季節もそろそろあたたかくなり、ジャケットを羽織らないことも多くなりました。あたたかくなると、ポケットが小さくなりポータブルオーディオの隠れ場所もだんだんなくなります。
ポータブルの最小構成を考えるとnano+Xin MicroとかiBasso T2なんかがあるかもしれませんが、ときにはiPodとイヤホンだけ、という組み合わせに立ち返りたくなります。Head Direct RE1ではアンプ前提と言うセットアップでしたが、ここではアンプなしというセットアップを考えてみました。
IMAGEのところで直でもnanoとの組み合わせなんかはわりといいと書きましたが、DAPにイヤホン直というのもHeadfierとしてはさみしい、ちょっとひと工夫ほしいという時の選択のひとつはこのアッテネーターです。これはapuresoundの75Ωのアッテネーターです。
アッテネーター自体はめずらしいものではありませんが、良い組み合わせと言うのがあると思います。IMAGEにはこのapuresoundのアッテネーターがよく合うと思います。
これだけですが、IMAGEとnanoやiPod5.5Gと組み合わせた効果は大きく、DAPから直のもやっとして締まりが悪くノイズフロアが高い泥濘の感じがなくなり、音はシャープにきりっと締まり切れも良くなります。ただし音量位置は大きくしなければなりません。
IMAGEはUE11などと違ってアッテネーターなしでも背景ノイズが気になるということはありませんが、こうすることでより音は洗練されてオーディオらしく聴こえます。
イヤホンにアッテネーターをつけて音をタイトに補正すると、イコライザーの意味も変ってきます。たとえばiPodのrock設定だと低音はかなり強調されますので、IMAGEをnanoに直付けしただけだとIMAGEの低音がもともと強いため、低域が膨らんでぶよっとしてしまいます。しかしアッテネーターをつけてから同じrockを適用すると低音の量は多くても締まってコントロールされているため、気持ち良くパンチがあるように印象は変わります。
このように適度にイコライザーを設定することでバランスを取るとなかなか使える感じにはなりますが、フォルテシモではやはり音が割れることはあります。低域もイコライザーでは結局は持ち上げているだけなので、質的な改善があるわけでもありません。
この辺も含めて(ポータブルアンプを通すことに比べれば)根本的な音の質や限界まではかわるわけではありません。
アッテネーターは簡単に言うと抵抗をしこんだアダプターです。主に高能率のIEMのボリュームを取りやすくするために使われます。上の写真ではヒートシュリンクを外しています。
ER4PをS相当にする24Pアダプターケーブルなんかはその一種です。またE5cについていたボリューム式のアッテネーターもありますが、音質を劣化させるのでこの手のアクセサリーに対する抵抗感というのもあります。
感覚的に言うと抵抗をかませたらただ音が悪くなるように思います。そうならないのはいくつか理由が考えられますが、ひとつにはオーディオの基本であるインピーダンスのロー出しハイ受けが実現できるようになるからだと思います。それにより歪みを抑えた伝送ができます。RE1の音がクリーンで淀みがないのはひとつにはこれがありますが、高いインピーダンスが常に採用できるわけではありません。
簡単に言うとIEM(やヘッドホン)のインピーダンスが高いとより電圧を高くかけねばならず、インピーダンスが低いとより電流を多く流さねばなりません。しかしiPodのような小型のポータブル機器の場合はまずバッテリーの供給電圧の制限が始めにあるので、音圧を得るためにインピーダンスが低いことがまず要求されます。
しかし、もともと送り出しのポータブル機器の内蔵アンプの性能が低いというのは、ひとつには電流の供給力が足りない訳だから、電流が流れ易いインピーダンス(抵抗)の低いイヤホンでよい訳がないと思いますが、DAPの場合は上に書いたように今度はゲインと音圧の関係からむやみにインピーダンスを上げられません。
そうしたジレンマをアッテネーターでいわば適正化した、ということになると思います。この辺のバランスは能率も含めて、機器の組み合わせでも異なってくるでしょう。独立した別電源を持ったポータブルアンプとは違って、なにかが加わるわけではありませんが、良い方にバランスを変えるという感じでしょうか。
ちなみにポータブルアンプをつけた場合はバッファーによってアンプ側のインピーダンス(出力インピーダンス)が下がるので、結果的にロー出しハイ受けという原則に関しては同じことになります。
RE1のようなハイ・インピーダンスの機材はひとつの道ではありますが、もちろん設計ポリシーがいろいろありますので一概にインピーダンスが高いものがよいとは言えません。
たとえばインピーダンスも低く能率が高いUE11はアッテネーターと相性が良さそうに見えますが、同じアッテネーターを付けて試してみるとそれなりの効果はあるけれども、UE11についてはアッテネーターはない方が良いと思います。
UE11に関してはやはりMOVEのようなノイズフロアが低くてハイカレントの高性能アンプで素の味を生かして鳴らした方がよいと思います。そうするとUE11のまさに圧倒的な表現力に打ちのめされるように楽しめます。そうした点ではやはりよいIEMの性能を引き出すにはよいアンプを、という原則はかわりはないと思います。
もしかするとマルチドライバーとシングルドライバーという問題も含まれているのかもしれませんが、IMAGEの場合はアンプをつけてもアッテネーターは良くあうので、音の傾向も含めてもともと多少インピーダンスを足した方が良かったと言う気がします。この辺は好みの要素も大きいとは思いますが、この組み合わせはIMAGEの装着性の良さとあいまって、なかなか手軽で好適なセットアップだと思います。
Music TO GO!
2008年05月27日
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昨年末、私もImageを購入したのですが、iPod Touchとの組み合わせだと、わずかですが残量ノイズと歪み感が気になり、なんとか出来ないかと考えておりました(外だと気になりませんが、寝るときに聞くと、第一世代iPodの静寂さにはかなわないため、Touchの方はPDAと動画再生用になっています)。
早速注文しました。届くのが楽しみです。
http://monoadc.blog64.fc2.com/blog-entry-112.html
L型アッテネーターならインピーダンスの変動に対する影響がある程度抑えられるので、音の変化は少ないと思います
(T型を使えばさらに影響を無くせるようです http://www.k3.dion.ne.jp/~kitt/craft/audio/att/ )