縮小・引き伸ばしというプロセスがライカの隆盛で写真の世界で当たり前になったのですが、縮小したことによる画質の劣化は避けられません。つまりこれは言い換えるとライカは利便性と引き換えに画質が落ちることを人々に納得させた、ということも言えます。
そういう意味ではオーディオでいえばよりiPodに近いのかもしれない、とふと思いました。あるものが革新的というのは、それが人々のコンセンサスを変えうる、ということなのかもしれません。
posted by ささき at 09:41 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする