イベント開始時
イベント冒頭では評論家の鴻池氏が登壇し、現代のリスニング環境について以下のように語りました。
「多くの人がBluetoothで音楽を聴いていますが、ストリーミングサービスはすでにハイレゾ・ロスレス配信を始めています。Bluetoothには帯域的な限界がありますが、XPanを使えばハイレゾ・ロスレスを体験できる。良い音楽との出会いを豊かな音質で楽しめるのです」
ナイジェル・バージェス氏、図はP2Pモードとホームモードの説明
続いて登壇したのは、クアルコム V&M部門 プロダクトマネージャーのナイジェル・バージェス氏です。
バージェス氏はまず「Snapdragon Sound」を「ゲーム、ハイレゾ音楽、高音質、低遅延、途切れにくさを実現するエンドツーエンドのシステム」と紹介。そのうえで「XPanはSnapdragon Soundエコシステムの一部であり、Bluetoothを基盤に低消費電力Wi-Fiで拡張する技術」と解説しました。
つまりXPanはBluetoothの弱点である距離や帯域(伝送量)を補い、Wi-Fiを使って最大96kHz/24bitのロスレス音質を家全体に届けられるのが特徴です。
さらにイベントでは、Cear社による特別な試聴デモも行われました。同社は2019年からクアルコムと協業しており、技術基準を満たすかどうかを確認する役割を担っています。
今回のデモでは本来イヤフォン向けのXPan技術を特別に改造し、SoCからSPDIFでデジタル出力。LとR別々なので二枚のボードを使います。
イベントのシステム
試聴ではSBC、44/16 aptX lossless、96/24 XPanの三通りの比較試聴をしました。
テストトーンでのダイナミックレンジの測定
まずCearからテストトーンでの測定結果を紹介。
SBCだと25dB のダイナミックレンジですが、44/16bitロスレスだと75dB 、
XPanの96/24では135dBに達するとのこと。
ちなみに人が聴こえるダイナミックレンジはだいたい120dBから140dB程度と言われてます。24bitでのダイナミックレンジの計算上の理論値は144dBです。
XPanだとほとんどダイナミックレンジとしては振り切ってますが、これだけの音を試すには高級オーディオシステムが必要ということで、今回はアキュフェーズにB&Wという400万円近いシステムが用意されてます。
人間のダイナミックレンジの感度(細かい音が聴こえるという意味で)は3kHz前後が最大なので、女性ヴォーカルの息遣いなどに注意を払うと良いと思います。(これはヒトの進化の過程によるものです)
アキュフェーズの画面でXPan再生の時には96kでロックしていることがわかります。
カントリー曲の男性ヴォーカルとノラジョーンズの女性ヴォーカルでSBC、44/16、96/24(XPan)で切り替え試聴しましたが、差はかなり大きくよく分かります。
SBCは比較すると曇りがあり、音に抑揚がなくこじんまりとしてます。
aptX16ではパッと広がる感じがして鮮明で曇り感が少なくなります。これ自体はXpanと似ていてaptX共通と思われます。
XPanではそれに加えて特に中高音域の音が鮮明になり、高い声が伸びてシャープ、感覚的に16bitより情報量が多く豊かなサウンドと感じます。
質問すると96k以上も将来考えているとのこと。
TWSイヤフォンだとわかりにくいような細かな音も豪華なシステムでわかりやすく伝えた良いイベントでした。
そのあとでバージェス氏に個別にインタビューして、XPanの理解を深めましたが、それはまた別の記事に書きます。

