ブレードランナーのファイナルカット版を見て来ました。これはもともとDVDのためのものですが、新宿のバルト9で特別に劇場公開されたものです。(12/7まで)
ブレードランナーは、まえにグールドの機械演奏の記事を書いたときに映画の1シーンから引用したことがありますが、テーマもそうした精巧に造られたコピーはオリジナルとどこが違うのか、そこから存在とはなにか、などのテーマに沿っています。これは原作を書いたディックが一貫して書いていたテーマのひとつです。
ブレードランナーはヴァージョンがいくつかあるのですが、オリジナルとディレクターズカットのちがい、ディレクターズカットとファイナルカットの違い、などブレードランナーという映画自体がそうしたオリジナルとコピーの違いを考えさせられるというのはちょっとメタフィジカルでおもしろいところです。
実際にシーンがいくつか増えています。未公開カットだったものとか撮り足しが少しあるようです。たとえば鳩が飛ぶシーンでは以前は演出的な描写で空が晴れていましたが、本作ではシーンと同じく雨天とビル群の背景が描かれているので違和感はなくなりました。
もともとリドリースコットのかなりこった演出がかなりカットされてしまい、それをナレーションで補うということをオリジナルではやっていました。それでカットが少なくなった点で全体につながりがスムーズになったと思います。
また、本作のうりのメインは映像のデジタル処理をしてかなり画像が鮮明になったことで、最近のCDのリマスタリングににています。
これはなかなか見事で冒頭の工場の排煙の炎で浮き上がる煙突構造物の基部がかなりリアルではっとしてしまいました。タイレル社の造形もあらためて感動します。
はじめはクリアになることであらが見えるかと思ってましたが、そういうことはなくて、かえってミニチュアとマットペイントのSFXがCGの現在に斬新に見えます。25年前のミニチュアの造形の見事さには海洋堂もまっさおになると思います(笑)
音も新たに処理されてヴァンゲリスの音楽もかなりリアルで三次元に映像を盛り上げます。
全体にかなり満足度は高く、もう一度見たいという感じでしたね。
ブレードランナーは日本のイメージを大胆にいれて混沌とした酸性雨の降る未来世界が斬新でした。サイバーパンクの始祖だったWギブソンがこれをみてやられた、と思ったそうで小説さえ越えていた訳です。原作や小説を超える映画と言うのはなかなかないものですが、ブレードランナーはその稀有な例外です。
メカのデザインだけでなくこうした未来世界をトータルにデザインしたシドミードの名を一躍有名にして、コンセプトデザインというものをはじめに取り入れた映画でもあったと思います。
いまではこうしたコンセプトデザインという言葉は立派にひとつの分野を築いています。シドミードはさすがに最近はあまり出てきませんが、下右のリンクの本はこうしたコンセプトデザイナーの作品を集めたものでなかなか見ごたえがあります。わたしもこれ持っていますが、見ていてもクリエイティブな刺激を受けます。
この映画はそうしてさまざまな分野に影響を残していると思います。
見たのは夜の回でしたが、最後に映画館から出て、新宿3丁目のネオンの洪水と屋台のソバに「あれっ?」と既視感のような錯覚を覚えてしまいました。屋台のおじさんから思わず「二つで十分ですよ〜」と言われるかと思ってしまいました(笑)
ちなみにこの二つとはなんだったのか?という謎はDVDの特典映像に出てくるようで、ファン積年の謎もようやくあきらかにされます。
ちなみにブレードランナーの新オープニングというのがyou tubeで話題になっていましたが、これは今回の映画とは別のもので個人作成のもののようですね。でもとてもよくできていますのでぜひ下記リンクでご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=fT590N74r5o
Music TO GO!
2007年12月02日
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な、なんですと〜!( ̄  ̄;