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2022年12月26日

qdcイヤフォンを完全ワイヤレス化する、qdc TWXレビュー

ハイエンドイヤフォンをワイヤレス化するBluetoothアダプターはいくつか市場に出ていますが、qdc のイヤフォンは2ピンの独自コネクタを使用しているために従来のこうしたBTアダプターを使用できませんでした。そこでqdcが純正品として発売したBTアダプターがこのqdc TWXです。逆に他のメーカーは使えないのでqdc専用と言えるでしょう。
TWXを使用することで、TIGERなどqdcの誇るハイエンドイヤフォンをワイヤレス化することができます。

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* 特徴

TWXはBTアダプターとしてはSoCにQCC3040を搭載し、Bluetooth 5.2対応しています。左右別なので完全ワイヤレスとして使うことが可能です。コーデックはSBC/AAC/aptXに対応しています。特徴としては30mW出力のアンプを搭載しているのでパワーがあります。ヘッドフォンアンプとしてはUW100などに搭載されているAK4332なみの出力があるというわけです。高性能イヤフォンを使うわけなのでこのくらいの出力があるのはありがたいところです。再生時間は本体が約8時間、充電ケース併用で最大40時間とされています。実測では再生時間7時間から7時間半くらいだと思います。
またタッチ操作に対応してミュージックモード(通常)、トランスペアレントモード(外音取り込み)、ゲームモード(低遅延)の切り替えができます。専用アプリも用意され、アプリでもこうした切り替えができます。

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ハイエンドイヤフォンなのにゲームモードか、と思われるかもしれませんが、最近ではハイエンドイヤフォンがゲーム市場でも求められていてAUDEZEなどはそれに向けた製品も出しています。

* インプレ

TWXの第一印象は大きな完全ワイヤレスですが、実際にTWXのポイントはまず大きいながらも専用ケースにイヤフォン装着したまま入れられることです。完全ワイヤレスの使いやすさはケース込みなので、アダプターとイヤフォンを別々に持ち運ぶと便利さは減ってしまうわけです。
TWXは端子の関係で自社製とのみ接続出来るけど、そのためイヤフォンのケース込みの格納が確保しておけます(カスタムはこの限りではないので事前に確認し方がよいです)。そうは言っても普通の完全ワイヤレスよりは大きいので少し気を使いますが、ケースから出す時はイヤフォン本体をつまんで出すと不用意にタッチセンサーにふれずに済むと思います。
特に荷物が多い時はケーブルが絡まる有線イヤフォンは使いにくいので、ハイエンドイヤフォンを使いたい場合にこうしたBTアダプタが重宝します。

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もちろんこのタイプのアダプタの利点はやはり音質の高さです。普通の完全ワイヤレスではとても得られないような本格的なポータブルオーディオサウンドが得られます。
圧倒的な情報量の洪水、たくさん空気が押されてる迫力あるスケール感、ズシーンという低音の唸り、これらはハイエンドイヤフォンならではのもので、マルチドライバーの完全ワイヤレスであっても有線イヤフォンとしてはミドルクラスくらいだからやはり音響的な差は大きいと思いますね。

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そしてTWXはよくハイエンドイヤフォンのポテンシャルの高さを引き出しています。音が良く、クリアでハイエンドイヤフォンを使うための解像力やパワーが十分にあります。TIGERしかないので判断はしずらいけれども、TMX自体は帯域特性もいいと思う。特に音がクリアで透明感が高い点が良いです。低価格なのでそれなりの曇り感はあるかと思ったんですが、予想以上に音がクリアなのはちょっと驚きます。思わずケーブルがないこと確かめるのに首振ってしまうくらいです。もしかするとケーブルがない点もプラスに働いているかもしれません。
音に関しては、試す前にはSoCベースの回路でこれほどハイエンドイヤフォンの性能を引き出せるとは思わなかったというのが正直なところです。このくらいハイレベルの音が出るなら緊急避難的に使うんでなく常用したくなる、というかハマる音質です。

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そしてこれで十分か、というよりこの音がいいみたいな感じを受けるTIGERの良さを引き出すのが上手いチューニングがTWXの魅力です。シャープで楽器音の歯切れがよく、低音も豊かで強いパンチが味わえ、それでいてわずかな暖かみがあってドライにならないところとか、あんたTigerの良さがよく分かってるねと言いたくなるような。この辺はqdc純正というチューニングの妙もあるのだと思います。ある意味でqdc純正のDAPに似た感覚はあり、自社のイヤフォンの能力を発揮させるために設計されたハードであるみたいな感じです。
もちろんハイエンドDAPを使えばもっと透明感やワイドレンジ感は出るけど、それはそれとしてTIGER+TWXの組み合わせで聴きたいみたいな感じもあります。TWXのパワーとか対混信性能はOEM先の力だと思うけど、qdcの人たちが音決めとかチューニングにも参加しているのでしょう。

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完全ワイヤレスとしてみると、ノイキャンがないんですが、TIGERには優秀なパッシブノイキャンがあります。TIGER+TWXで外音取り込みモード使ってからミュージックモードに戻したとき、すうっと静寂になったんでノイキャンまでついていたかなと一瞬思ってしまったくらい。もちろんこれはTWXというよりはTIGERのデザインに負うものですが、気軽にハイエンドイヤフォンを使用できるとメリットではありますね。
また遮音性が高すぎるこうしたイヤフォンはつけっぱなしにしていると音が聞こえなさすぎるので注意が必要ですが、TWXによって外音取り込み機能がついたのも良い点です。ただ外音取り込み機能はどちらか片方のタッチですぐ起動できる方が便利だったとは思います。

* まとめ

やはりTIGER+TWXの組み合わせは、でかい完全ワイヤレスとして普通に使えて、音質は完全ワイヤレスではとても及ばないレベルという点が良いですね。
完全ワイヤレスはケースと組み合わせで使うものだけど、ケースも大きいながらスリムなのでジーンズの前ポケットに入るので夏になっても大丈夫だと思う。DAPと有線イヤフォンだと今の厚着の時期は良いけどポケットにスポッと入れられるわけではないですからね。

qdcのイヤフォンを持ってるけど、DAP込みで持ち出すのもおっくうでつい完全ワイヤレスになっていた人にはぜひオススメしたいと思います。もちろん使いやすいと言ってもそれなりに大きいので、ちょっと出かける時に出がけにポケットに入れてくものではないけど、少し長く電車に乗る時には選ぶ手がこっちに伸びる製品ではあります。少なくともTiger買う時はアクセサリーだと思って一緒に買ってもいいくらいだと思います。
またAK HC2もそうだけど、かなりコスパの高い再生機としても使えます。ハイエンドイヤフォンを買ってしまってなかなか再生機の予算がないという方とか、低価格でハイエンドイヤフォンを堪能したいという人には向いているかもしれません。

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いずれにしろTWX+TIGERの音はなかなか魅力的で、はじめはこうしたアダプタは荷物の多い時とか必要な時に使うと思ってたけど、しばらくこのままつけっぱなしで使ってもいいかとさえ思ってしまう組み合わせと言えます。
posted by ささき at 11:12 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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