今年2023年は世界的に新型コロナの影響が開けたかに見えたけれども、ウクライナ紛争とパレスチナ紛争でさらに混迷が深まった年となりました。さてオーディオ業界といえばということで今回も2023年を振り返る記事をまとめてみたいと思います。
2022年の振り返り記事はこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/archives/202212-1.html
⚪︎MEMSスピーカー技術とLE Audioがついに市場投入
今年の話題はなんといっても、いままで私が追いかけてきたMEMSスピーカー技術とLE Audioがついに市場投入されました。
まずiFI Audio対応のMEMSドライバー採用のハイエンドIEM、Singularity Audioの「ONI」が姿を現しました。
https://ascii.jp/elem/000/004/134/4134155/
さらにはクリエイティブがMEMSを完全ワイヤレスに搭載するというニュースが流れます。これは12月に製品となりました。
https://ascii.jp/elem/000/004/152/4152317/
CreativeのMEMSスピーカー採用イヤホンがついに国内販売が案内されました。
https://ascii.jp/elem/000/004/170/4170099/
そしてNobleもMEMSスピーカーを搭載しようとしていることがわかります。
https://ascii.jp/elem/000/004/174/4174616/
ついてにはNoble Audioの「FALCON MAX」が発売され、MEMSスピーカーの鮮烈な音を聴くことができました。
https://ascii.jp/elem/000/004/177/4177227/
発売されたクリエイティブのAurvanaレビューからFALCON MAXとの音の類似からMEMSの特徴などを考察しています。
https://ascii.jp/elem/000/004/178/4178107/
次にLE Audioの実用化です。これはソニーがLinkBuds Sで先鞭をつけました。
https://ascii.jp/elem/000/004/140/4140465/
そして実際に試してみることができました。ちなみにこの時のLE Audioは今考えるとだいぶ低遅延向けに実装をしていたと思います。
おそらくはそのこともあってロバストネスは譲っていたんではないでしょうか。だからベータと銘打ったのではないかと思います。
https://ascii.jp/elem/000/004/141/4141415/
LE Audio対応としてはドングルが付属する米クリエイティブの「Creative Zen Hybrid Pro」もあります。
https://ascii.jp/elem/000/004/162/4162872/
Bluetooth関連ではAuracastも実用化されました。これはMWC 2023でのAuracastデモの記事です。
https://ascii.jp/elem/000/004/129/4129184/
来日したBluetooth SIGのキーマンにかなり深く突っ込んでインタビューしました。
https://ascii.jp/elem/000/004/164/4164299/
Auracastを日本で実際に試してみていろいろとわかりました。
https://ascii.jp/elem/000/004/164/4164297/
⚪︎B2Bにも興味を持って取り組んでインタビューをしています
LE Audioに採用されたLC3について根本的に知りたかったので、フラウンホーファーIISにインタビューしました。オーディオメディアとしては初だと思います。
前編(フラウンホーファー研究所とLC3の詳細)
https://ascii.jp/elem/000/004/148/4148665/
後編(LC3の次にある「LC3plus」とは何なのか?)
https://ascii.jp/elem/000/004/149/4149687/
KnowlesにインタビユーしてリファレンスイヤフォンでKnowlesカーブの検証をしました
https://ascii.jp/elem/000/004/124/4124041/
FitEarにインタビユーして新旧交代について聞きました
https://ascii.jp/elem/000/004/167/4167222/
オーディオとアクセサリーの独自ブランド「SHO-U」を立ち上げたアユート、その目的を聞く
https://ascii.jp/elem/000/004/128/4128239/
デジタルオーディオの裏方的存在、Stream Unlimitedのインタビユーをしました
https://ascii.jp/elem/000/004/143/4143494/
⚪︎揺れたMQA
今年はMQA界隈で激震が走りました。
4月に突然の報道でMQAが経営破綻というニュースが伝わりました。
https://ascii.jp/elem/000/004/133/4133268/
その後9月にカナダのLendbrookがMQAを買収したということでいったんは落着しています。
https://ascii.jp/elem/000/004/158/4158545/
おそらくは3月に書いたMQAのSCL6、PSB Speakersがヘッドホンを開発中というニュースにも関係しているでしょう。
PSB SpeakersはLenbrookの子会社です。
https://ascii.jp/elem/000/004/128/4128272/
買収という点ではAUDEZEがPlaystationの方のソニーに買収されたというニュースもありました。
基本的にはオーでイオ界隈には影響はないようです。
https://ascii.jp/elem/000/004/152/4152319/
⚪︎発表会
Volumioの発表会記事。CEOと話し込んで内部のSBCの話やINTEGROで採用されているディアルモノ・フルデジタルアンプの話も詳しく濃く書いています。
https://ascii.jp/elem/000/004/134/4134148/
Ferrum Audioの発表会記事
https://ascii.jp/elem/000/004/145/4145461/
ソニー完全ワイヤレス「WF-1000XM5」ファーストインプレッション 発表会の様子
https://ascii.jp/elem/000/004/147/4147473/
実は次世代Bluetoothのショーケース、手のひらサイズのCear「パヴェ」の新しさは?
https://ascii.jp/elem/000/004/161/4161741/
シーイヤー「パヴェ」Cear Link体験イベントの記事をアスキーに執筆
https://ascii.jp/elem/000/004/173/4173116/
⚪︎スマホ界隈
ついにiPhone15によってUSB-Cが搭載されました。
iPhone 15 Pro MaxとUSB DACの相性の記事
https://ascii.jp/elem/000/004/161/4161739/
アップル幹部のインタビューから次世代のロスレスと5GHz通信を考察
https://ascii.jp/elem/000/004/160/4160181/
iOS 17とAirPods Proの新機能「適応型モード」を試す
https://ascii.jp/elem/000/004/158/4158547/
Androidでは低電力Wi-Fiにも対応するクアルコムの“S7 Pro” Sound Platformが発表
https://ascii.jp/elem/000/004/166/4166617/
またゲーミングソリューションとして第2世代のSnapdragon Soundを、LE Audio採用で低遅延化するドングルも模索
https://ascii.jp/elem/000/004/142/4142448/
Android 14ではようやくOS標準で排他モードを導入しています。
https://ascii.jp/elem/000/004/148/4148664/
⚪︎AIの台頭
今年はなんといってもAIの嵐が吹き荒れました。オーディオ界でも例外ではありません。
しかし冬のヘッドフォン祭mini 2023の記事の代表として私の記事をAIがまとめてくれたことはありがたかったんだが、その記事中に書いた覚えのない"E5000BT"なる機種が登場。
このことはAIにより深く取り組むきっかけになりました。
https://ascii.jp/elem/000/004/125/4125332/
そしてGoogleのBardの解析してみた記事をかきました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/499135862.html
実用面ではVOLUMIOの「ChatGPT」を活用した新しい音楽レコメンド機能がよくできていました。
https://www.phileweb.com/review/column/202307/18/2185.html
Roonでも「rooAIDJ」というAI検索モジュールがあります。
https://ascii.jp/elem/000/004/155/4155460/
音楽生成AIではまずGoogle MusicMLを記事にしています。
https://ascii.jp/elem/000/004/124/4124628/
Metaによる音楽生成AIも試しています「Meta MusicGen」
https://ascii.jp/elem/000/004/144/4144172/
音楽生成AI「Stable Audio」はもう少しのようでした
https://ascii.jp/elem/000/004/162/4162873/
そしてAIで短編小説を作成してみました。この短編は一言一句とも全てAIが作成したものです。
私が「音楽生成AIがストリーミングサービスに取って代わった時代をテーマにして、それにAIの特徴を盛り込んだ短編を書いてください」とAIに指示をしてその出力結果です。
もともと今年のエイプリルフールに音楽生成AIがストリーミングサービスに取って代わった時代のショートショートを書くつもりだったんですが、AIに書かせることを思いついたわけです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/498789288.html
⚪︎Live Extremeの発展した年でもありました
KORG Live Extremeを活用した世界初の“DSDライブ映像配信”を体験
https://ascii.jp/elem/000/004/134/4134151/
Dolby Atmosに対応したLive ExtremeのAndroid版アプリが登場
https://ascii.jp/elem/000/004/149/4149690/
⚪︎ヘッドフォンとイヤフォン関連
今年はなんといってもfinalの「ZE8000」向け自分ダミーヘッドサービスがちょっとすごかったですね。
こちらは体験レポートです。
https://ascii.jp/elem/000/004/177/4177228/
finalの新完全ワイヤレス「ZE8000 MK2」ファーストインプレション
https://ascii.jp/elem/000/004/170/4170097/
DALIのハイエンド・ワイヤレスヘッドホン「IO-12」は素晴らしい音楽性を誇ります
https://www.phileweb.com/review/article/202312/30/5440.html
DITAの新製品「Project M」を聴く、新しいアプローチで価格帯のベストを追究
https://ascii.jp/elem/000/004/175/4175723/
ヒマラヤDAC搭載の音質優先完全ワイヤレス「Svanar Wireless」レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/499747481.html
qdcとしては破格に安価な「SUPERIOR」発売、整った音の再現はさすが
https://ascii.jp/elem/000/004/146/4146395/
個性ある実力派「qdc Hybrid Folk-S」レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/499045142.html
Astell & Kernの独自サウンド、AK ZERO2レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/499555269.html
qdcのユニバーサルイヤフオン、TIGERとWHITE TIGER比較レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/500185754.html
元ゼンハイザーのアクセル・グレル氏による新ヘッドフォンは実質的なHD 800の後継かもしれません
https://ascii.jp/elem/000/004/168/4168620/
イヤホン選びで最も重視するのは音じゃなかった──クアルコムが全世界で調査
https://ascii.jp/elem/000/004/167/4167223/
⚪︎アンプ・DAC関連
両耳に高性能DAPを入れる感覚、iFi audio「GO pod」レビュー
https://ascii.jp/elem/000/004/144/4144495/
類を見ないマニアックな組み合わせで聴く、スティック型USB DAC
https://ascii.jp/elem/000/004/130/4130121/
USB/Bluetoothの両刀使い、Astell & Kernの小型アンプ「AK HB1」をレビュー
https://ascii.jp/elem/000/004/173/4173113/
Shanlingの多機能ヘッドフォンアンプ・DAC「EH3」レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/501041694.html
多機能なヘッドフォンアンプ、Shanling H5レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/500353868.html
プロオーディオメーカーが手掛けたスティックDAC、Antelope「ZEO」
https://ascii.jp/elem/000/004/127/4127290/
アナログサウンドを届けるAstell & Kernのポタアン「AK PA10」レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/498925275.html
独自ICを搭載した高性能スティック型DAC、L&P W4/W4EXレビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/499433950.html
R2R DACを搭載してアナログサウンドを追求した「A&Futura SE300」レビュー
http://vaiopocket.seesaa.net/article/499844431.html
⚪︎オーディオイベント
イベントはようやく戻ってきたという感じです。ヘッドフォン祭は中野から東京駅前に移転しました。
春のヘッドフォン祭 2023開催
https://ascii.jp/elem/000/004/135/4135277/
秋のヘッドフォン祭 2023開催
https://ascii.jp/elem/000/004/166/4166582/
ポタフェス2023夏
https://weekly.ascii.jp/elem/000/004/144/4144501/
ポタフェス2023冬
https://weekly.ascii.jp/elem/000/004/174/4174599/
2023CESレポート
https://ascii.jp/elem/000/004/119/4119967/
CanJam 2023 NYレポート
https://ascii.jp/elem/000/004/126/4126446/
サンレコフェス
https://ascii.jp/elem/000/004/160/4160190/
「HIGH END Munich」を開催しているHigh End Societyがショーを主催した「WORLD OF HEADPHONES」
https://ascii.jp/elem/000/004/153/4153915/
Inter BEE2023
https://ascii.jp/elem/000/004/171/4171495/
⚪︎来年の展望
昨年は2023年の展望として「来年はMEMSドライバーの製品化が期待され、LE Audioもやっと普及の道を歩き始めるかもしれません。またイヤフォンのコンピュータ化も進むことでしょう」と書きました。
このうち、MEMSドライバー、LE Audioについてはその通りになりました。イヤフォンのコンピュータ化についてはダミーヘッド化されたZE8000やパヴェで考える機会がありました。
来年はWiFiとモバイルデバイスの再定義がなされるかもしれません。5GHz帯についてもなにかあるでしょうね。MEMSについてはツィーターとしての完全ワイヤレスへの搭載と、有線イヤホンでの高性能化がみられるでしょう。LE AudioはAppleの動向がやはり見えないと、なんですよね。
まあ明るい年にはなって欲しいものです。
Music TO GO!
2023年12月31日
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