いろいろと考えていたんですが店頭などで聴いてちょっといいと思ったのがソナス・ファベールのtoyです。やはりソナスらしく性能プラスアルファがある感じです。それとこれは小型といってもブックシェルフですがおなじソナスのminima vintageですね。
toyもminima vintageもSonus Faberの昨年の製品ですが、さいきんtoyのフロア型のtowerというのが発売されたのを機にまた試聴会などの機会がありました。そこで価格的にも開きがありますが、ちょっと試聴会に二件ほど参加してみました。
それぞれ真空管アンプとブラデリウスのプリメインアンプという違った側面から聴くことができました。
写真ではWilsonのsystem8の前に2つ並んでいるのがtoyで、system8のとなりの木製のブックシェルフがminima vintage、そのとなりのフロアタイプがtoy towerです。

まずtoyです。ソナスというと木のエンクロージャーがトレードマークになっていますが、toyは革張りの外装を持っています。なかなかシックでよいのですが、これは中が木製ではなくMDFなのでそれを隠すという意味もあるようです。そのためもあってソナスとしてはかなりお買い得な価格帯で提供されています。
音質は少し輪郭が強調されたような高域の強さが特徴的でアクセントになっています。全体的にはウォーム感が強く甘いのですが、toyはこれが良さとなっています。価格的にもトータル性能を取るよりはこうした演出的にうまく音を作りこんでいるという感じです。
性能的にも悪くはなく後でも書きますが真空管だと意外とminima vintageとの差は小さく感じますが、ブラデリウスだと大きく差がついてしまいます。どちらかというとtoyは真空管と組み合わせて味的な面をうまく引き出すとよいのではないかと思いました。
次にminima vintageですが、これはソナスの出世作ともいえるminimaを復活させたものです。ただしminimaは10数年も前のモデルなので、いろいろとリファインしているようです。たとえばサイズを微妙に大きくして内部容量を稼いで低域を豊かにしています。
また、最近のソナスはスキャンスピークのユニットを使っていますが、オリジナルminimaも含めてはじめのころはディナウディオのユニットを使っていました。そこでこのminima vintageでも基本的にはディナウディオのユニットを復活させています。ただし忠実な再生産というよりは別なものを使っているけれども、同じディナのユニットを使うことで音調をオリジナルに近くしているということだと思います。
そのせいか、全体の音もウォームサイドではあるけれども、クレモナとかアマティのようなストリングス専科的な感じとは異なるように思います。
音質はブラデリウスで聞くとあきらかにtoyとは一レベルというよりも数段上手という感じで、あまり隙がなくサイズにしては欠点が少ない優等生的なまとめ方の良さを感じます。
スケール感はサイズなりですが特にブックシェルフとして不満はありません。細部の表現力はかなり高く、声のわずかなニュアンスや楽器の鳴りを明確に描き分けます。84dBというやや感度が低いところもあり、それなりの性能のアンプでないと性能を引き出せないように思えます。
ソナスらしい音楽性と小さいながらもかなり高い性能を両立させていて、さすがにノスタルジーだけで復刻させたものではないと感じました。
最後にtoy towerですが、これはあまり良くなかったです。
toyでは良いと思った甘さがtowerではだるく遅く聞こえてしまいます。たしかにフロア型らしい音の量感は得られますが、toyのまとまりの良さをなくしてしまっています。やはりコンパクトスピーカーというのはより点音源に近いよさというのはあるかもしれません。
フロア型として安いのは良いんですが、これだと特筆すべきスピーカーとはいえないと思いますね。このタイプだとちょっと前に聞いたDynaudioのFocus220あたりの方が良いと思います。
結局toyを聴きにいってminima vintageにやられたというありがちな結論になってしまいましたが、甘いだけではないというminima vintageの魅力がちょっと垣間見えたように思いました。
ただ、いま使っているディナウディオの25周年モデルとちょっとかぶるところがあるのが考えどころです。まあ別なシステムで使うつもりではあるんですが。。