もちろんわたしもポータブルアンプを日常的に使いますが、iPhoneでは単体で聴くことも多くあります。たとえばこの桜のシーズンで重いカメラ機材を持って歩くときです。こういうときはポータブルアンプとレンズを交互に眺めて、やはりレンズを一本追加して持っていきます。
iPhone用のドックケーブルを使えばアンプも使えますが、やはり携帯機器・PDAですので使いにくくなります。
iPhoneはけっこう音はいいので単体でもそれなりに使える素地はありますが、iPhone単体で使うときはKlipsh Image(いまでいうx10)を使っていました。ユニバーサルIEMであるImageはまず装着がしやすいというのがカジュアルに使いやすい点です。
音質的にいうとWestoneのES3XがiPhoneで使うには一番よいと思います。ただしカスタムは脱着がやっかいだったり、完全に遮音されて人に話しかけられても聞こえないので、いつもの通勤で慣れたところではいいんですが、外出時にはちょっと困ることがあります。降りるべき駅を聞き流したりとか(笑
そこで、基本に立ち返ってここではiPhoneに普通のイヤホンということで考えて見ます。
イヤホンとしては以前紹介したYUIN PK1がクローズアップされますが、単体で聞く場合は無理してボリュームをあげてPK1を使うよりもPK2を使ったほうがよいこともあります。PK2も軽く前に書きましたが、イヤホンとしては国産の高級イヤホンよりもわたしは好きです。
しかしいまでは後継機であり上級機のOK1、OK2という新しい選択肢があります。
商品はこちらのHead-Directのホームページにあります。
http://www.head-direct.com/
PK1、PK2は音質の良さもさることながら程よい中域の近接感と適度なウォーム感を持った点でも特徴的なイヤホンでした。
OK1、OK2はそうした味的な部分を抑え目にしながらも、音質という点ではさらに一レベル上の再現性を図ったものです。
OK1とOK2の関係は基本的にPK1/2の時と同じようにOK1がハイインピーダンスのフラッグシップで、OK2がそれをDAP単体でも扱えるように控えめにしたものですが、実のところPK1のときと異なり、OK1はDAP単体でも扱いやすくなっています。その点でOK1はiPhone単体で使うときの切り札にもなり得ます。


OK1とOK2は見た目はラベル以外の違いはないので、写真はすべてOK1です(OK2の箱は青です)。右の写真が基本的なOK1の本体で、これにさまざまなアタッチメントをつけていきます。
もともとOK1とOK2はカナルとイヤホンのハイブリッドIEMというのが売りだったのですが、カナル形態は装着感がよくないのであまり使い良くはありません。(この辺はHeadfiでもいろいろ書かれていますが)
ちなみにカナル形態のときは左のように多種のイヤパッドとアタッチメントを組み合わせて、右のようにねじ込んで使います。


しかしイヤホンと割り切るとあのPKシリーズよりもさらに上の音を手に入れられます。OK1/2とも音の傾向は共通していて、PK1/2のような中域がフォーカスされる感覚はないのですが、やはり音質のレベルは一クラス上だと思います。イヤホンのときは左のようなラバーパッドをかぶせて使います。これはスピーカーのサランネットのようなものと考えてよいでしょう。

OK2は相対的に明るく軽めで、バランスドアーマチュアかと思うような精細感があります。ただし軽いといってもOK1と比べての話で、これだけで聴くと、軽いというマイナスの意味での印象は無くて、軽快に良くドライバーが動くという感じでしょうか。
立体感も高く、音がクリアでタイトと気持ちよく感じます。ただしはじめはやや高域がきつめにも感じるので、それなりにエージングが必要です。よくこなれてきたらあえて上のラバーを使わない手もあります。フィルターを外すような感覚ですね。
OK1はそれに加えて音に厚みがありしっかりとした実体感というかしっかりとした芯があります。シャープ感はナイフのように鋭く感じられます。
低域もイヤホンとしては驚くほどのたっぷり重みがあり、張り出し感は適度でしっかりしたインパクトがあります。かなりレベルの高い低域です。ただしシーリングは必要なのでわたしはイヤホン形態用のラバーをかぶせた上でカナル形態用に付属のサイドラバーを張り、さらにPKシリーズについていたドーナッツ形のフォームパッドをつけています。
このくらいするとテスト波形をMP3にRIPして電車の中で試してみても、50Hzくらいでも良好なレスポンスが出ているようです。これ以下では急に落ち込みますが、イヤホンでこれならもう十分すぎるくらいでしょう。
OK1の音質はイヤホンとしては驚くほどで、より音楽に深みを感じます。オーディオ機器としての満足感はiPhone単体で聴いてもかなりすばらしいと感じます。Imageと比べても明瞭感はかなり高く、引き締まってしっかりとした音を鳴らします。
やはりインピーダンスが高めなので、はじめややドライバーの動きに緩慢さを感じますが、エージングが進むと軽くに動くように感じられます。
OK1は電車で聴いても音の輪郭がくっきりと明確なので、わりと騒音の中でも聴けるのが特徴です。
OK2の精細さは電車の騒音にやや負けてしまいますが、OK1の芯の強さはそれに負けない感じです。静かなところで聴くならば、OK2は単に廉価版というだけではなく、独自の立ち位置があると思います。
一番のお勧めはやはりOK1のイヤホン形態です。OK1はハイインピーダンスモデルですが、PK1よりも鳴らしやすく、ボリューム位置は高くなりますがそれほど破綻を感じたりゲイン不足を感じません。
アンプとあわせるときは Practical devices XM5が立体感と明瞭感に優れた特性を生かせると思います。
ただしあくまでイヤホンですから音漏れも遮音性もそれなりですので念のため。その辺はやはりこの音でカナルタイプがほしいところではあります。Head-Directでは新しいカナルタイプも試行していますし、イヤホンタイプもセミカスタムみたいなプロトタイプも作っているようなのでまた今後の展開が楽しみです。
こちらにCGの画像があります。
http://www.head-direct.com/news.php?news_id=40
しかしiPhoneとイヤホンという基本的な組み合わせでこれだけの音がでると言うのは驚きであり、ある意味で痛快でさえありますね。

OK1はまさにハイエンドイヤホンという呼び方にふさわしいと言えます。