Music TO GO!

2017年02月13日

Erato Audioの新しい完全ワイヤレス、Muse 5とRio 3のレビュー

Apollo 7のErato Audioからクラウドファンディング(indieGoGo)にてMuse 5とRio 3という新しい完全ワイヤレスイヤフォンが発売されました。Muse 5については国内導入されるようです。Eratoは台湾系のオーディオメーカーでnuForceとも関連があります。

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Muse 5

Muse 5はApolloの兄弟ともいえるもので、小口径ドライバーを採用しています。ただし独自の特徴があり、イヤチップのほかに独自の装着性をよくする外耳用のスリープが採用され、3Dサウンドとして音場を広げる回路を内蔵しています。チャージャーもついていますがコストダウンされた感じで、Apolloよりも低価格です。

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Rio 3

Rio 3は大口径ドライバー採用です。耳フックが付いているのでスポーツモデルに見えますが、音質もかなり良いです。Museより低コストでチャージャーがついていません。大柄でボタンも片側3つついています。

以下はiPhone 7 Plusで聴いています。

* ドライバー

Muse 5のドライバーは5.5mmの小口径ダイナミックドライバーを採用しています。Rio 3のドライバーは14.2mmの大口径ダイナミックドライバーを採用しています。
この違いはそのまま音質に現れてきます。最近ShureやSennheiserが小口径ダイナミックを採用しているように、大きいから良いとも限りません。ただし大きいドライバーにはそれなりの良さがあります。(後述)
両者は音質の差というよりも音の個性の差が大きいと感じます。

* スマホとの接続、左右ユニット接続

スマートフォンとの接続はBluetoothを採用、左右ユニット間の通信方式は明記がありませんが通常のBluetoothだと思います。

Muse5の場合、左右の音切れはかなり少なく優秀です。一日使っていて数回あるかないかというレベルです。最近は完全ワイヤレスも増えてきて、左右音切れを防止するためにNFMIを採用するモデルも増えてきましたが、BTでもこのくらいのレベルになると十分であるようには思います。
音切れ確認テストとして、ためしに両手で両耳を覆うと左(親機)は切れませんが、右の子機は切れます。iPhoneをポケットに入れていても親機との接続は切れません。電車の中のようにWiFiの濃い環境でも特に問題ありません。
ただし、たまに音が切れたまましばらく戻らないことがありますが、リスタートすると直りますのでおそらく電波的なものではなくソフトウエアの問題だと思います。

Rio3は左右の音切れはややあります。ただしEarinやW800BTよりはずっと少なくて、Aria Oneと同等かやや良いくらいです。なぜMuse 5と違うのか分かりませんがファームウエアは違うところに出しているのかもしれません。

両方ともペアリングは同じで、まず書かれた手順により左右をペアリングします。そのあとでいったん電源切って親機である左をスマートフォンとペアリングします。そしてふたたび右を立ち上げて左右を接続します。このときに音声ガイドがあり、左右接続の時は"True Wireless connected"、スマートフォンとつながったときは"Phone connected"としゃべります。
この辺はやや煩雑で、AirPodsとは差が出るかもしれません。

両方とも日本語マニュアルがあります(クラウドファンディングモデルでも)。ただしやや分かりにくいです。

* 対応CODEC

Muse 5、RIO 3ともにAptX,AAC,SBCに対応しています。またRio3ではどのコーデックで受信しているかの確認がLEDでできます。これは珍しいですね。

* チャージングステーション

Muse 5はApollo 7 同様にチャージャーがついています。ただしApolloの金属製のチャージャーに比べるとプラスチックでやや安くなっています。これは全体的なコストダウン(Apolloの約半額)を考えると仕方ないでしょう。

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Muse 5チャージャーケース

実用的にはあまり問題ありませんが、独特のイヤチップのおかげでややはめ込みにくくなっています。ラフにはめ込んで軽く左右にひねると入りやすくなります。ユニットに赤いランプがつくと充電&電源オフとなります。完全ワイヤレスでありがちな、片側だけの充電もこのランプで防止できます。Muse 5はApolloよりも長く4時間持ちます(実測)。

Rio 3はチャージャーがなく、その分長く6時間電池が使えます。充電は各ユニットごとにマイクロUSBの口があるのでそれで充電します。同梱で二股のUSBケーブルがついてきます。


* ユニット側での操作

Muse 5はワンボタンでApollo 7と同様な操作ができます。ボタンが大きくなったのでやや操作感は向上しています。
Rio 3は3つの独立したボタンがあり、多様な機能がありますが、指探りで引っかかりがないのでどのボタン触ってるかがわかりにくいのが難点です。デザイン性はともかく、独立のポッチにした方がよかったと思いますね。
いずれにせよどちらも再生のポーズは簡単なので、ちょっと音楽を止めて外の音を聴きたいと言う時には役に立ちます。

こうしたBTで左右独立タイプの場合は子機側に操作系があると子機側を手で覆ってしまい途切れることがあるので、操作系は親機側においたほうがよいと思います。NFMIだともっと柔軟性があるかもしれません。

* 通話機能

Muse 5もRio 3もマイク内蔵で通話が可能です。またSiriなどの操作にも使用できます。

* 外観と使用感

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Muse 5

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Rio 3

両方とも箱・パッケージはよくできています。パッケージデザインは共通です。Rio 3にはチャージャーケースがないのでジップポーチがついています。

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Muse 5

Muse 5の大きな特徴はフィットスリープという外耳用のスリープがついていて、セミカスタムのようにフィットの適用範囲が大きいということです。これはいままでのイヤフォンにはなかった特徴です。つまり従来通りのシリコンイヤチップのS/M/L、フィットスリープのS/M/Lの3x3の組み合わせでフィットできることになります。

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Muse 5のイヤチップとフィットスリーブ

このフィットスリープは実際かなり有効です。特に外耳のフィットスリープは向きが重要なので、少し回転させながらポイントを探すと良いと思います。装着感はすべてのユニバーサルの中でもかなり上位と言えます。

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Rio 3

RIO 3はやや大柄でフックにかけるタイプのためにやや装着に違和感はあります。耳掛けは柔軟で痛さはあまりありません。イヤチップは普通のIEMのようにラバーシリコンのイヤチップを使います。
Rio 3は装着性、遮音性に関しては標準的というくらいです。

* レイテンシー

Muse 5はHuluで映画を見るときはまあ悪くない程度だと思います。ゲームではちょっと使えないですね。Rio 3はもう少し遅れます。ちょっと映画でもつらいかもしれません。ただどちらもW800BTよりはかなり良いです。

* 音質

Muse 5の音質はかなり上質です。Apollo同等かそれ以上で私が聞いた中では完全ワイヤレスでいまのところ一番音が良いですね。
だいたいApollo 7と同じような音ですが、遮音性がより高いのと3D機能(後述)があるので実質はMuse 5の方がよいと思います。
シャープで歯切れが良く、スピードがあってノリが良い感じです。ベースの打撃感が鋭くパンチがあります。低音の量はほどほどですが深みが感じられます。全体にわりとワイドレンジ感もあります。ダイナミックだからはじめ音は甘いので、最低3-4時間はエージングして聞いた方が良いですね。

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Muse 5

Muse5の売りの一つの3D機能ですが、標準で聴く分にはわりと自然で常用できます。感じとしてはサラウンドというよりは上質なクロスフィードだと思います。
メールによる製品説明によると、右側ユニットに仮想的に左側の音が聞こえるように、という説明なのでDSPを使用して左右チャンネルを混ぜるような仕組みであり、やはりクロスフィードの一種と言えると思います。ただこの仕組みにHead Related Transfer Function (HRTF)というノンリニアで周波数に応じた仕組みを採用しているところがみそのようです。

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Rio 3

Rio 3も音質はかなり優れています。Muse 5とくらべると第一印象はRio3の方が音がいいかもとも思います。まあまあクリアというところですが、迫力がかなりあってパワフル。スケール感もあります。さすが大口径でダイアフラムでかい(15mm)だけありますね。低域がイヤフォン離れして、ヘッドホンみたいな余裕のある音が出ます。
なめらかで、思ったより低音出っ張ってる感はなくて、くらべるとAria Oneの方がドンシャリっぽい感じです。低音出るっていうよりも、迫力があってスケール感もあると言えます。また素直できれいな音色も良いです。

ただしよく聴きこむと、ワイドレンジ感とか音の細かさはMuse5やApolloの方が良いと思います。くらべてみるとMuse5の方が端正な音ではあります。どっちかというとオーディオファイル向けですね。ただしぱっと聞きはRio3が良いと言う人も多いでしょう。Rio3はより一般向けで、ロック系はRio3の方が好ましいと思います。
いずれにせよ小口径と大口径のダイナミックドライバー競演というか、それぞれのよいところがうまく生かされているのはEratoさすがだと思います。

* まとめ

簡単にまとめると、Muse 5は端的に完全ワイヤレスで私が見たなかで一番良いです。欠点も少なく、音質も良いですね。電池も十分持ちます。ただし全体にApollo7よりは低コストにした感があってチープではあります。またチャージャーの収納性と取り出してすぐ電源オンに関してはEarinの方がよいですね。それとペアリングはなんとかしてほしいところ。

Rio3は音質が独特で高得点ですが、操作性が良くないとか左右音切れがややあるなど欠点もあります。まずMuse 5を買って、お金に余裕があれば違う音質を楽しむためにRio 3も買うのがお勧めです。(わたしはRio3は70$くらいだったので)
posted by ささき at 21:16 | TrackBack(0) | __→ 完全ワイヤレスイヤフォン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月24日

AirPodsの左右通信方式について考える

出荷が遅延していたAirPodsが先日発売されました。私はまだ入手していませんがいろいろなところでレビューが上がり始めています。
ちょっと興味があったのは完全ワイヤレスのAirPodsの左右ユニット間接続です。Androidとも接続報告があるのでAirPodsとスマートフォンの間は普通のBT接続と推測できますが、私の興味は完全ワイヤレスでのポイントとなる左右接続はどうかということです。AirPodsでは従来の完全ワイヤレスのような片方から片方へのリレーでBTを渡す方式のほかに、左右独立にスマートフォンとBTで通信しているとか、DashのようなNFMIの仕様(NFMIについてはこちら)、あるいは謎のRF(無線方式)とかいろいろと説がありました。

まず左右独立BTを考えてみます。スマートフォンでBTキーボードでタイプしながらBTヘッドフォンで音楽を聴いている人は多いと思いますが、BT自体は複数の機材とセッションが張れないわけではありません。BTヘッドフォンでKleerのように1(スマホ):2(RとL)の接続ができないのはBT自体というよりA2DPプロファイルの制約です。
ですから左右独立BTであるならばAppleが独自のプロファイルを作ることになりますが、これはAndroidで使えるということと矛盾するのでなくなります。もうひとつは2つのA2DPセッションを張ることですが、これが可能かどうかはわかりませんが、こうすると両セッションのオーディオデータストリームの同期が必要になります。これはちょっと考えにくいように思います。ないとはいえませんが、いずれにせよ左右ユニット間での同期通信が必要になります。

あとはNFMIとか謎の方式ですが、これは中を見て該当の通信チップがあるかどうかを調べれば分かります。
そこでおなじみiFixitがAirPodsを分解したので見てみます。
https://www.ifixit.com/Teardown/AirPods+Teardown/75578
この分解によれば、W1以外の通信チップはないように思えるので(Step11)、W1チップ自体にBT以外の独自通信機能がない限りは、やはり左右ユニット間もBTで通信していて、全体的には左右どちらかがまずスマホとつながり、そこからもう片方に信号を渡すリレー形式であると思います。長いステムの部分はやはりアンテナなので(Step9)、こうした張り出しを設けている点も直進性が高く人体で遮られやすいBTの特質を考慮しているように思います。

またiFixitがケース(チャージャー)側の分解において、ARM SoCのコネクタ部分のはんだ付けが汚く、通常は出荷を急いだ場合にみられる現象があることから、AirPodsの出荷遅れの原因はケース側ではないかと推測しています。
posted by ささき at 08:30 | TrackBack(0) | __→ 完全ワイヤレスイヤフォン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月31日

国産の完全ワイヤレス、ONKYO W800BT

これまで完全ワイヤレスというと海外メーカーのみだったわけですが、W800BTはONKYOが発売する初の国産の完全ワイヤレスイヤフォンとなります。海外では昨年あたりから展示されていたので、開発はかなり早い段階と言えるのでしょう。ちなみに下記の公式ホームページに形式名を「完全ワイヤレスイヤホン」と明記されています。
http://www.jp.onkyo.com/audiovisual/headphone/w800bt/

なかなか人気で品切れのニュースが出た点でも話題となりました。注目度はやはり大きいようです。

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以下はiPhone6またはiPhone7Plusで聴いています。

* ドライバー

W800BTのドライバーは8.6mmのダイナミック型ドライバーを採用しています。再生帯域は6Hz - 22kHzです。(SBCのみで22kHzまでいるかはともかく)

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* スマホとの接続、左右ユニット接続

スマートフォンとの接続はBluetoothを採用、左右ユニット間の通信方式は明記がありませんが通常のBTだと思います。片側だけの使用はできないと思います。

左右音切れはわりとあります。Earinと同程度だと思います。Apollo 7などに比べると少し多いですね。
また親機の右はiPhoneとの接続では通常はあまり音切れは気になりませんが、iPhone側のBTアンテナを手でふいに覆ってしまうと電波受信が悪くなりやすいです。Apolloはこうした障害にもうちょっと強いように思います。

W800BTは言葉が書いていないマニュアルなので、はじめはペアリングに戸惑うかもしれません。概念が新しいイヤフォンなのできちんと言葉の書かれた各国語向けのマニュアルがあった方がよいかと思います。
とはいえ、なれると簡単で電源両方同時長押しオンで左右ペアリングされて、あっさりiPhoneにもつながります。

またAria OneやApollo7にある接続したときやロストしたときの音声ガイドがないので不便を感じることもあります。(ピッとなるだけ)

* 対応CODEC

SBCのみに対応しています。ただし音質的な問題はあまりないと思います。

* チャージングステーション

完全ワイヤレスにおいてチャージングステーションはとても重要なコンポーネントですが、W800BTは(デザインは良いのですが)チャージャーがでかいのが難です。ケースにケーブル込みは良いように見えますが、実際はチャージャー自体の充電はたいてい家でやるためケーブルは持ち運ばないので、内蔵は不要だと思います。それより小さくして欲しいという感じです。

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また充電の時にピンに刺すのがちょっと急いでいるとやりにくいので、他の完全ワイヤレスのように電極を使う形式にしてほしいと思います。ただしこれはがっちり差すため片側のみの充電がおきにくいのでその点では良いかもしれません。

* ユニット側での操作

W800BTの操作ボタンは電源のオンオフと通話機能のみで再生コントロールはできません。これはちょっと不便ですね。またW800BTは環境音ミックスのAudio Transparency機能もありませんのでアナウンスをちょっと聞きたいときに不便ではあります。
(今Audio Transparencyを実装してるのはBragiだけ。来年春にはKanoaが出ます)

* 通話機能

W800BTはマイク内蔵で側面ボタンで通話が可能です。

* 外観と使用感

箱・パッケージはよくできていてさすがOnkyoという感じです。付属品としてシリコンラバーチップが3サイズ付属されています。W800BTの場合は標準チップでよく合います。

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W800BTの外観デザインもなかなか良いですね。大柄にも見えますが、ユニット本体は軽くて装着感も良好です。
ただLEDがうるさいので、これは装着したときに見えない位置につけて欲しいと思います。Dashみたいにデザインになっていれば未来的でよいのですが。

* レイテンシー

W800BTの問題の一つはレイテンシーがかなり大きいことで、映画ではあまり使えません。たとえば映画マエストロを見ると、練習場の倉庫の音響をみるためにパンパンと手を叩く(オーディオイベントでもやると思いますが)ところでかなり音がずれるのが分かります。Apolloはこんなにずれないですね。ただSBCうんぬんというよりはバッファリングしていることが大きいと思います。

* 音質

W800BTの長所の一つは音質が良いということでしょう。やはり他の完全ワイヤレスと同じく開放的な音空間が良く、ヴォーカルの明瞭感が高いですね。ONKYOらしくかちっとした明瞭感が感じられます。
ダイナミックにしては歯切れ良い点もプラスです。テンポの良い曲ではリズムに乗りたくなります。メーカーらしいこなれた帯域バランスの良さで、標準チップだと低域は十分あるが出過ぎてもいず、ヴォーカルもきれいに聴こえます。高域も良く確保されてますね。
音に明瞭感があり、これはAria Oneよりもかなり優れています。低音域も結構あって、低域の解像感もありますが、低域に関してはApollo7の方がより深みがあってインパクトもあります。W800BTは低域自体はわりと量感あるけれども、サブベースというか超低域が少し足りない感じ。Apolloの方が5.8mmと口径が小さいのですが、たぶんApolloのドライバーは振幅(ピストンモーション)大きいと思います。

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欠点としては標準チップでの中高域が明瞭感はあるのですが、少しブライト過ぎてきつい点があります。音源によってはきつすぎるように感じるかもしれません。ただこれは人に(耳道に)も寄るかもしれません。
チップはコンプライTSかSpin fitが良いですね。コンプライもSpin fitも標準チップでの高域のきつさを抑えられます。Spiral Dotはちょっときつさを強調する方向にいきます。
コンプライだと驚くほど低域の量感があがり、音場の広さと合わせて迫力も上がります。

* まとめ

簡単にまとめると、長所は
- 音質が良い
- デザインが良い

欠点は
- チャージャーが大きい
- レイテンシーが大きい
- 左右音切れが気になる(Earinくらい)

まとめると、音響メーカーらしく音は良いけれども、完全ワイヤレスとしては完成度はまだというところ。映画観賞やゲームはやらないけど音楽だけの人にお勧めです。
本作は手探りで作った感がありますが、品切れになったほど人気が高いと思いますので、いろいろな人がいろいろ使ってみたユースケースを反映してまた次回作も期待したいところです。

こちらはフジヤさんのリンクです。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail115743.html

あるいはAmazonリンクで。

posted by ささき at 20:49 | TrackBack(0) | __→ 完全ワイヤレスイヤフォン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月13日

トレンドリーダーとしてのアップルと二つの技術トレンド

AppleのiPhone7発表の次の日(9/8)にLightというスタートアップのFacebookに次のようなコメントが載りました。

"Welcome to the multi-aperture future, Apple!"
(マルチレンズの未来へようこそ、アップル)

やっと君もここに来たのかい、というような多少皮肉のこもったコメントは、かつてIBMがパソコン業界にIBM PCで参入したときにアップルが掲げた次の言葉を思い出します。

"Welcome, IBM. seriously"
(ようこそIBM、いやほんとうに)

Appleは業界のトレンドリーダーでもあります。これはAppleが初めて作ったものではなくても、Appleが採用することでマイナーだった技術が一気にメインストリームに浮き上がってくるということを意味しています。昔であればGUIやマウスがそうですし、最近であればWiFi規格の802.11もそうといえるでしょう。
この前のiPhone 7の発表会においてもそうなる可能性のある技術トレンドが二つありました。完全ワイヤレスイヤフォンとマルチレンズカメラです。

* 完全ワイヤレス・イヤフォン

iPhone 7ではイヤフォン端子が廃止されたこともあり、Appleは左右分離型の完全ワイヤレスイヤフォンであるAirPodsも発表しました。
完全ワイヤレスイヤフォン(英語だとtruly wireless)は、左右ユニットが分離したワイヤレスイヤフォンのことです。左右のユニット分離にはいままではKleerなどの技術が必要でしたが、Earinなどをはじめとし、Bluetoothで完全ワイヤレスが採用されることで増えてきました。
BTの場合には1:1通信が基本なので本来は1:2となる左右分離ユニットに送れませんが、それを左か右にまず送ってそこから反対側に送り直すことで解決したイヤフォンです。BTスピーカーでもそういうものがありますが、スピーカーと違ってイヤフォンの場合はコンパクトさが必要であり、さらに電波を妨害する人の頭が近接しているのでより難易度は高いと言えます。

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Earin

AppleがiPhone 7のイヤフォン端子を廃止し、AirPodsで完全ワイヤレス採用したことで、一部のITガジェット好きのものだったのが、一般にも周知されて「AirPodsは左右どちらかがなくなるだろう」論争なんて言われだしたのも面白いところで、いかにも黎明期を感じさせます。
また完全ワイヤレスはいままでは$300前後でしたが、AirPodsをはじめ、Erato Muse 5やBragi "The Headphone"など$150前後に価格が低下してきました。Bragi DashがIBMワトソンの端末として同時翻訳などの可能性が出てきたのも見逃せない話題でしょう。まだまだ可能性が高い分野です。

完全ワイヤレスについてはうちのブログでいろいろ書いてきたのでこちらのリンクをご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/25978943-1.html

* マルチレンズ・カメラ

もうひとつの技術トレンドは冒頭にあげたmulti-aperture cameraです。ただしマルチ・アパチャーというと一般性が低く日本語の座りが良くないのでここではマルチレンズカメラと書きました。アパチャー(aperture)は通常は絞りと訳されますが、ここでは単に開口部のことでマルチアパチャーは複数の開口部、つまりマルチレンズと言い換えることができます。または複眼カメラともいえるでしょう。別の言い方をすれば、ひとつの大口径センサーの代わりにいくつもの小口径センサーを合算して同様な効果を狙うカメラともいえます。この方がスマートフォンやコンパクトカメラには向いているわけです。
つまりマルチレンズ・カメラは初代ライカより続く従来のカメラが一つのレンズ(光学系)だけだったのに対して、複数のカメラユニットの結果を合成して使うカメラのことです。計算して一枚の絵を作るのでComputional Photografyとも言われます。またいくつものカメラを並列で使うのでアレイ・カメラとも呼ばれます。

代表的なものはLight L16ですが、他にもAndroidスマートフォンではすでにいくつか採用されています(LGやファーウエイとか)。冒頭の言葉はLight社がこのiPhone7plusのデュアルカメラを「仲間」とみなしたのでしょう。
すでにAndroidではデュアルレンズは出てはいるのですが、iPhoneはFlicker調べで(キヤノンやニコンも含めても)世界で一番よく使われている「カメラ」です。これにマルチレンズカメラが採用されたことは大きなインパクトとなるでしょう。

iPhone 7 plusではデュアルカメラとして採用されています。この機能仕様については明確でないところもありますが、iOSの開発者ガイドを見ると、単独ではなくデュアルカメラモードで使用すると両方のカメラの情報を合算(combine)して画質を高めると書いてありますので、やはり事前予想のようにアップルが買収したLinx社の技術を使用していると思われます。
Linxの技術でも前の記事で書いたようなクリアチャンネル(ベイヤーフィルタレス)は使用しているかはわかりませんが、二つの視差の違いから深度(距離)情報を得ていることは確実だと思います。この効果は一眼レフのようなボケ味を作るポートレートモードに使用されるとみられています。

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深度マッピングの例(Linxページから)

iPhone 7 plusでは今回は56mm相当の望遠カメラが装備されています(もっとも56mmはカメラ界では望遠ではなく標準の範ちゅうですが)。しかし、35mmカメラの換算焦点距離が56mmと言っても実焦点距離は8mm前後だし、8mm/F2.8のレンズは光学的にさほどボケません。そこでデジタルで画像エンジン(ISP)を使用してぼかしますが、このときに自然に効果を生むために距離情報が効果的だと考えられます。

Lytroもこうしたカメラではあり、以前ジョブズが接近したとも伝えられていますが、Lytroの技術は有効画素数が低くて画質という点で使いにくいのも確かで消えていきました。マルチレンズカメラは画質という点でこれからが期待できます。さきのL16はコンパクトカメラなのに5200万画素の画像を作ることができます。詳細は省きますがこれは補完による水増しではなく、複数画像の合成によるものなので真の解像力です。それでいて深度マップでデジタル処理することで一眼のようなボケも使えるというわけです。
たとえば後からピントを変えられると言っても、Lytroのように人物と背景で変えられますでは何回か試して飽きてしまいます。カメラマンが本当に欲しいのは、まつ毛に合わせたはずのピントがよく見るとまぶたにあっていたというような場合でしょう。
一方でこれらは一枚撮るのに時間がかかるという問題もあります。L16だと一枚の5200万画素の画像を得るために1300万画素x10枚の合成をするので、一枚一分弱かかるのではと言われています。この辺もデュアルだとさほどではないと思いますが、これからの課題でしょう。

先日Google(GV)もLightに投資したことでマルチレンズ技術はAndroidスマートフォンにさらに活かされていくのではないかともいわれています。かたやアップルはLinxの技術でデュアルカメラを作ったというわけです。この分野にも注目していきたいものです。
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2016年09月08日

アップルが完全ワイヤレスイヤフォンのAirPods発表

iPhone7に合わせてアップルが左右独立の完全ワイヤレスイヤフォンのAirPods発表したのは面白いと思います。

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うちのブログの完全ワイヤレスの記事見てもらうと分かりますが、完全ワイヤレスで再生時間はあまり意味がなく海外の飛行機旅行でもなければ2-3時間あれば十分です。
それより重要なのはチャージャーケースの使いやすさです。充電とイヤフォンをいったん外すときに重要です。
だから完全ワイヤレスの場合にはチャージャーケースとシステムの評価が必要だと思います。

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またうちの完全ワイヤレスの記事を見てもらうと、左右接続がポイントということがわかると思うので、AirPodsがステム部分を長くとった理由もわかると思います。
つまりはiPhoneとイヤフォンの接続のためにアンテナ長くしたというよりも、左右ユニット接続のときに電波をさえぎる人の頭を避けるためです。またAirPodsは手の指でコントロールするのでそのとき手で電波を妨害するのも避けてると思います。
他のApple製品とのワンタップ接続でicloudアカウントが必要というのは、おそらくペアリング機器情報をicloudでシェアして他のMacなどの製品とはペアリングしなおさなくて良いようにしてると思います。ここは推測ですが。

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iPhone 7からは予想どうりに3.5mm端子がなくなりました。ネットでは#RIPHeadphoneJackのタグでヘッドホンジャック追悼のメッセージを書いてます。
そこではみな1878生まれとしてるけどこれは標準端子の方で、3.5mmモノ(TS)は1964年のソニーのラジオ、3.5mmステレオ(TRS)は1979年の初代Walkmanですね。
ソニーが生み、アップルが葬る。
R.I.P ありがとう、ヘッドフォン端子
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2016年09月07日

Erato Audioからも廉価版の完全ワイヤレスイヤフォン発表

iPhone7の発表目前でまた完全ワイヤレスイヤフォン発表です。

https://eratolife.wishpond.com/promoeratomuse5/

この前Apollo7のレビュー記事を書きましたが、
Bragiに続いてApollo 7のEratoも廉価版の完全ワイヤレスイヤフォンMuse 5を出してきました。定価は$179ですが、メール登録した早割だと$79とかなり低価格です。ただし受付は9/12からで、おそらくBragiのThe Headphoneに影響されてアナウンス前倒ししたのかもしれません。

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Erato Muse 5 (画像は上記サイトから転載)

Muse5はApollo7のようにコンパクトではありませんが、FitSeal Sleeveというスリーブの工夫での装着感向上の仕組みがあるようです。
また側面に充電端子がないのでそこにタッチセンサーがついたようで、操作性は逆にApolloより向上してるかもしれません。マイクもついて、IPX5防水です。
* 追記: チャージャーケースが付属し、一回の充電で4時間だそうです。

完全ワイヤレスイヤフォンも$300前後と高価を指摘されてましたが、$100台に低下してきたようですね。
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2016年09月06日

BragiからDashの廉価版"The Headphone"登場

期待を持たせて発表したBragiの昨日のアナウンスですが、"The Headphone"と呼ばれる新しい完全ワイヤレスイヤフォンでした。(クパチーノうんぬんはフェイク?)

ホームページはこちらです。
http://www.bragi.com/theheadphone/

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Bragi "The Headphone" (画像は上記ページより転載)

これはプリオーダー価格が$119(通常は$149)のDashの廉価版と言えるもので、Dashから各種センサー、防水機能、内部ストレージ(4GBあった)を省いたものです。またタッチコントロールも簡易化されてボタンになっているようです。そしてケースには電池が内蔵されてなく、チャージができないようです。その代りにBAドライバーは新しくなり、マイクも新しくなったようです。また動作時間が長くなり、6時間となりました(これがチャージャーを省く言い訳になってます)。左右接続がNFMIかどうかはまだわかりません。
つまりウェアラブルのフィットネス・ヘルス機能は省く代わりに音楽を聴くイヤフォンに特化したものです。たぶんソフトウエアは共通で、同時に新バージョンの2.1.0がリリースされています。
またおそらくはBTチップ自体も刷新されていると思います。The DashではBT接続とかさまざまな問題が指摘されていて、それを根本的に解決するためとも言えるかもしれません。また完全ワイヤレスというと$300前後が相場ですから他の価格でも差別化できます。発売は11月予定です。
* 追記: Bragiが質問に答えてくれましたので明確化。左右接続はNFMIですが、ソフトウェアはアップデートができないそうです。下記のWatson対応は不明。
* 追記2: 日本には現在出荷しないそうです(Kickstarterは特例だそう)。出荷可能な国はUSA, EU, Norway, Switzerland, Canada, Australia, New Zealand, Hong Kong、だそうです

そしてこれに先立ってBragiではIBMのワトソンとの連携を発表しています。つまり完全ワイヤレスイヤフォンがワトソンのデータ端末となりえるということで、翻訳とか知的アシスタントなど広範囲に応用が可能だと思います。ウェアラブルというと単独の分散型コンピューター的なイメージもありますが、IBM ワトソンで集中処理してウェアラブルは端末に徹するというのも「スマートな」切り分けのように思えます。たぶんBragiではこの機会にフィットネスというよりもこちら方向に戦略の舵を取りたいのではないでしょうか。
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2016年08月25日

完全ワイヤレスイヤフォン、Erato Apollo 7レビュー

Apollo 7はErato AudioがKickstarterでキャンペーンを展開していた左右分離型の完全ワイヤレスイヤフォンです。まさに耳栓というコンパクトさが特徴でApolloの名は外観からでしょう。Erato Audioは所在は米国のようですがおそらく台湾系のメーカーで、少なくとも台湾で生産しています。
Kickstarterは終わっていますが、こちらで購入ができます。すでに出荷開始していますので在庫があればすぐ来ると思います。完全ワイヤレスは価格はだいたい$250-$300前後ですね。カラーリングのバリエーションも豊富です。
Kickstarterページはこちらです。
https://www.kickstarter.com/projects/1865494715/apollo-7-worlds-most-compact-true-wireless-earphon
購入はこちらです。現在は$279で販売しています。
https://eratolife.com/

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以下はiPhone5sないしiPhone6で聴いています。

* ドライバー

Apollo 7のドライバーはダイナミック型ですが、Micro driverとあるのでおそらくShureやゼンハイザーのような小口径ダイナミックだと思います。ベントがLEDわきについています。ダイアフラムはなにかの複合材(コンポジット)のようで、マグネットが強力なことをうたっています。後で書きますが実際Apollo 7のドライバーはかなり優秀だと思います。

完全ワイヤレスの場合にはハウジング内に基盤・バッテリー等が入るためにエアフローの扱いが難しくないBAの方が向いているようには思います。ただスペースが限られているならシングルドライバーでカバーできる帯域の広いダイナミックが有利ともいえます。Apollo 7はまさに後者の好例です。


* スマホとの接続、左右ユニット接続

スマートフォンとの接続はBluetoothを採用、左右ユニット間の通信もBluetoothです。左右ユニット間の通信方式では一応NMFIにも言及して、NFMIは転送速度の点から音楽向けではなく、現状ではBTがベストだと述べています。なにかワザを使っているかどうかはわかりません。

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左右の音途切れはほとんどなく、Earinより優秀でAria Oneとほぼ同じくらいです。Aria Oneのときは大きいのがプラスに働いたかと思いましたが、Apolloのようなコンパクトさでこの性能は優秀だと思います。
スマホと親機との音途切れのなさはさらにAria Oneよりも優秀です。少なくともiPhone6だと接続したまま耳を完全に手のひらで覆っても途切れません。iPhoneをバックパックに入れても、尻ポケットでも大丈夫です。途切れさせる方が難しいと思えるくらい。BTも進歩しましたね。これはiPhone側の進歩もあると思います。iPhone5sとiPhone6だと普通の有線イヤフォンで聴いてもあまり音質差がありませんが、BT完全ワイヤレスで聴くと音質差はかなりあります。できればiPhone6以降で聴くことをお勧めします。

Apollo 7ではユニットについているボタンでいろいろと操作をするので手でかざした時にBT電波が切れると問題なのですが、いままでこうして切れたことはありません。ただしAria Oneと同様に空間(地下鉄構内や電車内)にはいった瞬間にぶつっと途切れることがありますが、また復活します。あとは問題なくなります。ここは引き続きちょっと謎です。たぶんWiFiと干渉してから避けるように調整するのだと思いますが、BTの最新仕様なのですかね。BTとWiFiの干渉については以前の記事をごらんください。この記事自体はKleerとBTの違いですが、BTがどのように他の電波帯と干渉しないように送信するかという基本も書いています。(いまはまた進歩しているかもしれませんが)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/109198956.html

BTのペアリングに関しては右(親機)とスマートフォンをペアリングさせてから、左(子機)と右ユニットをペアリングさせるというものでAria Oneと同じです。ただしApollo 7ではEarinのようにモノモード(左右別)でもペアリングできるようですが、推奨されていません。できれば自動で左右もペアリングしてほしいのですが、そうなっていないのは、おそらく自動で左右がペアリングされるのはEarinの特許ではないでしょうか。

ペアリングすると英語音声で知らせてくれるところはAria Oneと同じですが、音声内容は異なります。こちらの方が分かりやすいです。
まず右ユニットをボタンを押してパワーオンすると"Power on"と声がします。そのままボタンを離さずに押し続けると"pairing"と声がするのではじめはここまでやってペアリングさせてください。二回目からは"power on"までです。
次に左ユニットをボタンを押して電源あげると"power on"と左から音声が聴こえます。ここはすぐ離してかまいません。すると数秒後に両方のユニットから"headset connected"と声がします。すると左右が接続されます。
Aria Oneのように電源残量はしゃべりません。(iPhone側のステータスと通知で確認できます)

* 対応CODEC

APT-X, AAC, SBCに対応しています。

* チャージングステーション

完全ワイヤレスにおいてチャージングステーションはとても重要なコンポーネントですが、Apollo 7のチャージングステーションはかなりよくできています。ふたの開け閉めもスムーズで、アルミ製でボディの質感もなかなか高級感を感じます。格納するのはEarinとは異なって並列に入れるのでかさばりますが、外すときは両方を指でちょっと押すだけなので外しにくく格納しにくいEarinよりも使い勝手は良いです。ただEarinの方がコンパクトで筒型になるのはやはりポケットに入れるときにメリットがあります。ここは長短あります。

IMG_0023_filtered[1].jpg  IMG_0022_filtered[1].jpg  

またApollo7は格納する際に底面の電極端子が完全円形なので向きを気にしなくてよいという点をメリットとしています。これは特許とのこと。ただ円形でないEarinでもここはあまり問題にはならないとは思います。

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左:Earin、右:Apollo 7

チャージャーにはめるときはカチッとするまで押し込みます。チャージステーションへのはめ込みは機械的なロックだと思います。磁石ではありません。このとき自動的に(強制的に)オフになりチャージ始めます。Aria Oneのようにはめただけではチャージ始めないほうが良いと言う人もいるとは思いますが、個人的にはチャージャーにはめるとリセットされると考えている方が自然に思います。ただしチャージャーから外してもEarinみたいに自動ではパワーオンしません。
ユニットへのチャージは2.5時間で、再生は3-4時間ということ。
イヤフォン用のチャージライトは一つですが、一個だけはまってるときは点滅で二個ともはまってると点灯なのでEarinみたいに片チャージの懸念はありません。こういうところは細いけど完全ワイヤレスでは重要です。Earinより改善されてますね。


* ユニット側での操作

完全ワイヤレスの場合にはコンビニのレジでちょっとイヤフォンを耳から外すということがしにくいので、再生機能、またはAudio Transparencyなどの環境音ミックス機能が必要になると思います。Apollo 7はAudio Transparency機能はありません。現状ではDashのみ、秋ごろにはKanoaがAudio Transparency機能に対応します。

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Apollo 7の操作ボタンはちょっと小さいのでボタンを間違って押しやすいのではじめは注意が必要です。これはなれると気にならなくなります。これも完全ワイヤレスだとケーブルがないのでユニットの方向が分からなくなりやすいということがあります。

Apollo 7はボタン操作でポーズ/再生、スキップ/リワインド、音量上げ下げができます。これを一個のボタンでやるので左右をつかったものとなっています。つまりボタンは左と右で反対方向に使うのが面白いところです。

*右をダブルクリックで音量大、長押しでスキップ
*左をダブルクリックで音量小、長押しでバック
*シングルクリックはどちらもポーズと再生(左右関係なし)
これと通話制御です。

手でスマホを持っているときは音量はいいのですが、ブラウザやメールを操作しているときだと曲送りやポーズをするのにいちいち操作画面を出したりアプリ切り替えをするのは面倒なので、こうした操作スイッチがあった方が便利です。
スマホをカバンに入れてるときはもっと便利です。

* 通話機能

Apollo 7はマイクが付いているので通話することが可能です。

* 外観と使用感

箱・パッケージはよくできていて普通に売っている製品という感じです。実際にApollo 7の場合はKickstarterもほとんどプリオーダーと同じだったと思います。
コンプライT600が3サイズ、ラバー3サイズが付属されています。Apollo 7の場合は標準チップでよく合います。スタビライザーがついていますがエクササイズ以外は不要だと思います。

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ユニット本体は軽くて装着感も良好です。まさに耳栓って感じ。ステムが太いのが特徴ですが、装着感は良いです。ちょっとプラスチックっぽいところはありますが、チャージーと違ってこちらは電波を通さなければならないのでしかたないところでしょう。それを踏まえてユニットを質感高く仕上げるのも完全ワイヤレス設計の腕の見せ所かもしれません。

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左:Apollo 7、右:Earin

はじめは左右ユニットが分かりづらいかもしれません。なれるとERATOの文字向きで判別できます。
バッテリー残量は本機はBT4.0対応なので電池残量はiPhoneでは通知センターとステータスバーで分かります。本機では20%単位のようです。ユニットだけの電池の持ちは正しく測ってはいませんが2-3時間というところだと思います。完全ワイヤレスの場合はこれにチャージャーを組み合わせながら使います。

Aria oneのように明滅するLEDがうるさいが、側面についているAria oneと違って位置をずらして耳の後ろに隠れるようにできます。
個人的にはEarinで不便ないのでLED不要だと思いますが。。(落とした時に便利という人はいます)

* 音質

端的に言ってApollo 7はかなり音質は高いと思います。特にiPhone6で高音質アプリを使って聴くとBTイヤフォンの先入観を変えてくれるかもしれません。先日記事にしたBirds Requiemをカイザーサウンドにいれて聴いてますがこのくらい良録音でもかなり満足できます(もちろんハイレゾ再生できませんが)。

性格的には小口径ダイナミックということでEarinとAria oneの中間かなと予想した通りですが、思ってたより出音はしっかりしています。
これもまた他の完全ワイヤレスのようにぱっと聞いた時の音の広がりが良く、オーケストラ聴いてもスケール感があります。音はクリアで明瞭感がとても高いと感じます。楽器やヴォーカルがはっきりと聞こえ、音の純度が高いと思います。音調はソリッドでシャープ、音の丸みは少ない感じです。解像力も高く感じます。

Apollo 7の特徴はワイドレンジ感があることで、低域のパンチと量感、高域の伸びの気持ちよさの両方を感じられます。EarinやAria oneよりワイドレンジ感があります。下は深く上も伸びる感じで、ヴォーカルも前に出ないけど引っ込まない適度なバランスです。

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左:Apollo 7、右:Earin

特に低音は重みがありパンチを感じられます。Aria Oneは量感はありますが柔らかいので、低音のアタックとかパンチはいまでの完全ワイヤレスで一番あるかもしりません。量はベースヘビーに感じるAria oneほどではないですが、Aria oneは低域は量感あるがやや下の上でなってるという感じです。ただAria oneの方がゆったり滑らかな感はあるので好みの点もあるかもしれません。Aria oneはオールドスピーカーという感じでApolloは現代的でHiFi調です。

楽器のキレはBAのEarinほどではないが近い感じで優秀です。シャープさ、切れ味という点ではAria oneよりはかなり良いですね。有線無線混ぜても普及価格ダイナミックではわりと良い方だと思います。

イヤチップはラバーチップ大を使いました。これに関してはApollo7の音を活かすにはSpiral dotとかより標準ラバーが一番良いとおもいます。コンプライだとAria oneっぽい音になります。低域のパンチがちょっと鈍く、ちょっと音が狭くなります。


* まとめ

音質的にEarinもAria oneも良さはあるけど、トータルではApollo7が一番優れています。ワイドレンジでパンチがありシャープです。
また機能的にもEarinの問題を改善しているところもあるし、Earinが特許を押さえていそうな今一歩な点もあります。気になる点はチャージャーから出した時に自動でオンにならない点と左右ペアリングが自動でされない点くらいです。やはり先行したEarinの影響というのはあるかもしれません。ただ改善されている点のほうが多いと思います。

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Apollo7はコンパクトで音も良く、接続の途切れも少なく、チャージャーも良くできています。デザインも良く完成度が高いですね。
完全ワイヤレスもなかなか完成度が高くなっている気がします。
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2016年08月22日

完全ワイヤレスイヤフォン、fFLAT5 Aria Onレビュー

前に紹介したEarinにつづいて左右分離型の完全ワイヤレスイヤフォンであるfFLAT5 Aria Oneのレビューです。Earinで完全ワイヤレスという分野に興味が出てきて、これも買ってみました。

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* ドライバー

Aria OneはEarinとは違ってダイナミック型のドライバーです。この違いがそのままEarinとの音の違いとなります。
ドライバーは古川電工との共同開発で新しいタイプのPET素材を使用しているようです。

完全ワイヤレスの場合にはハウジング内に基盤・バッテリー等が入るためにエアフローの扱いが難しくないBAの方が向いているようには思います。ただスペースが限られているならシングルドライバーでカバーできる帯域の広いダイナミックが有利ともいえます。この辺も今後考えていくところですね。Aria Oneはハウジング下部にベント穴があります。

* スマホとの接続、左右ユニット接続

スマートフォンとの接続はBluetoothを採用、左右ユニット間の通信もBluetoothです。
前に書いたように左右ユニット間の通信は電波の通りにくい人体を挟むため、完全ワイヤレスではポイントになります。Earinでは壁面反射などの工夫がありましたが、Aria Oneではサラウンドアンテナ設計という頭を回り込む独自技術を採用しているという事です。詳細は分かりませんが、ここは筺体の大きさが幸いしているということもあるでしょう。

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実際に左右の音途切れはほとんどなく、Earinよりずっと少ないと思います。スマホと親機との音途切れもあまりないですね。iPhoneをバックパックに入れても、尻ポケットでも大丈夫でなかなか優秀です。手でかざすとさすがに切れるので、耳につけたままボタンを操作しようとすると切れることがあります。
ただ閉空間(地下鉄構内や電車内)にはいった瞬間にぶつっと途切れることがたまたまありますが、また復活します。あとは問題なくなります。ここはちょっと謎です。

BTのペアリングに関しては右(親機)とスマートフォンをペアリングさせてから、左(子機)と右ユニットをペアリングさせるというもので慣れないとやっかいではあります。親機との初期のペアリングは青の点滅ではなく青赤の早い点滅ですので注意ください。二回目からもこの左右同士の同期は必要です。Earinは左右のペアリングは自動なので便利でした。ただしW800BTもAria One同様のペアリングだったので、Earinが工夫していると言うべきでしょう。
ペアリングすると英語音声で知らせてくれるところもユニークです。(立ち上げ時に電池残量も音声案内します)

* 対応CODEC

APT-Xに対応していますが、なぜかAACには対応していません。ただし実質大きな問題ではないと思います。後述するように音質は問題なく良好です。

* チャージングステーション

チャージステーションへの合体は磁石のようでしっかりしてます。ちょっと残念なのはチャージステーションが(Earinに比べると)大きい点で、本体が大きいから仕方ないのですが、Earinだと店に入るときとかチャージステーションごとポケットに入れられる点がけっこう便利です。完全ワイヤレスの場合にはイヤフォンをケーブルでひっかけて耳や首から垂らしておけないので、一時的に格納する場所には意外と気を使います。

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チャージもボタンを押さないとチャージされません。(earinは自動というか勝手に始まる)。ただしこれは長短あって、わざと継ぎ足し充電したくないという場合もあるとは思います。
また充電中は左右ともLEDが光りますが、EarinだとLEDがまとめて一個なのでチャージステーションに片側だけはめそこなって、片側だけ充電されるということがありますので、当たり前でもこれは便利です。Aria OneだとイヤフォンごとにLEDがあるので片側充電は避けられます。

* ユニット側での操作

Aria Oneは再生/ポーズがサイドボタンで可能です。ここも完全ワイヤレスの場合にはコンビニのレジでちょっとイヤフォンを耳から外すということがしにくいので、こうした再生機能、またはAudio Transparencyなどの環境音ミックス機能が必要になると思います。Aria OneはAudio Transparency機能はありません。(KANOAやDASHが対応しています)

* 通話機能

Aria Oneはマイクが付いているので通話することが可能です。

* 外観と使用感

ここはEarinに比べると質感的にはいかにもプラスチックという感じでいまひとつです。
大柄ですが、フィットは割と良くてあまり苦になりません。イヤチップもこだわることがあり、それなりに音に影響しますが、いわばダイナミックの大味の音のためEarinほどチップにはうるさくないと思います。標準のラバーかコンプライも3種類ずつではじめはこれで十分だと思います。ただ私はJHAのラバーがぴったりなのでこれを使ってます。

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音量はたっぷり取れるので足りなくなることはないでしょう。使用の難点はLEDがうるさいことで、ここはオンオフスイッチがほしかったところです。
バッテリー残量は本機はBT4.0対応なので電池残量はiPhoneでは通知センターとステータスバーで分かります。本機では10%単位のようです。

それと完全ワイヤレスイヤフォンを使っているとわかりますが、ケーブルがないと絡みを解くこともなくケースやバッグから出すのがとても容易なので、使用頻度があがります。特にEarinやAria Oneのようにチャージングステーションが完備されていると出し入れが楽なので、その辺が面倒に感じることもありません。ただし前に書いたようにケーブルがないのでストアのレジや車内アナウンスを聞きたいときなどちょっとしまうのが難になります。このため、ケーブル付きのイヤフォンとはまた異なった運用がでてくるでしょう。

* 音質

Aria Oneでの音質はなかなか良好で、外観のプラスチックなチープさはすぐ忘れるでしょう。
ダイナミックだからEarinとは方向が違うけれど、ダイナミックらしいパンチのあるベース多い音が楽しめます。ベースが量が多いというより深みを感じます。
またAria Oneでは広がり感が独特で、ヘッドホンみたいなゆったりした音を感じます。うたい文句通りにドライバーの性能も高いと思いますが、スピーカーでいえばウーファーが前後に大きく振動して大量の空気を動かしているのが分かるという感じの音です。

また音自体も団子になりにくい程度には明瞭感があります。ただBAのEarinほどは切れがよく明瞭感が高いわけではありません。
それと結構良いと思うのは楽器音が歪みなくすっきりクリーンに聴こえる点です。なめらかで音楽的ですね。ヴォーカルも明瞭でベースが多いけど埋もれる感は少ないと思います。ただコンプライだとベース過多になりやすいかもしれません。
低域は十分な量感があり重い良い低音域で、ここはEarinよりさすがに優れてます。アタックやスピード感のあるEarinのベースも良いけど、やはり一般にはAria Oneのほうが迫力あって良いという人は多いでしょう。ただ全体的に上下の帯域レンジはやや狭い感はあります。

鋭角なEarinに比べると丸い音ですが、悪い意味での丸いとか鈍いというよりスムーズでなめらかというべきかもしれません。コンプライだと低域が強調されるけど、ラバー系でフィットできるものだと音のバランスは悪くないと思います。

* まとめ

製品としてみると、Aria OneはスマートなEarinに対し、泥臭いが確実に動作するという印象です。
Earinは機能も再生に特化してシンプルだし磁石でくっつく中箱とか随所に洗練されててアップル製品にならった感があります。Aria Oneは質実剛健、機能もそこそこ揃ってる点が良いと思います。
Aria Oneは外観がいま一つですが、音は満足感が高いと思います。接続の音切れが少ないのも良い点です。
Earinもケーブルがないせいで音質面でプラスもあるかも、た思いましたがAria Oneもそう感じる点もあります。この辺もちょっと注視していきたいところです。


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2016年07月13日

完全ワイヤレスイヤフォンの技術(1) - NFMI

左右独立した完全ワイヤレスイヤフォンを達成する技術の一つとして前回の記事で取り上げたBragi Dashに採用されたNFMIですが、その後少し調べてみました。
NFMI(Near Field Magnetic Induction)とは電波(RF)ではなく、電磁誘導を利用する技術のようです。ただし電波のように変調して情報を載せることができるのであたかも至近距離にしか届かない電波のように使えるということ。だいたい2m程度が限界でそれより外には届かないので逆にセキュリティの高い通信としても使えるそうです。
NFMIはFreeLincという会社の独自技術のようです。
http://www.freelinc.com/technology/

freelinc1.png   freelinc2.png
(画像はFreeLincページから転載)

主に補聴器用に用いられていたそうで、歴史は長いということ。身につける携帯電話との中継機と耳のデバイスを接続するのに用いられるそうです(この場合は携帯と中継器はBT)。
球状に広がるのでまず人体で遮られるということはなく、水を貫通できるので水泳でも使えると言うこと。Dashならば内蔵4GBメモリがあるので、水泳に使える唯一のステレオイヤフォンとなるでしょう。もしかするとDashがNFMIを採用したのは左右の音切れというよりも、むしろ水泳とかエクササイズ的な側面からかもしれません(Dashは水深1mの防水)。
省電力にも向いているようです。またマルチチャンネル通信も可能ということ。もちろん電波ではないのでBTのようなWiFiとの干渉もありません。電車みたいにWiFi密度が濃いところでは特に良さそうです。
良さそうですが、弱点は情報量が少ないことでBT4.0の3Mbpsに対してNFMIでは596Kbpsと制限があるようです。

実際に海外のワイヤレスイヤフォンのフォーラムで聴いてみたところ、EARINのような右だけの音切れはDashではまず起こらないということです。ただしDashはiPhoneとデバイス自体の音切れが頻発するそうで、EARINではこれはあまりありませんから、製品としては長短あるということになりますね。また音質においてもEARINとDashをくらべるとEARINの方が良いと言う人がいたので、製品的な問題かもしれないけれども、もしかするとDashは情報量制限の問題でそうした弱点もあるのかもしれません。APT-Xを採用できないのもこの辺でしょうか。

総じて言うとNFMIは左右の音切れ対策には有効ですが、音質的には不利であるかもしれません。ただ製品数が少ないので今後この方式が使われることをちょっと期待して見ています。
また他の完全ワイヤレスイヤフォンであるKANOAは左右接続をBluetoothに独自技術を加えているということで、NFMI以外の取り組みもまだありそうです。
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2016年07月02日

左右分離型のBTワイヤレスイヤフォン、EARINレビュー

この前の左右分離型ワイヤレスイヤフォンの記事を書いていたら自分でもやはり試してみようと、いまさらながらEarinを入手しました。

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Earinはスウェーデンの会社によるワイヤレスイヤフォンで、Kickstarterでも成功を収めました。ドライバーはBAシングル(Knowles SR)です。
特徴はBluetoothを使用していて、左右分離型であり左右ユニットを結ぶケーブルを排したという点です。この辺は下記リンクの前回記事を参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439219276.html
KickstarterのときはBTの分離型は面白いけど製品としての音質的にはどうかなあと見送りしたのですが、結果的にはやはりあのとき入れとけばよかったと思います。Kickstarterは玉石混交ですが、Earinはあたりですね。

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パッケージはいわゆるApple風というか北欧風というか、シンプルで感じのよいデザインで、中箱がマグネット閉じになっているのもアップルっぽさを思わせます。やはりスタートアップのお手本はアップルなんでしょうね。

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耳栓型ともいわれるEarinはさすがに小さく軽いと感じます。付属のカプセル(ケース)はモバイルチャージャーも兼ねていますが、価格にしては高級感もあります。

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このほかにiPhoneのアプリも用意されています。アプリではBluetoothでユニットと交信してバッテリー残量の確認、左右のバランス調整、低音増強ができます。スポーツに使う時には本体を耳たぶに固定しておけるラバーのスタビライザ(耳とめ)もついています。

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Earinの特徴としては簡単に使えると言うことです。左右ユニットはカプセルから出すと電源オンとなり、しまうと電源オフとなります。またカプセルに格納するとカプセルから本体ユニットに充電がなされます。カプセルは家で充電しておきます。本体もカプセルもフル充電に要するのは75分とのことです。
Earin本体はスペックでは2時間50分もつとされています(ステレオモード)。カプセルは2-3回のチャージができるので、カプセルと組み合わせることで一日の持ち出しには不都合のないように出来ています。実際に使ってみると通勤ではまず不便を感じないと言うか、思ってたよりも電池はもつ感じです。バッテリー残量はアプリから確認ができます。またこのベータカプセルのようなチャージング・カプセルに収めて使うと言うのがガジェット感覚をくすぐります。

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本体ユニットは基本的にはステレオモードと言って左右のユニットをペアでイヤフォンとして使いますが、モノラルモードがあって、片方だけをカプセルから出すとその片方とモノラルで再生ができます(ラジオとか)。これは左ユニットだけではなく右側だけでも可能です。これは左右通信をBluetoothにしている利点ですね。DashなどNFMIを左右間通信に採用しているとこれはできません。

はじめに使用するときには普通のBluetoothデバイス同様にペアリングが必要ですが、これは左とだけやれば済みます。(Earin Lと出ます)
私はiPhone6とAK380を使いました。EarinはApt-x対応です。ボリュームを上げて最大音量にするとプッと警告音が左から出ます。
モノモードで右だけの場合は右だけケースから取り出して、Earin Rとペアリングします。同時に二つ取り出していると自動的にEarin Lとのみペアリングします。

まず書いておかねばならないEarinの問題点はイヤチップの少なさです。
イヤチップは標準サイズラバーがひとつと、コンプライが二つはいってきます。しかしいまどきのイヤフォンの替えイヤチップとしては少なすぎます。Earinのレビューをみると低音不足とよく書いてありますが、その原因はこのチップの少なさだと思います。耳に合うイヤチップを使わなければ当然低音は漏れます。
また、これは北欧らしいというかEUらしいところですが、マニュアルなどを読むと意図的に小さいサイズのチップにして遮音性を下げて外の音が「安全に」聞こえるようにしているふしもあります。
おそらくガジェット的にEarinを購入するIT好きの人はこういうところは慣れていないと思いますので、小さいサイズを使って低音でないよということは多々あるでしょう。これは逆に言うと、たんまりとイヤチップを持っている私のようなマニア層はEarinを音質的に使いこなすことができると言うことです。イヤチップのサイズはCom,plyで言うとTS400で、外径は4mです(公式情報)。
耳に入れるときは少しひねってベスト位置を探すと良いように思います。基本はL/R文字が後方(背面)に来る位置です。

そしてEarinの良い点はやはり自由で快適なことです。
このプレーヤーとのケーブルがなく、さらに左右を結ぶケーブルもないというのはすごく快適です。私は前にゼンハイザーのMX W1も使ってましたが、これは装着性に難があり、そうした真の快適性というのはつかみにくかったんですが、Earinは慣れたカナル型であり落ちにくいし、ずれるのを気にする必要はありません。また電車でも使えます。とにかく軽く、上を見たり、横を見たりするたび、頭を動かすごとにいろんな面で自由さを感じられます。カバンを肩から外すときにもそうです。これは使わないとわからないと思います。

音は端的に言ってとても良く、思ってたよりも良いです。
特に立体感や広がりは独特の良さがあります。もしかすると左右ユニットの位相を何らかの方法で調整しているのかもしれませんが、あるいはケーブルがないことによるクロストークの低減やグランドを共有してない利点があるのかもしれません。そう思ってた方がケーブルレスのメリットがありそうで面白そうです。
そしてきちんと耳に合うチップを入れて、フィッティングをきちんとすると低音はシングルBAとしては十分以上によく出ます。けっこうパワフルでドラムやベースも良いです。すこしいろいろチップを試してみましたが、コンプライだとうまくはまると中低域はロックやポップで気持ちよくインパクトを感じられるくらいの低域レスポンスはあります。
イヤチップでは音茶楽スピンフィットやJVCスパイラルドットも試してみましたが、こうした工夫したイヤチップはなかなか音質を良くあげてくれます。Earinの方もそれだけ特性は素直だと思います。

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左:スピンフィット、右:スパイラルドット

シャープさや音の細かさはiPhoneで使う分には不満に思わないでしょう。音色は悪くなく聴きやすく、変にドライになりすぎない点は悪くないです。

ただクラシックみたいにレベルが低い録音だとちょっと音量が取れにくいかもしれません。ロックポップのコンブの効いた海苔波形の録音だと問題ありません。
またAK380だとAptxは認識しますけど、ボリュームが上がちょっと足りない気がしますね。またAK380のような高性能プレーヤーと組み合わせると、Earinの音質は物足りなさが出てしますいます。悪くはないけどやはりそれなり、シングルBAなりというところですが、iPhoneと組み合わせる分には相性もあるんでしょうがかなり良いと思わせます。音質レベル的にはその辺でしょうか。
別なデバイスとのペアリングはいったんカプセルにしまってからの方が良いかもしれません。

そしてやはり問題点というと右ユニットが音切れすることです。定期的に途切れる感じで、おそらくバッファにためてるデータがなくなると切れるという感じに思えます。実際に使ってみると右の音切れって思ってたよりはあまりないと思います。たまに思い出したように音が切れると言う感じです。途切れる時間はたいてい1-2秒以下だと思います。
ただしこの間隔がいまひとつ環境依存なのかが良くわからず、ないときは数曲に一回程度ですが、ある時はわりと一曲で2−3回途切れます。また右チャンネルがしばらく聴こえなくなり、落ちたかと思うと1-2分後に普通に復帰すると言うこともあります。この途切れているときに左ユニットを右ユニットの近傍に持ってきても復帰しません。電波というよりソフトウエア的な問題にも思えますが。。そしてEarinの装着中に手のひらで耳を覆うとやはり途切れやすくなります。
Wall Street jounalにあったような室外と室内の右音切れの差はあまり明白ではないように思えます。この辺はこのタイプの実験目的に買ったところも大きいので、そのうち左ユニットを右ユニットの見通しの取れるところに置いて長時間使ってみるとかやってみようと思ってます。

遅延はわずかにありますが、選曲時に少し気になる程度です。サポートページにはバッファリングにより0.5秒の遅延があるとされています。動画やゲームには不向きですが、VLCなど動画の方の遅延機能があるものは使えるかもしれません。

* まとめ

やはりケーブルの束縛から完全に離脱した解放感は格別のものがあると思います。それとガジェット感も味わえるのがEarinの魅力です。音質もシングルBAとしては悪くありません、というか結構良いと思います。iPhoneと組み合わせると十分良い音質で満足でき、とくにジャンルは選ばないと思います。
また右の音途切れはあるのである程度それが許容できる人にお勧めです。
しかし、問題点はフィッティングです。イヤチップによるところがすごく大きいというのが悩ましいところですね。と、伏線を張っておいて、、

Earinは国内版が下記リンクのフジヤさんのような専門店やAmazonで購入できます。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail95805.html


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2016年06月20日

左右独立型ワイヤレスイヤフォンのトレンドと秘密

最近のイヤフォンのトレンドのひとつとして、左右が独立したワイヤレスイヤフォンが数多く出てきていると言うことがあげられます。ケーブルレスでワイヤレスの自由さ、加えてiPhoneがイヤフォン端子をなくすという観測が後押ししていることもありますが、やはりEarinのヒットが要因でしょう。
Earinのほかにもさまざまな特徴をもった左右独立のワイヤレスタイプが出ています。スマートイヤフォンであるDash、ダイナミックドライバーのAria One、ワイヤレス充電のTruu、スポーツ用のPhazon、バッテリーの持ちが良いTrueBuds、Onkyoのなぞの海外発表品のW800BTなどもあります。またこのほかにもまだまだあります。

このようにたくさん出てきた背景にはEarinのヒットという商業的なものもあると思いますが、短期間でみなが追いついてくるというとなにか技術的な課題が解決されたのではとも考えてしまいます。
たとえばネットワークプレーヤーがどんどん出てきた背景にあるのは、オーディオメーカーではむずかしいネットワークのソフトウエアをStreamUnlimitedのようなOEMメーカーが引き受け、オーディオメーカーはそれに独自のオーディオ回路を加えるだけでよかったということがあります。
そこでこの左右独立型ワイヤレスイヤフォンの共通の技術課題はなんだろうとちょっと考えてみることにしました。

もともとBluetoothはこうした左右独立型のワイヤレスイヤフォンには向いていませんでした。Bluetoothではマスターとスレーブの関係が明確で、1:1のコネクションのみが可能だからです。そのためケーブルが目立たないヘッドフォンは良いのですが、イヤフォンではどうしても左右をケーブルで結ぶ必要があります。つまり左の耳のユニットでワイヤレス信号を受けて、それを有線で右耳のユニットに伝えるわけです。

この問題を解決したワイヤレス技術は2008年ころのKleer(クリア―)が先鞭を切りました。KleerはCD品質の伝送や、マルチチャンネル伝送の伝送が可能であったため、左右のユニットにそれぞれワイヤレス信号を送ることができました。ゼンハイザーのMX W1がはじめての完全左右独立のイヤフォンとして知られています。

mxw1-h.jpg   mxw1e.jpg
ゼンハイザー MX W1

ところが特別なドングルを送信機に付けねばならないKleerは流行ることなく、いつのまにか表舞台からいなくなってしまいました。

Bluetoothでの左右独立のワイヤレスイヤフォンはクラウドファンディングで2014年に登場しました。実際はEarinよりもスマートイヤフォンを標榜するBragi Dashの方が早かったと思いますが、Earinのコンパクトさにより注目が集まりました。フィットネス機能もあるDashは複雑すぎる点もあったと思います。

earin1.png
Earin - Kickstarterページから

ではどうやってEarinではBluetoothでこのケーブルレスの左右独立を可能にしたかというのはKickstarterのページに書かれています。
earin.png
出展: https://www.kickstarter.com/projects/earin/earin-the-worlds-smallest-wireless-earbuds/description
つまりEarinで採用されているBluetoothチップは送り手と受け手の両方が使えるもので、左耳のユニットがワイヤレスでBluetoothの信号をうけたのちには、右チャンネルのデータをやはりBluetoothで右側ユニットに送ると言うものです。
これは左右独立のBluetoothスピーカーなどでも採用されているものだと思います。これだけでも左右の同時接続やシンクロ、バッテリーマネージメントなどはEarinのコンパクトさを考えると十分にハードルは高いと思います。

しかし、実はこれだけではまだ完全な答えではないと思います。それは縦の変化球が消える魔球の秘密の80%でしかないのと同様に、それだけでは完全に(ケーブルが)消えないでしょう。その最後の20%の秘密は障害物をよけて左右の電波を送信する方法です。その障害物とは人の頭です。
スピーカーとEarinにはコンパクトさ以外にも大きな違いがあります。スピーカーでは互いのユニットが見通しが取れているのに対して、Earinでは左右間にBluetooth電波の透過ができない(むずかしい)と言われる人の頭があります。加えてBTの2.4GHz帯という電波は直進性がとても高いので曲がりにくいのです。左右のユニット間の電波の送信はイヤフォンにとっては思った以上の難しい課題と思います。

これについては面白い記事がWall Street Journalのテックレビューにありました。
それは電波の壁面反射を使うという方法です。直進性の高い電波を壁面にあてて、その反射を特殊アンテナで拾うという方法です。これはコンパクトな耳内におさまるためアンテナ配置に自由度のないEarinには特に重要だと思われます。
実際にこのライターが試してみたところによると、Earinでは室内よりも(壁面反射の使えない)屋外で右接続の不良がよくおこったと言うことです。
ただここは明確にそうかはメーカーの明記がないのでわかりません。左の入力をBTで右に飛ばしているよという普通に思いつくところは公開していますが、こうした最後の細かなノウハウが実はポイントではないかと思います。

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Dash - Dash home pageから

一方でDashについては左ユニットまではBluetoothですが、左右ユニット間の電波の送信はNFMI(Near Field Magnetic Induction)という技術を採用していると明記されています。つまり左右接続はBluetoothではありません。
NFMIは近距離(2m程度)専用の14Mhzくらいの長い波長の通信を使うもので、頭を回り込んでいけるんでしょう。頭を気泡でくるむようにという説明があります。NFMIは補聴器などでも使われているようです。
2.4G帯ではないのでBluetoothのような干渉は受けないでしょうからWiFi環境にも強いでしょう。
こちらのDashのサポートページにも記載があります。


たくさん出てきている「左右独立型ワイヤレスイヤフォン」については左右チャンネルのシンクロとかレイテンシーとか課題はいろいろあるとは思います。ただそこは左右独立ワイヤレススピーカーでもやったことですから、イヤフォン独自の課題となるとこの障害物である頭をどうよけるかという左右の電波送信技術ということはあるかもしれません。
実際測ったわけではないので、どの程度の影響があるかはよくわかりませんが、この左右の電波送信というところにポイントを見つけるとスペック外の長所短所も見えてくるのかもしれません。
posted by ささき at 21:29 | TrackBack(0) | __→ 完全ワイヤレスイヤフォン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする