Music TO GO!

2017年04月02日

ヘッドフォンブック 2017に執筆しました

3/31発売のヘッドフォンブック 2017にいろいろと執筆しました。
いろいろ書かせてもらいましたが、まずヘッドフォンブックの10周年記念として、「この10年、私の印象に残った一台」でUltrasone Edition9を選びました(P62)。やはりいまのヘッドフォン世界をここまで持ってきた嚆矢だったと思うし、この辺はうちのブログを前から見てもらっている方には納得の選択だと思います。
またAstell & Kernの軌跡(P78)は営業S氏監修のもとに書き上げた4ページの大作です。文字数の多い原稿ですが、書いてみると足りないくらいで、Astell & Kernもここまできたかと思いながら書いてました。
ヘッドフォンアワード(P34)でも選定委員として参加しています。これはまた春のヘッドフォン祭で表彰式を行う予定です。
機材紹介では、CampfireAudioの新製品・ブランド紹介(P6)、64 Audioの18ドライハーのA18 Tzar(ツァー)の2ページレビュー(P18)はボリュームがあり、このほかでもNighthawkインタビューとレビュー、K10encoreやROSIEのレビューなどもあります。

このほかにも読みどころがたくさんありますので、ぜひ購入して読んでみてください。
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2017年01月27日

ロバートワッツの到達点、処理能力100万タップのCHORD Blu MkII

CHORD社のCDトランスポート、Blu MkIIの製品発表会が行われました。
これはロバートワッツが当時のCDの音に納得できなかったという1980年代からの研究の成果として、処理能力100万タップというひとつのマイルストーンに到達したものです。

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発表会にはジョンフランクスとロバートワッツが来日して開発についての話を聞くことができました。

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左:ジョン・フランクス、右:ロバート・ワッツ

いまなぜCDなのかという疑問が湧くと思いますが、ひとつにはChordの情熱、そしてひとつには技術のブレークスルーという要因があるということです。

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Blu MkIIの外観は前モデルと同じですが、中には最新のFPGAであるザイリンクスXC7A200Tを搭載しています。
これは本来カスタムICとしてはより処理能力の高いASICで処理するようなデジカメの映像エンジンでも使われているそうです。オーディオでも映像並みの処理能力を発揮できるということですね。

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手に持っているほうが旧Blu

それによって100万タップ(1015808タップ)という マジックナンバーに到達したということ。タップ数は無限が理想だが、100万タップが16bitオーディオとしては現実のマイルストーンとなるそうです。
デジタル処理能力をタップ数(細かさ)で測りますが、これまでは以下のように進歩を遂げてきましたがついにここまできたわけです。
DAC64当時の他のDAC 100タップ
DAC64 1024タップ
QBD76 18000タップ
Hugo 26000タップ
Dave 164000タップ
この処理能力が高くなると利点は時間当たりのトランジェントが良くなることで、奥方向に広がり空間性が良くなるということです。

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ではこの処理能力をDaveのようにDACに載せれば良いかというとそうではないということです。
Blu MkIIのポイントはこの高性能FPGAは処理能力は高いがノイズが大きいので本来ノイズを嫌うDACに採用は難しい、ただしDACと切り離してセパレートなら可能ではないか、ということでCDトランスポートに採用ができたというわけです。

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左:44kモード、右:705kモード

DACであるDaveとの組み合わせではDaveのWTAフィルター初段をバイパスしてWTAフィルター後段に直接入れてノイズを減少できるそうです。つまりDaveの外側で100万タップの処理能力を使えるというわけです。

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このためには705.6kアップサンプルで出力してBNCをデュアルで二本使います。また44kのみの出力もあります。
この他にBNCのデジタル入力もあるのでスタンドアロンでアップサンプラーとしても使えます。

実際に試聴してみました。
44kではヒラリーハーンのヴァイオリンはシャープだけど硬めできつめでしたが、705kデュアルモードではスムーズで自然に感じられます。合唱のドイツレクイエムでは705kでより奥行きが感じられ24bit音源のように聞こえ、より広いホールで鳴ってるように感じます。ティファニーのヴォーカルでは705kでベースのピチカートにより実体感があり豊か、ボーカルもよりリアルで生っぽく感じます。

前にはASICでしかできなかった処理がFPGA(開発費がより安い)でもできるようになったというのが技術的なブレークスルーになりますね。
ASICでも同じことが可能ですが、その時には開発費が高騰してとても買えないような価格となるでしょう。またこの処理をソフトウエア(つまりPC)でできないかと聞いたところ、ワッツが実際に計算したところリアルタイム処理が不可能などころか最新のプロセッサでも10時間かかるとのこと。
やはり現時点ではFPGAがベストな解法と言えるのでしょう。

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ロバート・ワッツ

ワッツが100万タップにこだわるのは、昔デジタルの音は硬いと思ったがその当時から自分の研究の一環としてその音質は聴覚に影響されると思ったことがあります。聴覚を踏まえた場合、
楽器音の立ち上がり立ち下がりのトランジェントが悪いと再現が悪く、その時に100万タップが目標となったそうです。

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35年を経て初めてCDの16bitのマイルストーンが達成ができたというわけです。言い換えるとCD誕生数十年を経てやっと理想のCDの音にたどり着いたと言えるのでしょう。まあ44/16も奥が深いと言えますね。
次のマイルストーンはと聞くと、同様にいうと24bitなら2億タップが必要だそう。そこまでいけるかどうかわからないが、いま別のアプローチも考えていて、それで比べてまた考えるということです。

ロバートワッツはBlu MkIIを作ってから古い録音がよりストレートに楽しめるようになったそうです。今ではあまり分析的に聞かなくなったということで、それが到達点に至ったひとつのあかしなのかもしれません。

CHORD Blu MkII
価格:140万円税別(予価)
発売時期:2017年3月下旬

2/3追記 - USB入力オプションが用意されてUSB経由のアップサンプリングが可能となったようです。(海外発表)。
posted by ささき at 11:06 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月14日

Headroomの帰還

Headroomは長らく独自製品の開発を止めてましたが、ここに新製品を発表しました。据え置き型ヘッドフォンアンプのHeadroom Standardです。


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Headroom Standard (画像は上記ページから転載)

Headroomは"headphone.com"というアドレスでも推察できるようにこのヘッドフォンオーディオ、ポータブルオーディオ界隈の老舗と言えます。
バランス駆動ヘッドフォンアンプもHeadroomのBlockheadが始まりです。バランスプラグがなぜケーブル二本という変則的なものかというと、Blockheadが二個のアンプを物理的にくっつけたブリッジ構成だったからです。その後これがデファクトスタンダードになりました。
もともと「バランス駆動」という言葉は、私が2006年に下の記事を書いた時にHeadroomが使っていた"balanced drive"という言葉を日本語に訳したものです。

ポータブルアンプでもコンパクトで世界初のUSB DAC内蔵型ポータブルヘッドフォンアンプのBitheadあたりから大型まで幅広く手掛けていました。

しかしHeadFiを中心に盛り上がりを見せたこの業界ですが、一時期アメリカが不況の底になって創設者のアロハシャツで有名なTyll Hertsensが去り、新規開発は凍結されてきました。
古くからのファンにはそうした寂しい状況が続いてきたわけですが、新製品のHeadroom Standardをもってこの古巣に帰還した訳です。

Headroom StandardはHeadroom創設時のアンプの名称ですが、それをまた使用してやり直すということでしょう。
もちろんこのStandardは最新の平面型ヘッドフォから高感度イヤフォンまで広く対応できるように新設計され、それでいてスタンダードという名のようにシンプルにストレートに設計されているようです。機能もゲインとプリアウト設定など最小です。ダイアモンドバッファの採用も伝統のものだったと思います。
ただHeadroomというとクロスフィードが有名だったんですがこれは今回は省いたようです。さっそくブログのコメント欄でも突っ込まれてますが、回路設計をクリーンにするためということ。

Headroom Standardは期間限定で$299ということです。
そういえばしばらく前にJeremyがヘッドフォン祭の視察に来てたのを思い出しました。
Headroomの音はいわゆるアメリカンサウンド的な元気の良い音なんで、その元気良さの復活が楽しみです。
posted by ささき at 08:13 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月25日

新星、シンガポールのBTヘッドフォン Pendulumic S1+レビュー

ヘッドフォン祭がまた今週末に開催されますが、新登場の紹介です。
昨年の12月に行われたJabenのMookヘッドフォンショウでも取り上げたBluetoothヘッドフォンの注目株であるPendulumic(ペンデュラミック)の製品が出展されます。また国内でも販売となります。

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Pendulumicは海外でも音質の良いBluetoothヘッドフォンとして最近注目されてきています。開発者は某大手ヘッドフォンメーカーのためにイヤフォンを開発していた経歴があるそうです。
PendulumicはT1というDJスタイルの方で注目を集めたのですが、本稿では前モデルのS1を紹介します。製品名はPENDULUMIC STANCE S1+(以降S1)です。T1とS1はほぼ機能は共通して、用途がT1がベース強めのDJタイプに近く、S1はより整った音調のオーディオリスニング的なものになると思います。
(初出時にS1が後と書きましたが、実際はS1が先だそうです)

S1は端的に言うとアンプ内蔵のBluetoothヘッドフォンです。特徴としては充電式のバッテリーのほかに乾電池(単4)も搭載していることです。このことにより、両方を併用してBTでの使用時間を延ばすことができるとともに、いざ使いたいときに充電していない、というミスを防ぐことができます。このすぐに使えるという機能をInstantONと称しています。また無線の使用時間は最大30時間(メーカー公表値)を確保しています。

またS1/T1は無線でも有線でも使うことができ、モードの切り替えによって、無線モード(BT)、有線モードのアンプあり、有線モードのアンプなしで使うことができます。有線でもアンプを入れたほうが音質は高まりますが、バッテリーも消費するためにこのような使い分けが可能となっています。またそれぞれのモードでスマホなどでの電話通話に切り替えることができます。

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ハウジングには操作つまみがついていて、これをプレスすることでリモコンの働きをして再生・一時停止や曲送りが可能です。またこのつまみを回すことで音量を手元で調整できます。これ以上上がらなくなると音で警告します。

そのほかの機能としてはBluetoothは4.0に対応していて、Apt-Xコーデックも使用ができます。
ドライバー口径は40mmで周波数特性は15Hz-22kHz(apt-x時は10Hz-24kHz)、インピーダンスは32オームです。

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箱はなかなか立派なもので、内箱にケースとともにヘッドフォンが入っています。ヘッドフォンはハウジングを回転させて平たく畳むことができます。
作りもなかなか良くできていて質感も高いと思います。S1は側圧は適度でイヤパッドもなかなかか快適です。

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左ハウジングのボタンで電源オンオフと充電池/乾電池を切り替えます。
まずiPhoneで試しましたが、ペアリングは無問題でした。S1の音質はかなり良く高音域はよく伸び低音域はふくらみ過ぎない適度な量感があります。ベースのピチカートの切れもよく、低域の解像力や切れもそれなりにあります。周波数的には良く整っている感じでいわゆるジャズ・クラシック向けの音です。とはいえ、低域もしっかりしていてインパクト感もあるのでロックでもなかなかかっこよく聴くことができます。わりとジャンルは選ばないようです。

ヴォーカルの再現力もよく、適度に耳に近いので迫力もあります。楽器の音は明瞭感も高く、きれいに分離されています。iPhoneでも使うプレーヤーでの音質差はかなりはっきりわかるくらい、音を描き分けることができます。iPhoneでいえばFLAC Playerのような音の忠実再現度が高いプレーヤーを使いたくなるような品質の高い音が楽しめます。
有線でもよい音質が楽しめます。有線でもアンプなしとアンプありを選ぶことができ、アンプを使うと押しが強く迫力が上がります。アンプありの状態で有線と無線を比べてもそれほどの大きな差はないくらい無線での音質は高いものがあります。

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iPhoneやAndroidスマートフォンだけではなく、Astell & Kernシリーズプレーヤーと組み合わせてもよい音質で楽しめます。たとえばAK320はApt-Xを採用しているので、AK320とS1をペアリングさせるとAPT-Xで接続しましたというロゴが表示されます。これは音質的になかなか素晴らしい組み合わせで、無線ヘッドフォンでよい音を聴きたいと思っている人にはぜひ試してもらいたい組み合わせです。
同価格帯の他社の有線ヘッドフォンと比べても、S1の方が音が良いようにも感じます。よりクリアで楽器も明瞭感があり、よりワイドレンジに聴こえます。無線だからこそ下手なケーブルの質に足を引っ張られずに済むのでは、と思えるような音質の良さですね。実際にS1をAPT-X無線と有線アンプありで切り替えて比較してみると気持ちですが無線の方が良いようにも思えます。なかなか興味深いことではあります。

PENDULUMIC S1はBluetoothヘッドフォンで高音質のもの、特に楽器や声が明瞭でベースのふくらみ過ぎない音のバランスの良いものを探してる人にオススメです。
ぜひヘッドフォン祭でチェックしてみてください。場所は11FロビーのJabenのとなりです。
posted by ささき at 20:44 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月14日

AK T1p 製品版とHD800比較レビュー

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Astell & Kern AK T1pは2015年に発売のあったベイヤーの第二世代テスラドライバーを使ったT1 2ndをベースにしたもので32オームのインピーダンスとしたモデルです。またケーブルもT1 2ndの仕様に基づいて根元からリケーブルができます。付属のケーブルも短いもので、2.5mmバランスと3.5mmミニプラグの二本が入っています。

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AK T1pはヘッドフォン祭の解説をしたときにデモ機を聴いてコメントもしたのですが、また製品版を聴いてさらに音質が良くなってるのに気が付きました。
ハイエンド・ヘッドフォンはゼンハイザーのHD800が嚆矢となり、長い間この音質がハイエンドのスタンダードでしたが、最近の平面型時代になり、さらに一段階性能が上がってきたと思います。いわばハイエンドヘッドフォン第二世代といいましょうか。
オリジナルのT1はだいたいHD800相当くらいの音質レベルでしたが、このT1改良版のテスラ第二世代モデルではそうしたハイエンドヘッドフォン第二世代クラスの音質が期待できると思います。

そこで、手持ちの2009年に買ったオリジナルのHD800と聴き比べてみることにしました。平面型とくらべるとなんですが、普通のダイナミックヘッドフォン同士を比べることで2009年から2015年へのハイエンドヘッドフォンの音質の向上に興味があったからです。
機材は最近メインで使っているUSB DAC付ヘッドフォンアンプのGeek Pulse Si(フェムトクロックモデル)です。どちらも標準ケーブルを使い、音源はLINNの最新のクリスマスアルバムのハイレゾ版です。

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実際に聴いてみると、比べてみると音質に大きな差があるので驚いてしまいました。
違いとしてAK T1pのほうが音量が取りやすいのは当たり前だけれども、まず音の透明感が大きく異なり、AK T1pのほうがベールを1-2枚はがしたくらいクリアです。
前のT1のときは音の広さはHD800の勝ちかなと思っていたけれども、AK T1pはさらに上回るくらい横方向の広がりがあり、さらに独特の立体感が高く感じられます。クラシック音楽ではスケール感もひときわ高いですね。
ジャズヴォーカルで聴くと声の質感もAK T1pのほうがリアルに肉感豊かに声を描き出します。特に声の消え入るかすかな音、ヴォーカルのしゃがれ具合などこまかいところの解像感がとても高いですね。HD800の方は全体に音が軽く感じられます。
また楽器のはじく音の切れの鋭さ、スピード感もHD800よりも上で明瞭感も高いと感じられます。高域はAK T1pはやや強く出ていますが、上に伸びる感じはHD800よりも良く、低域の重みもより感じられます。

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またHD800はやや引いた落ち着いた音で、AK T1pはそれより前に出る音なので個性の差による好みはあるでしょう。HD800には独自のフラットさがあり、プロ用に使うには適している点もあると思います。一方でAK T1pはオリジナルT1よりも音楽的に聴くことができます。
ただ音質のレベル的にいうと、オリジナルHD800に比べるとやはり一クラスレベルアップした第二世代ともいえるところにこのAK T1pはあると思います。透明感、解像力の高さ、立体感の良さなどがAK T1pの強み、テスラ第二世代の強みでしょうか。

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また上の音の個性という点でいうと、AK T1pの音を聴いたときに思ったのはオリジナルのT1から音質的に向上しているとともに、音の個性でも異なると言うことです。もともとT1の音はT5pと比べた時に顕著ですが、かなり引き締まった音で贅肉がなく、端的に言うとクールでモニター的な感じでスタジオエンジニア向きかと思ってました。AK T1pでは少し柔らかで低音域が豊かです。音楽を聴くのが楽しく、オーディオリスナー向けになったように思います。
私はベイヤーのテスラシリーズはT1オリジナル、T5pオリジナル、AKT5pと使っています。Jabenのリケーブル版のT1とT5pを使ってこれらオリジナルテスラを同じケーブルで聴き比べたこともあるのですが、T1がHD800に近いプロ的な性格なのに対してT5pはもっと緩めで音楽的に聴きやすい感じでした。AK T1pは性格的にはその両者の間という感じです。
この差は32オームの違いと言うのもありますが、T1 2ndで変えた点ではないかとも思います。直接T1 2ndと比較していないのではっきりとは言えませんが。。

持ち運びできるとは言え、セミオープンなので電車では使えません。AK T1pはまずAK380AMPのような高性能プレーヤーを家で使いたい人にお勧めではあります。バランスケーブルもついています。Ak380AMPなどでイヤフォンでは高音質で聴いているが、家でヘッドフォンで聴きたいと言う人に向いていると思います。
もうひとつお勧めなのはPCオーディオでシステムをUSB DACで組んでいる人です。ケーブルの長さは今回のようにPCにUSB DACを付けた場合などや、せまいうちだと短いAK T1pのほうが良いという気がしますね。
Astell & Kernが手掛けたヘッドフォンでショートケーブルということで、ポータブルという先入観で見てしまうかもしれませんが、普通に家で使うヘッドフォンとして現在トップクラスの音質が得られますので、高価なヘッドフォンアンプを持っている人もぜひ聴いてみてください。
posted by ささき at 22:07 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月02日

AudioQuestのヘッドフォン、NightHawkレビュー

2/14に開催されたポタ研の中でもひときわ注目を引いていたのが、D&Mホールディングスから発表されたAudioQuest社のヘッドフォンであるNightHawkです。

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NightHawkはセミオープンタイプで基本的に家で使うフルサイズ・ヘッドフォンです。日本での価格はオープンプライスでだいたい7万円台後半、発売時期は3月下旬です。こちらにD&MのNightHawkサイトがあります。基本データは重さは346gで、インピーダンスは25Ω、能率は100dBSPL/mWです。
http://dm-importaudio.jp/audioquest/

* AudioQuestとNightHawk

まずはじめの疑問は、そもそもなぜケーブルで知られるAudioQuestがヘッドフォンを作ったのだろうか、という点ではないでしょうか。
実のところNightHawkがAudioQuestにとって初めての本格的なケーブル以外の製品というわけではありません。コンパクトなUSB DACであるDragonflyを発売した点でも注目されていました。このDragonflyは前にも書いたように米国PCオーディオ界の雄であるGordon Rankinによって設計されたものです。
AudioQuestは多様化するこのオーディオ業界の中で、顧客がほしいと思う製品を提供していきたいというポリシーがあるということで、このDragonflyの成功により、これに続いたのがNightHawkです。Dragonflyでも外部のエキスパートを登用したように、NightHawkではWestoneに在籍していたSkylar Grayによって設計されました。

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NightHawkのイメージ画像

このAudioQuestのポリシーは単に業界のトレンドに迎合していくという意味ではありません。実のところAudioQuestのCEOであるBill LowはAudioQuestブランドでヘッドフォンを出すという考えをずっと持っていたそうですが、安易なものは出したくなかったので製品化はしていなかったということです。
一方でSkylar氏の方も10年近くヘッドフォンに関するアイディアを暖めていたということです。そして2012年にBill LowがたまたまSkylar氏と食事を一緒に取ったさいに4時間もヘッドフォンの理想について話し込んだ結果、数ヵ月後にSkylay氏がWestoneを辞めてAudioQuestに入社して、それからのち2年間をNightHawk開発にかけたということです。

ポタ研では残念ながらSkylar氏は生産現場の最終指揮でこれなかったのですが、今回はメールでもSkylar氏に直接いろいろ伺ったり、Skylar氏の解説ビデオを参考にしながらこの記事を書きました。


* NightHawkの特徴 - ドライバー設計

Skylar氏の考えていたヘッドフォンのあるべき姿を具現化したものとして、またAudioQuest社の初のヘッドフォンとしてNightHawkはユニークな観点からの設計がなされているのがポイントです。これはヘッドフォンメーカーではない同社が過去に縛られないゆえの利点とも言えます。

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その特徴はまずNightHawkが、スピーカーから着想を得た設計がなされているという点です。ヘッドフォンはそもそもスピーカーの小さいものではないかと思うかもしれませんが、その実は随所に相違があります。
その例は一番重要なドライバー設計にも見られます。NightHawkのドライバーはまったく一から考えられたもので他の流用ではありません。

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NightHawkのドライバーユニット

NightHawkにおいては振動版の外周部にラバーのサラウンドと呼ばれる部分がありますが、これはスピーカーで言うエッジです。対して一般的なヘッドフォンでは振動版がエッジなしで一体化されていることが多いということ。このエッジがあることで正しく振動版を保持することができます。
またボイスコイルにはボイスコイルフォーマーという芯にコイルが巻きつけられています。ボイスコイルフォーマーというのはスピーカーで言うボビン(コイルの糸巻き上の芯材)のことです。普通のヘッドフォンではコイルの線材自体を接合してそのまま振動版に接着しているものも多いということですが、NightHawkではコイルが補強材であるボビンに巻きつけられてから振動版に接着されています。これでボイスコイルを強固に正しい形に保つ働きがあり、正確なドライバーのピストンモーション(前後振動)のコントロールができるということです。

また、このピストンモーションの良好な制御はマグネットでも独自の工夫が生かされています。ここにはスプリットギャップ・マグネットという途中に切り込み(ギャップ)のあるマグネットが使われています。マグネットの磁力は1.2テスラの強力なものです。

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ギャップを挟んで二つの磁界があることで、あたかも二つのマグネットがあるかのように広くカバーできることになり、コイルが大きくピストンモーションで振動しても磁力のコントロールができるようになるわけです。この磁力線図は最近のソフトウェアの進化で解析が可能になったということです。
これは低音域での歪みを下げるとともに、重要なのはインターモジュレーション歪み(混変調歪み)を低減させるということです。混変調歪みとは二つの信号が混じった時にもとの信号にない信号ができることで、音質を劣化させます。これらの歪みが低ければタイトでクリーンな低音域のレスポンスが得られるということです。

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振動版の材質は音の着色に大きな影響があります。一般的なヘッドフォンはマイラーというポリエチレン素材を使用していますが、NightHawkではバイオセルロースを使用しています。バイオセルロースがマイラーより優れているのは良好な内部損失特性で、つまり固有の色を持ちにくいということです。
これは上の図を見てもらうと分かるのですが、縦軸はstiffness(硬度)で高い方がピストンモーションでたわまず正確に動きます。横軸はself damping(内部損失)で、高い方がレゾナンスでの着色がないわけです。つまりこの図の右上に位置する素材が両方の要所を兼ね備えているわけです。
バイオセルロースはその位置にあるということがわかると思います。これは100種類のヘッドフォンを分析して得たことだそうです。

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左:混変調歪み(intermodulation Distortion) 右:THD

振動版の素材の効果とともに、前述した歪みの低減効果については測定的に設計者自身が驚くほど良い値が出たということで、上の図に他の機種との比較表が出ています。
右のTHDで他のヘッドフォンで5-7KHzにピークがあるのはマイラーを使用したダイアフラム設計によるものということで、赤線で示されるNigtHawkではピークが出ていないことが分かると思います。


* NightHawkの特徴 - ハウジング設計

NightHawkでの独自性と最新技術の採用はハウジングにも活かされています。
イヤカップはリキッドウッドというパルプから作られた素材を採用しています。リキッドウッドは名の通りに木でありながら流体であり、自由な形に成形できるのが特徴です。硬くて木材の良さとしてダンピング特性に優れています(振動板でのバイオセルロースのようにやはり理想的な素材に成功したということ)。これも最新の素材であり、5年前には存在していなかったものだそうです。
リキッドウッドのおかげで木の素材を生かしながら人間工学的な外耳に合わせた形を作ることが可能となり、裏側の補強リブなど複雑な構造も可能となっています。また音響特性に優れているだけではなく環境配慮もあります。

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イヤーカップ内はドライバーのところでも書いたようにスピーカーの考え方が生かされ、補強材や吸音構造などスピーカーのキャビネット内に似ています。このようにNightHawkはヘッドフォンというより、むしろスピーカーのミニチュアのような設計がなされているわけです。

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これらの利点は振動解析によって明らかになっています。上の図で左の一般的なイヤカップではカップデザインがよくないので、一か所に振動が集中する結果として振動が高いところと低いところができてしまいます。図の赤い部分が振動の大きい部分で青が振動の少ない部分です。
NightHawkではさきに書いたイヤーカップ(エンクロージャー)内の補強材やスピーカーのようなポリウールのダンピング材により振動を最適化させ、その結果として均一に振動のないイヤカップとなっています(全面が振動が少ない青となっている)。

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リキッドウッドの他に特筆すべき点は、セミオープン構造のためにイヤカップの背面に設けられたエアダクトのグリルです。これはダイアモンド・キュービック・ラティス・グリル(ダイアモンド・立体形状・格子グリル、略してDCLグリル)という複雑な形状をしています。
このDCLグリルは上の図のように実は昆虫の蝶の翅の細部の形状から着想したディフューザー(かくはん機)です。蝶の羽のメタリックでキラキラしているところは拡大すると上の図のような構造をしていて効率的に空気をかくはんできるのです。これで振動版の背圧に適度な空気抵抗を与えることができます。
その効果をSkylar氏に聴いてみましたが、これは定在波が出て着色の要因となるのをさけるとともに、DCLグリルが音響抵抗となり特定周波数の調整などチューニングの自由度が増すということです。ここはイヤフォンにおいて音響抵抗で音を調整するのに似ているのかもしれませんが、Skylar氏のWestoneでの知見が生きているのかもしれません。
この多孔質で複雑な形式は従来のモールドや機械加工の製造方法では製作が不可能であり、近年出た3Dプリンターの採用によりようやく作ることができるようになったものだということです。

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またハウジング内では、バスケットと呼ばれる空気抜きのベント穴の保持部分にも工夫がされています。一般的なヘッドフォンでは上の図の左のようにこのベント穴は不均等に配置されています。
これはコストを低減するために多くのヘッドフォンはボイスコイルのサーキットボード設計の端子配置で仕方なくこうなるそうです。しかし不均等だとエアがバスケットを傾けてしまい歪みがでてしまいます。NightHawkではコストより音質を取りたかったので、その端子をベントホールに影響ない位置に移したということです。結果として均等なベント穴が実現できています。またエアフローも最適にスムーズに流れてよどみないように計算がなされています。

* NightHawkの特徴 - 装着性

NightHawkは快適性にも最大限に注意を払って設計されています。
ここでもNightHawkの独自性が発揮されているのが分かります。NightHawkのデザインの特色として側面からみるとクロスバー(側面から見ると×になっている部分)のような部分でヘッドバンドとイヤカップはバーで支持されて結合されています。これがサスペンションです。

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このサスペンションシステムはプロ用マイクのショックアブソーバーから着想を得た独自の構造で特許出願中です。よくプロ用マイクが複雑なかごに入っているように見えますが、あれですね。
この効果は音質的なものと、快適性の両方に効果的です。音質的にはサスペンションでイヤカップの振動を分離できるので、位相的な干渉の問題に効果的だそうです。もっとも効果的なのは快適性についてで、強い側圧で締め付けないでも、弱くて快適な側圧でもぴったりと頭に合わせて固定できます。これによって側圧を弱めに設定することができたので、頭に負担がかかりにくくなっています。このサスペンションは105個もの試作を経て完成したそうで、均一に負荷がかかるように設計された自動調整式のヘッドバンドと合わせて、実物よりも軽いような感覚を与えています。

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イヤパッドはプロテイン・レザー(人工皮革)であり、イヤカップ同様に外耳の形状に合わせています。これはなんと卵の殻から作られている天然素材だそうで、そのため人肌にも優しく作られているそうです(日本の会社との協業によるものだそう)。イヤパッドは簡単に取り外しができてメンテナンスにも優れています。
またNightHawkではパッドの後部を厚くすることでダイアフラムを外耳にあたるような角度にすることに成功しています。これにより空間表現に優れた音再現ができるわけです。上の右図で青がイヤパッドで、赤がドライバーです。

* NightHawkの特徴 - ケーブルそのほか

もちろんケーブルはAudioQuestですから下手なリケーブル用の交換ケーブルよりも優れたケーブルが採用されています。

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NightHawkのケーブルはスピーカー用のキャッスルロックという高級線材をベースにしているということで、ヘッドフォンだけではなくケーブルもスピーカーオーディオ用のもののミニチュアとして考えているわけですね。基本はミニ端子ですが付属の標準変換プラグは特注の独自設計で、一般的なブラスではなく音響的な配慮もしています。

このようにNightHawkはさまざまな新技術を採用し、独自のアイディアで設計されています。
そのため開発では35のデザインモデル、50を超えるドライバー試作、100を超えるサスペンションの試作、100を超えるイヤカップの試作、10,000を超えるプロトタイプのパーツ作成(ヘッドバンドやグリルなどなど)という試行錯誤を行い、多数のプロトタイピングと施策を重ねた結果NighHawkが生まれたということです。


* 試用と音質

これはプロトタイプでの試聴です。外観や音はほぼ完成版ですが多少の変更があるかもしれません。

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リキッドウッドの質感はなかなか高く仕上げも丁寧です。サスペンション支持のイヤカップの形状もユニークです。また自動調整式のヘッドバンドは金属ノッチのようなアジャスターが見えないので高級感があります。
NightHawkのユニークさはまず装着してみて分かります。いままでにない柔らかく軽い装着感で、気持ち良く装着できます。いままでに使った中でも独特で心地よい装着感です。弱めの側圧も良い感じですね。ケーブルはちょっと硬めです。

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NightHawkとDENON DA300

まずUSB DAC内蔵のヘッドフォンアンプとしてDENON DA300と接続してみました。
全体的には音楽的に滑らかさと抑揚のあるDENONのUSB DACと、音楽的なNightHawkとの相性がなかなか良い感じです。DA300はゲインがないのがネックですが、NightHawkは能率が高いので十分な音量が取れます。
音の第一印象としてはセミオープンということもあり、密閉型のような密度感と抜けの良さを両立して、疲れにくい聴きやすさも兼ね備えているように思います。実際に側面のDCLグリル穴を手で塞ぐと詰まって開放感に欠ける音になります。

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LINNの24bitクリスマスアルバムを聴いてみましたが、ヴォーカルがリアルで立体的、音は左右に広いよりも立体感・奥行きがある感じですね。細かさの抽出もHD800あたりとそう変わらない気がします。性格が違うかもしれないとは思いつつ、HD800と比べてみたのですが、たとえばHD800のピアノの音は乾いて平板的だけれど、NightHawkは艶っぽくて音に陰影のような立体感を感じます。SHANTIのヴォーカルでも同じ感じで、HD800は音場は広いけど乾いて平板的、NightHawkは艶っぽくて立体的です。NightHawkでは音の広がりとか定位というよりも、一つ一つの音が彫りが深く立体的に陰影があるように感じられます。

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中低域にかけての厚みが豊かで、高音域は落ち着いてきつさはない感じです。中低域が豊かと言っても低域が膨らんで突出した音ではなく、十分な量感を確保しながらスムーズにベースが出てくる感じですね。着色はないと思いますが、いわゆるやや暖かみがあってしっかりとしていながら立体感があるように聞こえます。
中音域から中低域にかけては抜群の再現力で音楽を聴くのが楽しくなるような音の鳴り方です。高音域はきれいに楽器の音やベルの鳴りを再現するがきついという感じはないですね。NightHawkでは意図的に調整しているように思いますが、好みの問題で高音域はHD800が良いという人もいると思います。
NightHawkの低域の量感は多めですが適度にタイトで、膨らんでぶよっとしているわけではありません。コントラバスソロなどでは低域の解像力も高く、ベースではピチカートの切れもよいと思います。すごく硬くタイトというわけではなく聴きやすさもあります。

次にDA300をDACとして使い、専用のヘッドフォンアンプSoloist SLを使うとさらに音質は上がってダイナミックさが堪能できます。解像力も高くかなり細かい音を拾っているのがわかります。Soloistの分析的な感じも緩和されるのでなかなか良い組み合わせかもしれません。NightHawkの音支配を感じますので、個性が生きているのでしょう。

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NightHawkとDENON DA10

ケーブル自体はミニプラグなのでポータブルでもよく鳴らせます。背面ポートから音漏れはあるので電車ではお勧めしませんが、お散歩とか家でもポータブル機器を使っている人には良いかもしれません。
DENON DA10と合わせてみましたが、これもDA300同様になかなか良い組み合わせです。厚み・暖かみがあってダイナミックなDENONの音キャラによく合う感じで、意図的ではないかもしれませんがD&Mで扱うには良いラインナップですね。マランツのHD-DAC1と組み合わせるとどうなんでしょうか。
DA10のiPhoneデジタル接続だとかなり細かい音を拾っているのもわかります。楽器音のきれいさ、鮮明さもかなり高いものがあります。なんか家でもこれでよいかなと思える優れたレベルの再生です。能率がわりと高めなのもよいですね。
もちろんAK240などでもよい音を鳴らしてくれます。2.5mmバランスケーブルもあるとよいかもしれませんが、クローズのNightOwlに期待です。

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左:AQ特製 中:フルテック 右:一般品

最後にNightHawkの隠れたポイントのケーブル端子変換プラグを変えて少し聴いてみました。
NightHawk付属のAudioQuest特製と一般品だとAudioQuestの方がブランデンブルグ協奏曲のような室内楽でより高域がきれいにのびて全体に上質に感じられます。またパーカッションでも音のエッジが上質に思えますね。それとAudioQuest特製のほうがよりしっかりとはまって接続ができます。
フルテックの高音質変換プラグF63とAudioQuest特製だとフルテックが透明感にやや優れますが多少ドライ感が出ます。AudioQuest特製のほうがより暖かみがある感じですね。ここは好みもあるのでNightHawk買った人はフルテックプラグも買ってみると音を少し変えられて面白いと思います。

* まとめ

音はなかなかよく作りこんであると思います。HD800のように分析的ではなく、オーディオ機器の高い音質を生かしながら音楽的に聴くのにお勧めのヘッドフォンです。快適性と高い音質を両立させているのも長い時間楽しく音楽を聴くのに良いですね。
価格的にも音質を考えると高すぎずに抑えていると思います。

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NightHawkは3Dプリンタ、リキッドウッド素材、最新の解析ソフトウエアなど最新技術を採用した今でなければできなかったヘッドフォンです。それにSkylar氏の暖めていた、スピーカー技術を適用して簡略化ではない、真にHiFiスピーカーのミニチュアを作るというアプローチがなされたものです。
ここで説明によく出てきたピストンモーションという言葉もあまりヘッドフォンの世界では使わないと思いますが、主にスピーカーで振幅の大きなウーファーなどで使う言葉で海外文献を読んでいるとよく出てきます。Skylar氏はサブウーファーを作るkickerという会社にもいたのですがその低音域再現のノウハウも十分に生かされているのでしょう。
そう考えるとNightHawkがスピーカーオーディオの世界にいるAudioQuestから出てきたのはそう不思議なことではないように思えます。

今回NightHawkを見て教えられたことはヘッドフォンの進化です。いままでもヘッドフォンは小さなスピーカーであると例えられてきました。しかし、実のところではスピーカーとは異なるところが多々あることに気がつかされます。それはおそらくエッジを省力したり、ボビンを省力したりとヘッドフォンでここまでは不要だろうという考えと、ヘッドフォンは単なるアクセサリーだから安くせねば、という考えがあったと思います。ヘッドフォンケーブルがグランドが共通でいいやと考えられてきたのとも通じるかもしれません。
しかしいまでは時代は変わりそうした考えは変えるべきなのでしょう。いままでのヘッドフォンメーカーではどうしても伝統にしばられてしまうこともあったかもしれません。しかしそれができたのは新規参入のAudioQuestだからであり、そのうえで妥協ないものを作るという同社ポリシーによりエッジとかサスペンションのような細かなこだわりがあったからです。Skylar氏はこのような時代の変化をヘッドフォンによって伝えたいと語っていました。
それがこのNightHawkです。

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ヘッドフォンオーディオ流行りといいますが、HD800やEdition8などの高性能ヘッドフォンの熱狂は後退して、実態は高性能イヤフォンに傾倒していたというのがここ数年のヘッドフォンオーディオ市場の実情であったと言えます。
いままでにないアプローチで設計されたこのNightHawkが新しいヘッドフォン時代の担い手になれるかが今年の注目点の一つであると言えるでしょう。
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2015年01月15日

Burson Soloist SLレビュー

Soloist SLは国内ではアユートが販売しているヘッドフォンアンプです。こちらに製品リンクがあります。
http://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_1500.php

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DACは内蔵していませんので、他にCDプレーヤーとかDACが必要になります。アユートさんではAstell & kernシリーズがUSB DACとしても使えますので、それを使用してさらに発展させるためのキーとしてSoloist SLを提案するという形になります。
たとえば話題の平面型ヘッドフォンを試してみたい、というときにはこうした専用の高出力のヘッドフォンアンプがあった方が良いわけです。
もちろんAKシリーズでなくても、普及価格のヘッドフォンアンプとして優れていますので、すでにUSB DACをもっている人で、DAC内蔵アンプを使用している人にもお勧めです。音を一ランク上げてくれます。

* Bursonのオーディオ哲学とSoloist SL

BursonはHeadFiでもよく見かけるブランドで、オーディオマニアに支持されるオーディオブランドです。もともとがオーストラリアのオーディオコミュニティがあって、その代表者がMark Bursonという人だったのですが、オーディオマニアがほしがるような製品をみんなで作ろうということでできたのがこのBursonブランドです。ですので、製品はマニアック志向で、ショートシグナルパス、オペアンプをきらったディスクリート回路設計や強力な電源が特徴です。

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Bursonの哲学としては、シンプルな回路で高品質パーツで音質を引き出し、オペアンプや既成トランスなどを使わないということです。
Bursonのホームページに掲げられている"Less is more"というのは日本語で言うとシンプルイズベスト、ということです。オペアンプを使う方がシンプルじゃないかと突っ込まれることもありますが、オペアンプはもともとPC用の汎用パーツであり、中には複雑な構成物がはいっいるので結局シンプルではなく、またオーディオに必要ない部分も通ってしまうので、はじめからディスクリートで必要なパーツだけ組んだ方がよいというわけですね。
Bursonいわく、機材が透明で音に忠実であれば、テンポ、ダイナミクス、音色は自然に生じてくるもので、元の音に不必要な着色をする必要はないということだそうです。こうした理想を達成するためにはオペアンプは排すべきだというのがBursonの主張です。
実のところ、はじめのHA-160では信号経路に32個の部品を使っていましたが、Soloistではさらに設計を突き詰めて、FETをベースに21個のみのシンプルなコンポーネントで設計されています。これも設計中に少しずつパーツを減らしていくたびに透明感が出てきたということです。
パワーサプライでもきちんとノイズを抑える工夫がなされていますが、そこでもオペアンプが使われていないという徹底ぶりです。
この辺からもBursonがマニアが立ち上げて理想を追求するメーカーと言うことが分かってくるのではないかと思います。

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Soloist SLはSoloistからプリアンプ機能をはずしてヘッドフォンアンプに特化したものです。またステップアッテネーターをはずしてAlpsボリュームにすることで低価格化も行っています。普通のメーカーだと性能を高めるためにAlpsを採用しましたと書くところも多いので、低価格にするためにAlpsにしたっていうところからもこのメーカーの真摯な姿勢が分かると思います。他にシャーシのアルミ外装も少し簡易化していますが、まだまだがっちりとしています。もともとオーバースペックだったものを適性化したという方が正しいと思います。
最大出力も4W/chから2W/chに変更されていますが、2W/chでもまだまだヘッドフォンアンプ全体からみると高出力な方です。実際に平面型のHE560でも十分駆動できます。

* Soloist SLの使用例と音質

今回はAK240をUSB DACとして使用して以下のようなシステムをセットアップしてみました。

まずPC上にオーディオ再生用の音楽再生ソフトが必要です。私は高機能で慣れているのでJRiver Media centerを使っていますが、Foobar 2000でもかまいません。この場合はASIOドライバーならば対応するコンポーネントのインストールが必要になります(JRMCでははじめから組み込んでます)。
次にPCとAK240をUSBケーブルで接続します。これは別売りで購入する必要がありますがUSBマイクロB端子が付いた高音質のUSBケーブルがお勧めです。私はFitear microを使用しました。他にはWireWorldなどでも用意されています。
AK240とSoloistを接続するケーブルはアナログ部分なのでこれも良いケーブルを使いたいところですが、このSoloist SLに添付されているRCAケーブルも意外とよいので、はじめはこれを使っていてもよいと思います。ただしAK240のイヤフォン端子に接続しますので、ミニプラグとRCAの変換プラグが必要です。これはお店とかAmazonで安く購入できます。AK240では設定においてライン出力を選択し、USBの用途をMTPではなくDACにします。

システムとしてはこんな感じです。
PC(JRiver) - USB cable(FitEar) - AK240 - RCA cable(付属) - Soloist SL - HE560

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このシステムにおいてゼンハイザーHD800とHiFiman HE560で聴きました。音楽をありのままに聞きたいときはHD800、少し強調して聞きたいときはHE560などの選択が良いですね。Soloistはパワーがあるので平面型であるHE560もぐいぐいとならせます。仮に音量が十分あったとしても、軽々と朗々となるような感じでないと駆動力不足だと思います。

まず感じる音の印象は透明感の高さで、気持ちよいくらい透明感のひときわ高い音質が堪能できます。
透明感というのも他で感じる単なるクリアさとは少し異なっていて、Soloistの良いところは鮮度感が高いということです。鮮度感というとあいまいではありますが、音に直接触れるような生々しさ、という感じでしょうか。音がベールなしでダイレクトに届く感じです。この辺はBursonの開発哲学のシンプルさが効いているんでしょう。また音色も雑味がなくすっきりとピュアに感じられます。音の立ち上がりとスピードが早いのも特徴でリズムの速い曲も軽快に鳴らしてくれます。
HE560あたりだと低音が深く重く、どっしりとした重量感もあります。中高音域はシャープで突き抜けるように上に伸びてゆく感じで、ヴォーカルはわりと近めに感じられます。楽器やヴォーカルの音は鮮明でヴォーカルの歌詞もよく聴き取れます。
周波数的な帯域バランスは整っていて、強調感をあまり感じません。音色はニュートラルで暖かみや脚色感はありません。もちろん無機的ではなく、味気ないという音ではありません。こうしたアンプはいわゆるモニター的というか客観的に感じられやすいものですが、Soloistは聴く人に近く、音楽の躍動感を届けてくれます。音の広がりは標準的ですが、ここはほかの要素を調整してゆくことでも伸ばすことが可能かもしれません。

他のUSB DACを使用してもまたいろいろと音を変えていけると思います。CHORD Hugoを持っている人にもお勧めです。Hugoは内蔵アンプも強力ですが、Soloist SLを使うことでさらに迫力のある音を楽しめます。
ハイレゾプレーヤーからオーディオ入門してイヤフォンしか聴いていなかったという方、USB DACを購入したけれども専用のヘッドフォンアンプをもっていない方には特にお勧めです。また手ごろな価格でヘッドフォンアンプを探していたという人にもお勧めです。そしてBursonの音に興味があったけれどもいままで高くて躊躇していた、というマニアの方にもBursonサウンドのエッセンスを届けてくれることでしょう。
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2014年12月12日

アユートからBurson AudioのSoloist SLが登場

Astell&Kernで知られるアユートからBurson(バーソン) AudioのSoloist SL(ソロイスト・エスエル)が登場します!

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マニアックな凝りようで知られるバーソン製品をお求めやすい価格で販売がなされます。店頭価格は6万を切ると思います。
アユートではAKシリーズでオーディオに興味を持った方に、家でのヘッドフォンリスニングを提案するという形でBurson Audioの販売をするようです。AKシリーズは高音質でかつ高機能ですから、外だけで使うのはもったいないですね。AKシリーズを核としたオーディオシステムと言うのがあっても良いと思います。AK第2世代ならば、無線でNASやPCとも接続できますし、USB DACとしても活躍できます。

BursonはHeadFiでもよく見かけるオーディオマニアに支持されるオーディオブランドです。もともとがオーストラリアのオーディオコミュニティがあって、その代表者がMark Bursonという人だったのですが、オーディオマニアがほしがるような製品をみんなで作ろうということでできたのがこのBursonブランドです。ですので、製品はマニアック志向で、最短の信号経路の追求、オペアンプをきらったディスクリート回路設計や強力な電源が特徴です。
BursonはHA160というヘッドフォンアンプで一躍有名となりましたが、シンプルイズベストを実践して信号経路にわずか部品を21個として設計を一新したプリ・ヘッドフォンアンプがSoloistです。そのプリ機能などを取ったヘッドフォンアンプ専用バージョンがSoloist SLです。
普通はDAC付きのヘッドフォンアンプをお勧めしますが、Astell&Kernをお待ちの方はすでにAstell&Kernが良いUSB DACとしても機能しますので、ヘッドフォンアンプ専用機を買った方がムダ感がなくてよいかもしれませんね。

特にパワーが強力なので、最近はやりの平面型ヘッドフォンでも鳴らせます。日頃はイヤフォンだけという方にも、ハイエンドヘッドフォンの性能と高い再現力の世界を手に入れやすくなったと言えるでしょう。

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聞いてみるとたしかにベールを何枚かはがしたような、生々しい音再現です。またHD800であっても、ベースがかなり深く絞り出されるように迫力のある再現力を聴かせてくれます。
AK240とパッケージに付属してくるケーブルのシンプルなシステムでもわりと良い音で聴くことができます。上の写真ではミニ/RCAアダプタを別に追加していますが、ケーブルは付属のものです。このケーブルは付属品にしては悪くないです。
なおケーブルについてはORBさんと共同でミニ-RCAケーブルを用意するようです。

ヘッドフォンでは平面型HE560を軽々と鳴らし、HE560がダイナミックに透明感高く音楽を再生します。さすがパーソンだけあってコスパ良い音質です。

安くて音質の良いヘッドフォンアンプを探してた人にオススメです。
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2013年12月17日

CHORD Hugoのインタビュー動画がアップされました

前にCHORDの高性能ポータブルアンプ、Hugoの内覧会の記事を書きましたが、そのときの動画が下記のフジヤさん作成のもと、Youtubeにアップされました。

2部に分かれていて、一部ではかなり細かい技術的なところにも踏み込み、2部では私とのインタビューが収録されています。

一部
http://www.youtube.com/watch?v=trypeVPenSE&feature=youtu.be



二部
http://www.youtube.com/watch?v=fJWnhIRw9HM&feature=youtu.be




お楽しみください!

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2013年10月24日

Shureの新クローズタイプのフラッグシップ、SRH1540登場

本日Shureのヘッドフォンの新製品発表会がありました。新製品はShureの新しいクローズタイプヘッドフォンのフラッグシップとなるSRH1540です。

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発表会はShureのヘッドフォン担当であるマイケルジョーンズ(MJ)によるプレゼンで進行しました。

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SRH1540はカーボンファイバーのキャップ、APTIVEのダイアフラム、Alcantaraのイヤパッドなど新素材の採用とSRH1840からの改良がポイントとなります。
またデザインは従来のクローズタイプのSRH940やSRH840から大きく変わりオープンのSRH1840に近いものとなりました。それをクローズタイプにするためのハウジングのキャップにはカーボンファイバーが採用されて、1840同様の航空機グレードのアルミニウムフレームとともに大幅な軽量化がはかられています。
見た目も含めて密閉型の新しいフラッグシップと言えますね。

* SRH1540の特徴

特徴としてはまずAPTIVという新素材フィルムを使った40mm後継の新型ドライバーがポイントです。
APTIVはヘッドフォンやスピーカーに従来使われているマイラーとは違うPEEK(ポリ・エーテル・エーテル・ケトン)という樹脂で作られています。
APTIVダイアフラムの長所は優れた強度と弾性です。一般にヘッドフォンのダイアフラムは薄くしたいものですが、薄くすると歪みやすくなります。その点でPEEKは強度と弾性に優れ、リニアな周波数特性とTHDが良いということです。また温度や環境変化に強いのももう一つのポイントです。

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またドライバーではセンターポールピースの採用で空気の流れと筐体の鳴りを防いでいます。下の写真は穴の空いているセンターポールピースのエアフローによるアコースティックレジスタンス(こもる空気による抵抗)を説明するMJです。

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外観上の特徴はカーボンファイバーのハウジング(キャップ)です。これは本物のカーボンファイバーでUVコーティングにより変色を防ぐ工夫も施しているということです。
カーボンファイバーを採用した理由はデザイン的な良さもさることながら、筐体の剛性を高めて不要な鳴りを減らすという音質的なメリットもありますし、クローズタイプを軽量化させるにも貢献しています。また耐久性も優れています。

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SRH1540はサーカムオーラル(いわゆるオーバーイヤー)のタイプですが、イヤパッドにも新素材が採用されています。これはAlcantara(アルカンタラ)という素材で、スペイン製と日本の東レの合弁開発ということです。
Alcantaraは形状復元性が高く、耐久性と快適性が高いので採用したそうですが、実際に試すと音響的にも良かったということです。これはMJもいたく気に入ってるようでした。

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フレームの部分には地道な改良が見られます。ヘッドバンドはプロテインレザーで本物っぽく仕上げ、1840より少し厚くして快適性をあげたとのこと。
SRH1540のフレームはSRH1840とおなじ航空機グレードのフレーム(ヨーク)を採用しています。ここも細かな改良があってSRH1840よりも角を取ってスムーズにしたということです。またヨークの部分にもスチルバネを入れて動作をスムーズしているのも1840からの改良点です。
これらの改良点はいずれ1840にもフィードバックすることになるということです(1840Aとか)。
ケーブルはMMCXコネクタのケーブル(1840で評判が良かった)で、これは後述のようにオーディオファイル向けのリケーブルを考慮したからだそうです。

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細かいところではケースもデザイン変更していて、ケーブルやスペアパッドなども一緒に入れられるようになっています。

* ターゲットユーザー

SRH1540のターゲットユーザーは第一にオーディオファイルです。
これは単に音楽を聴くよりクリティカルリスニング(録音や音の鳴り方を聞き見極める)を求めるユーザーのことと定義したということ。
また、電車で音楽をカジュアルに聴くようにも考えられています。

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もちろんプロフェッショナルでもサウンドエンジニアにモニターとして使えるように考慮はしています。
しかしケーブルをプロに好まれる方だしではなく両出しにしたように、どちらかというとオーディオファイル向けでケーブル交換も視野に入れているからだそうです。

音作りについてはSRH1840ではバランスを良くしているが、SRH1540ではオーディオファイル向けに少し低域を強調しているということでした。
能率とインピーダンスは99dBと46Ωということで、やや能率低めだけど直さしでもオーケーに作ってるということです。

* 使用感と音質

まずSRH1540を手に持った瞬間に軽いと感じます。クローズとしては軽いですね。装着感はSRH1840と変わらないように思えます。

他のShure機と比べてみると、SRH1840は260g、SRH1540は286g、SRH940は320gですからクローズとしては軽くなっています。
似た構造の1840と比べるとクローズなんでキャップの分ちょっと重いようですが、それはカーボンファイバーで軽く出来たということのようです。

ケーブルは弾力性がありからみにくいように作られています。長さの1.8mはポータブルとプロの折衷を取ったっということです。ポータブル用にはMMCXのリケーブルが良さそうです。

聴いてみるとクローズとは思えないくらい広がりがあり、空間の深みもあります。楽器の分離も良く、高レベルの音再現です。スピード感も高くリズムのノリも良いですし、解像感も高く低域の深みも低さもある。全体的な音はSRH1840をクローズにしたように思わせます。ただしクローズにあるこもり感は少なくクリーンですね。
本当にスタジオモニターみたいなSRH940よりは味付けがあると思いますが、低域は強調されていると言うほどではない思います。

* まとめ

1540にしたのは単にクローズの三桁が940で尽きたのと、価格が1440と1840のあいだだからだそうです。(予価は5万円前後のよう)
位置づけはあくまでオープンの1840と同格のクローズのフラッグシップです。

SRH1540はフラッグシップとしてのデザインの良さと質感を備え、素材と見た目に凝っているプレミアム性があります。またクローズとしては軽く出来ています。
音質も良く、SRH1840同等以上だと思います。ここはもう少し細かく聴かないと細かなニュアンスまではわかりませんが。

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新素材の積極的な採用と1840からの地道な改良が結実したのがこのSRH1540です。この華やかさと地道さの両立がさすがShureで、新製品がうまく仕上がっています。価格も抑えめでコストパフォーマンスも高いと思います。

もちろんヘッドフォン祭ではShureのブースで展示しますのでぜひお越しください。
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超弩級の平面駆動ヘッドフォン、Abyss AB1266

昨年CanJamで披露されてから話題の超ド級の平面駆動ヘッドフォンがこのJPS Labsが開発したAbyss AB1266です。
私もシンガポールのショウで聴いたときは感動しましたが、それがヘッドフォン祭でも聴くことができます !

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ホームページはこちらです。
http://www.abyss-headphones.com/

会社のJPS Lab自体は基本的にはケーブルメーカーで、Abyssの設計者は米国B&Wにいた人のようです。
AbyssはAB1266という型番でダイナミック型の平面駆動ヘッドフォンです。AudezeのLCDやHiFimanのHEシリーズに似た形式です。しかし設計のキー技術については秘密とされています。

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静電型ではないこうしたダイナミック型の平面型はオルソ・ダイナミック(またはアイソ・ダイナミック)とひとくくりで呼ばれますが、Abyssは普通のオルソ・ダイナミックとは異なる技術がつかわれているようです。

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パッケージの段ボール箱には多数のアクセサリーがおさめられています。ケーブルは3pinx2バランス型が基本で、4pinXLRと標準シングルがアダプター経由で付属してきます。この辺の豪華さはケーブルメーカーならではです。またヘッドフォンスタンドが付属してきます。高価格なものなのでこれはうれしいですね。

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さらに中には木箱があり、その中に皮のキャリングバッグが入ってます。バッグの出来も良いですね。アクセサリーもさすがアメリカ製ということで細かいところもよく作られてます。
さらにその中にパッドがない状態でAbyssが入ってます。面白いのはなぜパッドが別パーツかというと、ハウジング側にマグネットピンがあり、それに自分で好きな位置に装着することでユーザーの好みの位置にセットできるからです。微妙にパッドの形状が傾斜していますので、どこが正しいかは自分で見つけることになります。これはヘッドバンドも同様で、真中のピボットで角度を可変して装着位置を変えられます。

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なかなかデザインはごつくて金属製のヘッドフォン本体は重量感がありますが、重すぎるほどではありません。Audezeよりも気にならないくらいかもしれません。装着はすぽっと頭にはめる感じで、初めは違和感がありますが聴いてるとしっくりはまってきます。パッドの出来がとても良い感じです。

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これは新品のデモ品なのでエージングなしで聞いた感想です。
能率は85dBと異常に低いのでHE6むけの超ハイパワーアンプEF6とDACはChord QuteHDで聴きました。実際にAbyssのインプレでいまひとつというのも見かけますが、アンプによると思います。バランスだから良いというものではなく、私もシンガポールで聴いたときははじめいま一つでしたが、RP030に変えたら驚くほどの音を出してくれました。単にバランス駆動と言うだけでは不足で、平面型用とうたっているハイパワーアンプが必須です。AudezeのLCDを鳴らすよりもひとレベル上のアンプを目安にしてHE6レベルの要件が望ましいと思います。
音源はおもにE-onkyoのHOFF ENSEMBLEのQuiet Winter night 192kHzで聞きました。これはお勧めの音源です。


e-Onkyoのハイレゾダウンロードリンクはこちらです。
http://www.e-onkyo.com/music/album/twl0873/

バーンインなしなのできつさは割り引いて考えてますが、それでもきつすぎずに十分聞ける状態です。
一曲目を再生してすぐに、まるでスピーカーで聴いているような音空間の深みに圧倒されます。そう、圧倒されるという表現が正しいですね。あのシンガポールでRP030と聴いた感動です。実際にはスピーカーのような音場ではありませんが、こうした音空間の深みと言うのはあまり聞いたことがないレベルです。逆に言うとスピーカーでも得られない独特の表現ですね。
音の細かさもSTAXレベルで感じられ、192kHzでは足りないぞと言わんばかりの解像力です。録音の違いもあいまいにしないで明瞭に再現するので良録音のソースがよいでしょう。

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高域はバーンインなしでも尖りすぎずにかつ上に伸びてます。高域楽器のキレの良さ、分離感は最高レベルです。Blue CoastのGarett BrennanのDog Song 96Kではギターのピッキングでの硬質感と音の芯の強さが印象的です。楽器は広い空間に深さを持って三次元的に浮いています。ベースも量感たっぷりで迫力とインパクト、タイトな小気味良さを両立しています。
ヴォーカルはゾクっとするくらいリアルで思わず目を閉じて聴き入ってしまいたくなります。特にQuiet Winter nightでの男性ヴォーカルと女性ヴォーカルが交互に歌う箇所では男声と女声の対比が明確で驚きました。こんなに違うんですね、といまさら言いたくなるくらい音程・声質の違いを鮮明に教えてくれます。

もちろんDSD再生させても独特の滑らかさと優しさを良く表現してくれます。音楽ジャンルではクラシックやジャズのようなアコースティックの音楽だけではなくロックなども低域のインパクトがあってかっこ良く聞くことができます。録音に凝っていてうまく空間の深みを活かせるとエレクトロニカなどの電子音系でも意外といけます。

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同じようにケーブル改造したT1と比べてもやはり差はあります。Abyssの深み、豊かさ、濃さ、音の重みはクラス上だと感じます。そして音楽的で滑らか、わずかに暖かみがあって分析的ではありません。性能だけではなく音楽性も良いのが印象的です。
平面型と言うことでSTAXと比べると、記憶にあるSTAX SR009はもっと細身で分析的です。EF6+Abyssはもっと厚くて豊かな音再現を持ってます。ダイナミック型の良さも兼ね備えていますね。音の性格的にはSR009よりSR007に近い感じで、SR007をダイナミックにした感じでしょうか。ただ音空間はもっと深く広く、解像力がありながら骨太と言う感じでSR007のようなベール感はありません。
たしかに高価ですが、SR009に36万円を出すならば、Abyssが50万と言うのは納得できる価格だと思います。ただし繰り返しますが、条件としては強力なアンプを使うことです。もちろんソース機材も優秀なものが必要でしょう。

CanJamでは平面型祭りと言う感じでしたが、このAbyss、Jabenのブースで公開、試聴できます。Jabenブースの場所は10F大部屋の中央で、今回は2テーブル使用します。
またヘッドフォンアンプはなんとCanJamでも出ていた真空管アンプCavalli(カバリオ)の予定です。Abyssとの組み合わせはJudeもお勧めと言っていましたね。Cavalliだけでもトピックになりそうです。
日本で聴けるこの機会にぜひ聴いてみてください。
posted by ささき at 06:10 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月21日

PSB M4U1, M4U2ヘッドフォンとNAD Viso HP50レビュー

以前シンガポールのヘッドフォン祭、Mook Headphone festivalで少し書いたPSBとNADのヘッドフォンを今回のヘッドフォン祭ではJabenブースで持ってきてくれます。
デモ機を借りて試聴しましたのでレビューしてみます。

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NAD M4U2

PSBとは創業者の名前(Paul & Sue Barton)でもあり、People, Sound & Businessの略でもあります。基本的にはカナダのスピーカーメーカーで正確に言うとPSB Speakers Internationalという名前のようです。40年くらいの歴史があり、現在では全世界に50を超える代理店を持つ国際的なメーカーとなっているようです。
PSBのホームページはこちらです。
http://www.psbspeakers.com/

M4UはMusic for youのことで、ヘッドフォンの製品です。M4U1とM4U2のタイプがあり、クローズタイプのデザインとヘッドフォン部分は同じですがM4U2はアンプとノイズキャンセル機能が付いています。


* PSB M4U1

M4U1はクローズタイプのヘッドフォンでいわば基本機能です。外観では曲線を描いたデザインも良く、柔らかいので装着感も上々です。オーバーイヤータイプで耳を包み込むような装着感も上々です。側圧もそれなりにありますが強くはありません。
ユニークな点は、ケーブルがミニプラグ交換式の片側差しのケーブルですが、このタイプは通常左にプラグがあります。しかしM4Uには左右両方にプラグが付いていて、接続はどちらでも構いません。好きな都合の良い方に接続できます。この辺はちょっと面白いですね。

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音質は据え置きヘッドフォンアンプで聞いてみると、音は音楽的で全体に滑らかできつさを感じさせません。全体にバランス良く低域だけがですぎたところはありません。
ヴォーカルや楽器の分離は良く、表現はやや暖かくヴォーカルも魅力的です。分析的なタイプではなく音楽をゆったりと楽しむタイプですね。聴き疲れもすくない感じです。
iPod classicと組み合わせてみると、柔らかいながら音の分離も悪くはありません。空間表現が良く立体的で楽器の音再現も良いですね。やはり滑らかな音再現で雰囲気の再現に優れていると思います。

* PSB M4U2

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M4U2はRoom Feelと呼ばれるヘッドフォンアンプ内蔵のノイズキャンセルタイプです。ケーブルはリモコンのあるなしの二本が付いていて、スペアのパッドも付いています。またエアクラフトアダプターも付属しているのでノイズキャンセル機能を飛行機で使うこともできます。プラスチックのケースはトラベルケースとなり、これも旅行用途を感じさせますね。M4Uは少し折り畳むことができます(あとのNADは折りたためません)。

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ヘッドフォン側面にモード切り替えのスイッチがあります。スイッチにはLEDが付いていて選択されたモードを色で知らせます。モードはパッシブモード、Activeモード、Activeモードでノイズキャンセル付きです。パッシブモードでは普通のヘッドフォン(いうなればこれがM4U1相当)として使用ができて電池は不要です。
ActiveモードではLEDが赤点灯して内蔵のヘッドフォンアンプが機能します。Activeモードでノイズキャンセル付きではLEDが緑点灯してアンプとノイズキャンセルが働きます。LEDがAmber(橙色)になると電池切れサインです。

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またケーブルのリモコンコードでMボタンを押すとノイズキャンセルの時にモニターモードになり周辺の音が聞こえるようになります。リモコンはiPhoneに準じます。

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音質の基本はM4U1と同じです。
Activeにすると明瞭感がまして力感も向上し、ちょっとしたポータブルヘッドフォンをつけたようになります。
ヴォーカルもより魅力的に感じられます。Activeの効果は大きいですね。
機内のようにあまり騒々しいところでは聴いていないのでノイズキャンセルはどの程度かは保留ですが、TVを大きくかけて試すとうるさい成分の騒音は消して人の声は残す感じです。

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ですので家でアンプで楽しむ時はパッシブで、外出でiPodをつかう時はActive、飛行機に乗ったらノイズキャンセルと使い分けることができます。

* NAD viso HP50

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PSBのポールバートンがよりコンシューマー向けに立ち上げた別ブランドがNADです。NADもアンプからヘッドフォンまでさまざまなラインナップを持っていますが、ここではヘッドフォンのViso HP50を紹介します。
NADのホームページはこちらです。
http://nadelectronics.com/home

Viso HP50は軽くコンパクトなクローズタイプヘッドフォンで、ポータブル用としてM4Uより意識していると思います。なかなかスタイリッシュで装着も快適です。折りたためませんが、ポータブルには遜色ないくらいはコンパクトだと思います。平型のリモコン付きのケーブルが付属してきます。

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ただし聴いてみると能率はけっこう低めで、ただのスタイリッシュヘッドフォンではなく、音質もより考慮していることがうかがえます。
音はPSB M4Uより明るく明瞭感があります。クリアで低域もたっぷりした量感とインパクトがあり、M4Uに通じる音空間の深みがあります。音の広がりの良さが印象的ですね。解像力もこのクラスでは十分なほどありますし、シンバルの音も鮮明でギターのピッキングも切れよく小気味よく感じられます。ポータブル用のヘッドフォンとしての音質のレベルは高いと思います。iPod classic単体でも良い音が楽しめ、AK100mk2にするとさらに高音質で聞くことができます。

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PSBとNAD製品は系統は同じだけれども、音の作り方は違います。NAD HP50は明瞭感があってやや低域は誇張され、コンシューマサウンド。PSBはもっと滑らかで柔らかでバランスが良い感じです。
端的に言うと、PSBは大人向けサウンドで、Viso HP50は若向けサウンドともいえます。
国内での価格はまだ決まっていませんが、海外価格の目安はM4U2がUS$400、M4U1がUS$300、NAD HP50はUS$400のようです。
ヘッドフォン祭では会場で販売もするそうです。またNAD D3020(BT付きのヘッドフォンアンプ)も展示するようです。

なかなかポータブル用の良いヘッドフォンと言うのはないので、ポータブルでヘッドフォンを使いたい人はヘッドフォン祭のJabenブースでぜひチェックしてみてください。
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2013年07月04日

Music To Go本好評をいただいています

先日発売したMusic To Go本ですが、今時点でAmazonのオーディオビジュアル部門で9位と好評をいただいています! 予約時点よりも発売してからの方が好評をいただくという良い展開です。
派手なところのない分厚い本なんですが、みなさまありがとうございます。

発売前は単にブログの転載じゃないかと思ってた方も多いかもしれませんが、実際に本で読むと通読しやすいのでこの間の流れがよく分かると好評をいただいています。このネットの時代に紙の本を読むという価値を見直すという点でも面白いモデルケースとなるのでは、とも思います。
引き続きよろしくお願いします !


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2013年07月02日

オトノート誕生

ヘッドフォン祭での活躍など元祖オーディオ女子でおなじみの福島花乃さんが新たにウエブサイトを立ち上げました。下記のオトノートというサイトです。
http://www.oto-note.com/index.html

きれいな女子らしいパステル基調のよくまとまったデザインで、内容も入門的な記事や、ヘッドフォンなど機材紹介、またCDなどの解説など充実しています。入門者のポータル的に働くと良いなと思いますね。
また今後ともいろいろな企画もしているようで、注目していってください。
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2013年05月05日

Jaben バランススペシャルセット レビュー

二月に行われたポタ研で参考展示されて好評を博していたJabenのバランス改造ベイヤーとオーロラサウンド(音松ブランド)のバランスヘッドフォンアンプのセットがいよいよ発売されることになりました。
もちろん5/11の2013年春のヘッドフォン祭でもJabenブース(9F-29)で展示されますのでまた試聴できます。

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左からT5pバランス、T1バランス、Otomatsu BDR-HPA02アンプ

これは「Jaben バランススペシャルセット-1という商品で、バランス駆動型ヘッドフォン+アンプ+DACのセットです。ヘッドフォンはベイヤーのフラッグシップ、T1かT5pどちらかのバランス改造品が標準バランスケーブルと一緒にセットに含まれます。注文時にはどちらかを指定することになります。
価格は248,000円(消費税込)です。
音松アンプは純粋なアンプだけですのでPCとの接続を考慮して定評あるDACportが付属するのもポイントです(これだけで5万くらいします)。
またこの他にもオプションとしてクライオ処理した高性能バランスケーブルがオプションで用意されます(価格未定)。下の写真がオプションのクライオケーブルです。

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先に書いたようにヘッドフォンはBeyerdynamic社のT5p(32Ω)とT1(600Ω)のどちらかで、それぞれに専用のバランスドライブができるよう改造を施した、特製の4ピンXLRの高信頼性コネクタを装備したケーブルが付属しています。
ヘッドフォンコネクター部はミニXLRジャックに改造しバランス駆動を可能 にしています。 下の写真が改造されたプラグ部分と4pinバランスコネクターです。

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オーロラサウンド製のアンプはOtomatsu BDR-HPA02というバランスヘッドフォンアンプで4pinのXLRプラグを使うタイプです。BDR-HPA-02はJabenの要求により本ヘッドフォン用にオーロラサウンドがOtomatsuブランドで特別にチューニングしたもので4ピンXLRジャックによるバランス駆動、また標準フォーンプラグによるノーマル駆動ができるようになっています。またT5pとT1というインピーダンスや感度が異なるヘッドフォンも適正な音量で駆動できるようにゲイン切り変えスイッチを(High/Low)を備えています。

以下特性をリリースから転記します。
・・・・・・・・・
周波数特性 5Hz -80kHz
全高調波歪率THD+N 0.0046%
最大出力 1500mW x2 @45Ω負荷 Highゲイン時
ドライブ可能ヘッドフォン 16Ω - 600Ω High/Low ゲイン
電源 AC100V 50-60Hz
大きさ W230mm x D180mm x H80mm (突起物含まず)
・・・・・・・・・

販売サイトはJabenですがJaben Online のサイトに日本語ページを作っているそうで、そのオープンが5/20だそうです。これが販売開始になります。ただしヘッドフォン祭会場では会場特価で先行販売するそうです。つまり日本語で注文でき、発送も国内ということです。サポートも日本語です。(故障等はメーカーに返送になります)

本商品に関する問い合わせ先は以下の通りです。
JABEN日本代理人 : 蒼蠅堂 (そうようどう)
メールアドレス shimayutan@gmail.com
FACEBOOK https://www.facebook.com/JabenJapan

* 実機レビュー

試聴機をお借りしたので実機レビューします。アンプは金属筐体のがっちりしたものです。

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まずアンプの特徴を聴くためにHD800で聴いてみました。標準のヘッドフォンプラグもロックがついていてがっちりとしたものです。DACはChord QuteHDを使っています。
非常に透明感のある音でピュアでニュートラルにヘッドフォンの性能、またはDACの能力を通す感じです。色付けはなく、アンプがどこか周波数を強調するというようにも思えません。解像力も高く、高性能のQuteHDを使ってハイエンドのHD800から聴きたいというレベルの音を素直に伝えてくれていると思います。ベルの美しい響きから、女性ヴォーカルの発声の明瞭さ、ベースのうねりまで楽器音の明確な表現も十分にできてますね。欲を言うともう少し低域のコントロールがほしいという気はしますが、十分なレベルではあると思います。
ゲインもHigh、LowがありHD800でもHighで10-11時前後で十分音量が取れます。ベイヤーにチューニングしたと言ってもHD800でも良い音で聴けますので十分な汎用性もありますね。

アンプはアナログ入力のみだけれどもDACportがついているのでこれをUSB DACとして使うことができます。DACportも小型ながら性能には定評ありますからね。

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T1バランスとクライオケーブル

* T1バランス+標準の黒ケーブル

ゲインはHighで試聴しました。4pinバランスを使用しています。キヤノンプラグなのでがっちりとしてロックができます。ヘッドフォン側はミニXLRでこちらもロック機構がついています。しかしこのプラグ改造はほんとに良くできていて、初めて見たときは、もともとこういうオプションあったっけ?とベイヤーのホームページを見直したほどです。改造というよりはじめからこうだったように思えるくらいよくできています。

先のHD800ノーマルで聴いてたのに比すると、低音の量感がたっぷりとして、音の広がりが大きく向上します。さきに聞いたHD800もノーマルながら音の広がりには定評ありますが、それをも軽く超えてしまう立体的な空間表現力はまさにバランス改造で期待される音になっていると思います。
T1というと正確でタイトな音を鳴らすという印象ですが、このバランス・リケーブルによってより音楽を鳴らす厚みのある濃い音が加わったのが面白い点です。個人的にはT1というとジャズトリオとか室内楽を聴きたいタイプのヘッドフォンだけれども、このバランス化でもっといろいろなジャンルを聴きたくなると思います。
ただ低域はあまり張り出してはいないのでT1の音の範疇ではあります。

* T1バランス+クライオケーブル

オプションとして用意されているクライオケーブルに変えると音のクリアさが大きく向上してベールがはがれたような明瞭感が得られます。ベースは量感だけではなく、よりタイトになりさらにT1の力を引き出しているように感じられます。細かな解像力もさらに上がり音を聴いてハッとする凄味のような魅力が加わります。SHANTIのヴォーカルの表情もより生き生きとして細かな再現力が上がります。
このケーブルはこのT1バランスシステムの魅力を最大に引き出していると思いますね。高価だとは思いますが、できればこのシステムにおいてこのクライオケーブルはぜひほしいところです。ただ曲によっては腰高できつめと感じることもあるので、元のケーブルもあったほうが良いとは思います。

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T5pバランスと標準ケーブル

* T5pバランス+標準ケーブル

ゲインはLowにして試聴しました。T5pはもともとT1の低インピーダンスバージョンというだけでなく、音の個性的にもT1よりもロックやポップに向いたダイナミックさを持っていると思います。音楽をより正確に分析的に聴きたいときはT1、より楽しく聴きたいときはT5pという感じでしょうか。このバランス改造でもそうした個性の差を引き継いでいて、T1に比べてやや緩め太めのT5pの音はダイナミックに音楽を聴くのにより適しています。生楽器と打ち込みビートの複雑に入り混じったエレクトロニカでも躍動感と音のち密さを両方聴かせてくれます。この標準の黒ケーブルはT5pの方が似合うと思います。

* T5pバランス+クライオケーブル

T5pバランスにオプションのクライオケーブルを付け替えても、やはりベールがはがれた感じを受けますが、T1の場合はベールが二枚はがれた感じだけ、T5pの場合は一枚ベールがはがれた感じです。もともとT5pの方がアンプ的に鳴らしやすいと思うので、T5pの場合は黒ケーブルでも良いかなとは思えます。
いずれにせよ、T5pとクライオケーブルの組み合わせもより細かに音も浮き彫りにして情報量の洪水をもたらすというという感じです。
音楽性と性能の高次元の調和ですね。試聴はPCオーディオでやっていて、たいていはたくさんのいろんな曲のポイントを次々に聴くんだけど、このT5pバランス+クライオケーブルの組み合わせを試聴していて最近気に入っているRhian SheehanのStory from elswhereを聴いていたらはまってしまって曲を聴きとおしてしまったというくらい魅力的な組み合わせではあります。なにより音楽的に美しく楽しく聴けますね。

挾間美帆のように軽快でスピード感あふれるジャズを聴きたいときはT1がいいけれども、情感あふれる感動的な音楽を聴くときはT5pかなあと思えます。そういう意味ではやはりT1もT5pもほしいところではありますね。なかなかどちらだけとは言い難いけど、そうしたベイヤーの新型テスラシリーズの魅力を再発見させてくれたシステムと言えるでしょう。

ポタ研でデモした時もベイヤーを持っている人から好評だったシステムですが、ぜひヘッドフォン祭で試聴ください。Jabenは9Fの29(大部屋の真ん中あたり)です。


           

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2013年03月16日

ヘッドフォンブック2013に執筆しました

発売中のヘッドフォンブック2013に記事を執筆しました。
まずヘッドフォンアワード2012のコメントを書いています。昨年ベストがFitEar Togo 334というのは音質的にも独自のジャンルを切り開いたという点でも納得でしょう。ただSpirit Oneについては本来はミドルクラスに入れたかったのですが、ちょっと国内価格が高いのが難ですね。もっとブレークするポテンシャルを秘めた真面目に作られた製品なのに残念です。

次に注目してほしいところはP119からのゼンハイザー、ウルトラゾーン、ウエストンのインタビューです。これは昨年の秋のヘッドフォン祭のときに私が直接インタビューしたものです。全体ではもっとやってるので後で録音の聞き起こしが大変でしたが、字数の都合で割愛したところもあります。
ゼンハイザーのインタビューはデモルームの中だったので見てた人も多いかも。ゼンハイザーのアクセルはさすがまじめという感じで話しやすかったですね。アクセルは技術者なので私も話しやすかったです。インタビューを終えたときに「いい質問だった」と言われてちょっとうれしかったですね。
ウルトラゾーンのマイケル・マイケルは個人的にもけっこう知っているので和気あいあいと進められました。中で「IQは世界中の音楽関係者に意見を求めて開発しました」っていうところで私が「But you didn't ask me! - 私には聞いてないよね」って突っ込んで、全員爆笑したりしました。
ウエストンについてはこのときはダイナミック市場は先という話をしていたのにインタビューが出る前にCESでダイナミックの参考品を出されてしまい焦ったりしました 笑。あと記事には書いてませんが世間話的な会話の中でヘッドフォンも実は匂わせてたんですが、これはちょっと別な形になりそうですね。

それと「ポータブルオーディオ強靭化計画」という特集でHDP-R10、AK100、HM901のレビューとTera PlayerとColorfly C4にも触れています。記事では書いてませんがこの時借りたデモ機でHDP-R10と自分のDX100を比べましたが、やはりR10の方が音質は上だと思いました。
それとこの記事ではOnkyoの開発中のも含めて音楽再生アプリ14本を一挙コメントを書いています。書いてみると結構たくさんあって選外になったものもいくつかあります。iOSが多いのは私がiOSメインということもありますが、Androidの音楽再生アプリは数は多くとも並べてしまうと際立つ個性差が少ないということもあります。
また音楽再生アプリについてはiOS/AndroidともFLAC Player/Golden Ear/Neutronなどのオーディオ向けグループとRADOSONとかUBiOのようにDSP主体のカジュアル向けと分ける必要があると思いますね。

このほかではP37からの製品レビューでDENON D7100、D600、FitEar Togo 334、Ultrasone Tio、LCD2 Bambooを書いてます。私はLCD2は自前で持ってますが、LCD2 Bambooは軽くなってて驚きました。LCD2はとにかく重いのが難点でしたからね。

付録としてはハイレゾ音源データやアニソン・ヘッドフォンブックもついています。ボリュームたっぷり、見どころたっぷりなのでどうぞお買い求めください!



またヘッドフォンブックについては英語化プロジェクトも進行していますので、英語版の方もチェックしてくださいね !
http://vaiopocket.seesaa.net/article/323325414.html
posted by ささき at 19:39 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月17日

英語版「ヘッドフォンブック 2012」のサイトオープン

この前のポタ研の記事でも少し書きましたが、日本で発行されているあの「ヘッドフォンブック 2012(音楽出版)」の英語版のサイトがオープンしました。こちらです。
http://www.themookcompany.com/

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購入は下記のJabenストアから行うようです。まだ受付していませんが、出版作業は順調に行われているようです。
http://jaben.net/shopping2/The-Mook-Inaugural.html

ヘッドフォン記事を読んで楽しく英語の勉強というのもいかがでしょうか?
posted by ささき at 11:24 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月18日

Bursonの新型DAC/アンプはSaber32搭載

HA-160Dが日本でも好評のBurson Audioですが後継?機種としてConductorという機種が出るようです。HA-160DはDAC部分の評価が高くてのちにDACのみの機種も作られています。アンプのみ別になるというのは良くありますが、本来おまけのようなDACが独立するっていうのはなかなかないですね。そのDAC部分が今度はSaber32になるとのこと。
ヘッドフォンアンプ部分はFET入力段と最小回路構成でハイパワーかつ滑らかな音で好評の新型Soloistのものを採用しているようです。
http://bursonaudio.com/Burson_Conductor.html

Saber32はファミリー名称ですが、他のソースを見るとSaber32はES9018と出ていますね。
http://www.monoandstereo.com/2012/09/burson-conductor.html?m=1
これは期待の機種となりそうです。
posted by ささき at 09:09 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月08日

Audio BasicとPC Audio fanはGaudioへ

今月号でオーディオベーシックは休刊としてPCオーディオファンと統合して、新雑誌Gaudioとして発行されるということです。今月号のタイトルにもCD30周年とありますが、オーディオの世界もひとつの曲がり角ということなのかもしれませんね。また新雑誌に期待したいところです。


posted by ささき at 21:37 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月13日

HeadFi Buying Guide2012夏号発行!

HeadFiのJudeさん指揮監修のもと、メンバーによる合作で昨年クリスマスに「書籍版のHeadFi」としてHeadFi Buying Guideが刊行されましたが、その最新版の2012年夏号が発行されました。下記の記事中のリンクから無料でダウンロードできます。少し下のCLICK HEREというリンクです。
http://www.head-fi.org/t/618255/check-out-the-head-fi-summer-2012-buying-guide

ヘッドフォン、イヤフォン、DACアンプ、DAPと広範囲にカバーされてボリュームもたっぷり、きれいにレイアウトされてます。もちろんHeadFiらしくメンバーのコメントも引用されてます。
日本からはFOSTEX HP-P1や須山カスタムMH334も入ってますよ。英語ですが、海外のヘッドフォン事情を知るにも良いでしょうね。メンバーでなくてもダウンロード出来ると思いますが、この機会にぜひアカウントを登録ください。
posted by ささき at 09:01 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする