Music TO GO!

2007年07月29日

CORDA MOVEの印象

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いま、主にMOVEはiMod 5.5Gとtriple.fiで使用しています。
しばらく使ってみてHigh Currentでは電池の消費は早いような感じもしますが、この辺は音質との兼ね合いで仕方がないところですね。
ケーブルに関してはCryo X SilverとGold X Silverをいろいろと替えて見て、いまはCryo X Silverの方を主に使っています。Cryo X Silverの方はやや落ち着いてバランスよく驚くほどの音の広がりや精細感をもたらしてくれます。Gold X Silverでもより繊細でシャープ、かつ美しい響きを引き出します。
迷わせてくれるというのは逆に言えば、これはMOVEの万能性のひとつの例ともいえます。

MOVEの設定はLow gain(4dB)でtriple.fiの場合は11時くらいで聴いています。以下のコメントはLow gainで主にtriple.fiのものです。他のヘッドホン(HD25-1/BDv2やK81DJ-mod)も必要に応じて使っています。

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MOVEをぱっと聴くとまず明るく開放感があり晴れ上がった音の広がりが印象的です。情報量が豊かで楽器の音は質感豊かに、解像感が感じられます。ヴァイオリンやギターのアコースティックな響きにはたっぷりとした情報が載っていて、階調豊かに高精細な精密画を思わせる描写力があります。そのためヴォーカルも肉質感があります。それと効果音やナレーションなどが非常にリアルに聴こえるのが特徴です。
音色は純度の高いガラス細工を叩くような透明できーんと響くクリーンな質感があります。それでいて音は細みというより適当にウエイトをもっている感じがあります。音の形はきれいに整ってなおかつきつさはありません。
FaKIEの「To the Limit」の二曲目のナオキさんの早弾きギターソロでは緩急自在のギタープレイにおいても痛い尖った部分はなくパワフルなギターワークを堪能できます。

move_bw6.jpg

柔らかで落ち着きのあるSR71よりメリハリがあり、くっきりとしたメリハリのある明瞭感を特徴とするAE-2より柔らかな感覚です。落ち着いたSR71よりは力強い面もあると思います。
このようにMOVEはSR71と同様にiMod5.5Gからすべての情報を引き出しますが、明瞭感に付随する棘をとりさって適度に聴きやすく柔らかなオブラートに包んでいると思えます。良さがとても分かりやすい反面で、SR71よりは個性も強くないので万人受けする良さがあると思います。
楽器の正確な音再現を見せてあまりにも瑕疵がないように見えて、分析的ではなく適度に柔らかく、わずかな温かみをのせた表現が上手で、音楽性と色付けのなさのバランスがとても巧みです。

move_bw3.jpg

iModの全てを引き出すのは細かい音情報だけではなく、音域の広さも含まれるように思えます。MOVEの特徴として周波数帯の全域にわたっての特性が素晴らしく、高域も上までクリアに直線的にきれいに伸びていますが、低域方向は特に優秀で下に深く低く重く沈んでいます。これはHD25-1よりも2wayのtriple.fiではかなりよく分かります。そうしたダブルウーファーの強さ、2Wayの周波数レンジの広さを十分に発揮できるアンプと言えます。低域が豊かだと下支えとなって全体が豊かになるということを改めて考えさせられます。


これはもう少しインピーダンスの高いヘッドホンで分かりますが、音はかなり締まってタイトで正確なベースの音を聞かせます。
低域のコントロールがよいということはSpiritのところで書いたようにMOVEの出力インピーダンスがかなり低い(<1Ω)ということでも理解できます。つまりヘッドホンの負荷にたいして十分Low出しとなりダンピングファクターもよいということです。

また、MOVEの特筆すべきことのもうひとつは背景ノイズの低さです。これはlow gainのときはとくに素晴らしく、高能率のShure E5cでチェックしてもSR-71よりも静かでTomahawkに匹敵するかというくらいの低ノイズです。これでは聴感上のSNも当然素晴らしいでしょう。
実際にE5cでの音も素晴らしく良いもので、最近はノイズチェッカーと化したE5cの音を久々に惚れ直してしまいました。

これはMOVEの入力インピーダンスがSR71の50kΩやXenos 1HAの20kΩに比べると3.6kΩとやや低目ということも影響しているのかもしれません。入力インピーダンスは簡単に言うとソースからみたアンプの抵抗値のことですが、これが高いということはソースの出力インピーダンスに対してハイ受けになるので歪みは減ります。しかしノイズが電流として混入したときにアンプの部分(みかけの抵抗)でより電圧が高くなるということです(V=RIだから)。そうすると電圧の変化は信号の変化ですから、ノイズがあった時に入力インピーダンスが高いほどノイズがより大きく知覚しやすくなるといえます。
もちろんパーツや回路などさまざまな要因はありますが、MOVEはなぜ入力インピーダンスが低めなのか考えていたのでこれもひとつの意味ではないかとちょっと考えてみました。


MOVEはわりとくせが少なく、万能性があります。
ここではtriple.fiを主に使いましたがわりと相性は広く使いやすいアンプといえます。iMod 5.5GとMOVEの組み合わせはなんでもベールをはがして晴れ上がらせることができ、色付けも少ないのであまりヘッドホンを選びません。

move_bw4.jpg

そのため、いままであまり使わなくなってきたヘッドホンを見直しました。
たとえばE5cでテストしていて、意外とE5cとの相性がいいので、いままであまり考えなかったE500(SE530)をはじめて本格的に欲しいと思いました。また、しばらく使ってなかったATH-ES7も見違えるようにいい音でなります。かりっと響く音がオーテクの高域のきれいさと合いそうです。
それで本当にこれがきっかけでES7のリケーブルをいまさらながらに頼んでしまいました(Alexさんのとこ)。これはまた帰ってきたら書きます。

もちろんうちのワークホースたるHD25-1/BDv2ともいいです。特に音場の3次元的な表現がIEMのtriple.fiに比べるとかなりよくなるので、音が走りまわる感覚は圧巻です。ただしLow aginだとHD25-1で12時を少し超えるのでおそらくHigh Gainの方がいいかもしれません。-13だとHigh Gainにしたくなります。PK1とも良さそうですが、こちらもHigh gainが必須なのでこの辺はまた後で書くかもしれません。

このようにCORDA MOVEは価格を考慮してもわりと広く人に勧めやすいアンプではあると思います。
posted by ささき at 23:14| Comment(4) | TrackBack(0) | __→ Meier CORDA MOVE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ぱっと聴かせていただいた感じでは
確かに音がやわらかい感じでした。
MOVEは万人受けする感じですね。

とりあえず私は力尽きたので、
Reference待とうかと思います^^;
Posted by Chris at 2007年07月29日 23:32
たしかにぱっと聴いて印象がよいアンプかもしれませんね。

明日のReferenceより今日のMOVEという格言もありますよ(笑)
Posted by ささき at 2007年07月30日 00:22
先日、お会いした際に聴かせて頂いた印象は、とても品の良いコンパクトに
まとまった音でした。持参していたのが、AE-2という事もあったかも知れません。
誤解を恐れずに言うなら、AE-2のギラギラした派手な音に対して、上品で
しなやかな音とでもいうのでしょうか。(^^;

手持ちのAMPのどれとも異なる音なので、入手しても良いかも。(笑
Posted by rx78 at 2007年07月30日 17:53
rx78さんどもども、先日はAE-2を貸していただきありがとうございました。
たしかにMOVEは上品というか、明瞭なわりには角もなく意外と聴きやすい面もありますね。AE-2はMOVEとも比較してみて、やはりジャスティン・サウンドのように思えました。

価格もお手ごろなのでおひとつどうぞ。
Posted by ささき at 2007年07月31日 01:02
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