ちなみにSP4000の海外ホームページはこちらです。
https://www.astellnkern.com/product/product_detail.jsp?productNo=164
1. ハイ・ドライビングモードとは具体的にどのような回路か?、どのようなメリットがあるのか?
Q . まずハイ・ドライビングモード(High Driving Mode)を説明します。従来は出力を上げると供給電流が増加してTHDに影響し、逆にノイズを減らすと出力が不足するという長年の問題がありました。その問題を自然に解決するため、SP4000はSP3000の約2倍のOP AMPを搭載しました。
これはOP AMPを水平に並列配置し、ハイ・ドライビングモード専用のディスクリートスイッチを開発したものです。OFFモードでは全OP AMPの半分しか使用しませんが、ONモードでは車の四輪駆動システムのように並列に配置された全OP AMPを使用します。
これによりHigh Driving Modeでは、より深く奥行きのあるパワフルなサウンドを、Nomal Modeではパワーとクリーンさのバランスが取れたパフォーマンスを両立しています。
ノーマル・モードでもSP3000より高い出力電流が得られるように設計されています。SP3000の2倍のOPAMPが動作するハイ・ドライビングモードでは、音に厚みが増し、低音に密度が増します。ハイ・ドライビングモードは電流を大幅に増加させる役割を担っているので、低インピーダンスのレシーバーをうまくコントロールしてドライブすることができます。加えて、きめ細かく繊細な音質を求めるときはノーマルモードで楽しみ、よりソリッドで豊かな音色を求める音楽ではハイドライビングモードに切り替えると、より良いリスニング体験が得られます。
2. ESAとはなにか? どのようなメリットがあるのか?
Q. ESAは、デジタル信号がDACによってアナログ信号に変換される過程で適用されます。この変換プロセスでは通常、周波数により一定の遅延が生じますが、AK独自のESAテクノロジーはこの時間差を最小限に抑えます。その結果、各周波数はほぼ同時に到達し、より深い低音密度と強化されたダイナミクスを実現します。
(注: 周波数に応じて一定の遅延が生じるのは「群遅延(group delay)」という一般課題です)
3. ハイドライビングモードとESAは互いに関係しているのか?
Q. ESAはハイ・ドライビング・モードと関連しており、各周波数間の遅延を減らすことでアナログ信号全体を向上させます。その結果、ハイ・ドライビング・モードが有効になると、この強化された信号も反映され、さらに効果的なパフォーマンスにつながります。
4. DARが改良されたようだが、具体的な新機能はあるのか?
Q. 第一世代のDARでは、音源をアップスケーリングすることで、より滑らかで自然な高域表現を可能にしていました。しかし、ロッシーと呼ばれる非可逆音源の場合、すでにかなりの情報が欠落しており、DARで復元できる範囲は限られていました。一方、SP4000で新たに実装された「Advanced DAR」は、音声データ復元アルゴリズムを用いて音声信号を精密に解析。まず失われた高周波成分や微妙な音響ディテールを復元し、次にアップスケーリングを行います。このプロセスにより、自然な響きの仮想倍音が生成され、ディテールが大幅に向上します。
5. PD10のクレードルはSP4000対応なのか?
Q. はい、互換性があります。開発当初から、クレードルはPD10とSP4000の両方に対応するように設計されていました。
6. A&K DAPはAK240からカスタマイズAndroidを使用してきたが、今回フルAndroidにした理由はなにか?
Q. 何よりも、Astell&Kernの製品を通して音楽にどっぷり浸かってほしい、優れた音を聴いてほしい、本当の原音とは何かを知る喜びを知ってほしいという思いがありました。しかし、時代が急速にストリーミングにシフトしていく中、Astell&KernはオープンAPPサービスの提供で対応しました。しかし、ストリーミング時代の波に乗るには、もはやオープンAPPサービスの限界に気づくようになりました。
ストリーミング・プラットフォームの中でも高品質なオーディオ・サービスが急速に台頭していることを目の当たりにし、私たちはSP4000にフル・オープン・アンドロイドを実装することを決断しました。これを可能にしたのが、10年以上にわたって蓄積されたソフトウェアのノウハウをもとに構築された、当社独自のオーディオ・アーキテクチャADP(Astell&Kern Direct Path)です。
ADP(Astell&Kern Direct Path)は、Androidシステムに標準で搭載されているSRC(サンプルレートコンバーター)をバイパスするソフトウェア技術です。音声データはSRCを経由せず、ADPを通じて直接AndroidのHAL(ハードウェア抽象化レイヤー)に送られるため、元のデータが改変されることなく再生されます。
なお、AudioFlingerに含まれるAudioMixerをバイパスするようシステムが変更されており、それによってAudioFlingerでもビットパーフェクト再生が可能になっています。
(注: いわゆるミキサーバイパスのことです)
7. 今回フルAndroidにしたことで、バッテリー保護モードなど、自由にアプリが使える以外のメリットはあるのか?
Q. 前述の通り、フルAndroidに変更する最大のメリットは、幅広い音楽アプリを自由に使えることです。それを除けば、技術的に特に大きな違いはありません。
ちなみにバッテリー保護モードは、フルAndroidを使用しないモデルにも適用されています。
8. 平面型IEMのLUNAは、SP4000のために設計されたものか?
Q. LUNAのドライバーは、特定のDAP向けに設計されたものではありません。開発中にさまざまなAKのDAPを検討しましたが、ドライバーはAKや他のDAPに接続されているかどうかに関係なく、最高のパフォーマンスを発揮するように設計されています。
9. SP4000だけではなく全体的な質問ですが、昨年会社組織が変わったことでなにか変化はありましたか?
Q. 組織再編による大きな変化はありません。Astell&Kernは、独自の哲学とアイデンティティを堅持しつつ、より迅速で深い技術開発、生産能力の強化、世界市場でのプレゼンス拡大に注力していきます。
(注: 聞くところでは、CEOがオーディオマニアなので、事業への理解度が増したという背景があるようです)

