Music TO GO!

2007年08月30日

Edition7はバランスリケーブルでどう変わったか

前の記事では、ストック(無改造)のEdition7とバランス改造したヘッドホンの聴き比べからバランス化とリケーブルというものを考察してみました。
今回はバランス化した後のEdition7についてのコメントをします。

balanced_edition7c.jpg

1.全体的な印象

BlackDragonでバランス改造したEdition7については重みと凄み、というのがぱっと聴いた時の感想です。
重みというのは地の底からうなるような低域を中心とした全体の重厚さ、凄みというのは膨大な情報量に圧倒されてしまうという感覚です。すくなくともソースの出せる音は全て聴こえる感じがします。

誤解を恐れずに分かりやすく(想像しやすく)いうとSTAXのOmegaIIをダイナミック型にしたという感じでしょうか。それを一回り濃くした、と付け加えてもいいかも知れません。実際にバランスEdition7はヴァイオリンの音がすごくきれいで、ダイナミック型でSTAXに比肩できるのはおそらくこのBlackDragon Edition7くらいかもしれません。
もちろんそれでも静電型とはスピード感の質が根本的に違うということで二者は容易に区別できます。この辺の比較は機会があればまた書いてみたいと思います。

音がきれいという点で言うと、やや無機的だったCD3000と比べるとBlackDragonのリケーブルで感じるのは音色の美しさです。ただしリアルというとBlackDragonバランスCD3000の方がリアルではあります。BlackDragonバランスCD3000と比べてみるとCD3000は軽い、バランスEdition7は重いというぱっと聴いた違いは個性の差としてそのまま残ります。
もともとストックのEdition7にあった高い方のきつい感じはかなり低減した感じがします。GS-XとDLIIIの組み合わせではほとんどS音は気になりません。
おもしろいことに、はじめは音が荒れ気味だけど落ち着いてくると同じBlackDragonのCD3000バランスとも似通った音傾向も感じられます。
これはつまりドライバーというよりケーブルの個性であるといえるでしょう。


2.不満に思っていた点はどうなったか

リケーブルで以前に書いた低域の問題(解像感のなさ)はずいぶんと向上したように思います。量感と同時に弦のうなりが感じられるようになり、低域部分の表情が豊かになったと感じます。
BlackDragonの本質的な持ち味として、低いほうの下は恐ろしいほど深く下まで沈むようになった感があります。またEdition7での高域のきつさもケーブルの品質の向上によって改善されたかに思えます。そうした点でストックで不満に思っていたところは大きく改善されたといえます。
これを考えるとBlackDragonでのEdition7のリケーブルはうまくいったと思います。

3. 考察と雑感

実際にバランス化というよりもリケーブルだけでもかなりの改善があると思います。もともとポテンシャルの高いヘッドホンですからリケーブルによってまず欠点を改善することで本来持っていたはずの力がより発揮されます。
ただそれでは別次元には行けません。高性能なシングルエンドのままです。その別次元にいくチケットがバランス化だと言えます。

BlackDragonのケーブルとしては性能面だけではなく、音色が美しくなったということも言えます。もともとEdition7の音色は良いんですが、BlackDragon版の楽器の音はかなり美しく感じます。
これはOFC系の良い点のひとつといえるでしょう。ただ銀系のようにきらめくスピード感はいまひとつかもしれません。そうした音が良い人にはまた別な選択があるかもしれません。
そうして自分なりの音をつむいでいくところがリケーブルの面白さだと思います。低域が強いヘッドホンだから今度は高域を改善してみる、それもあります。低域が強いヘッドホンだからさらに低域を引き出してみる、それもあるでしょう。それらは聞き手のヘッドホンに対してこうしたい、音楽をこう聴きたいという意思の現われだと思います。
またケーブルによる限界や制約があるわけですから、すべてが100%思い通りにはいかないでしょう。高域を活かせば低域は落ちるかもしれません。その逆もありえます。そうしたトレードオフを試行錯誤していくことはクリエイティブな楽しみがあると思います。
オーディオというと受身の趣味のようにも思われがちですが、実は能動的な趣味であり、そこが面白さでもあるのではないでしょうか。
posted by ささき at 22:35| Comment(6) | TrackBack(0) | __→ Edition7, L-3000 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
連邦の凄いヤツのマグネットコーティング版ですね。

E7のあの音が更にグレードアップですから、
もう想像の範囲を超えています。
こうなるとバランスアンプも別の物にしたらどうなるの?
という、欲も出てくると思うのですが。。。(^^;
Posted by rabbitmoon at 2007年08月31日 11:59
ラビさん、どもども。
マグネットコーティングの支払いはPaypalでお願いします。
納期3ヶ月、ということはないですよね。

それはともかく、たしかにそろそろバランスアンプも別のものがほしいところです。
そろそろ涼しくなるし、GS-Xとも対照的に今度は真空管がいいかなあと思います。Lunaはまだかかりそうだし、TTVJでMillettさんと協力してMillett Hybridのバランス駆動アンプが出てくるといいなぁ、とか勝手に夢想してます。
Posted by ささき at 2007年08月31日 20:55
バランス駆動アンプは使ったことがないのでとても参考になります
さすがここまでアンプ個体差がわかるのがすごいです。

つまらない質問ですがなぜ
XLR二つなんでしょうか?
ノイトリックのスピコンなどを使わずに...

 
Posted by 伊藤 at 2007年09月02日 01:50
はじめまして、いつもブログ読ませてもらってます。
E7バランス凄そうですねぇ、どんな音か想像もつきません。
自分も現在GS-Xを注文していて、ヘッドホンはDX1000をバランス化するつもりです。
でもDX1000はムリっていわれるかもしれないですね。
それならそれで自分でプラグだけかえちゃいそうですけどねw
Posted by かいわれ at 2007年09月02日 04:43
> なぜXLR二つなんでしょうか?

これは私もはっきりとは分かりませんが、こうしたバランス駆動アンプの嚆矢がHeadroomのBlockheadであり、それがデファクトになり、みなならっているということだと思います。
もともとBlockheadは二つのアンプをひとつにまとめたもので、それぞれは別個に分かれていたのでコネクタも二つ必要だったと思います。

http://stereophile.com/headphones/614/
Posted by ささき at 2007年09月02日 09:59
> DX1000をバランス化するつもりです

GS-X発注おめでとうございます。
DX1000のバランス化はあまり聞いた事がありませんが、よほどのことがない限りは大丈夫ではないかと思います。
やはり自分の好きなヘッドホンをより高いレベルにして使いたいものですね。
Posted by ささき at 2007年09月02日 10:04
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