Music TO GO!

2013年12月25日

Neutron Music PlayerのiOS版

以前Androidの高音質音楽再生アプリとしてNeutron music playerを紹介しましたが、そのiOS版が出ていました。
写真 2013-12-25 13 06 25.png

iOS版は64bit演算が省かれていますが、はじめからNEONバージョンになっています。Androidではさまざまなプロセッサがありますが、Appleでは決まっているので対応はしやすいと思います。音もなかなか良いですね。
下記がiTunes linkです。
https://itunes.apple.com/jp/app/neutron-music-player/id766858884?mt=8

ちなみにAndroid版のNEONバージョンではルートを取って実行するとAndroidのAudio flingerをバイパスして直でハードにアクセスできるようです。Aurdirvanaのダイレクトモードみたいなものですが、これによってNeutron PlayerでもAndio flingerの制限にかからずにAndroidでハイレゾ再生が可能になるとのことです。もちろんハードがハイレゾをサポートしていれば、です。

追記: 2014/1/24
アップデートでiOS版でも64bit処理が可能となりました。
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2013年11月15日

Androidは24bitの夢を見るか? Part3

最近はLG G2やGalaxy Note3、Galaxy JなどAndroidスマートフォンでも単体でハイレゾ対応している機種が出てきました。ひとつにはモバイル向けに低消費電力でハイレゾ対応のDACまたは音声CODECと呼ばれる音声処理用の統合ICが使われていることがあります。たとえばLG G2で採用されているWolfsonのWM5110ですね。
しかし、それだけではハイレゾでの再生はできません。アプリから内蔵DAC(ドライバー)に至る信号経路をハイレゾ対応にする必要があります。以前書いたようにAndroidでは音声処理用のAPIはGoogleが提供する古いAudioflingerというフレームワークでプログラミングされていて、それを使用する限りは48kHz/16bitを超えることはできません。

これに対するひとつの解はサムスンが最近(2013/10)リリースしたSamsung Mobile SDKの一部のProfessional Audio SDKにあるようです。Samsung Mobile SDKとはそれまでばらばらだった開発環境をひとつに統合しようというものです。
Professional Audio SDKはその一部で、JACK2互換であるという特徴があります。JACKはLinuxで使われるオーディオAPIで、JACK2はJACKをマルチプロセッサ(マルチコア)対応にしたものです。
http://developer.samsung.com/samsung-mobile-sdk#professional-audio
またProfessional Audio SDKではプラグインもサポートします。 プラグインというのはたとえばピアノプラグインをシンセサイザープラグインをベースに作成してMIDIを送れるようにするというもののようです。これらはDTM対応ですね。

一般向けにあまり詳しい資料と言うのはないようですが、JACK2とALSAを使用してAndroid上でハイレゾ対応の信号経路を確保しているように思えます(Pulse Audioかもしれませんが)。おそらく最近のNote3やGalaxy JなどはこのSDKを使用しているのでしょう。これによってほぼLinuxと同等のオーディオ再生環境が得られると思います。
Professional Audio SDKはサムスンのMobile SDKの中ではPackage Type 2と呼ばれるもので、Android Frame Work内の実装も必要になっています。Androidのマルチメディアフレームワークとか、Audioflingerのインターフェースに手を加えているならば、一般のアプリでもProfessional Audioを使用できるようにも思います。またこのSDKとNDKを組み合わせてネイティブコードでもプログラムを実装することが可能なようです。

また、JACKはアプリ間のオーディオデータストリームのINとOUTを結合できるので、Appleのinter-app audio相当のこともAndroidでできると思います。MIDI対応と合わせてiPadの持つタブレットでのDTM市場をも狙っているのでしょう。

ただしこれらはいまのところサムソン機器に限られると思いますし、サムソンでもPackage Type 2のSDKについては適用機種は限定されています。
一番良いのはGoogleが提供する基本のコードでハイレゾ対応に改良されることですが、この辺はKitKatでもまだ変更がないように思えます。おそらくはUSBクラスドライバーのサポート(issue 24614)と合わせて5.0で変化があるのではないかと考えていますが、、
posted by ささき at 20:13 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月24日

オンキヨーのDSD再生対応のiOS音楽再生アプリがリリース

以前オンキヨーさんのiOS用の音楽再生アプリの記事を書きましたが、いよいよそれがリリースされました。名称は"HF Player"となります。
こちらのリンクから購入できます。無料です(ただしDSD/FLAC再生に関してはアプリ内課金で1000円が必要になります。)。
https://itunes.apple.com/jp/app/onkyo-hf-player/id704139896?mt=8

IMG_0073.PNG

特徴は大きく二つあって、一つ目は強力なイコライザーと、二つ目は外部DACへのアップサンプリング可能なデジタル出力とDSDネイティブ再生対応です。(画像はiPadで評価版のものです)

IMG_0071.PNG        IMG_0064.PNG

まずイコライザーですが、イコライザーと言うと音を悪くするとか、音を変えてしまうと言うイメージがありますが、このアプリでのイコライザーは味付けをするDSPではなく、HiFiにするためのイコライザーととらえたほうがよいと思います。音質を落とさないという意味では64bit処理で16000タップと言う細かさで演算しています。この細かさで演算するイコライザーをハードで作るのはむずかしいそうで、これはソフトウエアならではの強みだそうです。非常に細かいステップまで変更できるので、アプリではズーム機能で調整することも出きます。

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またオンキヨーのヘッドフォン・イヤフォンに特化したプリセットの設定も用意されています。ヘッドフォン・イヤフォンではなかなか理想の周波数特性をハード的に得るのは大変ですが、あらかじめソフトウエア的に補正することで理想に近づけられます。加えてギブソン系のミュージシャンに依頼して、独自の彼らお勧め(俺の歌はこれで聴け、みたいな)設定のイコライザープリセットもはいっています。これも面白い試みですね。将来的にはユーザーが作ったものもシェアしてSNS的な広がりも可能かもしれません。

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HF Playerでは外部デジタル出力も充実していて、外部DACに対してはソフトウエア的に384kHzまでアップサンプリングでの出力もできます。iOSではMacOS同様にUSB Audio Class2ドライバーを採用しているようなので、384kHzまでDACが対応していればカメラコネクションキット経由で出力が可能であると思います。(192kHzまでは以前測定して確かめましたが、384kHzも可能なようです)
ちなみに普通アップサンプリングは計算のきりが良いように(誤差が出ないように)、整数倍で2倍4倍としますが、ここで48kモードと言うのは44kHzの曲であっても48の整数倍にするということです。これは48kHz系列のみ対応のDACに有効とのことです。(88kHzが対応しないとか)

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またカメラコネクションキットを使用してデジタルアウトをする際にDSDネイティブ出力も可能です。DFFとDSFの両方に対応しています。おそらくスマートフォンアプリで外部デジタル出力でDSDネイティブ再生が可能なのは世界初だと思います。DoPを使用しています。

IMG_0066.PNG        IMG_0069.PNG

なんとiOS7であればiPhoneでも可能です。ただしiPhoneでは不安定要素があるようです、iPadでは問題ありません。DAC側では標準ドライバーサポートとセルフパワーUSBハブが必要になると思います。
実際にSchiit Lokiで試してみましたが、問題なくDSDでロックしました。FLACではLokiは反応しませんのでDSD対応が確認できます。プツっていうDoP問題は特にないようです(これはデバイスに依存しますので念のため)。下の写真を見ると右側のDSDロックLEDがDSFのときだけ転倒しているのがわかると思います。

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今後の展開もハードが得意なオンキヨーさんに期待できると思います。ぜひこのアプリを使用してみてください。ヘッドフォン祭ではオンキヨーさんブースへぜひどうぞ。
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2013年09月29日

AudiophileアプリのiPhone版とInter-App Audio対応

以前紹介したiPad用の高音質の音楽再生アプリであるAudiophile PlayerアプリのiPhoen版が登場しました。iPad版の紹介記事は下記です。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/372015631.html

IMG_1362.PNG     IMG_1372.PNG

1. iPhone対応

iOSの高音質アプリにはGolden EarやFLAC PLayerのようにストレートに高音質を目指すものと、RadsoneやAudesseyのようにDSPで積極的に音質を変えるタイプがあります。今回iOS7でiPhoneもUSB DAC対応しましたが、外部USB DACに出力するには全社、iPhone直で聴くときはiPhoneのオーディオ回路が弱いので後者が向いていると思います。AudioPhileはDSP系の音を変えるタイプのアプリで、後者に属することになりますね。
AudioPhileのメインはMaxxAudioというDSPでこれを使用するためには追加で450円のアプリ内課金が必要です。(アプリ自体は無料)

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詳細内容はiPad版の記事に譲りますが、MaxxStereoとMaxLevelerはiPhoneを横向きにしないと表示されないので注意してください。またメインのレベルメーターも横向きではツインとなりますし、MaxEQの詳細モードも横向きにすることで表示がされます。全体に縦では簡単モード、横では詳細モードになるともいえるでしょう。(ただし後で書くExternalモードは縦でのみ表示されるようです)


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リアルタイムコンブレッサーのようなMaxxVolumeはよく効きますが0dBよりもレベルが大きくなることがあり使いすぎると音が割れます。それをメインの大型レベルメーターで監視しながら適度な値に抑えておくとよいでしょう。
MaxxAudioを活用することでAudioPhile Playerはこの手のDSP系アプリでもトップクラスの良さがあると思います。AKG K3003あたりと組み合わせるとかなりのレベルとなりますね。ただ欠点としては電池食いであるということと、処理落ちなのかちょっとプツっということがある点(iPhone5)でしょうか。

2. Inter-App Audio対応

また、このバージョンからiOS7のInter-App Audio機能に対応しました。(iPad版も同様)
Inter-App AudioはDAWだけではなく、音楽再生アプリにも対応したことは大きいですね。
AudioPhileアプリの中ではInter-App AudioはEXternalモードと呼ばれていて、再生画面のEXTボタンを押すことで起動します。下記画像ではiPhone内にインストールされているInter App Audioのアプリがリストされ、そのアイコンを押すことでそのアプリに接続されます。接続するとそのアプリは小アイコンで再生画面に表示されます。(これがタスクスイッチのボタンになるようです)

IMG_1367.PNG   IMG_1368.PNG

下記に解説がありますが、AudioPhile PlayerはInter-App Audioの中でnodeとして機能します。(前の記事参照)
適当なアプリがないので試せませんが、この時に他のアプリからの出力をAudioPhile Playerの入力として使えるということなので、MaxxAudioをAUプラグインのように他のアプリでも使えるということになるでしょうね。
http://audiophileapp.com/support/

Inter-App Audioも面白い応用などありそうです。AudioPhile for iPhoneの販売リンクは下記です。
https://itunes.apple.com/jp/app/audiophile/id682190784?mt=8
posted by ささき at 21:32 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月14日

MaxxAudio採用のiPad専用音楽再生アプリ、Audiophile music player

iOSのオーディオ向け高音質の音楽再生アプリも多数出てきましたが、このMusicsoftのAudiophile music playerはiPadのみという珍しい音楽再生アプリです。

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再生画面とMaxxAudio設定画面

このアプリの特徴はまずWaves AudioのMaxxAudioというDSP技術を売りにしている点です。Waves Audioはイスラエルの会社でスタジオのDSPソフトを主にしてましたが、のちにコンシューマー向けにも製品をだしています。MaxxAudioはすでにPCでは導入されているので恩恵にあずかってる人も多いでしょう。ノートPCのスピーカーなど不完全なオーディオシステムをDSPで最適化するという考え方ですね。またプロスタジオ用のプラグインでも知られていて、その技術をこのアプリのDSPエンジンで応用しています。

ホームページアドレスは下記です。Musicsoftはアメリカのモバイル向けのアプリメーカーで、このMaxxAudioをビルドインした音楽再生アプリを制作したというわけです。
http://audiophileapp.com/

基本的には無料で入手できます。MaxxAudio機能を使うためにはアドオンで購入する必要があります。またTRYボタンでも無料で10分間試すことができます。MaxxAudio機能は600円です。

IMG_0221.PNG  IMG_0225.PNG  IMG_0226.PNG

はじめに出てくるのはMaxxAudioの設定画面となります(上中の画面)。
そして中央のプレイリスト画面をxでクローズして、プレイリスト追加画面に移ります。使用するにはまずArtist、AlbumなどからiPadの音楽ライブラリにアクセスして、+ボタンでプレイリストに追加していきます。プレイリスト上の曲をクリックすると再生を行います。(上左の画面)
機能は一通り揃っていてギャップレス再生にも対応してます。設定画面は上右の画像です。おしむらくは対応フォーマットがWAV, ALAC, AIFF, MP3, AACでFLACに対応してないところです。

MaxxAudioを使用するためにはまず出力選択でヘッドフォンやスピーカーを設定します。Earbuds イヤフォン、iPad built-in speaker 内蔵スピーカー、DJ headphones ヘッドフォン、iPad Dock ドック、Home Speakers ホームスピーカー、Club Speakers クラブスピーカー(PA?)です。自動でもセットされていると思います。
これらの選択は下記のDSP演算に影響するようです。また高性能イヤフォンはヘッドフォンでセットしたほうが良いかもしれません。

DSPは下記の幾つかのオプション機能で調整が可能です。これらは元はそれぞれスタジオ用のプラグインとして用意されていたもののようで、それをブレークダウンして下記機能別にまとめたようです。それぞれOn/Offが可能です。この他に3バンドまたは10バンド切り替え可能なEQもあります。

MaxxVolume - 出力デバイスに合わせて最適なボリュームを計算して調整
MaxxBass 良質な低音域の調整
MaxxTreble 補完も含めた高音域(中高音域?)の調整
MaxxStereo 音場感・ステレオイメージの調整
MaxxLeveler ソースによるボリュームレベル違いの調整
(ReplayGainみたいなもの?)

Audiophileの素の音は標準プレーヤーアプリと比べるとドラムスやパーカッションのインパクトなどでやや切れや明瞭感は上ですが大きな差ではないと思う。ただGoldenEarあたりと比べると素の透明感は劣る。(GoldenEarあたりで聴くとiPad miniの音声コーデックICの音の荒らさが耳につくということもある)

MaxxAudioオプションをオンにすると音は大きく変わるが、効き方のレベルは変更することができます。

MaxxBassは低音の量感がましてクラブ系ダンス系リミックスに良い感じ。MaxxTrebleはヴァイオリンなどの音をより明瞭にします。効きを弱くすると微妙に変化できるので良いところです。
効きはMaxxBassが大きいけれど、音全体に与える影響はコンプレッサーを応用したMaxxVolumeの効果が大きいと思います。耳に近く力強さを感じ、パーカッションのインパクトのキレも良くなります。インパクトフルに押し出し感が出てきます。コンブを応用していることもあってか、メインボリュームをひとレベル落とした方が良さそうです。
MaxxLevelerは確かに音量レベルは揃えられるけど、音楽の場合に音量レベルが違うのはマスター意図もあるので、お好みですね。
MaxxStreoもイヤフォン・ヘッドフォンでは今ひとつです。ヘッドフォン用のDSPとしてはMaxxSpaceというのが本家ではあるようですが、このアプリでは採用されていません。オーケストラの迫力なんかはMaxxVolumeでも調整できます。

いま私が使ってるのは、MaxxVolumeで力強さの調整をし、MaxxLevereとMaxxStereoはオフ、MaxxTrebleでは中高域の明瞭度の調整、MaxxBassで低域の迫力を調整する、というような感じです。
端的に言うと、これらMaxxAudioを使うと音楽に賑やかなメリハリが出て、オフにすると物足りなくなる感があります。

もう一つのAudiophile music playerの特徴はさまざまなクラウドベースの音楽ソースにも対応していることです。この辺はiPadをネットワークプレーヤーとして使うメリットでもあります。またこのアプリではDSPを使えるので音質の良くないストリーミングにも有効かもしれません。もちろんAirPlayも対応します。

フリックでアルバム選択できるなど、iOSのUIに合わせてよく作られていますが、カバーアート再生画面からMaxxAudio設定に戻るときにxで戻るなど今一つのところもあり、またまだちょっと動作が不安定なところがあります。
iPadだけのアプリですが、ヘッドフォンだけではなくスピーカーもサポートしてますのでiPadをUSB DACに使いデスクトップのオーディオシステムなどに組み込むのにも役立ちそうなアプリです。

AndroidはNeutronやKamertonのようにコンピュータのプロセスの最適化など直球勝負のアプリが多いんですが、iOSではDSPによって音を変えるパターンが多いですね。これもAndroidではオーディオのハードも凝ったものが多いけど、iOS系はオーディオハードがいまいちということにも対応しています。
しかしPC/Macのオーディオ向け音楽再生ソフトは新顔が出てきませんが、スマートフォン・タブレット系のオーディオ向け音楽再生アプリは増えてきた感がありますね。

MaxxAudioプラグインをCoreAudioレベルでインストールできると良いんですが、iOSの現状ではドライバーがインストールできないのと同様にできないことです。
やれるとしたらAudioBusですね。DAWだけでなく、音楽再生アプリでもAudioBusを採用して欲しいところです。もしかするとiOS7のinter-app audio機能でこの辺が改良されて行くかもしれません。
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2013年08月08日

Appleのオーディオ信号にハイパーリンクを直接挿入する特許

Appleの興味深い特許です。オーディオ信号にハイパーリンクを挿入するというもの。
これはメタデータ領域に書き込むのではなく、可聴もしくは聴こえないトーンとしてオーディオ信号に挿入するようです。オーディオ信号なので音として再生されている間(トーンのdecay)のみアクセス可能になりその間にiPhoneなどのタッチでハイパーリンクまたはコマンドが起動されるようです。
http://iphone.appleinsider.com/articles/13/08/08/apples_audio_hyperlink_tech_can_control_devices_with_inaudible_sonic_pulses.html
これはおそらくオーディオ再生というよりポッドキャストのためのものになるようです。これで音楽の再生中に関連するリソースへのハイパーリンクやポーズなどのコマンドが可能になります。ただし上記の特許のフローにあるような対応ソフトが必要になると思います。

またSonic Notifyという同様技術もあるようです。高い周波数に記録するようですね。
http://sonicnotify.com/index.html#
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LG G2がスマフォ初の192/24対応再生を実現

日本時間の昨晩にLGの新フラッグシップスマートフォンのG2が発表されました。2.26Gというプロセッサー性能や光学手ブレ補正カメラ、3000mAh大容量バッテリー、多目的コントローラのRear Keyなどハイスペック満載スマートフォンです。
しかしオーディオ的に驚いたのは「スマートフォンとし初の192KHz/24bit対応」を表明してるところです。

下記イギリスWhat's HiFiの参考リンクです。
http://www.whathifi.com/news/lg-g2-phone-to-launch-premium-g-series

「スマートフォンとして初の192KHz/24bit対応」というには二つの意味が考えられます。
外部DACへの出力と、内蔵DACのハイレゾ対応(及びAudio Flingerの改良)です。

まずはじめの外部DAC出力の方はG2がAndroid 4.2であり、後の記事でも触れられてますが、これは先日書いたGoogleのOSでのクラスドライバー対応ではなくLGの独自改良となると思います。
そういう点ではGalaxy S3あたりと同じと考えて良いと思います。ただこっちだとスマフォ初とはいえなさそうです。

今回の192/24対応という意味は内蔵音源の方のようです。これは画期的です。つまり192/24音源を内蔵して、内部のDACで192/24デコードしてヘッドフォン端子から聴けるということです。AK100などと同じということですね。
http://m.androidauthority.com/lg-g2-sound-24-bit192khz-hi-fi-playback-vienna-boys-choir-ringtones-audio-zoom-253914/
下記リンクでは対応フォーマットがWAVに加えてFLACも対応しているのがわかります。
http://cdn.head-fi.org/4/47/4766159e_LGG2-9955.jpeg
これまでiPodなどでハイレゾ音源が再生できるという人もいましたがそれらは実際は音声システムで最終的に48/16に丸められています。

下記のハンズオンレビューによるとヘッドフォン端子の音質はかなり良いということからも推測できます。オーディオ周りは凝ってるようです。(ただモノスピーカーはいまいちとのこと)
http://m.techradar.com/reviews/phones/mobile-phones/lg-g2-1171025/review?src=rss&attr=all
下記ハンズオンではiPhoneより音はいいとコメントされて、192/24再生が明記されてます。
http://m.digitaltrends.com/cell-phone-reviews/lg-g2-review/

つまり192/24対応っていうのは外部DACに出すというのではなく、DX100みたいに音声システム(Audio Flinger)にも手をいれて中のDACも192/24対応ということでしょう。単体DACチップか統合チップかはわかりませんが。いずれにせよDX100はスマフォとは言えないので、こっちなら世界初です。

スマートフォンだけでハイレゾ再生できると、今のハイレゾDAP群との第二極ができますね。スマフォの場合は再生ソフトを変えられる強みがあります。その音質をNeutron playerで試して見たいところです。ただし今回の場合はGoogleによるOSレベル対応ではなく、LGカスタムなのでDX100のようにハイレゾ再生に関しては専用アプリのみ対応の可能性もあります。

追記:
LGのG2で使われてるDACというか統合チップ(SOC)はWolfsonの最新のWM5110のよう。低消費電力でSN110dBというもの。WM5110の詳細は下記。
http://www.wolfsonmicro.com/ja/media_centre/item/Introducing_the_industrys_first_quad_core_HD_Audio_Processor_SoC/WM5110は下記のように登場からスマートフォンのハイレゾ化に期待されてましたが早速その姿が現れたということでしょう。
http://www.whathifi.com/news/wolfson-plans-hi-res-audio-for-smartphones
posted by ささき at 07:44 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月24日

Androidのオーディオファイル向けプレーヤーアプリ、Kamerton

KamertonはAndroidの高音質を志向した音楽プレーヤーです。そのためUIや機能は最小限になっているところはNeutronよりもむしろiOSのGolden Earを連想させます。

unnamed.png

特徴としてはPCオーディオで使うようなハイレゾ・ロスレス音源をそのまま再生できるという点です。
そのため192kHz/24bitまでのFLAC/APEなどをサポートしますが、一番のポイントはWavepackのISOフォーマット(iso.wv)をサポートしている点です。iso.wvは音源とCUEファイル、ジャケット写真などをひとつのisoファイルにまとめたものです。ただしあくまでWavepack形式なのでRedbook CDでは読めませんので念のため。
再生はシンプルなもので検索機能もありません。Neutronよりも機能的にはかなり少なくなっています。基本的にはフォルダの階層で進みます。短押しで再生、長押しでメニューが表示されます。Music Uploadではウエブ経由で音楽をアップロードできるようです。またタグを使ったアーチストとかジャンルもありません。
各ファイルは最高で192kHz/24bitの音源を再生可能ですが、もちろんAndroidでは単体でハイレゾ再生はできませんので、ダウンサンプリングします。KamertonではCPUパワーと音質のバランスを取りながらダウンサンプリングをしているということです。この際にFLACが最適なようで、ロスレスとはいえAPEのようにややこしく高圧縮しているとうまくないかもしれないということです。ダウンサンプリングではディザ処理なども行っています。

Screenshot_2013-07-23-22-22-40.png     Screenshot_2013-07-23-22-22-30.png     Screenshot_2013-07-23-22-23-20.png

左がフォルダ画面、中が再生画面、右がメニューです。まさに簡単なものですね。

Walkman Z1000とUE18/TWagで聴いてみました。Z1000は4.0にアップデートしています。
さすが音質はなかなか優れていて、イコライザで飾らねばならない定番Powerampよりストレートでかなり良く、Neutron(やGolden Ear)と同様にイコライザーを使った虚飾感はあまり感じられません(どういう処理やってるか細かくは不明ですが)。
Neutronと比べても音質的には拮抗する感じでZ1000の細やかさも良く聞き取れます。オーディオ的な滑らかさでは上のように思いますね。比べるとNeutronはやや乾いて硬質に感じられます。Kamertonはロック・ポップでのベースのインパクトもあります。Neutronの方が正確でタイトなベースかもしれませんが、Kamertonの方がやはり聴きやすくはあります。Neutronは全体的に締まってタイトではあるけれども、ややコンパクトにまとまった感はあり、Kamertonは同等な音質レベルだけれどももっと聴きやすく楽しい感はあります。GoneMADと比べるとGoneMADは細部が荒削りで、Kamertonは滑らかで上質感があります。
ハイレゾのダウンサンプリング試聴ではKamertonはなかなか素晴らしい音質で、NeutronでディザをオンにしてもKamertonの方がより上質かもしれません。
Neutronが理詰めで作ったソフトなら、Kamertonはもっと聴感的に良い仕上がりのソフトになってると思います。

iOSのプレーヤーソフトはDSPに頼りがちな傾向もありますが、Androidの方はこのWalkman Zなどハード的に音質の良いものも選べるのでNeutronやKamertonのような直球勝負のプレーヤーソフトは価値があると思います。

リンクはこちらです。価格はわずか191円です。使いやすくはないけど、Neutronとはまた一味違った高音質プレーヤーソフトを探してる人にはお勧めです。
https://play.google.com/store/apps/details?id=rogatkin.mobile.app.lialichka
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2013年07月18日

AndroidでUSBオーディオクラスの標準搭載が実現か

GoogleのAndroid開発フォーラムで長らくReviewed(確認した)で放置されてきたissue 24614(add support for USB Audio)のステータスがAssigned(取り組んだ)に変わっています !
http://code.google.com/p/android/issues/detail?id=24614
これはなにを意味するかと言うと、いままで一部の機種(Galaxy S3とか)でしか使えなかったUSBクラスドライバーを用いたUSB DACの使用が、Android搭載の全機種で可能になるということです。

USB Audioって4.1からはいってたんじゃないの、という方もいるかもしれません。そこでAndroidでのUSB DAC使用のおさらいです。
Androidで言うUSB Audioは大きく2通りに分けられます。
まず4.1でUSB Audioという機能が実現されましたが、これはアクセサリープロトコル2.0の中で実装されたものです。アクセサリープロトコルで実装したということはAndroidはUSBデバイス側になり、AppleでいうとiTransportのようなiPodデジタル対応DACのように専用機が必要です。これは実現された例は4.1のリリースの際にArduinoのキットで実装されただけで、現状Android対応のUSB DACと言われているものは次にあげる別の方式を取っています。
そのもうひとつの方法はAndroidをUSBホスト側で使うことです。いまではこれが一般的で、Galaxy S3などで使われている方式です。これはOS供給先のGoogleではなく携帯メーカーの対応となるので対応機種にはばらつきが出ます。DACではXP-01などほぼすべてがそうです。つまり通常のPCオーディオのようにOS内のUSBオーディオクラスドライバーを使い、普通のUSB標準ドライバー対応のUSB DACを接続します。ただしAndroidは本来はデバイスなのでホスト/デバイスの関係を逆転するためにUSB OTGケーブルが必要です。
前に書きましたがAndroidの標準の(CoreAudioみたいな)音声システムはAudioFlingerというもので、USBオーディオクラスドライバーをサポートしていません。これが上のissue 24614で指摘されたもので、AndroidはLinuxがベースですのでALSAのUSBオーディオクラスドライバーを生かしてくれと言うことです。要件としてはこの方式ではホスト機能のためにAndroid4.0が必要です(4.1より前でOKです)。
これはAppleでいうとiPadのカメラコネクションキット経由で普通のUSB DACを接続することに相当します。今回取り組んでいるissue 24614はこちらの方法です。いままでGalaxy S3など一部機以外はUSBオーディオクラスドライバーを生かすためにはOSの書き換えなどマニアックに対応していましたが、それが不要となります。

このようにスマートフォンはデバイス側とホスト側の両方になりえるので注意が必要です。ちなみにADKではこれを利用してAndroid端末をデバイス側で使うことにより消費電力の低下に応用しています。

10月と言われてるAndroid5.0(Key Lime Pie)には実装されるとよいですね。ちょっと楽しみなことです(私もいろいろと思惑があり)。
posted by ささき at 22:05 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月28日

AndroidでハイレゾUSB DACを使用可能にするアプリ USB Audio Recorder PRO

いままで書いてきたようにAndroidで一般のUSB DACを使うためにはUSBオーディオドライバーが有効化されていなければなりません。はじめからこれが可能なのはGalaxy S3など一部の機種です。たとえばNexus 7は標準状態ではUSBオーディオドライバーが有効化されていないので、Nexus 7でUSB DACを使うためにはroot化してからドライバーが有効化されたカーネルを入れ替えるという面倒でリスクのある手段を使う必要がありました。

IMG_0993.jpg
Nexus 7とDragonfly

しかし今回紹介するUSB Audio Recorder PROは(本来は録音アプリですが)単にこのアプリをインストールするだけでNexus 7のようにいままで対応できなかったものでもUSB DACを使うことができるという優れものアプリです。しかもハイレゾに対応していて、真に192/24bitのハイレゾをUSB DACに出力することが可能です。これでAndroidもようやくiPadなみにハイレゾ対応が可能になりました。

ダウンロードはこちらのGoogle Playから429円です。(USB Audio Recorderは別アプリです。USB Audio Recorder PROを買ってください)
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.extreamsd.usbaudiorecorderpro&hl=ja

下記にアプリの解説が書かれています(Google Play画面です)。

Screenshot_2013-03-27-19-59-09.png     Screenshot_2013-03-27-19-59-26.png

無料のお試し版もあります。こちらはサイトからダウンロードです。かなり低いレベル(ハードに近い)のソフトウエアなので、Android端末、USB DACとも機種によってはまず無料版で動作確認をしてからフルバージョンを買った方が良いかもしれません。
こちらの開発元サイトに動作可能のAndroid端末とUSB DACの組み合わせが書いてあります。
http://www.extreamsd.com/USBAudioRecorderPRO/

* USB Audio Recorder PROの実際の使用について

USB Audio Recorder PROの使用条件はUSBホスト機能が必要なのでAndroid4.0以上であるということ、USB OTG(On The Go)ケーブルが必要ということです。USB OTGケーブルはiPadのカメラコネクションキットに相当します。下記に書いたマイクロB-AメスのUSB OTGケーブルはAmazonなどで簡単に入手可能です。
またUSB DAC側は標準ドライバーで動作するものが必要です。USB DACの電力制限はiOSではないのでかかりませんが、よくはわかりません。
私は標準状態(無改造)のNexus 7(Android 4.2)で試してみました。USB DACと組み合わせる際には干渉を防ぐためにAirplaneモードにしてください。
iBasso DX100はAndroid 2.3ですので残念ながら使えません。(Google Playからダウンロードできません)

Screenshot_2013-03-27-20-39-36.png

再生はアプリ内でのみ可能です。USB audio recorder proを音楽再生アプリとして扱ってください。対応フォーマットはFLAC/WAV/OGG/AIFFです(録音はAIFFは不可ですが再生はできます)。MP3は使えません。他の音楽再生アプリからドライバーとしてだけ使うということはできないようです。iOSみたいにAudioBusみたいなのがあればできるのでしょうけれども。ただしUSB audio recorder proのサービス版を開発中ではあるということです。またもともとは録音アプリなので録音したデータを他の音楽再生アプリで再生するということは可能です。
音源を指定するにはフォルダアイコンをクリックして階層をたどってください。音楽再生用として使用するために簡単なプレイリスト機能がついています(わざわざこれは録音アプリだけど再生用のリクエストが多くてつけたと注釈が書いてあります)。

はじめにUSB DACをUSB OTGケーブル経由で接続してからUSB Audio recorderアプリを立ち上げてください。アプリの立ち上げ時にUSB DACを検知すると下左のようにUSB DACへのアクセスを聞いてきます。OKを押下してください。初期化に失敗すると下右のようにエラーが出ますのでそのDACは使えません。初期化に成功すると対応している出力ビットが16とか24のように表示されます。

Screenshot_2013-03-27-20-56-13.png     Screenshot_2013-03-27-22-11-13.png

問題なければ左上のフォルダアイコンをクリックして音源ファイルを選択してから再生ボタンを押下してください。またPlay Listタブで簡単な複数ファイル再生も可能です。

Screenshot_2013-03-27-21-29-09.png
USB Audio Recorder PROでのハイレゾ再生

バッファは再生音に問題があるときに下記のように機種ごとに調整が必要です。再生音が異常のさいには下記のようにバッファ長を調整してみてください。動作の安定性は接続するDACにもよるようですが、やや安定動作に欠けるところもあります。動作が安定していないときにはリブートでたいてい解消できます。

ポータブルDAC : AudioQuest Dragonfly

Dragonflyが標準状態のNexus 7で使えています。なんと画期的ですね。これでハイレゾ再生も可能なポータブルオーディオシステムになります。Dragonflyの場合は片側AメスのUSB OTGケーブルを使います。

IMG_0996_filtered.jpg   IMG_0998_filtered.jpg   IMG_1002_filtered.jpg

ハイレゾ音源(Blue Coast)を再生しているときはDragonflyの色が変わってきちんと96KHzでロックしているのがわかると思います。緑が44kHzでマゼンタ(赤紫)が96kHzです。
なおDragonflyの時はバッファ設定を標準の4096 framesではなく44kHz音源はBuffer=8192 frames、96kHzのときは16384 framesに指定しないと音が安定しません。

Screenshot_2013-03-27-21-29-58.png

またDragonflyのように内蔵ボリュームがあるタイプでは上のようにボリュームの調整にはMixerタブを開いてchannel1と2のスライダーで音量を調整してください。

据え置きDAC : Wavelength Proton

このWavelength Protonのように据え置きタイプでももちろん使えます。片側AメスのUSB OTGケーブルを普通のUSBケーブルで延長してください。

IMG_1009_filtered.jpg     IMG_1018_filtered.jpg

Protonでも96kHzでロックしているのが確認できました。ProtonでもDragonflyと同様にバッファ設定の変更が必要です(DragonflyとProtonはファームがほぼ同じです)。仕様としては192kHzまでいけるようです。

○ ポータブルDAC内蔵アンプ : xDuoo XD-01

xDuoo XD-01でも使用できます。(XP-01が調子悪いのでXD-01でXP-01のアクセサリーを使っています)
この場合はXP-01についていた短いUSB OTGケーブルを使用すると便利です。

IMG_1022_filtered.jpg     IMG_1032_filtered.jpg

このUSB OTGケーブルには上下別で、プラグの向きによって折り返して使えるようにもなっています。

IMG_1024_filtered.jpg     IMG_1030_filtered.jpg

XD-01の場合はバッファ設定にはよらず安定しています。XD-01でも96kHzまでハイレゾ出力が可能です(ロックは確認できませんが)。この場合はSRC(アップサンプリング)は切った方が良いでしょうね。XP-01ではUSBコントローラ(PCM27xx)の都合で48/16までになりますからXD-01の方が向いているかもしれません。


* USB Audio Recorder PROの仕組み

USB Audio Recorder PROがUSBドライバの有効化なしでUSB DACと接続できる仕組みは、アプリ内部にミキサーとオーディオドライバーのような音声システムをそっくり持っているからです。これは開発元のeXtreamが書いたものということで、通常のアプリですからユーザー空間に置かれています。それでAndroid標準の音声システム(Audio flinger)をバイパスしてOSのUSBホストドライバーにアクセスしているようです。感覚的にはDX100のiBassoアプリにも似ているかもしれません。

Galaxy S3やドライバー有効化改造されたNexus 7との違いは、USB Audio recorder proはユーザー空間を使用する普通のアプリであるためroot化する必要がないということです。対してNexus 7でのドライバー有効化はカーネル(Android的には別な言い方がありますが)を書き換える必要があるのでroot化(つまりカーネル空間にアクセス)する必要があります。rootというのは管理権のことですから通常のユーザーでは扱えないシステムレベルでアクセスできるということです。iOSなんかで標準添付のアプリが消せないのもこの理由です。

ミキサーなどのシステムモジュールはカーネル空間(つまりOS内部)にあるのが普通ではありますが、ユーザー空間にあってもおかしくはありません。たとえばWindows7(Vista以降)のミキサーであるAudio engineはユーザー空間にあります。そのためAudio engineをミキサーと呼ぶことは問題ありませんが、XPのようにカーネルミキサーと呼ぶことは誤りです。(ただしWindowsのAudio engineはユーザー空間にありますが特別なメモリ保護下にあります)ちなみにWindowsでミキサーをユーザー空間に出したのは当時のMSのOSアーキテクチャ戦略の一環です。

ユーザー空間にこうしたシステムモジュールを置くというのは欠点もあると思いますが、自由なAndroidならではの着眼点です。
Appleのがっちりとした管理下にあるiOSアプリに比べると、規制の緩いAndroidアプリは長短ありますがこうした自由度が高い点は面白いところです。これがiOSアプリだったらAppleに却下されているかもしれません。接続するDACも消費電力制限などが緩いのでいろいろ使えますしね。
あとはサービス化してくれて、他の音楽再生アプリから使えるようにしてくれれば、Androidのオーディオ利用もずっと広がっていくでしょうね。いずれにせよXP-01、ADL X-1などのAndroidを考慮したポータブル系の隆盛とも合わせてAndroidとUSB DACの組み合わせの分野もちょっと活気づいてきたように思えます。
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2013年01月09日

ONKYOがDSD再生可能なiPhoneのHDオーディオアプリを開発中

いまアメリカではCESが開催されていますが、ONKYOでは新製品のヘッドフォンが発表され話題を呼んでいます。オフィシャルはGibsonブースでの展示だそうです。
CES1.jpg

そしてある画期的なアプリも参考出品されています。
それがこのONKYOがヘッドフォン用に開発中のiOS向け音楽再生プレーヤーアプリです(名称未定)。CES展示ではヘッドフォンのイコライザーアプリとしてまず紹介されていますが、実はそれにとどまらない、なんとDSD再生も可能な画期的なHDオーディオプレーヤーのプロトタイプです。
これについては開発中の試作版を少し前に試用させてもらう機会がありましたので、それも交えて紹介いたします。なおスクリーンショット、説明内容はすべて開発段階のものですので念のため。

IMG_0041.PNG

まずCES展示ではONKYOの開発したヘッドフォンのための再生アプリとして紹介されています。
ただしこのアプリは最近よくあるヘッドフォン・バンドルタイプのアプリとは一線を画したものです。実際にイコライザーはかなり強力で、64bit処理のモード(HQモード)を持っていて、20000タップのFIRフィルタで高品質な処理をします。だいたい通常のイコライザーが1000タップ程度で、プロ用でも4000タップくらいということなので精度の高さが分かると思います。普通イコライザーをオンにしただけでも音質が劣化しますが、この64bitモードと高精度デジタルフィルタによって高音質でイコライジングすることができます。
そして今回発表されたヘッドフォンに合わせた特性のカーブがあらかじめプリセットされています。そのため最適な音質で再生することができます。

opt for oh.png

こうしてプレーヤー側の高品質なイコライザーで周波数特性を補正してあげることで、手頃な価格でかつ高音質なヘッドフォンリスニングが可能となるでしょう。これは前に書いたEarPods用のDirac HDアプリや、さまざまなヘッドフォン特性がプリセットされたAudyssey Music Playerアプリにも通じる考えですね。ONKYOのアプリでは64bitモードをも持つことで、イコライザー使用による音の劣化を防ぎながら帯域特性を向上させることができるので、この手法が効果的に効いてきます。イコライザーを使用することで音質が劣化したのでは意味がないですからね。またこの高精度なイコライザーを使用して、プリセットされたものだけではない、音のカスタマイズ提案の可能性も考えられます。

しかし、このアプリは単なるイコライザーアプリに留まりません。高音質オーディオプレーヤーアプリとしてハイレゾ音源を再生可能で、さらになんとDSD音源をiOSで再生することができます。
実際に試作版を手元で試す機会がありましたが、自分の買ったDSD音源を使えてiPadでDSDが再生できたのはちょっと新鮮な感動でした。下記はBlue Coastから買ったDog Songを再生しているところです。

IMG_0053.PNG     IMG_0054.PNG

いままでのRadsonやSoundmaxなどに直接比較して比べてもずっと洗練された自然で音痩せのない上質感のある音でした。
このアプリではイコライザー以外の部分での音の処理ではDSP処理はしていないとのことです。かなり本格派というか正統派の音楽再生アプリです。前にNeutron Playerの記事を書いた時にも思いましたが、もうスマートフォンアプリだから、という時代ではありませんね。最新のスマートフォンの能力はもはや玩具ではなく、十分な可能性を感じさせます。DSDネイティブ再生の可能性はどうだろう?。。見ていると期待が広がります。

なお出力するさいには下記の選択が可能のようです。 *1
DSDはおそらく1と2でPCM変換対応可能だと思います。
1. すべての音源を48kHz/24bitにリサンプリングする
たとえば192/24のHD音源ならダウンサンプリング、44/16のCDリッピングならアップサンプリングとなります。これはiPhoneやiPad単体で聴くときのモードのようです。
2. 指定のレートにアップサンプリングする
たとえば44/16のCDリッピング音源を192/24に変換する。
iPad/iPhone単体では192にしても意味がないので、これはiPadでの外部デジタル出力を想定しているのでしょう。
3. そのままで変換しない

このONKYOのアプリは単なる再生アプリというより、ヘッドフォン製品の帯域特性改善、ハイレゾ音源・DSD音源の再生、オーディオ機器やネットワークへの可能性など、ONKYOが今後展開するだろう各分野でのさまざまなオーディオ戦略の中核ともなりうる可能性を秘めたソフトウエアだと思います。たとえばe-ONKYOの配信で購入したハイレゾ音源をONKYOのヘッドフォンで最適EQで再生でき、その音源はiPhoneではなくリモートにあっても良いかもしれません。製品群や製品戦略がスマートフォンという次世代の主役を軸に有機的につながってきますね。
こうしてコンピューター・ソフトウエアというインフラをあらかじめ考慮した製品戦略というのが、ひとつのPCオーディオのあるべき姿であるように思います。


*1 - 仕様について加筆訂正しました。(1/10)
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2012年11月02日

ネットオーディオ08(12月号)に執筆しました

現在発売中のNetAudio紙08号に執筆しました。まずiPhone5の解説記事(P26)をヴォリュームたっぷり4ページで書いてます。書いてた時点では5の発売から日もありませんでしたし、自分のも届いて一週間くらいでしたが、書き始めると割と書くことはスラスラと出てきますね。特にA6のカスタム設計とiPhoneのフォームファクタの関係まで触れてるあたりはオーディオ紙とは思えない濃さで書けたと思います。ただこの辺は5のキーになるところですし、今後を占う点でもあります。
30ピンアダプターも締め切り前ギリギリに届きましたので、何とか簡単にテストして触れることが出来ました。この後でChipworksがアダプターの内部バラしてシーラスの音声統合チップとウルフソンDACが両方入ってるのを発見したりしました。

また情報記事としてワイヤレスオーディオにも触れています。(P172)
この中ではスマートフォン関連も厚く触れて、AirPlayに対抗するAndroidでのMiracastの発表にも言及してます。
執筆時点では予測記事だったんですが、つい先日(10/29)Nexus 10と共にAndroid4.2が発表され、なんと早速Miracastが一部(リモートディスプレイ)取り込まれました。こんなに早く実際の動きがあるとは思わなかったんですが、記事の読みはさっそく当たった感じです。

世の動きは早く、伝える方も難しさを要求される時代となった感がありますね。スマートフォンとかポストPCの動きが与える影響というのはどの世界にも及び、オーディオの世界も例外ではないのではないかと思います。


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2012年09月14日

iOS6の新オーディオ機能inter-app audioとAudiobus

iPhone5のみならずiOS6も姿が見え始めましたが、そのオーディオ機能のひとつがinter-app audioというものらしいというのは発表時点で噂になっていました。そして同時に取りざたされたのがAudiobusというアプリ(会社)です。
Audiobusの提供する機能はあるオーディオアプリの出力をリダイレクトして別のアプリの入力とする、というもののようです。これは音楽制作向けの機能で、LinuxのJack audioに近いと思います。楽器アプリの演奏を直接iOS内で別のアプリで録音するなどの用途に使えるでしょう。

iOS6発表の少し前から注目されていたのですが、iOS6発表の時に関係を取りざたされて以来沈黙を守ってました。それが今日自らのタンブラー(SNS)でアップルの認可を受けたと発表しました。
http://audiobus.tumblr.com/post/31453084246/audiobus-has-been-approved-by-apple

他アプリとの連携が欠かせないので、今後は活動も精力的になっていくと思います。
いままでこうした音楽分野はiPadの独壇場だったんですが、別な記事に書いたようにAndroidもオーディオ適用性を伸ばしてきています。ここでまたアドバンテージを獲得したいということなのでしょうね。
posted by ささき at 09:14 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月13日

アップル、ドックコネクタを変更

iPhone5が発表され、予想通りではありますがドックコネクタがデジタルのみの新型に変わりました。シラーは薄型化のためと接続が有線からワイヤレスに移りつつあるということを理由にあげています。従来型30ピンのアダプターも出てるんですが、アナログアウトアクセサリのゆくえが気になります。
なお米アップルストアではアダプターのところにiPod out not supportedとアダプターのところに但し書きがあります(なぜか日本のアップルストアにはない)。

*9/14追記 ライトニング/30pinコネクタにDACが内蔵されているようです。つまりアダプタ経由ならば従来のようにアナログアウトを取り出せるということのようです。英語Apple StoreにあったiPod outとはカーオーディオの一部で使われる表示機能とか、この辺はちょっとまだ不明です。
http://www.whathifi.com/news/iphone-5-and-ipods-wont-work-with-some-existing-kit-–-even-with-the-adapter

9/14 17:40 追記
海外のアップルストアではライトニング/30pinコネクタの記述が明確化されてアナログオーディオアウト対応と記載されました。


こちらはさっそくそれに反応して作成されたBluetooth接続スピーカーJAMBOXのビデオ。"Dock is Dead"
posted by ささき at 09:37 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月08日

Cotton CandyはTELEFUNKEN Smart Stickへ改名

以前Androidカンファレンスの記事でCotton CandyというUSBメモリ型のAndorid端末を紹介しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/259874309.html
その後、Cotton CandyのようなHDMI端子を持ったUSBメモリ型のAndroid端末が登場してきて、このカテゴリも盛り上がりを見せつつありますが、肝心のCotton Candyはなかなか姿を現しませんでした。これは他の端末がHDMIに絞っているのに、Android仮想デスクトップとの二兎を追ってしまった結果かと思います。

しかし、先日のIFAで突如として名前を変えてTELEFUNKEN Smart Stickとしてテレフンケンのブースで展示されました。下記のステレオサウンドのIFAレポートでテレフンケンのところに写真があります。
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2012/09/08/12928.html
これはCotton CandyのFXIテクノロジーのところにNEWSとして報じられています。はじめテレフンケン版のOEMかと思ったんですが、調べてみるとCotton Candy自体がテレフンケンと提携して名称変更したようです。
http://www.fxitech.com/2012/08/
今年の末には出るということです。ちょっと出遅れましたが最近のTVはハードディスクのためのUSB給電できるようになってますから手軽に設置できますし、大手と組むことで面白い展開があるかもしれません。個人的にはAndroid仮想デスクトップに興味あります。
テレフンケンっていうと私もいくつか持ってますが真空管のイメージしかないんですが、これでまた最新テクノロジーの要注目ブランドとなりました。
posted by ささき at 21:21 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月19日

AndroidでのDACの使用について

Android4.1を搭載したNexus 7タブレットが発売開始されユーザーにとどいてきたようです。
そこでさっそくUSB DAC(Fiio E7)を使ってみた人のレポートが載ってましたが使用できないということです。これは予想通りなので、やはりDACを使用してAndroidをオーディオに対応させるには次の二通りがあるということのようです。今回はまとめ形式で書きますので詳細は前の記事を参照ください。

1. Android 4.1で導入されたアクセサリプロトコル2.0を使う方式

Androidアクセサリプロトコル2.0に対応した専用のドックが必要です。(現在ASUSでNexus7用を開発中)
これはAppleでいうとiPod5.5以降のiPodアクセサリプロトコル(iAP)でサポートされたiTransportなど対応機によるデジタル出力を取り出すことに似ています。

現在対応機種 : Nexus 7およびGalaxy Nexusなど4.1対応機
OS要件: 4.1 (Jerry Bean)が必要
使用形態 : Android端末 →USBケーブル→専用ドックによるデジタルアウト

*Android4.1のオーディオ関係ではこのデジタルアウトのほかに低レイテンシー化も試行されています

2. ベンダーによる独自対応でUSBオーディオクラスドライバーを生かす方式

ベンダーによっては標準のAndroidのオーディオ周りをカスタマイズしているため。
これはAppleでいうとiPadとカメラコネクションキットを使用してUSB DACを使用することに似ています。

現在対応機種 : サムスン Galaxy SIII、ノキア N8、他Archosなど
OS要件: ベンダーによるが、USB OTGをデバイスでサポートしている必要あり
使用形態 : Android端末 →USB OTGケーブル→USB DAC

*USB DACは標準ドライバー対応のものが必要です。Fiio E7をよく使うのはE7がバスパワーによらずバッテリーから給電できるオプションがあるためです。ですのでiPadの給電制限もうけません。
USB OTGを使うのはA/B変換のためです。iPadではカメラコネクションキットに相当します。


posted by ささき at 23:24 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月06日

Androidは10msの夢を見るか?

前に書いたようにGoogle I/Oカンファレンスで発表されたAndroid 4.1(Jelly Bean)ではオーディオまわりで進化があって、USBデジタルアウト対応が発表されています。前回書き忘れましたけど、ASUSではすでにNexus 7用のAudio Dockの発売をアナウンスしていますね。

このほかにもオーディオまわりでの大きな話題としてはもうひとつ、4.1での低レイテンシー化についてのアナウンスもありました。ここはオーディオ再生というよりもむしろ音楽制作にかかわるところかもしれません。
下記の4.1での新機能紹介あたりで低レイテンシー化について触れられています。(22:51付近)
http://www.youtube.com/watch?v=Yc8YrVc47TI&feature=player_de tailpage#t=1366s
この4.1での低レイテンシー化については下記のサイトにまとまっています。
http://createdigitalmusic.com/2012/07/android-high-performance-audio-in-4-1-and-what-it-means-plus-libpd-goodness-today/

簡単に言うと、現在Android4.0では100ms台とあまり良くない値のAndroid端末のレイテンシーを向上する努力を4.1から初めて、4.1では12msを目標にするが、すべてのデバイスがそうなるとは限らないそう。実のところ10ms以下のさらに低いところを狙っているが、これは4.1では終了せずに、次の4.2(?)に向かっても続けられる継続努力目標であるということのようです。

レイテンシーは非常に多くの要素が起因しているため、Androidの場合はベンダーごとにばらつきが出る可能性も多いということ。現時点ではGalaxy Nexusがもっとも優秀であるということですが、これはGoogleのリファレンス機だからでしょう(ただしGalaxy Nexusは現在米国市場ではAppleの特許侵害訴訟のため販売停止中です)。
また、これは前にも書きましたがミキサーの刷新が大きな効果を得るだろうということです。また新設計ミキサーはOpenSLなどとの親和性も良いようです。

この低レイテンシー化の背景にはもともとAndroidはMacはもとよりiOSと比べてもレイテンシーが大幅に劣っているということがあります。こちらにPureDataライブラリーを使用してAndroid端末のレイテンシーの実測をしたデータが載っています。Pure dataはクロスプラットフォームのマルチメディアライブラリなので参考値としてiOSならびにMacの値が載っています。Androidがだいたい500-700msなのに対して、iOSが90ms、Macで48msと、iOSは3.1でさえ良いわけですが、現状でこのくらいの違いがあるわけです。
http://puredata.info/docs/AndroidLatency

いずれにせよ、この低レイテンシー化でまた一歩Androidはメディア分野で先行するiOSに近づくということになります。いまではタブレットでの音楽/DTM関連ソフトというとiPadの独壇場ですが、Android関連もこれによって活性化されるのかもしれません。ただしAndroidにおいてはまずタブレット向けのアプリが乏しく、タブレット市場でのiPadの絶対優勢をなんとかする必要があるとは思います。
posted by ささき at 00:10 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月30日

AndroidはUSB DACの夢を見るか パート2

昨日書いたAndroid 4.1でのUSBオーディオサポートですけれども、また少し明らかになってきました。Android端末とオーディオ機器の関係の明確化、44.1k/16bit制限などです。
*ADKについてはこちらのAndroidカンファレンス記事もご覧ください

Android 4.1が発表されたGoogleのセッションでADKの新しいリファレンスであるADK2012(Arduinoベース)が公開されています。
http://developer.android.com/tools/adk/adk2.html
ADK2012については下記のArduinoブログで紹介されています。
http://arduino.cc/blog/2012/06/28/android-adk2012-is-here/

オーディオ部分についてのみ紹介しますが、まずADKのUSB Audio機能を使うにはAndroid 4.1で行うことが必要であると書かれています。
To play audio over USB, you must use a device running Android 4.1 (API Level 16) or higher:
このArduinoベースのADK2012に USB ABを接続して、Android端末(4.1)側にUSB B(デバイス側を示す)を接続します。しかし、音源の再生アプリはAndroidにあり、DACはADK2012側ですから、つまり通常のUSB DACとはA/B関係が逆です。(なぜADKではホストとデバイスが逆かというとAndroid端末側にデバイス側から給電をしたりするためです)
するとADK2012の内蔵スピーカーから音が出るとあります。おそらくADK2012にはなんらかのDACが入っているようですね。Androidでデジタルアウトを取り出すデジタルドックまたはDACはおそらくこのADK2012をベースに製作されるでしょう。(このA/B関係はiTransportのようなiPodデジタルアウト機器と似ています)

このときに下記のAndroid Open Accessory Protocol 2.0の仕様を見てほしいのですが、
http://developer.android.com/tools/adk/aoa2.html
まずAndroid端末側がAndroidAccessoryプロトコルに対応している必要があります。(iPodでいうとiPod Accessoryプロトコル対応のiPod5.5以降に相当しますね)
ソースコードを見るとAndroid側でgetProtocolして上記を確認した後にデバイス情報のハンドシェイクをしますが、ここのUSB IDでこの2.0では新たに従来の1.0ではなかったUSB Audioという項目が追加されています。
audio - A new standard USB audio class interface for streaming audio from an Android device to an accessory.
続いて2.0のプロトコルでは44.1kHz 16bitのフォーマットのみサポートすることが書かれています。つまりAndroid4.1でUSB Audio対応可能といっても、ハイレゾは当面できません。ただし将来的には追加されるだろうとも書かれています。
このUSB Audioを使うときにはやはり新規のSET_AUDIO_MODEで示されるUSBコントロールリクエストが必要になります。

つまり、やはりAndroid端末とDACの関係は通常のUSB DACとは逆になるので、簡単にUSB DACをつなぐというわけではなさそうです。こちらにUSB Audio Dock Implementationとしてそうした機器(USB Audioドック)の例が載っています。
http://developer.android.com/tools/adk/adk2.html#audio-dock
Android側では特別な対応は必要ありませんが、ADK側で初期化してイベントハンドリングします。


* GALAXY SIIIでは

一方で調べてみるとAndroid 4.1でないとUSB Audioは使えないのかというとそうでもないようです。また上のようにiPodデジタルアウトのような形態ではなく、USB DACを直で取ることもできるようです。
Audioサポートはありませんが、Androidでは3.0から上記のAndroid Open Accessory ProtocolでUSBホストモードは可能です。ただ問題は前に書いたようにUSB Audioクラスドライバーが標準では提供されていないという点です。
前に書いた「AndroidはUSB DACの夢を見るか」の記事ではAndroidでは現状USB DACは使えないと書きましたが、これはあくまでベースのAndroidの話で、Androidはそれをベンダーごとにカスタマイズして自社ハードに実装しています。
サムスンとかノキアではこのUSB Audioクラスドライバーを一部機種で実装しているようです。ひとつはこの最新機種のGALAXY SIIIです。

こちらのブログでサムスンのGALAXY SIIIとFiio E7を接続した例が載っていました。
http://www.androidnz.net/2012/06/galaxy-s-iii-usb-audio-is-it-really.html?m=1
はじめFiiO E17では失敗したけど、スピーカーから音が出るわけではなく、認識したっぽかったのでより安定してるE7で試したところうまくいった、とあります。E7はiPadでも素直に動くタイプですね。
またこの文中で引用されていますがデベロッパフォーラムのXDAでも報告があって下記のようにYou tubeに投稿されていました。
ここではGALAXY SIIIをTOPPING TP30というUSB DAC付きのデジタルアンプに接続しています。はじめ内部スピーカーから小さく音が出ていますが、映像を見るとわかるようにUSB OTGアダプター経由でTP30につなげるとそちらを通じで外部スピーカーから音が出る様子がわかります。


つまり簡単に書くとGalaxy SIII → USB OTG → Fiio E7(またはTP30)という感じでしょうか。Nokia N8でも大丈夫ってあるので、やはりベンダーによってはUSBオーディオのクラスドライバーを生かしてるところもあるようです。前に書いたようにJAVAが基本のAndroidではALSAのクラスドライバーならネイティブ環境のNDKが必要なので、ちょっと実装が興味あるところですね。

前に書いたようにAndroid 3.0(タブレット版)からUSBホスト機能がサポートされてるので、スマートフォン側がUSB ポートBでも適切なUSB OTGなどアダプターがあれば良いわけです。
USB OTGとはなにかというと、通常USBはホスト(PC)とデバイスの関係がはっきりしてるのですが、それだとFireWireみたいにPCを介さずに直接デバイス同士を接続できないので出来たのがUSB OTG(On The Go)です。本来USB-Bポートを備えたデバイス側(この場合スマートフォン)はホスト(データを出す方)になることが出来ませんでしたが、このOTGを使えば解決出来ます。USB OTG自体は新しい規格ではありませんし、そもそもiPadのカメラコネクションキットもiPadにUSB OTGアダプターを付けたのと似たようなものです。
ちなみにUSB OTG規格は帯域幅制限があるようなので、ハイレゾ・ハイサンプリング(HD音源)が可能かということについてはUSB OTGもボトルネックになる可能性がありますので念のため(この辺はよくわかりません)。


Appleというひとつの意志が動きを統制しているわけではないので見えにくいところもありますが、Androidではこのように独自に端末ベンダーが作り、あるいはGoogleが標準化したADKなどでアクセサリーメーカーが作り、Androidという世界を形成していくという形でAndroidのデジタルアウトとオーディオの進化は進んでいくのでしょう。
posted by ささき at 23:06 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月28日

Android 4.1でUSB Audioをサポート!

昨日Androidカンファレンスが開催され、Android 4.1(Jelly Bean)が発表されました。またAndroid 4.1のリファレンスとなるだろう、Nexus 7タブレット(Nexus 6を避けるところはディック遺族への配慮か)、「ソーシャル」で「オーディオファイル級アンプ」を搭載したApple TV的なNexus Q、そしてAR応用のGoogleメガネなど様々な製品もアナウンスされています。
その機能のなかでオーディオ的に注目なのはUSB Audioのサポートです。こちらのAndroid開発者ページにUSB Audioサポートの記載があります。
http://developer.android.com/about/versions/jelly-bean.html

USB Audio
USB audio output support allows hardware vendors to build hardware such as audio docks that interface with Android devices. This functionality is also exposed with the Android Open Accessory Development Kit (ADK) to give all developers the chance to create their own hardware
.
USB経由でのオーディオドックを可能とするとともに、ハードベンダーのためにADKをサポートするとあります。

下リンクで前に記事を書きましたが、Androidでは現在USB標準ドライバーがないので、USB DACがサポートできません。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/261950631.html
今回の機能詳細は分かりませんが、ADKのサポートと共にこの辺りが改良されると思います。ただしADK/USBは従来とホスト・デバイスの関係が逆なのでオーディオももしかするとドック経由かもしれません(つまりAndroid側がデバイスになるiTransport的なiPodデジタルアウトのようなもの)。GoogleがNexus 7とNexus QのMicro USBの用途を曖昧にしてるので、この辺はまだ不透明です。この他にもAndroid 4.1ではNexus Qのためか、オーディオ関係の改良が多く見られます(ただし出荷時のQは4.0です)。マルチチャンネルサポート、DRM対応も可能な低レベルのCODECインターフェースなど。またAudioFlingerのミキサーも改良されるようです。
メディアに目覚めたAndroid、なかなか面白い展開になって来ました。
posted by ささき at 08:49 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月19日

マイクロソフトが自社ブランドのタブレットを発表

本日(現地時間6/18)予定されていたマイクロソフトの「大型」発表はMicrosoft Surface tabletというタブレット製品でした。
http://m.digitaltrends.com/mobile/microsoft-surface-tablets-unveiled/
いよいよマイクロソフトもいままでの禁を破って自らが初めて自社ブランドのコンピューターのハードを売るっていうところがまずポイントです。

こちら公式サイトです。
http://www.microsoft.com/surface/en/us/about.aspx
Surface Tabletは引き出し式のスタンドとiPadのようなマグネット脱着式のカバー兼用キーボードが特徴で、ビデオをみると分かりやすいですね。
http://m.digitaltrends.com/product-teaser-videos/microsoft-surface-tablet-video/
ARMを使ったWindowsRTベースとインテルチップを使ったWindows8ベースがあります。インテルチップはAtomでなくIvy BridgeでUSBも3.0対応と本格的。Ultrabookとタブレットのハイブリッドを狙ったよう。
当然Windows8版はオーディオ応用もできるでしょう。ちょっと面白そうです。
posted by ささき at 10:05 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする