Music TO GO!

2008年06月02日

PS AudioのCDトランスポートとDDコンバーター

最近はわたしもLINN Sneaky DSなど、ソース機器の新しい形として配信・ネットワーク・HDDトランスポートを考えることが多いんですが、PS AudioのニュースレターにPS Audioが開発中と以前に書いたCDトランスポートシステムの現状が載っていました。
ちょっと面白いことが書いてありますので、公開情報からその辺をまとめてみます。
ちなみにいつものことですが、うちのブログは単に私が納得したり思うことをつらつらと独り言的にここに書いているだけなので、内容については正しいかどうか分かりませんので、念のため。(今回特にそうですが)

以前書いたPS Audioの新型CDトランスポートですが、前に書いた時はLamda MPという名前でした。
下記リンクは今年のCESのときの展示の模様です。ここではMemory Linkとして紹介されています。

http://blog.stereophile.com/ces2008/010808psps/

LamdaというのはPS Audioでのトラポの伝統ある名前らしく、MPはMemory Playerです。これはLamda MPがCDを時系列的に読んでエラー時には補正するというのではなく、PCでのRIPのようにエラー訂正のときは読めるまで戻りながら読み込みを行い、最終的にメモリバッファにためたものを出力する、というところから来ています。
(とはいっても公開されているところではバッファは3分ということなので、全てRIPしてしまうということでもないようです)

それが名前が変わってきて、ちょっと前はUltra MPとかUniversal MPと呼ばれてたんですが、最近はPWT(Perfect Wave Transport)と呼んでいます。これはいままでにないものを作りたいので名が体を示すようにと言う意味があるようです。
また以前書いたようにLensと呼ばれるDDコンバーターも同時に開発されています。
というか、実のところ中核となるのはそのLensの部分と言えるかもしれません。PWT=lens+RIP機能+アルファとも見えます。また、後で書くようにPWTではいずれにせよLensの機能が必要になります。

その中核の共通部分ですが、通常はDACのフロントエンドなどではデジタルデータのクロックをリクロックを行ってより正確なデータにしようとしますが、PWT/Lensではクロックそのものをはぎとって、まったく独自の超高精度内部クロックに付け替えるということです。このために、PWT/Lensでは固有クロックを二系統持つそうです。これは44.1の偶数倍周波数と48の偶数倍周波数に対応するためだそうですが、実際は最大周波数のものを二つ持って、それ以外は2で割って求めるということです。
もっともPWTの場合はCDからはパソコンが読むようにデータを読むので、その時点ではSPDIFではなく、ただのビットデータの羅列というわけです。Lensの場合はSPDIFのデータからクロックをはぎとってオーディオデータをバッファリングするとのことです。このときに動的に大きさを変えたバッファを作成して、入力信号とLens固有クロックの差を吸収するとのこと。この結果としてただのビットデータ(ワードデータ)となりますので、PWTのrip結果同様にクロックを付加するということのようです。

Digital LinkIIIもASRCという方式でリクロックをするのですが、従来のリクロックとPWT/Lensの方式の違いについて、PS Audioでは自らの電源コンディショナー製品を例に説明しています。
つまり普通の電源コンディショナーでは壁コンセントからのノイズの混じった汚い波形のACをフィルターをかけてきれいにして、アンプに送ろうとするものです。そこをPS Audioのパワープラントシリーズなどでは壁からの汚いAC波形をいったん捨ててクリーンなDCにしてから、自分の中できれいな正弦波をつくってきれいな波形でACを作り直します。それとおなじでジッターをフィルターをかけてきれいにしようとするリクロックではなく、まったく新しくクロックを作り直すという考え方だ、ということのようです。


PWTは前に書いたように、CDプレーヤーのように逐次にデータを読むのではなく、パソコンのリッピングのようにエラーがあったら戻りながらデータを読みます。実際にこの部分のファームウエアはパソコンでも海外ではよくつかわれるRipperのEAC(Exact Audio Copy)をモディファイしたものになるようです。そのためこの時点では(ビットパーフェクトだけれども)単なるCDから読んだビットデータの羅列ですが、先のようにLensを利用してあとで整列させ直してクロックを付加してSPDIFにします。
たしかにこの方式だと、前に書いたような生産CDとマスターCDRの音の違いなどは出てこなくなるかもしれません。実際にPWTにディスク状況をアナライズするツールもつけるようです。
このようにPWTはCDトランスポートというより、CDアプライアンスといいたくなるような側面があります。ちなみにOSにはLinuxを使用しているようです。(アプライアンスはNASのように目的に特化したコンピューターのことです)
そのため、操作パネルは4インチの(タッチ式?)カラー液晶を持っていて、機能設定からプレイリストまで広く設定できます。
そして注目すべき点はPWTはネットワーク端子とUSB端子をもっているので、NASにリップしたデータを格納できるようです(フォーマットは不明)。またNASからのデータをDSのように読むこともできるようです。これはPWT-NASというオプションで、基本構成に追加するオプションのようになるようです。

では、PCを使うのとどうちがうのか、という根本的な問いがでますが、結局のところDSのところでも書いたようにPCを使う方式とは、設計時点からオーディオ的なスタンスが違うということになるのでしょうか。
また、もしLensの方がDSのようにネットワーク機能が付くなら、これはLINN DSの対抗馬としてとっても魅力的に思いますがちょっと分かりません。
ただPS Audioの場合はNASの形式とか、保存フォーマットとか、DLNAのような規格への対応とか、ネットワーク面に関してはLINN DSのようにオープンアーキテクチャ採用というアプローチで来るかはまだ不透明です。

出てくるのは秋からそれ以降になると思いますが、ちょっと悩むところが増えた気分です。。
posted by ささき at 23:31 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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