前にも触れました新鋭ヴァイオリニストの宮元笑里さんのデビューCDが発売されました。標準版(右)とDVD付の初回版(左)があります。
DVDには下記ページの演奏中の写真に見られる映像が納められています。
CDジャーナルの記事
http://www.cdjournal.com/main/interview/interview.php?ino=29
選曲も聴きやすいものが多く、テクニックを誇示するというよりは情感で語りかけるように弾くのが上手なタイプと思います。
また中には何曲かこのアルバムのためのオリジナル曲があります。その中でもはじめは前に書いたように大島ミチルさんのお得意の管弦楽曲が楽しみであったのですが、実際にアルバムを通して聞いてみて感じ入ったのは別の曲でした。
それは「無言歌集」という小組曲です。
クラシックにも同じタイトルの曲がありますが、この曲は作曲家の岩代太郎さんが彼女のために書き下ろした曲です。
彼女はブログも好評で、そのブログ記事に無言歌集についてのコメントが載っています。
http://playlog.jp/emirimiyamoto/blog/2007-07-18
この重厚で憂いを持った曲を中心に聞くと、アイドル性豊かなアーチストのデビューCDというのとはまた趣が違ってきます。深く染み入るメロディーを持つ反面で不安定で現代曲的なストリングスとソロヴァイオリンのアンサンブルがとても印象的です。
曲は実際に9.11や現代の暗い世相をテーマにしたそうで、もしかすると若いアーチストのデビュー曲としては少し重めかも知れません。しかしこれは笑里さんの父の知り合いという岩代太郎さんが彼女にあてたメッセージとも取れます。
この曲の持つ悲しみの底から取り出せる希望というむずかしいテーマを弾きこなしていってほしいという、彼女へのテーマのようなものかもしれません。
以前少し書いたんですが、やはり新鋭チェリストの新倉瞳さんがデビューCDに有名な「鳥の歌」を持ってきたのについて、それは自分への課題のようなもの、平和をテーマにしたこの曲をいくつになっても弾いて行きたいという言葉を思い出しました。
宮元笑里さんにもずっとこの無言歌集を弾いて行って欲しいものです、そして10年後にこの世の中がどういう世界になっているかはわかりませんが、その中でまた彼女の解釈をヴァイオリンの響きで聞いてみたいものです。
Music TO GO!
2007年07月23日
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最近JAZZばっかりだったので、
クラシックCDは結構久しぶりだったりします。
大島ミチルさんの旋律が好きなので、
今回は私にとっては買いでしたね。
アルバムとしてもけっこうバランスがよくて通して聴きやすいです。
大島ミチルさんもそろそろオリジナルアルバムがまた聴きたい気がしますね。