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2021年10月01日

ベストセラー機の正常進化型、HIFIMAN DEVA Proレビュー

前モデルのDEVAは低価格で音もよくワイヤレスアダプターも付属してかなりベストセラー商品となりましたが、その新型がDEVA Proです。
低価格の平面磁界型ヘッドフォンです。HIFIMANはAudezと並んで平面型ヘッドフォンを過去から引き上げて現在のトップに持ち上げたメーカーですので、平面磁界型ヘッドフォンは得意分野といえるでしょう。

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予定価格は36,300円(税込)、予定発売日は10月20日です。

* DEVA Proの特徴

DEVA Proの平面磁界型ヘッドフォンとしての特徴はHIFIMAN独自のNEO "Supernano" 振動板を採用していることです。この新しい振動板はSusvaraなどの高級モデルのために開発された技術で以前の設計よりも80%薄く、早いレスポンスと高解像力を実現して豊かなフルレンジの音質を実現するということです。また最近の平面磁界型ヘッドフォンのトレンドでもある高能率化も取り入れられているので、ソースを選ばないで鳴らせるということです。

DEVA Proの前モデルからの進化としてはステルスマグネックが採用されたことが挙げられます。これはより上位機種に採用されていたHIFIMAN独自の技術です。
従来の平面型ヘッドフォンにおけるマグネットはマグネット自体が回析減少で空気の流れを乱してしまい、音質を劣化させてしまいます。DEVA Proでは特殊形状の「ステルス・マグネット」を採用して、空気の流れをあまり乱すことなく透過させることで音質劣化を防いでいるということです。つまり透過的なエアフローを、見えないステルスに例えているわけです。これによって歪みの少ない、ピュアでハーモニーを阻害しない音楽再現を実現しています。
下の図を見てもらうとわかりますが、従来のマグネットは四角く、ステルス・マグネットは丸くなっています。回析というのは波が回り込む現象を言います。回り込みが多いということは直進する成分が減っているということですので、これによってエアフローが最適化されているということでしょう。

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次の特徴は前モデルのDEVA同様にLDAC対応のワイヤレスアダプーBlueminiが付属していることです。それを生かした多彩な入出力、つまりさまざまなシーンで使えるのがポイントです。DEVA ProではR2R ヒマラヤDAC(HYMALAYA DAC)を採用した新しいバージョン「Bluemini R2R」が添付されています。
つまりDEVAでは下記の3種類の使い方ができます。

1.アナログ有線接続
3.5mmステレオミニ、6.3mm標準プラグアダプタ付き

2. Bluetooth ワイヤレス (Bluemini R2R使用)
aptx,LDAC,LHDC(HWA)に対応

3. USB デジタル有線接続 (Bluemini R2R使用)
USB-C端子


Bluemini R2RはDEVA PROに「合体」できる専用アダプターで、DAC内蔵のヘッドフォンアンプでもあります。Bluemini R2Rによって、Bluetoothワイヤレス機能と、USB DAC機能が使えるようになります。
今モデルからはR2R DAC(HIFIMAN独自のヒマラヤDAC)を搭載。内部はフルバランス仕様ということですが、これは実際に音を聞いてみると納得します。またBluetoothレシーバーとしてはLDACを含めて多彩なコーデックに対応しているのも特長です。Bluemini R2RにはUSB端子があるので、これを使用してUSB DACとしても使えます。

* インプレッション

形は前モデルとほぼ同じですが、カラーはシックなブラックとなっています。これで初めて平面磁界型を手にする人も多いと思いますが、大型のハウジングは平面型を購入したという気にさせてくれるでしょう。
ケーブルはコンベンショナルな両方出しに変更されています。機器側端子は3.5mmで6.3mm標準タイプのアダプターが付属しています。

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側圧は適度にあってきちんと頭にホールドできます。パッドはやや硬めですが軽量なので長時間装着していても大丈夫でしょう。オープンなので遮音性はありません。

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試聴はA&K SE180/SEM1を使用しましたが、DAPだからといって能率不足に感じられるところはあまりありません。多少高めではありますが、ハイゲインにするくらいではないと思います。平面型といってそう身構えることもないのが最近の平面型の進歩です。

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音は平面型らしく周波数特性に優れていて誇張されたりきつすぎるような帯域はありません。この辺は普通のダイナミックタイプとの違いの一つでしょう。同価格帯のダイナミック型ヘッドフォンの誇張感の大きな音に慣れていると新鮮かもしれません。
低域はよく抑えられていてタイトでウッドベースのピチカートが気持ち良く聞こえます。低域はよく抑えられていますがパンチがあります。
中域はヴォーカルの声がわかりやすくクリアで気持ち良く音楽を楽しめます。色つけも少ないように思います。高域は伸びはそう鋭くはありませんが、きつさが少なく聴きやすい音です。
また音の広がりがエントリーモデルにしては秀逸で、音の重なりといった立体感も秀でています。空間的な広がりのある音楽で聞くと一層楽しめるでしょう。

ステルスマグネット化されたせいか前モデルよりも音抜けが良く、特に中域がよりクリアにすっきりと聞こえるように思います。前はBlue miniがついている点は良いけれども本体自体はやはりエントリーモデルと感じるところもありましたが、Proタイプでは本体自体もやや良くなってより本格的なオーディオサウンドが楽しめるように感じられます。
ケーブルを交換するともっとクリアに楽しめるかもしれません。そういう意味ではコンベンショナルな両側出しなのは助かるでしょう。

* Bluetooth ワイヤレス

付属のBluemini R2Rを左側のヘッドフォン側端子に取り付けるだけで、Bluemini R2Rを簡単にDEVA Proに合体できます。

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左側の端子は4ピン対応(TRRS)のようです。これによってBluetooth ワイヤレスとUSB DACが使えるようになります。ワイヤレス機能はスマートフォンから使用してます。この際に電源を立ち上げてから電源ボタンをダブルタップするとペアリングモードになります。

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Bluemini R2Rでは前モデルの躍動感があって力強い音も継承され、低音の迫力がいっそう際立っています。特に音場がより広く包まれるようなサウンドになっているのが印象的です。躍動感があってロックにも向いていて、音の歯切れも良くトランジェントが高い感じです。
BTレシーバーとしてもかなりレベルが高いほうでしょう。

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* まとめ

ワイヤレスアダプター付属でコスパの良い平面型ヘッドフォンというDEVAの特徴は引き継いで、ヘッドフォンもアダプターもそれぞれ正常進化したのがDEVA Proと言えます。
手持ちのDAPを使用してオーディオにも取り組んでみたいと思う人が、ドンシャリっぽくない本格的なサウンドを低価格で楽しめるヘッドフォンだと思います。
posted by ささき at 10:00| __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする