Music TO GO!

2008年04月30日

LINNの"The Source"マガジンとSneaky Music DS

LINN(英国本国版)のメールマガジンによると"The source"マガジンの電子版が創刊されたとのこと。もともと印刷で出していたようですが、今号からオンライン版に切り替わります。下記リンクです。
http://thesource.linn.co.uk/

表紙にもちょっと書いていますが、LINNはいまでは総合オーディオ機器メーカーのように見えます、しかしもともとはLP12からはじまったプレーヤーのメーカーなので特にソース機器にはこだわりがあると思います。内容はDSの紹介記事がほとんどです。

また、ホームページ上にSneaky music DSの情報もいくつか公開されています。
http://www.linn.co.uk/sneaky_music_ds
マニュアルもありますが、基本的にはLINN GUIの使用説明が主です。
背面の写真をみるとスピーカー端子とともにデジタルアウト、アナログアウトもあるようです。もしかして、価格差別化のためにDACとしての使用はできないのではないかとも思っていましたが、これでトランスポートとしてもDACとしても使えますのでひと安心です。縦でも横でも置ける薄型の筺体が斬新です。

LINNのメールマガジンのSneaky Music DSのところには"We have a sneaky solution."と書かれています。
Sneakは「ひっそり、こっそり」という意味で日本語だと「忍び足」のような意味になります。その形容詞系なのでおそらくHDもCDも内蔵していない「静か、静粛」という意味を持たせていると思います。また、Sneakはこっそりなにかやるというような意味もありますが、薄い筺体とともに、仰々しいオーディオ機器ではなくさりげない存在としてリビングにあるといいたいのかもしれません。そのためアンプを内蔵したのでしょう。そうした意味ではLINNの得意な分野だし、Classikの後継とも言えます。

存在を感じさせない、身近にある、という意味ではいわば一時はやったユービキタスみたいな言葉にも近いと思いますが、「ユービキタス(遍在する)」のようなアカデミックな言葉ではなく、「スニーキー」という会話語的であまりポジティブな意味ではなくちょっと汚い言葉を用いることで手軽な、という意味も含めていると思います。LINNはQE2に採用とか英国王室御用達のようなフレーズが前に立ち、音も上品ですけれどもブランド自体が上品なイメージがあります。
しかしダウンロード音楽というと対象は若い人たちが多いので、こうしたカジュアルな売り方を立ててきているように思います。

実際にSneaky music DSは最上位機が294万円のKlimax DSになるLINNのDSプレーヤーシリーズの普及帯モデルです。Sneaky music DSはおそらく20万円台後半から30万前後でしょうか。最近のLINNはラインナップがかなり増えたせいか、ブランド名で価格帯をはっきりとわけているので、おそらくはこの上にMajik DSが来るかもしれません。


ちなみにDSとはDigital Streamの略でストリーム再生を受けるネットワークDACのようなものです。システムはまず有線・無線のLANネットワークが必要で、LAN上にDSとNASとPCとコントローラーを配します。NASはネットワークに特化したハードディスクのサーバーのようなものです。外づけハードディスクとちがって複数のPCから共有ができます。
まずPCでリップ・エンコードしたデータ(主にFLAC)をNASに置きます。DSはNASにアクセスしてデータを取得してDACを行います。アンプなどのオーディオ機器から見るとDACとして見えます。どのファイルを取りに行くかという指示はLINN GUIというソフトを搭載したコントローラーで指示します。コントローラーはハンドヘルドPCのようなものを使うようですがPC上においてもよいと思います。DSはもちろん複数あってもよいでしょう。LINNはKNEKTという独自のマルチルーム・ネットワークがあったのですが、DSシステムには標準プロトコルが採用されています。
ハードディスクトランスポートに比べたこのシステムの利点はDS自体はインターネットに出る必要がなく、CDDBなどの取得やripはPCでやればよいので分業ができ、DS本体はシンプルに無可動部・静音の音質追求の設計ができるということ、HDが外なので陳腐化が少ないなどがあると思います。
はじめの"The source"にLINN創業者のアイヴァーとその息子が自宅に設置されたDSシステムについて語る、と言う対談があります。その中で「他社にも似たようなシステムがあるが、それらはPCの周辺機器をオーディオ機器として磨こうとしている、しかしDSははじめから最後まで精密なオーディオ機器として考えられている」というようなくだりがあります。
結局のところ、いわゆるPCオーディオでも似たようなシステムは組めるけれども、そのコンセプトが一番違うところなのかもしれません。


ところで、ハードディスクトランスポートとしてはOliveも新型になってラインナップが一新されました。
http://www.olive.us/products/opus4.html
こちらはHDを内蔵するものですが、デザインが変わったと共に指示がカラー液晶のタッチパネルからできるようになりました。またリモートでのコントロール指示は以前はNokiaのスマートフォンでしたが、今度はなんとiPhoneからできるようです。またiPhoneのライブラリーを無線で受けてOliveで再生するということもできるようです。
http://www.olive.us/products/opus4_connectivity.html
(iPhone対応は今年後半のようです)

どれが正解とはもちろんいえませんが、デジタルプレーヤーの世界も多彩な形態やコンセプトが出来てきたように思います。
この辺の世界も文字通り静粛ながら、着実に歩を重ねているのかもしれません。
posted by ささき at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | __→ LINN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック