クラウドファンディングで一躍有名になったLH Labsが新しいDSDネイティヴ再生の方式であるPureDSDモードを発表しました。
http://lhlabs.com/force/announcements/4106-puredsd-announcement
DoPの良いところは毎サンプルにDSDマーカーを付加することで双方向性がないSPDIFでもDSDネイティヴ再生を可能にするという点です。このPureDSDではここを切り捨ててUSBのような双方向性があるプロトコルに特化したということです。つまりDAC側がDSD対応をデバイスプロファイルかなんかで宣言してから送るんでしょう。Modeって名称に付いてるのでモード切り替えの考え方でしょう。
これによってDSDマーカーを省いてロスを減らし352kHz対応のDACならDSD256を可能にし、ソフトウエアのエンコードのオーバーヘッドを減らすというものです。
Macでもオーケーと言ってるのでCoreAudioとクラスドライバは通るものと思いますが、その辺ちょっと分かりません。謎部分も少し残りますが、さて。
Music TO GO!
2015年04月30日
2014年05月16日
ハイレゾDAPのDSDネイティブ再生について
AK100II/AK120IIが発表されましたが、AK240との大きな違いはDSDの再生をAK240ではネイティブ再生ができるのに対して、AK100II/AK120IIではPCM変換ということです。しかし、使用しているDACチップICはどちらも同じです。違いはAK240にはあるXMOSがAK100II/AK120IIにはないことです。
本稿ではこれについて少し考察してみます。
DSD音源の再生は最近のオーディオのトレンドですが、長らくオーディオ世界に君臨していたPCM方式とはことなりますので、さまざまなところでPCMのしばりを受けたボトルネックで制限されます。それをクリアしてDSDのまま再生するのがDSDネイティブ再生です。
このクリアの仕方にはいろいろありますが、例えばUSB DACでいえばPCからDACへの伝送経路がボトルネックになりますので、それをクリアするためにdCS方式から始まってDoPやASIOなどがありました。またネットワークオーディオではネットワークのプロトコルがボトルネックとなりますので、DoPEやバッファロー方式NASなどのクリアの方法があります。
その点でハイレゾDAPの場合には自己完結しているわけですから、単にDACチップICがDSD対応していればよいように思えます。しかしながら実のところはやはりPCMの制約がボトルネックになると思います。それはI2Sです。
ふつうDACの内部ではPCMのデータはI2S形式で伝送が行われ、DACチップICにデータが入ります。ところがI2SはPCMを伝送する形式ですから、DSDデータをDACチップに伝送する際にはI2SではなくDSDに沿ったDSD-rawなどの形式で伝送する必要があります。このためDAC内部で入力コントローラとして使用していたICが、DACチップICへの出力をするためにはI2Sだけではなく、DSD-rawなどに対応する必要があります。
この条件を満たすのはたとえばXMOSやAmaneroなどです。XMOSは当初I2Sだけでしたが、昨年くらいからDSDにも対応したようです。
AK240やCalyx Mは両方とも単体でのDSDネイティブ再生ができますが、両方ともやはりXMOSを採用しているのでこの要件を満たしています。以前AK240が出たときに、DSDの時に働くプロセッサがある、という表現が話題になりましたが、これはおそらくXMOSのことだと思います。XMOSはそれ自体がプロセッサです。
対してFiiO X5, iBasso DX90, AK100II/AK120IIなどはDACチップICはDSDに対応していますが、おそらく回路がI2Sの経路のみで組んであるのでしょう。そのためDSD再生にはPCM変換が必要になるのだと思います。反面でその分価格は下げられると思うので、これもトレードオフの問題かもしれません。
本稿ではこれについて少し考察してみます。
DSD音源の再生は最近のオーディオのトレンドですが、長らくオーディオ世界に君臨していたPCM方式とはことなりますので、さまざまなところでPCMのしばりを受けたボトルネックで制限されます。それをクリアしてDSDのまま再生するのがDSDネイティブ再生です。
このクリアの仕方にはいろいろありますが、例えばUSB DACでいえばPCからDACへの伝送経路がボトルネックになりますので、それをクリアするためにdCS方式から始まってDoPやASIOなどがありました。またネットワークオーディオではネットワークのプロトコルがボトルネックとなりますので、DoPEやバッファロー方式NASなどのクリアの方法があります。
その点でハイレゾDAPの場合には自己完結しているわけですから、単にDACチップICがDSD対応していればよいように思えます。しかしながら実のところはやはりPCMの制約がボトルネックになると思います。それはI2Sです。
ふつうDACの内部ではPCMのデータはI2S形式で伝送が行われ、DACチップICにデータが入ります。ところがI2SはPCMを伝送する形式ですから、DSDデータをDACチップに伝送する際にはI2SではなくDSDに沿ったDSD-rawなどの形式で伝送する必要があります。このためDAC内部で入力コントローラとして使用していたICが、DACチップICへの出力をするためにはI2Sだけではなく、DSD-rawなどに対応する必要があります。
この条件を満たすのはたとえばXMOSやAmaneroなどです。XMOSは当初I2Sだけでしたが、昨年くらいからDSDにも対応したようです。
AK240やCalyx Mは両方とも単体でのDSDネイティブ再生ができますが、両方ともやはりXMOSを採用しているのでこの要件を満たしています。以前AK240が出たときに、DSDの時に働くプロセッサがある、という表現が話題になりましたが、これはおそらくXMOSのことだと思います。XMOSはそれ自体がプロセッサです。
対してFiiO X5, iBasso DX90, AK100II/AK120IIなどはDACチップICはDSDに対応していますが、おそらく回路がI2Sの経路のみで組んであるのでしょう。そのためDSD再生にはPCM変換が必要になるのだと思います。反面でその分価格は下げられると思うので、これもトレードオフの問題かもしれません。
2014年03月30日
HQ Player最適化されたオープンハードウエアのDSD専用DACを開発中
HQ PLayer(Signalyst)のFacbookページでDACボードの写真がアップされていました。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=754755501215913&id=165263336831802&substory_index=0
聞いてみたところ、これはHQ PlayerのDSD出力に特化したDSD専用のDACで、DACチップを使用していないということ(いわゆるローパスフィルタ方式なんでしょう)。仕様は最低がDSD128で最大DSD512というもの。また面白いことにこれはCERN OHL v1.2ライセンスのもとにオープンソースハードウェアDACとして開発しているようです。CERN OHLに関しては下記参照。
http://sourceforge.jp/magazine/11/07/11/057210
つまりはDIYコミュニティーなどに設計を提供することを目指したものといえそうです。製品として出てくるかについてはわかりませんが面白い試みといえますね。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=754755501215913&id=165263336831802&substory_index=0
聞いてみたところ、これはHQ PlayerのDSD出力に特化したDSD専用のDACで、DACチップを使用していないということ(いわゆるローパスフィルタ方式なんでしょう)。仕様は最低がDSD128で最大DSD512というもの。また面白いことにこれはCERN OHL v1.2ライセンスのもとにオープンソースハードウェアDACとして開発しているようです。CERN OHLに関しては下記参照。
http://sourceforge.jp/magazine/11/07/11/057210
つまりはDIYコミュニティーなどに設計を提供することを目指したものといえそうです。製品として出てくるかについてはわかりませんが面白い試みといえますね。
2014年03月07日
BitPerfect2.0とハイブリッドDSDフォーマット
Macの高音質音楽再生ソフトであるBitPerfectが2.0アップデートされました。このポイントはハイブリッドDSDという形式でiTunesライブラリ内でDSD音源を管理できることです。
この辺は前の記事に書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/385973395.html
上の記事では「ただどうやって埋め込むかは書いてませんので、続報待ちではあります。」と書きましたが、その手法が分かりました。
下記のDSD Masterというソフトを用いて作成するようです。
http://dsdmaster.blogspot.ca/p/bitperfect-introduces-hybrid-dsd-file.html?m=1
これはDSD音源を読み込んで、DSDからPCM変換したPCM部分とDSDオリジナル部分の二つをAppleロスレスにエンコードするという仕組みのようです。これがHybrid-DSDになるわけですが、通常ではPCM部分が再生されます。
ファイル名はmyfilename.DSDh.m4aのように.DSDhが挿入されることで区別できます。(これは単に識別のためでDSDhを手で削っても問題ありません)
PCM版を作る際に44-352kHzまで44k整数倍の範囲でサンプリングレートも指定できます。変換品質にも自信ありということ。AIFF, WAV, FLACにも変換できるということですので、DSD-PCM変換ソフトとしても使えるのかもしれません。
ちなみにBitPerfect2.0ではエンジン部分も改良されてプラグイン対応になったようです。
この辺は前の記事に書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/385973395.html
上の記事では「ただどうやって埋め込むかは書いてませんので、続報待ちではあります。」と書きましたが、その手法が分かりました。
下記のDSD Masterというソフトを用いて作成するようです。
http://dsdmaster.blogspot.ca/p/bitperfect-introduces-hybrid-dsd-file.html?m=1
これはDSD音源を読み込んで、DSDからPCM変換したPCM部分とDSDオリジナル部分の二つをAppleロスレスにエンコードするという仕組みのようです。これがHybrid-DSDになるわけですが、通常ではPCM部分が再生されます。
ファイル名はmyfilename.DSDh.m4aのように.DSDhが挿入されることで区別できます。(これは単に識別のためでDSDhを手で削っても問題ありません)
PCM版を作る際に44-352kHzまで44k整数倍の範囲でサンプリングレートも指定できます。変換品質にも自信ありということ。AIFF, WAV, FLACにも変換できるということですので、DSD-PCM変換ソフトとしても使えるのかもしれません。
ちなみにBitPerfect2.0ではエンジン部分も改良されてプラグイン対応になったようです。
2014年02月27日
PS AudioがFPGAベースのDSD対応DACを発表
以前PS AudioもDSDに移行という記事(2012/11)を書いたんですが、予定通りその新製品が発表されました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/304283437.html
その名もDirectStream DACというものです。特徴としてはDSDもPCMも内部ではすべて1bitで扱うということと、その処理にDACチップICではなくFPGAを用いていることです。FPGAはCHORD Hugoと同じXilinx(ザイリンクス)のSpartan VIを使っています。
こちらにプレスリリースがあります。
http://www.psaudio.com/wp-content/uploads/2014/02/PS-Audio-DirectStream.pdf
PS Audioでは回路のシンプルさをうたっていて、ESSのDACとの比較でESSは複雑でしょうって言ってるのが興味深いところ。
前に下の記事(2012/11)でポール社長のブログに触れたときに書きましたが、いわゆるデジタルのDSDからローパスフィルター使って直接アナログ信号を取り出すタイプだと思います。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/303208468.html
より詳しい技術情報はこちらにホワイトペーパーがあります。
http://www.psaudio.com/wp-content/uploads/2014/02/DirectStream-DAC-white-paper.pdf
入力信号ははじめ10倍レートDSD(28.2MHz)として変換されますが、後ではノイズシェーピンクのために2倍DSD(5.6MHz)に再度変換される等が書かれています。Data Flowのところを見るとPCMがいったんアップサンプリングされてから1bit変換されることがわかります。最後段では5.6MHzDSDからローパスフィルターでアナログ信号が取り出されます。
いったん28.2MHzレートにあげて再度5.6MHzに落とすのはボリュームコントロールを入れたいためのように思いますが、ちょっとわかりません。
下のAudioStreamの記事では最近リリースされたAlpha DACでは対照的にDSDもPCMもすべての入力をPCMにしてしまうという点について触れてるのも面白い点です。
http://www.audiostream.com/content/dsd-or-not-dsd-question-ps-audio-perfectwave-directstream-dac-v-berkeley-audio-design-alpha-
また、上の記事のコメント欄でWavelengthのゴードンさんが、他のDACチップも内部では1bitにしてるんじゃないって早速突っ込み入れてるところも面白いところ。
もっともESSのDACチップはダイヤグラムにもありますが内部ではたしか1bitではなく6bitのマルチビット・デルタシグマで処理してたと思います。
いずれにせよ、かように現代DACは多様性があるというでしょうね。
PS AudioのDirectStream DACは3/1に正式アナウンスして4月に出荷開始、お値段は$5995ということです。ただシンプルに作れるんなら価格も下げれるんじゃないか、とは思ってしまいます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/304283437.html
その名もDirectStream DACというものです。特徴としてはDSDもPCMも内部ではすべて1bitで扱うということと、その処理にDACチップICではなくFPGAを用いていることです。FPGAはCHORD Hugoと同じXilinx(ザイリンクス)のSpartan VIを使っています。
こちらにプレスリリースがあります。
http://www.psaudio.com/wp-content/uploads/2014/02/PS-Audio-DirectStream.pdf
PS Audioでは回路のシンプルさをうたっていて、ESSのDACとの比較でESSは複雑でしょうって言ってるのが興味深いところ。
前に下の記事(2012/11)でポール社長のブログに触れたときに書きましたが、いわゆるデジタルのDSDからローパスフィルター使って直接アナログ信号を取り出すタイプだと思います。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/303208468.html
より詳しい技術情報はこちらにホワイトペーパーがあります。
http://www.psaudio.com/wp-content/uploads/2014/02/DirectStream-DAC-white-paper.pdf
入力信号ははじめ10倍レートDSD(28.2MHz)として変換されますが、後ではノイズシェーピンクのために2倍DSD(5.6MHz)に再度変換される等が書かれています。Data Flowのところを見るとPCMがいったんアップサンプリングされてから1bit変換されることがわかります。最後段では5.6MHzDSDからローパスフィルターでアナログ信号が取り出されます。
いったん28.2MHzレートにあげて再度5.6MHzに落とすのはボリュームコントロールを入れたいためのように思いますが、ちょっとわかりません。
下のAudioStreamの記事では最近リリースされたAlpha DACでは対照的にDSDもPCMもすべての入力をPCMにしてしまうという点について触れてるのも面白い点です。
http://www.audiostream.com/content/dsd-or-not-dsd-question-ps-audio-perfectwave-directstream-dac-v-berkeley-audio-design-alpha-
また、上の記事のコメント欄でWavelengthのゴードンさんが、他のDACチップも内部では1bitにしてるんじゃないって早速突っ込み入れてるところも面白いところ。
もっともESSのDACチップはダイヤグラムにもありますが内部ではたしか1bitではなく6bitのマルチビット・デルタシグマで処理してたと思います。
いずれにせよ、かように現代DACは多様性があるというでしょうね。
PS AudioのDirectStream DACは3/1に正式アナウンスして4月に出荷開始、お値段は$5995ということです。ただシンプルに作れるんなら価格も下げれるんじゃないか、とは思ってしまいます。
2014年01月16日
WiFiネットワークでDSDネイティブ再生を可能にするAURALiCのLightning技術
今回のCESの目玉の一つにAURALiCが事前アナウンスしていた、WiFiによるDSDネイティブ再生の実現があります。今回のCESではプレビュー的なものだったようですが、あちこちのレポートを読んでみて分かったことをまとめてみます。
まずこの「WiFiによるDSDネイティブ再生の実現」はAURALiCが提唱するLightningという技術のことです。Lightningは技術と書きましたが、特定の製品のことではなく、DLNAのような技術総称とか製品体系のようなもののようです。このLightningに基づいた具体的な製品群の第一弾がAriesです。またワイヤレスと言うと領域が広くなりますが、ここではWiFi技術のことです。
Lightningはストリーミング技術を利用してDSD128ネイティブ再生やDXDのようなハイレゾのオーディオ再生を可能に可能にする技術で、WiFiの新しい802.11ac規格を前提としています。Lightningはかならずしも802.11acが必要ではありませんが、なければこのようなWiFiでのDXDやDSDのような"スーパー"ハイレゾデータのワイヤレスのストリーミングはむずかしいだろうということです。たとえば現在主流の802.11nでも96k/24までのハイレゾ・ワイヤレスは可能ですが、それを超えるようなDXD(352.8kHz/24bit)やDSD128などは802.11acが必要になると言うことです。
Lightningが志向しているのはホームネットワークで、簡単に言うとDLNA機器をLightning機器で置き換えて有線ネットワークを無線ネットワークに置き換えるようなイメージです。実際にLightningはDLNA(uPnP)と上位互換性があります。つまりLightningはDLNAと互換性があるとともに、DLNAでは実現できないギャップレス対応やSpotifyとの互換性、マルチコントロールポイントなどの追加機能が可能となっています。
ハードウエア側面で見たLightningの特徴はプラットフォームの進化があります。AURALiCはARMベースのプロセッサを核としたシステムがポイントですが、このプラットフォームがARMコアA5ベース(デュアルコア@500Mhz)のSanctuaryから、Teslaと呼ばれるA9ベース(クアッドコア@1GHz)の新プラットフォームに進化しています。
このTeslaベースのLightning製品の第一弾がAriesで、5月のドイツハイエンドショウで正式デビューを目指しているようです。CESでは旧VEGAシャーシにプロトタイプが入っていたとのこと。AriesはいわゆるStreamer(日本で言うネットワークプレーヤー)ですが、AURALiCではブリッジと称しています。つまりLightningによるWiFiストリーミングを受けて、DSD対応DACなどにデジタル出力(おそらくUSBとSPDIF)できるもののようです。Ariesの価格はUS$999からになりそうだということです。
システム構成としては、まず一方の部屋にNASとPCが設置されたネットワークがあり、このネットワークは802.11acをサポートする必要があります。もう一方の部屋にはAriesをDACにつなげたオーディオシステムがあります。LightningはDLNAに準拠しています。PC上にはJRMCまたはLINN Songcastなどがインストールされていて、そこでネットワークを開けると、離れたところのオーディオシステムに接続したAriesが見えます。そしてNASの音源をAriesにストリーミング指示するというものだと思います。
ただしさきに述べたようにこれだけだとDLNAベースの機能しか使えないので、Lightningのフル機能を使うためにはソフトウエアの機能強化が必要になるでしょう。ここはよくわかりませんが、おそらくSongcastを改良するかJRMCのプラグインを作るのではないかと考えています(Songcastはオープンソースだから)。ネットワークDSDネイティブ再生はDoPEかバッファロー方式かはわかりませんがDoPEになりそうな気はします。
なにしろ断片的なレポートを元にしているので推測も含んでいますが、こんな感じかと思います。
ここでAURALiCがいう「ブリッジ」というのは実はこのCESで他でも聞いた言葉です。たとえばMcintoshのMB100 Media Bridgeとかシャープのユニバーサルプレーヤーの受信機VR-WR1000などですね。ブリッジというのはハブに相当するネットワーク機器の名称でもありますが、ここではネットワーク・PC世界とDAC・オーディオ世界をつなぐ橋渡しと言うわけです。
まずこの「WiFiによるDSDネイティブ再生の実現」はAURALiCが提唱するLightningという技術のことです。Lightningは技術と書きましたが、特定の製品のことではなく、DLNAのような技術総称とか製品体系のようなもののようです。このLightningに基づいた具体的な製品群の第一弾がAriesです。またワイヤレスと言うと領域が広くなりますが、ここではWiFi技術のことです。
Lightningはストリーミング技術を利用してDSD128ネイティブ再生やDXDのようなハイレゾのオーディオ再生を可能に可能にする技術で、WiFiの新しい802.11ac規格を前提としています。Lightningはかならずしも802.11acが必要ではありませんが、なければこのようなWiFiでのDXDやDSDのような"スーパー"ハイレゾデータのワイヤレスのストリーミングはむずかしいだろうということです。たとえば現在主流の802.11nでも96k/24までのハイレゾ・ワイヤレスは可能ですが、それを超えるようなDXD(352.8kHz/24bit)やDSD128などは802.11acが必要になると言うことです。
Lightningが志向しているのはホームネットワークで、簡単に言うとDLNA機器をLightning機器で置き換えて有線ネットワークを無線ネットワークに置き換えるようなイメージです。実際にLightningはDLNA(uPnP)と上位互換性があります。つまりLightningはDLNAと互換性があるとともに、DLNAでは実現できないギャップレス対応やSpotifyとの互換性、マルチコントロールポイントなどの追加機能が可能となっています。
ハードウエア側面で見たLightningの特徴はプラットフォームの進化があります。AURALiCはARMベースのプロセッサを核としたシステムがポイントですが、このプラットフォームがARMコアA5ベース(デュアルコア@500Mhz)のSanctuaryから、Teslaと呼ばれるA9ベース(クアッドコア@1GHz)の新プラットフォームに進化しています。
このTeslaベースのLightning製品の第一弾がAriesで、5月のドイツハイエンドショウで正式デビューを目指しているようです。CESでは旧VEGAシャーシにプロトタイプが入っていたとのこと。AriesはいわゆるStreamer(日本で言うネットワークプレーヤー)ですが、AURALiCではブリッジと称しています。つまりLightningによるWiFiストリーミングを受けて、DSD対応DACなどにデジタル出力(おそらくUSBとSPDIF)できるもののようです。Ariesの価格はUS$999からになりそうだということです。
システム構成としては、まず一方の部屋にNASとPCが設置されたネットワークがあり、このネットワークは802.11acをサポートする必要があります。もう一方の部屋にはAriesをDACにつなげたオーディオシステムがあります。LightningはDLNAに準拠しています。PC上にはJRMCまたはLINN Songcastなどがインストールされていて、そこでネットワークを開けると、離れたところのオーディオシステムに接続したAriesが見えます。そしてNASの音源をAriesにストリーミング指示するというものだと思います。
ただしさきに述べたようにこれだけだとDLNAベースの機能しか使えないので、Lightningのフル機能を使うためにはソフトウエアの機能強化が必要になるでしょう。ここはよくわかりませんが、おそらくSongcastを改良するかJRMCのプラグインを作るのではないかと考えています(Songcastはオープンソースだから)。ネットワークDSDネイティブ再生はDoPEかバッファロー方式かはわかりませんがDoPEになりそうな気はします。
なにしろ断片的なレポートを元にしているので推測も含んでいますが、こんな感じかと思います。
ここでAURALiCがいう「ブリッジ」というのは実はこのCESで他でも聞いた言葉です。たとえばMcintoshのMB100 Media Bridgeとかシャープのユニバーサルプレーヤーの受信機VR-WR1000などですね。ブリッジというのはハブに相当するネットワーク機器の名称でもありますが、ここではネットワーク・PC世界とDAC・オーディオ世界をつなぐ橋渡しと言うわけです。
2013年11月06日
DLNAでのネットワーク透過のDSDネイティブ再生の考察 (2013/11現在)
ネットワークを経由したDSDネイティブ再生ではいろいろ製品も出てきたので、この辺で中間まとめを考察してみたいと思います。
従来はUSB DACを用いてDSDネイティブ再生を行ってきましたが、USB DACの代わりにスフォルツァートDSP03やDSX1000などのネットワークプレーヤーを使うのがこのネットワーク透過のDSDネイティブ再生です。ネットワークもいろいろありますが、今回はDLNAでの対応についてです。
まずDLNAにおいてネットワーク経由でのDSDネイティブ再生について、現在では大きく2つの方式があります。
1. DSD対応NASを使用する方式 - 主に国内製品で使われている
2. DoPEを使う方式 - 主に海外製品で使われている
上記の2方式に互換性はありません。
このほかにNASを使っていても、NASの音源をネットワーク共有を使ってPCやMacにマウントする方式はDLNAを使ういわゆるネットワークオーディオではないので今回は省きます(こちらはUSB DACの領域となります)。
-- 1. DSD対応NASを使用する方式 --
1-1 必要なもの:
DSD対応ソフトウエア(Twonky7.1など)の入ったNAS(バッファローかアイオーデータ)
(この方式に対応した)DSD対応ネットワークプレーヤー、スフォルツァートDSP03など
1-2 なぜネットワークでDSDネイティブ再生できなかったか、どう解決したか
このDSD対応NASを使用する方式がDLNAでは一番自然な形ではあるのですが、なぜいままではDLNAでDSDネイティブ再生ができなかったかということをまず解説します。
はじめに従来のNASはパソコン用だったという前提があります。PCやMacでは基本的にDSD形式と言うものに対応していません。DLNAでもDSDというもの自体を想定していませんでした。つまりNASはいままで内蔵HDDに.dffや,dsfという拡張子のファイルがあってもそれを無視していたわけです。これではメディアサーバーからリストを送ってもそこに記載されないのでコントローラから見ることができません。これに一時的に対応したのが2012年のスフォルツァートでStefanoのWAVエンコードツールを使用して、WAVとしてリストされるようにしていました。(WAVなら見えるから)
stefanoツールについてはこちらの記事を参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/258376595.html
バッファローNAS(LS421D)ではまず.dsfや.dffの拡張子をきちんと認識するようにしたことと、レンダラーにmimeでDSDに即した形式(audio/x-dsfなど)でファイルタイプをDSDだと教えてあげるようにしたことで、この問題を解決しました。具体的にはサーバーソフトウエアのTwonky7.1でこれを実装したということになります。ちなみにバッファローNASではDSFでのアルバムアートにも対応しています。
アイオーでも最近同様なNASが出てきましたが、やはり同じものだと推測できます。(ソフトウエアは独自だと思います)
このように問題はネイティブ再生というよりもむしろDSDファイル自体の扱いにあります。ネイティブ再生という点で見ると、PCMに束縛されるPCからのUSB経由の伝送より問題は少ないはずです。それゆえDoPのようにエンコードする必要はありません。
ここでDLNAでのDSD音楽再生の流れを解説すると次のようになります。
1) コントローラーをメディアサーバーに接続してブラウズ要求すると、メディアサーバーは自分の持っている音源をリスト化します。ここでdsfなどを見えるようにしているのがバッファローNASでの改良点です。
2) コントローラーはメディアサーバー(NAS)が投げてくるリストをすべて表示します。
3) コントローラでそのリストに基づいて曲の再生指示をすると、その指示はレンダラーに送られます。
4) 指示を受けたレンダラーはメディアサーバーに対してその楽曲ファイルの情報を渡して、レンダラーに対してストリーミングする指示をします。uPuP(=http)伝送自体はPCMもDSDも考慮しませんので、DSDデータはPCMに似せてDoPなどに加工する必要はありません。DSD対応NASを使用する方式はDSDをそのまま(DoPにエンコードせずに)流す方式でもあります。
5) メディアサーバー(NAS)は自らのファイルシステムにおかれた音源ファイルの拡張子をみて、対応するMIME(マイム-インターネットでの拡張子みたいなもの)をつけてレンダラーにストリーミング転送します。ここでDSDに対応したMIME(audio/x-dsfとか)を返すのがバッファローNASでの改良点です。
6) レンダラーは送られてきたMIMEタイプを見てDSDであれば入力をDSDに切り替えます。つまりレンダラーは動的に中身を見て切り替える必要はありません。ここはレンダラーのDSD対応が必要です。
(MIMEについては前の記事参照)
7) レンダラーはストリーミングされてきたDSDデータを再生します。
この辺の動作はUSB DACでのDSDネイティブ再生で言うとASIO方式に似ていると言えるでしょう。MIMEタイプがコマンドに相当しています。そのため動的に判断して切り替える必要はなく、ミュート・ポップノイズなどDoP問題はありません(基本的には)。
*コントローラがいったん指示をしてしまうとあとはレンダラーとメディアサーバーの関係となるので、コントローラーがオーディオストリームに介在することはなくコントローラアプリは音質には基本的に影響を与えないはずです。ただし再生ステータスの問い合わせをするときにこれらに介在することはあるかもしれません。
1-3 今後の展開
この方式は今後はバッフォロー以外のNASにも展開が期待されます。DSD対応TwonkyをNASに入れれば良いからです。またDSD対応TwonkyをMacなどにインストールすることも可能なはずです。この場合は後述するJRMC/DoPEのようにパソコンをDSD対応サーバーとして使うこともできるでしょう。
最近ではアイ・オー・データも同じ方式で出してきました。バッファローとも異なる独自ソフトウエアのようですが、MIMEタイプが同じならバッファローと互換性はあると思います。(MIME自体は標準化されているので)
これらはいまのところ国内メーカーのネットワークプレーヤーが対応しています。しかしIFAにバッファローNASが出ていたせいか、海外でもバッファローNASに対応したDSDネットワーク再生の初の採用例がインターナショナルオーディオショウ2013に展示されていました。これはスイスのCH PrecisionのC1 DACにネットワークボード拡張してネットワーク対応にしたものです。ただしC1自体がマルチビットのPCM1704を採用していますので、DSDは内部でDSPによって705.6KHzのPCMに変換されますのでDSDネイティブ再生ではありません。このように今後は海外でも採用例が出てくるのではないかと思います。
DSX1000(DoPE方式)
-- 2. DoPEを使う方式 --
2-1 必要なもの:
DoPEに対応したメディアサーバー、SynologyのNASとminim serverやJRMC(18以降)
DoPEに対応したDSD対応ネットワークプレーヤー、CHORD DSX1000など(あとLuminなども追従かも)
2-2 DoPEでどう転送するか
DoPE( DoP Ethernet)のDoPはDSD over PCMのことで、USB DACで一般に使われている形式です。またEthernet(イーサネット)は一般的に使われているネットワークの種類のことです。つまりDoPでエンコードされたDSDデータをネットワークを介して転送するのがDoPE方式です。ただしDoPEという規格があるわけではなく、DoPを利用してネットワークでDSD再生をするときのいまのところの通り名です。
DSD対応NASを使用する方式でTwonkyサーバーをDSD対応にしたように、DoPEではMinim serverというソフトかJRMC(18以降)でも可能です。このようにDoPEはさらに2通りに分かれます。ひとつはMacやPCにJRMCを乗せるやり方と、NASにMinim serverをインストールする方法です。Minim serverはSynologyのNASにインストールすることができます。バッファローは相性良くないようです。
たとえばDoPEのシステムでは次のようになります。このときにJRiverをコントローラとして直接再生することもできます。
Mac/PC+JRMCの方式の例
iPad(コントローラー) - Mac/JRiver (メディアサーバー) - DSX1000(レンダラー)
Mac/JRiver (メディアサーバー&コントローラー) - DSX1000(レンダラー)
*JRMCの設定はこちらのLINKをご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/358186736.html
NAS+Minim serverの方式の例
iPad(コントローラー) - Synology NAS(Minim server) - DSX1000(レンダラー)
MinimServerはDLNAサーバーとなるソフトウエアで、MinimServerではトランスコードオプションでDoPE(dopwav)という形式にトランスコードしてストリーミングするということです。トランスコードはもともとFLAC対応でないレンダラーにWAVでストリーミングするなどのためのオプションです。
前にStefanoのWAVにDoPをエンコードするツールを書きましたが、それをストリーミングしてネットワークサーバーで受ける感じといえるでしょう。見かけWAVをストリーミングしている形ですが、WAVの中身はPCMではなくDoP(DSD)ということです。つまり、このときはDoPEではMIMEタイプはaudio/wavを使用しています。
実際にCHORDの専用アプリではレンダラーで受けているファイルタイプが見られますが、そこではDSDをDoPEで使用すると曲名ではWAVと表示されます。
上のDLNAでのDSD音楽再生の流れの例で言うとこうなります。
1) コントローラーをメディアサーバーに接続してブラウズ要求すると、メディアサーバーは自分の持っている音源をリスト化します。JRMCおよびMinim ServerはもちろんDSDファイル形式を認識しています。
2) - 3) 上と同じ
4) 指示を受けたレンダラーはメディアサーバーに対してその楽曲ファイルの情報を渡して、レンダラーに対してストリーミングする指示をします。メディアサーバー(JRMC/minim srv)はDSDデータストリームをDoPにエンコードします。
5) メディアサーバーは自らのファイルシステムにおかれた音源ファイルの拡張子をみて、対応するMIME(マイム-インターネットでの拡張子みたいなもの)をつけてレンダラーにストリーミング転送します。
DSDの場合は元の形式(DSF、DFF)に関わらずWAVとしてMIMEを設定します。
6) レンダラーは動的にデータストリームを監視しながらDoPマーキングを検知するとデコードをDSDに切り替えます。(USB経由のDoPと同じ)
7) レンダラーはストリーミングされてきたDSDデータを再生します。
JRMCエンジニアの話によるとDoPEの必要性はこうしてDoPを必要とするレンダラーに送信できると共に、DSDフォーマットをWAVに統一できるというメリットがあるということです。
つまりもともとはhttpを使うネット上での伝送ではDoP(PCM)にする必要性は本来はないのだけれども、DoPを入力として採用しているDAC(ネットワークサーバー)の場合にはその方が都合がよいということでしょう。
2-3 今後の展開
LuminなどのネットワークサーバーもDoPEに対応するとみられていますが、海外製品では今後もDoPEが使われると思いますが、バッファロー形式も増えていくかもしれません。
-- 3. まとめ --
USB DACではDSDネイティブ再生には大きくASIOとDoPの2つの方式があります。ネットワーク透過のDSDネイティブ再生では端的に言うとバッファローNASの方式はASIOに似て、DoPEはDoPに似ていると言えます。つまりバッファローNASの方式はDSDファイルの中身とMIME情報をそのままストリーミングするのに対して、DoPEでは中身をDoPにエンコードして、MIMEをWAVに変更してストリーミングします。
前にも書きましたがネットワークでのDSDネイティブ再生と言っているものは上のどちらの場合でもそうですが、PC上でローカルにUSBやSPDIFでDACにDSDデータを伝送しているのとは話しているレベルが違います。ネットワークでのDSDネイティブ再生と言っているのはPC上でローカルの場合で言うと再生プレーヤーソフトがファイルを読む段階の話です(基本的にストリーミングなので)。DACに出すときの話ではありません。端的に言うとPC上ではHDDからDSDファイルを簡単に読めますが、そのファイルがネット越しにあると読むのにひと工夫必要になるということです。 この点にも留意が必要です。
従来はUSB DACを用いてDSDネイティブ再生を行ってきましたが、USB DACの代わりにスフォルツァートDSP03やDSX1000などのネットワークプレーヤーを使うのがこのネットワーク透過のDSDネイティブ再生です。ネットワークもいろいろありますが、今回はDLNAでの対応についてです。
まずDLNAにおいてネットワーク経由でのDSDネイティブ再生について、現在では大きく2つの方式があります。
1. DSD対応NASを使用する方式 - 主に国内製品で使われている
2. DoPEを使う方式 - 主に海外製品で使われている
上記の2方式に互換性はありません。
このほかにNASを使っていても、NASの音源をネットワーク共有を使ってPCやMacにマウントする方式はDLNAを使ういわゆるネットワークオーディオではないので今回は省きます(こちらはUSB DACの領域となります)。
-- 1. DSD対応NASを使用する方式 --
1-1 必要なもの:
DSD対応ソフトウエア(Twonky7.1など)の入ったNAS(バッファローかアイオーデータ)
(この方式に対応した)DSD対応ネットワークプレーヤー、スフォルツァートDSP03など
1-2 なぜネットワークでDSDネイティブ再生できなかったか、どう解決したか
このDSD対応NASを使用する方式がDLNAでは一番自然な形ではあるのですが、なぜいままではDLNAでDSDネイティブ再生ができなかったかということをまず解説します。
はじめに従来のNASはパソコン用だったという前提があります。PCやMacでは基本的にDSD形式と言うものに対応していません。DLNAでもDSDというもの自体を想定していませんでした。つまりNASはいままで内蔵HDDに.dffや,dsfという拡張子のファイルがあってもそれを無視していたわけです。これではメディアサーバーからリストを送ってもそこに記載されないのでコントローラから見ることができません。これに一時的に対応したのが2012年のスフォルツァートでStefanoのWAVエンコードツールを使用して、WAVとしてリストされるようにしていました。(WAVなら見えるから)
stefanoツールについてはこちらの記事を参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/258376595.html
バッファローNAS(LS421D)ではまず.dsfや.dffの拡張子をきちんと認識するようにしたことと、レンダラーにmimeでDSDに即した形式(audio/x-dsfなど)でファイルタイプをDSDだと教えてあげるようにしたことで、この問題を解決しました。具体的にはサーバーソフトウエアのTwonky7.1でこれを実装したということになります。ちなみにバッファローNASではDSFでのアルバムアートにも対応しています。
アイオーでも最近同様なNASが出てきましたが、やはり同じものだと推測できます。(ソフトウエアは独自だと思います)
このように問題はネイティブ再生というよりもむしろDSDファイル自体の扱いにあります。ネイティブ再生という点で見ると、PCMに束縛されるPCからのUSB経由の伝送より問題は少ないはずです。それゆえDoPのようにエンコードする必要はありません。
ここでDLNAでのDSD音楽再生の流れを解説すると次のようになります。
1) コントローラーをメディアサーバーに接続してブラウズ要求すると、メディアサーバーは自分の持っている音源をリスト化します。ここでdsfなどを見えるようにしているのがバッファローNASでの改良点です。
2) コントローラーはメディアサーバー(NAS)が投げてくるリストをすべて表示します。
3) コントローラでそのリストに基づいて曲の再生指示をすると、その指示はレンダラーに送られます。
4) 指示を受けたレンダラーはメディアサーバーに対してその楽曲ファイルの情報を渡して、レンダラーに対してストリーミングする指示をします。uPuP(=http)伝送自体はPCMもDSDも考慮しませんので、DSDデータはPCMに似せてDoPなどに加工する必要はありません。DSD対応NASを使用する方式はDSDをそのまま(DoPにエンコードせずに)流す方式でもあります。
5) メディアサーバー(NAS)は自らのファイルシステムにおかれた音源ファイルの拡張子をみて、対応するMIME(マイム-インターネットでの拡張子みたいなもの)をつけてレンダラーにストリーミング転送します。ここでDSDに対応したMIME(audio/x-dsfとか)を返すのがバッファローNASでの改良点です。
6) レンダラーは送られてきたMIMEタイプを見てDSDであれば入力をDSDに切り替えます。つまりレンダラーは動的に中身を見て切り替える必要はありません。ここはレンダラーのDSD対応が必要です。
(MIMEについては前の記事参照)
7) レンダラーはストリーミングされてきたDSDデータを再生します。
この辺の動作はUSB DACでのDSDネイティブ再生で言うとASIO方式に似ていると言えるでしょう。MIMEタイプがコマンドに相当しています。そのため動的に判断して切り替える必要はなく、ミュート・ポップノイズなどDoP問題はありません(基本的には)。
*コントローラがいったん指示をしてしまうとあとはレンダラーとメディアサーバーの関係となるので、コントローラーがオーディオストリームに介在することはなくコントローラアプリは音質には基本的に影響を与えないはずです。ただし再生ステータスの問い合わせをするときにこれらに介在することはあるかもしれません。
1-3 今後の展開
この方式は今後はバッフォロー以外のNASにも展開が期待されます。DSD対応TwonkyをNASに入れれば良いからです。またDSD対応TwonkyをMacなどにインストールすることも可能なはずです。この場合は後述するJRMC/DoPEのようにパソコンをDSD対応サーバーとして使うこともできるでしょう。
最近ではアイ・オー・データも同じ方式で出してきました。バッファローとも異なる独自ソフトウエアのようですが、MIMEタイプが同じならバッファローと互換性はあると思います。(MIME自体は標準化されているので)
これらはいまのところ国内メーカーのネットワークプレーヤーが対応しています。しかしIFAにバッファローNASが出ていたせいか、海外でもバッファローNASに対応したDSDネットワーク再生の初の採用例がインターナショナルオーディオショウ2013に展示されていました。これはスイスのCH PrecisionのC1 DACにネットワークボード拡張してネットワーク対応にしたものです。ただしC1自体がマルチビットのPCM1704を採用していますので、DSDは内部でDSPによって705.6KHzのPCMに変換されますのでDSDネイティブ再生ではありません。このように今後は海外でも採用例が出てくるのではないかと思います。
DSX1000(DoPE方式)
-- 2. DoPEを使う方式 --
2-1 必要なもの:
DoPEに対応したメディアサーバー、SynologyのNASとminim serverやJRMC(18以降)
DoPEに対応したDSD対応ネットワークプレーヤー、CHORD DSX1000など(あとLuminなども追従かも)
2-2 DoPEでどう転送するか
DoPE( DoP Ethernet)のDoPはDSD over PCMのことで、USB DACで一般に使われている形式です。またEthernet(イーサネット)は一般的に使われているネットワークの種類のことです。つまりDoPでエンコードされたDSDデータをネットワークを介して転送するのがDoPE方式です。ただしDoPEという規格があるわけではなく、DoPを利用してネットワークでDSD再生をするときのいまのところの通り名です。
DSD対応NASを使用する方式でTwonkyサーバーをDSD対応にしたように、DoPEではMinim serverというソフトかJRMC(18以降)でも可能です。このようにDoPEはさらに2通りに分かれます。ひとつはMacやPCにJRMCを乗せるやり方と、NASにMinim serverをインストールする方法です。Minim serverはSynologyのNASにインストールすることができます。バッファローは相性良くないようです。
たとえばDoPEのシステムでは次のようになります。このときにJRiverをコントローラとして直接再生することもできます。
Mac/PC+JRMCの方式の例
iPad(コントローラー) - Mac/JRiver (メディアサーバー) - DSX1000(レンダラー)
Mac/JRiver (メディアサーバー&コントローラー) - DSX1000(レンダラー)
*JRMCの設定はこちらのLINKをご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/358186736.html
NAS+Minim serverの方式の例
iPad(コントローラー) - Synology NAS(Minim server) - DSX1000(レンダラー)
MinimServerはDLNAサーバーとなるソフトウエアで、MinimServerではトランスコードオプションでDoPE(dopwav)という形式にトランスコードしてストリーミングするということです。トランスコードはもともとFLAC対応でないレンダラーにWAVでストリーミングするなどのためのオプションです。
前にStefanoのWAVにDoPをエンコードするツールを書きましたが、それをストリーミングしてネットワークサーバーで受ける感じといえるでしょう。見かけWAVをストリーミングしている形ですが、WAVの中身はPCMではなくDoP(DSD)ということです。つまり、このときはDoPEではMIMEタイプはaudio/wavを使用しています。
実際にCHORDの専用アプリではレンダラーで受けているファイルタイプが見られますが、そこではDSDをDoPEで使用すると曲名ではWAVと表示されます。
上のDLNAでのDSD音楽再生の流れの例で言うとこうなります。
1) コントローラーをメディアサーバーに接続してブラウズ要求すると、メディアサーバーは自分の持っている音源をリスト化します。JRMCおよびMinim ServerはもちろんDSDファイル形式を認識しています。
2) - 3) 上と同じ
4) 指示を受けたレンダラーはメディアサーバーに対してその楽曲ファイルの情報を渡して、レンダラーに対してストリーミングする指示をします。メディアサーバー(JRMC/minim srv)はDSDデータストリームをDoPにエンコードします。
5) メディアサーバーは自らのファイルシステムにおかれた音源ファイルの拡張子をみて、対応するMIME(マイム-インターネットでの拡張子みたいなもの)をつけてレンダラーにストリーミング転送します。
DSDの場合は元の形式(DSF、DFF)に関わらずWAVとしてMIMEを設定します。
6) レンダラーは動的にデータストリームを監視しながらDoPマーキングを検知するとデコードをDSDに切り替えます。(USB経由のDoPと同じ)
7) レンダラーはストリーミングされてきたDSDデータを再生します。
JRMCエンジニアの話によるとDoPEの必要性はこうしてDoPを必要とするレンダラーに送信できると共に、DSDフォーマットをWAVに統一できるというメリットがあるということです。
つまりもともとはhttpを使うネット上での伝送ではDoP(PCM)にする必要性は本来はないのだけれども、DoPを入力として採用しているDAC(ネットワークサーバー)の場合にはその方が都合がよいということでしょう。
2-3 今後の展開
LuminなどのネットワークサーバーもDoPEに対応するとみられていますが、海外製品では今後もDoPEが使われると思いますが、バッファロー形式も増えていくかもしれません。
-- 3. まとめ --
USB DACではDSDネイティブ再生には大きくASIOとDoPの2つの方式があります。ネットワーク透過のDSDネイティブ再生では端的に言うとバッファローNASの方式はASIOに似て、DoPEはDoPに似ていると言えます。つまりバッファローNASの方式はDSDファイルの中身とMIME情報をそのままストリーミングするのに対して、DoPEでは中身をDoPにエンコードして、MIMEをWAVに変更してストリーミングします。
前にも書きましたがネットワークでのDSDネイティブ再生と言っているものは上のどちらの場合でもそうですが、PC上でローカルにUSBやSPDIFでDACにDSDデータを伝送しているのとは話しているレベルが違います。ネットワークでのDSDネイティブ再生と言っているのはPC上でローカルの場合で言うと再生プレーヤーソフトがファイルを読む段階の話です(基本的にストリーミングなので)。DACに出すときの話ではありません。端的に言うとPC上ではHDDからDSDファイルを簡単に読めますが、そのファイルがネット越しにあると読むのにひと工夫必要になるということです。 この点にも留意が必要です。
2013年10月09日
RMAFで新たなDSDダウンロードサイトがお披露目
CanJamと同時にデンバーでRMAF(ロッキーマウンテンオーディオフェスタ)が開催されますが、そこで注目すべきDSDダウンロードサイトがお披露目するとのこと。
http://www.stereophile.com/content/10th-rocky-mountain-audio-fest-starts-friday
一つはここでも紹介したChannel ClassicsのJaredさんリードするその名も"ネイティブDSDミュージック"です。DSDネイティブ再生は向こうではnative DSD playbackです。ただ私は日本語の座りが良いのでDSDネイティブ再生と書いてきました。
http://nativedsd.com
サイトはまだ建設中です。
それとアナログ盤やSACD販売で知られるAcoustic SoundsのChad KassemがリードしてSONYとAcoustic SoundsのDSD音源をダウンロード出来るサイトでこちらはAcoustic Soundの既存サイト内になるか、あるいは上記事中のようにacousticsoundssuperhires.comになるのかもしれません。
ソニーミュージックのDSD音源の配信については先にAudioStreamでも記事になっていました。
http://www.audiostream.com/content/acoustic-sounds-announces-deal-sony-music
http://www.stereophile.com/content/10th-rocky-mountain-audio-fest-starts-friday
一つはここでも紹介したChannel ClassicsのJaredさんリードするその名も"ネイティブDSDミュージック"です。DSDネイティブ再生は向こうではnative DSD playbackです。ただ私は日本語の座りが良いのでDSDネイティブ再生と書いてきました。
http://nativedsd.com
サイトはまだ建設中です。
それとアナログ盤やSACD販売で知られるAcoustic SoundsのChad KassemがリードしてSONYとAcoustic SoundsのDSD音源をダウンロード出来るサイトでこちらはAcoustic Soundの既存サイト内になるか、あるいは上記事中のようにacousticsoundssuperhires.comになるのかもしれません。
ソニーミュージックのDSD音源の配信については先にAudioStreamでも記事になっていました。
http://www.audiostream.com/content/acoustic-sounds-announces-deal-sony-music
2013年09月26日
Chordのネットワークプレーヤー、DSX1000の新製品発表イベント
タイムロードさんのショウルーム「遊」で、Chordの新製品のネットワークプレーヤー、DSX1000の新製品紹介イベントを行います。私も解説を務めいたします。
当日の内容はまだ未定ですが、前にブログで書いたMacとJRMCを使う方法と、まだ書いてないのですがNASを使う方法の二通りでDoPEの実践編という感じで進めたいと思います。
予約制ですので下記のFacebookページを見てお申し込みください !
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=541233792615550&set=a.420018084737122.96817.414082108664053&type=1
タイムロードさんのDSX1000のページは下記です。
http://www.timelord.co.jp/brand/products/chord/dsx/dsx1000/
ネットワークプレーヤーと言ってもやはりオーディオとしての基本的な部分が音質のキーですから、定評あるQBD76をベースにするDSX1000はそういう意味でも最高峰の一つと言えるでしょう。ネットワークでのオーディオの音質に興味ある方もどうぞご来場ください。
当日の内容はまだ未定ですが、前にブログで書いたMacとJRMCを使う方法と、まだ書いてないのですがNASを使う方法の二通りでDoPEの実践編という感じで進めたいと思います。
予約制ですので下記のFacebookページを見てお申し込みください !
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=541233792615550&set=a.420018084737122.96817.414082108664053&type=1
タイムロードさんのDSX1000のページは下記です。
http://www.timelord.co.jp/brand/products/chord/dsx/dsx1000/
ネットワークプレーヤーと言ってもやはりオーディオとしての基本的な部分が音質のキーですから、定評あるQBD76をベースにするDSX1000はそういう意味でも最高峰の一つと言えるでしょう。ネットワークでのオーディオの音質に興味ある方もどうぞご来場ください。
2013年09月16日
Raspberry PIでMPDとUSB DACを可能にするRaspyFi (DSD再生も可能)
Raspberry PI(ラズベリー・パイ)を使用してミュージックサーバーを構築できるOSディストリビューションであるRaspyFiを紹介します。低価格でネイティブDSD再生も可能です。
コンピューター界隈のひとつの流れに超低価格コンピューターがあります。これはもともと教育目的で作られた英国のRaspberry PIが元ですが、他にも多く作られるようになってきました。Raspberry PIの価格はタイプによりますが30ポンド前後、日本円にして4000円くらいのARMベースの基盤でLinuxが走ります。
Raspberry PIについては日本語でもネットに情報がたくさんありますのでそれ自体の説明などは割愛します。本来的にはプログラム勉強用ですが、コミュニティもたくさんあって応用も活発です。
Raspberry PIとその構成図
そのRaspberry PIをオーディオに応用しようとする試みはいくつかありました。メジャーなものはRaspbmcです。これは昨年Raspberry PIが出てからわりとすぐに出たので私もその頃にインストールして試してみました。
http://www.raspbmc.com/
RaspbmcはXBMCをRaspberry PIに実装したものですが、どちらかというとピュアオーディオと言うよりはAV目的のいわゆるHTPCを安価に作るためのものです。オーディオはHDMIを使うためにピュアオーディオに使うようなUSB DACはサポートできません。このUSB DACの未サポートというのが当初のRaspberry PIで使用するOSディストリビューションの課題でもありました。デジタル出力がHDMIに限られてしまいます。
その点で画期的なのがこのRaspyFiです。RaspyFiは簡単に言うとLinuxではよく知られるミュージックサーバーソフトウエアのMPDをRaspyFiで使用できるようにしたものです。作者に言わせるとVoyage MPDのRaspberry PI版みたいなものということです。つまりLinuxのOSディストリビューションのひとつです。
RaspyFiではUSB DACの使用も可能です。また音楽再生向けのOSチューニングがなされています。以前はいろいろと問題があったようですが、ここに1.0としてめでたく公式リリースされました。
RaspyFiのホームページは下記です。RaspyFiは無料でダウンロードできます。
http://www.raspyfi.com/
まずSDカードを用意してRaspyFiのOSイメージをインストールします。無料ですが、twitterかfacebookでフォローすることでダウンロードできます。SDカードは2GBで十分です。
http://www.raspyfi.com/download/
電源を入れるとブートが始まり、あとはブート終了でロゴが出てくればリモートUIと接続できます。
画面をつないでおく必要はありませんが、ブートが終わったかどうかの確認などをしたければ、HDMIでモニターにつなげます。こちらはブートシーケンスです。
ここではリモートプレーヤーとして主にiPad miniとiPhoneをつないでWEB UIとMPoDアプリで操作を行いました。
接続のためのIPアドレスが必要であれば、RaspyFiのコマンドプロンプトから/sbin/ifconfigとやってie0の項のinetアドレスでわかります。
まずXDuoo XD-01とFitEar USBケーブルで最小クラスのミュージックサーバーシステムを作ってみました。音源はUSBメモリに格納しています。
上左の写真ではわかりやすいようにXD-01とUSB結線のみ接続しています。右はすべての接続をしたところです。モニターは基本的に不要です。USBメモリが巨大に見えるくらいコンパクトな基盤です。Rasbery PIからのネットワークは無線LANにつなげてあります。
ディスプレイはHDMIですが、なくてもかまいません。電源はMicroUSBのような外部電源です(5V)。USBポートは2つついています。このほかにヘッドフォン端子もあります(ここでは不使用)。ただしRaspberry PIでは安価にするためにDACではなく簡易DA再生をしています。
LinuxのUSBクラスドライバーはClass2対応で192kHzまで対応できます。
DACではドライバーはWindowsやMacのドライバーは使えませんので、標準USBドライバーのサポートが必要です。(Linux向けのドライバーが提供されていれば別ですが)
Raspberry PIのUSB給電能力はどんなDACでも心配ないって開発者が書いています。
バッテリーは外部ですが、5V USBから取れますので、頑張ればポータブルにすることもできます。あとは無線LANとポケットNASをなんとかすれば、iPhoneから操作可能なポータブルのオーディオ向けネットワークサーバーシステムが作れてしまうでしょう。この場合RaspyFiはトランスポートとして機能します。
また自作の人向けにはオーディオ用のクリーン電源も作られています。
http://www.raspyfi.com/the-best-raspberry-pi-power-supply/
ケースは別に購入ができます。
RaspyFiはNASにもつなげられますし、インターネットラジオのストリーミングにも対応してます。NASはDLNAではなくSambaでマウントします。
再生はWAV, FLACのみならずAiffやAppleロスレスも可能です。ハイレゾは192/24まで対応できます。それに加えてMPD設定でDSDサポートをオンにするとDSDも再生可能です。このちっちゃなRaspberry PIでそこまでできます。再生はDSFでもDFFでもOKです。
MPoDでRaspyFiに接続したところ
操作はリモートからWebやMPodなどのMPDクライアントで行えます。このRaspyFiのWeb UIはとても良くできていて、プレイリスト経由の再生からMPDの設定、そしてリブートなどのシステムコマンドもWebから簡単に操作ができます。MPodでは上のようにアルバムアートも見られます。
上左はiPad mini上のWeb UIでRaspyFiのFLAC再生をしている画面です。楽曲を追加したならば上右のようにデータベース更新を行います。
ミュージックライブラリはブラウズで楽曲を表示させ、上のようにプレイリストに追加することで再生ができます。
リブートやシャットダウンのようなシステムコマンドもWeb UIから上のように可能です。
音質もヘルゲリエンのtake fiveなどで本気で聞いてみましたがかなり良いです。透明感がとても高く、ベースの止めなど制動もよく効いてます。ホントにXD-01の音かと驚いてしまいました。動作も安定してるようです。
ハイレゾも上のように96/24を試してみましたがノイズなどもなく、とてもクリーンに再生できてるようです。ARM 700MHzのプロセッサでよくやってます。
Schiit LokiとRaspberry PI
DSD再生は標準ドライバーとDoPサポートが必要です。さっそく最新のDSD専用DACのSchiit Lokiを使ってみました。コンパクトサイズでよく似合います。
LokiはDSD専用ですから、DSDネイティブ再生ができるのは確実です。DSDロックLEDもついてますね。
なかなか良い音が楽しめます。
DSD設定はデフォルトではオフなので、上のようにMPD設定画面からDSDをオンにします。上右はDFFファイルを再生しているところです。
わずか4000円のRaspberry PIとSchiit Lokiが15000円くらい、RaspyFiは無料ですから、トータル2万円くらいでこんな高音質のDSD再生環境が手に入ります。
コストパフォーマンスは楽に10倍以上はありますね。これ。
とはいえRaspberry PIは低価格ボードなので手抜き合理化も随所にみられます。Rasbery PIのアーキテクチャではUSBバスをネットワークと共有してるので効率があまり良くありません。
そこで作者はRaspberry PIのGPIO(汎用IOポート)を使ってI2Sでデジタル出力することも視野にいれているそう。RaspyFiはこれからも進化していくかもしれません。
ここに書いたのは私がやれるくらいなのでハンダも精密ドライバーも必要ありません。遊びのつもりで始めてきっと本気になるようなポテンシャルも秘めてますね。
Raspberry PIの購入はネットワーク対応でRAMが512MBのモデルBを勧めます。
コンピューター界隈のひとつの流れに超低価格コンピューターがあります。これはもともと教育目的で作られた英国のRaspberry PIが元ですが、他にも多く作られるようになってきました。Raspberry PIの価格はタイプによりますが30ポンド前後、日本円にして4000円くらいのARMベースの基盤でLinuxが走ります。
Raspberry PIについては日本語でもネットに情報がたくさんありますのでそれ自体の説明などは割愛します。本来的にはプログラム勉強用ですが、コミュニティもたくさんあって応用も活発です。
Raspberry PIとその構成図
そのRaspberry PIをオーディオに応用しようとする試みはいくつかありました。メジャーなものはRaspbmcです。これは昨年Raspberry PIが出てからわりとすぐに出たので私もその頃にインストールして試してみました。
http://www.raspbmc.com/
RaspbmcはXBMCをRaspberry PIに実装したものですが、どちらかというとピュアオーディオと言うよりはAV目的のいわゆるHTPCを安価に作るためのものです。オーディオはHDMIを使うためにピュアオーディオに使うようなUSB DACはサポートできません。このUSB DACの未サポートというのが当初のRaspberry PIで使用するOSディストリビューションの課題でもありました。デジタル出力がHDMIに限られてしまいます。
その点で画期的なのがこのRaspyFiです。RaspyFiは簡単に言うとLinuxではよく知られるミュージックサーバーソフトウエアのMPDをRaspyFiで使用できるようにしたものです。作者に言わせるとVoyage MPDのRaspberry PI版みたいなものということです。つまりLinuxのOSディストリビューションのひとつです。
RaspyFiではUSB DACの使用も可能です。また音楽再生向けのOSチューニングがなされています。以前はいろいろと問題があったようですが、ここに1.0としてめでたく公式リリースされました。
RaspyFiのホームページは下記です。RaspyFiは無料でダウンロードできます。
http://www.raspyfi.com/
まずSDカードを用意してRaspyFiのOSイメージをインストールします。無料ですが、twitterかfacebookでフォローすることでダウンロードできます。SDカードは2GBで十分です。
http://www.raspyfi.com/download/
電源を入れるとブートが始まり、あとはブート終了でロゴが出てくればリモートUIと接続できます。
画面をつないでおく必要はありませんが、ブートが終わったかどうかの確認などをしたければ、HDMIでモニターにつなげます。こちらはブートシーケンスです。
ここではリモートプレーヤーとして主にiPad miniとiPhoneをつないでWEB UIとMPoDアプリで操作を行いました。
接続のためのIPアドレスが必要であれば、RaspyFiのコマンドプロンプトから/sbin/ifconfigとやってie0の項のinetアドレスでわかります。
まずXDuoo XD-01とFitEar USBケーブルで最小クラスのミュージックサーバーシステムを作ってみました。音源はUSBメモリに格納しています。
上左の写真ではわかりやすいようにXD-01とUSB結線のみ接続しています。右はすべての接続をしたところです。モニターは基本的に不要です。USBメモリが巨大に見えるくらいコンパクトな基盤です。Rasbery PIからのネットワークは無線LANにつなげてあります。
ディスプレイはHDMIですが、なくてもかまいません。電源はMicroUSBのような外部電源です(5V)。USBポートは2つついています。このほかにヘッドフォン端子もあります(ここでは不使用)。ただしRaspberry PIでは安価にするためにDACではなく簡易DA再生をしています。
LinuxのUSBクラスドライバーはClass2対応で192kHzまで対応できます。
DACではドライバーはWindowsやMacのドライバーは使えませんので、標準USBドライバーのサポートが必要です。(Linux向けのドライバーが提供されていれば別ですが)
Raspberry PIのUSB給電能力はどんなDACでも心配ないって開発者が書いています。
バッテリーは外部ですが、5V USBから取れますので、頑張ればポータブルにすることもできます。あとは無線LANとポケットNASをなんとかすれば、iPhoneから操作可能なポータブルのオーディオ向けネットワークサーバーシステムが作れてしまうでしょう。この場合RaspyFiはトランスポートとして機能します。
また自作の人向けにはオーディオ用のクリーン電源も作られています。
http://www.raspyfi.com/the-best-raspberry-pi-power-supply/
ケースは別に購入ができます。
RaspyFiはNASにもつなげられますし、インターネットラジオのストリーミングにも対応してます。NASはDLNAではなくSambaでマウントします。
再生はWAV, FLACのみならずAiffやAppleロスレスも可能です。ハイレゾは192/24まで対応できます。それに加えてMPD設定でDSDサポートをオンにするとDSDも再生可能です。このちっちゃなRaspberry PIでそこまでできます。再生はDSFでもDFFでもOKです。
MPoDでRaspyFiに接続したところ
操作はリモートからWebやMPodなどのMPDクライアントで行えます。このRaspyFiのWeb UIはとても良くできていて、プレイリスト経由の再生からMPDの設定、そしてリブートなどのシステムコマンドもWebから簡単に操作ができます。MPodでは上のようにアルバムアートも見られます。
上左はiPad mini上のWeb UIでRaspyFiのFLAC再生をしている画面です。楽曲を追加したならば上右のようにデータベース更新を行います。
ミュージックライブラリはブラウズで楽曲を表示させ、上のようにプレイリストに追加することで再生ができます。
リブートやシャットダウンのようなシステムコマンドもWeb UIから上のように可能です。
音質もヘルゲリエンのtake fiveなどで本気で聞いてみましたがかなり良いです。透明感がとても高く、ベースの止めなど制動もよく効いてます。ホントにXD-01の音かと驚いてしまいました。動作も安定してるようです。
ハイレゾも上のように96/24を試してみましたがノイズなどもなく、とてもクリーンに再生できてるようです。ARM 700MHzのプロセッサでよくやってます。
Schiit LokiとRaspberry PI
DSD再生は標準ドライバーとDoPサポートが必要です。さっそく最新のDSD専用DACのSchiit Lokiを使ってみました。コンパクトサイズでよく似合います。
LokiはDSD専用ですから、DSDネイティブ再生ができるのは確実です。DSDロックLEDもついてますね。
なかなか良い音が楽しめます。
DSD設定はデフォルトではオフなので、上のようにMPD設定画面からDSDをオンにします。上右はDFFファイルを再生しているところです。
わずか4000円のRaspberry PIとSchiit Lokiが15000円くらい、RaspyFiは無料ですから、トータル2万円くらいでこんな高音質のDSD再生環境が手に入ります。
コストパフォーマンスは楽に10倍以上はありますね。これ。
とはいえRaspberry PIは低価格ボードなので
そこで作者はRaspberry PIのGPIO(汎用IOポート)を使ってI2Sでデジタル出力することも視野にいれているそう。RaspyFiはこれからも進化していくかもしれません。
ここに書いたのは私がやれるくらいなのでハンダも精密ドライバーも必要ありません。遊びのつもりで始めてきっと本気になるようなポテンシャルも秘めてますね。
Raspberry PIの購入はネットワーク対応でRAMが512MBのモデルBを勧めます。
2013年09月14日
Schiitの低価格「DSD専用」DACのLoki
Schiitの低価格「DSD専用」DACのLokiが届きました。
http://schiit.com/products/loki
サイズはとてもコンパクトで、片手で持てるくらいです。これはSchiitのコンパクトサイズスタックのMODI(USB DAC)/MAGNI(ヘッドフォンアンプ)と同じサイズです。ミニチュア感覚があります。
DSD専用と言ってもLokiではLAMPIZATORのようにDACチップ不使用タイプではなく、普通にDACチップを使用しています。使用しているのはDACportなどと同じAKM4396ですが、Modiも同じチップを採用しています。おそらくSchiitでははじめはModiをDSD対応にする開発をしていたんだと思いますが、やってみるとPCM/DSD両用にするよりもDSD専用で設計したほうが音が良いということになってDSD専用としたんではないかと思います。そのため、運用としてはModi/Magniと3段重ねで使うのがまずありうるでしょう。
LokiはDSD専用というよりもDSD最適化DACというべきものかもしれません。DSDに最適化した出力段とフィルタリングでよりクリーンな出力を取り出すことができたということです。
Lokiはバスパワーで動作します。本体前面にはUSB接続LEDとDSDにロックしたことを示すLED、そしてプッシュスイッチがついています(ボリュームではありません)。プッシュスイッチはアナログINをアナログOUTにパススルーするための切り替えで、Modiからのアナログ信号をLokiのINに入れて、ModiとLokiのコンボでPCMとDSDの両対応を果たすというわけです。
LokiはMac/PCからDoPで転送します。MacのAurdirvanaで試してみました。
LokiはPCMを再生すると無音となります。DSDのときにLEDが光り、再生がなされます。楽曲の切り替えにポップノイズが少し出るのはまだDoPハンドリングに慣れていないようにも見受けられます。ただあまり盛大ではありません。
Schiiitでは安いけど音質は高価なものにも負けないよと言っていますが、たしかに出てくる音はなかなか価格にしてはすぐれたレベルの音質だと思います。
音の性格はSchiitらしくニュートラルで無着色系です。音にはきちんとDSDらしく自然な再現で角がなく滑らかでありながら芯があって解像感もある、という特徴が聞き取れるのでDSD専用機としてもきちんと機能していると思います。
アコースティックギターのピッキングもシャープでかつエッジはなめらかで聴き疲れが少ない感覚です。ピアノの音もリアルでよいと思います。バロック合奏では個々の楽器の音が明瞭でいて、古楽器の倍音たっぷりとした自然で滑らかな鳴りを聞かせてくれます。オーケストラでは組み合わせるアンプにもよると思いますが、迫力と深みもそれなりにありますけれどもこの辺は高価なものに比べて物足りなさはあるかもしれません。
いずれにせよDSD入門機としては十分なものだし、DSD専用機として興味深いと思います。この辺はLokiのPCM版ともいうべきModi(実際は逆ですが)と比べるとより明確になるでしょうね。
説明書にはやはりLokiは北欧神話のトリックスターだからDSDをオーディオ界のトリックスターとなぞらえたことが書いています。つまりはまだよくわからないDSDというものをまず低価格($149)のLokiで試してみませんか、という狙いもあるようです。DSD対応DACのように設定が不確かだとPCMが出てるかDSDが出てるかわからないということもないので、DSD専用DACをDSD入門用に使うというのも分かりやすくて良いかもしれませんね。
http://schiit.com/products/loki
サイズはとてもコンパクトで、片手で持てるくらいです。これはSchiitのコンパクトサイズスタックのMODI(USB DAC)/MAGNI(ヘッドフォンアンプ)と同じサイズです。ミニチュア感覚があります。
DSD専用と言ってもLokiではLAMPIZATORのようにDACチップ不使用タイプではなく、普通にDACチップを使用しています。使用しているのはDACportなどと同じAKM4396ですが、Modiも同じチップを採用しています。おそらくSchiitでははじめはModiをDSD対応にする開発をしていたんだと思いますが、やってみるとPCM/DSD両用にするよりもDSD専用で設計したほうが音が良いということになってDSD専用としたんではないかと思います。そのため、運用としてはModi/Magniと3段重ねで使うのがまずありうるでしょう。
LokiはDSD専用というよりもDSD最適化DACというべきものかもしれません。DSDに最適化した出力段とフィルタリングでよりクリーンな出力を取り出すことができたということです。
Lokiはバスパワーで動作します。本体前面にはUSB接続LEDとDSDにロックしたことを示すLED、そしてプッシュスイッチがついています(ボリュームではありません)。プッシュスイッチはアナログINをアナログOUTにパススルーするための切り替えで、Modiからのアナログ信号をLokiのINに入れて、ModiとLokiのコンボでPCMとDSDの両対応を果たすというわけです。
LokiはMac/PCからDoPで転送します。MacのAurdirvanaで試してみました。
LokiはPCMを再生すると無音となります。DSDのときにLEDが光り、再生がなされます。楽曲の切り替えにポップノイズが少し出るのはまだDoPハンドリングに慣れていないようにも見受けられます。ただあまり盛大ではありません。
Schiiitでは安いけど音質は高価なものにも負けないよと言っていますが、たしかに出てくる音はなかなか価格にしてはすぐれたレベルの音質だと思います。
音の性格はSchiitらしくニュートラルで無着色系です。音にはきちんとDSDらしく自然な再現で角がなく滑らかでありながら芯があって解像感もある、という特徴が聞き取れるのでDSD専用機としてもきちんと機能していると思います。
アコースティックギターのピッキングもシャープでかつエッジはなめらかで聴き疲れが少ない感覚です。ピアノの音もリアルでよいと思います。バロック合奏では個々の楽器の音が明瞭でいて、古楽器の倍音たっぷりとした自然で滑らかな鳴りを聞かせてくれます。オーケストラでは組み合わせるアンプにもよると思いますが、迫力と深みもそれなりにありますけれどもこの辺は高価なものに比べて物足りなさはあるかもしれません。
いずれにせよDSD入門機としては十分なものだし、DSD専用機として興味深いと思います。この辺はLokiのPCM版ともいうべきModi(実際は逆ですが)と比べるとより明確になるでしょうね。
説明書にはやはりLokiは北欧神話のトリックスターだからDSDをオーディオ界のトリックスターとなぞらえたことが書いています。つまりはまだよくわからないDSDというものをまず低価格($149)のLokiで試してみませんか、という狙いもあるようです。DSD対応DACのように設定が不確かだとPCMが出てるかDSDが出てるかわからないということもないので、DSD専用DACをDSD入門用に使うというのも分かりやすくて良いかもしれませんね。
2013年09月09日
Schiitから低価格のDSD「専用」DAC登場
コストパフォーマンスに優れたオーディオ製品で知られるアメリカのSchiit AudioがDSD製品を出すという噂が流れていましたが、いよいよ登場します。
それはなんとDSD「専用」DACでしかも低価格($149)のLokiです。Schiitは北欧神話にちなんだ名をつけますが、ロキは北欧神話でも主役クラスですからその自信のほどがわかります。(同時にロキはトリックスターでもあります)
ホームページはこちらです。
http://schiit.com/products/loki
Schiit LokiはUSB DACですが、DSD専用機ですからPCMは再生できません。DSDに特化した設計を行ってるわけです。もともとPCMとDSDは別の異なる方式ですから、専用設計の方がより生きるとは言えますね。
ただしLokiの対応はDSD64のみです。
またLokiではアナログ入力もついていて、前面のボタンを押すことでLokiのアナログ出力がパススルーとなります。つまり他のPCM用のUSB DACの出力をLokiのアナログ入力に入れればLokiを使って出力の切り替えができるというわけです。
DSD入力方式はDoPでSchiit独自の32bitプロセッサでDoPをデコードするということ。ここもポイントの一つだそうです。DSD自体のデコードはAKM4396をDSD専用モードで使うということです。出力段とフィルタリングをDSD専用に設計したとのこと。
Schiitでは専用設計にすることで、$149のDACでもより高価なPCM/DSD DACより音が良いと言っています。DSDはデコードが簡素化できる方式ですから、あながち嘘とも言えません。またそれを利用してあえて低価格でDSD専用DACを実現したとも言えますね。
大方の人はいまやUSB DACを持ってるでしょうから、高いDSD対応DACに買い換えるよりも、低価格DSD専用DACというジャンルはいけるかもしれません。
SchiitもDSD専用DACというよりはDSD Companion DACと称しています。通常のDACに安くDSD DACを追加できるという考えですね。
DSD専用DACはおそらく前に書いたLAMPIZATORに続いて二台目でしょうか。DSDイベントでも言いましたが、このDSDに特化した専用DACの動きにも注目ですね。
それはなんとDSD「専用」DACでしかも低価格($149)のLokiです。Schiitは北欧神話にちなんだ名をつけますが、ロキは北欧神話でも主役クラスですからその自信のほどがわかります。(同時にロキはトリックスターでもあります)
ホームページはこちらです。
http://schiit.com/products/loki
Schiit LokiはUSB DACですが、DSD専用機ですからPCMは再生できません。DSDに特化した設計を行ってるわけです。もともとPCMとDSDは別の異なる方式ですから、専用設計の方がより生きるとは言えますね。
ただしLokiの対応はDSD64のみです。
またLokiではアナログ入力もついていて、前面のボタンを押すことでLokiのアナログ出力がパススルーとなります。つまり他のPCM用のUSB DACの出力をLokiのアナログ入力に入れればLokiを使って出力の切り替えができるというわけです。
DSD入力方式はDoPでSchiit独自の32bitプロセッサでDoPをデコードするということ。ここもポイントの一つだそうです。DSD自体のデコードはAKM4396をDSD専用モードで使うということです。出力段とフィルタリングをDSD専用に設計したとのこと。
Schiitでは専用設計にすることで、$149のDACでもより高価なPCM/DSD DACより音が良いと言っています。DSDはデコードが簡素化できる方式ですから、あながち嘘とも言えません。またそれを利用してあえて低価格でDSD専用DACを実現したとも言えますね。
大方の人はいまやUSB DACを持ってるでしょうから、高いDSD対応DACに買い換えるよりも、低価格DSD専用DACというジャンルはいけるかもしれません。
SchiitもDSD専用DACというよりはDSD Companion DACと称しています。通常のDACに安くDSD DACを追加できるという考えですね。
DSD専用DACはおそらく前に書いたLAMPIZATORに続いて二台目でしょうか。DSDイベントでも言いましたが、このDSDに特化した専用DACの動きにも注目ですね。
2013年09月08日
CHORD DSX1000ネットワークプレーヤーのDSDネイティブ再生とDoPEの実際
タイムロードさんのショウルーム「遊」で発売予定のChordのネットワークプレーヤーでDSX1000を試させてもらう機会がありました。
ラックの上側がDSX1000
DSDネイティブ再生はいまのところUSB DACが主ですが、以前の記事でも書いたように現在ではネットワークプレーヤーを使用して、ネットワークを介する方法でも可能です。
そしてネットワークプレーヤーでのDSDのネイティブ再生にはいまのところ大きく分けて二つの方式があります。
1. バッファローのDSD対応NAS(LS421Dシリーズ)を使用する
2. DoPEに対応したJRiver Media Center(JRMC)を使う
上記の二通りですが、両者は別々の異なる方式です。そのため両方ともネットワークプレーヤー側でそれぞれの方式に対応していることが必要です。いまのところバッファローNAS方式は日本国内製品、DoPE方式は海外製品が主な流れです。
強いて言うともう一つの方法として前にスフォルツァートがやっていたWAVにあらかじめDoPパックするStefanoのツールを使う手もあります。DoPEはこの延長上にあるといっても良いかもしれません。
ちなみにこのstefanoの記事を書いた時点ではDoPという言葉がありませんでしたので標準規格1.0と書いてますが、これは今でいうDoP 1.0のことです。この当時は"DSD Audio over PCM Frames(DoP)"ではなく、"USB Link for DSD Audio via PCM Frames"と呼んでいました。これがDoP1.0のことです。私が言っていたところの"dCS方式"(本来の呼び方は"DSD Audio over USB")はさらに前の規格です。このころ(2011年秋くらい)はUSB経由と明記していたのが、いまではネットワークでも可能になったというわけです。
* システム構成について
DSX1000では上記の2者では後者のDoPE(DoP Ethernet)という方式を採用しています。Ethernet(イーサネット)は一般的に使われているネットワークの種類のことです。DoPでエンコードされたDSDデータをネットワークを介して転送するのがDoPE方式です。これでネットワーク経由のDSDネイティブ再生が可能になります。ただしDoPEという規格があるわけではなく、DoPを利用してネットワークでDSD再生をするときの通り名です。(この記事を見て参考にされる方に念のため)
以前DoPEのことは下記記事に書きましたが、自分で理解確認という意味でもDoPEの実際ということを踏まえて今回はテストしてみました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/358186736.html
DoPE方式で必要なものはDSX1000本体(DoPE対応済み)、ネットワークハブとケーブル、そしてJRMC18以降がインストールされたWindowsPCかMacです。テストではMacbook上でJRMC18を用いました。
ネットワークプレーヤー(海外ではストリーマーと呼ぶ)というとLINN DSからの流れでNASを使ってパソコンレスというものというを想定してしまいますが、NASも結局はハードディスクにネットワークにつながるためのコンピュータが合体されたものにすぎません。コンピューターの世界的にはアプライアンスと呼ぶ形態です。アプライアンスとは専用機と言うような意味合いですが、アプライアンスでもパソコンでもコンピューターには変わりありません。そういう意味ではNASの位置にそのままパソコンを持ってくることができます。そしてその方がもっと柔軟性があるわけです。
一般的なネットワークプレーヤーの構成は以下の通りです(ネットワーク省く)。簡単に動きを解説すると、iPadでメディアサーバーの中の曲を探して再生の指示をし、レンダラーが実際の再生をするオーディオ機器です。
iPad(コントローラー) - NAS (メディアサーバー) - DSX1000(レンダラー)
DoP-Eのシステムでは次のようになります。もちろんJRiverをコントローラとして直接再生することもできます。
iPad(コントローラー) - Mac/JRiver (メディアサーバー) - DSX1000(レンダラー)
Mac/JRiver (メディアサーバー&コントローラー) - DSX1000(レンダラー)
このシステムにおいては現在PC/Macを持っている人がそのまま導入できるという点がメリットですね。それらを立ち上げておく必要はありますが、NASを新たに追加購入して設定に悩むということもないでしょう。
テストしたときはMacbookを使用したのですが、大方のNASとは異なって無線LANを使用できるというメリットもありますね(無線LANを引いている場合)。この辺がパソコンをそのまま使用する柔軟性です。音楽ライブラリはパソコンの中に(あるいは外部拡張ディスクに)格納することになります。つまりいままで構築していたものがNASに移し替えることなく、そのまま使えます。もちろんDSDだげてはなく、PCMのFLACやWAVも使えます。
ちなみにDSX1000は現時点ではDSDネイティブ再生においてバッファローのDSD NASには対応していません。もちろん通常のPCM再生では使用できますので、上記のシステムにバッファローNASを加えることもできます。これは実際に試してみました。DLNAクライアントからメディアサーバーを切り替えるだけです。
バッファローNASは音楽再生においてなかなか有効であるようですのでNASの中では推奨できると思います。
* JRiverでの設定について
設定はJRMC上で行います。設定方法は以前に記事に書いた通りであることが確認できました。DSX以外のDoPE対応ネットワークプレーヤーでも設定は同じだと思います。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/358186736.html
JRMC18以降(最新は19)を使用してください。
再度確認すると、
1.JRMCのオプションをクリックして、下記のような設定画面を出します
2. Media Network(メディアネットワーク)を選択
3. Advance(詳細)から"Bitstream DSD (requires DoPE Compliant rendarer)を選択します
(requires DoPE Compliant rendarerとはDoPE互換のレンダラーが必要と言う意味です)
以上だけです。DLNAの設定はあらかじめ有効にしておいてください。
* テストの内容
今回はテストとしてrie fuのDSFファイルを再生してみました。MacbookのJRMCのライブラリに入っていた曲をネットワーク経由で再生しました。DLNAメディアサーバーとしてJRMCが機能しているわけです。
上記Bitstream DSD設定をオンオフして比較すると、オフだとやはり機能しないので上記設定が効いていることが分かります。
また今回わかったのはPlugPlayerからもJRMCをメディアサーバーとして設定すれば、JRMC内のDSFファイルが見えるということです。このため、iPadなどからいわゆるリモート的に操作が可能です。
音質としてはDSX1000をCHORDのプリ・パワーアンプを通してRaidho C1で聴きましたが、中身はQBD76相当というだけあり、音質はさすが素晴らしかったですね。Chord独特の透明感や研ぎ澄まされてシャープでソリッドな音像はC1の再現力とあいまって非常に高い音質のハイエンドの音楽再生を楽しむことができました。ロバートワッツの高い技術力がネットワークを介して開放されているかのようです。
またボリュームもリファレンスクラスのプリのパーツを使用するなどいっさい手を抜いていないこだわりの設計が見て取れます。iPhoneで操作するとDSX1000側でも本体の液晶が連動します。
Macbookで無線LANと有線LANの両方が可能であることも確認しました。
無線LANと有線LANで音質を比べると、環境の要素はあるけれどもやはり聞き比べると有線の方が細部の表現は少し上のように聞こえます。ただ劇的な違いと言うほどではないので、使い勝手とのトレードオフになるでしょう。
この辺は今年あたりから活性化するであろう無線LANの5G帯域への移行もまたどう影響するか面白いところです。
またDSX1000はDSDファイル以外でのWAVやFLACはNASからも音楽再生が可能です。この場合はバッファローNASがとても良い相性であるようです。ただしバッファローNASのDSD再生にはDSX1000は対応していないようです。DSDファイルにか関してはMac/PCが必要です。
なおJRMCだけではなく、以前書いたminimServerも使えるようです(未確認)。
* 結果のまとめ
結果として今回わかったことはネットワーク経由のDSDネイティブ再生の手段としてDoPEはうまく機能しているということです。JRMCの画面でDSFファイルを選択してレンダラーであるDSX1000で正しく再生することができます。またPlugPlayerのようなiPadなどからのリモート操作も可能です。DSX1000の純正アプリだけでなく、標準的なDLNAアプリから見えるというのはDoPEという仕組みがDLNAの中でうまく効いているということです。
QBD76がネットワークプレーヤー化したようなDSX1000は興味のある方も多いと思います。DSX1000は発売予定ですが、準備中とのことです。
バッファローのNASとも異なる、このDoPE方式はこれからも海外製品を中心に広がることが期待されます。
ラックの上側がDSX1000
DSDネイティブ再生はいまのところUSB DACが主ですが、以前の記事でも書いたように現在ではネットワークプレーヤーを使用して、ネットワークを介する方法でも可能です。
そしてネットワークプレーヤーでのDSDのネイティブ再生にはいまのところ大きく分けて二つの方式があります。
1. バッファローのDSD対応NAS(LS421Dシリーズ)を使用する
2. DoPEに対応したJRiver Media Center(JRMC)を使う
上記の二通りですが、両者は別々の異なる方式です。そのため両方ともネットワークプレーヤー側でそれぞれの方式に対応していることが必要です。いまのところバッファローNAS方式は日本国内製品、DoPE方式は海外製品が主な流れです。
強いて言うともう一つの方法として前にスフォルツァートがやっていたWAVにあらかじめDoPパックするStefanoのツールを使う手もあります。DoPEはこの延長上にあるといっても良いかもしれません。
ちなみにこのstefanoの記事を書いた時点ではDoPという言葉がありませんでしたので標準規格1.0と書いてますが、これは今でいうDoP 1.0のことです。この当時は"DSD Audio over PCM Frames(DoP)"ではなく、"USB Link for DSD Audio via PCM Frames"と呼んでいました。これがDoP1.0のことです。私が言っていたところの"dCS方式"(本来の呼び方は"DSD Audio over USB")はさらに前の規格です。このころ(2011年秋くらい)はUSB経由と明記していたのが、いまではネットワークでも可能になったというわけです。
* システム構成について
DSX1000では上記の2者では後者のDoPE(DoP Ethernet)という方式を採用しています。Ethernet(イーサネット)は一般的に使われているネットワークの種類のことです。DoPでエンコードされたDSDデータをネットワークを介して転送するのがDoPE方式です。これでネットワーク経由のDSDネイティブ再生が可能になります。ただしDoPEという規格があるわけではなく、DoPを利用してネットワークでDSD再生をするときの通り名です。(この記事を見て参考にされる方に念のため)
以前DoPEのことは下記記事に書きましたが、自分で理解確認という意味でもDoPEの実際ということを踏まえて今回はテストしてみました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/358186736.html
DoPE方式で必要なものはDSX1000本体(DoPE対応済み)、ネットワークハブとケーブル、そしてJRMC18以降がインストールされたWindowsPCかMacです。テストではMacbook上でJRMC18を用いました。
ネットワークプレーヤー(海外ではストリーマーと呼ぶ)というとLINN DSからの流れでNASを使ってパソコンレスというものというを想定してしまいますが、NASも結局はハードディスクにネットワークにつながるためのコンピュータが合体されたものにすぎません。コンピューターの世界的にはアプライアンスと呼ぶ形態です。アプライアンスとは専用機と言うような意味合いですが、アプライアンスでもパソコンでもコンピューターには変わりありません。そういう意味ではNASの位置にそのままパソコンを持ってくることができます。そしてその方がもっと柔軟性があるわけです。
一般的なネットワークプレーヤーの構成は以下の通りです(ネットワーク省く)。簡単に動きを解説すると、iPadでメディアサーバーの中の曲を探して再生の指示をし、レンダラーが実際の再生をするオーディオ機器です。
iPad(コントローラー) - NAS (メディアサーバー) - DSX1000(レンダラー)
DoP-Eのシステムでは次のようになります。もちろんJRiverをコントローラとして直接再生することもできます。
iPad(コントローラー) - Mac/JRiver (メディアサーバー) - DSX1000(レンダラー)
Mac/JRiver (メディアサーバー&コントローラー) - DSX1000(レンダラー)
このシステムにおいては現在PC/Macを持っている人がそのまま導入できるという点がメリットですね。それらを立ち上げておく必要はありますが、NASを新たに追加購入して設定に悩むということもないでしょう。
テストしたときはMacbookを使用したのですが、大方のNASとは異なって無線LANを使用できるというメリットもありますね(無線LANを引いている場合)。この辺がパソコンをそのまま使用する柔軟性です。音楽ライブラリはパソコンの中に(あるいは外部拡張ディスクに)格納することになります。つまりいままで構築していたものがNASに移し替えることなく、そのまま使えます。もちろんDSDだげてはなく、PCMのFLACやWAVも使えます。
ちなみにDSX1000は現時点ではDSDネイティブ再生においてバッファローのDSD NASには対応していません。もちろん通常のPCM再生では使用できますので、上記のシステムにバッファローNASを加えることもできます。これは実際に試してみました。DLNAクライアントからメディアサーバーを切り替えるだけです。
バッファローNASは音楽再生においてなかなか有効であるようですのでNASの中では推奨できると思います。
* JRiverでの設定について
設定はJRMC上で行います。設定方法は以前に記事に書いた通りであることが確認できました。DSX以外のDoPE対応ネットワークプレーヤーでも設定は同じだと思います。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/358186736.html
JRMC18以降(最新は19)を使用してください。
再度確認すると、
1.JRMCのオプションをクリックして、下記のような設定画面を出します
2. Media Network(メディアネットワーク)を選択
3. Advance(詳細)から"Bitstream DSD (requires DoPE Compliant rendarer)を選択します
(requires DoPE Compliant rendarerとはDoPE互換のレンダラーが必要と言う意味です)
以上だけです。DLNAの設定はあらかじめ有効にしておいてください。
* テストの内容
今回はテストとしてrie fuのDSFファイルを再生してみました。MacbookのJRMCのライブラリに入っていた曲をネットワーク経由で再生しました。DLNAメディアサーバーとしてJRMCが機能しているわけです。
上記Bitstream DSD設定をオンオフして比較すると、オフだとやはり機能しないので上記設定が効いていることが分かります。
また今回わかったのはPlugPlayerからもJRMCをメディアサーバーとして設定すれば、JRMC内のDSFファイルが見えるということです。このため、iPadなどからいわゆるリモート的に操作が可能です。
音質としてはDSX1000をCHORDのプリ・パワーアンプを通してRaidho C1で聴きましたが、中身はQBD76相当というだけあり、音質はさすが素晴らしかったですね。Chord独特の透明感や研ぎ澄まされてシャープでソリッドな音像はC1の再現力とあいまって非常に高い音質のハイエンドの音楽再生を楽しむことができました。ロバートワッツの高い技術力がネットワークを介して開放されているかのようです。
またボリュームもリファレンスクラスのプリのパーツを使用するなどいっさい手を抜いていないこだわりの設計が見て取れます。iPhoneで操作するとDSX1000側でも本体の液晶が連動します。
Macbookで無線LANと有線LANの両方が可能であることも確認しました。
無線LANと有線LANで音質を比べると、環境の要素はあるけれどもやはり聞き比べると有線の方が細部の表現は少し上のように聞こえます。ただ劇的な違いと言うほどではないので、使い勝手とのトレードオフになるでしょう。
この辺は今年あたりから活性化するであろう無線LANの5G帯域への移行もまたどう影響するか面白いところです。
またDSX1000はDSDファイル以外でのWAVやFLACはNASからも音楽再生が可能です。この場合はバッファローNASがとても良い相性であるようです。ただしバッファローNASのDSD再生にはDSX1000は対応していないようです。DSDファイルにか関してはMac/PCが必要です。
なおJRMCだけではなく、以前書いたminimServerも使えるようです(未確認)。
* 結果のまとめ
結果として今回わかったことはネットワーク経由のDSDネイティブ再生の手段としてDoPEはうまく機能しているということです。JRMCの画面でDSFファイルを選択してレンダラーであるDSX1000で正しく再生することができます。またPlugPlayerのようなiPadなどからのリモート操作も可能です。DSX1000の純正アプリだけでなく、標準的なDLNAアプリから見えるというのはDoPEという仕組みがDLNAの中でうまく効いているということです。
QBD76がネットワークプレーヤー化したようなDSX1000は興味のある方も多いと思います。DSX1000は発売予定ですが、準備中とのことです。
バッファローのNASとも異なる、このDoPE方式はこれからも海外製品を中心に広がることが期待されます。
2013年07月18日
Resonessenceの超小型DSD対応DACアンプ、HERUS
Resonessence labsがtwitterで超小型のDSD対応DAC内蔵ヘッドフォンアンプのプレビューを見せていました。
https://twitter.com/resonessence/status/357328521137369088/photo/1
これはDragonflyというよりはMeridian Explorerに近いもので、USB直さしではなく、片側にUSB B端子がついています。twitterでは片側しか見えてませんがこれは質問して確かめました。
DSDに対応するというのはここで明言されています。あとは搭載DACが新しいES9018-2M(または9016-2M)か従来的なES9023か、です。Concero HDにすでに9018-2Mを搭載していますので2Mはバスパワーでも問題ないようです。ただしこの超小型サイズではどうなんでしょうか。やはりラインレベルドライバーの内蔵している9023かとも思いますが、Dragonflyで9023を使用していますので、やはりResonessenceなら2Mでやってほしいところですね。
https://twitter.com/resonessence/status/357328521137369088/photo/1
これはDragonflyというよりはMeridian Explorerに近いもので、USB直さしではなく、片側にUSB B端子がついています。twitterでは片側しか見えてませんがこれは質問して確かめました。
DSDに対応するというのはここで明言されています。あとは搭載DACが新しいES9018-2M(または9016-2M)か従来的なES9023か、です。Concero HDにすでに9018-2Mを搭載していますので2Mはバスパワーでも問題ないようです。ただしこの超小型サイズではどうなんでしょうか。やはりラインレベルドライバーの内蔵している9023かとも思いますが、Dragonflyで9023を使用していますので、やはりResonessenceなら2Mでやってほしいところですね。
2013年07月04日
DSDイベント第4回を開催します
好評をいただいているDSDの概要をお伝えするイベントの第4回を7/20(土)に開催します。
場所は同じくタイムロードさんの六本木にあるショウルーム「遊」です。
内容は引き続き下記のように
・DSDネイティブ再生の経緯・背景
・DSDとPCM(比較試聴など)
・DSDネイティブ再生の機材とソフトウエアについて(予定: QBD76 HDSD、Audirvana Plus)
・DSDに力を入れているレーベルの紹介(Blue CoastとChannel Classicsなど)
…などなど。DSDとPCMの音源の聴き比べなども行います。開催時間は13時、15時です。
費用は無料ですが、申込予約制ですので下記の遊のFacebookを参照してお申し込みください。よろしくお願いします。
https://www.facebook.com/you.by.timelord
場所は同じくタイムロードさんの六本木にあるショウルーム「遊」です。
内容は引き続き下記のように
・DSDネイティブ再生の経緯・背景
・DSDとPCM(比較試聴など)
・DSDネイティブ再生の機材とソフトウエアについて(予定: QBD76 HDSD、Audirvana Plus)
・DSDに力を入れているレーベルの紹介(Blue CoastとChannel Classicsなど)
…などなど。DSDとPCMの音源の聴き比べなども行います。開催時間は13時、15時です。
費用は無料ですが、申込予約制ですので下記の遊のFacebookを参照してお申し込みください。よろしくお願いします。
https://www.facebook.com/you.by.timelord
2013年06月26日
1ビットオーディオ研究会(旧:1ビットオーディオコンソーシアム)のセミナーに参加しました
本日は1ビットオーディオ研究会(旧:1ビットオーディオコンソーシアム)のセミナーに参加してきました。
詳細は下記です。(PDFが開きます)
http://www.jas-audio.or.jp/jas-cms/wp-content/uploads/2013/06/2013-06_1bit-audio.pdf
* インターフェース株式会社
今回初めて参加しましたが目当てはまずインターフェース株式会社(長野・立川)さんのDoP/ASIO伝送方式のセミナーです。
最近DSD DACが急にどっと出てきたという印象を持つ人も多いでしょう。これは人気があるから流行だから雨後の竹の子的に出しているという見かたもあるかもしれませんが、それはちょっと短絡的で実は開発側からみた見方があります。
例えばPCオーディオの先鞭をきったアシンクロナス方式はWavelengthのゴードンがややこしいファームウェアをAyreなど各オーディオメーカーにライセンスしたことで一気に広がりました。USB Class2のときにはXMOSがありました。XMOSは独自のトランスピュータという新技術の小ロットでの柔軟性を宣伝するためにオーディオ分野でClass2を実装し、一気に広めました。ネットワークオーディオでもネットやスマートフォンアプリのソフトウエア基部を作る会社(StreamunlimitedやTIのnSDKなど)があります。そのため、「あの会社がネットワークやるの」、と思わせる製品が出てもおかしくありません。
このように現代PCオーディオではややこしいインフラを専門の会社が一手に引き受けてオーディオメーカーはそれにオーディオとしての回路を足すというのが一般的です。こうしてインフラが整ってどっと製品を出せる基礎ができるわけです。
そしてDSDの分野において難しいところを引き受けているキーとなるのが国内ではインターフェースさんです。インターフェースさんのホームページはこちらです。
http://www.itf.co.jp/
インターフェースさんでは2011年のdCS方式から研究を開始して、今ではTEACやLuxmanその他のDSD DACのファームウェアを担当してます。
伝送方式のセミナーの細部ははしょりますが、DoPでのマーカーの判別における処理の難しさ、それに関してのミュート処理、サンプルのバッファリングとフィードバックなどポイントと感じられました。
ASIOでは2.1からもともとDSDを認識できるのでDSD/PCMの切り替えもコマンドで伝送前に実施できます。音楽データを流しながら動的にDSDを判別しなければならないDoPとの違いがあります。
肝心のファームウェアはITF-DSD via USBというものでその実体はTIのTMS320C6748というDSPチップです。これは5.6Mまでの対応が可能で、これでDoPとASIOの両対応が可能です。ASIOの方が安定して良さそうであっても、MacではASIOが使えないことを考慮する必要があります。
またPC上のアプリケーションはITF-Audio Toolkitというのを用意してサンプルソースコードをベースに容易にWindows上でメーカーがDSD対応アプリケーションも作成できます。ドライバーもITF-Audio for WindowsというASIOドライバのカスタマイズベースを用意してます。こうしたトータルなソリューションでメーカーはDSD対応機器を手軽に作れるわけです。
今後はインターフェースさんの取り組みとしては安くしたい(まだTIのチップが高い)ということがテーマだそうで、これがうまく行けばもっと安いDSD対応機器が出てくるかもしれません。
またもう一方はiOSへの発展です。デモでは国内某ショップ製のDSD DACにiPad miniに独自アプリを入れて再生デモをしてました。カメラコネクションキットを経由していますね。iPadアプリはPCM(WAV)、DFF、DSFに対応しているようです。
iPadではDoPならDSDネイティブ再生できそうですが伝送方法はDoPではなく、なにやら言えない方式ということです。後述するKORGさんみたいにマーカーではなくコマンドで切り替えると思いますが、その場合はiOSの標準ドライバーを通過してるのが不思議ではあります。
少し担当の方とご挨拶させてもらいましたが、うちのブログもご存知ということでありがたいことです。
* LUXMAN
インターフェースさんがインフラの基礎部であれば、LUXMANさんはその上にオーディオとして製品を実際に作る立場です。大手メーカーでもDSDを扱うことで間口が広がることも期待できますね。
LUXMANさんは技術的なところよりもPCオーディオとDSDへの取り組みを中心にプレゼンしました。
オーディオ人気はいったん2000年頃に底に突き当たりますが、その後はゆるやかに回復基調にあるということ。これはPCオーディオが牽引役になってるのではないかとのことです。また年齢的にいうとLuxman的にはかつて60才台くらいにピークがあったがこれは定年後の趣味ということでオーディオを始めるためではないかとのこと。私が思ったのは一昔前のカメラと同じだなあということ。
LUXMANさんによると二年前くらいから30才台に少しピークが出てきているということです。これもいまのカメラと同じように思いますね。
思うんですが、オーディオはPCオーディオっていうコンピュータとの関わりで新しい市場を得てるのとおなじに、カメラもデジカメで同じことになりますね。つまりはPCオーディオっていうのはオーディオだけの流行ではなく、他の世界もそうであるようにコンピュータによる世代交代の流れをオーディオも受けているということだと思います。
またヘッドフォンの人気にもふれ、ヘッドフォンユーザーはスピーカーユーザーにいずれなるのではなく、別のユーザーであると感じているとのこと。
LUXMANではアナログ部分も重視してるが以前とは違い重いものはやめてくれというアンケート結果が増えて来たというのも面白いところです。小さくて良いものが求められる時代が来たと感じているとのこと。
またPCMとDSDとの比較試聴も行いました。
* KORG
KORGは1bitの雄ですが、同時に上記のグループとは別の道を歩んでいるように見えるのも興味深いところです。
KORGでは1bitの研究は2004年からはじめ、KORG U1という珍しい機器の紹介もありました。KORGのメインはご存知の通り、楽器とかDAWのオーディオインターフェースが主ですね。MR1とかMR1000の開発からAudioGateの初期UIのボツ写真など面白い紹介もありました(恥ずかしいのでブログには載せないでくれとのこと)。
興味を引いたのはAudioGateではCではなくSSD2アセンブリベースで高速化したということ。AudioGateって意外と音がいいんですけど、この辺が関係してるのかもしれません。聞いててかなりマニアックなことやってます。
もうひとつのポイントはClarityというDAWソフトで、ClarityはCPUネイティブ(PyramixなどのようにDSD専用ハードなしでソフトウエア処理する)で出来るDAWをめざしたということで、オーディオインターフェースとしてはUSBでMR0808Uを使用しています。AudioGateと親和性がありClarityの技術をAudiogateに活かすことも可能だそう。(ただ諸般の事情で製品化予定はないとのこと)
KORGさんで面白いのは最近発表されたDAC10(DSD対応のUSB DAC)のMac対応です。
普通ならASIOをMacでは使えないのでDoPですが、AudioGateではDSD/PCMでの切り替え時にClarityエンジンでのミュート処理とコンフリクトがあるので使用できなかったとのこと。そこでDAC10のMac対応ではコマンドでDSD/PCM切り替えをしてASIOに近い形でDACに送っているそうです。これは独自ドライバーとhogモードを駆使してます。
これは発表のあとでKORGの人に聞いて見たんですが、CoreAudioのAUでも実際はDoPのようなPCM見せかけの中身24bitのDSDではなく、32bitのDSDデータで通っているようです。AudioMidi上はDoPと同様の176k設定で見かけはPCMで通ってるけど中身は32bit詰まったDSDデータで、CoreAudioまではそれで通っているが、ドライバーはそれで通らないので独自ドライバーにしているということのようです。DSDをCoreAudioで通すためにはインテジャーモードが必要とAudirvanaのダミアンとも話したことがあるんですが、おそらくCoreAudioのところではDSD通すためにhogモードを使ってなにか同様な工夫してるんではないかと思います(想像ですが)。
KORGは1bitについてはハードだけではなく、ソフトウエアも低いレベルから独自に開発してきたのがよく分かりました。自社技術力があるのでDAC10のMacドライバーでDoPではなく、ちょっと標準とはことなる独自の道を選択するのもわかります。
* * *
今回は予定より倍以上の人がきて倍の部屋を使ったということで、人気のほどを伺えました。150人以上はきたようです。
質問コーナーでは1bitの利点について「アナログライク」のような感覚的な意見が多くて学問的ではないのではないか、なんて意見があったのはいかにも大学でやってるコンソーシアムかなと思うのも面白いところでした。
私としてはKORGは山崎研究室の流れを汲むのか、それでWSD(ワセダのアナグラム?)も対応しているのね、とかいろいろと国産DSD世界の関係もよくわかり、なかなか収穫多いセミナーでした。
詳細は下記です。(PDFが開きます)
http://www.jas-audio.or.jp/jas-cms/wp-content/uploads/2013/06/2013-06_1bit-audio.pdf
* インターフェース株式会社
今回初めて参加しましたが目当てはまずインターフェース株式会社(長野・立川)さんのDoP/ASIO伝送方式のセミナーです。
最近DSD DACが急にどっと出てきたという印象を持つ人も多いでしょう。これは人気があるから流行だから雨後の竹の子的に出しているという見かたもあるかもしれませんが、それはちょっと短絡的で実は開発側からみた見方があります。
例えばPCオーディオの先鞭をきったアシンクロナス方式はWavelengthのゴードンがややこしいファームウェアをAyreなど各オーディオメーカーにライセンスしたことで一気に広がりました。USB Class2のときにはXMOSがありました。XMOSは独自のトランスピュータという新技術の小ロットでの柔軟性を宣伝するためにオーディオ分野でClass2を実装し、一気に広めました。ネットワークオーディオでもネットやスマートフォンアプリのソフトウエア基部を作る会社(StreamunlimitedやTIのnSDKなど)があります。そのため、「あの会社がネットワークやるの」、と思わせる製品が出てもおかしくありません。
このように現代PCオーディオではややこしいインフラを専門の会社が一手に引き受けてオーディオメーカーはそれにオーディオとしての回路を足すというのが一般的です。こうしてインフラが整ってどっと製品を出せる基礎ができるわけです。
そしてDSDの分野において難しいところを引き受けているキーとなるのが国内ではインターフェースさんです。インターフェースさんのホームページはこちらです。
http://www.itf.co.jp/
インターフェースさんでは2011年のdCS方式から研究を開始して、今ではTEACやLuxmanその他のDSD DACのファームウェアを担当してます。
伝送方式のセミナーの細部ははしょりますが、DoPでのマーカーの判別における処理の難しさ、それに関してのミュート処理、サンプルのバッファリングとフィードバックなどポイントと感じられました。
ASIOでは2.1からもともとDSDを認識できるのでDSD/PCMの切り替えもコマンドで伝送前に実施できます。音楽データを流しながら動的にDSDを判別しなければならないDoPとの違いがあります。
肝心のファームウェアはITF-DSD via USBというものでその実体はTIのTMS320C6748というDSPチップです。これは5.6Mまでの対応が可能で、これでDoPとASIOの両対応が可能です。ASIOの方が安定して良さそうであっても、MacではASIOが使えないことを考慮する必要があります。
またPC上のアプリケーションはITF-Audio Toolkitというのを用意してサンプルソースコードをベースに容易にWindows上でメーカーがDSD対応アプリケーションも作成できます。ドライバーもITF-Audio for WindowsというASIOドライバのカスタマイズベースを用意してます。こうしたトータルなソリューションでメーカーはDSD対応機器を手軽に作れるわけです。
今後はインターフェースさんの取り組みとしては安くしたい(まだTIのチップが高い)ということがテーマだそうで、これがうまく行けばもっと安いDSD対応機器が出てくるかもしれません。
またもう一方はiOSへの発展です。デモでは国内某ショップ製のDSD DACにiPad miniに独自アプリを入れて再生デモをしてました。カメラコネクションキットを経由していますね。iPadアプリはPCM(WAV)、DFF、DSFに対応しているようです。
iPadではDoPならDSDネイティブ再生できそうですが伝送方法はDoPではなく、なにやら言えない方式ということです。後述するKORGさんみたいにマーカーではなくコマンドで切り替えると思いますが、その場合はiOSの標準ドライバーを通過してるのが不思議ではあります。
少し担当の方とご挨拶させてもらいましたが、うちのブログもご存知ということでありがたいことです。
* LUXMAN
インターフェースさんがインフラの基礎部であれば、LUXMANさんはその上にオーディオとして製品を実際に作る立場です。大手メーカーでもDSDを扱うことで間口が広がることも期待できますね。
LUXMANさんは技術的なところよりもPCオーディオとDSDへの取り組みを中心にプレゼンしました。
オーディオ人気はいったん2000年頃に底に突き当たりますが、その後はゆるやかに回復基調にあるということ。これはPCオーディオが牽引役になってるのではないかとのことです。また年齢的にいうとLuxman的にはかつて60才台くらいにピークがあったがこれは定年後の趣味ということでオーディオを始めるためではないかとのこと。私が思ったのは一昔前のカメラと同じだなあということ。
LUXMANさんによると二年前くらいから30才台に少しピークが出てきているということです。これもいまのカメラと同じように思いますね。
思うんですが、オーディオはPCオーディオっていうコンピュータとの関わりで新しい市場を得てるのとおなじに、カメラもデジカメで同じことになりますね。つまりはPCオーディオっていうのはオーディオだけの流行ではなく、他の世界もそうであるようにコンピュータによる世代交代の流れをオーディオも受けているということだと思います。
またヘッドフォンの人気にもふれ、ヘッドフォンユーザーはスピーカーユーザーにいずれなるのではなく、別のユーザーであると感じているとのこと。
LUXMANではアナログ部分も重視してるが以前とは違い重いものはやめてくれというアンケート結果が増えて来たというのも面白いところです。小さくて良いものが求められる時代が来たと感じているとのこと。
またPCMとDSDとの比較試聴も行いました。
* KORG
KORGは1bitの雄ですが、同時に上記のグループとは別の道を歩んでいるように見えるのも興味深いところです。
KORGでは1bitの研究は2004年からはじめ、KORG U1という珍しい機器の紹介もありました。KORGのメインはご存知の通り、楽器とかDAWのオーディオインターフェースが主ですね。MR1とかMR1000の開発からAudioGateの初期UIのボツ写真など面白い紹介もありました(恥ずかしいのでブログには載せないでくれとのこと)。
興味を引いたのはAudioGateではCではなくSSD2アセンブリベースで高速化したということ。AudioGateって意外と音がいいんですけど、この辺が関係してるのかもしれません。聞いててかなりマニアックなことやってます。
もうひとつのポイントはClarityというDAWソフトで、ClarityはCPUネイティブ(PyramixなどのようにDSD専用ハードなしでソフトウエア処理する)で出来るDAWをめざしたということで、オーディオインターフェースとしてはUSBでMR0808Uを使用しています。AudioGateと親和性がありClarityの技術をAudiogateに活かすことも可能だそう。(ただ諸般の事情で製品化予定はないとのこと)
KORGさんで面白いのは最近発表されたDAC10(DSD対応のUSB DAC)のMac対応です。
普通ならASIOをMacでは使えないのでDoPですが、AudioGateではDSD/PCMでの切り替え時にClarityエンジンでのミュート処理とコンフリクトがあるので使用できなかったとのこと。そこでDAC10のMac対応ではコマンドでDSD/PCM切り替えをしてASIOに近い形でDACに送っているそうです。これは独自ドライバーとhogモードを駆使してます。
これは発表のあとでKORGの人に聞いて見たんですが、CoreAudioのAUでも実際はDoPのようなPCM見せかけの中身24bitのDSDではなく、32bitのDSDデータで通っているようです。AudioMidi上はDoPと同様の176k設定で見かけはPCMで通ってるけど中身は32bit詰まったDSDデータで、CoreAudioまではそれで通っているが、ドライバーはそれで通らないので独自ドライバーにしているということのようです。DSDをCoreAudioで通すためにはインテジャーモードが必要とAudirvanaのダミアンとも話したことがあるんですが、おそらくCoreAudioのところではDSD通すためにhogモードを使ってなにか同様な工夫してるんではないかと思います(想像ですが)。
KORGは1bitについてはハードだけではなく、ソフトウエアも低いレベルから独自に開発してきたのがよく分かりました。自社技術力があるのでDAC10のMacドライバーでDoPではなく、ちょっと標準とはことなる独自の道を選択するのもわかります。
* * *
今回は予定より倍以上の人がきて倍の部屋を使ったということで、人気のほどを伺えました。150人以上はきたようです。
質問コーナーでは1bitの利点について「アナログライク」のような感覚的な意見が多くて学問的ではないのではないか、なんて意見があったのはいかにも大学でやってるコンソーシアムかなと思うのも面白いところでした。
私としてはKORGは山崎研究室の流れを汲むのか、それでWSD(ワセダのアナグラム?)も対応しているのね、とかいろいろと国産DSD世界の関係もよくわかり、なかなか収穫多いセミナーでした。
2013年06月16日
DSDイベント第3回終了しました
タイムロードのショウルーム「遊」で開催された私が解説を担当しますDSDイベントの第3回が終了しました。
ご来場いただいた方々、ありがとうございました。
雨の予報のところ、気持ちよく晴れましたので良かったと思います。
その模様は「遊」のFacebookページに記載されています。
また近いうちに第4回を開催すると思いますので情報をチェックしておいてください!
ご来場いただいた方々、ありがとうございました。
雨の予報のところ、気持ちよく晴れましたので良かったと思います。
その模様は「遊」のFacebookページに記載されています。
また近いうちに第4回を開催すると思いますので情報をチェックしておいてください!
2013年06月09日
DSD専用DAC登場、LAMPIZATOR DSD DAC
最近はDSD DACもさまざま出ていますが、たいていは従来のPCM DACにDSD機能を加えたものです。
しかし、このLAMPIZATOR DSD DACはなんとDSD専用のDACです。ポーランド製で4月頃にアナウンスがあり、6/8から3000ユーロで販売されています。
DSD専用としたのは従来のPCMとは方式が違いすぎるのでひとつの箱に入れるため妥協するのは難しいということと、(従来の)DSD DACは周辺環境を汚しがちになる(電源ノイズ的にということでしょうね)ということからだそうです。
http://www.lampizator.eu/newdac/lampizator/DSD_DAC.html
このDACの面白いところはDSD入力専用というだけではなく、DAプロセスにシリコン(半導体)を使っていないということです。つまりこれはESSのような従来的なDACチップを使っていないというだけではなく、DAC部分を真空管を使ったDAプロセスを作っているということのようです。この辺は前にポール社長の記事で書いたところのローパスフィルタリングのあたりだと思います。その後でまた真空管で増幅しているとのこと。
この辺は発表当時(プロトタイプ)は昔ながらのFMラジオの手法を応用したとありましたが、今回の製品版ではそれだと品質が悪かったので別の手法を用いているという風に試行錯誤したようにも書いてあります。
入力はUSBのみのようで、DSD64とDSD128に対応しています。PCからのDSD送信方式は書いていませんが、MacOSでは標準ドライバーで送れるということなのでDoPだと思います。またDSD DAC部分はここのDAC製品の一部には追加できるということでその場合にはPCM/DSD両方使えると思います。DSD DACは基本RCA出力でバランス対応は別オプションとのこと。
最近では下記でAntelopeもDSDへ?と書きましたが、http://vaiopocket.seesaa.net/article/319095830.html
AntelopeはNewportビーチのTHE ShowでPlutinumというDSD256(11M)対応(内部アップサンプリング対応)のようなDSD DACを出しています。レビン社長は前はDSD興味ないという風に言ってたんですが、、
http://www.antelopeaudio.com/blog/antelope-audio-unveils-zodiac-platinum-a-768-khz-dsd-dac-that-raises-the-gold-standard-in-da-conversion/
この前書いたネットワークへのDSDネイティブ再生の応用もありますし、DSD関連もますます多様化しているのでしょうね。
しかし、このLAMPIZATOR DSD DACはなんとDSD専用のDACです。ポーランド製で4月頃にアナウンスがあり、6/8から3000ユーロで販売されています。
DSD専用としたのは従来のPCMとは方式が違いすぎるのでひとつの箱に入れるため妥協するのは難しいということと、(従来の)DSD DACは周辺環境を汚しがちになる(電源ノイズ的にということでしょうね)ということからだそうです。
http://www.lampizator.eu/newdac/lampizator/DSD_DAC.html
このDACの面白いところはDSD入力専用というだけではなく、DAプロセスにシリコン(半導体)を使っていないということです。つまりこれはESSのような従来的なDACチップを使っていないというだけではなく、DAC部分を真空管を使ったDAプロセスを作っているということのようです。この辺は前にポール社長の記事で書いたところのローパスフィルタリングのあたりだと思います。その後でまた真空管で増幅しているとのこと。
この辺は発表当時(プロトタイプ)は昔ながらのFMラジオの手法を応用したとありましたが、今回の製品版ではそれだと品質が悪かったので別の手法を用いているという風に試行錯誤したようにも書いてあります。
入力はUSBのみのようで、DSD64とDSD128に対応しています。PCからのDSD送信方式は書いていませんが、MacOSでは標準ドライバーで送れるということなのでDoPだと思います。またDSD DAC部分はここのDAC製品の一部には追加できるということでその場合にはPCM/DSD両方使えると思います。DSD DACは基本RCA出力でバランス対応は別オプションとのこと。
最近では下記でAntelopeもDSDへ?と書きましたが、http://vaiopocket.seesaa.net/article/319095830.html
AntelopeはNewportビーチのTHE ShowでPlutinumというDSD256(11M)対応(内部アップサンプリング対応)のようなDSD DACを出しています。レビン社長は前はDSD興味ないという風に言ってたんですが、、
http://www.antelopeaudio.com/blog/antelope-audio-unveils-zodiac-platinum-a-768-khz-dsd-dac-that-raises-the-gold-standard-in-da-conversion/
この前書いたネットワークへのDSDネイティブ再生の応用もありますし、DSD関連もますます多様化しているのでしょうね。
2013年06月04日
DSDイベント再開します
今年の始め1月2月にタイムロードさんのショウルーム「遊」でDSDの概要を説明するというイベントを行い、好評を得ました。そのあとで都合により中断した形になっていたんですが、また6月度で実施したいと思います。
基本的には前回と同じ内容で行い、この間の新しいトピックにも少し触れようと思います。入門編とは題していますが、概要編と言った方が良いかもしれません。最近よく聞くこのぽっと出てきたようなDSDってものはなに?というところに焦点を当てていろいろとカバーしていきたいと思います。
大まかな内容は下記のとおりです。
・DSDネイティブ再生の経緯・背景
・DSDとPCM(比較試聴など)
・DSDネイティブ再生の機材とソフトウエアについて
・DSDに力を入れているレーベルの紹介
…などなど。DSDとPCMの音源の聴き比べなども行います。開催時間は13時、15時です。
費用は無料ですが、申込予約制ですので下記の遊のFacebookを参照してお申し込みください。よろしくお願いします。
https://www.facebook.com/you.by.timelord
よろしくお願いします。
基本的には前回と同じ内容で行い、この間の新しいトピックにも少し触れようと思います。入門編とは題していますが、概要編と言った方が良いかもしれません。最近よく聞くこのぽっと出てきたようなDSDってものはなに?というところに焦点を当てていろいろとカバーしていきたいと思います。
大まかな内容は下記のとおりです。
・DSDネイティブ再生の経緯・背景
・DSDとPCM(比較試聴など)
・DSDネイティブ再生の機材とソフトウエアについて
・DSDに力を入れているレーベルの紹介
…などなど。DSDとPCMの音源の聴き比べなども行います。開催時間は13時、15時です。
費用は無料ですが、申込予約制ですので下記の遊のFacebookを参照してお申し込みください。よろしくお願いします。
https://www.facebook.com/you.by.timelord
よろしくお願いします。
2013年05月29日
ネットワークプレーヤーにおけるDSDネイティブ再生の考察
最近ネットワーク経由のDSDネイティブ再生についてはJRMCのDoPE(DoP Ethernet)とかバッファローのDSD対応NASとかいろいろ出てきてわかりにくくなってきたんで自分なりにまとめてみました。(前回の記事も参考にお読みください)
このDSDネイティブ再生に限らずデータ伝送というものを考える際のポイントは伝送している中身はなにか?それをどう知るのか?ということです。本記事ではこの点に着目して考察していきます。
*PC上でのDSDネイティブ再生
例) PC->USB->DSD対応 DAC
まずPCの(従来の)USBでのDSDネイティブ再生ですが、まず再生ソフトウエアはハードディスクなどからDSDファイルを読みます。このときはファイルの拡張子で中身が何かを知ることができます。そして再生ソフトウエアからドライバーやCoreaudio経由でDACに転送するときは、これらの続くシステムソフトウエアが中身がPCMかDSDかを知ることが重要です。これはUSBにしろSPDIFにしろ、オーディオデータとしてハードにアクセスするときに搬送するフォーマットを知る必要があるからです。つまり単なるバイナリの塊ではなく、クロックとかサンプル、タイミングというものを意識したオーディオデータとしてドライバーがDACに送っているからですね。それゆえ中身としてDSDを認識できないシステムソフトウエア(ASIO以外のほとんど)では一般的なPCMに見せかけたDoPが必要になります。以降はこれを踏まえてご覧ください。
*ネットワークプレーヤーにおけるDSDネイティブ再生
例) NAS->DLNA->DSD ネットワークプレーヤー
- DLNAでのネットワーク接続
ネットワーク経由でのDSDネイティブ再生ですが、ネットワークにもいろいろあります。そこではじめにDLNAの話をします。
DLNAというのは決め事のようなもので、実体はプロトコルとしてuPnPを使用しています。またuPnPはつまるところhttpを使用しています(ウエブと同じ)。すなわち一番下のレイヤーはhttpです。(アプリケーション層では一番下という意味です、と書いておきます)
ここでのポイントはhttpはどうやって伝送している中身を知るか、ということです。それはファイルの拡張子ではなく、インターネット上の約束事であるMIMEタイプを使います。これは歴史的な理由からですが、MIMEは元は電子メールのためのものです。もともとインターネットはアメリカの文化ですから英字(ABC)だけ表現すればよく、それは7bitで足ります(これをASCIIコードといいます)。そのため初期のインターネットは7bitでのデータ送信を前提にしていました。
しかしネットが進化して日本語のように漢字や半角カナが使われたり画像が送られるようになると7bitではなく8bitをフルに使ってさらに2バイト以上の表現が必要になってきました。これを識別するのがMIMEです。MIMEはインターネット上の拡張子といっても良いかもしれません。MIMEを省略した場合にはインターネットの約束として7bitのASCIIテキストとみなされます。(これは見かけ上はUTF8のBOMなしと同じという点がミソなのですが、別の話なので省略します)
MIMEタイプがないとPCで言うとファイルの拡張子がないのと同じですから受け手は開き方が分かりませんし、送り手は伝送の仕方が分かりません。MIMEは具体的に書くと(audio/wav)のような記述です。
ストリーミングはファイル転送しながら逐次再生することと同じです。ストリーミング再生はhttpだけではありませんが、http(DLNA)ではMIMEタイプを知ることでストリーミング再生とかライブラリの取得ができるというわけです。
次にこれを踏まえたDLNAの問題点です。それはDSDファイルがMIMEタイプとして標準化されていないという点です。
実のところ昨年の春のハイエンドショウの時点ですでにスフォルツァートがDSD対応のネットワークプレーヤーを出していましたが、これはWAVにDoPを埋め込むといういわゆるminimServerでいうところのトランスコードしていたわけです。スフォルツァートはDLNA対応ですが、なぜこうしていたかというと、DLNAというものがMIMEタイプでDSDを規定していないからです。DSDファイル形式を考えに入れていないからメディアサーバー内(NAS)のDSDファイルがそもそも見えないということによります。下記に記事を書いています。
2012/5/19のハイエンドショウ記事
今回発表されたバッファローの「DSD対応NAS」は下記のitmediaリンクを見ると書いてありますが、「拡張子」を変えたとありますがこれはMIMEタイプのことでしょう。これを仮に規定することでDLNAでのDSDの再生やリストというものができるようになったというわけです。
itmediaリンク- DSDのネットワーク再生を推進するバッファロー
- DoPE(DoP Ethernet)とは
一方でこれまで見てきたDLNA改良の枠内でDSD再生が可能ならば、DoPEとはなにか、これは必要なのかということが問題となります。
なぜかというと、DLNAでDSDがaudioデータとして伝送されるならば、http上はサンプルとかクロックを意識しないバイナリの塊ですからファイルの中身がPCMかDSDかは気にしないはずです(PCで言えばバルク転送)。つまりPCMに見せかける必要もなく、DoPは必要ないはずです。上で書いたように本来ネットワークサーバーではDSDファイルそのままで転送できるはずなので、DoPのようにPCMエンコードというひと手間をかける必要はないように思えます。
これはJRMCのエンジニアに直接聞いてみたんですが、やはり私の上の考えは正しいようで、ネット上でDoP(PCM)にする必要性は本来はないそうです。それではDoPE(DoP Ethernet)とはなにかというと、RenduなどはもともとMinimServer(DLNAメディアサーバー)がサポートしているトランスコードの仕組みでDSDネイティブ再生がなされています。トランスコードはつまり昨年のスフォルツァートのような中身がDSD(DoP)でガワはWAVみたいなやつです。基本的にこの転送に対応しているように設計しているので、DSDに関してはDSDそのままではなく、DoPエンコードを前提としています。
つまりJRMCからRenduにDLNAの仕組み(=uPnP/http)でネット経由で送るときにも本来はDSDそのもので送れるにしても、Renduの都合を考えてDoPでエンコードして送っているわけです。DoPEではMIMEタイプはaudio/wavを使用しているということです。つまりDoPEとはMinimServerで言っているトランスコードと同じですね。ファイルはWAVで中身をDSD(DoP)にしています。
JRMCエンジニアの話によるとDoPEの必要性はこうしてDoPを必要とするレンダラーに送信できると共に、DSDフォーマットをWAVに統一できるというメリットがあるということです。
- DLNA以外のネットワーク接続
またネット越し(ネットワーク透過)といってもDLNAだけではありません。OppoではSMBではDSDネイティブ再生できているけど、DLNAではできないという問題もあったようです。(対応予定とのこと)
前述したように問題にしているのはhttpでのmimeタイプですから、OppoのSMB接続はこの点(DLNAでのMIME問題)は問題にならないですね。SMBはファイルシステムの延長ですから、中身が何かは通常のPCの拡張子でわかります。
SMBの下位はNetBIOSですから転送というより共有ですね。NetBIOSでOKということは、Samba使えばLinuxでもオーケーということです。OppoとMPDではこれで大丈夫ではないかと思います。
*
ちなみにネットワークでのDSDネイティブ再生と言っているものはどの場合でもそうですが、PC上でローカルにUSBやSPDIFでDACにDSDデータを伝送しているのとは話しているレベルが違います。ネットワークでのDSDネイティブ再生と言っているのはPC上でローカルの場合で言うと再生プレーヤーソフトがファイルを読む段階の話です。DACに出すときの話ではありません。端的に言うとPC上ではHDDからDSDファイルを簡単に読めますが、そのファイルがネット越しにあると読むのにひと工夫必要になるということです。
このDSDネイティブ再生に限らずデータ伝送というものを考える際のポイントは伝送している中身はなにか?それをどう知るのか?ということです。本記事ではこの点に着目して考察していきます。
*PC上でのDSDネイティブ再生
例) PC->USB->DSD対応 DAC
まずPCの(従来の)USBでのDSDネイティブ再生ですが、まず再生ソフトウエアはハードディスクなどからDSDファイルを読みます。このときはファイルの拡張子で中身が何かを知ることができます。そして再生ソフトウエアからドライバーやCoreaudio経由でDACに転送するときは、これらの続くシステムソフトウエアが中身がPCMかDSDかを知ることが重要です。これはUSBにしろSPDIFにしろ、オーディオデータとしてハードにアクセスするときに搬送するフォーマットを知る必要があるからです。つまり単なるバイナリの塊ではなく、クロックとかサンプル、タイミングというものを意識したオーディオデータとしてドライバーがDACに送っているからですね。それゆえ中身としてDSDを認識できないシステムソフトウエア(ASIO以外のほとんど)では一般的なPCMに見せかけたDoPが必要になります。以降はこれを踏まえてご覧ください。
*ネットワークプレーヤーにおけるDSDネイティブ再生
例) NAS->DLNA->DSD ネットワークプレーヤー
- DLNAでのネットワーク接続
ネットワーク経由でのDSDネイティブ再生ですが、ネットワークにもいろいろあります。そこではじめにDLNAの話をします。
DLNAというのは決め事のようなもので、実体はプロトコルとしてuPnPを使用しています。またuPnPはつまるところhttpを使用しています(ウエブと同じ)。すなわち一番下のレイヤーはhttpです。(アプリケーション層では一番下という意味です、と書いておきます)
ここでのポイントはhttpはどうやって伝送している中身を知るか、ということです。それはファイルの拡張子ではなく、インターネット上の約束事であるMIMEタイプを使います。これは歴史的な理由からですが、MIMEは元は電子メールのためのものです。もともとインターネットはアメリカの文化ですから英字(ABC)だけ表現すればよく、それは7bitで足ります(これをASCIIコードといいます)。そのため初期のインターネットは7bitでのデータ送信を前提にしていました。
しかしネットが進化して日本語のように漢字や半角カナが使われたり画像が送られるようになると7bitではなく8bitをフルに使ってさらに2バイト以上の表現が必要になってきました。これを識別するのがMIMEです。MIMEはインターネット上の拡張子といっても良いかもしれません。MIMEを省略した場合にはインターネットの約束として7bitのASCIIテキストとみなされます。(これは見かけ上はUTF8のBOMなしと同じという点がミソなのですが、別の話なので省略します)
MIMEタイプがないとPCで言うとファイルの拡張子がないのと同じですから受け手は開き方が分かりませんし、送り手は伝送の仕方が分かりません。MIMEは具体的に書くと(audio/wav)のような記述です。
ストリーミングはファイル転送しながら逐次再生することと同じです。ストリーミング再生はhttpだけではありませんが、http(DLNA)ではMIMEタイプを知ることでストリーミング再生とかライブラリの取得ができるというわけです。
次にこれを踏まえたDLNAの問題点です。それはDSDファイルがMIMEタイプとして標準化されていないという点です。
実のところ昨年の春のハイエンドショウの時点ですでにスフォルツァートがDSD対応のネットワークプレーヤーを出していましたが、これはWAVにDoPを埋め込むといういわゆるminimServerでいうところのトランスコードしていたわけです。スフォルツァートはDLNA対応ですが、なぜこうしていたかというと、DLNAというものがMIMEタイプでDSDを規定していないからです。DSDファイル形式を考えに入れていないからメディアサーバー内(NAS)のDSDファイルがそもそも見えないということによります。下記に記事を書いています。
2012/5/19のハイエンドショウ記事
今回発表されたバッファローの「DSD対応NAS」は下記のitmediaリンクを見ると書いてありますが、「拡張子」を変えたとありますがこれはMIMEタイプのことでしょう。これを仮に規定することでDLNAでのDSDの再生やリストというものができるようになったというわけです。
itmediaリンク- DSDのネットワーク再生を推進するバッファロー
- DoPE(DoP Ethernet)とは
一方でこれまで見てきたDLNA改良の枠内でDSD再生が可能ならば、DoPEとはなにか、これは必要なのかということが問題となります。
なぜかというと、DLNAでDSDがaudioデータとして伝送されるならば、http上はサンプルとかクロックを意識しないバイナリの塊ですからファイルの中身がPCMかDSDかは気にしないはずです(PCで言えばバルク転送)。つまりPCMに見せかける必要もなく、DoPは必要ないはずです。上で書いたように本来ネットワークサーバーではDSDファイルそのままで転送できるはずなので、DoPのようにPCMエンコードというひと手間をかける必要はないように思えます。
これはJRMCのエンジニアに直接聞いてみたんですが、やはり私の上の考えは正しいようで、ネット上でDoP(PCM)にする必要性は本来はないそうです。それではDoPE(DoP Ethernet)とはなにかというと、RenduなどはもともとMinimServer(DLNAメディアサーバー)がサポートしているトランスコードの仕組みでDSDネイティブ再生がなされています。トランスコードはつまり昨年のスフォルツァートのような中身がDSD(DoP)でガワはWAVみたいなやつです。基本的にこの転送に対応しているように設計しているので、DSDに関してはDSDそのままではなく、DoPエンコードを前提としています。
つまりJRMCからRenduにDLNAの仕組み(=uPnP/http)でネット経由で送るときにも本来はDSDそのもので送れるにしても、Renduの都合を考えてDoPでエンコードして送っているわけです。DoPEではMIMEタイプはaudio/wavを使用しているということです。つまりDoPEとはMinimServerで言っているトランスコードと同じですね。ファイルはWAVで中身をDSD(DoP)にしています。
JRMCエンジニアの話によるとDoPEの必要性はこうしてDoPを必要とするレンダラーに送信できると共に、DSDフォーマットをWAVに統一できるというメリットがあるということです。
- DLNA以外のネットワーク接続
またネット越し(ネットワーク透過)といってもDLNAだけではありません。OppoではSMBではDSDネイティブ再生できているけど、DLNAではできないという問題もあったようです。(対応予定とのこと)
前述したように問題にしているのはhttpでのmimeタイプですから、OppoのSMB接続はこの点(DLNAでのMIME問題)は問題にならないですね。SMBはファイルシステムの延長ですから、中身が何かは通常のPCの拡張子でわかります。
SMBの下位はNetBIOSですから転送というより共有ですね。NetBIOSでOKということは、Samba使えばLinuxでもオーケーということです。OppoとMPDではこれで大丈夫ではないかと思います。
*
ちなみにネットワークでのDSDネイティブ再生と言っているものはどの場合でもそうですが、PC上でローカルにUSBやSPDIFでDACにDSDデータを伝送しているのとは話しているレベルが違います。ネットワークでのDSDネイティブ再生と言っているのはPC上でローカルの場合で言うと再生プレーヤーソフトがファイルを読む段階の話です。DACに出すときの話ではありません。端的に言うとPC上ではHDDからDSDファイルを簡単に読めますが、そのファイルがネット越しにあると読むのにひと工夫必要になるということです。