Music TO GO!

2006年07月09日

MP5と真空管の交換(Siemens ECC85)

MP5には3本の真空管が使われています。2本は6N1でもう一本は6E2(Magic Eye)です。
6N1は前段の電圧増幅管でつまりはプリアンプの役割をしています。そこでまず6N1の交換を考えてみました。
6N1というのは中国・ロシアでの呼称のようで欧米では見当たりません。そこで聞いてみるとこの6N1の代替球というのはECC85だそうです。

とはいえECC85は82/83などと比べてマイナーらしく探してみてもあまり在庫がありません。秋葉原をいろいろ歩いて結局よさそうなシーメンスのECC85を見つけました。Tube Worldあたりの解説を見てECC85ではSiemensが最良のひとつと知恵を仕込んでおいたというのもあります。純正のオレンジの箱入りが一本3000円でしたので2本買い込みました。欧米もののミニ球では相場くらいだと思います。
あと代替球としてはGEのものもあり、こちらは一本1000円程度でした。

ちなみに始めから付いている球はShuguangという中国製です。これもレビューなどを見るとそれほど悪くは無いということです。
せっかくついている手袋を使って真空管の付け外しをしますが、この手袋はさすがに中国製という感じで使うたびにミシっと縫い目に亀裂が走ります(汗)。MP5はセルフバイアスなので交換後の調整作業は特にありません。
何年火が入っていないか分からない球なので、少し音を出さないでしばらく電源だけ付けて暖めてから音を出すことにしました。接続はメインシステム(IKEMI/Special25)につないだままです。

一時間ほどほっておいてからアンプのボリュームを少しずつ上げていくと、、なんとびっくり。「む、こっ、これは」と海原雄山が士郎にしてやられたときのような声を上げてしまいます。
いままでに比べると音がぱっと開けて上下左右に広がり、下もすっと伸びて明らかにいままでにない低い音が出ています。また量感も向上しました。特に高域はまさに「響く」という感じでまるでガラスのスピーカーコーンから出ているかのような透明できれいな音色です。特にSNが向上したという感じで背景もより黒く、音の輪郭もきりっとしました。

また驚いたのはスピードとか音の切れが非常に早くなったことで、これは以前は感じられませんでした。真空管は味というだけではなく、よく鮮度感があるといいますが実感できます。
とてもフレッシュで鮮度が高い感じの音です。半導体アンプだと47研究所の4706を思わせるスピード感と切れのよさですね。FAKiEのアコギの早弾きなんかは圧巻としかいいようがありません。

こんな低価格のアンプから真空管を替えるだけでこうしたSNの音が聴こえるというのは意外ですが、シンプルなゆえかもしれません。また前段だけと言ってもECC85の場合は名前のCCが示すように双三極管なので実質的に4本替えたと同じということかもしれません。

ジーメンスのNOS球が3000円が2本で6000円ですが、アンプ的には10万円高くなったような気がします。つまり12万9800円ということですか(笑)
ただ聴き込むと低音の制動はいまひとつとか、まだ音に荒さを感じるとかあります。またダイナミックレンジが苦しい感じもしますが、これはさすがにアンプの方の限界かもしれません。とりあえず次は整流管ですね。

どうでもいいけど、だんだんデスクトップに置くかわいいアンプというコンセプトと外れてきたような気が、、(爆)
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2006年07月03日

Dared MP5とメインシステム

今度はMP5をDynaudio Special25につけるために、おそるおそるスピーカーケーブルのPADのMuximusをつけてみます。こちらはアンプ側Yラグなのですが、YラグのほうがMP5のターミナルにはうまくはまります。ただし大蛇なのでMuximusの重さでかなり引っ張られます、けっこう怖いです(笑)
またポストの締め付けトルクが足りないので、さすがにこれは無理があります。バナナ/Yラグのアダプタを使った方がいいかもしれません。
約3万のアンプにこんなケーブル付けるのは過剰という話もありますが、わたしは300円の弁当に350円の漬物セットをつける人なので気になりません(笑)

MP5の出力は15Wではありますが、音を出してみると能率88dBのSpecial25ではかなり音量が取れます。うちの部屋では9時くらいで十分に鳴ります。これなら普通の家では音に困るということはないでしょう。
SP25の鳴りの良さもあってわりときちんと鳴りますが、音量が取れるということとスピーカーをきちんと鳴らすということはイコールではありません。メインシステムにつないだことでPF7で目立たなかった面(あら)も見えてきます。細部の再現力・立体的な表現力はいまひとつと思います。良いアンプだと音像は彫刻のように陰影があり彫りが深いのですが、そうした表現力はなくやや平面的になります。また低音も量はでますが、コントロールはあまりされません。また上下もさほど伸びはありません。
大味だけどきれいな音を出す、というイメージです。ただエントリークラスの価格でおそらくこれで文句があるという人はあまりいないでしょう。少し明るめのきれいな音調で音もすっきりとして、なんとなく聴きたくなる魅力があります。

blog_mp5e.jpg

それと気が付いたのですが、出力管がないせいか鬼のようにアンプ全体が熱くなるということはないようです。これなら東京の夏も安心です。これもハイブリッドのよいところでしょう。
Dared MP5は真空管とMOSFETのハイブリッドの設計が巧みな気がしますね。まさに真空管と半導体のいいとこどりです。
この価格の真空管アンプだとどうしても出る弱点を半導体でカバーして、それでも足りないところは真空管の美音調でカバーしてユーザーは納得するという巧みさがあります。それをこうした小さなパッケージに収めて製品として魅力的に見せるというのは着眼がさすがです。中国オーディオ侮りがたし。あとは動き続けてくれるのを祈るだけ(爆)

おっと、気が付いてみれば手元に小さな箱が二つ。さて次はいよいよ球の交換です!


(ヘッドホン部とUSBは少しお待ちください、なにしろやることが多くて、、ふ〜)
posted by ささき at 22:07| Comment(2) | TrackBack(0) | __→ Dared MP5 真空管アンプ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月28日

MP5とLINN

最近スピーカーをSpecial25につなぎ替えてしばらくMP5で聴いていますが、よくまとまったバランスの良さを感じます。ただしもちろんメインシステムのLINN(ケルン/クラウト)には及びません。(あとでまたレビューします)
しかし、MP5のよしあしよりも最近マジックからLINNでずっと聴いてきたせいかアンプを替えることの新鮮さをちょっと味わっています。

オーディオの世界には「スピーカーを替えると人格が変わる、アンプを替えると性格が変わる」という言葉もあるように基本的にはスピーカーを替えることとアンプを替えることは別のことです。CDP/スピーカー/ケーブルは同じなのでアンプだけが替わった今のシステムにはこの言葉はうまく当てはまります。
そうした意味では性格がちょっと変わった自分のシステムを改めて眺めなおすというのもまた面白いものです。
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2006年06月22日

MP5とヤマハPF7

本来は真空管アンプは高能率のスピーカーに合わせるのが定石ですが、ここはデスクトップにおける美的なスピーカーと合わせたいのであえてヤマハの佳品NS-PF7を使ってみました。

http://www.yamaha.co.jp/product/av/prd/speaker/ns-pf7/index.html
すいません、手を抜いて写真をとりませんでしたのでNS-PF7はメーカー写真でご覧ください(笑)
これはマグネシウムコーンを使っていて形と音は美しいのですが、能率が80dBとかなり低めです。

MP5のスピーカーターミナルは意外としっかりしているのですが、物理的にPADのスピーカーケーブルをつけるとひっくり返ると思うので(笑)やや軽量のNordostのフラットラインを使ってみました。これもコストパフォーマンスではお勧めのケーブルです。Nordostはハイスピードですが、低音がやや不足気味です。ただこれはPF7にもいえるので、はじめから低音をあきらめるとなかなかいい組み合わせではあります。

電源投入後は音量も取れずにやや硬い音が出ますが、管が暖まってくると真空管らしい柔らかい音が鳴ってきます。能率の低いこのスピーカーでもまずまず音は取れますが、少し苦しそうではあります。
やはり響きはいいですね。やはりハイブリッドとはいえ真空管は弦楽器は格別なものがあります。もともとPF7のマグネシウムコーンは美音スピーカーとして定評があるのでとてもうまくマッチします。
これで少し慣らしてからDyanudioの方に付けてみようと思います。
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2006年06月21日

Dared MP5 デスクトップ真空管アンプ

先日下記のアンプについての記事をちょっと書きましたが、
http://www.taipeitradeshows.com.tw/TTS/NewProduct/Product.aspx?ID=652&Lang=E
このデスクトップにも置けるコンパクトな真空管アンプ、Dared MP5を買いました。

blog_mp5b.jpg

Daredはシンセンの真空管オーディオメーカーで、日本に代理店がありネットで買うことが出来ます。なんとお値段は楽天でにっきゅぱ(29800円)ということでした。さすが中国製という感じもしますが、定価は69800円ということでこの値段はキャンペーン価格ということです。

Dared MP5は真空管のプリメインアンプですが、ヘッドホン端子も装備されていてさらにUSB DACまで入っています。スピーカー端子はバナナプラグ対応です。

blog_mp5d.jpg

上の記事はMP5とペアにするドックの発売に関してだったようで、MP5本体は少し前から発売されていたようです。調べてみるとHead-Fiにもすでにレビューが出てました。(ちなみにアメリカでのレビューはUSバージョンというアメリカの代理店がパーツを高級なものに一部交換したものです)
このコンパクトさでこんなにフル装備でいろいろ使えるというのも珍しいものです。

MP5はコンパクトさとわずか4.3Kgという真空管アンプとしては異例の軽さでスタイリッシュなところがが特徴的です。クリーニングのための手袋とはけまでついてきます。

blog_mp5c.jpg

真空管のプリメインアンプとしてはかなり小型でキット販売のアンプ程度です。ただしこのくらいの大きさのキットアンプは3-4Wがせいぜいでしょう。それに比べるとMP5の出力は13Wとサイズにしてはそれなりのものがあります。
その秘密はMP5が純粋な真空管アンプではなくてMOSFETを併用したハイブリッドタイプだからのようです。見えている6N1(ECC85)2本と6E2が前段で、出力管にあたるところはソリッドステート回路になっているようです。
おもしろいのはヘッドホンアンプとしては前段から取るので純粋な真空管アンプとなるようです(未確認)。

もうひとつ真空管アンプとしての特徴のひとつはこの6E2マジックアイという球でピークメーターを兼ねています。マジックアイというのは真空管側面(あるいは上面)に蛍光板が光ってメーターのよう動くものです。
これは戦後あたりのラジオの同調インジケーターなどに使われていたようですが、真空管はうっかりクリッピングさせやすいのでピークメーターとして使われるのも良いですね。

blog_mp5a.jpg

真空管は電気を落とした部屋でほのかに輝くところがインテリアとしてもきれいなわけですが、MP5はこのマジックアイも光るために独特の空間になります。上の写真のように上下からバーが伸びて音のレベルによって小刻みに上下に震動します。

このようにMP5は小さいというだけではなくてかなりこった設計になっています。DAREDという会社はシャンリン系の技術者がスピンアウト?したようでなかなかこの辺はマニアックといえるかもしれません。
こうしたデスクトップ志向の真空管アンプではカイン/SPARKのmini1998がありましたが、これもまた期待できます。

軽くIKEMIで鳴らしてみましたが、音もなかなか良いようです。全般的にみて値段のわりにかなり満足度は高いと思います。
スピーカー接続、ヘッドホン接続、USB DACなどチェックポイントの多いアンプなので、レビューはまた少しずつ。。
posted by ささき at 00:17| Comment(6) | TrackBack(0) | __→ Dared MP5 真空管アンプ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする