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2025年03月08日

R2R DAC設計とトーンコントロールが魅力「Shanling EH2」のレビュー

EH2はShanling EH1に次ぐShanlingの新しいEHシリーズの据え置きのヘッドフォンアンプです。

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Shanlingは、1988年の設立以来、高品質なオーディオ機器を手がける中国のブランドとして、CDプレーヤーや真空管アンプからポータブルDAC、インイヤーモニターまで、多岐にわたる製品ラインナップを有しています。

* 特徴

EHシリーズは、デスクトップでの使用を前提に、小型で場所を取らないヘッドフォンアンプです。EH1がシンプルさと手軽さに重点をおいていたのに対して、EH2はさらにパワフルで、本格的なヘッドフォンアンプです。
またEH1/EH2ともに(ある世代には懐かしい響きの)トレブル(高音)とバス(低音)のそれぞれ独立したトーンコントロールが設けられています。Shanlingに聞いてみたところ、これはハードウエアによるもので、ソフトウエアによるイコライザーを好まないユーザーのために設けたとのことです。低域は±6dB、高域は±10dBの範囲で可変できます。

EH1とEH2の違いはまずサイズが違います。EH1はDC 5Vの外部電源で動作可能ですが、EH2はAC電源のみで据え置き専用として考えられています。その代わりにEH2の方がだいぶパワフルです。バランス出力で比較すると、EH1が0.4W(32Ω)であるのに対して、EH2は4.3W(32Ω)ものパワーがあります。入力もEH1がUSB-Cのみなのに対して、EH2はUSB-C、同軸デジタル、光デジタル、Bluetooth(LDAC、aptX HD、AAC、SBC対応)と豊富です。
ただし、EH2のサイズはEH1より奥行きが深い(EH1が約10cmに対し、EH2は約22cmで12cmの差)ものの、幅と高さはEH1と同じで、デスクトップに置くには依然としてコンパクトな部類です。

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そして大きな違いがDAC設計です。EH1が汎用品のCirrus Logic CS43198 DAC ICを採用しているのに対して、EH2はR2R形式の独自開発のDACを搭載しています。R2Rとは「Resistor to Resistor」の略語であり、文字通りに抵抗を組み合わせたDACのことです。形状からラダー(はしご)DACとも呼ばれます。
R2R形式のメリットとしてはいままで使われてきたCS43198のようなデルタシグマ形式のDAC ICに対して、PCM音源の時に複雑な変換が必要なくより高音質を発揮できるという点があります。このことは硬くデジタル臭い音の原因となる副作用が少ないと言うメリットがあります。デルタシグマDACではネイティブDSD再生という言葉がありますが、R2R DACではいわばネイティブPCM再生ができるのがR2R DACというわけです。
またR2R DAC採用の理由をSHANLINGに聞いてみると、SHANLINGの歴史の中でR2RアーキテクチャーDACの採用成功例は多く、この音質をより「アナログ」的で、デジタル特有の硬さが抑えられていると評価しています。近年、複数のメーカーがR2R設計を採用し始めたことで、このR2Rサウンドを好み、R2R方式のDACを求めるユーザー層が増えています。

またR2R形式のDACで特徴的なのが、デジタルフィルターのモードをNOSとOSの二種類から選べるということです。EH2では背面のトグルスイッチでNOSモードとOSモードを機械的に切り替えができます。
NOSとはNon Over Samplingのことで、オーバーサンプリングしないということで、OSはオーバーサンプリングするということです。オーバーサンプリングとはDACの内部でサンプリング周波数を高くすることで、ノイズを取りやすくするために行います。このためにSNなどの性能が上がりますが、一部情報が切り捨てられます。一方でNOSにするとOSでは除去されるはずの高周波成分が残って出力信号に混ざる可能性がありますが、これはいわば本来の情報をなるべく捨てないということです。そのため、SNが下がります。
言い換えるとOSとはノイズを効率よく取ってDA変換するということであり、NOSとはダイレクトにDA変換するということです。つまり一長一短があります。
R2R方式はPCMをそのままデコードできるので、デジタル処理は最小限で済みます。先に書いたデルタシグマ型のDACは原理的にOSが必須となります。つまりNOSというオプションはありません。一方でR2RではNOSもOSも選択可能です。つまりは両方切り替えられるのはR2Rの特徴です。
ですからR2Rでは最小限のデジタル処理で自然でアナログの音という観点から、デジタル処理がより少ないNOSがR2R形式と組み合わせることが多いというわけです。

一方でR2R DACはデルタシグマDACの逆なので、PCMには強いがDSDには変換が必要となります。EH2では「All to PCM」という思想で全ての入力をPCMに変換することで対応しています。つまりこれはShanlingのCDプレーヤーでの「All to DSD」思想の逆といえます。

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そして、もう一つ大きな違いはアンプの設計です。
EH1はSGM8262 ICを用いて価格的には一般的なオペアンプ設計がなされていますが、EH2では出力段にトランジスタを用いたディスクリート設計が採用されています。この価格帯のヘッドフォンアンプでトランジスタ出力段を持つEH2はユニークな存在です。
詳しくいうと、EH2ではBD139(NPN型)とBD140(PNP型)という対照的な二種類のトランジスタを用いてプッシュプル回路を組んでいると考えられます。(おそらくAB級)
これはEH2が4.3Wもの大出力を引き出せる理由です。また、このようなトランジスタを用いたディスクリート設計の場合には、オペアンプの設計に比べて単に性能が高いというよりも、より柔軟な設計ができて限界が高い能力を持たせることができるということが言えます。これは平面駆動や高インピーダンスなど要求の高いヘッドフォンに対してより柔軟に対応できるということです。
言い換えると、そこそこの性能の普通のヘッドフォンならば、オペアンプとディスクリートの差は大きくないけれども、要求性能の高いヘッドフォンならば差が大きくなるということです。このことからEH2はより高性能のヘッドフォンを持ったユーザーに向いています。

またちょっと面白い機能としてはUAC1.0モードがあるのでゲーム機(PlayStationやNintendo Switchなど)に接続が簡単にできるようになっています。ゲーム機にヘッドフォンアンプというと変わっているようにも思えますが、最近ゲーミング分野でベイヤーなどのハイエンドヘッドフォンが注目されていることから、こうした機能があっても良いと思います。

つまりEH2はより大きくAC電源のみの据え置き専用機であり、入力、パワー、DAC設計、アンプ設計でグレードアップされています。

* インプレッション

パッケージには本体に加え、日本仕様の電源アダプターが付属しているため、別途購入する必要はありません。標準品の電源もなかなか良いようですが、アンプなので別の専用電源にすると向上する余地はあるかもしれません。
EH1よりは大きくなったとは言え、4.3Wもの出力を有する高性能ヘッドフォンアンプとしてはかなりコンパクトで、ノートPCの横にぴったりのサイズ感です。(写真はケーブル類を外しています)

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ボリュームノブは適度にトルク感があり、バスとトレブルのつまみにはセンターにクリック感があるので、いちいち見なくてもだいたいの位置がわかります。操作系もシンプルでソースの切り替えとゲインくらいです。OSとNOSの切り替えは背面スイッチです。シンプルなデザインであまり飾り気はなく価格なりと言ったところです。
またNOSとOSの切り替えスイッチは使うたびにカチッと音がするのできちんとリレーで切り替えているようです。電源を落とす時も、ヘッドフォンを差し込む時もリレーが作動するカチッという音がします。外はあっさりとしていますが、中の作り込みはかなり丁寧なようなので、質実剛健なヘッドフォンアンプと言えます。

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試聴には主に平面型ヘッドフォンのSendy AudioのPeacockを使いました。PeacockはSendy Audioのフラッグシップ機で、詳しくはこちらの記事を参照してください。Peacockは4.4mmで試聴、ゲインはLowで十分です。

やはりEH2の良さはその音です。まずNOSモードにしてPeacockで聴いてみたところ、たまたま再生された女性ヴォーカルの歌声の美しさに驚くほど、その音色の再現力は魅力的です。性能はかなり高いように思います。
低音は打撃力が強く、相当なパワーを感じます。この辺は平面型のタイトな低音再現力を生かしています。高音域は伸びやかでシャープですが、刺激的な要素が少なく、これはR2Rらしい特徴であり、NOSでもOSでも同様に感じます。平面型の強みのワイドレンジは十分に発揮できてます。音場は左右の広さはほどほどで奥行きがある感じです。
そして中域再現力はとてもよくヴォーカルが艶かしくてとてもリアルです。価格レベルはかなり超えていると思いますね。
あまり発熱はなく、AB級らしく躍動感が高い音です。でもスペックを見ないで試聴したらおそらく滑らかさにA級アンプと思ったかもしれません。EH2は滑らか志向のR2RとAB級ハイパワー志向の取り合わせがユニークです。

HD800では6.3mm端子で聴いてみました。こちらはゲインをハイにした方が良いです。
ハイインピーダンスらしい鋭い低音のアタック感がOSモードだとかなり再現力が高く感じられます。HD800のこの鋭さが苦手な人はNOSにするとかなり和らぎます。
HD800の特徴の左右に広い音場もよくわかり、ヘッドホンに応じてそのまま音が変わる感じです。全体的にはリスニング寄りのアンプですが、こうしたモニター的な側面もあったりするのは基本的な音がよくできているからだと思います。
ただハイパワーアンプなのでCampfire Audio Claraのような高感度イヤフォンだと無音時に少しホワイトノイズが聞こえます。イヤフォンを使うならばダイナミックが良いでしょう。


EH2はNOSモードとOSモードの違いがかなり大きいアンプです。それはDSDのPCM変換の音とDSDネイティブ再生の音の違いに近いです。それがR2R設計がPCMネイティブ再生ということです。
NOSモードだと三極真空管を使っていないのが信じられないほど有機的で音楽的なサウンドで、暖かく滑らかで躍動感があります。かなり「R2Rっぽい音」です。OSモードにするとまるで異なりSNが高い現代アンプの音になります。例えばNOSだとハープの音色とか響きがよく美しく、OSだとやや無気的にはなる。その反面でドラムスはNOSだと少し甘めですがOSではかなりタイトです。
R2RなのでやはりNOSに注意が向くんですが、実のところEH2の良さはOSモードもかなり良い点です。OSでも十分に滑らかで角が少ないです。性能型と味がある音のバランスが絶妙です。
平面型はOSの方が良いと思うので、はじめはOSにして聴いた方が良いと思います。またNOSに関しては、雰囲気型の音楽や美しい音楽はNOSに切り替えると価格帯関係なくここだけで楽しめるような美しい音楽が楽しめるように思える強い個性もあります。

EH2はJ-POPなど硬い録音にとても向いているアンプです。アニソンも良いですね。特にNOSにしていると女性ヴォーカルが甘く艶やかに聴こえます。
ロックだとOSがおすすめで、ドラムの鋭いアタックが叩きつけるように気持ちよく楽しめます。NOSにすると打撃感が少し柔らかくなります。
ジャズでは現代的なジャズトリオはOSで軽快に、ジャズヴォーカルではNOSにして雰囲気感を楽しむのが良いと思います。
基本性能が高いので、複雑な作りの現代音楽や躍動感あるシンフォニーにも向いています。

もう一つの特徴のバス・トレブルのトーンコントロールのつまみですが、バス・トレブルは両方よく効いて、記憶にあるミニコンポやラジカセのバスやトレブルのように、あるいはそれ以上にかなり音が変わると思います。
最も良い使い方はヘッドフォンに合わせてイコライザーのように使うことでしょう。例えばPeacockだと低音が抑えめなので、思いっきりあげてもいいですね。ハイエンドヘッドフォンの性能のままリスニング寄りに思いっきり寄せられます。アニソン聴く人はバス下げて中域を活かすのも良いでしょう。
ハード処理のトーンコントロールなので、アプリのイコライザーと違って音の劣化が感じられません。普段イコライザーで味付けをしている人は、いったんそれを切って、これで調整し直すと良いでしょう。

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NOSモードでの個性的な滑らかサウンドと、トーンコントロールを組み合わせて自分好みの濃い味付けをしてみるとなかなか得難いオーディオ体験ができると思います。


* まとめ

Shanling EH2はハイパワーでかつR2Rの音を堪能できるヘッドフォンアンプです。NOSとOSのモード切り替え、バスとトレブルのつまみで音色を自在に操る感覚もユニークです。
つまみにはクリック感があるので、中央位置が視線を移さずとも分かります。曲の表示を見ながら片手でバスとトレブルを調整し、ベストな音を探すのは、昔ながらのオーディオの楽しみです。
Shanlingはもともと暖かみのある昔風のオーディオ的な音作りだと思いますが、EH2はその結晶のようなアンプといえます。懐かしのバス・トレブルとともにレトロ志向もユニークです。

EH2は見た目はシンプルですが音がよくコスパが高いので、ハイエンド平面型ヘッドフォンを買ったが予算が少なくなった、でもそれに見合うアンプが欲しいという時におすすめしたいヘッドフォンアンプです。
R2R設計もよく効いて柔らかい音なので、少しきつめの音のヘッドフォンを持っている人にも良いと思います。また今回は試していませんが、UAC1.0モードで、ハイエンドゲーマーにも良いかもしれません。
EH2はヘッドフォンを好きな様々なユーザーに手頃な価格で訴求できるヘッドフォンアンプと言えるでしょう。
posted by ささき at 09:22 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月05日

SENDY AUDIOの平面型ヘッドフォンPeacock、Apolloレビュー

SENDY AUDIOは中国のヘッドホンブランドで、国内では2024年10月からアユートが代理店を勤めています。フラッグシップのPeacock、ブランドエントリーのApolloなど平面磁界型のヘッドホンを諸力として、クアッドフォーマーなど特徴的な技術を有しています。
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左:Peacock、右:Apollo

12月のポタフェスの開催に合わせて来日した際に開発者に直接いろいろと話を伺った。

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左はCEOの周さん、右は開発のパンさん

* 開発者インタビュー

まずよく混同される話として、SivgaとSENDY AUDIOの関係について聴いてみました。
端的にいうと、会社の名前としてはSivgaであり、SENDY AUDIOはそのハイエンド製品のブランド名ということになります。つまりSivgaはSENDY AUDIOの兄弟ブランドというより会社の名前そのままです。
Sivgaは2001年からイヤホンやヘッドホンの開発に携わり、はじめはOEMを行っていました。それから徐々に自社ブランド製品に移行していて、その過程で高級品のラインナップをSENDY AUDIOとして別ブランドとして立ち上げたということです。
SENDY AUDIOは5-6万円以上のハイエンドヘッドホンをメインとしており、対してSivga名の製品はそれよりも下の価格でコンシューマーを対象としているそうです。

SENDY AUDIOのポリシーとしてはウッドハウジングと平面型振動板のこだわりです。これにはスピーカーオーディオへのオマージュがあり、スピーカーオーディオのハウジングもウッド材料なので、ヘッドホンもピュアオーディオを志向してウッドにこだわりたいと言うことです。このほかにも材質としては金属や皮革部分、装着性にもこだわりがあるとのこと。
ドライバー部分は自社開発にこだわっているそうです。中でもこだわりは自社開発の特許技術であるクアッド・フォーマー(QUAD-FORMER)技術です。
クアッドは四つの意味でですが、平面型の振動板が上下に振動して音を出すとき、実際には上下に正確に振動するわけではなく、左右にぶれてしまいます。そしてこのぶれが歪みの原因になります。
そこで、SENDY AUDIOでは普通の平面型の振動版上のコイルパターンの他に、四隅にこのぶれを抑えるための独立したコイルパターンが4つ設けられています。これがクアッド・フォーマー技術です。

下の図はパンさんが直接描いてくれたものですが、SENDY AUDIOの振動板にはメインのパターンの他に4隅に独立した部分があります(赤丸部分)。ここがクアッドフォーマー用のコイルです。Peacockには4つ、Apolloには2つ搭載されています。

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これによって上下の振動をより正確なものにして歪みを抑えることができるということです。効果としてはオーケストラなどの大音量時での歪みが特に減少するということ。
クアッド・フォーマー用コイルはPeacockでは4つ搭載され、Apolloでは2つ搭載されています。

* 製品紹介: Peacock

次にSENDY AUDIOの製品を紹介します。
まずSENDY AUDIOのフラッグシップとなるのがPeacockです。開放型のヘッドホンで平面駆動型ドライバーを採用しています。

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Peacock

振動板は88mmと大口径で薄膜複合材を採用しています。平面磁界型なので振動板の全面にコイルが搭載されていますが、前述したように4隅に振動板のコイルとは別にクアッド・フォーマーのコイルが配されています。平面型振動板の厚さは0.09ミクロン、振動板の両側にマグネットがあるダブルサイドマグネットを採用しています。

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Peacockのクアッドフォーマー用コイル(赤丸部分)

ヘッドホンハウジングには天然無垢材のゼブラウッドを採用、手作業による木材加工により製作され、ヘッドホンの木目と質感は一台一台異なるとのこと。
ハウジングの金属グリル部分は名の由来となった孔雀(Peacock)の意匠が施されています。このデザインは形だけではなく、音響的な効果も考えられているとのと。
ヘッドバンド部には柔らかいゴートレザー、イヤーパッドはゴートレザーとメモリーフォームで構成されている。イヤパッドの内側に大きくL とRを記載してわかりやすくしているのも良い配慮だと思います。これはApolloもそうですが、金属の面取りもきれいになされていて、質感も良い感じで、細かいところによく気が利いている感じです。

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Peacock

ケーブルには約2mの6N OCC 8芯リッツ線を使用し、4.4mmバランスプラグを採用、ヘッドホン側コネクターにはmini XLR 4pinを採用しています。基本は4.4mm端子で、パッケージに4.4mmから6.35mmへの変換プラグ、4.4mmからXLR 4pin変換プラグが標準で添付されています。
この他にはアクセサリーバッグと堅牢なオリジナルキャリングケースが付属しています。
インピーダンスは50Ω、感度的にも特に鳴らしにくくはありません。重量は約578gでやや重いのが難ではありますが、作りががっしりしているので致し方ないでしょう。

実際に手に取ってみると、ウッドハウジングは高級感があり、きれいに面取りされています。イヤパッドもヘッドバンドも革製で柔らかく、高級感があり本格的なハイエンド機という感じです。孔雀の羽を思わせるようなハウジングのホールもユニークです。こうした意匠に凝っているところはApolloにも引き継がれています。
装着すると少し重く感じられますが、側圧は軽めで長時間のリスニング向きです。

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PeacockとKANN Ultra/PA-10スタック

音質は平面型らしく高い透明感で解像度が高い音で抜群に強いアタック感が感じられ、音がとても速いのが特徴です。立ち上がりと立ち下がりのトランジェントが素早い感じで歯切れ感はBAイヤホンよりも良く感じられます。また空間再現が独特で奥行き感の再現に強いと感じられます。
ワイドレンジ感が高く、低音は重く、高音は鮮度が高くシャープです。ハイハットの高音から、ウッドベースの低音までアコースティック楽器の音を鮮明に描き分けます。特に低音の打撃感が高く、緩みが少ない点がダイナミックとの違いで、高音の伸びの良さや低域のアタック感ともに平面型らしいところです。低域が足りない感じはなく、量感も十分にあります。ただし後述のApolloが低音がコンシューマ的に誇張気味なのに対して、Peacockは抑えられていてハイファイ向きという感じです。
高温の歪感のない澄んだ音を聴くと、確かに正確に振動しているのかもしれないと思います。

また音色がやや暖かく、音に厚みが感じられる濃い音なのも特徴です。音に着色感があるわけではなく音色はニュートラルだが、低域が厚いので温かみを感じるかもしれません。
このためにワイドレンジで鮮明ながらモニター的というよりもリスニングに向いた感じに思えます。
声はかなり鮮明で歌詞も良くわかる。ヴォーカルがセンターにぽっかりと浮かび上がり、声が近く切々と美しい歌声で訴えてくる感じが伝わります。

音が早く歯切れが良いのは平面型らしい特徴です。スピード感があり、低音がタイトです。
例えば村上ゆきのスタンダード・カバー曲である「バンバン」ではギターの素早い音だけではなく、背後のウッドベースの深い音も素早くキレがあるので思わず足を揺らしてしまいます。そして声がよく通り、感動的に歌い上げるのが楽しめるわけです。

クアッド・フォーマー技術の効果としてはオーケストラなどの大音量時での歪みが特に減少するということなので、実際にオーケストラの代表的な強奏部を聴いてみました。
ベートーヴェン「運命」の冒頭部分は破綻が少なく安心して音量を上げられます。また2001年宇宙の旅でよく知られる「ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭のティンパニの連打は歯切れ良く打撃感が高く感動的な威力で聴かせてくれます。
Peacockは厚みがあってリスニング寄りに感じられますが、実のところ再生機材を選ぶとモニター的にも使えるかもしれません。低音もそれぼ誇張感はありません。

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KANN UltraとPA-10

機材で言うと、それほど鳴らしにくくはないのでポータブル機材でも使えます。ただそれなりに性能が良くないとPeacockの真価は発揮できません。
使って良かったのはKANN Ultraです。やはりES9038Proデュアルの解像力が高く、据え置きのようにパワーがあります。もう一つDAPを使っていて分かったのはA級アンプとの相性が良い点です。例えばA&K SE300で使うとA級モードとAB級モードの違いがよくわかります。KANN UltraのA級モードがあればなあ、と思ったらA級ポタアンのPA-10があるじゃないかということで、KANN UltraにPA-10をスタックして二段で使いました。KANN Ultra単体よりもパワーというよりも音空間が洗練されて深みが出ます。これでPeacockとよく合うようになります。実際PA-10側のゲインはlowで良いと思う。KANN側のゲインはMidでラインアウトは2V設定、DACフィルターはConpensate設定がいいかと思う。PA-10のA級モードはMAXだとPeacockの個性と相まってかなり濃い音世界となります。

この組み合わせはぐいぐい押してくるような音圧のものすごいスケール感と迫力があります。さすがにこのくらいだと据え置きはなくても良いかもしれないとも思えますね。PA-10が光るのはイヤホンよりもやはりヘッドホンです。

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またDAP単体ではSP3000Tが音色再現という点で震えるほど良い感じです。感動的な音色と透明な音が同時に楽しめます。
音が温かく滑らか、かつ高精細なHD画像のような細かな再現性をCD品質の音源でも味わえます。ヘッドホンながらハイエンドイヤホンなみにかなり解像力も細かいと感じます。透明感が高くSN感もかなり高いのは良録音のソロピアノ曲を聴くとよくわかります。打鍵の音が正確で、緩みがありません。SP3000Tの再現力どおりを正確にPeacockが出力しているように感じます。パーカッションやドラムのアタック感の鋭さも一級品だと思う。ここは平面型らしいところです。
SP3000Tで聴くとPeacockの再現性が極めて高く、かつ正確であることがわかります。音の歪み感がとても少なく端正な音に聴こえるのは、独自のクアッドフォーマー技術のおかげかもしれません。

HD800と比べてみると、Peacockの音の違いは際立ってきます。ただしHD800は4.4mmケーブルがないので3.5mmで使用しています。
まず音の分厚さが違います。Peacockは音が分厚くて重く、音の密度感がPeacockはぎっしり詰まっている感じです。Peacockはちょっと聴くと密閉型ダイナミックのような密度感と重さがあります。また低域がフラットで相対的に軽いと感じられるHD800に対して、Peacockは低域がたっぷり出るのでよりリスニング向けです。
Peacockの楽器音はモニター用とのHD800と比較しても遜色ないくらい正確な音色だと思う。高域のベルやハイハットの音は少し控えめで刺激成分は抑えられています。
音量自体はHD800よりも低い位置で音量は取れるので最近の効能率平面型のトレンドに沿っていると思います。

一言で言うと立体感のある高解像度リスニング向けサウンドで、頭を揺さぶるような迫力はヘッドホンならではのものなので、
Peacockの良さは音楽への没入感の高さ。感動的な音体験。モニター用とはちょっと違う。

* 製品紹介: Apollo

次はApolloです。ApolloはSENDY AUDIOのブランドエントリーモデルとなるオープン型ヘッドホンです。やはり平面磁界型を採用していて、クアッドフォーマー技術をダウンサイズして採用しています。価格が5万円台と安価で、Peacockの廉価版のような位置付けとしても考えられますが、重さがより軽く、低音が多いことから独自のコンシューマー向けの位置付けとしても捉えられます。

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Apollo

Apolloは複合膜の68mm大口径振動板採用の平面磁界型の振動板を搭載しています。またPeapockのクアッド・フォーマー技術をダウンサイズして搭載しています。Apolloの場合には振動板の下側に二個のクアッド・フォーマーの左右ズレ防止用のコイルが搭載されているのがわかります。

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Apolloのクアッドフォーマーコイル

ヘッドホンハウジングには木材加工技術を使用し、天然無垢材のローズウッド 表面は光沢のある塗装を施しています。この点で木肌をそのまま生かしたようなPeacockとは違います。ハウジングにはApollo(太陽神)の意味でもある太陽の意匠がほどこされています。
ヘッドバンド部には柔らかいゴートレザーを使用、イヤーパッドはハイプロテインレザーとメモリーフォームを採用しています。
ケーブルには約2mの6N OCC 4芯リッツ線を使用し、4.4mmバランスプラグを採用。4.4mmから3.5mmへの変換プラグが付属します。ケーブルはPeacockよりも一回り細くなっています。

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Apollo

Apolloを手に取ってみると木材と金属のバランスが良く、それぞれ高級感があります。Peacockに比べると重さがかなり軽く負担になりません。
音傾向はPeacockと似ていて、低域に重心がある音で低音が重く感じられます。低音の膨らんだ感じはないのでダイナミックとは違います。声も明瞭感があります。
平面型は低音が軽いという印象もあるが、それに反してかなりたっぷり低音があります。Peacockに対しても、Apolloは多少誇張気味に低域がたっぷりと涼感があります。ここはApolloが単なるPeacockのコストダウン版ではなく、コンシューマー向けに独自に調整されていることがわかります。
ウッドベースは腹に響くくらい出ますが、音のキレが良いので緩んだ感じはありません。なかなか優れていますね、
楽器音はPeacock同様に歯切れよく緩みが少ない感じで、解像感も高いものです。振動板の動きはきびきびとして平面型らしいと感じられます。
ただし声とウッドベースの分離はやはりPeacockの方が良く、音も一段Peacockの方が濃いので、全体的な性能はPeacockの方が上ではあります。Peacockとの音の違いは全体的な厚み・豊かさ・重み、低域の出方の違いです。解像感・楽器の音の鮮明さ・音の立体感、楽器の分離感もPeacockの方が良く、Apolloの方が少し明るめの音で低音がよりたくさん出ます。
とはいえ上級機と比較するのでなしに5万円台の絶対的なクラスで考えるとかなり性能は高いと思います。

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ApolloとDita Navigator

Apolloによく会うのはDita AudioのスティックDAC Navigatorで、価格も釣り合いが取れるので良い組み合わせでしょう。
Navigatorの少し温かみのあるところがよく合います。平面型の素早い動きにもNavigatorは追従できるので、Peacockと合わせてもなかなか良い組み合わせです。

Apolloは低価格ですが、クアッドフォーマー技術を継承した単なるApolloの廉価版としてだけではなく、軽さや低音の強さで独自の位置付けの平面型ヘッドホンです。
デザインの意匠や金属の質感の高さもなかなかのもので、音質の高さとあいまって、仕上げと音の点で55000円ヘッドホンにしてはコスパが高いと感じるでしょう。
低価格で本格的な平面型の体験ができると思います。鳴らしにくいということもないので、スティック型DACで十分鳴らせます。

まとめ

PeacockもApolloも、どちらも現代平面型らしく鳴らしやすく音質の良さを手軽に引き出せます。音に集中して楽しみたい時はPeacock、カジュアルに楽しみたい時はApolloという切り分けができるかもしれません。
またデザインの意匠を設計に入れ込み、金属も木材もきれいに使用しています。Apolloにしてもエントリーとしての手抜き感がありません。ハイエンドブランドとしての意気込みが感じられます。
Sivga/SENDY AUDIOでは今後は据え置きアンプやイヤホンを開発する計画もあるということで、今後も楽しみなブランドです。

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SONOSがセットトップボックスを開発

昨年はヘッドフォンを発売して驚かせたSONOSですが、新たにセットトップボックス(STB)を開発中のとの情報があります。
Apple TVやNvidia Shieldのようなセットトップボックスですが、The Vergeによるとインターフェースがとても美しいとのこと。NetflixやDisney Plusを統合して串刺し検索ができ、音声UIが実装されるようです。
重要なポイントはHDMIのスイッチとしても機能できるとのこと。つまり家庭内のゲーム機やブルーレイプレーヤーからのHDMI入力とストリーミングコンテンツをまとめて、それをTVやSONOSデバイスに出力することができるわけです。
価格は$200から$400くらいとのこと。

https://www.theverge.com/sonos/606025/sonos-pinewood-video-player-features
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2024年12月05日

FIIOのヘッドホンアンプ「K11」の通常版とR2R版の違いの記事をPhilewebに執筆

FIIOのヘッドホンアンプ「K11」の通常版とR2R版の違いの記事をPhilewebに執筆しました。

https://www.phileweb.com/review/article/202412/03/5784.html
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Shanling「EC Smart」の記事をPhilewebに執筆

Shanlingのスマートなデザインでかつ音も良いCDプレーヤー「EC Smart」の記事をPhilewebで執筆しました、

https://www.phileweb.com/review/article/202411/11/5783.html
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2024年11月18日

DAP時代のCD再生機Shanling 「CR60」

中国メーカーではCDプレーヤーのアナウンスが相次いでいます。その中で本格的なCDプレーヤー「ET3」や可愛らしいCDプレーヤー「EC Smart」を開発してCDづいているShanlingがまた新たなCD再生機を発売しました。それが異色のCD再生機である「CR60」です。単純にCDプレーヤーと書かずに「異色の再生機」と書いたのは、CR60があまりいままでにない機材だからです。

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*CR60の特徴

端的に言えば、CR60はCDトランスポート機能とCDリッピング機能をスイッチで切り替え可能なオーディオ機材です。
ちなみにCDトランスポートというのは本体にDACが無く出力がデジタル出しのみという意味です。DACが搭載されていてアナログで出力できるものを一般にCDプレーヤーと言います。
トランスポートとして見ると、CR60のデジタル出力で特徴的なものはSPDIFや光デジタルなど一般的な出力の他に、USBデジタル出力がついていることです。これにより出力先にUSB DAC機能内蔵のDAPなどオーディオ機材を接続することができます。
またCR60のリッピング機能は一般的なPCに接続するCDドライブではありません。その代わりにスマホや一部のDAPに接続してリッピングすることができます。一般的なPCに接続するCDドライブではありませんが、PCに接続してリッピングすることもできます。
つまり、昔のCDトランスポートはオーディオラックに据えられた据え置きDACに接続するものでしたが、CR60はその接続先がより現代的になっています。

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CR60はCDトランスポート機能とCDリッピング機能を搭載した機材ですが、ひと捻りあるのはShanlingの強力なOSが搭載されている点です。CR60の前面には小さいながらも精細なカラー液晶画面(1.14インチ)が設けられていて、これが日本では見慣れた昔のCDプレーヤーとは異なります。画面横のボタンで機能や出力先を切り替えます。
背面を見ると興味深いことにUSB端子がたくさんついていて、USB-A、USB-B、USB-Cのすべての種類のUSB端子が勢揃いして、電源用のUSB-C端子まであります。それは互換性のためというよりも、CR60自体がデバイスにもホストにもなれるからです。ちなみにUSB端子のAはホスト用、Bはデバイス用という意味で、Cは両用です。USB機器としてみると、トランスポートとして出力する際にはホストになりますが、リッピングする際にはスマホやDAPからデバイスとして接続することになります。CR60はこれを背面のハードスイッチと内蔵OSで切り分けています。出力先は通常は自動に判別されますが、ボタンを使用して手動でも切り替えが可能です。

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トランスポート機能はUSBで出力できる以外は普通に使えますが、リッピング機能は少々特殊です。
CDリッピングは通常の外付けCDドライブではなく、基本的には専用のアプリから使用します。この場合にはCDDBのようなデータベースからタグ(曲名やジャンルなど)付けができます。アプリを使用する場合にはアプリがタグを検索する機能を有しています。リッピング機能をフルに活用するには「Eddict Player 」アプリを使用します。これはAndroid端末とShanlingの特定のDAPから使用することができます。
PCの一般的な外付けCDとしては使用できませんが、PCではWAVとして保存することができます。そのためEAC(Exact Audio Copy)などは使えません。USBストレージデバイスを接続することで直接USBストレージにWAVで格納することもできます。こうしたWAVで保存する際にはタグ付けはできません。
CDリッピング機能はCR60のUSB-BまたはCを使用します(CR60はデバイスだから)。リッピング機能はiOSからは使用することができません。

つまりCR60は古風なCDと現代的なDAPのギャップを埋めて、それを結ぶことができる機材とも言えます。

*実際の使用について

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CR60は説明するにはややこしい機材ので、実際に使用してみるのがわかりやすいかもしれません。
ここではDAPにShanling「M3 Ultra」を用いて説明します。M3 UltraはSnapdragon 665を搭載したAndroid 10ベースのDAPで、AGLO(Android Global Loss-less Output)というミキサーをバイパスする機能を有しています。DACはFPGAを用いたES9219Cのデュアル DAC方式です。シャープで鮮明なサウンドのDAPで、コンパクトなので持ち運んで使い回すのに良さそうです。

CDトランスポートとしてCR60はコンパクトなデスクトップ向けのサイズです。筐体は重く、がっしりとした作りです。機能からはガジェット的な感じがしますが、実物はオーディオ機器らしいがっしりとした作りです。本格的なオーディオ機材に先進的なOSを内蔵させるという点がShanlingらしいところです。
電源はUSB-Cの5V電源と12V DC電源を使用することが可能です。電源にUSB端子も使えるのが便利ですが、据え置きで使用する際には12V DCがおすすめです。(ただしDCケーブルは付属していません)

* トランスポートモードでの使用
1 付属のUSB A - Cケーブルを用いてA端子をCR60に接続、C端子をM3 Ultraに接続します
2 背面スイッチを「トランスポート」に変更します。CDを挿入します。CDの操作は一般的なCDプレーヤー通りです
3 M3 Ultraの画面上部からシステムステータスバーを表示させ、二段に広く表示させてDACモードをUSB-DACに変更します。すると自動的にUSB出力が選ばれます
4 CR60の再生ボタンを押下するとM3 UltraからCDの音楽が再生されます

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トランスポートモードでのUSB DAC画面

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トランスポートモードでのCR60画面

トランスポートモードでは、iBasso DX260やAstell & KernのDAPでもUSB DACモードにすることで簡単に使用することができました。USB出力のできるコンパクトなCDプレーヤーというのはほとんどないと思うので、オーディオ機器はDAPだけ持っていて、CDも使いたいという人にはこれだけでも便利に使えると思います。音質もなかなか良好です。

* リッピングモードでの使用
1 USB-C - Cケーブル(別売)でCR60とM3 Ultraを接続。USB-CケーブルはOTGではなく通常のデータケーブルです
2 背面スイッチを「リッピング」に変更します。CDを挿入します
3 M3 UltraはWi-Fiに繋ぎます。M3 UltraでEddict Playerアプリを立ち上げます。(Shanlingプレーヤーではありません)
4 Eddict PlayerのCDリッピングメニューを選択
5 自動的に曲情報をCDDBなどから取り出して、アルバムの候補をリストします。これは一致が複数あるためです。どれか選んで確定するとリッピングを開始します。リッピングは数分かかります。
6 終了すると曲名がついてM3 Ultra内に保存されます。アルバムアートは手動で設定できます
7 この後は普通にShanlingプレーヤーなどから再生できます。ジャンルや年代など曲情報も入っています

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Eddict Playerのリッピング中画面

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CR60のリッピング中画面

PC、MacではWAVでタグなしでリッピングが可能です。例えばMacでの手順は以下の通りです。
1 USB-C - Cケーブル(別売)でCR60とMacを接続。USB-CケーブルはOTGではなく通常のデータケーブルです
2 背面スイッチを「リッピング」に変更します。CDを挿入します。
3 MacのデスクトップでAudioというアイコンを探してクリック
4 アイコンを開けるとフォルダの中に楽曲がWAVとして見えます
5 それらを任意のフォルダーにコピーすると(ファイルのコピーではなく)リッピングが開始されます。そのため数分程度かかります

Mac画面.jpg
Macで開けたCR60フォルダの画面

Eddict Playerが動作すればShanling「M3 Ultra」など以外のAndroid DAP/スマホでも使えるように思えますが、iBasso DX260では使用できませんでした。ただしDX260でもAndroidからPCのような手順でWAVでのリッピングはできます。

* まとめ

CR60は今までにないタイプの製品ですが、前提として中国市場は経済発展の度合いにより日本よりも遅れてCDプレーヤーの全盛期を迎えているわけですが、現在はDAPやスマートフォン全盛期でもあります。つまりその時代のずれを是正することが必要になります。端的に言えばCR60はそうした意味で、CD時代と現在のギャップを埋める役目をする機材ということができます。つまりDAPからでも使えるCD機材ですね。
これは中国市場だけではなく、日本のスマホネイティブ世代の若者層にも物理メディアであるCDの人気が再燃していますし、同じ需要があるのではないでしょうか。

CR60使い方.jpeg

家では据え置きのオーディオ機材はなくて、スマホやDAP、USB DACなどだけで聴いている人が、CDを使いたいという時に便利な機材と言えると思います。
トランスポートモードは、DAC以外にもおそらくUSB DACモードのある多くのDAPで使用することができると思います。
ただしリッピングモードは対象機を選ぶと思います。Shanling DAPでEddict Playerが動作すればかなり快適に使えます。もしかするとAndroidスマホでも使えるかもしれませんが、店頭などで念のためにテストをさせてもらった方がよいでしょう。

CR60はまるでCDが最近発明された世界線の製品のような個性的でニッチな製品で、ニーズにはまると使いやすい製品といえるでしょう。




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2024年07月31日

アスキーにインド発の密閉型/静電式ヘッドホン、オーディオ勢力図の変化を感じた「INOX」の記事を書きました

アスキーにインド発の密閉型/静電式ヘッドホン、オーディオ勢力図の変化を感じた「INOX」の記事を書きました。

https://ascii.jp/elem/000/004/212/4212349/

なお長い間執筆してきたアスキーの連載は今回300回を持って終了となります。
今後はまたこのブログで最新トピックやレビューなど書いていきますのでよろしくお願いします。
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2024年06月25日

独特の音色再現のバッテリー内蔵DAC、ONIX Mystic XP1

ONIXは1980年代にイギリスのブライトンで生まれたブランドで、パワーアンプの設計から始まったようです。80年代にはイギリスをはじめアメリカや日本など世界的に活躍したブランドです。
最近では台湾のオーディオブランドの傘下に入り、Shanling Audioとも提携しています。このShanlingとの提携はXP1のファームウエアに表れています。

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今回レビューするONIX Mystic XP1はバッテリー式のDAC内蔵ヘッドフォンアンプで、ブリティッシュサウンドを冠した製品です。ポータブルとは銘されていますが、かなり大きく重いのでトランスポータブルということになるでしょう。一方でShanlingとの提携の効果によりShanling H5などと似た仕組みで単体使用が可能で、重さを厭わなければ単体でも使うことができます。
このように質実剛健な面と近代的な機能性を併せ持つDAC一体型のヘッドフォンアンプといえます。

DAC部分は据え置きも含めて現在最高クラスともいうべきAK4499EXを2基とAK4191EQを1基採用しています。これは一つのDAC ICだったものを、デジタル処理を専門に行うというAK4191と、アナログ信号を専門的に扱うというAK4499EXの二つのICに分けた設計です。この形式は高速でスイッチングするノイズの塊であるデジタル部と、ノイズを嫌うアナログ部の相反する二つを根本的に切り離し、SN比の向上を目指した設計です。このためそれぞれの性能も向上し、AK4191では従来のDACのオーバーサンプリングが8倍か16倍程度のところを256倍のオーバーサンプリングが可能となっています。またこの形式は電流出力となるために、最終的には電圧に変換する必要がありますが、そのI/V変換ステージには自社開発という独自の回路を採用しています。この辺も地味に音質向上のポイントとなります。
ヘッドフォンアンプはフルバランス構成で設計がなされ、ヘッドフォンアンプとしては定評あるTPA6120A2を採用しています。これはかなりパワフルなチップです。

IMG_2682.jpg  IMG_2680.jpg

またXP1は豊富な入出力とモードを装備しています。
入力では同軸/光デジタル統合のデジタル入力、アナログ入力、XMOSを備えたUSB入力、LDACとaptXHDに対応したBluetooth入力(Bluetoothレシーバー)、それとMicroSDカードによるローカル再生機能が搭載されています。このMicroSDカードによるローカル再生機能はShanling H5 やEH3などに搭載されている機能と同じで、スマホ上のアプリ(Eddict Player)を使用することでスマホをリモートUIとして使用して、内蔵音源を使うことであたかもDAPのように使うことができるという機能です。

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出力としては3.5mm、4.4mmバランスの端子に加えて6.3mmのヘッドフォン端子も搭載されています。背面には4.4mmのバランスラインアウト端子が搭載されています。ゲインはLow/Mid/Highの3段階ありますが、それに加えて独自のイヤフォンモード/ヘッドフォンモードが搭載されています。これは独自にヘッドフォンのために調整されたゲイン機能のようですが、詳細はわかりません。いずれにせよこのイヤフォンモード/ヘッドフォンモードと3段階のゲインで、イヤフォンやヘッドフォンの鳴らしやすさに応じて6通りの調整が可能となります。

電源は7000mAhの大容量バッテリーを内蔵しているので、バッテリーで駆動ができます。またM-Power(DC電源)モードでDC電源により駆動することでパワーを増強させることができます。
4.4mmバランスの時にヘッドフォンモード/Highゲインの際には4.9V@32Ω (750mW@32Ω)と大パワーですが、それをM-Power(DC電源)モードでは8.7V@32Ω (2360mW@32Ω)とかな裏パワーアップ可能です。

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筐体はCNC切削加工技術によるもので、ディスプレイにはヴィンテージスタイルのドットマトリックス有機ELディスプレイを採用しています。サイズは160×92×30 mm、583gとポータブルとしては重量級アンプとなります。


インプレッション

かなり大柄でポータブルというよりはトランスポータブルというジャンルだと思う。基本的にはデスクトップにおいてPCと組み合わせるのに向いている。外観は質実剛健という感じでシックで良いと思う。
電源投入は上部のボタンではなくボリュームつまみを押し込むことで行う。ボタンは入力モードや表示切り替えに使うものです。デジタル表示は懐かしい感じの赤色LEDを用いている。ボリュームはクリック感があり適度にトルク感があります。

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まず付属のケーブルでUSB接続で、M2 Macbook Airに接続して音を聴いてみました。ホータブルで使いたい場合にはスマホをUSB-Cで接続するよりも後述のSDカード音源のモードが良いでしょう。
qdc White Tigerをバッテリーモード、イヤフォンモードのLowゲインで4.4mmで使います。このようにモード切り替えが多いのも特徴です。


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XP1とqdc White Tiger

まず音の特徴は暗めで陰影があり厚みのある音色です。帯域バランスも良好です。音の密度感が濃く、力強さが感じられます。
本格的なオーディオの音という感じで、明るさが抑えられてしっとりとした音色がたしかにブリティッシュサウンドという感じがします。
ジャズヴォーカルを聴いていると地下の雰囲気あるステージでしっとりと演奏している感じが伝わってきます。アメリカンサウンドというと低音多めで明るく勢いがある音ですが、それとは対照的で音バランスが良く陰影があります。湿度感がある感じで、80年代とか90年代の英国ブランドの音に似ています。

本機ではまずこうした音色表現に惹かれますが、音性能が極めて高いのも特徴です。
解像感はとても高く、楽器が幾重に重なっていてもその合間に聞こえる演奏者の息を継ぐ音がくっきりと聞こえてきます。またワイドレンジですが、高い音はシャープというだけではなく雑味が少ない音で、伸びやかで整っています。あらさやキツさは少ないですね。低音は出過ぎず少し抑えめですが、解像力が高くウッドベースの鳴りもよく響いて聞こえます。ヴォーカルの囁きも艶かし口感じられます。
単に高級DAC ICを使ったというだけではなく、良いパーツや上質な設計をしている音のように感じられます。電流出力タイプのDAC ICは電圧変換が必要なのでその後の設計が大事ですが、I/V設計に凝っているというのも納得はできる音です。こうした音はある程度の物量投入が必要なので、ボディサイズが大きくなるのはやむを得ないかもしれません。

Mac側でAudio Midi画面を使用して44kHzの曲を96kHzにリサンプリングするとXP1画面でも96kHzにリサンプリングされます。また小さなLEDの色が変わります。リサンプリングによる音の差はわりと大きく感じられる方だと思うので、ソフトウエアでのリサンプリングを積極的に使うのも良いと思います。foobarなどを使用してあげても良いですね。赤色LEDでは768kHzまでロック表示がなされ、Audio Midi画面でも768kHz対応がわかります。

ヘッドフォンモードとイヤフォンモードについて、同じWhite Tigerでイヤフォンモード/Lowゲインからヘッドフォンモード/Lowゲインにすると音調がややきつめに強い感じになります。音量もやや増えます。イヤフォンモード/Lowゲインに戻すと落ち着いた感じに戻るように感じます。
次に同じWhite Tigerでイヤフォンモード/Lowゲインからイヤフォンモード/Midゲインにすると音調は同じで音量が高くなります。これは普通のゲインの切り替えです。ヘッドフォンモード/Lowゲインだと音量もやや増えるがMidゲインほどではありません。それよりもヘッドフォンモードでは音が力強く聞こえるのが特徴です。
このイヤフォンモードとヘッドフォンモードは通常のゲインとは別に特別に調整されたゲイン調整ということのようてずが、詳細についてはわからない。いずれにせよイヤフォンではなく、次のようにヘッドフォンを使用する時にはかなり効果は高くなります。

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XP1とHD800

次にゼンハイザーHD800を6.3mm端子で使用してみると、ゲインはやはりHigh位置が必要で、ボリューム位置も上げる必要があります。このときにイヤフォンモードからヘッドフォンモードに変えると音がややこもっていたのが明るく晴れ上がるような感じがします。楽器音の爪弾く音がよりくっきりと聞こえ声も明瞭感が増します。このヘッドフォンモードはヘッドフォンを使う時にとても使えると思います。ジャズボーカルの声も一層明瞭に細かなところまでよく聞こえるようになり、ウッドベースの切れ味も良くなります。

IMG_2667.jpg  IMG_2670.jpg
M-Power(DC電源)モード

ここで電源を専用電源を使用してM-Powerモード(DC電源モード)にしてみます。このときボリュームは少し下げておいた方が良いです。
そうすると音は暴力的と言えるほど力強さが増して、ジャズの荒々しさが堪能できるようになります。低域の深みが増し、重みと沈み込みが増します。高音域もより力強い感じがするのでより伸びやかに聞こえます。M-Powerモードではゲインは一段階下げた方が良いように思う。暴力的なパワー感を味わいたいときはゲインはそのままでボリュームを下げると良いと思います。
パワーを上げるにはヘッドフォンモードにする、ゲインを上げる、M-Powerモードにするという3段階があるというわけです。

次にいくつかイヤフォンとヘッドフォンを変えてみました。

ヘッドフォンではUltrasone Signature Pureを使うとHD800よりも解像力等は及ばないが、XP1ではやや抑えめの低域がプラスされるのでXP1をよりヘビーなサウンドで楽しみたいという方はこうしてヘッドフォンの方を変えてみると良いと思う。やはりM-Powerモードでヘッドフォンモードがお勧め。

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XP1と3T-154

イヤフォンでは3T-154を使うとより低音を効かせた迫力あるサウンドを楽しむことができます。3T-154ではゲインはlowで良いがヘッドフォンモードを使うことをお勧めします。よりパワフルな力感がありクリアな音が楽しめます。ダイナミック型はヘッドフォンモードが向いているかもしれません。またM-Powerモードでもさらに音の圧力を高めるように思います。

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XP1とProjectM

またDITA Project MでもイヤフォンモードではマルチBAらしい端正な音を楽しめますが、ヘッドフォンモードにすると力強くダイナミックドライバーの側面が生きてきます。ヘッドフォンモードはハイブリッドタイプイヤフォンでも効果的に使えると思います。M-Powerモードでは一層ドラムスのキックの力感がまし、声に厚みが加わります。

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Bluetoothレシーバーモード(AACで受信)

次にWhite Tigerをイヤフォンモード/LowゲインでBluetoothレシーバーモード(BT)を試してみた。スマホはiPhone 15 Pro MAXです。
USB接続に比べると音質はさすがに落ちてしまうところもわかってしまいますが、そう悪くはない。音源が良いと明瞭感高く楽しめ、手軽に使うことができます。ストリーミングを楽しみたいときは活用することができます。

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Eddictアプリの画面

次にローカル音源の再生を試してみます。これはShanling EH3などに搭載されているものと似た機能です。
まずモードをTF(SDカードのこと)にします。EddictPalyerアプリのSyncLinkの項目でONIX XP1を選択します。この時にBluetoothレシーバーとしてXP1を選択していると接続されないので、Bluetoothレシーバーとして使用しているときはいったん解除します。MicroSDカードのフォーマットはFAT32またはexFATで、音源ファイルはMicroSDカードの直下に置く必要があります。
アプリのSyncLinkから接続したら次にファイルのスキャンを行うと、これで再生画面から音楽が見えるようになります。
多少持ち運びには重いが、以前書いたShanling H5のようにスマホをリモートUIにしたDAPのように使用することができます。音質はワイヤレスではないので極めて高く、もちろんハイレゾ再生も可能です。BTモードでBluetoothレシーバーとして使用するよりも音質はずっと高いので、単体でポータブルで使用するにはこのモードがおすすめです。
またEddict Playerから操作するとDACフィルターも変えることができるようです。

まとめ

XP1は二つの点から選択のポイントがあります。一つは音色が独特なことで少し古めのオーディオらしい音色を好む方にお勧めです。もう一点は機能性で、M-Powerモード、ヘッドフォンモードなど独自機能も有効に働いて音のバリエーションを増して、機材の適合性も上げています。

XP1は高品位なサウンドで持ち運びには大きいですがデスクトップには好適です。M-Powerモードを活用するにもデスクトップが良いと思う。さまざまなハイエンドイヤフォンやヘッドフォンを使いこなす上級ユーザー向けの製品ですが、もう一つの面もあります。今回触れませんでしたが、UAC1.0対応なのでゲーム機などにも活用でき、ベイヤーのヘッドホンなどのゲームユーザーに好まれる高性能ヘッドフォンを使用した最近の高音質ゲーミングの潮流にも使えるでしょう。
XP1は古いグラスに新しいワインが入っているという趣向の趣味性の高いオーディオ製品だと言えるでしょう。
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2024年06月08日

PhilewebにFIIOのヘッドフォン戦略のインタビュー記事を執筆

PhilewebにFIIOのヘッドフォン戦略のインタビュー記事を執筆しました。

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Philewebにブリスオーディオ富嶽のレビュー記事を執筆

Philewebにブリスオーディオ富嶽のレビュー記事を執筆しました。

https://www.phileweb.com/news/d-av/202404/27/60284.html
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アスキーにGoogleの音楽AI「Music Sandbox」の記事を執筆

アスキーにGoogleの音楽AI「Music Sandbox」の記事を執筆しました。

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2024年03月15日

PhiewebにDALIのハイエンドヘッドフォン「IO-12」のレビュー記事を執筆

PhiewebにDALIのハイエンドヘッドフォン「IO-12」のレビュー記事を執筆しました。

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2023年12月30日

DALIのハイエンド・ワイヤレスヘッドホン「IO-12」レビュー記事をPhilewebに執筆しました

DALIのハイエンド・ワイヤレスヘッドホン「IO-12」のレビュー記事をPhilewebに執筆しました

https://www.phileweb.com/review/article/202312/30/5440.html
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2023年07月29日

アスキーにFerrum Audioのプレスイベントの記事を執筆しました

アスキーにFerrum Audioのプレスイベントの記事を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/145/4145461/
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2023年03月27日

アスキーに執筆しました「CanJam 2023 NYレポート、CampfireがAndromedaやSolarisの新モデルを投入ほか」

「CanJam 2023 NYレポート、CampfireがAndromedaやSolarisの新モデルを投入ほか」の記事をアスキーに執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/126/4126446/
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アスキーに執筆しました「新しいBingが発見した“謎の新イヤホン”、AIが筆者自身の記事を要約したら……?」

「新しいBingが発見した“謎の新イヤホン”、AIが筆者自身の記事を要約したら……?」の記事をアスキーに執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/125/4125332/
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アスキーに執筆しました「AIの進化は当然音楽も変える、グーグル、ヤマハなど各社の戦略」

「AIの進化は当然音楽も変える、グーグル、ヤマハなど各社の戦略」の記事をアスキーに執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/124/4124628/
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2022年02月04日

アスキーに「品薄と値上がりが進むオーディオ製品」を執筆

アスキーに「品薄と値上がりが進むオーディオ製品」を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/081/4081157/
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2022年01月07日

CES2022でGaNトランジスタのパワーアンプが登場

CES2022でGaN(窒化カリウム)採用のクラスDパワーアンプが展示されています。これはオーディオ向けクラスDチップメーカーのAxignと素子提供するGaN Systemsのコラボによるもので、製品と言うよりデモとかリファレンスモデルになります。この展示モデルでは250W/chx2の出力です。

https://www.embeddedcomputing.com/technology/analog-and-power/gan-based-500w-heatsinkless-audio-amplifier-from-axign-and-gan-systems

普通トランジスタには半導体としてシリコン (ケイ素) が使用されますが、これはシリコンの代わりにGaN(窒化ガリウム)を半導体としてトランジスタを作成したもので、従来の製品とは根本的に異なります。
GaNはシリコンのトランジスタよりも高効率で電力損失が少なく発熱が少なくなります。また低抵抗でスイッチング回路にもむいています。GaNはアンカーのACアダプタやソニーのSA-Z1のD.A.ハイブリッドアンプなどにも採用されていますが、今後注目の技術と言えます。
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2021年12月28日

2021年注目の技術2 音響メタマテリアル

これは今年というよりもオーディオ界隈では昨年くらいからの流れになります。メタというのはメタムービーが劇中劇を指すように視点の次元から一つ上の次元というような意味で「高次」とか「超越」という意味で使われます。メタマテリアル(Metamaterial)とは直訳すると「超越素材・高次素材」のような意味で、自然界にはない人造的な素材という意味です。
もともとメタマテリアルは光学分野が始まりで、自然界にはないような光の屈折をする素材の研究から生まれたものです。それがホテルの空調ノイズの低減などに利用されて、音響分野でも音響メタマテリアルとして発展してきました。
下記はKEFと協力したと言われているAMG(Acoustic Metamaterials Group)のホームページです。
https://acousticmetamaterials.org
上記ページの"CUSTOMIZATION PROCESS"という欄を見ると効果説明図がありますので、この図を描きのKEFのページにあるMATの動作動画のグラフと比較するとメタマテリアルの効果が分かりやすいと思います。
メタマテリアル技術はすべての周波数帯域に一様に適用されるものではなく、ノイズにはピークやデッィプなどの凹凸があるのでそれに応じた形状を計算的に求めてその凹凸を打ち消すという考え方です。その形状は複雑な計算により求められるので自然界にはないような迷路のような形状となります。

実際の応用例としてはまず、昨年KEFがMAT(Metamaterial Absorption Technology)という技術を発表し、KEF LS50 Metaという新型スピーカーのドライバーに音響メタマテリアルを適用しています。"Metamaterial Absorption Technology"とはメタマテリアルによるノイズ吸収技術という意味です。これはドライバー背面から生じるノイズの提言に使われています。
下記のKEFのページのMATの動作動画のグラフに注目してください。
https://jp.kef.com/pages/metamaterial

KEF_LS50_Meta.png  手に持っているのがKEFのMAT.png  KEFのMATがノイズ吸収する様子.png
手に持っているのがMAT

続いて今年Dan Clark Audio(旧称MrSpeakers)から新ヘッドフォンStealthのが発売されました。
https://danclarkaudio.com/dcastealth.html
Stealthは平面磁界型の形式でありながら、珍しいことに密閉型です。密閉型は定在波などを低減しにくいために高音質化は難しいとされていましたが、それを解決するためにStealthで導入されたのが音響メタマテリアルであるAMTS(Acoustic Metamaterial Tuning System)です。AMTSは複雑な多孔の整形物による音響フィルターでエアフローの通り道に置かれます。
StealthではこのAMTSを使用することにより密閉型で主に発生するノイズを3Khzから超高域まで低減するとしています。

Stealth本体.PNG  手に持っているのがAMST_人物はDanClark.PNG  AMST.PNG
手に持っているのが AMST

音響メタマテリアルのオーディオ機器への適用はまだ限定的ですが、そのうちに小型化されていけばという期待感もあります。これも来年どう動くか注目したい技術です。
posted by ささき at 13:17| ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする