ここでは私がUE11をカスタムオーダーした実例をもとに解説していきます。たとえばペインティングが不要な場合などはもう少し簡略化されますので、あくまで参考としてお読みください。
*UEのカスタム製作
まずUltimate earsの例をとるとカスタムIEM製作には二つの選択があります。
ひとつは耳型だけカスタムにする基本的なものと、ペインティングもカスタマイズするものです。ペインティングはもともとライブやスタジオで他人のものと間違えないようにと言うことだと思いますが、UE-11は9月末まではキャンペーンで無料でペインティングを入れてくれるということですので私も挑戦してみました。
こちらにさまざまなカスタムアートのギャラリーがあります。
おもしろいのはホームページに乗っているサンプル以上にさまざまなヴァリエーションのカスタマイズがあるということです。マーブル模様とかグラデーション、ビーズなどなどホームページにないパターンもあります。
http://www.ultimateears.com/_ultimateears/community/earartgallery/index.php
これは下記のカスタムオーダーページを見ると分かると思います。
http://www.ultimateears.com/_ultimateears/products/custom/ue11pro_description.php
カスタムペイントでなくてもシェルの色の選択はできますが、よく見るとカスタムオーダーページの色見本と、オーダーカートでのメニューから選択できる色の種類も違います。
基本的にはやはりミュージシャンなどはLA郊外のアーバインのUE本社に行って口頭でUEのペイント担当と複雑なデザインのカスタマイズをしていると思います。これは一般ユーザーでもUE本社に行けばやってくれると思います。(おまけもくれるそうです)
とはいえ、遠い国からメールベースでオーダーする身としては困ります。カスタムのオーダーがメニューと内容が一致しないのでどうするのか、と聞いて見たところ、あっさりメールでオーダーシートを書いてくれと言われました。このときにクレジット番号もメールで送るように言われます。
ただそれでは抵抗があるので、わたしは本体と送料をカートで払いました。とりあえずカート上ではクリアシェル・クリアケーブルと指定しました。そしてメールにオーダー内容を書いて送りました。
しかしカートに乗らなかったオプションの分(titaniumプレート)をあとで払う必要が後で出ました。後から思えばはじめからメールで払えばよかったかもしれません。工夫してメールを分割するとか国際FAXを使うなどの手があると思います。
インプレッションの箱には念のためにカスタマイズをやりとりしたメールのコピーも入れて送ります。カートではこう指定したけれども、オーダーはこちらのメールに書いたシートの内容を使ってくれと朱書きで書き込んでいます。
次に具体的に必要なものを説明します。
*カスタムIEMに必要なもの
1. インプレッション
まずカスタムIEMの基本として耳型を取る必要があります。
これがわたしのインプレッション(耳型)です。

インプレッションは補聴器関係のお店(audiologist)で取得できます。わたしはIEMのノウハウに通じている須山補聴器でやってもらいました。東京に来られる方は須山さんがベストだと思います。
関東近辺でない人は近くで探さねばなりませんが、採取方法は補聴器とは少し違うようので注意が必要です。
耳型を取る方法についてはこちらに詳述されていますので、お店とよく相談のうえ採取した方が良いと思います。
http://www.ultimateears.com/_ultimateears/products/custom/audiologist_instructions.php?we_editDocument_ID=400
2. オーダーシート
わたしのオーダー内容は簡潔に書くと以下のようになります。
ケース: シェルはクリアでチタニウムプレート仕様、プレートの表面に指定したJepg画像を黒でエッチングする
ケーブル: 46インチのクリア
ちなみにストレートプラグはないそうですのでライトアングル(L字)になります。ライトアングルプラグはtriple.fiと異なる小型のものでMOVEのように狭いプラグとはより干渉しにくくなっています。
2.1 チタニウム・プレート仕様について
わたしのUE11はクリアのシェルのフェイスプレート側(外側)にメタリックなプレートがついていますが、これがtitaniumプレートです。これはオプションで追加に$50必要になります。なおチタンといっても実際はローディーケース(アタッシュケース)に使われる素材のようです。こちらのheadfiポストにtitaniumプレート仕様についてのコメントがあります。
http://www.head-fi.org/forums/showpost.php?p=2158838&postcount=49
わたしは"the titanium plate should be slightly smaller than the outer case"(チタニウムプレートは外殻よりやや小さくしてください)という注意書きを入れました。これはプレートと耳の干渉を防ぐためです。またプレートが剥離しやすいというHeadFiのコメントもありましたので"clear coat around the edges of the faceplate"(クリアラッカーをフェイスプレートの縁に塗布)を頼みました。
ただしこれらは聞いて見たところ現在は標準でやっているそうです。はじめはチタニウムプレートはあまりよくないのではないかと考えたこともありましたが、こうして手に届いてみると特にそうしたネガティブなところはありません。初期はいろいろと問題があったかもしれませんが、カスタムオーダーの方も進歩しているという訳ですね。
3. ペインティングの素材(元絵)
ペインティングの下絵はJPEGで入稿してくれと言う指示はありますが、それ以上の細かい指示はありません。
何回聞いても何色とか大きさとか階調とかそうした仕様については答えてもらえませんでした。どの程度まで複雑な絵が描けるかは分からないので、二値(BW)の絵から選びました。そうこうして考えるとFAKiEのTo the Limitのジャケットが思い浮かんだわけです。
http://www.fakie.jp/
送った元絵はあまり大きいサイズの画像ではありませんが、わりときれいにエッチングされています。
また、あらかじめ用意されている下絵はないかと聞いてみたところ、UEのロゴは用意されているようです。
*カスタムIEMの発注の実際
わたしも初めてなのでいろいろと困惑したところがありました。ベストではないかもしれませんが私のやった手順を記しておきます。なおタイムスケジュールは最短ではなく、わたしもいろいろ忙しかったので私の都合でのスケジュールです。
基本的にインプレッションをUEが受領してから発送するまでが2週間、カスタムオーダーが入ると追加で1週間と言うことのようです。
1. UEにコンタクトしてUE11を日本に発送してくれるかを確認。(8月初旬)
OKの返事を得る。
この時期にHeadFiでUE11が無料でもらえるというGiveaway(キャンペーンの景品)に応募するがあっさり落ちる。
2. インプレッションの採取を行なう(8月中旬)
これは須山補聴器さんで取ってもらいました。5千円台くらいです。正確な価格は問い合わせてください。
下記ホームページからメールないしは電話にて予約を入れます。
http://fitear.com/
http://4133.com/
3. オーダーを入れたいむねをUEに連絡。(8月後半)
カスタムオーダーを入れたいが、ホームページのサンプルとカートのメニューの色が合わないと質問する。
UEからはカードとオーダー詳細をメールにて送るように連絡してきました。
4. 上記のカートでのオーダーのコピーと念のためカスタムオーダーのメールのコピーをプリントして入れてインプレッションを送る。(オーダーのコピーは必須) (8月最終週)
ここでオプションのチタニウムプレートの代金を払う必要があることがわかりました。
5. むこうからはインプレッションの到着通知はきませんが、こちらから送ったEMSのトラッキングを見ていたので、それで到着を確認。数日おいてからUEに到着したかと確認メールを送る。(9月初旬)
到着したと返事があり、9/24に発送すると返信が来ます。カスタムオーダーなので約3週間を足した日にちと思います。これはむこうの繁忙に拠るかもしれません。(UEは全部で25人くらいの会社だそうです)
また、どういうふうに絵がプリントされるのか不安だったので製作途中でプルーフを見せてくれるかと聞くが、これはだめといわれました。
6. トラッキング通知が突然届きます。(9/25)
運送会社のものでUEからではないのでスパムだと思わないように注意。
7. 到着(9/28)
Headfiでアーバインに見学に行った人の話によるとUE11はかなり人気があるそうですので期間は多少の変動はあるかもしれません。


Custom用のパッケージに入れられて送ってきます。ボックスのデザインは指紋の意匠で、カスタムIEMはひとりひとりが違うものという意味のようです。中にはtriple.fiのlimitedでもついてきたローディーケース(アタッシュケース)に名前がプリントされてきます。名前はオーダーのときに指定します。
中のメタルケースはtriple.fiとはやや異なる質感のものになっています。付属品はマニュアルとクリーニングスティックだけとややさびしいものですが、プロ仕様のものなのであまり余分なものは不用と言うことでしょう。
* * * * * *
とにかくフィッティングがうまくできているかとか、デザインがきれいに描けているかとか、届くまではかなり不安を味わわせてくれるものではありました。期間もあしかけ2カ月弱ほどかかっています。
そもそも少量の受注生産のものですから頼む側にも心構えが必要ではあります。ただしあまり連絡がない時は確認することもまた必要です。
このように英語力もそれなりには必要です。たぶん上の説明を見ても不明確なことは多いかもしれません。たとえばUEロゴだけの場合は価格はどうなるのか、位置や大きさは指定できるのか、などです。しかしわたしは自分のやった範囲しか説明できませんので、それらについてはUEに問い合わせてください。セールスのBradさんは親切に答えてくれると思います。
またオーダーも齟齬があったという書き込みもありましたので、しっかりと向こうに伝わらないといけません。そのために私はインプレッションの箱の中に必要とされたオーダーのコピーだけでなく、カスタマイズの内容とメールのコピーも入れておきました。
ポータブルアンプのオーダーもそうですが、決まったフォームとか決まったパターンというのはないので、場合に合わせて各自できちんとむこうに意思を伝える工夫が必要だと思います。
型取りキットが送られてきたかと思っちゃいました(笑)
それに最新の材質を使ってやってくれているようです。
密かに渡米されたのかと(w
ディズニーランドの近くで、交通の便はいいところです。
いつも楽しく拝見させていただいています。
ささきさんのUE11のレビューに耐え切れず、
こちらの解説を参考にしてついつい購入してしまいましたw
レビュー内にあった通りのとても繊細な中高音域と今まで聴いたことの無い低音域が大変素晴らしく、おかげさまで本当に良い物を手に入れることが出来ました。
私は注文はオーダーフォームからは面倒でしたのでメールで直接Bradさんに注文し、Paypalで支払いました。Bradさん曰く銀色のUEロゴなら希望があればタダで付けてくれるようです。
ただHead-fiで誰かが言ってましたがPICOと組み合わせでは低音域が薄れて中音域が暴れてしまい、なんだかフワフワした音場になってしまいました…。TomahawkやD1との組み合わせではしっかりと引き締まった音で鳴っているので思わずPredatorの注文ボタンを押してしまいそうです^^;
毎日このUE11で音楽を聴くのが楽しみです!本当にありがとうございました!
※今UEではキャンペーン中らしく、UEのTシャツが一緒に送られてきましたw
結果的にAkkinさんの注文方法が正解だと思います。Paypalでいけるならそれが一番いいですね。
わたしはいまはUE11とはSM4がお気に入りです。たしかに良いアンプとUE11は毎日を楽しくさせてくれますね。