さて、到着してから数時間ずっと音楽をいろいろなジャンルで聴いていました。
システムはいつものLINN IKEMIとHD-1Lで聴いています。Luxman P-1で聴くとまた印象が違うかもしれませんが、今日はアンプを暖めていないので今晩はずっとHD-1Lで聴きます。
本来はエージングしてからコメントした方がよいという話もじゅうじゅう承知していますが、なにせ時間が経つとコメントを書く気も薄れてきますので(笑)この買ったあたりで興奮しているときが一番筆が走るわけです。
さすがにK1000のときは買ったばかりだとちょっと書くのに困るところがありましたが、これは箱から出してすぐいい音を出します。エージングが長く必要というコメントもありますが、全体に音がきつくないのですぐに楽しめると思います。
ルックスはさきの写真の通り大変きれいなものです。パーツはプラも多く使っていますが、仕上げがきれいでチープさは感じません。
サイズ調節はAKGの特徴的なゴムバンド方式で装着感は悪くないですが、全体に大きさがやや小さ目かもしれません。
能率の低さを考えても音はそう取りにくいというほどではありませんが、オーテクなどよりは確実にボリュームは高めになります。だいたいL-3000とかEdition7だとHD-1Lの8時から9時で聴いてますが、K701は9時から10時くらいになります。
ぱっと聴くと細かい音も拾うけど音数が多いというよりも音の響きがきれいなタイプに聴こえます。響きといっても木製ハウジングモデルのようなハウジングの響きではなく音の余韻(とか倍音)の部分をきれいに描くのでとても音がきれいに聴こえる感じです。
AKGの美点ともいえるかもしれませんが、K701のヴォーカルは秀逸です。LINNのIKEMIもヴォーカルには定評のあるCDPなのでシナジーもあり思わず聴きこんでしまいます。また楽器の音もとてもきれいです。K1000的な音色の良さはきちんと受け継がれていますね。
高域もきれいでバイオリンの鳴りもいいので高域の解像力もあると思います。ただ静電型などと比べるともう少し上の伸びがほしいと思うかもしれません。サ行(S音)チェックもいつものロザンヌ・キャッシュ(カントリーシンガー)の女声ナレーションで行いました。悪くはありませんが、いまの段階だと少し高域にきつさを残します。
低音は量的にも十分あってL-3000のようにありすぎるわけではないですが、人の好みによっては多いと感じるだろうくらいはあると思います。またかなり下に伸びるので低域の質は高く感じます。
またベースのピチカートのタイトさもそれなりに良いですしスピード感もわりとありますが、音の定位という意味でのイメージングも含めてこの辺はちょっとコメントを留保したいところでアンプを換えてからまたコメントしたいと思います。
K701は事前に伝え聞かれるコメントでも盛り上がってしまいました。音の広がりがすごいというコメントがわりと多かったように思いますが、二次元的な意味ではそれほどという感じはしません。ただしさきに書いたような豊かな広がり感があり、開放型の特徴とあいまって音響効果の良いコンサートホールで鳴っているという感じはします。
それと一番初めにGRADO的というコメントを引用したのがありましたが、GRADOの特徴を明るく軽いと捉えるとK701はちょっと違うかもしれません。もう少しニュートラルですね。
ノリがよいという言い方をするとそうかもしれません。そういう意味ではK701は室内楽に向いているかと思えば、エレクトロニカなんかでもかっこいいですし音楽のジャンルは意外とオールラウンドに鳴らすと思います。わたしはK501は持ってないのでそれに比べてというわけではなく絶対評価ですが、そのうち聴き比べしてみたいものです。
低音のインパクトも十分あるのでロックでもいいですが、ディストーションギターや暴力的なサックスで暴れて欲しいところでもきちんと抑制して上品にならすのでそういうむきには物足りなさを感じるかもしれません。ロックでも「大人のロック」になりますね。やはりそうした意味では行儀の良い音楽に向いているとはいえるかもしれません。さすがにオーストリアはウィーンの血筋を感じます。
全体に私はかなり気に入りました。とにかく聴いていて気持ちがよいと感じるヘッドホンです。
値段を忘れて少しハイレベルな文句を言うともう少しクリアな抜けの良さがほしいけれども、エージングというよりはケーブルのような気がします。ケーブル交換の価値は高そうです。わたしはラリーさん待ちですね。
HD650のような音の濃さとは違うけどクラシックやジャズをきちんと鳴らすような音の正確さと音色のよさ、それに音の迫力がうまくバランスされていると思います。K701の音の傾向を考えるに、低能率とインピーダンスの低さがいいバランスのような気がしますね。また抑制がうまくされていてとても聴き易く感じますし、音色の良さもあって長時間聴いていたくなります。
Edition7のような強烈さはないけれどもきつさもありません。K1000やL-3000のような個性的な音ではないけど、魅力的なルックスも含めて美しいかたちと美しい音で完成度と満足度はかなり高いと思います。