Bluetoothのあらたなコア規格、Bluetooth6.0がBluetooth SIGから発表されました。
https://www.bluetooth.com/core-specification-6-feature-overview/
一番的には新機能であるBluetooth Channel Soundingという機能で高精度な距離測定ができるということが主たる改良点です。
以前は経路損失計算(RSSI)という受信強度を測る方法で距離を測定していましたが、環境(壁や反射など)要因などによって精度が確保できませんでした。それが今回の新しいBluetooth Channel Soundingでは位相差の測定と送受信の時間計算を合わせることでより精度の向上を果たしました。これは最近Bluetoothが力を入れている物量管理にも関係していると考えられます。
またオーディオ的にはFind My機能の精度向上により紛失イヤホンが見つけやすくなるでしょう。
今回の6.0でオーディオ的に大きなものは、Isochronous Adaptation Layer (ISOAL) の改良によって、より低遅延でオーディオが送ることができるということが挙げられます。Isochronous(アイソクロナス)は時間優先で送信するモードで、これはLE Audioのコアスペックでの核になる機能です。正確に送るよりも時間通りに送ることを優先するという意味で、オーディオデータの送信に向いています。ちなみにLE Audioでは双方向の通信がなされますが、Auracast(ブロードキャスト)では一方向になります。
ISOALはアイソクロナスデータ(つまりオーディオデータ)の形式やタイミングを調整するための層です。Bluetooth 6.0ではISOALの改良として「セグメント化されていないフレーミングモード」という新しいモードが追加されたことにより、データのセグメント化(分割)の時間を省略することにより、低遅延を図っています。
それとFrame Spaceの改良もオーディオに関連します。
Frame SpaceはLE Audioにおいて隣接するパケットの送信を分ける時間のことです。Bluetooth 6.0ではデバイスに応じてこの間隔を調整することが可能となりました。つまりより高性能なイヤホンならばより短い間隔で送れるので、リアルタイム性が向上します。レイテンシーも関係するかもしれませんが、音声通話品質の向上になるかもしれません。また電力消費も減少します。
接続時のネゴシエーションで決めるようなので、デバイスに依存するという点がポイントです。
Advertising
またMonitoring Advertisersという機能もオーディオに関係します。これはエネルギー消費を抑えながらBluetooth LEデバイスを効率的にデバイスを管理するというものです。AdvertiseとはAuracastでも登場しますが、Bluetooth規格の中では自分のことを相手に知らせることをAdvertiseといいます。
LE Audioのユースケースは、Monitoring Advertisers機能の重要なシナリオの1つですとSIGでは書いています。
まとめると、イヤホンの音質的にはISOALの改良とFrame Spaceの改良でより低遅延が可能となり、Monitoring AdvertisersとBluetooth Channel Soundingによってイヤホンの管理が向上したということになると思います。
なおBluetooth 6.0の登場と言う場合には、コアスペックと呼ばれる、より基本的でより低レベルの部分の変更という意味です。LE AudioやAuracastはもっと上位層がメインなので、今回LE Audioが大きく変わったわけではなく、その基礎になる部分の変更という意味です。念のため。
Music TO GO!
2024年09月07日
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